説明

多目的使用のための携帯用レーザ脱毛装置

【課題】家庭内特性を有し、携帯用の、ユーザが使いやすいレーザ脱毛のために設計された装置の提供。
【解決手段】多目的使用のための携帯用レーザ脱毛装置は、ヘッドと底穴4を有する透明ドーム3と、2つのダイオード5,6を有するレーザ照射システムとを備え、これら2つのダイオード5,6は、赤色及び赤外の波長、パワー、開口、パルス間隔および平均パワーパルスサイズがそれぞれ異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭内特性を有し、携帯用の、ユーザが使いやすいレーザ脱毛のために設計された装置を対象にしている。この装置は、標準化された要素を用いて簡素な構造にすることで、小型かつ低経済的コストの器具として構成されている。この装置はまた、同時に、または、独立して、組み込まれている異なる1,2または3タイプの異なるレーザ光線照射を行う特異点を有しており、一方のレーザは、淡色皮膚および淡色毛により適していて、別のレーザは、黄色皮膚および濃色毛により適していて、他方のレーザは、黒色皮膚および濃色毛により適しており、皮膚や毛の類型に応じてユーザにより選択される。その結果、異なるユーザ間、および、皮膚や毛のタイプ間で多目的に使える本質を備えている。本発明の適用分野は、レーザ脱毛装置の製造に専念する産業である。
【背景技術】
【0002】
レーザ脱毛の科学的な基礎は、選択的写真熱融解の原理であり、この原理は、特定の波長(対象により吸収される)における十分な光束が、対象の熱緩和時間と同じか少ない時間で堆積するときに、色素沈着構造の選択的熱損傷が作り出されることを予測している。
【0003】
レーザ脱毛は1996年に最初に記載された。推奨される処置が、色素沈着における一時的な変化である、よく見られる副作用だけであるならば、複雑な事態にはめったにならない。
【0004】
レーザ脱毛の基本原理は、組織へ入射する光が、組織構成および光の波長(色)に応じて、送信され、反射され、吸収され、または散乱し得るということから成る。
【0005】
人間の体の各々のタイプの組織は、その特定の吸収性の要素、いわゆる発色団に依存する吸収係数を有している。
【0006】
人間の体の主な発色団は、4つある。すなわち、ヘモグロビン(血液)、メラニン(皮膚、毛、ほくろ)、水(全ての生物組織内)、および蛋白質(散乱中心(共有結合が組織内に存在している))である。
【0007】
光が発色団に吸収されるとき、それらの反応(破壊(destruction)、気化(vaporization)、還元(reduction)または非活性化(deactivation))は、光の強度と露光時間とに依存する。フォト脱毛については、毛嚢を含んでいるメラニンが、照射エネルギー吸収発色団として用いられる。この毛嚢は、幹細胞を集中させることによって毛を成長させる皮膚の一部分である。
【0008】
適用される光には、2つのタイプがあり得る。
レーザ:コヒーレント、単色、平行(ルビー、アレキサンドライト、ダイオード、ネオジムヤグ)
IPL(超短パルス光):非コヒーレント、非平行多色(超短パルス光、590nmと1200nmとの間の異なる遮断波長のロングパスフィルターを有するキセノンランプ)
【0009】
上記レーザ光が単色である(一の波長を放射するだけ)という事実は、組織への適用における選択的効果を有しており、異なる研究によれば、この事実によって、異なる皮膚タイプへの脱毛処理が理想的になる。このIPLシステムは、より広い幅の波長で放射して、脱毛処理の効果を弱くし、濃色皮膚を有する人々に対してより危険なものにする。
【0010】
他方、皮膚への光の適用は、熱的(局所加熱による)、力学的(衝撃波または激しいキャビテーションによる)および化学的(毒性化合物の生成による)な、3つの異なる方法で毛嚢を破壊する可能性がある。これらの方法の全ては、文献で発見することが可能であり、脱毛のために研究されてきた。
【0011】
見直された研究によれば、最も効果的で危険の少ないものは、光熱効果(選択的写真熱融解とも呼ばれる)であり、特定のエリアにおける単色の選択的吸収に従って、レーザエネルギーの伝達が、この特定のエリアに制限されるプロセスである。これは、波長と露光時間とを選択することによって、選択された対象だけが損傷することを意味する。
【0012】
同様に、レーザ脱毛の有効性は、個人の皮膚表現型と、特定の毛色、毛のタイプまたは構造と、密度と、ホルモン因子と、解剖学的局在性とに大きく依存しているということを念頭に置く必要がある。全てのレーザシステムが、全てのタイプの毛(白髪を除く)における毛の成長を一時的に弱めるということが証明されたように思えるが、毛色と脱毛の実行に用いられる光束との間には、強い結び付きが存在する。
