説明

大環状オリゴエステルを使用してコポリマーを作製するための方法およびそれらに由来するコポリマー

本発明は、コポリマーを調製するための従来の重縮合プロセスの代替案を提供する。例えば、特定の実施態様において、本発明は、大環状ポリエステルオリゴマー(MPO)が寄与する「硬質ブロック」と、ジヒドロキシル官能化ポリマー、オリゴエーテルおよび/または二量体化脂肪酸(すなわち、ポリオール)が寄与する「軟質ブロック」とを有する高分子量ブロックコポリマーを調製する、押出工程および固相重合工程を含むプロセスを提供する。本発明は、新たなプロセスにより可能となった新たなコポリマー組成物も提供し、例えば、より高い分子量のコポリマー、軟質ブロック単位の重量比が硬質ブロック単位よりも高いコポリマー、より高い分子量のポリオールから作製されるコポリマー、ならびに、それ自体、MPOおよび環状エステルが寄与する単位のランダムコポリエステルである硬質ブロック単位を有するコポリマーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に熱可塑性樹脂およびそれらから形成される物品に関する。より詳細には、特定の実施態様において、本発明は、大環状ポリエステルオリゴマー(大環状オリゴエステル、MPO)からコポリマーを調製するプロセス、ならびにそれらから生産されるコポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
大環状ポリエステルオリゴマー(大環状オリゴエステル、MPO)は、ポリエステル製品の製造に役立つ特有の物理的特性を有する。MPOは、熱硬化性樹脂について特定の加工利益を示すが、優れた靱性、優れた耐薬品性、高い耐熱性を提供し、熱成形可能であり、塗装可能であり、結合可能であり、溶接可能であり、そして再生利用が可能である熱可塑性ポリエステルを形成するために、重合することができる。例えば、MPO樹脂は、加熱されると低粘度流体に溶融する、取り扱いが容易な固体ペレットとして入手可能である。低溶融粘度は、MPO樹脂が成形型を容易に充填することまたは繊維に浸透してプリプレグを作製することを可能にする。さらに、特定のMPOは、得られるポリマーの融点よりもかなり低い温度で溶融および重合する。溶融すると、適切な触媒の存在下において、重合および結晶化は、著しい熱の発生がなく、そして揮発性有機化合物(VOC)または他の有害排出物の生成がなく、実質的に等温的に起こることができる。重合生成物は、成形型を冷却することなく取り出すことができ、器具を熱的に循環させるのに必要な時間および費用が有利に低減される。
【0003】
MPOを、適切な触媒の存在下における高温での開環重合を介して重合して、熱可塑性ポリエステルを形成することができる。「硬質ブロック」および「軟質ブロック」を有するブロックコポリマーは、その内容が全体的に本明細書に参照として組み込まれる、共有にかかる特許文献1(Wang)に記載されているように、例えば、重縮合プロセスにおいて環状ポリ(ブチレンテレフタレート)(cPBT)のようなMPOをジヒドロキシル官能化ポリマーと反応させることによって形成することができる。そのようなブロックコポリマーは、例えば、自動車の車体パネルおよび車台部品、ならびに航空機の翼外板の製造に有用である。
【0004】
しかし、重縮合を介したブロックコポリマーの商業用製造には、重縮合反応器および関連するプロセス用機器に対して大きな設備投資が必要である。大部分の重縮合システムは、単一の製品を多量に生産するために設計されており、そのようなシステムを、少量を生産することまたは素速く切り替えて複数の製品を製造することに適合させるのを困難にしている。
【0005】
さらに、重縮合を介したブロックコポリマーの製造は、特に、ジヒドロキシル官能化ポリマーのような軟質ブロック反応体を高い充填レベルで使用する場合、不十分な分子量のコポリマーをもたらすことがありうる。これは、重合反応において連鎖停止剤として作用する高濃度の種に起因する可能性がある。高分子量のコポリマーが、その有益な物理的特性のために望ましい。例えば、高分子量のコポリマーは、一般に増加した強度を示す。また、より高い固有粘度およびより高い溶融強度を示し、したがって、より少ない費用で加工することができる。
【0006】
さらに、重縮合プロセスでブロックコポリマーを生産するのに使用できる軟質ブロック反応体の種類および分子量は、混和性の問題により制限されている。軟質ブロック反応体(すなわち、ポリオール)は、典型的には、重合反応の際に相分離を抑制するために1000g/mol未満の分子量(Mw)を有さなければならない。大部分の市販のジヒドロキシル官能化ポリマーは、この理由で100g/mol未満の分子量を有する。また、ブロックコポリマーにおける「軟質ブロック」成分の重量%は、典型的には、ブロックコポリマーの全体的な分子量を十分に作り上げるために、低く保持されなければならない。しかし、このことは、過剰に長い硬質ブロック単位を持つブロックコポリマーをもたらす。さらに、極性の高いヒドロキシル官能化ポリマーは、一般に、これらが引き起こす混和性の問題を増大するので従来の重縮合プロセスにおいて不安定である。
【特許文献1】米国特許第6,436,549号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
構造および組成を広範囲の使用により良好に適合させることができるブロックコポリマーの生産方法が必要である。例えば、耐薬品性、耐熱性および高い溶融温度(すなわち、硬質ブロックによりもたらされるもの)、ならびに靱性、ヒステリシスおよび低い弾性率(すなわち、軟質ブロックによりもたらされるもの)のような望ましい物理的および化学的特性を持つブロックコポリマーを生産する製造方法が必要である。特に、軟質ブロックの総含有量が高いブロックコポリマー、ならびに極性がより高い軟質ブロックを持つブロックコポリマーを製造するための方法が必要である。従来の重縮合プロセスは、ブロックコポリマーに組み込むことができる軟質ブロック成分の種類および量を制限している。
【0008】
さらに、従来の重縮合プロセスは、高い設備投資を必要とし、一般に、1つの特定の製品を多量に作製するためのだけに設計されている。したがって、より低い設備投資を必要とし、少量の稼働での高い収量のために適合でき、そして素速い生産の切換が可能である、ブロックコポリマーの生産方法も必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の概要)
ブロックコポリマーは、大環状ポリエステルオリゴマー(MPO)(「硬質ブロック」成分)を、ジヒドロキシル官能化ポリマー、オリゴエステルおよび/または二量体化脂肪酸のような「軟質ブロック」成分と、高温および高剪断環境、例えば押出機または他の混合装置で反応させることによって作製される。
【0010】
高剪断の使用は、ブロックコポリマーへの多量の軟質ブロック成分の組み込みを可能にし、従来の重縮合法において可能となる、より高い極性の軟質ブロック成分および/またはより高い分子量の軟質ブロック成分の使用を可能にする。重縮合法に関連する混和性の問題は、最初の重合の際に、例えば押出機を使用して成分を十分に分散した状態に保持することによって克服される。MPOの特有の物理的特性は、反応容器としての押出機(または他の剪断生成装置)の使用に役立つ。
【0011】
次にコポリマー生成物の分子量を、押出しの後、生成物を真空下で、例えば、固相重合機器を使用して加熱することによって増加させることができる。このことは、構造および組成を物理的および/または化学的特性の望ましい組み合わせをもたらすように適合することができる、高分子量ポリマー生成物をもたらす。
【0012】
押出しおよび固相重合を介したブロックコポリマーの製造は、重縮合反応器または他の関連する機器を用いることなく達成することができ、したがって、ブロックコポリマーの商業用生産に必要な設備投資を低減する。ブロックコポリマーは、現存の押出機および固相重合機器を使用して、連続的、半連続的またはバッチプロセスで製造することができる。製造の柔軟性および生産性も、素速い製品の切り替えおよび少量の生産稼働での高収量により改善される。
【0013】
したがって、一つの態様において、本発明は、ブロックコポリマーを作成する方法であって、(a)(i)大環状オリゴエステル、(ii)ジヒドロキシル官能化ポリマー、オリゴエステルおよび/または二量体化脂肪酸、ならびに(iii)触媒を含む混合物を加工し、それによりブロックコポリマーを形成する工程;(b)真空下において80℃を超える温度で加熱することによってブロックコポリマーの分子量を増加させる工程を含む方法に関する。工程(a)は、例えば、1つ以上の押出機(すなわち、一軸スクリューおよび/もしくは二軸スクリュー)、ミキサー、ブレンダー、ならびに/または高剪断を生じることができる他の装置を使用して実施することができるが、特定の代替的実施態様においては、高剪断は必要がない。特定の実施態様において、工程(a)は、例えば、1つ以上の密閉式ミキサー、引出成形機、混合ミル、傾斜ボディー分散ミキサー、混練機、および/または他の適した加工機器を使用して実施される。幾つかの実施態様において、1つ以上の押出機および/または他の加工機器の組み合わせが使用される。特定の実施態様において、工程(a)で使用される装置は、分配混合と分散混合の両方を行う。工程(b)は、例えば、固相重合機器を使用して実施することができる。好ましい実施態様において、大環状オリゴエステルは、ブロックコポリマーの硬質ブロックに寄与し、成分(ii)(すなわち、ジヒドロキシル官能化ポリマー、オリゴエステル、および/または二量体化脂肪酸)は、ブロックコポリマーの軟質ブロックに寄与する。
【0014】
好ましい実施態様において、大環状オリゴエステルは、式I:
【0015】
【化5】

