説明

多次元空間のナビゲートおよび/またはマッピングが可能なシステムおよび方法

リアルタイムでの多次元空間の自動的な調査、レイアウト、および検証をユーザが実行できるようにする方法およびシステム。調査をハンドヘルドユニットによって例えば三次元でグラフィック表示することができ、これにより自動調査および/またはレイアウトの実行時に、本システムによってユーザを多次元空間において案内および/またはナビゲートすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年4月9日付で出願された「A System And Method Capable of Navigating And/Or Mapping Any Multi−Dimensional Space」という名称の仮出願第60/910,791号の出願日の利益を主張する。
【0002】
本発明は、自律ロボットによるタスクの実行および建築ナビゲーションという新産業を生み出す多次元空間の自動的な調査、レイアウト、および検証のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
コンセプトから実施までの設計の実現は、特には建設業に関する場合難題である。建設業においては、建築家、プランナー、エンジニア、などが、アイデアをコンセプト化し、そのコンセプトを現場の請負人によって実現することができる設計図などの有形な形式へと還元するという役割を果たす。実現または建設のプロセスは、骨の折れる仕事となる可能性があり、その成功は、当該特定のプロジェクトに関する図面または設計図書に示されている寸法および空間的関係を正確に復元するという請負人の能力に大きく依存する。設計図書に示されている内容を復元する際の請負人のミスが、建設実務の一般的な特徴であり、高価につく修正措置につながることもしばしばである。いくつかの例では、ミスは、建設現場の特性を十分に理解していないことに起因する。例えば、或る空間のリフォームのための設計が、特定の位置にドアを配置することを求めており、建設現場において、まさにドアが求められている場所に柱が存在することが明らかになった場合、高価につく設計図の再設計が必要になる可能性がある。高価につく救済措置につながりかねない他の一般的な出来事として、建設現場の不正確なレイアウトゆえに、設計の主たる構成要素が誤った場所に建設され、ミスが最終的に発見されたときに高価につく修復につながる。
【0004】
一般に、あらゆる建設プロジェクトの成功は、設計において想定された空間的関係を現場において正確に再現できるための基盤とすることができる良好な寸法管理に強く依存する。寸法管理は、通常は、建築家、工員(例えば、電気技師、配管工、乾式壁の設置者)、または測量士の領分である。典型的な「現況調査」または測量の仕事は、現場を測定または測量し、既存の状況ならびに設計を現実化するときに請負人を正しく案内するために使用することができる水準点、基準点、または他の標識の配置を明らかにすることを含む。これらのタスクの実行時に誤差が生じると、上述した種類のミスが生じる。誤差は、場合によっては、不正確な測定または「現況調査」に起因するのではなく、例えば現場において人または機材によって、杭などの標識または水準点が誤って倒されてしまったり、あるいは鉛筆による印が誤って汚されてしまう場合など、標識の不充分な管理に起因することもある。そのような状況において、作業員が、鉛筆による印または杭を、元々の位置であったと思われる場所に単に再配置することがあり得るが、そのような場所が、実際には元々の位置ではないことが、まったくないとは言えない。これが生じると、以後のこの水準点の参照はすべて、今や寸法の基準が誤った場所にあるにもかかわらず、誤った場所にあることが知られていないという事実に起因する誤差をもたらす。さらに、今や不正確である基準点を使用することから生じる誤差は、誤差がしばらくのあいだ発見されない可能性があるという事実ゆえ、さらに厄介になりうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
測定または測量における誤差は、現場の調査または設計のレイアウトのどちらに関係するにせよ、正確な「現況検証」ならびに水準点および標識の用心深い保護およびそれらの頻繁な再検証から始めることによってしか、避けることができない。実務において、この仕事にはきわめて時間がかかり、労働集約的となる可能性があり、典型的は、担当のチームが頻繁に現場を訪れて、既存の水準点および標識を手作業で検証し、必要に応じて新たな水準点および標識を手作業で設定する必要がある。したがって、建設現場の属性または建設のためレイアウトを明らかにし、あるいは水準点および標識などの寸法基準を再検証するために、建設現場を迅速かつ正確に測定または測量する方法について、ニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、多次元空間の自動的な調査、レイアウト、および検証のためのシステムおよび方法を提供する。多次元空間は、少なくとも2つの次元を有する空間である。空間の設計からその建設への移行が、本発明のシステムおよび方法によって大いに容易化される。
【0007】
本発明による多次元空間(例えば、3D空間)の自動的な調査は、システムの設備から多次元空間内の1つ以上の選択された基準の点までの距離を測定すること、およびシステムの設備から多次元空間内の種々の既存の物体および構造体までの距離を測定することを含む。これらの測定が、システムの設備によってなされた測定にもとづいて、建設現場の図面(デジタル形式であってよい)またはグラフィック表現を生成し、すなわち多次元空間の正確な描写をリアルタイムで自動的に生成するために、本発明のシステムによって使用される。さらに、調査される多次元空間のリアルタイムでのグラフィック表現の生成に加え、本発明のシステムは、調査される多次元空間の測定された属性に対して、調査を実行しているシステムのユーザの位置をリアルタイムで示すこともできる。したがって、本発明は、リアルタイムで調査対象の多次元空間の調査を生成するだけでなく、調査を行いながら多次元空間内でユーザを案内することができる。
【0008】
本発明による建設現場の自動レイアウトは、多次元空間についての設計において指定された物体および構造体の物理的な位置、配置、向き、および相対配置を示すために、多次元空間内に水準点および標識を確立することを含む。典型的には、多次元空間の開発のための設計は、建設が行われる多次元空間のすべての物体および/または構造体の空間的な関係を正確に描写する1つ以上の図面として記憶される。設計は、グラフィックによって描かれたとき、特定の物理的特徴を有する仮想空間を呈する。本発明のシステムのユーザによって多次元空間の自動レイアウトが実行される際に、本システムは、設計図面を参照して自身を多次元空間において正しく位置させ、次いで設計図面に含まれる所定の物体および/または構造体について、多次元空間へと移されるときの正確な位置を指摘する。このようにして、本発明は、多次元空間においてユーザを1つの点(あるいは、領域または空間あるいは他のより高次元の領域)へと案内でき、ユーザが、多次元空間においてマーキングを行い、多次元空間の境界または境界内において建設すべき物体および/または構造体の指定の位置を示すことができるようにする。本発明の一実施の形態においては、ユーザが本発明のシステムの設備を制御して、設計において指定された構造体および/または物体のためのマーキングを自動的に行うことができる。
【0009】
本発明による多次元空間の自動検証は、自動調査から生成された表現(例えば、グラフィック表現)を、設計者によって生成された表現(例えば、グラフィック表現)、すなわち仮想空間と、比較することを含む。本発明のシステムおよび方法は、2つの表現の間に不一致があればユーザに忠告する。不一致が本発明によって指摘され、ユーザへと示される。本発明の方法およびシステムは、設計および実際のレイアウトならびに多次元空間のための設計の間の不一致の存在をユーザに知らせるために、種々の技法のうちの任意の1つ以上を使用することができる。
【0010】
本発明のシステムは、1つ以上のサブステーションと通信することができる少なくとも1つのマスターステーションモジュールを備えている。マスターステーションモジュールが、コントローラモジュールへと接続される。コントローラモジュールが、入出力(I/O)インターフェイスモジュールへと接続され、I/Oモジュールが、アクチュエータ/ユーザインターフェイス装置(UID)モジュールおよび表示装置モジュールの両者へと接続される。コントローラモジュールは、さらにデータストレージモジュールへと接続される。
【0011】
マスターステーションモジュールは、少なくとも1つの多チャネル送信機、少なくとも1つの多チャネル受信機、および少なくとも1つのプロセッサを備えている。さらに、マスターステーションモジュールは、本発明のシステムのユーザによるアクチュエータ/UIDの操作に応答してコントローラモジュールによって生成される指令にもとづいて、コントローラによって制御される1つ以上の機械的な装置および/または機構を備えることができる。
【0012】
それぞれのサブステーションが、送信機、受信機、およびプロセッサを備えている。プロセッサが、送信機および受信機の両者へと接続され、さらに1つ以上の制御可能な機械的装置および/または機構(少なくとも1つのマスターステーションから受信される指令を実行するためにサブステーションによって使用される)へと接続されている。サブステーションの送信機を、多次元空間についての情報をマスターステーションモジュールへと送信するために使用することができ、受信機を、マスターステーションモジュールからの指令を受信するために使用することができる。
【0013】
本発明のシステムは、すでに述べたとおり、多次元空間のレイアウト、多次元空間の調査、または多次元空間の検証のうちの1つ以上を実行するために使用される。調査、レイアウト、および/または検証のプロセスの最中に、本システムは、既知またはすでに調査した物体および/または構造体ならびにユーザの現在の物理的な位置を含む多次元空間(例えば、3Dのグラフィック表現)を表示することによって、多次元空間内でユーザを案内することができ、多次元空間内でユーザを効果的に案内すると同時に、ユーザがレイアウトを実行しているときにどこにマーキングを行うべきかをユーザに知らせ、ユーザが調査を実行しているときには、物体または構造体あるいは多次元空間の物理的特徴がどこに位置しているのかをユーザに知らせる。さらに、本発明のシステムは、仮想空間を多次元空間の表示へのオーバレイとして表示することができる。したがって、ユーザが多次元空間内を物理的に移動するとき、本発明のシステムは、ユーザの位置を追跡して、その位置を実際の空間および/または仮想の空間のグラフィック表示の中にリアルタイムで表示することができる。
【0014】
建築ナビゲーション(Architectural Navigation)およびオンサイト自律ロボットタスク実行(on site Autonomous Robotic Task Execution)という2つの新たな産業が、本発明のシステムおよび方法の結果として生成される。建築ナビゲーションは、建設プロジェクトの設計段階から実際の建設への移行を促進するために、1人以上の者によって実行される種々のタスクを取り扱う種々のサービスの提供を含む。さらに、建築ナビゲーションは、サービスの提供者によって作られる基準に従って、本発明のシステムおよび方法のユーザを訓練し、さらに/または認証することを含む。したがって、本発明の方法およびシステムを用いる多次元空間の自動調査、自動レイアウト、および/または自動検証において訓練および/または認証を受けたユーザは、建築ナビゲータと称される。上述の方法に加えて、建築ナビゲータは、仮想空間の設計者(例えば、建築家、エンジニア)によって生成された情報を、多次元空間の建設者(例えば、総合建設請負業者、フィールドエンジニア、測量士)によって行われる具体的タスクに協調させる役目を果たす種々の機能を実行する。調査、レイアウト、および検証のプロセスの際に、建築ナビゲータは、アクチュエータ/UID(例えば、ジョイスティック、スタイラス、タッチパッド、タッチキー、ジャイロ、空間または3Dマウス、キーボード)を操作し、マスターステーションおよびサブステーションを制御すべく種々の指令をマスターステーションへと送信する。また、マスターステーションは、サブステーションからの情報を受信し、システムが多次元空間の自動的な調査、レイアウト、および/または検証のために必要な処理を実行できるよう、この情報をコントローラへと提供する。
【0015】
オンサイト自律ロボットタスク実行(ARTE)は、(a)材料を多次元空間において建設に使用される物体および/または構造体のための構成要素へと製造および/または組み立てするため、ならびに/あるいは(b)システムの設備に建設タスク(例えば、自動的な調査、レイアウト、および/または検証)を自律的に実行させ、あるいはそのような構成要素または他の構成要素を使用することによってユーザの制御のもとでタスクを実行するために、システムの設備を使用することを含む。
【0016】
そのような自律装置または設備は、プログラムまたは一式のインストラクションに従ってARTE建設を実行する。例えば、マスターステーションモジュールを、自身に搭載または取り付けされたツールを遠隔制御するように構成することができ、ARTE建設を行うようにユーザによって制御することができ、あるいは自律的にARTE建設を行うように1つ以上のソフトウェアパッケージによってプログラムすることができる。本発明の方法に従って本発明のシステムのためにARTE建設を実行することができる装置を製造するあらゆる存在が、この新規な産業の一部である。さらに、本発明の方法に従ってARTE設備(本発明のシステムの一部である)を操作するように個人に訓練および/または認証を与えるあらゆる存在が、やはりこの新規な産業の一部である。ARTE建設のサービスを提供する存在であって、契約上の合意に従ってARTE建設を行うための訓練および認証を受けた人材を擁するあらゆる存在が、この新規な産業の一部である。ARTE作業の実行について訓練および/または認証を受けた者は、ARTE作業者と称される。
【0017】
以上、当業者が以下の本発明の詳細な説明をよりよく理解できるように、本発明の好ましい特徴をかなり大まかに概説した。本発明のさらなる特徴が以下で説明され、本発明の特許請求の範囲の主題を構成する。本明細書に開示される概念および具体的な実施の形態を、本発明と同じ目的を実行すべく他の構造および方法を設計または変更するための基礎として容易に使用でき、そのような他の構造および方法が、本発明の最も幅広い形態の精神および技術的範囲から逸脱するものではないことを、当業者であれば理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のシステムのブロック図を示している。
【図1A】本発明のシステムの特定の実例を示している。
【図1B】本発明のシステムの別の実施の形態を示している。
【図2】本発明のシステムのサブステーションのブロック図を示している。
【図3】本発明のシステムのマスターステーションモジュールのブロック図を示している。
【図4A】本発明のシステムのマスターステーションの一部であってよいレベリング通信レーザを示している。図4Aが等角投影図である。
【図4B】本発明のシステムのマスターステーションの一部であってよいレベリング通信レーザを示している。図4Bが正面図である。
【図5】レーザ下げ振りを有している本発明のシステムのマスターステーションモジュールの正面図を示している。
【図6A】カメラマウントを備えるマスターステーションモジュールを示している。図6Aが、この装置の等角投影図を示している。
【図6B】カメラマウントを備えるマスターステーションモジュールを示している。図6Bが、左側面図を示している。
【図6C】カメラマウントを備えるマスターステーションモジュールを示している。図6Cは、マスターステーションモジュールのためのコンピュータモジュールを示している。
【図7】レーザビームの十字をターゲットに集束させているマスターステーションモジュールの等角投影図である。
【図8】レーザビームの十字を地面または床面に集束させているマスターステーションモジュールの等角投影図である。
【図9A】2つの水平回転レーザを有しているマスターステーションモジュールの等角投影図を示している。
【図9B】図9Aの正面図である。
【図10】マスターステーション−サブステーション・システムを示している。
【図11】デイジーチェーン接続された複数のサブステーションに相互接続されたマスターステーションモジュールを示している。
【図12】可搬のサブステーションを示している。
【図13A】プリズムサブステーションを示している、図13Aが、2プリズムのサブステーションの実施の形態の等角投影図である。
【図13B】プリズムサブステーションを示している、図13Bが、3プリズムのサブステーションの実施の形態の等角投影図である。
【図14A】プリズムが搭載されたハンドヘルド・コンピュータ・ステーションを示している。
【図14B】レーザ距離測定装置が組み込みまたは取り付けされている図14Aのコンピュータの等角投影図である。
【図14C】プリズムが取り付けられた図14Aのコンピュータの側面図である。
【図15A】種々の可搬のサブステーションを示している。図15Aが、車輪を有するロボット車両を備えるサブステーションを示している。
【図15B】種々の可搬のサブステーションを示している。図15Bが、戦車の履帯の動きを有するサブステーションを示している。
【図15C】種々の可搬のサブステーションを示している。図15Cは、ロボット車両が昆虫または蜘蛛のような脚を有しているサブステーションを示している。
【図15D】種々の可搬のサブステーションを示している。図15Dは、水中翼船形式の空気浮遊運動を有するサブステーションを示している。
【図16】ロボットアームおよびツールを備えるロボットサブステーションを示している。
【図17A】ロボットマスターステーションモジュールを示している。図17Aは、ロボット車両に搭載されたマスターステーションモジュールを示している。
【図17B】ロボットマスターステーションモジュールを示している。図17Bは、作業を実行することができるマスターステーションモジュールを示している。
【図18】コンピュータネットワークを使用して相互接続された種々のマスターおよびサブステーションを示している。
【図19】固定の基準ステーションを読み取ることができる囲いの内部のマスターステーションモジュール(または、サブステーション)を示している。
【図20】バーコードが印刷されてなる360度のコーナーキューブプリズムを示している。
【図21A】種々のインテリジェントな標識を示している。
【図21B】種々のインテリジェントな標識を示している。
【図21C】種々のインテリジェントな標識を示している。
【図22A】マスターステーションモジュールを用いた有色プリズムの検出を説明している。
【図22B】マスターステーションモジュールを用いた有色プリズムの検出を説明している。
【図23A】回転レーザを用いたマスターステーションモジュールおよびサブステーションのやり取りを説明している。
【図23B】回転レーザを用いたマスターステーションモジュールおよびサブステーションのやり取りを説明している。
【図24A】写真環境モデラーを示している。
【図24B】写真環境モデラーを示している。
【図24C】写真環境モデラーを示している。
【図25A】ビーコンドローンおよびそれらの受信ポールとのやり取りを示している。
【図25B】ビーコンドローンおよびそれらの受信ポールとのやり取りを示している。
【図26A】可動部を持たない角運動量測定装置を示している。
【図26B】可動部を持たない角運動量測定装置を示している。
【図26C】可動部を持たない角運動量測定装置を示している。
【図26D】可動部を持たない角運動量測定装置を示している。
【図27A】レーザまたは音波距離計のためのハンドヘルドメータ・パン/チルト・ガントリを示している。図27Aが正面図である。
【図27B】レーザまたは音波距離計のためのハンドヘルドメータ・パン/チルト・ガントリを示している。図27Bが左側面図である。
【図28A】自動レベリング回転レーザを示している。図28Aが、等角投影図である。
【図28B】自動レベリング回転レーザを示している。図28Bは、装置の正面図である。
【図29】セルフレベリング回転レーザトラッカーを示している。
【図30A】自動レベリング固定レーザポインタを示している。
【図30B】自動レベリング固定レーザポインタを示している。
【図31】ロボット建設セキュリティステーションを示している。
【図32A】360°カメラステーションを示している。図32Aが、カメラの等角投影図である。
【図32B】360°カメラステーションを示している。図32Bは、伸縮ポールの上に取り付けられたカメラを示している。
【図32C】360°カメラステーションを示している。図32Cは、クレーンからぶら下がるカメラを示している。
【図33】建物ねじれセンサを示している。
【図34A】可動ロボットの移動を検出して、その正確な位置を割り出す装置を示している。図34Aが、加速度計および電子機器を備える装置の内部を等角投影図で示している。
【図34B】可動ロボットの移動を検出して、その正確な位置を割り出す装置を示している。
【図35】可搬のアームステーションの側面図である。
【図36】可搬のステーションの側面図である。
【図37】ツールアーム、水平方向および垂直方向に走査される可視レーザ、ならびに電子距離測定装置を有している車載のマスターステーションの側面図である。
【図38A】切断ツールを有するロボットアームを示している。
【図38B】印刷およびプロットツールを有するロボットアームを示している。
【図38C】下げ振り可視レーザポインタを有するロボットアームを示している。
【図38D】CMM、レーザスキャナ、または手動ポイント読み取りツールを有するロボットアームを示している。
【図38E】穿孔、彫刻、および燃焼ツールを有するロボットアームを示している。
【図39】本発明を使用するように構成された建物の囲いを示している。本発明のシステムが、キットとして図中に配置されている。すべての構成要素が、図中に示されている。特には、恒久的な位置へと取り付けられた固定の基準位置が示されている。
【図40】固定の基準ステーションのセンサ/送信機アレイを示す等角投影図である。
【図41】図14A〜Cのハンドヘルドコンピュータの表示装置の概略図である。
【図42】上下の可視レーザポインタと、組み込みの電子距離測定装置とを備える三脚プリズムポールの概略図である。
【図43】地面からの自身の高さおよび平面配置を確認するマルチビーム距離測定装置を有するマスターステーションを示している。
【図44A】ジャイロスコープによって安定化され、ケーブルによって駆動され、レールによって駆動され、あるいはホバー駆動される吊り下げコンピュータ化搬送システムを示している。
【図44B】ジャイロスコープによって安定化され、ケーブルによって駆動され、レールによって駆動され、あるいはホバー駆動される吊り下げコンピュータ化搬送システムを示している。
【図44C】ジャイロスコープによって安定化され、ケーブルによって駆動され、レールによって駆動され、あるいはホバー駆動される吊り下げコンピュータ化搬送システムを示している。
【図44D】ジャイロスコープによって安定化され、ケーブルによって駆動され、レールによって駆動され、あるいはホバー駆動される吊り下げコンピュータ化搬送システムを示している。
【図45】図44A〜Dのジャイロスコープによって安定化されたケーブル駆動の吊り下げコンピュータ化搬送システムがどのように使用されるのかを示している。
【図46A】プリズムポールのマーキングシステムのばね付勢の千枚通しを有する先端部を示している。
【図46B】プリズムポールのマーキングシステムのばね付勢のマーカまたはペイントスティックを有する先端部を示している。
【図47A】粘性減衰によって安定化されるプリズムポールを示している。
【図47B】粘性減衰によって安定化されるプリズムポールを示している。
【図48A】ジャイロスコープによって安定化されるプリズムポールの全体を示している。
【図48B】スタビライザヘッドを示している。