【0013】
現在、最も頻繁に用いられる、携帯用のレーザ脱毛携帯用装置のためのレーザは、焦点レンズ(focusing optics)を有する808nmで500mWの半導体レーザ(レーザダイオード)であり、その理由は、この波長が毛嚢のメラニンの浸透および吸収の良い深度(good depth)を可能にするからである。さらに、現在の技術は、大面積のビーム出口によって処理を加速させることができるハイパワーダイオードを利用可能にし、毛および皮膚のより広いタイプをカバーするために異なる波長のレーザダイオードを設けることができ、非常に低エネルギーを有する非常にコンパクトなシステムである。
【0014】
その結果、必然的に、この分野において多くのタイプのレーザ脱毛装置および装置が知られており、注目すべきは、最も関連性のある以下の特許(出願)である。
【0015】
−US5,836,938には、毛根の中に挿入される浸潤性針(invasive needle)を考慮して設計されているシステムが記載されており、毛を蒸発させるため放射状に光エネルギーを放射する。これは、損傷を強化する局所用溶液の使用を提案する。このシステムは、ユーザが使用するのに複雑かつ面倒であり、実用的でなく、痛みを伴い、遅い。
【0016】
−WO99/04711には、オイルピーチの活性炭懸濁剤(charcoal suspension)の局所用溶液を備え、スポットサイズが寸法1cmであるパルスCOレーザ(10600nm)が記載されており、本明細書に記載されている装置の望ましい応用から外れている。この文献はまた、スポット寸法が4−6mmで、非常に低い照射量(3−6mJ/cm)を伴う近赤外(1060nm)を照射するレーザの使用を提案している。照射量が大変低いので脱毛として機能できるかは疑問である。
【0017】
−WO99/60937には、25mWで0.1秒間、1cmの浸透を伴う近赤外(900−1300nm)のパルスレーザであって、光ファイバーを介して伝達されるものが記載されている。この公報によると、皮脂の脂質成分(毛嚢およびヘアカバーに含まれている)は、これらの波長で非常に良く吸収し、突起への熱伝導に応じて熱や損傷を作り出し、この突起周りの血管や組織が凝固する。従って、毛が成長して元の状態に戻ることを妨げる。この特許出願における提案されている照射量は、永続効果を作り出すのに十分小さく、さらに毛が非常に熱伝導性を有するので、光が突起に届く前の放射損失は、装置の有効性を減らすことによって大きくなる。
【0018】
−US6,168,589は、脱毛のために694nmと900nmとの間の任意のコヒーレント光源(レーザ)の使用を主張しており、10−30m秒の期間で分けられた2以上のハイパワー(10−40J/cm)長パルス(2−30m秒)の処置システムと、10mm以上のスポットサイズとを備えている。レーザにより生成された光は、光ファイバーを介して皮膚の表面に伝達され、それ故に、処置されたエリアの放射照度プロファイルを変更する。この特許は、どんなタイプの接触センサをも持たず、かつ、患者の皮膚/毛に応じて調整できるであろう異なる操作オプションを有するオペレーターによって操られる必要があり、家庭における使用のための理解および推定が困難になる装置を提案する。
【0019】
−WO01/45795は、同じポイントに焦点を合わせられた最低でも5つのレーザ光源を使用しており、拡散シリンダを介して皮膚の表面に実施される。この方法は皮膚の表面に対して何らかの形で害を及ぼすものではないが、拡散器を通ることによって、そして、空間的コヒーレンスを破壊することによってレーザ光エネルギーの進入および集中のクオリティを十分に引き出すことは殆んどできないということが明らかになっていないことである。このプロセスはまた、より強いレーザの使用を伴い、最終製品のより高いコストの原因となる。
【0020】
−WO02/096311には、脱毛のためのレーザ光を適用するための保護システムが記載されており、故意とまではいかなくてもアプリケーションヘッドが発射されることが困難であるエクステンション複製機械システムに基づいている。これはまた、レーザ脱毛処理のための予めプログラムされたシーケンスの提案を含んでおり、可能な全てのレーザ、パルスサイズおよび時間を含むため、非常に広範かつ不明瞭である。この保護システムデザインは、一連の製品を実施するときに複雑であると共に費用がかかり、携帯装置をカバーしないが、レーザの最終パワーを低減する(即ち、望ましいことにレーザ自身ではない)拡散チューブを設けている適用エリアに対してのみ、カバーする。
【0021】
