説明

天井カセット型空調機用照明装置及び天井カセット型空調機

【課題】 低コストで既存の天井カセット型空調機に適用可能な照明装置、及び当該照明装置と一体に構成した天井カセット型空調機を提供する。
【解決手段】 天井裏に設置される空調機本体14と、天井面に露出する矩形の化粧パネル16とを含んで成る天井カセット型空調機10用の照明装置12であって、化粧パネル16の隅部40に取り付けられるコーナーパネル22と、コーナーパネル22に形成された開口部24に設置される照明器具26と、電源ユニット28とを含んで構成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井カセット型空調機用の照明装置に関し、特に既存の天井カセット型空調機に適用可能な照明装置、及び当該照明装置を備えた天井カセット型空調機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、天井裏に設置される空調機本体と、天井面に露出する矩形の化粧パネルとを含んで成る天井カセット型空調機(以下、従来の天井カセット型空調機を単に「空調機」という。)が、オフィス、病院、公共施設等の比較的広い空間用の冷暖房機器として採用されている。この空調機は、近年、空調機本体の小型化・低コスト化が進み、冷暖房効率が高く、室内空間を圧迫せず、意匠性に優れることから、一般住宅へも普及し始めている。
【0003】
しかし、この空調機を設置する上で、室内照明との配置関係が問題となる。通常、部屋の天井中央部には室内照明が取り付けられることから、空調機はこの室内照明を避けて設置せざるを得ないが、冷暖房効率を考慮した場合には空調機を天井中央部に設置することが好ましい。
【0004】
そこで、空調機と照明装置を一体としたものが種々開示されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。特許文献1に開示された空調照明機器は、下部中央に吸込口を、周囲に吹出口を形成した空調装置において、吸込口と吹出口の間に、この吸込口を囲むように環状の照明器具を設けている。このような構成とすることによって、空調効果を損なわずに室内の照明効果の向上を図っている。
【0005】
また、特許文献2には、化粧パネルの周辺部に分散配設された複数個の吹出口を有する天井埋込型空気調和機において、この化粧パネルの中央部に照明器具を設けたものが開示されている。このような構成とすることによって、照明器具と空気調和機との配置関係の問題を解消すると共に、冷暖房効率の向上等を図っている。
【0006】
更に、特許文献3には、エアコンと一体に構成された天井照明が開示されており、エアコンの吹出口が天井照明本体の下辺より下方に突出した状態になるように構成されている。このような構成とすることによって、エアコンの吹出口からの空気の流れによる天井面の汚れを防止すると共に、工期短縮・設置数削減によるコストダウン、デザイン性の向上等を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭61−127340号公報
【特許文献2】実開平3−27526号公報
【特許文献3】特許第2932065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1から特許文献3に開示された空調機或いは照明器具によると、何れも空調機と照明器具が一体に構成されているため、空調機を新設する際には、照明器具と空調機との配置関係を考慮する必要がなく、冷暖房効率及び照明効果の高い部屋の天井中央部に設置することが可能となる。
【0009】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示された空調機は、何れも一見すると通常の空調機のようであるが、照明器具と一体構成とするためには少なくとも特殊な化粧パネルが必要となる。例えば、既に天井に空調機が設置されており、この空調機を利用しつつ照明器具のみを増設したい場合、特許文献1に開示された空調照明機器の構成であれば、照明器具を備えた化粧パネルのみの交換で対応可能な場合もあり得る。しかし、照明器具の設置に伴って吸込口や吹出口に位置ずれが生じる場合には既存の空調機を利用することができず、空調機全体を交換する必要がある。
【0010】
また、特許文献2に開示された天井埋込型空気調和機では、通常、吸込口が位置する化粧パネル中央部に照明器具が設けられているため、既存の空調機を利用して照明器具を増設することは略不可能であり、空調機全体を交換する必要がある。
【0011】
更に、特許文献3に開示された天井照明についても、その構成の特殊性から既存の空調機を利用することは困難であり、照明器具のみを増設したい場合であっても空調機全体の交換が必要になる可能性が非常に高い。また、通常の空調機に比べて、室内空間への圧迫感が生じることは否めない。