【図49】自身と測量士のポール(プリズムおよびデータ収集用ハンドヘルドコンピュータとやり取りする無線アンテナを有している)との間の距離を測定するマスターステーションモジュール(無線アンテナを有しているロボット)を示している。
【図50】ハンドヘルドコンピュータからの指示にもとづいてターゲット位置にマークを施す可視スペクトルのレーザを発している図49のトータルステーションを示している。
【図51】表面上に可視のターゲットスポットを生成するように可動ロボットを指揮する図49のマスターステーションモジュールを示している。
【図52】図51に示した実施の形態と同様であるが、マーキングが、所望のパターンの投影ベクトルのオーバレイである。
【図53】図49のシステムの第4の実施の形態であり、パターンが、三次元パターンの二次元表示である。
【図54】図49のシステムの第5の実施の形態であり、マスターステーションモジュールが、塗料を使用して地面に位置をマークするように可動ロボットを指揮している。
【図55】図49のシステムの第6の実施の形態であり、マスターステーションモジュールが、ツールによる作業(穿孔など)を実行するための位置へと可動ロボットを案内している。
【図56】図49のシステムの第7の実施の形態であり、マスターステーションモジュールが、測定および床へのマーキングが可能なロボットアームによって計測を実行するための位置へと可動ロボットを案内している。
【図57】測定およびマーキングが壁に対して行われている図56である。
【図58】マスターステーションモジュールがそれぞれ異なるハンドヘルドユニットと通信している複数のプリズムを追跡し、ハンドヘルドユニットが互いに通信する点を除き、図49のシステムの第8の実施の形態である。
【図59A】それぞれが自身の高さおよび互いの水平距離の両者を測定することができる2つのレーザ距離計ユニット(すなわち、AおよびB)の立面図を示している。
【図59B】レーザ距離計および回転プリズムの拡大図を示している。
【図60】図59の構成の平面図であり、位置の三角測量のためのターゲットセンサがさらに示されている。
【図61】距離および高さの測定をもたらすために特別なポールを使用する距離計を示している。
【図62A】3つのジャイロスコープと加速度計とを備える慣性測定システムを有するハンドヘルドユニットの内部に含まれる基本的な構成要素を示す等角投影図である。
【図62B】ハンドヘルドユニットの外側の等角投影図である。
【図63】本発明の方法のフローチャートを示している。
【図64】本発明の方法のフローチャートを示している。
【図65】本発明の方法のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の好ましい実施の形態を詳しく参照する。それらの例が、添付の図面に示されている。
【0020】
本明細書の全体において明確に示されるとおり、タスクを完了するために必要な段階の一部またはすべてが、本発明の方法に従って本発明のシステムの設備によって実行されるとき、タスクが「自動的に」実行される。本明細書において述べられる種々のタスクの最終段階の一部またはすべてが、組み込みのファームウェアおよび/またはソフトウェアによって指揮されるシステムの設備によって実行されることで、そのようなタスクが自動的に実行される。
【0021】
本明細書において使用されるとき、用語「建設現場」は、所定の境界を有する任意の多次元空間であって、その内部で物体および構造体の建設ならびにそれらの相互の配置および方向付けを実行することができる多次元空間を包含するものと理解され、建設現場は、建設の一部またはすべてが行われた任意の多次元空間も包含する。
【0022】
仮想空間は、建設現場の境界、設計の特定の物体または構造体、多次元空間における物体および/または構造体の互いの位置および方向ならびに指定の確立された基準点に対する位置および方向、ならびに所定の物体および/または構造体の実際の物理的な寸法を記述する(例えば、グラフィックおよび/またはテキスト)情報にもとづいて描くことができる多次元空間の視覚的表現または数学的表現である。設計をメモリアライズする情報は、仮想情報と称される。仮想情報の一例は、建設プロジェクトにおいて建築家またはエンジニアによって作り出された図面一式(例えば、2Dまたは3DのCAD(コンピュータ支援設計)図面)である。以下では、用語「建設現場」および「多次元空間」は、入れ換え可能に使用される。
【0023】
本明細書において使用されるとき、用語「調査」は、本発明の方法に従って本発明のシステムを使用するユーザ(好ましくは、建築ナビゲータ)のプロセスであって、建設現場における基準点および他の所定の位置(例えば、標識、水準点)を探し、それら所定の点の間の距離を測定し、建設現場の既存の構造体および/または物体を特定し、既存の物体および/または構造体の実際の物理的な寸法を測定し、建設現場に位置する既存の物体および/または構造体の間の距離を測定して、リアルタイムで、すなわち調査がなされるときに、建設現場の表現(例えば、グラフィカルな2Dまたは3DのCAD図面や、他の種類の表現)を自動的に生成するプロセスを指す。基準点は、建設現場において具体的に定められ、測定の起点として指定される点または位置である。基準点は、通常は、設計者(例えば、建築家、エンジニア)によって仮想情報において特定され、通常は、多次元空間の現場の測量士によって多次元空間に印される。調査から生成される情報が、仮想情報の一部となることができる。
【0024】
本明細書において使用されるとき、用語「レイアウト」は、基準点ならびに設計および/または調査から生成された仮想情報にもとづき、特定の点および/または場所の正確な位置、建設現場内の物体および構造体の向きおよび配置を、リアルタイムで自動的に特定するプロセスを指す。レイアウトのプロセスは、レイアウトされる多次元空間内でシステムのユーザを正確な場所へと案内することも含むことができる。その結果、ユーザが、正確な場所に印を付けることができ、あるいは本発明のユーザが、本発明のシステムの一部である設備を使用して、建設現場内の物体および構造体の位置に自動的に印を付けることができる。
【0025】
本発明のシステムおよび方法によれば、ユーザが、建設現場(すなわち、多次元空間)と仮想空間との間のマッピングを行うことによって、建設現場のレイアウトを実行することができる。マッピングは、2つの空間の間に明確な関係(例えば、数学的関係)が存在する場合において、一方の空間内の既知の点を指定し、もう一方の空間内の対応する点を計算し、あるいは割り出すことを指す。例えば、レイアウトの際に行われるように、仮想空間から多次元空間(すなわち、建設現場)へのマッピングが、本発明の方法が設計者の図面の中の点に明確な関係を適用して実際の多次元空間における対応する点の位置を決定または計算する場合に生じる。
【0026】
本明細書において使用されるとき、用語「検証」は、仮想情報を調査情報と比較し、レイアウトのプロセスにおいて何らかの誤差が関与したか否かを判断するプロセスを指す。システムが、誤差または不一致の位置ならびに生じた誤差の種類をユーザに知らせる。
【0027】
本発明の方法およびシステムを用いた多次元空間の自動的な調査、レイアウト、および/または検証において訓練されて認証されたユーザは、建築ナビゲータと称される。上述の方法に加えて、建築ナビゲータは、仮想空間の設計者(例えば、建築家、エンジニア)によって生成された情報を、多次元空間の請負人(例えば、総合建設請負業者、フィールドエンジニア、測量士)によって行われるべき特定のタスクに協調させるべく機能する種々の機能を実行する。本発明のシステムおよび方法の設計者/製造者は、ユーザが認証された建築ナビゲータとして認められる前にマスターしなければならない特定の要件およびスキルセットを公布することができる。例えば、建築ナビゲータは、測量士ではないが、測量の基本を理解することから利益を得ることができる。調査、レイアウト、および検証のプロセスにおいて、建築ナビゲータは、アクチュエータ/UIDを動作させ、マスターステーションへと種々の指令を送信して、マスターステーションおよびサブステーションを制御する。
【0028】
ARTE建設を実行すべく、本発明のシステムに従って設計および構成され、本発明の方法に従って操作される機器の運転ならびに/あるいはプログラミングおよび保守に精通して認証されたユーザは、ARTE作業者と称される。ARTE作業者は、さまざまな時点において、ARTE機器に割り当てられたタスクを実行するために、種々の現場の職人および現場の専門家とやり取りをする。ARTE作業者は、特定のタスクを計画するために現場の総合建設請負業者と協議することができる。さらに、ARTE作業者は、建設現場の調査に先立ち、建設現場のすべてまたは一部について、建設プロセスの戦略立案および計画のために、建築ナビゲータと協働することができる。
【0029】
I.本発明のシステム
図1を参照すると、本発明のシステムの一実施の形態のブロック図が示されている。本発明のシステムを、種々の手法および機器を用いて構成および/または実現できることに、注意すべきである。すなわち、本発明のシステムは、図1に示した特定の実施の形態に限定されるわけではない。
【0030】
本発明のシステムは、好ましくは、ユーザが建設現場の調査、レイアウト、および/または検証を実行できるように、互いに相互接続することができるモジュールの種々の組み合わせの集合体として実現される。マスターステーションモジュールに関するモジュールを、マスターステーションアセンブリまたは1つがマスターステーションモジュールである複数のモジュールを形成するために、互いに相互接続および/または結合させることができる。本明細書において使用されるとき、用語「マスターステーション」は、マスターステーションモジュールまたはマスターステーションアセンブリのいずれかを指す。各モジュールは、1つ以上のタスクを実行することができる装置であって、1つ以上の他の装置(モジュールであっても、モジュールでなくてもよい)へと接続することができる装置である。各サブステーションが、好ましくはモジュールの組み合わせとして構成される。
【0031】
さらに図1を参照すると、建築ナビゲータなどのユーザが、アクチュエータ/UIDモジュール130を動作させて、I/Oインターフェイスモジュール120およびコントローラモジュール116を介してマスターステーションモジュール110へと指令を送信することができる。指令が、伝播装置モジュール112を使用することによって、建設現場に位置する任意の数のN個のサブステーション(142、144、146、148、および150)へと送信される(ここで、Nは、1以上の整数)。伝播装置モジュール112を、サブステーションからの信号を受信するためにも使用することができる。伝播装置112は、多次元空間のレイアウト、調査、および/または検証の際に可視または不可視のレーザビームを送信することができるレーザとして示されている。図示のレーザは、反射されたレーザビームを受信して、装置112による信号の受信も可能にするためのセンサを、さらに有することができる。装置112は、RF(高周波)信号、マイクロ波信号、および他の種類の信号など、電磁気信号の送信および受信に使用される任意の1つ以上の装置であってよい。図示のとおり、マスターステーションモジュール110からの指令が、通信リンク132、134、136、138、および140を介して送信される。通信リンクは、例えば、種々の波長のレーザ信号、または別個の周波数帯を占めるRF(高周波)通信チャネル(例えば、気中、撚線、同軸ケーブル、光ファイバ、マイクロ波導波路)、あるいは他の種類の周知の伝播信号(例えば、光信号、マイクロ波信号、レーダ信号、赤外信号)であってよい。
【0032】
サブステーション142、144、146、148、および150のそれぞれが、信号を送信および/または受信することができ、適切な調査、レイアウト、または検証を可能にすべく建設現場の全体に戦略的に配置された対応する伝播装置(142A、144A、146A、148A、および150A)を有している。表示装置126が、アクチュエータ/UIDモジュール130を使用して生成されたテキスト情報ならびに/あるいは建設現場または仮想空間のグラフィック表現(すなわち、CAD図面)を描くために使用される。コントローラモジュール116に常駐するソフトウェアの制御のもとで、表示装置126が、建設現場および仮想空間の両方を同時に示すことができ、さらにマスターステーションモジュール110がN個のサブステーションのうちの1つから受信した建設現場情報を描くことができる。さらに、表示装置126は、データ保存部106またはマスターステーションモジュール110から得られるグラフィック情報を描くことができる。グラフィックは、データ保存モジュール106からの情報およびN個のサブステーションのうちの1つ以上から受信される情報を使用して、コントローラモジュール116にロードされたファームウェアまたはソフトウェアから、コントローラモジュール116によって生成される。
【0033】
マスターステーションモジュール110は、接続114Aおよび114Bを介してコントローラ116へと接続されている。コントローラモジュール116は、接続108Aおよび108Bを介してデータストレージモジュール106へと接続されている。さらに、コントローラモジュール116は、接続118Aおよび118Bを介してI/Oインターフェイスモジュール120へと接続されている。I/Oインターフェイスモジュールは、接続128および122をそれぞれ介してアクチュエータ/UID130および表示装置126の両者へと接続されている。表示装置126は、接続124を介してアクチュエータ/UID130へと接続されている。接続124により、テキストまたは他のユーザ由来の信号(例えば、マウス、ジョイスティック、スタイラス、タッチパッドからの信号)の結果を表示装置126に表示することが可能である。本明細書において使用されるとき、用語「接続」は、機械的な接続、電気的な接続、光学的な接続、または磁気的な接続、あるいはこれらの種類の接続の任意の組み合わせを指すことができ、この用語は、通常は、或る場所から他の場所または或るモジュールから別のモジュールへの信号(電気、磁気、機械、電気機械、光学、電気光学の信号)の転送を可能にする特定の経路、チャネル、または機構を指す。したがって、用語「接続」は、必ずしも物理的な接続には限られず、例えば互いに物理的には接続されていない2つの構成部品の間に、磁気的な結合を実現してもよい。
【0034】
データストレージモジュール106に保存される情報は、例えば建築家および/または建設プロジェクトの土木技師によって生み出すことができる設計図またはCAD(コンピュータ支援設計)図面として実現できる仮想情報であってよい。
【0035】
仮想情報が保存されるデータストレージモジュール106を、建築家またはエンジニアあるいは多次元空間の他の設計者によって生み出されたグラフィックおよび技術情報をデジタル的に保存して含むメモリユニットとして実施することができる。仮想情報を、ソフトウェアパッケージを使用して任意のいくつかの周知のやり方で生成することができ、そのような情報を、通信リンク104などの通信リンクおよび/またはインターネットなどの通信ネットワーク102を介して伝送することができる。通信リンク104は、同軸ケーブル、電話線、などの直接の物理的接続であってよく、あるいは無線リンク、光リンク、またはこれらの任意の組み合わせであってよい。
【0036】
マスターステーションモジュール110が、互いに接続され、あるいは互いに連絡するいくつかのモジュールのうちの1つとして、信号伝播装置112を備えて示されている。信号伝播装置112は、無線信号を伝播させるためのアンテナであってよい。要約すると、信号伝播装置112によって、これらに限られるわけではないが無線UHF(極超短波)、VHF(超短波)信号、およびレーザによって生成される信号などの光信号など、電磁信号を伝播させることができる。伝播装置112は、マスターステーションによって送信される信号の特定の種類に応じて、適切かつ正しい伝播装置をマスターステーションモジュールへと機械的および/または電気的に接続できるよう、マスターステーションへと着脱可能に取り付けられる。例えば、レーザをマスターステーションモジュール110へと接続し、マスターステーションモジュールの回路および機器の一部であるレーザによって生成される光信号(例えば、1つ以上のレーザビーム)の伝播を可能にすることができる。無線信号(RFまたは高周波信号、UHF、VHF信号)を伝播させるために、アンテナをマスターステーションモジュールへと接続することができる。その結果、マスターステーションモジュール110が、光および/または無線信号を送信することができる。マスターステーションモジュール110は、N個のサブステーションのうちの任意の1つ以上へと指令を送信することができるモジュールである。
【0037】
図1に示したマスターステーションアセンブリ(すなわち、マスターステーションモジュールを含む複数の接続されたモジュール)の一実施の形態を、「セオドライト」または測量機と呼ばれる周知の測定器具から構成することができる。そのような器具に、可視ビームを放射し、あるいは建設現場において距離ならびに水平方向および垂直方向の角度を測定するためのレーザビームを備えることができる。したがって、セオドライトに、コンピュータ(表示装置、コントローラ、アクチュエータ/UID装置を有している)ならびに制御可能な機械的機構および装置を後付けすることができ、コンピュータが、(1つ以上のソフトウェアプログラムとして実現される)本発明の方法に従って動作する。マスターステーションアッセンブリの別の実施の形態には、種々のタスクを実行するように無線信号または他の種類の信号によって遠方から制御することができるロボット車両を後付けすることができる。図1に示したマスターステーションアセンブリを、建築ナビゲータあるいは本発明のシステムおよび方法の熟練ユーザが多次元空間の自動調査、自動レイアウト、および自動検証を実行できるよう、そのようなロボット車両へと接続することができる。マスターステーションアセンブリのさらに別の実施の形態を、コントローラ116、表示装置126、I/O120、アクチュエータ130、およびデータストレージユニット106の機能を実行する任意の種類の可搬コンピュータ装置(例えば、ポケットPC、携帯情報端末(PDA))を受け入れるために使用することができるドッキングステーションによって実現することができる。
【0038】
A.マスターステーションモジュール
マスターステーションモジュールは、少なくとも1つの多チャネル送信機、少なくとも1つの多チャネル受信機、および少なくとも1つのプロセッサを備えている。さらに、マスターステーションモジュールは、コントローラ(すなわち、図1のコントローラ116)によって制御される1つ以上の機械的な装置および/または機構を備えることができる。コントローラが、本発明のシステムのユーザによるアクチュエータ/UIDの操作に応答して指令を生成し、そのような指令が、マスターステーションモジュールへと接続された機械的な装置および/または機構を制御するために使用される。多チャネル送信機は、1つ以上の区別可能な信号をアンテナまたはレーザ発生装置などの伝播装置を介してサブステーションへと送信することができる信号送信装置である。マスターステーションモジュールのさらに詳しい図が、図3に示されている。
【0039】
図3は、プロセッサ308を多チャネル受信機304および多チャネル送信機306へと接続して備えているマスターステーションモジュール300のブロック図を示している。さらに、プロセッサ308を、制御可能な機械的構造310へと接続することができる。マスターステーションモジュール300は、図1に示したマスターステーションモジュール110のさらに詳細なブロック図である。制御可能な機械的構造310は、マスターステーションモジュール300によって受信された指令にもとづいてプロセッサ308によって制御することができる1つ以上の機械的または電気機械的な装置または機構(例えば、無線制御の車両、ロボットシステム)であってよい。信号伝播装置302を、アンテナとして実現することができ、あるいは信号伝播装置302が、1つ以上のサブステーションまたは表面へとレーザビームを放射するためのレーザ発生装置であってよい。また、信号伝播装置302を、信号送信設備の一部としての使用に加え、信号を受信するためにも使用することができる。レーザの例では、センサを、信号の受信を可能にすべく装置112の信号受信部に取り付けることができる。アンテナの場合には、アンテナを、サブステーションおよび/または他のマスターステーションから送信される信号を受信するためにさまざまな時点において使用することができる。マスターステーションモジュール300が、2種類以上の信号伝播装置(例えば、同じマスターステーションモジュールへと接続された1つのアンテナおよび1つのプリズム)を備えてもよい。プロセッサ308を、受信信号の内容を処理して、マスターステーションモジュール300に制御可能な機械的構造310を使用してタスクを実行させることができるマイクロプロセッサとして実施することができる。さらに、プロセッサ308は、N個のサブステーションのうちの1つ以上および/またはコントローラ116(図1を参照)への送信のための応答および/または指令を生成することができる。
【0040】
マスターステーションモジュール300によって実行されるべきタスクの1つは、建設現場におけるマスターステーションモジュール300の位置を明らかにし、その位置を仮想空間内の対応する位置へと相関付けることであり、このプロセスは、一般的には、2つの既知の点からの物体の距離が当該物体の位置を正確に突き止めるために使用される三角測量と称される。3つ以上の既知の点を使用して、より正確に位置を特定することも可能である。さらに、本発明において、マスターステーションモジュール300は、仮想空間内に定められた基準点の位置を明らかにし、(通常は、測量士によって)多次元空間において特定することも可能である。マスターステーションモジュール300は、両方の基準点へと適切な直接視線を有するように配置される。マスターステーション300は、自身の送信機として、第1の基準点へとレーザビームを案内して、この基準点までの距離を測定することができるレーザプリズム装置を有することができる。次いで、レーザビームを第2の基準点へと向け、この第2の基準点までの距離を測定することができる。建設現場において距離を測定するためにレーザビーム(典型的には、不可視のビーム)を使用することは、周知の技法である。あるいは、レーザビームを反射することができるプリズムを備えるサブステーションを、各基準点の位置に正確に配置し、マスターステーションが、自身と両方のサブステーションとの間の距離を割り出すことができる。さらに、光を反射する材料または装置ならびに/あるいは電磁信号を反射する材料または装置を、基準点および多次元空間内の他の点に配置して、多次元空間内の距離ならびに物体および構造体の測定を可能にすることができる。次いで、マスターステーションモジュール300は、マスターステーション300の現在の位置を、多次元空間内および仮想空間内の特定可能な基準、物体、および/または構造体に対して割り出すための三角測量のプロセスを実行するために、両方の基準点についての距離情報をコントローラ116(図1を参照)へと転送することができる。
【0041】
サブステーションへの信号の送信およびサブステーションからの信号の受信に加えて、マスターステーションモジュール300の種々の構成要素またはモジュールの全体を、多次元空間のレイアウトのプロセスまたは建設現場の調査の実行の際に、種々のタスクを実行するようにコントローラ116によって制御することができる。例えば、マスターステーションモジュール300へと接続された信号伝播装置(例えば、レーザ、アンテナ)を、回転させ、あるいは配置変更することができ、あるいは車両または可動のマスターステーションの場合には、マスターステーション全体を新たな位置へと移動させ、新たな測定を行うことができる。システムのユーザは、例えば、アクチュエータ/UID130を操作することによってマスターステーションモジュール300を制御することができる。
【0042】
