説明

大規模エレクトロポレーションプレート、システム及びその使用方法

電圧を加えることができる、固層支持体上に配列された複数のエレクトロポレーションウェル(4)又はチャンバーを含んで成る複数のエレクトロポレーションプレート(2)であって、ここで当該プレート(2)のウェルのうち2つ以上が独立的に電圧を加えられて良いプレートに関連する。ウェルは各そこに配置された2以上の電極(12、14)を含み、そして個々のエレクトロポレーション反応が行われうる容器として働く。そしてまた、本発明によるエレクトロポレーションプレート(2)を使用するエレクトロポレーションシステムが開示されている。そしてまた、かかるエレクトロポレーションプレート(2)及びシステムを、エレクトロポレーション条件を最適化するために使用する方法にも関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、米国仮出願60/430,738(35U.S.C.§119(e)の下で2002年12月3日に提出、発明の名称「Multiple Well Electroporation Plates」)の優先権を主張する。
【0002】
技術分野
本発明はエレクトロポレーションに関連する。一層詳細には、本発明は、大規模(例えば大体積、多数ウェルなど)エレクトロポレーションプレート、かかるプレートと共に使用するためのシステム、及びかかるプレートを使用することに関連する方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
1.
以下の記載は、本発明を理解するために有用でありうる情報を含む記載である。全てのかかる情報の全てが、本発明の従来技術又は関連する技術である、又は詳細且つ例示的に引用された全ての刊行物が従来技術であるということはない。
【0004】
2.背景
エレクトロポレーションは、外因性の分子(例えば、核酸、薬物及び他の化合物)に膜(細胞膜並びにリポソーム及び他の脂質封入された小胞を形成する膜など)を横切って移動させるための十分に確立された技術である。それには、例えば、注目の分子を導入するためにコンピテントにされる細胞を含むサンプルを横切る適切な強度の電場を適用することが伴われる。エレクトロポレーションの作用によるメカニズムは完全に理解されてはいない一方で、生組織との関係において、エレクトロポレーションは、細胞膜脂質二重層の破壊(外因性分子を拡散によって細胞内に入れることを可能にする、膜における一過的又は恒久的な孔の形成につながる)を伴うことが知られている。
【0005】
外因性分子を細胞及び他の脂質封入した小胞中に導入するためのex vivo法との関係において、エレクトロポレーションは多くの利点を提供する。それは即ち、細胞(又は小胞)集団全体を同時に取り扱うためにそれを使用できること;本質的に全てのマクロ分子を細胞(又は小胞)中へと導入するためにそれを使用できること;様々な一次細胞又は樹立細胞と共にそれを使用できること、そして特に所定の細胞系統と使用するために有効であること;及びそれを真核及び原核細胞の両方に基づき、細胞の種類及び由来に対して重大な変更又は適合化をすることなく使用できることである。更に、エレクトロポレーションは、懸濁又は培養物における細胞並びに組織及び器官における細胞に対して使用されて良い。細胞は、当該細胞中へと導入される分子状物質に対して暴露される前に、エレクトロポレーションされて良い。実際に、細胞はエレクトロポレーションによって、トランスフェクション又は形質転換をするために非常にコンピテントな状態にされていて良く、その後、それらは、導入される分子(例えば、1又は数個の注目の遺伝子をコードする発現ベクター)に対して暴露される前に保存されて良い。
【0006】
典型的に、ex vivoエレクトロポレーションは、電極の対(即ち、陽極と陰極)を1つ以上含む単一チャネル装置を、ディスポーザブルキュベットなどサンプルが入っているチャンバー中に配置することによって行われている。それは例えば、Neumannら、Biophysical Journal vol.71,pp.868〜877(1996)を参照のこと。電位は、患者から獲得した細胞集団を含む溶液又は懸濁に対して高圧電場のパルスを放射する発生装置を使用することで典型的に適用されており、そして孔形成が可逆的であるかあるいは不可逆的であるかどうかは、細胞の種類及び発達段階に加えて、パルスの振幅、継続時間、波が形成する形、及び反復速度などの加電圧パラメーターに依存する。膜における孔形成又は透過化(permeablization)は、細胞の極(電極と直接向き合い、従って最大の経膜電場電位を受ける、細胞膜上の部位)において生じると考えられている。都合悪くも、あるエレクトロポレーション実験において、透過化の程度は、細胞の種類によって様々であり、そしてある与えられた集団の細胞においてさえも様々である。ばらつきは、同じ電解質条件及び細胞の種類を使用する実験同士からでも往々にして確認される。更に、前記手順は、個々の特性が様々である大集団の細胞において行われても良く、エレクトロポレーション条件は典型的に、「平均」性質の特定の細胞集団に対してのみ向けられるように選択されて良い。
【0007】
上述したとおり、エレクトロポレーションは、伝統的にディスポーザブル単一チャンバーキュベットで行われており、そのキュベットは典型的に、エレクトロポレーションのために最大約1ミリリットル(mL)の体積を有する。しかし、かかる技術は、非常に骨が折れ、退屈であり、そして最適化が必要となる。現在に至る迄、エレクトロポレーション法のスループットを高めるための試みは、マルチチャネル電極システムを中心に展開されてきており、そのマルチチャネル電極システムは、細胞を培養容器からエレクトロポレーションキュベットへと移動させる必要性を限定する試みにおいて外因性分子を細胞中へと導入する準ハイスループット導入のために使用されてきた。常用のマルチチャネルエレクトロポレーション装置には、外因性物質及び細胞を維持する複数のチャンバーのそれぞれの1つにおいて挿入されて良い電極の対が複数含まれる。現在入手可能なマルチチャネルエレクトロポレーション装置は、8又は96対の同軸電極(Genetronis,Inc.,San Diego,Calif.)を含む。これらの装置は、標準的な96ウェルプレートのエレクトロポレーションにおいて使用されており、そのプレートは8行12列のウェルからなり、そして約8.5(W)cm×12.7cm(L)の標準的なサイズを有し、そして標準的な、ウェルの間がおよそ9ミリメーター(mm)の中心間距離を有する。米国特許6,352,853号を参照のこと。
【0008】
多数の細胞サンプル又は集団のエレクトロポレーションをするための常用の準ハイスループットエレクトロポレーション装置には適用の限界が見られる一方で、それらはその広範囲な用途を制限する固有の欠点も有する。これらの欠点としては、かかる装置が2つの個別の要素即ち、マルチウェルプレート及びウェル中へと様々な試薬(例えば、適切なバッファー中の宿主細胞を含む懸濁及びエレクトロポレーションによって細胞中に入れられる外因性分子)が加えられた後に挿入される電極配列を有することなどである。かかる現在入手可能なシステムでは、マルチウェルプレートはディスポーザブルであって良いが、電極配列はそうではなく、使用後に洗浄しなければならず、それにより、かかるシステムの真のスループット及び自動化が非常に限定されている。かかるシステムを設計することにおける他の主要な欠点とは、かかる電極配列は、ウェル中へと導入された後、ウェル中での最適な配置決めをできないことであり、何故なら、ある程度のクリアランス空間が残され電極がウェルに挿入されなければならないからだ。かかるクリアランス空間は、電場に対して暴露されるサンプルの%を下げるので、エレクトロポレーション効率が必然的に下がる。そしてまた、かかるシステムのための電極配列の大部分は、各々がおおよそ中心ピン電極に位置している多数の同軸外部電極を使用する。かかる配置は、本来、各ウェル中、様々な位置において多彩な強度の電場をもたらす。かかるシステムの他の不利な点とは、加電圧パラメーターの一組しか、任意の一つのプレート上で調べることができないことである。その理由は、かかるシステムで典型的に使用され配列されている電極対が、配列されている他の1又は複数の電極の対から独立して加電圧されえないからだ。従って、最適化実験には、選定の加電圧パラメータの各組のために、1以上のマルチウェルプレートが必要となる。他の欠点も、かかる装置の当業者に公知であり、それは例えば、電極の上にサンプルが接着することによりサンプルをロスすることなどである。
【0009】
上記の欠点に加えて、大体積の試料がエレクトロポレーションされる場合、常用の技術は典型的に「フロースルーシステム」に依存し、この場合、エレクトロポレーションされる全体積の一部がエレクトロポレーションチャンバーに移動され、そしてエレクトロポレーションパルスが適用される。次いで、チャンバーは空になり、そしてエレクトロポレーションされる細胞の総体積における細胞の全てをエレクトロポレーションするのに必要な回数で再充填される。かかるパルシングを反復する理由は、数倍(several fold)である。例えば、常用の高圧エレクトロポレーションパルス発生装置は、典型的に、ある時間で、約4つの1mLキュベットに対してのみエネルギーをデリバリーすることができる。更なる欠点とは、試料に対する多重パルシングの必要性が試料中の細胞に対して有害であり、所定の用途において、細胞の許容できない死亡率を往々にしてもたらし、この場合、サンプル細胞中への分子移動の発生率が低くなることが知られている。例えば、フロースルーエレクトロポレーション装置及びそれらの使用に関する米国特許第6,207,488号、5,676,646号及び5,545,130号を参照のこと。
【0010】
常用のエレクトロポレーション装置の限定を考えれば、それらはスループット及び体積に関連するので、ハイスループット及び他の大規模適用のために適した装置及びシステムに対する要請が明らかに存在する。本発明は、下に記載されているように、エレクトロポレーション技術に関するこれら及び他の要請に向けられている。
【0011】
3.定義
本発明を詳細に記載する前に、本発明の背景との関係において使用されているいくつかの用語を定義しよう。これらの用語に加えて、他の用語を必要に応じて本明細書中で定義している。本明細書中で特に定義が記載されていない限り、本明細書中で使用されて良い技術用語はそれらの業界で認識された意味を有するだろう。
【0012】
