説明

太陽光捕集効率を向上させるための、感圧接着剤層を含む波長変換膜

【課題】太陽電池デバイスに波長変換膜を適用するのに特殊な器具セットを必要とせず、複雑で高価な技術を使用しない波長変換膜を提供する。
【解決手段】波長変換膜10は、保護層100と、波長変換層101と、接着剤層102と、除去可能なライナー103とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2011年10月5日に出願された米国仮特許出願第61/543,744号、2012年6月21日に出願された米国仮特許出願第61/622,865号に対する優先権の利益を請求する。これらの出願は全て、あらゆる目的のために、参考により本明細書に完全に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、接着剤層を用い、太陽電池、ソーラーパネルまたは光起電デバイスに適用するのが簡単な波長変換膜に関する。この波長変換を用いて、これらの種類のデバイスの太陽光捕集収率を改善することができる。
【背景技術】
【0003】
太陽エネルギーの利用は、従来の化石燃料に替わる有望なエネルギー源を与えるため、近年、太陽エネルギーを電気に変換することができるデバイス、例えば、光起電デバイス(太陽電池としても知られる)の開発への関心が顕著に高まってきている。いくつかの異なる種類の成熟した光起電デバイスが開発されてきており、数例を挙げると、シリコン系デバイス、III−V型およびII−VI型のPN接合デバイス、銅−インジウム−ガリウム−セレン(CIGS)薄膜デバイス、有機増感剤デバイス、有機薄膜デバイス、ならびに硫化カドミウム/テルル化カドミウム(CdS/CdTe)薄膜デバイスがある。これらのデバイスのさらなる詳細は、例えば非特許文献1などの文献中に見いだすことができる。しかし、これらのデバイスの多くは、光電変換効率を改善する余地があり、この効率を改善する技術の開発は、多くの研究者にとって依然として課題である。
【0004】
近年、光起電デバイスの効率を改善するために開発された技術として、波長をダウンシフトする膜を利用する技術がある。多くの光起電デバイスは、光の全スペクトルを効率よく利用することができない。なぜなら、このデバイスの材料は、特定の波長の光(典型的には、短波長側のUV波長)が、光が電気に変換される光伝導性材料層に向かって通過せずに、この光を吸収してしまうからである。波長をダウンシフトする膜を適用すると、より短い波長の光子を吸収し、より好ましいより長い波長で光子を再放出し、次いで、この光子をデバイスの光伝導性層によって吸収し、電気に変換することができる。
【0005】
この現象は、ウインドウ層としてCdSを使用する薄膜CdS/CdTe太陽電池およびCIGS太陽電池で観察されることが多い。これらの薄膜太陽電池は、低コストであり、効率が高く、近年非常に関心が高まってきており、典型的な市販の電池は、光電変換効率が10〜16%である。しかし、これらのデバイスの課題は、CdSのエネルギーギャップが約2.41eVであり、514nm未満の波長の光が、光をエネルギーに変換することができる光伝導性層を通らずに、CdSによって吸収されてしまうことである。光の全スペクトルを効率よく利用することができないため、デバイスの全体的な光電変換効率が低下する。
【0006】
光起電デバイスの性能を改善するために、波長をダウンシフトする材料の利用を開示する多くの報告がされている。例えば、特許文献1には、波長をダウンシフトする無機リン材料を含有するシリコン系太陽電池が開示されている。特許文献2には、プラズモン層と、波長変換層と、光起電層とを含む一体型太陽電池が開示されている。特許文献3には、量子ドット化合物を含有する波長変換層を含む太陽電池が開示されている。特許文献4には、発光をダウンシフトする材料を含有する一体型光起電デバイスが開示されているが、例となる実施形態は構築されていなかった。特許文献5には、波長をダウンシフトする光輝性媒体を含有する薄膜太陽電池が開示されているが、例は与えられていない。特許文献6には、無機蛍光粉末を含む薄膜ポリマーの形態で作られた改良型スペクトル変換膜が開示されている。しかし、これらの特許および特許出願公開は、それぞれ、その全体が参考により本明細書に組み込まれているが、長い時間がかかり、また、時には、太陽電池デバイスに波長変換膜を適用するのに特殊な器具セットを必要とする可能性がある複雑で高価な技術を使用することがある。これらの技術には、スピンコーティング、ドロップキャスティング、沈降、溶媒蒸発、化学蒸着、物理蒸着などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0151785号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0011455号明細書
【特許文献3】米国特許第7,791,157号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2010/0294339号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2010/0012183号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2008/0236667号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Linら、High Photoelectric Efficiency of Metal Phthalocyanine/Fullerene Heterojunction Photovoltaic Device、International Journal of Molecular Sciences 2011
【発明の概要】
【0009】
本発明のある実施形態は、波長変換層と接着剤層とを含む波長変換膜を提供する。ある実施形態では、波長変換層は、ポリマーマトリックスと、少なくとも1つの光安定性発色団とを含む。ある実施形態では、接着剤層は、感圧接着剤を含む。
【0010】
本発明のある実施形態は、太陽エネルギー変換デバイスの性能を改善する方法を含む。ある実施形態では、太陽エネルギー変換デバイスの性能を改善する方法は、太陽エネルギー変換デバイスに波長変換膜を適用することと、太陽エネルギー変換デバイスの表面の光入射部分に接着剤層を接着することとを含む。
【0011】
本発明のある実施形態は、波長変換膜を形成する方法を含む。ある実施形態では、波長変換膜を形成することは、波長変換層を形成する工程と、保護層を形成する工程と、波長変換層の上に直接保護層を積層する工程と、波長変換層上の、保護層とは反対側の表面に、除去可能なライナーを含む接着剤層を積層する工程とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、保護層と、波長変換層と、接着剤層と、除去可能なライナーとを含む波長変換膜の一実施形態を示す。
【図2】図2は、波長変換層と、接着剤層と、除去可能なライナーとを含む波長変換膜の一実施形態を示す。
【図3】図3A、3Bおよび3Cは、波長変換膜がソーラーモジュールに適用されている一実施形態を示す。
【図4】図4は、ロールラミネーターを用い、剛性ソーラーパネル上に波長変換膜を適用する一実施形態を示す。
【図5】図5は、ロールラミネーターを用い、柔軟なソーラーパネル上に波長変換膜を適用する一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、太陽エネルギー変換デバイス(例えば、太陽電池、ソーラーパネル、光起電デバイスなど)の光入射面に適用すると、光電変換効率が向上する波長変換膜に関する。本発明者らは、驚くべきことに、波長変換層と、接着剤層と、場合により、保護層と、場合により、除去可能なライナー層とを利用して波長変換膜を構築することができ、存在する場合には、除去可能なライナー層を除去し、太陽電池の光入射面に接着剤層を押しつけることによって、波長変換膜を太陽電池に簡単に適用することができることを発見した。感圧接着剤型の膜を適用することで、太陽電池デバイスの太陽光捕集効率が向上する。感圧接着剤型の膜は、シリコン系デバイス、III−V型およびII−VI型のPN接合デバイス、CIGS薄膜デバイス、有機増感剤デバイス、有機薄膜デバイス、CdS/CdTe薄膜デバイス、染料増感デバイスなどを含めたあらゆる種々の型の太陽電池およびソーラーパネルに適合可能であるように構築することができる。アモルファスシリコン太陽電池、微結晶性シリコン太陽電池、および結晶性シリコン太陽電池などのデバイスも改善することができる。さらに、新しいデバイス、またはすでに使用中の古いデバイスにこの膜を適用することができ、必要な場合、デバイスに適合するように切断することができる。
【0014】
ある実施形態では、波長変換膜の波長変換層は、少なくとも1つの発色団と、ポリマーマトリックスとを含む。発色団化合物は、発光染料または蛍光染料とも呼ばれ、特定の波長または波長範囲の光子を吸収し、異なる波長または波長範囲の光子を再放出する化合物である。膜媒体で使用される発色団は、太陽電池および光起電デバイスの性能を大きく向上させることができる。しかし、このようなデバイスは、長期間(例えば、20数年)、厳しい環境条件にさらされることが多い。この場合、長期間にわたって発色団の安定性を維持することが重要である。ある実施形態では、長期間、例えば、1sun(AM1.5G)照射下で2万数時間光をあて、分解が10%未満の良好な光安定性を有する発色団化合物を、本明細書に記載の波長変換膜に用いるのが好ましい。
【0015】
ある実施形態では、発色団は、入ってきた光子を第1の波長から異なる第2の波長に変換するように構成されている。さまざまな発色団を使用することができる。ある実施形態では、光安定性発色団は、ペリレン誘導体染料、ベンゾトリアゾール誘導体染料、ベンゾチアジアゾール誘導体染料、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される有機染料である。
【0016】
ある実施形態では、一般式I−a、I−b、II−a、II−b、III−a、III−b、IV、およびVによって表される発色団は、波長変換膜を含む種々の用途において蛍光染料として有用である。上の式で示されるように、染料は、ある実施形態では、ベンゾヘテロ環系を含む。ある実施形態では、ペリレン誘導体染料を使用してもよい。本発明の範囲を限定するものではないが、使用可能な化合物の種類に関するさらなる詳細および例を以下に記載する。
【0017】
本明細書で使用する場合、「電子供与基」は、2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール系の電子密度を増加させる任意の基であると定義される。
【0018】
「電子供与リンカー」は、2個の2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール系を接続し、π軌道を共役させることができる任意の基であると定義され、これにより、接続した2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾールの電子密度を増加させるか、または中立な影響を与えることもできる。
【0019】
「電子受容基」は、2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール系の電子密度を減少させる任意の基であると定義される。電子受容基の位置は、2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール環系のN−2位である。
【0020】
用語「アルキル」は、分枝鎖または直鎖の完全に飽和した非環状脂肪族炭化水素基を指す(すなわち、二重結合または三重結合を含まず、炭素および水素で構成される)。アルキルとしては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、三級ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0021】
本明細書で使用される用語「ヘテロアリール」は、単環であるか複数の縮合環であるかにかかわらず、1個以上のヘテロ原子を含む芳香族基を指す。2個以上のヘテロ原子が存在する場合、ヘテロ原子は同じであってもよく、異なっていてもよい。縮合環系では、1個以上のヘテロ原子が、環の1個のみに存在していてもよい。ヘテロアリール基の例としては、限定されないが、ベンゾチアジル、ベンゾオキサジル、キナゾリニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ピリジニル、ピロリル、オキサゾリル、インドリル、チアジルなどが挙げられる。
【0022】
本明細書で使用される用語「シクロアルキル」は、3個〜20個の炭素原子を含む飽和脂肪族環系基を指し、限定されないが、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。
【0023】
本明細書で使用される用語「アルケニル」は、炭素二重結合を含有する2〜20個の炭素原子を含む一価の直鎖または分枝鎖の基を指し、限定されないが、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニルなどが挙げられる。
【0024】
本明細書で使用される用語「アルキニル」は、炭素三重結合を含有する2〜20個の炭素原子を含む一価の直鎖または分枝鎖の基を指し、限定されないが、1−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニルなどが挙げられる。
【0025】
本明細書で使用される用語「アリール」は、単環であるか複数の縮合環であるかにかかわらず、単素環芳香族基を指す。アリール基の例としては、限定されないが、フェニル、ナフチル、フェナントレニル、ナフタセニル、フルオレニル、ピレニルなどが挙げられる。さらなる例としては、以下のものが挙げられる。
【化1】