調査、レイアウト、および検証の実行を含む本発明の方法を、図1に示したマスターステーションアセンブリなどのマスターステーションアセンブリによって実行できることに、注意すべきである。マスターステーションアセンブリは、マスターステーションモジュール110、信号伝播装置112、コントローラモジュール116、I/Oインターフェイスモジュール120、アクチュエータ/インターフェイスモジュール130、および表示装置モジュール126を備えている。データストレージモジュール106が、マスターステーションアセンブリの一部であっても、マスターステーションアセンブリの一部でなくてもよい。
【0043】
B.コントローラモジュール
再び図1を参照すると、コントローラモジュール116は、1つ以上のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラによって実現できる処理装置である。コントローラモジュール116は、スタンドアロンのラップトップ、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータ、または相互接続されたコンピュータのネットワークであってよい。コンピュータモジュール116は、マスターステーションモジュール110と同じ場所に位置することができ、あるいはマスターステーションモジュール110から比較的遠い距離に位置することができる。コントローラモジュール116は、仮想情報が保存されたデータストレージモジュール106へのアクセスを有している。コントローラモジュール116は、建設現場のレイアウト、調査、または検証の最中または前に、仮想情報の一部またはすべてにアクセスすることができる。
【0044】
本発明の方法は、1つ以上のコントローラを制御する1つ以上のソフトウェアプログラムによって実現することができるが、コントローラモジュール116のメモリ部分に保存される。その結果、コントローラモジュール116は、本発明の方法の各段階のうちの任意の1つ以上と、マスターステーション、サブステーションを制御して、多次元空間および仮想空間のグラフィック表現をリアルタイムで生成するために必要なすべての段階とを実行することができる。最も重要なことには、コントローラモジュール116は、建設現場の自動的な調査、自動的なレイアウト、および自動的な検証を実行するために、本発明の方法の1つ以上の段階を実行することができる。コントローラモジュール116は、1つ以上のマスターステーションを制御して、三角測量の技法を実行することができる。さらに、コントローラモジュール116は、1つ以上のマスターステーションモジュールに、三角測量、距離の測定、ならびに多次元空間における物体および構造体の測定を実行するために、1つ以上のサブステーションの制御を実行させることができる。このように、コントローラモジュール116は、マスターステーションモジュールを直接制御し、サブステーションを(マスターステーションモジュールを介して)間接的に制御して、距離、水平方向および垂直方向の角度、ならびに特定可能な物体および/または構造体の寸法を測定する。さらに、コントローラモジュール116は、仮想空間および/または多次元空間のグラフィック表現を生成し、そのような空間を2Dまたは3Dで表示装置126に表示することができる。仮想空間および多次元空間が同時に示されるとき、どちらか一方を他方へのオーバレイとして示すことができる。コントローラモジュール116が、本発明の方法のような調査および/またはレイアウトの最中に、本発明のシステムによって多次元空間のグラフィック表現をリアルタイムで自動的に生成できるよう、種々のマッピング操作を実行できることにも注意すべきである。コントローラモジュール116は、コントローラモジュール116に常駐するシステムソフトウェアにもとづいて、種々のタスクの実行を指揮する。
【0045】
システムソフトウェア
システムソフトウェアは、建設および建築の市場における使用を容易にするように作られたグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を有しているコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアシステムである。このソフトウェアは、特定の位置特定、ナビゲーション、建設タスクの読み取りおよび書き込みを迅速に実行するように調製されている。システムソフトウェアは、自動車または他の車両のナビゲーションに利用されるGPS(全地球測位システム)システムのルック・アンド・フィールを模擬している。ユーザは、例えば建設中の建物を表わす現場の図面において案内される。このソフトウェアは、マスターステーションモジュール、サブステーションとの組み合わせにおいて使用され、既存の建築の状態の寸法的に正確な現況調査を、適切な形式(例えば、2Dまたは3DのCAD図面)でリアルタイムで生成する。
【0046】
システムソフトウェアは、ハンドヘルド、ラップトップ、タブレット、またはデスクトップのコンピュータに設置でき、あるいはマスターステーションモジュールおよび/またはサブステーションと通信する能力(指令を送信し、テレメトリを受信する)を有している他のコンピュータに設置することができる。このように、システムソフトウェアは、遠隔の測定、ナビゲーション、および文書化管理ソフトウェアとして機能することができる。システムソフトウェアは、マスターステーションモジュールへと指令を送信し、マスターステーションモジュールからテレメトリを受信する。システムソフトウェアは、マスターステーションモジュールのファームウェアへと指令を送信し、要求に応じて指定のタスク(例えば、指定の方向に向きを変え、あるいは特定の角度位置へと上下に移動し、可視レーザポインタをオン/オフし、距離または角度を測定する、など)を実行するように求める。マスターステーションモジュールが、要求された機能を実行し、実行または測定のテレメトリをシステムソフトウェアへと送り返すことによって応答する。下記に挙げる機能を参照されたい。
【0047】
コントローラ116のソフトウェアによって、コントローラモジュールは、マスターステーションアセンブリの種々の機能を制御して、調査、レイアウト、および/または検証の実行に関するタスクを実行することができる。システムソフトウェアの特徴のいくつかは、以下のとおりである。
・位置制御およびズーム制御が「ゴースト」される(図面上に或る程度透明または半透明に表示される)。
・表示された図面におけるグラフィカルな位置選択。
・測定対象点の視覚的参照およびコンピュータディスプレイ(例えば、表示装置126)に表示されたターゲットへとレーザビームを送信するプリズムの配置。
・プリズムなどの送信機が、ソフトウェアによって追跡される。プリズムが移動したとき、その新しい位置が表示装置に示される。
・多次元空間および仮想空間のグラフィック表現に対するターゲットプリズム(基準点において使用されるサブステーション)の位置の表示。
・レイアウトのプロセスにおいてユーザを選択された一連の点を通って案内する。
・測定結果を、フィートおよびインチにて表示することができる。
・マルチプリズムオフセット機能。
・自動標識認識(標識は、多次元空間において特別に特定される構造体または物体である)。
・ユーザの位置特定。現在地が画面上に表示される。
・マスターステーションおよび1つ以上のサブステーションの位置が(不可視のレーザビームを使用して)連続的に監視されるトラッキングモード。位置が、xyz座標に関して表現される。
・レイアウトの際に、可視のレーザビームが使用される。位置が、xyz座標にて表示される。
・アクチュエータ/UID装置(例えば、マウス、キーボード、3Dマウス、ジョイスティック、タッチパッド、スタイラス、デジタイザ、ジャイロ)の位置が、レーザによって空間において追跡され、ユーザがレーザを所望の位置に向けることを可能にする。これは、能動レーザポインティングモードと称される。
・ひとたびターゲット(例えば、基準点)または空間内の点が選択されると、現在位置からの「ターゲットまでの距離」が画面表示126に表示される。
・反射器なしモードとプリズムトラッキングモードとの間のシームレスな移行。
・プリズムトラッキングモードにおける可視レーザの発射。
・交替の図面または図面層へのアクセスが可能。
・パワーサーチ機能。マスターステーションが、プリズム位置を能動的にサーチする手順に従う。
・サブステーションの自動検出および位置特定。
・完全な図面外観が、「ゴースト」される(別の図面上に或る程度透明または半透明に表示される)。これは、(さまざまな地点に位置する)マスターステーション、サブステーション、およびプリズムの位置を、多次元空間全体に対して表示する。
・プロジェクトのCAD図面が、基準点および固定の基準ステーションにもとづいて建設現場へと参照される。この行為は、手動で行うことができ、あるいはソフトウェアによって自動的に行うことができる。
・ターゲットに近づくにつれ、グラフィックがズームインし、さらなる詳細およびさらなる精度がもたらされる。
・ソフトウェアが、或る位置から別の位置への推移の最中に、正確なxyz座標をもたらす。
・品質管理および文書化の目的において、行われた作業、レイアウト、記録、または変更された物を、時刻、日付、およびユーザスタンプとともに示す文書の生成。このファイルは、提出可能であってよい。
・各文書において、基準点の位置の画像などの基準座標測定情報が記録され、あるいは特定のファイルおよび層に関連付けられる。
・建築空間の画像または映像を記録でき、特定の座標に組み合わせることができる。
・マスターステーション、サブステーション、車両ステーション、車両マスターステーション、固定の基準ステーション、または可搬ステーションから受信される映像入力を、装置に立つ必要なく、装置をターゲットに正確に向けるために使用することができる。
・マスターステーションモジュールにおいて使用することができる任意の1つ以上のモータについて、マスターステーションモジュールモータの動きの精密な制御。
【0048】
C.I/Oインターフェイスモジュール
入力/出力インターフェイスモジュール120は、典型的にはユーザインターフェイス装置(UID)へと接続されたそのような装置から信号を受信し、そのような信号を処理のために適切に変換し、そのように変換した信号をマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラなどの処理ユニットへと転送する装置である。対照的に、マイクロプロセッサから1つ以上のUIDへの信号は、I/Oインターフェイスモジュール120によって受信され、UIDによる使用のために変換される。例えば、グラフィック表現がコントローラ116によって処理され、コントローラ116が、表示装置126によって表示されるべき信号を送信する。信号は、表示装置126に達する前に、表示装置126によって適切に処理されることができるように、I/Oインターフェイスモジュール120によって適切に変換される。I/Oインターフェイスモジュール120は、典型的には、コンピュータまたはコンピュータシステムの処理部が人間またはユーザによって操作される装置と適切にやり取りできるようにする装置として機能する。
【0049】
D.アクチュエータ/UIDモジュール
アクチュエータ/UID(ユーザインターフェイス装置)130は、指令、応答を送信し、あるいはコンピュータシステムまたはコンピュータを動作させるために、コンピュータまたはコンピュータシステムの中枢のプロセッサと通信するために使用される1つ以上のユーザによって操作することができる装置を呈する。アクチュエータの例として、これらに限られるわけではないが、キーボード、マウス、空間または3Dマウス、スタイラス、タッチパッド、ローラーボール、およびジョイスティックが挙げられる。
【0050】
E.表示モジュール
表示モジュール126は、CRT(陰極線管)モニタ、液晶表示装置(LCDディスプレイ)、プラズマディスプレイ、あるいは映像、グラフィック、テキスト、および視覚的に表示することが可能な他のあらゆる種類の情報を描画するために使用される種類の表示装置など、周知の表示装置のうちの任意の1つ以上であってよい。
【0051】
F.データストレージモジュール
データストレージモジュール106は、情報を任意の周知のフォーマットにてデジタル、アナログ形式で保存するための任意の種類の周知の記憶媒体を使用する任意のメモリ空間であってよい。このモジュールは、磁気媒体、光学媒体、半導体媒体、またはこれらの任意の組み合わせを使用して、情報を保存することができる。
【0052】
G.マスターステーションアセンブリ
(1)図1A
図1Aに示されているマスターステーションアセンブリは、本発明の方法に従って動作させることができる本発明のシステムの1つの具体的な実施の形態である。マスターステーションアセンブリは、マスターステーションモジュール30、ラップトップ18、ならびにアクチュエータ/UID26および30(ここでは、ジョイスティック26およびキーパッド30として示されている)を備えている。アンテナ22が、例えばインターネットを介して遠方に位置するデータストレージモジュール(図示されていない)に保存された仮想情報(例えば、多次元空間についての建築家の図面)へとアクセスするために使用することができる無線モデム(図示されていない)の一部として示されている。あるいは、データストレージモジュールは、ラップトップのメモリ(図示されていない)の一部であってよい。
【0053】
さらに図1Aを参照すると、マスターステーションアセンブリは、建設現場の自動的な調査、レイアウト、および検証を実現するために、本発明の方法の各段階のいずれかおよびすべてを実行することができる。マスターステーションモジュール30は、可視または不可視のレーザビームを物体、基準点、水準点、標識、または多次元空間内の他の所定の点へと案内するための回転および/またはスピンするレーザ2を有している。好ましくは、レイアウトのプロセスにおいては可視のビームが生成され、調査のプロセスにおいては不可視のビームが案内される。センサ8が、多次元空間内の物体または構造体から反射されるビームの受信および/または案内のために、モジュールのハウジング4に適切に配置される。スコープ6が、多次元空間における垂直方向および/または水平方向の角度を測定するために使用される。セルフレベリング機構10が、モジュールを適切に水平にするために使用され、レーザ14が、モジュールの水平または垂直を出すためにレーザビーム16を向けるものとして示されている。モジュールのハウジング4は、三脚12に搭載されている。モジュールのハウジング4内に、ラップトップ18のコントローラに常駐するソフトウェアとの連動においてジョイスティック26を操作することによって制御することができる種々の制御可能な機械的機構および装置(図示されていない)が位置している。
【0054】
ラップトップ18は、I/Oインターフェイスモジュール、コントローラモジュール、およびデータストレージモジュールを備えているが、いずれも図1Aには示されていない。結果として、データストレージモジュールに保存された仮想情報と、ラップトップ18のコントローラモジュールにインストールされた本発明の方法に従うソフトウェアとによって、図1Aに示したマスターステーションアセンブリは、建設現場の自動的な調査、レイアウト、および検証を実行することができる。建設現場の特定の物理的特徴に応じて、サブステーションなどのさらなる構成要素を、建設現場の自動的な調査、レイアウト、および検証を実行するために使用することができる。
【0055】
(2)図1B
図1Bに示したマスターステーションアセンブリは、後述される図37(車両取り付けのマスターステーション)関して説明されるとおりのマスターステーションアセンブリであり、そのようなマスターステーションモジュールを、本発明のユーザ(すなわち、ARTE作業者または建築ナビゲータまたは両方の産業に精通した者)によって直接制御することができる。図1Bに示したマスターステーションアセンブリは、自律的に動作することも可能である。マスターステーションアセンブリは、建設現場(すなわち、多次元空間)において使用される構成要素の製造および/または組み立てを実行でき、さらに現場において建設を実行するために、製造および組み立てした構成要素ならびに他の構成要素を使用することができる。ARTE作業者は、マスターステーションアセンブリがARTE作業者および/または建築ナビゲータによる直接的な制御を必要とせずに(ダウンロードされたプログラム中のインストラクションによって)自律的に動作できるよう、ラップトップからマスターステーションプロセッサへとプログラムを無線でダウンロードすることができる。自律的な動作とは、システムの1つ以上の機器がユーザの制御下にない状態で動作して1つ以上のタスクを実行することを指し、そのような機器は、そのような機器にダウンロードされたソフトウェアプログラムによって動作することができる。図示のとおり、マスターステーションは、ラップトップによってマスターステーションモジュールへとプログラムをダウンロードできるよう、ラップトップ18から信号を受信するためのアンテナ382および関連の電子機器(図示されていない)を有している。ラップトップは、キーボード30、表示装置28、および通信リンク20Aを介して信号を生成するために内部の通信装置(図示されていない)へと接続できるアンテナ22を有している。マスターステーションモジュールは、工具箱380およびマスターステーションのハウジング378を備えており、ハウジング378の上に水平方向にスピンするレーザ376および水平方向にスピンするレーザ375が搭載されている。ポール375が、マスターステーションのハウジング378の上部から延びており、このポール375の端部に、プリズム372およびレーザポインタ370が取り付けられている。さらに、マスターステーションモジュール384は、端部にレーザポインタ390およびプリズム388を位置させているロボットアーム386を備えている。上述の構成要素は、ラップトップおよびラップトップの構成要素を除いてすべて車両384の上部に搭載されており、車両384を、やはりユーザの操作するラップトップ18によって制御することができ、あるいは本発明の方法に沿ったプログラムを実行するラップトップ18によって自律的に制御することができる。
【0056】
H.サブステーション
図2を参照すると、本発明の方法を実行するための本発明のシステムの一部を構成することができるサブステーションのブロック図が示されている。サブステーション200が、受信機204、送信機206、プロセッサ208、制御可能な機械的構造210、および信号伝播装置202を備えている。伝播装置202が、送信機206および受信機204の両者へと接続され、送信機206および受信機204の両者が、プロセッサ208へと接続され、プロセッサ208が、機械的構造210へと接続されている。信号伝播装置202は、マスターステーションからの信号(例えば、無線信号、レーザビーム)を受信し、それら信号が、処理のためにプロセッサ208へと転送される。伝播装置202が、マスターステーションまたは他のサブステーションへと信号を送信することも可能である。信号は、タスクを実行すべく機械的構造210を制御するためにプロセッサ208によって処理される1つ以上の指令を含むことができる。サブステーション200をさまざまなモジュールで構成し、さまざまな種類のサブステーションを生み出すことができる。例えば、調査またはレイアウトの作業の際に単に1つ以上のマスターステーションからのレーザビームを反射させるために使用されるプロセッサおよび送信機を持たないサブステーションが存在してもよい。
【0057】
I.マスターステーションモジュール、マスターステーションアセンブリ、ならびにサブステーションおよびその構成要素のさまざまな例
1.レベリング通信レーザ
レベリング通信レーザは、マスターステーションモジュールの上に搭載することができる回転するパルス変調レーザ機構を備えている(図4Aおよび4Bを参照)。この装置は、視認可能な水平方向および垂直方向の基準レーザ線をもたらす。この装置は、その視線内の物体に印刷されたバーコード情報を読み取ることができる。さらに、これらのレーザは、パルス変調されており、データを送信して、送信された情報を受信できる装置へと届けることができる。
【0058】
センサも配置されており、パルス変調の送信機から送信された情報の読み取りまたは受信を可能にしている。レベリング通信レーザは、他の同様に設備されたマスターステーション、サブステーション、車両または固定の基準ステーションと通信することができる。さらに、レベリング通信レーザは、セルフレベリングのために機械化されている。
【0059】
図4(A)が、装置の等角投影図である。回転するレーザのブランケット効果が示されている。図4(B)は、装置の正面図である。ロボットマスターステーション11上の水平方向および垂直方向に回転するレーザ21の位置が、図示されている。ブランケット効果は、マスターステーション11の上部から生じるレーザ光の水平面および垂直面を生み出すことである。
【0060】
2.器具高さ距離メータ
図5を参照すると、器具高さ距離メータは、レーザ距離測定装置によって装置から地面までの距離を測定する方法を提供する装置である。ハンドヘルドのレーザ式の距離測定装置が、コンパクトなフォームファクタを有しており、技術水準の技術として入手可能である。この装置は、レーザ距離測定のための同様のコンパクトな電子機器を、床または地面からの正確な器具高さ測定を得るという目的で、既存のマスターステーションのハウジング35の基部へと組み込んでいる。電子機器は、自動レベリング装置45およびレーザ55を、距離測定の電子機器とともに備えている。レーザが、垂直軸に沿って可視のレーザビーム65を発し、これが床または地面までの距離を測定するために使用される。図5に示したこの装置は、マスターステーションであるため、ハウジング35は、垂直方向および水平方向に回転するレーザ75をさらに備えている。レーザ75が、マスターステーションを当該マスターステーションが配置される空間(あるいはCADまたはデジタル図面)に関して自動的かつ自律的に位置付けることを可能にし、それは、任意の数の固定の基準ステーションあるいは他のマスターステーションまたはサブステーションを捜索し、それらまでの距離を測定することによって行われる。マスターステーションは、三脚85に搭載されている。
【0061】
3.リモートターゲッティングのためのカメラを搭載しているシステム
この装置は、ターゲットの反射像をもたらすためにマスターステーションの光学系に接続されたカメラ60を、マスターステーション62の内部に取り付けて備えている。図6Aが、この装置の等角投影図を示しており、図6Bが、左側の立面図を示している。この装置によれば、ユーザが、図6Cに示したコンピュータ画面64上のポップアップウインドウを眺めることによって、遠方からマスターステーションを目標へと向けることができる。その結果、ユーザが装置からきわめて遠い距離に位置することができ、無線通信を使用して、自身に隣接する地点へと狙いを付けて、画面上64の自身のターゲットに合わせられた照準用十字線を見ることができる。
【0062】
4.可視レーザ照準用十字線光学系
図7を参照すると、レーザビームの照準用十字線をターゲットへと合わせるための光学系が、マスターステーション70の光学系に組み込まれている。これは、ユーザが視覚的にターゲットの位置を見つけることを助ける。
【0063】
5.可視レーザ下げ振り照準用十字線光学系
図8を参照すると、マスターステーション80の底部の取り付け部に照準用十字線光学系を取り付けることで、マスターステーションの高さの測定(図5を参照)の起点となる地面または床の上の点の視認性が向上する。ユーザが、マスターステーションから大きく離れることもあるそのような点の位置を物理的に確認したいと望むことがしばしばである。
【0064】
6.複数のレベリングレーザステーション
図4Aは、マスターステーションのレベリングに使用される水平面を確立する目的のために、水平方向に回転するレーザを1つだけ有しているマスターステーションを示している。図9Aおよび9Bは、水平方向に回転する2つのレーザ84および86を有しているマスターステーション81を示している。図9Aが、等角投影図であり、図9Bが、正面図である。複数(すなわち、2つ以上)の回転するレーザの使用は、自動レベリングのためである。任意の所望の数の回転するレーザを、この目的のために使用することができる。この特徴を有するマスターステーションは、床または建設現場による移動をユーザに警報し、測定のずれを自動的に補正することができる。
