多条刈りコンバイン
【課題】前処理部の左端側に位置する穀稈掻込体や株元搬送体を容易に取り外して、トラック等に搭載することができる多条刈りコンバインを提供する。
【解決手段】7条刈り以上の多条刈りコンバインで、前処理部3に複数の穀稈掻込体21を左右方向に併設すると共に、穀稈掻込体21の後方に、左右の株元搬送体31a,32aを設け、左の株元搬送体31aを前側の左前方株元搬送体31bと後側の左後方株元搬送体31cとに分割し、前処理部3下部に位置する横伝動筒13を、最左端の穀稈掻込体21と左から2番目の穀稈掻込体21との間で左横伝動筒13Lと右横伝動筒13Rとに分割し、右横伝動筒13R側の前処理フレームに左後方株元搬送体31cと最左端以外の穀稈掻込体21を支持し、左横伝動筒13L側に左前方株元搬送体31bと最左端の1条分の穀稈掻込体21を支持して、左前方株元搬送体31bと最左端の穀稈掻込体21とを一体で着脱自在とした。
【解決手段】7条刈り以上の多条刈りコンバインで、前処理部3に複数の穀稈掻込体21を左右方向に併設すると共に、穀稈掻込体21の後方に、左右の株元搬送体31a,32aを設け、左の株元搬送体31aを前側の左前方株元搬送体31bと後側の左後方株元搬送体31cとに分割し、前処理部3下部に位置する横伝動筒13を、最左端の穀稈掻込体21と左から2番目の穀稈掻込体21との間で左横伝動筒13Lと右横伝動筒13Rとに分割し、右横伝動筒13R側の前処理フレームに左後方株元搬送体31cと最左端以外の穀稈掻込体21を支持し、左横伝動筒13L側に左前方株元搬送体31bと最左端の1条分の穀稈掻込体21を支持して、左前方株元搬送体31bと最左端の穀稈掻込体21とを一体で着脱自在とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、7条刈り以上の前処理部を備えた多条刈りコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、7条刈り以上の前処理部を備えた多条刈りコンバインは、前処理部の左右幅が広いために、トラック等の運搬車にコンバインを搭載して運搬するときに、前処理部がトラック等の荷台からはみ出したり荷台幅ぎりぎりとなって、運搬が困難になる問題がある。そこで、前処理部の左端側に位置する部品、即ち左端の株元掻込装置(スターホイール)や株元搬送体(株元搬送チェン)を着脱自在に構成し、この左端側の部品を取り外して前処理部の左右幅を狭くした状態でコンバインをトラック等に搭載する技術が知られている。(例えば、特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−44991号公報
【特許文献2】特開2009−106252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
即ち、特許文献1に記載のものは、左側の株元搬送体(第4株元搬送体38D)を、前側の株元搬送体(チェンベルト38a)と、この前側の株元搬送体から穀稈を受け継ぎ内方に搬送する後側の株元搬送体(チェンベルト38b)とに分割構成し、前側の株元搬送体で左から2番目のスターホイールを駆動し、左端のスターホイールを上記2番目のスターホイールから噛み合い伝動すると共に、左端のスターホイールを取り外して前処理部の左右幅を狭くするように構成したものである。
しかしながら、このものは、前側の株元搬送体が前処理部の最左端側に位置しないから前側の株元搬送体を取り外す必要が無い反面、前側の株元搬送体の搬送方向が縦方向(前後方向)となり、かつ後側の株元搬送体は穀稈を内方に搬送する関係上横方向になるから両株元搬送体の搬送方向が大きく異なると共に、前側の株元搬送体の搬送作用側が搬送方向で右側であるのに対し後側の株元搬送体の搬送作用側が左側となり両者の搬送作用面がずれるから、前側の株元搬送体から後側の株元搬送体への引き継ぎ部で穀稈の搬送姿勢が乱れたり詰まったりする欠点がある。
また、両株元搬送体の搬送方向の変化を少なくするために後側の株元搬送体の搬送方向をより縦向きにすると前処理部の全長が長くなる問題がある。
【0005】
また、特許文献2に記載のものも、左側の株元搬送体及びスターホイールは、特許文献1に記載のものと同じ配置伝動構成であるため、同様の搬送上の欠点を有すると共に、特許文献2のものは、左2条分のスターホイールと前側の株元搬送体を一緒に着脱するものであるため、着脱部品が極めて重く着脱作業が困難となる問題がある。
本発明は、上記従来の問題を改善するもので、前処理部の左端側に位置する穀稈掻込体や株元搬送体を容易に取り外して、トラック等に搭載することができるものでありながら、前処理部における穀稈の搬送性能も良好な多条刈りコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、機体1の前方に刈り取り条数が7条以上の前処理部3を昇降自在に装着し、その後方で左右方向の一側に脱穀部4を、他側に運転操作部6をそれぞれ搭載し、前記前処理部3は、その前方下方に刈り取り条数分の複数の穀稈掻込体21・・を左右方向に併設すると共に、該穀稈掻込体21・・の後方に、穀稈掻込体21・・で掻き込まれた穀稈を後方内方に向けて搬送するフィードチェンからなる左右の株元搬送体31a,32aを備えてなる多条刈りコンバインにおいて、前記左の株元搬送体31aを平面視で前処理部3の前方左端側から後方内方に向けて傾斜状に配設すると共に、該左の株元搬送体31aを前側の左前方株元搬送体31bと後側の左後方株元搬送体31cとに分割構成し、左前方株元搬送体31bを左から2番目の穀稈掻込体21の後方に配設した従動輪67と、該従動輪67より左側に配設した駆動輪57と、最左端の穀稈掻込体21の支軸zに一体的に支持した伝動用従動輪59にフィードチェンを掛け回して構成して、左前方株元搬送体31bから最左端の穀稈掻込体21を駆動するようになすと共に、前処理部3の下部に位置して前処理フレームを構成する横伝動筒13を、最左端の穀稈掻込体21と左から2番目の穀稈掻込体21との間で左横伝動筒13Lと右横伝動筒13Rとに分割構成し、右横伝動筒13Rに対して左横伝動筒13Lを着脱自在となし、右横伝動筒13R側の前処理フレームに左後方株元搬送体31cと最左端以外の穀稈掻込体21・・を支持し、左横伝動筒13L側に左前方株元搬送体31bと最左端の1条分の穀稈掻込体21を支持することにより、左前方株元搬送体31bと最左端の1条分の穀稈掻込体21とを一体で着脱自在に構成したことを特徴とする多条刈りコンバイン。
【発明の効果】
【0007】
上記請求項1に記載した発明は、前処理部3の左の株元搬送体31aを前側の左前方株元搬送体31bと後側の左後方株元搬送体31cとに分割構成し、左前方株元搬送体31bと複数の穀稈掻込体21・・の内の最左端の穀稈掻込体21を一体で取り外すことにより、7条以上の多条刈りコンバインでありながら前処理部3の左右幅を小さくして、コンバインをトラック等の荷台に積み込んで運搬することができる。
【0008】
また、左前方株元搬送体31bを左から2番目の穀稈掻込体21の後方に配設した従動輪67と、該従動輪67より左側に配設した駆動輪57と、最左端の穀稈掻込体21の支軸zに一体的に支持した伝動用従動輪59にフィードチェンを掛け回して構成し、左前方株元搬送体31bから最左端の穀稈掻込体21を駆動するようにしたことにより、上記のように、左前方株元搬送体31bと最左端の穀稈掻込体21のみを一体で取り外すことができるものでありながら、従来の左前方株元搬送体で左から2番目の穀稈掻込体を駆動するもののように左前方株元搬送体が縦向きになることがなく、左前方株元搬送体31bを前処理部3の前方左端側から後方内側に向けて傾斜状に形成することができる。従って、左前方株元搬送体31bから左後方株元搬送体31cへの引き継ぎ部で搬送方向が大きく変化することがなく、刈取作業において穀稈の搬送姿勢が乱れたり詰まったりすることを防止して搬送性能を良好にすることができる。
【0009】
また、左前方株元搬送体31bと左後方株元搬送体31cの搬送作用側wが、何れも搬送体の右側(搬送方向視で搬送体の左側)となるから、両者の搬送作用面がずれることが少なく、左前方株元搬送体31bから左後方株元搬送体31cへの引き継ぎを更に良好に行うことができる。
【0010】
また、従来のように2条分の穀稈掻込体(スターホイール)と株元搬送体を一体で着脱するものではなく、左前方株元搬送体31bと最左端の1条分の穀稈掻込体21を一体で着脱するものであるから、着脱部品が重くなることを極力防止して、容易に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】コンバインの正面図である。
【図2】コンバインの左側面図である。
【図3】コンバインの平面図である。
【図4】コンバインの前処理部の左側面図である。
【図5】第1実施例である穀稈掻込装置を採用した前処理部の、穀稈搬送装置及び穀稈掻込装置を示す平面図である。
【図6】同上前処理部の平面図であり、左前方株元搬送体と最左端の穀稈掻込体とを取り外した状態を示す。
【図7】同上前処理部の伝動筒を示す正面図(一部展開図)であり、(A)は特に穀稈搬送装置への伝動筒を示し、(B)は特に穀稈掻込装置と引起装置への伝動筒を示す。
【図8】同上前処理部の最左端の穀稈掻込体付近の部分断面図である。
【図9】同上前処理部の伝動系統図である。
【図10】第2の実施例である穀稈掻込装置を採用した前処理部の、特に穀稈掻込装置と引起装置への伝動筒を示す正面図である。
