説明

多重シートの生産装置

【課題】紙厚や紙種が異なる多重のハガキや帳票を高速で、かつ少ないロスで生産することができるようにする。
【解決手段】所定の間隔で絵柄が印刷され、かつ同一速度で走行する複数の連続用紙の少なくとも1枚の連続用紙の各絵柄間のカット位置にて所定の切り幅でドブカットするカット装置5と、上記カット装置にてカットされたカット紙片1aを、走行方向上流側で糊装置にて糊付けされた他の連続用紙に、相互の絵柄を合わせて貼り合わせる貼り合わせ装置5と、この貼り合わせ装置の下流側に配置され、上記カット紙片1aの間で、かつ他方の連続用紙のカット位置にてカットするシートカット装置8とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はピン送り装置を用いない、いわゆるピンレス方式で、印刷された複数枚の連続用紙における各印刷絵柄の相互の位置関係を、各連続用紙全体を通して簡単かつ確実に常に一致させて貼り合わせることができるようにした多重シートの生産装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷され送り穴が設けられた複数の連続用紙を送りピンにて位置合わせし、送給し、丁合し、多パーツの帳票を作成するものが特許文献1に示されている。これは重ね合わせる各連続用紙の各絵柄の貼り合わせ位置はズレないが、ピン穴で各連続用紙を送るため生産速度に限界がある。その上、送り穴部分を製品から除去するのでロスが多かった。
【0003】
一方、ピンレスで多パーツ物を作成する方法として、1枚の複写紙の幅のn倍の連続用紙を使用し、この連続用紙に必要な絵柄を印刷した後に、この連続用紙をスリッタにてn等分し、そのn等分したうちの1本を基準とし、他のものをそれぞれターンバーを用いて上記基準のものの下または上に誘導し、一部を糊付けし、丁合し、カッタにて所定の長さ方向の大きさに断裁するようにしたものが特許文献1及び2に示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−291567号公報(図1、図11)
【特許文献2】特公昭43−17370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したピンレス方式の装置にあっては、多重パーツとなった各連続用紙の絵柄の見当ズレはなく、高速で多重パーツ物を生産できるが、多重相互のパーツは同一の紙の貼り合わせとなって異なる種類の連続用紙を用いることができない。
【0006】
本発明は上記のことにかんがみなされたもので、紙厚や紙種が異なる多重のハガキや帳票を高速、かつロスの少ないピンレス方式で生産できる多重シートの生産装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る多重シートの生産装置は、所定の間隔で絵柄が印刷され、かつ同一速度で走行する複数の連続用紙の少なくとも1枚の連続用紙の各絵柄間のカット位置にて所定の切り幅でドブカットするカット装置と、上記カット装置にてカットされたカット紙片を、走行方向上流側で糊装置にて糊付けされた他の連続用紙に、相互の絵柄を合わせて貼り合わせる貼り合わせ装置と、この貼り合わせ装置の下流側に配置され、上記カット紙片の間で、かつ他方の連続用紙のカット位置にてカットするシートカット装置とからなる構成になっている。
【0008】
上記構成の装置において、カット装置のカット位置と貼り合わせ装置との間に、単独モータにて変速駆動可能にしたカット紙片搬送手段を設け、貼り合わせ装置から他方の連続用紙の上流側で、貼り合わせ装置からカット装置のカット位置までの距離と同一距離の位置に、この他方の連続用紙の絵柄間隔を検知するセンサを設け、このセンサの検出タイミングとカット装置のカットタイミングを比較し、両タイミングに差があるときに、この差がなくなる方向にカット紙片搬送手段の搬送速度を変化するようにした構成になっている。
【発明の効果】
【0009】
ピンレス方式で印刷された複数枚の連続用紙における各印刷絵柄の相互間の位置関係を、連続用紙全体を通して簡単、かつ確実に一致させて貼り合わせることができる。
【0010】