【0012】
そこで本願発明者は、上記の問題点に鑑み、空調機と照明器具を一体に構成することによって、部屋の天井中央部に設置可能な天井カセット型空調機を提供することはもちろんであるが、更には、低コストで既存の空調機に増設可能な照明装置を提供するべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
即ち、本発明は、天井裏に設置される空調機本体と、天井面に露出する矩形の化粧パネルとを含んで成る天井カセット型空調機用の照明装置であって、前記化粧パネルの少なくとも一の隅部に取り付けられるコーナーパネルと、前記コーナーパネルに形成された開口部に設置される照明器具と、電源ユニットと、を含んで構成されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の天井カセット型空調機用照明装置において、前記電源ユニットが蓄電池を備えることを特徴とする。
【0015】
更に、本発明の天井カセット型空調機用照明装置において、センサーユニットを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の天井カセット型空調機は、上記の各天井カセット型空調機用照明装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の天井カセット型空調機用照明装置によると、空調機メンテナンス用の開口を覆うコーナーパネルを備えた既存の空調機であれば、この空調機自体は利用しつつ、コーナーパネルの交換のみで照明器具を空調機に増設することができる。つまり、化粧パネル或いは空調機全体を交換することなく、低コストで空調機に照明器具を増設することができ、天井面で比較的大きな面積を占める空調機の下方を照明器具によって照らすことが可能となる。
【0018】
また、本発明の天井カセット型空調機用照明装置にかかる電源ユニットが蓄電池を備えることによって、増設された照明器具を停電時における非常灯として利用することが可能となる。
【0019】
更に、本発明の天井カセット型空調機用照明装置において、センサーユニットを設けることによって、例えば人を感知したときのみ照明を点灯することも可能となり、夜間照明や誘導灯として利用することができる。
【0020】
また、本発明の天井カセット型空調機用照明装置を備える天井カセット型空調機によると、空調機と照明器具が一体に構成されることとなるため、空調機及び照明器具の設置時にこれらの配置関係を考慮する必要がなく、部屋の天井中央部に設置することによって空調効率及び照明効率を最大限に高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の天井カセット型空調機用照明装置を備えた天井カセット型空調機の正面図である。
【図2】図1に示した天井カセット型空調機の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の天井カセット型空調機用照明装置を備えた天井カセット型空調機の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0023】
まず、本実施形態の天井カセット型空調機10は、図1及び図2に示すように、天井裏に設置される空調機本体14と、天井面に露出する矩形の化粧パネル16とを含んで成る。化粧パネル16には、その中央部に吸込口18を備え、周辺部に複数の吹出口20を備えている。
【0024】
そして、本実施形態の天井カセット型空調機10にかかる天井カセット型空調機用照明装置12は、化粧パネル16の隅部40に備える、空調機メンテナンス用の開口を覆うためのコーナーパネル22と、当該コーナーパネル22に形成された開口部24に設置される照明器具26と、当該照明器具26を点灯するための電源ユニット28とを含んで構成されている。
【0025】
つまり、既存の天井カセット型空調機であって、空調機メンテナンス用の開口を覆うためのコーナーパネルを備えた構成のものであれば、当該コーナーパネルのみを本実施形態の天井カセット型空調機用照明装置12に交換することによって、容易に照明器具26を備えた天井カセット型空調機10を提供することができる。また、照明器具26の増設に当たって化粧パネル16全体、或いは空調機本体14ごと交換する必要が無いため、低コストで天井カセット型空調機に照明器具26を増設することができる。そして、天井面で比較的大きな面積を占める天井カセット型空調機10の下方を照明器具26によって照らすことが可能となる。
【0026】
ここで、照明器具26としてはLED照明が省電力・省スペース・軽量といった観点から好ましいが、要求される明るさや用途によって、既存の種々の照明器具が適用可能である。