【0016】
〔式中、Aは、アルキレン基、シクロアルキレン基またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、そしてBは、二価の芳香族基または脂環式基である〕
で示される構造反復単位を有する。
【0017】
本方法は、従来の重縮合プロセスにより可能なものよりも高い分子量の軟質ブロック成分の使用を可能にする。例えば、工程(a)(すなわち、押出工程)の混合物は、1000g/mol超、2000g/mol超、2500g/mol超、5000g/mol超、7500g/mol超、10,000g/mol超、15,000g/mol超、20,000g/mol超、25,000g/mol超、またはそれ以上の分子量(すなわち、数平均分子量)を有するジヒドロキシル官能化ポリマーを含むことができる。
【0018】
本方法は、得られるブロックコポリマーにおいて、硬質ブロック成分より高い割合の軟質ブロック成分の組み込みを可能にする。例えば、一つの実施態様において、ブロックコポリマーにおける成分(i)が寄与している全てのブロック単位に対する成分(ii)が寄与している全てのブロック単位の重量比は、少なくとも約10:90である。別の実施態様において、この比率は、少なくとも約15:85、少なくとも約20:80、少なくとも約25:75、少なくとも約30:70、少なくとも約35:65、少なくとも約40:60、少なくとも約45:55、または少なくとも約50:50である。好ましい実施態様において、工程(a)において加工用機器(すなわち、押出機)に投入される成分(i)および成分(ii)の量は、得られるブロックコポリマーに組み込まれる成分(i)および成分(ii)の量とほぼ同じであるが、必ずしもそうである必要はない。特定の実施態様において、工程(a)は、成分(i)に対する成分(ii)の重量比を少なくとも25:75で押出機に投入することを含む。別の実施態様において、この比率は、少なくとも約15:85、少なくとも約20:80、少なくとも約25:75、少なくとも約30:70、少なくとも約35:65、少なくとも約40:60、少なくとも約45:55、または少なくとも約50:50である。特定の実施態様において、ブロックコポリマーにおける軟質ブロックと硬質ブロックの重量比は、1つ以上の望ましい物理的、化学的および/または機械的特性をもたらすように選択される。例えば、軟質ブロックと硬質ブロックの重量比は、物理的、化学的および/または機械的特性の特定の組み合わせをもたらすように選択することができる。
【0019】
同様に、使用される軟質ブロック成分の種類は、所定の特性を持つコポリマーをもたらすように選択することができる。例えば、極性の高いヒドロキシル官能化ポリマー、例えばポリエチレングリコールのようなグリコールを使用して、得られるブロックコポリマーを本質的に散逸性のポリマー(IDP)にすることができる。IDPを、例えば、市販のポリマーとのブレンドに使用して、帯電防止特性をもたらすことができる。IDPを、多数の市販のポリマー、例えばABS、ポリカーボネート、ポリスチレンおよびポリオレフィンのいずれかと、これらの特性に最低限の影響しか及ぼさないでブレンドすることができる。IDPは、帯電防止剤に優る利点を提供し、例えば、帯電防止剤は浸出するが、IDPはホストポリマーから浸出することがなく、帯電防止剤と比較すると、IDPの性能は大気湿度にそれほど左右されない。
【0020】
好ましい実施態様において、触媒はエステル交換反応触媒である。触媒は、例えば、スズ化合物および/またはチタン酸塩化合物を含む。
【0021】
一つの実施態様において、工程(b)は、押出物を真空下で熱に曝露することによって、工程(a)における押出しの後のブロックコポリマーの分子量を増加させるために実施される。例えば、特定の実施態様において、工程(b)は、ブロックコポリマーを加熱して、工程(a)の後の分子量を少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍または少なくとも約10倍に増加させることを含む。工程(b)の後、特定の実施態様において、ブロックコポリマーは、少なくとも約30,000、少なくとも約50,000、少なくとも約100,000、少なくとも約125,000、少なくとも約150,000、少なくとも約175,000、少なくとも約200,000、少なくとも約225,000、少なくとも約250,000、少なくとも約275,000または少なくとも約300,000の分子量(すなわち、GPCポリスチレン基準に対する重量平均分子量)を有する。
【0022】
本明細書で使用されるとき、用語「真空下」は、大気圧より低い圧力を意味する。特定の実施態様において、工程(b)は、約100トル以下、約20トル以下、好ましくは約5トル以下、より好ましくは約0.5トル以下の圧力で加熱することを伴う。工程(b)における加熱は、例えば、少なくとも約100℃、少なくとも約150℃、少なくとも約175℃、少なくとも約190℃、または少なくとも約200℃の温度で実施することができる。好ましい実施態様において、工程(b)における加熱は、約180℃〜約250℃、約190℃〜約240℃、または約200℃〜約220℃の温度で行われる。工程(b)における加熱は、好ましくはブロックコポリマーが固体状態の状態で行われる。特定の実施態様において、工程(b)は、ブロックコポリマーを、約2時間から約16時間、または約4時間から約8時間の時間で加熱することを伴う。加熱時間、加熱温度および/または圧力は、ブロックコポリマー、使用する機器、および/または分子量の所望の増加に応じて変わることができる。
【0023】
特定の実施態様において、大環状オリゴエステルは、アルキレンテレフタレート、例えばブチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートおよび/またはプロピレンテレフタレートである少なくとも1つのモノマー単位を含む。to
成分(ii)がジヒドロキシル官能化ポリマーを含む特定の実施態様において、ジヒドロキシル官能化ポリマーは、ジヒドロキシル官能化ポリ(アルキレンテレフタレート)、例えばジヒドロキシル官能化ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)および/またはポリ(プロピレンテレフタレート)を含む。特定の実施態様において、ジヒドロキシル官能化ポリマーは、二量体ジオール、ポリオレフィンジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリペルフルオロエーテルジオールおよび/またはポリシロキサンジオールを含む。
【0024】
成分(ii)がオリゴエーテルを含む特定の実施態様において、オリゴエーテルは、ポリ(エチレンエーテル)グリコール、ポリ(プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールおよび/またはポリ(テトラメチレンオキシド)を含む。
【0025】
成分(ii)が二量体化脂肪酸を含む特定の実施態様において、二量体化脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、エライジン酸、ユークリン酸(eucric acid)、ヒマワリ油、ダイズ油、オリーブ油、ナタネ油、綿実油およびトール油の二量体化生成物を含む。
【0026】
本発明の多様な実施態様により提供される改善された多用性に起因して、そうでなければ作製することが不可能である特有の特性をもつ新規ブロックコポリマーを生成することが可能である。例えば、ブロックコポリマーを、エステル交換反応触媒の存在下、MPO以外のエステル(すなわち、カプロラクトンまたはポリカプロラクトンのような環状エステル)と反応させて、コポリマーの硬質ブロック部分の融点および結晶性を調整することが可能である。結果は、MOPが寄与する単位とエステルが寄与する単位のランダム配置を含有するコポリマーの硬質ブロック部分である。変更された組成物は、コポリマーの硬質ブロックおよび軟質ブロック部分の全体的な混和性およびミクロ相分離特性に影響を与えることができ、それによって、コポリマーの物理的、機械的および/または化学的特性を変えることができる。
【0027】
したがって、特定の実施態様において、本方法は、(c)工程(b)の後のブロックコポリマーを、エステル交換反応触媒の存在下において高温でエステルと接触させ、それによって、成分(i)、成分(ii)およびエステルの構造単位を含むコポリエステルを生成する工程をさらに含み、ここでエステルは、式(II):
−R−O−C(O)−R− (II)
〔式中、RおよびRの各々は、独立して、二価の有機部分である〕で示される少なくとも1つの構造単位を含む。特定の実施態様において、ブロックコポリマーは、成分(ii)が寄与する単位を含む軟質ブロックを有し、ブロックコポリマーは、成分(i)および工程(c)のエステルが寄与する単位を含む硬質ブロックを有する。特定の実施態様において、硬質ブロックは、成分(i)および工程(c)のエステルが寄与するランダム化単位を含む。好ましい実施態様において、エステルはMPOと同じ種を含むことがなく、換言すると、Rが−B’−C(O)−である場合、Rは−O−A’−ではなく、ここで、A’は、アルキレン基、シクロアルキレン基またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、B’は、二価の芳香族基または脂環式基である。
【0028】
特定の実施態様において、工程(c)のエステルは、環状エステル、例えばラクトンである。ラクトンは、例えばカプロラクトンであることができる。特定の実施態様において、エステルは、脂肪族ポリエステルおよび/または芳香族ポリエステルを含む。工程(c)は、例えば、典型的なエステル交換反応条件、例えば、約100℃〜約300℃の範囲内、好ましくは約180℃〜約250℃の範囲内の温度で実施することができる。
【0029】
別の態様において、本発明は、(a)ポリマー骨格内に、式I:
【0030】
【化6】

【0031】
〔式中、Aは、アルキレン基、またはシクロアルキレン基、またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、そしてBは、二価の芳香族基または脂環式基である〕で示される少なくとも1つの構造単位および式II:
−R−O−C(O)−R− (II)
〔式中、RおよびRの各々は、独立して、二価の有機部分である〕で示される少なくとも1つの構造単位を含む第1ブロック単位と、(b)ポリマー骨格内に、式III:
−D− (III)
〔式中、Dは、アルキレン基、またはシクロアルキレン基、またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、ここでDにおける1個以上の炭素原子は、酸素原子、窒素原子または硫黄原子によって置換されていてもよい〕で示される少なくとも1つの構造単位を含む第2ブロック単位とを含む、ブロックコポリマーを提供する。特定の実施態様において、ブロックコポリマーにおける第1ブロック単位は、式IおよびIIの構造単位のランダム配置を含む。ブロックコポリマーは、例えば、本明細書に記載された方法を介して製造することができる。特定の実施態様において、Dは、ポリアルキレンエーテル、ポリエチレンエーテル、ポロプロピレンエーテル、ポリメチレンエーテル、ポリオレフィン、ポリカプロラクトン、ポリペルフルオロエーテル、二量体ジオールおよび/またはポリシロキサンジオールを含む。好ましい実施態様において、Rが−B’−C(O)−である場合、Rは−O−A’−ではなく、ここで、A’は、アルキレン基、シクロアルキレン基またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、B’は、二価の芳香族基または脂環式基である。
【0032】
特定の実施態様において、ブロックコポリマーは、少なくとも約30,000、少なくとも約50,000、少なくとも約100,000、少なくとも約125,000、少なくとも約150,000、少なくとも約175,000、少なくとも約200,000、少なくとも約225,000、少なくとも約250,000、少なくとも約275,000または少なくとも約300,000の分子量(すなわち、GPCポリスチレン基準に対する重量平均分子量)を有する。
【0033】
一つの実施態様において、全ての第2ブロック単位と全ての第1ブロック単位の重量比は、少なくとも約10:90である。別の実施態様において、この比率は、少なくとも約15:85、少なくとも約20:80、少なくとも約25:75、少なくとも約30:70、少なくとも約35:65、少なくとも約40:60、少なくとも約45:55、または少なくとも約50:50である。特定の実施態様において、ブロックコポリマーは、本質的に散逸性である。例えば、全ての第2ブロック単位と全ての第1ブロック単位の重量比は、ブロックコポリマーを本質的に散逸性のポリマー(IDP)にするのに十分なほど高くなるように選択することができる。
【0034】
さらに別の態様において、本発明は、(a)(i)ポリマー骨格内に、式I:
【0035】
【化7】

