説明

多言語表示装置

【課題】 本発明は漫画を電子的な端末装置に表示すると共に、多数の言語を簡単に切り替えて表示する多言語表示装置に関し、特に漫画の表示言語を容易に切り替えることができ、例えば言語学習等を効率よく行うことができる。
【解決手段】 入力部2から入力する信号<SW>に基づいて切替スイッチ4の切り替え処理を行い、信号<FWD>及び<BCK>に基づいてポインタ7のポイントを計数してコマ番号の切り替えを行い、漫画画像に希望する言語の文言を付加して表示する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漫画を電子的な端末装置に表示すると共に、多数の言語を簡単に切り替えて表示する多言語表示装置に関する。
【発明の背景】
【0002】
今日、携帯電話機やPDA(personal digital assistant)等の携帯機器に漫画や動画、ニュース等のコンテンツを配信し、ユーザのニーズに合ったサービスの提供が行われている。例えば、静止画漫画を配信する際、吹き出し文字を含む画像情報を携帯機器に送信し、漫画画像と文字を表示することによってサービスを行っている。また、特許文献1は端末機器における漫画画像と文字を表示する際、文字の識別を容易にする方法を開示している。
【0003】
【特許文献1】特開2005−204338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の漫画を電子的な情報として受信し、表示する場合、漫画と表示文言は不可分である。また、通常表示文言は一の言語で表示され、別の言語で漫画を読みたい場合には、別のファイルを再度ダウンロードしなければならない。
【0005】
このため、複数の言語で漫画を読みたい読者にとってはダウンロードが必要なパケット数も多くなり、料金が嵩み、表示時間も長くなる。例えば、漫画を外国語学習の手段として利用する読者も多く、このような読者にとっては大きな負担となる。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決するため、漫画の表示言語を容易に切り替えることができ、複数の言語表示を高速に切り替え、例えば言語学習の学習効率を向上させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は本発明によれば、漫画画像を記憶する漫画画像記憶手段と、前記漫画画像に対応する文言を第1の言語で記憶する第1の言語記憶手段と、前記漫画画像に対応する文言を第2の言語で記憶する第2の言語記憶手段と、前記第1の言語記憶手段又は第2の言語記憶手段から出力される言語の切り替え処理を行う切り替え手段と、該切り替え結果に従って前記漫画画像記憶手段に記憶された漫画画像と、前記第1の言語記憶手段に記憶された文言、又は前記第2の言語記憶手段に記憶された文言を合成する合成手段と、該合成手段による合成結果を表示する表示手段を有する多言語表示装置を提供することによって達成できる。
【0008】
このように構成することにより、漫画の表示言語を容易に切り替えることができ、言語学習等を効率よく行うことが可能となる。
【0009】
また、前記漫画画像と、前記第1の言語記憶手段に記憶された文言、又は前記第2の言語記憶手段に記憶された文言の合成は、漫画画像のコマ番号に対応して行われる構成である。また、前記漫画画像に対する前記第1の言語記憶手段に記憶された文言、又は前記第2の言語記憶手段に記憶された文言の合成位置は、始点座標指示情報に基づいて行われる構成である。さらに、前記漫画画像に対する前記第1の言語記憶手段に記憶された文言、又は前記第2の言語記憶手段に記憶された文言の合成は、例えば縦横指示信号に基づいて縦方向、又は横方向に合成処理する構成である。
【0010】
さらに、前記第1の言語記憶手段に記憶する文言は、例えば日本語の言語に基づいて行われ、前記第2の言語記憶手段に記憶される文言は中国語の言語に基づいて行われる。尚、日本語や、中国語に限らず、例えば韓国語や、英語、ドイツ語、フランス語等の言語を使用する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、端末機器の入力部の操作により簡単に漫画画像に表示される文言の言語を変更することができ、例えば外国語学習を行う際、効率よく表示する言語を変更し、学習することができる。
