説明

天気表示システム

【課題】従来の天気表示システムは、ビル周辺の現在の天気情報を表示することを目的とし、今後の天気情報を予想することは出来なかった。
【解決手段】エレベーターのかご内にカメラを設置しこのカメラが撮影した画像によって雨具を所持している人を検出する画像処理手段、この画像処理手段が検出した検出結果にもとづきエレベーターが設置されたビル周辺の現在及び今後の天気情報を作成する情報処理手段、及びこの情報処理手段より作成した天気情報を表示する表示手段を備え、表示手段にもとづきビル内の所定箇所でビル周辺の現在及び今後の天気情報を表示するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マンション、デパート、オフィスビルのいわゆるビル内に設置されたエレベーターにて取得した画像データにもとづき、現在及び今後の天気情報を作成しこの天気情報をビル内で表示する天気表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術としては、例えば特許文献1のように、降雨、降雪等の天気情報を得る複数のセンサをビルの屋上等に設け、それらによって得られた天気情報を処理して、ビル内の適所に設けられた天気表示手段に、現在の天気を表示するように構成したものが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平10―206559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の天気表示システムは、ビル周辺の現在の天気情報を表示することを目的とし、今後の天気情報を予想することは出来なかった。
この発明は、この点を補い天気情報サービスの向上を図ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明に係わる天気表示システムは、エレベーターのかご内にカメラを設置しこのカメラが撮影した画像によって雨具を所持している人を検出する画像処理手段、この画像処理手段が検出した上記検出結果にもとづき上記エレベーターが設置されたビル周辺の現在及び今後の天気情報を作成する情報処理手段、及びこの情報処理手段により作成した上記天気情報を表示する表示手段を備え、上記表示手段にもとづきビル内の所定箇所で上記天気情報を表示するものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明の天気表示システムによれば、エレベーターのかご内を撮影した画像に雨具(傘)が含まれているか否かを判断し、判断した結果をエレベーター保守管理会社に通知し、エレベーター保守管理会社から送信される現在の天気情報を表示手段に表示すると共に、エレベーター保守管理会社では、通知された情報にもとづき作成した現在の天気情報を表示手段へ通知するよう構成したため、外の天気を知ることが困難であるビル内において、ビルの利用者にビル周辺や隣接地域の天気情報をリアルタイムに表示することができる効果がある。
又、エレベーター保守管理会社では、エレベーターより通知された情報にもとづき作成した今後の天気情報をビル側へ通知し、ビル内で今後の天気情報も表示することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面にもとづいて、この発明の各実施の形態を説明する。
なお、各図間において、同一符号は同一あるいは相当部分を示す。
【0008】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1である天気表示システムの構成全体を示す図で、この実施の形態1では、エレベーターのかご内を撮影した画像に雨具(傘)が含まれているか否かを判断(検出)し、判断(検出)した結果をエレベーター保守管理会杜に通知し、エレベーター保守管理会杜では上記判断(検出)結果にもとづき現在の天気情報を作成すると共にこの天気情報を上記ビル側へ送信し、ビル側では通知された上記天気情報を受信し、ビル内の適所でこの天気情報を表示するものである。
【0009】
