説明

太陽光発電パネル用整流架台

【課題】風下側の後流渦の発生を防ぎ、パネル上部での負圧の発生を抑えることで、太陽光発電パネルの浮き上がりを防止することができ、パネル表面の清掃の手間を低減することができるうえ、特別な冷却設備を設けることなく、簡単な構成でパネル表面を冷却して発電効率の低下を防止することができる。
【解決手段】パネル上部部分からパネル後側下方に向けて延びる第1遮風板4と、第1遮風板4の後方側の遮風面4aに対して間隔をあけるとともに、羽根が第1遮風板4との間を通過する空気Eを第1遮風板4に沿って上方へ移動するように配置された複数の第1整流板5と、パネル上方部に位置する第1整流板5Aに設けられ、第1整流板5と第1遮風板4に沿って案内されたパネル後方側からの空気Eをパネル表面2aに沿って流通するように放出する吹出し口6とを備えた太陽光発電パネル用整流架台を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電パネル用整流架台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅の屋根や架台等に設けられる太陽光発電パネルでは、そのパネル表面に土埃、鳥の糞や化学物質(粉塵)が付着する。これらの付着物が雨だけで落ちることはないため、清掃、メンテナンスが必要となるが、その作業が困難となっている。これに対応するため、高所作業が可能な清掃装置を用いてパネル表面を清掃することが例えば、特許文献1に提案されている。
【0003】
さらに、太陽光発電パネルが高温になると、発電能力が低下することから、冷水をパネル表面に流水して冷却することが行われている。例えば、特許文献2には、パネル表面に散水することにより、太陽光発電に伴う温度上昇を防止する散水設備について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−40592号公報
【特許文献2】特開2010−129677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の太陽光発電パネルでは、以下のような問題があった。
すなわち、従来の架台によって支持される太陽光発電パネルでは、図7に示すように、例えばパネル100の後方(図7で右側)から風Eが吹き付ける場合、風下側に後流渦Uが発生することでパネル上部に負圧が発生し、パネル100に対する浮き上がり力Pが作用してパネル100自体、或いは架台101とともに浮き上がるという問題があった。
また、特許文献1の清掃装置を用いてパネル表面を清掃する場合、特別な清掃装置を用いる必要があり、その点で改良する余地があった。
さらに、特許文献2では、特別な冷却装置が必要であり、冷却装置に供給する水の確保が困難であるうえ、装置を稼動させるための動力が必要となる。しかも、この場合には、パネル表面に水膜が生じることにより、発電効率が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、風下側の後流渦の発生を防ぎ、パネル上部での負圧の発生を抑えることで、太陽光発電パネルの浮き上がりを防止することができる太陽光発電パネル用整流架台を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、パネル表面の清掃の手間を低減することができるうえ、特別な冷却設備を設けることなく、簡単な構成でパネル表面を冷却して発電効率の低下を防止することができる太陽光発電パネル用整流架台を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る太陽光発電パネル用整流架台では、太陽光発電パネルに設けられる太陽光発電パネル用整流架台であって、パネル上部部分からパネル後側下方に向けて延びる第1遮風板と、少なくとも1つがパネル上方側に設けられ、第1遮風板の遮風面に対して間隔をあけて配置されるとともに、第1遮風板との間を通過する空気を第1遮風板に沿って上方へ移動するように配置させた第1整流板と、第1整流板のうちパネル上方側に位置する第1整流板に設けられ、第1遮風板に沿って案内されたパネル後方からの空気をパネル表面に沿って流通するように放出する吹出し口とを備えていることを特徴としている。
