説明

夜景光源検知装置及び夜景光源検知方法

【課題】本発明は、夜景中ある特定の光源の照射下で撮像された画像であるか否かを判断する夜景光源検知装置及び夜景光源検知方法を提供する。
【解決手段】該夜景光源検知装置は、入力画像中の各画素の画素値を取得する画素値取得手段と、入力画像の平均の補正後輝度値及び高い補正後輝度値の領域の面積を2つの夜景特徴として抽出する夜景特徴抽出手段と、抽出した2つの夜景特徴に基づき、入力画像が夜景画像か非夜景画像かを判断する夜景画像検知手段と、夜景画像中の各画素が特定の色に属するか否かを検知する特定色検知手段と、特定色の検知結果に基づき、夜景画像が夜景中のある特定の光源の照射下で撮像されたものであるか否かを判断する夜景光源判断手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像が夜景中のある特定の光源の照射のもとで撮像されたものか否かを判断する夜景光源検知装置及び夜景光源検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやビデオカメラのような結像装置による撮像工程においては、通常、夜景中のある特定の光源の照射のもとで、誤ったホワイトバランスが発生し、画像カラーの歪みの原因となっている。このため、夜景光源検知は、デジタルカメラやビデオカメラ等の結像装置の知能場面識別及び自動ホワイトバランス制御等の機能に用いられる。
【0003】
米国特許公開公報US20090153695(特許文献1参照)には、撮像画像の平均輝度値が所定の閾値未満で、かつハイライト領域の面積と全画像面積の比例値が所定の閾値を超えると、該画像を夜景画像と判断する夜景検知方法が提案されている。
【0004】
米国特許公開公報US20090185055(特許文献2参照)には夜景検知方法が提案されており、主に1)輝度ヒストグラムにおける中間値に対応する輝度値、2)輝度ヒストグラムのピーク値、3)輝度ヒストグラムの底部の幅、4)露光不足部分の全輝度ヒストグラムにおける割合、5)輝度ヒストグラムの左半部分の割合、6)解析により得られた2値化閾値、の以下の6つの特徴が用いられている。
【0005】
前述の従来の夜景検知技術に一般に存在する問題としては、単純な夜景検知のみでは、撮像時に必要な、露光時間、感度、絞りの設定といった撮像パラメータ情報しか提供できないということである。しかしながら、通常、夜景には異なる光源が存在しており、これらによって、誤ったホワイトバランスが生じ、画像のカラーの歪みに繋がってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術における前述の課題を鑑みてなされたもので、本発明は、画像処理及びモード識別に関し、画像が夜景中のある特定の光源の照射のもとで撮像されたものかを判断する夜景光源検知装置及び夜景光源検知方法を提供する。本発明の夜景光源検知装置及び夜景光源検知方法は、例えば、デジタルカメラ、ビデオカメラ等のような結像装置に用いることができ、画像が夜景中のある特定の光源の照射のもとで撮像されたかを自動判別することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の態様によると、夜景中のある特定の光源の照射下で撮像された画像であるか否かを判断する夜景光源検知装置であって、入力画像中の各画素の画素値を取得する画素値取得手段と、前記画素値取得手段に接続され、前記画素値取得手段により取得された入力画像中の各画素の画素値に基づき、入力画像の平均の補正後輝度値と高い補正後輝度値の領域面積を2つの夜景特徴として抽出する夜景特徴抽出手段と、前記夜景特徴抽出手段に接続され、前記夜景特徴抽出手段により抽出された2つの夜景特徴に基づき、入力画像が夜景画像か非夜景画像かを判断する夜景画像検知手段と、前記夜景画像検知手段に接続され、前記夜景画像検知手段により検知された夜景画像中の各画素が特定の色に属するか否かを検知する特定色検知手段と、前記特定色検知手段に接続され、前記特定色検知手段の特定の色の検知結果に基づき、前記夜景画像が夜景中のある特定の光源の照射下で撮像されたものであるか否かを判断する夜景光源判断手段と、を備えることを特徴とする夜景光源検知装置を提供している。