【0026】
本明細書で使用される用語「ヘテロアリール」は、単環であるか複数の縮合環であるかにかかわらず、1個以上のヘテロ原子を含む芳香族基を指す。2個以上のヘテロ原子が存在する場合、ヘテロ原子は同じであってもよく、異なっていてもよい。縮合環系では、1個以上のヘテロ原子が、環の1個のみに存在していてもよい。ヘテロアリール基の例としては、限定されないが、ベンゾチアジル、ベンゾオキサジル、キナゾリニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ピリジニル、ピロリル、オキサゾリル、インドリル、チアジルなどが挙げられる。
【0027】
本明細書で使用される用語「アルカリール」または「アルキルアリール」は、アルキル置換されたアリール基を指す。アルカリールの例としては、限定されないが、エチルフェニル、9,9−ジヘキシル−9H−フルオレンなどが挙げられる。
【0028】
本明細書で使用される用語「アラルキル」または「アリールアルキル」は、アリール置換されたアルキル基を指す。アラルキルの例としては、限定されないが、フェニルプロピル、フェニルエチルなどが挙げられる。
【0029】
本明細書で使用される用語「ヘテロアリール」は、単環であるか複数の縮合環であるかにかかわらず、1個以上の環原子がヘテロ原子である芳香族環系基を指す。2個以上のヘテロ原子が存在する場合、ヘテロ原子は同じであってもよく、異なっていてもよい。縮合環系では、1個以上のヘテロ原子が、環の1個のみに存在していてもよい。ヘテロアリール基の例としては、限定されないが、ベンゾチアジル、ベンゾオキサジル、キナゾリニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、オキサゾリル、インドリル、チアジルなどが挙げられる。置換および非置換のヘテロアリール環のさらなる例としては、以下のものが挙げられる。
【化2】

【0030】
本明細書で使用される用語「アルコキシ」は、−O−結合を介して親分子に共有結合した直鎖または分枝鎖のアルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシなどが挙げられる。
【0031】
本明細書で使用される用語「ヘテロ原子」は、S(硫黄)、N(窒素)、O(酸素)を指す。
【0032】
本明細書で使用される用語「環状アミノ」は、環状部分にある二級アミンまたは三級アミンのいずれかを指す。環状アミノ基の例としては、限定されないが、アジリジニル、ピペリジニル、N−メチルピペリジニルなどが挙げられる。
【0033】
本明細書で使用される用語「環状イミド」は、イミド基の2個のカルボニル炭素が炭素鎖によって接続しているようなイミドを指す。環状イミド基の例としては、限定されないが、1,8−ナフタルイミド、ピロリジン−2,5−ジオン、1H−ピロール−2,5−ジオンなどが挙げられる。
【0034】
本明細書で使用される用語「アリールオキシ」は、−O−結合を介して親分子に共有結合したアリール基を指す。
【0035】
本明細書で使用される用語「アシルオキシ」は、R−C(=O)O−基を指す。
【0036】
本明細書で使用される用語「カルバモイル」は、NHC(=O)Rを指す。
【0037】
本明細書で使用される用語「ケト」および「カルボニル」は、C=Oを指す。
【0038】
本明細書で使用される用語「カルボキシ」は、−COOHを指す。
【0039】
本明細書で使用される用語「エステル」は、C(=O)Oを指す。
【0040】
本明細書で使用される用語「アミド」は、NRC(=O)R’を指す。
【0041】
本明細書で使用される用語「アミノ」は、−NR’R”を指す。
【0042】
本明細書で使用する場合、置換された基は、置換されていない親構造から誘導され、1個以上の水素原子が別の原子または基と交換されている。置換される場合、置換された基は、個々に独立して、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル(ハロ、アルキル、アルコキシ、カルボキシル、ハロアルキル、CN、−SO−アルキル、−CF、−OCFで場合により置換された)、ジェミナル結合したシクロアルキル、C〜Cヘテロアルキル、C〜C10ヘテロシクロアルキル(例えば、テトラヒドロフリル)(ハロ、アルキル、アルコキシ、カルボキシル、CN、−SO−アルキル、−CF、−OCFで場合により置換された)、アリール(ハロ、アルキル、C〜Cアルキルで場合により置換されたアリール、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシル、アミノ、イミド、アミド(カルバモイル)、場合により置換された環状イミド、環状アミド、CN、−NH−C(=O)−アルキル、−CF、−OCFで場合により置換された)、アリールアルキル(ハロ、アルキル、アルコキシ、アリール、カルボキシル、CN、−SO−アルキル、−CF、−OCFで場合により置換された)、ヘテロアリール(ハロ、アルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、カルボキシル、CN、−SO−アルキル、−CF、−OCFで場合により置換された)、ハロ(例えば、クロロ、ブロモ、ヨード、フルオロ)、シアノ、ヒドロキシ、場合により置換された環状イミド、アミノ、イミド、アミド、−CF、C〜Cアルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、スルフヒドリル(メルカプト)、ハロ(C〜C)アルキル、C〜Cアルキルチオ、アリールチオ、モノ−およびジ−(C〜C)アルキルアミノ、四級アンモニウム塩、アミノ(C〜C)アルコキシ、ヒドロキシ(C〜C)アルキルアミノ、アミノ(C〜C)アルキルチオ、シアノアミノ、ニトロ、カルバモイル、ケト(オキシ)、カルボニル、カルボキシ、グリコリル、グリシル、ヒドラジノ、グアニル、スルファミル、スルホニル、スルフィニル、チオカルボニル、チオカルボキシ、スルホンアミド、エステル、C−アミド、N−アミド、N−カルバメート、O−カルバメート、尿素、およびこれらの組み合わせから選択される1つ以上の基である。ある置換基が「場合により置換された」と記載されている場合はいつでも、その置換基は、上述の置換基で置換されていてもよい。
【0043】
(式I−aおよび式I−b)
ある実施形態は、以下の構造のいずれかを有する発色団を提供し、
【化3】