−US6,632,218には、皮膚表面に向かってレーザ光線を運ぶ光ファイバーを有し、このレーザ光線が光ファイバーの開口で生成されるアレキサンドライトレーザが記載されている。このレーザは、処置のために1m秒よりも大きいパルスと、10−50J/cm2の流暢さ(fluency)と、レーザの有害な反射を処理する、そして、有害な反射を妨げるために皮膚のスポットに跡をつける局所用溶液とを利用している。この提案されたシステムは非常に大きく、小さい携帯装置は、疑いなく専門家によって扱われる必要がある。このレーザは、安全制御システムを持たず、この応用に対するより効率の悪いシステムの1つであるアレキサンドライトレーザを用いている。
【0022】
−US2004/015156には、皮膚の色を決定し、性能を最適化するための照射量を異なる複数の照射量から選択するための測色計を有するレーザ照明を備える装置が記載されている。実験に基づいた測定の公開が、62人のユーザと共に行われており、フィッツパトリック測定およびレーザの照射量に従って皮膚のタイプ間の相関関係を成立している。この文献において、一般に非常に専門的な、具体的な製品にとどまらない応用の方法が主張されている。
【0023】
−US2005/0256514は、皮膚の損傷を避けるためにシングルパルスに蓄積された総照射量よりむしろ、照射量(2−60J/cm)の照射におけるパルス(大きさの点ではおよそナノ秒)の少なくとも5パッケージ(0−5から10m秒までの期)の使用を提案している。
【0024】
−WO2007/034161は、国内部門(ドメスティックセクター)を対象にしており、コーンクラスIとして分類される安全センサを備えている。しかし、コントロールテーブルと、アプリケーターを運ぶヘッド(電話タイプ)を含むので携帯用ではない。
【0025】
−米国特許US7,250,045には、ケーブルを持たず、レーザが目の損傷の原因となる可能性を避けるために、ビーム出力に対して拡散器を使用すると共に、接触センサを備える軽量(1kg未満)の装置が提案されている。使用が原因(バッテリ損耗)であるレーザダイオードのパワーのバリエーションに応じて、パワーは非常に早く減少し、その結果、バッテリパワーに基づく装置の携帯性は現実的ではない。他方、上記のようにレーザビームの出力に光学拡散器を配置することは、そのパワーおよび焦点調整を弱めると共に、その空間コヒーレンスを破壊し、組織内への浸透距離を少なくする。
【0026】
−US7,329,252は、5−1500mVの間のパワーを有し、600−1600nmの間の波長で放射される半導体レーザを提案しており、このレーザは、空気を吐き出す(冷却)、または、空気を吸収する(レーザ放射ポイントの近くで処理されるようにエリアを動かす)ことができるシステムを備える。
【0027】
従って、レーザ脱毛のための多くのタイプの装置および装置が市場に共存しているが、殆どの場合、専門家の使用のための複雑かつ高価な装置からなり、そして、ベテランのスタッフにより取り扱われるであろうし、あるいは、携帯特性を有する装置のいずれかについて言えば、対象とすることができる対象顧客を非常に制限する非常に制限された応用の範囲を有しており、さらに得られた結果の最適な有効性を持たないということが証明された。
【0028】
他方、US2005/154382には、患者の皮膚からの情報を明らかにし、収集する皮膚科的処置装置が記載されており、この装置もまた、様々な皮膚科処置を始める少なくとも1つのレーザ要素を備えている。実際には、この文献には一般的なレーザの使用が記載されているが、一般的な特定のタイプの処置に対して記載されており、これらのレーザが互いに等しいか、または異なっている場合に、上記レーザの機能および最初のタスクを明記していない。この文献で用いられているレーザは、Nd:YAGレーザ(ネオジムヤグレーザ)であり、このレーザは、低メラニン吸収や、微細毛および淡色毛の使用に対する有効性の欠如等の重大な欠点を有しており、また高価で大きい。最後に、このタイプのレーザは、その作動に対して大きな電力を必要とし、率直に言って、携帯用装置における使用を実行不可能にする。さらに、適切に機能するために広大な処置エリアを必要とし、また、携帯用装置で使用することができないという結果をもたらす。それは、このタイプのレーザを用いているこの文献において理に適っている。なぜなら、皮膚科医による操作エリアに光を当てるよう第一に用いられると共に、任意に処置(仮想の脱毛を含む)のための手段に組み込まれているからである。
【0029】
この文献には、また、レーザダイオードの使用が記載されているが、これが、この特許出願の基本的な目的を構成するように、表示された皮膚の処置エリアを照射することだけが記載されている。これらのライティング要素の存在は、説明されたレーザ処置に相補的に、対象エリアの可視化におけるコントラストを増加させることができる。この使用はまた、この可視化システムがトモグラフィー装置または高解像度顕微鏡検査システムとして用いられるということを可能にする。とにかく、この皮膚処置は、常にNd:YAGタイプレーザを用いて実行される。
