説明

多段データ偏析を使った推論処理モデリング、品質予測、および故障検出

【課題】処理モデリング技術は、典型処理に対する履歴データから展開されるPLS、PRC、MLRモデル等の単一統計的モデルを使用し多様な処理状態に対し品質予測又は故障検出を実行する。
【解決手段】該モデリング技術は、製品等級やスループット等の集合の各処理パラメータの平均値(及び標準偏差値)を求め、該平均値をオンライン処理パラメータ測定値と比較し比較値を単一処理モデルで使用して、処理の様々な状態に渡って品質予測又は故障検出を行う。処理モデルの処理パラメータの平均値及び標準偏差値のみが更新されるので、処理が定義付けられた処理の段階又は工程のいずれかで動作している間でも単一処理モデルだけを使用して品質予測又は故障検出を実行できる。さらに、処理の感度(ロバストネス)は処理パラメータごとに手動又は自動で調整されて経時的にモデルを適合又は適応させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理コントロールシステムのモデリングに係り、より詳細には、多段または多状態データの偏析を使用して、連続処理またはバッチ処理において、処理モデリング、品質予測、および故障検出を実行する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学、石油または他のプロセスに使用されるような処理コントロールシステムは、一般的に、少なくとも一つのホストまたはオペレータワークステーションと、アナログまたはデジタルまたはこれらを組み合わせたアナログ/デジタルバスを介して、一つ以上のフィールドデバイスと、に通信可能に連結された一つ以上の処理コントローラおよび入力/出力(I/O)デバイスを含む。例えば、バルブ、バルブポジショナ、スイッチおよびトランスミッタ(例えば、温度、圧力および流量センサ)などのフィールドデバイスは、バルブの開閉や処理コントロールパラメータの測定などの処理内で処理コントロール機能を実行する。処理コントローラは、フィールドデバイスによって行われた処理測定を表す信号を受信し、この測定情報を処理し、コントロールルーチンを実施し、コントロール信号を生成する。このコントロール信号は、バスまたは他の通信ラインを経由して、フィールドデバイスへ送信されて処理の動作をコントロールする。このように、処理コントローラは、バスおよび/または通信リンクを介して、フィールドデバイスを用いてコントロール戦略を実行し調整する。
【0003】
フィールドデバイスおよびコントローラから送られる処理情報は、オペレータワークステーション(例えば、プロセッサベースのシステム)によって実行される一つ以上のアプリケーション(即ち、ソフトウェアルーチン、プログラムなど)に利用可能とされるため、オペレータが、(例えば、グラフィカルユーザインターフェースを介して)処理の現在状態を閲覧し、処理を評価し、(例えば、視覚オブジェクト流れ図を介して)処理の動作を変更するなどの処理に関して、所望の機能を実行することを可能にする。多くの処理コントロールシステムは、典型的に、パーソナルコンピュータ、ラップトップなどによって実施されるとともに、ローカルエリアネットワーク(LAN)を介して、処理コントロールシステム内のコントローラ、オペレータワークステーション、および他のシステムに通信可能に連結される一つ以上のアプリケーションステーション(例えば、ワークステーション)も含む。各アプリケーションステーションは、処理変数の値や処理に関連付けられた品質パラメータの値を含む処理コントロール情報、処理故障検出情報、および/または処理状態情報をディスプレイするグラフィカルユーザインターフェースを含む。
【0004】
一般的に、グラフィカルユーザインターフェースへの処理情報のディスプレイは処理に関連付けられる各処理変数の値のディスプレイに制限される。場合によっては、処理コントロールシステムはいくつかの処理変数間の単純な関係を特徴付けて、処理に関連付けられる品質メトリクス(測定基準)を推定する。しかしながら、処理から得られる製品が前もって定義付けられた品質管理メトリクスに適合しないほとんどの場合、処理および/または他の処理変数を詳細に解析できるのは一般に製品が完成してからである。
【0005】
連続処理とバッチ処理の両方において処理品質予測と故障検出の予測モデリングを使用することが一般的になってきている。明らかなように、連続処理は出力製品を製造するために連続供給される原材料の集合上で連続的に動作する。概言すれば、連続処理で使用される処理コントローラは処理内のいくつかの特定の場所においてさまざまな処理パラメータを同一に保持しようとする。しかしながら、連続処理は、例えば、スループット、製造されている製品の種類または等級、処理へ入力される原材料の補給量などにおいて定期的に変動を経験することから、処理パラメータ値がスループット、製造されている製品の等級などの変化に基づいて、任意の特定の場所で変化するので、オンライン処理の出力(即ち、処理が動作している間)の品質予測を行うことは難しい。一方、バッチ処理は典型的に、さまざまな数の段階または工程を介して原材料の共通集合を「バッチ」として一括処理するように動作して製品を製造する。バッチ処理の多くの段階または工程は、タンクなどの同一の装置を用いて実行されるが、それ以外の段階または工程は他の装置において実行される。しかしながら、処理されている材料の温度、圧力、コンシステンシー(整合性)、pH、または他のパラメータは、バッチの動作中、時間が経つにつれて、材料が同じ場所に停留している間に何度も変化するので、バッチ処理が所望される品質メトリクスを有するエンドプロダクト(完成品)を製造しそうにバッチ実行中の任意の特定の時間において動作しているかを判断することは難しい。したがって、バッチ処理内で品質予測および故障検出を行うことも難しい。
【0006】
現在動作している処理が正常にまたは所望される仕様内で進行しているかどうか(および結果的に所望される品質メトリクスをもった最終製品になりそうかどうか)を予測するための一つの知られている方法は、進行中の処理動作中に行われているさまざまな処理変数測定値をその結果がすでに測定されているかまたは知られている以前の実行処理の動作中に取得した同様の測定値と比較することを含む。しかしながら、先に述べたように、連続処理の実行はスループットと製品等級に基づいて変化し、バッチ処理の実行は典型的に時間長が変化するため、即ち、バッチの終了に掛かる時間が変化することから、オンライン処理の現在測定されているパラメータに以前の処理実行内のどの時間が最適に利用可能であるかを知ることが困難になる。さらに、多くの場合、処理変数は、選択された以前の処理の処理変数に比較した場合、最終製品の品質を著しくは低下させないものの、処理の動作中、大きく変化し得る。これによって、現実的に不可能とは言わないまでも、多くの場合、後続の処理実行の品質を測定するかまたは予測するために全てのケースに使用可能な特定の以前の処理の実行を識別することは難しい。
【0007】
上記に指摘した問題の一つを解決する進行中の連続処理およびバッチ処理の結果を解析するより高度な方法は、処理のさまざまな実行に基づいてこの処理に対する統計的モデルを作成することを含む。この技術は、処理の多くの異なる実行からの処理変数(パラメータ)の集合の各々に対するまたは処理内の多くの異なる時間に対するデータを収集し、データのこれらの集合の各々に対する品質メトリクスを識別するかまたは測定することを含む。その後、収集されたパラメータおよび品質データは、処理の統計的モデルを作成するために使用され、ここで、統計的モデルは、結果的に所望の品質メトリクスに至る処理の「正規」動作を示す。次に、処理の統計的モデルは、特定の処理インプリメンテーション(実施)中に行われる異なる処理パラメータ測定が、モデルを展開するために使用される処理内で行われる同じ測定にどのように統計的に関連しているかを解析するために使用することができる。例えば、この統計的モデルは、各測定された処理パラメータの平均値または中間値と、現在測定されている処理変数が比較される処理実行中の任意の特定の時間または場所における各々の測定された処理変数に関連付けられる標準偏差値と、を提供するために使用することができる。さらに、この統計的モデルは、処理の現在状態が処理の終わりにまたは出力時に製造される製品の最終品質にどのように影響を与えまたは関連するかを予測するために使用することができる。
【0008】
一般に、線形と非線形の両方の統計ベースの処理予測変数をオンライン測定に利用不可能な製品の品質パラメータを予測するために使用することができる。このような処理パラメータの予測変数は、例えば、ソフトセンサ、推論センサなどを含む多くの異なる名前で知られている。実際、処理内で処理パラメータ予測を実行するために使用されるモデルベースの線形予測変数が数種類あり、最も普及しているモデルベースの線形予測変数としては、重回帰解析(MLR)予測変数、主成分回帰(PCR)予測変数、主成分解析(PCA)予測変数、部分的最小二乗(PLS)予測変数、および判別解析(DA)予測変数が挙げられる。このような予測変数は、処理によって製造されている製品の品質測定などの処理パラメータを予測するためにオフラインとオンラインの両方の解析ツールにおいて使用することができる。なお、処理内で故障検出を実行するために主成分解析(PCA)技術を使用することが知られている。
【0009】
しかしながら、知られているモデルベースの予測変数は、これに使用される予測処理モデルを、例えば、処理の生産率やスループットの変化または製品等級の変化などから生じる変動する処理状態に合わせて調整することが一般的にできないという重大な欠点を有している。実際、従来の技術によってこの問題に対処するには、発生する限りの生産率または製品等級ごとに個別のモデルを構築することが必要になってくる。しかしながら、この技術では、数え切れないほどの予測モデルを展開し格納し使用することがプロセッサ負荷を大きくし、多大なメモリスペースを必要とし、リアルタイムシステムでの実施および維持を複雑化するので、組み立てるにも使用するにもきわめて複雑な予測変数が生じる。
【0010】
このように、連続処理などの処理をモデリングするために統計的処理モデリング技術を使用することは知られているが、典型的に、これらのモデリング技術は、連続処理が安定しているかまたは良好に定義付けられている場合、即ち、製造中の製品または処理のスループットに殆ど変動がない場合のみにおいて功を奏する。結果的に、故障検出および故障予測に対するPCAおよびPLS技術などの解析ツールのオンラインインプリメンテーションは、大部分の例において、単一製品が製造される連続処理に限定されていた。このような例では、処理は測定およびラボ解析の一定集合を有する単一ユニットとして扱われる場合が多い。これらのタイプの処理は、オンライン環境において、単一のPCAまたはPLSモデルが展開され適用される。あいにく、これらの技術は、(異なる時間において)一つ以上の異なるプラント設備を使用するかまたは変数スループットを有している多等級の製品が製造される、または他の動作条件が定期的に変わる連続処理またはバッチ処理の要件には対応できない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
処理モデリング技術は典型的な処理に対する履歴データから展開されるPLS、PRC、MLRなどのモデルなどの単一の統計的モデルを使用し、さまざまな異なる処理状態に対する品質予測または故障検出に使用するためにこのモデルを適応させる。より詳細には、モデリング技術は、製品等級、スループットなどの集合の各々に対して処理パラメータ平均値(およびおそらく標準偏差値)を求め、オンライン処理パラメータ測定値をこれらの平均値と比較し、単一処理モデルにおいてこれらの比較を使用して、処理のさまざまな状態にわたって品質予測や故障検出を実行する。処理モデルの処理パラメータの平均値と標準偏差値のみが更新されるので、単一処理モデルは、処理が定義付けられた処理の段階または状態のいずれかにおいて動作している間に、品質予測または故障検出を実行するために使用することができる。さらに、処理モデルの感度(ロバストネス)は処理パラメータごとに手動または自動で調整されて経時的にモデルを調整したり適応させたりする。
【0012】
このモデリング技術を用いた処理の品質予測および故障検出システムは、品質予測とおよび故障検出システムが推論センサの状態が調整されるのを可能にし、オペレータに対して処理の現在のオンライン動作へ更なる洞察力を提供するので、連続処理とバッチ処理の両方での機能性と有用性が著しく増大した。
【0013】
バッチ製造処理または連続製造処理において使用され得る本開示のモデリング技術は、所謂、さまざまな発生し得る処理の状態に関連しているまたはこれらを表している状態パラメータに関連付けられるかまたは同状態パラメータによって定義付けられた異なる段階または状態へ処理の動作を分割する。これらの状態パラメータは、例えば、製品等級、処理のスループット、または処理の任意の他の重要な外乱変数であってよい。
【0014】
モデリング技術は、まず、多数の処理段階にわたって処理の測定された動作に基づいて品質予測または故障検出モデルを展開し、その後、処理のオンライン動作中に品質予測または故障検出を実行するためにこのモデルを使用する。モデル作成段階の間、この方法は、処理から生成されるトレーニングデータを集め、このトレーニングデータは、作成されるモデルへの入力として使用されるさまざまな処理パラメータの値または測定値と、処理状態を定義付ける状態パラメータの値と、品質パラメータまたは故障表示の値と、を含む。この方法は、品質予測モデルに対して、処理入力パラメータ値と状態パラメータ値をタイムシフトしてこのデータを予測される品質パラメータに整合させることで、処理入力と予測される品質パラメータとの間で発生する変数処理遅延の影響を取り除くことができる。タイムシフトされたデータ(品質予測モデルを生成する場合)またはトレーニングデータ(故障検出モデルの場合)は次に処理パラメータ平均値の集合と状態パラメータ平均値と処理状態ごとの品質または故障パラメータ平均値とを求めるために処理される。これらの処理状態平均値と各タイムスライスデータ(時間整列データまたはトレーニングデータ中の)の状態パラメータ値は次に各タイムスライスデータに対するタイムスライス平均値の集合を展開するために使用され、処理パラメータの瞬時値とタイムスライス平均値は次に各タイムスライスに対する平均値から偏差値の集合を展開するために使用される。平均値から求められた偏差値の集合は次にフィルタリングすることができ、平均値から得た偏差値のフィルタリングされた値は、PLSモデル、ニューラルネットワーク(NN)モデル、MLRモデル、PCAモデルなどの処理モデルを展開するために使用される。処理状態平均値はまたモデルの一部として保存される。
【0015】
その後、処理のオンライン動作中、モデルは品質予測や故障検出を実行するために使用することができる。特に、処理パラメータと状態パラメータの測定値は、処理がオンラインで動作する時に処理から取得されるとともにこのデータは一時的なメモリに格納される。品質予測モデルに対して、処理パラメータと状態パラメータの測定値はモデルの展開中に実行される場合と同様にタイムシフトされる。いずれにしても、タイムスライスデータの集合は処理から取得し、各タイムスライスデータは処理入力パラメータと状態パラメータの各々の値を含む。各タイムスライスの状態パラメータの値とともに、次に、格納された処理パラメータ平均値と状態パラメータ平均値がモデルの一部として使用されて、各タイムスライスの処理パラメータに対してタイムスライス平均値を求める。次に、各タイムスライスデータのタイムスライス平均値とタイムスライスの処理パラメータおよび状態パラメータの値とはタイムスライスデータの平均値から得た偏差値の集合を作成するために使用される。各タイムスライスの平均値から得た偏差値がフィルタリングされ、次に、このフィルタの出力が処理モデルへ入力され、処理内の品質予測または故障検出をオンラインで実行する。
【0016】
重要なことは、このようにして作成され動作されるモデルは、処理モデルを変更したりまたは処理状態ごとに異なる処理モデルを展開したりすることを必要とせずに、全ての定義付けられた処理状態にわたって品質予測または故障検出を行うことが可能になる点にある。実際、異なる処理状態において処理の変化する動作は、モデルに入力された平均値から偏差値を求めるために使用されるタイムスライス平均値を変更する動作において考慮される。さらに、平均値から得た偏差値のフィルタリングは、処理が異なる処理状態の互いの間を遷移している時に、より良好な品質予測または故障検出を行うために提供される。
【0017】
このように、ある処理に対して以前求めた処理状態の定義を使用したモデル生成およびデータ解析技術は、処理の多くの異なる動作状態に対する平均値から偏差値の異なる集合を展開し、次に平均値から得たこれらの偏差値の異なる集合を、処理の各動作領域や状態に対して新たなまたは異なる処理モデルを生成することを必要とせずに、単一処理モデルにおいて使用する。これとは別に、処理に対するオンラインデータ解析を実行するために使用される処理モデルは、処理に対して一回だけ求めればよく、処理が異なる動作状態で動作する場合でも、処理の動作の各段階や状態に対して個別のモデルを求めることを必要とせずに、処理を解析するために使用することができる。その代わり、モデル自体を変更せずに、モデルに対して、品質予測をするかまたは処理が現在動作している処理状態に基づいて故障検出を実行する能力を提供するように、モデルへの入力は、異なる処理段階や状態に対して変化しまたは変更される平均値から得た偏差値に基づいて行われる。
【0018】
所望されれば、処理状態平均値は、モデル作成フェーズ中に全くあるいは殆どデータが収集されなかった処理状態または処理動作がモデル作成以降に変化した処理状態などの一つ以上の処理状態に関連する処理から更なるデータを収集することによって処理のオンライン動作中に適応させることができる。新しいデータを集めた後、新たなまたは変化した処理状態に対する処理平均値が求められ処理モデルの一部として格納されることで、処理モデル自体を再生することを必要とせずに、新しい処理状態または変更された処理状態において品質予測または故障検出を実行するために処理モデルが使用されることを可能にする。
【0019】
また更なるアラーム(警報)とアラート(警告)はオンライン品質予測および故障検出システムの動作に基づいて自動的に生成され、これらのアラームやアラートは処理の動作中にユーザへ提供されて、ユーザが所望の変更を加えたり補正したりすることを可能にする。また更なる高度なユーザインターフェース機能は、ユーザが特定のアラームまたはアラートが生成された時点でまたはこの時点付近で処理変数傾向プロットを簡単に閲覧してアラームやアラートの原因となっている可能性のある処理パラメータがどれかを判断することができるようにする。これらの傾向プロットは、ユーザがデータ履歴を介して手動でこの情報を検索することを必要とせずに、アラート発生時点またはその付近における処理パラメータの平均値および標準偏差値と比較される処理パラメータの履歴値を閲覧することを可能にする。このような機能は、処理のオンライン動作中のトラブルシューティングおよび補正行動を簡単化し迅速化する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】処理品質予測および故障検出を提供するために処理およびさまざまな処理モデリング成分を実施するために使用されるコントローラとフィールドデバイスを有している処理コントロールネットワークを示す図である。
【図2】処理を解析するためにオンライン処理解析システムを実施するオペレーション管理システムを含む処理コントロールシステムを例示するブロック図である。
【図3】一つ以上の品質予測モデルと故障検出モデルを生成する方法を示す処理の流れ図である。
【図4】処理パラメータの集合と、品質予測モデルを生成するために使用される品質パラメータと、の間の相互相関を示す相互相関プロットの集合を示すグラフである。
【図5】相互相関関数によって求められる処理パラメータの変化と品質変数の変化との互いの遅延時間を示す図4の相互相関プロットの一つを示す拡大図である。
【図6A】連続処理またはバッチ処理において処理の品質予測または故障検出を実行する際に使用するための一つ以上の統計ベース処理モデルを展開するためのシステムを示すハードウェア/ソフトウェアを示す流れ図である。
【図6B】連続処理またはバッチ処理において処理の品質予測または故障検出を実行する際に使用するための一つ以上の統計ベース処理モデルを展開するためのシステムを示すハードウェア/ソフトウェアを示す流れ図である。
【図7】品質予測および/または故障検出を実行するために処理のオンライン動作中に一つ以上の品質予測モデルと故障検出モデルを使用する方法を示す処理の流れ図である。
【図8】処理状態のデータ偏析を使用して連続処理またはバッチ処理において処理パラメータ品質予測を実行するために一つ以上の統計ベース処理モデルを実施するシステムを示すハードウェア/ソフトウェアの流れ図である。
【図9】図3の方法によって作成された統計的処理モデルを用いて品質予測および/または故障検出を実行するように実施される機能ブロックを示すブロック図である。
【図10】ユーザがアラームまたはアラートに関連付けられたパラメータデータの解析を実行するのを可能にするために従来的にユーザに提供されている一連のユーザインターフェーススクリーンを示す図である。
【図11A】品質予測、故障検出、または他のアラームシステムを使用して生成されたアラームまたはアラートに関連する処理パラメータ傾向プロットをユーザが容易に閲覧できるように作成されてユーザに提供される一連のユーザインターフェーススクリーンを示す図である。
【図11B】品質予測、故障検出、または他のアラームシステムを使用して生成されたアラームまたはアラートに関連する処理パラメータ傾向プロットをユーザが容易に閲覧できるように作成されてユーザに提供される一連のユーザインターフェーススクリーンを示す図である。
【図11C】品質予測、故障検出、または他のアラームシステムを使用して生成されたアラームまたはアラートに関連する処理パラメータ傾向プロットをユーザが容易に閲覧できるように作成されてユーザに提供される一連のユーザインターフェーススクリーンを示す図である。
【図11D】品質予測、故障検出、または他のアラームシステムを使用して生成されたアラームまたはアラートに関連する処理パラメータ傾向プロットをユーザが容易に閲覧できるように作成されてユーザに提供される一連のユーザインターフェーススクリーンを示す図である。
【図12A】従来の処理コントロールシステムアラームコンテクストにおいて生成されたアラームまたはアラートに関連する処理パラメータ傾向プロットをユーザが容易に閲覧できるように作成されてユーザに提供される一連のユーザインターフェーススクリーンを示す図である。
【図12B】従来の処理コントロールシステムアラームコンテクストにおいて生成されたアラームまたはアラートに関連する処理パラメータ傾向プロットをユーザが容易に閲覧できるように作成されてユーザに提供される一連のユーザインターフェーススクリーンを示す図である。