式中、DおよびDは、電子を供与する基であり、Lは、電子供与リンカーであり、AおよびAは、電子受容基である。ある実施形態では、2個以上の電子供与基が存在する場合、他方の電子供与基は、別の電子供与部、水素原子または別の中性置換基によって占められていてもよい。ある実施形態では、D、D、Lのうち、少なくとも1つは、結合した2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール系の電子密度を増加させる基である。
【0044】
式I−aおよびI−bでは、iは、0〜100の範囲内にある整数である。ある実施形態では、iは、0〜50、0〜30、0〜10、0〜5、または0〜3の範囲内にある整数である。ある実施形態では、iは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0045】
式I−aおよびI−bでは、AおよびAは、それぞれ独立して、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアルケニル、場合により置換されたヘテロアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロアリール、場合により置換されたアミノ、場合により置換されたアミド、場合により置換された環状アミド、場合により置換された環状イミド、場合により置換されたアルコキシ、場合により置換されたカルボキシ、および場合により置換されたカルボニルからなる群から選択される。
【0046】
ある実施形態では、AおよびAは、それぞれ独立して、場合により置換されたヘテロアリール、場合により置換されたアリール、場合により置換された環状イミド、場合により置換されたC1〜8アルキル、および場合により置換されたC1〜8アルケニルからなる群から選択され、場合により置換されたヘテロアリールの置換基は、アルキル、アリール、およびハロゲンからなる群から選択され、場合により置換されたアリールの置換基は、−NR−C(=O)Rまたは場合により置換された環状イミドであり、RおよびRは、上述のとおりである。
【0047】
ある実施形態では、AおよびAは、それぞれ独立して、NR−C(=O)Rおよび場合により置換された環状イミドからなる群から選択される部分で置換されたフェニルであり、RおよびRは、上述のとおりである。
【0048】
ある実施形態では、AおよびAは、それぞれ、場合により置換されたヘテロアリールまたは場合により置換された環状イミドであり、場合により置換されたヘテロアリールおよび場合により置換された環状イミドの置換基は、アルキル、アリール、およびハロゲンからなる群から選択される。ある実施形態では、AおよびAのうち、少なくとも1つは、場合により置換されたピリジニル、場合により置換されたピリダジニル、場合により置換されたピリミジニル、場合により置換されたピラジニル、場合により置換されたトリアジニル、場合により置換されたキノリニル、場合により置換されたイソキノリニル、場合により置換されたキナゾリニル、場合により置換されたフタラジニル、場合により置換されたキノキサリニル、場合により置換されたナフチリジニル、および場合により置換されたプリニルからなる群から選択される。
【0049】
他の実施形態では、AおよびAは、それぞれ、場合により置換されたアルキルである。他の実施形態では、AおよびAは、それぞれ、場合により置換されたアルケニルである。ある実施形態では、AおよびAのうち、少なくとも1つは、
【化4】

、および
【化5】

からなる群から選択され、Rは、場合により置換されたアルキルである。
【0050】
式I−aおよびI−bでは、Aは、場合により置換された置換アルキレン、場合により置換されたアルケニレン、場合により置換されたアリーレン、場合により置換されたヘテロアリーレン、ケトン、エステル、および
【化6】

からなる群から選択され、Arは、場合により置換されたアリールまたは場合により置換されたヘテロアリールである。Rは、H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルカリールからなる群から選択され;Rは、場合により置換されたアルキレン、場合により置換されたアルケニレン、場合により置換されたアリーレン、場合により置換されたヘテロアリーレン、ケトン、およびエステルからなる群から選択されるか;または、RとRとが一緒に接続されて環を形成していてもよい。
【0051】
ある実施形態では、Aは、場合により置換されたアリーレン、場合により置換されたヘテロアリーレン、および
【化7】

からなる群から選択され、Ar、RおよびRは、上述のとおりである。
【0052】
式I−aおよびI−bでは、DおよびDは、それぞれ独立して、水素、場合により置換されたアルコキシ、場合により置換されたアリールオキシ、場合により置換されたアシルオキシ、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロアリール、場合により置換されたアミノ、アミド、環状アミド、および環状イミドからなる群から選択され、但し、DおよびDは両方ともが水素ではない。
【0053】
ある実施形態では、DおよびDは、それぞれ独立して、水素、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロアリール、およびアミノからなる群から選択され、但し、DおよびDは両方ともが水素ではない。ある実施形態では、DおよびDは、それぞれ独立して、水素、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロアリール、およびジフェニルアミノからなる群から選択され、但し、DおよびDは両方ともが水素ではない。
【0054】
ある実施形態では、DおよびDは、それぞれ独立して、場合により置換されたアリールである。ある実施形態では、DおよびDは、それぞれ独立して、アルコキシまたはアミノで場合により置換されたフェニルである。他の実施形態では、DおよびDは、それぞれ独立して、水素、場合により置換されたベンゾフラニル、場合により置換されたチオフェニル、場合により置換されたフラニル、ジヒドロチエノジオキシニル、場合により置換されたベンゾチオフェニル、および場合により置換されたジベンゾチオフェニルから選択され、但し、DおよびDは両方ともが水素ではない。
【0055】
ある実施形態では、場合により置換されたアリールおよび場合により置換されたヘテロアリールの置換基は、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、ヘテロアリール、およびアミノからなる群から選択されてもよい。
【0056】
式I−aおよびI−bでは、Lは、それぞれ独立して、場合により置換されたアルキレン、場合により置換されたアルケニレン、場合により置換されたアルキニレン、場合により置換されたアリーレン、場合により置換されたヘテロアリーレンからなる群から選択される。ある実施形態では、Lは、場合により置換されたヘテロアリーレンおよび場合により置換されたアリーレンからなる群から選択される。
【0057】
ある実施形態では、Lの少なくとも1つは、1,2−エチレン、アセチレン、1,4−フェニレン、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、9H−フルオレン−2,7−ジイル、ペリレン−3,9−ジイル、ペリレン−3,10−ジイル、またはピレン−1,6−ジイル、1H−ピロール−2,5−ジイル、フラン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、ベンゾ[c]チオフェン−1,3−ジイル、ジベンゾ[b,d]チオフェン−2,8−ジイル、9H−カルバゾール−3,6−ジイル、9H−カルバゾール−2,7−ジイル、ジベンゾ[b,d]フラン−2,8−ジイル、10H−フェノチアジン−3,7−ジイル、および10H−フェノチアジン−2,8−ジイルからなる群から選択され;各部分は、場合により置換されている。
【0058】
(式II−aおよび式II−b)
ある実施形態は、以下の構造のいずれかを有する発色団を提供し、
【化8】

式中、iは、0〜100の範囲内にある整数である。ある実施形態では、iは、0〜50、0〜30、0〜10、0〜5、または0〜3の範囲内にある整数である。ある実施形態では、iは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0059】
式II−aおよびII−bでは、Arは、場合により置換されたアリールまたは場合により置換されたヘテロアリールである。ある実施形態では、2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール環系のN−2位で、アミド基または環状イミド基で置換されたアリールは、予測できない改善された利益を与える。
【0060】
式II−aおよびII−bでは、Rは、
【化9】

または場合により置換された環状イミドであり;Rは、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルカリールからなる群から選択され;Rは、それぞれ独立して、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアルケニル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロアリールからなる群から選択されるか;または、RとRとが一緒に接続されて環を形成していてもよい。
【0061】
ある実施形態では、Rは、以下からなる群
【化10】

、および
【化11】

から選択される、場合により置換された環状イミドであり;R’は、それぞれ、場合により置換されたアルキルまたは場合により置換されたアリールであり;Xは、場合により置換されたヘテロアルキルである。
【0062】
式II−aおよびII−bでは、Rは、場合により置換されたアルキレン、場合により置換されたアルケニレン、場合により置換されたアリーレン、場合により置換されたヘテロアリーレンからなる群から選択される。
【0063】
式II−aおよびII−bでは、DおよびDは、それぞれ独立して、水素、場合により置換されたアルコキシ、場合により置換されたアリールオキシ、場合により置換されたアシルオキシ、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロアリール、場合により置換されたアミノ、アミド、環状アミド、および環状イミドからなる群から選択され、但し、DおよびDは両方ともが水素ではない。
【0064】
式II−aおよびII−bでは、Lは、独立して、場合により置換されたアルキレン、場合により置換されたアルケニレン、場合により置換されたアルキニレン、場合により置換されたアリーレン、場合により置換されたヘテロアリーレンからなる群から選択される。
【0065】
ある実施形態では、Lの少なくとも1つは、1,2−エチレン、アセチレン、1,4−フェニレン、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、9H−フルオレン−2,7−ジイル、ペリレン−3,9−ジイル、ペリレン−3,10−ジイル、またはピレン−1,6−ジイル、1H−ピロール−2,5−ジイル、フラン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、ベンゾ[c]チオフェン−1,3−ジイル、ジベンゾ[b,d]チオフェン−2,8−ジイル、9H−カルバゾール−3,6−ジイル、9H−カルバゾール−2,7−ジイル、ジベンゾ[b,d]フラン−2,8−ジイル、10H−フェノチアジン−3,7−ジイル、および10H−フェノチアジン−2,8−ジイルからなる群から選択され;各部分は、場合により置換されている。
【0066】
(式III−aおよび式III−b)
ある実施形態は、以下の構造のいずれかを有する発色団を提供する。
【化12】

