説明

太陽光発電モジュール

【課題】平板状のサブモジュールを用いて受光面積を確保しつつ、風圧荷重に応じた強度を有する太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【解決手段】短冊状のサブモジュールと、このサブモジュールを所定量の間隙を設け複数並列に載置する支持枠体と、を備え、前記サブモジュールの短辺縁部は、前記支持枠体の内側と接合され、前記サブモジュールの受光面が略一定の傾斜を有することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は太陽光発電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムの施工において、太陽光発電モジュール(以下、モジュールと記載する)を載置する架台の設計は非常に重要である。架台は、平板状のモジュールをその発電効率が適正となるように基礎面に対して、所定の傾斜角に設置、固定するためのものである。傾斜角を有することで、風圧の影響を受け、設置地域の風速、設置箇所の高度等を十分考慮の上設計を行う必要が生じる。また、既存の建物の屋上に設置する場合などは、防止構造を施して基礎の設計を行うことも必要となる。
【0003】
そこで太陽電池セルを連ねた太陽電池サブモジュール(以下、単にサブモジュールと記載する)を円筒形とし、枠体に水平かつ一定間隔に設け、いわば梯子状としたモジュールが考案されている。この態様では、傾斜角の調整が不要となり、風圧を受けづらい構造であるため、設置の自由度が向上し、結果として設置費用が低減できる。
【0004】
しかしながら、この態様では相対的にサブモジュールの受光面積が少なく、床面からの反射光を必要とするため、設置可能場所の制約がある等の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7,394,016号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、平板状のサブモジュールを用いて受光面積を確保しつつ、風圧荷重に応じた強度を有する太陽電池モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、実施形態の太陽光発電モジュールは、短冊状のサブモジュールと、このサブモジュールを所定量の間隙を設け複数並列に載置する支持枠体と、を備え、前記サブモジュールの短辺縁部は、前記支持枠体の内側と接合され、前記サブモジュールの受光面が略一定の傾斜を有することを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態による太陽光発電モジュールの構成を示す概略図。
【図2】第2の実施形態による太陽光発電モジュールの構成を示す概略断面図。
【図3】第3の実施形態による太陽光発電モジュールの構成を示す簡略断面図。
【図4】第4の実施形態による太陽光発電モジュールの構成を示す簡略断面図。
【図5】第5の実施形態による太陽光発電モジュールの構成を示す簡略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明を実施するための実施形態について説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の太陽光発電モジュールについて図1を参照して説明する。図1は第1の実施形態の太陽光発電モジュールを示す概略図である。
【0011】
太陽光発電モジュール1は、短冊状のサブモジュール2、支持枠体3を有している。サブモジュール2は所定の間隙を設け、支持枠体3に複数枚並列に載置されている。
【0012】
サブモジュール2は、単結晶、多結晶、アモルファス型のシリコン太陽電池、化合物系の太陽電池、有機薄膜系の太陽電池など公知の太陽電池セルを配列したもので構成される。
【0013】
サブモジュール2は、短冊状の長方形であり、大きさは適宜設計できるが、一般には長辺が約1m、短辺は約30cm程度で、シリコン太陽電池を製造する際のインゴットやウェハーの直径を基準に決まる場合が多い。またサブモジュール2の厚さは2〜5cmほどである。
【0014】
支持枠体3は、短冊状のサブモジュール2を載置するためのもので、従前の架台の役目も有している。大きさは、短辺がサブモジュール2の長辺と同程度、長辺が約1.5〜2.0mである。重量としては、設置環境、設置角度等により異なるが、支持枠体3とサブモジュール2を合わせた重量が、風圧荷重に対して大きいことが望ましい。
【0015】
支持枠体3に載置されるサブモジュール2の間隔は自由に設定できる。サブモジュール2に一定の間隔があることで、その間隙を風が通過し、風圧によって太陽光発電モジュール1が、持ち上がることを防ぐことができる。
【0016】
また、載置されるサブモジュール2は、支持枠体3の水平面に対し任意の角度で傾斜をもたせていてもよい。一般的に、日本国内であれば年間平均日射量を最大化するための最適な傾斜角は10°〜30°程度である。また、多雪地域においてはモジュール上に雪が堆積するのを防ぐため、30°〜60°程度にする場合もある。
【0017】
なお、本実施形態の太陽光発電モジュール1は、基礎面に平置きしてもよいし、さらに架台を備えて太陽光発電モジュール1全体を傾斜させてもよい。ただし、太陽光発電モジュール1全体を傾斜さえたせたとしても、上記のように日射量最大化のために、サブモジュール2は傾斜しておくことが望ましい。
【0018】
サブモジュール2と支持枠体3は、サブモジュール2の短辺縁部と、支持枠体3の内側において接合されている。接合の仕方は、たとえばサブモジュール2の短辺縁部に軸を設け、他方支持枠体3に軸受を備え、回転可動とするような構造を採用することができる。上記のように、季節毎の日射量最大化や冬場の積雪対策のため、任意にサブモジュール2の傾斜を設定できるような構造が好ましい。
【0019】
この構成によれば、受光面積を確保しつつ、風圧荷重に応じた強度を有する太陽電池モジュールを提供することができる。