カット装置にてカットされたカット紙のカット位置が台紙となる他方の連続用紙の絵柄間隔とがずれたときに、カット装置にてカットされたカット紙片が、カット紙片搬送手段にて搬送される間に速度調整されて貼り合わせ装置にて両者の絵柄が合った状態で貼り合わされることができて、紙厚や紙種が異なる多重のハガキや帳票を高速、かつ少ないロスで生産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の第1の実施の形態を図1及び図2に基づいて説明する。図1において1はカット紙、2は台紙であって、これらはそれぞれ別々に設けられた図示しない給紙部から、同じ速度Vにて給紙されるようになっている。3,4はそれぞれの給紙装置の一部を構成する給紙ローラである。5はカット紙1の走行経路に配置されて、このカット紙1を所定の間隔Dにて切断するカット装置、6はこのカット後のカット紙片1aを搬送する搬送装置、7は一対のローラ7a,7bからなり、上記カット紙片1aと台紙2とを貼り合わせる貼り合わせ装置、8はカット紙片1aを貼り合わせた台紙2を所定の間隔Dにて切断するシートカット装置である。9は上記貼り合わせ装置7の台紙2の走行ラインの上流側に設けられて、台紙2の表面にカット紙片1aを貼り付けるための糊を塗布する糊装置である。
【0012】
上記カット紙1には図2(a)に示すように、間隔Dごとにカット紙絵10が、また台紙2には図2(b)に示すように間隔Dごとに台紙絵11が予め別々に印刷されている。この両絵10,11の走行方向の長さは同一の長さgとなっている。そしてカット紙1のカット装置5にてのカット後のカット紙片1aは、貼り合わせ装置7にてカット紙絵10が台紙絵11とずれることなく台紙2に貼り合わせるようになっている。以下に、この貼り合わせ装置7にて上記各絵柄がずれることなく貼り合わせるための装置を説明する。
【0013】
上記カット紙1及び台紙2には、各絵10,11の間隔Dのカット位置d,dごとにマーク16,17が印刷されている。そしてこの各マーク16,17は、それぞれマークセンサ18,19にて検出されるようになっている。
【0014】
上記カット紙1のカット紙絵10と台紙2の台紙絵11のそれぞれの走行方向の両端は、例えば上記カット位置d,d(マーク位置)に対して間隔Pがとられている。すなわち、カット紙絵11及び台紙絵12の走行方向長さgは(D−2p)となっている。上記間隔pは、後述するカット装置5のドブ切り幅Sの1/2より大きくなっている。
【0015】
カット装置5はカット胴12と受胴13とからなり、カット胴12にはカット間隔Sを設けて固着した2枚1組とするドブカット刃14を有していて、カット胴12の回転により、受胴13との間を通るカット紙1の間隔Dごとのカット位置dにて間隔Sのドブカットを行うようになっている。ドブカットされたカスは、ドブカット刃14にはさまれてカット胴12の回転に従って上方へ移動され、ここでカス吸引装置15にて吸引排除されるようになっている。
【0016】
なお、上記カスは吸引装置15では排除しきれない場合には、カット胴12内に、上記ドブカット刃14の間に出没する押しピンを軸方向に複数設け、この各押しピンをカット胴12の回転に同期し、出没作動してドブカット刃14がカス吸引装置15に対向したときに突出動作してカスを排除するようにしてもよい。
【0017】
カット装置5のカット胴12は、単独に速度制御可能にした単独モータMにて間欠駆動されるようになっていて、カット紙1の間隔Dのカット位置dがこのカット胴12と受胴13とを結ぶ線上にきたときにドブカット刃14が受胴13と対向する位置にくるように回転して、カット紙1の間隔Dごとのカット位置dを中心にした隙間Sができるドブカットを行うようになっている。
【0018】
この実施の形態では、カットする位置の1つ(あるいは複数個)手前のマーク16をマークセンサ18が検出することにより単独モータMが駆動制御されて、1つ(あるいは複数個)下流側のカット位置dにてのドブカットが行われるようになっている。上記マークセンサ18はカット装置5の位置の上流側で、カット位置dの間隔Dの整数倍の位置に配置されている。
【0019】
上記カット紙1と台紙2のそれぞれの走行距離は、エンコーダにてカウントされるようになっている。そして貼り合わせ装置7の貼り合わせ点Aから上流側へカット装置5の間の距離Lが、例えば1000パルスの長さになっている。
【0020】
