説明

多機能性織編物及び二次製品

【課題】マイナスイオンの放出と、同時に放射する遠赤外線の利用、並びに光触媒機能材料により抗菌作用及び消臭作用を増加させた多機能性織編物及び二次製品を提供する。
【解決手段】織編物或いは二次製品に対し、静電気に帯電しにくい高分子化合物と、稀有元素類を鉱物、及びトルマリン若しくは遠赤外線セラミックのいずれか一方を含む混合体を混合し、さらに光触媒機能材料を添加混合した樹脂組成物を塗布固着させ、抗菌効果及び消臭効果を増加させた多機能性織編物及び二次製品の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多機能性織編物及び二次製品に関し、マイナスイオンの放出の持続的維持並びに同時放射する遠赤外線の利用で、健康で快適な作用と抗菌作用及び消臭作用を図り、さらに光触媒機能材料により抗菌作用及び消臭作用を増加させた多機能性の織編物及び二次製品に関する。
【背景技術】
【0002】
織編物地を用いた繊維加工製品として、例えばサポーターの一般的な機能として、各関節部の締め付けによる筋肉の保持、痛感部の温熱による緩和、外部の衝撃を緩和して、痛みを和らげるものとして用いられており、靴下止め、ガーター等の他、ゴムの入った下着やスポーツをするときに関節を保護する包帯、ゴムの入ったベルトのこともいう二次加工製品である。また、最近では、その一般的な機能に加えて、繊維素材に遠赤外線セラミックを練り込んだものや繊維生地に遠赤外線セラミックを部分プリントしたもの等、遠赤外線放射による温熱強制予防用のサポーターが市販されている。
【0003】
また、ソックスでは、その一般的な機能として、足部の保護、足ムレの吸湿、足部の温熱、その他にファッション性が挙げられる。また最近では、その一般的な機能に加えて、繊維素材に遠赤外線セラミックを練り込んだものや、繊維生地に遠赤外線セラミックを足部等の一部にプリント加工した温熱予防ソックスや、繊維による緑茶カテキンで染色した健康ソックスや、トウガラシ成分をプリント加工した刺激による温熱ソックスが市販されている。ソックス類としては、一般的ソックス、ストッキング、パンティストッキング等が挙げられる。
【0004】
また、肌着の一般的な機能として、体の汗の吸湿、汗等の臭いの抑制、体温の温熱保護、体型の保護等が挙げられる。また最近では、繊維に遠赤外線セラミックや炭を練り込んんだ温熱効果を狙った肌着が市販されている。肌着類としては、シャツ、パンティ、ブラジャー等が挙げられる。最近の健康指向で、マイナスイオンや遠赤外線の作用を利用した健康によく、健康維持によいとされる商品が続々と市場に販売されるようになってきた。マイナスイオンの健康維持作用や抗菌性及び消臭性を併せ持つ組成物や、太陽光の光で消臭作用及び抗菌作用が得られる光触媒機能材料の先行技術が特許出願或いは市場に販売されている。これらの代表的なものとして下記が挙げられる。
【特許文献1】特許第3035279号 静電気に帯電しにくい高分子化合物、並びに稀有元素類を含む鉱物、及び少なくともトルマリン若しくは遠赤外線放射セラミックのいずれか一方を含むマイナスイオンを放出すると同時に、遠赤外線を放射する樹脂組成物。
【特許文献2】特開2000−110062公報(1)伸縮性の織編物に対し、静電気に帯電しにくい高分子基材と、希土類を含む鉱物の単一粉体、或いは希土類を含む鉱物とトルマリン若しくは遠赤外線セラミック粉体のいずれか一方を含む混合粉体を混合してなる樹脂組成物を、表面加工又はストライプ、メッシュのいずれかのコーティング加工或いはプリント加工処理してなることを特徴とする多機能性伸縮織編物。(2)伸縮性の織編物に対し、静電気に帯電しにくい高分子基材100重量部に、希土類を含む鉱物の単一粉体1〜100重量部、或いは希土類を含む鉱物とトルマリン若しくは遠赤外線セラミックのいずれか一方を含む混合体1〜100重量部を混合してなる樹脂組成物を溶液状で、コーティング加工、プリント加工或いはディッピング加工してなることを特徴とする多機能性のサポ−タ−、ソックス、肌着。(3)織編物機で織編みされた伸縮性のサポーター、ソックス、肌着に、少なくとも表裏の全面或いは一部に、静電気に帯電しにくい高分子基材と、希土類を含む鉱物とトルマリン若しくは遠赤外線セラミックのいずれか一方を含む混合体を混合してなる樹脂組成物を、溶液状において、ドット、ストライプ、メッシュ又は絵柄のいずれかのプリント加工、或いはディッピング加工してなることを特徴とする多機能性のサポーター、ソックス、肌着。