【0036】
〔式中、Aは、アルキレン基、またはシクロアルキレン基、またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、そしてBは、二価の芳香族基または脂環式基である〕で示される少なくとも1つの構造単位を含む第1ブロック単位、および(ii)ポリマー骨格内に、式III:
−D− (III)
〔式中、Dは、アルキレン基、またはシクロアルキレン基、またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、ここでDにおける1個以上の炭素原子は、酸素原子、窒素原子または硫黄原子によって置換されていてもよい〕で示される少なくとも1つの構造単位を含む第2ブロック単位を含むブロックコポリマーと、(b)ヒドロキシル官能化ポリマー、オリゴエーテルおよび二量体化脂肪酸のうちの少なくとも1つとを含むブレンドを提供する。一つの実施態様において、このブレンドの成分(b)はポリエチレングリコールを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
(詳細な説明)
ブロックコポリマーは、大環状オリゴエステル(MPO)およびジヒドロキシル官能化ポリマー(および/またはオリゴエステル、二量体化脂肪酸および/もしくはブロックコポリマーの他の軟質ブロック成分)を、エステル交換反応触媒の存在下で、押し出すこと(そうでなければ、一緒に剪断すること)によって調製される。得られるブロックコポリマーの分子量は、真空下(大気圧より低い圧力下)で固体押出物を加熱することによって増加する。
【0038】
押出機における剪断の適用は、最初の重合工程の際に軟質ブロック成分がMPOで分散された状態を保つ。従来の重縮合プロセスに関連する混和性の問題が克服され、本方法は、より高い分子量および/またはより高い極性のものを含む、多種多様な軟質ブロック成分の使用を可能にする。押出機の使用は、分子量を固相重合により増加することができるブロックコポリマーをもたらす。
【0039】
特定の実施態様において、本発明は、ブロックコポリマーを生産するのに重縮合反応器を使用する従来のプロセスに優る利点を提供する。例えば、より高い充填レベルのジヒドロキシル官能化ポリマー(および/または他の軟質ブロック成分)を用いてより高い分子量のブロックコポリマーを生産することが可能である。その結果、ブロックコポリマーの物理的、機械的および化学的特性を、望ましい用途により良好に合わせることができる。
【0040】
コポリマーは、押出機および固相重合機器を使用して、例えば、連続的、半連続的またはバッチプロセスで製造することができる。特定の実施態様において、本発明は、重縮合プロセスにおいて典型的に必要なより高価な反応器の使用を不要にする。そのような反応器は、一般に極めて技術的であり、エネルギー集約的である。特定の実施態様において、本発明は、より素速い生産の切換および少量の稼働での高い収量を可能にすることによって、生産の柔軟性および生産性を増加させる。
【0041】
特定の実施態様において、本発明の方法を、プラスチック部分の製造における他の単位操作、例えば成形、射出成形、押出、引抜成形、粉末被覆を含むプロセスおよび/または例えば、その開示が全体として本明細書に組み込まれる、共有米国特許第6,369,157号(Wincklerら)および共有米国特許第6,420,047号(Wincklerら)に記載されているいずれかのプロセスの使用に適合することができる。
【0042】
本明細書に記載されている組成物および方法を、多様な大きさおよび形状の物品の製造に使用することができる。製造することができる物品には、例えば、自動車の車体パネルおよび車台部品、バンパービーム、航空機の翼外板、風車の羽根、流体貯蔵タンク、トラクターのフェンダー、テニスラケット、ゴルフクラブのシャフト、ウインドサーフィン用マスト、玩具、ロッド、チューブ、バー、自転車部品および機械用ハウジングが挙げられる。
【0043】
これらの物品の製造において、追加的な成分および/または充填剤を加えることができる。例示的な添加剤には、例えば、着色剤、顔料、磁気材料、酸化防止剤、UV安定剤、可塑剤、難燃剤、潤滑剤、離型剤および/または他の充填剤が挙げられる。
【0044】
特定の実施態様において、溶媒を用いて、例えば、押出機(またはミキサー、または他の剪断生成単位操作)における大環状ポリエステルオリゴマーと軟質ブロック成分および触媒との均一な混合を助けることができる。多様な溶媒を使用することができ、一般に、溶媒は触媒の不活性化を避けるために実質的に水を含むべきではないということ以外は、使用できる溶媒の種類に関して制限はない。本発明に用いることができる溶媒の例示的な例には、o−ジクロロベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、ベンゼン、o−キシレン、クロロベンゼン、ジクロロメタンおよびクロロホルムが挙げられる。
【0045】
特定の実施態様において、本発明は、MPO(硬質ブロック反応体)、軟質ブロック反応体(ジヒドロキシル官能化ポリマー、オリゴエーテルおよび/または二量体化脂肪酸)、ならびに触媒を含む、すぐに重合できる1パートブレンドに関する。ブレンドは、1つ以上の充填剤および/または他の物質を含有することもできる。1パートブレンドは、MPOが有意に早期重合することなく、そして触媒が有意に不活性することなく、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも1週間、少なくとも1か月、もしくは少なくとも1年またはそれ以上安定した状態を維持する。MPOを重合することが望ましい場合、1パートブレンドを、MPOを溶融および重合するのに十分な温度に曝露し、そうすると、重合および結晶化が実施的に等温的に起こることができる。ブレンドを、例えば、成形、射出成形、押出、引抜成形、および/または、例えば、内容が全体として本明細書に組み込まれる、共有米国特許第6,420,047号(Wincklerら)に記載されているいずれかのプロセスを介して製品を調製するために、すぐに重合できる1パートブレンドとして使用することができる。
【0046】
請求される本発明の実施態様である、方法、システムおよびプロセスは、本明細書に記載されている実施態様からの情報を使用して開発した規模拡大、変形および適応を包含することが考慮される。例えば、本発明の実施態様は、その実現性が本明細書に記載されている実験室規模の実験で証明されている、実験工場および工場規模の製造プロセスを含む。本明細書に記載されているプロセスは、バッチ、半連続的および/または連続的な操作により実施することができる。実験室から工場規模へのシステムの規模拡大は、ポリマー製造および加工の分野の当業者により実施することができる。例えば、この分野の当業者は、プロセス用機器を選択すること、動態学データを得るために実験を設計すること、機器およびプロセス設計のモデルを開発および適用すること、経済的に最適な機器およびプロセス設計を開発すること、ならびに/または実験工場および/もしくは全規模反応器実験を介して機器およびプロセスの設計を確認することができる。請求される発明の方法、システムおよびプロセスが、ポリマー製造および加工の分野の当業者に既知のポンプ、熱交換機、ならびに気相−、液相−および/または固相材料取扱機器を含むことができることも考慮される。
【0047】
記載の全体を通して、組成物、混合物、ブレンドおよび複合体が、特定の成分を有する、含めるまたは含むと記載されている、またはプロセスおよび方法が、特定の工程を有する、含めるまたは含むと記載されている場合、記述された化合物から実質的に成る、もしくはから成る本発明の組成物、混合物、ブレンドおよび複合体、ならびに記述された工程から実質的に構成されるもしくは構成される本発明のプロセスおよび方法が、追加的に、存在することが考慮される。
【0048】
工程の順番または特定の作用を実施する順番は、本発明が操作可能な状態を維持している限り重要ではないことが理解されるべきである。さらに、2つ以上の工程または作用を同時に実施することができる。
【0049】
本明細書の、例えば背景のセクションに記述されている公報は、いずれも、公報が本明細書に示されているいずれかの請求項に関して従来技術としての役割を果たすことの容認ではない。背景のセクションは、明確さの目的のために示されており、いずれかの請求項に関する従来技術の記載を意味しない。
【0050】
以下の一般的な定義は、本明細書に使用されている多様な用語および表現を理解するのを助けることができる。
【0051】
(定義)
本明細書で使用されるとき、「大環状」は、共有的に結合して環を形成する5個以上の原子を含有する分子構造内に、少なくとも1つの環を有する環状分子を意味することが理解される。
【0052】
本明細書で使用されるとき、「オリゴマー」は、同じまたは異なる式の1つ以上の確認されうる構造反復単位を含有する分子を意味することが理解される。
【0053】
本明細書で使用されるとき、「大環状ポリエステルオリゴマー」(MPO)は、エステル官能基を有する構造反復単位を含有する大環状オリゴマーを意味することが理解される。大環状ポリエステルオリゴマーは、典型的には1つの特定の反復単位の式の複数の分子を意味する。しかし、大環状ポリエステルオリゴマーは、異なる数の同じまたは異なる構造反復単位を有する、異なるまたは混合式の複数の分子を含むこともできる。加えて、大環状ポリエステルオリゴマーは、コポリエステルまたは多成分ポリエステルオリゴマー、すなわち、1つの環状分子内にエステル官能基を有する2つ以上の異なる構造反復単位を有するオリゴマーであることができる。
【0054】
本明細書で使用されるとき、「実質的にホモ−またはコポリエステルオリゴマー」は、構造反復単位が実質的に同一であるかまたはそれぞれ2つ以上の異なる構造反復単位から実質的に構成されるポリエステルオリゴマーを意味することが理解される。
【0055】
本明細書で使用されるとき、「アルキレン基」は、−C2n−を意味することが理解され、ここでn≧2である。
【0056】
本明細書で使用されるとき、「シクロアルキレン基」は、環状アルキレン基−C2n−x−を意味することが理解され、ここでxは、環化により代えられているHの数を表す。
【0057】
本明細書で使用されるとき、「モノ−またはポリアルキレン基」は、〔−(CH−O−〕−(CH−を意味することが理解され、ここで、mは、1を超える整数であり、そしてnは、0を超える整数である。
【0058】
本明細書で使用されるとき、「二価の芳香族基」は、大環状分子の他の部分に結合している芳香族基を意味することが理解される。例えば、二価芳香族基は、メタ−またはパラ−結合単環式芳香族基(例えば、ベンゼン)を含むことができる。
【0059】
本明細書で使用されるとき、「脂環式基」は、その中に環状構造を含有する非芳香族炭化水素基を意味することが理解される。
【0060】
本明細書で使用されるとき、「充填剤」は、MPOを含有するブレンドに含まれることができ、MPO含有ブレンドの重合の結果としてポリマー組成物に存在することができる、大環状ポリエステルオリゴマーまたは重合触媒以外の材料を意味することが理解される。充填剤は、所望の目的または特性を達成するために使用することができ、得られるポリエステルポリマーに既知および/または不明の物質として存在するまたはそれらに変換されることができる。例えば、充填剤の目的は、化学、熱もしくは光安定性をブレンド材料もしくはポリマー組成物にもたらすこと、ポリマー組成物/生成物の強度を増加させること、ならびに/またはブレンド材料および/もしくはポリマー組成物の導電性および/もしくは熱伝導性を増加させることであることができる。充填剤は、また、色彩を提供または低減すること、重量または嵩をもたらして特定の密度を達成すること、気体および蒸気の透過性に低減をもたらすこと、耐炎性もしくは煤煙耐性をもたらすこと(すなわち、難燃性になること)、より高価な材料の代替品になること、加工を促進すること、ならびに/または他の望ましい特性をもたらすことができる。充填剤の例示的な例は、とりわけ、グラファイト、薄片グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、炭素繊維、バックミンスターフラーレン、ダイヤモンド、無水ケイ酸マグネシウム(無水タルク)、ヒュームドシリカ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、チョップトファイバー、フライアッシュ、ガラス、ガラス繊維、摩砕ガラス繊維、ガラス微細球、微小中空球、砕石、ナノ粘土、線状ポリマー、モノマー、分岐鎖ポリマー、エンジニアリングレジン、耐衝撃性改良剤、有機粘土および顔料である。複数の充填剤を、例えば特性の均衡を達成するために、MPOブレンドに含めることができる。例えば、耐衝撃性改良剤を、薄片グラファイトを含有するMPOブレンドに加えることができ、それによって得られるブレンドおよび/またはポリマー組成物は、高い耐衝撃性と同時に高い導電性を示す。
【0061】
本明細書で使用されるとき、「C1−4第一級アルキル基」は、第一級炭素原子を介して結合している1〜4個の原子を有するアルキル基を意味することが理解される。
【0062】
本明細書で使用されるとき、「C1−10アルキル基」は、直鎖または分岐鎖ラジカルを含む、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基を意味することが理解される。
【0063】
本明細書で使用されるとき、「メチレン基」は、−CH−を意味することが理解される。
【0064】
本明細書で使用されるとき、「エチレン基」は、−CH−CH−を意味することが理解される。
【0065】
本明細書で使用されるとき、「C2−3アルキレン基」は、−C2n−を意味することが理解され、ここでnは2または3である。
【0066】
本明細書で使用されるとき、「C2−6アルキレン基」は、−C2n−を意味することが理解され、ここでnは2〜6である。
【0067】
本明細書で使用されるとき、「ジヒドロキシル官能化ポリマー」は、少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有するポリマーを意味することが理解される。典型的には、少なくとも2つのヒドロキシル官能基は、ポリマー鎖の末端にある。しかし、ポリマーは、分岐鎖であることができ、ポリマー鎖の2つ以上の分岐鎖は、それぞれヒドロキシル官能化末端を有することができる。
【0068】
本明細書で使用されるとき、「オリゴエーテル」は、エーテル官能基を有する構造反復単位を含有するオリゴマーを意味することが理解される。
【0069】
本明細書で使用されるとき、「二量体化脂肪酸」は、単または多不飽和脂肪剤の二量体化生成物を意味することが理解される。
【0070】
以下の標題は、一般的な構成上の手引きとして提供されており、本発明の提示されているいずれかの要素についての支持を記載の特定のセクションに限定する役割はない。
【0071】
(I.大環状ポリエステルオリゴマー)
大環状ポリエステルオリゴマーは、大環状オリゴエステルとも呼ばれ、本明細書においてMPOと略される。多くの異なるMPOを作製することができ、本発明の多様な実施態様において有用である。したがって、ブロックコポリマーの所望の特性に応じて、その製造に使用するために適切なMPOを選択することができる。
【0072】
本発明に用いることができるMPOには、式I:
【0073】
【化8】