また台紙2の走行経路において、上記貼り合わせ装置7の貼り合わせ点Aから上流側へ、上記貼り合わせ位置Aからカット装置5までの距離と同一の距離、すなわち例えば1000パルスカウントの距離Lの位置に上記マークセンサ19が配置されている。
【0021】
上記カット装置5によるカット作動の瞬間と台紙2側のマークセンサ19にて台紙2のマーク17の検出時のそれぞれのパルス検出値が図示しない制御装置にて比較されるようになっている。
【0022】
搬送装置6は、カット装置5と貼り合わせ装置7との間のカット紙1の走行路に位置していて、同一速度で走行する上下一対の搬送ベルト6a,6bにてカット装置5にてカットされたカット紙片1aを挟んで貼り合わせ装置7へ搬送するようになっている。下側の搬送ベルト6bの搬送面は、カット装置5と貼り合わせ装置7間の略全長にわたる長さになっているが、上側の搬送ベルト6aの搬送面は上記カット紙片1aの長さを越えない長さになっている。なお、この上側の搬送ベルト6aの搬送面の長さは、カット紙片1aの長さに応じて変更できるようになっている。そしてこの搬送装置6は、単独に速度制御可能にした単独モータMにて駆動されるようになっている。
【0023】
搬送装置6は、上記単独モータMにて通常時には上記カット紙1の走行速度Vと同速で走行するようになっているが、上側の搬送ベルト6aが図に示すように、1つのカット紙片1aにのみ当接した状態の間において、カット装置5によるカット作動の瞬間と台紙2側のマークセンサ19にて台紙2のマーク17の検出時のそれぞれのパルス検出値の差分のパルス数だけ増速あるいは減速されるようになっている。このときのタイミングは、カット装置5によりカット紙1aの後端をカットするカット作動後のパルス数のカウントにより、すなわちカット装置5によりカットされたカット紙1aが上側搬送ベルト6aに当接してカット紙1aが自由移動可能な区間にあるときに所定時間にわたって搬送装置6の速度が変化するようになっている。
【0024】
シートカット装置8は、シートカット刃20aを設けたシートカット胴20と受胴21とからなり、このシートカット装置8は単独に速度制御可能にした単独モータMにて回転するようになっていて、台紙2のマーク17が両胴20,21を結ぶ線上にきたときに台紙2をカットするようになっている。このシートカット装置8の作動タイミングは、例えば貼り合わせ装置7より下流側でシートカット装置8の上流側へ1つ(あるいは整数倍)のシート間隔Dの位置にカット位置検出センサ22を設け、このカット位置検出センサ22が台紙2のマーク19を検出したときに、これと同期してシートカット装置6がカット作動するようになっている。
【0025】
上記構成における作用を以下に説明する。
【0026】
カット紙1と台紙2は、それぞれ別々の給紙ローラ3,4(給紙装置)にて同一の速度V,Vにて供給される。そしてこのときのカット紙1と台紙2の走行は、それぞれエンコーダにて検出されていて、カット装置5から貼り合わせ装置7までの距離Lが、エンコーダによるパルス数で上記カット紙1の速度Vに応じて1000パルスとなるように設定されている。
【0027】
また、台紙2の貼り合わせ装置7に対する巻き掛けを、貼り合わせ装置7から上流側に台紙2の速度Vに応じてエンコーダにてカウントされるパルス数で1000パルスの位置でマーク17が通過するようにする。そしてこの位置におけるマーク17をマークセンサ19にて検出する。
【0028】
カット紙1の走行において、これのマーク16がマークセンサ18にて検出されるたびにカット装置5が作動してカット紙1はドブカットされてカット紙片1aとなる。このときのカット紙片1aの長さg2は、図2(a)に示すように絵柄間隔Dからカス幅Sを引いた(D−S)の長さになり、またカット紙片1aの先端からラベル絵10の先端までの距離は(P−1/2S)である。
【0029】
カット紙片1aは搬送装置6にて貼り合わせ装置7へ搬送される。このとき上記カット紙片1aは、これの後端がカット装置5より出る前(カットされる前)に先端が搬送装置6の上側ベルト6aと下側ベルト6bに挟まれ、その後、後端がカットされてから所定時間をわたって上側ベルト6aに単独状態で挟まれて搬送され、ついでこの上側ベルト6aに挟まれている間に貼り合わせ装置7に搬送される。
【0030】
一方、走行する台紙2は、この走行する間に各マーク17はマークセンサ19にて検出されている。