【0065】
7.サブステーション
マスターステーションとプリズムとの間の関係を、以下では「マスター−サブステーション」関係と定義する。
【0066】
8.マスター−サブステーション・システム
マスターステーション−サブステーション・システムは、マスターステーションおよびプリズムが取り付けられたサブステーションモジュール(典型的には、プリズムがサブステーションの上部に取り付けられる)を含んでいる。プリズム(図20を参照)は、図13A、13B、および20に示したものと実質的に同様のマルチコーナーキューブ反射システムである。プリズムは、プリズムに組み込まれたコーナーキューブの数およびそれらのプリズムにおける取り付けの相対角度に応じて、像(または、ビーム)をいくつかの視線に沿って反射させることができる。図10に、そのようなシステムの例を示している。マスターステーション72が、サブステーションのプリズム76を見つけ、これら2つの装置の間の距離および角度を測定し、サブステーション74の位置を工事現場、工事現場の図面、およびマスターステーションの位置に対して自動的に三角測量する。サブステーションは、工事現場のあちこちに容易に運んで移動させることができるように意図され、マスターステーションの視線内にない座標を特定するための解決策である。サブステーションの位置を三角測量するプロセスが、サブステーションが工事現場において動かされるたびに繰り返される。サブステーションの位置を三角測量するプロセスは、自動的なマスターステーションの機能であってよい(すなわち、直接的な指令なしで実行される)。ひとたびマスターステーションがサブステーションの位置を割り出すと、種々の作業の機能を実行するようにサブステーションへと指令を送信することができる。
【0067】
機能の例:
・位置がCAD表示上で選択される。
・選択された位置が、マスターステーションの視線を超えている。
・マスターステーションが、可視レーザを選択された位置へと向け、あるいはプリズムをその位置へとナビゲートするように、サブステーションに指令する。
【0068】
このようにして、このシステムは、サブステーションの位置を能動的に監視し、あるいは(マスターステーションの視線にないターゲットについて)サブステーションによってマスターステーションへともたらされる座標に対してマスターステーションの位置を能動的に監視する。
【0069】
図11を参照すると、複数のサブステーション(97、94、96、98、91、93)を、「デイジーチェーン」または「スターチェーン」に接続することができる。1つまたは複数のサブステーションを、別個独立に1つのマスターステーション90と使用することができ、あるいは多数をマスターステーションと協働して使用することができる。
【0070】
9.可搬のサブステーション
図12を参照すると、可搬のサブステーションが、距離および角度を測定することができ、可視レーザを指定の位置に向けることができる簡素な動力付きのモジュール920を備えている。この装置に、伸縮ポール1200が取り付けられ、その頂上にプリズム1120が無線通信の方法とともに取り付けられる。可搬のサブステーションは、工事現場のあちこちに容易に運んで移動させられるように意図され、マスターステーションの視線内にない位置を特定するための解決策である。可搬のサブステーションは、ひとたび配置が変更されると、セルフレベリングを行うように機械化されている。可搬のサブステーションは、三脚に搭載されている。
【0071】
10.可搬ツールプラットフォーム・スレーブステーション
可搬のツールプラットフォーム・サブステーションが、多軸コンピュータ制御のツールアーム1300を備えており、このツールアームの端部に、2つのプリズム1302、1304が取り付けられている。これが、図13Aに等角投影図で示されている。ツールアームの端部に取り付けられた2つのプリズムが、ツールの位置付けおよび選択されたツールの整列を容易にするために使用される。可搬のツールプラットフォーム・サブステーションは、工事現場のあちこちに容易に運んで移動させられるように意図され、マスターステーションの視線内にない位置を特定するための解決策である。可搬のツールプラットフォーム・サブステーションは、ひとたび配置が変更されると、セルフレベリングを行うように機械化されている。2つのプリズムを有するバーが、バーの指す方向を割り出すために使用される。
【0072】
図13Bが、3つのプリズム1308、1310、1312を三角形のプラットフォーム1306に搭載して有している同様のツールを等角投影図で示している。3つのプリズムは、好ましくは、同一直線上にあってはならない。3つのプリズムは、例えば三角形を形成することができる。
【0073】
可搬のツールプラットフォーム・サブステーションの重要な構成要素は、すでに上述したとおりのレベリング通信レーザシステムであり、回転するパルス変調レーザをサブステーションの筐体の上部に取り付けて備えている。装置は、可視の水平および垂直な基準レーザ線をもたらすように意図されている。この装置は、視線内の物体に印刷されたバーコード情報を読み取ることができる。さらに、これらのレーザは、パルス変調されており、データを送信して、送信された情報を受信できる装置へと届けることができる。
【0074】
センサも配置されており、パルス変調の送信機から送信された情報の読み取りまたは受信を可能にしている。レベリング通信レーザは、他の同様に設備されたマスター、サブステーション、車両または固定の基準ステーションと通信することができる。最後に、レベリング通信レーザは、セルフレベリングのために機械化されている。
【0075】
可搬のツールプラットフォーム・サブステーションの主たるツールは、ツールアームの端部に取り付けられた可視レーザによる距離計であり、この装置が、選択された位置を指し示し、あるいは選択された位置までの距離を測定するために使用される。
【0076】
11.プリズムが取り付けられたハンドヘルドコンピュータ
図14Aは、プリズム1400(例えば、360°のコーナーキューブプリズム)を表示部の上方に取り付けて有しているハンドヘルドコンピュータステーション1402の上面概略図である。図14Bは、レーザ距離測定装置1404が組み込みまたは取り付けされているハンドヘルドコンピュータ1402の等角投影図を示している。マッピング情報が、コンピュータの画面上に現れる。コンピュータは、典型的には、ユーザによって保持される。プリズムの機能は、位置特定装置として機能することにある。図14Cが、図14Aのハンドヘルド装置の側面図を示している。図14Cにおいて、コンピュータが、作り付けの支持部1406を使用して直立するようにされており、図14Aの図が、正面図を示している。マスターステーション(または、サブステーション)が、上述のとおりプリズムの位置を特定する。ひとたび位置が特定されると、全システムが、コンピュータ1402を保持しているユーザの(XYZ空間における)位置を知る。さらに、ユーザは、マスターステーション、サブステーション、および固定の基準点に対する自身の位置を知る。今や、ユーザが現場をあちこちと移動するときに、システムがユーザの移動を知る。ハンドヘルドコンピュータを、GPSシステムが自動車において使用されるやり方とほぼ同じやり方で、ナビゲーションツールとして使用することができる。
【0077】
12.車両ステーション
図15〜18を参照する。マスターステーションモジュール、コンピュータディスプレイ、ソフトウェア、および工事現場の図面の存在に加え、本発明のシステムは、少なくとも1つのプリズム1502を搭載してなる車両ロボット1500をさらに備えることができる。この車両ロボットは、2つのプリズムを搭載することができ、あるいは非直線配置の3つ以上のプリズムを搭載することができる。
【0078】
車両ロボット1500は、動力内蔵式、有線式、またはプラグイン式である。車両ロボットの移動および活動を、システムソフトウェアによって制御することができ、あるいはマウス、3Dマウスまたは空間マウス、ジョイスティック、スタイラス、タッチパッド、タッチキー、デジタイザ、ジャイロ、または慣性測定ユニット制御などの制御装置によって、有線または無線で、手動で制御することができる。車両ロボット1500は、車載の制御コンピュータおよびソフトウェアを有することができる。車両ロボットは、車輪、履帯、脚を有することができ、あるいは工事現場の表面を浮上移動することができ、人間によって物理的に運ばれる必要がない。車両ロボットを、人間によって動かすことができる。いくつかの電子コンパス、傾斜計、加速度計、および慣性測定ユニットを、ナビゲーションのプロセスを助けるため、および方位のテレメトリを提供するために配置することができる。車両ロボット1500は、指令の受信およびテレメトリ情報の送信のために、無線で通信を行うことができる。車両ロボットは、レーザ線を追跡して追従し、あるいは指定の位置を向いて、作業を実行し、さらには/あるいは途中で作業を実行するために、センサを備えている。
【0079】
車両ロボット1500は、所定の作業機能を実行するために使用される種々さまざまなツールおよび装置のプラットフォームであり、マスターステーションによって操縦されて工事現場を巡る。車両ロボットは、マスターステーションによって観測され、その位置が三角測量される。マスターステーションが、工事現場の図面から直接に車両ステーションを操縦する。
【0080】
図15A〜Dが、4つの異なる種類の車両ステーションを示している。これらはあくまでも例にすぎず、多数の他の構成が可能である。図15Aは、3つまたは4つの車輪を有する車両ステーションを示している。図15Bは、戦車状の動きを用いる車両ロボット1500B(プリズム1504を備えている)を示している。図15Cは、移動のために昆虫または蜘蛛様の脚を有している車両ロボット1500C(プリズム1506を備えている)を示している。この種のステーションは、現場を巡って所定の位置へと歩行する。図15Dは、水中翼船のように表面上を移動する浮上移動式車両ロボット1500D(プリズム1508を備えている)を示している。
【0081】
13.コンピュータ制御の多軸ロボットアームを車両に取り付けてなるステーション
マスターステーションモジュール、コンピュータディスプレイ、および工事現場の図面の存在に加え、本発明は、プリズムおよびコンピュータ制御の多軸ロボットツールアームを有している車両ロボットを備えている(図35、37、および38を参照)。特には図38に、さまざまなツールが示されている。
・切断ツールを備えたロボットアーム3802、
・印刷またはプロットツールを備えたロボットアーム3804、
・垂直可視レーザポインタを備えたロボットアーム3806、
・CMM、レーザスキャナ、または手動地点読み取りツールを備えたロボットアーム3808、および
・穿孔、彫刻、または燃焼ツールを備えたロボットアーム3810。
【0082】
本発明のシステムの図16が、位置特定プリズム1602を備え、ロボットアーム1604の端部に取り付けられた二連プリズム装置1606(図16に示されている)をさらに備えている該当の装置1600を示している。さらに、この図に示されている装置は、ロボットアームが指令にもとづいて自ら着脱することができる種々のツール(図35、37、38、ならびに46AおよびBを参照)を収容する自動ツールボックス1608を備えている。
【0083】
図15〜18に示したマスターステーションモジュールまたはアセンブリは、現場でのロボット製造に関する種々のタスクを実行するように構成されている。
【0084】
14.車載式のマスターステーションモジュール
図17Aを参照すると、マスターステーションモジュール1700を、コンピュータ制御の可動電子ロボット車両1702に搭載することができる。今や、マスターステーションモジュールは、固定の位置にはなく、工事現場において既知の位置へと移動する。図17Bを参照すると、車載式のマスターステーションアセンブリ1710が、コンピュータディスプレイ(図示されていない)、コンテナ/ツールボックス1708に保存されたソフトウェアおよび工事現場の図面を備えており、マスターステーションモジュール1700、プリズム1720、およびコンピュータ制御の多軸ロボットツールアーム1712(例えば、二連プリズムおよびレーザポインタなどのツール1714が装着される)を有する車両ロボットをさらに備えている。車載式のマスターステーションを、指定の機能を実行するようにコンピュータディスプレイを介してシステムソフトウェアによって指揮することができ、あるいは車載式のマスターステーションが、位置の測定および三角測量、ナビゲーション、ならびに通信などといった作業機能を、自律的に実行することができる。
【0085】
車載式のマスターステーションの利点は、手動または遠方からの制御が可能であり、あるいは当該車両が配置された空間および工事現場の図面に関して自律的な車両の配向およびナビゲーションを実行できる点にある。車載式のマスターステーションシステムは、プリズムの動きを認めて追跡するために、マスターステーションモジュールの能力を利用する。
【0086】
車載のマスターステーションアセンブリは、固定の基準ステーション、サブステーション、ならびに/あるいは他の任意のマスターステーションまたは車載のマスターステーションを見つけ、これらと通信し、これらの位置を測定および三角測量することによって、工事現場の図面から工事現場を巡って移動しながら自律的にナビゲーションを行うことができる。この装置を、現在位置から別の位置へと移動するように指揮することができ、あるいは現在位置から別の位置へと移動することを自律的に選択することができ、そこで種々の作業機能を実行するために、コンピュータ制御の多軸ツールアームを利用することができる。
【0087】
コンピュータ制御の多軸ツールアームは、要求に応じた建設行為または作業を実行するために、作業ツールを自動的に交換することができる。ツールを、車両ステーションに取り付けられたマルチツールホルダまたはツールボックス(例えば、1708)から直接、自動的に入れ換えることができる。
【0088】
図18が、通信ネットワークの使用とともに機能する複数の装置を示している。種々の装置およびロボット車両が、作業の実行および所与の工事現場のナビゲートのために協働する。装置1814が、マスターステーションとして機能でき、残りの装置(1800、1802、1804、1806、1808、1810、および1812)が、図38A〜38Eに関して説明されるような種々の建設タスクを実行するサブステーションとして働く。
【0089】
15.固定の基準ステーションシステム
固定の基準ステーションを、読み取り可能な固定の基準をもたらす多数の装置の中から選択することができる。固定の基準ステーションは、受動的な装置であってよい。しかしながら、受信機へと情報を送信することができるインテリジェントな装置であってもよく、あるいは特定のメッセージに光学的に応答できる。
・コンクリート製のスラブへと固定または埋設され、あるいは恒久的な位置へと固定される。
・位置指定可能かつ特定可能な既知の位置の標識に取り付けられる。
・標識が、当該装置が配置された空間またはCAD図面に対する自動的かつ自律的な装置の配向を可能にする。
【0090】
マスターステーションモジュールまたはアセンブリは、とりわけ電磁気(例えば、光、有色光、赤外線、RFID、X線、バーコード、など)、超音波、デジタルコンパス、サイバネティックス情報理論、および符号化された情報などの方法によって、基準ステーション(すなわち、サブステーションの種類)を特定することができる。
【0091】
固定の基準サブステーションシステムの目的は、それらが配置された空間に対し、あるいはCADまたはデジタル図面に従って、自動的かつ自律的な装置の配向およびナビゲーションを行うための固定の基準点をもたらすことにある。これらの装置は、同じ空間内に位置する任意の数の他の固定の基準サブステーションを連続的に捜索し、それらまでの距離を測定および再測定することによって、これを行う。最終的な目標は、より高い測定精度の達成、ならびにCAD図面からの屋内または屋外の自律的または遠隔制御の車両、人型ロボット、アンドロイド、あるいは他のロボットまたはロボット車両、ツールまたはシステムによってナビゲートすることである。
【0092】
固定の基準ステーションシステムは、少なくとも1つのマスターステーションおよび少なくとも2つの「標識」を備えている。標識(別の種類のサブステーション)の最も単純な形態は、本質的に、工事現場に恒久的または一時的に取り付けられる受動反射器またはプリズムである装置で構成される。標識の目的は、マスターステーションモジュールまたはアセンブリ、サブステーション、あるいは他の装置にとって、視線内のどこかから自身の位置を測定または三角測量するための起点とすることができる仮想の基準を提供することにある。標識は、当該標識が配置された空間において、CAD図面またはデジタル図面に関して、マスターステーションを自動的または自律的に正しく位置させる機会を提供する。
【0093】
マスターステーションモジュールまたはアセンブリが、工事現場に配置され、2つの標識が、空間内に取り付けられる。それら標識の位置が、既知であり、CADまたはデジタル図面において特定される。マスターステーションが標識を見つけ、角度および距離の測定にもとづいて、標識および工事現場の図面に対して自身の位置を三角測量することができる。自身の位置を三角測量するプロセスは、自動的なマスターステーションの機能であってよく、すなわち固定の基準ステーションを有する現場に配置されたときに、直接的な指令を必要とせずに実行することができる。固定の基準ステーションシステムは、図面からの屋内または屋外の車両、人型ロボット、アンドロイド、または他の稼働のロボット車両、ツールまたはシステムの自律的なナビゲーションを可能にすることができる。マスターステーション、サブステーション、または車両ステーションも、標識として機能することができる。標識は、指定可能であって、それぞれを固有に特定することができる。
【0094】
図19が、固定の基準ステーション(標識)1904を有する筐体1900内に収容されたマスターステーション1902を示している。これが、固定の基準ステーションシステムの最小構成である。
【0095】
標識は、受動的であっても、インテリジェントであってもよい。受動標識は、プリズムまたは反射器、印刷によるバーコードまたはグラフィック、照準用十字線、または釘を備えることができる。受動標識の例が、例えばRFID(高周波識別)技術によってマスターステーションによって読み取ることができる刻印バーコード2002を有するプリズム2000として、図20に示されている。
【0096】
図21A〜Cを参照すると、インテリジェントな標識に、電子機器が組み合わせられている。それらは、その上面図が図21Aによって示されている受動標識が有する視覚的な印を有することもできる。図21Aの標識は、情報をマスターステーションへと反射させる(または、受動的に伝達する)ために例えばRFIDシステムにおいて使用することができる特定のパターン(2100の十字線、2101の点パターン、2104の波パターン、および2106のバーコードパターン)を有する受動サブステーションに相当することができる。電子機器を、図21Bおよび図21Cに示されるように標識に埋め込むことができる。標識2100および2102の上方からの斜視図が、それぞれ図21Bおよび21Cに示されている。
【0097】
他の同種の装置に対して自身の位置を知るインテリジェントな標識として機能し、あるいはマスターステーションまたはサブステーション(車両または非車両)との通信によって、これらの装置は、互いにネットワークし、情報を受信および送信し、データ、光、および超音波信号を向け直すことができる。インテリジェントな標識は、典型的には、距離の測定および通信を容易にするために、さまざまな電子センサ、送信機および受信機を備え、反射器または適当な視覚的グラフィックを有している。意図される態様のいくつかは、高周波、音波通信および距離測定、操向可能レーザまたは受動レーザ通信である。これらの装置は、任意の電磁気信号、データ、光、または超音波信号を送信し、受信し、転送することができる。
【0098】
16.有色マルチプリズム認識システム
図22AおよびBを参照すると、各プリズムが別個独立の標識として機能することができるマルチプリズムアセンブリおよび認識システムが示されている。これは、赤外光ならびに色認識を使用して行われる。図22Bにおいて、それぞれが別個独立の標識として機能する複数のプリズムが存在している。各プリズムが、異なる色の光を返す。図22Aにおいて、マスターステーション2200の上部に赤外ストロボ2204が取り付けられている。カラーCCD(電荷結合素子)チップ2206が、マスターステーションの受信機に設置されている。図22Bにおいて、赤外ストロボが発光し、赤外光がさまざまな色のプリズム2208、2210、2212、2214、2216、および2218から跳ね返る。ビーム2202Aおよび2202Bが、視野内の複数のプリズムを同時に識別できるよう、複数のプリズムに向かって扇形に広がる。
【0099】
有色プリズム認識システムは、迅速な多数のプリズムの特定および個々のプリズムの認識をもたらすことができる。既存のマスターステーション−プリズムの関係に比べ、有色マルチプリズム認識システムは、3つの独特な機能的特徴で構成されている。
・個々のプリズムのそれぞれが、異なる色の2色性ガラスで構成される。
・現時点においてマスターステーションモジュールに位置しており、マスターステーションモジュールの視野内のプリズムを迅速に捜索する方法として拡散ビーム赤外レーザを利用する黒白CCDカメラチップが、カラーCCDチップ2206で。黒白カメラチップをカラーCCDチップで置き換えることによって、マスターステーションモジュールは、色の区別を行うことができ、各プリズムを個々に特定または指定できるようになる。現時点においては、赤外レーザが、マスターステーションモジュールの視野内のプリズムを捜索するために扇形に広がる経路にて使用されており、この方法では、一度に1つのプリズムしか特定することができない。
・赤外ストロボ2204またはフラッシュを、マスターステーションの視野内の複数のプリズムの数および位置を同時に特定する手段として機能するように、利用することができる。
【0100】
図22Bを参照すると、6つのプリズムが、マスターステーションの視野内に位置している。マスターステーションが、赤外ストロボ光を放射する。瞬時に、全プリズムのそれぞれの位置が、プリズムの固有色にもとづいて知られる。
【0101】
17.回転マスターステーション−回転サブステーション
図23AおよびBが、回転レーザを備えるマスターステーション2302と回転レーザを備えるサブステーション2304との組み合わせの使用を示している。この組み合わせの利点および機能が、そこに示されている。このシステムは、工事現場における距離の測定およびナビゲーションの手段として、マスターステーションモジュールとは別個独立に使用され、あるいはマスターステーションモジュールの代わりに使用されるように意図されている。回転マスターステーションは、XYZ座標の測定および位置の三角測量データを、CAD図面またはデジタル図面からの工事現場でのナビゲーションおよび測定の目的のために、無線のコンピュータ装置へともたらすことができる。
【0102】
図23Aを参照すると、回転マスターステーション2302は、2つの距離測定レーザ2302A、2302Bと2つのプリズム発見レーザ2302C、2302D(上面図2300を参照)とを、いずれも装置の筐体の上部に搭載して備えている読み取り器および測定装置である。装置のこの構成要素は、視線内の物体に印刷されたバーコード情報を読み取ることができる。装置の下部には、4つのパルス変調レーザ送信機2302E、2302F、2302G、2302Hと4つのレーザデータ受信センサ2302I、2302J、2302K、2302L(底面図2350を参照)とからなる機構が搭載されている。これらのレーザは、データを、送信された情報を受信することができる装置へと届けることができる。センサが、パルス変調送信機から送信された情報の読み取りまたは受信を可能にする。回転マスターステーション2302は、他の同様に設備されたマスターステーションまたはサブステーションあるいは固定の基準と通信することができる。回転マスターステーション機構を、セルフレベリングするように構成することができる。