【0074】
〔式中、Aは、アルキレン基、またはシクロアルキレン基、またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、そしてBは、二価の芳香族基または脂環式基である〕
で示される構造反復単位を有する大環状ポリ(アルキレンジカルボキシレート)オリゴマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
好ましいMPOには、大環状ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)(cPBT)、大環状ポリ(1,3−プロピレンテレフタレート)(cPPT)、大環状ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)(cPCT)、大環状ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)および大環状ポリ(1,2−エチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレート)(cPEN)オリゴマー、ならびに2つ以上の上記のモノマー反復単位を含むコポリエステルオリゴマーが挙げられる。
【0076】
MPOは、既知の方法により調製することができる。好ましいMPOの合成は、式:HO−A−OHの少なくとも1つのジオールを、式IV:
【0077】
【化9】

【0078】
〔式中、AおよびBは、上記で同義されたとおりである〕で示される少なくとも1つの二酸塩化物と接触させる工程を含むことができる。反応は、典型的には、塩基性窒素原子の周りに実質的に立体障害を有さない、少なくとも1つのアミンの存在下で実施される。そのようなアミンの例示的な例は、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン(DABCO)である。反応は、通常、塩化メチレンのような実質的に水不混和性有機溶媒中、実質的に無水の条件下で実施される。反応の温度は、典型的には、約−25℃〜約25℃である。例えば、米国特許第5,039,783号(Brunelleら)を参照すること。
【0079】
MPOは、また、二酸塩化物と、少なくとも1つのビス(4−ヒドロキシブチル)テレフタレートのようなビス(ヒドロキシアミン)エステルとの、高度に非障害されているアミンの存在下、またはそれと少なくとも1つのトリエチルアミンのような他の第三級アミンの混合物の存在下、塩化メチレン、クロロベンゼンまたはこれらの混合物のような実質的に不活性な有機溶媒中での縮合を介して調製される。例えば、米国特許第5,231,161号(Brunelleら)を参照すること。
【0080】
MPOを調製する別の方法は、線状ポリエステルポリマーを、有機スズまたはチタン酸塩化合物の存在下で解重合させることである。この方法において、線状ポリエステルは、線状ポリエステルと、有機溶媒と、スズまたはチタン化合物のようなエステル交換反応触媒との混合物を加熱することにより、大環状ポリエステルオリゴマーに変換される。o−キシレンおよびo−ジクロロベンゼンのような使用される溶媒は、通常、実質的に酸素および水を含まない。例えば、米国特許第5,407,984号(Brunelleら)および同第5,668,186号(Brunelleら)を参照すること。低酸ポリアルキレンテレフタレートの生成および解重合によってMPOを調製することは、共有米国特許出願第60/665,648号(Phelpsら)に記載されている。
【0081】
MPOは、ジカルボン酸またはジカルボキシレートを触媒の存在下で接触させて、ヒドロキシアルキル末端ポリエステルオリゴマーを含む組成物を生成することによって、中分子量ポリエステルから調製される。ヒドロキシアルキル末端ポリエステルオリゴマーを加熱して、好ましくは約20,000ダルトンから約70,000ダルトンの分子量を有する中分子量ポリエステルを含む組成物を生成する。中分子量ポリエステルを加熱し、溶媒を、加熱プロセスの前または間に加えて、MPOを含む組成物を生成する。例えば、米国特許第6,525,164号(Faler)を参照すること。
【0082】
実質的に大環状コオリゴエステルを含まないMPOは、共有米国特許第6787,632号(Phelpsら)に記載されている有機チタン酸塩触媒を使用してポリエステルを解重合することによって、調製される。
【0083】
大環状ホモ−およびコポリエステルオリゴマーを用いることも、本発明の範囲内である。したがって、特に記述のない限り、大環状ポリエステルオリゴマーを参照する組成物、物品、プロセスまたは方法の実施態様は、コポリエステルの実施態様も含む。
【0084】
一つの実施態様において、本発明で使用される大環状エステルホモ−およびコオリゴマーは、式V:
【0085】
【化10】