本明細書中で使用された場合、用語「接触」とは、宿主細胞を外因性分子に対して暴露させる全ての方法のことをいう。例えば、宿主細胞、又は宿主細胞の集団は、1又は複数の外因性分子の物質を含有するエレクトロポレーションバッファー溶液に浸されるかあるいは浴びせられていて良い。宿主細胞と外因性分子との接触は、エレクトロポレーションにより1又は複数の電気パルスを適用する前又は後のいずれかに生じて良い。かかる接触に応じて、外因性分子が宿主細胞に入る場合に外因性分子は宿主細胞中に「導入」され、そして一過的又は安定な効果、例えば、宿主細胞中で異種核酸分子(例えば、発現ベクターによってコードされた生物学的な緑色蛍光タンパク質)の発現を示す。
【0013】
「加電圧パラメーター(energizing parameter)」とは、ある実験中にエレクトロポレーション電極の対によって誘導される特定の加電圧特性をいう。かかるパラメーターとしては、パルスの振幅、持続時間、波が形成する形、反復速度、及びパルスの間隔が挙げられる。
【0014】
「外因性分子」とは、宿主細胞中へと導入することを目的とされている全ての分子をいう。外因性分子には、核酸分子(例えば、発現されるべきタンパク質もしくはポリペプチドをコードする1もしくは複数の遺伝子又は異種核酸、アンチセンス分子、リボザイム、小干渉RNAなど)、小分子薬物、及び細胞又はその1もしくは複数の機能、例えば、細胞中の任意のタンパク質又は酵素の生物化学的活性を何らかの形で、一過的に又は恒久的に、変化させる他の化学物質が含まれる。
【0015】
用語「遺伝的修飾」とは、1もしくは複数の異種核酸を1もしくは複数の宿主細胞中へと導入することをいう。「異種核酸」とは、外来種から又は同種から発生する核酸分子をいい、実質的にその本来の形態から修飾されているかあるいは導入された核酸のコピー数の増加をもたらすだろう。
【0016】
「宿主細胞」とは、異種分子が導入されて良い全ての細胞である。宿主細胞には真核細胞及び原核細胞が挙げられる。真核宿主細胞としては、動物、植物及び真菌の細胞が挙げられる。好適な動物細胞としては、哺乳動物(例えば、ウシ亜科、イヌ科、ウマ科、ネコ科、ネズミ科、ヒツジ、及びブタ)に由来する、例えば、ヒト及び霊長類、魚類(例えば、ゼブラフィッシュ、サーモン、マス、及び他の商業上重要な種)、昆虫(例えば、ショウジョウバエ、カ、ハナバチ)、クモ形類、甲殻類、及び軟体動物並びに前記全ての生物の細胞に由来する細胞系統が挙げられる。好適な植物細胞としては、穀物植物の、例えば穀物、並びに観用植物及び材木製産のために生長させた木に由来するものが挙げられる。好適な真菌細胞は、酵母細胞である。好適な原核細胞は細菌細胞であり、詳細には分子生物学で有用な種である。異種核酸が導入された宿主細胞、「組み換え宿主細胞」とよばれている。宿主細胞には、人工細胞、リポソーム、及び、外因性分子がエレクトロポレーションによって導入されて良い全ての他の脂質封入小胞が挙げられる。簡潔のために、「宿主細胞」は、本明細書中、単に「細胞」ともよばれている。
【0017】
方法を「in vitro」で行うとは、生物の外で所定の方法を行うことを意味し、そしてex vivo法の概念を含み、その方法では例えば、細胞のサンプルを患者から取り出し、そして1又は複数の異種分子の種を細胞中へと導入する本発明の装置及び方法を使用することでエレクトロポレーションし、その後に処理した細胞を患者中に再導入することをいう。
【0018】
「大規模」とは、本発明のエレクトロポレーションプレートが、ハイスループット及び/又は大体積適用のために使用可能であることを意味する。本明細書中、「ハイスループット」とは、2以上の、好適には、4、16、32、64、96、192、288、384、576、768、672、1536、3072もしくは6144以上の同じ又は異なるエレクトロポレーション実験を同じエレクトロポレーションプレート上で行うことを意味する。
【0019】
「大体積」適用とは、常用のエレクトロポレーションキュベット又は単一のエレクトロポレーション実験をするための他の容器の体積を越える体積をいう。典型的に、常用のエレクトロポレーションキュベット又は他の容器は最大約1mLの体積を供するが、特に、フロースルーエレクトロポレーション装置との関係において最大で約10mLを含みうる容器も公知である。本発明の背景において、容器は約1マイクロリットル(μL)程度の小ささから約10mL上の体積を含む。好適な大体積適用は、約5mL以上、好適には10mL〜約100mL以上の体積を有する細胞含有溶液のエレクトロポレーションを可能にする。
【0020】
本明細書中で使用された場合、「核酸」又は「核酸分子」とは、個別の断片の形態にあるかあるいはより巨大な構築体の成分としてのデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド(いずれの場合「ポリヌクレオチド」とよぶ)をいう。核酸は、単鎖又は二重鎖のいずれかであって良く、そして天然に生じる塩基又は骨格構造を有する。かかる分子としては、DNA、RNA、cDNA、アンチセンス、リボザイム、及び三重鎖形成分子が挙げられる。核酸は天然に生じる又は合成であって良く、そしてオリゴヌクレオチドを含む。本発明の方法中で使用されるタンパク質又はポリペプチドをコードするDNAは、集成されて良く、例えば、組換え転写単位において発現させることができる合成遺伝子を提供するcDNA断片からかあるいはオリゴヌクレオチドから集成されて良い。本発明のポリヌクレオチド又は核酸配列には、DNA、RNA、及びcDNA配列が挙げられる。
【0021】
本発明の「特許性を有する」組成物、方法、機械、又は製造技術とは、分析が行われる際に全ての法定要件を満たす対象を意味する。例えば、新規性、非自明性などに関して、もし後の調査により、1もしくは複数の請求項が、新規性、非自明性、などを否定する1もしくは複数の実施態様を包含することが明らかになれば、1又は複数の請求項は、特に特許にならない1又は複数の実施態様を除いて、「特許性を有する」実施態様によって限定されることが明らかになるだろう。そしてまた、本明細書中に添付された特許請求の範囲は、幅広い理にかなった範囲を担うこと及びそれらの妥当性を維持することを供すると解されるだろう。更に、もし特許性のための1又は複数の法定要件が補正されていれば又は、特許性のための特定の法定要件が、この出願の時から1又は複数の添付の請求項が調べられる時まで、特許として満たされているかどうかを評価するための標準的な変化は、
請求項が(1)それらの有効性を維持し且つ(2)所定の環境下で幅広い理にかなった解釈を供するように解されるだろう。
【0022】
「植物」とは、植物全体、植物の一部、植物細胞、植物細胞の集団、例えば、植物組織などのいずれかである。本発明のエレクトロポレーションプレートと共に細胞が使用されて良い植物のクラスとしては、全ての高等植物が挙げられ、それらは、双子葉類又は単子葉類の植物であって良く、そして倍数性の全ての例えば、倍数体、二倍体、及び半数体のいずれかであって良い。「単子葉植物(Monocotyledonous)」又は「単子葉植物(monocot)」には、アスパラガス、フィールドコーン及びスイートコーン、オオムギ、コムギ、イネ、モロコシ、タマネギ、パールミレット、ライムギ及びオートムギが挙げられる。「双子葉類植物(dicotylenous)」又は「双子葉植物(dicot)」には、トマト、タバコ、コットン、アブラナ、フィールドビーン、ダイズ、ペッパー、レタス、エンドウ、アルファルファ、クローバー、アブラナ穀物(cole crops)、アブラナ科アブラナ属(Brassica oleracea)(例えば、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ)、ダイコン、ニンジン、ビート、ナス、ホウレンソウ、キュウリ、カボチャ、メロン、カンタロープ、ヒマワリ、及び様々な観葉植物が挙げられる。
【0023】
「植物細胞」とは、任意の植物の完全な細胞を意味し、葉、カルス、胚、又は種子に由来する細胞並びに全ての配偶子生産細胞及び全体植物中で再生する全ての細胞が挙げられる。従って、植物全体へと入れて再生させることができる多数の植物細胞を含んで成る種子は、植物の定義に含まれる。この関係において、用語「完全」とは、単一の細胞又は組織を形成する単一の細胞の集団を意味し、この場合、1もしくは複数の細胞は、プロトプラストに比べて傷害を受けていないかあるいは処理されていない1もしくは複数の細胞壁を有する。
【0024】
「複数」とは1超を意味する。
【発明の開示】
【0025】
発明の概要
本発明の目的は、大規模のエレクトロポレーションプレート、並びにかかるプレートを使用するシステム及びキットを提供し、外因性分子を細胞中へと、特にin vitroで入れるための現在の方法の欠点を解消することである。本発明の他の目的は、かかるエレクトロポレーションプレートを、外因性分子をin vitroで宿主細胞中に導入するために使用する方法を供することである。
【0026】
従って、本発明の1つの観点は、固層支持体上に配列された複数の電圧を加えることができるエレクトロポレーションウェルを含んで成るエレクトロポレーションプレートに関連し、ここでプレートにおけるウェルの2つ以上が独立して電圧を加えれえて良く、それは即ち、エネルギーが2つのウェルのうちの1つのウェルのエレクトロポレーション電極に対して提供された場合に、もう1つのウェル中の電極には、電圧が加えられる必要があったとしてもその必要はないことである。各ウェルは、そこに配置されたエレクトロポレーション電極を2つ(陽極を少なくとも1つ、そして陰極を少なくとも1つ)以上含み、そして個々のエレクトロポレーション反応が行われて良い容器として働く。
【0027】
この観点の好適な実施態様において、エレクトロポレーションプレートのウェルは、2横行及び2列以上の並びで配列されている。特に好適な実施態様において、横行の数は、列の数とは異なっている。典型的に、しかし本質的ではないが、横行:縦列の比は約2:3である。いくつかの好適な実施態様において、本発明のプレートは、8行12列で配列された96個のエレクトロポレーションカラムを含んで成る。好適な実施態様において、カラムプレートは16行24列で配列された384個のエレクトロポレーションウェルを含んで成る。他の好適なプレート形態は、192、288、576、672、768、1536、3072又は6144個のウェルを含む形態である。自動化操作及び生命科学において使用される既存のプレートベースハイスループットシステムとの適合性を促すために、プレートの全体寸法(長さ、幅及び高さ)は、行、列、及びエレクトロポレーションウェルの数に関わらず、常用の帯電不可能マルチウェルプレート(例えば、自動化されたハイスループット化合物スクリーニングシステムにおいて現在使用されているものなど)と比較してプレート同士で同じであることが好ましい。