【図11】第3の実施例である穀稈搬送装置と穀稈掻込装置を採用した前処理部の、伝動筒を示す正面図(一部展開図)であり、(A)は特に穀稈搬送装置への伝動筒を示し、(B)は特に穀稈掻込装置と引起装置への伝動筒を示す。
【図12】同上前処理部の伝動系統図である。
【図13】同上前処理部の左から2番目と6番目の穀稈掻込体を示し、(A)は穀稈掻込体の掻込スターホイール部分の断面図であり、(B)は掻込スターホイールの底面図である。
【図14】第4の実施例である穀稈搬送装置と穀稈掻込装置を採用した前処理部の、特に穀稈掻込装置と引起装置への伝動筒を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜3に基づいて本発明を採用した多条刈りコンバインの基本的構造を説明すると、コンバインはその機体1の下部にクローラ式の走行装置2を備え、機体1の前方に刈り取り条数が8条の前処理部3を昇降自在に装着し、前処理部3の後方で機体前進方向に対して左側の一側に、前処理部3で刈り取り搬送された穀稈を受け継ぎ脱穀選別処理する脱穀部4を搭載し、脱穀部4の後方に脱粒済みの排藁を切断処理する藁処理部5を備えている。
【0013】
また、前処理部3の後方で機体の右側(他側)にキャビン付きの運転操作部6を備え、その後方に脱穀部4で選別した穀粒を貯留する穀粒タンク7を設けている。符号8は穀粒タンク7に貯留された穀粒を機外の運搬車等に排出する穀粒排出オーガであり、穀粒排出オーガ8の下端は穀粒タンク7に連通し、穀粒排出オーガ8は水平回動自在でかつ起伏自在に構成されている。
【0014】
次に、図1〜9に基づいて、第1実施例の穀稈掻込装置を採用した前処理部3の構造を説明する。
前処理部3は、圃場に立植した穀稈を分草する9個の分草体9・・、分草された穀稈を引き起こす8個の引起装置10・・、引き起こされた穀稈を掻き込む穀稈掻込装置20、刈刃11、刈刃11で刈り取られた穀稈を穀稈掻込装置20から受け継いで後方の脱穀部4まで搬送する穀稈搬送装置30、入力用の縦伝動軸12aを内装した縦伝動筒12、縦伝動筒12の下端に固着され横伝動軸13aを内装した横伝動筒13、横伝動筒13の右端側から立設され引起装置10・・への伝動軸14aを内装した引起縦伝動筒14、引起縦伝動筒14の上部に固定され各引起装置10・・へ伝動する引起横伝動軸15aを内装した引起横伝動筒15、上記横伝動筒13の左右端部に基部が固定され先端に分草体9,9を取り付ける左右の分草フレーム16L,16R、左右の分草フレーム16L,16Rを連結すると共に刈刃11等を支持する横フレーム17、横フレーム17に基部が固定され先端に分草体9・・を取り付ける中6個の分草フレーム16M・・等より構成されている。
【0015】
尚、引起横伝動筒15には各引起装置10・・に分配伝動する引起分配軸18aを内装した5個の引起分配筒18が垂設されており、該引起分配筒18・・の下部に各引起装置10・・の上部が支持されている。
【0016】
前処理部3のフレーム(前処理フレーム)は、縦方向のメインフレームを構成する前記縦伝動筒12の下端に横方向のメインフレームを構成する横伝動筒13を固定し、該横伝動筒13に、引起横伝動筒15を支持した引起縦伝動筒14を固定立設し、また、横伝動筒13と左右の分草フレーム16L,16Rと横フレーム17を枠組すること等により構成されている。
そして、上記縦伝動筒12は横軸Yを中心に上下回動自在に機体1に装着され、縦伝動筒12と機体1の間に設けた油圧シリンダ(図示せず)の伸縮作動により縦伝動筒12が横軸Y中心に上下回動し、前処理部3全体が昇降するように構成されている。
【0017】
前記穀稈掻込装置20は、前処理部3の前方下方で左右方向に併設された刈り取り条数分の8個の穀稈掻込体21・・からなり、各穀稈掻込体21・・は、各々穀稈の株元部を掻き込む掻込スターホイール21a・・と、その上方で穀稈の茎部を掻き込む係止掻込体21b・・で構成されている。尚、各掻込スターホイール21a・・は穀稈掻込体21・・の支軸z・・に軸支されており、また、各係止掻込体21b・・は突起付き掻込ベルトにより構成されている。
そして、図5,7等に示すように8個の掻込スターホイール21a・・は左右方向に併設され、かつ全ての掻込スターホイール21a・・は同形、同高さでかつ同一回転数で駆動されるように構成されている。
尚、図中、掻込スターホイール21a・・付近の矢印イは各掻込スターホイール21a・・の回転方向を示す。
【0018】
前記穀稈搬送装置30は、前側左に位置する左穀稈搬送装置31、前側右に位置する右穀稈搬送装置32、前側中央部左に位置する中左穀稈搬送装置33、前側中央部右に位置する中右穀稈搬送装置34、その後方の扱深搬送装置35、穀稈を扱深搬送装置35から脱穀フィードチェン4aに引き継ぐ中継搬送装置36より構成されている。
【0019】
上記左穀稈搬送装置31は、前側の左前方株元搬送体31bと後側の左後方株元搬送体31cとに分割構成される左の株元搬送体31aと、上記左前方株元搬送体31bの上方に位置する左前方穂先搬送体31dと、左後方株元搬送体31cの上方に2段で位置する左後方下段穂先搬送体31eと左後方上段穂先搬送体31fで構成されている。尚、上記左の株元搬送体31aは穀稈掻込体21・・の後側に位置している。
【0020】
左前方株元搬送体31bは、左から2番目の穀稈掻込体21の後方に配設した従動スプロケット(従動輪)67と、該従動スプロケット67の左側に配設した駆動スプロケット(駆動輪)57と、最左端の穀稈掻込体21の支軸zに一体的に支持した従動スプロケット(伝動用従動輪)59にフィードチェンを掛け回して構成され、左前方株元搬送体31bから最左端の穀稈掻込体21を駆動するよう構成されている。そして、上記構成により左前方株元搬送体31b(特にその搬送作用側)は平面視で前処理部3の前方左端側から後方内側に向けて傾斜状に形成されると共に、左後方株元搬送体31cも同方向に傾斜していて、左の株元搬送体31aは全体として前処理部3の前方左端側から後方内側に向けて傾斜している。
また、左前方株元搬送体31bと左後方株元搬送体31cの搬送作用側wは、各搬送体31b,31c右側、即ち搬送方向視で各搬送体31b,31cの左側(搬送体の内側)で同じ側となるように構成されている。
【0021】
前記右穀稈搬送装置32は、前処理部3の前方右端側から後方内側に向けて傾斜する右の株元搬送体32aと、その上方に位置する右下段穂先搬送体32bと右上段穂先搬送体32cで構成され、右穀稈搬送装置32は全体として前処理部3の前方右端側から後方内側に向けて傾斜している。
そして、前記左の株元搬送体31aと上記右の株元搬送体32aは、何れも穀稈掻込体21・・の後側に位置している。
【0022】
前記中左穀稈搬送装置33は、中左株元搬送体33aと、その上方に位置する中左穂先搬送体33b等で構成されている。
前記中右穀稈搬送装置34は、中右株元搬送体34aと、その上方に位置する中右穂先搬送体34bで構成されており、中左穀稈搬送装置33と中右穀稈搬送装置34は何れも搬送方向がほぼ前後方向(縦方向)となるように配置されている。
尚、上記各株元搬送体31a,32a,33a,34a、扱深搬送装置35及び中継搬送装置36は、何れも駆動スプロケットと従動スプロケットにフィードチェンを掛け回して構成され、上記各穂先搬送体31d,31e,31f,32b,32c,33b,34bは、何れも係止爪による係止搬送体で構成されている。
【0023】
次に、図4〜9に基づき前処理部3の伝動構造を説明する。
機体1に搭載されたエンジン(図示ぜず)からの動力が搬送HST40に入力され、搬送HST40により変速された動力が前処理部3の入力プーリ3aに伝動されて前記縦伝動軸12aが駆動され、この縦伝動軸12a及び縦伝動軸12aの下端から伝動される横伝動軸13aから前処理部3の各部に動力が伝動される。
【0024】
即ち、縦伝動軸12aの上部側から中継搬送装置36の駆動スプロケット41と右下段穂先搬送体32bの駆動輪42に伝動されると共に、右下段穂先搬送体32bの前端の従動輪43から支軸を介して右上段穂先搬送体32cの駆動輪44に伝動される。
縦伝動軸12aの中程から扱深搬送装置35の駆動スプロケット45と右株元搬送体32aの駆動スプロケット46に伝動されると共に、右株元搬送体32aの前端の従動スプロケット47が最右端(左から8番目)の穀稈掻込体21の支軸zに一体的に支持され、最右端の掻込スターホイール21aが駆動される。また左から7番目の掻込スターホイール21aは最右端の掻込スターホイール21aと噛み合うことで駆動される。
縦伝動軸12aの下部側から中右株元搬送体34aの駆動スプロケット48と、中右穂先搬送体34bの駆動輪49に伝動される。
【0025】
中右株元搬送体34aの前端の従動スプロケット50が左から5番目の穀稈掻込体21の支軸zに一体的に支持され、その掻込スターホイール21aが駆動される。また左から6番目の掻込スターホイール21aは左から5番目の掻込スターホイール21aと噛み合うことで駆動される。
また、左から5番目の掻込スターホイール21aには左から4番目の掻込スターホイール21aも噛み合って駆動され、該左から4番目の掻込スターホイール21aを軸支する支軸zの上部に、中左株元搬送体33aの駆動スプロケット51が固定されている。中左株元搬送体33aの後側の従動スプロケット52の支軸52aの上部には中左穂先搬送体33bの駆動輪53が固定されている。
また、左から4番目の掻込スターホイール21aには左から3番目の掻込スターホイール21aが噛み合って駆動される。
【0026】