【0030】
最後に、WO2004/075681には、接触センサを備える脱毛装置が記載されており、この接触センサは、処置の位置以外の位置でレーザダイオードのスイッチを入れることを妨げる働きをする。この文献は、機能を区切ることなく、同一のレーザの2つの配列を用いることができる。これらのレーザ源は、同じポイントに焦点を当てられ、皮膚の表面に拡散器を介して導かれる。その結果、レーザを拡散器に通し、その空間コヒーレンスを破壊することによって、レーザ光エネルギーの浸透および集中を殆んど有効に使うことができない。このプロセスはまた、より強いレーザの使用を含み、最終製品のより高いコストの原因となる。具体的に言うと、この文献において、レーザダイオードの使用は、ローパワーを有するために拒絶され、特にレーザダイオードアレイ、すなわち、シングルパッケージで、シングル拡散器と共に終結された複数のレーザダイオード(必然的に電力消費量がより高く、携帯装置の自治を大いに減らす)の使用が好ましいということが示されている。最後に、この文献は、5nm以下のスポットを有する光源(レーザダイオードアレイ)の使用を拒絶し、また、使用されるより大きな電力の原因となり、その結果、より小さい自治をもたらす。
【0031】
この明細書に記載されている発明に近いバックグラウンドとしてUS2005/154382とWO2004/075681とを取り上げており、当業者は、明らかではない組み合わせを作り出す、様々な技術的問題を解決する必要があるであろう。
【0032】
従って、出願者は、他のどんな多目的使用の携帯用レーザ脱毛装置(すなわち、この明細書の第1請求項に記載されたものと同じ技術的、構造的、本質的特徴を有している)をも見つけることができなかったということに議論の余地がある。
【発明の概要】
【0033】
本発明の目的である、多目的使用の携帯用レーザ脱毛装置は、使いやすい最適された携帯用脱毛装置を有する等、示された目標を満たすので、一般ユーザによって、そして専ら専門家によって用いることができ、低動作および取得原価は、全ての顧客に利用しやすく、毛色にかかわらず、品質規格UNE-EN 60825-1および脱毛における高レベルの有効性に従って、レーザセーフティのクラスIとして分類されている。
【0034】
従って、具体的に言うと、本発明の装置は、人間工学的ハウジングで出来ており、脱毛を達成するためにユーザの組織における深く浸透した状態でメラニンに吸収されるのに適している、コヒーレントレーザ光の照射システムを備えるタイプである。そして、本発明の装置は、ハウジングを備え、このハウジングのフロント部は、底に穴を設けている透明ドームにより被覆されているヘッドに伸びており、この透明ドームの内部は、少なくとも1つの赤色及び近赤外の平均パワーのレーザダイオードによって構成され、作動手段により作動するレーザ照射手段を設けている。さらに、上記ハウジングは、装置位置および解放位置を含むレーザダイオード毎に少なくとも1つ、複数のパルス位置を有する複数のタッチ式ボタンを有している。上記位置は、対応するタッチ式ボタンに具体化されている。そして、少なくとも、人間の皮膚の探知が測定される接触抵抗センサを備え、この抵抗接触センサが皮膚または頭皮に置かれたことを検出するときに、ショット・ランチャータッチ式ボタンを押すことによって先に選択されたレーザダイオードの照射を可能にする。そして、このレーザダイオード毎に少なくとも1つ設けられている光学コリメータレンズをダイオードに組み込む場所が、ヘッドの底端部における穴にレーザを集光させるアクリル材料または反射防止コーティングである。
【0035】
本発明の重要な利点は、提案された装置が、レーザに隣接して配置されているレンズを超える窓を保護すること、装置の位置を合わせるための透明ドーム、および、除去される毛についてのレーザの適用を容易にするための適当な長さを備えないということである。
【0036】
反射防止コーティングを伴う光学使用の事実は、表面上の反射、吸収および散乱損失を最小化し、頭皮からさらに遠いレーザダイオードの使用を可能にし、より低いパワー時にビームの出力サイズを調整するためにこの状況を使用して、装置に電力を供給するバッテリのより低い電力消費と、より大きい自治とをもたらす。
【0037】
650−900nmの範囲の単色レーザ光の使用は、知られている最も効果的なパーマネント脱毛方法であるので、推奨される装置は、レーザダイオード(LD)の使用を検討する。このレーザダイオードは、異なる出力波長で市場において利用可能にすることができ、それぞれの場合における望ましいパルスを放出するため、簡単な電子機器で容易に制御される。従って、脱毛装置は、異なる波長を有する別のレーザダイオード(同じ電子作動回路)を簡単に選択することによって異なる出力波長で製造され得る。