【0067】
2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール環系のN−2位に式(III−a)および(III−b)のアルキル基を置き換えると、C−4位およびC−7位の置換されたフェニルと合わせて、予測できない改善された利益を与える。式III−aおよびIII−bでは、iは、0〜100の範囲内にある整数である。ある実施形態では、iは、0〜50、0〜30、0〜10、0〜5、または0〜3の範囲内にある整数である。ある実施形態では、iは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0068】
式III−aおよびIII−bでは、AおよびAは、それぞれ独立して、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアルケニル、場合により置換されたヘテロアルキル、場合により置換されたアミド、場合により置換されたアルコキシ、場合により置換されたカルボニル、および場合により置換されたカルボキシからなる群から選択される。
【0069】
ある実施形態では、AおよびAは、それぞれ独立して、非置換アルキルであるか、または、−NRR”、−OR、−COOR、−COR、−CONHR、−CONRR”、ハロ、および−CNからなる群から選択される部分によって置換されたアルキルであり;Rは、C〜C20アルキルであり、R”は、水素またはC〜C20アルキルである。ある実施形態では、場合により置換されたアルキルは、場合により置換されたC〜C40アルキルであってもよい。ある実施形態では、AおよびAは、それぞれ独立して、C〜C40アルキルまたはC〜C20ハロアルキルである。
【0070】
ある実施形態では、AおよびAは、それぞれ独立して、C〜C20ハロアルキル、C〜C40アリールアルキル、またはC〜C20アルケニルである。
【0071】
式III−aおよびIII−bでは、各Rは、独立して、場合により置換されたアルコキシ、場合により置換されたアリールオキシ、場合により置換されたアシルオキシ、およびアミノからなる群から選択される。ある実施形態では、Rは、フェニル環にオルト位および/またはパラ位で接続していてもよい。ある実施形態では、Rは、独立して、C〜C40アルコキシから選択される。
【0072】
式III−aおよびIII−bでは、Aは、場合により置換されたアルキレン、場合により置換されたアルケニレン、場合により置換されたアリーレン、場合により置換されヘテロアリーレン、ケトン、エステル、および
【化13】

からなる群から選択され;Arは、場合により置換されたアリールまたは場合により置換されたヘテロアリールであり;Rは、H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルカリールからなる群から選択され;Rは、場合により置換されたアルキレン、場合により置換されたアルケニレン、場合により置換されたアリーレン、場合により置換されたヘテロアリーレン、ケトン、およびエステルからなる群から選択されるか;または、RとRとが一緒に接続されて環を形成していてもよい。
【0073】
式III−aおよびIII−bでは、Lは、独立して、場合により置換されたアルキレン、場合により置換されたアルケニレン、場合により置換されたアルキニレン、場合により置換されたアリーレン、場合により置換されたヘテロアリーレンからなる群から選択される。
【0074】
ある実施形態では、Lの少なくとも1つは、1,2−エチレン、アセチレン、1,4−フェニレン、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、9H−フルオレン−2,7−ジイル、ペリレン−3,9−ジイル、ペリレン−3,10−ジイル、またはピレン−1,6−ジイル、1H−ピロール−2,5−ジイル、フラン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、ベンゾ[c]チオフェン−1,3−ジイル、ジベンゾ[b,d]チオフェン−2,8−ジイル、9H−カルバゾール−3,6−ジイル、9H−カルバゾール−2,7−ジイル、ジベンゾ[b,d]フラン−2,8−ジイル、10H−フェノチアジン−3,7−ジイル、および10H−フェノチアジン−2,8−ジイルからなる群から選択され;各部分は、場合により置換されている。
【0075】
(式IV)
ある実施形態は、以下の構造のいずれかを有する発色団を提供し、
【化14】

式中、iは、0〜100の範囲内にある整数である。ある実施形態では、iは、0〜50、0〜30、0〜10、0〜5、または0〜3の範囲内にある整数である。ある実施形態では、iは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0076】
式IVでは、ZおよびZは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−Se−、Te−、NR−、−CR=CR−、および−CR=N−からなる群から選択され、Rは、水素、場合により置換されたC〜Cアルキル、または場合により置換されたC〜C10アリールである。
【0077】
式IVでは、DおよびDは、独立して、場合により置換されたアルコキシ、場合により置換されたアリールオキシ、場合により置換されたアシルオキシ、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロアリール、場合により置換されたアミノ、アミド、環状アミド、および環状イミドからなる群から選択され;jは、0、1または2であり、kは、0、1または2である。ある実施形態では、−C(=O)Y基および−C(=O)Y基は、DおよびDについて場合により置換された部分の置換基に接続していてもよい。
【0078】
式IVでは、YおよびYは、独立して、場合により置換されたアリール、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたアルコキシ、および場合により置換されたアミノからなる群から選択される。
【0079】
式IVでは、Lは、独立して、場合により置換されたアルキレン、場合により置換されたアルケニレン、場合により置換されたアルキニレン、場合により置換されたアリーレン、場合により置換されたヘテロアリーレンからなる群から選択される。
【0080】
ある実施形態では、Lの少なくとも1つは、1,2−エチレン、アセチレン、1,4−フェニレン、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、9H−フルオレン−2,7−ジイル、ペリレン−3,9−ジイル、ペリレン−3,10−ジイル、またはピレン−1,6−ジイル、1H−ピロール−2,5−ジイル、フラン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、ベンゾ[c]チオフェン−1,3−ジイル、ジベンゾ[b,d]チオフェン−2,8−ジイル、9H−カルバゾール−3,6−ジイル、9H−カルバゾール−2,7−ジイル、ジベンゾ[b,d]フラン−2,8−ジイル、10H−フェノチアジン−3,7−ジイル、および10H−フェノチアジン−2,8−ジイルからなる群から選択され;各部分は、場合により置換されている。
【0081】
上のいずれかの式のLに関し、電子リンカーは、共役電子系を表し、中性であってもよく、それ自体が電子供与体として機能してもよい。ある実施形態では、以下にいくつかの例を提供しているが、さらに結合した置換基を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
【化15】

【0082】
(式V−aおよび式V−b)
ある実施形態は、以下の一般式(V−a)または一般式(V−b)によって表されるペリレンジエステル誘導体を提供し、
【化16】