【0086】
〔式中、A’は、アルキレン基、シクロアルキレン基またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、ここでA’は、置換、非置換、分岐鎖および/または直鎖であってもよい〕で示される一般的な反復単位を有するオリゴマーを含む。この種類のMPOの例には、ブチロラクトンおよびカプロラクトン(重合度は1である)、ならびに2,5−ジオキソ−1,4−ジオキサンおよびラクチド(重合度は2である)が挙げられる。あるいは、重合度は3、4、5またはそれ以上であることができる。2,5−ジオキソ−1,4−ジオキサンおよびラクチドの分子構造を、それぞれ、下記(式VIおよびVII)に示す:
【0087】
【化11】

【0088】
本発明の多様な実施態様に使用されるMPOは、一般に、異なる重合度の種を含む。ここで、MPOに関して重合度(DP)とは、オリゴマー主鎖における確認される構造反復単位の数を意味する。構造反復単位は、同一または異なる分子構造を有することができる。例えば、MPOは、二量体、三量体、四量体、五量体および/または他の種を含むことができる。
【0089】
特定の実施態様において、MPOは、約30〜約45重量%の二量体種、約30〜約45重量%の三量体種、約0〜約10重量%の四量体種、および約5重量%〜約20重量%の五量体種を含む組成物である。この範囲外のMPO配合物を使用することもできる。本発明の特定の実施態様は、MPOの組成物を改質することを含む。MOPの組成物を改質する多様な例示的方法は、共有米国特許6,436,548号に記載されている。
【0090】
(II.ジヒドロキシル官能化ポリマー、オリゴマーおよび二量体化脂肪酸)
多様なジヒドロキシル官能化ポリマー、オリゴマーおよび二量体化脂肪酸は、本発明の実施態様の実施において有用である。したがって、最終ポリエステルポリマー生成物の所望の特性に応じて、適切なジヒドロキシル官能化ポリマー、オリゴマーおよび/または二量体化脂肪酸を、製造おいて選択することができる。
【0091】
本発明の多様な実施態様に用いられるジヒドロキシル官能化ポリマーは、大環状ポリエステルオリゴマーとエステル交換条件下で反応してブロックコポリマーを形成することができる、任意のジヒドロキシル官能化ポリマーを含む。これらのジヒドロキシル官能化ポリマーの例示的な例には、ジヒドロキシル官能化ポリ(アルキレンテレフタレート)、ジヒドロキシル官能化ポリ(エチレンテレフタレート)、ジヒドロキシル官能化ポリ(ブチレンテレフタレート)、二量体ジオール、ポリオレフィンジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリペルフルオロエーテルジオール、およびポリシロキサンジオールが挙げられる。これらのジヒドロキシル官能化ポリマーの大部分または全ては、市販されている。
【0092】
本発明の多様な実施態様に用いられるオリゴエーテルは、MPOとエステル交換条件下で反応してブロックコポリマーを形成することができる、任意のオリゴエーテルを含む。これらのオリゴエーテルには、例えば、ポリ(アルキレンエーテル)グリコールおよびポリ(アルキレンオキシド)、例えばポリ(エチレンエーテル)グリコール、ポリ(プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールおよびポリ(テトラメチレンオキシド)が挙げられる。これらのオリゴエーテルは、市販されており、例えば、E.I. duPont Nemours and Companyにより製造されるTerathane(登録商標)2900が挙げられる。
【0093】
本発明の多様な実施態様に用いられる二量体化脂肪酸は、MPOとエステル交換条件下で反応してブロックコポリマーを形成することができる、任意の二量体化脂肪酸を含む。本発明に使用される二量体化脂肪酸の例示的な例には、例えば、オレイン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、エライジン酸およびユークリン酸の二量体化生成物が挙げられる。例えば、ヒマワリ油、ダイズ油、オリーブ油、ナタネ油、綿実油およびトール油を含む天然の油脂の加水分解により得られる二量体化生成物も、本発明において使用することができる。これらの二量体化脂肪酸は市販されている。
【0094】
本発明のコポリマーは、1つ以上のMPOの硬質ブロック(硬質ブロックオリゴマー)と、ジヒドロキシル官能化ポリマー、オリゴエーテルおよび二量体化脂肪酸のうちの少なくとも1つの軟質ブロック(軟質ブロックオリゴマー)とを有するコポリマーを含む。特定の実施態様において、軟質ブロックオリゴマーと硬質ブロックオリゴマーの重量比は、少なくとも約10:90、少なくとも約15:85、少なくとも約20:80、少なくとも約25:75、少なくとも約30:70、少なくとも約35:65、少なくとも約40:60、少なくとも約45:55、または少なくとも約50:50である。
【0095】
多様な実施態様において使用されるジヒドロキシル官能化ポリマー、オリゴエーテルおよび二量体化脂肪酸は、例えば、1000g/mol超、2000g/mol超、2500g/mol超、5000g/mol超、7500g/mol超、10,000g/mol超、15,000g/mol超、20,000g/mol超、または25,000g/mol超の分子量(すなわち、数平均分子量)を有することができる。一つの実施態様において、使用されるジヒドロキシル官能化ポリマー、オリゴエーテルおよび/または二量体化脂肪酸は、約1000〜約100,000の範囲内の分子量を有する。別の実施態様において、分子量は、約1000〜約10,000の範囲内である。
【0096】
(III.共重合触媒)
本発明の特定の実施態様において用いられる触媒は、MPOと軟質ブロックオリゴマー(すなわち、ジヒドロキシル官能化ポリマー)によるブロックコポリマーの生成における反応を触媒することができる。MPOのエステル−エステル交換に基づく環状開環重合を実施する最新のプロセスと同様に、有機スズおよび有機チタン酸塩化合物が好ましい触媒であるが、他の触媒を使用することもできる。例えば、使用することができる触媒には、共有米国特許第5,407,984号(Brunelleら);同第5,498,651号(Brunelle);同第5,527,976号(Takekoshiら);同第5,661,214号(Brunelleら);および同第5,710,086号(Brunelleら)に記載されているものが挙げられる。例えば、ブチルスズクロリドジヒドロキシド(すなわち、n−ブチルスズ(IV)クロリドジヒドロキシド)を触媒として使用することができる。他の例示的な有機スズ化合物には、ジ−n−ブチルスズ(IV)オキシドおよびジ−n−オクチルスズオキシドのようなジアルキルスズ(IV)オキシド、n−ブチルスズトリ−n−ブトキシドのような非環式および環状モノアルキルスズ(IV)誘導体、ジ−n−ブチルスズ(IV)ジ−n−ブトキシドおよび2,2−ジ−n−ブチル−2−スタンナ−1,3−ジオキサシクロヘプタンのようなジアルキルスズ(IV)ジアルコキシド、ならびにトリブチルスズエトキシドのようなトリアルキルスズアルコキシドが挙げられる。重合触媒として使用することができる別の例示的な有機スズ化合物は、1,1,6,6−テトラ−n−ブチル−1,6−ジスタンナ−2,5,7,10−テトラオキサシクロデカンである。例えば、米国特許第5,348,985号(Pearceら)を参照すること。
【0097】
また、下記に示される一般式VIIIを有するトリススタンノキサンを重合触媒として使用して、分岐鎖ポリエステルコポリマーを生成することができる。
【0098】
【化12】

【0099】
式中、Rは、C1−4第一級アルキル基であり、そしてRは、C1−10アルキル基である。
【0100】
加えて、下記に示されている一般式IXを有する有機スズ化合物を重合触媒として使用して、MPOおよび軟質ブロックオリゴマーから分岐鎖ポリエステルコポリマーを調製することができる:
【0101】
【化13】

【0102】
式中、Rは上記で定義されたとおりである。
【0103】
触媒として使用することができるチタン酸塩化合物の例には、下記に示されている一般式Xを有するテトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートおよびチタネートテトラアルコキシド化合物が挙げられる:
【0104】
【化14】

【0105】
式中、Rの各々は、独立して、アルキル基であるか、または2つのR基は、一緒になって、二価脂肪族炭化水素基を形成し、Rは、C2−10二価または三価の脂肪族炭化水素基であり、Rは、メチレンまたはエチレン基であり、そしてnは、0または1である。上記の一般式Xを有するこれらのチタン酸塩化合物の例は、表1に示されている:
(表1.式Xを有するチタン酸塩化合物の例)
【0106】
【表1】

【0107】
下記に示されている一般式XIまたは式XIIの少なくとも1つの部分を有するチタン酸エステル化合物も、触媒として使用することができる。
【0108】
【化15】

【0109】
式中、Rの各々は、独立して、C2−3アルキレン基であり;Rは、C1−6アルキル基または非置換もしくは置換フェニル基であり;Zは、OまたはNであるが、但し、ZがOの場合は、m=n=0であり、ZがNの場合は、m=0または1であり、m+n=1であり;Rの各々は、独立して、C2−6アルキレン基であり;そしてqは、0または1である。
【0110】
そのようなチタン酸塩化合物の例は、式XIIIおよび式XIVとして下記に示されている:
【0111】
【化16】