【図12C】従来の処理コントロールシステムアラームコンテクストにおいて生成されたアラームまたはアラートに関連する処理パラメータ傾向プロットをユーザが容易に閲覧できるように作成されてユーザに提供される一連のユーザインターフェーススクリーンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、オンラインの品質予測および故障検出を実行するための改良された技術が実施される処理コントロールシステム10を例示している。特に、このシステム10において実施される品質予測および故障検出技術は、処理データから品質予測および/または故障検出モデルの集合を生成し、次にユーザがこれらのモデルを使用して、連続処理またはバッチ処理のいずれかにおいて、多数の所定の処理状態または処理段階にわたって、オンラインの品質予測および故障検出を実行することを可能にする。これによって、これらの技術は、想定される処理段階または処理状態の各々に対して個別のモデルを生成することを必要とせずに、スループット、製品等級またはいくつかの他の外乱変数が定期的に変更される連続処理またはバッチ処理において品質予測および/または故障検出を実行することに適用可能でありまたは使用可能である。
【0022】
図1に示した処理コントロールシステムは、データ履歴12と、各々がディスプレイスクリーン14を有している一つ以上のホストワークステーションまたはコンピュータ13(任意のタイプのパーソナルコンピュータ、ワークステーションなどであってよい)と、に連結された処理コントローラ11を含む。コントローラ11も、入力/出力(I/O)カード26および28を介して、フィールドデバイス15〜22に連結されており、フィールドデバイス15〜22を使用してバッチ処理の一つ以上のバッチ実行を実施するように動作する。データ履歴12は、データを格納するための任意の所望のタイプのメモリと任意の所望されるまたは知られているソフトウェア、ハードウェアまたはファームウェアを備えた任意の所望のタイプのデータ収集ユニットであってよい。データ履歴12は(図1に示すように)ワークステーション13と別体であるかまたはその一部であってよい。例えば、エマーソンプロセスマネージメントによって販売されているデルタV(登録商標)(DeltaVTM)コントローラであってもよい、コントローラ11は、ホストコンピュータ13と、例えば、イーサネット(登録商標)接続または任意の他の所望の通信ネットワーク23を介して、データ履歴12と、に通信可能に連結されている。コントローラ11はまた、例えば、スタンダード4−20maデバイスおよび/またはファンデーション(登録商標)フィールドバス(FOUNDATION Fieldbus)プロトコル、ハート(登録商標)(HART)プロトコル、ワイヤレスハートTM(登録商標)(WirelessHARTTM)プロトコルなどの任意のスマート通信プロトコルに関連付けられた任意の所望のハードウェアおよびソフトウェアを用いて、フィールドデバイス15〜22に通信可能に連結されている。
【0023】
フィールドデバイス15〜22は、センサ、バルブ、トランスミッタ、ポジショナなどの任意のタイプのデバイスであってよいが、I/Oカード26および28は、任意の所望される通信またはコントローラプロトコルに適合する任意のタイプのI/Oデバイスであってよい。図1に示されている実施形態において、フィールドデバイス15〜18はアナログ回線またはアナログとデジタルを結合したラインを経由してI/Oカード26と通信するスタンダード4−20maデバイスまたはHARTデバイスであるが、フィールドデバイス19〜22は、ファンデーション(登録商標)フィールドバスフィールドデバイスなどのスマートデバイスとして、デジタルバスを介して、フィールドバス通信プロトコルを使用して、I/Oカード28と通信する。いうまでもなく、フィールドデバイス15〜22は、今後開発される任意のスタンダードやプロトコルを含む任意のワイヤードまたはワイヤレスプロトコルなどの任意の他の所望されるスタンダードやプロトコルに適合することができる。
【0024】
コントローラ11は、コントロールループを含み得る(メモリ32に格納されている)一つ以上の処理コントロールルーチンを実施または監視するプロセッサ30を含み、デバイス15〜22、ホストコンピュータ13、およびデータ履歴12と通信して、所望通りに処理をコントロールする。本明細書中に記載されている(品質予測および故障検出モジュールまたは機能ブロックを含む)任意のコントロールルーチンまたはモジュールは、必要に応じて、異なるコントローラまたは他のデバイスによって実施されまたは実行される部分を有してよいことに注目されたい。同様に、処理コントロールシステム10内に実施されることになっている本明細書中に記載されているコントロールルーチンまたはモジュールは、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアなどを含む、任意の形態をとっていてよい。コントロールルーチンは、オブジェクト志向プログラミング、ラダーロジック、シーケンシャル機能チャート、機能ブロック図を使ったり、任意の他のソフトウェアプログラミング言語または設計パラダイムを使ったりして、任意の所望のソフトウェアフォーマットにおいて実施される。コントロールルーチンは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、またはリードオンリーメモリ(ROM)などの任意の所望されるタイプのメモリに格納される。同様に、コントロールルーチンは、一つ以上のEPROM、EEPROM、特定用途向け集積回路(ASIC)、または任意の他のハードウェアまたはファームウェアエレメント内へハードコーディングされる。これにより、コントローラ11は、コントロール戦略またはコントロールルーチンを実施するように所望通りに構成することができる。
【0025】
いくつかの実施形態において、コントローラ11は、一般に機能ブロックと呼ばれるものを用いてコントロール戦略を実施するが、各機能ブロックは、全体的なコントロールルーチンのオブジェクトまたは他の部分(例えば、サブルーチン)であり、(リンクと呼ばれる通信回線を経由して)他の機能ブロックと結合して動作して、処理コントロールシステム10内の処理コントロールループを実施する。コントロールベースの機能ブロックは、典型的に、トランスミッタ、センサまたは他の処理パラメータ測定デバイスに関連付けられる入力機能、PID、ファジーロジックなどのコントロールを実行するコントロールルーチンに関連付けられるコントロール機能、またはバルブなどのいくつかのデバイスの動作をコントロールする出力機能のうちの一つを実行して、処理コントロールシステム10内でいくつかの物理的な機能を実行する。いうまでもなく、ハイブリッドおよび他のタイプの機能ブロックも存在している。機能ブロックは、典型的に、スタンダード4−20maデバイスおよびハート(HART)デバイスなどのいくつかの種類のスマートフィールドデバイスに用いた場合やこれらに関連付けられる場合に行われるように、コントローラ11内に格納されかつコントローラ11によって実行されるか、あるいは、フィールドバス(Fieldbus)デバイスを用いた場合に行われ得るように、フィールドデバイス自体に格納されるとともに実施される。
【0026】
図1の分解ブロック40によって示されるように、コントローラ11は、ルーチン42および44として図示されている多数の単ループコントロールルーチンを含み、所望されれば、コントロールループ46として図示されている、複数入力複数出力コントロールルーチンなどの一つ以上の高度なコントロールループを実施することができる。このような各ループは典型的にコントロールモジュールと称される。単ループコントロールルーチン42および44は、各々が適切なアナログ入力(AI)とアナログ出力(AO)機能ブロックに連結されたシングル−インプット/シングル−アウトプットファジーロジックコントロールブロックと、シングル−インプット/シングル−アウトプットPIDコントロールブロックと、を使用して単ループコントロールを実行するものとして図示されているが、バルブなどの処理コントロールデバイスや温度および圧力トランスミッタなどの測定デバイスや処理コントロールシステム10内の任意の他のデバイスに関連付けられてもよい。高度なコントロールループ46は、一つ以上のAI機能ブロックに通信可能に連結されている入力と、一つ以上のAO機能ブロックに通信可能に連結されている出力と、を含むとして図示されているが、高度なコントロールブロック48の入力と出力は、任意の他の所望される機能ブロックまたはコントロールエレメントに連結されて、他のタイプの入出力を受送信する。高度なコントロールブロック48は、任意のタイプのモデル予測コントロール(MPC)ブロック、ニューラルネットワークモデリングまたはコントロールブロック、多変数ファジーロジックコントロールブロック、リアルタイムオプティマイザブロックなどであってよいし、または適応可能に調整されるコントロールブロックなどであってよい。図1に示した機能ブロックは、コントローラ11によって実行されるか、あるいは、ワークステーション13の一つまたはフィールドデバイス19〜22の一つなどの任意の他のプロセッシングデバイス内に配置されかつこれらによって実行することができることが理解されよう。
【0027】
また、図1に示すように、一つ以上の処理解析ルーチンまたは機能ブロック50が、処理コントロールシステム10のさまざまなデバイスに格納されかつ実行され、これらの処理解析ルーチン50は、以下により詳細に説明される品質予測および故障検出のデータ解析を実施するために使用することができる。処理解析ルーチン50は、ワークステーション13とコントローラ11のプロセッサ54上で実行される一つ以上のコンピュータ可読メモリ52に格納されるとして図示されているが、ルーチンまたは機能ブロック50は、これに代えて、フィールドデバイス15〜22、データ履歴12またはスタンドアローンデバイスなどの他のデバイス内に格納されかつ実行することもできる。処理解析ルーチン50は、コントロールルーチン42、44、46などの一つ以上のコントロールルーチンおよび/またはデータ履歴12に通信可能に連結されて、一つ以上の測定された処理変数の測定、および、場合によっては、データ解析を実行することに関連するユーザ入力を受信する。概言すれば、本明細書中に以下により詳細に説明するように、処理解析ルーチン50は、一つ以上の統計処理モデルを展開しかつこれらのモデルに基づいて進行中またはオンライン処理動作を解析するために使用される。解析ルーチン50はまた、処理コントロールシステム10によって実施される、処理のオンラインまたは進行中の動作に関する情報を、バッチ処理または連続処理オペレータなどのユーザへディスプレイする。ルーチン50はデータ解析に使用するために必要とされる情報をユーザから入手することもできる。
【0028】
図2は、処理の監視および品質予測システム(PMS)とも呼ばれる運用管理システム(OMS)102を含む処理コントロール環境100の更なる例を示すブロック図であり、処理コントロール環境100は、本明細書でより詳細に説明されるオンラインの処理モデリングと解析システムを実施するために使用することができる。このOMS102は、例えば、図1の処理コントロールネットワーク10の一部または全てを含み得る処理コントロールシステム106を含むプラント104内に配置される。例示的なプラント104は、任意のタイプの製造施設、処理施設、オートメーション施設、および/または任意の他のタイプの処理コントロール構造またはシステムであってよい。いくつかの例において、プラント104は、異なる場所にある複数の施設を含むこともある。このように、図2のプラント104は、単一の処理コントロールシステム106を含むとして示されているが、プラント104は更なる処理コントロールシステムを含む。
【0029】
データバス110を介してコントローラ108に通信可能に連結されている処理コントロールシステム106は、処理範囲内で物理的な機能を実行するまたは処理パラメータ(処理変数)を測定するなどの処理機能を実施するために任意数のフィールドデバイス(例えば、入力および/または出力デバイス)を含む。これらのフィールドデバイスは、入力を受け取り、出力を生成し、および/または処理をコントロールすることが可能である、任意のタイプの処理コントロールコンポーネントを含む。例えば、これらのフィールドデバイスは、処理をコントロールするために、例えば、バルブ、ポンプ、ファン、ヒータ、クーラ、および/または、ミキサなどの入力デバイスを含む。なお、これらのフィールドデバイスは、処理範囲内または処理の部分において処理変数を測定するために、例えば、温度計、圧力計、濃度計、液面計、流量計、および/または蒸気センサなどの出力デバイスを含む。入力デバイスは、一つ以上の指定されたコマンドを実行し処理を変化させるためにコントローラ108から指令を受信する。また、出力デバイスは、処理データ、環境データ、および/または入力デバイスデータを測定し、測定されたデータを処理コントロール情報としてコントローラ108へ送信する。この処理コントロール情報は、各フィールドデバイスから測定された出力に対応する変数の値(例えば、測定された処理変数および/または測定された品質変数)を含む。
【0030】
図2に示されている実施例において、コントローラ108は、データバス110を介して処理コントロールシステム106内のフィールドデバイスと通信可能であり、コントローラ108はまた、処理コントロールシステム106内の中間通信コンポーネントに連結される。これらの通信コンポーネントは、コマンド領域内のフィールドデバイスをデータバス110に通信可能に連結させるためにフィールド中継ボックスを含む。なお、通信コンポーネントは、フィールドデバイスおよび/またはフィールド中継ボックスへ連絡する通信経路を編成するためにマーシャルキャビネットを含む。さらに、通信コンポーネントは、フィールドデバイスからデータを受信し、このデータを例示したコントローラ108によって受信可能である通信媒体へ変換するためにI/Oカードを含むことができる。これらのI/Oカードは、コントローラ108からのデータを対応するフィールドデバイスによって処理されることが可能なデータフォーマットへ変換することができる。一例として、データバス110は、フィールドバスプロトコルまたは他のタイプのワイヤードおよび/またはワイヤレスの通信プロトコル(例えば、プロフィバス(Profibus)プロトコル、HARTプロトコルなど)を使用して実施される。
【0031】
図2のコントローラ108(パーソナルコンピュータや任意の他のタイプのコントローラデバイスであってよい)は、処理コントロールシステム106内のフィールドデバイスを管理するために一つ以上のコントロールルーチンを実行する。コントロールルーチンは、処理監視アプリケーション、アラーム管理アプリケーション、処理の傾向解析および/または履歴アプリケーション、バッチ処理および/またはキャンペーン管理アプリケーション、統計的アプリケーション、ストリーミングビデオアプリケーション、コントロールアプリケーション、高度なコントロールアプリケーションなどを含む。また、コントローラ108は、OMS102およびデータ履歴(図2に図示なし)へ処理コントロール情報を送る。コントロールルーチンは、処理コントロールシステム106が一定の品質のしきい値内で指定量の所望の製品を生成することを確実とするために実施される。例えば、処理コントロールシステム106は、バッチの終了時に製品を製造するバッチシステムとして構成される。他の例において、処理コントロールシステム106は、連続的な処理製造システムを含む。
【0032】
コントローラ108から受け取られた処理コントロール情報は、処理コントロールシステム106内のフィールドデバイスに由来する測定された処理および/または品質パラメータに対応する値を含む。他の例において、OMS102は、処理コントロール情報内の値を対応する変数にパージする。測定された処理パラメータは、処理の部分および/またはフィールドデバイスの特性を測定するフィールドデバイスに由来する処理コントロール情報に関連付けられる。測定された品質パラメータは完成した製品の少なくとも一部に関連付けられる処理の特性測定に関連する処理コントロール情報に関連付けられる。
【0033】
例えば、処理は、流体中の化学物質の濃度を生成するタンク内の化学反応を実行する。この例では、流体中の化学物質の濃度は、品質パラメータに相当する。流体温度とタンクへ流れ込む流体の流量は、処理パラメータに相当する。処理のスループットは、状態パラメータになるようにユーザによって定義付けられた処理パラメータに相当する。OMS102は、以下により詳細に説明されるところの処理コントロールモデリングおよび/またはモニタリング(監視)を介して、タンク内の流体の濃度がタンク内の流体の温度とタンクへの流体の流量に依存することを判断する。即ち、測定された処理パラメータは測定された品質パラメータの品質に寄与するかまたは影響を与える。OMS102は、統計的プロセッシングを使用して、故障検出および/または品質予測を実行するとともに、例えば、各処理パラメータが品質パラメータに対して有している影響および/または寄与の量を求める。
【0034】
更に、OMS102は、処理コントロールシステム106に関連付けられた測定された処理パラメータおよび/または品質パラメータの関係をモデリングおよび/または判断する。測定された処理パラメータおよび/または品質パラメータの関係は一つ以上の計算された品質パラメータを作成することを可能にする。計算された品質パラメータは、一つ以上の測定処理パラメータ、測定された品質パラメータ、および/または他の計算された品質パラメータの多変量および/または線形代数の組み合わせである。また、OMS102は、測定された処理パラメータ、測定された品質パラメータ、および/または計算された品質パラメータの組み合わせから全体的な品質パラメータを求めることができる。全体的な品質パラメータは、処理全体の品質判定に対応しており、および/または、処理から得られた製品の予測品質に対応している。いうまでもなく、品質パラメータはオンラインまたはオフライン(例えば、ラボ解析を利用して)で測定されてもよい。
【0035】
図2に示すように、OMS102は、処理コントロールシステム106の状態および/または品質に関するフィードバックを生成するために記述的モデリング、予測モデリング、および/または最適化を使用する解析プロセッサ114を含む。この解析プロセッサ114は、処理動作の故障を検出し、識別し、および/または診断するとともに、処理コントロールシステム106によって得られた製品の品質に関連付けられる品質パラメータおよび/または全体的な品質パラメータに与えるなんらかの故障の影響を予測するために、ルーチン(例えば、図1のルーチン50)を実行する。さらに、解析プロセッサ114は、品質パラメータおよび/または処理パラメータを統計的におよび/または論理的に組み合わせて処理の全体品質に関連付けられている全体的な品質パラメータを形成することによって、処理動作の品質を監視する。次に、解析プロセッサ114は、他の品質パラメータに関連付けられた全体的な品質パラメータおよび/または値に対して計算された値を各々のしきい値に比較する。これらのしきい値は、処理内の異なる時間における全体的な品質パラメータの所定の品質限界に基づいて求められる。例えば、処理に関連付けられた全体的な品質パラメータが時間量に対するしきい値を超えた場合、得られる製品の予測される最終品質は完成製品に関連付けられた品質メトリクス(測定基準)に一致しない。
【0036】
全体的な品質パラメータおよび/または任意の他の品質パラメータが各々のしきい値からはずれると、解析プロセッサ114は、全体的な品質パラメータに関連付けられている説明されるおよび/または説明されない変動(またはばらつき)を示す、および/または、処理故障を発生した変数またはパラメータを示す、処理概要チャートおよび/または処理変動グラフ内で故障表示を生成する。この例示的な解析プロセッサ114は、測定された処理パラメータ、測定された品質パラメータ、および/または計算された品質パラメータなどの現在および/または過去の値をディスプレイする処理品質グラフ(例えば、組み合わせグラフ、マイクロチャート、処理変動グラフ、変数傾向グラフ、図形など)をオペレータが生成することを可能にする機能を提供することによって、一つ以上の処理の故障の原因を判断するように解析を管理する。さらにまた、場合によっては、解析プロセッサ114は、処理が動作している間、これらのグラフを生成し、更なる処理コントロール情報がOMS102によって受信されると、グラフの各々に関連付けられた多変量の統計の更新および/または再計算を続行する。
【0037】
連続処理およびバッチ処理に対してこれらの機能を実行するために、OMS102は、連続処理における多くの異なる時間ごとに、またはバッチ処理における多くの異なるバッチ実行ごとに、多くの異なる処理パラメータに対する処理データを収集する。このデータは、コントロールネットワーク110内のコントローラ108またはフィールドデバイスから、処理の異なるバッチ実行に対する処理データを既に集めて格納している可能性のあるデータ履歴(例えば、図1のデータ履歴12)から、または任意の他のデータソースから、収集される。次に、OMS102は、このデータを処理して一つ以上の統計的モデルを生成し、これらの統計的モデルを、例えば、OMS102のコンピュータ可読メモリなどのメモリまたは図1のワークステーション13のメモリ52の一つへ格納する。次に、統計的モデルはこれ以降の進行中またはオンライン処理実行を解析するために必要に応じて検索され得る。具体的には、OMS102は、特定の処理実行のオンラインまたは進行中の動作中に収集されたデータを解析するかまたは同データをユーザが解析するのを可能にするために格納されたモデルを使用する。
【0038】
しかしながら、処理がオンラインで動作している間の処理実行からデータを解析するために、OMS102はオンライン処理がモデルに対して動作している段階や状態を判断する。即ち、この場合、OMS102は、オンライン処理のパラメータのどれかがモデル内の同じパラメータに関して異常であるかまたは仕様から外れているかどうか、オンライン処理の出力が所望される品質メトリクスを満たしているかどうかなど、オンライン処理に関する他の要因を判断するために、モデルがどの入力を使用すべきかを判断する。実際、統計的モデルを使用するオンラインデータの解析はいずれも最初に現在収集中のオンラインデータに最も適用可能な統計的モデルの段階または状態を判断する。オンライン処理がどのようにモデルと比較されるかを示すためのスクリーンをオペレータに提示することや処理が正常にまたは境界内で動作しているかどうか、または処理が異常動作しているかどうか、および/または、所望されるコンシステンシー(一貫性)や濃度などの所望される品質メトリクスを満たすように処理の出力が予測されているかどうかを判断するために統計的解析を実行するなどの更なる解析を実行することができるのは、オンラインデータが統計的モデルと時整列した直後である。
【0039】