【0103】
回転サブステーション2304は、360度のコーナーキューブプリズム2306を装置の筐体の上部に搭載して有している。装置の下部(図示されていない)には、4つのパルス変調レーザ送信機と4つのレーザデータ受信センサとからなる機構が搭載されている。回転サブステーションの機構を、セルフレベリングするように構成することができる。
【0104】
回転マスターステーション2302および回転サブステーション2304は、それらのパルス変調レーザおよび受信センサによって互いに通信する。識別、テレメトリ、および指令の交換が行われる。
【0105】
図23Aが、プリズム送信機および受信機アレイを備える連続的に回転するマスターステーションの構造を示している。このシステムは、ロボットマスターステーションモジュールを置き換える。現時点において入手可能な回転レーザのレベルを適応することによって、この装置は、XYZ座標の測定および位置の三角測量を、CAD図面から建設現場またはその他におけるナビゲーションおよび測定のために、無線のコンピュータ装置へともたらすことができる。読み取り器、測定器は、2つのプリズム発見レーザビーム2302A、2302B、上部アレイ2302C、2302Dの2つの距離測定レーザビームを備えている。読み取り器、書き込み器は、各装置の下部に4つのデータ送信レーザ2302E、2302F、2302G、2302H、4つのレーザデータ受信センサ2302I、2302J、2302K、2302Lを備えている。このステーションは、以下の特徴を有している。
a.可視レーザのセルフレベリングを行い、
b.レーザビームによってデータを送信でき、
c.レーザビームによってデータを受信でき、
d.複数のプリズムまでの距離を測定でき、
e.戻りの信号にもとづいてプリズム間の区別を行うことができ、
f.情報を無線で送信することができる。
【0106】
図23Bが、回転マスターステーションの基本的な機能を示している。
前提:各装置の高さがセットアップ時に確立され、したがって既知である。
a.マスターステーション2302が、プリズム2306を見つける。
b.マスターステーション2302が、プリズム2306までの距離を測定する。
c.マスターステーション2302が、サブステーション2304からのユニットIDを要求する。
d.サブステーション2304が、ユニットIDによって応答する。
e.マスターステーション2302が、サブステーション2304のX、Y、Z座標をサブステーションへともたらす。
【0107】
18.写真環境モデラー
図24A〜Cを参照すると、写真環境モデラー2450が、4つの距離測定レーザ2452、2454、2456、2458、4つのデジタルカメラチップ2460、2462、2464、2466、4つのストロボ2466、2468、2470、2472、および中央接眼レンズ2474を、すべて同じハウジング2476に搭載して備えている。図24Aは、この装置に使用される4レンズカメラの等角投影図である。各レンズは、4つのすべての写真を同時に感光し、4つの距離測定(図24Bを参照)にそれぞれ関連付けられた4つの別個の画像2478、2480、2482、2484(図24Bおよび24Cを参照)で構成されたファイルをもたらす。ファイルは、4つのレーザからのテレメトリデータを、4つの画像(例えば、JPEG、TIFF、または他の好都合なフォーマットである)とともに含んでいる。このシステムの目的は、正確な測定データおよび関連の画像を有する内部空間の三次元モデルを迅速に生成することにある。現時点において、2枚以上の写真を撮影することができ、3つ以上の共通の基準点を特定することによって、コンピュータが光学ひずみを補正しつつそれらの写真を光学的に合併または縫合する市販のソフトウェアが存在している。この種のソフトウェアは、通常は、複数の画像からパノラマ画像を生成するために使用される。また、マーカードットをモデル化対象アイテムに配置する手順も、3Dグラフィックの生成に使用するために、現時点において利用可能である。これらの手順は、三次元モデルの構築を容易にする。
【0108】
本発明は、装置からの既知の距離を有している4つの既知の「ドット」を利用する。これらが、撮影されたすべての写真に現れ、これら画像処理の2つのソフトウェア方法を組み合わせることによって、空間の三次元モデルを生成することができる。
【0109】
19.ビーコンドローン(Beacon Drone)三角測量システム
図25AおよびBを参照する。ビーコンドローン三角測量システムは、3つのビーコンドローンステーションおよび少なくとも1つの位置検出受信ポール2504(図25Bを参照)を備える。図25Aにおいては、ビーコンドローンステーションが2つしか示されていないことに、注意すべきである。ビーコンドローンステーション(例えば、2500、2502)は、固有の電子的な識別が割り当てられたパルス変調水平回転可視セルフレベリングレーザ(例えば、2518、2520)を備えている。この装置は、送信を行うように割り当てられたすべての刻み角度において、レーザビームにおいてレーザ角度データおよび装置識別データを送信する。各ビーコンドローンステーションは、垂直方向に調節可能な伸縮式の三脚に搭載される。図25Aが、互いに通信する2つのビーコンドローンステーションを示している。
【0110】
受信ポール(図25Bを参照)は、複数の光センサ(例えば、2522、2524、2526、2528)を機械的な遮光ルーバ2506、2508、2510、2512、2514、2516によって隔てられたポール2504の周囲に配置して備えている装置である。これらのセンサは、ビーコンドローンステーションによる角度および識別データの送信と同じ平面において光を受信する。図25Bが、受信ポールのセンサ端の等角投影図である。
【0111】
さらに、この装置は、それぞれのセンサゾーンからテレメトリを受信し、このデータを位置の三角測量に使用するナビゲーションコンピュータ(図示されていない)で構成されている。ナビゲーションコンピュータを、受信ポールへと取り付けることができ、あるいは受信ポールとは別個独立であってもよい。受信ポールは、ハンドヘルドのナビゲーションコンピュータとは別個独立に作り付けられ、あるいは搭載される限られたナビゲーションコンピュータおよびボタン制御部を有することができる。三角測量を実施するために、ユーザは、少なくとも2つのビーコンドローンからのテレメトリを捕捉する必要がある。視線の問題を克服するために、少なくとも2つのビーコンドローンを、ユーザの位置から視認できなくてはならない。三角測量を実行するために、以下の手順に従うことができる。
【0112】
20.セットアップの手順
・工事現場にドローンを配置する。
・第1のドローンをオンにし、障害が最も少ない高さまで持ち上げる。
・次のビーコンドローンを、新たな位置に同様のやり方でセットアップする。第1のドローンと同じ高さにする(視覚による機械的なマークまたは位置決めセンサによる)。整列が必要である。
・先の工程の手順に従って、さらなるビーコンドローンをセットアップする。
・合計で少なくとも2つのビーコンドローンが、動作のために必要である。
【0113】
21.受信ポールシステムの較正
・距離が既知である2つの点が、ビーコンドローンをお互いに対して較正するために必要である。
・現場の関連の図面に示された2つの工事現場の確立された点が、複数の平面ビーコンドローンを工事現場の図面へと配置および写像するために必要である。
【0114】
22.方向の位置付け
工事現場をナビゲートするために、受信ポールの使用に先立って、ユーザの所望するターゲットおよび経路をプロットする必要があると考えられる。その情報が、受信ポールへとダウンロードされ、受信ポールに保存される。受信ポールは、ドローンステーションによる測定を開始するための測定指令ボタン(図示されていない)およびユーザが次の場所へと移動する直前に押されるリセットボタン(図示されていない)をさらに備えている。
【0115】
23.ターゲット点を用いた三角測量システムの使用
・工事現場の図面において所望の位置を選択する。
・ナビゲーションコンピュータが受信ポールから独立している場合、経路をポールへとダウンロードする。
・受信ポールを工事現場において移動させ、測定指令ボタンを押してポールの現在位置を取得する。
・ユーザは、ひとたび第1のターゲットに到着して第1のターゲットの印を付けることに成功したならば、リセットボタンを押して次のターゲットへの移動を開始する。
【0116】
24.可動部を持たない角運動量測定装置
図26A〜Dを参照すると、可動部なしで移動の距離および方向を測定するためのシステムが示されている。この装置の最終的な目的は、移動の距離および移動の速度を測定し、位置を割り出すことである。加速度計2602、2604(物体の速度を測定するために使用される周知の装置)を使用し、任意の所与の方向に最大の加速度を有する加速度計が、移動の方向および移動の速度を示している。2つの可変容量型加速度計2602、2604が、中央に枢支点2606を有している構造体2600のそれぞれの端部に配置される。図26A〜Dが、このシステムの使用を示している。
【0117】
装置2600は、他の視線の技術的解決策から独立して機能する距離の測定および位置の三角測量の装置である。この技術を構成する電子機器を、任意のハンドヘルドコンピュータ、PC、携帯電話機または通信システム、任意の既存のナビゲーションシステムまたは装置、ならびに任意の公知の種類の陸海空の輸送手段に設置または固定することができる。
【0118】
2つの加速度計は、互いに平行であって、既知の間隔で構造体2600(例えば、棒、スティック)へと取り付けられなければならない。加速度計は、前後の動きしか読み取ることができず、ただ1つの平面においてしか機能することができない。2つのそのような加速度計を構造体へと取り付け、あたかも構造体が円の直径であるかのように構造体に平行な接線に向けることで、装置が2つの加速度計が測定を行うことができる平面において前方に動かされた場合に、回転の交換のそれぞれの推定部分の加速度の微分を比較することができる。他の平面を測定するために、それぞれに2つの加速度計が取り付けられた複数のスティックが必要である。それぞれが異なる平面(軸)に向けられた加速度計の組の集合が、X、Y、およびZ回転、ならびに直線加速度の測定をもたらすことができる加速度計クラスタを構成する。
【0119】
25.ハンドヘルドメータ・パン/チルト・ガントリレーザまたは音波距離計
図27Aが、装置2700の正面図を表わしており、図27Bが、装置の左側面図を表わしている。これは、電子距離測定装置の動力式および遠隔制御式のパンおよびチルトのマウントである。ガントリの動きを、システムソフトウェアによって制御することができ、あるいはコンピュータのジョイスティック、マウス、タッチパッド、キー、スタイラス、デジタイザ、ジャイロスコープ、または慣性測定ユニットの入力によって制御することができる。図示のカメラマウントは、動力式かつ遠隔制御式のパンおよびチルトのマウントである。また、非動力の手動の治具としても機能することができる。距離、バーコード、またはグラフィックを正確に読み取る能力、ならびに指定の位置へと正確に向く能力を提供する。装置2700は、マスターステーションまたはサブステーションであってよい。
【0120】
26.自動レベリング回転レーザ
図28Aは、装置の等角投影図を表わしており、図28Bが、装置の正面図を表わしている。自動レベリングは、固定の基準ステーションにもとづく。水準器2800が回転するときに固定の基準ステーションが読み取られ、マスターステーションが、固定の基準ステーションに対して自動的に水平にされる。図28Bに示した装置2800は、2つのコーナーキューブプリズム(図20を参照)2806、2808、垂直方向に回転するレーザ2804、および水平方向に回転するレーザ2802を備えるマスターステーションであってよい。
【0121】
27.自動レベリング回転レーザトラッカー
図29が、回転レーザ2910を下部に取り付けて備えているマスターステーション2900を示している。回転レーザが、バーコードを読み取り、あるいは任意の電子的または機械的な信号を読み取る。回転レーザが、ターゲットまでの距離を割り出すことができ、システムが、変化が検出された場合に警報を作動させることができる。レーザビーム2902が、垂直面および水平面の両者に対して45度にある回転ミラー2904に衝突する。このようにして、水平方向の回転レーザビームが、装置によって発せられる。回転の速度は、ステッピングモータ2906によって決定される。3つのガラスペグ2908A、2908B、2908Cが、マスターステーションモジュールとステッピングモータアセンブリとの間に透明なすき間をもたらすために使用される。
【0122】
28.固定のレーザポインタを有するステーション
図30Bが、ステーション2900へと取り付けられ、4つの固定のレーザポインタ2912、2914、2916、2918を有している図30Aに示したプラットフォーム2910の上面図である。4つのレーザビーム(図示されていない)を、固定の基準ステーションまたは管理点に整列させることができ、あるいは固定の基準ステーションまたは管理点に照準することができる。この装置は、基準点が管理測定パラメータを超えて動いたときに警報を作動させることができる。レーザは、距離測定装置の構成要素であってよい。管理点へと照準されるだけでなく、管理点を継続的に測定し、測定値が許容限界を超えた場合に警報することができる。これは、行われるすべてのレイアウトまたは測定の精度を保証するために行われる。それぞれのレーザを、別個独立に調節でき、あるいはターゲットに正確に整列させることができる。
【0123】
29.ロボット建設セキュリティステーション
図31に示されているこのステーションは、工事現場を走行して、進行中の作業を文書化し、可能な限り多くのデータを個人から集める。このシステムは、生体測定またはキーカードIDを使用して個人の身元を検証することができる。生体測定による認証は、とりわけID読み取り器、ビデオ監視、手形または指紋読み取り器、ならびに目または顔の認識など、技術水準の装置を含むことができる。また、このステーションは、特定の作業者の作業時間の経過を追うために、出欠をとることができる。
【0124】
このシステムは、プリズム3104などの測定装置3106および一体化されたインテリジェントなイベントベースの監視システム3102を搭載した車両ロボット3100を備えることができる。この装置は、集めたデータを建設現場の記録と比較するために遠方のデータベースへとアクセスすることができる。このステーションは、現場を自律的に移動し、あるいはマスターステーションによって案内されてもよい。
【0125】
30.360°カメラステーション
図32Aは、360°カメラステーション3200の等角投影図である。これは、提案されるオフィスまたはアパートの建設が完了したときのその特定の地点からの眺めを確認するために、正確な高さからのビデオおよび静止画をもたらすためのシステムである。ユニット3200は、放物ミラー3202およびレンズ3204をカメラ(ビデオまたは静止画)3206へと取り付けて備えている。このユニットは、GPS、安定化のためのジャイロスコープ(図示されていない)、および仰角を割り出すための加速度計を備えるジャイロスコープ(図示されていない)をさらに備えることができる。
【0126】
図32Bは、伸縮ポール3208の上に取り付けられたカメラステーション3200を示しており、図32Cは、クレーン3210からぶら下がったカメラステーション3200を示している。
【0127】
31.建築物ねじれセンサ
高さの高い建築物は、常に運動している。風の中で揺れおよびねじれを生じている。結果として、建設現場は、常に変形した状態にある。マスターステーションが、固定ではなく、時々刻々と移動する可能性がある特定の点にレーザビームを向けるとき、得られる測定が不正確になりうる。現在のシステムは、きわめて正確かつ精密な機構を形成する。正確さおよび精密さを保つために、マスターおよびサブステーションが、三次元空間内のすべての参照点の正確な位置を知ることが重要である。
【0128】
この課題は、建築物または構造体の姿勢および運動を測定するセンサからなるシステム(その1つが、センサ3300として特定されている)を設置することによって解決される。この種の運動が、図33に示されている。次いで、運動のデータが、建設プロセスの全体を通し、システムソフトウェアにおいて精度を維持するために使用される。センサシステムは、マスターステーションによる測定を許可または阻止するために、加速度計、ジャイロスコープ、およびディファレンシャルGPS測定を、テレメトリを利用し、所定の許容値にもとづいて警報を作動させるためのソフトウェアとともに備えている。システムは、建築物がそのひずみゆえに測定が不正確になりかねないほどに管理点の距離測定を変化させている場合に、マスターステーションによる測定を阻止する。システムは、建築物の姿勢を監視し、この経時的な運動を文書化し、独立した提出書類を生成する。
【0129】
32.加速度計
図34Aおよび34Bは、加速度計クラスタ3400および電子機器3404による電子的な距離測定を示している。図34Aに示した装置を、可動の車両に搭載することができる。本明細書に開示されるシステムの好ましい実施の形態において、装置は、遠隔制御またはコンピュータ制御のロボット探査車(図示されていない)に搭載される。探査車は、遠隔制御され、あるいは自動巡回であり、あるいは完全に自律している。この装置の目的は、所定の位置までの移動距離および移動速度を測定することにある。図34Aが、特定の加速度計の向きを示しており、図34Bが、装置の外観を示している。加速度計クラスタ3400は、複数の円柱形の加速度計3402を、クラスタのための適切な支援の回路および構造を収容したハウジング3404に接続して備えている。図34Bに示した外殻3406を、クラスタへと取り付けられて球形の装置(円柱形の加速度計を突き出させている)をもたらすように構成することができる。このようにして、移動の距離および移動の速度が、それぞれの加速度計から加速度値を測定し、その結果をすべての加速度計について計算することによって割り出される。図34Aは、個々の加速度計の向きを示しており、図34Bは、装置の外観を示している。
【0130】
33.可搬のアームステーション
図35は、レーザをさらに備える機械的な筐体またはハウジング3514を備えている可搬サブステーション3500を示している。この可搬のアームステーションは、マスターステーションよりもむしろサブステーションである。垂直方向および水平方向の光学回転レーザ3510、3512が、ハウジング3514の上に取り付けられている。ステーションの上部から、ポール3518が突き出しており、ポール3518に、360°のコーナーキューブプリズム3506が搭載されている。任意の方向からプリズム3506に衝突する任意の光が、それが到来した同じ視線に沿って反射される。このステーションが、ステーションを空間内の固定の位置に維持する三脚3518に搭載されている。ステーションのハウジング3514の側面から、可動のロボットアーム3520が突き出している。ロボットアームの端部に、プリズム3524が取り付けられたポールが位置している。さらに、ロボットアーム3520の端部には、距離の測定ならびに反射または送信光信号の形態の情報を読み書きするために使用することができるレーザポインタ3522および3528が位置している。レーザポインタ3522および3528と同様の動作のレーザポインタ3504が、ポール3508の端部に位置している。サブステーション3500は、種々のレーザポインタからさまざまな方向にレーザビーム3502、3526、3530を送信することができる。
a.高さを割り出すために真の垂直方向に下方へと送信される下げ振りビーム3516。
b.垂直方向のビーム3502が、可視のレーザポインタおよび電子的な距離測定の読み書き装置として機能するよう、ポールを通って向け直されるべく上方へと送信される。
c.上方へと送信される垂直方向のビームが、垂直方向および水平方向の光学回転ユニットによって向け直される。
d.ビーム3526が、可視のレーザポインタおよび電子的な距離測定の読み書き装置として機能するよう、ロボットアームのポールへとロボットアームによって送信される。
【0131】
可搬のアームステーションの空間内でのX、Y、およびZ位置、ならびにロボットアームの位置および向きが、マスターステーションによって常に知られる。1つまたは複数のサブステーションを、別個独立にマスターステーションとともに利用することができ、あるいは複数のサブステーションを、互いにデイジーチェーン接続することができる。
【0132】
34.可搬のサブステーション
35.図36が、可搬のサブステーション3600を示している。この装置は、簡素化された電子距離測定サブステーションであり、スポットを指定の位置に衝突させるために可視のレーザビームを発することができる。より小型かつより軽量であり、より安価に製造することができる。回転する垂直方向および水平方向のレーザ機構3606、3608が、三脚3612に搭載されたステーションのハウジング3610の上に取り付けられている。この回転レーザ機構は、水平方向および垂直方向の基準レーザ線を発する。回転レーザは、座標テレメトリを受信し、送信し、読み書きするユニットにおいて機能することができる。これは、任意の数の固定の基準ステーション、マスターステーション、または他のサブステーションを捜索し、それらまでの距離を測定することによって行われる。X、Y、およびZ位置が、マスターステーションによって常に知られている。この装置は、工事現場において容易に運んで移動させられるように意図され、マスターステーションの視線内にない座標を特定するための解決策である。しかしながら、地面へと固定することが可能であり、おそらくはI型梁へと固定することが可能である。やはり、1つまたは複数の可搬のステーションを、別個独立にマスターステーションとともに利用することができ、あるいは複数のサブステーションを、互いにデイジーチェーン接続することができる。すなわち、サブステーション3600は、特定の基準点までの距離を測定し、多次元空間におけるそれらの点の位置を割り出し、それらの点の位置をマスターステーションへと中継することができる。端部にプリズム3602が位置するポール3604が、回転レーザ3606、3608およびステーションのハウジング3610に取り付けられて、そこから延びている。車載のマスターステーション
【0133】
図37は、移動可能であって、人間が三脚と一緒に物理的に運ばなくてもよいよう、ロボット探査車の上へのマスターステーションまたはサブステーションの配置を示している。マスターステーション3700が、図に示されている。装置3700は、図35のサブステーションと実質的に同様のサブステーションとして機能することができる。車両3714に搭載されたツールボックス3712に加え、この車両に搭載される設備として、ロボットアーム3716を備えており、ロボットアーム3716の端部にプリズム3718ならびにレーザポインタ3720および3726が位置しているセオドライト3710などのロボット測定設備が挙げられる。レーザポインタ3720、3726を、ツールボックス3712に保管されているツールのいずれか1つと交換することができる。マスターステーション(または、サブステーション)の上には、水平方向のレーザ3708、垂直方向のレーザ3706、ポール3722、プリズム3704、およびレーザポインタ3702が取り付けられている。マスターステーション(または、サブステーション)の上部3724を、この装置をサブステーションまたはマスターステーションのいずれかとして機能させることができるように、交換することができる。車載のマスターステーション装置3700は、完全にロボット式の能動プリズム3718と、トラッキングレーザ距離測定マスターステーションモジュールとの組み合わせであり、そのような組み合わせが、指定の環境内を手動または遠隔制御でナビゲートでき、あるいは自律的にナビゲートできる車両ロボット3714へと取り付けられ、あるいは固定されている。これら2つの装置が、リアルタイムで建設活動を実行すべく自動的に作業ツールを交換することができるコンピュータ制御の多軸ロボットツールアーム3716に組み合わせられる。このマスターステーションの最終的な目的は、この装置を、この装置が配置される空間またはCAD図面に関してナビゲートし、空間的に正しい位置に置くことにある。これは、任意の数の固定の基準点、サブステーション、あるいは他の任意の固定または可動のマスターステーションを自動的に捜索し、それらまでの距離を継続的に測定および再測定することによって達成される。この装置は、選択された位置へと自分自身で移動することができ、そこで種々の所定のツールを利用して、さまざまな作業機能を実行することができる。内蔵しているコンピュータインストラクションに従って移動することができ、あるいは他の固定または可動のマスターステーションによって移動させることができる。このマスターステーションは、印付け、塗装、点付け、焼却、切断、溶接、穿孔、彫刻、測定、または読み書きを行うことができ、リアルタイムでテレメトリの送信および受信を行うことができる。その範囲において、ロボットアーム上のツールを交換することが可能であり、やはり車両ロボットに搭載されているツールボックス3712から取り出すことが可能である。当然ながら、サブステーション(図36に示したサブステーションにきわめてよく似ている)を、マスターステーションの代わりに車両ロボット3714の上に搭載することも可能である。360°のコーナーキューブプリズム3702が、マスターステーションモジュールの先端から延びるポール3722の上部に取り付けられている。また、同様のプリズム3718を、ロボットアーム3716の端部に取り付けることができるが、好ましい実施の形態において、これは必須ではない。