【特許文献3】特開平10−195764公報 布帛を構成する繊維の表面に、空気中にマイナスイオンを発生させるエネルギーを放射する無機物の微粒子を付着させた無機微粒子付着加工布帛。
【特許文献4】特開平10−212456公報 シルクのフイブロインを加水分解して製造した低分子量ポリペプチド水溶液と、120℃以下で硬化する水性バインダーとを含んでいることを特徴とする、繊維材料用コーティング用組成物。
【非特許文献1】光触媒といわれる数〜数百nmの酸化チタンが、太陽光の紫外線にあたると、光電効果で電子が励起、電子と正孔が発生し、電子は、空気中の酸素を還元しスーパーオキサイドイオンに、正孔は表面の水分を酸化して水酸化ラジカルに変える。このスーパーオキサイドイオンと水酸化ラジカルは、強い酸化力を示し、この状態でチタニア表面に有機物が付着すると、スーパーオキサイドイオンが有機物の炭素を、水酸化ラジカルが水素を奪って分解する。こうした自浄作用が、抗菌作用及び消臭作用となるメカニズムとなっている。
【0005】
上記文献の他、例えば特開平6−184808号公報には、微粉末化した電気石粉末を再生繊維や合成繊維に配合すると共に、電気石結晶を繊維表面に高度に配向分布させた永久電極繊維或いは特開平7−85861号公報には、衣類等、特に肌着を着ることによって体質改善、健康増進できる衣類等のコ−ティング布地、さらに実開平5−22579号公報には、微粉化された電気石の結晶体を多数含んだ人造繊維の材料として構成された繊維製品、或いは実開平7−3135号公報には、衣類等のコ−ティング布地、実用新案登録第3017444号公報には、自発・誘電電極を持つ機能性繊維製品等が提案されている。しかし、元来、電気石自体が発するマイナスイオンは微弱である為、その効果それほど期待できない問題点があった。さらに、特開平7−149956号公報には、特定の体積固有抵抗を持つゴム弾性体に電気石微粉末を練り込み均一に分散させた電極反応を示す電気石担持ゴム組成物が開示されているが、少なくとも単一機能に止まる場合が殆どであり、複合的或いは多機能性の記載はもとより、集束或いは相応する効果についても全く示唆もみられない。
【0006】
また、上記文献1には、静電気に帯電しにくい高分子化合物、並びに稀有元素類を含む鉱物、及び少なくともトルマリン若しくは遠赤外線放射セラミックのいずれか一方を含むマイナスイオンを放出すると同時に、遠赤外線を放射する樹脂組成物、及び上記文献2には、伸縮性の織編物に対し、静電気に帯電しにくい高分子基材と、希土類を含む鉱物の単一粉体、或いは希土類を含む鉱物とトルマリン若しくは遠赤外線セラミック粉体のいずれか一方を含む混合粉体を混合してなる樹脂組成物を、表面加工又はストライプ、メッシュのいずれかのコーティング加工或いはプリント加工処理してなる多機能性伸縮織編物が開示されており、多量のマイナスイオンの放出と、併せて同時に放射する遠赤外線利用を図れるものである。しかし、これらではたとえ抗菌性並びに消臭性の両機能をも備えるものであっても、その作用は微弱であって、格別に効果を期待できないものであった。
【0007】
上記文献3には、布帛の繊維表面にマイナスイオンを発生させる無機物の微粒子をバインダー樹脂を用いて付着加工する、マイナスイオンを発生する加工布帛およびその方法、また、上記文献4には、布帛などの繊維材料にシルクの持つ特性を付与するコーテイング組成物及びこれの塗布によって、シルクの特性が付与された繊維材料が記載されている。
【0008】