式(V−a)のRおよびR’は、それぞれ独立して、水素、C〜C10アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アルコキシアルキル、C〜C18アリール、およびC〜C20アラルキルからなる群から選択され;式(V−a)のmおよびnは、それぞれ独立して、1〜5の範囲内にあり;式(V−b)のRおよびR’は、それぞれ独立して、C〜C18アリールおよびC〜C20アラルキルからなる群から選択される。一実施形態では、式(V−b)のシアノ基の1つがペリレン環の4位に存在する場合、他のシアノ基は、ペリレン環の10位には存在しない。一実施形態では、式(V−b)のシアノ基の1つがペリレン環の10位に存在する場合、他のシアノ基は、ペリレン環の4位には存在しない。
【0083】
一実施形態では、RおよびR’は、独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシアルキル、およびC〜C18アリールからなる群から選択される。一実施形態では、RおよびR’は、それぞれ独立して、イソプロピル、イソブチル、イソヘキシル、イソオクチル、2−エチル−ヘキシル、ジフェニルメチル、トリチル、およびジフェニルからなる群から選択される。一実施形態では、RおよびR’は、独立して、ジフェニルメチル、トリチル、およびジフェニルからなる群から選択される。一実施形態では、式(V−a)のmおよびnは、それぞれ独立して、1〜4の範囲内にある。
【0084】
ある実施形態では、少なくとも1つの光安定性発色団は、波長変換層(または副層)のポリマーマトリックス中に、ポリマーマトリックスの約0.01重量%〜約10重量%の量で存在する。ある実施形態では、少なくとも1つの光安定性発色団は、波長変換層(または副層)のポリマーマトリックス中に、ポリマーマトリックスの約0.01重量%〜約3重量%の量で存在する。ある実施形態では、少なくとも1つの光安定性発色団は、波長変換層(または副層)のポリマーマトリックス中に、ポリマーマトリックスの約0.05重量%〜約2重量%の量で存在する。ある実施形態では、少なくとも1つの光安定性発色団は、波長変換層(または副層)のポリマーマトリックス中に、ポリマーマトリックスの約0.1重量%〜約1重量%の量で存在する。
【0085】
ある実施形態では、波長変換層は、1を超える発色団、例えば、少なくとも2つの異なる光安定性発色団を含む。テープが付着するソーラーモジュールによっては、波長変換層に複数の光安定性発色団があることが望ましい場合がある。例えば、約500nmの波長で最適な光電変換を有するソーラーモジュールシステムでは、このシステムの効率を、他の波長の光子を波長500nmに変換することによって改善することができる。この場合、第1の光安定性発色団が、約400nm〜約450nmの範囲にある波長を有する光子を、約500nmの波長を有する光子に変換するように作用してもよく、第2の光安定性発色団が、約450nm〜約475nmの範囲にある波長を有する光子を、約500nmの波長を有する光子に変換するように作用してもよい。利用する発色団に基づいて、特定の波長制御を選択してもよい。
【0086】
ある実施形態では、同じ層内に、2つ以上の発色団を混合する。ある実施形態では、波長変換膜内の別個の副層に、2つ以上の発色団を配置する。例えば、第1の波長変換副層は、第1の発色団を含んでいてもよく、第2の波長変換副層は、第2の発色団を含んでいてもよい。
【0087】
ある実施形態では、波長変換層に1を超える発色団が存在する場合、発色団の少なくとも1つは、アップコンバージョン発色団である。アップコンバージョン発色団は、低エネルギー(長波長)の光子を高エネルギー(短波長)の光子に変換する発色団である。ある実施形態では、波長変換層に1を超える発色団が存在する場合、発色団の少なくとも1つは、ダウンシフトする発色団である。ダウンシフトする発色団は、高エネルギー(高波長)の光子を低エネルギー(低波長)の光子にシフトさせる発色団である。したがって、波長変換膜は、アップコンバージョン発色団とダウンシフトする発色団とを含んでいてもよい。
【0088】
また、波長変換層を2つ以上の副層に分けてもよく、この場合、波長変換膜が、それぞれ1種類以上の発色団を含む少なくとも2つの層を含むようにする。ある実施形態では、波長変換層は、第1の波長変換副層と、第2の波長変換副層とを含む。ある実施形態では、第1の波長変換副層および第2の波長変換副層は、同じ光安定性発色団を含むか、または異なる光安定性発色団を含む。第1の波長変換副層は、第1の発色団を含んでいてもよく、第2の波長変換副層は、第2の発色団を含んでいてもよい。
【0089】
波長変換層は、好ましくは、ポリマーマトリックスを含む。種々のポリマーを使用することができる。ある実施形態では、波長変換層のポリマーマトリックスは、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニル、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリイミド、アモルファスポリカーボネート、ポリスチレン、シロキサンゾル−ゲル、ポリウレタン、ポリアクリレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む。
【0090】
波長変換層(または波長変換副層、組み合わせ)の厚みは、さまざまであってもよい。ある実施形態では、波長変換層の厚みは、約10μm〜約2mmの範囲内にある。ある実施形態では、波長変換層の厚みは、約25μm〜約1.5mmの範囲内にある。ある実施形態では、波長変換層の厚みは、約50μm〜約1mmの範囲内にある。この厚みは、本明細書の開示内容から導かれるように、既知の膜堆積技術を用い、当業者によって制御可能である。
【0091】
ある実施形態では、波長変換膜は、さらに、波長変換層の中の発色団の安定性を維持するように構成されている保護層を含む。例えば、保護層は、酸素および水分が波長変換層に浸透するのを阻害することができる。ある実施形態では、保護層は、ポリマーマトリックスを含む。ある実施形態では、保護層のポリマーマトリックスは、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニル、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリイミド、アモルファスポリカーボネート、ポリスチレン、シロキサンゾル−ゲル、ポリウレタン、ポリアクリレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む。波長変換層と同様に、保護層の厚みもさまざまであってよい。ある実施形態では、保護層の厚みは、約10μm〜約2mmの範囲内にある。ある実施形態では、保護層の厚みは、約25μm〜約1.5mmの範囲内にある。ある実施形態では、保護層の厚みは、約50μm〜約1mmの範囲内にある。
【0092】
好ましくは、波長変換層、保護層、またはその両方に使用されるポリマーマトリックスは、屈折率が約1.4〜約1.7の範囲内にある。ある実施形態では、波長変換層、保護層、またはその両方に使用されるポリマーマトリックスの屈折率は、約1.45〜約1.55の範囲内にある。
【0093】
接着剤層には、さまざまな種類の接着剤を使用してもよい。好ましくは、接着剤層は、感圧接着剤を含む。感圧接着剤は、永久的であってもよく、非永久的であってもよく、永久的なものと非永久的なものを組み合わせてもよい。好ましくは、感圧接着剤は、太陽電池、ソーラーパネルまたは光起電デバイスの光入射面に適合可能である。このような光入射面は、例えば、ガラスまたはポリマーを含んでいてもよい。ある実施形態では、接着剤層は、アクリル、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む。接着剤層の厚みは、さまざまであってもよい。ある実施形態では、接着剤膜の厚みは、約0.5μm〜約1mmの範囲内にある。ある実施形態では、接着剤膜の厚みは、約1μm〜約100mmの範囲内にある。
【0094】
波長変換膜に、除去可能なライナーが存在してもよい。除去可能なライナーは、接着剤層と隣接するように位置していてもよく、その結果、ライナーが除去されるまで、接着剤層が他の物体に結合するのを防ぐ。除去可能なライナーは、既知の材料を含んでいてもよい。例えば、除去可能なライナーはフルオロポリマーまたはポリエチレンテレフタレート(PET)から選択される材料を含んでいてもよい。ある実施形態では、除去可能なライナーの厚みは、約10μm〜約100μmの範囲内にある。
【0095】
波長変換膜全体の厚みは、本明細書に記載した個々の膜の厚みを足し合わせることによって表すことができる。ある実施形態では、波長変換膜の厚みは、約10μm〜約2mmの範囲内にある。ある実施形態では、波長変換膜の厚みは、約1μm〜約5mmの範囲内にある。ある実施形態では、波長変換膜の厚みは、約50μm〜約1mmの範囲内にある。
【0096】
また、波長変換膜は、さらなる層を含んでいてもよい。例えば、さらなる接着剤層が含まれていてもよい。ある実施形態では、接着剤層は、保護層と波長変換層とを互いに接着するように、保護層と波長変換層との間に存在する。また、ソーラーモジュールの光電変換効率をさらに向上させるために、他の層も含まれていてもよい。例えば、波長変換膜は、保護層の上部、または保護層と波長変換層との間に、微細構造をもつ層を有していてもよい。吸収され、波長変換された後に、ソーラーモジュールデバイスの光電変換層から離れる方向に発色団から光子が再放出されることが多く、このような環境に失われてしまう光子を減らすことによって、この微細構造をもつ層は、ソーラーモジュールの太陽光捕集効率をさらに向上させるように設計することができる。表面に種々の微細構造(すなわち、ピラミッドまたは円錐)をもつ層は、デバイスの光電変換層内への光子の内部反射および内部屈折を増加させ、さらに、デバイスの太陽光捕集効率を向上させる場合がある。また、感圧接着剤型の波長変換膜に、さらなる層を組み込んでもよい。
【0097】
太陽電池、ソーラーパネルまたは光起電デバイスの性能を改善する方法は、本明細書に記載の波長変換膜を用いて行うことができる。例えば、波長変換膜を、膜の接着剤層を用いることによって、太陽電池、ソーラーパネルまたは光起電デバイスに適用することができる。ある実施形態では、この膜を、ロールラミネーターを用い、太陽電池、ソーラーパネルまたは光起電デバイスに適用することができる。シリコン系デバイス、III−V型またはII−VI型のPN接合デバイス、銅−インジウム−ガリウム−セレン(CIGS)薄膜デバイス、有機増感剤デバイス、有機薄膜デバイス、硫化カドミウム/テルル化カドミウム(CdS/CdTe)薄膜デバイスなどのデバイスを改善することができる。このようなデバイスは、ガラスまたはポリマーを含む光入射面を含んでいてもよい。ある実施形態では、デバイスのポリマーは、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニル、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、シロキサンゾル−ゲル、ポリウレタン、ポリアクリレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0098】
太陽光を捕集するデバイスは、剛性であってもよく、可撓性であってもよい。例えば、剛性デバイスとしては、シリコン系太陽電池が挙げられる。可撓性ソーラーデバイスは、有機薄膜から作られることが多く、布地、テント、または他の可撓性基材の表面で使用されてよい。したがって、ある実施形態では、感圧接着剤型の波長変換膜を、剛性デバイス(rigid device)または柔軟なデバイス(flexible device)に適用することができる。
【0099】
波長変換膜は、多くの種々の方法にしたがって製造することができる。ある実施形態では、この方法は、(a)波長変換層を形成する工程と、(b)保護層を作成し、保護層を波長変換層の上に直接積層する工程と、(c)波長変換層上の、保護層とは反対側の表面に、除去可能なライナーを含む接着剤層を積層する工程とを含む。ある実施形態では、この方法は、(a)波長変換層を形成する工程と、(b)波長変換層の上に、除去可能なライナーを含む接着剤層を積層する工程とを含む。
【0100】
図1に示すようなある実施形態では、波長変換膜10は、保護層100と、波長変換層101と、接着剤層102と、除去可能なライナー103とを含む。図2に示すようなある実施形態では、波長変換膜11は、波長変換層104と、接着剤層102と、除去可能なライナー103とを含む。
【0101】
図3Aに示すように、保護層100と、波長変換層101と、接着剤層102と、除去可能なライナー103とを含む波長変換膜10を、まず、ライナー103を除去し、接着剤層102を露出させることによって、ソーラーパネルに適用することができる。次いで、図3Bに示すように、接着剤層102を、ソーラーパネル105の光入射面106に対して適用し、ソーラーパネル105に波長変換膜を接着することができる。図3Cに示すように、これにより、太陽光捕集効率が改善されたソーラーパネル20が形成される。ある実施形態では、図3A〜3Cに示す保護層100は必要ではなく、任意に存在するものである。
【0102】
図4に示すように、波長変換膜を、ライナーから剥がし、膜を広げ、ソーラーパネルに膜を押しつけるために、ロールラミネーターを用い、剛性ソーラーパネルに適用することができる。図5に示すように、波長変換膜を、ライナーから剥がし、膜を広げ、ソーラーパネルに膜を押しつけるために、ロールラミネーターを用い、可撓性ソーラーパネルに適用することができる。
【0103】
感圧接着剤型の波長変換膜を合成する方法には制限はないが、以下に詳細を示すスキーム1〜2に記載されるような合成手順例にしたがってもよい。
【0104】
(スキーム1:波長変換膜を形成する湿式加工による一般的な手順)
湿式加工技術を用い、波長変換膜を膜構造に加工することができる。波長変換層は、(i)テトラクロロエチレン(TCE)、シクロペンタノン、ジオキサンなどの溶媒に所定の比率で溶解したポリマー粉末を含むポリマー溶液を調製し、(ii)ポリマー溶液と、発色団とを所定の重量比で混合し、発色団含有ポリマー溶液を得ることによって、ポリマー混合物を含む発色団溶液を調製し、(iii)発色団を含有するポリマー溶液をガラス基材に直接キャスト成型することによって、発色団/ポリマー層を形成し、次いで、基材を室温から100℃まで2時間熱処理し、130℃で一晩、さらに真空加熱することによって残留する溶媒を完全に除去し、(iv)発色団/ポリマー層を水中で剥がし、使用前に、自立性のポリマー層を乾燥させることによって加工され、(v)発色団/ポリマーの溶液濃度および蒸発速度を変えることによって、膜の厚みを約1μm〜約1mmに制御することができる。
【0105】
波長変換層を形成したら、場合により、保護層を形成する。保護層が存在する場合、保護層は、押出成型機によって作られ、次いで、ラミネーターによって波長変換層の上に積層される。次いで、任意要素の除去可能なライナーを含む接着剤層を、ラミネーターを用い、露出した波長変換層に適用する。膜は、テープを巻いたものと同様の形状に巻き取ってもよい。
【0106】
(スキーム2:波長変換膜を形成する乾式加工による一般的な手順)
ある実施形態では、波長変換膜は、(i)ミキサーによって、特定の温度で、ポリマー粉末またはポリマーペレットと発光染料粉末とを所定の比率で混合し、(ii)特定の温度で混合物を1〜8時間脱気し、(iii)次いで、押出成型機を用いて層を形成することによって加工され、(v)押出成型機は、膜の厚みを約1μm〜約1mmに制御する。
【0107】
波長変換層を作成したら、場合により、保護層を作成する。保護層は、押出成型機によって作られ、次いで、ラミネーターによって波長変換層の上に積層される。次いで、任意要素の除去可能なライナーを含む接着剤層を、ラミネーターを用い、露出した波長変換層に適用する。膜は、テープを巻いたものと同様の形状に巻き取ってもよい。
【0108】
本発明のさらなる態様、特徴、および利点は、以下の詳細な実施例から明らかになるだろう。
【実施例】
【0109】
以下の実施形態は、本発明を限定することを意図していない。この開示内容において、列挙した置換基は、別途特定されていない限り、さらに置換された基と、さらに置換されていない基との両方を含む。さらに、条件および/または構造が特定されていない開示内容において、当業者は、本開示の観点から、通常の実験の問題として、このような条件および/または構造を簡単に提供することができる。
【0110】
〔実施例1〕
(a)発色団化合物の合成
[中間体A]
共通の中間体Aを2工程プロセスで合成する。
【化17】