【0031】
カット装置5にてカットされ、かつこのカット面を先端とするカット紙片1aは、上記カット装置5によるカット作動時に、マークセンサ19にて検出されたマーク17を先端とする台紙絵部と同期して貼り合わせ装置7に到達して貼り合わされる。
【0032】
このときにおいて、カット装置5によるカット作動位置から貼り合わせ装置7までの距離Lがエンコーダによるパルス数で1000パルスであり、また台紙2のマークセンサ19により検知したマークが同じく貼り合わせ装置7から1000パルスの距離Lの位置にあることにより、上記カット紙片1aと上記マークセンサ19にて検出されたマーク17を先端とする台紙絵部分とは、図2(c)に示すように位置が合った状態、すなわち各絵10,11の先端位置が台紙2のカット位置dからpの位置となるように貼り合わされる。
【0033】
このときにおいて、例えば台紙2の走行速度Vに対してカット紙1の走行速度Vに差が生じ、カット装置5のカット胴12によるカット作動時が、台紙2のマーク17のマーク検出時に対して、例えば5パルス遅れている場合には、この状態でカットされたカット紙片1aの先端は、このカット紙片1aを貼り付けるべき台紙2の絵柄に対して5パルス遅れていることになる。
【0034】
このような場合には、上記カットが遅れたカット紙片1aの後端が次のカット作動にて切り離された状態で搬送装置6にて搬送される際に、このカット紙片1aが単独で搬送装置6の上側ベルト6aに挟まれたときに、搬送装置6を上記遅れ分の5パルスだけ早送りさせる。
【0035】
また、カット装置5によるカット作動時が、台紙2のマーク17の検出時に対して例えば5パルス進んでいる場合には、この早くカットされたカット紙片1aの後端がカットされて、これが搬送装置6の上側ベルト6aに挟まれたときに、搬送装置6を上記進み分の5パルスだけ遅くさせる。
【0036】
このように台紙2のマーク17を台紙側のマークセンサ19で検知したときに対して、カット装置5によるカット紙1のカットが遅れたり速かったりした場合には、搬送装置6の搬送速度を変えて、上記カット部を先端とするカット紙片1aの搬送位置を台紙2側に合わせて貼り合わせ装置7へ送り込まれる。このときカット紙片1aのカット紙絵10の先端と台紙2のカット位置dとの間がpとなるように合わされる。すなわち、カット紙片1aのカット紙絵10の先端と台紙2の台紙絵11の先端とが合わされる。
【0037】
その後、この貼り合わせ装置7より下流側で、カット検出センサ22にて台紙2のマーク17を検出し、この検出信号にてシートカット装置8が作動され、カット紙片1aを貼り合わせた台紙2が、これのカット位置dにてカットされて走行方向長さがDの単票製品となる。
【0038】
このように作られた単票製品は、図2(c)に示されるように、カット紙絵10と台紙絵11のそれぞれの先端が台紙2の先端からpの位置に合わされて貼り合わされる。
【0039】
図3は本発明の第2の実施の形態を示すものであり、この実施の形態において図1、図2に示した第1の実施の形態と同一部材は同一符号で示して説明する。
【0040】
この実施の形態では、貼り合わせ装置7の上流側のカット紙1の走行経路に、上記第1の実施の形態におけるカット装置5と搬送装置6の両作用を行うカット搬送装置25が設けられている。
【0041】
このカット搬送装置25は、貼り合わせ装置7の入口側に接線が連なるように配置された受胴26と、この受胴26に対設し、かつドブカット刃14を有するカット胴27と、このカット胴27のドブカット刃14にてカットしたカスを吸引するカス吸引装置15とからなっている。そして上記受胴26は、特に図示しないが周面に多数の小孔が設けてあると共に、内側に空気吸引装置が内装してあり、カット胴27と対向する位置から貼り合わせ装置7に対する接線位置にわたる範囲での周面に吸引作用がなされるようになっていて、カット胴27にてカットされたカット紙片1aは、この受胴26の周面に吸引力にて吸着されて貼り合わせ装置7側へ搬送されるようになっている。
【0042】
このカット搬送装置25におけるカット紙1は、受胴26に180°を越える巻き角にて巻き掛けられており、上記カット胴27は受胴26のカット紙出口側に対して回転方向上流側へ略180°の位置に配置されている。
【0043】