【0008】
前記夜景光源検知装置において、前記入力画像は、マルチレベルのカラー画像であり、前記画素値は、画素の輝度チャネル値と、Rチャネル値と、Gチャネル値と、Bチャネル値が含まれている。
【0009】
前記夜景光源検知装置において、前記入力画像が、結像装置により最終的に形成される画像よりも、解像度の低い画像である。
【0010】
前記夜景光源検知装置において、前記夜景特徴抽出手段は、前記入力画像の各画素の輝度値に対して補正を行い、補正後輝度値を取得する輝度補正部と、補正後の入力画像の前記平均補正後輝度値と前記高い補正後輝度値の領域面積を前記2つの夜景特徴として算出する夜景特徴算出部と、を有している。
【0011】
前記夜景光源検知装置において、前記夜景画像検知手段は、前記抽出された2つの夜景特徴に基づいて前記入力画像が夜景画像か非夜景画像かを判断し、前記入力画像が夜景画像であると判断された場合は、前記入力画像を前記特定色検知手段へ出力し、前記入力画像が非夜景画像であると判断された場合は、前記入力画像に対する処理を終了させる。
【0012】
前記夜景光源検知装置において、前記夜景画像検知手段は、複数の既知の夜景サンプル画像及び複数の既知の非夜景サンプル画像を用いて訓練を行うことで、分類関数を取得する。
【0013】
前記夜景光源検知装置において、前記特定色検知手段は、夜景画像の各画素の色特徴に基づいて、前記夜景画像の各画素が特定色画素か非特定色画素かを判断する。
【0014】
前記夜景光源検知装置において、前記特定色検知手段は、複数の既知の特定色サンプル画像及び複数の既知の非特定色サンプル画像を用いて訓練を行うことで、分類関数を取得する。
【0015】
前記夜景光源検知装置において、前記夜景光源判断手段は、特定色検知結果に基づいて、前記夜景画像が夜景中のある特定光源の照射下で撮像されたものであるか否かを判断し、前記夜景光源判断手段は、夜景画像中の特定色領域の面積を算出する特定色領域面積算出部と、前記特定色領域の面積が所定の閾値以上であるか否かを判断し、前記特定色領域の面積が所定の閾値未満であると判断された場合は、前記夜景光源判断手段の処理を終了させる特定色領域面積判断部と、前記特定色領域の面積が所定の閾値以上と判断された場合は、夜景画像中の特定色の領域と高い補正後輝度の領域との位置が隣り合っているか否かを判断する特定色領域位置判断部と、を有し、前記特定色の領域と高い補正後輝度の領域との位置が隣り合っている場合は、前記夜景画像が夜景中のある特定の光源の照射下で撮像されたものであると判断する。
【0016】
本発明の他の態様によると、夜景中のある特定の光源の照射下で撮像された画像であるか否かを判断する夜景光源検知方法であって、入力画像中の各画素の画素値を取得する画素値取得ステップと、前記画素値取得ステップにおいて取得された入力画像中の各画素の画素値に基づき、入力画像の平均の補正後輝度値と高い補正後輝度値の領域面積を2つの夜景特徴として抽出する夜景特徴抽出ステップと、前記夜景特徴抽出ステップにおいて抽出された2つの夜景特徴に基づき、前記入力画像が夜景画像か非夜景画像かを判断する夜景画像検知ステップと、前記夜景画像検知ステップにおいて検知された夜景画像中の各画素が特定の色に属するか否かを検知する特定色検知ステップと、前記特定色検知ステップにおける特定の色の検知結果に基づき、前記夜景画像が夜景中のある特定の光源の照射下で撮像されたものであるか否かを判断する夜景光源判断ステップと、を含むことを特徴とする夜景光源検知方法を提供している。
【0017】