横伝動筒13の左側には横伝動軸13aから伝動される左後搬送伝動軸22aを内装した左後搬送伝動筒22が後方上方に向けて固定され、該左後搬送伝動軸22aを介して前記左後方株元搬送体31cの駆動スプロケット54に伝動され、駆動スプロケット54の支軸54aの上部に左後方下段穂先搬送体31eと左後方上段穂先搬送体31fの駆動輪55,56がそれぞれ固定されている。
【0027】
また、横伝動筒13の上記左後搬送伝動筒22より左側には横伝動軸13aから伝動される左前搬送伝動軸23aを内装した左前搬送伝動筒23が立設され、左前搬送伝動軸23aを介して前記左前方株元搬送体31bの駆動スプロケット57に伝動され、駆動スプロケット57の支軸57aの上部に左前方穂先搬送体31dの駆動輪58が固定されている。また、左前方株元搬送体31bの前端の従動スプロケット59が最左端の掻込スターホイール21aを軸支する支軸zに一体的に支持され、その掻込スターホイール21aが駆動される。また左から2番目の掻込スターホイール21aは最左端の掻込スターホイール21aと噛み合うことで駆動される。
【0028】
尚、各穀稈掻込体21・・の支軸z・・の上部には、それぞれ係止掻込体21b・・の駆動輪60が支持固定されている。
また、刈刃11は左右に分割され、左右の刈刃11L,11Rはそれぞれ横伝動軸13aの左右端からカム機構61、ロッド61a、ベルクランク62(支軸zに回動自由に外嵌支持されている)を介して駆動される。
尚、図8中の符号11aは刈刃11に一体的に設けられた係合部であり、該係合部11a内にベルクランク62の一端部に固定したローラー62aが嵌合して刈刃11が左右往復駆動される。また、符号63はキーであり、支軸zに対して掻込スターホイール21a及び駆動輪60を回動不能に支持している。
【0029】
次に、左前方株元搬送体31bと最左端の1条分の穀稈掻込体21等を一体で着脱自在とする構成を説明する。
前記横伝動筒13は左後搬送伝動筒22と左前搬送伝動筒23との間、即ち最左端の掻込スターホイール21aと左から2番目の掻込スターホイール21aの間で分割されて、左横伝動筒13Lと右横伝動筒13Rに分割構成され、右横伝動筒13Rに対して左横伝動筒13Lがボルトm1により着脱自在に構成されている。また、横伝動軸13aも左後搬送伝動軸22aと左前搬送伝動軸23aとの間で伝動可能なカップリングC1を用いて分割されている。
そして、前記左後方株元搬送体31cは左後搬送伝動筒22を介して右横伝動筒13Rに支持固定され、左前方株元搬送体31bは左前搬送伝動筒23を介して左横伝動筒13Lに支持固定されている。
【0030】
また、前記引起横伝動筒15は最左端の引起分配筒18と左から2番目の引起分配筒18との間で左引起横伝動筒15Lと右引起横伝動筒15Rに分割され、右引起横伝動筒15Rに対して左引起横伝動筒15Lがボルトm2により着脱自在に構成されている。更に、引起伝動軸15aも最左端の引起分配軸18aと左から2番目の引起分配軸18aとの間で伝動可能なカップリングC2を用いて分割されている。
また、前記横フレーム17はパイプ体で構成されていて左端の分草フレーム16Lと左から2番目の分草フレーム16Mの間で分割され、分割された横フレーム17の左側部分の先端に設けられた突起17aが横フレーム17の右側部分のパイプ孔に挿入されることで、分割された左右の横フレーム17が連結支持される。
【0031】
前記各引起装置10・・は上部を各引起分配筒18・・で、下部を各分草フレーム16L,16M,16Rから立設された各支持フレーム64・・により支持固定されており、最左端の引起装置10は最左端の引起分配筒18と、分草フレーム16Lから立設された支持フレーム64で支持固定されている。また、最左端の穀稈掻込体21は、掻込スターホイール21aを軸支した支軸zの下端がステー65により左横伝動筒13Lに支持され、かつ係止掻込体21bが最左端の引起装置10の裏面側からステー66を介して支持されることで左横伝動筒13L側に支持される。また、最左端以外の穀稈掻込体21・・は右横伝動筒13R側の前処理フレームに支持されているが、その支持構造は従来通りであるため、具体的な支持構造の記載は省略する。
【0032】
上述のように前処理部3の左端側の部品が着脱自在に構成されており、刈取作業状態(装着状態)からボルトm1,m2を取り外すと、左前方株元搬送体31bと最左端の穀稈掻込体21アッシーとを一体で取り外すことができるのはもとより、左前方穂先搬送体31d、左横伝動筒13L、左前搬送伝動筒23、分草フレーム16L、分割された横フレーム17の左側部分、最左端の分草体9、左引起横伝動筒15L、最左端の引起分配筒18と引起装置10及び左の刈刃11Lへの伝動装置(カム機構61、ロッド61a、ベルクランク62等)等を一体で取り外すことができる。
【0033】
また図示してはいないが、左前方株元搬送体31bの挟持レールや穀稈搬送ガイド、カバー類等も一体で取り外すことができるように構成されていると共に、前処理部3の上部カバー70及び引起装置10の上部カバー71の左側部分も分割構成されており取り外すことができる。
そして、図3に示すように、前処理部3は後方の機体部分(脱穀部4や運転操作部6等)に対して右側はほぼ同位置にあるが、左側は左方に突出した状態で配置されているから、上述のように前処理部3の左端側部品を取り外すとその分機体全体幅を狭くすることができる。
【0034】
本発明の実施の形態の一つ(第1実施例)は上述の通りであり、コンバインによる刈取作業において、引起装置10・・で引き起こされた8条分の穀稈は、穀稈掻込装置20で掻き込まれると同時に刈刃11で刈り取られ、穀稈掻込装置20から穀稈搬送装置30に継送される。
【0035】
具体的には、左から1番目と2番目の穀稈掻込体21,21、即ち掻込スターホイール21a,21aと係止掻込体21b,21bで掻き込まれた穀稈は左穀稈搬送装置31で後方右方に向け搬送され、左から3番目と4番目の穀稈掻込体21,21で掻き込まれた穀稈は中左穀稈搬送装置33で後方に向け搬送され左穀稈搬送装置31に引き継がれて合流し、左から5番目と6番目の穀稈掻込体21,21で掻き込まれた穀稈は中右穀稈搬送装置34で後方に向け搬送されて右穀稈搬送装置32に引き継がれ、左から7番目と8番目の穀稈掻込体21,21で掻き込まれた穀稈は右穀稈搬送装置32で後方左方に向け搬送される。
【0036】
そして、左穀稈搬送装置31と右穀稈搬送装置32で搬送された8条分の穀稈は合流して扱深搬送装置35により扱深調節され、中継搬送装置36を介して脱穀フィードチェン4aに引き継がれ、脱穀部4で脱穀処理される。
尚、上記において、掻込搬送装置20の構成部品である8個の掻込スターホイール21a・・は同高さに配置されているから、8条の穀稈はほぼ同高さ位置を掻き込まれて刈り取られるため、刈り高さや掻き込み位置のズレが少なく、搬送穀稈の根揃い等を良好にすることができる。
【0037】
一方、コンバインを工場からトラック等の荷台に載せて輸送するときや、刈取作業終了後にトラック等の荷台に載せて移動する場合は、前述のように前処理部3を構成する左端側の部品を取り外して機体幅を縮小する。
即ち、前述したように、前処理部3の左の株元搬送体31aは前側の左前方株元搬送体31bと後側の左後方株元搬送体31cとに分割構成されており、ボルトm1,m2を取り外すと、少なくとも左前方株元搬送体31bと複数の穀稈掻込体21・・の内の最左端の1条分の穀稈掻込体21を一体で取り外すことができ、7条以上の多条刈りコンバインでありながら前処理部3の左右幅を狭くして、コンバインをトラック等の荷台に積み込んで運搬することができる。
【0038】
そして、左前方株元搬送体31bを、左から2番目の穀稈掻込体21の後方に配設した従動スプロケット67と、該従動スプロケット67より左側に配設した駆動スプロケット57と、最左端の穀稈掻込体21の支軸zに一体的に支持した従動スプロケット59にフィードチェンを掛け回して構成し、左前方株元搬送体31bから最左端の穀稈掻込体21を駆動するようにしたことにより、上記のように、左前方株元搬送体31bと最左端の穀稈掻込体21を一体で取り外すことができるものでありながら、従来の左前方株元搬送体で左から2番目の株元掻込体を駆動するもののように左前方株元搬送体が極端な縦向きになることなく、左前方株元搬送体31bを前処理部3の前方左端側から後方内側に向けて傾斜状に形成することができる。そして、左後方株元搬送体31cも同方向に傾斜させることにより、前側の左前方株元搬送体31bから後側の左後方株元搬送体31cへの引き継ぎ部で搬送方向が大きく変化しないようにして、刈取作業中、穀稈の搬送姿勢が乱れたり詰まったりすることを防止し、搬送性能を良好にすることができる。
【0039】
また、左前方株元搬送体31bと後側の左後方株元搬送体31cの搬送作用側wが何れも搬送体31b,31cの同じ右側(機体内側)となるから、両者の搬送作用面がずれることが少なく、両株元搬送体31b,31cの穀稈の引き継ぎを更に良好に行うことができる。
また、従来のように2条分の掻込スターホイールと株元搬送体を一体で着脱するものではなく、左前方株元搬送体31bと最左端の1条分の穀稈掻込体21を一体で着脱するものであるから、着脱部品が重くなることを極力防止して、容易に着脱することができる。
【0040】
また、前述したように、ボルトm1,m2を取り外すと、左前方株元搬送体31bと最左端の穀稈掻込体21のみならず、左前方穂先搬送体31d、左横伝動筒13L、左前搬送動筒23、分草フレーム16L、分割された横フレーム17の左側部分、最左端の分草体9、左引起横伝動筒15L、最左端の引起分配筒18と引起装置10及び左の刈刃11Lへの伝動装置を一体で取り外すことができるから、前処理部3の左端側に存在する部品全体を容易に着脱することができる。