該文献3は、無機物微粒子の加工液に、布帛を浸染、搾液後、乾燥熱処理するものであり、また該文献4では、低分子量ポリペプチド固着用バインダーとして用いられており、上記文献1及び2でのバインダー樹脂に関する特段の知見につき明示の記載はもとより示唆もなく、如何に多量のマイナスイオンを発生させるかの工夫を欠如している。そして、上記文献3及び4でも、等しく抗菌性並びに消臭性の両機能を期待できないものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明において解決しようとする問題点は、最近の研究等でマイナスイオンを利用した抗菌作用並びに消臭作用の効果が知られるようになってきた。上記文献2において、多機能性の織編物及び二次製品に関し、特にサポーター、ソックス、肌着等の抗菌作用或いは消臭作用の効果を見出すことと、さらに抗菌作用の効果をみてみると、例えば病院等の衣類では、抗菌よりも高い殺菌に近い効果が必要になってきている。また、消臭作用の効果においても、老人介護施設用の下着においても、また、ソックスの足ムレによる悪臭においても高い消臭作用が必要になってきた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点に鑑みて、静電気に帯電しにくい高分子化合物、並びに稀有元素類を含む鉱物、及び少なくともトルマリン若しくは遠赤外線セラミックのいずれか一方を含むマイナスイオンを放出すると同時に、同時に遠赤外線を放射する樹脂組成物に、光触媒機能材料を添加混合し、抗菌作用及び消臭作用を増加させた樹脂組成物に着目して、織編地に前記樹脂組成物を塗布固着したサポーター、ソックス、肌着の加工二次製品が、マイナスイオンの持続的放出と、遠赤外線放射の同時作用で、健康維持並びに、抗菌効果及び消臭効果が発揮でき、さらに光触媒作用で 抗菌効果及び消臭効果を増加させて、太陽光があたらない処や、夜間でも効果が発揮できるという多機能性の機能が見いださせる織編物および二次加工製品に到達した。
【0011】
本発明において、織編物地の繊維として、木綿、麻、レーヨン、ポリエステル、ポリアミド、セルロース、ビニロン、ポリオレフィン、アラミド、ポリアクリロニトリル、蛋白、アクリル、ポリエチレン、塩化ビニール、羊毛、ウレタン、ガラス等の繊維及び混紡繊維をいずれも使用することができる。織編物として、ニット織編み、ダブルラッセル織編み等をいずれも使用することができる。
【0012】
本発明において、静電気に帯電しにくい高分子化合物として、アクリル樹脂、酢酸ビニール樹脂、アクリル・酢酸ビニール共重合樹脂、アクリル・酢酸ビニール・塩化ビニール 共重合樹脂、シリコン樹脂、シリコン・アクリル共重合樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、アクリル・ウレタン共重合樹脂、尿素樹脂、アミド樹脂、ワニス等の溶剤型及びエマルジョン、天然及び合成ゴム、天然及び合成ゴムラテックス等を使用することができ、また、その2種以上の混合物を使用することができる。
【0013】
本発明において、稀有元素類を含む鉱物として、フェルグソン石、モナズ石、ゼノタイム、コルンブ石、ベタホ石、サマルスキー石、ユークセン石、タンタル石、閃ウラン鉱、方トリウム石、ゴム石、カルノー石、ガドリン石等がある。この鉱石のうち、極微弱な放射線を放射し、人体に悪影響を及ぼさないとされているもの、及びマイナスイオン放出を励起している鉱物として、最も好ましくは、モナズ石を使用することができる。
【0014】
上記天然鉱石の粒径として、0.1ミクロンから1mmに粉砕したものを使用することができる。最も好ましくは、平均粒径が10ミクロン以下に粉砕したもの粉末の方が、混合及び塗布仕上げが良く有益である。上記配合部数として、高分子化合物固形分100重量部に対し、100重量部数以下を配合することができる。最も好ましくは、50重量部数の方が基材の密着性がよく有益である。
【0015】
本発明において、トルマリンとして、ショールトルマリン、リチウムトルマリン、ドラバイトトルマリン、ルベライトトルマリン、ピンクトルマリン、インデコライト、バライバトルマリン、ウォーターメロン等を使用することができる。上記トルマリンの粒径として、0.1ミクロンから1mmに粉砕したものを使用することができる。最も好ましくは平均粒径10ミクロン以下が混合するうえで有益である。上記配合部数として、樹脂固形分100重量部数に対し、100重量部数以下を配合することができる。最も好ましくは、50重量部数以下の方が、マイナスイオンをより放出するかえで有益である。