本発明の実施例における夜景中のある特定の光源の照射のもとで撮像された画像か否かを判断する夜景光源検知装置及び夜景中のある特定の光源の照射のもとで撮像された画像か否かを判断する夜景光源検知方法によれば、各種結像装置に実施することができ、夜景中のある特定の光源の照射のもとで撮像された画像か否かを判断することができるが、最終結像前に実施されてもよく、最終結像画像の後処理中に実施されてもよい。
【0018】
以下の図面を参照した本発明の好適な実施例への詳細な説明により、本発明の以上及びその他の目標、特徴、長所、技術及び産業上の重要性がより理解できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例による夜景光源検知装置の全体ブロック図である。
【図2】本発明の実施例による夜景特徴抽出装置の構成概略図である。
【図3】本発明の実施例による夜景画像検知装置の機能概略図である。
【図4】本発明の実施例による特定色検知装置の機能概略図である。
【図5】本発明の実施例による夜景光源判断装置の機能概略図である。
【図6】夜景水銀灯検知中の緑色検知例を示す図である。
【図7】夜景ナトリウム灯検知中のオレンジ色検知例を示す図である。
【図8】本発明の他の実施例による夜景光源検知方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例について説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施例による夜景光源検知装置1の全体ブロック図である。本発明の夜景中のある特定の光源の照射のもとで撮像された画像か否かを判断する夜景光源検知装置1は、入力画像中の各画素の画素値を取得する画素値取得装置10と、画素値取得装置10に接続され、画素値取得装置10から得られた入力画像中の各画素の画素値に基づき、入力画像の平均「補正後輝度値」と高「補正後輝度値」の領域面積を抽出し、抽出された2つの夜景特徴とする夜景特徴抽出装置11と、夜景特徴抽出装置11に接続され、夜景特徴抽出装置11により抽出された2つの夜景特徴に基づき、入力画像が夜景画像か非夜景画像かを判断する夜景画像検知装置12と、夜景画像検知装置12に接続され、夜景画像検知装置12により検知された夜景画像中の各画素が特定の色に属するか否かを検知する特定色検知装置13と、特定色検知装置13に接続され、特定色検知装置13の特定の色の検知結果に基づき、夜景画像が夜景中のある特定の光源の照射のもとで撮像されたものか否かを判断する夜景光源判断装置14と、を備えている。
【0022】
本発明の実施例における夜景光源検知装置1は、デジタルカメラや、ビデオカメラ等のような結像装置から形成されたマルチレベルのカラー画像を処理することができ、画素値取得装置10は、マルチレベルカラー画像の各画素の輝度チャネル値Lとレッドチャネル値Rとグリーンチャネル値Gと、ブルーチャネル値Bの、4つのチャネルの画素値を取得することができる。ここで、R、G、Bは、それぞれ赤、緑、青の輝度値であり、R、G、B及びL値は、従来の結像装置により公知技術で画像捕獲工程から自動的に得られるものである。
【0023】
画素値取得装置10は、入力画像の各画素の画素値の信号を取得し、以降の夜景光源検知処理に用いている。夜景光源の検知が目的であるため、例えば、監視信号画像のような、結像装置の最終結像画像よりも解像度の低い画像に対して処理を施すことができ、これにより、処理される画像が、結像装置の最終結像画像よりも低い解像度であるため、該画像の処理速度を速くすることができ、例えば、結像装置におけるリアルタイム処理の要求を満足することができる。低解像度の監視信号画像は、カメラ、ビデオカメラのような結像装置の自動かつ直接的な測定により得られ、現実中の例として、例えば、デジタルカメラや、ビデオカメラの撮像直前の液晶モニターに表示される画像であり、その解像度は、結像装置の同等条件下で撮像された画像よりも低くなっている。当然ながら、本発明の実施例は、結像装置の最終撮像画像に対して実施されてもよく、本発明は実施例に限るものではない。
