説明

多条播種機

【課題】従来の多条播種機で左右に複数列設した繰出部を取り外す場合、該繰出部の播種ロールに嵌挿された共通のロール軸を引き抜いた後、各繰出部を連結部材等から取り外していたため、種子ケース内に残留していた種子が、播種ロールのあった開口部から多条播種機の下方に飛散するため、掃除機等を使って種子を回収する必要があり、手間や時間がかかって作業性が悪化する、という問題があった。
【解決手段】種子ケース39に播種ロール40を装着して成る繰出部36と、該繰出部36を複数列設して連結する連結板37と、前記播種ロール40を軸方向に貫通して回転する共通のロール軸38とにより繰出部ユニット31を一体的に構成すると共に、該繰出部ユニット31の両端と、前記多条播種機1の外枠をなすメインフレーム3L・3Rとの間に、繰出部ユニット31の取り付け・取り外しが容易な着脱構造を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数条分の種子を一度に播種する多条播種機に関し、特に、種子の繰出部を、工具を用いずに取り付け・取り外しが容易な着脱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、苗床等の多条播種に使用する多条播種機では、左右一対のメインフレームの間に繰出部を左右方向に複数列設し、該複数の繰出部のいずれにも、種子ケースと、該種子ケース下部に嵌入された播種ロールとを設け、種子ケース内の種子を播種ロールによって繰り出すことにより、各繰出部毎に種子を苗床等上に落下させて多条播種を行う技術(例えば、特許文献1参照)が公知となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−49312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記技術では、前記繰出部を多条播種機から取り外す場合は、まず、全ての繰出部が連結部材等を介して前記メインフレームに列状に装着されたままで、前記播種ロールの軸孔に嵌挿された共通のロール軸を外方に引き抜き、次に、各繰出部を前記連結部材等から取り外し、種子の回収や播種ロールの交換等のメンテナンスを行っていた。
【0005】
このため、前記繰出部を取り外す際、ロール軸を引き抜くと、支えを失った播種ロールも同時に落下し、種子ケース内に残留していた種子が、播種ロールのあった開口部から多条播種機の下方に飛散するため、掃除機等を使って種子を回収する必要があり、手間や時間がかかって作業性が悪化する、という問題があった。更に、多数の繰出部の荷重がロール軸に作用した状態で、該ロール軸を引き抜く必要があり、引き抜き力が過大となって作業負荷が大きい、という問題があった。
【0006】
逆に、前記繰出部を取り付ける際は、左右一対のメインフレーム間で、共通のロール軸を各播種ロールの軸孔に嵌挿させながら、該播種ロールを下部に嵌装させた種子ケースを連結部材等に固定していく作業を、各繰出部毎に順に行っていた。
【0007】
このため、加えた繰出部の荷重によってロール軸が徐々に重くなっていく状態で、しかも、メインフレーム間の狭い作業空間において、繰出部の取り付け作業を繰り返す必要があり、作業負荷が大きい、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、複数条分の種子を一度に播種する多条播種機において、種子ケースに播種ロールを装着して成る繰出部と、該繰出部を複数列設して連結する連結部材と、前記播種ロールを軸方向に貫通して回転する共通のロール軸とにより繰出部ユニットを一体的に構成すると共に、該繰出部ユニットの両端と、前記多条播種機の外枠をなすメインフレームとの間に、繰出部ユニットの取り付け・取り外しが容易な着脱構造を設けたものである。
請求項2においては、前記着脱構造は、前記連結部材の一側において、該連結部材の端部に締結されると共に前記メインフレームと係止可能な支持体と、前記連結部材の他側において、前記ロール軸を該ロール軸への入力軸に連結する継手構造とから構成し、該継手構造は、前記ロール軸と入力軸のうちの一方の軸の軸心孔に他方の軸の縮径端部を遊嵌挿入する第一継手構造と、前記軸心孔内で半径方向に横架されたピンに、前記縮径端部の端面で半径方向に削溝された溝部を遊嵌係合する第二継手構造とを備えるものである。
請求項3においては、前記連結部材の一側には、軸受けケースを着脱可能に備え、該軸受けケースは、前記ロール軸をメインフレームより内側で軸支可能なボス部を有するものである。
請求項4においては、前記着脱構造は、前記連結部材の一側において、該連結部材の端部に係止されると共に前記メインフレームに嵌合可能な支持体と、前記連結部材の他側において、前記ロール軸を該ロール軸への入力軸に連結する継手構造とから構成し、前記メインフレームには上方に開放した切り欠き凹部を設け、該切り欠き凹部に前記支持体を嵌合すると共に、該支持体に前記ロール軸を軸支するものである。
請求項5においては、前記支持体は、前記ロール軸をメインフレームより内側で軸支可能なボス部を備え、該ボス部を前記切り欠き凹部に嵌合するものである。
請求項6においては、前記継手構造は、ワンウェイクラッチ式の軸受けを介して、前記ロール軸の端部を入力軸の軸心孔に挿嵌して成るものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示す効果を奏する。