また、機体整備時に上述のように左前方株元搬送体31bを取り外せば、前処理部3を左側から容易にメンテナンスすることもできる。
【0041】
図10は第2の実施例である穀稈掻込装置を採用した前処理部の特に穀稈掻込装置と引起装置への伝動筒を示す。
この第2実施例のものは、左前方株元搬送体31b及び最左端の穀稈掻込体21等、前処理部3の左端側に存在する部品全体を一体的に着脱する構成等は前記第1実施例と同じであり、第1実施例に対して、左の1番目から6番目までの6個の掻込スターホイール21a・・を全て噛み合わせて一組とし、残りの2個の掻込スターホイール21a,21aを対として上記一組の掻込スターホイール21a・・に対して離間させて独立して駆動した点が相違するものである。尚、第1実施例と同様に、全ての掻込スターホイール21a・・は同じもの(同一形状)を使用し、かつ駆動回転数も同一となるように設定すると共に、全ての掻込スターホイール21a・・が同じ高さに配置されている。
【0042】
そして、第2実施例のものは左の1番目から6番目までの一組の掻込スターホイール21a・・を駆動スプロケット48と駆動スプロケット57の2系統から同時駆動するものであるため、掻込スターホイール21a・・の駆動力を高めて掻込搬送詰まりを軽減できると共に、第1実施例の左側2個の対の掻込スターホイール21a,21aを左から3番目の掻込スターホイール21aに対して離間させて独立駆動するものよりも、掻込スターホイール21a・・の全体配置幅を小さくでき、その分前処理部3の左右幅を縮小できる。
【0043】
また、図11〜13は第3の実施例である穀稈搬送装置と穀稈掻込装置を採用した前処理部3を示す。
この第3実施例のものも、左前方株元搬送体31b及び最左端の穀稈掻込体21等、前処理部3の左端側に存在する部品全体を一体的に着脱する構成等は前記第1実施例と同じであり、第1実施例に対して、8個全部の掻込スターホイール21a・・を噛み合わせて構成した点、及び中左株元搬送体33aを中右株元搬送体34aと同様に縦伝動軸12aから直接的に駆動した点が相違するものである。即ち、縦伝動軸12aの下部側から中左株元搬送体33aの駆動スプロケット80に伝動され、駆動スプロケット80の支軸80aの上部に中左穂先搬送体33bの駆動輪53が固定されている。
その他の左の株元搬送体31a、中右株元搬送体34a及び右の株元搬送体32aへの伝動系は第1実施例と同様に構成されている。
【0044】
更に、図13に示すように、左から2番目と6番目の掻込スターホイール21a,21aをそれぞれ支軸z,zに対して周方向に調節自在となるように取り付けている。具体的には、掻込スターホイール21aに設けた取り付け孔81を周方向の長孔で構成し、掻込スターホイール21a,21aを支軸zに、軸回りに位置調節固定可能にボルトm3で締着固定している。尚、左から2番目と6番目以外の掻込スターホイール21a・・の取り付け孔はボルトm3の径に対応させた通常の丸孔としている。
【0045】
そして、第3実施例のものは、全ての掻込スターホイール21a・・を同一高さとするのはもとより、全ての掻込スターホイール21a・・を隣接する掻込スターホイール21a・・と噛み合わせることで掻込スターホイール21a・・全体の配置幅を更に小さくでき、その分前処理部3の左右幅を縮小できる。また、このものは、左から2個ずつの掻込スターホイール21a,21aが対となって、かつ、各対の掻込スターホイール21a,21aがそれぞれ独立駆動される各株元搬送体(左前方株元搬送体31b、中左株元搬送体33a、中右株元搬送体34a及び右の株元搬送体32a)から伝動されるため、2条分ずつ掻き込み搬送される各株元搬送体31b,33a,34a,32aと各対の掻込スターホイール21a,21aへの駆動力を適切に分配することができ、例えば1つの株元搬送体から3つ以上の掻込スターホイール21a・・や複数の株元搬送体に伝動してその搬送駆動負荷が極端に高まるようなことがなく、結果として、穀稈の掻込搬送詰まり等を防止できる。
【0046】
また、全ての掻込スターホイール21a・・を噛み合わせると、1つの掻込スターホイール21aが異なる複数の駆動源から強制駆動される状態が起こりうるため、例え全ての掻込スターホイール21a・・の形状と回転数を同一に設計したとしても、制作上や組み付け誤差等により掻込スターホイール21a・・の噛み合い部で位置ズレが発生し、動力伝動が不能となったり伝動系や掻込スターホイール21aが変形破損する心配があるが、対となる掻込スターホイール21a,21aの内、隣接する対となる掻込スターホイール21a,21a側の掻込スターホイール21a、即ち第3実施例では左から2番目と6番目の掻込スターホイール21a,21aの取り付け孔81を周方向の長孔で構成することで、組み付け時に上記のように噛み合い部で位置ズレが発生しても、取り付け位置を調整して適正な噛み合いとなるように修正することができ、動力伝動不良による各部の変形破損や穀稈の掻き込み搬送不良を防止することができる。
【0047】
尚、第3実施例では、左から2番目と6番目の掻込スターホイール21a,21aの取り付け孔81を長孔としたが、かかる構成に特定されず、例えば、左から3番目と7番目の掻込スターホイール21a,21aの取り付け孔81を長孔としても上記と同様の効果を奏するものである。また、左から4番目の掻込スターホイール21aの取り付け孔81も長孔としてもよい。
【0048】
また、図14は第4の実施例を示すもので、この第4実施例のものも、左前方株元搬送体31b及び最左端の穀稈掻込体21等、前処理部3の左端側に存在する部品全体を一体的に着脱する構成等は前記第1実施例と同じであり、また、各株元搬送体31b,33a,34a,32aへの伝動構成は前記第3実施例と同じであるが、中央部4個の掻込スターホイール21a・・を噛み合わせて、これを組みとして、左端側及び右端側の対となる掻込スターホイール21a,21aより下方位置に設け、更に、組みとなる中央部4個の掻込スターホイール21a・・の左右端部を、左端側及び右端側の対となる掻込スターホイール21a,21aの内端部の下方位置に非噛み合い状態で重合させた点が相違するものである。
また、中央部4個の掻込スターホイール21a・・の内の左から2番目の掻込スターホイール21a(全体で左から4番目の掻込スターホイール21a)の取り付け孔81を図13(B)に示すような長孔で構成したものである。
【0049】
そして、第4実施例のものも、掻込スターホイール21a・・全体の配置幅を小さくでき、その分前処理部3の左右幅を縮小できると共に、第3実施例と同じく、左から2個ずつの掻込スターホイール21a,21aが対となって、かつ、各対の掻込スターホイール21a,21aがそれぞれ独立駆動される各株元搬送体31b,33a,34a,32aから伝動されるため、各株元搬送体31b,33a,34a,32aと掻込スターホイール21a・・への駆動力が適切に分配される。
また、中央部4個の掻込スターホイール21a・・の内の左から2番目の掻込スターホイール21aの取り付け孔81を長孔としたことで、それぞれ別に駆動される中左株元搬送体33aと中右株元搬送体34aから伝動される掻込スターホイール21a,21a(中央部4個の掻込スターホイール21a・・の内の左から2番目と3番目の掻込スターホイール21a,21a)が噛み合っても、第3実施例の場合と同様に、上記取り付け孔81を長孔とし掻込スターホイール21aの取り付け位置を調整して、適正な噛み合いとなるように修正することができる。
尚、第4実施例では、中央部4個の掻込スターホイール21a・・の内の、左から2番目の掻込スターホイール21aの取り付け孔81を長孔としたが、左から3番目の掻込スターホイール21aの取り付け孔81を長孔としてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 機体
3 前処理部
4 脱穀部
6 運転操作部
13 横伝動筒
13L 左横伝動筒
13R 右横伝動筒
21 穀稈掻込体
31a 左の株元搬送体
31b 左前方株元搬送体
31c 左後方株元搬送体
32a 右の株元搬送体
57 駆動輪(駆動スプロケット)
59 伝動用従動輪(従動スプロケット)
67 従動輪(従動スプロケット)
z 支軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、7条刈り以上の前処理部を備えた多条刈りコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、7条刈り以上の前処理部を備えた多条刈りコンバインは、前処理部の左右幅が広いために、トラック等の運搬車にコンバインを搭載して運搬するときに、前処理部がトラック等の荷台からはみ出したり荷台幅ぎりぎりとなって、運搬が困難になる問題がある。そこで、前処理部の左端側に位置する部品、即ち左端の株元掻込装置(スターホイール)や株元搬送体(株元搬送チェン)を着脱自在に構成し、この左端側の部品を取り外して前処理部の左右幅を狭くした状態でコンバインをトラック等に搭載する技術が知られている。(例えば、特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−44991号公報
【特許文献2】特開2009−106252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