【0008】
本発明では、太陽光発電パネルの後方から風が吹いた場合、風上側となるパネル上方側に設けられた第1遮風板と第1整流板との間に空気が流れ込み、その空気が第1遮風板に沿って吹出し口側へ向けて流れる。つまり、第1遮風板と第1整流板とで後方からの風を集め、その空気が吹出し口からパネル表面に向けて強制風として吹き出されることになる。そして、パネル表面に沿って下側に向けて空気が流通することになる。
また、太陽光発電パネルの前方から風が吹いた場合、その空気がパネル表面に沿って上側に向けて流通し、パネル上方側に設けられている吹出し口に流れ込み、第1遮風板と第1整流板との間を通過してパネル後方へと放出されることになる。つまり、上記吹出し口を設けることにより、パネル表面に沿って空気が流通し易くなり、この通過風が強制風となる。
【0009】
このように、パネル表面において風上側から風下側へ向けて強制的に送風することにより、風下側で後流渦が発生しにくくなり、さらに渦がパネル表面に付着しにくくなる。そのため、パネル上部での負圧が減少することになり、パネル自体、或いはパネルを支持する架台の浮き上がりを抑制することができる。
さらに、第1整流板を設けることで、その整流板の上下面を通過する空気の圧力差で整流板自体に下向きの力(ダウンフォース)が発生することになる。したがって、整流板によって架台を介して太陽光発電パネルが下方に押さえ付けられるので、パネル自体、或いは架台の浮き上がりをより確実に抑制することができる。
【0010】
また、パネル表面に強制風を吹き掛けることにより、その表面に付いている土埃や粉塵等の汚れを吹き飛ばすことが可能となり、パネル表面部分に空気が停滞するのを防ぐことができるため、汚れが付着しにくくなる利点がある。
さらに、パネル表面に強制風を吹き掛けることにより、太陽光発電パネルの発電時の温度上昇を抑制することができ、発電効率を向上させることができる。
【0011】
また、本発明に係る太陽光発電パネル用整流架台では、パネル下部部分からパネル下方側に向けて延びる第2遮風板と、第2遮風板の遮風面に対して下方側に向けて開くようにして配置された第2整流板とを備えていることが好ましい。
【0012】
本発明では、太陽光発電パネルの後方から風が吹いた場合、その空気が吹出し口からパネル表面に向けて強制風として吹き出されることになる。そして、パネル表面に沿って下側に向けて流通した空気は、風下側となるパネル下方側に設けられている第2遮風板と第2整流板との間を通過してパネル前方へと放出されることになる。また、太陽光発電パネルの前方から風が吹いた場合、その空気がパネル下方側に設けられた第2遮風板と第2整流板との間を通過し、パネル表面に向けて強制風として吹き出され、パネル表面に沿って上側に向けて流通した空気が吹出し口に流れ込み、第1遮風板と第1整流板との間を通過してパネル後方へと放出されることになる。
【0013】
また、第2遮風板と第2整流板との間を通過した空気によりパネル表面に強制風を吹き掛けることにより、その表面に付いている土埃や粉塵等の汚れを吹き飛ばすことが可能となり、パネル表面部分に空気が停滞するのを防ぐことができるため、汚れが付着しにくくなる利点がある。
さらに、パネル表面に強制風を吹き掛けることにより、太陽光発電パネルの発電時の温度上昇を抑制することができ、発電効率を向上させることができる。
さらにまた、第2整流板を設けることで、その第2整流板の上下面を通過する空気の圧力差で整流板自体に下向きの力(ダウンフォース)が発生することになる。したがって、整流板によって架台を介して太陽光発電パネルが下方に押さえ付けられるので、パネル自体、或いは架台の浮き上がりをより確実に抑制することができる。
【0014】
また、本発明に係る太陽光発電パネル用整流架台では、第1整流板は、互いに間隔をあけて複数配列されていることが好ましい。
【0015】
本発明では、第1遮風板に対して複数の第1整流板を設けることで、太陽光発電パネルの後方から風を受けるとき、第1整流板同士の間を通過する風を第1遮風板の遮風面に沿って吹出し口側に流れるように集めることができる。つまり、より多くの風をこれら複数の整流板によって集めて吹出し口から送風させることができる。
【0016】