図1において、1a〜1jは、各地域(図1では地域A〜地域E)に存在するマンション、デパート、オフィスビルなどのいわゆるビルで、ビル内にはエレベーター2a〜2j、エスカレーター(図示せず)が設置されたものである。各ビル内の管理センタ(図示せず)は、エレベーターの保守管理会社Mとインターネット回線3を介し接続され、保守管理会社Mに設置された情報処理装置(パーソナルコンピュータ)4と後述するように天気情報表示のための通信が行われる。なお、以下の説明に記述する地域A〜地域Eの位置関係は、地域Aと地域Bが隣接しており、地域Aと地域C〜Eは非隣接の関係にあるものとする。
図2は、ビル1(1a〜1j)の概要構成を示す説明図である。
図2において、10は、エレベーター2(2a〜2j)のかご内に設置されたネットワークカメラで、例えば、被写体像からイメージ信号を生成し、所定の被写体を形成認識してレリーズ動作をスタートするものである(例えば特開2001−45426号参照)。
11は、制御ケーブル、12は、イーサーネットケーブル(イーサーネット規格を満たしたケーブル)、13は、各ビル内にあるビル管理センタに設置された画像処理装置(パーソナルコンピュータ)で、後述する2つのプログラム(図3、図7参照)を有している。14a〜14dは、各種情報の表示装置(表示手段)で、エレベーターの乗場、エレベーターのかご内部、及びエスカレータの走行部(取付け斜面)の少なくともいずれかの箇所に設けられ、以下この実施例では天気関係の情報についてのみ説明する。
なお、ネットワークカメラ10は、ネットワークインタフェースと、監視地点の映像を撮影する機能と、撮影した画像データをデジタル変換するデジタル変換機能と、デジタル画像を圧縮するデジタル圧縮機能とを有している。画像データの圧縮処理の一例として、JPEG(Joint Photographic Experts Group)があげられる。また前記ネットワークインタフェースの一例として、イーサーネット規格を満たしたインタフェースがあげられる。なお又、イーサーネットとは「IEEE802.3委員会」によって標準化されたLAN(LocalArea Network)に関する規格である。
【0010】
次にネットワークカメラ10の動作について説明する(例えば特開2002−122934号参照)。
ネットワークカメラ10は、撮影した画像データにJPEG符号化方式を用いてデジタル化を施し、ネットワークインタフェースを介し、デジタル化した画像データを外部へ出力する。デジタル化した画像データを外部へ出力する周期は、30フレーム/秒とする。
デジタル化した画像データは、エレベーターの制御ケーブル11とイーサーネットケーブル12を介して、画像処理装置(画像処理手段)13へ送信される。
【0011】
次に画像処理装置13の動作について説明する(例えば特開2001−45426号参照)。
この画像処理装置13上では、2つのプログラムが存在し、互いに独立して動作している。
ここでは、図3に示された1つ目のプログラム(雨具の検出処理動作)について説明する。
まず、S10では、各種カウンタをゼロに初期化する。次に、S11にて、デジタル化した画像データを、画像処理装置13にあるネットワークインタフェースを介して取り込むと共に、フレームカウンタの値を1増加する。すなわち、デジタル化した画像データは、30フレーム/秒にて受信されるため、フレームカウントは1/30秒毎に1増加することとなる。
次に、取り込んだデジタル化した画像データの中に雨具(傘)が含まれているか否かを検出する(S12)。
S12により、画像データの中に雨具(傘)を検出した場合のみ、検出カウンタを1増加する(S14)。
S15では、フレームカウンタにもとづき単位時間を計測し、単位時間に満たない場合はS11へ、満たした場合はS16へ進む。例えば単位時間が10分であるとすると、フレームカウンタが18000(30フレーム*600秒)であるか否かが判断基準となる。
S16では、検出カウンタと閾値との比較を行い、検出カウンタが閾値を上回る場合は、ビルの周辺では降雨の可能性が高いと判断し、予めエレベーターの保守管理会社が割り当てたビルのID番号と共に“1”を送信する(S17)。
一方、前記条件を満たさない場合は、ビルの周辺では降雨の可能性は低いと判断し、ビルのID番号と共に“0”を送信する(S18)。
【0012】
次に、エレベーター保守管理会社に設置された情報処理装置(情報処理手段)4の動作について、図4のフローを用いて説明する。
情報処理装置4は、各ビル管理センタに設置された画像処理装置13から、インターネット回線3を介して送信されたビルIDと検出結果を受信(S21)した後、受信したビルIDと検出結果にもとづき図5に示す集計ファイルを更新する(S22)。