すなわち、請求項1により、全ての繰出部を繰出部ユニットの一部として多条播種機から容易に取り外すことができ、作業負荷が減少する。更に、このような取り外し時には播種ロールが落下せず、種子ケース内に残留していた種子が多条播種機の下方に飛散することがなく、手間や時間がかからず作業性が向上する。また、メンテナンス後に、全ての繰出部を繰出部ユニットとして多条播種機に一括して取り付けることができ、取り付け作業を、狭い作業空間で、しかもロール軸が徐々に重くなっていく状態で繰り返し行う必要がなく、作業負荷が更に減少する。このようにして、種子の回収やメンテナンスが容易となる。
請求項2により、前記支持体を連結部材とメインフレームとから取り外して、前記繰出部ユニットの分離作業のための作業空間を確保した上で、前記第一継手構造により、該作業空間側に向かってロール軸を入力軸から抜き出し、そのまま繰出部ユニットを傾倒させながら引き上げることができ、繰出部ユニットが多条播種機から容易に分離され、複雑な着脱構造が不要となって、部品数の低減による製造コストの低下、メンテナンス性の向上を図ることができる。更に、前記第二継手構造により、入力軸の回転力をロール軸に確実に伝達することができ、播種精度の向上も図ることができる。
請求項3において、前記軸受けケースをメインフレームから取り外すことにより、前記ロール軸の端部とメインフレームとの間に、繰出部ユニットの分離作業のための作業空間を更に確保することができ、繰出部ユニットを多条播種機から一層容易に分離することができる。
請求項4において、支持体を切り欠き凹部から取り外し、連結部材とロール軸の両部材の側方に、前記繰出部ユニットの分離作業のための作業空間を大きく確保した上で、該作業空間に向かってロール軸を入力軸から離脱させ、そのまま繰出部ユニットを引き上げることができ、繰出部ユニットが多条播種機から容易に分離され、複雑な着脱構造が不要となって、部品数の低減による製造コストの低下、メンテナンス性の向上を図ることができる。しかも、前記支持体をメインフレームから取り外した後に露出する前記切り欠き凹部は、上方に開放されているので、繰出部ユニットを引き上げる際に、ロール軸がメインフレームと干渉するのを確実に防止することができ、分離作業の作業性を高めることができる。
請求項5において、前記支持体を切り欠き凹部から取り外すことにより、前記ロール軸の端部とメインフレームとの間に、繰出部ユニットの分離作業のための作業空間を更に確保することができ、繰出部ユニットを多条播種機から一層容易に分離することができる。
請求項6において、簡単な構成でロール軸と入力軸との間を連結することができ、複雑な継手構造が不要となって、部品数の低減による製造コストの低下、メンテナンス性の向上を図ることができると共に、前記繰出部ユニットの分離作業の際に、ロール軸が継手部材等と干渉するのを防止することができ、分離作業の作業性を一層高めることができる。更に、前記入力軸がロール軸の種子繰出方向に回転する場合にのみクラッチ「入」となり、入力軸からロール軸に回転動力が伝達されるように、前記軸受けを設定することで、ロール軸が種子の非繰出方向に回転するのを防止し、種子の破損等を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に関わる多条播種機の全体構成を示す、左方からの全体斜視図である。
【図2】同じく右方からの部分斜視図である。
【図3】繰出部ユニットの組立て図である。
【図4】作条部材、種子流下部材、覆土部材の組立て図である。
【図5】繰出部ユニットの拡大組立て図である。
【図6】繰出部ユニットの斜視図である。
【図7】ボルトとノブネジを取り外した状態の繰出部ユニットの斜視図である。
【図8】取付ステーと軸受けケースを取り外した状態の繰出部ユニットの斜視図である。
【図9】左側のロール軸端部の支持状況を示す、軸受けケースの平面図である。
【図10】右側のロール軸端部の継手構造を示す斜視図であって、図10(a)は径方向溝を有するロール軸端部の斜視図、図10(b)は径方向溝を有するロール軸端部とピンを有する入力軸端部の斜視図である。
【図11】作業台上に載置された繰出部ユニットの斜視図であって、図11(a)はロール軸引き抜き前の繰出部ユニットの斜視図、図11(b)はロール軸引き抜き後の繰出部ユニットの斜視図である。
【図12】別形態の着脱構造を有する繰出部ユニットの組立て図である。
【図13】左側の連結板端部・ロール軸端部の着脱構成を示す、左の播種装置支持部近傍の斜視図である。
【図14】右側の連結板端部・ロール軸端部の着脱構成を示す、右の播種装置支持部近傍の斜視図である。
【図15】繰出部ユニットの斜視図である。
【図16】ノブネジを取り外した状態の繰出部ユニットの斜視図である。
【図17】取り付けプレートを取り外した状態の繰出部ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
なお、図1の矢印Fで示す方向を多条播種機1の前進方向とし、以下で述べる各部材の位置や方向などはこの前進方向を基準とするものである。
【0012】
まず、本発明に関わる歩行型の多条播種機1の全体構成について、図1、図2、図5により説明する。
該多条播種機1においては、左右一対のメインフレーム3L・3Rが設けられ、該メインフレーム3L・3Rの前部間に、前ローラ6の前車軸4が支承され、メインフレーム3L・3Rの後部間に、鎮圧ローラ7の後車軸5が支承される。そして、メインフレーム3L・3Rの前後略中央部には、それぞれ、播種装置支持板9・10が固設され、該播種装置支持板9・10間に、本発明に関わる繰出部ユニット31等を備える播種装置2が配置されている。
【0013】