【0016】
本発明において、遠赤外線セラミックとして、2〜50ミクロンの波長をもつ遠赤外線を放射率50%以上放射している遠赤外線セラミックを使用することができる。遠赤外線セラミックの成分として、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化鉄等を2種以上含む混合物を使用することができる。前記市販品として、商品名セラジット、OKトレーディング製があり、マイナスイオンを増幅し、遠赤外線を高放射するうえで有益である。上記の配合部数として、樹脂固形分100重量部数に対し、100重量部数配合することができる。最も好ましくは、50重量部数以下が、マイナスイオンをより放出するうえで有益である。
【0017】
本発明において、光触媒機能材料として、アナターゼ型二酸化チタン、ブルッカイト型二酸化チタン、アパタイト被覆酸化チタン、無機セラミック包含二酸化チタン等をいずれも使用することができる。アナターゼ型二酸化チタン及びブルッカイト型二酸化チタンの粒径として、5〜200nmに粉砕されたものを使用することができる。最も好ましくは、6〜30nmの方が電子を励起するうえで有益である。
【0018】
アパタイト被覆二酸化チタンとして、上記二酸化チタンをアパタイト、すなわちリン酸カルシウムで被覆したものを使用することができる。市販品として、例えば、商品名アパタイト被覆酸化チタンNSP−100ナノウェーブ製を使用することができる。無機セラミック包含二酸化チタンとして、無機セラミックの成分が、シリカ、アルミナ、酸化クロム、酸化ジルコニウム、ジルコニア、酸化イットリウム等の1種の合成セラミック或いは2種以上含む合成セラミックであり、また上記成分を含む天然鉱物である。上記の粒径として、平均30ミクロン以下のものを使用することができる。市販品として、例えば商品名ライオナイト ライオン製を使用することができる。前記配合部数として、樹脂組成物100重量部数に対し、2〜50重量部数配合することができる。最も好ましくは、30重量部数以下がマイナスイオンの生成を減少させないうえで有益である。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、(1)静電気に帯電しにくい高分子化合物、並びに稀有元素類を含む鉱物、及び少なくともトルマリン若しくは遠赤外線セラミックのいずれか一方を含む混合体を混合した樹脂組成物に、光触媒機能材料を添加混合した樹脂組成物を塗布固着した織編物。(2)織物及び/又は編物からなる織編物二次製品、サポーター、ソックス、肌着に、静電気に帯電しにくい高分子化合物、並びに稀有元素類を含む鉱物、及び少なくともトルマリン若しくは遠赤外線セラミックのいずれか一方を含む混合体を混合した樹脂組成物に、光触媒機能材料を添加混合した樹脂組成物を、溶液状でと不固着することにより得られた多機能性の織編物及び二次製品が、マイナスイオンを大量に放出し、同時に遠赤外線を放射する作用効果で、健康で快適作用の効果、及び抗菌効果及び消臭効果の増加が得られ、長期使用でも、健康で衛生的なものとなり、特に老人介護施設或いは病院でのソックス、肌着に顕著な効果を奏する。
【実施例】
【0020】
以下に、実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。
【0021】
試料の作成
表1及び表2に示す樹脂組成物の配合材として、シリコンエマルジョンは、商品名SE−1980 東レダウコーニングシリコン製を使用した。遠赤外線放射セラミックとして、商品名セラジットALF9 OKトレーディング製を使用した。光触媒として、商品名PC−101 チタン工業製のものを使用した。アパタイト被覆二酸化チタンとして、商品名NSP−001ナノウェーブ製を使用した。無機セラミック包含二酸化チタンとして、商品名ライオナイト ライオン製を使用した。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