また、本発明に係る太陽光発電パネル用整流架台では、第1遮風板は、太陽光発電パネルの裏側空間を塞ぐように設けられていることが好ましい。
【0017】
本発明では、第1遮風板によって太陽光発電パネルの裏側空間への風の流れ込みを少なくすることができるので、パネル裏面に風による正圧がかかるのを抑制することができる。すなわち、第1遮風板は、後方からの風をパネルの裏側空間に流れ込まないように吹出し口側に誘導する効果を有している。
【発明の効果】
【0018】
本発明の太陽光発電パネル用整流架台によれば、パネル上方側に第1整流板及び第1遮風板を設けてパネル後方からの風を集め、その空気をパネル表面に積極的に流通させることで、パネルの風下側の後流渦の発生を防ぎ、パネル上部での負圧の発生を抑えることが可能となり、太陽光発電パネルの浮き上がり防止することができる。
また、少なくとも風が吹いているときには、パネル表面に常時空気が流れる状態となって空気の停滞を防ぐことができることから、土埃や粉塵等の付着を少なくすることができ、パネル表面の清掃にかかる手間を低減することができる。
しかも、本発明の太陽光発電パネル架台によれば、特別な冷却設備が不要であり、簡単な構成によりパネル表面を冷却して発電効率の低下を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態による太陽光発電パネルに備えた整流架台の構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す整流架台を後側より見た斜視図である。
【図3】整流架台の構成を示す側面図である。
【図4】整流架台による空気の流れを示す側面図であって、(a)は後方から風が吹いた場合、(b)は前方から風が吹いた場合である。
【図5】第2の実施の形態による太陽光発電パネルに備えた整流架台の構成を示す側面図である。
【図6】図5の整流架台の空気の流れを示す側面図であって、(a)は後方から風が吹いた場合、(b)は前方から風が吹いた場合である。
【図7】従来の太陽光発電パネルに対する空気の流れを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態による太陽光発電パネル用整流架台について、図面に基づいて説明する。
【0021】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、本実施の形態による太陽光発電パネル用整流架台(以下、単に整流架台1という)は、太陽光発電パネル2を下方より支持する架台本体3に図示しない連結部材を介して設けられている。
太陽光発電パネル2は、受光面をなすパネル表面2aを南向きに斜めに配置されている。ここで、図1における設置状態において、パネル裏面2b側を「後方」、「後側」といい、パネル表面2a側を「前方」、「前側」という。
【0022】
架台本体3は、図1乃至図3に示すように、H型鋼材や溝形鋼材(チャンネル鋼材)などが組み合わされた構成であり、設置面に設けられるベース31と、ベース31上に太陽光発電パネル2の設置角度と略平行で斜め後方に向けて配置される支持板32と、この支持板32の上部を支持する斜め前方に向けて配置される斜材33と、を備えている。支持板32と斜材33とは、それぞれの上端同士を互いに接合させ、それぞれの下端がベース31に固定された構成となっている。ここで、支持板32と斜材33の接合部を上部角部3a(図3)という。
【0023】
図1乃至図3に示すように、整流架台1は、パネル上部部分からパネル後側下方に向けて延びる第1遮風板4と、第1遮風板4の後方に面する遮風面4aに対して間隔をあけて配置されるとともに、第1遮風板4との間を通過する空気Eを第1遮風板4に沿って上方へ移動するように配置させた複数(ここでは4つ)の第1整流板5(5A、5B、5C、5D)と、パネル上方側に位置する第1整流板5(以下、必要に応じて「最上部整流板5A」という)に設けられ、第1遮風板4に沿って案内されたパネル後方からの空気Eをパネル表面2aに沿って流通するように放出する吹出し口6と、パネル下部部分からパネル下方側に向けて延びる第2遮風板7と、第2遮風板7の前方側の遮風面7aに対して間隔をあけるとともに、第2遮風板7の遮風面7aに対して下方側に向けて開くようにして配置された第2整流板8と、を備えて概略構成されている。