更に、前記メインフレーム3L・3R上で、前記後車軸5と播種装置支持板9・10との間からは、左右一対のステー12・12が立設され、該ステー12・12の上端に、正面視門型形状のハンドル11が、前後回動可能に連結されている。該ハンドル11の上下途中部からは、ハンドル高さ調節フレーム13・13が前記メインフレーム3L・3Rの後部まで延設され、該ハンドル高さ調節フレーム13・13の下端に設けた長孔13a・13aには、メインフレーム3L・3Rから外方に突出するボルト22・22が係止されている。
【0014】
これにより、ボルト22・22を緩め、該ボルト22・22に沿って長孔13a・13aを摺動させることができ、ハンドル高さ調節フレーム13・13を上下動してハンドル11の高さを調節するようにしている。
【0015】
また、前記メインフレーム3L・3Rの前端上で、前記前車軸4の支承部からは、左右の一対のアーム15L・15Rが立設され、該アーム15L・15R上に、バッテリー台16が取り付けられ、該バッテリー台16上にバッテリー14が搭載されている。該バッテリー14は、信号線17を介して、前記ハンドル11の把持アーム11aの左右略中央部に設けたモータスイッチ20と接続されると共に、電線18を介して、前記鎮圧ローラ7内に内蔵される走行モータ21と接続される。
【0016】
これにより、ハンドル11を把持しながら前記モータスイッチ20を操作すると、該モータスイッチ20からの信号により、バッテリー14から走行モータ21に電力が供給されて鎮圧ローラ7がモータ駆動され、多条播種機1が走行できるようにしている。
【0017】
また、前記右のメインフレーム3Rの前半部には、前記前ローラ6の回転に連動させて前記播種装置2を駆動するための連動装置23が配置されている。
該連動装置23は、前記前ローラ6の前車軸4に固設されるスプロケット24と、前記播種装置2へ動力を入力する入力軸25に固設されるスプロケット26と、該スプロケット26と前記スプロケット24との間に巻回されるチェーン27と、これらスプロケット24・スプロケット26・チェーン27を収容して前記右のメインフレーム3Rの前半部に固設するチェーンケース28とにより構成される。
【0018】
これにより、走行に伴って前ローラ6が回転すると、前車軸4の回転動力が、スプロケット24、チェーン27、スプロケット26を介して入力軸25に伝達され、前記播種装置2が自動的に駆動されて、多条播種が行われるようにしている。この際の点播間隔は、前記スプロケット24・26のギア比を変更したり、後で詳述する播種装置2の播種ロール40において種子が入る凹部40aの周方向間隔を変更することにより、自在に調整することができる。
【0019】
なお、前記両ローラ6・7には、いずれも、その外周面にスポンジ30が被覆されており、これにより、苗床等の表面との摩擦抵抗が増大してスリップ防止や駆動力向上を図るようにしている。更に、両ローラ6・7の後方には、泥落とし用のスクレイパー35が付設されている。
【0020】
次に、前記播種装置2の構成について、図1乃至図5により詳細に説明する。
図1、図2に示すように、該播種装置2は、本発明に関わる繰出部ユニット31、作条部材32、種子流下部材33、及び覆土部材34とから構成される。
【0021】
図3、図5に示すように、前記繰出部ユニット31は、種子を繰り出す繰出部36と、該繰出部36を左右方向に複数列設して互いに連結する連結板37と、前記繰出部36を駆動するロール軸38とによって構成される。
【0022】
このうちの繰出部36は、上下が開口した種子ケース39の下部開口に、前斜め下方から播種ロール40を挿嵌して形成され、該播種ロール40は、その中心の軸孔40bが前記種子ケース39の下部に穿孔した通し孔39cと同一軸心上になるように、配置されている。
【0023】
そして、前記種子ケース39では、その上部に設けたホッパー39a内に種子が貯留され、該ホッパー39aの下方のケース内部にはロールリップ39bが張られて、種子がこぼれないようにしている。更に、前記播種ロール40の外周面には、前記凹部40aが周方向に略等間隔で形成されており、該凹部40a内に種子が入り込むようにしている。なお、前記種子ケース39の下端には、固定溝39dが左右方向に形成され、該固定溝39dには、前記左右の播種装置支持板9・10に両端が螺止される共通の固定軸50が嵌挿されている。
【0024】
前記連結板37は、左右のメインフレーム3L・3R間に横設される連結部37aと、該連結部37aの左右両端部が前方に屈曲されて成る左右の取付部37b・37cとから構成される。そして、前記連結部37aには、左右方向に略同一間隔で複数のネジ孔37dが穿孔されており、該ネジ孔37dに、前述した各繰出部36の種子ケース39の前部がボルト43によって締結固定されている。なお、連結板37の上部には、共通の蓋体44がヒンジ45・45によって開閉可能に取り付けられており、全ての種子ケース39・39・・・の上部開口を同時に被覆できるようにしている。
【0025】
このように、複数の繰出部36を共通の連結板37の後面に固設して左右方向に列設させた上で、前記全ての通し孔39c・39c・・・と軸孔40b・40b・・・に単一のロール軸38を貫通させることにより、繰出部ユニット31が一体的に構成される。
【0026】
前記ロール軸38には、前記軸孔40b・40b・・・を介して播種ロール40が固設されると共に、該ロール軸38の右端は、前記連動装置23からの入力軸25に、後で詳述する継手構造61を介して連結されている。
【0027】
