説明

天井構造

【課題】天井下地材とともに設備機器が落下することを防止する天井構造を提供する。
【解決手段】格子状に組み付けられた天井下地材5と、天井下地材5に載架された設備プレート8と、設備プレート8に備えた凸部16に固定され、天井下地材5より上下方向に高く配置された溝鋼18と、溝鋼18,18間に架設され天井下地材5から所定間隔だけ離間して設けられた横杆部材22と、横杆部材22に固定された照明や消火等の設備機器24とを備えたことにより、地震などの揺れに伴う天井下地材5の揺れが設備機器24が固定される横杆部材22へ直接的に伝達することを防止して、地震などの揺れから天井裏の設備機器24を保護することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリンクラー等の設備機器を備えた天井構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の天井構造、特にスプリンクラー等の設備機器を備えたシステム天井の構成としては、格子状に組み付けられた天井下地材と、この天井下地材に固定された設備機器としての照明機器を備えた天井構造がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−95354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の天井構造では、設備機器が天井下地材に固定されているため、地震等の揺れに伴う天井下地材の脱落の際に、設備機器も落下する虞が有る、という問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、天井下地材とともにスプリンクラー等の設備機器が落下することを防止する天井構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明の天井構造は、格子状に組み付けられた天井下地材と、前記天井下地材に載架された載架部材と、前記載架部材に備えた凸部に固定され、前記天井下地材よりも高く配置された杆部材と、前記杆部材間に架設され前記天井下地材から離間して設けられた架設部材と、前記架設部材に固定されたスプリンクラー等の設備機器とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明の天井構造は、前記凸部を前記天井下地材から離間して設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明の天井構造は、天井スラブより垂設された垂設部材に取り付けられた天井側取付具と、前記天井下地材に取り付けられた下地材側取付具と、前記天井側取付具と前記下地材側取付具とを連結する連結部材とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明の天井構造は、前記天井側取付具又は前記下地材側取付具の一方に形成された溝部に、前記連結部材の一方を係止するとともに、前記天井側取付具又は前記下地材側取付具の他方に備えた環状部に、前記連結部材の他方を係止するものとしたことを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明の天井構造は、前記天井側取付具に、前記溝部を備えた複数の腕片を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明の天井構造は、天井スラブに取り付けられた天井側取付部と、前記載架部材側に取り付けられた載架部材側取付部と、前記天井側取付部と前記載架部材側取付部とを連結する連結手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明の天井構造は、一方の前記天井下地材と他方の前記天井下地材を直交させて組み付けた接続部分に取り付けられる接続部分側取付具であって、前記接続部分側取付具は、前記一方の天井下地材及び前記他方の天井下地材のいずれか一方に固定された一方の固定部と、前記一方の天井下地材及び前記他方の天井下地材のいずれか他方に固定された他方の固定部と、前記載架部材に上方から対向する押さえ部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明の天井構造は、前記押さえ部は、前記押さえ部に設けた螺子孔に上方から螺合され、前記載架部材に上方から当接可能な螺子部材を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明の天井構造は、前記一方の固定部は、前記一方の天井下地材及び前記他方の天井下地材のいずれか一方に係止可能な一方の係止部と、前記一方の係止部を前記一方の天井下地材及び前記他方の天井下地材のいずれか一方に締付固定する一方の締付手段とを備えるとともに、前記他方の固定部は、前記一方の天井下地材及び前記他方の天井下地材のいずれか他方に係止可能な他方の係止部と、前記他方の係止部を前記一方の天井下地材及び前記他方の天井下地材のいずれか他方に締付固定する他方の締付手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、地震などの揺れに伴う天井下地材の揺れがスプリンクラー等の設備機器が固定される架設部材へ直接的に伝達することを防止して、地震などの揺れから天井裏のスプリンクラー等の設備機器を保護することができる。
【0016】
請求項2の発明によれば、地震などの揺れに伴う天井下地材の水平方向の振動が凸部へ直接的に伝達することを防止して、地震などの揺れからスプリンクラー等の設備機器を保護することができる。
【0017】
請求項3の発明によれば、垂設部材に吊下げ保持されている天井下地材が、地震などの揺れによって離脱した際も、天井側取付具と下地材側取付具の連結により、天井下地材は吊りボルトに吊り下げ保持されることとなり、天井下地材の落下を防止することができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、連結部材の一方を環状部に括りつけて固定し、連結部材の他方を溝部に係止するという簡単な作業により、天井側取付具と下地材側取付具を連結することができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、天井側取付具と天井下地材との連結箇所を複数備えることで、天井下地材を安定して吊下げ保持することができる。
【0020】
請求項6の発明によれば、載架部材を天井スラブから吊下げ保持して、載架部材の落下を防止することができる。
【0021】
請求項7の発明によれば、天井下地材の接続部分を補強して地震時などの歪みを抑えることができる。また、接続部分側取付具が天井下地材の歪みや振動を抑えることで、スプリンクラー等の設備機器の設置を安定させることができる。さらに、接続部分側取付具を介して、一方の天井下地材と他方の天井下地材を連結することで、一方の天井下地材と他方の天井下地材が互いの動きを抑制し合い、接続部分で一方の天井下地材と他方の天井下地材の接続が解除してしまうことを防止することができる。また、押さえ部によって、天井下地材に載架された載架部材の上下動が抑制されて、載架部材の跳ね上がり等による載架部材及びスプリンクラー等の設備機器の損傷や載架部材等の脱落を防止することができる。
【0022】
請求項8の発明によれば、押さえ部と載架部材との間に隙間が生じる場合でも、螺子部材が載架部材に当接することで、天井下地材に載架された載架部材の上下動が抑制されて、載架部材の跳ね上がり等による載架部材及びスプリンクラー等の設備機器の損傷や載架部材等の脱落を防止することができる。
【0023】
請求項9の発明によれば、各天井下地材の強度を落すことなく、各固定部と各天井下地材を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施例における天井構造の斜視図である。
【図2】同上、天井構造の設備プレート設置付近の要部断面図である。
【図3】同上、取付金具の断面図である。
【図4】同上、天井構造の天井パネル設置付近の要部断面図である。
【図5】本発明の第2実施例における天井構造の斜視図である。
【図6】同上、天井側取付具の斜視図である。
【図7】本発明の第3実施例における天井構造の断面図である。
【図8】同上、設備プレート付近の斜視図である。
【図9】同上、取付板の平面図である。
【図10】同上、載架部材側取付部の斜視図である。
【図11】同上、載架部材側取付部を溝鋼に取り付けた状態を示す断面図である。
【図12】同上、載架部材側取付部を別の溝鋼に取り付けた状態を示す断面図である。
【図13】本発明の第4実施例における天井構造の断面図である。
【図14】本発明の第5実施例における天井構造の断面図である。
【図15】同上、溝鋼の平面図である。
【図16】本発明の第6実施例における天井側取付具の斜視図である。
【図17】同上、天井構造の斜視図である。
【図18】本発明の第7実施例における天井構造の斜視図である。
【図19】同上、天井構造の天井パネル設置付近の要部断面図である。
【図20】本発明の第8実施例における天井構造の斜視図である。
【図21】同上、天井構造の平面図である。