表1及び表2に示した樹脂組成物A,B,C,D,E,Fの所定量を配合した混合物を、3L真空攪拌機ダルトンにて、1時間攪拌して樹脂組成物を得た。
【0024】
織編物として、ニット織り編み機で、織編みした綿製品製の織編物を使用して、その表面に、各々の樹脂組成物A,B,C,D,E,Fを、ドット柄の捺染プリント加工して、wet塗布量60g/m2 塗布して、乾燥炉で120℃、10分間乾燥して、実施例A,B,C,D,E,Fを得た。
【0025】
イオン測定と遠赤外線測定
上記実施例の試料のイオン測定と遠赤外線測定を行った。イオン測定方法は、小イオン測定として、イオンテスター900神戸電波製を使用し、室温25℃,湿度60%,試料20cm角で、マイナスイオンとプラスイオンを3分間の平均生成数/ccを測定した。総イオン測定は、空気イオンテスターITC−201A アンデス電気製を使用し、同じ雰囲気で、マイナスイオンとプラスイオンを3分間の平均生成量/ccを測定した。遠赤外線測定では、FTIR測定機,JIR−E500を使用し、試料温度35℃の遠赤外線放射率を測定した。その結果を表3に示した。
【0026】
【表3】

実施例A,B,C,D,E,Fの試料の小イオン測定結果と総イオン測定結果から、各々の実施例全てが、プラスイオンよりもマイナスイオンが大量に放出したものとなり、同時に遠赤外線放射が高放射するものとなった。
【0027】
実施例A,B,C,D,E,Fで作成した試料を使用して、消臭試験、抗菌試験をして本発明を明らかにしていく。
【0028】
消臭試験
消臭試験として、検知管法を用いた。試験方法として、5リットルのテトラバックに実施例の試料5cm角及びガスを注入して、30分後と1時間後のガス濃度を検知管を用いて測定し悪臭率(%)を換算した。ガスの種類としてアンモニアを使用した。環境条件として、(1)ブラックライト照射時、(2)照明無し暗黒の2方法で行った。コントロールは試料を入れていないブランクである。
【0029】
アンモニアガス 初期濃度 200ppm ガス量 600ml
脱臭率%
=〔(コントロールガス濃度ー試料ガス濃度)/コントロールガス濃度〕×100
30分後のコントロールガス濃度 190ppm
1時間後のコントロールガス濃度 180ppm
その結果を表7及び表8に示した。
【0030】
(1)ブラックライト照射時
【0031】
【表4】

(2)照明無し暗黒
【0032】
【表5】

上記実施例A,B,C,D,E,F,G,Hの消臭試験結果から明らかなように、高濃 度のアンモニアガスを高放射で脱臭し、さらに光触媒作用で光の当たる所では、脱臭力が増加することが明らかとなった。また、光の無い環境条件でも、大差なく効率よく分解脱臭したことが明らかになった。
【0033】
抗菌試験
抗菌試験として、財団法人日本紡績検査協会で試験を行なった。抗菌試験方法として、JIS 1902定量試験法を準拠し、環境条件として、(1)ブラックライト照射時、(2)照射無しの暗黒の2方法で行なった。試験菌株として、MRSA(耐性黄色ぶどう球菌)を使用した。その結果を、表6及び表7に示した。
(1)ブラックライト照射時
【0034】
【表6】

【0035】
【表7】

(2)照明無し暗黒
上記実施例A,B,C,D,E,F,G,Hの抗菌試験結果から明らかなように、実施例は、殺菌活性値及び静菌活性値とも高い抗菌性が得られた。さらに、光触媒作用で光のあたる所では抗菌力が増加することが明らかとなった。また、光の無い環境条件でも、大差なく効率よく抗菌作用を有していたことが明らかになった。
【0036】
比較例
以下に比較例を挙げて、本発明の実施例と対比し本発明をより明らかにする。
【0037】
比較例の配合処方を、表8に示した。試料の作成は実施例と同じ作成方法、比較例1及び比較例2を得た。
【0038】
【表8】