これにより、前記前ローラ6が回転し、前車軸4の回転動力が入力軸25からロール軸38に伝達されると、該ロール軸38と一緒に前記播種ロール40が回転し、外周面の前記凹部40a内の種子が、連続的に繰り出されて、前記種子流下部材33上に落下する。なお、前記ロールリップ39bの前部には、ブラシ42が配設されており、該ブラシ42により、前記凹部40aに入りきらない種子が弾かれるようにしている。
【0028】
また、図4に示すように、前記作条部材32においては、その下部に条数分の作条爪32aを固設されると共に、その上面には左右一対の固定棒32b・32bが突設され、該固定棒32b・32bは、条間固定具46・46の縦軸孔46c・46cに下から挿入され、ボルト48aにより固定される。更に、条間固定具46・46には、左右方向に穿孔された横軸孔46a・46bが前後に形成され、該横軸孔46a・46bには、それぞれ、前後の条間固定軸47a・47bが嵌挿される。そして、このうちの条間固定軸47aがボルト48bにより固定されると共に、条間固定軸47a・47bのいずれも、その両端が前記左右のメインフレーム3L・3Rに螺止固定されている。これにより、作条部材32が多条播種機1の前部に配置されて、作条爪32aが支持されると共に、前記縦軸孔46c・46cへの固定棒32b・32bの挿入長さを変更して、作条爪32a下端の高さを変え、作条深さを調整できるようにしている。
【0029】
前記種子流下部材33においては、流しアーム33bの下部に条数分の流し板33aが固設されると共に、流しアーム33bは前記繰出部36から繰り出された種子を受け止める位置となるように配置される。その上で、左右の側板33c・33dが前記播種装置支持板9・10の外側よりネジ49・49にて螺止されている。これにより、種子流下部材33が、多条播種機1の繰出部36下方で、種子をガイド可能に配置される。
【0030】
前記覆土部材34においては、レーキアーム34aの下部に条数に適した数の覆土レーキ34bが固設されると共に、レーキアーム34aの両端から前斜め上方に向かって左右の側板34c・34cが延設され、該側板34c・34cには、上から順に、上部孔34dと係止孔34eが設けられる。
【0031】
このうちの上部孔34dには、前記固定軸50が挿通されており、覆土部材34が、種子ケース39と一緒に播種装置支持板9・10間に支持されると共に、固定軸50を中心にして前後傾倒されるようにしている。
【0032】
前記係止孔34eには、突設するバネ棒51の下部屈曲部51aの先部が挿通され、該先部は、前記播種装置支持板9・10で側面視円弧状に形成された長孔9a・10aに、係止ピン56によって係止される。一方、バネ棒51の上端は、左右のメインフレーム3L・3Rに固設したバネ受け52に嵌挿して螺止されると共に、該バネ受け52と前記下部屈曲部51aの基部との間のバネ棒51には、バネ55が圧縮状態で巻装されている。
【0033】
これにより、覆土部材34は、バネ55の弾性力により、固定軸50を中心として常に下方に付勢されると共に、長孔9a・10aに対する下部屈曲部51aの係止位置を変えることにより、前記覆土レーキ34bの土中への挿入深さを調節できるようにしている。
【0034】
以上のような構成において、多条播種機1が走行すると、前ローラ6が回転して前車軸4の回転動力によって繰出部36が駆動し、種子が繰出部36から繰り出されて落下する。すると、前記作条爪32aにて作条した土壌に、前記流し板33a内をガイドされてきた種子が落下し、その後、前記覆土レーキ34bにて覆土を行うことができる。
【0035】
次に、前記繰出部ユニット31の着脱構造について、図6乃至図11により説明する。
まず、該繰出部ユニット31を構成する連結板37の着脱構造について説明する。
図6、図7に示すように、該連結板37の右の取付部37cは、該取付部37cの孔37fと前記播種装置支持板10上端のネジ孔10bとに螺挿するボルト57により、外側から着脱可能に、右の播種装置支持板10と締結されている。
【0036】
一方、左の取付部37bは、該取付部37bの孔37eと取付ステー53上端のネジ孔53aとに螺挿するボルト54により、外側から着脱可能に、取付ステー53と締結されている。該取付ステー53は、上端に前記ネジ孔53aを穿孔した立設部53bと、該立設部53bの下方で内側に開いた正面視凹状の係止部53cとから構成される。
【0037】
ここで、前記左のメインフレーム3Lは、断面視コ字状であって、前後方向に長い垂直板状の本体部3Laと、該本体部3Laの上下縁端から外方に突き出た張出部3Lb・3Lcとから構成されており、このうちの上の張出部3Lbに、前記取付ステー53の係止部53cが、外側から着脱可能に係止される。なお、前記右のメインフレーム3Rも、同様に、前後方向に長い垂直板状の本体部3Raと、該本体部3Raの上下縁端から外方に突き出た張出部3Rb・3Rcとから構成される。
【0038】
また、繰出部ユニット31を構成するロール軸38の着脱構造について説明する。
図6、図9に示すように、該ロール軸38の左端は、前記左のメインフレーム3Lの本体部3Laの外側面に装着された軸受けケース58により、回転自在に軸支されている。該軸受けケース58において、その側面視略中央部には、内側ボス部58bと外側ボス部58cとから成る筒状のボス部58aが形成され、このうちの内側ボス部58bが、前記本体部3Laに開口された大径のボス孔3Ldに嵌挿されている。更に、軸受けケース58で前記ボス部58aの前後には、通し孔58d・58eが穿孔されると共に、メインフレーム3Lで前記ボス孔3Ldの前後にも、ネジ孔3Le・3Lfが穿孔されている。
【0039】