【図22】同上、図21におけるA−A線断面図である。
【図23】同上、図21におけるB−B線断面図である。
【図24】同上、接続部分用取付具の斜視図である。
【図25】同上、接続部分用取付具の平面図である。
【図26】同上、接続部分用取付具の正面図である。
【図27】同上、接続部分用取付具の側面図である。
【図28】同上、所定の正方形組と隣接する別の正方形組に他の機器が設置された状態を示す天井構造の平面図である。
【図29】同上、第1の固定用螺子孔に、第1の螺子部材を螺合させて、一方の固定部を天井下地材に固定した状態を示す要部断面図である。
【図30】同上、第3の固定用螺子孔に、第3の螺子部材を螺合させて、他方の固定部を天井下地材に固定した状態を示す要部断面図である。
【図31】同上、接続部分にその他の金具が取り付けられた状態での使用状態を示す斜視図である。
【図32】同上、接続部分用取付具の異なる使用状態を示す斜視図である。
【図33】本発明の第9実施例における天井構造の要部断面図である。
【図34】本発明の第10実施例における天井構造の要部断面図である。
【図35】本発明の第11実施例における天井構造の要部断面図である。
【図36】本発明の第12実施例における天井構造の斜視図である。
【図37】同上、天井構造の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0026】
図1〜図4は本発明の実施例1を示すものであり、まず本実施形態に係る天井構造について説明する。天井構造1の一例としては、図4に示すように上階床スラブ2から垂設された吊りボルト3と、この吊りボルト3に装着されたハンガー部材4と、ハンガー部材4に把持されて天井裏で正方形の格子状に組み付けられた天井下地材5を備えている。
【0027】
ここで、天井下地材5は例えば約600mmピッチの格子状に配列されており、格子状に組み付けられた天井下地材5で構成される略正方形状のブロック(区画)(以下、正方形組6と呼称する)には、天井パネル7や設備プレート8が設置される。
【0028】
天井下地材5は、スチール製の板材を折り曲げした加工物やアルミニウム製の押出形材等を断面略逆T字形状としたTバー等からなり、上下方向(図中、X方向)に延設された縦片部9と、縦片部9の下部から水平方向(図中、Y方向)に延設されたフランジ状の横片部10とを備えている。
【0029】
縦片部9の上端には二股状に上方に平行に延設された一対の上側突条11,11が上方で連結して形成された頭部12を備えており、この頭部12はハンガー部材4に把持可能に形成されたものである。また、横片部10の幅方向(図中、Y方向)両端には、下方に延設された下側突条13が形成されており、これら上側突条11及び下側突条13は補強リブの役目に果しており、天井下地材5の強度を向上させるものである。
【0030】
横片部10の上面は、天井パネル7又は設備プレート8が載置可能に形成され、正方形組6に天井パネル7又は設備プレート8が載置された状態で架設される。尚、天井下地材5の形状は、前記形状に限定されるものではなく、下側突条13を有さない形状や断面L字形状等、他の形状であってもよい。
【0031】
天井パネル7は、例えば、有底角筒状で天井板の側面及び下面を被覆するパンチングメタル等の板材からなる表面材(図示せず)と、この表面材に収容されるグラスウール等の断熱材(図示せず)と、この断熱材の上面を被覆する蓋部材(図示せず)と、表面材の外周部分を外向きに延設した係止部15を備えた、その平面形状を正方形組6と略同一としたパネル部材である。尚、天井パネル7としては、岩綿系材料又は石膏系材料等で係止部15を有する形状に一体成形したものでもよい。
【0032】
設備プレート8は、アルミニウムやスチール等の板材にて形成され、対向する一対の両辺を断面略コ字型に折り曲げて凸部16を一体的に形成し、その平面形状を正方形組6と略同一に形成された板部材である。
【0033】
凸部16の上面には、上部に長手方向(図中、Z方向)に沿って開口溝17を備えた断面略コ字型の溝鋼18がリベット、螺子又は溶接等により凸部16と平行に配設されている。この溝鋼18の開口溝17の断面略J型に折り曲げて形成された縁部20には取付金具21を介してアルミニウムやスチール等の断面矩形状の角筒部材からなる横杆部材22が水平方向(図中、Y方向)に架設されている。
【0034】
取付金具21としては、方形状に形成されたステンレス鋼、アルミニウム等の金属製の薄板からなる金具本体21Aの下部に溝鋼18の縁部20と係合可能な溝鋼取付部21Bを備えるとともに、溝鋼取付部21Bと直交する金具本体21Aの一辺を垂直上向きに立ち上げた垂直面部21Cと、この垂直面部21Cの上端を略水平方向に延設して、金具本体21Aと平行に形成され、金具本体21Aの上面と対向する水平面部21Dとを有している。金具本体21A、垂直面部21C及び水平面部21Dによって囲まれた領域21Eは、横杆部材22の断面形状より大きく形成され、この領域21Eに横杆部材22を挿通可能に構成している。
【0035】
取付金具21には、領域21Eに横杆部材22を挿通した状態で水平面部21Dの下面と金具本体21Aの上面によって横杆部材22の挟持を可能とする締付手段21Fとして、水平面部21Dの略中央部分に形成された水平面部側貫通部21Gと金具本体21Aの略中央部分に形成された取付部側貫通部21Hに挿通可能な第4の雄螺子部としてのボルト21Iと、取付部側貫通部21Hにボルト21Iが螺合可能な螺子溝を螺刻した雌螺子部21Jを備えている。
【0036】
ここで、水平面部側貫通部21Gと取付部側貫通部21Hはともに、領域21Eに挿通された横杆部材22にボルト21Iが貫通しないように、横杆部材22との接触部分を除く垂直面部21Cと反対の領域21Eの開放21K側に設けられたものとする。さらに、ボルト21Iは水平面部側貫通部21Gに対して軟質ゴム製の座金部材(図示せず)を介して取り付けられることが好ましい。
【0037】
溝鋼取付部21Bは、金具本体21Aの対向する一対の両端部19A,19Aより略平行に下向きに立ち上げられ、溝鋼18の開口溝17に挿入可能な一対の立ち上げ部19B,19Bと、各立ち上げ部19Bの先端を互いの距離が離れるよう外側に折り曲げて断面略J型に形成し、縁部20の内面に長手方向(図中、Z方向)に沿って係合可能に設けられ、取付金具21を溝鋼18の縁部20に沿ってスライド可能に保持する係止部19Cが設けられている。
【0038】
ここで、凸部16の上面に配設された溝鋼18の縁部20は、天井下地材5の頭部12より上下方向(図中、X方向)に高く形成されており、横杆部材22は天井下地材5から上下方向(図中、X方向)に所定の間隔Hだけ離間した状態で溝鋼18の縁部20に配置されている。
【0039】
横杆部材22の所定位置には、取付金具23を介して天井裏に設置されるスプリンクラー等の設備機器としての消火設備24の蛇腹式の配管(フレキシブルホース)25が固定されている。
【0040】
この消火設備24は、配管25の先端に備えたスプリンクラーヘッド26の噴霧口(図示せず)が室内に露出するように設備プレート8の中央部分に形成された貫通部27にスプリンクラーヘッド26が配設されている。
【0041】
設備プレート8の凸部16の側面28は、上下方向(図中、X方向)において下方から上方にかけて天井下地材5の縦片部9の側面29から離れる方向に傾斜して形成されており、この凸部16の側面28の傾斜角αは0°<α<90°とし、好ましくはα=80°とする。このように、設備プレート8の凸部16の側面28と天井下地材5の縦片部9の側面29とは所定間隔を有して離間するように構成されている。特に凸部16の側面28上端と天井下地材5の頭部12の側面が上下方向(図中、X方向)に重なる、もしくは凸部16の側面28上端が天井下地材5の頭部12より設備プレート8の中心側に配置されるように設計されている。
【0042】
次に、上記構成についてその作用を説明する。最初に、設備プレート8を介してスプリンクラー等の設備機器を天井裏へ設置する方法について説明する。まず、所望の正方形組6に対して、設備プレート8を天井下地材5の横片部10上部に非固定状態で載置して、設備プレート8の凸部16上面に配設された溝鋼18上部に取付金具21を介して横杆部材22を水平方向に架設する。そして、横杆部材22に取付金具23を介して消火設備24の配管25を固定するとともに、スプリンクラーヘッド26を設備プレート8の貫通部27に設置すると、天井裏への消火設備24の設置が完了する。尚、設置プレート8が設置される正方形組6以外の正方形組6には、天井パネル7が配置される。
【0043】
ここで、設備プレート8は、天井下地材5の横片部10に非固定状態で載置された状態で正方形組6に設置されているため、地震などの揺れに伴い、天井下地材5が脱落しても、設備プレート8は横杆部材22を介して消火設備24の配管25によって吊下げ保持されるため、設備プレート8は天井裏にとどまることが可能である。
【0044】
また、消火設備24の配管25が固定された横杆部材22が、天井下地材5から上下方向(図中、X方向)に所定間隔Hだけ離間した状態で溝鋼18の縁部20に配置されているので、地震などの揺れに伴う天井下地材5の揺れが横杆部材22へ直接的に伝達することを防止して、地震などの揺れから天井裏の消火設備24を保護することができる。