【0028】
多くの実施態様において、特に約384個より少ないエレクトロポレーションウェルを有するプレートにおいて、ウェルは実質上、円筒状又は長方形の箱であり、どちらも片方の末端は、プレートの上部で開いている。他の実施態様において、特に、大多数のエレクトロポレーションウェルを有するものにおいて、ウェルは実質的に一方の末端が開いている(上部で)実質的に長方形の箱である傾向があり、従って、上方から見た場合、それらの長さ及び幅の寸法は、実質的に類似(正方形の形状をもたらす)しており、そして深さの寸法は異なっており、典型的に、長さ及び/又は幅の寸法よりも長い。当然ながら、任意の適切な幾何学的形状を有するウェルも本発明のとの関係において使用されて良いが、好適なウェル形態は2つ以上の間隔があり、1以上の電極対が配置されている実質的に平行な壁を提供する。いずれにせよ、プレートのエレクトロポレーションウェルは、ウェル同士で比較した場合、実質的に均一な寸法を有することが好適である。形状のかかる一貫性は、ウェル同士での実質的に均一な、全てのものが等しい、エレクトロポレーション反応を供するために働く。エレクトロポレーションウェルは典型的に上部が開いている(とり外し可能なカバープレート、シールなどが無い)ので、各ウェルは底壁を1つのみ且つ1以上の側壁(1つは円筒形状のウェルの場合、4つは長方形又は正方形の形状の場合ウェルなど)を有する。上記の内容から分かるように、例えば、射出形成技術による製造を促すために、横から見た場合、ウェルは僅かに先が細くなっており、そして上方の開口部は当該ウェルの底の寸法(即ち、長さ及び幅、又は直径)よりも僅かに大きな寸法を有しており、それによって鋳型からのプレートの取り外しが促される。
【0029】
上記の内容から分かるように、標準化された外経を有するプレートについて、エレクトロポレーションウェルの数を増やすことは、典型的に個々のウェルの体積を減らすことになる。本発明のいくつかの実施態様において、エレクトロポレーションウェルは、比較的少ない数のウェル(例えば、96又は2〜12個でさえもある)を含み、96ウェルプレートの場合、各ウェルが約1ミリリットル(ml)の体積を有し、そして12ウェルプレートの場合、10mlの体積を有することが可能になる。好適なウェルの体積範囲とは、より小さな体積は可能であるが、特に、もし例えば、半導体製造産業に由来するフォトリソグラフィー技術が、マイクロリットル、そして更にナノリットル規模の体積を有するエレクトロポレーションウェルを含むプレートを生じさせるために適用されれば、約10mL〜下の約1マイクロリットル(μL)の範囲である。
【0030】
好適に、本発明のエレクトロポレーションプレートの各エレクトロポレーションウェル(又はチャンバー)において、かかるウェルのためのエレクトロポレーション電極の1つが、当該ウェルのための他のエレクトロポレーション電極の反対側に位置(positioned)している、又は配置(disposed)されている。好適に、あるウェル中で電極は、その電極が電気伝導性溶液の存在下で電圧を加えられた場合に、ウェル中で均一な電場を発生するのを促すために実質上互いに平行にある。この関係において、実質的に平行とは+/−10%、好適には5%、そして更に一層好適には、1%以下を意味する。電極はウェル中、好適には、当該電極は、水平又は垂直に配置されるが、プレートが細胞のサンプルを受け取るために表層上に配置された場合に見られるように、任意の適切な方向で配置されて良い。電極は、全てのウェルに与えられて良く、例えば、大体積ウェルに与えられて良く、そしてまた複数の個々の電極(好適には、一方は陽極、もう一方は陰極である反対の電極の対において配列されている)を含んで成って良く、それらは、一緒にかあるいは連続して、そしてウェル全体に電場を均一に分配するのを実質上促すように特定のパターンで電圧を加えられて良い。
【0031】
エレクトロポレーション電極は好適に、流体シールする方法で(液体を加えた後にウェルからそれが漏れるのを防ぐために)ウェルの1又は複数の側壁の中へと組み込まれており、従って、その電導性表層は、ウェル中に配置されたサンプルに対して露出している。代わりに、電極を形成するために、電極物質(例えば、金)が、好適には、薄膜として、又は薄膜の層もしくは複合物質として、ウェルの側壁に沈着させられて良い。電極物質を沈着させるための方法としては、浸漬、めっき(無電解又は電解)、スプレー、及び蒸着が挙げられる。電極(又は宿主細胞に対して曝されるその部分は)は好適に、生物適合性の、電気伝導性の物質が挙げられる。かかる物質の例としては、金、アルミ、チタン、又は非金属の、電気伝導性複合物の例えば、グラファイト(又は当該複合物質が本発明の実施において有用な電極として働くために、組成物に対して十分な量の伝導性物質で充填又は十分にドープ処理された(doped)ポリマー)が挙げられる。
【0032】
所定の実施態様において、電極は、多数の電極物質、例えば、銅、ニッケル、及び金の複合物質を含んで成りそれらは、数回、固層支持体に対して適用されて良く、それによって電極物質の層が構築される。好適に、かかる複合物質において、電気伝導性物質の再外層(即ち、細胞に対して曝されている)は生物適合性である。前記最外層より下の1もしくは複数の層の1もしくは複数の電極物質も生物適合性であっても良いが、例えば、コスト、内在する基質又は接着層との適合性などの因子が、もしあれば、製造又は適用の容易性及び導体としての物質の特性が、ある用途のための当業者の選定の物質に影響を及ぼしうる。
【0033】
電極は、側壁に対して適用される場合には、その補足的な1又は複数の電極と共に電圧を加えられることによってウェル中(又は電極間の体積)で実質的に均一な電場を生じさせるために必要な程度に側壁の大部分を網羅する。上記の内容から分かるように、様々な時間で電圧が加えられる複数の電極の組(例えば、対)が使用される大規模適用において、実質上均一な電場が、電極(電圧を加えられる特定の電極の組を含んで成る)の間の所定の体積の細胞含有溶液において生じている(チャンバー全体において必ずしも生じる必要はない)。好適に、電極は、側壁の可能な限り大部分を網羅し、その理由は、このことにより幅広い溶液の体積が(ウェルの最大体積迄)、電極間で生じる電場の均一性を可能にすることに加えて、使用可能になるからである。
【0034】
エレクトロポレーションプレート中の各電極は、装置に対して接続されて良い電源(例えば、パルス発生装置)から、特定の電極に対してエネルギーを運ぶことができる導体(例えば、電気伝導性ワイヤー又は接点)に接続されていて良い。所定の好適な実施態様において、ある縦列(又は横行)におけるエレクトロポレーションウェルのための電極は、直列的に又は並列で相互接続されており、従ってそれらは電圧を加えられるかあるいは同時にアドレスされて(addressed)いて良く、一方で、当該プレートの他の縦列(又は横行)にある他のエレクトロポレーションウェルの電極は、電圧を加えられるウェルに対して電気的に接続されず、電圧を加えられることはないだろう。他の好適な実施態様において、エレクトロポレーションプレート各ウェルのための電極は、独立してアドレスされて良く、従って、当該プレートの各ウェルが当該ウェル中の他のウェルと互いに独立して電圧を加えられることが可能になる。当然、独立的にアドレス可能なウェルを有するプレートにおいて、特定の加電圧パラメーターの形質転換効率に関連した統計値を発生させるために、2以上のウェルに類似して電圧を加えることが望ましい。
【0035】
本発明のエレクトロポレーションプレートは任意の適切な固層支持体からできている。所定の実施態様において、固層支持体は、単一物質の均質な組成物からできており、その一方で、所定の実施態様において、それは様々な物質の組み合わせからできていて良い。特に好適な支持体は、プラスティックであり、何故ならプラスティックは安価であり、容易に所望の形状になり(例えば、様々な成型法、例えば射出成型によって)、破壊に耐え、所望の光学的な性質を有し、そしてもし所望されれば容易に機械加工されるだろうからだ。好適な実施態様において、固層支持体の全部もしくは一部は1もしくは複数の波長の光(例えば、可視電磁スペクトルにおける波長)を透過するだろう。他の実施態様において、固層支持体の全部又は一部は半透明であって良く、一方で、更に他の実施態様において、固層支持体の一部又は全部が不透明であって良い。
【0036】
本発明のエレクトロポレーションプレートには、エネルギーが当該プレート中の電極に対してデリバリーされるのを可能にする1以上の電気接続部をも含む。任意の適切な電気接続部が使用されて良く、それは例えば、ピン及びソケットを使用する電気的接続部である。特に好適な実施態様において、複数の接触板型の電気接続部が提供されており、そして各電極(又は同じパラメーターにより電圧を加えられる電極の組)は、個別の接触板を介して電圧が加えられる導体に対して連結されている。従って、各接触パッドは1以上の電極と電気的に連結されており、それにより1又は複数の電極が、もしも所望されればそして望みに応じて、電圧を加えられるようになる。接触板接続部の正確な数は、個別に電圧を加えられるエレクトロポレーションウェル(又はウェルの完全もしくは部分的な横行もしくは縦)の数に、並びに他の電気的制御体(例えば、スイッチ)が特定の回路に提供されているかどうかに依存する。
【0037】
コントローラー(もしあれば、プレート中の電極が、電源(例えば、パルス発生装置)からのエネルギーを受けとるように指示する)によって指示された場合に、エレクトロポレーションプレート上の1又は複数の電気連結部により、エネルギーが、プレートに存在する1又は複数の電極に対して供給されることが可能になる。コントローラーは電源中へと組み込まれて良く、又は代わりにそれは個別の装置であっても良い。
【0038】
本発明のエレクトロポレーションプレートは、特定のプレートが自動化又は半自動化されたシステム中で追跡されて良いように、トラッキング(tracking)又はインベトリ(invetory)要素の例えば、独特の識別子を担う光学的に読み込み可能なバーコードの組を含んでも良い。
【0039】