一例として、現在のオンライン処理に対するデータが収集され、処理の状態が判断されると、OMS102の解析プロセッサ114は、ユーザがオンラインの処理実行の現在の動作段階または実現可能性を判断できるようにユーザへ一連の異なるグラフや他のディスプレイを提供する。これらのグラフやディスプレイには以下に説明するものもあるが、これらに加えてまたはこれらに代えて、他のディスプレイ、解析方法、または情報がオペレータ、保守要員等のユーザに提供されてよいことも理解されたい。一例として、解析プロセッサ114は、処理パラメータおよび/または品質パラメータの、全体的な品質変数に対する、またはモデル化処理変動および未モデル化処理変動から成る多変量の統計的故障指標値に対する、寄与率を計算することによって寄与グラフを生成する。処理および/または品質パラメータの寄与率は、全体的な品質に関連付けられる変動および/または故障に関連付けられる品質パラメータへの寄与率として各変数のモデル化変動および/または未モデル化変動としてディスプレイされる。
【0040】
また、解析プロセッサ114は、定義付けられたしきい値と共に、選択された処理および/または品質変数のいずれかに対して変数傾向グラフを生成する。この変数傾向グラフは、以前の処理における同様の時間帯の変数の値、例えば、モデル変数値に関して処理の経時的な変数に関連付けられた値を示す。寄与グラフおよび/または変数傾向グラフを生成することによって、解析プロセッサ114は処理において検出された故障を緩和するために処理に対して実行可能な補正も識別する。変数傾向グラフは、同じタイムスケールに時整列された現在値に関連付けられた変動(例えば、標準偏差値)を有するモデルを生成するために使用される処理実行のデータ履歴プロットのオーバーレイを提供することによって処理故障の原因をオペレータが判断するのを補助する。
【0041】
解析プロセッサ114は、実施された場合、処理の全体品質に対する補正の影響を判断するために品質予測グラフも生成する。補正が全体品質を指定されたしきい値範囲内に収めようと維持または改良する場合、解析プロセッサ114はOMS102に補正を実施するように指示する。あるいは、解析プロセッサ114は処理補正を実施するためにコントローラ108へ指示を送る。
【0042】
また、例示的な解析プロセッサ114は、全体的な品質パラメータおよび/または任意の他の品質パラメータに関連付けられている故障を判断する際にマイクロチャートを生成する。マイクロチャートは、処理モデルによって予測されるパラメータごとに平均値および/または標準偏差値に対して指定された時間(例えば、処理故障に関連付けられた時間)に処理の値および/または品質パラメータを含む。更に、マイクロチャートは、モデルに関連付けられた処理変数および/または品質変数の各々に関連付けられた前値を示すスパークラインを含む。マイクロチャートを見ると、例示的な解析プロセッサ114は、オペレータが、処理に対する一つ以上の補正動作を判断しおよび/または選択しおよび/または全体品質変数が指定限界内に含まれることが予測されるようにいずれかの補正が処理を改良するかを判断することを可能にする。
【0043】
OMS102は、オンラインデータプロセッサ116を介して、処理変動グラフ、寄与グラフ、変数傾向グラフ、品質予測グラフ、および/またはマイクロチャートを含む処理コントロールデータへのアクセスを管理する。更に、オンラインデータプロセッサ116は、処理コントロールのオペレータへアクセスを提供して、オペレータが、処理コントロールデータを閲覧し、この処理コントロールデータを変更および/または変形し、および/または処理コントロールシステム106内のフィールドデバイスに対して指示を生成できるようにする。
【0044】
オンライン解析へのアクセスを提供するために、図2のプラント104は、ローカルエリアネットワーク124(LAN)を介してオンラインデータプロセッサ116に通信可能に連結されているルータ120とローカルワークステーション122を含むとして示されている。また、ルータ120は、プラント104内の他のワークステーション(図示せず)をLAN124および/またはオンラインデータプロセッサ116に通信可能に連結させる。ワイヤレスにおよび/またはワイヤード接続を介して他のワークステーションに通信可能に連結されている、ルータ120は、LAN124および/またはオンラインデータプロセッサ116へのアクセスハブとして任意のタイプのワイヤレスおよび/またはワイヤードルータを含む。
【0045】
LAN124は、任意の所望される通信媒体およびプロトコルを使用して実施される。例えば、LAN124はハードワイヤードまたはワイヤレスなイーサネット(登録商標)通信方式に基づいて動作する。しかしながら、任意の他の適切な通信媒体およびプロトコルを使用もしてもよい。さらに、LANを一つだけ図示したが、一つ以上のLANおよびワークステーション122内の適切な通信ハードウェアが、ワークステーション122と各々同様のワークステーション(図示せず)との間に冗長な通信経路を提供するために、使用されてもよい。
【0046】
図示するように、LAN124は、リモートワークステーション130および/または132からの通信がプラント104内へ許可されるかどうかを一つ以上のルールに基づいて判断するファイアウォール128にも通信可能に連結されている。リモートワークステーション130および132はプラント104内のリソースへのアクセスをプラント104内に不在のオペレータへ提供する。リモートワークステーション130および132は、ワイドエリアネットワーク(WAN)134を介してファイアウォール128に通信可能に連結される。
【0047】
ワークステーション122、130および/または132は、OMS102によって実行されるオンライン解析に基づいて処理コントロールシステム106内の一つ以上の処理を閲覧し、変更し、および/または補正するように構成されており、または、これらのワークステーションは本明細書中に記載されているオンライン処理解析アプリケーションおよび方法を直接、実施する。例えば、ワークステーション122、130および/または132は、OMS102によって生成された処理コントロール情報をフォーマットしおよび/またはディスプレイするユーザインターフェース136を含む。他の例として、ユーザインターフェース136は、生成されたグラフおよび/またはチャート、あるいは、OMS102から処理コントロールグラフおよび/またはチャートを生成するためのデータを受信する。各々のワークステーション122、130、および/または132のグラフおよび/またはチャートのデータを受信すると、ユーザインターフェース136は、オペレータが相対的に理解しやすいグラフおよび/またはチャート138のディスプレイを生成する。図2の構成例は、解析ユーザインターフェース136を有するワークステーション132を示している。しかしながら、ワークステーション122および/または130は二つの解析ユーザインターフェース136を含んでいてもよい。
【0048】
さらに、ユーザインターフェース136は、本明細書に記載されているオンライン解析によって判断されるようなプラント104内の処理コントロールシステム106および/または任意の他の処理コントロールシステム内の任意の処理コントロール故障の発生を処理コントロールオペレータにアラートする。また、ユーザインターフェース136は、オペレータが処理故障のソースを判断して得られる製品の品質に与える処理故障の影響を予測するように解析処理を介して処理コントロールオペレータを案内する。ユーザインターフェース136は、処理故障が発生しているときにオペレータに処理コントロール統計情報を提供し、これによって、オペレータが故障を補正するために処理を調整することを可能にする。処理中に故障を補正することによって、オペレータは得られる製品の品質を維持することができる。
【0049】
更に、ユーザインターフェース136は、例示的なOMS102を介して、検出、解析、補正動作、および品質予測情報をディスプレイする。例えば、ユーザインターフェース136は、処理概要チャート、処理変動グラフ、マイクロチャート、寄与グラフ、変数傾向グラフ、および/または品質予測グラフ(例えば、グラフ138)をディスプレイする。これらのグラフ138を閲覧するとき、オペレータは、処理故障の原因を判断するために、更なるグラフ138を選択して多変量および/または統計的処理情報を閲覧する。なお、ユーザインターフェース136は処理故障に使えそうな補正動作をディスプレイすることができる。次にユーザインターフェース136はオペレータが(一つ以上の)補正動作を選択することを可能にする。補正を選択すると、ユーザインターフェース136は、その選択した補正をOMS102に送信し、次にOMS102は処理コントロールシステム106において適切な補正を行うようにコントローラ108に指示を送信する。
【0050】
図2のワークステーション122、130および/または132は、任意のコンピューティングデバイス、例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、サーバ、コントローラ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、マイクロコンピュータなどを含む。ワークステーション122、130および/または132は任意の適切なコンピュータシステムまたはプロセッシングシステムを使用して実施される。例えば、ワークステーション122、130および/または132はシングルプロセッサのパーソナルコンピュータ、シングルまたはマルチプロセッサワークステーションなどを使用して実施される。
【0051】
図1の処理コントロール環境10および図2の処理コントロール環境100は、以下にはるかに詳細に説明されている例示的な処理品質予測および故障検出方法および装置を有利に使用することができる種類の処理コントロールシステムまたは処理プラントを示すように提供されている。しかしながら、本明細書に記載されている例示的な方法および装置は、所望があれば、図1と図2に示した例示的な処理コントロール環境10および100および/または処理コントロールシステム106および/または処理コントロール活動、企業の経営活動、コミュニケーション活動などに関連して使用されるシステムより大きいまたはより複雑ではない他のシステムにおいても有利に使用され得る。
【0052】
こうした中で、多くの既知の処理コントロールシステムは、典型的に、処理情報の解析および/または統計的解析を提供する。しかしながら、これらのシステムは一般的に、この処理によって製造されている製品の品質に影響を与え得る処理故障や他の処理状況の原因およびこれらに必要とされるポテンシャルな補正行動を判断するためにオフラインツールを実施する。これらのオフラインツールは、処理研究、ラボ研究、ビジネス研究、トラブルシューティング、処理向上解析、および/または6シグマ解析を含む。これらのツールは次の製品の処理を補正するが、これらのツールは、故障が発生した時に処理品質を修復したり補正したりすることができない。したがって、これらのオフラインツールは低品質の製品の製造を食い止めるわけではない。
【0053】
一方、本明細書中に記載されている例示的なオンライン処理コントロールシステム解析は、インプロセス(処理中)故障検出、解析、および/または補正情報を提供するために処理コントロールシステム内で使用することができ、これにより、製品がまだ製造されている最中でもオペレータが処理故障を補正しまたは製品の品質を向上させることを可能にする。即ち、処理の補正は、例えば、故障の発生時や製品の低品質につながる故障や他の処理の乱れが発生したほぼ直後などの処理の動作中に予測される故障または予測される品質対策に基づいて実施することができる。本明細書中に記載されている例示的な方法および装置は、連続処理および/またはバッチ処理の処理品質を向上させるために処理故障を予測および/または補正したり処理の外乱変数の変化を明確にしたりするために使用してよいが、本実施形態では特に連続処理について記載している。
【0054】
概言すれば、本明細書に記載されている処理品質予測および故障検出解析は、多くの異なる処理状態の各々に対して新しいまたは異なる処理モデルを作成することを必要とせずに、多くの異なる処理状態(本明細書中では処理段階とも呼ばれる)の一つにおいて動作する処理(例えば、連続処理またはバッチ処理)の品質予測および故障検出を実行するために使用される。より具体的には、処理品質予測および故障検出解析を実行するための方法およびシステムは、最初にユーザが処理内の品質予測を実行するために使用される統計的モデルの種類を選択させるユーザインターフェースアプリケーションを含む。この品質予測は、例えば、ニューラルネットワーク(NN)、重回帰解析(MLR)、または部分最小二乗(PLS)モデルに基づいて行われる。処理品質予測および/または故障検出解析を実行するための方法およびシステムは次に、処理のためにこのモデルを生成し、さらに、好ましくは主成分(PCA)モデルの形態において故障検出統計的モデルを生成し得る。このシステムは、測定済みおよび未測定の処理外乱に関連付けられた故障の状態を判断するために、二乗予測誤差(SPE)としても知られているホテリングTアンドQ統計(Hotelling’s T and Q statistics)のアプリケーションを使用することもある。
【0055】
これまで、NN、MLR、PLSおよびPCA解析のアプリケーションへの主な制約は、根本的な予測技術が処理測定値の偏差値をそれらの平均値から求めることに基づいているという事実によるものであった。あいにく、プラントの生産率や製品等級の変化(即ち、処理の他の外乱変数の変化)の増加は典型的に処理パラメータの平均値を推移させる原因となっていた。これらの変化を考慮に入れて、以前の連続データ解析アプリケーションは、プラント生産率や製品等級などの異なる値において品質予測または故障検出を実行するために異なるモデルを生成する必要があった。これによって、NN、PLS、MLRおよびPCAモデルを使用している従来の技術が品質予測および故障検出を実行するために適用できるのは一般に一定のスループットで操業されかつ一種類の製品等級のみで製造される連続処理だけであった。その理由は、処理測定値に関連付けられる平均値がこの状況でのみ、略一定のままであったからである。
【0056】
しかしながら、後処理や市場要求によって設定された在庫レベルを維持するために連続処理のスループットは頻繁に変更される場合が多い。プラントの発電所エリアのスイングボイラーは、工場長によって設定されたスループット需要の変化に常に対応しなければならない処理の一例である。処理作業のポイントも製造されている製品等級に応じて変化し得る。このような状況の一例は、出力組成物のターゲットが異なる製品等級を製造させるために変更される連続式リアクタにある。出力組成物をシフトさせるために一つ以上の処理入力の作業ポイントを変更させることも頻繁に必要になってくる。これらの供給原料や処理入力の変化に応じて、定数値でコントロールされる入力(例えば、バッチ温度、一定の攪拌、およびオーバーヘッド圧力など)を維持するために冷却水流量、攪拌力、リリーフ流量などの他のパラメータも変更しなければならない。
【0057】
概言すれば、本明細書に記載されているモデリング技術は、解析に使用される測定平均値を自動的に変更することによって処理測定値の平均値の変化に対応する。よって、これらのモデリング技術は、予測を行うために使用される処理モデルを再び構築したり新たに生成したりせずとも、生産率または製品等級の(または処理内の他の外乱による)変化を補償することが可能である。有利には、本明細書に記載されているモデリング技術は、異なるスループットおよび製品等級(または処理における他の外乱)から遷移するために必要とされる時間を考慮に入れてこのモデルに使用される偏差値を補償することから、処理が異なる製品等級を作るために動作しているとき、および処理が異なるスループットと製品等級の間を移動している間であっても、単一統計的モデルを使用するだけで、品質予測または故障予測を実行することを可能にする。
【0058】
より具体的にいえば、品質パラメータ予測における偏差値を最小化し、故障の偽表示を防止するために、モデル解析で用いられた平均値は所与のスループットまたは製品等級で予測されたものに一致するように変更される。また、スループットや製品等級が変更された後で一つの作業点から他の作業点へ移行するには時間がかかるので、平均値から偏差値を計算するためにフィルタリングを用いる。このフィルタリングは処理が等級やスループットの変化に対応するために必要とされる通常の時間に基づいて行われる。
【0059】
一般的な問題として、連続処理またはバッチ処理に対する本明細書に記載されている品質予測および故障検出の技術は処理状態の分離を使用し、処理の品質予測および/または故障検出を実行するために二つの基本的なステップ、すなわちモデル生成とモデルのオンライン使用を含む。加えて、必要があれば、例えば、最初にモデルを構築するときに処理が同処理から全然または殆どデータが収集されなかった状態や段階を入力する場合、またはモデルを構築するために使用されたデータが処理から収集された時点からこの処理が変更されていた場合に応じて、処理モデルを(オンライン)調整する。
【0060】
図3は、例えば、OMS102(例えば、図1のルーチン50を一つ以上において実行される)によってまたは図1のワークステーション13の一つ以上内で実施されて処理における品質と故障予測において使用するための一つ以上の統計的モデルを展開する方法または技術の例示的な流れ図200を示す。図3の技術を用いて展開される統計的モデルは次に、製品の品質予測および/または処理故障検出を実行するために処理から収集されたオンラインデータを解析するために使用することができる。
【0061】
一方、図3の流れ図200は、処理解析に使用するために、PLS、NNおよびMLRモデルなどの品質予測モデルとPCAモデルなどの故障検出モデルの両方を生成するために集めた処理データを使用しているのが説明されているが、これらの特定のタイプのモデルに代えてまたはこれらに加えて、より少ないまたはより多いタイプのモデルを生成することができる。具体的には、図3の方法200は品質予測モデルのみ、故障検出モデルのみ、またはこれらの両方を任意に組み合わせたモデル生成にも使用することができる。また、図3の方法200はPLS、NNおよびMLRモデルを品質予測モデルとしておよびPCAモデルを故障検出モデルとしての集合の各々を製造するとして説明されているが、これらに加えてまたは代えて、他のタイプの統計的モデルを品質予測モデルおよび故障検出モデルとして展開することができる。また、図3の方法200は、1または2タイプのモデルのみを展開するために使用できるので、全てのタイプのモデルを展開する必要はない。
【0062】
なお、図3を特に参照すると、ブロック212は、処理パラメータデータと処理に対する品質パラメータデータを取得する。上述したように、処理が連続またはバッチ処理のいずれかであってもよいが、説明の便宜上、この処理は連続処理として本明細書中に記載されている。したがって、図3に示されているモデル展開技術の前またはその間に、処理が動作し各々が本明細書中において状態パラメータまたは状態変数と称される、処理パラメータまたは処理変数の集合の各々に対して処理パラメータデータを生成する。さらに、処理に対してオンライン品質予測および故障検出を実施する場合に予測される品質変数または品質パラメータを表す品質パラメータデータ(品質変数データまたは結果変数データとも呼ぶ)は、処理パラメータデータが展開されるかまたは収集される時間に処理から収集される。処理パラメータデータと品質パラメータデータは本明細書中でトレーニングデータと呼ばれるモデルトレーニングデータ集合の集合としてメモリ内に格納される。
【0063】
重要なことは、図3のモデル展開技術において使用されるトレーニングデータを生成または収集する場合、データが収集される処理は、好ましくは、状態パラメータの異なる値または範囲に対応する多数の異なる処理段階または処理状態に対して動作する。この場合、トレーニングデータは処理の動作中に処理パラメータおよび品質パラメータの各々に対して何度も収集され、これによって、好ましくは、処理パラメータデータおよび品質パラメータデータは、処理の状態の各々に対して収集される。即ち、処理パラメータデータおよび品質パラメータデータは、処理がさまざまに定義付けられた各処理状態において動作している間だけでなく、処理が状態同士の間で遷移している間にも収集される。いうまでもなく、トレーニングデータは所望される期間にわたって、処理の正規動作中または予定の動作中に取得することができ、これらの期間は連続的であってもよいし、必要があれば、非連続的であってもよい。処理パラメータデータと品質パラメータデータは、処理内においてリアルタイムで測定された、そうでなければ、収集される(品質パラメータ値を含む)処理パラメータ値と、ラボ解析の使用などのオフライン技術を使って生成される(品質パラメータ値を含む)処理パラメータ値と、例えば、ユーザインターフェースを介してユーザによって入力されたまたはユーザから取得された(品質パラメータ値を含む)処理パラメータ値と、または任意の他の所望の方法で取得されたデータを含む。
【0064】
図3のブロック214において、モデル展開技術200は、品質予測モデルおよび故障検出モデルを構築するときに使用される処理状態パラメータまたは状態変数の表示を判断するかまたは取得する。この状態パラメータまたは状態変数は、例えば、技術者によって事前に判断されるかまたは事前に設定され、モデル展開システムの一部として格納され、例えば、ユーザインターフェース(例えば図1のユーザインターフェース13の一つ)を介してユーザによって指定されまたは選択されてもよいしまたは任意の他の所望される方法で判断されてもよい。一般に、処理状態パラメータは、この処理のスループット、この処理によって製造されている製品等級や製品タイプの表示などの重要な外乱変数であるとして選択される。しかしながら、いくつかのケースにおいて、状態パラメータは二つ以上の処理パラメータや他の処理測定値を用いて計算されるかまたはこれらから判断することができる。例えば、二つの処理パラメータの平均値は状態パラメータとして用いてもよい。他の例において、他の統計的技術は、処理から任意の入力を用いて状態パラメータを計算して、任意の特定の時点での処理の動作状態を示す状態パラメータを判断するように用いる。この状態パラメータは連続変数または離散変数である。一例において、ユーザは、処理動作に対する主要な外乱において変化を反映する状態パラメータを構成することが可能である。いくつかのケースにおいて、この状態パラメータは、生産率や処理のスループットなどの連続的パラメータとなる。しかしながら、他の場合において、状態パラメータは、作られている離散製品等級の限定された集合の一つの表示などの離散パラメータであってもよい。一般に、ユーザは、状態パラメータとして単一の測定または計算された処理パラメータを選択し、この状態パラメータが連続パラメータまたは離散パラメータのいずれかを表示し、データ解析に使用される状態または段階の数を指定することができる。デフォルトよって、例えば、選択されたパラメータは、連続パラメータであり、状態の数は、5などの固定数であると仮定される。
【0065】
ブロック216において、技術200は、異なる処理状態または段階の各々を定義付ける状態パラメータの範囲または値を求める。ブロック216はまた、この変数がまだ設定されていない場合、品質予測、故障検出モデルの生成において使用される処理の状態の数を求める。上記に示したように、異なる処理状態の各々に関連付けられた状態パラメータの範囲はオペレータや処理エンジニアなどのユーザによって選択または指定され得る。これらの範囲は異なる値の状態パラメータを示し(状態パラメータが離散変数である場合)または処理状態の各々に関連付けられている異なる範囲の状態パラメータ値(状態パラメータが連続変数である場合)を示す。例にすぎないが、状態パラメータは、例えば、5から10までの異なる範囲に分けられている。所望があれば、ブロック216は、トレーニングデータから状態パラメータの全体的な範囲を判断し次にこの範囲を同等範囲の集合などの範囲の集合へ分割することによって状態変数に関連付けられている処理状態範囲を自動的に判断する。