なお、図5に示す集計ファイルは、ビルID(00017〜0014)と降雨の検出結果(0又は1)と地域名(A〜E)からなるものである。
地域名については、予めエレベーター保守管理会社が割り当てたビルIDより割り出し可能なものとする(図示せず)。
S23では、S22にて更新した集計ファイル(図5)を用いて地域毎(A〜E)に降雨の検出結果をまとめ、降雨の検出結果が“1”であるビルID数が、全体のビルID数の2/3を超えた場合は、該地域では降雨状態であると判断する一方、上記条件を満たさない場合は、該地域では非降雨状態であると判断し、図6に示す天気情報ファイルに判断結果(0又は1)を記載する。
【0013】
図6は天気情報ファイルの一例を示し、この天気情報ファイルは、図5に示した集計ファイルをもとにして作成したものである。
すなわち、地域Aについては、ビルID0001、0004、0005、0009が含まれ、その中で降雨の検出結果“1”が3件であるのに対し、降雨の検出結果“0”が1件であるため、降雨の判断結果は降雨を示す“1”となる。地域B〜地域Eについても同様に判断すると、各地域とも、非降雨を示す“0”となる。
S24では、天気情報ファイルと各地域の位置関係にもとづき、天気情報を作成すると共に、各ビルへ天気情報を送信する。
【0014】
天気情報の作成方法については、例えば、
(1)降雨と判断した地域(図6に示す天気情報では地域Aが該当)については、“只今雨が降っております。”、
(2)降雨と判断した地域に隣接する地域(図6に示す天気情報では地域Bが該当)については、“地域Aでは、只今雨が降っております。”、
(3)上記以外の地域(図6に示す天気情報では地域C〜地域Eが該当)については、
“ ”(空文)とする。
【0015】
続いて、ビル内にあるビル管理センタに設置された画像処理装置13上にて動作する2つ目のプログラム(表示装置への表示動作)について、図7を用いて説明する。
画像処理装置13は、インターネット回線を介して送信された天気情報を受信した後(S31)、画像処理装置13に接続している全ての表示装置14a〜14dへ送信する(S32)。
表示装置14a〜14dは、受信した天気情報を表示する。
【0016】
なお、表示装置14a〜14dがスピーカー機能を有する場合、表示装置14a〜14dに予め数種類の音声データを準備しておけば、表示装置14a〜14dが受信したメッセージにもとづき、スピーカーを通じて音声情報を変えることにより、音声情報によりビルの利用者に天気情報を知らせることも考えられる。
この場合、ビルの利用者が視覚障害者の場合においても、ビル周辺や隣接地域の天気情報をリアルタイムに伝えることができる効果がある。
また、上記“雨が降っております”の部分を絵文字にて表示しても同様の効果が得られる
ことは明らかである。
【0017】
実施の形態2.
実施の形態2では、ビル周辺の今後の天気情報、すなわち事前に天気情報を予想(天気予報)すると共にこの予想した天気情報をビル内において表示するようにしたものである。
図8は、この発明の実施の形態2の情報処理装置4のフロー図である。
実施の形態2における情報処理装置4は、画像処理装置13から通知された情報にもとづき作成した今後の天気情報を表示装置14a〜14dへ通知し、且つ表示するものである。なお、ビル内における動作については、実施の形態1で記した内容と同様であるため、説明を省略する。
図8において、S41はS21と、S42はS22と動作が同様であるため説明を省略する。
S43では、S23にて説明した内容に加え、天気ファイルを作成した日時情報を天気情報ファイルに記載すると共に、作成した天気情報ファイル(図9)を情報処理装置4のハードディスク上に蓄積する。
【0018】
S44では、S43にて蓄積した複数の天気情報ファイルにもとづき、各地域を下記4種類に分類する。
(1)現在は非降雨であるが、今後降雨となることが予想される地域:3
(2)引き続き降雨となることが予想される地域 :2
(3)現在は降雨であるが、今後非降雨となることが予想される地域:1
(4)引き続き非降雨となることが予想される地域 :0
【0019】
例えば、図9に示す天気情報ファイルが、情報処理装置4のハードディスク上に蓄積されている場合、
(1)地域Aは、19時10分以降において降雨が止んだと判断できるので、“0”、
(2)地域Bについては、今後降雨が止むことが予想されるので“1”、