【0112】
使用することができる他の触媒には、例えば、共有米国特許第6,906,147号(Wang)に記載されているアリールチタネートを挙げることができる。また、ポリマー含有有機金属触媒を本発明において使用することができる。これらには、共有米国特許第6,831,138号(Wang)に記載されているポリマー含有触媒が挙げられる。
【0113】
一つの実施態様において、重合触媒は、モノマー反復単位100molあたり約0.01mol〜約10molの範囲内で存在する。使用することができる触媒の量は、目的の系を用いた実験によって決定することができる。
【0114】
(IV.ブロックコポリマー)
特定の実施態様において、ブロックコポリマーは、1つ以上の、硬質ブロック成分である大環状ポリエステルオリゴマー(MPO)を、押出機、ミキサー、ブレンダーまたは他の剪断生成装置において、ジヒドロキシル官能化ポリマー、オリゴマーおよび/または二量体化脂肪酸を含む軟質ブロック成分と反応させることによって作製される。反応は、剪断生成装置において、触媒の存在下にて高温で実施される。
【0115】
ブロックコポリマーを生成するのに使用される混合物の成分を、これらが押出、混合またはブレンドの際にある時点で互いに接触する限り、任意の順序で押出機に導入することができる。MPOと軟質ブロックオリゴマーの接触は、MPOによる軟質ブロックオリゴマーの分散を増強する任意の剪断プロセスを介して達成することができる。好ましくは、剪断は、押出機、例えば一軸スクリューまたは二軸スクリュー押出機において生じる。剪断プロセスは、バッチプロセスであることができるか、または連続的もしくは半連続的プロセスであることができる。
【0116】
混合物成分の反応は、高温で実施される。反応は、好ましくは、約130℃〜約300℃の範囲内の温度で実施される。特定の実施態様において、反応は、約230℃〜約260℃の範囲内の温度で実施される。温度は、押出機の全体にわたって変わることができる。反応は、大気圧で、大気圧を超えてまたは大気圧より低く実施することができる。例えば、反応は、窒素もしくはアルゴンのような不活性ガス下で、または真空下で実施することができる。
【0117】
押出機におけるブロック共重合反応は、一般に、例えば数分以内に完了し、この時間は、押出機中の材料の平均滞留時間として設定することができる。特定の実施態様において、反応は、より速くまたは遅く生じることができる。反応の持続時間は、多様な要因、例えば、反応の所望の程度、押出工程後(固相重合の前)の所望の分子量、反応体の粘度(押出機全体に影響を与える)、反応体の濃度および種類、触媒の濃度および種類、MPOと軟質ブロックオリゴマーの比率、温度、圧力、ならびに他の反応条件によって左右される。
【0118】
ブロックコポリマーの収率は、例えば、大環状オリゴエステル、ジヒドロキシル官能化ポリマー、オリゴエーテル、二量体化脂肪酸、触媒などを含む反応体の量および種類、反応時間、ならびに反応条件の関数である。特定の実施態様において、ブロックコポリマーの収率は、例えば、消費されるMPOの量に基づいて、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、または約95%超である。
【0119】
好ましい実施態様において、押出反応生成物は、固体であるか、または固体になり、固相重合を受けて、その分子量を増加することができる。特定の実施態様において、押出ブロックコポリマーは、硬質ブロックおよび軟質ブロックを含む。硬質ブロックは、好ましくは、MPOが寄与するポリエステル基を含み、軟質ブロックは、好ましくは、ジヒドロキシル官能化ポリマー、オリゴエーテルおよび/または二量体化脂肪酸が寄与する、置換もしくは非置換アルキレン、シクロアルキレン、またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基を含む。硬質ブロックと軟質ブロックの比率は、望ましい物理的特性をもたらすように選択することができる。例えば、硬質ブロックと軟質ブロックの比率が低いブロックコポリマーは、増加した靱性を示し、弾性になり、幾つかの場合では、本質的に散逸性のポリマー(IDP)をもたらす。
【0120】
(V.ブロックコポリマーを加熱して分子量を増加させる)
特定の実施態様において、押出ブロックコポリマーは、押し出されたときに比較的低分子量を有し、追加的な工程を実施して、その分子量を増加させる。特定の実施態様において、押出ブロックコポリマーを、大気圧より低い圧力(すなわち、真空下)で加熱する。一般に、追加的な触媒を添加する必要はないが、特定の実施態様では、追加の触媒をこの加熱工程の前に添加する(すなわち、最初の重合の際に使用された触媒と同じまたは異なる触媒である)。特定の実施態様において、幾つかの残留活性触媒が最初の重合の後に残り、続く加熱工程に有用であるが、特定の実施態様では、固相重合を実施するのに活性触媒は必要ではない。
【0121】
特定の実施態様において、ブロックコポリマーを、約180℃〜約250℃、約190℃〜約240℃、または約200℃〜約220℃の範囲内の温度で加熱する。特定の実施態様において、加熱温度は、少なくとも約100℃、少なくとも約150℃、少なくとも約175℃、少なくとも約190℃、または少なくとも約200℃である。一般に、より高い温度での分子量の増加のためには、より少ない時間しか必要ではない。温度は、ブロックコポリマー、触媒、所望の分子量、所望の反応時間および他の要因に応じて選択することができる。特定の実施態様において、固相重合が実施され、ここでブロックコポリマーを真空下、換言すると大気圧より低い圧力で加熱する。特定の実施態様において、真空は、圧力が約100トル以下、約20トル以下、約5トル以下、または約0.5トル以下となるよう引かれる。ブロックコポリマーは、好ましくは、約16時間まで加熱されるが、それより長く加熱することもできる。特定の実施態様において、ブロックコポリマーは、約2時間から約16時間、または約4時間から約8時間の時間で加熱される。この加熱工程は、固相重合機器を使用して実施することができるが、他のプロセス機器を使用することもできる。一つの実施態様において、最初の重合を実施するにの使用されるプロセス機器は、分子量増加工程を実施するのに使用される機器と同じであるが、一般に、2つの工程は、異なるプロセス機器を使用して実施される。
【0122】
特定の実施態様において、加熱工程は、ブロックコポリマーの分子量を少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍または少なくとも約10倍に増加させる。分子量増加工程の後、特定の実施態様において、ブロックコポリマーは、少なくとも約30,000、少なくとも約50,000、少なくとも約100,000、少なくとも約125,000、少なくとも約150,000、少なくとも約175,000、少なくとも約200,000、少なくとも約225,000、少なくとも約250,000、少なくとも約275,000または少なくとも約300,000の分子量(すなわち、GPCポリスチレン基準に対する重量平均分子量)を有する。
【0123】
(VI.得られた高分子量ブロックコポリマーとエステルとの接触)
本発明の多様な実施態様により提供される改善された多用性のために、そうでなければ作製することが困難であるかまたは不可能である特有の特性をもつブロックコポリマーを生成することが可能である。例えば、ブロックコポリマーを、エステル交換反応触媒の存在下、MPO以外のエステル、例えば、カプロラクトンまたはポリカプロラクトンのような環状エステルと反応させて、上記に記載された高分子量ブロックコポリマーの硬質ブロック部分の融点および結晶性を調整することが可能である。結果は、MOPとエステルが寄与する単位のランダム配置を含有するコポリマーの硬質ブロック部分である。エステルを選択して、コポリマーの硬質ブロックおよび軟質ブロック部分の全体的な混和性およびミクロ相分離特性を増大することができ、それによって、コポリマーの物理的、機械的および/または化学的特性を変えることができる。
【0124】
したがって、特定の実施態様において、そのようなブロックコポリマーは、上記に記載されたブロックコポリマーのいずれかを、エステル交換反応触媒の存在下において高温で式IIのエステルと接触させることによって形成され:
−R−O−C(O)−R− (II)
式中、RおよびRは、独立して、二価の有機部分であり、Rが−B’−C(O)−である場合、Rは−O−A’−ではなく、ここでA’は、アルキレン基、シクロアルキレン基またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、そしてB’は、二価の芳香族基または脂環式基である。一つの実施態様において、ブロックコポリマーは、式IIのエステルと接触する前に、上記に記載された加熱プロセスを受けてその分子量を増加するが、分子量を増加させる固相重合工程の前に、式IIのエステルと接触させて変更されたブロックコポリマーを調製することが可能である。
【0125】
エステルは、エステル交換を受けることができる任意のエステルであることができる。エステルは、例えば、環状エステルおよび/または脂肪族もしくは芳香族ポリエステルであることができる。特定の好ましい実施態様において、環状エステルは、ラクトン、例えばポリカプロラクトンである。エステル交換反応触媒は、上記に記載したように、スズ化合物またはチタン酸塩化合物であることができる。一つの実施態様において、この工程に使用されるエステル交換反応触媒は、MPOおよび軟質ブロック成分を最初に重合するのに使用したものと同じである、および/または固相重合工程の際に存在するものと同じである。ブロックコポリマーがエステルと接触する高温は、好ましくは約100℃〜約300℃の範囲内である。反応温度は、反応体、濃度、および他の反応条件に基づいて選択することができる。
【0126】
特定の態様において、得られる新規ブロックコポリマーは、(a)ポリマー骨格内に、式I:
【0127】
【化17】