【0066】
トレーニングデータの完全な集合が収集され、処理に対して格納され、かつ状態パラメータおよびこれに関連付けられた範囲または値が定義付けられることで、処理状態を定義する場合、トレーニングデータを使用して、処理の今後のオンライン演算を解析するために使用される一つ以上の品質予測モデルおよび/または故障検出モデルを展開する。品質予測モデルを生成する技術は、故障検出モデルを生成する技術とは若干異なることから、これらの二つの技術は二つの異なるブランチを用いて図3に個別に示されている。
【0067】
一般的にいえば、図3のブランチ220は、PLSモデル、NNモデルおよびMLRモデルなどの品質予測モデルを展開するために使用されるステップを示すが、ブランチ222はPCAモデルなどの故障検出モデルを展開するために使用されるステップを示している。品質予測モデルを展開する場合、ブロック224は、状態パラメータを含む異なる処理パラメータに対するトレーニングデータに対してタイムシフトを求め、互いに対してまたは品質パラメータに対してこれらのパラメータをタイムシフトして品質パラメータデータと時間内で整列させる最良の方法で処理パラメータデータと整列させる方法を示している。この時間整列はより良い予測を実行する予測モデルのために提供される。
【0068】
具体的には、予測される品質パラメータの各々について、品質予測モデル(例えば、NN、MLR、およびPLSモデル)の展開中、モデルを生成するために使用される偏差値は、処理モデルへの入力の変化(即ち、処理パラメータ値の一つの変化)に必要とされる時間を考慮に入れてモデルによって予測される品質パラメータに影響を与えるよう時間内にシフトされる。明確なように、この遅延は品質予測モデルへの入力として使用される処理パラメータごとに異なる場合があり、通常は異なっている。(同様に、これらの同じ遅延はオンラインの品質パラメータ予測に使用される偏差値のプロセッシングにおいても考慮に入れられる。)
【0069】
各処理パラメータに関連付けられる遅延を識別する一つの方法は、処理パラメータの各々と予測される品質パラメータとの間で相互相関を実行する。この場合、すべての処理入力(状態パラメータを含む)を含む選択されたデータ集合に対して、ブロック224は、展開中のモデルへ入力を生成するために使用される各処理パラメータと、予測されている品質パラメータを反映するかまたはこれに最良に相互相関している処理出力(例えば、オンライン測定、オフラインラボ解析などを用いて取得可能である)と、の間の相互相関を実行する。相互相関の結果は、品質パラメータと特定の処理パラメータとの間で相互相関を実行するときに最良の相関値が得られるタイムシフトを求めることにより、特定の処理パラメータ(モデルへの入力)に関連付けられる時間遅延を確立するために使用され得る。いうまでもなく、各異なる処理パラメータはこれに関連付けられる異なるタイムシフトを有することができる。概言すれば、この技術を用いて、ブロック224は、特定の品質測定値と異なる処理パラメータの各々に対する各処理パラメータとの間で最大相互相関値を求め、次に、最大相互相関値が取得される時間遅延に基づいてこの処理パラメータに対するタイムシフトを求める。
【0070】
相互相関が品質予測モデルを展開するために使用されるタイムシフトを求めるために使用される方法の一例が、Kamyr(カマイア)ダイジェスタの出力に関連付けられるカッパ(Κ)価が処理入力に基づいて予測される状況で示されている。この例において、処理のスループットを設定するという理由から、チップメートル速度が状態パラメータとして選択される。製品出力のカッパ価は、サンプリング解析器を使用するかまたはグラブサンプルをラボ解析することによって測定される。カッパ価に反映されている各処理入力に関連付けられる遅延は自動的に選択されたデータ集合に含まれる処理入力と選択されたデータ集合に含まれるカッパ価との間の相互相関を実行することによって自動的に求められる。ダイジェスタ(蒸解釜)、ラベル付けされた冷却流、排気口、主流、チップメータ、および下部排気口の入力の各々に対するこのような相互相関による結果が図4にディスプレイされている。
【0071】
ここで、処理入力を選択することにより、ユーザは処理入力とカッパ(Κ)価との間の相互相関を閲覧することができる。図5は、状態パラメータ、チップメートル速度、およびカッパ価の解析の間の相互相関をより詳細に示す。図5のプロットに示すように、処理入力に関連付けられる遅延は、最大相互相関を提供するタイムシフトに基づいて確立される。カマイアダイジェスタのこのシミュレーションでは、チップメートル速度変化とカッパ価に反映されている変化との間の遅延は175秒である。いうまでもなく、実際の処理では遅延はもっと長い。他の入力パラメータの各々に対する遅延やタイムシフトも同様に求められ、これらの遅延は次に、図3のブロック224においてタイムシフト量として使用することができる。
【0072】
処理パラメータと状態パラメータのタイムシフトを全て求めた後、ブロック226は、ブロック224で求められたタイムシフトをモデルと状態パラメータへの各処理パラメータ入力に対する処理パラメータデータをタイムシフトするために使用し、このタイムシフトされたパラメータデータをメモリ内に格納する。特に、ブロック226はタイムシフトされたデータスライスの集合を格納し、各タイムシフトされたデータスライスは、モデルを生成するために使用される処理パラメータの各々に対する値と、状態パラメータの値と、品質パラメータの値を有している。処理パラメータと特定のデータスライスの状態パラメータの測定は、ブロック224において求められたタイムシフト量の分だけ品質パラメータの測定に対してタイムシフトされる。異なる処理パラメータに対して得られたタイムシフトされたパラメータデータと各タイムシフトされたデータスライスの状態パラメータは同時発生したように見える。つまり、処理パラメータ入力における変化は各タイムシフトされたデータスライスにおける品質パラメータに即時に反映される。
【0073】
次に、ブロック228は、定義付けされた処理状態の各々に対する期間において、各処理パラメータ(状態パラメータを含む)の平均値と品質パラメータの平均値とを計算するためにブロック226によって展開されたタイムシフトされたデータを使用する。より具体的には、ブロック228は、状態パラメータの処理状態の範囲に基づいて各データスライスがどの特定の処理状態に含まれるかを判断するために、タイムシフトされたすべてのデータスライスを抜き出し、各データスライス内の状態パラメータの値を使用する。次にブロック228は、特定の処理状態にある全てのデータスライスの各処理パラメータ、状態パラメータ、および品質パラメータの全ての値の平均を求めて、特定の処理状態に対する各処理パラメータ、状態パラメータ、および品質パラメータごとに分離した平均値を求める。これらの平均値は本明細書中では処理状態平均値として言及されている。
【0074】
次に、ブロック230は、品質予測モデルを展開する場合のみならず一度既に展開された品質予測モデルを使用する場合に後に使用するためにメモリ内の各処理状態に対して処理パラメータ、状態パラメータ、および品質パラメータの中間または平均値を格納する。
【0075】
その後、各データスライス(タイムスライスともいう)のために、ブロック232は、このタイムシフトされたタイムスライスデータと処理状態平均値を使用して平均値の集合を求め、この平均値の集合をそのタイムスライスの平均値から偏差値の集合を求める時に使用する。特に、ブロック232は、処理に対してタイムスライスデータを選択し、そのタイムスライスに使用するための平均値の集合を求めて、その後、そのタイムスライスの平均値から偏差値を求め、この偏差値が品質予測モデルを展開するために使用されるモデル生成ルーチンへの入力となる。より具体的には、タイムスライスごとに、ブロック232は、このタイムスライス(に対して格納された)によって示される状態パラメータの瞬時値と処理状態の一つ以上に対して求められた状態パラメータの平均値とを使用して、スケーリング係数(例えば、補間係数)を求め、このスケーリング係数を使用して、タイムスライスの他の処理パラメータごとに適切な平均値を求める。
【0076】
状態パラメータが処理状態に直接相互相関している離散変数である場合(即ち、状態パラメータの一つの異なる値が異なる処理状態ごとに関連付けられるかまたは定義付けられている場合)、状態パラメータの値は、(そのタイムスライスに対して)処理が動作している処理状態を定義付けるかまたは特別に求めるとともにそのタイムスライスに対する処理パラメータの平均値をその処理状態に対して格納されている処理パラメータ平均値として単純に求める。しかしながら、状態パラメータが連続変数であるか、または、ユーザが処理状態ごとに関連付けができるように、状態パラメータの値の範囲を定義付けている場合(即ち、状態パラメータ値の範囲が処理状態ごとに定義付けられている場合)、ブロック232は、(タイムスライスの)状態パラメータの瞬時値が現在存在している二つの状態の割合を定義付ける、補間係数を求める。即ち、状態パラメータの瞬時値が特定の処理状態に対する状態パラメータの平均値に等しい場合、タイムスライスは、単一の処理状態内に直に存在し、その処理状態に対して格納された処理パラメータ平均値をそのタイムスライスの他の処理パラメータのための平均値として使用することができる。
【0077】
しかしながら、状態パラメータの瞬時値が二つの異なる(例えば二つの隣接する)処理状態の状態パラメータ平均値の間に含まれる場合、タイムスライスの他の処理パラメータに対する平均値はこれら二つの処理状態に対して格納された処理パラメータ平均値の組合せとして求められる。典型的には、タイムスライスに使用する各処理パラメータの平均値は、瞬間的な状態パラメータ値から展開された補間係数を使用して二つの隣接した処理状態のそのパラメータに対するパラメータ平均値間を補間することによって求められる。即ち、補間ルーチンは、(タイムスライスの)状態パラメータの瞬時値と(二つの異なる処理状態から)状態パラメータの二つの最も近似している平均値との相対距離に基づいて、タイムスライスが存在する二つの処理状態の各々の割合を求める。ブロック232は二つの隣接する処理状態に対して格納された処理パラメータ平均値を使用してタイムスライスにおける処理パラメータごとに(同じ補間係数を利用して)補間を実行することができる。この動作の結果、ブロック232は、適切な平均値を求め、処理モデルを作成するために使用されるそのタイムスライスに対する平均値から偏差値を計算する際に(タイムスライスの処理パラメータごとに)この適切な平均値を使用する。ブロック232はこのタイムスライスの品質パラメータにもこの補間を実行する。このように、タイムスライスの処理パラメータと品質パラメータの各々に対して、ブロック232は状態内で求められた分数と二つの隣接する処理状態の状態平均値を使用してタイムスライスに対する処理パラメータの平均値を求める。
【0078】
特定のタイムスライスに対してタイムスライス平均値の集合を判断するために補間を実行する一例をより詳細に説明する。この例において、状態パラメータの変動範囲は、状態パラメータの全体的な動作範囲を判断するためにトレーニングデータから計算されると想定される。デフォルトによって、この動作範囲は自動的に解析において考えられる処理の異なる状態を表す多数の等数セグメントに分割されている。他の場合において、ユーザは、状態パラメータの全範囲、処理状態または段階の数、および処理状態の各々に関連付けられた状態パラメータの特定のサブレンジを指定することができる。いずれにしろ、この例において、定義付けられた処理状態や段階の各々の期間中の各処理測定値に対する状態パラメータの平均値が求められメモリに保存される。ボイラー処理の動作に関連するこの例においては、ボイラーの蒸気需要が状態パラメータとして構成され、この変数がモデルの構築に対して選択されたデータ集合において25〜75%の範囲で変化したと想定される。他の入力、例えば、燃料流量、エアフロー、O2、ドラフト、およびISファン速度の5つのパラメータ入力に対して収集された値は以下の表1に示すモデルに含まれる。
【0079】
【表1】

【0080】
この例において、タイムスライスに対する平均値から偏差値を求めるために使用されるタイムスライス平均値を求めるために、以下の手順が使用される。タイムスライスの状態パラメータの瞬時値が処理状態に対する状態パラメータ平均値に等しい場合、その処理状態の他の処理パラメータに対する状態パラメータ平均値はそのタイムスライスに対する平均値からパラメータ偏差値を計算する時のタイムスライス平均値として使用される。しかしながら、ほとんどの場合、タイムスライスの状態パラメータ平均値は二つの処理状態に対する状態パラメータ平均値の範囲内に含まれる。この場合、これら二つの処理状態に対する状態パラメータ平均値はこれら二つの処理状態に対する処理パラメータ平均値に結合して使用されてタイムスライスパラメータ平均値を計算する。上記のボイラー例の場合、一つのタイムスライスに対して状態パラメータ値が37だった場合、次に、処理状態に対して保存された状態パラメータ平均値に基づいて、エアフロー(空気の流れ)パラメータの平均値は、スタンダードな補間技術を用いて、そのタイムスライスに対して以下のように求めることができる。
【0081】
【数1】

【0082】
状態パラメータが製品等級(列挙した値を有する離散的パラメータ、例えば、1−5)である場合、次に、モデル展開中、各状態に対するパラメータ平均値は、その状態にある状態パラメータと一致するデータサンプルに対して計算される。例えば、連続反応器に対して設定された平均値は下記の表2に示すようになる。
【0083】
【表2】

【0084】
状態パラメータ値が3(ADX215)であった場合、一次流量の平均値は60となる。状態パラメータの値が1(ADX201)に変更されたた場合、一次流量の平均値は70となる。状態の変更は処理パラメータにすぐには反映されない。
【0085】
タイムスライスごとの平均値(スライス平均値と呼ばれる)が求められた後、ブロック234は、計算されたタイムスライス平均値を使用してタイムスライス内の処理パラメータと品質パラメータの各々の平均値から偏差値を計算する。特に、ブロック234はタイムスライスの各処理パラメータ値(および品質パラメータ値)と(ブロック232において求められた)その関連付けられたスライス平均値の間の差を求めて平均値からの偏差値の集合を生成する。ここで、平均値から一つの偏差値はタイムスライスの各処理パラメータ(状態パラメータは除く)と品質パラメータに対して求められる。次に、タイムスライスごとの平均値からの偏差値は次にメモリ内に格納される。
【0086】
次に、ブロック235は平均値からの偏差値の各ストリングを個別にフィルタリングする。このフィルタリング処理は、よりロバストに生成されている処理モデルを作り、処理が状態から状態の間を単に行き来しているときにモデルが品質による問題を検出しないように補助する。ブロック235は、各処理パラメータ、状態パラメータおよび品質パラメータに対して低域フィルタを実施する。低域フィルタは、構築されているモデルへの入力として使用される処理パラメータの変化に対する品質パラメータの最長応答時間に等しいまたはこれより長く設定されているフィルタ時定数を使用する。いうまでもなく、他のフィルタ時定数も使用することができ、これらの時定数は品質パラメータの最長応答時間未満の応答時間に基づいて選択することができる。
【0087】
フィルタリングの一例として、一次フィルタを処理の構成された遷移時間(秒)に基づいて適用することができる。例えば、上記表1の例の平均値からのエアフロー偏差値は以下のように計算できる。
【0088】
エアフロー偏差値=F×((エアフロー−エアフロー平均値)−エアフロー偏差値n−1)+エアフロー偏差値n−1
【0089】
ここで、フィルタリング係数Fは、
【数2】


ここで、
ΔT=実行の周期(秒)
τ=遷移時間(秒)
である。
【0090】
次に平均値からのフィルタリングされた偏差値はブロック236に提供され、ブロック236は後に品質予測動作に使用されるNN、MLR、および/またはPLSモデルなどの処理モデルを求めるかまたは生成するためにこれらの平均値からフィルタリングされた偏差値を使用する。これらのモデルを作成するために任意の所望される技術を使用することができ、これらの技術は良く知られている。したがって、平均値から求められた偏差値からモデルを生成する方法は本明細書では詳細に説明しない。しかしながら、処理モデル生成の一部として、求められた処理パラメータ平均値(状態パラメータ平均値を含む)と処理状態ごとに求められた品質パラメータ平均値(即ち、処理状態平均値)および処理状態ごとの状態パラメータ範囲は、処理モデルの一部として格納され、オンライン処理における品質予測を実行するために処理モデルを用いる際に使用される。さらに、フィルタ時定数とタイムシフト値も処理モデルの一部として格納されてよい。
【0091】
故障検出モデルを作成する方法を図3のブランチ222を参照してここで説明する。概言すれば、ブランチ222に示された故障検出モデルを作成する技術は、多くの点で品質予測モデルを作成する技術に類似している。しかしながら、このモデルが(任意の特定の時点での処理品質の予測に代わって)今後の故障予測を作るために使用されるように、故障検出モデルはタイムシフトまたは時間整列されなかったトレーニングデータから展開される。他のすべての点において、トレーニングデータは、時間整列されたデータスライスがブランチ220において処理される方法と全く同様にブランチ222で処理される。
【0092】
これにより、ブロック248は、処理に対して収集されたトレーニングデータを使用し、処理パラメータ(状態パラメータを含む)ごとの平均値を計算しかつ定義付けられた処理状態の各々に対する品質パラメータの平均値を計算する。ブロック248は時間整列データではなく生トレーニングデータのタイムスライス上で動作しているので、ブロック248において計算された平均値はブロック228で計算された平均値とは異なる。次にブロック250は、故障検出モデルを展開する際に後で使用するためだけでなく、一旦モデルが展開されると、故障検出を実行する際に使用するために、処理パラメータと品質パラメータのこれらの平均値を処理状態平均値としてメモリ内に格納する。
【0093】
その後、トレーニングデータのタイムスライスごとに、ブロック252は、そのタイムスライスのパラメータデータと処理状態平均値とを使用してタイムスライス平均値の集合を求め、この集合をそのタイムスライスに対する平均値から偏差値を求める時に使用する。特に、ブロック252は、処理に対してタイムスライスデータを選択して平均値の集合を求め、この集合をそのタイムスライスに対して使用し、その後、そのタイムスライスの平均値から偏差値を求め、これらの平均値からの偏差値は故障検出モデルを展開する際に使用されるモデル生成ルーチンへの入力になる。より具体的には、タイムスライスごとに、ブロック252は、そのタイムスライスによって表示された(またはタイムスライスに対して格納された)状態パラメータの瞬時値と、処理状態に対して格納された処理状態平均値と、を使用して、タイムスライスの他の処理パラメータの各々に対して適切なタイムスライス平均値を求めるために使用されるスケーリング係数(例えば、補間係数)を求める。この処理はブロック232で説明した処理と同様なので、ここでは説明を省略する。いずれにしても、ブロック252は、二つの隣接する処理状態から処理パラメータに対する処理状態平均値を使ってタイムスライスにおける処理パラメータごとに(同一補間係数を使って)補間を実行して、適切なタイムスライス平均値を求め、このタイムスライス平均値を、そのタイムスライスデータから故障検出モデルを生成するために使用される平均値から偏差値を求める際に使用する。ブロック252はタイムスライスの品質パラメータに対してもこの補間を実行する。
【0094】
データタイムスライスごとのタイムスライス平均値の計算後、ブロック254は、タイムスライス内の処理パラメータの各々と品質パラメータの平均値から偏差値を求めるために計算されたタイムスライス平均値を使用する。特に、ブロック254は、タイムスライスの各処理パラメータ(および品質パラメータ)とそれに関連するタイムスライス平均値(ブロック252で求めたもの)との差を求めて平均値から偏差値の集合を生成する。平均値からの一つの偏差値は各処理パラメータ(状態パラメータを除く)とタイムスライスの品質パラメータに対して求められる。
【0095】
次に、ブロック255は、平均値から偏差値をフィルタリングして、よりロバストに生成されている処理モデルを作成するとともに、処理が状態から状態を行き来しているときにモデルが故障を検出しないように補助する。ブロック235は、フィルタ時定数が、構築されているモデルへの入力として使用される処理パラメータにおける変化に対する品質パラメータの最長応答時間に等しいまたはこれより長く設定されている低域フィルタを実施する。このように、一例において、状態の変化に応答するために処理に対して必要とされる時間を考慮に入れて、平均値からの偏差値は検出されている故障に対する遷移時間に基づいてフィルタリングされる。いうまでもなく、他のフィルタ時定数も使用することができ、これらの時定数は最長応答時間未満の応答時間に基づいて選択することができる。
【0096】
次に平均値からのフィルタリングされた偏差値はブロック256へ送られ、ブロック256は、これ以降の故障検出動作において使用されるPCAモデルなどの故障検出モデルを求めるかまたは生成するために平均値からフィルタリングした偏差値を使用する。ここでも、パラメータの集合に対する平均値からの偏差値の集合からPCAモデルを作成する処理はよく知られているので、本明細書では詳細に説明されない。しかしながら、処理モデル生成の一部として、求められた処理パラメータ平均値(状態パラメータ平均値を含む)と処理状態ごとに求められた品質パラメータ平均値(即ち、処理状態平均値)および処理状態ごとの状態パラメータ範囲は、処理モデルの一部として格納され、オンライン処理における故障検出を実行するために処理モデルを用いる場合に使用される。さらに、フィルタ時定数は処理モデルの一部として格納されてよい。
【0097】
図6Aは、図3の処理品質予測モデル生成技術200を実施するためのシステムを示している。特に、図6Aに示されるように、処理300は、相当数の時間またはサンプルに対する処理パラメータデータ(状態パラメータデータを含む)と品質パラメータデータの形態で処理データを生成するためにトレーニング段階において動作する。図6Aの線302によって示される処理パラメータデータは、処理300内のデバイスによって測定されるかまたは出力され、そうでない場合、処理300の動作中に処理300から収集された処理変数値、状態変数値、および品質変数値などの処理パラメータ、状態パラメータ、および品質パラメータデータを含む。処理パラメータデータ302は、トレーニングデータの集合として取得され、メモリ304に格納される。メモリ304は、例えば、図1のデータ履歴12または任意の他の所望されるメモリである。いうまでもなく、任意数の処理パラメータ、品質パラメータ(故障表示を含む)、および状態パラメータに対するデータは、測定され、収集され、かつトレーニングデータの一部としてメモリ304へ格納される。