イオン測定と遠赤外線測定を実施例と同じ方法で行った。その結果を表9に示した。
【0039】
【表9】

イオン測定結果と、遠赤外線測定結果から明らかなように、比較例1及び比較例2は、実施例A,B,C,D,E,Fと大差なく良好に放出していた。
【0040】
消臭試験を、実施例と同じ方法で行った。その結果を表10及び表11に示した。
(1)ブラックライト照射時
【0041】
【表10】

(2)照明無し暗黒
【0042】
【表11】

比較例1及び比較例2の消臭試験の結果、ブラックライト照射時と、照明無し暗黒の条では、同じ結果を得たのに対し、実施例A,B,C,D,E,Fと比較すると、光触媒の用であるブラックライト照射時の試験結果からすると明らかに低下していることが明らかなった。
【0043】
抗菌試験を、実施例と同じ方法で行なった。その結果を表12及び表13に示した。
【0044】
(1)ブラックライト照射時
【0045】
【表12】

(2)照明無し暗黒
【0046】
【表13】

比較例1及び比較例2の抗菌試験の結果、ブラックライト照射時と照明無し暗黒の条件では大差ない結果であるのに対し、実施例A,B,C,D,E,Fと比較すると、光触媒の作用であるブラックライト照射時の結果からすると、明らかに低下していることが明らかになった。
【0047】
実用化試験
二次加工製品であるサポーター、ソックス、肌着の実用化試験をして、本発明を詳細に説明し明らかにする。
【0048】
実施例試料の作成
〔サポーター〕
直径15cm、長さ20cmの綿100%の筒状の織編物サポーターの片面内側に、実施例A,B,C,D,E,Fの樹脂組成物を、楕円状にドット柄プリント加工、wet塗布量約6gを施した図1のサポーターを作成した。図1は本発明に係る腰サポ−タ−の裏返し状態で、腰サポ−タ−本体1の着用者の背面側の水玉プリント加工を施した箇所5を示す斜視説明図である。4は本発明に係る織編物地である。
〔ソックス〕
綿100%の標準ソックスの足裏部の全面に、実施例A,B,C,D,E,Fの樹脂組成物をドット柄プリント加工、wet塗布量約3gを施した図2のソックスを作成した。図2は本発明に係るソックス本体2の裏返し状態で、足裏に接する側に水玉プリント加工を施した箇所5を示す斜視説明図である。
〔シャツ肌着〕
綿100%のドット柄シャツ肌着の肩腱甲骨部に、実施例A,B,C,D,E,Fの樹脂組成物を、水玉プリント加工、wet塗布量約12gを施したシャツ肌着を作成した。図3は本発明に係るシャツ肌着3の裏返し状態で、背面側の水玉プリント加工を施した箇所5を示す斜視説明図である。
【0049】
試着方法と試着結果
〔腰サポーター〕
試着方法は、比較的腰痛を患う人を選定し、実施例A〜Fの腰サポーターを各々10着ランダムに、60名の人に、1ケ月試着してもらった。試着結果は、アンケート方法によって各々の人に回答してもらった結果、実施例A〜Fの腰サポーター試着者に共通する結果として、(1)試着数十分で、腰部が温まり、1日着用すると腰が非常に楽になった。(2)1ケ月試着用後は、腰部の痛みが感じないようになってきた。(3)1日着用していると、非常に温かいせいか、腰部に汗をかいていたが、サポーターには汗の体臭の臭いが全くないものであった。この現象は、実施例A〜Fの消臭効果及び殺菌効果を付加した機能によるものであることは明らかで、腰サポーターとして、治癒効果も含めたより衛生的なサポーターが得られた。
〔ソックス〕
試着方法は、足ムレが酷く、足の悪臭が酷い人を選定し、実施例A〜Fの各々20着、ランダムに、60名の人に、2着ずつ渡し、1日着用後、洗濯し、次の日着用の繰り返しで、1ケ月間着用してもらった。試着結果は、アンケート方式によって、各々の人に回答してもらった結果、実施例A〜Fのソックス試着者に共通する結果として、(1)試着数十分後で、足裏が温まり、1日着用していると、足が軽く歩行が楽になっていた。(2)温かい筈が、足ムレしなく、1日着用して、足の悪臭がまったくしなかった。(3)1ケ月着用後も同様であった。この現象は、実施例A〜Fの消臭効果及び抗菌効果を付加した機能によるものであることは明らかである。ソックスとして、足の健康も含めたより衛生的なソックスが得られた。