(工程1:4,7−ジブロモ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾールの合成)
ベンゾトリアゾール(5.96g、50mmol)、臭素(7.7ml、150mmol)、および48% HBr(30mL)の混合物を120℃で24時間加熱した。反応混合物を氷/水(200mL)に注ぎ、5N NaOHで中和し、1Mチオ硫酸ナトリウムを加えることによって過剰量の臭素を除去した(KI/デンプン紙で試験)。30分間撹拌した後、固体を濾別し、水で洗浄し、真空オーブン中で乾燥させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/酢酸エチル 75:25)で精製し、酢酸エチル(50mL)で洗浄し、4,7−ジブロモ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール2.65g(19%)を得た。
【0111】
(工程2:中間体A−4,7−ビス(4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾールの合成)
4,7−ジブロモ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール(1.37g、5.5mmol)、4−(ジフェニルアミノ)フェニルホウ酸(3.47g、12mmol)、炭酸ナトリウム(5.30g、50mmol)の水(10mL)溶液、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.15g、1.0mmol)、n−ブタノール(80mL)、およびトルエン(10mL)の混合物を撹拌し、アルゴン下、120℃で4日間加熱した。反応混合物を水(300mL)に注ぎ、15分間撹拌し、ジクロロメタンで抽出した(300mL×2回)。この溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で溶媒を除去し、残渣をクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/酢酸エチル 95:5)で精製し、4,7−ビス(4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール(中間体A)1.85g(56%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ 7.58(s、2H、ベンゾトリアゾール)、7.16−7.23(m、16H、p−フェニレンおよびPh)、7.07(t、J=7.3、4H、Ph)、7.02(bs、1H、N−H)。
【0112】
[化合物1]
【化18】

中間体A(500mg、0.82mmol)、2−クロロピリミジン(343mg、3.0mmol)、60% NaH(60mg、1.5mmol)、およびジメチルホルムアミド(10mL)の混合物をアルゴン下で撹拌し、120℃で20時間加熱した。反応混合物を水(100mL)に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した(100mL×4回)。抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で揮発物を除去し、残渣を、シリカゲルを用い、ジクロロメタン/酢酸エチル(95:5)を溶出液として用いるクロマトグラフィーで精製した。得られた生成物をエタノールから再結晶させ、4,7−ビス(4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル)−2−(ピリミジン−2−イル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール(化合物1)の橙色結晶340mg(61%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ 8.99(d、J=5.1Hz、2H、ピリミジン)、8.02(d、J=8.8Hz、4H、p−フェニレン)、7.66(s、2H、ベンゾトリアゾール)、7.47(t、J=4.8Hz、1H、ピリミジン)、7.28(m、8H、Ph)、7.21(d、3=8.4Hz、4H、p−フェニレン)、7.18(m、8H、Ph)、7.05(tt、J=7.3および1.1Hz、4H、Ph)。UV−可視スペクトル(ジクロロメタン):λmax=451nm。蛍光光度法(ジクロロメタン):λmax=600nm。
【0113】
[化合物2および化合物3]
本明細書に開示するような本発明の非限定的な実施形態であるペリレンジエステル誘導体を、2工程プロセスを用いて合成する。
【0114】
(工程1:4,10−ジブロモペリレン−3,9−ジカルボン酸ジイソブチルの合成)
【化19】