【0098】
次に、タイムシフト計算ブロック306は、状態パラメータと異なる処理状態を定義する状態パラメータ値の範囲との識別、またはモデルに対する入力として使用される処理パラメータとモデルによって推測される品質パラメータとの識別を用いて、メモリ304から取得したトレーニングデータ上で動作する。ブロック306は、例えば、ユーザインターフェース305を介してユーザからのこれらの指示を受信する。ブロック306は構築されているモデルにおいて使用される品質パラメータと処理パラメータの指示を使用し、上記の相互相関技術を実行して処理パラメータごとに適切なタイムシフトを求める。いうまでもなく、ブロック306は、相互相関を自動的に実行し、処理パラメータごとに適切なタイムシフトを自動的に求めること、またはユーザインターフェース305を介してユーザからの入力を受信し、これによってユーザが処理パラメータごとに適切な遅延時間を閲覧し選択することが可能となる。
【0099】
タイムシフトが処理パラメータ(および状態パラメータ)ごとに算出された後、タイムシフトブロックまたは遅延ユニット308は、トレーニングデータを受信し、構築されているモデルに使用される異なる処理パラメータのさまざまな処理パラメータ値を適切な量だけ遅延させ、次に時間整列パラメータデータを時間整列データスライスとしてメモリ310に格納する。各時間整列データスライスは、構築されているモデルへの入力として使用される処理パラメータごとの値と、状態パラメータに対する値と、構築されるモデルによって予測されている品質指標に対応づけられる値と、を有し、処理パラメータと状態パラメータの値は、ブロック308によって適用されるタイムシフトに基づいて、品質パラメータ値に対して時間内で推移する(例えば、時間内で進んだり遅れたりする)。
【0100】
これによって、メモリ310は、処理パラメータにおける変化とこれによる品質パラメータの変化との時間遅延が可能な限り最良範囲で削減されるように時間整列された処理パラメータ、品質パラメータおよび状態パラメータの値を有するタイムスライスデータを格納する。データスライスのこれらの集合は、モデルを生成する際に最も正確な品質予測モデルを生成するために最適に使用される。
【0101】
次に、ブロック312は、メモリ310からタイムスライスデータを解析し、処理パラメータの集合と定義付けられている処理状態ごとの品質パラメータ平均値とを展開する。各特定の処理状態に対する処理パラメータ平均値は、処理パラメータごとに、タイムスライスの状態パラメータ値が特定の処理状態とともに含まれるすべてのタイムスライスからその処理パラメータの値の平均値を含む。同じく、各特定の処理状態に対する品質パラメータ平均値は、品質パラメータに対して、タイムスライスの状態パラメータ値が特定の処理状態とともに含まれるすべてのタイムスライスにおける品質パラメータの値の平均値を含む。同様に、特定の処理状態ごとの状態パラメータ平均値は、状態パラメータに対して、タイムスライスの状態パラメータ値が特定の処理状態とともに含まれるすべてのタイムスライスにおける状態パラメータの値の平均値を含む。
【0102】
処理状態平均値がメモリ310に格納されるタイムスライスの全体的な集合から処理状態ごとに(即ち、時間整列したトレーニングデータに対して)すでに求められていた場合、ブロック314は、処理パラメータと品質パラメータ平均値を求め、そのタイムスライスの平均値から偏差値の集合を求める際にこの平均値をタイムスライス(タイムスライス平均値)ごとに使用する。図3に示されるように、ブロック314は、タイムスライスにおける各処理パラメータと品質パラメータに対する二つの隣接する処理状態の処理パラメータ平均値の互いの間を補間するための方法を判断するためにタイムスライスに対して状態パラメータの瞬時値に基づいて補間を利用する。
【0103】
タイムスライスごとに平均値が求められていた場合、これらのタイムスライス平均値は、メモリ310から時整列されたタイムスライスデータと共に、ブロック316へ提供されかつ使用され、各タイムスライスの各処理パラメータと品質パラメータの平均値から偏差値を求める。平均値からの偏差値の集合(整列されたタイムスライスごとに作成されている平均値からの偏差値の一つの集合)は次に、フィルタブロック318に送られ、このフィルタブロック318は処理がある状態から他の状態に変化している状況を考慮に入れて、処理パラメータに応じて処理パラメータの平均値から偏差値をフィルタリングする。概言すれば、平均値からの偏差値は、時定数が処理パラメータの変化に対して品質パラメータが応答するのに掛かる時間の量に基づいて設定されている低域フィルタを用いて、フィルタリングされる。最長応答時間がフィルタ定数を設定するために使用される場合もある。フィルタ定数は一般に平均値からの偏差値の全てに対して同一になる。なお、必要があれば、フィルタ時定数は、例えば、ユーザインターフェース305を介して、ユーザによって選択されるかまたは指定される。
【0104】
平均値からフィルタリングされた偏差値は次にモデル生成ブロック318に提供され、同ブロック318はこれらの値を使用し、標準的なモデル作成技術によって品質予測モデルを生成する。図6Aに示すように、モデル生成ブロック320は、PLSモデル322、NNモデル324およびMLRモデル326の一つ以上を作成する。概言すれば、予測されている品質変数ごとに単一モデルが作成されており、これらのモデルは、いうまでもなく、異なる処理パラメータ入力を有している。モデル生成ブロック320は、処理状態平均値、処理状態の定義域(例えば、さまざまな処理状態を定義付ける状態パラメータの範囲)、フィルタ時定数、および処理パラメータの各々に対するタイムシフト値の一つ以上とともに、モデルを処理モデルの一部として、格納する。
【0105】
図6Bは、故障検出モデルを展開するためのシステムを示し、処理300と、トレーニングデータメモリ304と、図6Aに示したユーザインターフェース305と、を含む。しかしながら、この場合、ブロック412は、メモリ304の生トレーニングデータのタイムスライスデータを解析して定義付けられている処理状態ごとに処理パラメータと品質パラメータ平均値の集合を展開する。特定の処理状態ごとの処理パラメータ平均値は、処理パラメータごとに、タイムスライスの状態パラメータの値が特定の処理状態範囲内に含まれるタイムスライスのすべてにおける処理パラメータの値の平均値を含む。同じく、特定の処理状態ごとの品質パラメータ平均値は、品質パラメータに対して、状態パラメータが処理状態内に含まれるすべてのタイムスライスにおける品質パラメータの値の平均値を含む。同様に、特定の処理状態ごとの状態パラメータ平均値は、状態パラメータに対して、タイムスライスの状態パラメータ値が特定の処理状態内に含まれるすべてのタイムスライスにおける状態パラメータの値の平均値を含む。
【0106】
処理状態平均値が、メモリ304に格納されているタイムスライスの全体的な集合から処理状態ごとに(即ち、トレーニングデータのタイムスライスに対して)、すでに求められていた場合、ブロック414は、処理パラメータと品質パラメータ平均値を求め、そのタイムスライスの平均値から偏差値の集合を求める際にこの平均値をタイムスライス(タイムスライス平均値)ごとに使用する。図3に示されるように、ブロック414は、タイムスライスにおける各処理パラメータと品質パラメータに対する二つの隣接する処理状態の処理パラメータ平均値の互いの間を補間するための方法を判断するためにタイムスライスに対して状態パラメータの瞬時値に基づいて補間を利用する。
【0107】
タイムスライスごとにタイムスライス平均値が求められていた場合、これらの平均値は、トレーニングデータメモリ304からタイムスライスデータと共に、ブロック416へ提供されかつ使用されて、各タイムスライスの各処理パラメータと品質パラメータの平均値から偏差値を求める。平均値からの偏差値の集合(タイムスライスごとに作成されている平均値からの偏差値の一つの集合)は次にフィルタブロック418に送られ、同フィルタブロック418は処理がある状態から他の状態に変化している状況を考慮に入れて、平均値からの偏差値をフィルタリングする。概言すれば、平均値からの偏差値は、時定数が処理パラメータの変化に対して品質パラメータが応答するのに掛かる時間の量に基づいて設定されている低域フィルタを用いてフィルタリングされる。必要があれば、フィルタ時定数は、例えば、ユーザインターフェース305を介してユーザによって選択されるかまたは指定されてもよいし、図6Aのフィルタブロック318において使用されるものと同じフィルタ時定数であってもよい。
【0108】
平均値からフィルタリングされた偏差値は次にモデル生成ブロック420へ提供され、同ブロック420はこれらの値を使用し、標準的なモデル作成技術によって故障検出モデルを生成する。図6Bに示すように、モデル生成ブロック420は一つ以上のPCAモデル422を作成する。概言すれば、検出されている故障ごとに単一のPCAモデルが作成されかつこれらのモデルはいうまでもなく異なる処理パラメータ入力を有している。
【0109】
いうまでもなく、他のタイプの品質予測、故障検出モデルが使用され、モデル生成ルーチン314および414は、典型的な任意の所望のまたは公知の方法で、PLS、NN、MLRおよびPCAモデルを生成する。しかしながら、理解されるように、品質予測モデルと故障検出モデルは、好ましくは、予め定義付けられた処理状態範囲全体に対して処理300の動作に関連付けられたデータを含むトレーニングデータの集合全体から生成される。いずれにしても、単一PLSモデル、NNモデル、MLRモデルまたはPCAモデルは、予め定義付けられた処理状態の各々に対して個別モデルが展開されることを必要とせずに、各々の品質予測および故障検出を行うための処理300に対して展開することができる。理解されるように、PLS、NN、MLRおよびPCAモデルは、これらのモデルが処理状態の異なる集合ごとに関連付けられた処理状態平均値の集合だけでなく状態パラメータの定義とさまざまな処理状態を定義付ける状態パラメータ範囲とを含むことを除いた、標準モデル生成技術に従って処理300に対して作成される通常モデルとして生成される。この場合、処理状態平均値の各集合は、データが収集される処理変数と状態変数の各々の平均値と、品質予測モデルにおいては、品質パラメータの平均値と、を含む。
【0110】
図7は、図6Aと図6Bの処理300などの処理の動作のオンライン解析を実行するために、図3の方法を使用して作成された品質予測または故障検出モデルの一つを使用する方法500を示す流れ図である。特に、ブロック502は、処理から処理パラメータデータとの状態パラメータデータとを集めて格納する。(いうまでもなく、品質パラメータデータと故障データも収集されるが、このアクションは図3の技術によって作成されたモデルを使って処理のデータ解析を実行するためには必ずしも必要ではない)。収集された処理パラメータデータと状態パラメータデータは、リアルタイムで処理からオンラインで取得することができ、ラボ解析またはオフライン解析を介して取得することができ、ユーザ入力を介して取得することができ、または他の任意の所望される方法によっても取得することができる。
【0111】
次に、使用されているモデルが、PLS、NNまたはMLRモデルなどの品質予測モデルである場合、ブロック504は、図3のブロック224によって求められたタイムシフト量を使用して、処理パラメータと状態パラメータをタイムシフトさせる。これらのタイムシフト量は、モデルの一部として格納さてもよいし、必要に応じて、モデルから取得することができる。したがって、これらのタイムシフト量は一般に、モデルを生成するために使用される時間整列データスライスを生成するためにデータをシフトして使用される同一のタイムシフト量である。使用されているモデルがPCAモデルなどの故障検出モデルである場合、このブロックは実行されないので、ブロック504は点線で示される。
【0112】
いずれの場合も、ブロック506は、集めたデータからデータスライスの集合を生成し、必要があれば、メモリ内にこれらのデータスライスを格納する。使用されているモデルが品質予測モデルである場合、これらのデータスライスは、これらのデータスライス内の処理パラメータと状態パラメータデータが互いに対して時間内でシフトされるので、これらのデータスライスはタイムシフトされたデータスライスである。しかしながら、使用されているモデルが故障検出モデルである場合、データスライスは、互いに対してタイムシフトされずに、収集された処理データから直接生成される。
【0113】
ブロック508は次に、データスライスごとにタイムスライス平均値の集合を求めるために、ブロック506によって生成されたデータスライスの各々を処理する。特に、ブロック508は、モデルの一部として格納された処理状態平均値とデータスライス内の状態パラメータの瞬時値とを使用して、そのデータスライスのタイムスライス平均値の集合を求める。状態パラメータが連続変数である場合、ブロック508は、状態パラメータの瞬時値と二つの最も近似している処理状態平均値との距離に基づいて状態パラメータの瞬時値から補間係数を求めることができ、次にこの補間係数を利用して他の処理パラメータ(モデル内に格納されている)に対する処理状態平均値の互いの間を補間し、これらの他の処理パラメータのタイムスライス平均値を求める。状態パラメータが離散変数である場合、ブロック508は処理状態平均値の集合を求めてタイムスライス内の状態パラメータの瞬時値に基づいてこの集合を使用する。ブロック508はメモリ内にタイムスライス平均値を格納する。
【0114】
ブロック509は次に、タイムスライス平均値とタイムスライスの処理パラメータの瞬時値とを使用して、データスライスの平均値からの偏差値の集合を求める。特に、ブロック509は、タイムスライスの処理パラメータの各々の瞬時値とその各々の平均値の差を求めてタイムスライスの平均値から偏差値の集合を生成する。いうまでもなく、ブロック508と509は、解析されている処理がオンライン動作しているときの平均値から偏差値の連続ストリームを生成するために各データスライス上で動作する。
【0115】
次に、ブロック510は平均値からの偏差値の各ストリーム(即ち、一つのストリームはモデルへの入力として使用される処理パラメータに対して作成されている)をフィルタリングし、平均値からフィルタリングされた偏差値を処理されるモデルへ提供する。ブロック510は、モデルを作成する際に使用される同一タイプのフィルタリング技術を使用することができ、これによって図3の方法で使用されたものと同じフィルタ係数を使用して最初にモデルを生成するために使用された平均値から偏差値をフィルタリングする。これらのフィルタ係数は、モデルの一部として格納され、よって、モデル自体から取得することができる。
【0116】
ブロック512は平均値からフィルタリングされた偏差値を使ってモデルを動作させて例えば、品質測定予測、故障検出などの形態のモデル出力を生成する。ブロック514は、ユーザにディスプレイされるかさもなければ提供されるアラームやアラートを生成するために、モデルの出力上で動作することができる。特に、ブロック514は、モデルの出力を一つ以上の事前に設定されたまたは予め設立されたしきい値に比較してしきい値より上または下にあるモデルの出力を検出し、次に、この比較に基づいてアラームまたはアラートを設定する。いうまでもなく、モデルの出力へ他のタイプのアラームを加えてまたはその代わりに実行してもよい。
【0117】
図8は、処理300を解析するために予め作成されたモデル601を利用して、図6Aおよび6Bの処理300などの処理に対してオンラインデータ解析を実行するために、図7の方法を使用するシステムを示している。特に、図7に示されるように、処理300は、任意の所望される方法で測定されまたは収集されかつメモリ602に格納される処理パラメータデータと状態パラメータデータを製造するように動作する。品質予測が実行されている場合、タイムシフトモジュール604は(図7のモデル601からラインで示す)処理モデルの一部として格納されたタイムシフト量を用いて、処理パラメータと状態パラメータをタイムシフトさせる。これらのタイムシフト量は、モデルを生成するために使用される時間整列されたデータスライスを生成するためにデータをシフトさせるために使用されるタイムシフト量と同じである。このタイムシフトモジュール604は、タイムシフトされたまたは時間整列されたデータを時間整列されたデータスライスとしてメモリ606内へ格納する。モデル601が故障検出モデルである場合、タイムシフトモジュール604は不要で使用されない。
【0118】
いずれの場合も、平均値計算モジュール608はメモリ606に格納された時間整列されたデータスライス(品質予測システムの場合)または処理それ自体から収集されかつメモリ602に格納されたデータスライス(故障検出解析システムの場合)の各々を処理してデータスライスごとにタイムスライス平均値の集合を求める。とりわけ、モジュール608はモデル601の一部として格納された処理状態平均値とデータスライス内の状態パラメータの瞬時値とを使用してそのデータスライスに対するタイムスライス平均値の集合を求める。状態パラメータが連続変数の場合、モジュール608は、状態パラメータの瞬時値と二つの最も近似している処理状態平均値との間の距離に基づいて状態パラメータの瞬時値から補間係数を求め、次にこの補間係数を使用して、(モデル601に格納された)他の処理パラメータの処理状態平均値の間を補間して、これらの他の処理パラメータのタイムスライス平均値を求める。状態パラメータが離散変数である場合、モジュール608は、処理状態平均値の集合を単に求めてこの集合をタイムスライス内の状態パラメータの瞬時値に基づいて使用する。モジュール608はタイムスライス平均値をこれに関連付けられたメモリに格納する。
【0119】
次に、偏差値モジュール609はタイムスライス平均値とタイムスライスの処理パラメータの瞬時値とを使用してデータスライスの平均値から偏差値の集合を求める。特に、ブロック609は、タイムスライスの処理パラメータの各々の瞬時値とこれらの各々の平均値との差を求めてタイムスライスに対する平均値から偏差値の集合を生成する。いうまでもなく、モジュール608および609は、各データスライス上で動作して解析されている処理がオンラインで動作するときに平均値からの偏差値の連続ストリームを生成する。
【0120】
次に、フィルタモジュール610は平均値からの偏差値の各ストリームをフィルタリングし(すなわち一つのストリームはモデルへの入力として処理パラメータごとに作成される)、平均値からフィルタリングされた偏差値を処理されるモデルへ提供する。フィルタ610は、モデル601を作成するときに使用されるものと同タイプのフィルタリング技術を使用することで、図3の方法で使用したものと同じフィルタ係数を使用して、最初にモデル601を生成するために使用される平均値から偏差値をフィルタリングする。これらのフィルタ係数は、モデル601の一部として格納されることにより、モデル601自体から取得することができる。
【0121】
次に、モデル601は、平均値からフィルタリングされた偏差値を利用して動作するかまたは実施され、例えば、品質測定予測、故障検出などの形態において、モデル出力を生成する。アラームモジュール614は、ユーザへディスプレイされるかさもなければ提供されるアラームやアラートを生成するようにモデル601の出力上で動作する。特に、アラームモジュール614は、モデル601の出力を一つ以上の事前に設定されたまたは予め確立されたしきい値と比較して、しきい値より上または下にあるモデル601の出力を検出し、次に、この比較に基づいてアラームまたはアラートを設定する。いうまでもなく、これに加えてまたはその代わりに、モデルの出力へ他のタイプのアラームを実行してもよい。
【0122】
図9は、本明細書に記載されている技術によって作成された統計的処理モデルの集合を使用して品質予測および/または故障検出を実行するために実施される機能ブロック700を示すブロック図である。必要に応じて、機能ブロック700は、ユーザインターフェース内、コントロールシステム内の処理コントローラ、または図1と図2の処理コントロールシステムのいずれかなどの処理コントロールシステム内に配置されたフィールドデバイス内でも、実行または実施される。本明細書においてデータ解析(DA)機能ブロックと称される機能ブロック700は、処理コントロールシステム内の他の機能ブロックと同じまたは同様の方法においてユーザによって使用可能および閲覧可能であるように構成することができ、これによってDA機能ブロック700はデータ解析を実行するために使用される処理コントロールシステムに対して互換可能になりかつ統合されやすくなる。
【0123】
機能ブロック700は、同じ集合の処理入力パラメータと状態パラメータへ品質予測と故障検出の両方を実行するように図示されているが、それに代えて、機能ブロック700は品質予測または故障検出のいずれかを実行することができ、両方を実行する必要はない。さらに、機能ブロック700は、入力パラメータと状態パラメータの集合に基づいて単一タイプの品質予測と故障検出を実行するとして記載されているが、ブロック700はモデルの複数の集合を含みかつ多数のタイプの品質予測と故障検出を実行することができる。しかしながら、使用法と構成を容易にするために、異なる機能ブロック700が実行したいとされる異なるタイプの品質予測/故障検出ごとに作成されかつ実施されることが好ましい。
【0124】
図9のDA機能ブロック700のパラメータは典型的な機能ブロックパラメータを含み、さらに、以下に記載される数多くの新たなパラメータや特性を含む。概言すれば、DA機能ブロック700は、各々が入力と出力の集合を含むモデリングブロック702とアラームブロック704を含む。モデリングブロック702への入力は、数多くの処理パラメータと状態パラメータ入力706、アルゴリズム入力708、遅延入力710、サンプル入力712、およびフォロー入力714を含む。処理パラメータと状態パラメータ入力706は、処理コントロールシステム内の他の機能ブロックまたはデバイスに通信可能に連結され、これらから、処理パラメータおよび状態パラメータの測定値やさもなければ求められた値を受信し、受信したこれらの値は品質予測および故障検出を実行するためにデータ解析に使用される。アルゴリズム入力708はモデルにおいて使用されるモデリングアルゴリズムのタイプを示す列挙型パラメータである。アルゴリズム入力708の入力は、例えば、機能ブロック700がMLR、PLS、PLS−DAおよびNN予測モデリングの一つを実行することを指定する。サンプル入力712は、ラボ測定などの処理の測定から取得された求められた品質サンプルを受信し、遅延入力710は、現在時間とサンプル入力712において提供されたサンプルが取得された時間との間で発生した遅延を表示する指定遅延を受信する。サンプル入力712および遅延入力710は、機能ブロック700によって生成されている予測値のバイアス誤差を補正するために使用される。フォロー入力714は、機能ブロック700の品質予測ルーチンの出力をサンプル入力712において提供されるサンプル測定に単純にフォローさせるために使用される入力である。