これにより、内側ボス部58bをボス孔3Ldに嵌挿して、軸受けケース58を位置決めした上で、前のノブネジ59を通し孔58dを介してネジ孔3Leに螺挿し、同様に、後のノブネジ60を通し孔58eを介してネジ孔3Lfに螺挿することにより、軸受けケース58が、外側から着脱可能に、左のメインフレーム3Lに螺止される。そして、前記内側ボス部58bに前記ロール軸38の左端が回転可能に支持されるが、その支持位置は、メインフレーム3Lの内側面3Lgよりも内側に設定されており、軸受けケース58を取り外すと、ロール軸38の左端とメインフレーム3Lとの間に隙間65が生じるようにしている。
【0040】
一方、図10に示すように、ロール軸38の右端は、継手構造61を介して、着脱可能に前記入力軸25と連結されている。
該継手構造61においては、ロール軸38の右端部では、ロール軸38の本体である大径部38aが縮径されて小径部38bが形成され、該小径部38bの端面38cには、径方向溝38dが半径方向に形成されると共に、大径部38aから小径部38bにかけて段差部38eが形成されている。
【0041】
これに対し、前記ロール軸38に対向して配置される入力軸25の左端部では、軸心上に軸心孔25aが穿孔され、該軸心孔25aの内径は、前記ロール軸38の小径部38bの外径よりも若干大きく、かつ大径部38aの外径よりも小さく設定されており、段差部38eが入力軸25の左端部に当接するまで、ロール軸38の小径部38bを入力軸25の軸心孔25aに遊嵌挿入可能とし、第一継手構造61aが構成される。
【0042】
更に、入力軸25の軸心孔25a内には、半径方向にピン25bが横設され、該ピン25bの外径は前記径方向溝38dの大きさよりも小さく設定されており、径方向溝38dが入力軸25のピン25bに当接するまで、ロール軸38の径方向溝38dを入力軸25のピン25bに遊嵌係合可能とし、第二継手構造61bが構成される。この際、該第二継手構造61bでは、ピン25bの回転方向に対して、該ピン25bが遊嵌する径方向溝38dは直交方向にあるため、入力軸25の回転力はロール軸38に確実に伝達することができる。
【0043】
このような連結板37とロール軸38の着脱構造を有する繰出部ユニット31の取り外し手順について説明する。
まず、図6、図7に示すように、連結板37の左の取付部37bを取付ステー53に締結しているボルト54と、右の取付部37cを右の播種装置支持板10に締結しているボルト57とを緩めて取り外すと共に、軸受けケース58をメインフレーム3Lに螺止しているノブネジ59・60を緩めて取り外す。
【0044】
続いて、図7、図8、図9に示すように、取付ステー53を傾倒し、該取付ステー53の係止部53cを左のメインフレーム3Lの張出部3Lbから係脱して、取付ステー53を連結板37と左のメインフレーム3Lとから取り外すことにより、連結板37の左方に、繰出部ユニット31の分離作業のための作業空間を確保することができる。しかも、ボス部58aの内側ボス部58bをボス孔3Ldから抜き出して、軸受けケース58を左のメインフレーム3Lから取り外すことにより、ロール軸38の左方に、前記隙間65を作業空間として確保することができる。なお、このようにして取付ステー53や軸受けケース58を取り外す間、種子ケース39の下端は前記固定軸50によって嵌合支持されているため、繰出部ユニット31が落下したり前後回転したりすることはない。
【0045】
その後、図8、図10に示すように、該繰出部ユニット31を、前記連結板37やロール軸38を手で把持した状態で、矢印63のように左方に移動して、前記ロール軸38の小径部38bを入力軸25の軸心孔25aから抜き出す。この際、前記第一継手構造61aにより、ロール軸38は入力軸25と遊嵌状態にあるため、抜き出し力が小さくてすむ。続いて、左側が高くなるように傾倒させながら、繰出部ユニット31を矢印64のように上方に引き上げ、該繰出部ユニット31を多条播種機1から分離する。この際、前述の如く、繰出部ユニット31の左側、特に、連結板37の左側に作業空間が確保されているため、分離作業中に、繰出部ユニット31を構成する繰出部36やロール軸38が周囲の部材によって干渉されることがない。
【0046】
分離した繰出部ユニット31は、図11に示すように、作業台62上に載置してから、ロール軸38の左端部に設けた軸心上のネジ穴38fに前記ノブネジ59を螺挿し、該ノブネジ59を把持してから、ロール軸38を繰出部36から左方に引き抜く。この際、該ロール軸38を繰出部36の荷重がほとんど作用しない状態で引き抜くことができるため、引き抜き力が小さくてすむ。更に、播種ロール40は作業台62上に置いた状態にあることから、ロール軸38を引き抜いても、播種ロール40が落下することはない。
【0047】
すなわち、複数条分の種子を一度に播種する多条播種機1において、種子ケース39に播種ロール40を装着して成る繰出部36と、該繰出部36を複数列設して連結する連結部材である連結板37と、前記播種ロール40を軸方向に貫通して回転する共通のロール軸38とにより繰出部ユニット31を一体的に構成すると共に、該繰出部ユニット31の両端と、前記多条播種機1の外枠をなすメインフレーム3L・3Rとの間に、繰出部ユニット31の取り付け・取り外しが容易な着脱構造を設けたので、全ての繰出部36を繰出部ユニット31の一部として多条播種機1から容易に取り外すことができ、作業負荷が減少する。更に、このような取り外し時には播種ロール40が落下せず、種子ケース39内に残留していた種子が多条播種機1の下方に飛散することがなく、手間や時間がかからず作業性が向上する。また、メンテナンス後に、全ての繰出部36を繰出部ユニット31として多条播種機1に一括して取り付けることができ、取り付け作業を、狭い作業空間で、しかもロール軸38が徐々に重くなっていく状態で繰り返し行う必要がなく、作業負荷が更に減少する。このようにして、種子の回収やメンテナンスが容易となる。