【0128】
〔式中、Aは、アルキレン基、またはシクロアルキレン基、またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、そしてBは、二価の芳香族基または脂環式基である〕で示される少なくとも1つの構造単位および式II:
−R−O−C(O)−R− (II)
〔式中、RおよびRの各々は、独立して、二価の有機部分である〕で示される少なくとも1つの構造単位を含む第1ブロック単位と、(b)ポリマー骨格内に、式III:
−D− (III)
〔式中、Dは、アルキレン基、またはシクロアルキレン基、またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、ここでDにおける1個以上の炭素原子は、酸素原子、窒素原子または硫黄原子によって置換されていてもよい〕で示される少なくとも1つの構造単位を含む第2ブロック単位とを含む。Dは、例えば、少なくとも1つのポリアルキレンエーテル基、ポリオレフィン基、ポリカプロラクトン基、ポリペルフルオロエーテルジオール、二量体ジオールおよびポリシロキサンジオールを含むことができる。Rが−B’−C(O)−である場合、Rは−O−A’−ではなく、ここで、A’は、アルキレン基、シクロアルキレン基またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、B’は、二価の芳香族基または脂環式基である。一つの実施態様において、得られるブロックコポリマーにおける第1ブロック単位は、式IおよびIIの構造単位のランダム配置を有する。
【0129】
特定の実施態様において、得られるブロックコポリマーの分子量(すなわち、GPCポリスチレン基準に対する重量平均分子量)は、約30,000〜約300,000の範囲内である。ブロックコポリマーの分子量は、好ましくは、約40,000〜約220,000の範囲内である。特定の実施態様において、ブロックコポリマーは、少なくとも約30,000、少なくとも約50,000、少なくとも約100,000、少なくとも約125,000、少なくとも約150,000、少なくとも約175,000、少なくとも約200,000、少なくとも約225,000、少なくとも約250,000、少なくとも約275,000、または少なくとも約300,000の分子量を有する。
【0130】
(VII.ブレンド)
本明細書に記載されている高分子量ブロックコポリマーは、エラストマー材料として、またはポリマー系におけるブレンド相溶化剤として興味深いものであることができる。上記に記載されているように、極性の高いヒドロキシル官能化ポリマー、例えばポリエチレングリコールのようなグリコールを、上記に記載された方法において使用して、本質的に散逸性のポリマー(IDP)であるブロックコポリマー作製することができる。IDPを、例えば、市販のポリマーとのブレンドに使用して、帯電防止特性をもたらすことができる。IDPを、多数の市販のポリマー、例えばABS、ポリカーボネート、ポリスチレンおよびポリオレフィンのいずれかと、他の特性に最低限の影響しか及ぼさないでブレンドすることができる。IDPは、帯電防止剤に優る利点を提供し、例えば、帯電防止剤は浸出するが、IDPはホストポリマーから浸出することがなく、そしてIDPの性能は大気湿度の関数ではなく、それは、帯電防止剤と異なり、IDPは、ホスト樹脂の表面ではなく内部で作用するからである。
【0131】
特定の実施態様において、十分に混和性であるおよび/または過剰な相分離を示さない極性の高いポリマーとブロックコポリマーのブレンドを調製することができる限り、極性の高い成分がコポリマー自体の部分を形成する必要はない。本発明の特定の実施態様のブロックコポリマーを、高い相対量の(極性の高い成分と混和性である)軟質ブロック成分で作製することができるので、極性の高いポリマーとそのようなブロックコポリマーの非分離ブレンドを作り出すことが可能である。したがって、本質的に散逸性の特性を有し、次に、例えば帯電防止特性をもたらすために、市販のポリマーとブレンドすることができるブレンドを調製することができる。
【0132】
したがって、特定の態様において、(a)ポリマー骨格内に、式I:
【0133】
【化18】

【0134】
〔式中、Aは、アルキレン基、またはシクロアルキレン基、またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、そしてBは、二価の芳香族基または脂環式基である〕で示される少なくとも1つの構造単位を含む第1ブロック単位、およびポリマー骨格内に、式III:
−D− (III)
〔式中、Dは、アルキレン基、またはシクロアルキレン基、またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、Dにおける1個以上の炭素原子は、酸素原子、窒素原子または硫黄原子によって置換されていてもよい〕で示される少なくとも1つの第2構造単位を含む第2ブロック単位を含むブロックコポリマーと、(b)ヒドロキシル官能化ポリマー、オリゴエーテルおよび/または二量体化脂肪酸とを含むブレンドが生成される。
【0135】
Dは、例えば、ポリアルキレンエーテル基、ポリエチレンエーテル基、ポロプロピレンエーテル基、ポリメチレンエーテル基、ポリオレフィン基、ポリカプロラクトン基、ポリペルフルオロエーテル、二量体ジオールおよび/またはポリシロキサンジオールを含むことができる。
【0136】
特定の実施態様において、ブロックコポリマーは、約90重量%未満、約80重量%未満、約70重量%未満、約60重量%未満、約50重量%未満、約40重量%未満、または約30重量%未満の量でブレンドに存在する。
【0137】
(VIII.実験例)
実験例は、大環状ポリエステルオリゴマー(MPO)(硬質ブロック成分)と、ジヒドロキシル官能化ポリマー、オリゴエーテルおよび/または二量体化脂肪酸のような軟質ブロック成分の大部分との押出し、続く真空下での熱への曝露によってもたらされる高分子量ブロックコポリマーの調製を示す。
【0138】
実験例で使用されるMPOは、大環状ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)オリゴマーである(平易さのために本明細書ではcPBRと呼ぶ)。cPBTは、Schenectady, NYのCyclics Corporationにより製造された製品番号XB3−CA4を有する混合物として、触媒と予備混合された状態で提供された。XB3−CA4は、cPBTと、Philadelphia, PennsylvaniaのAtoflnaからの0.3mol%のFascat(登録商標)4101触媒とを含有する、予めブレンドされた混合物である。Fascat(登録商標)4101は、ブチルクロロスズジヒドロキシドであり、分子式:CSn(OH)Clを有する。
【0139】
例1では、75重量%のXB3−CA4および25重量%のTerathane(登録商標)2900を含有する固体混合物を、Randcastle一軸スクリュー押出機により約240℃〜約260℃の範囲の温度で押し出した。GPC分析は、単離されたコポリマーが、38,000の分子量およびCBTオリゴマーのポリマー材料への90%を超える変換を有することを示した。
【0140】
例2では、例1のPBT−ポリテトラメチレンエーテルグリコールブロックコポリマーを、真空調整器を備えた試験管の中に入れ、210℃で16時間まで真空下で加熱した。得られたポリマーをGPCにより分析して、分子量の増加を決定した。分析の結果を表2にまとめる。表において、Mは、重量平均分子量を意味し、Mは、ピーク平均分子量を意味する。
【0141】
例3では、50重量%のXB3−CA4および50重量%のTerathane(登録商標)2900(例1よりも多い割合の軟質ブロック成分)を含有する固体混合物を、Randcastle一軸スクリュー押出機により約250℃〜約260℃の範囲のバレル温度で押し出した。GPC分析は、単離されたコポリマーが、18,000の分子量(GPCポリスチレン基準に対する重量平均分子量)およびCBTオリゴマーのポリマー材料への約94%の変換を有することを示した。
【0142】
例4では、例3のPBT−ポリテトラメチレンエーテルグリコールブロックコポリマーを、多様なバッチにおいて210℃でそれぞれ3〜6時間にわたって加熱し、バッチを合わせた。合わせたバッチは、190,000g/molの平均分子量を有した。次に材料を、物理的特性試験のため、射出成形して引張り試験片にした。結果を表3に示す。50/50PBT−ポリテトラメチレンエーテルグリコールブロックコポリマーは、多様な市販の熱可塑性ポリエステルエラストマーよりも好ましく機能した。
【実施例】
【0143】
(実施例1:MPOとジヒドロキシル官能化ポリマー(重量比75:25)の押出しによって、低分子量ブロックコポリマーを生成する)
約300gのXB3−CA4を、真空下において80℃で16時間を超えて乾燥した。約100gのTerathane(登録商標)2900(ポリテトラメチレンエーテルグリコール、分子量2900、E.I. duPont de Nemours and Company製造)を、液体窒素で冷凍した後、粉砕して粉末にした。次に粉砕Terathane(登録商標)2900を、真空下において窒素流により室温で少なくとも12時間乾燥した。Terathane(登録商標)2900を、XB3−CA4と、1リットルガラス容器中で1時間混転させて、粉末混合した。次に混合物を篩にかけて、+100−30メッシュ粉末を生成した。混合物を、重合のために、冷却頸部および窒素噴霧を有するRandcastle一軸スクリュー押出機に供給した。押出機の温度は約230℃〜約260℃の範囲であった。押出機のスクリュー速度は、およそ25rpmであった。このプロセスは、0.005″直径糸を生成するのに十分な強度を持つ低分子量ブロックコポリマーを生成した。この糸を冷水浴で収集し、乾燥し、後に液体窒素で粉砕して、小型ペレットを生成した。
【0144】
(実施例2:実施例1の低分子量ブロックコポリマーの熱および真空処理)
実施例1の材料の0.4〜0.5gの試料を、13×100ガラス試験管の中に入れた。4つの試料を真空下でマニホルドに置き、次に210℃の浴の中に降ろした。試料は、0.5、1.2および8時間の時点で取り出した。真空を、試料を取り出す毎に開放し、次に再適用した。4時間試料を、他の試料のうちの1つを取り出した後に加え、16時間試料は、別に取り扱った。試料の分子量および変換率は、較正のためにポリスチレン標準を使用して、GPC分析により試験した(表2)。
【0145】
(表2.PBT−ポリテトラメチレンエーテルグリコールブロックコポリマーに対する熱および真空処理の効果)
【0146】
【表2】

【0147】
(実施例3:MPOとジヒドロキシル官能化ポリマー(重量比50:50)の押出しによって、低分子量ブロックコポリマーを生成する)
約2.3lbのTerathane(登録商標)2900を、液体窒素を使用し粉砕して粉末にし、次に真空下において室温で少なくとも12時間乾燥した。約2.3lbのXB3−CA4を真空オーブンにより80℃で12時間乾燥した。Terathane(登録商標)2900を、XB3−CA4と、粉末を一緒に振とうすることによってブレンドした。混合物を、重合のために、250〜260℃のバレル温度のRandcastle一軸スクリュー押出機に供給した。得られた押出物を水に単離し、ペレット/顆粒材料を80℃で8時間乾燥した。収量は、4.3lbであった。(約94%の変換)。GPC分析は、材料が18,000g/molの分子量を有することを示した。cPBTオリゴマーは残っていなかった。
【0148】
(実施例4:実施例3の低分子量ブロックコポリマーの熱および真空処理)
約400gの実施例3の得られたブロックコポリマーのバッチを、外部離型剤、例えばZyvex Watershield(登録商標)で処理した2Lの丸底フラスコの中に入れた。フラスコを、0.5トル未満の真空下において210℃で3〜6時間にわたって加熱した。フラスコを毎時振とうして、ブロックコポリマーのペレットが一緒に固着するのを防いだ。バッチを全て合わせ、平均分子量を、GPC分析により、190,000g/molと決定した。
【0149】
次に材料を、物理的特性試験のため、射出成形して引張り試験片にした。物理的特性の試験の結果を以下の表にまとめ、DuPontにより製造された熱可塑性ポリエステルエラストマーである3つのHytrel(登録商標)製品の試験結果と比較した(表3)。
【0150】
(表3:熱および真空処理PBT−ポリテトラメチレンエーテルグリコールブロックコポリマーで作製した試料の物理的特性試験結果)
【0151】
【表3】