【0045】
さらに、設備プレート8の凸部16の側面28が、天井下地材5の縦片部9の側面29から離れる方向に傾斜して形成されているため、地震などの揺れに伴う天井下地材5の水平方向の振動が凸部16へ直接的に伝達されないため、地震などの揺れから消火設備24を保護することができる。
【0046】
また、設備プレート8の凸部16の側面28が、天井下地材5の縦片部9の側面29から離れる方向に傾斜して形成され、さらに凸部16の側面28上端と天井下地材5の頭部12の側面が上下方向(図中、X方向)に重なる、もしくは凸部16の側面28上端が天井下地材5の頭部12より設備プレート8の内側に配置されるように設計されているため、天井下地材5の頭部12に対して設備プレート8の凸部16は引っ掛かりの少ない形状となっており、地震などの揺れに伴い、天井下地材5が天井裏から脱落する際に、天井下地材5の頭部12に設備プレート8の凸部16が引っ掛かり、設備プレート8ごと天井下地材5が脱落することを防ぐことができる。
【0047】
締付手段21Fによって横杆部材22を水平面部21Dと金具本体21Aとの間で挟持固定することにより、消火設備24を備えた横杆部材22が地震等の揺れによって、その横杆部材22及び消火設備24の設置位置にずれが生じることを防ぐことができる。
【0048】
また締付手段21Fでは、ボルト21Iを領域21Eに挿通された横杆部材22に貫通しない状態で備え、水平面部21Dと金具本体21Aとの間で横杆部材22を軸方向(図中、Y方向)に移動可能に挟持固定したことにより、地震等により揺れが発生した場合に、横杆部材22が取付金具21を介して軸方向(図中、Y方向)に移動し、さらに溝鋼18が溝鋼取付部21Bに沿ってスライド可能に保持され、溝鋼18と横杆部材22が相互にスライドすることによって、地震時の揺れによって溝鋼18と横杆部材22にかかる力を分散させるクッション性を有するとともに、横杆部材22及び消火設備24の設置位置を容易に変更することができる。
【0049】
以上のように本実施例は請求項1に対応しており、格子状に組み付けられた天井下地材5と、天井下地材5に載架された載架部材としての設備プレート8と、設備プレート8に備えた凸部16に固定され、天井下地材5よりも上下方向(図中、X方向)に高く配置された杆部材としての溝鋼18と、溝鋼18,18間に架設され天井下地材5から所定間隔Hだけ離間して設けられた架設部材としての横杆部材22と、横杆部材22に固定され設備プレート8に設置されたスプリンクラー等の設備機器としての消火設備24とを備えている。
【0050】
この場合、地震などの揺れに伴う天井下地材5の揺れが消火設備24が固定される横杆部材22へ直接的に伝達することを防止して、地震などの揺れから天井裏の消火設備24を保護することができる。
【0051】
また本実施例は請求項2に対応しており、凸部16を天井下地材5から離間して設けたことにより、地震などの揺れに伴う天井下地材5の水平方向の振動が凸部16へ直接的に伝達することを防止して、地震などの揺れから消火設備24を保護することができる。
【実施例2】
【0052】
次に図5及び図6は、本発明の第2実施例を示すものである。同図において、図1〜図4と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例では、実施例1と組み合わせて採用可能な天井下地材の落下防止構造について説明する。この天井下地材の落下防止構造は、上階床スラブ(天井スラブ)2より垂設された吊りボルト3に取り付けられた天井側取付具30と、天井下地材5に取り付けられた下地材側取付具31と、天井側取付具30と下地材側取付具31とを連結する連結部材32とを備えている。
【0053】
天井側取付具30は、平面視略U型に折り曲げ形成されたスチール等の金属製の板材からなり、その円弧部33は吊りボルト3より大径に形成され、円弧部33の両端から平行に延設された一対の腕片34には連結部材32が係止可能な溝部35が形成されている。また、腕片34の円弧部33側の基端部分には貫通部36がそれぞれ形成されており、これら貫通部36を介して、ボルト・ナット等の締結手段37により、円弧部33に挿通された吊りボルト3を腕片34の基端部分により挟持する構造となっている。また各腕片34は、それぞれ下端を水平方向に延設した略L型に形成されており、前記溝部35も腕片34の形状に沿って略L型に形成されている。ここで、溝部35の上端には、連結部材32の後述する抜け止め部46より大径に形成された切欠部38が形成されている。
【0054】
下地材側取付具31は、上部に環状部39を備え、下部にはこの取付具本体40と別体の押え片41とをボルト・ナット等の締結手段42による締め付けにより天井下地材5の頭部12を把持可能とする把持部43を備えた構成をしており、環状部39と把持部43の中間には杆部材(図示せず)が挿通可能な貫通部44を備えている。
【0055】
連結部材32は、一方に環状部45を備え、他方に抜け止め部46を備えたワイヤー部材からなる。
【0056】
次に、上記構成についてその作用を説明する。まず、天井側取付具30の取付方法について説明すると、天井側取付具30の円弧部33に吊りボルト3を挿通させ、腕片34の基端部分の貫通部36を介して、締結手段37により吊りボルト3に腕片34の基端部分を挟持させるとともに、吊りボルト3に装着されたナット等の雌螺子部材47により円弧部33の下部を保持すると、天井側取付具30の取り付けが完了する。
【0057】
次に、下地材側取付具31の取付方法について説明すると、下部の把持部43を天井下地材5の頭部12に把持させると下地材側取付具31の取り付けが完了する。
【0058】
続いて、天井側取付具30と下地材取付具31の連結方法について説明すると、下地材側取付具31の環状部39に連結部材32の環状部45を挿通して、連結部材32の一方を下地材側取付具31の環状部39に括りつけて固定するとともに、天井側取付具30の溝部35の切欠部38に抜け止め部46を挿通させて、溝部35の形状に沿って、抜け止め部46を下方に移動させて、連結部材32の他方を天井側取付具30の溝部35に係止すると、天井側取付具30と下地材取付具31の連結が完了する。
【0059】
そして、吊りボルト3にハンガー部材4を介して吊下げ保持されている天井下地材5が、地震などの揺れによって、ハンガー部材4から離脱した際も、天井側取付具30と下地材側取付具31の連結により、天井下地材5は吊りボルト3に吊り下げ保持されることとなり、天井下地材5の落下を防止することができる。
【0060】
また、天井側取付具30に複数の腕片34を備え、この複数の腕片34をそれぞれ天井下地材5の各下地材側取付具31,31に連結して、天井側取付具30と天井下地材5との連結箇所を複数備えることで、天井下地材5を安定して吊下げ保持することができる。
【0061】
さらに、天井側取付具30と下地材側取付具31とを連結する連結部材32を柔軟なワイヤー部材とすることで、施工の自由度も向上するとともに、連結方法も連結部材32の一方の環状部45を下地材側取付具31の環状部39に括りつけて固定し、連結部材32の他方の抜け止め部46を天井側取付具30の溝部35に係止するという簡単な作業により、天井側取付具30と下地材側取付具31を連結することができる。
【0062】
以上のように本実施例は請求項3に対応しており、天井スラブ2より垂設された垂設部材としての吊りボルト3に取り付けられた天井側取付具30と、天井下地材5に取り付けられた下地材側取付具31と、天井側取付具30と下地材側取付具31とを連結する連結部材32とを備えている。
【0063】
この場合、吊りボルト3に吊下げ保持されている天井下地材5が、地震などの揺れによって離脱した際も、天井側取付具30と下地材側取付具31の連結により、天井下地材5は吊りボルト3に吊り下げ保持されることとなり、天井下地材5の落下を防止することができる。
【0064】
また、本実施例は請求項4に対応しており、天井側取付具30又は下地材側取付具31の一方に形成された溝部35に、連結部材32の一方である抜け止め部46を係止するとともに、天井側取付具30又は下地材側取付具31の他方に備えた環状部39に、連結部材32の他方である環状部45を係止している。
【0065】
この場合、連結部材32の一方である環状部45を下地材側取付具31の環状部39に括りつけて固定し、連結部材32の他方である抜け止め部46を天井側取付具30の溝部35に係止するという簡単な作業により、天井側取付具30と下地材側取付具31を連結することができる。
【0066】
さらに、本実施例は請求項5に対応しており、天井側取付具30に、溝部35を備えた複数の腕片34を備えたことにより、天井側取付具30と天井下地材5との連結箇所を複数備えることで、天井下地材5を安定して吊下げ保持することができる。
【実施例3】
【0067】
次に図7〜図12は、本発明の第3実施例を示すものである。同図において、図1〜図6と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例では、設備プレート8の落下防止構造について説明する。
【0068】