即ち、特許文献1に記載のものは、左側の株元搬送体(第4株元搬送体38D)を、前側の株元搬送体(チェンベルト38a)と、この前側の株元搬送体から穀稈を受け継ぎ内方に搬送する後側の株元搬送体(チェンベルト38b)とに分割構成し、前側の株元搬送体で左から2番目のスターホイールを駆動し、左端のスターホイールを上記2番目のスターホイールから噛み合い伝動すると共に、左端のスターホイールを取り外して前処理部の左右幅を狭くするように構成したものである。
しかしながら、このものは、前側の株元搬送体が前処理部の最左端側に位置しないから前側の株元搬送体を取り外す必要が無い反面、前側の株元搬送体の搬送方向が縦方向(前後方向)となり、かつ後側の株元搬送体は穀稈を内方に搬送する関係上横方向になるから両株元搬送体の搬送方向が大きく異なると共に、前側の株元搬送体の搬送作用側が搬送方向で右側であるのに対し後側の株元搬送体の搬送作用側が左側となり両者の搬送作用面がずれるから、前側の株元搬送体から後側の株元搬送体への引き継ぎ部で穀稈の搬送姿勢が乱れたり詰まったりする欠点がある。
また、両株元搬送体の搬送方向の変化を少なくするために後側の株元搬送体の搬送方向をより縦向きにすると前処理部の全長が長くなる問題がある。
【0005】
また、特許文献2に記載のものも、左側の株元搬送体及びスターホイールは、特許文献1に記載のものと同じ配置伝動構成であるため、同様の搬送上の欠点を有すると共に、特許文献2のものは、左2条分のスターホイールと前側の株元搬送体を一緒に着脱するものであるため、着脱部品が極めて重く着脱作業が困難となる問題がある。
本発明は、上記従来の問題を改善するもので、前処理部の左端側に位置する穀稈掻込体や株元搬送体を容易に取り外して、トラック等に搭載することができるものでありながら、前処理部における穀稈の搬送性能も良好な多条刈りコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、機体1の前方に刈り取り条数が7条以上の前処理部3を昇降自在に装着し、その後方で左右方向の一側に脱穀部4を、他側に運転操作部6をそれぞれ搭載し、前記前処理部3は、その前方下方に刈り取り条数分の複数の穀稈掻込体21・・を左右方向に併設すると共に、該穀稈掻込体21・・の後方に、穀稈掻込体21・・で掻き込まれた穀稈を後方内方に向けて搬送するフィードチェンからなる左右の株元搬送体31a,32aを備えてなる多条刈りコンバインにおいて、前記左の株元搬送体31aを平面視で前処理部3の前方左端側から後方内方に向けて傾斜状に配設すると共に、該左の株元搬送体31aを前側の左前方株元搬送体31bと後側の左後方株元搬送体31cとに分割構成し、左前方株元搬送体31bを左から2番目の穀稈掻込体21の後方に配設した従動輪67と、該従動輪67より左側に配設した駆動輪57と、最左端の穀稈掻込体21の支軸zに一体的に支持した伝動用従動輪59にフィードチェンを掛け回して構成して、左前方株元搬送体31bから最左端の穀稈掻込体21を駆動するようになすと共に、前処理部3の下部に位置して前処理フレームを構成する横伝動筒13を、最左端の穀稈掻込体21と左から2番目の穀稈掻込体21との間で左横伝動筒13Lと右横伝動筒13Rとに分割構成し、右横伝動筒13Rに対して左横伝動筒13Lを着脱自在となし、右横伝動筒13R側の前処理フレームに左後方株元搬送体31cと最左端以外の穀稈掻込体21・・を支持し、左横伝動筒13L側に左前方株元搬送体31bと最左端の1条分の穀稈掻込体21を支持することにより、左前方株元搬送体31bと最左端の1条分の穀稈掻込体21とを一体で着脱自在に構成したことを特徴とする多条刈りコンバイン。
【発明の効果】
【0007】
上記請求項1に記載した発明は、前処理部3の左の株元搬送体31aを前側の左前方株元搬送体31bと後側の左後方株元搬送体31cとに分割構成し、左前方株元搬送体31bと複数の穀稈掻込体21・・の内の最左端の穀稈掻込体21を一体で取り外すことにより、7条以上の多条刈りコンバインでありながら前処理部3の左右幅を小さくして、コンバインをトラック等の荷台に積み込んで運搬することができる。
【0008】
また、左前方株元搬送体31bを左から2番目の穀稈掻込体21の後方に配設した従動輪67と、該従動輪67より左側に配設した駆動輪57と、最左端の穀稈掻込体21の支軸zに一体的に支持した伝動用従動輪59にフィードチェンを掛け回して構成し、左前方株元搬送体31bから最左端の穀稈掻込体21を駆動するようにしたことにより、上記のように、左前方株元搬送体31bと最左端の穀稈掻込体21のみを一体で取り外すことができるものでありながら、従来の左前方株元搬送体で左から2番目の穀稈掻込体を駆動するもののように左前方株元搬送体が縦向きになることがなく、左前方株元搬送体31bを前処理部3の前方左端側から後方内側に向けて傾斜状に形成することができる。従って、左前方株元搬送体31bから左後方株元搬送体31cへの引き継ぎ部で搬送方向が大きく変化することがなく、刈取作業において穀稈の搬送姿勢が乱れたり詰まったりすることを防止して搬送性能を良好にすることができる。
【0009】
また、左前方株元搬送体31bと左後方株元搬送体31cの搬送作用側wが、何れも搬送体の右側(搬送方向視で搬送体の左側)となるから、両者の搬送作用面がずれることが少なく、左前方株元搬送体31bから左後方株元搬送体31cへの引き継ぎを更に良好に行うことができる。
【0010】
また、従来のように2条分の穀稈掻込体(スターホイール)と株元搬送体を一体で着脱するものではなく、左前方株元搬送体31bと最左端の1条分の穀稈掻込体21を一体で着脱するものであるから、着脱部品が重くなることを極力防止して、容易に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】コンバインの正面図である。
【図2】コンバインの左側面図である。
【図3】コンバインの平面図である。
【図4】コンバインの前処理部の左側面図である。
【図5】第1実施例である穀稈掻込装置を採用した前処理部の、穀稈搬送装置及び穀稈掻込装置を示す平面図である。
【図6】同上前処理部の平面図であり、左前方株元搬送体と最左端の穀稈掻込体とを取り外した状態を示す。
【図7】同上前処理部の伝動筒を示す正面図(一部展開図)であり、(A)は特に穀稈搬送装置への伝動筒を示し、(B)は特に穀稈掻込装置と引起装置への伝動筒を示す。
【図8】同上前処理部の最左端の穀稈掻込体付近の部分断面図である。
【図9】同上前処理部の伝動系統図である。
【図10】第2の実施例である穀稈掻込装置を採用した前処理部の、特に穀稈掻込装置と引起装置への伝動筒を示す正面図である。
【図11】第3の実施例である穀稈搬送装置と穀稈掻込装置を採用した前処理部の、伝動筒を示す正面図(一部展開図)であり、(A)は特に穀稈搬送装置への伝動筒を示し、(B)は特に穀稈掻込装置と引起装置への伝動筒を示す。
【図12】同上前処理部の伝動系統図である。
【図13】同上前処理部の左から2番目と6番目の穀稈掻込体を示し、(A)は穀稈掻込体の掻込スターホイール部分の断面図であり、(B)は掻込スターホイールの底面図である。
【図14】第4の実施例である穀稈搬送装置と穀稈掻込装置を採用した前処理部の、特に穀稈掻込装置と引起装置への伝動筒を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜3に基づいて本発明を採用した多条刈りコンバインの基本的構造を説明すると、コンバインはその機体1の下部にクローラ式の走行装置2を備え、機体1の前方に刈り取り条数が8条の前処理部3を昇降自在に装着し、前処理部3の後方で機体前進方向に対して左側の一側に、前処理部3で刈り取り搬送された穀稈を受け継ぎ脱穀選別処理する脱穀部4を搭載し、脱穀部4の後方に脱粒済みの排藁を切断処理する藁処理部5を備えている。
【0013】
また、前処理部3の後方で機体の右側(他側)にキャビン付きの運転操作部6を備え、その後方に脱穀部4で選別した穀粒を貯留する穀粒タンク7を設けている。符号8は穀粒タンク7に貯留された穀粒を機外の運搬車等に排出する穀粒排出オーガであり、穀粒排出オーガ8の下端は穀粒タンク7に連通し、穀粒排出オーガ8は水平回動自在でかつ起伏自在に構成されている。
【0014】
次に、図1〜9に基づいて、第1実施例の穀稈掻込装置を採用した前処理部3の構造を説明する。
前処理部3は、圃場に立植した穀稈を分草する9個の分草体9・・、分草された穀稈を引き起こす8個の引起装置10・・、引き起こされた穀稈を掻き込む穀稈掻込装置20、刈刃11、刈刃11で刈り取られた穀稈を穀稈掻込装置20から受け継いで後方の脱穀部4まで搬送する穀稈搬送装置30、入力用の縦伝動軸12aを内装した縦伝動筒12、縦伝動筒12の下端に固着され横伝動軸13aを内装した横伝動筒13、横伝動筒13の右端側から立設され引起装置10・・への伝動軸14aを内装した引起縦伝動筒14、引起縦伝動筒14の上部に固定され各引起装置10・・へ伝動する引起横伝動軸15aを内装した引起横伝動筒15、上記横伝動筒13の左右端部に基部が固定され先端に分草体9,9を取り付ける左右の分草フレーム16L,16R、左右の分草フレーム16L,16Rを連結すると共に刈刃11等を支持する横フレーム17、横フレーム17に基部が固定され先端に分草体9・・を取り付ける中6個の分草フレーム16M・・等より構成されている。
【0015】
尚、引起横伝動筒15には各引起装置10・・に分配伝動する引起分配軸18aを内装した5個の引起分配筒18が垂設されており、該引起分配筒18・・の下部に各引起装置10・・の上部が支持されている。
【0016】
前処理部3のフレーム(前処理フレーム)は、縦方向のメインフレームを構成する前記縦伝動筒12の下端に横方向のメインフレームを構成する横伝動筒13を固定し、該横伝動筒13に、引起横伝動筒15を支持した引起縦伝動筒14を固定立設し、また、横伝動筒13と左右の分草フレーム16L,16Rと横フレーム17を枠組すること等により構成されている。