【0048】
更に、前記着脱構造は、前記連結部材である連結板37の一側である左側において、該連結板37の端部に締結されると共に前記メインフレーム3Lと係止可能な支持体である取付ステー53と、前記連結板37の他側である右側において、前記ロール軸38を該ロール軸38への入力軸25に連結する継手構造61とから構成し、該継手構造61は、前記ロール軸38と入力軸25のうちの一方の軸である入力軸25の軸心孔25aに他方の軸であるロール軸38の縮径端部である小径部38bを遊嵌挿入する第一継手構造61aと、前記軸心孔25a内で半径方向に横架されたピン25bに、前記小径部38bの端面38cで半径方向に削溝された溝部である径方向溝38dを遊嵌係合する第二継手構造61bとを備えるので、前記取付ステー53を連結板37とメインフレーム3Lとから取り外して、前記繰出部ユニット31の分離作業のための作業空間を確保した上で、前記第一継手構造61aにより、該作業空間側に向かってロール軸38を入力軸25から抜き出し、そのまま繰出部ユニット31を傾倒させながら引き上げることができ、繰出部ユニット31が多条播種機1から容易に分離され、複雑な着脱構造が不要となって、部品数の低減による製造コストの低下、メンテナンス性の向上を図ることができる。更に、前記第二継手構造61bにより、入力軸25の回転力をロール軸38に確実に伝達することができ、播種精度の向上も図ることができる。
【0049】
加えて、前記連結板37の一側である左側には、軸受けケース58を着脱可能に備え、該軸受けケース58は、前記ロール軸38をメインフレーム3Lより内側で軸支可能なボス部58aを有するので、前記軸受けケース58をメインフレーム3Lから取り外すことにより、前記ロール軸38の端部とメインフレーム3Lとの間に、繰出部ユニット31の分離作業のための作業空間として隙間65を更に確保することができ、繰出部ユニット31を多条播種機1から一層容易に分離することができる。
【0050】
次に、前記繰出部ユニット31の着脱構造の別形態について、図3、図6、図12乃至図17により説明する。
図3、図12に示すように、該別形態の着脱構造は、前記取付ステー53と軸受けケース58の代わりに、単一の部材から成る取り付けプレート66を設け、該取り付けプレート66により、連結板37とロール軸38Aを同時に左のメインフレーム67Lに支持し、更に、繰出部ユニット31取り外し時には、前記取り付けプレート66を取り外した後の空間を利用することにより、ロール軸38Aがメインフレーム67Lと干渉するのを防止し、分離作業の作業性の更なる向上を図ったものである。
【0051】
なお、図6、図15に示すように、本着脱構造に使用する左右一対のメインフレーム67L・67Rは、前記メインフレーム3L・3Rと異なり、前記取付ステー53係止等のために設けた左右の張出部3Lb・3Lc・3Rb・3Rcを備えておらず、左右に板状に形成されている。更に、該メインフレーム67L・67Rの前後略中央部には、それぞれに、前記播種装置支持板9・10の機能を備える播種装置支持部67La・67Ra・67Rbが、略同じ形状で一体的に形成されており、これにより、多条播種機1の軽量化、部品数の低減による製造コストの低下・メンテナンス性の向上を図るようにしている。
【0052】
まず、このようなメインフレーム67L・67Rに対する前記連結板37の着脱構成について説明する。
図14、図15に示すように、右のメインフレーム67Rにおいて、その播種装置支持部67Raの前部からは、支持凸部67Rbが立設され、該支持凸部67Rbの上端には、左右方向に軸心を有する支持ピン69が設けられており、該支持ピン69に、前記連結板37の右の取付部37cの孔37fが外嵌されるようにしている。これにより、連結板37の右の取付部37cは、ボルト等の締結部材を用いることなく、内側から着脱可能に、右の播種装置支持部67Raに係止される。
【0053】
一方、図13、図15に示すように、左のメインフレーム67Lにおいて、前記取り付けプレート66は、側面視L字状であって、左右方向に軸心を有する支持ピン68を上端に設けた立設部66aと、該立設部66aの下方で後方に延設した係止部66bとから構成されており、前記支持ピン68に、前記連結板37の左の取付部37bの孔37eが外嵌されるようにしている。これにより、連結板37の左の取付部37bも、ボルト等の締結部材を用いることなく、内側から着脱可能に、前記取り付けプレート66に係止されている。
【0054】
また、前記ロール軸38Aの着脱構成について説明する。
図13、図15、図17に示すように、該ロール軸38Aの左端は、前記連結板37の左の取付部37bを係止する前記取り付けプレート66によって、回転自在に軸支されている。
【0055】
該取り付けプレート66において、その係止部66bの側面視略中央部には、前記軸受けケース58と同様に、内側ボス部66dと外側ボス部66eとから成る筒状のボス部66cが形成され、このうちの内側ボス部66dの基部が、前記播種装置支持部67Laの上部に形成された切り欠き凹部67Lb内に挿嵌されている。
【0056】
更に、該取り付けプレート66で前記ボス部66cの前後には、通し孔66f・66gが穿孔されると共に、左のメインフレーム67Lで前記切り欠き凹部67Lbの前後には、ネジ孔67Lc・67Ldが穿孔されている。
【0057】
