説明

太陽光発電システムの解説装置

【課題】 太陽光発電システムの仕組み、特徴、および太陽光発電システムを住宅に取り入れたときの効果等を、わかりやすく顧客に示し、擬似的に体感したり実感したりできるようにする。
【解決手段】 本発明の太陽光発電システムの解説装置1は、太陽光発電システムに関する解説を表示する解説画面6と、縮小寸法で形成された住宅模型3と、この住宅模型3の背後の風景を作り出す背景スクリーン4とを備える。住宅模型3は、縦断面とともに室内の様子が見えるように2分割で形成されて開閉可能とされ、実生活シーンを想定した電気機器の模型31および太陽電池パネル模型32が設置される。展示施設7には実際の太陽光発電システムが備えられており、住宅模型3における太陽光発電システムとして擬似的に反映させ、住宅の発電電力量が展示施設7の発電電力量に相当する場合の電気環境を住宅模型3および解説画面6において示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の展示施設に設置されて太陽光発電の特徴や効果などを示す太陽光発電システムの解説装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の各部の仕様は従来から多種多様であり、仕様や性能の違いによって住宅の耐久性や快適性に差を生じることは否めない。住宅を販売する際には、このような仕様や性能の違いを、住宅購入予定者が訪れる住宅展示施設などに体験装置を設けて、実際に体験したり実感したりできるようにすることも行われている。
【0003】
従来、例えば特許文献1にあるような住宅用ガラス性能体験装置が提案されている。この体験装置は、住宅に使用するガラスの遮熱性を実際の温度において体験してもらうために、寒冷地の温度を内部温度とした箱の表面に遮熱性の高いガラスと通常のガラスを貼設した寒冷地遮熱性表示装置と、酷暑地の温度を内部温度とした箱の表面に遮熱性の高いガラスと通常のガラスを貼設した酷暑地遮熱性表示装置とを併置し、遮熱性の相違するガラスの断面模型を配置し遮熱性ガラスが割れた場合の安全性を表現する安全性表示装置を配置したものである。
【0004】
また、特許文献2には、住宅の断熱性、防錆、防食対策、防音対策等について容易に学習することのできる住宅の性能に関する体験学習方法が提案されている。
【0005】
ところで、近年では環境との共生を重視した建物のあり方が模索されはじめ、その実現に向けて、具体的な法規制や普及・啓発活動が実施されるとともに、省エネルギーを柱としたサステナビリティ(持続可能性)を備えた建物が推奨されてきている。そのような背景から、太陽光発電システムは注目度の高い設備であり、例えば、二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量や石油消費量等を抑えることができるため、住宅においても取り入れられることが多くなっている。
【0006】
このような太陽光発電システムの仕組みや特徴、効果等については、文章や写真等を用いてカタログに表示したり、展示住宅に訪れた顧客に販売者が口頭で説明したりするなどして、理解を深めてもらうようにするのが一般的であった。
【0007】
しかし、実際の住宅に太陽光発電システムを取り入れたときに、具体的にどのように発電され、発電電力をどのように利用できるのか、ということは、カタログの表示や口頭では伝わりにくく、なかなか顧客に実感してもらうことができず、その効果を印象づけることができないといった不都合があった。したがって、可能な限り現実に即した説明方法で、顧客に太陽光発電システムの効果等を理解してもらえるように、前記のような展示施設における装置を用いて、擬似的に体感したり、実感したりできるようにすることが求められていた。
【特許文献1】特開平10−20759号公報
【特許文献2】特開2000−147994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような背景にかんがみてなされたものであり、太陽光発電システムの仕組み、特徴、および太陽光発電システムを住宅に取り入れたときの効果を、わかりやすく顧客に示し、擬似的に体感したり実感したりできるようにして、顧客の理解と知識を深めることのできる太陽光発電システムの解説装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するため、本発明は、住宅における構成部材や設備機器の特徴や効果を展示しうる展示施設に設置されて太陽光発電の特徴や効果を示す太陽光発電システムの解説装置であって、太陽光発電システムに関する解説を表示する解説画面と、縮小寸法で形成された住宅模型と、この住宅模型の背後の風景を作り出す背景スクリーンとを備え、前記住宅模型は、縦断面とともに室内の様子が見えるように2分割で形成されて開閉可能とされ、室内の各所には実生活シーンを想定した電気機器の模型が配置されるとともに屋根面に太陽電池パネル模型が設置されており、前記展示施設には実際の太陽光発電システムが備えられて、この展示施設において作動している太陽光発電システムを、住宅模型における太陽光発電システムとして擬似的に反映させ、住宅の発電電力量が当該展示施設の発電電力量に相当する場合の住宅の電気環境を前記住宅模型において示すとともに、前記解説画面においてその作動状況を表示および解説可能となされたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、太陽光発電システムの特徴や効果を、住宅模型を用いて実生活シーンをイメージしつつ理解してもらい、その有用性も容易に実感してもらうことができる。
【0011】
また、前記背景スクリーンは、少なくとも、晴れ、曇り、雨の3通りの天気時の風景を表示することが可能であり、住宅模型の近傍に設けられた操作パネルによりこれらの天気を選択可能となされて、選択した天気時の住宅模型における太陽光発電システムの作動状況を想定して解説画面に表示解説しうることが好ましい。