【0125】
概言すれば、モデリングブロック702は、処理パラメータと状態パラメータ入力706を受信しかつ格納するとともに品質予測および故障検出を実行するための入力を提供するインターフェース720を含む。特に、インターフェース720は遅延ブロック722に連結されかつ遅延ブロック722へ処理パラメータ値と状態パラメータ値を送信する。遅延ブロック722は、品質モデルを具備しまたは品質モデルが作成された時に同モデルに対して求められた遅延またはタイムシフト量だけさまざまな入力を遅延させる。これらの遅延はメモリファイル724から提供される。メモリファイル724は、処理パラメータタイムシフトだけでなく、モデル処理状態平均値とフィルタ係数とモデルを実施するために使用されるモデルパラメータやモデル係数とを含む他のモデルパラメータを格納する。
【0126】
次に、品質予測モデリングブロック726は、遅延ブロック722によって生成された遅延または時間整列されたデータスライスと、インターフェース720から測定されたパラメータ値と、処理状態平均値と、フィルタ係数と、モデル係数(全てモデルファイル724から取得したもの)を使用して、図7および図8に関して上記した方法において品質予測を実行する。品質予測モデリングブロック726はFUTUREとラベル付けされた機能ブロック700の出力へ提供される今後の予測(対象期間内)を生成し、OUTとラベル付けされた機能ブロック700の出力へ提供される現在予測を生成することができる。いうまでもなく、必要であれば、品質予測モデリングブロック726は、モデルファイル724によって格納されこれによって提供されるモデルパラメータまたはモデル係数を使用して、アルゴリズム入力708によって指定される任意の異なるタイプのモデルを実施するためにプログラムされまたは設計される。
【0127】
しかしながら、バイアス補正または補償は機能ブロック700のFUTUREとOUT出力へ提供された両予測値に対して実行することができる。特に、遅延ユニット730は、遅延入力710において指定された遅延量だけ予測された品質出力を遅延させ、加算ブロック732は、品質予測モデリングブロック726の遅延した予測現在出力とサンプル入力712において提供されたサンプル測定値との間の差を求める。限定ブロック734は、(例えば、ユーザまたは機能ブロック設計者によって指定される)補正制限入力を用いてこの差を制限し、次にフィルタ735は補正制限入力を用いてこの差を制限し、次に、フィルタ735は、(例えば、ユーザまたは機能ブロックデザイナによって指定され得るか提供され得る)補正フィルタ係数またはパラメータを用いて制限ブロック732の出力をフィルタリングする。フィルタ735の出力は、ユーザまたは処理コントロールシステムにおいて生成される他の自動入力によってオンオフされるバイアスイネーブルスイッチ736へ送られるバイアス補正である。バイアスイネーブルスイッチ736がオンまたはイネーブルとされた場合、加算器ブロック740および742は、このバイアス補正を品質予測モデリングブロック726によって生成された現在予測値および将来予測値に追加する。
【0128】
フォロー入力714によって作動されまたはコントロールされるスイッチ744は、ブロック726のバイアス補正された現在出力またはサンプル入力712で提供されたサンプル値を機能ブロック700の出力OUTに接続することをスイッチングする。したがって、フォロー入力714は、機能ブロック700のOUT出力をサンプル入力712で提供されているサンプル値に追従させようとする。また、モード信号によってコントロールされるモードスイッチ746は任意の出力が機能ブロック700のOUT出力に送信されるかをコントロールする。モードスイッチ746は、機能ブロック700の出力を使用している可能性のある機能ブロック700のモードまたは他の何らかの機能ブロックに基づいて機能ブロック700の現在品質出力予測をディスエーブルとするために使用される。したがって、モードスイッチ746は、機能ブロック700に関連しているまたはこれによってモデル化されている処理コントロールシステムの一部が、例えば、運転休止モード、異常モード、マニュアルモードなどにある場合、機能ブロック700の出力がディスエーブルとされるかまたは切断されることを可能にする。
【0129】
さらにまた、故障検出ブロック750はインターフェース702に連結され、処理パラメータ入力と状態パラメータ入力を受信し、これらとともに状態平均値とモデルファイル724から他のモデル情報を使用して、図7と図8に関して上記に説明した方法で故障検出を実行する。ブロック750の出力はブロックエラー出力、Stat_T2出力、およびStat_Q出力を含む。ブロックエラー出力は、故障検出ブロック750によってモデリングされているかまたは求められているエラーまたは故障検出出力であり、故障検出に使用した場合の典型的なPCAモデル出力である。Stat_T2パラメータは、故障検出に使用されるPCAモデルのT統計値を示す読み取り専用の浮動小数点数である。Stat_Qは、故障検出に使用されるPCAモデルのQ統計値を示す読み取り専用の浮動小数点数である。Stat_T2出力とStat_Q統計値は、PCAモデルなどの予測モデルによって典型的に作成され、一般に予測アラームに使用される。いうまでもなく、必要であれば、故障検出モデリングブロック750はモデルファイル724内に格納されモデルファイル724によって提供されるモデルパラメータやモデル係数を使用して任意の異なるタイプのモデルを実施するためにプログラミングされるかまたは設計されることができる。
【0130】
いずれにしても、図9に示すように、ブロックエラー、Stat_T2、およびQ統計値は、(すでにバイアス補正を適用した可能性のある)現在の品質予測値とともにアラームブロック704へ提供される。アラームブロック704はまた、入力パラメータとして、故障検出ブロック750の計算されたT統計値の上限アラームであるT2_LIM、計算されたQ統計値の上限アラームであるQ_LIM、品質予測に対して下限アラームを指定する(必要に応じて、製品仕様下限値に設定され得る)LO_LIM、および品質予測に上限アラームを指定する(および製品仕様上限値に設定され得る)HI_LIMを、受信する。
【0131】
さらにまた、アラームブロック704のPRED_ACT出力は品質予測時にアラームをトリガーするために使用され、アラームブロック704のFAULT_ACT出力は故障検出時にアラームをトリガーするために使用される。いうまでもなく、アラームブロック704は、品質予測モデリングブロック726によって提供される品質予測値をLO−LIM値およびHI_LIM値に比較することによってアラームトリガーを求め、品質予測値がこれらの制限値を超えるか(それぞれ低いかまたは高いか)を判断し、超えていた場合は、PRED_ACT出力においてアラームをトリガーする。同じく、アラームブロック704は故障検出モデリングブロック750のブロックエラー、Stat_T2およびStat_Qといった様々な出力を故障しきい値T2_LIMおよびQ_LIMと比較することによってアラームトリガーを求め、故障検出値のいずれかがその限界値に達するかまたはそれを越えるか(またはブロックエラー値が故障を示すか)を判断する。しきい値に達するかまたはこれを越えた場合、アラームブロック704はFAULT_ACT出力においてアラームをトリガーする。アラームブロックと予測ブロック726および750の出力のいずれかまたはすべてを容易に検索するために、所望されれば、データ履歴に提供しかつ格納することができる。
【0132】
さらに、必要があれば、適応モデリングは、本明細書に記載されているモデリング技術によって構築または生成された品質予測または故障検出モデルを用いた場合にオンラインで実施することができる。特に、一旦作成されると、モデリングシステムは、データ解析システムにおいてモデルを作成するために使用される処理トレーニングデータが収集された時間中に経験した処理条件から大いに異なる処理条件を解析するように動作する状況も存在する。例えば、処理は異なるスループットを受けたり経験したりまたは処理は新しい製品等級を生成するために使用されたりし、これによって、処理はトレーニングフェーズ中に経験しなかった条件で動作することもある。一例において、処理はトレーニングデータを収集する工程中に処理に対して定義付けられた処理状態の一つ以上において経験したこともなければ動作したこともなかった場合がある。他の例において、処理に対する処理状態はトレーニング実行中に状態パラメータの範囲に基づいて定義付けられている場合もあるが、処理は状態パラメータによって求められた新しくかつ前に定義付けられたことのない処理状態を実行することもある。他の状況において、処理の動作は、異なる環境条件、処理設備の老化、またはトレーニングデータが収集された時から(測定されたまたは測定されなかった)いくつかの他の外乱変数の変化によっていくらか変化していたと判断される。これらの場合、モデル調整は、データ解析システムの動作を改良するために必要とされる。以下に記載されるように、適応モデリングは、基底となるモデル自体を再成することを必要とせずに、これらの状況を補償するために使用され得る。
【0133】
特に、モデル生成フェーズ中に展開された基底にある処理モデルを変更せずに、さまざまな条件や状況に応じて本明細書中に記載されたシステムにおいて適応モデリングを実行することが可能である。特に、モデル調整は、新たに収集された処理の測定値から処理状態ごと(もともと定義付けられている処理状態または新しく加算された処理状態のいずれか)に処理状態平均値の新しい集合を求めることによって行われ、次に、これらの新しい処理状態平均値をモデル調整が実行される処理状態に対するモデルの一部として格納する。必要に応じて、標準偏差値も計算されかつ適応された処理状態ごとに計算され格納される。
【0134】
このように、概言すれば、モデル適応は、モデルに格納された平均値(処理状態平均値)を処理状態ごとに適応させることによって実行される。モデル適応されない場合、モデル展開中に処理状態の動作範囲全体をカバーするデータを収集することが必要である。測定ごとのデータ内で発見された変動に基づいて、動作範囲は状態の選択可能な数(例えば、5個)に分割することができる。これに対して、モデル適応された場合、処理が異なる処理状態へ移動している際にモデリングシステムは処理が新たなまたは変化した処理状態に入っている一定期間の状態パラメータおよび処理パラメータの各々に対して処理データを収集することができ、その後、モデリングシステムは処理が新たなまたは変化した処理状態にある間も処理パラメータおよび状態パラメータの各々に対する平均値を自動的に計算することができるので、トレーニングフェーズにおいて使用された処理データが処理の動作範囲全体をカバーする必要はない。これらの平均値は、処理がそれ以降の処理状態において動作する間、処理をモデリングする際に使用されるモデルに保存することができる(よって、モデルを適応させる)。
【0135】
例えば、処理のスループットを規定する流量が状態パラメータとして選択された場合、状態パラメータが流量の動作範囲の微小部分に対して変化しているにすぎないにしても、最初に処理パラメータ測定値に対するデータを集めてモデル展開に使用することができる。この場合、ユーザは、状態パラメータが正常に動作する範囲を識別する。ここで、モデル組立中にデータを処理している間、収集されたデータは(状態範囲のユーザ入力に基づいて)わずかに可能な状態に含まれる。処理パラメータデータが収集される処理状態に対しては、モデル生成ルーチンが平均値の集合を計算する。しかしながら、モデル生成フェーズにおいて処理パラメータデータが収集されなかった処理状態に対しては、パラメータ平均値は、任意の値、例えば、データが収集された状態に最も近い状態に対するパラメータ平均値に等しい値に最初に設定することができる。モデリングシステム内でモデルをオンラインにした後、状態パラメータ値がその時点までデータ収集されなかった処理状態を示すために変化する時、モデリングまたはデータ解析システムは適応フェーズへ入ることによって適応モデリングを実行することができる。
【0136】
特に、適応フェーズ中、処理パラメータデータおよび状態パラメータデータは処理が新しい処理状態において動作しているときにオンラインで収集される。しばらくしてまたは各々の新しいタイムサンプル後、この処理状態に対する平均値は、処理が新しい処理状態で動作している間に測定された処理パラメータと状態パラメータデータ値に基づいて更新される。処理状態ごとにユーザは平均値の適応が許可できるかどうかを指定することができる。この能力は、ユーザが適応を許可した場合、(処理の変化を明確にするために)このモデルを更新するために使用することもできる。処理が停止している場合、平均値が不正値に適応することを防止するために、ユーザは、処理状態ベースで処理状態において計算された平均値を見るまたは閲覧する能力と、ユーザによって許容された値からおよび/またはモデル展開中に識別された値から平均値の適応が変化する程度(例えば、許可される変化の割合)を制限する能力と、を有している。
【0137】
所望されれば、オンラインのモデル適応は予定した方法または予定しなかった方法で実行することができる。例えば、製品等級や処理速度の変化が処理パラメータの一部または大部分に対して新たな設定を必要とする場合、新しい等級に対する処理状態およびパラメータ設定(平均値および標準的な偏差値)が知られている場合、モデルパラメータは、予定通りに、即ち、全て一回で調整することができる。しかしながら、一つ以上の新しい状態に対して平均値および処理状態値が知られていない場合、これらの値は新しいパラメータの平均値を実施するために漸次に適応させることができる。
【0138】
一例において、予定されたモデル変化は、その知識がオンラインで行われた測定を介して取得できるとともに予定されたモデル適応処理が実行されるまで格納できる新しい製品等級に対する処理状態の先行知識に基づいて行われる。予定変更または予定適応を適用する場合の使用に適切なモデルを展開するための手順は、最初に履歴データ収集へ等級または処理状態識別パラメータを含めて、データが入手可能になった時点でその新しい等級や処理状態に対するデータを格納する。次に、手順は、全ての等級を明記した新しく収集されたデータによってトレーニングデータを前処理する。このようにして、手順は平均値と標準偏差値を全ての等級に対して個別に計算する。次に、手順はこれらの等級に対する特定の等級平均値と標準偏差値を用いて、全ての等級に対するデータを個別に正規化する。次に、モデリング技術は多等級からのデータを使用して一つのモデルを展開する。データは特定の等級に対する平均値および標準偏差値によって条件付けられるので、条件付けおよび/または正規化されたデータは共通の多等級モデル展開に対して使用することができる。次に、この方法は、多等級モデルの一部としてモデル展開に対して使用される全ての等級に対する平均値と標準偏差値を格納することができる。
【0139】
しかしながら、予定されていないモデル適応の実行は、変化したまたは新しい状態においてオンライン平均値と標準偏差値を計算するように動作し、これらの新しい平均値と標準偏差値をその新しい値が求められた時点でモデルに個別適用する。予定されていないモデルの適応は、新しい状態がもともとモデルに含まれていない時(例えば、この特定の処理状態に対する履歴またはトレーニングデータがない場合)に使用される。処理状態の変化は自動的に検出することができ、この検出は適応モデリング技術をトリガーしてモデルの平均値と標準偏差値の変更を実行する。モデルに新しい状態パラメータが存在しない場合、適応可能な適応ルーチンは現在のオンラインデータ収集およびモデルパラメータ計算に基づいてモデルを調整する。新しい処理状態のための処理状態平均値として使われる実際の処理パラメータ平均値と状態パラメータ平均値は、オンライン処理の動作から十分なデータを収集して新しい処理状態の処理パラメータと状態パラメータの各々に対して統計学的に重要な平均値を求めるには少々時間を要するので、処理状態の変化から少し遅れて、モデルに適用される。この遅延は連続計算と調整時間によって定義付けられる。
【0140】
必要に応じて、新しいモデルパラメータ平均値は、元のモデルパラメータ平均値に相対してバイアスを有する。つまり、モデル平均値バイアスβは適応平均値を求めるためのフィルタリング値として用いることができる。
【数3】

【0141】
ここで、生の平均値は、オンライン動作中に定義付けられた新しく計算されたバイアスである。(処理装置が劣化するかまたは他の条件が予測されまたは予測されない方法で変化するので発生し得る)変化した条件による処理状態の推移に関して、同一の平均値バイアスパラメータは、上記に説明したように、適応平均値をフィルタリングするために使用される。さらに、他の変化や外乱に対しては、いくつかの平均値の変化が一定でありおよび/または実用的な方法で追跡するのが困難である場合がある。これらの場合において、偽アラームを最小限にするために、モデルのロバストネスや感度を向上させることが望ましい。
【0142】
上記に説明されたデータ解析技術は連続解析に対して(即ち、連続処理において解析を実行するために)説明されているが、これらの技術はまた、バッチ処理の進展を示す「バッチの時間」または何らかの他のパラメータが状態パラメータとして使用される、単なるパッチ処理アプリケーションに適用することもできる。この場合、「単なるバッチ」処理は、1)バッチ処理が一処理ユニットに制限される。2)バッチ処理の入力/出力はバッチが進展しても変化しない。3)同じ製品は常に処理ユニットにおいて製造される。
【0143】
さらに、ユーザが、図9のデータ解析機能ブロック700によって生成されるアラームやアラートなどの品質予測または故障検出時に生成されるアラームまたはアラートに関連する情報をより簡単に閲覧しかつ取得することを可能にすることが望ましい。特に、選択された時に、連続データ解析システムによって報告された品質または故障アラートを示すユーザインターフェーススクリーンへアラートタブを追加することが望ましい。このシステムにおいて、ユーザは次にこのリストからアラートまたはアラームを選択することが可能であり、この選択に応答して、ユーザには、アラート、このアラートが出される前後両方の関連パラメータのパラメータ値、などにつながる予測値またはTまたはQ統計値などのアラートまたはアラームの関連付けられた履歴情報が自動的に付与される。この特徴は、故障または低質の予測を発見するためにユーザが予測される品質または故障統計値(TまたはQ、予測値など)の傾向プロットを介して検索しこれに戻ってスクロールすることを必要とせずに、むしろ、新しいユーザインターフェースは、ユーザが(異なる処理パラメータの傾向ディスプレイを介してスクロールせずに)生成されたアラートの全てを閲覧することと、選択されたアラートに関連付けられた履歴データをすぐに閲覧することと、を可能にするという点でユーザにとって実質的な時間節約となる。
【0144】
このユーザインターフェースは、そのシステムによって、既に生成されている任意のタイプのアラームに関連する異なるパラメータに関連付けられた履歴データをユーザが簡単に閲覧できるようになるので、このユーザインターフェースシステムは、ユーザがアクセスして検出された処理アラームを閲覧できるアラームのサマリーディスプレイを提供する任意の処理コントロールシステムインターフェースにおいてより広範囲のコンテクストで使用することができる。特に、このユーザインターフェースは、処理アラームまたはアラートが生成され、ユーザインターフェーススクリーンまたはディスプレイを介してユーザに提供されるすべてのコンテクストで使用することができ、新しいユーザインターフェースは、履歴インターフェースに行き、事象に関連付けられたパラメータを呼び出し、次に時間内で逆スクロールしてアラートが生成された直前直後に(データ履歴に格納されている)処理パラメータ傾向データを閲覧することを必要とせずに、アラートが生成された直前直後に、(データ履歴に格納されている)履歴処理パラメータ傾向データをユーザが閲覧することを可能にするので、アラームまたはアラートに結び付く条件をユーザが迅速に解析することを可能にする。
【0145】
比較の方法として、アラートが現在バッチ処理コントロールシステムで使用されるいくつかの従来技術のユーザインターフェースに現在ディスプレイされかつ解析される方法が図10に示されている。トップレベルでは、バッチ処理などのアクティブ処理のリストおよび完成したバッチのリストが示されている。アラートが処理の一つにおいてアクティブである場合、このアラートは概要図に示されている(スクリーン902を参照)。次にユーザはこの概要図からバッチ処理を選択し、次に(デフォルトによって)ユーザインターフェースは故障検出のために使用される二つの統計値(PCAモデルのTとQ統計値)の履歴傾向を示すために変化する(スクリーン904参照)。いずれかの統計値が値(1)を超える場合、これは故障条件であると考えられる。故障に関連付けられる処理測定値を調べるために、ユーザは、二つの統計パラメータの履歴傾向を検査し、統計値が1の値を超えた時の時間を見つけて、次に、ディスプレイした傾向の時間内のその点を選択することが必要である。これに応じて、次に、ユーザには、故障に最も寄与した測定値が示される(スクリーン906および908参照)。
【0146】
同様に、品質予測アラームが概要図に示された場合、ユーザは処理を選択し次いで品質予測タブを選択する能力を与えられる。これに応じて、ユーザインターフェースシステムは品質パラメータの履歴傾向をディスプレイする(スクリーン910参照)。次に、ユーザインターフェースはユーザが品質パラメータ傾向を調べていつ予測値が製品仕様限界を超えたかを判断することを可能にする。仕様限界値より上または下にある品質予測における偏差値の原因を探るため、ユーザは、次に、傾向プロット内のこのポイントを選択し、故障検出タブを選択し、かつ履歴傾向を調べて品質パラメータアラーム時に故障が検出されたかを判断しなければならない。
【0147】
アラート条件を調査する場合、この従来技術のアプローチは相当な限定と欠点を有している。特に、概要図において、ユーザはアラートが現在アクティブであることのみを認識しており、過去のアラートについてのより多くの情報を見つけるために、ユーザが、1)処理故障検出時に使用される統計値または予測された品質パラメータの履歴傾向を選択すること、2)アラートがいつ発生したかを判断するために傾向を調べること、3)アラート条件についてより多くの情報を発見するためアラートが発生した傾向におけるポイントを選択すること、が必要である。さらに、過去に発生したアラートのすべてを見つけるために、統計パラメータ傾向プロットまたは予測された品質傾向プロット内の各アラートを発見しかつ選択することが必要であり、これは、時間が掛かり、うんざりするほど面倒な作業である。実際、連続処理またはバッチ処理のいずれかにとっても、アラート条件がいつアクティブだったかを見つけるためにトレンド履歴で逆スクロールするには実に時間が掛かる。結果として、共通の問題などを見つけるために全ての過去のアラートを容易に解析することは可能ではない。さらに、仕様外製品の製造に寄与する条件を示すアラートを容易に見落とす可能性がある。
【0148】
