説明

天井パネルの連結構造

【課題】寸法調整が実施された天井パネルを用いた場合にでも、天井パネル同士の面段差を容易に解消可能な天井パネルの連結構造を提供すること。
【解決手段】立ち上がり部31が立設されボス33が設けられた天井パネル30と、縁24にリブ状の立ち上がり部21が露出した短尺パネル20とを固定してなる天井パネルの連結構造において、当止鍔片6と切り欠き部7とを有する補強部材1と、水平片部41,42を有する面段差解消部材40とを備え、補強部材1をリブ状の立ち上がり部21に被せて挟持し、当止鍔片6に立ち上がり部31の上部を当止させ、リブ状の立ち上がり部21と補強部材1と立ち上がり部31とをネジ15で係合させ、水平片部41を切り欠き部7に嵌め、ネジ16をボス33に係合させ、ボス33が水平片部42に当接するまでネジ16を締め付けて、立ち上がり部31を水平片部41に当接するまで上昇させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井パネルの連結構造に関し、さらに詳細には、寸法調整が実施された天井パネルを用いた場合にでも、天井パネル同士の面段差を容易に解消可能な天井パネルの連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室等に設置されるバスユニットの天井パネルは、天吊り式のパネルを複数組み合わせる構成のものが多い。図3(a)に示すように、鉄筋コンクリート造りの住宅の天井100には、天井パネル50,60が天吊り金具90で吊り下げられている。天吊り金具90は、それぞれ天井パネル50,60に設けられたボス52,62に係合している。天井パネル50,60の縁に設けられた立ち上がり部51,61同士は、図示しないネジで結合されている。
【0003】
天井100は、コンクリートで形成されていることから、表面が凸凹していることがあり、平坦度は低い。そのため、図3(b)に示すように、隣接する天井パネル50,60に面段差Y(表面の段差)が生じることがある。
【0004】
特許文献1には、隣接する天井パネル同士に生じた面段差を解消可能な天井パネルの連結構造が開示されている。
【0005】
特許文献1の天井パネルの連結構造では、面段差解消金具を用いることで天井パネル同士を面一にすることが開示されている。図3(b)を用いて説明すると、Z字状の面段差解消金具80の水平片部81は天吊り金具(図示せず)に連結されており、この水平片部81を、高い方の天井パネル60の立ち上がり部61に当接させる。そして、面段差解消金具80の水平片部82にネジ85を挿通し、低い方の天井パネル50のボス52に係合させる。すると、図3(c)に示すように、低い方の天井パネル50は、ネジ85の締め付け力によって、ボス52が水平片部82に当接するまで上昇する。ボス52の上昇に伴って、低い方の天井パネル50の立ち上がり部51も、水平片部81に当接するまで上昇する。このようにして、立ち上がり部51,61同士の高さを揃えることにより、天井パネル50,60同士の面段差Yが解消される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−179955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に開示された天井パネルの連結構造では、低い方の天井パネル50がボス51を有している場合にのみ、天井パネル50,60同士を面一にすることが可能である。換言すれば、低い方の天井パネル50がボス51を有していない場合には、天井パネル50,60同士を面一にすることは出来ない。例えば、天井パネル50を設置する浴室の寸法が、標準化された汎用パネルである天井パネル50の寸法と相違する場合、天井パネル50を切断して寸法調整する必要がある。この時、天井パネル50は、天井パネル50に複数設けられたリブ状の立ち上がり部53の位置で切断される。
【0008】
しかし、リブ状の立ち上がり部53はボス52を有していないため、切断された天井パネル50側が低くなってしまうと、天井パネル50,60における面段差を解消することができない。また、リブ状の立ち上がり部53は非常に薄く、隣接する立ち上がり部61と結合する際に、ネジで締め過ぎると割れてしまう恐れがある。これらの対策として、リブ状の立ち上がり部53を厚くし、ボス52をリブ状の立ち上がり部53にも複数箇所に設けることが考えられる。しかし、前記対策は、製品単価の上昇につながるため、安易に行うことは出来ない。さらに、天井パネルを切断する頻度から考慮すると、前記対策を行うことは現実的ではない。
【0009】
そこで、本発明は、天井パネルの寸法調整を実施した場合でも、面段差を解消可能な天井パネルの連結構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、縁に立ち上がり部が立設され且つ縁よりも内側にボスが設けられた天井パネルと、水平方向の寸法調整が実施されて縁にリブ状の立ち上がり部が露出した短尺パネルとを並列させ、前記立ち上がり部と前記リブ状の立ち上がり部とを固定してなる天井パネルの連結構造において、水平方向に突出した当止鍔片と切り欠き部とを有する断面コ字状の補強部材と、少なくとも2つの水平片部を有する略Z字状の面段差解消部材とを備えており、前記補強部材をリブ状の立ち上がり部に被せて挟持し、当止鍔片に立ち上がり部の上部を当止させ、リブ状の立ち上がり部と補強部材と立ち上がり部とを係合部材で係合させ、面段差解消部材の一方の水平片部を補強部材に設けられた切り欠き部に嵌め、他方の水平片部に挿通された係合部材を前記ボスに係合させ、ボスが面段差解消部材の他方の水平片部に当接するまで係合部材を締め付けて、立ち上がり部を面段差解消部材の一方の水平片部に当接するまで上昇させたことを特徴とする天井パネルの連結構造である。