【0012】
これにより、天気ごとの太陽光発電システムの特徴や効果を、解説画面および住宅模型において示し、顧客に容易にシミュレーションしてもらうことができ、理解や知識を高めてもらうことができる。
【0013】
また、前記解説画面には、住宅模型において想定される電気料金と、太陽光発電システムを使用しない場合の電気料金とが比較表示されることが好ましい。また、前記解説画面には、住宅模型において想定される売買電力量や温室効果ガス排出削減量が表示解説されてもよい。
【0014】
このような構成により、太陽光発電システムを利用したときの発電量や電気料金等の情報を容易に理解することが可能になり、その有用性を顧客に認識してもらうことができる。
【発明の効果】
【0015】
上述のように構成される本発明の太陽光発電システムの解説装置によれば、太陽光発電システムの仕組み、特徴、および住宅に取り入れたときの効果を、わかりやすく顧客に示し、擬似的に体感したり実感したりできるようにして、理解と知識を深めることが可能となる。さらに、かかる解説装置を用いることで、販売者の経験や技量にかかわらず、顧客に太陽光発電システムの仕組み、特徴、および太陽光発電システムを住宅に取り入れたときの効果を説明することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る太陽光発電システムの解説装置を実施するための最良の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1、2は本発明の太陽光発電システムの解説装置の一例を示し、図1は解説装置の正面図、図2は図1の住宅模型を開いたところを示す正面図である。
【0018】
本発明の太陽光発電システムの解説装置1は、住宅における各種の構成部材や構造体、あるいは設備機器等の特徴や性能・効果を展示して、住宅購入を考える顧客に体験したり実感したりしてもらうための展示施設に設置されるものである。そして、この解説装置1は、展示施設を訪れた顧客に、太陽光発電システムの特徴や効果を、できる限り実生活シーンをイメージしつつ理解してもらい、その有用性を容易に実感してもらえるように構成されている。
【0019】
例示の太陽光発電システムの解説装置1は、適宜の縮小寸法で形成された住宅模型3、この住宅模型3の背後の風景を作り出す背景スクリーン4、操作パネル5、および太陽光発電システムに関する解説を表示する解説画面6を備えている。
【0020】
図1に示すように、住宅模型3は、基台2の上に設けられている。また、図2に示すように、住宅模型3は、基台2の手前から奥方向に分割されて形成されており、縦断面とともに室内の様子が見えるようになっている。そして、この分割面の奥側を回転中心として、住宅模型3の手前側が相互に開閉可能に構成されている。
【0021】
住宅模型3の室内の各所には、実生活シーンを想定した電気機器の模型31が配置されている。電気機器には、例えば、照明、洗濯機、テレビ、エアコン、冷蔵庫などがあげられる。また、住宅模型3の屋根面には、太陽電池パネル模型32が設置されている。
【0022】
住宅模型3の背後には、住宅模型3の背景を想定して描かれた風景を、適宜の映写手段により映し出す背景スクリーン4が設けられている。例示の場合、背景スクリーン4は住宅模型3の背後を取り囲むように3面にわたって形成されている。
【0023】
この背景スクリーン4には、少なくとも、晴れ、曇り、雨の3通りの天気時の風景が表示されるようになっている。また、背景スクリーン4には風景とともに、天気ごとにふさわしい服装をした人または人形の絵が表示されていることが好ましい。これにより、顧客がより実生活シーンをイメージしやすいように意図されている。
【0024】
背景スクリーン4に映し出される風景の天気(この場合、晴れ、曇り、雨の3パターン)は、操作パネル5によって選択可能となされている。操作パネル5は、住宅模型3の近傍に設けられ、ボタンを選択して押すように構成されていてもよいし、あるいはタッチパネルの画面を触れるように構成されていてもよい。例えば、操作パネル5がタッチパネルの場合には、グラフ表示した天気ごとの日射量のいずれかのポイントを触れるようにして、天気が選択されるようにすることも可能である。
【0025】
また、解説画面6は、住宅模型3の後方上部に設けられている。この解説画面6においては、例えば、太陽光発電システムの仕組みや太陽電池の特徴、発電効果、発電電力の用途、設置に係るQ&A、発電シミュレーションなどの太陽光発電システムに関する様々な説明および解説が、音声とともに文字や図表等を用いて表示される。
【0026】
本発明において、展示施設7には実際の太陽光発電システムが備えられている。図示されないが、例えば展示施設7の屋上に太陽電池パネルが設置され、随時、発電電力量の計測が行われている。
【0027】
この展示施設7において作動している太陽光発電システムは、住宅模型3の太陽電池パネル模型32による太陽光発電システムとして擬似的に反映させて顧客に示される。すなわち、住宅模型3の住宅の発電電力量が当該展示施設の発電電力量に相当する場合の住宅の電気環境を、住宅模型3の電気機器の模型31の動作等によって示すとともに、解説画面6においても、その状況を表示および解説する。電気機器の模型31による示し方は、各模型31に備えたランプが点灯/消灯するようにしたり、あるいは、照明が点灯したり、テレビ画面が表示されたりするなど、どのような手法であってもよい。
【0028】
このように構成される解説装置1は、住宅模型3が閉じた状態のときは、通常の太陽光発電システムについての説明が解説画面に表示されている。顧客はその表示解説により、あらかじめ太陽光発電システムの概略を知ることができる。
【0029】