【0024】
図2は、本発明の実施例による夜景特徴抽出装置11の構成概略図である。夜景特徴抽出装置11は、画素値取得装置10に接続され、入力画像の輝度情報及び撮像パラメータ(露光時間、感度、絞り)情報に基づき、入力画像の各画素の輝度値への補正を行う、即ち、画像の各画素の「補正後輝度値」を算出する輝度補正部111と、輝度補正部111に接続され、輝度補正部111で補正された画像に基づき、該補正後の画像の平均「補正後輝度値」と高「補正後輝度値」の領域面積を算出し、抽出された2つの夜景特徴とする夜景特徴算出部112と、を有している。ここで、画素値取得装置10で取得した入力画像の各画素の輝度値を補正する理由としては、画素値取得装置10で取得した入力画像の各画素の輝度値がデジタルカメラや、ビデオカメラ等のセンサーから受信された画像信号の輝度値であり、外部環境の実際の輝度値ではないため、画像を生成するデジタルカメラや、ビデオカメラ等の関連パラメータに応じて、取得された輝度値への補正を行う必要がある。
【0025】
ここで、例えば、通常の場合のデジタルカメラ、ビデオカメラ等の結像装置に関しては、輝度補正部111において、画像のある画素点iの輝度値をL、露光時間をt、感度をISO、絞りをFとすると、該画素店の補正後の輝度値Calibr_Liは、下記式より求められる。
【数1】

【0026】
勿論、本発明は、実施例に限るものではなく、補正後の輝度が実際の環境中の真の輝度を反映することができれば、使用する結像装置の種類やサイズ、及び関連パラメータの設定に応じて、他のパラメータや補正式により、得られた輝度値への補正を行うことができる。
【0027】
図3は、本発明の実施例による夜景画像検知装置12の機能概略図であり、点線の左側がサンプル画像による訓練工程を表し、点線の右側が処理すべき画像への推測処理工程を表している。訓練工程において、夜景画像検知装置12は、動作121中、各サンプル画像の「補正後輝度」値により、各画像の2つの夜景特徴である、画像の平均「補正後輝度値」と高「補正後輝度値」の領域面積をそれぞれ抽出している。
【0028】
訓練動作122において、分類器が特定色画像画素と非特定色画像画素の夜景特徴分布の差を学習し、分類判断するための分類関数を形成する。分類器への訓練動作122により、分類関数を形成する目的は、非夜景画像の場合を排除し、夜景画像を保留して以降の処理を行うためである。本実施例においては、例えば、公知の線形核サポートベクトルマシン(SVM)技術を用いて、分類関数の構築を行ってもよい。SVMは公知の方法であり、非特許文献(V.Vapnik, The Nature of Statistical Learning Theory, Springer-Verlag, New York,1995.)に該方法が記載されている。
【0029】
推測工程においては、夜景画像検知装置12により、推測すべき入力画像への処理がなされ、動作124中に、入力画像の2つの夜景特徴が抽出される。推測動作123において、訓練から得られた分類関数を用いて、入力画像の2つの夜景特徴を算出し、該入力画像が夜景画像か否かを判断する。非夜景画像と判断されると、該入力画像への処理が終了し、夜景画像と判断されると、該入力画像が特定色検知装置13へ送信され、以降の処理が行われる。
【0030】
具体的には、サポートベクトルマシン(SVM)方法においては、訓練工程で、記号付き済みの夜景画像と非夜景画像をそれぞれプラスサンプルとマイナスサンプルとしている。各サンプルにつき、例えば、前述の2つの夜景特徴のような特徴ベクトルViを抽出する。ここで、iは、サンプルの索引量であり、自然数である。pのプラスサンプルとqのマイナスサンプルを用い、総量k=p+q(ここで、k、p、qは自然数)と仮定すると、特徴ベクトル集合F={f},i=1、……、kが得られ、記号集合Y={y},i=1、……、kが得られる。ここで、Yは、特徴ベクトルfに対応する種類記号であり、下記式(2)から定義される。