しかし、本明細書に記載される、新しいユーザインターフェースは、ユーザが、現在アクティブになっているか、過去に発生したアラートを調べることができる。連続的なデータ解析アプリケーションの場合は、アラートが(製品仕様書または信頼限界のような)ユーザ定義のまたは計算された制限を超えた予測された製品品質または(PCAモデルを利用し、それに関連付けられた統計値)が検出された処理の故障によってトリガーされる可能性がある。
【0149】
より具体的には、新しいユーザインターフェースによって、連続リストタブがユーザインターフェーススクリーン内に提供され、このタブを選択した場合、品質予測および/または故障検出のためのコントロールシステムに現在インストールされている連続データ解析ブロック(図9のCDAブロックなどのCDAブロック)の概要図が提供されている。この概要図において、図11Aに示すように、CDAブロックごとに最新の品質予測または処理故障が示されている。
【0150】
注目すべきは、アラーム履歴タブがユーザインターフェーススクリーンに追加されたことでユーザは検出されたデータ解析アラートの全てを閲覧することが可能となる。ユーザがこのタブを選択すると、ユーザインターフェースは、現在と過去のアラートのリストをディスプレイする。図11Bの例示的なユーザインターフェーススクリーンは、過去に一つだけのアラートが発生したアラーム履歴ビューを示す。一般に、このビューは数多くの処理故障と品質パラメータ予測アラームを含む。
【0151】
ユーザがサマリーリストにおけるアラートの一つを選択した場合、ユーザインターフェースは、アラートの時間を中心に関連付けられた品質パラメータ予測または処理故障検出傾向を示すためにディスプレイを変更する。処理故障に対して提供されるビューの例が図11Cに示されている。
【0152】
次に、ユーザが故障に寄与したパラメータの一つを選択する場合、ユーザインターフェースは故障時のパラメータデータを用いてこのパラメータに履歴情報(例えば、パラメータ傾向プロット)を提供する。この動作は図11Dのスクリーン画像に示されている。いうまでもなく、ユーザインターフェースシステムはアラートに関連付けられた期間(例えば、アラートが生成された時)のデータ履歴からこのデータへアクセスする。
【0153】
過去に発生したアラートのすべてを簡単に閲覧しかつアラート時に関連付けられた履歴情報に容易にアクセスするための能力は、アラートのサマリーも提供しないしアラート時に関連付けられる履歴情報をディスプレイすることをサポートもしない従来技術のアラームサマリーインターフェースよりも多くの利点を有している。
【0154】
さらに、本明細書中に記載されているデータ解析ブロックによって使用すること以外のアラートインターフェースに対する他のアプリケーションが図11A〜図11Dに示されている。実際、連続的なデータ解析において実施されているとして記載されるアラートインターフェースに関連付けられる概念は多くの他のアプリケーションに適用することができる。一例として、「アラームリスト」ボタンは、標準的デルタ(Delta)VTM(登録商標)オペレータインターフェースに提供されている。オペレータがこの選択を行う場合、図12Aに示すように、現在のアクティブなアラームのリストがディスプレイされる。
【0155】
このアラームリストを閲覧しても、アラームが検出された時間帯にアラームにおける処理パラメータの値にユーザが簡単にアクセスして調べるためのサポートは提供されない。しかしながら、本明細書に記載されているユーザインターフェースを使用すれば、アラームリストディスプレイは、このリストにおいて選択されたアラーム時に関連した履歴情報のディスプレイをサポートするために変更され、これによってユーザがアラームのソースをより簡単にかつより迅速に解析することができるようになる。ユーザがアラームリストを閲覧しアラームを選択してこのアラーム変数(即ち、アラームを生成するために使用された変数)に対する傾向データを閲覧するこの概念が図12Bに示されている。
【0156】
さらに、アラームにおける測定値が他のパラメータに関連付けられる場合は、ユーザインターフェースはアラームの時間帯に関連するパラメータの履歴値をディスプレイすることを要求するためのオプションをユーザに提供することができる。例えば、アラームのパラメータがPIDブロックのPVであるかまたはMPCブロックなどの入力である場合、履歴に割り当てられるブロックの任意の他のパラメータをアラームの時間帯にディルプレイすることができる。このようなディスプレイは、図12Cに示されている。アラーム時の関連する履歴情報を容易にアクセスしディスプレイすることを可能にすることによって、オペレータによる問題のソースの解析がより簡単でかつ迅速になる。
【0157】
上述したように、上記の例示的な方法および/または装置の少なくともいくつかはコンピュータプロセッサ上で実行される一つ以上のソフトウェアおよび/またはファームウェアプログラムによって実施されてもよい。しかしながら、これらに限定されないが、特定用途向け集積回路、プログラマブルロジックアレイおよび他のハードウェアデバイスを含む専用のハードウェアインプリメンテーションも同様に、全体的または部分的に、本明細書中に記載されている例示的な方法および/または装置の一部またはすべてを実施するように構築される。さらに、以下に限定されないが、分散処理またはコンポーネント/オブジェクト分散処理、並列処理、または仮想マシンプロセッシングを含む他のソフトウェアインプリメンテーションも本明細書中に記載されている例示的な方法および/またはシステムを実施するために構成することができる。
【0158】
本明細書に記載されている例示的なソフトウェアおよび/またはファームウェアインプリメンテーションは、磁気媒体(例えば、磁気ディスクまたは磁気テープ)などのタンジブル(有形)記憶媒体、光ディスクなどの光磁気媒体または光媒体、または一つ以上のリードオンリー(非揮発性)メモリ、ランダムアクセスメモリ、または他の書き込み可能な(揮発性)メモリを収容するメモリカードや他のパッケージなどのソリッドステート媒体へ格納されることにも注目されたい。したがって、本明細書に記載されている例示的なソフトウェアおよび/またはファームウェアは、上記したようなタンジブル記憶媒体または後続記憶媒体に格納することができる。特定のスタンダードおよびプロトコルに関する例示的なコンポーネントおよび機能について上記の明細書が記載した限りにおいて、本発明の範囲はそのスタンダードおよびプロトコルに限定されないことが理解されよう。例えば、インターネットおよびその他のパケット交換ネットワーク伝送のためのスタンダード(例えば、伝送制御プロトコル(TCP)/インターネットプロトコル(IP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)/IP、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP))の各々は、最先端の技術の例を示す。このようなスタンダードは、同一の一般的な機能を有するより高速で効率的な等価物に定期的に置き換えられる。よって、同一機能を有する代替スタンダードおよびプロトコルは本発明によって想定されるとともに添付クレームの範囲を逸脱しない範囲で含まれる等価物である。
【0159】
さらに、本発明は、ハードウェア上で実行されるソフトウェアまたはファームウェアを含む例示的な方法および装置を開示しているが、このようなシステムは例示するためのみに記載されており、本発明を限定するものと考えるべきではないことに留意されたい。例えば、これらのハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントのいずれかまたはすべては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、ファームウェアのみ、または、ハードウェア、ソフトウェアまたはファームウェアの組合せにおいて具体化することができると考えられる。よって、上記の明細書は例示的な方法、システム、および/またはマシンアクセス可能媒体を記載しているが、本実施例はこのようなシステム、マシンアクセス可能媒体を実施する唯一の方法ではない。したがって、本明細書中に、いくつかの例示的な方法、システム、およびマシンアクセス可能媒体が記載されているが、本発明の範囲はこれらに限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理に関連付けられる状態変数によって定義付けられる多くの異なる処理状態において動作することが可能である処理の動作を解析する際に使用される処理モデルを生成するコンピュータ実施方法であって、
前記処理の動作中、前記処理からトレーニングデータを収集するステップであって、前記トレーニングデータは、処理パラメータの集合の各々に対する値と、前記状態変数に対する値と、複数の異なる処理測定時間の各々に関連付けられる結果変数値と、を含む、ステップと、
コンピュータプロセッシングデバイスを用いて、前記トレーニングデータをタイムスライスデータに分割してタイムスライスデータごとにタイムスライスされたデータの集合を生成するステップであって、タイムスライスされたデータの各集合は、前記処理パラメータの集合の各々に対する値と、前記状態変数に対する値と、前記結果変数に対する値と、を含む、ステップと、
前記タイムスライスされたデータの集合をコンピュータメモリに格納するステップと、
コンピュータプロセッシングデバイスを用いて、前記トレーニングデータから処理状態平均値の集合を求めるステップであって、前記処理状態平均値の集合は、前記処理状態の各々に対する状態変数平均値と、前記処理状態の各々に対する一つ以上の処理パラメータ平均値と、を含む、ステップと、
前記処理状態平均値の集合をコンピュータメモリに格納するステップと、
コンピュータプロセッシングデバイスを用いて、前記格納された処理状態平均値を使用して前記タイムスライスデータの各々に対するタイムスライス平均値の集合を展開するステップであって、前記タイムスライス平均値の集合の各々は前記処理パラメータの各々に対するタイムスライス平均値を含む、ステップと、
コンピュータプロセッシングデバイスを用いて、タイムスライスデータごとの前記平均値から偏差値の集合を展開するステップであって、特定のタイムスライスデータに対する平均値からの前記偏差値の集合は、前記特定のタイムスライスデータ内の処理パラメータ値ごとに、前記特定のタイムスライスデータの前記処理パラメータ値と前記特定のタイムスライスデータに対する前記処理パラメータの前記タイムスライス平均値とを使用して前記特定のタイムスライスデータに対する前記処理パラメータの前記平均値から前記偏差値を展開することを含む、ステップと、
コンピュータプロセッシングデバイスを用いて、前記タイムスライスデータの前記平均値からの前記偏差値の集合と前記タイムスライスデータに対する前記結果変数値とを使用して処理モデルを生成するステップと、
を含む、コンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記処理モデルを生成するステップは、前記処理パラメータの前記平均値から偏差値の他の集合を使用する処理モデルを生成して前記結果変数の値を予測することを含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
前記処理モデルを生成する前に、前記平均値からの偏差値の各集合の前記平均値から前記偏差値の一つ以上をフィルタリングするステップを更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
前記平均値からの前記偏差値の一つ以上をフィルタリングするステップは、処理状態の変化を受ける前記処理に関連付けられた前記処理パラメータの一つ以上に対する時間応答に基づく時定数を有している低域フィルタを用いて前記平均値からの前記偏差値の一つ以上を低域フィルタリングすることを含む、請求項3に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
前記トレーニングデータをタイムスライスデータに分割するステップは、前記トレーニングデータの前記処理パラメータ値、前記状態変数値、および前記結果変数値の一つ以上を互いに対してタイムシフトさせて前記タイムスライスデータを形成することを含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項6】
前記タイムシフトさせるステップは、前記処理パラメータの少なくとも一つまたは前記状態変数と前記結果変数との間で相互相関を実行して、前記処理パラメータの前記少なくとも一つまたは前記状態変数と前記結果変数に関連付けられた時間遅延量を求めることと、前記処理パラメータの前記少なくとも一つに対する前記処理パラメータ値または前記状態変数に対する前記状態変数値を前記結果変数の前記結果変数値に関して前記時間遅延量だけタイムシフトさせてこれにより各タイムスライスデータが前記結果変数値に関して時間内にシフトされた前記処理パラメータ値の少なくとも一つまたは状態変数値を含む、ことと、を含む、請求項5に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項7】
前記処理モデルを生成するステップは、品質予測モデルを生成することを含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
前記品質予測モデルを生成するステップは、部分的最小二乗モデル、ニューラルネットワークモデル、または重回帰解析モデルのいずれか一つを生成することを含む、請求項7に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項9】
前記処理モデルを生成するステップは、故障検出モデルを生成することを含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
前記故障検出モデルを生成するステップは、主成分解析モデルを生成することを含む、請求項9に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項11】
前記収集されたデータをタイムスライスデータに分割するステップは、前記トレーニングデータ内の前記処理パラメータ値の一つ以上と前記状態変数値を、前記トレーニングデータ内の前記結果変数値に関して、タイムシフトすることを含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項12】
前記状態変数は、製品等級、前記処理のスループット、生産率、または前記処理の外乱変数を示している、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項13】
前記処理状態に対する前記求められた処理状態平均値を前記生成された処理モデルの一部として格納するステップを更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項14】
前記動作処理から新しい処理パラメータ値と状態変数値を収集し、前記収集された新しい処理パラメータ値と前記状態変数値と前記処理状態平均値とを使用して、前記生成された処理モデルへの入力を展開して、前記結果変数の予測値を展開するステップを更に含む、請求項13に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項15】
前記結果変数の前記予測値を使用して前記処理動作進行中に前記処理に対する品質予測または故障検出を実行するステップを更に含む、請求項14に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項16】
前記動作処理の前記収集された新しい処理パラメータ値と前記状態変数値を使用して前記処理モデルの一部として格納された前記処理状態平均値に基づいてタイムスライスの集合の前記平均値から偏差値を求めることを含む、請求項14に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項17】
前記タイムスライスデータごとにタイムスライス平均値の集合を展開するステップが、前記特定のタイムスライスデータに対する前記状態変数値が介在する前記特定のタイムスライスデータに対する前記状態変数値と前記処理状態に対する前記状態変数平均値とを用いて特定のタイムスライスデータ内の処理パラメータごとに、前記特定のタイムスライスデータに対する補間係数を求めることと、前記タイムスライスデータに対する前記状態変数値が介在する前記補間係数と前記処理状態に対する前記処理パラメータ平均値とを用いて前記特定のタイムスライスデータに対する前記処理パラメータの各々に対する前記タイムスライス平均値を求めることと、を含む、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項18】
処理予測モデルを形成するコンピュータ実施方法であって、
多数の処理時間の各々に対する動作処理から、処理パラメータの集合に対する処理パラメータ値と、状態変数に対する状態変数値と、結果変数に対する結果変数値と、を収集するステップと、
コンピュータプロセッシングデバイスを用いて、処理状態平均値の集合を求めるステップであって、前記処理状態平均値の集合は、複数の処理状態の各々に対して、前記処理が前記複数の処理状態の各々で動作している時の前記状態変数の平均値と前記処理パラメータの各々の平均値とを含む、ステップと、
コンピュータプロセッシングデバイスを用いて、時間関連データの複数の集合の各々に対して、前記時間関連データの複数の集合の各々に関連付けられた前記処理状態平均値と前記状態変数値とを用いて、前記処理パラメータの集合の各々に対するタイムスライス平均値を求める、ステップと、
コンピュータプロセッシングデバイスを用いて、時間関連データの前記複数の集合の各々の前記タイムスライス平均値と前記処理パラメータ値を使用して時間関連データの前記複数の集合の各々に対する前記処理パラメータの各々に対する前記平均値から偏差値を求めるステップと、
コンピュータプロセッシングデバイス内で、時間関連データの前記複数の集合の各々に対する前記処理パラメータの各々に対する前記平均値から前記求められた偏差値と時間関連データの前記複数の集合の各々の前記結果変数値とを使用して、コンピュータプロセッシングデバイス上で動作可能である処理予測モデルを生成して前記処理内の前記結果変数を予測するステップと、
を含む、コンピュータ実施方法。
【請求項19】
前記複数の処理状態ごとの状態変数の定義域を求めるステップを更に含み、処理状態平均値の集合を求めることは、前記複数の処理状態の各々に対して、特定の処理状態ごとの前記状態変数の定義域に含まれる前記状態変数値を用いて前記状態変数の平均値を求めることと、特定の処理状態ごとの前記状態変数の定義域に含まれる状態変数値に関連付けられる前記処理パラメータ値を用いて処理パラメータ平均値を求めることと、を含む、請求項18に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項20】
前記生成された処理予測モデルは前記処理パラメータの前記平均値からの偏差値の集合を使用して前記結果変数値を予測する、請求項18に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項21】
前記処理予測モデルを生成する前に、前記平均値からの前記偏差値の一つ以上をフィルタリングすることを更に含む、請求項18に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項22】
処理状態平均値の集合を求める前に、前記処理パラメータ値、前記状態変数値、および前記結果変数値の一つ以上を互いに対して、時間内にタイムシフトさせることによって、時間関連データの複数の集合の各々を形成することで、異なる測定時間からのデータを有している前記時間関連データの集合を形成するステップを更に含む、請求項18に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項23】
前記処理パラメータの少なくとも一つまたは前記状態変数と前記結果変数との間で相互相関を実行して前記処理パラメータまたは前記状態変数および前記結果変数に関連付けられる時間遅延量を求めることと、前記処理パラメータに対する前記処理パラメータ値または前記状態変数に対する前記状態変数値を前記結果変数の前記結果変数値に関して前記時間遅延量だけタイムシフトさせて、これにより時間関連データの各集合が前記結果変数値に関して時間内にシフトされた前記処理パラメータ値の少なくとも一つまたは状態変数値を含むことと、を更に含む、請求項22に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項24】
前記処理予測モデルを生成するステップは、部分的な最小二乗モデル、ニューラルネットワークモデル、重回帰解析モデル、または主成分解析モデルのうちの一つを生成することを含む、請求項18に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項25】
時間関連データの複数の集合ごとに、前記処理パラメータの集合の各々に対してタイムスライス平均値を求めるステップが、時間関連データの前記特定の集合に対する前記状態変数値が介在する時間関連データの前記特定の集合に対する前記状態変数値と前記処理状態に対する前記状態変数平均値とを用いて時間関連データの特定の集合に対する補間係数を求めることと、前記時間関連データの集合に対する前記状態変数値が介在する前記補間係数と前記処理状態に関連付けられる前記処理パラメータに対する前記処理パラメータ平均値とを用いて時間関連データの前記特定の集合に対する前記処理パラメータに対する前記処理パラメータ平均値を求めることと、を含む、請求項18に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項26】
動作処理において処理品質または処理故障を測定するコンピュータ実施方法であって、
処理予測モデルをコンピュータメモリ内に格納するステップであって、前記処理予測モデルは、処理パラメータの集合の各々に対する平均値から偏差値の集合を入力の集合として取り、予測される処理品質値または処理故障値を出力として生成する、ステップと、
前記処理パラメータの集合の各々に対する処理パラメータデータと、多数の測定時間に対する前記処理のオンライン動作中の前記処理からの処理状態変数に対する処理状態変数データと、を収集するステップと、
コンピュータプロセッシングデバイスを用いて、一連のタイムスライスデータを展開するステップであって、各タイムスライスデータは、前記処理パラメータの集合の各々に対する処理パラメータ値と、処理状態変数値と、を含む、ステップと、
コンピュータプロセッシングデバイスを用いて、前記タイムスライスデータの各々に対する前記処理パラメータの各々に対する平均値から偏差値を求めるステップと、
コンピュータプロセッシングデバイスを用いて、前記処理予測モデルへの入力として前記タイムスライスデータの各々に対する前記平均値から求められた偏差値を提供すると共に前記コンピュータプロセッシングデバイス上で前記処理予測モデルを実行して前記処理品質値または前記処理故障値の予測を生成する、ステップと、
を含む、コンピュータ実施方法。
【請求項27】