【0024】
第1遮風板4は、架台本体3の裏側空間Rを塞ぐように設けられ、上端4bが架台本体3の上部角部3aに固定され、斜材33に沿って下方に向けて延びるとともに、その下端4cが後方へ向けて湾曲している。
【0025】
第1整流板5(5A、5B、5C、5D)は、それぞれ太陽光発電パネル2の幅方向Xに沿って延びるとともに下面側が流線形となる羽根形状をなし、第1遮風板4の遮風面4aに沿って上下方向に間隔をあけて配列され、最上部整流板5Aを除いた整流板5B〜5Dが第1遮風板4に沿って下部に向かうにしたがって漸次上方に向くように配置されている。最上部整流板5Aは、架台本体3の上部角部3aの直上に離間をもって配置されている。そして、4つの第1整流板5(5A〜5D)は、第1遮風板4の遮風面4aに沿って空気Eが上方(吹出し口6側)へ流れ易くなるようにそれぞれが適宜な角度に設定されている。
【0026】
吹出し口6は、太陽光発電パネル2と同じ傾斜角度でパネル表面2aに対して所定の間隔をあけて略平行に配置される板状部材であり、最上部整流板5Aから前方へ向けて突出するようにして一体的に設けられている。すなわち、吹出し口6は、後側から流入する空気Eをパネル表面2aに向けて吹き出すことが可能な構成となっている。
【0027】
第2遮風板7は、太陽光発電パネル2の下端部に連設し、ベース31に沿うようにして前方に向けて湾曲している。この第2遮風板7の前方に面する遮風面7a側には、遮風面7aに対して所定の傾斜角度をもって第2整流板8が配置されている。具体的に第2整流板8は、第1整流板5と同様の形状をなしており、その前端8a側が第2遮風板7に対して前方に開いた状態となっている。
【0028】
上述した整流架台1の部材(第1遮風板4、第1整流板5、第2遮風板7、第2整流板8)は、例えば鉄板、プラスチック、合成樹脂等の部材を採用することができる。
【0029】
次に、上述した整流架台1の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
図4(a)に示すように、太陽光発電パネル2の後方から風が吹いた場合、風上側となるパネル上方側に設けられた第1遮風板4と第1整流板5(5A〜5D)との間に空気Eが流れ込み、その空気Eが第1遮風板4に沿って吹出し口6側へ向けて流れる。つまり、第1遮風板4と第1整流板5とで後方側からの風を集め、その空気Eが吹出し口6からパネル表面2aに向けて強制風として吹き出されることになる。そして、パネル表面2aに沿って下側に向けて通過した空気Eは、風下側となるパネル下部側に設けられている第2遮風板7と第2整流板8との間を通過してパネル前方へと放出されることになる。
【0030】
また、図4(b)に示すように、太陽光発電パネル2の前方から風が吹いた場合、その空気Eがパネル下部側に設けられた第2遮風板7と第2整流板8との間を通過し、その空気Eがパネル表面2aに向けて強制風として吹き出されることになる。そして、パネル表面2aに沿って上側に向けて流通した空気Eは、パネル上方側に設けられている吹出し口6に流れ込み、第1遮風板4と第1整流板5との間を通過してパネル後方へと放出されることになる。つまり、パネル表面2aに沿って空気Eが流通し易くなり、この通過風が強制風となる。
【0031】
このように、パネル表面2aにおいて風上側から風下側へ向けて強制的に送風することにより、風下側での後流渦が発生しにくくなり、さらに渦がパネル表面2aに付着しにくくなる。そのため、パネル上部での負圧が減少することになり、太陽光発電パネル2、或いは架台本体3の負圧を原因とした浮き上がりを抑制することができる。
【0032】
さらに、第1整流板5及び第2整流板8を設けることで、それら整流板5、8の上下面を通過する空気の圧力差で各整流板5、8自体に下向きの力F(ダウンフォース)が発生することになる。したがって、これら整流板5、8によって前記架台本体3を介して太陽光発電パネル2が下方に押さえ付けられるので、太陽光発電パネル2自体、或いは架台本体3の浮き上がりをより確実に抑制することができる。
【0033】
また、パネル表面2aに強制風を吹き掛けることにより、その表面2aに付いている土埃や粉塵等の汚れを吹き飛ばすことが可能となり、さらにパネル表面2a部分に空気が停滞するのを防ぐことができるため、汚れが付着しにくくなる利点がある。