これにより、内側ボス部66dを切り欠き凹部67Lb内に挿嵌して、取り付けプレート66を位置決めした上で、前のノブネジ70を、前記通し孔66fを介してネジ孔67Lcに螺挿し、同様に、後のノブネジ71を、前記通し孔66gを介してネジ孔67Ldに螺挿することにより、取り付けプレート66が、外側から着脱可能に、左のメインフレーム67Lに螺止される。
【0058】
該取り付けプレート66においては、その内側ボス部66dの内端には軸受け73が挿嵌され、該軸受け73を介して、ロール軸38Aの左端が、前記ボス部66cに回動可能かつ着脱可能に支持されている。この際の支持位置は、前記軸受けケース58の場合と同様に、メインフレーム67Lの内側面67Leよりも内側に設定されており、取り付けプレート66を取り外すと、ロール軸38Aの左端とメインフレーム67Lとの間に隙間72が生じるようにしている。
【0059】
一方、図12、図14に示すように、ロール軸38Aの右端は、継手構造74を介して、着脱可能に入力軸75と連結されている。
該入力軸75は、左半部の大径部75aと、該大径部75aが縮径された右半部の小径部75bより形成され、該小径部75bは、前記播種装置支持部67Ra上部に穿孔した入力孔67Reに挿通されると共に、小径部75bの右端は、図2に示す前記スプロケット26の軸心部に嵌合されている。更に、前記入力孔67Reの前後にはネジ孔67Rc・67Rdが穿孔され、該ネジ孔67Rc・67Rdには、ボルト76によって軸受けケース77が締結固定されており、該軸受けケース77に、前記小径部75bの途中部が、軸受け78を介して回動可能に支持されている。
【0060】
これにより、走行に伴って図2に示す前ローラ6が回転すると、前車軸4の回転動力が、チェーン27、スプロケット26を介して入力軸75に伝達される。
【0061】
このような入力軸75の大径部75aでは、その内部に軸心孔75cが形成され、該軸心孔75cに、ワンウェイクラッチ式の軸受け79が挿嵌されている。そして、該軸受け79の軸孔79aに、前記ロール軸38Aの右端に設けた小径部38Aaが、オイルシール80を介して挿嵌されるようにして、前記継手構造74が形成される。
【0062】
ここで、前記軸受け79は、次のように設定されている。つまり、前進走行に伴って前ローラ6が回転して種子が正常に繰り出される場合のロール軸38Aの回転方向(以下、「種子繰出方向」とする)と同方向に、前記入力軸75が回転すると、軸受け79はクラッチ「入」となり、逆に、後進走行に伴って前ローラ6が逆方向に回転し、前記入力軸75が種子繰出方向と逆方向に回転すると、軸受け79はクラッチ「切」となるのである。
【0063】
これにより、入力軸75からロール軸38Aには、入力軸75が種子繰出方向へ回転する場合にのみ、クラッチ「入」となって入力軸75とロール軸38A間が連結されて動力を伝達されるようにしており、ロール軸38Aが種子繰出方向と逆方向には回転できないようにしている。
【0064】
以上のような連結板37とロール軸38Aの着脱構成を有する繰出部ユニット31の取り外し手順について説明する。
まず、図15、図16に示すように、左のメインフレーム67Lに螺止している前記ノブネジ70・71を緩めて、取り付けプレート66を取り外す。
【0065】
続いて、図13、図16、図17に示すように、ボス部66cの内側ボス部66dを切り欠き凹部67Lbから左方に抜き出して、取り付けプレート66を左のメインフレーム67Lから取り外すだけで、メインフレーム67Lから連結板37が外されて、該連結板37の左方に、繰出部ユニット31の分離作業のための作業空間が確保されると同時に、メインフレーム67Lからロール軸38Aも外されて、該ロール軸38Aの左方に、前記隙間72の分拡張された作業空間が確保される。
【0066】
その後、図14、図17に示すように、該繰出部ユニット31を、前記連結板37やロール軸38Aを手で把持した状態で、矢印63のように左方に移動して、前記ロール軸38Aの小径部38Aaを、前記入力軸75に挿嵌された軸受け79の軸孔79aから抜き出す。この際、前記継手構造74という、ロール軸38Aが軸孔79aに挿嵌されるだけの簡単な構成で、ロール軸38Aと入力軸75が連結されるため、複雑な継手構造が不要となり、抜き出し時に、ロール軸38Aが継手部材等と干渉することがない。
【0067】
これにより、繰出部ユニット31を矢印64のように上方に引き上げ、該繰出部ユニット31を多条播種機1から分離する。この際、前述の如く、繰出部ユニット31の左側に十分な作業空間が確保されているため、分離作業中に、繰出部ユニット31を構成する繰出部36やロール軸38Aが周囲の部材によって干渉されることがない。
【0068】
特に、取り付けプレート66を左のメインフレーム67Lから取り外した後には、上方に開放された前記切り欠き凹部67Lbが現れるため、繰出部ユニット31を上方に引き上げる際に、ロール軸38Aがメインフレーム67Lから干渉されることがない。
【0069】