本発明の関連する観点は、エレクトロポレーションされる大体積の細胞懸濁を受け取るような形態に配置されたエレクトロポレーションプレートに関連する。この観点の実施態様において、プレートは典型的に、1〜約50個の、好適には1〜約12未満の個別のチャンバーを含んで成る。各チャンバーは上部が開いていて良いが、このことは本質的要素ではない。1又は複数のチャンバーは、液体を各チャンバーに流し込むそして/又は各チャンバーから出すことを可能にする1又は複数のポートをも含んで良い。いくつかの実施態様において、電極はバッフルの上に配置されていて良い。各チャンバーは、当該チャンバー内で流体の移動を限定又は制御するための1又は複数の内部バッフルをも含む。いくつかの実施態様において、電極はバッフル上に配置されていて良い。いずれにせよ、かかるチャンバーは好適には、チャンバーの壁に配置された1以上の、そして複数の電極の組を含んで成る。各電極の組を含んで成る電極はチャンバーの壁に配置されている。各電極の組は、複数の電極から成り、好適に均一な数の電極(例えば、2、4、6、8、10、12以上)(ここでは等しい数の陽極と陰極がある)から成るが、本発明は、奇数の電極(例えば、1、3、5、7、9、11、13以上)を含んでなる電極の組を熟考した。確かに、電極の組は1個の電極を含んで成りうるが、ここで当該電極は、適宜配置された、他の電極との関係において使用されるだろう。電極の対(例えば、1つは陽極と1つは陰極)を含んで成る電極の組が特に好適である。各電極の組は、あるチャンバーのための他の電極の組と互いに独立して電圧が加えられて良い。類似して、1つのプレート上に多数のチャンバーを含んで成る実施態様において、2以上のチャンバー中の電極の組には同時に又は様々な時間において電圧が加えられて良い。
【0040】
複数の電極の組を含んで成る特定のチャンバー中でのエレクトロポレーションの間、当該電極の組には連続して電圧が加えられていることが好適である。エレクトロポレーションは各電極の組みにおいて、電極間での一式のパルスを加えることを含んで成る実施態様においては次のようなことが好適である。それはある電極の組の電極間に一式のパルスを加えることが、同チャンバー内の他の電極の組の電極に電圧が加えられるのが完了する前に、好適には、先の1又は複数電極の組に電圧を加えるために使用したのと同じパラメーターを使用して、適用されることである。この背景において「連続的」とは、例えば、細長いウェル内で向かい合って隣接する電極の対に、細長いウェルの一端から一端へ向けて連続的に電圧が加わるだろうことと考えられている。代わりに、パルシングはウェルの中心部分から外側末端であって良い。
【0041】
本発明の他の関連する観点は、プレートの1以上の、いくつかの又は好適には全てのウェルに電気的にコンピテントな宿主細胞のアリコートが入っている本発明のエレクトロポレーションプレートを含んで成るキットである。「電気的にコンピテント」とは、外因性の分子を、適切な電場の存在下で、又は適切な電場の適用後に、容易に取り込む宿主細胞をいう。典型的に、細胞は、保存及び輸送に適したバッファー中で懸濁されていて良く、そしてここで細胞は、生存能力を24時間以上、好適には1〜3日、そして一層好適には4〜7日以上に渡り維持するだろう。理解されるように、様々な細胞が様々な成分を含むバッファーを必要としうる。更に、再度、様々なバッファーが再度必要であるとしても、細胞を冷凍状態で輸送することが望ましい。従って、バッファーと細胞の組み合わせの選択は、当業者の判断による。細胞が入っているプレートを輸送するために、適切なプレートカバー(例えば、取り外すことができるホイル又はプラスチックカバー)も好適に提供されている。個々のウェルからの細胞懸濁(液体又は凍結形態が、場合に応じて使用されて良いので)のロスを防ぐために、カバーが各ウェルを個別にシーリングすることが好適である。細胞が入っているプレートは個別にパッケージングされて良い又は細胞が入っているプレートの2以上の束においてパッケージングされて良い。能書も、典型的に各パッケージにおいて、提供されるだろう。
【0042】
本発明の他の観点は、本発明のエレクトロポレーションプレートを使用するエレクトロポレーションシステムに関する。最小限において、かかるシステムは1以上のかかるエレクトロポレーションプレート及び当該エレクトロポレーションプレートの1又は複数の電気接続部に対して接続するために適合された電源を含むだろう。電源にはコントローラーも含まれるだろうし、又はもしそうでなければ、当該システムは、個別の装置としてコントローラーを含むだろう。コントローラーは、プレートの様々な電極に電圧を加える指示をし、好適には予め設定されたプログラムに従って指示し、そのプログラムはユーザーにより規定されるかあるいは工場において提供されていて良い(例えば、複数の予めプログラムされた1組の加電圧パラメーターを列挙するメニューから選択されている)。かかるシステムは任意に、エレクトロポレーションシステムの操作をする間にエレクトロポレーションプレートを維持するような形態にされたプレートハンドラーを含んでも良い。好適な実施態様において、プレートハンドラーは、特定のプレートにおける1組の電極及び導体と適合する電気接続システムを含んで成り、従って、プレートがそこに配置された場合、適切な電気接続がなされ、それによって所望の加電圧パラメーターが、プレート中独立してアドレス可能なウェル中の電極に対してデリバリーされるようになる、又は大体積プレートの場合、同時に電圧が加えられる電極集団(例えば、電極の向き合う対)の各々(向き合う対の組)に対してデリバリーされるようになる。上記の内容から分かるとおり、1又は複数の電源、コントローラー、及びプレートハンドラーは、単一の装置中へと組み込まれて良い、又は、電源、コントローラー、もしくはプレートハンドラーが独立した状態で提供される様々な機能よりも少ない数で装置の収集物へと組み込まれて良い。
【0043】
この観点の他の実施態様において、システムは更に、プレートのエレクトロポレーションウェル又は1もしくは複数のチャンバーからデータを回収するために1もしくは複数のプレートリーダーを含む。マルチウェルプレートを使用するハイスループットシステムにおいて、前記1又は複数のリーダーは典型的に異なる位置にある。例えば、エレクトロポレーションが生じた後、例えばプレートハンドラーにおいて、プレートはリーダーを含むステーションに移動させられる(例えば、ロボット又は他の装置によって)。次いでデータの回収が行われる。いくつかの実施態様において、かかるシステムはインキュベーションステーションを含んでも良く、ここで当該プレート(及びエレクトロポレーションされた細胞)は所望の条件下で、リーディングステーションに移動する(又はデータ回収)前に、インキュベートされる。
【0044】
データを回収するために、プレートリーダーは、エレクトロポレーションプレートにおいて行われる1又は複数のエレクトロポレーション実験から生じるだろうデータと適合する読み込み装置を使用する。例えば、もし、細胞中に導入された外因性分子が、レポーター遺伝子をコードする核酸分子(その発現産物は蛍光を発生できるタンパク質である)であれば、特定のウェルからどのくらいの蛍光が放射されたかによりデータを回収するためにルミノミトール(luminomitor)が使用されて良い。類似して、他の種の外因性分子の他の物質が、所望により、標識されても良く、典型的には使用される検出システムと適合する成分により標識されて良い。もし、異なるエレクトロポレーション条件、バッファー、反応物濃度などが異なるウェルで使用された場合、異なる結果が予測できうる。他の読込み装置としては、分光光度計(例えば、外因性分子が導入されている宿主細胞の懸濁中での光の特異的な波長の吸光度、又は特異的な波長範囲の違いを測定するため)及び機械的視覚装置(例えば、外因性分子の、懸濁における宿主細胞中へのエレクトロポレーション介在導入後の細胞の付着を評価するために)が使用されて良いが、外因性分子によって介在された細胞に対する効果を検出することができる全ての装置が使用されて良い。
【0045】
プレートリーダーを使用するこれらの実施態様において、エレクトロポレーションシステムが、プレートリーダーによって回収されたデータを、後に見直して分析するために保存するために保存するシステムをも含むことが好適である。全ての適切なデータ保存装置が使用されて良い。
【0046】
任意に、エレクトロポレーションシステムは、エレクトロポレーション実験の途中又はその後に、好適にはプレートリーダーがデータを収集した後に、エレクトロプレーションプレートを保存するためのプレート保存設備を含んでも良いだろう。
【0047】
この観点の他の実施態様において、エレクトロポレーションシステムは更に、エレクトロポレーション条件を、メモリーに保存されたエレクトロポレーションデータを、単独で又は他の実験条件と共に、使用することで、最適化するために適合された最適化コンピュータを含んで成る。
【0048】
本発明の更に他の観点は、外因性分子を宿主細胞中に導入するための方法であって、本発明のエレクトロポレーションプレートのエレクトロポレーションウェルに入っている懸濁中に存在する宿主細胞中へと外因性分子を導入するためにエレクトロポレーションを使用することを含んで成る方法に関連する。ここで、「外因性分子を宿主細胞中に導入する」ためにエレクトロポレーションを使用することとは、エレクトロポレーションを使用することで、宿主細胞に、外因性分子を取り込むことができるようにさせることをいう。次いで、エレクトロポレーションの結果、外因性分子は、宿主細胞へと分散させることができる。当然ながら、イオントフォレーゼなどの技術も、エレクトロポレーションされた細胞中への外因性分子の取り込みを更に増加するために使用されて良い。所定の実施態様において、外因性分子は核酸分子である。他の実施態様において、それは小分子薬物である。1超の外因性分子物質がエレクトロポレーション反応中で存在して良いことが理解されるだろう。
【0049】
すぐに利用できる方法において、宿主細胞は典型的に真核又は原核細胞である。好適な真核宿主細胞としては、動物細胞及び植物細胞などが挙げられる。特に好適な動物細胞としては哺乳類細胞(例えば、ヒト及び霊長類の細胞、並びにウシ亜科、イヌ科、ウマ科、ネコ科、ネズミ科、ヒツジ、及びブタ動物)、昆虫細胞、魚類細胞、鳥類細胞、クモ形類細胞、軟体動物細胞、及び甲殻類細胞が挙げられる。特に好適な植物細胞としては、単子葉植物又双子葉植物に由来する細胞が挙げられる。そしてまた上記任意の細胞型から発達した細胞系統も好適である。
【0050】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の図面、詳細な説明、及び添付の請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
本発明が詳細に記載される前に、本発明は特定のエレクトロポレーションプレート、システム、及び記載の方法論に限定されてはいないことが、これらが変わりうるので、理解されている。そしてまた、本明細書中に記載の専門用語は、特定の実施態様を記載するためにのみ使用されており、そして添付の請求の範囲に規定した本発明の範囲に限定されないことが理解されるべきだ。
【0052】
1.