さらに、パネル表面2aに強制風を吹き掛けることにより、太陽光発電パネル2の発電時の温度上昇を抑制することができ、発電効率を向上させることができる。
【0034】
また、太陽光発電パネル2の後方から風を受けるとき、第1遮風板4に対して複数(4つ)の第1整流板5(5A〜5D)を設けることで、第1整流板5、5同士の間を通過する風を第1遮風板4の遮風面4aに沿って吹出し口6側に流れるように集めることができる。つまり、より多くの風これら複数の第1整流板5によって集めて吹出し口6から送風させることができる。
【0035】
また、第1遮風板4が太陽光発電パネル2の裏側空間Rを塞ぐように設けられており、第1遮風板4によって太陽光発電パネル2の裏側空間Rへの風の流れ込みを少なくすることができるので、パネル裏面2bに風による正圧がかかるのを防止することができる。すなわち、第1遮風板4は、後方からの風をパネル2の裏側に流れないように吹出し口6に案内し、パネル表面2aに流す効果を有している。
【0036】
なお、吹出し口6の開口寸法は、任意に設定することが可能であるが、パネル表面2aに吹き掛ける送風量を増やす場合には、吹出し口6の開口量を小さくして空気の流速を大きくすれば良い。
【0037】
上述した本実施の形態による太陽光発電パネル用整流架台では、パネル上方側に第1整流板5及び第1遮風板4を設けてパネル後方からの風を集め、その空気Eをパネル表面2aに積極的に流通させることで、パネルの風下側の後流渦の発生を防ぎ、パネル上部での負圧の発生を抑えることが可能となり、太陽光発電パネル2の浮き上がり防止することができる。
また、少なくとも風が吹いているときには、パネル表面2aに常時空気が流れる状態となって空気の停滞を防ぐことができることから、土埃や粉塵等の付着を少なくすることができ、パネル表面2aの清掃にかかる手間を低減することができる。
しかも、特別な冷却設備が不要であり、簡単な構成によりパネル表面2aを冷却して発電効率の低下を防止することができるという効果を奏する。
【0038】
次に、本発明の太陽光発電パネル用整流架台による他の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1の実施の形態と異なる構成について説明する。
【0039】
(第2の実施の形態)
図5に示すように、第2の実施の形態による整流架台1A(太陽光発電用整流架台)は、住宅等の建物の傾斜屋根34に設置した太陽光発電パネル2に適用している。この場合、2つの第1整流板5(5A、5B)が設けられており、側面視で山型の傾斜屋根34の南側(図5で屋根頂部より左側)の第1傾斜部34Aに太陽光発電パネル2が設けられ、反対の北側(図5で屋根頂部より右側)の第2傾斜部34Bが遮風板(第1遮風板)に相当している。
なお、太陽光発電パネル2のパネル下部部分には、上記第1の実施の形態と同様に第2遮風板7及び第2整流板8が設けられている。
【0040】
この場合も、上述した第1の実施の形態と同様の作用、効果となる。図6(a)に示すように、太陽光発電パネル2の後方から風が吹いた場合、風上側となるパネル上方側に位置する第1傾斜部34Aと第1整流板5(5A、5B)との間に空気Eが流れ込み、第1傾斜部34Aに沿って吹出し口6側へ向けて流れる。つまり、第1傾斜部34Aと第1整流板5とで後方からの風を集め、その空気Eを吹出し口6からパネル表面2aに向けて強制風として吹き出されることになる。そして、パネル表面2aに沿って下側に向けて流通した空気Eは、風下側となるパネル下方側に設けられている第2遮風板7と第2整流板8との間を通過してパネル前方へと放出されることになる。
【0041】
また、図6(b)に示すように、太陽光発電パネル2の前方から風が吹いた場合、パネル下方側に設けられた第2遮風板7と第2整流板8との間を通過し、その空気Eがパネル表面2aに向けて強制風として吹き出されることになる。そして、パネル表面2aに沿って上側に向けて流通した空気Eは、パネル上方側に設けられている吹出し口6に流れ込み、第1傾斜部34Aと第1整流板5との間を通過してパネル後方へと放出されることになる。
【0042】