本実施例の落下防止構造50は、天井スラブ2に取り付けられた天井側取付部51と、設備プレート8に取り付けられた載架部材側取付部52と、天井側取付部51と載架部材側取付部52とを連結する連結手段53とを備え、設備プレート8を天井スラブ2から吊下げ保持するものである。
【0069】
天井側取付部51は、天井スラブ2にインサート成形等により設置され、下方に向け雌螺子部54を備えた天井側取付体55と、この天井側取付体55の雌螺子部54に螺着可能な雄螺子部56を備えた雄螺子部材57と、円盤状の金属製の板材からなり中央部分に雄螺子部材57の雄螺子部56を挿通可能な貫通部58を備え、この貫通部58の周囲に複数の取付孔59を備えた取付板60とを備えている。
【0070】
載架部材側取付部52は、方形状に形成されたステンレス鋼、アルミニウム等の金属製の薄板からなる取付部本体61の下部には、溝鋼18の開口溝17の縁部20と係合可能な第1の溝鋼取付部62と、溝鋼18の開口溝17より幅方向(図中、Y方向)に広い開口溝17Aを備えた幅広な溝鋼18Aの縁部20Aと係合可能な第2の溝鋼取付部63が設けられているとともに、取付部本体61の中央部分に形成された貫通部64を備え、後述する連結手段53のボルト66に螺着可能な雌螺子部としてのナット65を有している。ここで、ナット65は取付部本体61に固定されているものでも、取付部本体61と別体としても構わないものとする。また、雌螺子部65としては、貫通部64にボルト66が螺合可能な螺子溝を螺刻したものとしても構わないものとする。
【0071】
第1の溝鋼取付部62は、図11に示すように取付部本体61の対向する一対の両端部61A,61Aより略平行に立ち上げられ、溝鋼18Aの開口溝17Aに挿入可能な一対の第1の立ち上げ部62Aと、各第1の立ち上げ部62Aの先端を互いの距離が離れるよう外側に折り曲げて断面略J型に形成し、縁部20Aの内面に長手方向(図中、Z方向)に沿って係合可能に設けられ、幅広な溝鋼18Aを開口溝17Aに沿ってスライド可能に保持する第1の係止部62Bが設けられている。
【0072】
第2の溝鋼取付部63は、図12に示すように取付部本体61の第1の立ち上げ部62A,62A間に第1の立ち上げ部62Aと略平行に立ち上げられ、且つ第1の立ち上げ部62A,62A間の間隔L1より幅狭な間隔L2に形成され、開口溝17に挿入可能な一対の第2の立ち上げ部63A,63Aと、各第2の立ち上げ部63A,63Aの先端を互いの距離が離れるよう外側に折り曲げて、縁部20の内面に長手方向(図中、Z方向)に沿って係合可能に設けられ、溝鋼18を開口溝17に沿ってスライド可能に保持する第2の係止部63Bが設けられている。
【0073】
連結手段53は、取付部本体61の貫通部64に挿通可能な雄螺子部としてのボルト66と、ボルト66の頭部に装着されたワイヤー部材67を有している。さらに、ボルト66・ナット65はそれぞれ、貫通部64に対して軟質ゴム製の座金部材(不図示)を介して取り付けられることが好ましい。
【0074】
以上の落下防止構造50の施工方法としては、まず、天井側取付部51では、雄螺子部材56を介して取付板60を天井側取付体55に取り付ける。
【0075】
続いて、載架部材側取付部52では、取付部本体61を各溝鋼18の両端2箇所に配置し、第2の溝鋼取付部63を縁部20に係合させて、取付部本体61を溝鋼18の開口溝17に沿ってスライド可能に保持する。
【0076】
そして、連結手段53のボルト66を取付部本体61の雌螺子部65に螺着するとともに、連結手段53のワイヤー部材67を固定金具68を介して取付板60の取付孔59にくくりつけて固定する。
【0077】
このように、本実施例の落下防止構造50では、設備プレート8の少なくとも四隅を連結手段53を介して天井スラブ2に連結したことで、設備プレート8を天井スラブ2から吊下げ保持して、設備プレート8の落下を防止することができる。
【0078】
以上のように本実施例では、請求項6に対応しており、天井スラブ2に取り付けられた天井側取付部51と、設備プレート8側の溝鋼18に取り付けられた載架部材側取付部52と、天井側取付部51と載架部材側取付部52とを連結する連結手段53とを備え、設備プレート8を天井スラブ2から吊下げ保持して、設備プレート8の落下を防止することができる。
【0079】
また、本実施例の落下防止構造50では、連結手段53を取付板60に集中させることで、落下防止構造50の施工性を向上させるとともに、天井裏の構造をすっきりさせることができる。
【実施例4】
【0080】
次に図13は、本発明の第4実施例を示すものである。同図において、図1〜図12と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例では、設備プレート8の落下防止構造50の別の実施形態について説明する。本実施例の落下防止構造50では、天井側取付体55に連結手段53のワイヤー部材67の先端に備えた雄螺子部材69を直接螺着する構造としている。
【0081】
本実施例の落下防止構造50では、このように設備プレート8を天井スラブ2から吊下げ保持することで、落下防止構造50の部品点数の低減を図ることができる。
【実施例5】
【0082】
次に図14及び図15は、本発明の第5実施例を示すものである。同図において、図1〜図13と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例では、第4実施例の落下防止構造50における載架部材側取付部52の別の実施形態について説明する。本実施例の載架部材側取付部52では、ワイヤー部材67の一端に溝鋼18の底面部18A及び凸部16の上面部16Aに連続して形成された係止溝70に係止可能な係止部71を備えている。
【0083】
係止部71は、ワイヤー部材67の一端に連結された円柱状の軸部72と、この軸部72の先端部分に軸部72より大径に形成された円盤状のフランジ部73とを備えている。
【0084】
係止溝70は、長手方向と直交する方向の寸法M1が軸部72の外径D1より幅広(D1<M1)で、且つフランジ部73の外径D2より幅狭(M1<D2)に形成された長孔部74と、フランジ部73の外径D2より大径に形成された円形状の貫通部からなる大径部75とを組み合わせてなる貫通部である。
【0085】
以上の載架部材側取付部52の取り付け方法については、凸部16の上面部16Aの下方より大径部75にフランジ部73側から挿通された係止部71を大径部75から長孔部74へとスライドさせると、フランジ部73が長孔部74の縁部分に係止され、載架部材側取付部52は凸部16及び溝鋼18に係止される。
【0086】
本実施例の落下防止構造50では、載架部材側取付部52の構造を簡素化することで、落下防止構造50の部品点数の低減や取付作業の簡素化を図ることができる。
【実施例6】
【0087】
次に図16及び図17は、本発明の第6実施例を示すものである。同図において、図1〜図15と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例では、第2実施例における天井下地材5の落下防止構造の別の実施形態について説明する。本実施例における落下防止構造の天井側取付具80は、金属製の薄板を断面略コ型状に折り曲げ形成され、その両端80A,80Bを結合する結合手段81を備えている。結合手段81は、天井側取付具80の一端80A側に形成された略L型の切溝部82と、天井側取付具80の他端80B側に形成され、切溝部82に挿通して係止可能な係止部83とを備えている。ここで係止部83は、天井側取付具80の他端80B側に形成された略三角形状の切欠き部分を内側に立ち上げた一端83Aをさらに内側に傾倒して形成されている。
【0088】
天井側取付具80の折り曲げ部分80Cから両端80A,80Bにかけての中間部分の上部及び下部を、内側に切り倒して形成された係止片84を備えている。
【0089】
また、係止片84により天井側取付具80に形成された切り欠き部85において、天井側取付具80の折り曲げ部分80C側の角部86をそれぞれ内側に傾倒させて絞り部87が形成されている。
【0090】
さらに、天井側取付具80の他端80Bにおける切溝部82と係止片84との間には段差部88が形成されている。
【0091】
次に、上記構成の天井側取付具80の取付方法について説明すると、天井側取付具80の折り曲げ部分80Cの内側に吊りボルト3を配置する。さらに、連結部材32の抜け止め部46は、天井側取付具80の係止片84と段差部88に囲まれた領域に配置され、抜け止め部46のフランジ部分46Aが係止片84の上面に係止されている。
【0092】
そして、上記の状態から、結合手段81により両端80A,80Bを結合すると、吊りボルト3は折り曲げ部分80Cと絞り部87により挟持され、天井側取付具80は吊りボルト3に固定されるとともに、連結部材32の抜け止め部46は係止片84に係止され、連結部材122は天井側取付具80に吊下げ保持されることとなる。ここで、結合手段81では、切溝部82に挿通された係止部83の一端83Aが切溝部82の縁部分に係止して、両端80A,80Bが結合されると、天井側取付具80の取り付けが完了する。
【0093】