そして、上記縦伝動筒12は横軸Yを中心に上下回動自在に機体1に装着され、縦伝動筒12と機体1の間に設けた油圧シリンダ(図示せず)の伸縮作動により縦伝動筒12が横軸Y中心に上下回動し、前処理部3全体が昇降するように構成されている。
【0017】
前記穀稈掻込装置20は、前処理部3の前方下方で左右方向に併設された刈り取り条数分の8個の穀稈掻込体21・・からなり、各穀稈掻込体21・・は、各々穀稈の株元部を掻き込む掻込スターホイール21a・・と、その上方で穀稈の茎部を掻き込む係止掻込体21b・・で構成されている。尚、各掻込スターホイール21a・・は穀稈掻込体21・・の支軸z・・に軸支されており、また、各係止掻込体21b・・は突起付き掻込ベルトにより構成されている。
そして、図5,7等に示すように8個の掻込スターホイール21a・・は左右方向に併設され、かつ全ての掻込スターホイール21a・・は同形、同高さでかつ同一回転数で駆動されるように構成されている。
尚、図中、掻込スターホイール21a・・付近の矢印イは各掻込スターホイール21a・・の回転方向を示す。
【0018】
前記穀稈搬送装置30は、前側左に位置する左穀稈搬送装置31、前側右に位置する右穀稈搬送装置32、前側中央部左に位置する中左穀稈搬送装置33、前側中央部右に位置する中右穀稈搬送装置34、その後方の扱深搬送装置35、穀稈を扱深搬送装置35から脱穀フィードチェン4aに引き継ぐ中継搬送装置36より構成されている。
【0019】
上記左穀稈搬送装置31は、前側の左前方株元搬送体31bと後側の左後方株元搬送体31cとに分割構成される左の株元搬送体31aと、上記左前方株元搬送体31bの上方に位置する左前方穂先搬送体31dと、左後方株元搬送体31cの上方に2段で位置する左後方下段穂先搬送体31eと左後方上段穂先搬送体31fで構成されている。尚、上記左の株元搬送体31aは穀稈掻込体21・・の後側に位置している。
【0020】
左前方株元搬送体31bは、左から2番目の穀稈掻込体21の後方に配設した従動スプロケット(従動輪)67と、該従動スプロケット67の左側に配設した駆動スプロケット(駆動輪)57と、最左端の穀稈掻込体21の支軸zに一体的に支持した従動スプロケット(伝動用従動輪)59にフィードチェンを掛け回して構成され、左前方株元搬送体31bから最左端の穀稈掻込体21を駆動するよう構成されている。そして、上記構成により左前方株元搬送体31b(特にその搬送作用側)は平面視で前処理部3の前方左端側から後方内側に向けて傾斜状に形成されると共に、左後方株元搬送体31cも同方向に傾斜していて、左の株元搬送体31aは全体として前処理部3の前方左端側から後方内側に向けて傾斜している。
また、左前方株元搬送体31bと左後方株元搬送体31cの搬送作用側wは、各搬送体31b,31c右側、即ち搬送方向視で各搬送体31b,31cの左側(搬送体の内側)で同じ側となるように構成されている。
【0021】
前記右穀稈搬送装置32は、前処理部3の前方右端側から後方内側に向けて傾斜する右の株元搬送体32aと、その上方に位置する右下段穂先搬送体32bと右上段穂先搬送体32cで構成され、右穀稈搬送装置32は全体として前処理部3の前方右端側から後方内側に向けて傾斜している。
そして、前記左の株元搬送体31aと上記右の株元搬送体32aは、何れも穀稈掻込体21・・の後側に位置している。
【0022】
前記中左穀稈搬送装置33は、中左株元搬送体33aと、その上方に位置する中左穂先搬送体33b等で構成されている。
前記中右穀稈搬送装置34は、中右株元搬送体34aと、その上方に位置する中右穂先搬送体34bで構成されており、中左穀稈搬送装置33と中右穀稈搬送装置34は何れも搬送方向がほぼ前後方向(縦方向)となるように配置されている。
尚、上記各株元搬送体31a,32a,33a,34a、扱深搬送装置35及び中継搬送装置36は、何れも駆動スプロケットと従動スプロケットにフィードチェンを掛け回して構成され、上記各穂先搬送体31d,31e,31f,32b,32c,33b,34bは、何れも係止爪による係止搬送体で構成されている。
【0023】
次に、図4〜9に基づき前処理部3の伝動構造を説明する。
機体1に搭載されたエンジン(図示ぜず)からの動力が搬送HST40に入力され、搬送HST40により変速された動力が前処理部3の入力プーリ3aに伝動されて前記縦伝動軸12aが駆動され、この縦伝動軸12a及び縦伝動軸12aの下端から伝動される横伝動軸13aから前処理部3の各部に動力が伝動される。
【0024】
即ち、縦伝動軸12aの上部側から中継搬送装置36の駆動スプロケット41と右下段穂先搬送体32bの駆動輪42に伝動されると共に、右下段穂先搬送体32bの前端の従動輪43から支軸を介して右上段穂先搬送体32cの駆動輪44に伝動される。
縦伝動軸12aの中程から扱深搬送装置35の駆動スプロケット45と右株元搬送体32aの駆動スプロケット46に伝動されると共に、右株元搬送体32aの前端の従動スプロケット47が最右端(左から8番目)の穀稈掻込体21の支軸zに一体的に支持され、最右端の掻込スターホイール21aが駆動される。また左から7番目の掻込スターホイール21aは最右端の掻込スターホイール21aと噛み合うことで駆動される。
縦伝動軸12aの下部側から中右株元搬送体34aの駆動スプロケット48と、中右穂先搬送体34bの駆動輪49に伝動される。
【0025】
中右株元搬送体34aの前端の従動スプロケット50が左から5番目の穀稈掻込体21の支軸zに一体的に支持され、その掻込スターホイール21aが駆動される。また左から6番目の掻込スターホイール21aは左から5番目の掻込スターホイール21aと噛み合うことで駆動される。
また、左から5番目の掻込スターホイール21aには左から4番目の掻込スターホイール21aも噛み合って駆動され、該左から4番目の掻込スターホイール21aを軸支する支軸zの上部に、中左株元搬送体33aの駆動スプロケット51が固定されている。中左株元搬送体33aの後側の従動スプロケット52の支軸52aの上部には中左穂先搬送体33bの駆動輪53が固定されている。
また、左から4番目の掻込スターホイール21aには左から3番目の掻込スターホイール21aが噛み合って駆動される。
【0026】
横伝動筒13の左側には横伝動軸13aから伝動される左後搬送伝動軸22aを内装した左後搬送伝動筒22が後方上方に向けて固定され、該左後搬送伝動軸22aを介して前記左後方株元搬送体31cの駆動スプロケット54に伝動され、駆動スプロケット54の支軸54aの上部に左後方下段穂先搬送体31eと左後方上段穂先搬送体31fの駆動輪55,56がそれぞれ固定されている。
【0027】
また、横伝動筒13の上記左後搬送伝動筒22より左側には横伝動軸13aから伝動される左前搬送伝動軸23aを内装した左前搬送伝動筒23が立設され、左前搬送伝動軸23aを介して前記左前方株元搬送体31bの駆動スプロケット57に伝動され、駆動スプロケット57の支軸57aの上部に左前方穂先搬送体31dの駆動輪58が固定されている。また、左前方株元搬送体31bの前端の従動スプロケット59が最左端の掻込スターホイール21aを軸支する支軸zに一体的に支持され、その掻込スターホイール21aが駆動される。また左から2番目の掻込スターホイール21aは最左端の掻込スターホイール21aと噛み合うことで駆動される。
【0028】
尚、各穀稈掻込体21・・の支軸z・・の上部には、それぞれ係止掻込体21b・・の駆動輪60が支持固定されている。
また、刈刃11は左右に分割され、左右の刈刃11L,11Rはそれぞれ横伝動軸13aの左右端からカム機構61、ロッド61a、ベルクランク62(支軸zに回動自由に外嵌支持されている)を介して駆動される。
尚、図8中の符号11aは刈刃11に一体的に設けられた係合部であり、該係合部11a内にベルクランク62の一端部に固定したローラー62aが嵌合して刈刃11が左右往復駆動される。また、符号63はキーであり、支軸zに対して掻込スターホイール21a及び駆動輪60を回動不能に支持している。
【0029】
次に、左前方株元搬送体31bと最左端の1条分の穀稈掻込体21等を一体で着脱自在とする構成を説明する。
前記横伝動筒13は左後搬送伝動筒22と左前搬送伝動筒23との間、即ち最左端の掻込スターホイール21aと左から2番目の掻込スターホイール21aの間で分割されて、左横伝動筒13Lと右横伝動筒13Rに分割構成され、右横伝動筒13Rに対して左横伝動筒13Lがボルトm1により着脱自在に構成されている。また、横伝動軸13aも左後搬送伝動軸22aと左前搬送伝動軸23aとの間で伝動可能なカップリングC1を用いて分割されている。
そして、前記左後方株元搬送体31cは左後搬送伝動筒22を介して右横伝動筒13Rに支持固定され、左前方株元搬送体31bは左前搬送伝動筒23を介して左横伝動筒13Lに支持固定されている。
【0030】
また、前記引起横伝動筒15は最左端の引起分配筒18と左から2番目の引起分配筒18との間で左引起横伝動筒15Lと右引起横伝動筒15Rに分割され、右引起横伝動筒15Rに対して左引起横伝動筒15Lがボルトm2により着脱自在に構成されている。更に、引起伝動軸15aも最左端の引起分配軸18aと左から2番目の引起分配軸18aとの間で伝動可能なカップリングC2を用いて分割されている。
また、前記横フレーム17はパイプ体で構成されていて左端の分草フレーム16Lと左から2番目の分草フレーム16Mの間で分割され、分割された横フレーム17の左側部分の先端に設けられた突起17aが横フレーム17の右側部分のパイプ孔に挿入されることで、分割された左右の横フレーム17が連結支持される。