【0012】
また、従来のように料金が嵩み、切り替え処理に時間を要することがなく、高速に必要な言語に表示を切り替え、言語学習を行うことができる。
【0013】
さらに、本発明によれば、切替スイッチの出力を音声合成部に供給し、テキストデータに音声合成処理を施し、スピーカから文言に対応する日本語や中国語等の音声出力を行うことができる。このように構成することにより、より学習効果を上げる多言語表示装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1は本発明の多言語表示装置のシステム構成図である。同図において、多言語表示装置1は入力部2、受信部3、切替スイッチ4、コマ表示制御部5、日本語文言記憶部6−1、中国語文言記憶部6−2、ポインタ7、画像記憶部8、フォント生成部9、合成部10、送信部11、表示部12で構成されている。
【0016】
入力部2は不図示のキーボードやタッチパネル等で構成され、3種類の信号<SW>、<FWD>、<BCK>が入力される。信号<SW>は後述する切り替え処理に使用され、信号<FWD>はポインタ7を+1する処理に使用され、信号<BCK>はポインタ7を−1する処理に使用される。
【0017】
上記3つの信号は受信部3に送信され、受信部3において信号<SW>は切替スイッチ4に送られ、信号<FWD>及び<BCK>はコマ表示制御部5に送られる。切替スイッチ4は日本語文言記憶部6−1の出力と中国語文言記憶部6−2の出力を切り替えるセレクタである。
【0018】
例えば、日本語文言記憶部6−1の出力を選択している場合、信号<SW>の入力によって中国語文言記憶部6−2の出力に切り替え、中国語文言記憶部6−2の出力を選択している場合、信号<SW>の入力によって日本語文言記憶部6−1の出力に切り替える。
【0019】
コマ表示制御部5は、信号<FWD>が入力するとポインタ7をインクリメントする<+1>を出力し、ポインタ7を+1する。一方、信号<BCK>が入力するとポインタ7をデクリメントする<−1>を出力し、ポインタ7を−1する。
【0020】
ポインタ7はカウンタであり、表示部12に表示している現在のコマ番号を保持しており、ポインタ7の出力は前述の日本語文言記憶部6−1、中国語文言記憶部6−2、及び画像記憶部8に出力される。日本語文言記憶部6−1、中国語文言記憶部6−2、及び画像記憶部8はポインタ7から供給されるコマ番号に対応する文言、又は画像を出力する。
【0021】
図2は日本語文言記憶部6−1のデータ構成を示す図であり、コマ番号に対応して日本語の文言が記憶されている。例えば、第1のコマ番号には、同図に15で示す文言のテキストデータが記憶され、第2のコマ番号以降にも対応する文言のテキストデータが記憶されている。同様に、図3は中国語文言記憶部6−2のデータ構成を示す図であり、コマ番号に対応して中国語の文言が記憶されており、ポインタ7によって指定される中国語の文言が切替スイッチ4に出力される。
【0022】
さらに、図4は画像記憶部8のデータ構成を示す図であり、コマ番号に対応した漫画画像が記憶されている。例えば、第1のコマ番号には、同図に示す番号16で示す漫画画像が記憶され、更に漫画画像に対応する文言を表示するための始点座標指示情報16a、及び縦横指示情報16bも記憶されている。
【0023】
フォント生成部9は日本語又は中国語のテキストデータをビットマップデータに変換するため、それぞれの言語に対応するフォントを有する。例えば、日本語文言記憶部6−1から日本語のテキストデータが供給されると、日本語のフォントを参照し、対応するフォントデータを読み出して合成部10に出力する。一方、中国語のテキストデータが供給されると、中国語のフォントを参照し、対応するフォントデータを読み出して合成部10に出力する。
【0024】
合成部10には画像記憶部8から漫画の画像データが入力されると共に、フォント生成部9から対応するコマ番号の文言データが入力される。合成部10では漫画画像に文言のデータを合成し、送信部11に合成画像を出力し、送信部11から表示部12に合成画像のデータを送信し、表示部12に合成画像を表示する。
【0025】