【0134】
36.ロボットアームのツール類
図38A〜Eが、図37の装置のロボットアームに配置することができる種々の交換可能なツールを示している。ここに、ロボットが交換可能なツールまたはロボットアーム全体を有している完全なツールの技術的解決策が示されている。図38Aは、切断ツールを備えたロボットアームを示している。図38Bは、印刷またはプロットツールを備えたロボットアームを示している。図38Cは、下げ振り可視レーザポインタを備えたロボットアームを示している。図38Dは、CMM、レーザスキャナ、または手動地点読み取りツールを備えたロボットアームを示している、図38Eは、穿孔、彫刻、および燃焼ツールを備えたロボットアームを示している。
【0135】
37.マスターステーション/サブステーション・キット
図39が、本発明の方法およびシステムを使用するように構成された建物の筐体を示している。本発明のシステムのキットが提示されている。キットのすべての構成要素が、図39に示されている。固定の基準ステーション3902、3904、3906、3908、3910、3912、および3914が、この図においては360°のコーナーキューブプリズムとして示されているが、それらを、読み取り可能な固定の基準をもたらす多数の装置の中から選択することが可能である。固定の基準ステーションは、受動的な装置であってよい。しかしながら、受信機へと情報を送信することができるインテリジェントな装置であってもよく、あるいは特定のメッセージに光学的に応答できる。固定の基準ステーションを、マスターステーションが多次元空間内で特定の点を特定できるよう、さまざまな位置に配置することができる。例えば、固定の基準ステーションを、コンクリート製のスラブへと固定または埋設でき、あるいは恒久的な位置へと固定することができ、あるいは位置指定可能かつ特定可能な既知の位置の標識に取り付けることができる。標識が、これらの装置が配置された空間またはCAD図面に対する自動的かつ自律的な装置の配向を可能にする。マスターステーションは、とりわけ電磁気(例えば、光、有色光、赤外線、RFID、X線、バーコード、など)、超音波、デジタルコンパス、サイバネティックス情報理論、および符号化された情報などの方法によって、基準ステーションを特定することができる。
【0136】
図39は、壁に取り付けられた5つの固定の基準ステーション(3902、3904、3906、3908、および3910)と、床に取り付けられた固定の基準ステーション(3914)と、標識3924に取り付けられた固定の基準ステーション(3912)とを示している。さらにキットは、固定のステーションに関して得られた情報に作用する装置を備えている。これらの装置は、マスターステーション3926、可搬のステーション3928、アーム付きの可搬のステーション3922、車両ステーション3916、電子距離測定が組み込まれたハンドヘルドコンピュータ3918、ならびにタブレットまたはラップトップコンピュータ3920である。マスターステーション3926が、自身で、あるいはサブステーション3916、3922、および3928を使用することによって、基準点の位置を突き止めることができる。ハンドヘルドコンピュータ3918も、自身で、あるいは装置3926との組み合わせにおいて、マスターステーションとして機能することができる。
【0137】
この固定の基準ステーションシステムの目的は、CADまたはデジタル図面に従ってそれらが配置された空間に対して自動的かつ自律的な装置の配向およびナビゲーションを行うための固定の基準点をもたらすことにある。これらの装置は、同じ空間内に位置する任意の数の固定の基準ステーションを連続的に捜索し、それらまでの距離を測定および再測定することによって、自身を正しい位置に置き、空間内をナビゲートする。最終的な目標は、より高い測定精度を達成すること、ならびにCAD図面から屋内または屋外の自律的または遠隔制御の車両、人型ロボット、アンドロイド、あるいは他のロボットまたはロボット車両、ツールまたはシステムによってナビゲートすることである。
【0138】
38.ステーションのセンサ/送信機アレイ
図40は、インテリジェントな固定の基準ステーションのセンサ/送信機アレイ4000の等角投影図である。自身の位置を知るインテリジェントな標識として機能し、この装置は、他の同様の装置またはツールとネットワークでき、任意の電磁気信号、データ、光、または超音波信号を送信、受信、および転送することができる。図40のインテリジェントな固定の基準ステーションは、発見および読み取り装置あるいはバーコードまたはグラフィック読み取り器として使用される水平方向に回転するレーザ4002を備えている。さらに、図40の固定の基準ステーションは、動的な反射器4004、コーナーキューブプリズム(図示されていない)、可動プリズム(図示されていない)、ホログラフィック光学素子、またはグラフィック装置(図示されていない)をさらに備えており、加えてセンサ受信機4006ならびに無線通信受信機および送信機4008を備えている。最後に、インテリジェントな固定の基準点は、電子機器を収容して装置を一体に保持するためのハウジング4010を備えている。
【0139】
39.ハンドヘルドコンピュータのディスプレイ
図41が、図14A、14B、および14Cのハンドヘルドコンピュータの表示装置4100の図である。CAD図面(または、マップ)4102に、ユーザの位置を示すマーカ4104が重ねられている。マーカと同時に、ユーザの現在位置の座標(例えば、X−Y−Z座標)が、「現在地」という言葉の直下に示されている。また、ユーザは、やはり画面に現れるターゲット位置4106を選択することができる。ユーザからの指令によって、ハンドヘルドコンピュータは、(例えば、自動車のGPSと同様のやり方で音声による指令を発することによって)ユーザをターゲット位置へと案内する。ユーザがターゲットに向かって移動し、あるいはターゲットから離れる方へ移動するとき、CADマップも移動し、「現在地」表示が常にマップ上にユーザの現在の位置を示す。画面上でのズーム制御4108が存在している。さらに、ユーザは、マップ(例えば、配管または電気工事を示している4116)の種々のレイヤを(レイヤ選択4110を使用して)選択することができる。さらに、表示装置は、選択されたターゲットまでの現在の距離(距離選択4112)を示している。基準ステーションの位置が示されている。日付および時刻4114も、表示されている。これらすべてが、本発明の構成要素であるソフトウェアを使用して実現される。
【0140】
ロボットレーザ距離測定マスターステーション制御ソフトウェアが、マスターステーション、サブステーション、および本発明のシステムの他の設備と通信(指令の送信および/または指令の受信)を行うことができるハンドヘルド、ラップトップ、タブレット、またはデスクトップのコンピュータに位置している。ソフトウェアは、動作可能に指令を送信し、マスターステーションから返されるテレメトリを受信する。ソフトウェアが、マスターステーションのファームウェアへとへと指令を送信し、マスターステーションに特定のタスクを実行する(例えば、指定の方向に向きを変え、特定の角度位置へと上下に移動し、可視レーザポインタをオン/オフし、距離または角度を測定する、など)ように命じる。マスターステーションが、要求された機能を実行することによって応答し、次いで実行または測定のテレメトリをソフトウェアへと送り返す。
【0141】
ソフトウェアは、建設および建築の市場において使用するための専用のグラフィカルユーザインターフェイスを有している。ソフトウェアは、建設タスクの特定の読み取りおよび書き込みを迅速に実行するように調製されている。ソフトウェアは、ナビゲーション用として自動車または他の車両において利用されるGPSシステムのルック・アンド・フィールを模擬している。ユーザは、建設中の建築物を表わすCAD図面をナビゲートする。ソフトウェアは、マスターステーションとの組み合わせにおいて使用され、リアルタイムで2Dまたは3DのCAD図面の形態の既存の建築の現況調査を生成する。ソフトウェアは、リアルタイムで2Dまたは3DのCAD図面から建設工事をナビゲートおよびレイアウトするために使用される。
【0142】
ソフトウェアの特徴として、以下が挙げられる。
a.「現在地」が、画面上に表示される。
b.XYZ座標におけるプリズム内トラッキングモードまたは可視レーザポインティングモードが、画面上に表示される。
c.「能動レーザポインティングモード」または「空間内3Dマウスモード」において、レーザが、空間内のマウスの移動するあらゆる場所へと追従または追跡する。
d.ひとたびターゲットまたは空間内の点が選択されると、現在位置から「ターゲットまでの距離」が画面上に表示される。
e.反射器なしモードとプリズムトラッキングモードとの間のシームレスな移行
f.プリズムトラッキングモードにおける可視レーザの発射。
g.位置制御およびズーム制御が「ゴースト」される(図面上に或る程度透明または半透明に表示される)。
h.別の図面または図面レイヤへのアクセスが可能。
i.マスターステーションのパワーサーチまたは呼び出し機能が存在する(マスターステーションが、プリズム位置を能動的にサーチするための手順に従う)。
【0143】
40.三脚プリズムポール
図42は、三脚へと取り付けられたプリズムポール4200であって、垂直方向の上下(レーザビーム4208、4210を参照)を向いた可視レーザポイント4202を有しているプリズムポール4200の概略図である。プリズムポールは、やはりレーザポインタとして機能することができ、三脚4206に取り付けられている組み込みの電子距離測定装置4204をさらに備えている。図42から、装置4200が、他のプリズムポール4212までの距離を測定していることが明らかである。装置4200は、地面からの自身の高さを割り出すために下げ振りレーザビーム4210を発する。装置4200は、プリズム4205を有しており、ポール4212の上にプリズム4207およびレーザポインタ4214が取り付けられている。2つのプリズム4205、4207が整列させられ、プリズム間の距離が測定される。
【0144】
41.ロボットマスターステーション
図43は、地面が粗くて水平でない場合に、どのようにしてロボットマスターステーションモジュール装置4300が地面からの自身の向きおよび位置を割り出すことができるのかを示している。これを行うために、この器具は、4つのレーザビーム4302、4304、4307、4308を地面に向かって導く。レーザビームのうちの3つ(4302、4306、4308)が、三脚の3本の脚の基部へと向けられる。第4のレーザビーム4304は、垂直下方へと向けられた下げ振りビームである。三脚の脚の基部へと向けられた3つのビームが、装置の平面の向きを割り出す。下げ振りビーム4304が、器具の上記平面までの垂直距離を割り出す。平面上のこの点から、地面に対する器具の正確な向きおよび位置が知られる。
【0145】
42.ケーブル駆動またはレール駆動のシステム
図44A〜Dが、いかにしてステーションを地面の上方に吊ることができ、上方から固定の基準点および他の装置までの距離を測定しつつ建設現場を横断させることができるのかを示している。図44Aおよび44Bは、レール駆動システムを示している。図44Aは、ジャイロスコープ式安定化ユニット4402がレールマウント4404とともにコンピュータ制御の被駆動ガントリ4406によって取り付けられているマスターステーションモジュール4400である(図45も参照のこと)。図44Bは、レール4416およびレール溝4414によるマスターステーション4418のためのレール取り付けを示している。図44Cおよび44Dは、それぞれマスターステーション4420および4422のためのケーブル駆動およびホバー駆動の取り付けを示している。マスターステーション4422は、スタビライザ4412を有している。マスターステーション4420は、ケーブル4421、4423、4425、および4427へと取り付けられている。図45は、ケーブル4408および4410を用いるケーブル駆動システムに合わせられた装置4400を示している。
【0146】
43.プリズムポールのマーキングシステムの先端部
図46は、ロボット車両ステーションの底部またはロボットアームへと取り付けることができるツール(ばね付勢された千枚通し4600ならびにばね付勢されたマーカまたはペイントスティック4602など)を示している。図46Aは、ハウジング4600の空洞に配置され、ばね4610が係合している千枚通し4604を示している。図46Bは、ハウジング4602の空洞に配置され、ばね4606が係合しているマーカまたはペイントスティック4608を示している。これらの装置を、所定の指示に従って表面に印を付けるために用いることができる。
【0147】
通常は、プリズムポールは手持ちされ、したがって保持中の人物が手を振るときに運動にさらされる。プリズムポールのジャイロスコープによる安定化は、すでに図44に関して説明した。
【0148】
44.粘性減衰による安定化プリズムポール
図47AおよびBは、図44および45に示した安定化装置の代案の安定化装置4706を示している。ポール4702の全体が、ポールの上部に取り付けられたプリズム4708とともに図47Aに示されており、安定化装置として使用される区画4700(図47Bに示されている)へと取り付けられ、あるいは機械的に接続されている。ポールおよび安定化装置は、図示のとおり三脚4710に搭載されている。アームまたはハンドル4704を有する安定化装置4700の内部に、図示のとおりのストリング4714、4711、および4713が存在し、ポール4702の懸架を助けている。さらにポールを、ドアの動きを遅くするために使用されるものと同様の粘性液体減衰ロッド(図示されていない)を使用することによって懸架することもできる。減衰ロッドは、有効であるために決定的に減衰させられなければならない。ポールの下部におもり4712の重みが加わっており、ポールは地球の中心を向く。したがって、おもり4712は、下げ振りとして機能する。
【0149】
45.ジャイロスコープによる安定化プリズムポール
図48AおよびBは、安定化ヘッド4806およびヘッド4806の下方に取り付けられたプリズム4804を備えるポール4800のための別の安定化機構4802を示しており、変更されたジャイロスコープ機構である。図48Aが、ポール4800の全体を示しており、図48Bが、安定化ヘッド4806の概略図を示している。ヘッド4806の内部に、XおよびY方向のジャイロスコープ4808および4810が存在しており、ファジー論理電子プロセッサ4812が、Z方向のジャイロスコープを置き換えている。この装置は、ポールを保持するユーザによって引き起こされる振動および不正確を無効にする。ジャイロスタビライザポールは、プリズムのために、より一貫性があり、より安定であるプラットフォームを生成するように意図されている。電子機器が、ポールの安定性を高めるためにリアルタイムでジャイロの回転速度を制御する。
【0150】
46.無線通信を使用して空間内の位置を正確かつ精密に特定してマーキングするための方法(図49〜62)
図49は、三脚4904と、レーザ距離計4906と、上部に位置する無線通信装置4908と、コンピュータシステムおよびユーザインターフェイス回路をとりわけ収容しているハウジング4910とを有するトータルステーション4902(固定のロボット装置である)を備えているシステムの第1の実施の形態を示している。ロボット装置4902は、無線通信装置4916を上部に配置してさらに有する点を除いて測量士のポールと同様であるポール4914に位置するプリズム4912を常に追跡するために、レーザ4906を動かす。トータルステーション4902は、プリズム4912の位置を知り、その位置をポール4914およびトータルステーション4902によってハンドヘルド装置4918(例えば、ラップトップコンピュータまたは他のプロセッサ)へと通信する。万が一にプリズム4916の位置の通信が中断された場合、トータルステーション4902は、プリズム4916を見つけるために捜索パターンプログラムを始めることができる。ひとたびポール4914の位置が確定されると、ハンドヘルド装置4918は、無線技術を使用してトータルステーションおよびポールに対する自身の位置を三角測量することができる。トータルステーションおよびポールは、どちらも先行技術の装置である。ハンドヘルド装置は、機械的には先行技術であるけれども、本発明の方法の各段階のうちの少なくともいくつかを実行する特別なソフトウェアがロードされており、建設現場の仮想マップを形成するために、現場の変更されたCAD図面(平面図および立面図の両者)を表示する。したがって、ハンドヘルド装置は、今や自身の位置を仮想マップ上に重ねることができる。通信装置4916および4908は、プロトコルに従って互いに情報を交換することができる任意の種類の無線通信装置であってよい。プロトコルは、情報が情報を送信および/または受信する装置によってどのようにフォーマットされ、送信され、受信され、解釈されるのかを決定する規則一式である。プロトコルは、周知のプロトコルであってよく、あるいは本発明のシステムの製造者によって設計されるプロトコルであってよい。プロセッサ4914が、AutoCAD(登録商標)または他のグラフィックソフトウェアとの組み合わせにおいて本発明の方法の各段階のうちの少なくともいくつかを実行することができるAutoCAD(登録商標)およびTheoCAD(SM)ソフトウェアを実行する可搬の処理装置として示されている。
【0151】
図50が、トータルステーション5000(図49のトータルステーション4902と実質的に同様)がレーザ距離計5004によって生成される自身のレーザビーム5002をターゲット5006へと向け、ターゲット5006の位置がハンドヘルド装置5010へと座標を入力するユーザ5008によって決定され、それら座標が無線でトータルステーション5000へと通信される第2の実施の形態を示している。ユーザが、ハンドヘルド装置にレーザによる照射を望む位置を伝え、トータルステーションのレーザビームがその位置へと向けられる。
【0152】
図51は、レーザ距離計5126、三脚5128、ならびに種々の電子機器および装置を備えるトータルステーション5100(図49のトータルステーション4908と実質的に同様)が、ビーム5130を有するレーザ距離計5126を使用して可動ロボット5104に物理的に位置するプリズム5102の位置を特定する第3の実施の形態を示している。トータルステーションは、本発明の方法を実行し、可動ロボット5104を無線通信によって(すなわち、通信装置5106および5108を使用して)指定の位置へと案内することができるソフトウェアを備えている。可動ロボット5104は「盲目」であるが、トータルステーション5100が、この可動ロボット5104が指示された運動を実行できるよう、ロボット5104を案内する。可動ロボット5104は、無線通信装置5108およびレーザ5110をさらに備えている。したがって、可動ロボットのレーザ5110が、トータルステーション5100によって要求された任意の地点をレーザビーム5112によって照らすことができる。これは、トータルステーションが動かず、いくつかの地点がトータルステーションの視線内にないために有用である。
【0153】
図52は、第4の実施の形態を示しており、図51の実施の形態によく似ているが、可動ロボット5104が、本発明の方法によって自動レイアウトを実行するために、自身のレーザビーム5112を所望のパターン5114に従って素早く動かすことによって、表面上にグラフィックのオーバレイを投影している。これは、構造的な材料をどこに配置すべきかを建設作業者に示すことが望まれる場合に有用である。例えば、12インチのパイプを垂直に配置することが望まれる場合に、可動ロボットのレーザが、床または水平面に12インチ径の円を投影することができる。
【0154】
図53も、図51において上述した実施の形態と同様の第4の実施の形態を示しており、表示されているパターン5118が、三次元のオーバレイの二次元の投影である。
【0155】
図54は、第5の実施の形態(図51の実施の形態と実質的に同様)を示しており、塗装ツール装置5105を装備した可動ロボット5104が特定の位置座標へと案内され、床に塗料または染料5120によって印を付けるべく案内されている。例えば、CAD図面の平面図全体を、このやり方で床へと描くことができる。
【0156】
図55は、第6の実施の形態(図51の実施の形態と実質的に同様)を示しており、可動ロボット5104が特定の位置座標へと案内され、穿孔ツール5122による床への穴開けなど、特定の細工作業を実行すべく指示される。
【0157】
図56は、可動ロボットが度量衡の測定を実行すべく特定の位置座標へと案内される第7の実施の形態を示している。可動ロボットが、コンピュータ化された測定、ポインティング、またはマーキングの装置5130が取り付けられた機械的なアーム5124を有している。この図は、そのような計測の実行を示している。
【0158】
図57は、上述の第7の実施の形態を示しているが、計測が壁5132について実行されている。
【0159】
図58は、レーザ距離計5826、無線通信装置5806、ならびに種々の他の設備および電子機器を三脚5828に取り付けて有しているトータルステーション5800が、複数のポール(例えば、それぞれプリズム5804、5822および無線通信装置5802、5820を有しているポール5810、5824)と通信する第8の実施の形態を示している。ハンドヘルドユニット5808、5816、および5818が、ローカルエリアネットワーク(LAN)において互いに通信する。さらにこの図には、いかなるポールとも通信せず、ユーザ5812および5826によってそれぞれ使用されている他のハンドヘルドユニット5808、5818とのみ通信するハンドヘルドユニット5816を有する測量士5814が示されている。LANは、クライアント−サーバ・プロトコルまたはピア−トゥ−ピア・プロトコルのいずれかを有することができる。いずれにせよ、すべてのハンドヘルドユニットの位置座標が、他のすべてのハンドヘルドユニットに知られる。
【0160】