そして、吊りボルト3にハンガー部材4を介して吊下げ保持されている天井下地材5が、地震などの揺れによって、ハンガー部材4から離脱した際も、天井側取付具80と下地材側取付具31の連結により、天井下地材5は吊りボルト3に吊り下げ保持されることとなり、天井下地材5の落下を防止することができる。
【0094】
さらに、天井側取付具80と下地材側取付具31とを連結する連結部材32を柔軟なワイヤー部材とすることで、施工の自由度も向上するとともに、連結方法も連結部材32の一方の環状部45を下地材側取付具31の環状部39に括りつけて固定し、連結部材32の他方の抜け止め部46を天井側取付具80で挟持して係止するという簡単な作業により、天井側取付具30と下地材側取付具31を連結することができる。
【0095】
また、本実施例の天井側取付具80は、吊りボルト3に挟持して固定する構造のため、吊りボルト3に対して容易に取付けることが可能である。
【0096】
以上のように本実施例は請求項3に対応しており、天井スラブ2より垂設された垂設部材としての吊りボルト3に取り付けられた天井側取付具80と、天井下地材5に取り付けられた下地材側取付具31と、天井側取付具80と下地材側取付具31とを連結する連結部材32とを備えている。
【0097】
この場合、吊りボルト3に吊下げ保持されている天井下地材5が、地震などの揺れによって離脱した際も、天井側取付具80と下地材側取付具31の連結により、天井下地材5は吊りボルト3に吊り下げ保持されることとなり、天井下地材5の落下を防止することができる。
【実施例7】
【0098】
次に図18及び図19は、本発明の第7実施例を示すものである。同図において、図1〜図17と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例の天井構造1は、格子状に組み付けられた天井下地材5と、天井下地材5に載架された天井パネル7と、天井パネル7に備えた凸部90に固定され、天井下地材5より上下方向に高く配置された溝鋼18と、溝鋼18,18間に架設され天井下地材5から離間して設けられた横杆部材22と、横杆部材22に固定され天井パネル7に設置された照明や消火等の設備機器とを備えている。また、本実施例の天井構造1は、実施例1の天井構造1と同様、実施例2〜6に記載の内容と組み合わせて採用可能である。
【0099】
本実施例の凸部90は、断面略コ字型の管状に折り曲げ形成されたアルミニウムやスチール等の板材を、天井パネル7の平面形状と略同一形状の略正方形の枠状に折り曲げて形成したものである。そして、凸部90は天井パネル7の上面の周縁部分の全周に沿って配設されており、その下面部90Aをリベット、螺子又は溶接等により天井パネル7に固定するものとしてもよい。
【0100】
そして、凸部90の対向する一対の辺部91,92の上面には、溝鋼18がリベット、螺子又は溶接等により平行に配設されている。
【0101】
また、設備機器としての消火設備24は、配管25の先端に備えたスプリンクラーヘッド26の噴霧口(図示せず)が室内に露出するように天井パネル7の中央部分に形成された貫通部93にスプリンクラーヘッド26が配設されている。
【0102】
ここで、凸部90の上面に配設された溝鋼18の縁部20は、天井下地材5の頭部12より上下方向(図中、X方向)に高く形成されており、横杆部材22は天井下地材5から上下方向(図中、X方向)に所定の間隔Hだけ離間した状態で溝鋼18の縁部20に配置されている。
【0103】
次に、上記構成についてその作用を説明する。最初に、天井パネル7を介して設備機器を天井裏へ設置する方法について説明する。まず、所望の正方形組6に対して、天井パネル7を天井下地材5の横片部10の上部に非固定状態で載置して、天井パネル7の上面全周に配設された凸部90の上面に配設された溝鋼18の上部に取付金具21を介して横杆部材22を水平方向に架設する。そして、横杆部材22に取付金具23を介して消火設備24の配管25を固定するとともに、スプリンクラーヘッド26を天井パネル7の貫通部93に設置すると、天井裏への消火設備24の設置が完了する。尚、この消火設備24を備えた天井パネル7が設置される正方形組6以外の正方形組6には、他の天井パネル7が配置される。
【0104】
ここで、天井パネル7は、天井下地材5の横片部10に非固定状態で載置されてた状態で正方形組6に設置されているため、地震などの揺れに伴い、天井下地材5が脱落しても、天井パネル7は横杆部材22を介して消火設備24の配管25によって吊下げ保持されるため、天井パネル7は天井裏にとどまることが可能である。
【0105】
また、消火設備24の配管25が固定された横杆部材22が、天井下地材5から上下方向(図中、X方向)に所定間隔Hだけ離間した状態で溝鋼18の縁部20に配置されているので、地震などの揺れに伴う天井下地材5の揺れが横杆部材22へ直接的に伝達することを防止して、地震などの揺れから天井裏の消火設備24を保護することができる。
【0106】
以上のように本実施例は請求項1に対応しており、格子状に組み付けられた天井下地材5と、天井下地材5に載架された載架部材としての天井パネル7と、天井パネル7に備えた凸部90に固定され、天井下地材5よりも上下方向(図中、X方向)に高く配置された杆部材としての溝鋼18と、溝鋼18,18間に架設され天井下地材5から所定間隔Hだけ離間して設けられた架設部材としての横杆部材22と、横杆部材22に固定され天井パネル7に設置されたスプリンクラー等の設備機器として消化設備24とを備えている。
【0107】
この場合、地震などの揺れに伴う天井下地材5の揺れが設備機器24が固定される横杆部材22へ直接的に伝達することを防止して、地震などの揺れから天井裏の消火設備24を保護することができる。
【0108】
また、本実施例は、載架部材として既存の天井パネル7を使用しており、載架部材に専用の設備プレートを用意する必要が無く、天井構造を簡単なものにすることができる。
【実施例8】
【0109】
次に図20及び図29は、本発明の第8実施例を示すものである。同図において、図1〜図19と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例の天井構造1は、前記正方形組6において、所定方向であるY方向と平行に配置された天井下地材5(以下、一方の天井下地材5Aという)と、Y方向と水平方向において直交するZ方向と平行に配置された天井下地材5(以下、他方の天井下地材5Bという)とを直交させて組み付けた接続部分J付近に取り付けられる接続部分側取付具100を備えている。
【0110】
前記接続部分側取付具100は、前記一方の天井下地材5A及び前記他方の天井下地材5Bのいずれか一方に固定された一方の固定部101と、前記一方の天井下地材5A及び前記他方の天井下地材5Bのいずれか他方に固定された他方の固定部102と、前記天井パネル7に上方から対向可能な押さえ部103とを備えている。
【0111】
前記一方の固定部101は、前記正方形組6の前記接続部分Jに隣接する前記一方の天井下地材5A及び前記他方の天井下地材5Bのいずれか一方に係止自在に形成された一方の係止部104を備えている。
【0112】
前記一方の係止部104は、アルミニウムやスチール等の板材からなる接続部分側取付具本体105の一端を上向きに折り曲げて形成された一方の内側面部106と、前記一方の内側面部106の上端を水平方向に折り曲げて形成された一方の天面部107と、前記一方の天面部107の外側端を下向きに折り曲げて形成された一方の外側面部108とを備えた、上向き凸状に折り曲げ形成されたものである。
【0113】
前記他方の固定部102は、一方の天井下地材5A及び前記他方の天井下地材5Bのいずれか一方と接続部分Jを挟んで隣接する前記一方の天井下地材5A及び他方の天井下地材5Bのいずれか他方に係止自在に形成された他方の係止部109を備えている。
【0114】
前記他方の係止部109は、接続部分側取付具本体105の他端を上向きに折り曲げて形成された他方の内側面部110と、前記他方の内側面部110の上端を水平方向に折り曲げて形成された他方の天面部111と、前記他方の天面部111の外側端を下向きに折り曲げて形成された他方の外側面部112とを備えた、上向き凸状に折り曲げ形成されたものである。
【0115】
ここで、一方の係止部104及び他方の係止部109は、一方の天井下地材5A及び他方の天井下地材5Bにそれぞれ係止された状態で、一方の内側面部106及び他方の内側面部110、一方の外側面部108及び他方の外側面部112、一方の天面部107及び他方の天面部111が、それぞれ天井下地材5の一対の上側突条11,11、頭部12に対向可能に形成されている。
【0116】
また、一方の係止部104の一方の内側面部106及び一方の外側面部108は、他方の係止部109の他方の内側面部110及び他方の外側面部112と、互いの面方向を直交して形成されており、これによって、一方の係止部104及び他方の係止部109は、互いに直交する一方の天井下地材5A及び他方の天井下地材5Bに係止自在に形成されている。
【0117】
一方の係止部104及び他方の係止部109は、接続部分Jからそれぞれ所定間隔K1,K2(K1>K2)を有して一方の天井下地材5A及び他方の天井下地材5Bに係止自在に備えている。そのため、接続部分側取付具100は、一方の天井下地材5A及び他方の天井下地材5Bのどちらに対しても平行も直交もしない向きに、一方の天井下地材5Aと他方の天井下地材5Bとの間に架設される構成となっている。