4,10−ジブロモペリレン−3,9−ジカルボン酸ジイソブチル(「化合物2」)を合成するために、Aldrich Chemical Co.から購入することができるペリレンジカルボン酸ジイソブチルエステル溶液にN−ブロモコハク酸イミド(7.85g、44mol)を加えた。ペリレンジカルボン酸ジイソブチルエステルを、対応する二酸誘導体から、65℃で3時間(初期の懸濁物が透明溶液に変わるまで)加熱しながら、イソブチルアルコールのDMF溶液(50mL)を用いてエステル化することによって合成した。冷却した後、撹拌した反応混合物にメタノール(500ml)を加えた。すぐにかなりの量の沈殿が形成され、これを濾過によって分離し、少量の冷メタノールを用いて洗浄し、真空オーブン中で乾燥させ、上記化合物2を黄色固体として得て、H NMRから純粋であった(9.6g、78%)。
【0115】
(工程2:4,10−ビス(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ペリレン−3,9−ジカルボン酸ジイソブチルの合成)
【化20】

4,10−ビス(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ペリレン−3,9−ジカルボン酸ジイソブチル(「化合物3」)を合成するために、化合物2(3.05g、5mmol)および4−トリフルオロメチルフェニルホウ酸(2.09g、11.0mmol)をトルエン(50mL)、2M NaCO水溶液(20mL)およびエタノール(30mL)の混合物に溶かした溶液に、アルゴン雰囲気下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(500mg、0.43mmol)を加えた。反応混合物を90℃で1時間(有機物、水、固体の明らかな分離が観察されるまで)加熱した。有機層を分離し、セライトを通して濾過してパラジウム触媒を除去し、次いで、真空下で溶媒を部分的に除去した。生成物をメタノールから沈殿させ、濾別し、冷メタノールで洗浄し、真空オーブン中で乾燥させ、純粋な化合物3(NMRによる)を黄色固体として得た(3.30g、89%)。あるいは、カラムクロマトグラフィー(シリカゲルおよびヘキサン−酢酸エチル 4:1の混合物)によって精製を行った。
【0116】
(b)波長変換膜の湿式プロセスによる合成
図1に示すような、保護層100と、波長変換層101と、接着剤層102と、除去可能なライナーとを含む波長変換膜を膜構造に加工する。まず、波長変換層は、(i)ポリビニルブチラール(PVB)粉末(Aldrich製、受領したままで使用)をTCE(Aldrich製、受領したままで使用)に所定の比率20重量%で溶解することによって、PVBポリマー溶液を調製し、(ii)PVBポリマー溶液と、合成した化合物1(実施例1a)または化合物3(実施例1b)とを重量比(発色団化合物/PVB)0.3重量%で混合し、発色団を含有するポリマー溶液を得ることによって、発色団を含有するPVBマトリックスを調製し、(iii)発色団を含有するポリマー溶液をガラス基材に直接キャスト成型し、基材を室温から100℃まで2時間かけて加熱処理し、130℃で一晩、さらに真空加熱することによって残存する溶媒を完全に除去することによって、発色団/ポリマー層を形成し、(iv)発色団/ポリマー層を水中で剥がし、次いで、自立性のポリマー層を乾燥させることによって加工され、(v)膜の厚みは約250μmであり、この厚みは、発色団/ポリマーの溶液濃度および蒸発速度を変えることによって得られた。
【0117】
波長変換層を形成したら、保護層を形成する。保護層を押出成型機によって作り、次いで、ラミネーターによって波長変換層の上に積層する。次いで、除去可能なライナーを含む接着剤層を、ラミネーターを用い、露出した波長変換層に適用する。波長変換膜の厚みは、約400μmである。
【0118】
(c)太陽電池への膜の適用
CdS/CdTe太陽電池の光入射面に適合するように、膜を切断する。除去可能なライナーを除去し、露出した接着剤層を、CdS/CdTe電池の光入射アクティブウインドウに押しつけ、デバイスに膜を接着する。
【0119】
(d)効率の向上の測定
太陽電池の光電変換効率を、Newport 400W全スペクトル太陽シミュレータシステムによって測定した。光の強度を2cm×2cmの較正リファレンスである単結晶性シリコン太陽電池によって1sun(AM1.50)に調節した。次いで、同じ照射下にCdS/CdTe太陽電池のI−Vの特性決定を行い、シミュレーターにインストールしたNewportソフトウエアプログラムによって効率を計算する。電池単独の効率を決定した後、感圧接着剤型の波長変換膜を含む電池について、効率の向上を測定する。膜を、CdS/CdTe電池の光入射アクティブウインドウと同じ形状および大きさに切断し、CdS/CdTe電池の光入射フロントガラス基材に上に記載した方法によって適用する。
【0120】
膜を付着させた太陽電池の効率の向上を以下の式を用いて決定した。
効率の向上=(η電池+膜−η電池)/η電池*100%
【0121】
CdTe太陽電池の相対的な効率の向上は、化合物1を含有する実施例1aでは14.0%、化合物3を含む実施例1bでは15.2%である。
【0122】
〔実施例2〕
実施例2は、以下に定義するような波長変換層を加工するために乾燥処理技術を使用したこと以外は、実施例1の工程a〜dで与えられるのと同じ手順に従った。
【0123】
波長変換層を、(i)ミキサー中、170℃でPVB(実施例2a)またはEVA(実施例2b)の粉末と、化合物3とを所定比率0.3%で混合し、(ii)混合物を150℃で1〜8時間脱気し、(iii)次いで、押出成型機またはホットプレスを用い、120℃で層を形成することによって加工し、(v)層の厚みを押出成型機によって制御し、250□mであった。波長変換層を形成したら、保護層を形成する。保護層を、押出成型機によって作り、次いで、ラミネーターによって波長変換層の上に積層する。次いで、除去可能なライナーを含む接着剤層を、ラミネーターを用い、露出した波長変換層に適用する。波長変換膜の厚みは、約400□mである。
【0124】
CdTe太陽電池の相対的な効率の向上は、PVBを含有する実施例2aでは15.0%、EVAを含む実施例2bでは14.3%である。
【0125】
〔比較例3〕
この例は、化合物1または3の代わりに、Lumogen F Yellow Y083(BASFから購入し、受領したままで使用)、ペリレン誘導体発光染料ブレンドを使用したこと以外は、実施例1および実施例2に概要を説明したのと同じ手順に従った。
【0126】
相対的な効率の向上は、湿式処理によるPVB、乾式処理によるPVB、乾式処理によるEVAについて、それぞれ11%、11.2%、10%である。
【0127】
本発明は、方法および材料の観点で改変されてもよく、また、加工方法および装置を変更してもよい。このような改変は、本開示内容または本明細書に開示した本発明の実施を考慮すれば、当業者には明らかになるだろう。結果として、本発明は、本明細書に開示した具体的な実施形態に限定されないが、添付の特許請求の範囲において具現化されている本発明の真の範囲および精神に入る全ての改変例および変更例を包含することを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーマトリックスおよび少なくとも1つの光安定性発色団を含む波長変換層と、
感圧接着剤を含む接着剤層とを含む、波長変換膜。
【請求項2】
少なくとも1つの光安定性発色団が、ペリレン誘導体染料、ベンゾトリアゾール誘導体染料、およびベンゾチアジアゾール誘導体染料からなる群から選択される有機染料である、請求項1に記載の波長変換膜。
【請求項3】
少なくとも1つの光安定性発色団が、式(I−a)または(I−b)
【化1】

によって表され、式中、
iが、0〜100の範囲内にある整数であり、
およびAが、それぞれ独立して、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアルケニル、場合により置換されたヘテロアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロアリール、場合により置換されたアミノ、場合により置換されたアミド、場合により置換された環状アミド、場合により置換された環状イミド、場合により置換されたアルコキシ、場合により置換されたカルボキシ、および場合により置換されたカルボニルからなる群から選択され;
が、場合により置換されたアルキレン、場合により置換されたアルケニレン、場合により置換されたアリーレン、場合により置換されヘテロアリーレン、ケトン、エステル、および
【化2】

からなる群から選択され;
Arが、場合により置換されたアリールまたは場合により置換されたヘテロアリールであり;Rが、H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびアルカリールからなる群から選択され;Rが、場合により置換されたアルキレン、場合により置換されたアルケニレン、場合により置換されたアリーレン、場合により置換されたヘテロアリーレン、ケトン、およびエステルからなる群から選択されるか;または、RとRとが一緒に接続されて環を形成していてもよく;
およびDが、それぞれ独立して、水素、場合により置換されたアルコキシ、場合により置換されたアリールオキシ、場合により置換されたアシルオキシ、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロアリール、場合により置換されたアミノ、アミド、環状アミド、および環状イミドからなる群から選択され、但し、DおよびDは両方ともが水素ではなく;
が、独立して、場合により置換されたアルキレン、場合により置換されたアルケニレン、場合により置換されたアルキニレン、場合により置換されたアリーレン、および場合により置換されたヘテロアリーレンからなる群から選択される、請求項1に記載の波長変換膜。
【請求項4】
少なくとも1つの光安定性発色団が、さらに、式(II−a)または(II−b)
【化3】

