説明

多角、ロール脱水機

【課題】脱水機により脱水された含水率80%以上の脱水ケーキを常温、常圧下に於いて非加熱でもって更に含水率の低下向上が可能か。
【解決手段】脱水機より排出する脱水ケーキを更に2本の密着させた多角ロールにより剪断圧縮させ、ケーキと水を共に落下させ下部に設けた弾性体被覆ロール間に於いて異回転圧縮により分離水はロール端部に流出させる。脱水ケーキは落下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は常圧、常温でもって、加熱エネルギーを用いず脱水機により脱水させたケーキを、2本の多角ロールを密着させ異回転するロール間を通過させ剪断圧縮脱水によるケーキと排水は共に下部にもうけた2本のゴムロールに再度圧縮脱水させ脱水ケーキは下へ、脱水は2本のロールの谷間をロールの両端に向かい排水する。
【背景技術】
【0002】
産業用、食品加工、都市下水、農漁村小集落等の排水は濃縮脱水工程を経た脱水汚泥を飼料、肥料、炭化物などに活用利用のため乾燥、炭化による方向に向かっている。
都市汚泥を炭化させ、都市排水処理場におけるガス臭気の脱臭剤の活用に活性炭の代替として、炭化物の利用が検討されている。
【0003】
小規模の食品業者は排水を集泥槽に集め、バキューム車にて吸引させ、中間廃棄物業者が引き取り、業者は、含水量の少ない乾燥物と混合させるか、汚泥受入槽に於いて上澄水を抜き沈殿汚泥を脱水させ、乾燥、焼却、炭化等により処分されている。これらのように熱エネルギーでもって処理する前処理工程に少ないエネルギーによる減容減水が可能なら、炭化、乾燥の時間も短縮が可能になってくる。
その為には、脱水による含水率の低下は有効な手段である。
【0004】
多量の汚泥が発生する大規模の食品工場に於いては、ベルト脱水機又は多重円盤型脱水機、円盤スクリュー脱水機にて脱水させ同じ工場敷地内にもうけた乾燥機でもって汚泥、残渣物を24時間の過程で乾燥させている。
これらは略称食品リサイクル法に基づき、20%減容の課題に取り組んだ結果である。
しかし、乾燥させる為には、脱水ケーキの含水率はいずれの機械も80%以上の水分が含まれている。
【0005】
平成18年より取り組む省エネ法の目的から従来の方法による加熱エネルギーでもって汚泥より水分を蒸散させる方法は、大きなエネルギーの消費と地球温暖化につながることとなる。
汚泥を乾燥させ飼料、肥料等に加工する以前の運搬貯蔵等の上からも含水率を13%以下にまで乾燥させる必要がありそれ以上含水率の高い汚泥は、カビの発生をまねく。
【0006】
土壌改良材に炭化させる方法は、含水率の高い汚泥には、時間を多く消費する。長時間エネルギーを加える必要となり、現状は炭化の前工程とし乾燥により水分調整後炭化させる方法をとっている。
含水率の高い処理物は乾燥時に品温上昇に時間を要し、エネルギーの多大な消費が生じる。そこで脱水汚泥又は残渣物を1日程度空気にさらし、自然乾燥後、乾燥機に入れる方法がとられる場合も工程数の増加、季節による乾燥の変動、臭気発生など問題がある。
【特許文献1】
【非特許文献1】多角ローラ セイシン企業 カタログ
【非特許文献2】紙パルプの実際知識 王子製紙 東洋経済新報社
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は脱水ケーキを、加熱エネルギーを用いず含水率の低下が出来ないか。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上段に鋼製多角ローラ2本を密着異回転させたローラ間に、脱水機より排出するケーキを通過時に剪断作用させる。脱水汚泥は脱水と共に落下させ、再度下段に並べた2本のゴムローラを異回転と共に圧縮させる作用で処理した汚泥はローラ間を抜ける。脱水はローラの谷間を左右に未加工の汚泥の上を浮いて流れ端部より流下する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の多角、ゴムローラの利用により上述の機構と作用により既設の脱水機、シュートより直接含水率80%以上の脱水ケーキを多角ローラに於いて剪断破砕させ、更にゴムローラにて圧縮による絞り出し作用でもって含水率25%以上30%程度に低下させる効果がある。結果は、含水率50%強前後になる。
ローラ径も小さく又1ローラあたりに必要な動力は0.75kw程度である。又ベルトプレス、多重円盤型、多重円盤スクリュー脱水機等の後段に設置が容易である。
【0010】
平行に2本密着させた多角ローラの形状は、ローラ外周に多角、平滑と交互に加工された鋼製ローラの谷間に脱水機より脱水ケーキを受け入れ、密着させたロルの形状により破砕させ、処理物と水と共に下方に送り出す多角ロール下方に近接し、並列に置いた圧縮ロールの2本のロールの谷間に受け、異回転させる圧縮ロールにて水を絞り出す。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0011】