本発明は、その核心において、大規模エレクトロポレーションプレートに関連する。所定の好適な実施態様において、これらのプレートは2以上のウェルを有し、そして96、192、288、384、576、672、768、1536、3072、6144以上の同一のウェルであって、独立的に電圧を加えられるかあるいはアドレスされるウェルを有する。他の好適な実施態様において、本発明のエレクトロポレーションプレートは、1以上の、そして2〜30以上の、大体積チャンバーを、細胞含有懸濁をエレクトロポレーションするために含む。かかる実施態様において、各チャンバーは、独立して電圧が加えられるかあるいはアドレスされて良い複数の電極の組を含んで成る。
【0053】
本発明との関係において、「独立的に電圧が加えられた」、「独立的にアドレスされた」などは、プレート中の他のエレクトロポレーション電極とは別及び異なるエネルギーを受け取るためのエレクトロポレーション電極の1つの対(又は電極の組、例えば反対の電極の対を含んで成るより多数の電極)の性能を意味する。この性能は、プレート設計の機能であり、そして多くの方法によって達成されて良い。例えば、各エレクトロポレーション電極対は他の電極対とは別個に配線されていて良く、ここで、各電極の対が、それ自身、電極及び導体(当該電極を、電源に対して接続するための電気接触部に電極を接続する)からなる個別の回路の一部である。代わりに、複数の電極、好適には電極対は、同回路の要素として配置され、そしてそれと、スイッチを有する各電極対が関連していて良い。従って、スイッチは、特定の電極対が、回路に電圧が加わった場合に加電圧されるかどうかを決定するだろう。当然ながら、かかる回路の組み合わせを有するプレートも作製されて良い。1つのウェル(又はチャンバー)のための電極対(又は組)が独立してアドレスされて良い場合、ウェル(又はその電極)は「独立してアドレス可能である」とよばれる。同様に、他の実施態様において、全てではないが、いくつかの電極の対又は組みが回路の一部であり、従って、一緒に電圧が加えられる(即ち、同時に、スイッチでの起動を伴わずに)ようにプレートが設計されている場合、その電極対(及びそれらの対応するウェル)は、プレート中の他の電極(及びウェル)と比較して、独立してアドレス可能であるといわれる。
【0054】
エレクトロポレーションプレート及び電気的にコンピテントな宿主細胞をロードされるかかるプレートを含んで成るキットに加えて、本発明は、かかるプレートを使用するエレクトロポレーションシステムにも関連する。かかるエレクトロポレーションシステムは、最小限、エレクトロポレーションプレート中に存在する1又は複数の回路に電圧を加えるプレートハンドラーを含んで成るだろう。従って、あるプレートハンドラーは、電圧を加える必要があるプレートの電極にエネルギーを供給するために電源を、並びにいつ及びどのようにして各回路に電圧が加えられるかを指示するコントローラーを含んで成るだろう(そして、もし存在すれば、その1又は複数のスイッチはオープン又はクローズにされているだろう)。コントローラー及び電源は、個別のユニットであって良いが、好適に、これらの機能性は単一の装置の内部にある。エレクトロポレーションシステムは、1又は複数のプレートリーダー、データ保存装置、及び/又はコンピューター(例えば、エレクトロポレーションパラメーターの最適化、プレートの移動及び操作の管理のためなどに)をも含んで良い。
【0055】
本発明のこれら及び他の観点の好適な実施態様は、全体に渡り下に記載されている。
【0056】
2.エレクトロポレーションプレート
本発明は、エレクトロポレーションプレートであって、エレクトロポレーション実験を行う上で有用な製品に関連する。ハイスループット適用のために有用である実施態様に関して、各プレートは複数の帯電可能なウェルを含んで成り、その2つ以上のそれらは独立して電圧が加えられて良い。ウェルは固層支持体中に配置され、そして製造の様々な段階で導入されて良い。各ウェルを帯電させるために、2以上の電極(陽極及び陰極)がそこに恒常的に配置されていて良い。ウェル自身に関して、電極は製造の様々な段階において導入されて良い。電極には、プレートと作用可能式に結合させることができる外部電源(エレクトロポレーションの分野においては往々にして「パルス発生装置」とよばれている)を使用することで電圧が加えられて良い。類似して、プレートが1又は複数の大体積チャンバーを含んで成る実施態様において、各チャンバーは、独立的に電圧が加えられて良い複数の電極の組を含んで成る。電極の組における各電極は、好適に、チャンバーの壁の中に配置されており、壁は典型的に固層支持体からできている。上記の内容から分かるように、チャンバーは個別に作られて良く、そして適当な段階で支持部材に対して接着させられて良い。従って、電極の組を電源に対して接続するための電気回路はそれ自体、チャンバーの本体中で単独で組み込まれて良いかあるいは、代わりに、それは、そのいくつかがチャンバー内にあり、そしてそのいくつかは支持体内にある要素を含んで良い。他の実施態様に置いて、チャンバー及び支持体は一体型ユニットとして製造されて良く、ここで完全ユニットは、装置の電極が電源によって電圧を加えられるために必要な導体及び電気的接続部を含んで成ろう。
【0057】
a.設計
本明細書中に記載のように、本発明のハイスループットエレクトロポレーションプレートは、複数の帯電可能なウェル(その少なくとも2つ以上には独立的に電圧が加えられて良い)を含んで成る。かかるプレートは、自動化された、ハイスループットスクリーニングシステムと共において使用されるようなので、プレートはかかる環境において操作するように設計されることが好適であるが、かかる適合性は本質的な要件ではない。大部分のハイスループット生物分子スクリーニングシステムのためのハードウェアの開発者は、the Society for Biomolecular Screening(Danbury, Connecticut)によって刊行されそしてAmerican National Standards Institute, Incによって認証された基準に依存している。とりわけ、かかる基準(彼らが設計し、暫定的又は公式に採用された)は、これらのシステムにおいて使用されるプレートのための共通の寸法の組を規定している。一般に、プレートのフットプリント寸法、高さ寸法、底の外部のフランジの寸法、ウェルの位置(例えば、96、384、及び1536ウェルプレート)、及び側壁の硬さに関する基準が存在する。これらの寸法のプレートは、世界中の多くの医薬的、生物学的、及び農業生命科学的企業、並びに学術及び他の研究機関において使用する際のロボットシステム及び自動化されたハードウェアプラットフォームによって容易に操作されて良い。ハイスループット適用のための簡単なエレクトロポレーションプレートの世界的な適合を促すために、プレートを、これら及び後に開発される基準にあわせ、自動化及びプラットフォーム交互適合性(cross-platform compatibility)に対応することが望ましい。
【0058】
かかる実施態様の好適な例としては、エレクトロポレーションプレートが、縦列及び横行でまとめられた複数のウェルを含んで成る実施態様が挙げられる。これらのいくつかの実施態様において、ある縦列(又は横行)における1もしくは複数のウェル(それらは縦列のウェルの全部であってもなくても良い)が一緒に電圧が加えられるが、プレートの他の縦列(又は横行)におけるウェルとは独立して電圧を加えられて良い。他には、ある縦列又は横行のウェルの全ての電極に一緒に、しかしプレートの他の電極とは独立して電圧が加えられて良い。かかる実施態様において、一緒に電圧を加えられる特定の縦列(又は縦列の組もしくはその部分)の電極は、1つの電極の対に電圧が加えられた場合、その全てが同じ加電圧パラメーターを有するエネルギーにより電圧が加えられるように、作用可能式に接続されていることが好適である。縦列もしくは横行のウェル(又は電極)の「一部分」とは、全てではないが、2以上の縦列又は横行のウェル(又は電極)をいう。
【0059】
他の実施態様において、本発明のエレクトロポレーションプレートは、大規模エレクトロポレーションを行うための1又は複数の大体積チャンバーを含んで成る。かかる実施態様において、かかるチャンバーは、各々が2以上の電極を最小限含んで成る、複数の帯電可能な電極を含んで成る。電極の各組は、独立的して電圧が加えられて良い。上記の内容から分かるように、かかるプレートは、当該プレート及び1又は複数のチャンバーが単一の部分として製造されるように設計されて良い。代わりに、プレートは、必要に応じ又は所望な通りに集成されて良い2以上の要素(piece)を含んで成るように設計されて良い。例えば、プレートは、1又は複数の大体積チャンバーを受け入れるように製造された支持部材を含んで成って良い。かかる実施態様において、チャンバーは同じ又は異なるサイズであって良く、即ち、各チャンバーは同じ又は異なる体積の細胞を保持する能力を有して良い。多要素集成体において、支持部材は電気的要素を含んでも含まなくても良い。支持部材が電気要素を有さない実施態様において、チャンバーユニットは、電極が適切な電源(即ち、エレクトロポレーションパルス発生装置)につながった後に電圧が加わるようにするために必ず回路及び接続部を含んで成る。支持部材が、電極に電圧を加えるために欠かせない所定の要素を含んで成らない実施態様において、当該支持部材及び1又は複数のチャンバーは、電極と適切な電源間での所望の接続をなすために必須のものとしてかかる発生装置及び要素を含んで成る。当然ながら、本発明は、本発明のプレートのための有効な多くの形状を熟考する。従って、本発明のプレートの正確な設計は、当業者の判断に委ねられる。
【0060】
b.固層支持体
本発明のエレクトロポレーションプレートは任意の適切な固層支持体から作られていて良い。好適な支持体とは、成型法及び/又は機械加工によって所望の仕様で製造されて良いものである。特に好適なものは、プラスティック又は射出成型もしくは類似する方法によって所望の形状へと成型されて良い他のポリマーである。ポリカーボネート、アセトニトリルブタジエンスチレン(ABS)、及びポリスチレンがこの理由から特に好適であるが、本発明の大体積エレクトロポレーションへと加工されて良い全ての物質(又は様々な物質の組み合わせ)は使用されて良い。プラスティックを使用する実施態様において、プラスティックは、所望の特性、例えば、強度、熱逸散、電流に対する絶縁などの向上を供するために、物質を浸透及び/又はそれで強化されて良いことが分かるだろう。
【0061】
プラスティックの他の利点は、様々な色及び様々な程度の透明性を、本発明の電気泳動プレートの様々な部分において使用する能力である。例えば、多くの検出システムは特異的な波長の光を検出することに基づいている。この理由のために、多くの実施態様において、エレクトロポレーションプレートの底は、透明なプラスティックからできており、その一方で、ウェルの側部を形成するプレートの部分は不透明なプラスティックからできている。