【0118】
また、一方の係止部104を一方の天井下地材5A又は他方の天井下地材5Bに係止した際、一方の天井下地材5A又は他方の天井下地材5Bの長手方向(図中、Y方向又はZ方向)に沿った一方の係止部104の寸法を、寸法K3とする。
【0119】
同様に、他方の係止部109を一方の天井下地材5A又は他方の天井下地材5Bに係止した際、一方の天井下地材5A又は他方の天井下地材5Bの長手方向(図中、Y方向又はZ方向)に沿った他方の係止部109の寸法を、寸法K4とする。
【0120】
ここで、間隔K1は、間隔K2と寸法K4を合わせた大きさよりも大きく形成されており(K1>K2+K4)、所定の接続部分Jを中心に隣接する4つの正方形組6の一方の天井下地材5A及び他方の天井下地材5Bの所定の接続部分J側にそれぞれ複数の接続部分側取付具100を配設した場合、一方の天井下地材5A又は他方の天井下地材5Bの所定の接続部分J側に係止される複数の接続部分側取付具100の一方の係止部104と他方の係止部109とが、一方の天井下地材5A又は他方の天井下地材5Bの長手方向(Y方向又はZ方向)に並設されて、互いに重なり合わない構成となっている。
【0121】
一方の係止部104の一方の内側面部106には、第1の固定用螺子孔113が形成されており、この第1の固定用螺子孔113に第1の螺子部材114を第1のスプリングワッシャ114Aを介して螺合させて、第1の螺子部材114の先端部分と一方の外側面部108の内面とで、一対の上側突条11,11を水平方向に挟持することによって、一方の固定部101が一方の天井下地材5Aに固定される構造としている。
【0122】
また、一方の係止部104の一方の外側面部108には、第2の固定用螺子孔115が形成されており、この第2の固定用螺子孔115に第2の螺子部材116を第2のスプリングワッシャ116Aを介して螺合させて、第2の螺子部材116の先端部分と一方の内側面部106の内面とで、一対の上側突条11,11を水平方向に挟持することによって、一方の固定部101が一方の天井下地材5Aに固定される構造としている。
【0123】
同様に、他方の係止部109の他方の内側面部110にも、第3の固定用螺子孔117が形成されており、この第3の固定用螺子孔に第3の螺子部材118を第3のスプリングワッシャ118Aを介して螺合させて、第3の螺子部材118の先端部分と他方の外側面部112の内面とで、一対の上側突条11,11を水平方向に挟持することによって、他方の固定部102が他方の天井下地材5Bに固定される構造としている。
【0124】
また、他方の係止部109の他方の外側面部112には、第4の固定用螺子孔119が形成されており、この第4の固定用螺子孔119に第4の螺子部材120を第4のスプリングワッシャ120Aを介して螺合させて、第4の螺子部材120の先端部分と他方の内側面部110の内面とで、一対の上側突条11,11を水平方向に挟持することによって、他方の固定部102が他方の天井下地材5Bに固定される構造としている。
【0125】
前記押さえ部103は、接続部分側取付具本体105の略中央部分を、下向き凸状に折り曲げ形成したものであり、この押さえ部103の下面は天井パネル7の上面と略平行に形成されたものである。
【0126】
さらに、前記押さえ部103の略中央部分には、第5の固定用螺子孔121が形成されており、この第5の固定用螺子孔121に第5の螺子部材122を上方から第5のスプリングワッシャ122Aを介して螺合させて、第5の螺子部材122の先端部分と天井下地材5の横片部10とで、天井パネル7を上下方向に挟持することによって、押さえ部103が天井パネル7を上方から押える構造としている。
【0127】
また、第1の係止部104と押さえ部103との間、そして第2の係止部109と押さえ部103との間には、押さえ部103からそれぞれ第1の係止部及び第2の係止部に向けて上り階段状に形成された第1の段差部123及び第2の段差部124が形成されている。
【0128】
前記第1の段差部123は、押さえ部103の一端を上向きに折り曲げて形成した第1の立壁部125と、第1の立壁部125の上端から一方の内側面部106にかけて水平方向に延設して形成されて、溝鋼18が載置可能な第1の平面部126とを備えている。
【0129】
前記第2の段差部124は、押さえ部103の他端を上向きに折り曲げて形成した第2の立壁部127と、第2の立壁部127の上端から他方の内側面部110にかけて水平方向に延設して形成されて、溝鋼18が載置可能な第2の平面部128とを備えている。
【0130】
ここで、第1の段差部123における第1の立壁部125と第1の平面部126によって囲まれた第1の下部スペース129と第2の段差部124における第2の立壁部127と第2の平面部128によって囲まれた第2の下部スペース130はともに、設備プレート8の凸部16や凸部90を配置可能に備えており、第1の段差部123及び第2の段差部124のそれぞれの第1の下部スペース129及び第2の下部スペース130に配置された凸部16や凸部90の上部に、第1の平面部126及び第2の平面部128の下部が対向して、当接支持される構造となっている。
【0131】
そして、第1の平面部126には、螺子やリベット等の第1の固定手段131により、溝鋼18と第1の平面部126とを固定するための第1の固定用貫通部132を備えているとともに、第2の平面部128にも、螺子やリベット等の第2の固定手段133により、溝鋼18と第2の平面部128とを固定するための第2の固定用貫通部134を備えている。
【0132】
次に、上記構成についてその作用を説明する。まずは、消火設備24を備えた天井パネル7が載架された正方形組6の四隅にある、一方の天井下地材5Aと他方の天井下地材5Bとの接続部分Jに、接続部分側取付具100を設置する方法について説明する。
【0133】
最初に、一方の係止部104及び他方の係止部109を、接続部分J付近の一方の天井下地材5A及び他方の天井下地材5Bにそれぞれ係止する。
【0134】
そして、一方の固定部101の固定には、一方の外側面部108の第2の固定用螺子孔115に、第2の螺子部材116を螺合して、第2の螺子部材116の先端部分と一方の内側面部106の内面とで、一対の上側突条11,11を水平方向に挟持して、一方の固定部101を一方の天井下地材5Aに固定する。
【0135】
また、図28及び図29に示すように、消火設備24を備えた天井パネル7が載架された所定の正方形組6Aと隣接する正方形組6Bに照明等の他の機器Pが設置され、一方の外側面部108の第2の固定用螺子孔115の周囲に第2の螺子部材116を螺合するだけのスペースが無い場合は、一方の内側面部106の第1の固定用螺子孔113に、第1の螺子部材114を螺合させて、第1の螺子部材114の先端部分と一方の外側面部108の内面とで、一対の上側突条11,11を水平方向に挟持して、一方の固定部101を一方の天井下地材5Aに固定する。
【0136】
同様に、他方の固定部102の固定には、他方の外側面部112の第4の固定用螺子孔119に、第4の螺子部材120を螺合して、第4の螺子部材120の先端部分と他方の内側面部110の内面とで、一対の上側突条11,11を水平方向に挟持して、他方の固定部102を他方の天井下地材5Bに固定する。
【0137】
また、図28及び図30に示すように、消火設備24を備えた天井パネル7が載架された所定の正方形組6Aと隣接する別の正方形組6Bに照明等の他の機器Pが設置され、他方の外側面部112の第4の固定用螺子孔119の周囲に第4の螺子部材120を螺合するだけのスペースが無い場合は、他方の内側面部110の第3の固定用螺子孔117に、第3の螺子部材118を螺合させて、第3の螺子部材118の先端部分と他方の外側面部112の内面とで、一対の上側突条11,11を水平方向に挟持して、他方の固定部102を他方の天井下地材5Bに固定する。
【0138】
そして、一方の固定部101及び他方の固定部102が、一方の天井下地材5A及び他方の天井下地材5Bに固定された状態では、天井パネル7の上面に上方から対向する押さえ部103によって、天井パネル7を上方から押えている。
【0139】
ここで、図22、図23、図29および図30に示すような押さえ部103と天井パネル7が当接した状態や、押さえ部103と天井パネル7との間に僅かな隙間しかない状態では、第5の固定用螺子孔121に第5の螺子部材122を螺合して、第5の螺子部材122の先端部分と天井下地材5の横片部10とで、天井パネル7を上下方向に挟持しなくても、押さえ部103によって天井パネル7を上方から押える効果は十分に発揮される。
【0140】
そして、第1の平面部126及び第2の平面部128のいずれか一方、又はその両方に、溝鋼18を平行に載置して、第1の平面部126及び第2の平面部128と溝鋼18とを、第1の固定用貫通部132及び第2の固定用貫通部134を介して螺子、リベット等の第1の固定手段131及び第2の固定手段133により固定する。
【0141】