【0038】
レーザダイオードをレーザダイオードアレイ(技術の状態でレーザダイオードバーと呼ばれる)と混同してはいけない。このアレイは一般に、20から50の間のレーザダイオードから成り、より多くのエネルギーを消費し、皮膚に浸透するためのパワーがより大きくなるが、この理由のために、携帯用への適用については無効である。しかし、選択されたダイオードは、良い品質/価格比を有しているが、大きいビーム広がり(勿論、レーザダイオードアレイについては真実ではない)で放出する。この最後には、楕円形である各レーザビームの出力を作り出すため、エリア内のビームを集中させるためのレンズの使用を含んでおり、なおさら使い易い。
【0039】
具体的には、1,2または3個のLEDに対する装置の特定の実施形態であるかどうかに応じて、使用されるダイオードは、以下の通りである。
−黄色皮膚かつ濃色毛に対しては、500mWのパワーおよび808nmの波長であり、長さで18mmの焦点と4.37mmの有効直径とを有するコリメータレンズ(例えば、Roithner Lasertechnik社のAlGaAs)を備えている。
−淡色皮膚かつ淡色毛に対しては、50mWのパワーおよび685nmの波長であり、長さで18mmの焦点と4.37mmの有効直径とを有するコリメータレンズ(例えば、Roithner Lasertechnik社のInGaAlP)を備えている。
−濃色皮膚かつ濃色毛に対しては、350mWのパワーおよび1064nmの波長であり、長さで18mmの焦点と4.37mmの有効直径とを有するコリメータレンズ(例えば、Roithner Lasertechnik社のAlGaAs)を備えている。
【0040】
必然的に、3つのタイプの異なる皮膚/毛に対する3つの異なる波長において、異なるパワーおよび開口を有する、1,2または3個のダイオードレーザを設けているので、各ダイオードレーザは、異なる期間(パルス間の時間)および異なるパルスサイズに追われなければならない。
【0041】
例えば、2つの出力を有する装置について言えば、この2つのレーザは、開口(主軸および短軸から、それぞれ4mmおよび3mmである楕円形)から36.76mmの距離に配置され、各々のレーザは、垂直軸から9°(2つのレーザ間の距離は18°)離れている。この距離において、そして楕円形レーザ出力を考慮すると、上記のコリメータレンズは、前述された18mmの焦点および4.37mmの有効直径を有するレーザに使用されるはずである。
【0042】
上記脱毛装置は、メラニンによる強い吸収と、組織内への深い浸透とが存在することができるように設計されており、網膜の傷を作り出すことができるシステムとして構成される。この目の傷に関する危険が原因で、処置の位置以外の位置でレーザダイオードのスイッチを入れることを妨げる接触センサの使用が提供される。その結果、機器を作ることが、品質規格UNE-EN 60825-1に従ったクラスI(すなわち、全て合理的に予見できる状態における安全)として分類されるようになり、家庭で一般に使用されるような機器を考慮することができる。
【0043】
このシステムは、レーザ照射の仕様(空間コヒーレンスおよび時間コヒーレンス、開口、パワー)を変更しないが、このレーザが適用されるときだけ、市場で知られた他の装置に用いられる代替手段とは違って、出力レーザビームのフロントの拡散器の配置から成り、レーザの空間コヒーレンスの破壊を作りだし、その危険が取り除かれる。
【0044】
レーザビームの空間コヒーレンスの変更は、組織内へのレーザ浸透を弱めるという不利な点を有しており、従って、レーザの基礎パワーを増加させることが必要である(装置システムコストおよびシステム消費を増加させ、その自治を弱める)。寸法をより大きく作っているレーザビームの開口を変更することによって、組織への効果的な照射量を減らすので、より強いレーザを用いる必要がある。また、屈折要素であるものとしてビームの出力パワーを変えると、光は拡散器を通過する必要があり、この屈折要素は、入射光の一部を常に吸収および反射する。
【0045】
以下の発明において、タッチ式ボタンまたは「タッチ制御(TC)」、代わりとして、機械的ボタンまたは膜(より従来型の)ボタンに基づく作動システムを装置が備えているということが特筆すべき点である。この作動システムは、知られているように、人間の体の電気チャージに起因するコンデンサの負荷バリエーションについての物理現象に基づいている。
【0046】