【0062】
プラスティックは、本発明のエレクトロポレーションプレートを形成するための固層支持体の好適な例を提示する一方で、他の実施態様はセラミック又は金属を使用する。これらの物質に関して、そしてそれらを調製するための技術は、当業者に周知であり、かかる物質は、本明細書の範囲内で、当業者によって本発明を実施する再に使用されるために容易に適合せしめられて良い。
【0063】
c.電極
電極は、任意の適切な電気伝導物質又は物質の組み合わせ、例えば、かかる物質の複合物質から作られるかあるいは形成されて良い。好適に、電極に使用するための1又は複数の物質は生物適合性である。電極が多数の物質(例えば、電気伝導性物質の銅などの上に配置された電気伝導性物質のニッケルなどの上に配置された電気伝導性物質の金、又は電気伝導性物質でドープ処理された担体)から形成されている場合、少なくとも最外層、即ち、細胞懸濁に対して曝されるだろう層が生物適合性であることが好適である。当然ながら、他の伝導性物質(アルミニウム、様々なステンレス鋼など)も使用され良く、それらの選択は、特定の用途に基づき当業者の判断に委ねられる。
【0064】
電極及び導体は、任意の適切な方法によってエレクトロポレーションプレート中に含まれていて良い。例えば、いくつかの実施態様において、電極物質が、固層支持体上に所望の位置で配置されているかあるいは本来沈着されている。他の実施態様において、固層支持体は、1又は複数の予め形成されたウェルのための電極を受け入れるために機械で加工されている。
【0065】
d.製造
本発明のハイスループットエレクトロポレーションプレート(図1を参照のこと)の特に好適な実施態様を、次のように、多段階の方法によって生産した。96ウェルエレクトロポレーションプレートのための基本構造を供するポリカーボネートフレームを射出成型によって形成した。この96個のウェルを8行12列において配置した。次いで、横行方向に配置された各ウェルの側壁、並びに各ウェルに隣接する縦列の上部を、ABS又ポリカーボネート/ABS(PC-ABS)プラスティック混合物などの物質により成型し、金属又は電極及び導体として有用な他の物質を塗布するために適した、その表層(ここは、ウェルの横行側のウェル側壁且つ横行の上部側のウェルの側壁)上で所定の表層特性を有するプレートを提供した。ウェルを成型した後、プレートを、電極組成物の適用(例えば、塗布によって)をするための表層を調製するために、エッチング溶液に対して曝した。
【0066】
このエレクトロポレーションプレートにおいて、ポリカーボネートとABS物質の間で違いをつけるだろう塗層技術を使用することで、異なる金属の3つの層が比較的薄い膜として固層支持体(例えば、ポリカーボネートフレーム上でABSから形成されたウェル)上の所定の部分に連続して沈着された。最初に、無電解銅めっき技術を使用することで呼び厚を約10マイクロインチ(mi)の比較的薄い銅の膜がプレートのABS部分に沈着させた。この場合、銅を選択しており、その理由は、それはABSに対して非常に良く付着し且つプラスティックと金属層との間で遷移結合(transition bonding)を供するからである。次に、比較的厚い呼び厚約1/1000インチ(1miI)を有する銅膜を電気めっき技術を使用することで最初の銅層上に沈着させた。このようなプレートにおいて、これら銅層は大量の電流担持能力を供する。銅を塗布した後、呼び厚約100miを有するニッケルの薄い膜が銅の上に沈着させた。ニッケルは、その電導特性により、そしてそれが銅の層に対して非常に良く接着して金を電気めっきするために良好な支持体を形成することにより使用している。最後に、金の最終層をニッケル上に塗布した。金は比較的コストがかかるので、それを、制御された電気めっき技術を使用することで電気的に塗布した。金の層は約10miの呼び厚を有した。上記の記載から分かるとおり、コストを考慮することにより、銅及びニッケルの呼び厚は50%以上変化して良い。金の厚さを一層正確に調節し、そして好適には約5%未満で変える。本発明を行う際に有用な電極の例えば、上記の多重層電極は、好適に、様々なエレクトロポレーション条件(例えば、標準的な緩衝塩類溶液を使用することで10ミリセカンド(msec)に渡り400ボルト(V))下で使用するための性能を有し、様々なエレクトロポレーション条件のために有用な特定のプレートを作製する。実際には、ウェルのいくつか又は全てが、プレート上の他のウェルと比較して独立的にアドレス(即ち、電圧が加えられている)されて良い場合、1つのプレートが複数の異なるエレクトロポレーション条件を試験するために使用されて良い。質を調節する目的で、電極は、
【0067】
上記かかる三層電極を、銅層について0.18ohm、ニッケル層について0.73ohm、そして金層について2.5ohmの呼び耐トラッキング抵抗を有し、全体抵抗が約0.136ohmを有するように計算した。適用した電流(即ち、エレクトロポレーションパルス)の約75%は銅を流れ抜けるが、ニッケルへ、そして金の層を移動し、サンプルに到達すると考えられている。
【0068】
電極層を加えた後、透明な、プラスティック(例えば、ポリエステル又はポリスチレン)からできている底部を絶縁することとは、各ウェルの底を、ウェル間での漏出を防ぐシーリングが完全にされることを確実にするように紫外光の下で硬化する接着剤を使用することで、プレートの他の部分に対して結合させることであった。プレートの底は、プレートの他の部分のように、透明、半透明、又は不透明であって良い。プレートが発光を基本とするアッセイで使用される場合、白色の底であることが好適であるということが発見されている。いずれにせよ、適当な底部をプレートに対して加えた後、次いでプレートを好適にシーリングして滅菌する。
【0069】
本発明のハイスループットエレクトロポレーションプレートの特に好適な実施態様において、絶縁性ポリマーは、最終的には8×12の配列で並べられた96個のウェルを有するプレートが提供されるように配置された電気伝導性電極の配列の上に重ねて成型されており、従って、各ウェルには1以上の電極の対が入っており、そしてここでウェルのいくつか又は全ての電極は、プレート中で他の電極とは独立して電圧が加えられて良い。
【0070】
3.用途
本発明のハイスループットエレクトロポレーションプレートは、独立的に電圧が加えられる又はアドレスされて良いエレクトロポレーション電極が入っているウェルを2つ以上提供し、多数のエレクトロポレーション実験が単一のプレートで行われて良い。類似して、本発明の所定の大規模エレクトロポレーションプレートは、1又は複数の大体積エレクトロポレーションチャンバーであって、その各々が独立的に電圧を加えられる又はアドレスされて良い電極が2つ以上入っているので、大体積の細胞が1つの容器において効率的にエレクトロポレーションされて良い。更に、既存のエレクトロポレーション電源が、かかるプレートと共に使用された場合に、一層効率的に使用されて良い。何故なら、様々な時間で、プレートの異なる領域に、又は1つのチャンバーの異なる電極に電圧を加え、それによって電源により、電圧を加えている間に再度帯電させることが可能になるからである。従って、エレクトロポレーション条件は、常用のパルス発生装置を使用することで容易に最適化されて良い。
【0071】
本発明の他の用途は、核酸分子などの外因性化学物質を宿主生物(例えば、真核及び原核宿主細胞)中へと導入することを伴い、技術はそれ自体、多くの種類の実験、分析、及び治療に対する中心となる。例えば、DNAライブラリー中の注目の遺伝子を調査する場合、当該ライブラリーは、最初に適切な宿主細胞集団中へと導入されなければならない。典型的なDNAライブラリー(例えば、ヒト、マウス、コーンなどの生物のゲノムに関するライブラリー)は非常に複雑(即ち、1000、10000又はそれ以上の様々な遺伝子を含む)であり、ライブラリー中で各遺伝子を完全に示すために必要な独立クローンの数は大きい。生物のゲノムを完全に示すライブラリーを作製するために、例えば、DNAが宿主細胞中に導入されて良い効率は、限定されるようになりうる。この方法の最適化することによって、DNAライブラリーを作製及びスクリーニングする能力が促している。
【0072】
類似して、多くの他の実験分析は、DNAを宿主生物中に導入する能力によって限定されている。ゲノム全体の分析をするためにDNAの巨大なセグメントをクローニングする(即ち、細菌性の人工染色体を使用する)場合、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用してクローニングを行う場合、又は遺伝子のランダム突然変異を行い、しかる後に、全ての変化した可能性のある形態をクローニングする場合、その成功は往々にして、最初の形質転換プールのサイズに依存する。再度、核酸を宿主生物に導入する過程を向上させる条件を開発することにより、実験が成功するだろうチャンスが高まる。
【0073】
エレクトロポレーションは、実験使用に加えて、治療目的のために使用されて良い。ここで、本発明のプレートは、治療上の利点を有する外因性分子を患者の細胞中へと、特にex vivo形態で導入するために使用されて良い。治療用外因性分子の例としては核酸分子が挙げられる。核酸は、いわゆる「遺伝子治療」を行うために、即ち、1又は複数の意図された遺伝子を患者内に導入して治療上の利点を生み出すためにデリバリーされて良い。代わりに、本発明の大規模エレクトロポレーションプレートは、他の薬物種(例えば、小分子医薬、治療タンパク質など)を患者の細胞中へと導入するためにex vivo形態において使用されて良い。次いで、治療後、細胞は患者へと導入されて良い。往々にして、細胞は、それらが取り出された患者中へと再導入されるだろう。
【0074】
エレクトロポレーション法を開発及び精緻化することにおいて、外因性分子の例えば、核酸の移動の効率に影響を及ぼす因子が確認されてきた。これらの因子としては、電場強度、パルス衰退時間、パルスの形状、反応温度、細胞の種類、懸濁バッファー組成物、及び外因性分子の物質(1超の物質)、例えば、移動させられる核酸分子の濃度及びサイズが挙げられる。エレクトロポレーション実験の効率に影響を及ぼしうるパラメーターの数は、調査及び市販設定において、特定の宿主細胞系統中への所望の分子(例えば、組替え核酸)の高効率移動をもたらすだろう条件を規定するために往々にして重要である。従って、最適化は、生物分子研究におけるエレクトロポレーションの使用及び再現性を高めるために重要であろう。
【0075】