さらに、この溝鋼18の開口溝17の縁部20には取付金具21を介して横杆部材22が水平方向(図中、Y方向)に架設して、横杆部材22の所定位置には、取付金具23を介して天井裏に設置される設備機器としての消火設備24の蛇腹式の配管25(フレキシブルホース)が固定される。
【0142】
また、消火設備24は、配管25の先端に備えたスプリンクラーヘッド26の噴霧口(図示せず)が室内に露出するように天井パネル7の中央部分に形成された貫通部93にスプリンクラーヘッド26が配設されている。
【0143】
以上のように、本実施例は請求項1に対応しており、格子状に組み付けられた天井下地材5と、天井下地材5に載架された載架部材としての天井パネル7と、天井パネル7上に配置された接続部分側取付具100に備えた凸部としての第1の段差部123及び第2の段差部124に固定され、天井下地材5よりも高く配置された杆部材としての溝鋼18と、溝鋼18,18間に架設され天井下地材5から所定間隔Hだけ離間して設けられた架設部材としての横杆部材22と、横杆部材22に固定され天井パネル7に設置された照明や消火等の設備機器24とを備えている。
【0144】
この場合、地震などの揺れに伴う天井下地材5の揺れが設備機器24が固定される横杆部材22へ直接的に伝達することを防止して、地震などの揺れから天井裏の設備機器24を保護することができる。
【0145】
また、本実施例は請求項7に対応しており、一方の天井下地材5Aと他方の天井下地材5Bを直交させて組み付けた接続部分Jに取り付けられる接続部分側取付具であって、前記接続部分側取付具は、一方の天井下地材5Aに固定された一方の固定部101と、他方の天井下地材5Bに固定された他方の固定部102と、載架部材としての天井パネル7に固定された押さえ部103とを備えている。
【0146】
この場合、天井下地材5からなる正方形組6の接続部分Jを補強して地震時などにおける正方形組6の歪みや振動を抑えることができる。また、接続部分側取付具100が正方形組6の歪みを抑えることで、消火設備24の設置を安定させることができる。さらに、接続部分側取付具100を介して、一方の天井下地材5Aと他方の天井下地材5Bを連結することで、一方の天井下地材5Aと他方の天井下地材5Bが互いの動きを抑制し合い、接続部分Jで一方の天井下地材5Aと他方の天井下地材5Bの接続が解除してしまうことを防止することができる。また、押さえ部103によって、天井下地材5に載架された天井パネル7の上下動が抑制されて、天井パネル7の跳ね上がり等による天井パネル7及び消火設備24の損傷や天井パネル7等の脱落を防止することができる。さらに正方形組6四隅の接続部分Jに、接続部分側取付具100を取り付けることにより、地震時などにおける正方形組6の歪みや損傷によって、取付金具21が溝鋼18から脱落することを防ぐことができる。
【0147】
また、本実施例は請求項8に対応しており、前記押さえ部103は、前記押さえ部103に設けた螺子孔として第5の固定用螺子孔121に上方から螺合され、天井パネル7に上方から当接する螺子部材として第5の螺子部材122を備えている。
【0148】
この場合、押さえ部103と天井パネル7との間に隙間が生じる場合でも、第5の螺子部材122が天井パネル7に当接することで、天井下地材5に載架された天井パネル7の上下動が抑制されて、天井パネル7の跳ね上がり等による天井パネル7及び消火設備24の損傷や天井パネル7等の脱落を防止することができる。
【0149】
さらに、本実施例は請求項9に対応しており、前記一方の固定部101は、前記一方の天井下地材5A及び前記他方の天井下地材5Bのいずれか一方に係止可能な一方の係止部104と、前記一方の係止部104を前記一方の天井下地材5A及び前記他方の天井下地材5Bのいずれか一方に締付固定する一方の締付手段として第1の螺子部材114及び第2の螺子部材116とを備えるとともに、前記他方の固定部102は、前記一方の天井下地材5A及び前記他方の天井下地材5Bのいずれか他方に係止可能な他方の係止部109と、前記他方の係止部109を前記一方の天井下地材5A及び前記他方の天井下地材5Bのいずれか他方に締付固定する他方の締付手段として第3の螺子部材118及び第4の螺子部材120とを備えたことにより、各天井下地材5A,5Bの強度を落すことなく、各固定部101,102と各天井下地材5A,5Bを固定することができる。
【0150】
また、実施例上の効果として、一方の係止部104及び他方の係止部109が、接続部分Jからそれぞれ所定間隔K1,K2(K1>K2)を有して、一方の天井下地材5A及び他方の天井下地材5Bに係止自在に備え、接続部分側取付具100が、一方の天井下地材5A及び他方の天井下地材5Bのどちらに対しても平行も直交もしない向きに、一方の天井下地材5Aと他方の天井下地材5Bとの間に架設されたことにより、図31に示すように接続部分Jにその他の金具C等が取り付けられていても、その金具Cを回避して接続部分側取付具100を接続部分J付近に取り付けることが可能となり、接続部分Jの構造に影響されずに接続部分側取付具100を取り付けることができる。そのため、本実施例の接続部分側取付具100は接続部分Jに取り付けられるその他の金具C等と併用して使用可能である。
【0151】
さらに、間隔K1は、間隔K2と寸法K4を合わせた大きさよりも大きく形成されており(K1>K2+K4)、図32に示すように所定の接続部分Jを中心に隣接する4つの正方形組6A,6B,6C,6Dの一方の天井下地材5A及び他方の天井下地材5Bの所定の接続部分J側にそれぞれ複数の接続部分側取付具100を配設した場合、一方の天井下地材5A又は他方の天井下地材5Bの所定の接続部分J側に係止される複数の接続部分側取付具100の一方の係止部104と他方の係止部109とが、一方の天井下地材5A又は他方の天井下地材5Bの長手方向(Y方向又はZ方向)に並設されて、互いに重なり合わない構成としたことにより、隣接する正方形組6を構成する共通の一方の天井下地材5A又は他方の天井下地材5Bにそれぞれ、接続部分側取付具100を複数配置することが可能となり、隣接する正方形組6においても、接続部分Jを補強して地震時などにおける正方形組6の歪みや振動を抑えることができる。また、接続部分側取付具100が正方形組6の歪みや振動を抑えることで、消火設備24の設置を安定させることができる。さらに、接続部分側取付具100を介して、一方の天井下地材5Aと他方の天井下地材5Bを連結することで、一方の天井下地材5Aと他方の天井下地材5Bが互いの動きを抑制し合い、接続部分Jで一方の天井下地材5Aと他方の天井下地材5Bの接続が解除してしまうことを防止することができる。また、押さえ部103によって、天井下地材5に載架された天井パネル7の上下動が抑制されて、天井パネル7の跳ね上がり等による天井パネル7及び消火設備24の損傷や天井パネル7等の脱落を防止することができる。
【0152】
また、各固定部101,102の各固定用螺子孔113,115,117,119に各螺子部材114,116,118,120を螺合して、各螺子部材114,116,118,120の先端部分と各天井下地材5A,5Bの各内側面部106,110又は各外側面部108,112の内面とで、一対の上側突条11,11を水平方向に挟持して、各固定部101,102を各天井下地材5A,5Bに固定することにより、各天井下地材5A,5Bに螺子孔を開ける等の処理を行い各天井下地材5A,5Bの強度を落すことなく、各固定部101,102と各天井下地材5A,5Bを固定することができる。
【0153】
また、各螺子部材114、116、118、120、122が、各スプリングワッシャ114A、116A、118A、120A、122Aを介して、各固定用螺子孔113、115、117、119、121に螺合されることにより、各螺子部材114、116、118、120、122が地震などの振動により弛緩して、接続部分側取付具100が外れることを防ぐことができる。
【実施例9】
【0154】
次に図33は、本発明の第9実施例を示すものである。同図において、図1〜図32と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例の接続部分側取付具100は、載架部材に薄板状のパネル部材からなる設備プレート8を用いて、押さえ部103の下面と設備プレート8の上面との間に隙間Tを生じる場合には、第5の固定用螺子孔121に第5の螺子部材122を上方から螺合して、第5の螺子部材122の先端部分と天井下地材5の横片部10とで、設備プレート8を上下方向に挟持して、押さえ部103によって設備プレート8を上方から押えるものである。
【0155】
このように、押さえ部103と設備プレート8との間に隙間Tが生じる場合でも、第5の螺子部材122が設備プレート8に当接することで、天井下地材5に載架された設備プレート8の上下動が抑制されて、設備プレート8の跳ね上がり等による設備プレート8及び消火設備24の損傷や設備プレート8等の脱落を防止することができる。
【0156】
また、第1の下部スペース129及び第2の下部スペース130のいずれか一方、又はその両方に、設備プレート8の凸部16が設置されるように、一方の係止部104及び他方の係止部109を、正方形組6の接続部分J付近の一方の天井下地材5A及び他方の天井下地材5Bにそれぞれ係止する。このように設備プレート8の凸部16が、第1の下部スペース129及び第2の下部スペース130に設置されることにより、設備プレート8の凸部16によって接続部分側取付具100を取り付けた天井構造1が上下方向に嵩張ることを防止することができる。