図1、図2は本発明装置の実施例のロール関係図である。図3は、多角ロール、図4は多角ロール断面図である。図5は圧縮ロール側面でもって弾力被覆の無い両端部の堰の関係図、図6は分散均圧ロールの関係図である。
【0012】
左右の側板フレームにて固定ロール軸受を取り付け、他方側板を横方向のU字上に切り取り左右に移動可能な案内に1.圧縮ロール軸受板を取り付ける。軸受板より腕を出し、左右を可動梁で継ぐ。フレーム端を梁で継ぎ、可動梁と固定梁の間に油圧シリンダーを置き、可動梁を押し引きさせ、ロール加圧の加減を可能とし、油圧シリンダーの圧力計にて加圧を知る。
【0013】
圧縮ロールは、鋼管芯にロール両端部の一部を除き弾性体の被覆で覆う。非被覆である鋼管部に堰を乗せる。堰は、2本の平行する圧縮ロールによる谷間の形状に合わせ2本のロールに跨って乗せ、ロールの弾性被覆端部に接触させ、堰の谷間の逆三角形頂点の一部を切り取る。
【0014】
圧縮ロール谷間空間に17.第三ロールである送り込み分散ロールの機能により谷間の汚泥ケーキは、ロール両端部に向かい拡がって行く。汚泥の溢出を堰で防止する。堰の材質は、ゴム又は高分子系とし、鋼管上に跨る鋼管材のためゴム材がロール内に引き込まれるのを防止し、堰の破損を防止する。
【0015】
処理する汚泥ケーキはいずれも平行密着させ、異回転させる2ロール間に受け入れる。圧縮ロールで脱水させた水は、次々と供給される汚泥ケーキの上に浮いて流れるが、目にみえて流水するのではなく、供給するケーキの含水に対し絞り出された水がケーキに吸湿され、水飽和状態を越えると、ケーキの上に水分が徐々に上昇増加し、流動がおき、ロールの両端に向かって動く。
【0016】
ケーキ上に浮いて流れる水は、堰の先端を一部切り取った部分より流下する。
この脱水工程に於いて圧縮ロールに表面も薄く濡れる。濡れたロール面を13.吸湿性の良い吸湿材で拭き取り集合させた水は、樋に流す。
【0017】
片方の圧縮ロール軸受位置は固定させ、他方は圧縮圧力を変更が可能なスライド機能を持ち、2本のロールの密着する圧力を線圧60kg/cmを最高として、シリンダー圧力×シリンダー径の2乗×兀÷4×ロール長に於いて1cmに最大60kgに調整する。
この圧力の基は、水に濡れたタオルを絞り、何回絞っても出ない限界である。
【0018】
使用する弾性体を被覆させた弾性体の硬度は80とし、それより硬いと破損する。又硬度が高いと2ロール間の処理物の送り込みスピードが落ち、繰り返し使用すると破損する。汚泥ケーキは弾性体のたわみ、弾力により喰い込み、硬度が高いとロール内に入らない。逆に加硫させた合成ゴムの弾性体の硬度を低くさせると送り量は多くなり脱水率の低下となる。
【0019】
2本のロール間で圧縮回転により絞られた脱水ケーキは断片上の薄板となり、ロールに附着するか、自重でもって落下する。
上述の条件においての成果は、既設の脱水機における脱水ケーキの含水率80%以上を本装置において最高含水率を55%近く落とすことが可能である。
【0020】
本脱水ロールは、既設又は新設の脱水機の機種を問わず、脱水シュート又はケーキ落ち口より直接ケーキを受入れ、広いロール巾により横に分散が可能である。
2本並んだロールは互いに異回転作用でもって横に拡がる効果があり、処理時間の短縮となる。
【実施例2】
【0021】
並行させた2本の圧縮ロールの谷間の中央に可動圧縮ロールよりチェンを介し、回転する均等ロールの外周に、中央より左右に多重ねじをもうける。ねじ巾のみぞは浅く広くねじ山のエッヂは狭くする形状とし、可動圧縮ロールに密着させて同方向に回転させる。
【0022】
可動圧縮ロールには密着させるが固定ロールの間は、並行させた隙間をもうけ、この隙間よりケーキを押し込む。
2本の圧縮ロールは異回転させ均等ロールの多重ねじの動きによって中央部に落下したケーキを横方向に広げ、固定ロールの隙でもって厚みを均等にさせる。
圧縮ロールに供給過程で圧縮ロールを異回転させる効果により、ロール間に引っ張り込まれていく。又、過剰供給すると徐々ではあるがケーキは左右に移動する。この移動時間を短縮させるのが均等ロールでありロール径は両端支持軸受けの構造で中央がたわまない小径のロールでよい。
【実施例3】
【0023】
鋼製多角ロールは、第二ロール群の上部にもうけ、既設脱水機の下部に置き、汚泥ケーキの供給を受け、2本の平行接触させたロールにより剪断破砕により、破砕物と水を共に下部へ送り出す。固定多角ロールの軸受位置は固定し、ロールは異回転させ可動側軸受は、密着接触可能に軸受加減ストッパーを置き、密着加圧させる。軸受外側は、第二ロール群と同様に加圧可能とする。
要は、平滑、円弧の長手方向の角で剪断効果がある。
【0024】