【数2】

【0031】
訓練動作122前に、先ず、核関数Kを選択する。本実施例においては、下記式(3)により定義される線形核が選択されている。
【数3】

【0032】
即ち、核関数Kは、g、hの2つのベクトルにつき、これらの内積が求められる。
【0033】
訓練動作において、SVM訓練法により、特徴ベクトル集合Fから、nvのベクトルを選出してサポートベクトル集合V={V}を構成することで、分類関数を決定する。ここで、iは、索引量で、i=1、・・・・・・、nvである。なお、該算出法により、各ベクトルVに重みaが割り当てられる。
【0034】
テスト処理工程においては、推測動作123において、処理すべきテスト画像の特徴ベクトルv(前述の2つの夜景特徴を抽出)に関し、下記式(4)により定義される分類関数fun()により判断が行われる。
【数4】

【0035】
ここで、Yiは、特徴ベクトルViに対応付けられた種類記号であり、bは、該SVM訓練法により算出された定数である。
【0036】
線形核を用いる場合、上記分類関数は、下記方法で導き出され、式(5)が得られる。
【数5】

【0037】
、a、v及びnvは、訓練中の既知量であるため、
【数6】

をwと表すことができ、wは予め計算することができるため、テスト処理中の判断時間に影響を及ぼさない。
【0038】
処理すべきテスト画像の特徴ベクトルVについては、下記式(6)よりその種類記号が定義される。
【数7】

【0039】
分類関数fun()の特徴ベクトルvへの算出結果が0以上であると、特徴ベクトルVの種類記号は、1となり、特徴ベクトルvに対応するテスト画像がプラスサンプルに分類されることを表し、本実施例では該画像が夜景画像に判断されることを表し、以降の一連の判断処理が行われ、分類関数fun()の特徴ベクトルvへの算出結果が0未満であると、特徴ベクトルVの種類記号は、0となり、特徴ベクトルvに対応するテスト画像がマイナスサンプルに分類されることを表し、本実施例では該画像が非夜景画像に判断されることを表し、該画像への処理が完了し、以降の一連の判断処理が行われないことになる。
【0040】
前述のサポートベクトルマシン(SVM)方法は、訓練及び処理すべき画像への分類判断を説明するための単なる例に過ぎず、他のマシン学習方法、例えば、k−NN、adaboost等の従来の方法によっても、分類器の訓練を行うことができ、画像画素が特定色の画像画素か否かの判断を行うことができることは、言うまでもない。
【0041】
図4は、本発明の実施例による特定色検知装置13の機能概略図である。点線の左側がサンプル画像の画素による訓練工程を示し、点線の右側が処理すべき画像画素への推測処理工程を示している。訓練工程においては、特定色検知装置13が動作中に各サンプル画像画素のR,G,B値を該画像画素の色特徴として抽出している。
【0042】
訓練動作132において、分類器が特定色画像画素と非特定色画像画素の色特徴分布の差を学習し、分類判断するための分類関数を形成する。分類器への訓練動作により、分類関数を形成する目的は、各画像画素に対し、特定色画像画素か、非特定色画像画素かの判断を行うことである。本実施例においては、公知の線形核サポートベクトルマシン(SVM)技術を用いて、分類関数の構築を行ってもよい。SVMは前述のように公知の方法である。
【0043】
推測工程においては、特定色検知装置13により、推測すべき夜景画像画素への処理がなされ、動作134中に、夜景画像画素の色特徴が抽出される。推測動作133において、訓練から得られた分類関数を用いて、夜景画像画素の色特徴を算出し、特定色画像画素か、非特定色画像画素かを判断する。
【0044】
サポートベクトルマシン(SVM)による特定色検知の具体的な方法は、前述のサポートベクトルマシン(SVM)による夜景検知の方法を参考することができる。相違点としては、入力が、画像から画像画素に、夜景特徴抽出動作121が色特徴抽出動作131に変わった点である。このため、同様に、他のマシン学習方法、例えば、k−NN、adaboost等の従来の方法で、分類器の訓練を行い、画像画素が特定色の画像画素か否かの判断を行うことが可能なことも、当業者は理解できる。