図5は上記合成部10の具体的な回路ブロック図である。合成部10は合成画像記憶装置17、始点アドレス生成回路18−1、アドレスポインタ18−2、縦横指定レジスタ19−1、縦横アドレス制御回路19−2、合成制御回路30、セレクタ31で構成され、合成画像記憶装置には画像記憶部8から出力される漫画の画像データが供給されるとともに、フォント生成部9から出力される文言のフォントデータが入力される。
【0026】
上記画像合成記憶装置17には最初に漫画画像データがセレクタ31を経て書き込まれ、次に文言フォントデータが同じくセレクタ31を経て書き込まれる。合成制御回路30はこのセレクタの制御を行うもので、漫画画像が書き込まれるときにはセレクタ31が入力Aを選び、文言フォントデータが書き込まれるときには入力Bを選ぶように制御する。
【0027】
漫画画像データの書き込みが終了すると、画像記憶部8から始点座標指示情報と縦横指示情報が出力され、それぞれ始点アドレス生成回路18−1と縦横指定レジスタ19−1に格納される。
【0028】
始点アドレス生成回路18−1は入力された始点座標指示情報、即ち文言の始まりのX-Y座標情報をそれに対応する合成画像記憶装置のアドレスに変換してアドレスポインタ18−2へ転送する。縦横指定レジスタ19−1は、文言が縦書きか横書きかの情報を保持するレジスタである。
【0029】
アドレスポインタ18−2は文言フォントデータを合成画像記憶装置17に書き込むときには、その書き込みアドレスを制御する。フォントデータは漫画画像全体とは大きさが異なるので、フォントデータを書き込む際のアドレスは連続ではない。その間隔をアドレスの間隔は文言が縦または横に並ぶことによっても異なる。縦横指定レジスタ19−1に保持された即ち縦書きか横書きかの情報を元に、縦横アドレス制御回路19−2はこのアドレス間隔を計算する。そのアドレス間隔は縦横アドレス制御回路19−2からアドレスポインタ18−2へ転送され、文言フォントデータが合成画像記憶装置の適切な位置に格納される。
【0030】
上記構成において、本例の処理動作を説明する。
【0031】
尚、画像記憶部8には、第1コマ画像として図1に示す漫画画像がビットマップデータの形式で記憶されており、日本語文言記憶部6−1の第1コマには、図2に示す文言のテキストデータが記憶されており、中国語文言記憶部6−2の第1コマには図3に示す文言のテキストデータが記憶されているものとする。
【0032】
この状態において、ポインタ7が第1コマ番号を指示し、切替スイッチ4が日本語文言記憶部6−1からの出力に設定されているとすると、合成部10では画像記憶部8の第1コマ番号の出力と日本語の対応する文言のフォントデータを合成し、表示部12に図6(a)に示す漫画画像を表示している。この場合、漫画画像に合成する文言のフォントデータの始点座標位置はXY座標で指定された位置20であり、この座標位置に文言のフォントデータの最初の文字が表示され、以降の文字はこの初期位置を基準に順次表示される。
【0033】
次に、この状態でユーザがキーボードを操作し、入力部2から信号<SW>を入力すると、この信号<SW>は受信部3を介して切替スイッチ4に送られ、切替スイッチ4を切り替える。この場合、日本語文言記憶部6−1の出力から中国語文言記憶部6−2の出力に切り替えられ、中国語のフォントデータが合成部10に供給される。
【0034】
合成処理回路17は日本語を表示していたエリアに中国語の表示を行う。すなわち、この場合も、XY座標で指定された位置20にフォントデータの最初の文字を表示し、以降の文字は初期位置を基準に順次表示する。また、縦横指示回路19から出力される指示に従ってフォントデータを表示する。本例の場合、同じ縦方向の表示指示である。図6(b)は上記合成処理によって表示が日本語から中国語に変わった状態を示す。
【0035】
以上のように、本例によれば端末機器の入力部2の操作により簡単に漫画画像に表示される文言の言語を変更することができる。したがって、例えば外国語の学習において、効率よく言語を変更し、学習することができる。
【0036】
また、本発明によれば、従来のように料金が嵩み、表示時間も長くなることがなく、高速に必要な言語を表示し、語学学習を行うことができる。
【0037】
また、図7に示すように、切替スイッチ4の出力を音声合成部13に供給し、テキストデータに音声合成処理を施し、スピーカ14から文言に対応する日本語、又は中国語の音声出力を行うように構成してもよい。このように構成することにより、より学習効果を上げることができる。