装置が働く感度に示されるように、装置の構造上の形状がCTの働き方に影響を与えるということに注目すべきである。電極は、機器デザインにより依存しているシステムの電子要素である。
【0047】
従って、TC電極のサイズは、装置表面の指の接触点までの距離に関して、4対1のその最小寸法により画定される平均比を有するべきであり、多くの形状(円形、矩形、バネ状、等々)を取ることが出来る。
【0048】
機器の操作に関して、非常に簡単であると言うに違いない。装置内にあるダイオードは多くの押し位置と同じ程含まれているが(使用されるダイオードレーザ各々に対して1つの押しボタン)、接触センサは、機器が皮膚/頭皮に配置されたことを検知するときに第3ボタン(自動レーザ)として働く。
【0049】
上記モデルに従って、装置が含んでいるレーザの数に応じて、例えば以下のような様々な操作オプションが存在する。
−1つのレーザを備える実施形態:レーザのスイッチを入れ、レーザのスイッチを切る。
−2つのレーザを備える実際の実施形態:(a)685nm、(b)808nmタイプのレーザが可能にする全ての可能な組み合わせにおいて、
○レーザ685nmのスイッチを入れ、かつ、レーザ808nmの操作を行わない。
○レーザ808nmのスイッチを入れ、かつ、レーザ685nmの操作を行わない。
−3つのレーザを備える実際の実施形態:
○レーザ685nmのスイッチを入れ、かつ、レーザ808nmまたはレーザ1064nmの操作を行わない。
○レーザ808nmのスイッチを入れ、かつ、レーザ685nmまたはレーザ1064nmの操作を行わない。
○レーザ1064nmのスイッチを入れ、かつ、レーザ685nmまたはレーザ808nmの操作を行わない。
【0050】
記載された装置によって、主目的は、少なくとも1つのレーザダイオードの使用によって可能なより大きな有効性を有し、専門家でない人による使用のための最大限の安全性を有し、接触センサと、同時に異なるレーザの使用による複数目標と、一般操作に影響を与えることなくパワー消費を最小化することができるエレクトロニクスおよび関連構造を用いる事実による携帯機器との内包を伴う脱毛装置であることにより達成される。
【0051】
詳細な説明と特許請求の範囲の初めから終わりまで、「備える(comprise)」という言葉およびその変形は、他の技術的特徴、添加物、要素、またはステップを除外することを意図していない。この分野における当業者に対して、この発明の他の目的、利点および特徴は、詳細な説明部分および本発明の実施部分で明らかになる。以下の例および図は、説明のために提供され、本発明を限定することを意図していない。さらに、本発明は、この明細書に記載された特定の、好ましい実施形態の可能な組み合わせ全てをカバーする。
【図面の簡単な説明】
【0052】
説明を完全にし、かつ、本発明の特徴のよりよい理解を助けるべく、本明細書には、その一体部分として、1組の図面を添付している。これらの図面において、説明的ではあるが非限定的なものとして、以下のものが示されている。
【図1】本発明の目的である多目的脱毛装置の上面図であって、図1aは2つのダイオードを備えた実施形態を、図1bは1つのレーザダイオードを備えた実施形態を示している。
【図2】本発明の目的である多目的脱毛装置の側面図であって、図2aは2つのダイオードを備えた実施形態を、図2bは1つのレーザダイオードを備えた実施形態を示している。
【図3】本発明の目的である多目的脱毛装置の立面図(正面図)であって、図3aは2つのダイオードを備えた実施形態を、図3bは1つのレーザダイオードを備えた実施形態を示している。
【図4】本発明に係る2つのレーザダイオード(図4a)または1つのレーザダイオード(図4b)を備えたモデルに対応する装置部分の断面を示す断面図であって、上記ダイオードはハウジング内に収納され、その光学装置もその内部にある。
【発明を実施するための形態】
【0053】
添付の図面に示すように、2つのレーザを備えた実施形態に係る一例としての装置1は、人間工学的に設計されたハウジング2を備える。このハウジング2は、略長い形状で、そのフロント部分が伸びてヘッド部11となっている。ヘッド部11は透明ドーム3で被覆されており、この透明ドーム3の底部には穴4が設けられている。また、透明ドーム3の内部はレーザ照射手段を有する。このレーザ照明手段は、異なる波長、パワー及び開口を有する少なくとも1つのレーザダイオード5,6で構成されるものであるが、レーザダイオードはそれぞれ異なる周期(パルス間の時間)と異なるパルスサイズで押圧(駆動)される。それらは、光学レンズ7を介して、1つは濃色毛用5に、他のものは淡色毛用6に最適化されており、それぞれ、赤及び赤外の平均パワーを有する。上記光学レンズ7は、アクリル材料と反射防止コーティングからなり、上記ヘッド部11の底部の穴4内にレーザ光を集光するものである。