【0045】
ここで、本発明の実施例においては、夜景画像検知装置13と特定色検知装置14が独立した装置となっているが、1装置の2つの手段としてもよい。このため、図3と図4において、夜景画像検知装置13で実行される訓練動作122と、特定色検知装置14で実行される訓練動作132が異なる動作として示されているが、同一手段で実行されてもよい。同様に、図3と図4において、夜景画像検知装置13で実行される推測動作123と、特定色検知装置14で実行される推測動作133が異なる動作として示されているが、同一手段で実行されてもよい。なお、図3における、既知記号の訓練画像への夜景特徴抽出動作121と未知記号の訓練画像への夜景特徴抽出動作124には、同一の特徴が用いられているが、前述のように異なるモジュールで実施されてもよく、同一のモジュールで実施されてもよい。同様に、図4における、既知記号の訓練画像への色特徴抽出動作131と未知記号の訓練画像への色特徴抽出動作134には、同一の特徴が用いられているが、前述のように異なるモジュールで実施されてもよく、同一のモジュールで実施されてもよい。本発明は、これらの実施例に制限されるものではない。
【0046】
図5は、本発明の実施例による夜景光源判断装置の機能概略図である。夜景光源判断装置14は、特定色検知装置13に接続され、特定色検知装置13の特定色検知結果に応じて、夜景画像中の特定色領域の面積を算出する特定色領域面積算出部141と、特定色領域の面積が所定の閾値以上であるか否かを判断し、該特定色領域の面積が所定の閾値未満であると、該夜景画像の処理を停止し、逆に、該特定色領域の面積が所定の閾値以上である場合は、以降の判断処理を行う、特定色領域面積判断部142と、特定色検知装置13に接続され、特定色検知装置13の特定色検知結果及び該夜景画像の各画素の補正後の輝度値に応じて、夜景画像中の特定色領域と高「補正後輝度」領域の位置とが隣り合っているか否かを判断し、特定色領域と高「補正後輝度」領域の位置とが隣り合っていない場合は、該画像の処理を停止し、逆に、特定色領域と高「補正後輝度」領域の位置とが隣り合っている場合は、該夜景画像が夜景中のある特定の光源の照射のもとで撮像されたものと判断する特定色領域位置判断部143と、を有している。
【0047】
ここで、前述の本発明の実施例において、夜景画像中の特定色領域の面積と位置により、夜景画像が夜景中のある特定の光源の照射のもとで撮像されたものか否かの判断が行われているが、夜景画像中の特定色領域の面積のみにより、夜景画像が夜景中のある特定の光源の照射のもとで撮像されたか否かの判断を行ってもよい。例えば、夜景画像中の特定色領域の面積が所定の閾値以上であると、該夜景画像を夜景中のある特定の光源の照射のもとで撮像されたものと判断してもよい。本発明は、これらの実施例に制限されるものではない。
【0048】
図6は、本発明の実施例における夜景光源検知装置1の特定色検知装置13による、夜景水銀灯検知のために行った緑色検知の結果を示している。×格子が緑色領域で、その他が非緑色領域である。
【0049】
図7は、本発明の実施例における夜景光源検知装置1の特定色検知装置13による、夜景ナトリウム灯検知のために行ったオレンジ色検知の結果を示している。×格子がオレンジ色領域で、その他が非オレンジ色領域である。
【0050】