によって表され、式中、
iが、0〜100の範囲内にある整数であり、
Arが、場合により置換されたアリールまたは場合により置換されたヘテロアリールであり;
が、
【化4】

または場合により置換された環状イミドであり;
が、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびアルカリールからなる群から選択され;
が、それぞれ独立して、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアルケニル、場合により置換されたアリール、および場合により置換されたヘテロアリールからなる群から選択されるか;または、RとRとが一緒に接続されて環を形成していてもよく;
が、場合により置換されたアルキレン、場合により置換されたアルケニレン、場合により置換されたアリーレン、および場合により置換されたヘテロアリーレンからなる群から選択され;
およびDが、それぞれ独立して、水素、場合により置換されたアルコキシ、場合により置換されたアリールオキシ、場合により置換されたアシルオキシ、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロアリール、場合により置換されたアミノ、アミド、環状アミド、および環状イミドからなる群から選択され、但し、DおよびDは両方ともが水素ではなく;
が、独立して、場合により置換されたアルキレン、場合により置換されたアルケニレン、場合により置換されたアルキニレン、場合により置換されたアリーレン、および場合により置換されたヘテロアリーレンからなる群から選択される、請求項3に記載の波長変換膜。
【請求項5】
少なくとも1つの光安定性発色団が、さらに、式(III−a)または(III−b)
【化5】

によって表され、式中、
iが、0〜100の範囲内にある整数であり、
およびAが、それぞれ独立して、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアルケニル、場合により置換されたヘテロアルキル、場合により置換されたアミド、場合により置換されたアルコキシ、場合により置換されたカルボニル、および場合により置換されたカルボキシからなる群から選択され;
各Rが、独立して、場合により置換されたアルコキシ、場合により置換されたアリールオキシ、場合により置換されたアシルオキシ、およびアミノからなる群から選択され;
が、場合により置換されたアルキレン、場合により置換されたアルケニレン、場合により置換されたアリーレン、場合により置換されヘテロアリーレン、ケトン、エステル、および
【化6】

からなる群から選択され;
Arが、場合により置換されたアリールまたは場合により置換されたヘテロアリールであり;Rが、H、アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、およびアルカリールからなる群から選択され;Rが、場合により置換されたアルキレン、場合により置換されたアルケニレン、場合により置換されたアリーレン、場合により置換されたヘテロアリーレン、ケトン、およびエステルからなる群から選択されるか;または、RとRとが一緒に接続されて環を形成していてもよく;
が、独立して、場合により置換されたアルキレン、場合により置換されたアルケニレン、場合により置換されたアルキニレン、場合により置換されたアリーレン、および場合により置換されたヘテロアリーレンからなる群から選択される、請求項3に記載の波長変換膜。
【請求項6】
少なくとも1つの光安定性発色団が、式(IV)
【化7】

によって表され、式中、
iが、0〜100の範囲内にある整数であり、
ZおよびZが、それぞれ独立して、−O−、−S−、−Se−、Te−、NR−、−CR=CR−、および−CR=N−からなる群から選択され、Rが、水素、場合により置換されたC〜Cアルキル、または場合により置換されたC〜C10アリールからなる群から選択され;
およびDが、独立して、場合により置換されたアルコキシ、場合により置換されたアリールオキシ、場合により置換されたアシルオキシ、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたアリール、場合により置換されたヘテロアリール、場合により置換されたアミノ、アミド、環状アミド、および環状イミドからなる群から選択され;
jは、0、1または2であり、kは、0、1または2であり;
およびYは、独立して、場合により置換されたアリール、場合により置換されたアルキル、場合により置換されたシクロアルキル、場合により置換されたアルコキシ、および場合により置換されたアミノからなる群から選択され;
が、独立して、場合により置換されたアルキレン、場合により置換されたアルケニレン、場合により置換されたアルキニレン、場合により置換されたアリーレン、および場合により置換されたヘテロアリーレンからなる群から選択される、請求項1に記載の波長変換膜。
【請求項7】
少なくとも1つの光安定性発色団が、式(V−a)または式(V−b)
【化8】

によって表され、式中、
式(V−a)のRおよびR’が、それぞれ独立して、水素、C〜C10アルキル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10アルコキシ、C〜C18アリール、およびC〜C20アラルキルからなる群から選択され;式(V−a)のmおよびnが、それぞれ独立して、1、2、3、4または5であり;式(V−b)のRおよびR’が、それぞれ独立して、C〜C18アリールおよびC〜C20アラルキルからなる群から選択される、請求項1に記載の波長変換膜。
【請求項8】
酸素および水分が波長変換層に浸透するのを阻害するように構成された保護層をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の波長変換膜。
【請求項9】
保護層が、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニル、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリイミド、アモルファスポリカーボネート、ポリスチレン、シロキサンゾル−ゲル、ポリウレタン、ポリアクリレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項8に記載の波長変換膜。
【請求項10】
保護層の厚みが、約50μm〜約1mmの範囲内にある、請求項8〜9のいずれか1項に記載の波長変換膜。
【請求項11】
波長変換層が、少なくとも2つの異なる光安定性発色団を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の波長変換膜。
【請求項12】
少なくとも1つの光安定性発色団が、アップコンバージョン発色団である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の波長変換膜。
【請求項13】
少なくとも1つの光安定性発色団が、ダウンシフトする発色団である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の波長変換膜。
【請求項14】
波長変換層が、第1の波長変換副層と第2の波長変換副層とを含み、第1の波長変換副層と第2の波長変換副層とが、同じ光安定性発色団を含むか、または異なる光安定性発色団を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の波長変換膜。
【請求項15】
波長変換層のポリマーマトリックスが、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニル、エチレンテトラフルオロエチレン、ポリイミド、アモルファスポリカーボネート、ポリスチレン、シロキサンゾル−ゲル、ポリウレタン、ポリアクリレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の波長変換膜。
【請求項16】
少なくとも1つの光安定性発色団が、波長変換層のポリマーマトリックス中に、ポリマーマトリックスの約0.01重量%〜約3重量%の量で存在する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の波長変換膜。
【請求項17】
波長変換膜の厚みが、約10μm〜約2mmの範囲内にある、請求項1〜16のいずれか1項に記載の波長変換膜。
【請求項18】
接着剤層が、アクリル、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の波長変換膜。
【請求項19】
接着剤層の厚みが、約1μm〜約100μmの範囲内にある、請求項1〜18のいずれか1項に記載の波長変換膜。
【請求項20】
接着剤層に隣接する除去可能なライナーをさらに含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の波長変換膜。
【請求項21】
除去可能なライナーが、フルオロポリマーまたはポリエチレンテレフタレート(PET)から選択される材料を含む、請求項20に記載の波長変換膜。
【請求項22】
除去可能なライナーの厚みが、約10μm〜約100μmの範囲内にある、請求項20〜21のいずれか1項に記載の波長変換膜。
【請求項23】
波長変換層の厚みが、約50μm〜約1mmの範囲内にある、請求項1〜22のいずれか1項に記載の波長変換膜。
【請求項24】
太陽エネルギー変換デバイスの性能を改善する方法であって、請求項1〜23のいずれか1項に記載の波長変換膜を太陽エネルギー変換デバイスに適用することと、太陽電池、ソーラーパネルまたは光起電デバイスの光入射面に接着剤層を接着することとを含む、方法。
【請求項25】
波長変換膜が、ロールラミネーターを用い、太陽エネルギー変換デバイスに適用される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
太陽エネルギー変換デバイスが、シリコン系デバイス、III−V型またはII−VI型のPN接合デバイス、銅−インジウム−ガリウム−セレン(CIGS)薄膜デバイス、有機増感剤デバイス、有機薄膜デバイス、および硫化カドミウム/テルル化カドミウム(CdS/CdTe)薄膜デバイスからなる群から選択されるデバイスである、請求項24〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
太陽エネルギー変換デバイスが、アモルファスシリコン太陽電池、微結晶性シリコン太陽電池、および結晶性シリコン太陽電池からなる群から選択される少なくとも1つのデバイスを含む、請求項24〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
太陽エネルギー変換デバイスの光入射面が、ガラスまたはポリマーを含む材料である、請求項24〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
(a)波長変換層を形成する工程と、
(b)保護層を形成し、保護層を波長変換層の上に直接積層する工程と、
(c)波長変換層の上の、保護層とは反対側の表面に、除去可能なライナーを含む接着剤層を積層する工程とを含む、請求項8〜23のいずれか1項に記載の波長変換膜を形成する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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