【0054】
この例において、上記ダイオードは、好ましくは、
−濃色毛用には、ダイオードはパワーが500mW、波長が808 nmであり、コリメータレンズは、焦点距離が18mmで、有効直径が4.37mmであり、
−淡色毛用には、ダイオードはパワーが50mW、波長が685nmであり、コリメータレンズは、焦点距離が18mmで、有効直径が4.37mmである。
【0055】
さらに、図4に示すように、2つのレーザ、即ち、ダイオードアレイ5,6とそれらに対応するレンズ7が開口つまり穴4から36.76mmの距離dに配置されており、また、各レーザは垂直軸8から9°離れているので、両レーザ間の距離は18°となる。この距離において、レーザ出力が楕円形だとすると、前述の通り、焦点距離が18mmで、有効直径が4.37mmであるレーザ用のコリメータレンズ7を使用しなければならない。
【0056】
1つのレーザダイオードを用いる実施形態(図1b、図2b、図3b、図4b)では、人間工学的に設計されたハウジング2を備える。このハウジング2は、略長い形状で、そのフロント部分は伸びてヘッド部11となっている。ヘッド部11は透明ドーム3で被覆されており、この透明ドーム3の底部には穴4が設けられている。また、透明ドーム3の内部はレーザ照明手段を有する。このレーザ照明手段は、異なる波長、パワー及び開口を有する1つのレーザダイオード5で構成されるものであるが、レーザダイオードはそれぞれ異なる周期(パルス間の時間)と異なるパルスサイズで駆動される。それらは、製造段階で何が望ましいかに応じて、濃色毛用または淡色毛用に最適化される。なぜならば、ダイオードが2つある実施形態とは異なり、この場合には、上記のダイオードの1つが、アクリル材料と反射防止コーティングからなり上記ヘッド部11の底部の穴4内にレーザ光を集光する光学レンズ7を介して、実施されるからである。
【0057】
目の損傷を防止するため、この装置は、ダイオードが1つ及び2つである何れの実施形態においても、レーザの起動を防止する接触抵抗センサ9を施術部以外の箇所に有する。そのために、上記センサは、皮膚を検出するよう補正され、皮膚を他の材料から区別できる。上記センサはできるだけ小さくかつ経済的であるように設計されたセンサであるのが好ましい。
【0058】
最後に、この装置は、タッチ式ボタンつまり「タッチコントロール」(TC)に基づく作動システムを有する。この作動システムは、電極と、検出チップと、インタープリテーション・ロジックと、抵抗と、キャパシタ(容量)と、配線とを有し、上記電極は、デバイスの表面上における上記電極からタッチ式ボタン10までの距離に対して4対1の最小寸法を有する。また、ボタンは多くの形状(円形、矩形,バネ状、等々)を取り得る。
【0059】
上の段落に記載の如く、2つのレーザを備えたモデル(図1a)に対応する装置例の操作は非常にシンプルで、2つの押し位置を備え、対応するタッチ式ボタン(1つは濃色毛ダイオード用10aであり、他のものは淡色毛用10bである)を有するとともに、ショット・ランチャー10cを有し、装置が皮膚/頭皮上にあることを接触センサ9が検出したときに、接触センサ9をレーザの3番目の自動ボタンとして働かせる。
【0060】
したがって、濃色毛タッチ式ボタン10aを押すと、808nmの濃色毛ダイオード5は接続されるが、オンとならない(起動されない)。しかし、ヘッド部11を施術エリアに置くと、接触センサ9は皮膚/頭皮を検出し、レーザは発光する準備が整えられるが、ショット・ランチャー10cのタッチ式ボタンが押されたときだけ発光を開始する。
【0061】
論理的には、単一のレーザダイオードを有する実施形態(図1b)では、操作手順つまり装置の操作は、既に説明したように、接触センサ9が皮膚を検出するまで上記ヘッド部を置くことによりレーザを活性化させ、ショット・ランチャー10cが作動したときのみ発光するものである。
【0062】
淡色毛用のタッチ式ボタン10bを押すと、685nmの淡色毛用ダイオード6は接続されるが、オンとはならない。一方、ヘッド部11を施術されるべきエリアに置くと、接触センサ9が皮膚/頭皮を検出し、レーザは発光する準備が整えられる。ショット・ランチャー10cのタッチ式ボタンが押されたとき、選択されたレーザが発光を開始する。
【0063】
同様に、論理的には、3つのダイオードを有する実施形態では、3つ目のタッチ式ボタンが組み込まれ、上述したものと同様に作用する。
【0064】
したがって、装置の電源が入り、機器が皮膚または頭皮に設置されたことを接触センサが検出し、そしてランチャーが押されたときだけ、上記のレーザは作動する。
【0065】