本発明の他の実施例においては、画像が夜景中のある特定の光源の照射のもので撮像されたものか否かを判断する夜景光源検知方法を提供している。図8は、本発明の他の実施例による夜景光源検知方法のフローチャートであり、夜景光源検知装置1の画素値取得装置10により行われ、入力画像中の各画素の画素値を取得する画素値取得ステップS101と、夜景特徴抽出装置11により行われ、画素値取得ステップS101から得られた入力画像中の各画素の画素値に基づき、入力画像の平均「補正後輝度値」と高「補正後輝度値」の領域面積を抽出し、抽出された2つの夜景特徴とする夜景特徴抽出ステップS102と、夜景画像検知装置12により行われ、夜景特徴抽出ステップS102により抽出された2つの夜景特徴に基づき、入力画像が夜景画像か非夜景画像かを判断する夜景画像検知ステップS103と、特定色検知装置13により行われ、夜景画像検知ステップS103により検知された夜景画像中の各画素が特定の色に属するか否かを検知する特定色検知ステップS104と、夜景光源判断装置14により行われ、特定色検知ステップS104からの特定色の検知結果に基づき、夜景画像が夜景中のある特定の光源の照射のもとで撮像されたものか否かを判断する夜景光源判断ステップS105、が含まれる。
【0051】
上記各ステップS101〜S105の処理は、前の夜景光源検知装置1の各部による処理と同様であるため、ここでは詳細は省略する。
【0052】
明細書における一連の動作は、ハードウェアや、ソフトウェアや、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせから実行することができる。ソフトウェアにより該一連の動作を実行時には、コンピュータプログラムを専用ハードウェアに内蔵されたコンピュータのメモリにインストールし、コンピュータにより該コンピュータプログラムを実行させてもよい。或いは、コンピュータプログラムを各種処理が実行可能な汎用コンピュータにインストールし、コンピュータにより該コンピュータプログラムを実行させてもよい。
【0053】
例えば、コンピュータプログラムを記録媒体であるハードディスクやROMに予め保存するか、一時または永久的にコンピュータプログラムをフロッピや、CD−ROMや、MOや、DVDや、磁気ディスクや、半導体メモリ等のような移動記録媒体に記憶(記録)することができ、このような移動記録媒体をパッケージソフトウェアとして提供してもよい。
【0054】
前述の具体的な実施例によって、本発明を詳細に説明したが、本発明の精神を逸脱しない範囲内で、実施例への修正や代替が可能なことは言うまでもない。換言すると、本発明は説明の形式で開示されており、制限的に解釈されるものではない。本発明の要旨は、添付された請求範囲で判断されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、画像が夜景中のある特定の光源の照射のもとで撮像されたものか否かを判断する夜景光源検知装置及び夜景光源検知方法に関する分野に利用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】米国特許公開公報US20090153695A1
【特許文献2】米国特許公開公報US20090185055A1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
夜景中のある特定の光源の照射下で撮像された画像であるか否かを判断する夜景光源検知装置であって、
入力画像中の各画素の画素値を取得する画素値取得手段と、
前記画素値取得手段に接続され、前記画素値取得手段により取得された入力画像中の各画素の画素値に基づき、入力画像の平均の補正後輝度値と高い補正後輝度値の領域面積を2つの夜景特徴として抽出する夜景特徴抽出手段と、
前記夜景特徴抽出手段に接続され、前記夜景特徴抽出手段により抽出された2つの夜景特徴に基づき、入力画像が夜景画像か非夜景画像かを判断する夜景画像検知手段と、
前記夜景画像検知手段に接続され、前記夜景画像検知手段により検知された夜景画像中の各画素が特定の色に属するか否かを検知する特定色検知手段と、
前記特定色検知手段に接続され、前記特定色検知手段の特定の色の検知結果に基づき、前記夜景画像が夜景中のある特定の光源の照射下で撮像されたものであるか否かを判断する夜景光源判断手段と、を備えることを特徴とする夜景光源検知装置。