【0038】
また、本例の説明では日本語と中国語の切り替えについて説明したが、例えば図7に示すように、日本語文言記憶部6−1と中国語文言記憶部6−2に加えて更に、ハングル文言記憶部6−3、英語文言記憶部6−4、・・・を配設し、信号<SW>によって切り替える構成としてもよい。この場合、信号<SW>は、「0」又は「1」の信号ではなく、複数の出力の中から何れか1つを選択できる信号である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の多言語表示装置のシステム構成図である。
【図2】日本語文言記憶部のデータ構成を示す図である。
【図3】中国語文言記憶部のデータ構成を示す図である。
【図4】画像記憶部のデータ構成を示す図である。
【図5】合成部の具体的な回路ブロック図である。
【図6】(a)は日本語の漫画画像が表示されている状態を示す図であり、 (b)は中国語の漫画画像に切り替わった状態を示す図である。
【図7】本発明の変形例を説明する多言語表示装置のシステム構成図である。
【符号の説明】
【0040】
1・・・多言語表示装置
2・・・入力部
3・・・受信部
4・・・切替スイッチ
5・・・コマ表示制御部
6−1・・日本語文言記憶部
6−2・・中国語文言記憶部
7・・・ポインタ
8・・・画像記憶部
9・・・フォント生成部
10・・合成部
11・・送信部
12・・表示部
13・・音声合成部
14・・スピーカ
15・・テキストデータ
16・・漫画画像
16a・・始点座標指示情報
16b・・縦横指示情報
17・・合成画像記憶装置
18−1・・始点アドレス生成回路
18−2・・アドレスポインタ
19−1・・縦横指定レジスタ
19−2・・縦横アドレス制御回路
20・・位置
30・・合成制御回路
31・・セレクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
漫画画像を記憶する漫画画像記憶手段と、
前記漫画画像に対応する文言を第1の言語で記憶する第1の言語記憶手段と、
前記漫画画像に対応する文言を第2の言語で記憶する第2の言語記憶手段と、
前記第1の言語記憶手段又は第2の言語記憶手段から出力される言語の切り替え処理を行う切り替え手段と、
該切り替え結果に従って前記漫画画像記憶手段に記憶された漫画画像と、前記第1の言語記憶手段に記憶された文言、又は前記第2の言語記憶手段に記憶された文言を合成する合成手段と、
該合成手段による合成結果を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする多言語表示装置。
【請求項2】
前記漫画画像と、前記第1の言語記憶手段に記憶された文言、又は前記第2の言語記憶手段に記憶された文言の合成は、前記漫画画像のコマ番号に対応して行うことを特徴とする請求項1記載の多言語表示装置。
【請求項3】
前記漫画画像に対する前記第1の言語記憶手段に記憶された文言、又は前記第2の言語記憶手段に記憶された文言の合成位置は、始点座標指示情報に基づいて行われることを特徴とする請求項1、又は2記載の多言語表示装置。
【請求項4】
前記漫画画像に対する前記第1の言語記憶手段に記憶された文言、又は前記第2の言語記憶手段に記憶された文言の合成は、縦横指示信号に基づいて縦方向、又は横方向に行うことを特徴とする請求項1、2、又は3記載の多言語表示装置。
【請求項5】
前記第1の言語記憶手段に記憶される文言は、日本語の言語に基づいて行われることを特徴とする請求項1、2、3、又は4記載の多言語表示装置。
【請求項6】
前記第1の言語記憶手段に記憶される文言は、中国語の言語に基づいて行われることを特徴とする請求項1、2、3、又は4記載の多言語表示装置。
【請求項7】
前記漫画画像のコマ番号、及び前記第1の言語記憶手段に記憶された文言、又は前記第2の言語記憶手段に記憶された文言のコマ番号の変更は、ポインタのポイント位置を移動することによって行うことを特徴とする請求項1、2、3、又は4記載の多言語表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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