前記処理品質値または前記処理故障値の予測を使用して前記処理の動作を変更するステップを更に含む、請求項26に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項28】
前記処理品質値または前記処理故障値の予測を使用して処理動作に関わる問題をユーザに通知するステップを更に含む、請求項26に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項29】
前記タイムスライスデータの各々に対する前記平均値から前記偏差値を求めるステップは処理パラメータの処理パラメータ値を前記処理パラメータに対するタイムスライス平均値と比較することを含む、請求項26に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項30】
前記タイムスライスデータの各々に対して前記平均値から前記偏差値を求めるステップは、前記処理予測モデルの一部として格納された処理状態平均値の格納された集合から、タイムスライスの特定の処理パラメータに対するタイムスライス平均値を求めることを含む、請求項29に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項31】
前記タイムスライスデータの特定の処理パラメータに対してタイムスライス平均値を求めるステップが、前記タイムスライスデータに対する前記状態変数値が介在する前記タイムスライスデータに対する前記状態変数値と前記処理状態に対する前記格納された状態変数平均値とを用いて、前記タイムスライスデータに対する補間係数を求めることと、前記タイムスライスデータに対する前記状態変数値が介在する前記補間係数と前記処理状態に対する前記特定の処理パラメータに対する処理パラメータ平均値の集合の値とを用いて、前記タイムスライスデータに対する前記特定の処理パラメータに対して前記タイムスライス平均値を求めることと、を含む、請求項30に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項32】
前記収集された処理パラメータ値の一つ以上または前記収集された処理状態変数値を互いに対して時間内にタイムシフトさせて前記一連のタイムスライスデータを展開するステップを更に含む、請求項29に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項33】
前記処理状態平均値は、処理パラメータごとの処理パラメータ平均値と、複数の処理状態の各々に対する前記状態変数の状態変数平均値と、を含む、請求項26に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項34】
新しい処理パラメータ値と前記処理に対する状態変数値を収集し、前記収集された新しい処理パラメータ値と前記状態変数値から処理状態平均値の新しい集合を求めかつ前記処理予測モデルの一部として前記処理状態平均値の新しい集合を格納することによって、前記処理予測モデルを適応させるステップを更に含む請求項26に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項35】
前記処理予測モデルへの入力として前記平均値からの前記偏差値を使用する前に、前記平均値から求められた前記偏差値をフィルタリングすることを更に含む、請求項26に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項36】
処理の動作をモデリングする際に使用される処理モデル展開システムであって、
コンピュータ可読メモリと、
前記コンピュータ可読メモリ内に、前記処理から求められた複数の処理パラメータの各々に対する処理パラメータ値と、前記処理から求められた状態変数に対する状態変数値と、多くの異なる処理動作時間の各々に対する前記処理から求められた結果変数に対する結果変数値と、を格納するデータ収集ユニットと、
前記データ収集ユニットによって格納された前記データから一連のタイムスライスデータを求めるタイムスライス決定ユニットであって、各タイムスライスデータは、前記複数の処理パラメータの各々に対する処理パラメータ値と、前記状態変数に対する状態変数値と、前記結果変数に対する結果変数値と、を含む、タイムスライス決定ユニットと、
複数の処理状態の各々に対する処理状態平均値の集合を求める処理状態平均値計算ユニットであって、特定の処理状態に対する前記処理状態平均値の集合は、前記状態変数値が前記特定の処理状態に関連付けられる範囲内にある前記タイムスライスデータの各々からの前記状態変数値の平均値と、前記状態変数値が前記特定の処理状態に関連付けられる範囲内にある前記タイムスライスデータの各々からの前記処理パラメータ値の各々の平均値と、を含む、処理状態平均値計算ユニットと、
前記タイムスライスデータの各々に対する前記処理パラメータの各々に対するタイムスライス平均値を計算するタイムスライス平均値計算ユニットと、
前記タイムスライスデータの各々に対する前記処理パラメータの各々に対する前記タイムスライス平均値から偏差値を計算する偏差値計算ユニットであって、前記偏差値計算ユニットは、前記タイムスライスデータの前記特定の処理パラメータ値と前記特定の処理パラメータに対する前記タイムスライスデータの前記タイムスライス平均値の差を計算することによって特定の処理パラメータに対する前記タイムスライス平均値から偏差値を計算する、偏差値計算ユニットと、
前記タイムスライスデータに対する前記タイムスライス平均値からの前記偏差値と前記結果変数データとを使用して、処理パラメータの平均値の前記偏差値に基づいて前記結果変数値を予測する統計処理モデルを展開する、処理モデル生成ユニットと、
を含む、処理モデル展開システム。
【請求項37】
前記タイムスライス決定ユニットは、前記データ収集ユニットによって格納される前記データから前記一連のタイムスライスデータを求める一部として時間遅延量だけ前記結果変数値に対して前記処理パラメータ値または前記状態変数値の一つ以上を時間内にシフトする遅延ユニットを含み、これによって、各タイムスライスデータは、前記複数の処理パラメータの一つ以上に対する処理パラメータまたは前記タイムスライスデータの前記結果変数値に対して時間内にシフトされる前記状態変数に対する状態変数値、を含む、請求項36に記載の処理モデル展開システム。
【請求項38】
前記遅延ユニットによって使用される前記時間遅延量を求め、前記処理パラメータ値の前記一つ以上または前記状態変数値を前記結果変数値に対して時間内にシフトさせるように、前記処理パラメータまたは前記状態変数の一つと前記結果変数との間で相互相関を実行する相互相関ユニットを更に含む、請求項37に記載の処理モデル展開システム。
【請求項39】
前記処理モデル生成ユニットは、前記処理状態平均値と前記時間遅延量とを、前記生成された統計処理モデルの一部として、格納する、請求項37に記載の処理モデル展開システム。
【請求項40】
前記偏差値計算ユニットと前記処理モデル生成ユニットとの間に配置され、前記タイムスライスデータの各々に対する前記処理パラメータの各々に対する前記タイムスライス平均値から前記偏差値をフィルタリングする、フィルタユニットを更に含む、請求項36に記載の処理モデル展開システム。
【請求項41】
前記処理モデル生成ユニットは前記処理状態平均値を、前記生成された処理モデルの一部として、格納する、請求項36に記載の処理モデル展開システム。
【請求項42】
前記タイムスライス平均値計算ユニットは、前記特定のタイムスライスデータに対する前記状態変数値が介在する前記特定のタイムスライスデータに対する前記状態変数値と処理状態に対して格納された状態変数平均値とを用いて前記特定のタイムスライスデータに対する補間係数を求めることによって、および前記タイムスライスデータに対する前記状態変数値が介在する前記補間係数と前記処理状態に対する前記処理パラメータ平均値の集合の値とを用いて前記特定のタイムスライスデータに対する前記特定の処理パラメータの前記タイムスライス平均値を計算することによって、特定のタイムスライスデータの特定の処理パラメータに対するタイムスライス平均値を計算する、請求項36に記載の処理モデル展開システム。
【請求項43】
処理の動作を監視するために使用される処理監視システムであって、
前記コンピュータ可読メモリ内に、前記処理から求められた複数の処理パラメータの各々に対する処理パラメータ値と、多くの異なる処理動作時間の各々に対する前記処理中に前記処理から求められた状態変数に対する状態変数値と、を格納するデータ収集ユニットと、
前記データ収集ユニットによって格納された前記データから一連のタイムスライスデータを求めるタイムスライス決定ユニットであって、各タイムスライスデータは、前記複数の処理パラメータの各々に対する処理パラメータ値と、前記状態変数に対する状態変数値と、を含む、タイムスライス決定ユニットと、
前記タイムスライスデータの各々に対する前記処理パラメータの各々に対するタイムスライス平均値を計算するタイムスライス平均値計算ユニットと、
前記タイムスライスデータの各々に対する前記処理パラメータの各々に対する前記タイムスライス平均値から偏差値を計算する偏差値計算ユニットであって、前記偏差値計算ユニットは、前記特定のタイムスライスデータの前記特定の処理パラメータ値と前記特定のタイムスライスデータの前記特定の処理パラメータの前記タイムスライス平均値の差を計算することによって特定のタイムスライスデータに対する特定の処理パラメータに対する前記タイムスライス平均値から偏差値を計算する、偏差値計算ユニットと、
前記処理に関連付けられる前記処理パラメータの集合の前記タイムスライス平均値からの前記偏差値に基づいて結果変数の値を予測するためにプロセッサ上で実行するコンピュータ可読メモリに格納される統計処理モデルと、
を含む、処理監視システム。
【請求項44】
前記予測値が処理故障または処理品質の問題を表した場合にユーザ通知を生成するアラームユニットを更に含む、請求項43に記載の処理監視システム。
【請求項45】
前記アラームユニットは前記結果変数の前記予測値をしきい値と比較して前記通知を生成するかを判断する、請求項44に記載の処理監視システム。
【請求項46】
前記タイムスライス決定ユニットは、前記データ収集ユニットによって格納された前記データから前記一連のタイムスライスデータを求める一部として前記処理パラメータ値の一つ以上または前記状態変数値を時間遅延量だけ時間内にシフトさせる遅延ユニットを含み、各タイムスライスデータは前記時間遅延量だけ時間内にシフトされる前記複数の処理パラメータの一つ以上に対する処理パラメータ値または前記状態変数に対する状態変数値を含む、請求項43に記載の処理監視システム。
【請求項47】
前記遅延ユニットは前記統計処理モデルから前記時間遅延量を取得する、請求項46に記載の処理監視システム。
【請求項48】
前記偏差値計算ユニットと前記統計処理モデルとの間に配置され、前記タイムスライスデータの各々の前記処理パラメータの一つ以上に対して前記偏差値計算ユニットによって生成される前記タイムスライス平均値から前記偏差値をフィルタリングする、フィルタユニットを更に含む、請求項43に記載の処理監視システム。
【請求項49】
前記フィルタユニットはフィルタ時間係数を用いてフィルタリングを実行し、前記フィルタ時間係数は前記統計処理モデルの一部として前記統計処理モデルを作成するために使用されるフィルタ時間係数として格納される、請求項48の処理監視システム。
【請求項50】
前記タイムスライス平均値計算ユニットは、前記特定のタイムスライスデータに対する前記状態変数値が介在する前記特定のタイムスライスデータに対する前記状態変数値と処理状態に対して格納された状態変数平均値とを用いて、前記特定のタイムスライスデータに対する補間係数を求めることによって、および前記タイムスライスデータに対する前記状態変数値が介在する前記補間係数と前記処理状態に対する前記特定の処理パラメータに対する処理パラメータ平均値の集合の前記値とを用いて、前記特定のタイムスライスデータに対して前記特定の処理パラメータに対する前記タイムスライス平均値を計算することによって、特定のタイムスライスデータの特定の処理パラメータに対するタイムスライス平均値を計算する、請求項43に記載の処理監視システム。
【請求項51】
前記統計処理モデルは、前記状態変数平均値と、前記統計処理モデルを生成するために使用される処理状態平均値の集合としての前記処理パラメータ平均値の集合と、を格納する、請求項50に記載の処理監視システム。
【請求項52】
動作処理のオンライン動作中に処理モデルを適応させるコンピュータ実施方法であって、
処理モデルをコンピュータメモリに格納するステップであって、前記処理モデルは、処理パラメータの集合の各々に対する平均値から偏差値の集合を入力の集合として取り、予測される処理品質値または処理故障値を出力として生成し、前記処理モデルは前記処理から収集されたデータのトレーニング集合を用いて形成された統計処理モデルであり、前記処理モデルはデータの前記トレーニング集合から展開された処理状態平均値の集合を含み、前記処理状態平均値の集合は前記処理パラメータの各々に対する平均値と多数の異なる処理状態の各々に対する前記状態変数とを含む、ステップと、
複数の測定時間に対する前記処理のオンライン動作中、前記処理パラメータの集合の各々に対する新しい処理パラメータデータと、前記処理から前記状態変数に対する新しい状態変数データと、を収集するステップと、
コンピュータプロセッシングデバイスを用いて、前記新しく収集された処理パラメータデータと前記状態変数データから、前記処理モデルの処理状態平均値の新しい集合を展開するステップと、
前記処理モデルを作り変えずに前記処理モデルへの入力として平均値から偏差値を求める際に使用するために前記処理モデルの一部として前記コンピュータメモリに処理状態平均値の前記新しい集合を格納するステップと、
を含む、コンピュータ実施方法。
【請求項53】
前記処理状態平均値の新しい集合を展開するステップは前記多数の異なる処理状態の副集合の処理状態平均値の新しい集合を展開することを含み、処理状態平均値の前記新しい集合を格納するステップは、前記多数の異なる処理状態の前記副集合に含まれない多数の異なる処理状態の前記処理状態平均値を変更せずに、前記多数の異なる処理状態の前記副集合の処理状態平均値の前記新しい集合を格納することを含む、請求項52に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項54】
前記処理状態平均値の新しい集合を展開するステップは、単一の処理状態に対して処理状態平均値の新しい集合を展開することを含み、処理状態平均値の前記新しい集合を格納するステップは、前記単一処理状態以外の処理状態の前記処理状態平均値を変更せずに、前記単一処理状態の処理状態平均値の前記新しい集合を格納することを含む、請求項52に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項55】
前記処理状態平均値の新しい集合を展開するステップは、前記処理モデルに関連付けられた前記多くの異なる処理状態の全てに対する処理状態平均値の新しい集合を展開することを含み、前記処理状態平均値の前記新しい集合を格納するステップは前記処理状態平均値の前記新しい集合を前記処理モデルの一部として格納することを含む、請求項52に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項56】
処理状態平均値の前記新しい集合を求める前に、前記新しく収集された処理パラメータデータ値の一つ以上または前記新しく収集された処理状態変数データ値を互いに対して時間内にタイムシフトさせるステップを更に含む、請求項52に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項57】
前記タイムシフトさせるステップは、前記新しく収集された処理パラメータ値の前記一つ以上または前記新しく収集された処理状態変数値を前記処理モデルの一部として格納された時間遅延量だけ時間内にタイムシフトさせることを含む、請求項56に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項58】
前記処理モデルを前記コンピュータプロセッシングデバイスにおいて実行するステップと、前記新しい処理状態平均値を使用して前記平均値から新しい偏差値を求めてこれを前記処理モデルへの入力値として使用するステップと、を更に含む、請求項52に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項59】
前記処理モデルは、ニューラルネットワークモデル、重回帰解析モデル、主成分解析モデル、または部分最小二乗モデルの一つである、請求項52に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項60】
前記新しく収集された処理パラメータデータと前記新しく収集された状態変数データから前記処理モデルの処理状態平均値の前記新しい集合を展開するステップは、処理状態平均値の前記新しい集合を生成する前に、前記新しく収集された処理パラメータデータと前記新しく収集された状態変数データを正規化することを含む、請求項52に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項61】
前記処理モデルの処理状態平均値の前記新しい集合を展開するステップは、前記処理モデルの処理状態平均値へバイアス値を適用して前記新しい処理状態平均値を展開することを含む、請求項52に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項62】
処理に関する処理アラート情報をユーザへディスプレイするコンピュータ実施方法であって、
ユーザインターフェースデバイスを介して、前記処理内で検出されたアラートの集合の表示を提供する第1のスクリーンを提供するステップと、
コンピュータプロセッシングデバイスを介して、前記第1のスクリーンを閲覧するためにユーザが前記アラートの集合の一つを選択することを可能にするステップと、
前記ユーザインターフェースデバイスを介して、前記アラートの生成に帰着する変数に関する過去の傾向データを含む第2のスクリーンを提供するステップと、
前記コンピュータプロセッシングデバイスを介して、前記第2のスクリーンを介して過去の傾向データを閲覧するために前記ユーザが一つ以上の他の変数を指定することを可能にするステップと、
前記ユーザインターフェースデバイスを介して、前記一つ以上の他の変数に対する過去の傾向データを含む第3のスクリーンを提供するステップと、
を含む、コンピュータ実施方法。
【請求項63】
前記処理内で検出されたアラートの集合の表示を提供するステップは現在と過去のアラートを表示することを含む、請求項62に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項64】
前記処理内で検出されたアラートの集合の表示を提供するステップは、前記処理に対する処理コントロールシステム内のプロセッシングデバイス内に格納されるとともに統計的処理モデルを使用してアラートを検出する、品質または故障検出ユニットによって生成されるアラートを表示することを含む、請求項62に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項65】
前記アラートの前記生成に帰着する前記変数に関する過去の傾向データを提供するステップは、前記アラートの前記生成前と前記アラートの前記生成後に収集された前記アラートに帰着する前記変数に関するデータを示す傾向プロットを提供することを含む、請求項62に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項66】
前記過去の傾向データを閲覧するために前記第2のスクリーンを介して前記ユーザが一つ以上の他の変数を指定することを可能にするステップは、前記アラートの前記生成に帰着する前記変数に関連している前記一つ以上の他の変数の表示をディスプレイすることと、前記コンピュータプロセッシングデバイスにおいて、前記ユーザが前記第2のスクリーンを介して前記一つ以上の他の変数の一つを選択することを可能にすることと、を含む、請求項62に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項67】
前記一つ以上の他の変数に対する過去の傾向データを含む第3のスクリーンを提供するステップは、前記アラートの前記生成前と前記アラートの前記生成後に収集された前記一つ以上の他の変数に対する過去の傾向データを提供することを含む、請求項62に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項68】
前記一つ以上の他の変数に対する過去の傾向データを含む第3のスクリーンを提供するステップは、前記アラートの前記生成に帰着する前記変数に対してディスプレイされた過去の傾向データと同じタイムフレームに対する前記一つ以上の他の変数に対して過去の傾向データを提供することを含む、請求項67に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項69】
前記一つ以上の他の変数に対する過去の傾向データを含む第3のスクリーンを提供するステップは、前記アラートの前記生成に帰着する前記変数に対する前記過去の傾向データと同じプロットで前記一つ以上の他の変数に対して過去の傾向データを提供することを含む、請求項67に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項70】
前記アラートの前記生成に帰着する前記変数に関連する過去の傾向データを含む第2のスクリーンを提供するステップは、前記処理に関連付けられたデータ履歴からの前記アラートの前記生成に帰着する前記変数に関連する前記過去の傾向データを取得することを含み、前記一つ以上の他の変数に対して過去の傾向データを含む第3のスクリーンを提供するステップは、前記処理に関連付けられたデータ履歴からの前記一つ以上の他の変数に関連する前記過去の傾向データを取得することを含む、請求項62に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項71】
前記処理内で検出されたアラートの集合の表示を提供するステップは、前記処理内で生成されたアラームを表示することを含む、請求項62に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項72】
前記過去の傾向データを閲覧するために前記ユーザが前記第2のスクリーンを介して一つ以上の他の変数を指定することを可能にするステップは、前記アラートの前記生成に帰着する前記変数の変化の原因となる可能性のある一つ以上の他の変数の表示をディスプレイすることと、前記一つ以上の他の変数の各々に対して寄与率の表示をディスプレイすることと、を含み、前記一つ以上の他の変数の特定の一つに対する前記寄与率は、前記アラートの前記生成に帰着する前記変数の変化の原因となる可能性を示す、請求項62に記載のコンピュータ実施方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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