【0020】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について図2を用いて説明する。図2は太陽光発電モジュール1を横から見た図である。第1の実施形態と同一部分には同一符号を付している。
【0021】
サブモジュール2の長辺縁部は、同一平面状になるよう載置されている。すなわち、サブモジュール2の長辺縁部は図2における破線Aに揃えるように、載置されていることが好ましい。サブモジュール2が突出していると、その後方のサブモジュール2に影ができ、その結果発電量、ひいては太陽光発電モジュール1全体の発電量に影響を与えるからである。
【0022】
破線Aの高さ(支持枠体3からサブモジュール2の上部長辺縁部までの距離)は任意に設定できるが、サブモジュール2の短辺の長さに対し、半分以下であることが好ましい。あまりにも支持枠体3から突出していると、太陽光発電モジュール1の重心が高くなり、風圧荷重に耐え切れなくなることも考えられるからである。
【0023】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について図3を用いて説明する。図3も図2と同様、太陽光発電モジュール1を横から見た図であり、支持枠体3の内側を投影した図である。第1の実施形態と同一部分には同一符号を付している。
【0024】
支持枠体3の内側には、サブモジュール2がある一定の傾斜角度にて固定できるような接合受部4を備えている。図3では接合受部4は断面的にコの字型を有しているが、サブモジュール2と支持枠体3が固定できるような接合受部であれば、どのような形態でもかまわない。また、支持枠体3と接合受部4が一体成型されていても良い。いずれにしても、あらかじめ支持枠体3に接合受部4を設けることで、例えば、モジュール化に際し、個々のサブモジュール2の傾斜角度の調整が必要なくなり、製造工程の簡略化を図ることができる。また、併せて太陽光発電モジュールの標準化等も図ることができる。
【0025】
(第4の実施形態)
第4の実施形態について図4を用いて説明する。図4も図3と同様、太陽光発電モジュール1を横から見た図であり、支持枠体3の内側を投影した図である。第1の実施形態と同一部分には同一符号を付している。図4(a)は、夏場など太陽の高度が高い時の太陽光発電モジュール1の態様を示した図であり、図4(b)は、冬場など太陽の高度が低い時の太陽光発電モジュール1の態様を示した図である。
【0026】
支持枠体3は、図4のようにほぼ同一形状の二つの枠体3A、3Bを有している。サブモジュール2の短辺縁部は枠体3A、3Bそれぞれの内側に接合部5によって支持されている。接合部5は第1の実施形態のように回転可動な治具であることが好ましい。
【0027】
枠体3A、3Bをサブモジュール2の長辺に垂直方向(例えば、図3の矢印の方向)に相互にずらすことによって、載置されているサブモジュール2の傾斜角度を可変とすることができる。すなわち、夏場、太陽の高度が高いときは図4(a)、冬場、太陽の高度が低いときには図4(b)のような態様とすることにより、サブモジュール2の受光面を太陽光の照射方向に対して略垂直に向けることが可能となり、季節毎により高い発電効率を実現することができる。
【0028】
(第5の実施形態)
第5の実施形態について図5を用いて説明する。図5は太陽光発電モジュール1を設置面に対して上から見た図である。第1の実施形態と同一部分には同一符号を付している。
【0029】
この実施形態では、支持枠体3の内部に出力ケーブル6を配設している。第3の実施形態同様、モジュール化に際し、製造工程を簡略化できる。
【0030】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の意図を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
1 太陽光発電モジュール
2 サブモジュール
3 支持枠体
4 接合受部
5 接合部
6 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
短冊状のサブモジュールと、
このサブモジュールを所定量の間隙を設け複数並列に載置する支持枠体と、を備え、
前記サブモジュールの短辺縁部は、前記支持枠体の内側と接合され、前記サブモジュールの受光面が略一定の傾斜を有することを特徴とする太陽光発電モジュール。
【請求項2】
前記サブモジュールは、各々の長辺縁部が同一平面上にあるように前記支持枠体に載置されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項3】
前記支持枠体は、内側に複数の接合受部を備え、
この接合受部と前記サブモジュールの短辺縁部が嵌合することにより接合すること
を特徴とする請求項1または2に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項4】
前記支持枠体は、同一形状の二つの枠体が重なっており、
前記サブモジュールの短辺縁部が前記各々の枠体の内側と接合し、
前記枠体を相互にずらすことにより、前記サブモジュールの傾斜を可変とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽光発電モジュール。
【請求項5】
前記支持枠体は、内部に前記サブモジュールの出力ケーブルを収納していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽光発電モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−77659(P2013−77659A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215736(P2011−215736)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】