【請求項2】
前記入力画像は、マルチレベルのカラー画像であり、前記画素値は、画素の輝度チャネル値と、Rチャネル値と、Gチャネル値と、Bチャネル値が含まれる請求項1に記載の夜景光源検知装置。
【請求項3】
前記入力画像が、結像装置により最終的に形成される画像よりも、解像度の低い画像である請求項1に記載の夜景光源検知装置。
【請求項4】
前記夜景特徴抽出手段は、
前記入力画像の各画素の輝度値に対して補正を行い、補正後輝度値を取得する輝度補正部と、
補正後の入力画像の前記平均補正後輝度値と前記高い補正後輝度値の領域面積を前記2つの夜景特徴として算出する夜景特徴算出部と、を有する請求項1に記載の夜景光源検知装置。
【請求項5】
前記夜景画像検知手段は、前記抽出された2つの夜景特徴に基づいて前記入力画像が夜景画像か非夜景画像かを判断し、前記入力画像が夜景画像であると判断された場合は、前記入力画像を前記特定色検知手段へ出力し、前記入力画像が非夜景画像であると判断された場合は、前記入力画像に対する処理を終了させる請求項1に記載の夜景光源検知装置。
【請求項6】
前記夜景画像検知手段は、複数の既知の夜景サンプル画像及び複数の既知の非夜景サンプル画像を用いて訓練を行うことで、分類関数を取得する請求項5に記載の夜景光源検知装置。
【請求項7】
前記特定色検知手段は、夜景画像の各画素の色特徴に基づいて、前記夜景画像の各画素が特定色画素か非特定色画素かを判断する請求項1に記載の夜景光源検知装置。
【請求項8】
前記特定色検知手段は、複数の既知の特定色サンプル画像及び複数の既知の非特定色サンプル画像を用いて訓練を行うことで、分類関数を取得する請求項7に記載の夜景光源検知装置。
【請求項9】
前記夜景光源判断手段は、特定色検知結果に基づいて、前記夜景画像が夜景中のある特定光源の照射下で撮像されたものであるか否かを判断し、
前記夜景光源判断手段は、
夜景画像中の特定色領域の面積を算出する特定色領域面積算出部と、
前記特定色領域の面積が所定の閾値以上であるか否かを判断し、前記特定色領域の面積が所定の閾値未満であると判断された場合は、前記夜景光源判断手段の処理を終了させる特定色領域面積判断部と、
前記特定色領域の面積が所定の閾値以上と判断された場合は、夜景画像中の特定色の領域と高い補正後輝度の領域との位置が隣り合っているか否かを判断する特定色領域位置判断部と、を有し、
前記特定色の領域と高い補正後輝度の領域との位置が隣り合っている場合は、前記夜景画像が夜景中のある特定の光源の照射下で撮像されたものであると判断する請求項1に記載の夜景光源検知装置。
【請求項10】
夜景中のある特定の光源の照射下で撮像された画像であるか否かを判断する夜景光源検知方法であって、
入力画像中の各画素の画素値を取得する画素値取得ステップと、
前記画素値取得ステップにおいて取得された入力画像中の各画素の画素値に基づき、入力画像の平均の補正後輝度値と高い補正後輝度値の領域面積を2つの夜景特徴として抽出する夜景特徴抽出ステップと、
前記夜景特徴抽出ステップにおいて抽出された2つの夜景特徴に基づき、前記入力画像が夜景画像か非夜景画像かを判断する夜景画像検知ステップと、
前記夜景画像検知ステップにおいて検知された夜景画像中の各画素が特定の色に属するか否かを検知する特定色検知ステップと、
前記特定色検知ステップにおける特定の色の検知結果に基づき、前記夜景画像が夜景中のある特定の光源の照射下で撮像されたものであるか否かを判断する夜景光源判断ステップと、を含むことを特徴とする夜景光源検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−142935(P2012−142935A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−283967(P2011−283967)
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】