互いに金属製の円筒ロールを密着異回転させても処理物は滑り食い込まない。これを解消させる手段として円筒長手方向に円弧の一部の全線平面に削り取り、この平滑部、未加工の円弧部と交互に加工をほどこすことで、円弧と平滑の接線で剪断し、平滑と円弧部の隙間でもって送り込み作用を発生させ、汚泥ケーキを引き込み剪断する。
【0025】
多角ロールの設置方法は、ベルト脱水機、多重円盤脱水機等については各機種のケーキ排出シュート下に設置する。
多重円盤スクリュー脱水機は、ケーキ排出口にもうけた背圧板下にシュートをもうけ上述の処理方法に順ずる。
【0026】
金属製多重ロールの円周を鋸刃状に刻み、この鋸刃状に加工したロールの回転方向は鋸挽く方向に廻す。
他方のロール材質は弾性体被覆をほどこす。共に回転は鋸刃ロールの回転方向を基準に異回転させる。
【0027】
汚泥ケーキを脱水させるには、処理物をロール間に引き込み、時に剪断させる必要がある。その機能を発揮させるのは明確で、角を円筒長手方向に作るため、円柱状に加工し、その外周に浅いV字状、U字状の溝をもうけ、円柱状を残しながら交互に円弧、V字、U字の波状を繰り返し円周長手方向に360度溝を持ったロールを2本平行に密着させ異回転させる。
【実施例4】
【0028】
圧縮ロール下部中央寄りにロール外周に接触させたスクレーパーをもうける。スクレーパーは、圧縮脱水作用に於いて脱水ケーキの厚みが薄くなり、2ロール間を断面状になり落ちる物と、圧縮圧力と水分の作用で、ロール外周弾性体に圧着を起こす。
附着汚泥ケーキを除去用スクレーパーにより掻き落とす。
【0029】
附着汚泥掻き落としスクレーパーの作用後にもロール外径に薄い水幕となり濡れる。この表面の水を除去させる為に吸収材を置き、スポンヂ等の吸収材により集水させる。
スポンヂ材の上部は圧縮ロールと密着接触させる。スポンヂの下部に中央部より両側に水下を持つ樋をもうけ、集水樋に流す。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】脱水ロールの実施方法を示した説明図である
【図2】脱水ロールと堰の関係図
【図3】多角ロール
【図4】多角ロール断面図
【図5】脱水ロール側面図
【符号の説明】
【0031】
1 圧縮ロール加圧用
2 圧縮ロール固定用
3 堰
4 GM
5 GM用ホイル
6 圧縮ロールホイル
7 スクレーパー
8 チェン
9 手動油圧シリンダー
10 チェンホイル分散均圧ロール用
11 多角ロール固定用
12 多角ロール圧縮用
13 吸水材
14 多角部
15 平滑部
16 ゴム
17 送り込み分散均圧ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥ケーキの脱水において、汚泥ケーキを剪断させる第一ロールと、剪断後の汚泥ケーキを圧縮する第二ロールとで構成される脱水機。
【請求項2】
汚泥ケーキの脱水において、汚泥ケーキを均等分散させる第三ロールと、均等分散後の汚泥ケーキを圧縮する前記第二ロールとで構成される脱水機。
【請求項3】
前記第一ロールは、円柱状のロールの長手方向を平面と円弧面を交互にした多角ロールを2個平行に加圧接触し、他方を固定用、一方を弾力加圧用として並べた回転多角ロール群であることを特徴とする請求項1の脱水機。
【請求項4】
前記第二ロールは、弾性体を被覆した円柱の圧縮ロールを2個平行に加圧接触して並べ、かつ、前記圧縮ロールは両端面から内方向に弾性体の無い部分を有した回転圧縮ロール群と、前記弾性体の無い部分の2個のロールに接触させ、かつ、前記回転圧縮ロール郡の空間谷間の頂点方向にある先端を水きりのために切断した堰とで構成される請求項1及び請求項2の脱水機。
【請求項5】
請求項4記載の前記圧縮ロール下部の外周に接触させたロール付着汚泥ケーキ除去用のスクレーパーと、前記圧縮ロールの下部の外周に接触させたロール付着水分吸収用の吸収材との両方またはいずれか一方を有する請求項1及び請求項2の脱水機。
【請求項6】
前記第三ロールは、円柱状の外周に山幅が狭く谷幅が広い多重の山を有し、かつ、多重の山はロールの一端面側から螺旋状に連なり、ロール中央部で逆方向に他端面側へ螺旋状に重なる構造とした送り込み分散均圧ロールであり、前記送り込み分散均圧ロールを請求項4記載の前記第二ロールである2個のロールの間の谷間に平行して接触回転させたことを特徴とする請求項2の脱水機。
【請求項7】
前記第一ロールは、円柱状の圧縮ロールの外周に断面形状が浅いV字、浅いU字状の溝を円弧前記交互形状のロールで請求項3の機能を有する請求項1の脱水機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−160398(P2007−160398A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−381081(P2005−381081)
【出願日】平成17年12月17日(2005.12.17)
【出願人】(501386924)有限会社 ラムサ・ABE (26)
【Fターム(参考)】