カット搬送装置25のカット胴27は、単独に速度制御可能にした単独モータMにて間欠駆動されるようになっていて、カット紙1の間隔Dのカット位置dがこのカット胴27と受胴26とを結ぶ線上にきたときに、ドブカット刃14が受胴26と対向する位置にくるように回転してカット紙1の間隔Dごとのカット位置dを中心にした隙間Sができるドブカットを行うようになっている。そしてこの実施の形態でも上記第1の実施の形態の場合と同じに、カット位置の1つ手前のマーク16をマークセンサ18が検出することにより、単独モータMが駆動制御されて1つの下流側のカット位置dにてのドブカットが行われるようになっている。
【0044】
カット搬送装置25の受胴26は、これの上記カット胴27に対向する位置から貼り合わせ装置7への接線位置までの周長が、カット胴27にてカットされるカット紙1aの長さより長くなる周長を有する径になっている。そしてこの受胴26は単独に速度制御可能にした単独モータMにて駆動されるようになっている。
【0045】
この実施の形態においても、カット紙1と台紙2のそれぞれの走行距離は、エンコーダにてカウントされるようになっている。そして貼り合わせ装置7の貼り合わせ点Aから上流側で、カット搬送装置25のカット胴27と受胴26とを結ぶ位置までの距離Lが、例えば1000パルスの長さになっている。
【0046】
また、台紙2の走行経路において上記貼り合わせ位置Aから上流側へ、カット紙1側の距離と同一の距離、すなわち例えば1000パルスカウントの距離Lの位置にマークセンサ19が配置されている。
【0047】
上記カット搬送装置25によるカット作動の瞬間と台紙2側のマークセンサ19にて台紙2のマーク17の検出時のそれぞれのパルス検出値が図示しない制御装置にて比較されるようになっている。
【0048】
上記カット搬送装置25の受胴26は、上記単独モータMにて通常時にはカット紙1の走行速度Vと同速の周速で回転されているが、カット胴27にて後端がカットされたカット紙片1aが、カット胴27から下流側で受胴26の周面上にある間において、カット搬送装置25によるカット作動の瞬間と台紙2側のマークセンサ19にて台紙2のマーク17の検出時のそれぞれのパルス検出値の差分のパルス数だけ増速あるいは減速されるようになっている。このときの作動タイミングは、カット紙1aの後端がカットされたときである。
【0049】
この実施の形態におけるシートカット装置8は、第1の実施の形態のものと同じになっていて、カット位置検出センサ22が台紙2のマーク19を検出したときに、これと同期して作動するようになっている。
【0050】
上記のように構成された第2の実施の形態においては、カット紙1はこれのマーク16がマークセンサ18にて検知されることにより、カット搬送装置25のカット胴27がカット作動して順次カット紙1がカットされていく。そして後端がカットされたカット紙片1aは、受胴26の周面に作用していて吸引力にて吸着されて回転する受胴26にて貼り合わせ装置7に対する接線位置まで搬送され、ついで剥離部材28にて剥離されて貼り合わせ装置7へ送り込まれる。
【0051】
この第2の実施の形態においては第1の実施の形態と同様に、受胴26とカット胴27によるカット紙1のカットタイミングが、台紙2側の走行タイミングに対してずれた場合には、受胴26の回転速度を増速あるいは減速することにより修正され、貼り合わせ装置7の貼り合わせ位置Aにおいて、カット紙片1aと台紙2のそれぞれの絵柄の先端が一致した状態で貼り合わされる。
【0052】
このときにおいて、例えば台紙2の走行速度Vに対してカット紙1の走行速度Vに差が生じ、カット搬送装置25のカット胴27による作動時が、台紙2のマークセンサ17のマーク検出時に対して、例えば5パルス遅れている場合には、この状態で先端側がカットされたカット紙片1aは、次のカット動作にて後端側がカットされた状態で受胴26が上記5パルス分だけ通常の回転速度より早く回転される。また、例えば台紙2側に対して早い場合は、その分だけ受胴26の回転を遅く回転させる。その後の作用は上記第1の実施の形態と同様である。
【0053】
なお、上記作用において受胴26が通常の回転速度より早く、あるいは遅く回転するときは、カット胴27でカットされた部分の上流側は受胴26に接触しているので、この部分は受胴26に対して滑らされる。
【0054】