【0152】
(均等物)
本発明は、特定の好ましい実施態様を参照して特に示され、記載されてきたが、添付の請求項に定義されている本発明の精神および範囲を逸脱することなく、形態および詳細において多様な変更を行えることが、当業者により理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックコポリマーを作製する方法であって、該方法が、
(a)(i)大環状オリゴエステル;と(ii)ジヒドロキシル官能化ポリマー、オリゴエーテルおよび二量体化脂肪酸からなる群より選択される少なくとも1つのメンバー;と(iii)触媒;とを含む混合物を加工し、それによりブロックコポリマーを形成する工程;および
(b)真空下において80℃を超える温度で加熱することによって該ブロックコポリマーの分子量を増加させる工程;
を含む、方法。
【請求項2】
工程(a)が、押出機、ミキサーおよびブレンダーからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを使用して実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(a)が、押出機を使用して実施され、工程(b)が、固相重合機器を使用して実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記大環状オリゴエステルが、式:
【化1】

の構造反復単位を有し、Aが、アルキレン基、シクロアルキレン基またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、そしてBが、二価の芳香族基または脂環式基である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記混合物が、1000よりも大きい分子量を有するジヒドロキシル官能化ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記混合物が、2500よりも大きい分子量を有するジヒドロキシル官能化ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ブロックコポリマーにおける成分(i)が寄与するブロック単位に対する成分(ii)が寄与するブロック単位の重量比が、少なくとも約10:90である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ブロックコポリマーにおける成分(i)が寄与するブロック単位に対する成分(ii)が寄与するブロック単位の重量比が、少なくとも約25:75である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(a)が、成分(i)に対する成分(ii)の重量比を少なくとも25:75で押出機に投入する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ブロックコポリマーが、硬質ブロックおよび軟質ブロックを含み、成分(i)が、該硬質ブロックに寄与し、成分(ii)が、該軟質ブロックに寄与する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ブロックコポリマーにおける前記硬質ブロックに対する前記軟質ブロックの重量比が、所望の特性または特性の組み合わせをもたらすように選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ブロックコポリマーにおける前記硬質ブロックに対する前記軟質ブロックの重量比が、該ブロックコポリマーを本質的に散逸性にするために十分な程度に高い、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記触媒が、エステル交換反応触媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記触媒が、スズ化合物、チタン酸塩化合物またはその両方を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
工程(b)が、前記ブロックコポリマーを加熱して、その分子量を少なくとも約2倍に増加させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
工程(b)が、前記ブロックコポリマーを加熱して、その分子量を少なくとも約5倍に増加させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
ブロックコポリマーが、工程(b)の後で少なくとも約150,000の分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
ブロックコポリマーが、工程(b)の後で少なくとも約200,000の分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
工程(a)が、前記混合物を約130℃〜約300℃の温度で押し出す工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
工程(a)が、前記混合物を約230℃〜約260℃の温度で押し出す工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
工程(b)が、約190℃〜約240℃の温度で加熱する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
工程(b)が、約200℃〜約220℃の範囲内の温度で加熱する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
工程(b)が、前記ブロックコポリマーを約4時間から約8時間の時間にわたって加熱する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
工程(b)が、前記ブロックコポリマーを約20トル以下の圧力で加熱する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記ブロックコポリマーが、工程(b)の間において固体状態である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記大環状オリゴエステルが、ブチレンテレフタレート、エチレンテレフタレートおよびプロピレンテレフタレートからなる群より選択される少なくとも1つのモノマー単位を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記混合物が、ジヒドロキシル官能化ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記ジヒドロキシル官能化ポリマーが、ジヒドロキシル官能化ポリ(アルキレンテレフタレート)、ジヒドロキシル官能化ポリ(エチレンテレフタレート)、ジヒドロキシル官能化ポリ(ブチレンテレフタレート)、ジヒドロキシル官能化ポリ(プロピレンテレフタレート)、二量体ジオール、ポリオレフィンジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリペルフルオロエーテルジオールおよびポリシロキサンジオールからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記混合物が、オリゴエーテルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記オリゴエーテルが、ポリ(エチレンエーテル)グリコール、ポリ(プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールおよびポリ(テトラメチレンオキシド)からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記混合物が、二量体化脂肪酸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記二量体化脂肪酸が、オレイン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、エライジン酸、ユークリン酸、ヒマワリ油、ダイズ油、オリーブ油、ナタネ油、綿実油およびトール油からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーの二量体化生成物を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
(c)工程(b)の後の前記ブロックコポリマーを、エステル交換反応触媒の存在下において高温でエステルと接触させ、それによって前記混合物の成分(i)の構造単位と、該混合物の成分(ii)の構造単位と、該エステルの構造単位とを含むコポリエステルを生成する工程をさらに含み、該エステルが、式:
−R−O−C(O)−R
の少なくとも1つの構造単位を含み、RおよびRの各々が、独立して、二価の有機部分である、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記ブロックコポリマーが、前記混合物の成分(ii)が寄与する単位を含む軟質ブロックを含み、該ブロックコポリマーが、該混合物の成分(i)および工程(c)の前記エステルが寄与する単位を含む硬質ブロックを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記硬質ブロックが、前記混合物の成分(i)および工程(c)の前記エステルが寄与するランダム化単位を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記エステルが、環状エステルを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記環状エステルが、ラクトンである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記ラクトンが、カプロラクトンである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記エステルが、脂肪族ポリエステルまたは芳香族ポリエステルを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
工程(c)が、約100℃〜約300℃の範囲内の温度で実施される、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
は、Rが−B’−C(O)−である場合、−O−A’−ではなく、A’が、アルキレン基、シクロアルキレン基またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、B’が、二価の芳香族基または脂環式基である、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
ブロックコポリマーであって、
(a)式:
【化2】

の少なくとも1つの構造単位であって、Aは、アルキレン基、またはシクロアルキレン基、またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、そしてBは、二価の芳香族基もしくは脂環式基である、少なくとも1つの構造単位;および式:
−R−O−C(O)−R
の少なくとも1つの構造単位であって、RおよびRの各々は、独立して、二価の有機部分である、少なくとも1つの構造単位;を、そのポリマー骨格内に含む第1ブロック単位;と、
(b)式:
−D−
の少なくとも1つの構造単位であって、Dが、アルキレン基、またはシクロアルキレン基、またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、Dにおける1個以上の炭素原子が、酸素原子、窒素原子または硫黄原子によって置換されていてもよい、少なくとも1つの構造単位を、そのポリマー骨格内に含む第2ブロック単位;と
を含む、ブロックコポリマー。
【請求項43】
前記ブロックコポリマーの前記第1ブロック単位が、式:
【化3】

および式:
−R−O−C(O)−R
の構造単位のランダム配置を含む、請求項42に記載のブロックコポリマー。
【請求項44】
Dが、ポリアルキレンエーテル、ポリエチレンエーテル、ポロプロピレンエーテル、ポリメチレンエーテル、ポリオレフィン、ポリカプロラクトン、ポリペルフルオロエーテル、二量体ジオールおよびポリシロキサンジオールからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項42に記載のブロックコポリマー。
【請求項45】
は、Rが−B’−C(O)−である場合、−O−A’−ではなく、A’が、アルキレン基、シクロアルキレン基またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、B’が、二価の芳香族基または脂環式基である、請求項42に記載のブロックコポリマー。
【請求項46】
少なくとも約150,000の分子量を有する、請求項42に記載のブロックコポリマー。
【請求項47】
少なくとも約200,000の分子量を有する、請求項42に記載のブロックコポリマー。
【請求項48】
第1ブロック単位に対する第2ブロック単位の重量比が、少なくとも約10:90である、請求項42に記載のブロックコポリマー。
【請求項49】
第1ブロック単位に対する第2ブロック単位の重量比が、少なくとも約25:75である、請求項42に記載のブロックコポリマー。
【請求項50】
前記ブロックコポリマーが、本質的に散逸性である、請求項42に記載のブロックコポリマー。
【請求項51】
ブレンドであって、
(a)(i)式:
【化4】

の少なくとも1つの構造単位であって、Aが、アルキレン基、またはシクロアルキレン基、またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、そしてBが、二価の芳香族基または脂環式基である、少なくとも1つの構造単位を、そのポリマー骨格内に含む第1ブロック単位;および(ii)式:
−D−
の少なくとも1つの構造単位であって、Dが、アルキレン基、またはシクロアルキレン基、またはモノオキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン基であり、Dにおける1個以上の炭素原子が、酸素原子、窒素原子または硫黄原子によって置換されていてもよい、少なくとも1つの構造単位を、ポリマー骨格内に含む第2ブロック単位;を含むブロックコポリマーと、
(b)ヒドロキシル官能化ポリマー、オリゴエーテルおよび二量体化脂肪酸のうちの少なくとも1つと
を含む、ブレンド。
【請求項52】
Dが、ポリアルキレンエーテル、ポリエチレンエーテル、ポロプロピレンエーテル、ポリメチレンエーテル、ポリオレフィン、ポリカプロラクトン、ポリペルフルオロエーテル、二量体ジオールおよびポリシロキサンジオールからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーを含む、請求項51に記載のブレンド。
【請求項53】
前記ブレンドの成分(b)が、ポリエチレングリコールを含む、請求項51に記載のブレンド。

【公表番号】特表2009−525390(P2009−525390A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553308(P2008−553308)
【出願日】平成19年1月21日(2007.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/002534
【国際公開番号】WO2007/089779
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(503082099)サイクリクス コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】