説明

多軸加速度センサユニット

【課題】本発明は、直交する2軸に対して加速度を検出する多軸加速度センサユニットにおける検出レベルの確認方法に関し、検出レベルの検査工程において多軸角速度センサユニットに与える負荷を低減することを目的とする。
【解決手段】本発明は、直交する2軸を検出軸2,3とした多軸加速度センサユニットにおいて、多軸加速度センサユニットを回転台15上の偏芯位置に載置して回転台15を回転させ、この回転に伴い多軸加速度センサユニットに働く遠心力16と、回転の回転速度の変化により生じる慣性力17を用いて2軸の加速度を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直交する2軸に対して加速度を検出する多軸加速度センサユニットにおける検出レベルの確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の多軸加速度センサユニットは図4に示すようにパッケージ1内に検出軸2,3に対応した加速度センサ4,5を配置する構造となっており、パッケージ1内に加速度センサ4,5を組み付けた後に各加速度センサ4,5の検出レベルを確認するため、多軸加速度センサユニットを検出台6の上に配置しこの検出台6を多軸加速度センサユニットの検出軸2,3のそれぞれに対して傾斜する方向(振動方向7)に振動させ、この振動により得られた各検出軸2,3の加速度情報を予め設定された基準値と比較させ検出レベルを確認し、検出レベルの補正値を設定していた。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−153754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、検出台6の振動方向7と多軸加速度センサユニットの検出軸2,3が一致していないため、振動方向7に働く力8を直交する2つの検出軸2,3の方向に分配しなければならず、所定の検出レベルを得るにあたり検出台6の振動量を大きくする必要があり、検出レベルの検査工程において多軸加速度センサユニットに大きな負荷を与えてしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題を解決し、検出レベルの検査工程において多軸加速度センサユニットに与える負荷を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明は、直交する2軸を検出軸とした多軸加速度センサユニットにおいて、多軸加速度センサユニットを回転台上の偏芯位置に載置して回転台を回転させ、この回転に伴い多軸加速度センサユニットに働く遠心力と、回転の回転速度の変化により生じる慣性力を用いて2軸の加速度を検出するとしたのである。
【発明の効果】
【0008】
この構成により本発明は多軸加速度センサユニットに対する検出レベルの確認工程における負荷応力を低減させることが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態の多軸加速度センサユニットの内部上面図
【図2】同多軸加速度センサユニットを構成する加速度センサの模式図
【図3】同多軸加速度センサユニットの検出レベルの確認方法を示す模式図
【図4】従来の検査方法を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図を用いて説明する。なお、上述した従来の技術と同様の構成については同じ符号を付して説明する。
【0011】
図1は本発明の一例である多軸加速度センサユニットを示したものであり、その基本構造は積層セラミクスからなるパッケージ1の内部空間に2つの加速度センサ4,5と、この加速度センサ4,5を制御するIC9を配置し、パッケージ1の開口をリッド(特に図示せず)で封口した構造となっている。なお、2つの加速度センサ4,5は互いの検出軸2,3が直交するようにパッケージ1内に配置している。
【0012】
また、2つの加速度センサ4,5は、図2に示すようにフレーム10およびカンチレバー11を導体材料であるシリコンで構成し、カンチレバー11の両側に電極12が配置された構造となっている。なお、それぞれの電極12は絶縁材料であるガラス領域13上に設けられており、特に図示していないが電極12はガラス領域13の側方に位置するフレーム10と電気的に接続された構造となっている。
【0013】
また、加速度の検出については、左側の電極12とカンチレバー11により形成される容量と右側の電極12とカンチレバー11により形成される容量の差を検出しておくことで、カンチレバー11に加速度が加わりカンチレバー11が矢印14で示す方向に倒れることで左右の電極間距離が変化し、これにより容量差が変化し、この容量差の変化を加速度検出用のIC9で検出し所定の信号処理を経て加速度信号を形成するものである。
【0014】
そして、このような直交する2軸を検出軸2,3とする多軸加速度センサユニットの検出レベルの確認にあたっては、図3に示すように回転台15の回転軸15aからずれた位置に多軸加速度センサユニットを載置し、回転台15を回転させることで直交する検出軸2,3の加速度センサ4,5に対して同時に検出レベルを確認することができるのである。
【0015】
すなわち、多軸加速度センサユニットを回転台15上で回転させた場合、多軸加速度センサユニットが回転軸15aからずれた位置にあることで回転半径方向に遠心力16が加わり、回転速度を変化させることにより進行方向に対して慣性力17が発生する。よって、一方の加速度センサ4の検出軸2を回転半径と一致させ、他方の加速度センサ5の検出軸3を回転による進行方向(法線方向)と一致させれば、回転台15の一度の回転により直交する2つの力すなわち遠心力16と慣性力17が同時に働き、図4で説明した従来の検出方法のように一つの力(振動方向に働く力)を検出軸方向に分配することなく、効率よく直交方向の力(遠心力16と慣性力17)を確保できるので、検出レベルの検査工程において多軸加速度センサユニットに与える負荷を低減することが出来るのである。
【0016】
また、図4に示す従来の検出台6を用いた検査であれば、検出台6を直線的に振動させるため検出台6の振幅を確保するには検出台6の振幅スペースを確保しなければならずこの検出台6を含む検出装置の大型化に繋がるものであるが、この実施形態のように回転台15の回転により加速度を検出する構成であれば従来のような振幅スペースを確保する必要がなく装置の小型化にも寄与できるのである。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、多軸加速度センサユニットにおける検出レベルの検査工程において多軸加速度センサユニットに与える負荷を低減するという効果を有し、特に小型化が進み製品強度が必要となる産業・車両用途の多軸加速度センサユニットにおいて有用である。
【符号の説明】
【0018】
2,3 検出軸
15 回転台
16 遠心力
17 慣性力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸に対する加速度と、この第1軸と直交する第2軸に対する加速度を検出する多軸加速度センサユニットにおける検出レベルの確認方法であって、
前記多軸加速度センサユニットを回転台の偏芯位置に配置して前記回転台を回転させ、この回転より生じる前記多軸加速度センサユニットに対する遠心力を用いて前記第1軸方向の加速度を検出し、前記回転の回転速度の変化により生じる前記慣性力を用いて前記第2軸方向の加速度を検出することを特徴とした多軸加速度センサユニットの検出レベルの確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−17629(P2011−17629A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162635(P2009−162635)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)