続いて、顧客は操作パネル5によりいずれかの天気を選択する。これにより、背景スクリーン4が選択された天気に変更され、選択した天気時の住宅模型3における太陽光発電システムの作動状況が想定されて解説画面6に表示される。また、このとき想定される電気料金が太陽光発電システムを使用しない場合の電気料金との比較により表示され、順次、売買電力量、温室効果ガス排出削減量等の説明も解説画面6に表示される。
【0030】
例えば、天気の良い日には、展示施設7に設けられている太陽電池パネルの単位時間当たりに発電する発電量が200Wであるとすると、住宅模型3がこれと同様の太陽光発電システムを備えると想定して発電量を示すとともに、その発電量を踏まえた電気料金、売買電力量等がグラフや図などを用いて表示される。さらに、このとき、住宅模型3が開いて室内の様子が顧客に示される。これにより、住宅模型3の室内では電気機器の模型31の作動状況が顧客に見えるので、実際の太陽光発電時を容易にイメージすることができる。
【0031】
また、操作パネル5を操作することにより、他の天気時についても解説画面6の表示解説および住宅模型3の室内の様子を見ることができ、晴れの日と曇りあるいは雨の日との天気による発電量や電気料金の比較をすることができる。
【0032】
また、太陽光発電システムの売電状態(システムの発電電力量が家庭の使用電力量よりも大きいときに余剰電力を電力会社に売る場合)、および買電状態(システムの発電電力量が家庭の使用電力量よりも小さいときに電力会社から必要電力を買う場合)も顧客に容易に理解してもらうことができる。
【0033】
これにより、可能な限り現実に即した説明および解説が可能になるので、顧客は楽しみながら容易に太陽光発電システムの特徴や効果とともにその有用性を認識しすることができ、擬似的に体感したり、実感したりすることができる。
【0034】
また、このような解説装置1を用いることにより、販売者側は、販売者個人の経験や技量によらずとも顧客に太陽光発電システムの解説を提供することができる。
【0035】
なお、本発明の解説装置1における住宅模型3、背景スクリーン4、操作パネル5、および解説画面6の各構成は上記の形態に限定されず、例えば、解説画面6に表示される解説などは、太陽光発電システムの理解に供する内容であれば、どのような表示が使用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、住宅販売を行う際の販売促進手段として、あるいは、住宅の構成部材の性能や構造体の性能を体験する性能体験設備として、展示施設に設置して、顧客に太陽光発電システムの理解と知識を深めてもらうのに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る太陽光発電システムの解説装置の一例を示す正面図である。
【図2】図1の太陽光発電システムの解説装置における住宅模型を開いたところを示す正面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 太陽光発電システムの解説装置
2 基台
3 住宅模型
31 電気機器の模型
32 太陽電池パネル模型
4 背景スクリーン
5 操作パネル
6 解説画面
7 展示施設

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅における構成部材や設備機器の特徴や効果を展示しうる展示施設に設置されて太陽光発電の特徴や効果を示す太陽光発電システムの解説装置であって、
太陽光発電システムに関する解説を表示する解説画面と、縮小寸法で形成された住宅模型と、この住宅模型の背後の風景を作り出す背景スクリーンとを備え、
前記住宅模型は、縦断面とともに室内の様子が見えるように2分割で形成されて開閉可能とされ、室内の各所には実生活シーンを想定した電気機器の模型が配置されるとともに屋根面に太陽電池パネル模型が設置されており、
前記展示施設には実際の太陽光発電システムが備えられて、この展示施設において作動している太陽光発電システムを、住宅模型における太陽光発電システムとして擬似的に反映させ、住宅の発電電力量が当該展示施設の発電電力量に相当する場合の住宅の電気環境を前記住宅模型において示すとともに、前記解説画面においてその作動状況を表示および解説可能となされたことを特徴とする太陽光発電システムの解説装置。
【請求項2】
前記背景スクリーンは、少なくとも、晴れ、曇り、雨の3通りの天気時の風景を表示することが可能であり、住宅模型の近傍に設けられた操作パネルによりこれらの天気を選択可能となされて、選択した天気時の住宅模型における太陽光発電システムの作動状況を想定して解説画面に表示解説しうることを特徴とする請求項1に記載の解説装置。
【請求項3】
前記解説画面には、住宅模型において想定される電気料金と、太陽光発電システムを使用しない場合の電気料金とが比較表示されることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽光発電システムの解説装置。
【請求項4】
前記解説画面には、住宅模型において想定される売買電力量が表示解説されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の太陽光発電システムの解説装置。
【請求項5】
前記解説画面には、住宅模型において想定される温室効果ガス排出削減量が表示解説されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の太陽光発電システムの解説装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−102325(P2008−102325A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284897(P2006−284897)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【Fターム(参考)】