すなわち、別形態の着脱構造は、前記連結部材である連結板37の一側である左側において、該連結板37の端部に係止されると共に前記メインフレーム67Lに嵌合可能な支持体である取り付けプレート66と、前記連結板37の他側である右側において、前記ロール軸38Aを該ロール軸38Aへの入力軸75に連結する継手構造74とから構成し、前記メインフレーム67Lには上方に開放した切り欠き凹部67Lbを設け、該切り欠き凹部67Lbに前記取り付けプレート66を嵌合すると共に、該取り付けプレート66に前記ロール軸38Aを軸支するので、取り付けプレート66を切り欠き凹部67Lbから取り外し、連結板37とロール軸38Aの両部材の側方に、前記繰出部ユニット31の分離作業のための作業空間を大きく確保した上で、該作業空間に向かってロール軸38Aを入力軸75から離脱させ、そのまま繰出部ユニット31を引き上げることができ、繰出部ユニット31が多条播種機1から容易に分離され、複雑な着脱構造が不要となって、部品数の低減による製造コストの低下、メンテナンス性の向上を図ることができる。しかも、前記取り付けプレート66をメインフレーム67Lから取り外した後に露出する前記切り欠き凹部67Lbは、上方に開放されているので、繰出部ユニット31を引き上げる際に、ロール軸38Aがメインフレーム67Lと干渉するのを確実に防止することができ、分離作業の作業性を高めることができる。
【0070】
更に、前記支持体である取り付けプレート66は、前記ロール軸38Aをメインフレーム67Lより内側で軸支可能なボス部66cを備え、該ボス部66cを前記切り欠き凹部67Lbに嵌合するので、前記取り付けプレート66を切り欠き凹部67Lbから取り外すことにより、前記ロール軸38Aの端部とメインフレーム67Lとの間に、繰出部ユニット31の分離作業のための作業空間を更に確保することができ、繰出部ユニット31を多条播種機1から一層容易に分離することができる。
【0071】
加えて、前記継手構造74は、ワンウェイクラッチ式の軸受け79を介して、前記ロール軸38Aの端部である小径部38Aaを入力軸75の軸心孔75cに挿嵌して成るので、簡単な構成でロール軸38Aと入力軸75との間を連結することができ、複雑な継手構造が不要となって、部品数の低減による製造コストの低下、メンテナンス性の向上を図ることができると共に、前記繰出部ユニット31の分離作業の際に、ロール軸38Aが継手部材等と干渉するのを防止することができ、分離作業の作業性を一層高めることができる。更に、前記入力軸75がロール軸38Aの種子繰出方向に回転する場合にのみクラッチ「入」となり、入力軸75からロール軸38Aに回転動力が伝達されるように、前記軸受け79を設定することで、ロール軸38Aが種子の非繰出方向に回転するのを防止し、種子の破損等を防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、複数条分の種子を一度に播種する、全ての多条播種機に適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 多条播種機
3L・3R・67L・67R メインフレーム
25・75 入力軸
25a・75c 軸心孔
25b ピン
31 繰出部ユニット
36 繰出部
37 連結板(連結部材)
38・38A ロール軸
38b 小径部(縮径端部)
38c 端面
38d 径方向溝(溝部)
38Aa ロール軸の端部
39 種子ケース
40 播種ロール
53 取付ステー(支持体)
58 軸受けケース
58a・66c ボス部
61・74 継手構造
61a 第一継手構造
61b 第二継手構造
66 取り付けプレート(支持体)
67Lb 切り欠き凹部
79 軸受け

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数条分の種子を一度に播種する多条播種機において、種子ケースに播種ロールを装着して成る繰出部と、該繰出部を複数列設して連結する連結部材と、前記播種ロールを軸方向に貫通して回転する共通のロール軸とにより繰出部ユニットを一体的に構成すると共に、該繰出部ユニットの両端と、前記多条播種機の外枠をなすメインフレームとの間に、繰出部ユニットの取り付け・取り外しが容易な着脱構造を設けたことを特徴とする多条播種機。
【請求項2】
前記着脱構造は、前記連結部材の一側において、該連結部材の端部に締結されると共に前記メインフレームと係止可能な支持体と、前記連結部材の他側において、前記ロール軸を該ロール軸への入力軸に連結する継手構造とから構成し、該継手構造は、前記ロール軸と入力軸のうちの一方の軸の軸心孔に他方の軸の縮径端部を遊嵌挿入する第一継手構造と、前記軸心孔内で半径方向に横架されたピンに、前記縮径端部の端面で半径方向に削溝された溝部を遊嵌係合する第二継手構造とを備えることを特徴とする請求項1に記載の多条播種機。
【請求項3】
前記連結部材の一側には、軸受けケースを着脱可能に備え、該軸受けケースは、前記ロール軸をメインフレームより内側で軸支可能なボス部を有することを特徴とする請求項2に記載の多条播種機。
【請求項4】
前記着脱構造は、前記連結部材の一側において、該連結部材の端部に係止されると共に前記メインフレームに嵌合可能な支持体と、前記連結部材の他側において、前記ロール軸を該ロール軸への入力軸に連結する継手構造とから構成し、前記メインフレームには上方に開放した切り欠き凹部を設け、該切り欠き凹部に前記支持体を嵌合すると共に、該支持体に前記ロール軸を軸支することを特徴とする請求項1に記載の多条播種機。
【請求項5】
前記支持体は、前記ロール軸をメインフレームより内側で軸支可能なボス部を備え、該ボス部を前記切り欠き凹部に嵌合することを特徴とする請求項4に記載の多条播種機。
【請求項6】
前記継手構造は、ワンウェイクラッチ式の軸受けを介して、前記ロール軸の端部を入力軸の軸心孔に挿嵌して成ることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の多条播種機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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