装置の電子機器は、携帯用装置に使用されるよう最適化されており、少なくとも、バッテリの充電とレーザの操作とを管理するマイクロコントローラと、接触センサ9と、上述の操作に応じたタッチ式ボタン10,10a,10b,10cとを備えている。同様に、レーザ5,6の駆動は、マイクロコントローラにより直接的に行われるのではなく、マイクロコントローラからの信号を、ダイオード5,6のための適切な電流の電気信号(パルス)に変換する駆動回路と電流増大を通じて行われる。
【0066】
さらに、ブザーがマイクロコントローラに接続されているため、ある条件下では、例えば、バッテリが低下したとき、装置はユーザに視覚的に(たとえば、装置の動作状況を知らせるLEDによって)のみならず、音響的にも警告することができる。この装置の電力は、標準的な再充電可能なバッテリを介するものであり、そのための適当な回路を備えている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間工学的ハウジング(2)を備え、かつ、毛を落とすことを達成するためにユーザの組織に深く浸透してメラニンに吸収されるのに適しているコヒーレントレーザ光線の照射システムを備えるタイプの多目的使用のための携帯用レーザ脱毛装置であって、
上記ハウジング(2)は、フロント部分が、底部に穴(4)を設けている透明ドーム(3)により被覆されているヘッド(11)に伸びていて、この透明ドーム(3)の内部は、少なくとも1つの赤色及び近赤外の平均パワーのレーザダイオード(5,6)により構成され、作動手段により作動するレーザ照射手段を有しており、上記作動手段は、複数のタッチ式ボタン(10,10a,10b,10c)を備え、これらのボタンは、少なくとも1つが上記装置が備えるレーザーダイオード(5,6)によるパルスの位置である複数のパルスの位置(10a,10b)とリリースの位置(10c)とを有し、上記位置は対応している上記タッチ式ボタンに関連付けられており、
少なくとも、人間の皮膚を検出するよう補正された接触抵抗センサ(9)を備え、この接触抵抗センサ(9)が皮膚または頭皮に置かれたことを検出すると、ショット・ランチャータッチ式ボタン(10c)を押すことによって先に選択された上記レーザダイオード(5,6)の照射を可能にすると共に、上記ダイオード(5,6)にはコリメータレンズ(7)を取り付けており、このコリメータレンズ(7)は、アクリル材料および反射防止コーティングから作られており、上記ヘッド(11)の底端部における上記穴(4)に上記レーザを集光させることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
上記レーザダイオード(5,6)は、少なくとも、(a)500mWのパワーおよび808nmの波長を有する濃色毛に最適化された第1ダイオード(5)と、(b)50mWのパワーおよび685nmの波長を有する淡色皮膚および淡色毛のための第2ダイオード(6)と、(c)350mWのパワーおよび1064nmの波長を有する黒色皮膚および濃色毛のための第3ダイオードとから選択されるレーザダイオード(5,6)であることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置において、上記レーザダイオード(5,6)と、このレーザダイオード(5,6)に対応するコリメータレンズ(7)とは、上記開口すなわち穴(4)から36.76mmの距離に配置されており、上記レーザダイオード(5,6)のレーザの各々は、垂直軸(8)から9°離れていて、これらのレーザの間の距離が18°であることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の装置において、
上記レーザダイオード(5,6)に取り付けられたレーザのための上記コリメータレンズ(7)は、18mmの焦点と、4.37mmの有効直径とを有していることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の装置において、
上記濃色毛に最適化されたダイオードに対するタッチ式ボタンと、上記淡色毛のためのダイオードに対するタッチ式ボタンとから選択された少なくとも1つのタッチ式ボタンを備えることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−27684(P2013−27684A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−97023(P2012−97023)
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【出願人】(511182541)
【氏名又は名称原語表記】Eduardo Antonio GOMEZ DE DIEGO
【Fターム(参考)】