【0011】
水平方向の寸法調整が実施された短尺パネルは、ボスを有していない。短尺パネルの縁に位置するリブ状の立ち上がり部に断面コ字状の補強部材を被せることにより、リブ状の立ち上がり部の厚みを増して補強できる。また、補強部材から突出した当止鍔片に立ち上がり部の上部を当止させることにより、天井パネルよりも短尺パネルを上方に位置させることができる。すなわち、面段差解消部材を短尺パネル側に固定しなければならない事態を回避できる。
【0012】
補強部材に設けられた切り欠き部からは、リブ状の立ち上がり部を露出させることができる。すなわち、略Z字状の面段差解消部材の一方の水平片部を補強部材に設けられた切り欠き部に嵌めるだけで、露出したリブ状の立ち上がり部に面段差解消部材の一方の水平片部を当接させることができる。この状態において、面段差解消部材の他方の水平片部を係合部材で天井パネルのボスに係合させることにより、リブ状の立ち上がり部と立ち上がり部との高さを揃えることが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の天井パネルの連結構造によれば、寸法調整が実施された天井パネルを用いた場合にでも、天井パネル同士の面段差を容易に解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る天井パネルの連結構造で用いる補強部材を示す図であり、(a)は左側面から見た斜視図、(b)は右側面から見た斜視図、(c)は(a)のA−A断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る天井パネルの連結構造を示す図であり、(a)はリブ状の立ち上がり部に補強部材を嵌めた状態、(b)は立ち上がり部を補強部材の当止鍔片に当止させた状態、(c)は面段差解消部材を補強部材の切り欠き部に嵌めた状態、(d)は面段差解消部材をボスに係合させた状態である。
【図3】従来の住宅の天井パネルを示す図であり、(a)は天井から天井パネルが吊り下げられた状態、(b)は天井パネル同士に面段差が生じた状態、(c)は(b)の面段差を面段差解消部材により解消した状態である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本発明の天井パネルの連結構造の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0016】
図1(a),(b)に示す補強部材1は、本発明の実施形態に係る天井パネルの連結構造で用いられる。補強部材1は、長尺状の金属部材である。補強部材1は、図1(c)に示すように、断面視でコ字状である。補強部材1は、本体部2を有している。本体部2は、補強片3,4と、天板部5とを有している。
【0017】
補強片3,4は、板状の部位である。補強片3,4は、対向配置されている。補強片3,4には、それぞれ貫通孔8,9が設けられている。貫通孔8,9は、平面視で重なる。
【0018】
天板部5は、本体部2の天面を構成するものである。天板部5は、補強片3,4同士に跨って位置している。天板部5は、当止鍔片6と、切り欠き部7とを有している。
【0019】
当止鍔片6は、鍔状の金属片である。当止鍔片6は、補強片4とは反対の方向へ補強片3から突出している。換言すれば、当止鍔片6は、補強片3の短手方向に直交している。当止鍔片6は、天板部5の一部を構成している。
【0020】
切り欠き部7は、凹状の窪みである。切り欠き部7は、補強片3,4の一部と、天板部5の一部を切り欠いた形状を成している。すなわち、切り欠き部7は、補強片3,4および天板部5に跨っている。
【0021】
図2(a)〜(d)は、本実施形態の天井パネルの連結構造示す図である。
【0022】
図2(a)は、短尺パネル20のリブ状の立ち上がり部21に、補強部材1を被せた状態である。短尺パネル20は、寸法調整が実施された天井パネルである。リブ状の立ち上がり部21は、短尺パネル20の縁24に露出している。リブ状の立ち上がり部21は、補強片3,4で挟持されている。リブ状の立ち上がり部21の上部22は、天板部5に当接している。なお、リブ状の立ち上がり部21には、貫通孔23が設けられている。貫通孔23は、平面視で貫通孔8,9と重なる。
【0023】
図2(b)は、天井パネル30の立ち上がり部31の上部32を、補強部材1の当止鍔片6に当止させた状態である。立ち上がり部31は補強片3に隣接している。立ち上がり部31は、天井パネル30の縁36に立設している。この状態において、ネジ(係合部材)15を、立ち上がり部31に設けられた貫通孔35と、貫通孔8と、貫通孔23と、貫通孔9とに挿通する。その結果、立ち上がり部31と、補強片3と、リブ状の立ち上がり部21と、補強片4とは係合される。この時、短尺パネル20と天井パネル30とには面段差Xが生じる。すなわち、短尺パネル20と天井パネル30とは、面一ではない状態であり、面段差Xの分だけ天井パネル30が短尺パネル20よりも低くなっている。