このように、負圧が発生するパネル表面2aにおいて、風上側から風下側へ向けて強制的に送風することにより、風下側での後流渦が発生しにくくなり、さらに渦がパネル表面2aに付着しにくくなる。そのため、パネル上部での負圧が減少することになり、太陽光発電パネル2、或いは架台本体3の負圧を原因とした浮き上がりを抑制することができる。
【0043】
以上、本発明による太陽光発電パネル用整流架台の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施の形態ではパネル下方側に第2遮風板7及び第2整流板8を設ける構成としているが、これらを省略することも可能である。これら第2遮風板7及び第2整流板8が無い場合には、太陽光発電パネル2の後方から風が吹いたとき、パネル表面2aに沿って下側に向けて空気Eが流通する。また、太陽光発電パネル2の前方から風が吹いたとき、パネル表面2aに沿って上側に向けて通過した空気Eは、パネル上方側に設けられている吹出し口6に流れ込み、第1遮風板4と第1整流板5との間を通過してパネル後方へと放出されることになる。
【0044】
また、第1の実施の形態では第1整流板5を4つ、第2の実施の形態では2つ設けた構成としているが、これらの数量に限定されることはなく、1つであってもかまわない。第1整流板5を1つ設ける場合は、パネル上方側に設けるようにすれば良い。
さらに、第1遮風板及び第2遮風板は、上述した第2の実施の形態のように傾斜屋根34の傾斜部34A、34Bを利用した構成とすることも可能である。
さらにまた、遮風板や整流板の形状、材質、向き、取付け位置(遮風板と整流板との間隔、整流板同士の配列間隔)等の構成は、太陽光発電パネルの大きさ、架台本体3の形状、屋根の形状、或いはパネル取り付け箇所の自然条件(例えば、強風が多い場所)等の条件に応じて適宜設定することができる。
【0045】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0046】
1、1A 整流架台(太陽光発電パネル用整流架台)
2 太陽光発電パネル
2a パネル表面
2b パネル裏面
3 架台本体
3a 上部角部
4 第1遮風板
5、5A〜5D 第1整流板
6 吹出し口
7 第2遮風板
8 第2整流板
E 空気
R パネルの裏側空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電パネルに設けられる太陽光発電パネル用整流架台であって、
パネル上部部分からパネル後側下方に向けて延びる第1遮風板と、
少なくとも1つがパネル上方側に設けられ、該第1遮風板の遮風面に対して間隔をあけて配置されるとともに、前記第1遮風板との間を通過する空気を前記第1遮風板に沿って上方へ移動するように配置させた第1整流板と、
該第1整流板のうち前記パネル上方側に位置する第1整流板に設けられ、前記第1遮風板に沿って案内されたパネル後方からの空気をパネル表面に沿って流通するように放出する吹出し口と、
を備えていることを特徴とする太陽光発電パネル用整流架台。
【請求項2】
パネル下部部分からパネル下方側に向けて延びる第2遮風板と、
該第2遮風板の遮風面に対して下方側に向けて開くようにして配置された第2整流板と、
を備えていることを特徴とする太陽光発電パネル用整流架台。
【請求項3】
前記第1整流板は、互いに間隔をあけて複数配列されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽光発電パネル用整流架台。
【請求項4】
前記第1遮風板は、前記太陽光発電パネルの裏側空間を塞ぐように設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の太陽光発電パネル用整流架台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−93376(P2013−93376A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233115(P2011−233115)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000006655)新日鐵住金株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】