【実施例10】
【0157】
次に図34は、本発明の第10実施例を示すものである。同図において、図1〜図33と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例の接続部分側取付具100は、第1の下部スペース129及び第2の下部スペース130のいずれか一方、又はその両方に、凸部90が設置されるように、一方の係止部104及び他方の係止部109を、正方形組6の接続部分J付近の一方の天井下地材5A及び他方の天井下地材5Bにそれぞれ係止する。このように凸部90が、第1の下部スペース129及び第2の下部スペース130に設置されることにより、凸部90によって接続部分側取付具100を取り付けた天井構造1が上下方向に嵩張ることを防止することができる。
【実施例11】
【0158】
次に図35は、本発明の第11実施例を示すものである。同図において、図1〜図34と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例の接続部分側取付具100は、載架部材に薄板状のパネル部材140を用いて、押さえ部103の下面とパネル部材140の上面との間に隙間Tを生じる場合には、第5の固定用螺子孔121に第5の螺子部材122を上方から螺合して、第5の螺子部材122の先端部分と天井下地材5の横片部10とで、パネル部材140を上下方向に挟持して、押さえ部103によってパネル部材140を上方から押えるものである。
【0159】
このように、押さえ部103とパネル部材140との間に隙間Tが生じる場合でも、第5の螺子部材122がパネル部材140に当接することで、天井下地材5に載架されたパネル部材140の上下動が抑制されて、パネル部材140の跳ね上がり等によるパネル部材140及び消火設備24の損傷やパネル部材140等の脱落を防止することができる。
【実施例12】
【0160】
次に図36及び図37は、本発明の第12実施例を示すものである。同図において、図1〜図35と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例の天井構造1は、溝鋼18を天井下地材5に連結する溝鋼連結具150を備えている。この溝鋼連結具150は、方形状に形成されたステンレス鋼、アルミニウム等の金属製の薄板からなる溝鋼連結具本体151と、溝鋼連結具本体151の一方を垂直下向きに立ち上げ、その先端を内側に折り曲げて断面略J型に形成された溝鋼側係止部152と、溝鋼連結具本体151の他方を垂直下向きに立ち上げ、その先端を内側に折り曲げて断面略L型に形成された天井下地材側係止部153とを備えている。
【0161】
上記の溝鋼連結具150は、取付金具21と天井下地材の長手方向(図中、Z方向)にずらして配置されるもので、溝鋼連結具本体151の下面を、溝鋼18の一方の縁部20に上方から当接させて、溝鋼側係止部152を溝鋼18の開口溝17に挿入した後、縁部20の内面に長手方向(図中、Z方向)に沿って係合して、溝鋼連結具150を溝鋼18の縁部20に沿ってスライド可能に保持するとともに、さらに天井下地材側係止部153を、天井下地材5の縦片部9と上側突条11の間に形成された段差部154に長手方向(図中、Z方向)に沿って係合して、溝鋼連結具150を天井下地材5に沿ってスライド可能に保持する。
【0162】
このように、溝鋼連結具150を介して、溝鋼18と天井下地材5を連結することによって、天井下地材5の歪みや振動を抑えて、消火設備24の設置を安定させることができる。
【0163】
本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、設備プレートの凸部は、設備プレートの両端より内側に設けたのでもよく、設備プレートと別体であってもよいものとする。また、上記実施例では、消火機器を例に設備機器の使用状態について説明したが、本発明では消火機器以外の設備機器にも適用可能であり、例えば照明機器や音響機器等では、電球やスピーカ等を天井パネル7、設備プレート8、パネル部材140の貫通部に設置して、電球やスピーカ等から延びる配線等を横杆部材に取付金具を介して固定するものでもよい。さらに、天井側取付具に下地材側取付具と同様の環状部を備え、この環状部に連結部材の環状部を挿通して連結部材の一方をくくり付けて固定する構成でもよく、また、下地材側取付具に天井側取付具と同様の溝部および切欠部を備え、この溝部に連結部材の抜け止め部を係止する構成でもよいものとする。
【符号の説明】
【0164】
1 天井構造
2 スラブ
3 吊りボルト
5 天井下地材
7 天井パネル(載架部材)
8 設備プレート(載架部材)
16 凸部
18 溝鋼(杆部材)
22 横杆部材(架設部材)
24 消火設備(設備機器)
30 天井側取付具
31 下地材側取付具
32 連結部材
34 腕片
35 溝部
39 環状部
51 天井側取付部
52 載架部材側取付部
53 連結手段
80 天井側取付具
90 凸部
100 接続部分側取付具
101 一方の固定部
102 他方の固定部
103 押さえ部
104 一方の係止部
109 他方の係止部
114 第1の螺子部材(一方の締付手段)
116 第2の螺子部材(一方の締付手段)
118 第3の螺子部材(他方の締付手段)
120 第4の螺子部材(他方の締付手段)
121 第5の固定用螺子孔
122 第5の螺子部材
123 第1の段差部(凸部)
124 第2の段差部(凸部)
J 接続部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状に組み付けられた天井下地材と、
前記天井下地材に載架された載架部材と、
前記載架部材に備えた凸部に固定され、前記天井下地材よりも高く配置された杆部材と、
前記杆部材間に架設され前記天井下地材から離間して設けられた架設部材と、
前記架設部材に固定されたスプリンクラー等の設備機器とを備えたことを特徴とする天井構造。
【請求項2】
前記凸部を前記天井下地材から離間して設けたことを特徴とする請求項1記載の天井構造。
【請求項3】
天井スラブより垂設された垂設部材に取り付けられた天井側取付具と、
前記天井下地材に取り付けられた下地材側取付具と、
前記天井側取付具と前記下地材側取付具とを連結する連結部材とを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の天井構造。
【請求項4】
前記天井側取付具又は前記下地材側取付具の一方に形成された溝部に、前記連結部材の一方を係止するとともに、
前記天井側取付具又は前記下地材側取付具の他方に備えた環状部に、前記連結部材の他方を係止するものとしたことを特徴とする請求項3記載の天井構造。
【請求項5】
前記天井側取付具に、前記溝部を備えた複数の腕片を備えたことを特徴とする請求項4記載の天井構造。
【請求項6】
天井スラブに取り付けられた天井側取付部と、前記載架部材側に取り付けられた載架部材側取付部と、前記天井側取付部と前記載架部材側取付部とを連結する連結手段とを備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の天井構造。
【請求項7】
一方の前記天井下地材と他方の前記天井下地材を直交させて組み付けた接続部分に取り付けられる接続部分側取付具であって、
前記接続部分側取付具は、前記一方の天井下地材及び前記他方の天井下地材のいずれか一方に固定された一方の固定部と、前記一方の天井下地材及び前記他方の天井下地材のいずれか他方に固定された他方の固定部と、前記載架部材に上方から対向する押さえ部とを備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の天井構造。
【請求項8】
前記押さえ部は、前記押さえ部に設けた螺子孔に上方から螺合され、前記載架部材に上方から当接可能な螺子部材を備えたことを特徴とする請求項7記載の天井構造。
【請求項9】
前記一方の固定部は、前記一方の天井下地材及び前記他方の天井下地材のいずれか一方に係止可能な一方の係止部と、前記一方の係止部を前記一方の天井下地材及び前記他方の天井下地材のいずれか一方に締付固定する一方の締付手段とを備えるとともに、
前記他方の固定部は、前記一方の天井下地材及び前記他方の天井下地材のいずれか他方に係止可能な他方の係止部と、前記他方の係止部を前記一方の天井下地材及び前記他方の天井下地材のいずれか他方に締付固定する他方の締付手段とを備えたことを特徴とする請求項7又は8記載の天井構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate


【公開番号】特開2013−60801(P2013−60801A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−100436(P2012−100436)
【出願日】平成24年4月25日(2012.4.25)
【出願人】(595165726)株式会社内山産業 (17)
【出願人】(509045450)