図59〜61が、第9の実施の形態を示している。この実施の形態では、図59Aにおいて、トータルステーションが使用されていない、代わりに、コンピュータへと接続された2つの固定のレーザ距離計ユニット5902Aおよび5902Bが、それぞれレーザビーム5904および5906を使用して地面からの自身の垂直距離を測定し、ビーム5914を使用して両者を隔てている距離を測定する。図61に示されるとおり、距離計5902Aは、ユーザ6104によって操作されるプロセッサ6102と通信することができる。距離計ユニットの詳細が、図59Bに示されている。それぞれの距離計が、光センサ5908、回転プリズム5910、レーザ5912、および通信設備(図示されていない)を有している。図60に示されるとおり、距離計ユニットは、自身の位置をエンコードし、ターゲットセンサ6000へとテレメトリデータを送信する。ターゲットセンサ6000は、三角測量のために、それぞれの距離計ユニット5902A、5902Bまでの距離を読み取ることができ、形成される三角形の角度6004、6002、および6006を読み取ることができる。図61が、ポール(センサ6108付きの可動ユニット6104が、ポールの高さに沿って可動であり、可動ユニット6104にレーザ6106が搭載され、可動ユニット6104の両端にミラー6110および6112が取り付けられている)を使用して、距離計ユニット5902Aの高さを正確に測定する別の方法を示している。ひとたびセンサ6108が距離計のレーザビーム6114を検出すると、基準点の上方の真の高さを、ポール上のセンサアレイの既知の位置を使用して測定することができる。可動ユニットは、情報をユーザ6104によって操作されているプロセッサ6102へと送信するための通信装置(図示されていない)をさらに有してもよい。
【0161】
図62は、センサ6208、6210、6212をそれぞれ有する3つのジャイロスコープ6202、6204、6206を使用し、さらに加速度計6214を使用して自身の位置を測定する可搬のプロセッサ6200(外観を示している図62Bを参照)のハンドヘルドユニットを示している。プロセッサ6200内の種々の装置が、図62Aに示されている。ハンドヘルドユニットの他の装置との通信は、RFID(高周波識別)タグ6216の装置によって無線周波信号を使用して実行される。この可搬のプロセッサは、1つ以上のジャイロスコープ、ジャイロのドリフトを補償するための共鳴リング、および少なくとも1つの高精度の可変容量加速度計を備えており、マルチプラットフォームの無線ハンドヘルドコンピュータ、PDA、ラップトップ、タブレット、などを慣性測定ハードウェアおよび/または電子機器および/またはソフトウェアと組み合わせて使用する慣性案内システムの一部として機能することができる。ユニットを初期化するために、作業者は、最初に空間内の管理点を参照しなければならない。
【0162】
II.本発明の方法
本発明の方法は、自動的な調査、自動的なレイアウト、または自動的な空間の検証、あるいはこれら3つのプロセスの任意の組み合わせを実行するために、設計された多次元空間の建設に関する水準点、ターゲット、ならびに/あるいは用意された基準または他の寸法管理の生成に関するプロセスを自動化する。典型的には、建設現場の開始に先立って、基準線および水準点が、測量士によって用意される。これら用意された基準は、典型的には、互いに垂直であって、x−y座標系を表わす二次元平面を形成する2本の線(一方がx軸であって、他方がy軸である直交線)であり、建設現場において職人(例えば、大工、配管工、電気技師)が物体および構造体を配置および/または方向付けするための測定の起点となる線として、測量士によって設定される。さらに、測量士は、職人が建設現場において物体および/または構造体を正しく配置できるよう、用意された基準線から測定される建設現場内の特定の点である「水準点」を用意することができる。水準点は、典型的には、基準線に沿ったどこかからオフセットされた点であり、建設現場内の既存の構造体(例えば、柱)上に特定される。すなわち、例えば二次元空間のための基準線が建設現場の床面に引かれる場合、水準点は、2本の基準線のいずれかに沿ったどこかから測定される点であってよく、そのような点は、xおよびy軸の両方に垂直なz軸(すなわち、三次元空間内の第3の次元)に沿って、基準線によって形成されるx−y平面内に位置することができる。このように、水準点は、N次元空間内に存在する基準の点であり、Nは2以上の整数である。本発明の方法の種々のプロセスを、以下で簡単に説明する。簡単な説明の後で、本発明の方法の全体をさらに詳しく説明する。
【0163】
A.自動空間レイアウト
本発明において建設現場のレイアウトを正確に行うために、設計データ(すなわち、仮想情報)への参照を行うことができる。したがって、好ましくは、本発明においては、自動レイアウトの実行に先立って、仮想情報(例えば、設計図面)がマスターステーション(コントローラモジュール)へとロードされ、この段階が、図63にステップ6302として示されている。次に、マスターステーションを、仮想情報に関して建設現場に正しく位置付けることができ、すなわちマスターステーションが、建設現場における自身の位置を、建設現場の仮想情報にもとづいて決定する。マスターステーションを正しく位置付けるために、マスターステーションは、少なくとも2つの別個の既知の点(建設現場および仮想空間において特定される)を測定し、建設現場における自身の正確な位置を三角測量する。この三角測量の段階は、上述の図19に示されている。
【0164】
図19を一時的に参照すると、マスターステーションモジュール1902が、建設現場1900に置かれている。現場1900における正確な位置を三角測量および計算するために、建設現場におけるマスターステーションモジュール1902の基準点1904に対する位置の測定が、マスターステーションモジュール1902によって行われる。基準点1904の位置が、保存された設計図面に関して既知である。したがって、ひとたびマスターステーションモジュール1902の基準点からの距離が割り出されると、距離が仮想情報における基準ステーション1904の既知の位置と比較され、マスターステーションモジュールの位置が三角測量されて、建設現場におけるマスターステーションモジュールの位置が割り出される。この段階が、図63のステップ6304として示されている。ひとたび建設現場におけるマスターステーションの位置が割り出されると、仮想情報(例えば、図面)からの所望の水準点(例えば、物体、構造体、または基準点の正確な位置)を、例えばマスターステーションモジュールに搭載されたレーザによって建設現場に含まれる表面へと投影を行うことによって、位置決めし、マークし、あるいは表示することができる。この段階が、図63のステップ6306として示されている。次いで、調査された多次元空間を表わす仮想空間を生成し、そのような空間を、必要に応じて表示することができる。
【0165】
B.自動空間調査
空間の調査において、本発明の方法は、以下のステップを含んでいる。
1.マスターステーションを調査対象の空間内に正しく位置させ、
2.調査対象の空間内の水準点を測定し、
3.調査対象の空間のデジタル表現を生成する。
【0166】
自動的な現場の調査におけるマスターステーションの配置は、建設現場内の少なくとも2つの点を水準点として選択し、それらのマスターステーションからの距離を測定することによって達成される。この段階が、図64のステップ6402として示されている。ひとたび水準点が明らかにされ、マスターステーションが正しく配置されると、マスターステーションから目的の位置までの距離が、マスターステーション上のレーザによって記録される。この段階が、図64のステップ6404として示されている。次いで、記録された距離が、建設現場に存在しうる種々の物体および/または構造体の測定と併せて、建設現場の多次元空間を表わす仮想空間(例えば、グラフィック表現、例えば、多次元空間の図面または他の種類の表現)を多次元空間において行われる測定にもとづいてリアルタイムで自動的に生成するために、マスターステーションによって使用される。この段階が、図64のステップ6406として示されている。
【0167】
C.自動空間検証
空間の検証において、本発明の方法は、以下のステップを含んでいる。
1.マスターステーションを検証対象の空間内に正しく位置させ、
2.検証対象の空間内の水準点を測定し、
3.測定された水準点データを、保存された設計データと比較し、
4.測定された水準点データと保存された設計データとの間の一致の度合いを明らかにする。
【0168】
自動空間検証においては、仮想情報(例えば、設計図面)が読み出され、マスターステーションモジュールが、自動レイアウトの工程に関して概説したとおりに、建設現場内で正しく配置される。これらの段階が、図65のステップ6502および6504として示されている。ひとたびマスターステーションが建設現場において正しく配置されると、マスターステーションと建設現場内の選択された位置との間の距離が、マスターステーション上の保存された設計図における同じ位置までの距離と比較される。これが、図65のステップ6506によって示されているが、ステップ6506は、多次元空間(建設現場)内の点の仮想空間内の点へのマッピングをさらに含むことができる。ステップ6506に続き、測定された距離と仮想情報からの距離との間の不一致が、マスターステーションによって記録および表示される。この段階が、図65のステップ6508として示されている。このようにして、マスターステーションは、建設現場がいかに正確に建設されているのかを、設計図面として表わされることができる仮想空間に対して検証することができる。
【0169】
D.本発明の方法の全体の説明
本発明は、多次元空間のN次元のグラフィック表現を自動的に生成するためのシステムおよび方法を提供し、Nは2以上の整数である。容易な説明および明確な記述のために、本発明のシステムおよび方法を、構造体および/または物体が、その特定の物理的性質が建築家ならびに/あるいはエンジニアまたは他の建設専門家によって生成されたCAD(コンピュータ支援設計)図面などの図面に表わされている多次元空間において、お互いに対して建設され、配置され、位置決めされ、配向される建設プロジェクトに関連して説明する。本発明の方法およびシステムが、建設プロジェクトの自動的な調査および/またはレイアウトに限定されず、空間内にすでに存在し、あるいは空間へと導入される物体および/または構造体を用いた任意の多次元空間の再配置を包含することを、理解できるであろう。
【0170】
本発明のシステムを使用して多次元空間(例えば、3D空間)の自動的な調査を実行する方法は、システムの設備から多次元空間内の1つ以上の選択された基準の点までの距離を測定すること、およびシステムの設備から多次元空間内の種々の既存の物体および構造体までの距離を測定することを含む。これらの測定が、本発明のシステムによって、少なくとも一部が多次元空間内に位置するシステムの設備によってなされた測定にもとづいて、多次元空間の図面(デジタル形式であってよい)またはグラフィック表現をリアルタイムで自動的に生成するために使用される。一般に、測定は、多次元空間内の任意の2つの特定された点の間で行うことができる。
【0171】
さらに、調査される多次元空間のリアルタイムでのグラフィック表現の生成に加え、本発明のシステムは、調査される多次元空間の測定された位置に対して、その構成要素(例えば、ターゲット)のうちの1つの位置をリアルタイムで示すこともできる。そのような構成要素がユーザへと取り付けられ、あるいはシステムのユーザによって所持される場合、本方法およびシステムは、調査される空間または仮想空間におけるユーザの位置を、調査される空間に重ねて表示して、空間においてユーザを案内することができる。
【0172】
本発明の方法およびシステムによる多次元空間(例えば、建設現場)の自動レイアウトは、水準点およびターゲットなどの基準の点を使用し、多次元空間内に配置するように指定された1つ以上の構造体および/または物体の位置、配置、および向きを確立することを含む。典型的には、多次元空間の開発のための設計は、建設が行われる多次元空間の物体および/または構造体の間の空間的な関係を正確に描写する1つ以上の図面(例えば、CAD、すなわちコンピュータ支援設計図面)として記憶される。設計は、グラフィックによって描かれたとき、特定の物理的特徴を有する仮想空間を表わす。本発明のシステムのユーザによって多次元空間の自動レイアウトを実行する際に、システムは、設計図を参照して自分自身を多次元空間において正しく位置させ、次いで設計図面に含まれる選択された物体および/または構造体について、多次元空間へと移されるときの正確な位置を指摘する。このようにして、本発明は、多次元空間においてユーザを1つの点(あるいは、領域または空間あるいは他の高次元の領域)へと案内でき、ユーザが、多次元空間においてマーキングを行い、多次元空間の境界または境界内において、建設すべき物体および/または構造体の特定の位置、向き、および/または配置を示すことができる。本発明の一実施の形態においては、ユーザが本発明のシステムの設備を制御して、設計において指定された構造体および/または物体のためのマーキングを自動的に行うことができる。
【0173】
本発明のシステムは、少なくとも1つのマスターステーション、プロセッサ、ならびに1つ以上のターゲットを含む構成要素を備えている。本発明のシステムの構成要素は、システムが多次元空間の自動的な調査およびレイアウトを実行できるように互いに通信する。多次元空間の調査および/またはレイアウトの際に、システムは、既知またはすでに調査した物体および/または構造体ならびにユーザの現在の物理的な位置を同時に表示するなど、多次元空間を表示(例えば、3Dグラフィック表示)することによって多次元空間においてユーザを案内することができ、多次元空間においてユーザを効果的に案内し、ユーザが多次元空間のレイアウトを実行している場合に、マーキングを行うべき場所をユーザへと効果的に知らせる。さらに、本発明のシステムは、仮想空間を多次元空間の表示に重ねて表示することができる。その結果、ユーザが多次元空間内を物理的に移動するとき、本発明のシステムは、ユーザの位置を追跡して、その位置を実際の空間および/または仮想の空間のグラフィック表示の中にリアルタイムで表示することができる。
【0174】
本明細書の全体にわたって明確に示されるとおり、タスクは、当該タスクを完了するために必要な段階のうちの一部またはすべてが本発明の方法に従って本発明のシステムの設備によって実行される場合に、「自動的」に行われる。本明細書において述べられる種々のタスクの最終段階の一部またはすべてが、システムの設備(そのような設備に組み込まれたファームウェアおよび/またはソフトウェアによって指揮されてよい)によって実行されることで、そのようなタスクが自動的に実行される。
【0175】
仮想空間は、建設現場の境界、設計の特定の物体または構造体、多次元空間における物体および/または構造体の互いの位置および方向ならびに指定の確立された基準点に対する位置および方向、ならびに所定の物体および/または構造体の実際の物理的な寸法を記述する(例えば、グラフィックおよび/またはテキスト)情報にもとづいて描くことができる多次元空間の視覚的表現または数学的表現である。設計をメモリアライズする情報は、仮想情報と称される。仮想情報の一例は、建設プロジェクトにおいて建築家またはエンジニアによって生成された図面一式(例えば、2Dまたは3DのCAD(コンピュータ支援設計)図面)である。以下では、用語「建設現場」および「多次元空間」は、入れ換え可能に使用される。
【0176】
本明細書において使用されるとき、用語「調査」は、本発明の方法に従って本発明のシステムを使用するユーザ(好ましくは、建築ナビゲータ)のプロセスであって、建設現場における基準点および他の所定の位置(例えば、標識、水準点)を探し、それら所定の点の間の距離を測定し、建設現場の既存の構造体および/または物体を特定し、既存の物体および/または構造体の実際の物理的な寸法を測定し、建設現場に位置する既存の物体および/または構造体の間の距離を測定して、リアルタイムで、すなわち調査がなされるときに、建設現場の表現(例えば、グラフィカルな2Dまたは3DのCAD図面や、他の種類の表現)を自動的に生成するプロセスを指す。基準点は、建設現場において具体的に定められ、測定の起点として指定される点または位置である。基準点は、通常は、設計者(例えば、建築家、エンジニア)によって仮想情報において特定され、通常は、多次元空間の現場の測量士によって多次元空間に印される。調査から生成される情報が、仮想情報の一部となることができる。
【0177】
本明細書において使用されるとき、用語「レイアウト」は、基準点ならびに設計および/または調査から生成された仮想情報にもとづき、特定の点および/または位置の正確な位置、建設現場内の物体および構造体の向きおよび配置を、リアルタイムで自動的に特定するプロセスを指す。レイアウトのプロセスは、レイアウトされる多次元空間内でシステムのユーザを正確な位置へと案内することも含むことができる。その結果、ユーザが、正確な位置に印を付けることができ、あるいは本発明のユーザが、本発明のシステムの一部である機器を使用して、建設現場内の物体および構造体の位置に自動的に印を付けることができる。
【0178】
本発明のシステムおよび方法によれば、ユーザが、建設現場(すなわち、多次元空間)と仮想空間との間のマッピングを行うことによって、建設現場の調査および/またはレイアウトを実行することができる。マッピングは、2つの空間の間に明確な関係(例えば、数学的関係)が存在する場合において、一方の空間内の既知の点を指定し、もう一方の空間内の対応する点を計算し、あるいは割り出すことを指す。例えば、レイアウトの際に行われるように、仮想空間から多次元空間へのマッピングは、本発明の方法が設計者の図面の中の点に明確な関係を適用して多次元空間における対応する点の位置を決定または計算する場合に生じる。
【0179】
本明細書においてすでに述べられ、読みやすさのためにここに繰り返されるとおり、用語「建設現場」は、本明細書において使用されるとき、所定の境界を有する任意の多次元空間であって、その内部で物体および構造体の建設ならびにそれらの相互の配置および方向付けを実行することができる多次元空間を包含するものと理解され、建設現場は、建設の一部またはすべてが行われた任意の多次元空間も包含する。したがって、以下では、用語「建設現場」および「多次元空間」は、入れ換え可能に使用される。
【0180】
本発明の方法は、多次元空間について自動的な調査または自動的なレイアウトあるいは両方を実行するために、水準点、ターゲット、および/または用意された基準点などの基準の点の使用に関するプロセスを自動化する。典型的には、建設現場での建設の開始に先立って、基準線および水準点が、測量士によって用意される。これら用意される基準は、典型的には、互いに垂直であって、x−y座標系を表わす二次元平面を形成する2本の線(一方がx軸であって、他方がy軸である直交線)であり、建設現場において職人(例えば、大工、配管工、電気技師)が物体および構造体を配置および/または方向付けするための測定の起点となる線として、測量士によって設定される。さらに、測量士は、職人が建設現場において物体および/または構造体を正しく位置させることができるよう、用意された基準線から測定される建設現場内の特定の点である「水準点」を用意することができる。水準点は、典型的には、基準線に沿ったどこかからオフセットされた点であり、建設現場内の既存の構造体(例えば、柱)上に特定される。すなわち、例えば二次元空間のための基準線が建設現場の床面に引かれる場合、水準点は、2本の基準線のいずれかに沿ったどこかから測定される点であってよく、そのような点は、基準線によって形成されるx−y平面内に位置することができ、三次元の三次元空間内のxおよびyの両方に垂直なz軸に沿って位置できる。このように、水準点は、N次元空間内に存在する基準の点であり、Nは2以上の整数である。
【0181】
E.本発明の方法の具体的段階
本発明の方法によれば、ユーザが、多次元空間において、多次元空間の調査および/またはレイアウトの際に使用される追加の基準点であるターゲットを導入することができる。ターゲットは、多次元空間のあちこちに任意に配置することができ、追加の基準点を確立すべく本発明のシステムと情報を(能動的または受動的に)受信および送信できる装置であるという点で、水準点とは異なる。例えば、ターゲットは、本発明のシステムによって多次元空間内に基準の点を確立して文書化できるよう、赤外または他の電磁気信号(光、無線信号、レーザビーム)を反射することができる反射面を有している比較的小さな正方形の平板材料であってよい。そのようなターゲットを、多次元空間の自動的な調査および/またはレイアウトを可能にするために、本発明のシステムのユーザによって多次元空間内の種々の表面へと取り付けることができる。ターゲットの他の例は、建設空間内に配置されたポール上に位置するプリズムである。ターゲットは、固定であっても、可動であってもよい。能動的なターゲットは、本発明のシステムの他の設備へと信号を生成して送信し、多次元空間における自身の位置を知らせることができる。受動的なターゲットは、本発明のシステムの他の構成要素または設備から受信されるエネルギーを反射して、多次元空間における自身の位置を知らせる。
【0182】
本発明のシステムのさまざまな実施の形態が、図1、1A、1B、2、および3に示されている。図示のシステムの実施の形態において、本発明の方法を、プロセッサ装置(例えば、ラップトップコンピュータ)に常駐するソフトウェアプログラムとして実現することができる。プロセッサ装置は、その上でソフトウェアが多次元空間の自動的な調査および/またはレイアウトを実行するためにシステムの種々の他の構成要素への指令として本発明の方法の各段階を実行する任意の装置である。
【0183】
以下でTheocad(SM)と称されるシステムソフトウェアを、ユーザによる多次元空間のグラフィック表現の生成を可能にするAutoCAD(登録商標)ソフトウェアなどのコンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアの一部として実現することができる。さらに、ソフトウェアは、建設および建築の市場における使用を容易にするように作られたグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を有している。この態様で、Theocad(SM)は、AutoCAD(登録商標)に、そのようなソフトウェアのグラフィック生成能力を利用すべくシームレスに統合される。Theocad(SM)を、自身のグラフィックを生成することができるスタンドアロンのソフトウェアパッケージとして実現できることに、注意すべきである。Theocad(SM)は、特定の位置特定、ナビゲーション、建設タスクの読み取りおよび書き込みを迅速に実行するように調製されている。
【0184】
Theocad(SM)は、ハンドヘルド、ラップトップ、タブレット、またはデスクトップのコンピュータに位置でき、あるいはマスターステーションモジュールと通信する能力(情報を送信し、情報を受信する)を有している他のプロセッサに位置することができる。情報は、マスターステーションモジュールまたはプロセッサによって生成される指令および/または応答であってよい。プロセッサは、任意のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、メインフレームコンピュータ、デスクトップコンピュータ、またはソフトウェアプログラムの形態のインストラクションを実行することができ、グラフィックを表示するための表示装置を有している他の処理装置であってよい。マスターステーションモジュールは、多次元空間内に配置された基準線、水準点、およびターゲットの距離、角度、および他の位置を測定することができる任意の周知の装置であってよい。例えば、図1Aに示したマスターステーションモジュールは、一般的にトータルステーションと称される装置であってよく、適用可能な1つの特定のトータルステーションは、例えばLeica Geosystems Series 1200 Model 3であってよい。Leica 1200というトータルステーションは、1000フィートの距離にある位置を、3秒間以内で±3/16インチという精度で明らかにすることができる。Leica 1200 Series Model 3というトータルステーションは、移動するプリズムを追跡することができ、したがって任意の可動装置を追跡することができ、プリズムおよび他の反射性のターゲットなどのターゲットまでの距離を測定することができる。したがって、システムソフトウェアは、距離測定、ナビゲーション、および文書化管理のソフトウェアとして機能することができる。システムソフトウェアは、マスターステーションへと指令を送信し、マスターステーションからテレメトリを受信する。システムソフトウェアは、マスターステーションのファームウェアへと指令を送信し、要求に応じて指定のタスク(例えば、指定の方向に向きを変え、あるいは特定の角度位置へと上下に移動し、可視レーザポインタをオン/オフし、距離または角度を測定する、など)を実行するように求める。マスターステーションが、要求された機能を実行し、実行または測定のテレメトリをシステムソフトウェアへと送り返すことによって応答する。ソフトウェア(例えば、TheoCADおよびAutoCAD)のすべてがプロセッサまたはマスターステーションに位置でき、あるいはソフトウェアの各部が、プロセッサおよびマスターステーションの両者に位置できることに、注意すべきである。
