説明

夜間でも見える消火器

【目的】 夜間に電気照明されてなくても存在場所を認識できる消化器を提供することにある。
【構成】 消化器の容器表面に、蛍光顔料を混ぜたペンキを塗布し、夜でも消化器の場所が分かるようにする。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、夜間でも見える消化器、即ち夜間でもその存在場所が判るようにした消化器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、住宅やオフィスビル等に設置される消化器としては、あわ消化器や,二酸化炭素消化器,粉末消化器等、種々のものがあるが、いずれの消化器であっても、火災の初期において火を消すという消化器本来の目的が有効に達成できるものでなければならない。
【0003】
このため、普通火災、油火災、電気火災に対して所要の消化作用をなす機能を具備することが望まれると同時に、昼間および夜間を通して人目に付き易い存在であって火災発生の際には直ちに使用できるように管理保持することが望まれる。
【0004】
この後者の点に関し、従来の消化器は、その容器表面に赤色の塗料を塗布することにより昼光下で目立ちやすい「赤」の着色を容器に施す一方、夜間は消化器を電気照明器具により照らして消化器の設置場所を分かり易くする工夫をしている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、電気照明により夜間における消化器の存在を明らかにする方法では、例えば地震による停電や照明器具の故障等によって消化器に光が当たらなくなることがあり、緊急且つ必要なときに何処に消化器があるのか判らなくなってしまうという欠点があった。
【0006】
そこで、本考案の目的は、上記課題を解決し、設置場所が電気照明されなくなっても又は設置場所を電気照明しなくても、消化器の存在する場所を把握することのできる消化器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本考案の消化器は、消化器の容器表面に蛍光顔料を混ぜたペンキを塗布し、夜でも消化器の場所が分かるようにしたものである。この蛍光顔料としては有機蛍光顔料又は無機蛍光顔料がある。
【0008】
【作用】
消化器表面に塗布してあるペンキは、蛍光顔料を混ぜたものであるため、普通と異なった刺激的色彩を放ち、例えば公知の水溶性の有機蛍光顔料の場合は、その色彩に普通の顔料の場合と同様の選択反射光の他に、紫外線を吸収して発する蛍光が加わる。従って、夜間に停電等によって電気照明がなくなっても又は電気照明しなくても、消化器それ自体が夜間標識として機能する。このため居住者は夜でも消化器の存在する場所を把握することができる。なお、無機蛍光顔料の場合には、蓄光塗料又は夜行塗料のいずれの形態のペンキとして用いてもよい。
【0009】
【実施例】
以下、本考案を図示の実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1は、粉末消化器の外観を示したもので、容器1に重そうの乾燥粉を入れ、内部に別に放射用の小型二酸化炭素ボンベを取り付けたものである。使用するときは、止めピン2を外してハンドル3を握ることによりボンベの封板を破る。これにより、重そう粉末は二酸化炭素の圧力によりノズルから放出し、火熱により分解して二酸化炭素を発生する。
【0011】
この消化器容器1は、上側の止めピン2,ハンドル3およびホース4を具備して成る上側部分5とは別体として構成されており、内部薬剤の詰め替え時には連結金具6によって分離され、詰め替え後に再び連結金具6によって上側部分5と連結されるようになっている。なお、図2に示す7は、消化器を建物の壁などに設けたフックに引っかけるため、容器表面に突設した差し込み嵌合穴部である。
【0012】
この上側部分5とは別体として構成された消化器容器1は、その容器表面に蛍光顔料を混ぜた赤色のペイントを塗布することによって、赤く着色されている。
このため、昼光では目立つ赤色を呈すると共に、夜でも蛍光塗料によって消化器が光って見えるので、消化器の場所が分かる。
【0013】
即ち、蛍光塗料によって消化器が蛍光を発し、電気を使用しなくても光って見える。よって、地震等により火災が生じ且つ停電になったとしても、直ちに消化器の場所を探し当てることができ、パニックにならずにすむ。
【0014】
このような蛍光顔料としては、公知の有機蛍光顔料または公知の無機蛍光顔料のいずれも用いることができる。
【0015】
有機蛍光顔料としては、例えば、ジアミノスチルベン系染料,フルオレセイン,チオフラビン,エオシン,ローダミンBなどの蛍光を有する染料を、蛍光強度が最大となる濃度で、紫外線の透過率が良く、染料に障害を与えないような合成樹脂(例えば尿素樹脂の初期重合物)とともに水に溶解し、重合固化させた後、2〜3μ程度に粉砕することにより得ることができる。
【0016】
無機蛍光顔料としては、Ca,Ba,Mg,Zn,Cdなどの酸化物,硫化物,ケイ酸塩,リン酸塩,タングステン酸塩などを主成分とし、これに1〜0.01%のMn,Ag,Cu,Sb,Pbなどを活性剤として添加し、700〜1300゜Cで30分〜数時間焼成してつくることができる。これらは残光を利用して蓄光塗料をつくり、また放射性物質と混合して夜光塗料をつくる。
【0017】
上記実施例では、粉末消化器を例にして説明したが、泡消化器、二酸化炭素消化器、酸アルカリ消化器、水槽付きポンプ消化器、四塩化炭素消化器、一塩化一臭化メタン消化器などにも適用することができる。
【0018】
【考案の効果】
以上要するに本考案によれば、消化器表面に塗布してあるペンキ中の蛍光顔料が蛍光を発して普通と異なった刺激的色彩を放つ。従って、夜間に停電等によって電気照明がなくなっても又は電気照明しなくても、消化器それ自体が夜間標識として機能するため、居住者は夜でも消化器の存在する場所を把握することができる。
【提出日】平成7年1月6日

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 消化器の容器表面に蛍光顔料を混ぜたペンキを塗布し、夜でも消化器の場所が分かるようにしたことを特徴とする夜間でも見える消化器。
【請求項2】 消化器の容器表面に、有機蛍光顔料を混ぜたペンキを塗布し、夜でも消化器の場所が分かるようにしたことを特徴とする夜間でも見える消化器。
【請求項3】 消化器の容器表面に、無機蛍光顔料を混ぜたペンキを塗布し、夜でも消化器の場所が分かるようにしたことを特徴とする夜間でも見える消化器。

【図1】
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【図2】
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【登録番号】第3013495号
【登録日】平成7年(1995)5月10日
【発行日】平成7年(1995)7月18日
【考案の名称】夜間でも見える消火器
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−11662
【出願日】平成6年(1994)9月20日
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)