【0027】
また、照明器具26の用途としてはダウンライトが一般的であるが、本実施形態の天井カセット型空調機用照明装置12にかかる電源ユニット28に蓄電池(不図示)を設けることによって、照明器具26を停電時における非常灯として利用することも可能となる。つまり、電源ユニット28に蓄電池を設け、通常時は商用電源からの給電によって照明器具26を点灯すると共に蓄電池に充電しておき、停電時に商用電源からの給電が切断されると、充電された蓄電池からの給電によって照明器具26を点灯することによって、照明器具26を非常灯として利用することが可能となるのである。
【0028】
更に、本実施形態の天井カセット型空調機用照明装置12において、センサーユニットを設けてもよい。例えば、図1に示したように、センサーユニットとして人感センサー30を設けることによって、天井カセット型空調機10に接近する人を感知したときに照明器具26を点灯させるといったことも可能となり、夜間照明や誘導灯として利用することができる。なお、センサーユニットとしては人感センサーに限定されるものではなく、熱や煙を感知するものであれば、火災時における非常灯としての利用が可能となり、光センサーであれば、周囲の明るさに応じて照明器具26の調光を行うといったことも可能である。
【0029】
以上に例示した本発明の実施形態に係る天井カセット型空調機用照明装置12を備えた天井カセット型空調機10であれば、空調機本体14と照明器具26が一体に構成されることとなるため、新たに天井カセット型空調機を設置する際、空調機と照明器具の配置関係を考慮する必要がなく、部屋の天井中央部に本実施形態の天井カセット型空調機10を設置することによって、空調効率及び照明効率を最大限に高めることが可能となる。
【0030】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明の技術的思想を実質的に限定するものと解してはならない。例えば、図1に示した天井カセット型空調機10では、天井カセット型空調機用照明装置12が四隅に設置されているが、設置箇所は4箇所全てに限定されるものではなく、任意の一隅部40のみであってもよく、対角線上の2箇所の隅部40に設置してもよい。
【0031】
また、本発明の実施形態に係る天井カセット型空調機用照明装置12では、一の照明器具26に対して一の電源ユニット28を備えているが、一の電源ユニット28で複数の照明器具26を点灯する構成としてもよい。
【0032】
更に、本発明の実施形態に係る天井カセット型空調機用照明装置12に、照明器具26の点灯・消灯、調光等をリモコンで操作可能とするためのリモコン受光部ユニットが設けられてもよく、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で、当業者の創意と工夫により、適宜に改良、変更又は追加をしながら実施できる。
【符号の説明】
【0033】
10:天井カセット型空調機
12:天井カセット型空調機用照明装置
14:空調機本体
16:化粧パネル
18:吸込口
20:吹出口
22:コーナーパネル
24:開口部
26:照明器具
28:電源ユニット
30:人感センサー
40:隅部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井裏に設置される空調機本体と、天井面に露出する矩形の化粧パネルとを含んで成る天井カセット型空調機用の照明装置であって、
前記化粧パネルの少なくとも一の隅部に取り付けられるコーナーパネルと、
前記コーナーパネルに形成された開口部に設置される照明器具と、
電源ユニットと、
を含んで構成されることを特徴とする天井カセット型空調機用照明装置。
【請求項2】
前記電源ユニットが蓄電池を備えることを特徴とする請求項1に記載の天井カセット型空調機用照明装置。
【請求項3】
センサーユニットを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の天井カセット型空調機用照明装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかに記載の天井カセット型空調機用照明装置を備えることを特徴とする天井カセット型空調機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−88042(P2013−88042A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229463(P2011−229463)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(511251652)有限会社高橋設備 (1)
【Fターム(参考)】