【0185】
図49を一時的に参照すると、三脚4904と、レーザ距離計4906と、上部に位置する無線通信装置4908(アンテナを含んでいる)と、コンピュータおよびユーザインターフェイス4910とを有するマスターステーションモジュール4902(固定のロボット装置として示されている)を備えている本発明のシステムの実施の形態が示されている。さらにシステムは、プロセッサ4918および少なくとも1つのプリズム4912などのターゲットを備えている。トータルステーションとして実現されたマスターステーションモジュールは、ポール4914(無線通信装置4916を図示のとおりに一方の端部に位置させてさらに有している点を除き、測量士のポールと同様である)に位置するプリズム4912を常に追跡するためにレーザ4906を動かすロボット装置である。トータルステーションは、プリズムの位置を知り、その位置が、マスターステーションモジュール4910によって通信装置4916を介してプロセッサ4918へと通信される。通信装置4916は、プロセッサ4918へと接続され、自身の通信装置4908を有するマスターステーションモジュール4902へと情報を受信および/または送信するために、プロセッサ4918によって使用される。通信装置4908および4916は、プロトコルに従って互いに情報を交換することができる任意の種類の無線通信装置であってよい。プロトコルは、情報が情報を送信および/または受信する装置によってどのようにフォーマットされ、送信され、受信され、解釈されるのかを決定する規則一式である。プロトコルは、周知のプロトコルであってよく、あるいは本発明のシステムの製造者によって設計されるプロトコルであってよい。万が一にプリズムの位置の通信が中断された場合、マスターステーションモジュール4902は、プリズムを見つけるために捜索パターンプログラムを始めることができる。プロセッサ4918がポール4914に取り付けられているため、建設現場におけるプロセッサ4918の位置を、マスターステーションモジュール4902によって割り出すことができる。さらに具体的には、マスターステーションモジュール4902が、その建設現場における位置を、周知の三角測量手順を使用して割り出すことができる。したがって、マスターステーションモジュール4902が、自身の位置およびプロセッサ4918の相対位置を知っているため、建設現場におけるプロセッサ4918の位置も、マスターステーションモジュール4902によって割り出すことが可能である。このように、プロセッサ4918が、AutoCAD(登録商標)およびTheoCAD(SM)ソフトウェアを実行する可搬の処理装置として示され、建設現場の仮想マップを形成すべく現場の変更されたCAD図面(平面図および立面図の両者)を表示する特別なソフトウェアがロードされる。したがって、今やこのハンドヘルド装置が、自身の位置を仮想マップ上に重ねることができる。
【0186】
本発明の方法の第1の段階において、通信装置(ターゲット、サブステーション、および他の装置などのマスターステーションモジュールサブステーション)が、互いの通信を確立する。また、マスターステーションモジュール、ターゲット、およびコンピュータプログラムの形態の本発明の方法を実行するプロセッサが、それらに組み合わせられた通信装置を有することができる。本発明のシステムの初期の起動時(すなわち、システムが最初にオンにされるとき)に、種々の通信装置の間の種々の通信リンクが確立される。任意の2つの装置の間の通信リンクの確立は、装置がオンである旨および装置が互いに通信できる旨を確認することを必要とする。さらに、装置間の通信は、それらが互いの情報を正しく解釈できるような通信である。典型的には、2つの装置の間のハンドシェイクの手順が、2つの装置の間にリンクを確立するために使用される。したがって、リンクは、システムが従うプロトコルに従って効果的に通信を行う能力である。
【0187】
本発明の方法の第2の段階において、種々の基準点が特定され、それらの位置が特定される。測量士が、典型的には、基準線および水準点を用意する。建設現場の各所に戦略的に配置されたさらなるターゲットも、発見および特定される。さらに、マスターステーションが、建設現場において基準線または水準点またはターゲットに対して配置される。建設現場に利用できる基準線が存在しない場合も考えられる。そのような場合には、ターゲットが基準点として使用され、ターゲットに対してマスターステーションが配置される。水準点および基準線を、システムのプロセッサ(例えば、図1Aまたは図49に示したラップトップまたはハンドヘルドユニットの一部であるプロセッサ)に保存され、あるいはシステムのプロセッサへとダウンロードすることができる多次元空間のCAD図面に表示することができる。ターゲットは、ユーザによって建設現場内のさまざまな点へと設置または取り付けされ、したがってそれらの位置を、ユーザが知っていると推定される。Leica model 1200というトータルステーションがマスターステーションとして使用される場合、プリズムなどの特定の種類のターゲットの位置を自動的に特定することが可能である。
【0188】
本発明の方法の第3の段階において、種々の基準点が、Leica Model 1200というトータルステーション(例えば、図49のマスターステーション4902)を使用して測定される。特には、基準点からマスターステーションまでの距離ならびにマスターステーションに対する基準点の(垂直方向および水平方向の)角度が、測定されてトータルステーションに保存される。トータルステーションが、この情報をプロセッサ(例えば、図49のプロセッサ504)へと送信する。AutoCAD(登録商標)をプラットフォームとして使用するTheoCAD(SM)の制御下にあるプロセッサ(図49のプロセッサ504など)が、前記情報を処理して、本発明の方法の第4および第5の段階につながる少なくとも2つの特定の種類の情報を生成することができる。TheoCAD(SM)を、スタンドアロンのソフトウェアとして使用することができ、本発明の方法の第4および第5の段階において述べられる情報を生成するために自身の固有のインストラクション一式を使用できることに、注意すべきである。
【0189】
本発明の方法の第4の段階において、TheoCAD(SM)ソフトウェアが、周知の三角測量のプロセスによって、調査対象の多次元空間におけるマスターステーションの位置を計算する。少なくとも2つの基準点が、マスターステーションの位置を割り出すために使用される。プロセッサに常駐するTheoCADおよびAutoCADソフトウェアが、少なくとも2つの基準点位置を、マスターステーションの実際の位置を割り出し、その位置をプロセッサの表示装置に表示するために使用する。衛星信号を利用することができる建設現場において、本発明の方法は、マスターステーションの位置を割り出し、したがってプロセッサの位置を割り出すために、周知のGPS(全地球測位システム)を使用することができる。
【0190】
本発明の方法の第5の段階において、TheoCADおよびAutoCADソフトウェアは、基準点が上述のとおり発見され、特定され、測定され、保存され、処理されるため、建設現場の三次元のグラフィック表現を生成することができる。さらに、ターゲットではないが非反射の表面である空間の他の基準点を、三次元グラフィックの生成を助けるために使用することができる。エンジニアまたは建築家によって(本発明のシステムを用いずに)別途生成されて保存された建設現場のCAD図面を、プロセッサへとダウンロードし、マッピング操作によって、本発明のシステムによって生成された建設現場の三次元グラフィック表現に整列させることができる。マッピング操作は、2つの空間の間に明確な関係(例えば、数学的関係)が存在する場合において、一方の空間内の既知の点を指定し、もう一方の空間内の対応する点を計算し、あるいは割り出す。2つの空間を整列させることで、ユーザが、調査された空間と建築家によって別途生成された建設現場の空間との間の不一致を容易に見て取ることができる。各点が生成されるとき、点の間の接続も生成され、本発明のシステムがリアルタイムで建設現場の三次元グラフィック表現を生成することを可能にする。さらに、ユーザが保持することができ、マスターステーションによって追跡することができるプロセッサの位置も、生成される空間と同時に表示することができ、オーバレイされる空間は、例えば建築家によってAutoCADを使用して別途生成される。このやり方で、本発明のシステムのユーザは、本発明の方法を使用して当該システムを動作させ、仮想空間をナビゲートすることができ、さらには実際の空間に仮想空間の物体および/または構造体の位置を表わすマーキングを行うことができる。すなわち、本システムのユーザを、建設現場のレイアウトを実行するために、本システムによってリアルタイムで案内することができる。
【0191】
このように、本発明の方法は、上述の段階によって多次元空間の自動的な調査、レイアウト、および/または自動的な検証を実行することができる。本発明の方法のこれらの種々のプロセスに関し、特には距離の測定、ターゲットの位置特定、ターゲット角度の測定、水準点、基準点、建設業界に特有の測定に使用される標準的な方法および技法に関するいくつかの特定の機能および特徴は、以下のとおりである。
1.座標系−英国(OSGB−36)、オーストラリア(GDA−MGA、AGD84−AMG、AGD84−ISG、AGD66−AMG、AGD66−ISG)、ニュージーランド(NZGD2000、NZGD49)、プエルトリコ・ステートプレーン83、およびフランス(NTF−GR3DF97A)についてのサポートの追加。新規なユーザ定義のデータおよび投影方法も存在する。データの定義は、楕円およびデータシフト値についての参照表を有するHelmert 7−パラメータデータシフトで構成される。楕円はユーザ定義であってもよい。ユーザ定義の投影は、横メルカトル(Transverse Mercator)、ランベルト等角円錐(Lambert Conformal Conic)1 SP/2 SP、ダブルステレオグラフィック(Double Stereographic)、斜めメルカトル(Oblique Mercator)、および斜めステレオグラフィック(Oblique Stereographic)をサポートする。
2.ジオイドのサポート−英国(OSGM02)、オーストラリア(GDA94)、およびカナダ(CGG2000、HT 2.0、HT 1.01)のジオイドについてのサポートの追加。
3.座標の順序−座標が北進−東行または東行−北進の順序のどちらで報告されるかの選択肢の追加。
4.局所座標の整列−2点の整列について、第1の制御点が平行移動に使用され、第2が回転のためだけに使用される回転のみの選択肢の追加。ローカライゼーション制御およびGPS基準座標の報告を作成するための報告機能の追加。
5.複数の測定−同じ点の数を複数回測定することができ、プログラムがその点についての座標を平均する。新たな測定を受け付ける前に、プログラムが新たな測定が平均にどれだけ影響するかについての統計値を報告する。
6.ピッチ調節−GPSにおいて、GPS位置の経路にもとづいてピッチを計算するための新たな選択肢が存在する。次いで、このピッチが、Auto Points At Interval、Store Points、Track Position、Centerline Position、およびElevation Differenceにおいてアンテナの下方の位置を補正するために使用される。この選択肢は、ATVなどの車両への搭載時に当てはまる。
7.Store Point−高度ゼロに点を生成するための「高度なし」のためのトグルを追加。GPSにおいて、連続読み取りモードにおいてこのルーチンを自動的に開始させる新たな選択肢が存在する。
8.ステイクアウト−画面ピック点の選択肢が、点のピッキング前の種々のスナップからの選択を可能にするように改善されている。
9.Field To Finish−スタート/ストップおよびPC/PTなどのユーザ定義の特殊コードのサポートの追加。さらに、ラインワークのための分割複数コードのサポートの追加。Store Pointに、ラインワークを先の点へと接続する新たなトグルが存在する。
10.Centerline Position−カット/フィルを報告するためのプロファイルを使用するための選択肢の追加。さらに、左/右オフセットにもとづいて案内矢印のための光バーを使用するための選択肢の追加。
11.Elevation Difference−表面を定めるための道路設計および断面ファイルを使用するための選択肢の追加。これらのファイルは、センターライン、プロファイル、テンプレート、セクション、スーパーエレベーション、およびテンプレートトランジッションを含んでいる。プログラムが、道路または断面ファイルから貴方の現在位置について設計の高度を計算し、カット/フィルおよびステーション/オフセットを報告する。
12.ロボットによる点チェック−これは、公知の座標への一連の直接−逆ショットを自動的に取得し、公知の座標と測定から計算された座標との間の差の報告を生成するための新たなコマンドである。
13.GPS設備のセットアップ−テキストファイルを受信機へと複数の指令を送信するために使用することができる。ALTUS GPS & パートナーシップ関係。
14.Ashtech−RTKソリューションをリセットするための追加機能。受信機警報ビープを有効にするか否かについての設定の選択肢の追加。
15.InnerSpace−InnerSpace Tech測深器のためのサポートの追加。
16.Leica GPS−RTKメッセージングのための携帯電話機の使用のサポートの追加。
17.Sokkia Laser−Sokkia Contour Laserのためのサポートの追加。真のField−to−Finish。
18.現場における直接の新規図面の生成または既存図面の更新。
19.ステークが点番号によってポイントし、あるいはステイクアウトのためにエンティティの終点または交点を単純にピックする。
20.カットおよびフィルが、高度とともに、あるいは任意のTINまたはグリッド地形モデルに沿って、ステークされた点について自動的に表示される。
21.Carlson Surveyにおいて生成およびロードされる任意のセンターラインに沿った保存点をGPSまたはトータルステーションのために瞬時に報告するステーションおよびオフセット。
22.MDBデータベーステーブル、フォーム、またはレポートへの直接保存のための非制限の第6フィールドGISスマートプロンプティング。
23.Carlson 2007のGISモジュールに接続されたCarlson Field 2007が、迅速に計画およびGISの専門家が必要および需要する真のデータリンクになる。
24.我々のGIS Plusソフトウェアを使用するSurvStarからAutoCAD MAPへのデータ取得ルーチンが、ダウンロード、収集されたGIS infoのレビュー/編集、およびMDB GISデータベーステーブルの生成または更新を完全に自動化する。
25.すべてのGIS点データが、Carlson SoftwareのField−to−Finishルーチンを使用してラインワークによってサイズされ、特定のコーナーシンボルを備え、レイヤ化されて自動的に描かれる。GIS点データが、すべて1つのステップでデータベースへとリンクされる。
26.Carlson Field 2007が直接AutoCAD 2007 DWGフォーマットで点を収集して保存する。
【0192】
本発明を、本発明の特定の実施の形態を参照して詳しく説明したが、それらについて、本発明の精神および技術的範囲から逸脱することなく種々の変更および修正を行うことが可能であることは、当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明は、本発明の変形および変種を、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲に入る限りにおいて包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多次元空間内に配置され、該多次元空間の自動調査、自動レイアウト、または自動検証のうちの1つ以上を実行するマスターステーションアセンブリ
を備えているシステム。
【請求項2】
多次元空間の自動レイアウトを実行する方法であって、
多次元空間内の水準点の位置を自動的に示すステップ
を含んでいる方法。
【請求項3】
多次元空間の自動調査を実行する方法であって、
多次元空間において行われる1つ以上の測定にもとづいて、多次元空間の仮想空間を自動的に生成するステップ
を含んでいる方法。
【請求項4】
多次元空間の自動検証を実行する方法であって、
多次元空間の1つ以上の水準点を、多次元空間を表わしている対応する仮想情報と自動的に比較するステップ
を含んでいる方法。
【請求項5】
建築ナビゲーションサービスを提供するための方法であって、
1つ以上の所定のプロセスに従って自動レイアウト、自動調査、または自動検証を実行することができるシステムを使用するために、1人以上の個人を教育し、資格を与えるステップ
を含んでいる方法。
【請求項6】
自律ロボットタスク実行サービスを提供するための方法であって、
自律ロボットタスク実行設備を使用するために、前記設備を設計、製造、および/または提供できる存在によって、1人以上の個人を教育し、資格を与えるステップ
を含んでいる方法。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15A−15D】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24A】
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【図24B】
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【図24C】
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【図25A】
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【図25B】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図26D】
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【図27A】
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【図27B】
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【図28A】
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【図28B】
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【図29】
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【図30A】
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【図30B】
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【図31】
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【図32A】
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【図32B】
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【図32C】
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【図33】
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【図34A】
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【図34B】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38A】
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【図38B】
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【図38C】
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【図38D】
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【図38E】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44A】
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【図44B】
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【図44C】
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【図44D】
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【図45】
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【図46A】
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【図46B】
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【図47A】
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【図47B】
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【図48A】
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【図48B】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59A】
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【図60】
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【図61】
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【図62A】
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【図62B】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【公表番号】特表2010−540796(P2010−540796A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503142(P2010−503142)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/059617
【国際公開番号】WO2008/124713
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(509279594)
【氏名又は名称原語表記】Sam STATHIS
【Fターム(参考)】