【0024】
なお、天井パネル30は、ボス33を有している。ボス33は、縁36よりも内側に設けられている。ボス33は、ネジ穴34を有している。
【0025】
ここで、面段差解消部材40について説明する。面段差解消部材40は、リブ状の立ち上がり部21と、立ち上がり部31との面段差Xを解消するための金属部材である。面段差解消部材40は、図2(b)に示すように、略Z字状である。面段差解消部材40は、水平片部41,42と、垂直片部43とを有している。水平片部41,42は平行に位置しており、垂直片部43でつながっている。水平片部41,42と垂直片部43とは直交する関係にある。水平片部41,42は、それぞれ貫通孔44,45を有している。貫通孔44は、吊りボルト(天吊り金具)を挿通するための孔であり、吊りボルトにより支持されている。貫通孔45は、面段差解消部材40をボス33が有するネジ穴34に固定するための孔である。
【0026】
図2(c)は、面段差解消部材40の水平片部41を、補強部材1の切り欠き部7に嵌めた状態である。水平片部41は、リブ状の立ち上がり部21の上部22に当接する。この状態において、ネジ(係合部材)16を水平片部42の貫通孔45に挿通し、ボス33のネジ穴34に係合させる。
【0027】
図2(d)は、面段差解消部材40の水平片部41を、ネジ16でボス33に係合させた状態である。この状態において、立ち上がり部31の上部32と、リブ状の立ち上がり部21の上部22とは高さが揃っている。すなわち、短尺パネル20と天井パネル30とに生じていた面段差Xが解消されている。
【0028】
図2(c)から図2(d)の状態へ移行する過程を詳述すると、低い方の天井パネル30は、ネジ16の締め付け力によって、ボス33が水平片部42に当接するまで上昇する。ボス33の上昇に伴って、低い方の天井パネル30の立ち上がり部31も、水平片部42に当接するまで上昇する。このようにして、立ち上がり部31,リブ状の立ち上がり部21同士の高さを揃えることにより、短尺パネル20と天井パネル30との面段差Xが解消される。
【0029】
上記のように、寸法調整が実施された短尺パネル20は、ボスを有していない。短尺パネル20の縁24に位置するリブ状の立ち上がり部21に断面コ字状の補強部材1を被せることにより、リブ状の立ち上がり部21の厚みを増して補強できる。また、補強部材1から突出した当止鍔片6に、天井パネル30の立ち上がり部31の上部32を当止させることにより、天井パネル30よりも短尺パネル20を上方に位置させることができる。すなわち、面段差解消部材40を短尺パネル20側に固定しなければならない事態を回避できる。
【0030】
補強部材1に設けられた切り欠き部7からは、リブ状の立ち上がり部21を露出させることができる。すなわち、面段差解消部材40の一方の水平片部41を切り欠き部7に嵌めるだけで、露出したリブ状の立ち上がり部21に水平片部41を当接させることができる。この状態において、面段差解消部材40の他方の水平片部42を、ネジ16で天井パネル30のボス33に係合させることにより、リブ状の立ち上がり部21と立ち上がり部31との高さを揃えることが可能である。
【0031】
前述のように、本発明の実施形態に係る天井パネルの連結構造では、寸法調整が実施された天井パネル(短尺パネル20)を用いた場合にでも、天井パネル同士(短尺パネル20と天井パネル30)の面段差を容易に解消できる。
【符号の説明】
【0032】
1 補強部材
6 当止鍔片
7 切り欠き部
15 ネジ(係合部材)
16 ネジ(係合部材)
20 短尺パネル
21 リブ状の立ち上がり部
24 縁
30 天井パネル
31 立ち上がり部
32 上部
33 ボス
36 縁
40 面段差解消部材
41 水平片部
42 水平片部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縁に立ち上がり部が立設され且つ縁よりも内側にボスが設けられた天井パネルと、水平方向の寸法調整が実施されて縁にリブ状の立ち上がり部が露出した短尺パネルとを並列させ、前記立ち上がり部と前記リブ状の立ち上がり部とを固定してなる天井パネルの連結構造において、水平方向に突出した当止鍔片と切り欠き部とを有する断面コ字状の補強部材と、少なくとも2つの水平片部を有する略Z字状の面段差解消部材とを備えており、前記補強部材をリブ状の立ち上がり部に被せて挟持し、当止鍔片に立ち上がり部の上部を当止させ、リブ状の立ち上がり部と補強部材と立ち上がり部とを係合部材で係合させ、面段差解消部材の一方の水平片部を補強部材に設けられた切り欠き部に嵌め、他方の水平片部に挿通された係合部材を前記ボスに係合させ、ボスが面段差解消部材の他方の水平片部に当接するまで係合部材を締め付けて、立ち上がり部を面段差解消部材の一方の水平片部に当接するまで上昇させたことを特徴とする天井パネルの連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−26125(P2012−26125A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164395(P2010−164395)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)