【0031】
前記各引起装置10・・は上部を各引起分配筒18・・で、下部を各分草フレーム16L,16M,16Rから立設された各支持フレーム64・・により支持固定されており、最左端の引起装置10は最左端の引起分配筒18と、分草フレーム16Lから立設された支持フレーム64で支持固定されている。また、最左端の穀稈掻込体21は、掻込スターホイール21aを軸支した支軸zの下端がステー65により左横伝動筒13Lに支持され、かつ係止掻込体21bが最左端の引起装置10の裏面側からステー66を介して支持されることで左横伝動筒13L側に支持される。また、最左端以外の穀稈掻込体21・・は右横伝動筒13R側の前処理フレームに支持されているが、その支持構造は従来通りであるため、具体的な支持構造の記載は省略する。
【0032】
上述のように前処理部3の左端側の部品が着脱自在に構成されており、刈取作業状態(装着状態)からボルトm1,m2を取り外すと、左前方株元搬送体31bと最左端の穀稈掻込体21アッシーとを一体で取り外すことができるのはもとより、左前方穂先搬送体31d、左横伝動筒13L、左前搬送伝動筒23、分草フレーム16L、分割された横フレーム17の左側部分、最左端の分草体9、左引起横伝動筒15L、最左端の引起分配筒18と引起装置10及び左の刈刃11Lへの伝動装置(カム機構61、ロッド61a、ベルクランク62等)等を一体で取り外すことができる。
【0033】
また図示してはいないが、左前方株元搬送体31bの挟持レールや穀稈搬送ガイド、カバー類等も一体で取り外すことができるように構成されていると共に、前処理部3の上部カバー70及び引起装置10の上部カバー71の左側部分も分割構成されており取り外すことができる。
そして、図3に示すように、前処理部3は後方の機体部分(脱穀部4や運転操作部6等)に対して右側はほぼ同位置にあるが、左側は左方に突出した状態で配置されているから、上述のように前処理部3の左端側部品を取り外すとその分機体全体幅を狭くすることができる。
【0034】
本発明の実施の形態の一つ(第1実施例)は上述の通りであり、コンバインによる刈取作業において、引起装置10・・で引き起こされた8条分の穀稈は、穀稈掻込装置20で掻き込まれると同時に刈刃11で刈り取られ、穀稈掻込装置20から穀稈搬送装置30に継送される。
【0035】
具体的には、左から1番目と2番目の穀稈掻込体21,21、即ち掻込スターホイール21a,21aと係止掻込体21b,21bで掻き込まれた穀稈は左穀稈搬送装置31で後方右方に向け搬送され、左から3番目と4番目の穀稈掻込体21,21で掻き込まれた穀稈は中左穀稈搬送装置33で後方に向け搬送され左穀稈搬送装置31に引き継がれて合流し、左から5番目と6番目の穀稈掻込体21,21で掻き込まれた穀稈は中右穀稈搬送装置34で後方に向け搬送されて右穀稈搬送装置32に引き継がれ、左から7番目と8番目の穀稈掻込体21,21で掻き込まれた穀稈は右穀稈搬送装置32で後方左方に向け搬送される。
【0036】
そして、左穀稈搬送装置31と右穀稈搬送装置32で搬送された8条分の穀稈は合流して扱深搬送装置35により扱深調節され、中継搬送装置36を介して脱穀フィードチェン4aに引き継がれ、脱穀部4で脱穀処理される。
尚、上記において、掻込搬送装置20の構成部品である8個の掻込スターホイール21a・・は同高さに配置されているから、8条の穀稈はほぼ同高さ位置を掻き込まれて刈り取られるため、刈り高さや掻き込み位置のズレが少なく、搬送穀稈の根揃い等を良好にすることができる。
【0037】
一方、コンバインを工場からトラック等の荷台に載せて輸送するときや、刈取作業終了後にトラック等の荷台に載せて移動する場合は、前述のように前処理部3を構成する左端側の部品を取り外して機体幅を縮小する。
即ち、前述したように、前処理部3の左の株元搬送体31aは前側の左前方株元搬送体31bと後側の左後方株元搬送体31cとに分割構成されており、ボルトm1,m2を取り外すと、少なくとも左前方株元搬送体31bと複数の穀稈掻込体21・・の内の最左端の1条分の穀稈掻込体21を一体で取り外すことができ、7条以上の多条刈りコンバインでありながら前処理部3の左右幅を狭くして、コンバインをトラック等の荷台に積み込んで運搬することができる。
【0038】
そして、左前方株元搬送体31bを、左から2番目の穀稈掻込体21の後方に配設した従動スプロケット67と、該従動スプロケット67より左側に配設した駆動スプロケット57と、最左端の穀稈掻込体21の支軸zに一体的に支持した従動スプロケット59にフィードチェンを掛け回して構成し、左前方株元搬送体31bから最左端の穀稈掻込体21を駆動するようにしたことにより、上記のように、左前方株元搬送体31bと最左端の穀稈掻込体21を一体で取り外すことができるものでありながら、従来の左前方株元搬送体で左から2番目の株元掻込体を駆動するもののように左前方株元搬送体が極端な縦向きになることなく、左前方株元搬送体31bを前処理部3の前方左端側から後方内側に向けて傾斜状に形成することができる。そして、左後方株元搬送体31cも同方向に傾斜させることにより、前側の左前方株元搬送体31bから後側の左後方株元搬送体31cへの引き継ぎ部で搬送方向が大きく変化しないようにして、刈取作業中、穀稈の搬送姿勢が乱れたり詰まったりすることを防止し、搬送性能を良好にすることができる。
【0039】
また、左前方株元搬送体31bと後側の左後方株元搬送体31cの搬送作用側wが何れも搬送体31b,31cの同じ右側(機体内側)となるから、両者の搬送作用面がずれることが少なく、両株元搬送体31b,31cの穀稈の引き継ぎを更に良好に行うことができる。
また、従来のように2条分の掻込スターホイールと株元搬送体を一体で着脱するものではなく、左前方株元搬送体31bと最左端の1条分の穀稈掻込体21を一体で着脱するものであるから、着脱部品が重くなることを極力防止して、容易に着脱することができる。
【0040】
また、前述したように、ボルトm1,m2を取り外すと、左前方株元搬送体31bと最左端の穀稈掻込体21のみならず、左前方穂先搬送体31d、左横伝動筒13L、左前搬送動筒23、分草フレーム16L、分割された横フレーム17の左側部分、最左端の分草体9、左引起横伝動筒15L、最左端の引起分配筒18と引起装置10及び左の刈刃11Lへの伝動装置を一体で取り外すことができるから、前処理部3の左端側に存在する部品全体を容易に着脱することができる。
また、機体整備時に上述のように左前方株元搬送体31bを取り外せば、前処理部3を左側から容易にメンテナンスすることもできる。
【0041】
図10は第2の実施例である穀稈掻込装置を採用した前処理部の特に穀稈掻込装置と引起装置への伝動筒を示す。
この第2実施例のものは、左前方株元搬送体31b及び最左端の穀稈掻込体21等、前処理部3の左端側に存在する部品全体を一体的に着脱する構成等は前記第1実施例と同じであり、第1実施例に対して、左の1番目から6番目までの6個の掻込スターホイール21a・・を全て噛み合わせて一組とし、残りの2個の掻込スターホイール21a,21aを対として上記一組の掻込スターホイール21a・・に対して離間させて独立して駆動した点が相違するものである。尚、第1実施例と同様に、全ての掻込スターホイール21a・・は同じもの(同一形状)を使用し、かつ駆動回転数も同一となるように設定すると共に、全ての掻込スターホイール21a・・が同じ高さに配置されている。
【0042】
そして、第2実施例のものは左の1番目から6番目までの一組の掻込スターホイール21a・・を駆動スプロケット48と駆動スプロケット57の2系統から同時駆動するものであるため、掻込スターホイール21a・・の駆動力を高めて掻込搬送詰まりを軽減できると共に、第1実施例の左側2個の対の掻込スターホイール21a,21aを左から3番目の掻込スターホイール21aに対して離間させて独立駆動するものよりも、掻込スターホイール21a・・の全体配置幅を小さくでき、その分前処理部3の左右幅を縮小できる。
【0043】
また、図11〜13は第3の実施例である穀稈搬送装置と穀稈掻込装置を採用した前処理部3を示す。
この第3実施例のものも、左前方株元搬送体31b及び最左端の穀稈掻込体21等、前処理部3の左端側に存在する部品全体を一体的に着脱する構成等は前記第1実施例と同じであり、第1実施例に対して、8個全部の掻込スターホイール21a・・を噛み合わせて構成した点、及び中左株元搬送体33aを中右株元搬送体34aと同様に縦伝動軸12aから直接的に駆動した点が相違するものである。即ち、縦伝動軸12aの下部側から中左株元搬送体33aの駆動スプロケット80に伝動され、駆動スプロケット80の支軸80aの上部に中左穂先搬送体33bの駆動輪53が固定されている。
その他の左の株元搬送体31a、中右株元搬送体34a及び右の株元搬送体32aへの伝動系は第1実施例と同様に構成されている。
【0044】
更に、図13に示すように、左から2番目と6番目の掻込スターホイール21a,21aをそれぞれ支軸z,zに対して周方向に調節自在となるように取り付けている。具体的には、掻込スターホイール21aに設けた取り付け孔81を周方向の長孔で構成し、掻込スターホイール21a,21aを支軸zに、軸回りに位置調節固定可能にボルトm3で締着固定している。尚、左から2番目と6番目以外の掻込スターホイール21a・・の取り付け孔はボルトm3の径に対応させた通常の丸孔としている。
【0045】