本発明のエレクトロポレーションシステムは、最適化を行うために、典型的に、エレクトロポレーション条件を最適化するために適合させられた最適化コンピュータを、単独で又は他の実験条件と組み合わせて、メモリーに保存されているエレクトロポレーションデータを使用することを更に含んで成るだろう。本発明のハイスループットエレクトロポレーションシステムは、複数の独立的にアドレス可能なウェルを含んで成り、複数のエレクトロポレーション実験が行われて良い。ここで、「エレクトロポレーション実験」とは、あるウェル(好適には複数のウェル)中の電極に電圧を加えるために使用された加電圧パラメーターの特定の組をいう。従って、複数の異なるエレクトロポレーション実験が1つのプレート上で行われて良い。生じるデータを分析することにより、特定の細胞系統又は細胞集団のためのエレクトロポレーション条件(即ち、加電圧パラメーター及び他の条件の例えば、バッファー、細胞濃度など)の最適化が可能になる。最適化は好適に、最適なエレクトロポレーション条件(又は少なくとも宿主細胞、バッファー、及び外因性分子に関する加電圧パラメータ)が特定されるように、多変量解析などの統計的な方法及び技術を使用することで行われている。
【0076】
全ての特許及び特許出願、刊行物、科学記事、及び本明細書中で述べた他の参照とされた物質は、本発明の属する当業界の通常の知識を示すものであり、その各々は、本明細書中、その全体を個別に参照によって組み込まれている場合と同程度で組み込まれている。出願人は、全てのかかる特許及び特許出願、刊行物、科学記事、電気的に入手可能な情報、及び他の参考材料及び文書からの全ての材料及び情報を物理的に本明細書中に導入する権利を留保する。
【0077】
本明細書中に記載の特定のエレクトロポレーションプレート、システム、及び方法は、代表的な好適な実施態様であり、そして例示的であり且つ本発明の範囲を限定する意味はない。他の目的、観点、及び実施態様は、明細書を考慮することにより当業者によって生じさせられ、そして請求項の範囲に規定されたように本発明の精神の範囲内で包含されている。当業者には、多様な置換及び変更が本発明の精神を逸脱することなく本発明に対してなされて良いことが明らかだろう。本明細書中適切に例示的に記載されている本発明は、本明細書中本質としては特に開示されていない全ての1又は複数の要素の、又は限定の不在下で行われて良い。そしてまた、「含んで成る(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」などは広く、そして限定を伴わずに読まれるべきだ。本明細書中及び添付のクレームにおいて、単数形の「a」、「an」及び「the」は、本来背景が明らかに述べられていない限り複数の参照も含むことに留意しなければならない。
【0078】
使用されている用語及び表記は、解説のためのそして限定的ではない用語であり、そして、任意の既存の又は後に開発された示され、記載された同等の特徴又はその部分を排除するためにかかる用語及び表記を使用する意図はないが、請求の範囲に記載したように、本発明の範囲内で様々な変更が可能であることが認識されている。従って、本発明は、好適な実施態様及び選択的な特徴により詳細に開示されているが、開示された要素の変更及び/又は変形は当業者によって行われて良く、そしてかかる変更及び変形は請求項に記載の様に本発明の範囲内である。
【0079】
本発明は、明細書中幅広く且つ一般的に記載されている。一般的な開示内容に落ち着くより狭い種及び亜属種集団も本発明の一部を構成する。このことは、切り出された物質が本明細書中に詳細に記載されているかどうかに関わらず、属から全ての対象となる事項を取り除く限定的又は否定的な限定を伴う本発明の遺伝子の記載を含む。
【0080】
他の実施態様は、以下の請求の範囲内にある。加えて、本発明の特徴又は観点が、マーカッシュ集団の観点で記載されている場合、当業者は、本発明が、マーカッシュ集団の個々のメンバー又はサブメンバーの観点において記載されていることをも認識するだろう。
【図面の簡単な説明】
【0081】
本発明のこれら及び他の観点並びに実施態様は、本発明の所定の好適な実施態様を示す詳細な説明及び添付の図面を参照することにより明らかになるだろう。その図面は次のようにまとめられる。
【図1】本発明のマルチウェルエレクトロポレーションプレートの説明図である。96ウェルプレート(2)を描いている。ウェル(4)は8横行(6)及び12縦列(8)で編成されている。各横行の上部表層(10)には電流を運ぶ導体が塗布してある。ウェル内当該導体に対して接続させている電極(12及び14)が延びている。陽極のための導体は、横行の一方の側に配置されており、陰極及びそれらの導体はもう一方の側にある。この実施態様において、外部電源に対する電気的接続は、プレートの端で起こり、ここで電源との電気的な接触は、陽極及び陰極のための接続部体の遠位領域(16及び18)で起こる。
【図2】本発明のマルチウェルエレクトロポレーションプレートに関する代表的なエレクトロポレーションシステムの様々な成分を描いている。
【図3】本発明の大体積エレクトロポレーションプレートの代表的な様々な実施態様を描いている。図3Aは本発明の大規模エレクトロポレーションプレート(30)を示し、ここで当該プレートは大体積用途のために適しており、そして3つの同一なエレクトロポレーションチャンバー(32)を含んで成り、その各々は細胞懸濁を最大約15ml維持することができる。示されているように、エレクトロポレーションチャンバー(32)の各々はベースプレート(30)上にマウントされている。各チャンバーはインレットポート(34)及びアウトレットポート(38)、並びにベント(36)を、チャンバーに充填することと空にすることを促すために含む。そしてまた、記載の実施態様において、各チャンバーは、操作性を促すために人間工学部分(40)を有する。図3Bに示される説明図において、図3Aで記載したエレクトロポレーションプレートのチャンバーの1つが、電極の代表的なレイアウトを示すために断面図で示している。ここで、チャンバー(32)の内部の一方の壁に配置されている3つの電極(39)を示しており、壁上の各々は電極の壁の部分(41)を絶縁することによって、他の電極から切り離している。チャンバー中、これらの電極(39)の各々は、反対側の壁上の電極(39、示していない)と対になるだろうし、そして各電極の対には独立的に電極を加えることができる。好適に、各電極の対の電極は、同じサイズであり、そして互いに真向かいに合うように配置してある。電極対の電極は好適に間隔があいており、従って、1つの電極の表層は、他の電極の表層に対して平行であり電極間(ここで電場の強さが測定される)の位置に関わらず、電極間で実質上等しい電場を確実に生じさせる。図3Bに示す実施態様において、チャンバー(32)の溶液が入る部分の床(37)は、細胞懸濁を当該チャンバーから排出させることを促すためにアウトレットポート(38)の方向に向けてテーパーがきってある。図3Cは図3Aのチャンバー(32)の代わりの実施態様の切断面を示し、ここで電極(39)を、垂直とは反対に、実質上水平に配置している。図3Bの実施態様におけるように、チャンバーの内壁の一方に配置した電極(39)を、壁の小絶縁部分(41)によって互いに切り離している。図3D及び図3Eは、装置内に任意に含まれて良い一組の内部バッフル(図3Dは42、図3Eは44)を有するチャンバー(32)を説明する。バッフルは存在する場合、チャンバー(39)のサンプルが入る部分(45)における液体の動きを制限する働きをする。記載の実施態様において、各チャンバーは、サンプルインレットポート(34)及びサンプルアウトレットポート(38)をも有し、サンプルのチャンバーからの出る及び入るの流れを一方向にする。図3Dはバッフル(42)の代表的な配置を示すためにチャンバーの断面図を示す。描いたように、バッフルの各々はチャンバーの上部から下方向へ伸び、チャンバー(32)の底部表層(37)とバッフルの下方表層(48)の間にすき間(43)を残す。好適に、このようにして多数のバッフルがチャンバー中に含まれている場合、あるバッフルより下のすき間は、他のバッフルの下のすき間と同じであり、しかしサイズの異なるすき間を伴い多数のバッフルを有する配置を本明細書中で熟考している。上記の記載から分かるように、バッフルは1又は複数の様々な形状及びそれらの長さによる様々なサイズの更なるすき間を含んでも良く、そしてそれらバッフルは、チャンバーの内部の上部に対して接着されていることに加えて、チャンバーの1又は複数の側面に対して接着させられて良い。図3Eは、関連する実施態様を示し、ここでチャンバー(32)は、互い違いの状態でチャンバーの内部の側壁から延びるいくつかのバッフル(44)を含み、従ってあるバッフル(44)は、その表層(47)間で、向かい合う壁面(49)に対して最も近い方法ですき間(43)を残す。上記の記載から分かるように、配置にかかわらず、1又は多数のバッフルを含む全ての適切な実施態様を本発明によって熟考している。実際には、バッフルは電極を含んでも良い(示していない)。図3Fは、大体積用途のために適している本発明の大規模エレクトロポレーションプレート(30)のためのチャンバー(32)の代表的な実施態様を示す。詳細には、図3Fは、4つの電極対(48a〜d)、そして各電極対が当該対の陰極(50)と直接向き合うよう配置した陽極(52)を含んで成るプレートの1つのチャンバーを上から下に見た図を示す。描いた実施態様において、各電極を、特定の電極対の他のメンバーと真向かいに向き合うチャンバーの壁中に組み込み且つ垂直に配置している。電極を収容する各壁上で、電極を、特定の壁の絶縁部分(41)によって各々に切り離している。プレート及びチャンバーを、電極に電圧を加えるための電源(示していない)に対して接続できる電気接続部に対し、特定の電極における陽極と陰極の各々を接続する導体(示していない)をも含んで成る。描いた実施態様において、各電極の組(本明細書中、電極対)には、他の電極組とは独立的に電圧を加えて良い。 当業者には分かるとおり、添付の図面において示された実施態様は、例示のみであり且つ本発明の実際の範囲を描いていない。例えば、本発明のエレクトロポレーションプレートの様々な成分が様々に配置されて良く、又は更なる及び/もしくは異なる成分が含まれて良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロポレーションプレートであって:
a.固層支持体中に配列させた電圧を加えることができる(energizable)複数のエレクトロポレーションウェル;
b.エレクトロポレーション電極を電源に対して接続するための電気接続部、
を含んで成り、ここでエレクトロポレーションウェルの各々は、そこに配置した2以上の電極を含んで成り、そして2以上の当該ウェル中の2以上の当該エレクトロポレーション電極には独立的に電圧を加えることができる、エレクトロポレーションプレート。
【請求項2】
約2、12、24、96、192、288、384、576、768、672、1536、3072、又は6144個のエレクトロポレーションウェルを含んで成る、請求項1に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項3】