(3)地域Cについては、今後も降雨が続くと予想されるので“2”、
(4)地域Dは今後降雨となることが予想されるので“3”、
(5)地域Eは、今後も暫く非降雨であると予想されるので“0”、
と分類することができる。
そして、次のとおり送信する。すなわち、
(1)“3”と分類した地域(図9の例では地域D)については“しばらくすると雨が降ってまいります。”、
(2)“2”と分類した地域(図9の例では地域C)については、“しばらく雨が降り続けます。”、
(3)“1”と分類した地域(図9の例では地域B)については、“まもなく雨が降り止みます。”、
(4)“0”と分類した地域(図9の例では地域Aと地域E)については、“ ”(空文)、を送信する。
【0020】
このように、この実施の形態2では、エレベーター保守管理会社では、通知された情報にもとづき作成した今後の天気情報をビル側の表示装置へ通知するよう構成したため、外の天気を知ることが困難であるビル内において、ビルの利用者にビル周辺の現在の天気情報だけでなく、今後の天気情報をも表示することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施の形態1におけるシステム構成全体を示す図である。
【図2】ビル1a〜1j内の概要構成を示す説明図である。
【図3】画像処理装置で動作する1つ目のプログラムの動作を示すフローである。
【図4】情報処理装置の動作を示すフローである。
【図5】集計ファイルの一例を示す図表である。
【図6】天気情報ファイルの一例を示す図表である。
【図7】画像処理装置で動作する2つ目のプログラムの動作を示すフローである。
【図8】この発明の実施の形態2における情報処理装置4のフロー図である。
【図9】時間毎の天気情報ファイルの一例を示す図表である。
【符号の説明】
【0022】
1a〜1j マンション、デパート、オフィスなどのビル
2a〜2j エレベーター
3 インターネット回線
4 情報処理装置(情報処理手段)
10 ネットワークカメラ
11 制御ケーブル
12 イーサーネットケーブル
13 画像処理装置(画像処理手段)
14a〜14d 表示装置(表示手段)
M エレベーター保守管理会社

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのかご内にカメラを設置しこのカメラが撮影した画像によって雨具を所持している人を検出する画像処理手段、
この画像処理手段が検出した上記検出結果にもとづき上記エレベーターが設置されたビル周辺の現在及び今後の天気情報を作成する情報処理手段、
及びこの情報処理手段により作成した上記天気情報を表示する表示手段を備え、
上記表示手段にもとづきビル内の所定箇所で上記天気情報を表示することを特徴とする天気表示システム。
【請求項2】
エレベーターのかご内を撮影するカメラ、このカメラが撮影した画像によって雨具を所持している人を検出すると共にこの検出結果を上記エレベーターが設置されたビル側からエレベーター保守管理会社側へ通知する画像処理装置、上記エレベーター保守管理会社に設けられ上記検出結果にもとづき天気情報を作成すると共にこの天気情報を上記ビル側へ送信する情報処理装置、及びこの情報処理装置から通知された上記天気情報を受信し表示する表示装置を備え、上記表示装置を上記ビル内の所定箇所に設けることを特徴とする天気表示装置。
【請求項3】
上記天気情報は、現在の天気情報であることを特徴とする請求項2記載の天気表示装置。
【請求項4】
上記天気情報は、今後の天気情報であることを特徴とする請求項2記載の天気表示装置。
【請求項5】
上記表示装置は、エレベーターの乗場、エレベーターのかご内部、及びエスカレータの走行部の少なくともいずれかの箇所に設けられることを特徴とする請求項2記載の天気表示装置。
【請求項6】
上記表示装置は、スピーカーを備え、上記天気情報を文字、絵柄による表示に加え音により報知することを特徴とする請求項2記載の天気表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−10395(P2007−10395A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189361(P2005−189361)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)