そして、第3実施例のものは、全ての掻込スターホイール21a・・を同一高さとするのはもとより、全ての掻込スターホイール21a・・を隣接する掻込スターホイール21a・・と噛み合わせることで掻込スターホイール21a・・全体の配置幅を更に小さくでき、その分前処理部3の左右幅を縮小できる。また、このものは、左から2個ずつの掻込スターホイール21a,21aが対となって、かつ、各対の掻込スターホイール21a,21aがそれぞれ独立駆動される各株元搬送体(左前方株元搬送体31b、中左株元搬送体33a、中右株元搬送体34a及び右の株元搬送体32a)から伝動されるため、2条分ずつ掻き込み搬送される各株元搬送体31b,33a,34a,32aと各対の掻込スターホイール21a,21aへの駆動力を適切に分配することができ、例えば1つの株元搬送体から3つ以上の掻込スターホイール21a・・や複数の株元搬送体に伝動してその搬送駆動負荷が極端に高まるようなことがなく、結果として、穀稈の掻込搬送詰まり等を防止できる。
【0046】
また、全ての掻込スターホイール21a・・を噛み合わせると、1つの掻込スターホイール21aが異なる複数の駆動源から強制駆動される状態が起こりうるため、例え全ての掻込スターホイール21a・・の形状と回転数を同一に設計したとしても、制作上や組み付け誤差等により掻込スターホイール21a・・の噛み合い部で位置ズレが発生し、動力伝動が不能となったり伝動系や掻込スターホイール21aが変形破損する心配があるが、対となる掻込スターホイール21a,21aの内、隣接する対となる掻込スターホイール21a,21a側の掻込スターホイール21a、即ち第3実施例では左から2番目と6番目の掻込スターホイール21a,21aの取り付け孔81を周方向の長孔で構成することで、組み付け時に上記のように噛み合い部で位置ズレが発生しても、取り付け位置を調整して適正な噛み合いとなるように修正することができ、動力伝動不良による各部の変形破損や穀稈の掻き込み搬送不良を防止することができる。
【0047】
尚、第3実施例では、左から2番目と6番目の掻込スターホイール21a,21aの取り付け孔81を長孔としたが、かかる構成に特定されず、例えば、左から3番目と7番目の掻込スターホイール21a,21aの取り付け孔81を長孔としても上記と同様の効果を奏するものである。また、左から4番目の掻込スターホイール21aの取り付け孔81も長孔としてもよい。
【0048】
また、図14は第4の実施例を示すもので、この第4実施例のものも、左前方株元搬送体31b及び最左端の穀稈掻込体21等、前処理部3の左端側に存在する部品全体を一体的に着脱する構成等は前記第1実施例と同じであり、また、各株元搬送体31b,33a,34a,32aへの伝動構成は前記第3実施例と同じであるが、中央部4個の掻込スターホイール21a・・を噛み合わせて、これを組みとして、左端側及び右端側の対となる掻込スターホイール21a,21aより下方位置に設け、更に、組みとなる中央部4個の掻込スターホイール21a・・の左右端部を、左端側及び右端側の対となる掻込スターホイール21a,21aの内端部の下方位置に非噛み合い状態で重合させた点が相違するものである。
また、中央部4個の掻込スターホイール21a・・の内の左から2番目の掻込スターホイール21a(全体で左から4番目の掻込スターホイール21a)の取り付け孔81を図13(B)に示すような長孔で構成したものである。
【0049】
そして、第4実施例のものも、掻込スターホイール21a・・全体の配置幅を小さくでき、その分前処理部3の左右幅を縮小できると共に、第3実施例と同じく、左から2個ずつの掻込スターホイール21a,21aが対となって、かつ、各対の掻込スターホイール21a,21aがそれぞれ独立駆動される各株元搬送体31b,33a,34a,32aから伝動されるため、各株元搬送体31b,33a,34a,32aと掻込スターホイール21a・・への駆動力が適切に分配される。
また、中央部4個の掻込スターホイール21a・・の内の左から2番目の掻込スターホイール21aの取り付け孔81を長孔としたことで、それぞれ別に駆動される中左株元搬送体33aと中右株元搬送体34aから伝動される掻込スターホイール21a,21a(中央部4個の掻込スターホイール21a・・の内の左から2番目と3番目の掻込スターホイール21a,21a)が噛み合っても、第3実施例の場合と同様に、上記取り付け孔81を長孔とし掻込スターホイール21aの取り付け位置を調整して、適正な噛み合いとなるように修正することができる。
尚、第4実施例では、中央部4個の掻込スターホイール21a・・の内の、左から2番目の掻込スターホイール21aの取り付け孔81を長孔としたが、左から3番目の掻込スターホイール21aの取り付け孔81を長孔としてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 機体
3 前処理部
4 脱穀部
6 運転操作部
13 横伝動筒
13L 左横伝動筒
13R 右横伝動筒
21 穀稈掻込体
31a 左の株元搬送体
31b 左前方株元搬送体
31c 左後方株元搬送体
32a 右の株元搬送体
57 駆動輪(駆動スプロケット)
59 伝動用従動輪(従動スプロケット)
67 従動輪(従動スプロケット)
z 支軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体(1)の前方に刈り取り条数が7条以上の前処理部(3)を昇降自在に装着し、その後方で左右方向の一側に脱穀部(4)を、他側に運転操作部(6)をそれぞれ搭載し、前記前処理部(3)は、その前方下方に刈り取り条数分の複数の穀稈掻込体(21・・)を左右方向に併設すると共に、該穀稈掻込体(21・・)の後方に、穀稈掻込体(21・・)で掻き込まれた穀稈を後方内方に向けて搬送するフィードチェンからなる左右の株元搬送体(31a,32a)を備えてなる多条刈りコンバインにおいて、前記左の株元搬送体(31a)を平面視で前処理部(3)の前方左端側から後方内方に向けて傾斜状に配設すると共に、該左の株元搬送体(31a)を前側の左前方株元搬送体(31b)と後側の左後方株元搬送体(31c)とに分割構成し、左前方株元搬送体(31b)を左から2番目の穀稈掻込体(21)の後方に配設した従動輪(67)と、該従動輪(67)より左側に配設した駆動輪(57)と、最左端の穀稈掻込体(21)の支軸(z)に一体的に支持した伝動用従動輪(59)にフィードチェンを掛け回して構成して、左前方株元搬送体(31b)から最左端の穀稈掻込体(21)を駆動するようになすと共に、前処理部(3)の下部に位置して前処理フレームを構成する横伝動筒(13)を、最左端の穀稈掻込体(21)と左から2番目の穀稈掻込体(21)との間で左横伝動筒(13L)と右横伝動筒(13R)とに分割構成し、右横伝動筒(13R)に対して左横伝動筒(13L)を着脱自在となし、右横伝動筒(13R)側の前処理フレームに左後方株元搬送体(31c)と最左端以外の穀稈掻込体(21・・)を支持し、左横伝動筒(13L)側に左前方株元搬送体(31b)と最左端の1条分の穀稈掻込体(21)を支持することにより、左前方株元搬送体(31b)と最左端の1条分の穀稈掻込体(21)とを一体で着脱自在に構成したことを特徴とする多条刈りコンバイン。
【請求項1】
機体(1)の前方に刈り取り条数が7条以上の前処理部(3)を昇降自在に装着し、その後方で左右方向の一側に脱穀部(4)を、他側に運転操作部(6)をそれぞれ搭載し、前記前処理部(3)は、その前方下方に刈り取り条数分の複数の穀稈掻込体(21・・)を左右方向に併設すると共に、該穀稈掻込体(21・・)の後方に、穀稈掻込体(21・・)で掻き込まれた穀稈を後方内方に向けて搬送するフィードチェンからなる左右の株元搬送体(31a,32a)を備えてなる多条刈りコンバインにおいて、前記左の株元搬送体(31a)を平面視で前処理部(3)の前方左端側から後方内方に向けて傾斜状に配設すると共に、該左の株元搬送体(31a)を前側の左前方株元搬送体(31b)と後側の左後方株元搬送体(31c)とに分割構成し、左前方株元搬送体(31b)を左から2番目の穀稈掻込体(21)の後方に配設した従動輪(67)と、該従動輪(67)より左側に配設した駆動輪(57)と、最左端の穀稈掻込体(21)の支軸(z)に一体的に支持した伝動用従動輪(59)にフィードチェンを掛け回して構成して、左前方株元搬送体(31b)から最左端の穀稈掻込体(21)を駆動するようになすと共に、前処理部(3)の下部に位置して前処理フレームを構成する横伝動筒(13)を、最左端の穀稈掻込体(21)と左から2番目の穀稈掻込体(21)との間で左横伝動筒(13L)と右横伝動筒(13R)とに分割構成し、右横伝動筒(13R)に対して左横伝動筒(13L)を着脱自在となし、右横伝動筒(13R)側の前処理フレームに左後方株元搬送体(31c)と最左端以外の穀稈掻込体(21・・)を支持し、左横伝動筒(13L)側に左前方株元搬送体(31b)と最左端の1条分の穀稈掻込体(21)を支持することにより、左前方株元搬送体(31b)と最左端の1条分の穀稈掻込体(21)とを一体で着脱自在に構成したことを特徴とする多条刈りコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−85550(P2012−85550A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233434(P2010−233434)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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