前記エレクトロポレーションウェルが実質的に同一の寸法である、請求項1に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項4】
前記エレクトロポレーションウェルが実質的に円筒状又は長方形である、請求項1に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項5】
各エレクトロポレーションウェルが約1μL〜約10mLの体積を有する、請求項1に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項6】
前記エレクトロポレーションウェルが約1μL〜約1mLの体積を有する、請求項1に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項7】
前記エレクトロポレーションウェルが約1mL〜約10mLの体積を有する、請求項1に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項8】
前記エレクトロポレーションウェル中の前記エレクトロポレーション電極が、他のエレクトロポレーション電極と向き合うように配置されている、請求項1に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項9】
各エレクトロポレーションウェルが1以上の側壁及び底壁を含んで成る、請求項1に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項10】
エレクトロポレーションウェルの前記エレクトロポレーション電極が前記側壁内に組み込まれている、請求項9に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項11】
前記エレクトロポレーションウェルが複数の横行及び縦列で配置されている、請求項1に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項12】
ある横行のエレクトロポレーションウェル中のエレクトロポレーション電極が、同時に電圧が加わるように作用可能式に接続されている、請求項11に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項13】
ある横行のエレクトロポレーションウェル中の前記作用可能式に接続されているエレクトロポレーション電極には、前記エレクトロポレーションプレートの他の横行におけるエレクトロポレーションウェル中のエレクトロポレーション電極とは独立して電圧を加えることができる、請求項12に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項14】
各横行におけるエレクトロポレーション電極には、エレクトロポレーションプレートの他の横行におけるエレクトロポレーション電極とは独立して電圧が加えられる、請求項13に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項15】
前記各ウェル中の電極が、各々独立的に電圧を加えられる複数の電極を含んで成る、請求項1に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項16】
前記複数の電極が2〜12対の電極を含んで成る、請求項15に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項17】
前記各電極対の電極が、互いに向き合って前記ウェル中に配置されている、陽極と陰極を含んで成る、請求項16に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項18】
前記電極の2以上の隣接する対が、電極の組として同時に電圧を加えられる、請求項17に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項19】
各エレクトロポレーションウェル中のエレクトロポレーション電極には独立して電圧を加えることが可能である、請求項1に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項20】
前記固層支持体を含んで成る物質が、プラスティック、金属及びセラミックから選択されている、請求項1に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項21】
前記固層支持体が透明である、請求項1に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項22】
前記固層支持体が半透明である、請求項1に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項23】
前記固層支持体が不透明である、請求項1に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項24】
前記エレクトロポレーション電極が固層支持体中に組み込まれている、請求項1に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項25】
前記エレクトロポレーション電極が前記固層支持体の表層上に沈着されている、請求項1に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項26】
前記エレクトロポレーション電極が蒸着によって沈着されている、請求項1に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項27】
前記エレクトロポレーション電極が電気伝導性物質又は電気伝導性物質の組み合わせを含んで成る、請求項26に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項28】
前記電気接続部がピン及びソケットを含んで成る、請求項26に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項29】
前記電気接続が、独立して電圧を加えられるエレクトとポレーション電極の各対に対する独立的な電気的接触を含んで成る、請求項26に記載のエレクトロポレーションプレート。
【請求項30】
エレクトロポレーションシステムであって:
a.請求項1に記載のエレクトロポレーションプレート;及び
b.当該エレクトロポレーションプレートの電気接続部に対して接続するために適合している電源、
を含んで成る、エレクトロポレーションシステム。
【請求項31】
エレクトロポレーションシステムの操作の間にエレクトロポレーションプレートを保持するように配置されたプレートハンドラーを更に含んで成る、請求項30に記載のエレクトロポレーションシステム。
【請求項32】
プレートリーダーを更に含んで成る、請求項30に記載のエレクトロポレーションシステム。
【請求項33】
前記プレートリーダーが、機械的視覚装置、分光光度計、及び前記エレクトロポレーションプレートの1又は複数のエレクトロポレーションウェルの中身を調べることによってエレクトロポレーションデータを回収するためのルミノミトール(luminomitor)からなる群から選択された読み込み要素を使用する、請求項32に記載のエレクトロポレーションシステム。
【請求項34】
前記プレートリーダーが前記プレートハンドラーに組み込まれている、請求項32に記載のエレクトロポレーションシステム。
【請求項35】
前記プレートハンドラーがロボットプレートハンドラーである、請求項30に記載のエレクトロポレーションシステム。
【請求項36】
エレクトロポレーション実験の進行する間に又は完了後にエレクトロポレーションプレートを保存するためのプレート保存設備を更に含んで成る、請求項35に記載のエレクトロポレーションシステム。
【請求項37】
前記プレート保存設備が複数のエレクトロポレーションプレートを保持するために配置されたインキュベーターである、請求項36に記載のエレクトロポレーションシステム。
【請求項38】
前記プレートリーダーによって回収されたデータを保存するためにデータ保存装置を更に含んで成る、請求項33に記載のエレクトロポレーションシステム。
【請求項39】
前記メモリー中に保存されたエレクトロポレーションデータからエレクトロポレーション条件を最適化するために適合させた最適化コンピュータを更に含んで成る、請求項38に記載のエレクトロポレーションシステム。
【請求項40】
外因性分子を宿主細胞中に導入するための方法であって、請求項1に記載のエレクトロポレーションプレートのエレクトロポレーションウェル中に入っている懸濁における宿主細胞中へと外因性分子を導入するためにエレクトロポレーションを使用することを含んで成る方法。
【請求項41】
前記外因性分子が核酸である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記宿主細胞が、真核細胞及び原核細胞からなる群から選択されている、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記宿主細胞が、動物細胞及び植物細胞からなる群から選択された真核細胞である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記真核細胞が、哺乳類細胞、昆虫細胞、魚類細胞、鳥類細胞、クモ形類細胞、軟体動物細胞、及び甲殻類細胞からなる群から選択された動物細胞である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記真核細胞が、ウシ亜科、イヌ科、ウマ科、ネコ科、ネズミ科、ヒツジ、及びブタ動物からなる群から選択された哺乳類細胞に由来する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記真核細胞が、哺乳類細胞系統に由来する細胞である、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記真核細胞が、単子葉植物又は双子葉植物に由来する植物細胞である、請求項43に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−508663(P2006−508663A)
【公表日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557555(P2004−557555)
【出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/038470
【国際公開番号】WO2004/050866
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(505209061)ジェネトロニクス,インコーポレイティド (6)
【Fターム(参考)】