〔シャツ肌着〕
試着方法は、特に肩凝りの酷い人を選定し、実施例A〜Fの各々20着、ランダムに、60名の人に、2着ずつ渡し、1日着用後、洗濯し、次の日着用の繰り返しで、1ケ月間着用してもらった。試着結果は、アンケート方式によって、各々の人に回答してもらった結果、実施例A〜Fのシャツ肌着に共通する結果として、(1)試着数十分で、肩部が温かく、1日着用していると肩が非常に楽になってきて、痛みが和らいでいた。(2)1日着用しても、体臭の臭いが全くしなかった。(3)1ケ月着用して、肩凝りがしないほどに回復していた。この現象は、実施例A〜Fの消臭効果及び抗菌効果を付加した機能によるものであることは明らかである。シャツ肌着として、肩の治癒効果も含めたより衛生的なシャツ肌着が得られた。
【0050】
上記実施例A,B,C,D,E,F,G,Hの抗菌試験結果から明らかなように、実施例は、殺菌活性値及び静菌活性値とも高い抗菌性が得られた。さらに、光触媒作用で光のあたる所では抗菌力が増加することが明らかとなった。また、光の無い環境条件でも、大差なく効率よく抗菌作用を有していたことが明らかになった。
【0051】
以上のとおり本発明に係る一実施例を説明したが、本発明は上述の構成に限定されるものではなく、織編物地並びにその二次加工製品、例えば、手袋、スキ−帽、パジャマ、トレ−ナ−、腹巻、レオタ−ド、マフラ−、サスペンダ−等においてもその多機能性を発揮し得るものであり、さらに本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る腰サポ−タ−の裏返し状態の加工箇所を示す斜視説明図である。
【図2】本発明に係るソックスの裏返し状態の加工箇所を示す斜視説明図である。
【図3】本発明に係るシャツ肌着の裏返し状態の加工箇所を示す斜視説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1 腰サポ−タ−本体
2 ソックス本体
3 シャツ肌着本体
4 織編物地
5 ドット加工箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
織編物地に対し、静電気に帯電しにくい高分子化合物と、稀有元素類を含む鉱物、及び少なくともトルマリン若しくは遠赤外線セラミックのいずれか一方を含むマイナスイオンを放出し、同時に遠赤外線を放射する樹脂組成物に、光触媒機能材料を添加混合し、抗菌作用及び消臭作用を増加させた樹脂組成物を、表面加工又はドット、ストライプ、メッシュのいずれかのコ−ティング加工或いはプリント加工処理してなることを特徴とする多機能性織編物。
【請求項2】
織物及び/又は編物からなる織編物二次製品に対し、表面又は裏面或いは表裏の全面又は一部に、静電気に帯電しにくい高分子化合物と、希有元素類を含む鉱物、及び少なくともトルマリン若しくは遠赤外線セラミックのいずれか一方を含むマイナスイオンを放出し、同時に遠赤外線を放射する樹脂組成物に、光触媒機能材料を添加混合し、抗菌作用及び消臭作用を増加させた樹脂組成物を、表面加工又はドット、ストライプ、メッシュのいずれかのコ−ティング加工或いはプリント加工処理してなることを特徴とする多機能性織編物二次製品。
【請求項3】
前記織編物二次製品が、サポーター、ソックス、肌着である請求項1又は請求項2記載の多機能性織編物二次製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−219779(P2006−219779A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33935(P2005−33935)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(000153410)株式会社日野樹脂 (26)
【Fターム(参考)】