上記した第1・第2の実施の形態では、カット紙1と台紙2のそれぞれは同一の速度Vで走行するようにしているが、台紙2の台紙絵11に対してカット紙1のカット紙絵10の絵柄位置が、カット紙片搬送手段で吸収できないほどズレが生じていくときは、マークセンサ18,19でのマーク17,18の検出タイミングが一定になるようそれぞれの給紙装置(給紙ローラ3,4)の一方あるいは双方の送り速度を制御してこのズレを補正するようにしてもよい。
【0055】
上記した第1・第2の実施の形態におけるカット紙片1aは、台紙1に対して再剥離可能に接着されるものであり、これに用いる糊としては、感圧接着剤で再剥離可能に接着されている。これに用いる感圧接着剤としては、ガラス転位点が低く、粘着性が強い樹脂、例えば天然ゴム、エステル天然ゴム、クロロプレンゴム、ポリ酢酸ビニル等の主剤に、アンカー効果の高いポリメテルメタクリーレートやスチレン・ブタジェンゴム等を適宜の割合で混合して使用する。
【0056】
上記糊を台紙2に塗布する糊装置9としては、台紙2にカット紙片1aを貼り合わせるための所定の模様に塗布可能な、例えばノズル形式、あるいは版胴形式のものが用いられる。
【0057】
上記した実施の形態では、台紙2に1枚のカット紙1をカット紙片1aとして接着される例を示したが、台紙2に対して複数のカット紙片1aを貼り合わせ接着するようにしてもよい。この場合、2枚目以上のカット紙片1aは、他の糊装置を用いてカット紙相互間にて糊付け接着する。
【0058】
上記のようにして貼り合わせられる多重シートとしては、必要箇所にカット紙片を剥離可能に接着してなるハガキ、あるいは複写帳票等がある。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施の形態を概略的に示す説明図である。
【図2】(a)はカットした状態で搬送されるカット紙を示す平面図、(b)は台紙を示す平面図、(c)はカット紙片と台紙を貼り合わせた状態を示す平面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1…カット紙1a…カット紙片、2…台紙、3,4…給紙ローラ、5…カット装置、6…搬送装置、7…貼り合わせ装置、8…シートカット装置、9…糊装置、10…カット紙絵、11…台紙絵、12…カット胴、13…受胴、14…ドブカット刃、15…カス吸引装置、16,17…マーク、18,19…マークセンサ、20…シートカット胴、20a…シートカット刃、21…受胴、25…カット搬送装置、26…受胴、27…カット胴、28…剥離部材、D…絵柄間隔、d,d…カット位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔で絵柄が印刷され、かつ同一速度で走行する複数の連続用紙の少なくとも1枚の連続用紙の各絵柄間のカット位置にて所定の切り幅でドブカットするカット装置と、
上記カット装置にてカットされたカット紙片を、走行方向上流側で糊装置にて糊付けされた他の連続用紙に、相互の絵柄を合わせて貼り合わせる貼り合わせ装置と、
この貼り合わせ装置の下流側に配置され、上記カット紙片の間で、かつ他方の連続用紙のカット位置にてカットするシートカット装置、
とからなることを特徴とする多重シートの生産装置。
【請求項2】
カット装置のカット位置と貼り合わせ装置との間に、単独モータにて変速駆動可能にしたカット紙片搬送手段を設け、
貼り合わせ装置から他方の連続用紙の上流側で、貼り合わせ装置からカット装置のカット位置までの距離と同一距離の位置に、この他方の連続用紙の絵柄間隔を検知するセンサを設け、
このセンサの検出タイミングとカット装置のカットタイミングを比較し、両タイミングに差があるときに、この差がなくなる方向にカット紙片搬送手段の搬送速度を変化するようにしたことを特徴とする請求項1記載の多重シートの生産装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−279631(P2008−279631A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124469(P2007−124469)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(000161057)株式会社ミヤコシ (122)