説明

太陽光発電装置

【課題】複数の太陽電池の中から異常が発生した太陽電池を特定する作業を低減し、導入コストを抑制することのできる太陽光発電装置を提供することにある。
【解決手段】並列に接続された複数の太陽光パネル群G1〜Gjから発電された電気を充電する蓄電器1を備えた太陽光発電装置10であって、複数の太陽光パネル群G1〜Gjを同一の照度に対する出力電流I1〜Ijが異なるように構成し、複数の太陽光パネル群G1〜Gjにより蓄電器1に印加される電圧Vbを計測し、計測した電圧Vbと予め推定された電圧Vbとの差に基づいて、異常のある太陽光パネル群G1〜Gjを検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、太陽光発電装置は、多数の太陽電池で構成することが知られている。また、太陽電池の異常を検知する異常検知装置が開示されている(例えば、特許公報1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−334767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多数の太陽電池で構成された太陽光発電装置の一部の太陽電池に異常が発生した場合、異常が発生した太陽電池を特定するには大きな労力を要する。また、太陽電池に異常検知装置を取り付ける場合、太陽電池の数に比例した数の異常検知装置が必要になる。従って、異常検知装置を大規模な太陽光発電装置に取り付ける場合、異常検知装置に掛かる費用又はその設置作業に掛かる人件費などの導入コストが増大する。
【0005】
そこで、本発明の目的は、複数の太陽電池の中から異常が発生した太陽電池を特定する作業を低減し、導入コストを抑制することのできる太陽光発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の観点に従った太陽光発電装置は、並列に接続され、同一の照度に対する出力電流が異なる複数の太陽光発電手段と、前記複数の太陽光発電手段により発電された電気を蓄える蓄電手段と、前記複数の太陽光発電手段から前記蓄電手段に出力される電気量を計測する電気量計測手段と、前記電気量計測手段により計測された電気量と予め決められた電気量との差に基づいて、前記複数の太陽光発電手段のうち異常のある前記太陽光発電手段を検出する異常検出手段とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の太陽電池の中から異常が発生した太陽電池を特定する作業を低減し、導入コストを抑制することのできる太陽光発電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る太陽光発電装置の構成を示す構成図。
【図2】第1の実施形態に係る蓄電器の構成を示す構成図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電装置の構成を示す構成図。
【図4】第2の実施形態に係る蓄電器の構成を示す構成図。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る太陽光発電装置の構成を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る太陽光発電装置10の構成を示す構成図である。なお、以降の図における同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、異なる部分について主に述べる。以降の実施形態も同様にして重複する説明を省略する。
【0011】
太陽光発電装置10は、第1群から第j群までのj(j>2)個の太陽光パネル群G1,G2,…,Gjと、蓄電器1とを備えている。蓄電器1は、建屋9内(屋内)に設置されている。太陽光パネル群G1〜Gjは、屋外に設置されている。
【0012】
全ての太陽光パネル群G1〜Gjは、並列に接続されている。並列に接続された太陽光パネル群G1〜Gjは、蓄電器1の入力端子に集電ケーブルL1P,L1Nで接続されている。これにより、全ての太陽光パネル群G1〜Gjは、発電した電力が蓄電器1に充電されるように接続されている。
【0013】
各太陽光パネル群G1〜Gjは、直列に接続された複数の太陽光パネル(太陽電池又は光起電力素子など)P11〜Pjmと、端子TR1〜TRjとを備えている。太陽光発電装置10を構成する全ての太陽光パネルP11〜Pjmは、全て同一性能であるものとする。
【0014】
各太陽光パネル群G1〜Gjを構成する太陽光パネルP11〜Pjmの個数は、全て異なるように構成されている。第1群の太陽光パネル群G1は、n個の太陽光パネルP11〜P1nを備えている。第2群の太陽光パネル群G2は、k個の太陽光パネルP21〜P2kを備えている。第j群の太陽光パネル群Gmは、m個の太陽光パネルPj1〜Pjmを備えている。
【0015】
各太陽光パネル群G1〜Gjにおいて、直列に接続された太陽光パネルP11〜P1n,P21〜P2k,Pj1〜Pjmは、それぞれ端子TR1〜TRjと接続されている。太陽光パネル群G1〜Gjは、発電電力をそれぞれの端子TR1〜TRjから蓄電器1に出力する。
【0016】
図2を参照して、蓄電器1の構成について説明する。なお、蓄電器1の電気を蓄える蓄電部分の構成及びその制御については、図示及び説明を省略する。
【0017】
蓄電器1は、電圧計11と、異常診断回路12とを備えている。また、蓄電器1には、内部抵抗Rbがある。
【0018】
電圧計11は、蓄電器1の入力端子に印加される電圧Vbを計測する。電圧計11により計測される電圧Vbは、蓄電器1に流入する電流Ibと内部抵抗Rbとの積である。電圧計11は、計測した電圧Vbを異常診断回路12に出力する。
【0019】
異常診断回路12は、電圧計11により計測された電圧Vbに基づいて、異常のある太陽光パネル群G1〜Gjがあるかどうかを診断する。異常のある太陽光パネル群G1〜Gjとは、異常が発生した太陽光パネルP11〜Pjmが含まれる太陽光パネル群G1〜Gjのことである。異常診断回路12は、異常のある太陽光パネル群G1〜Gjを検出した場合、異常として検出された太陽光パネル群G1〜Gjを特定する情報を含む異常信号SNを出力する。
【0020】
次に、異常のある太陽光パネル群G1〜Gjの検出方法について説明する。ここでは、全ての太陽光パネル群G1〜Gjには均一に太陽光が照射されているものとする。
【0021】
全ての太陽光パネルP11〜Pjmの性能は同一であるため、太陽光パネル群G1〜Gjは、それぞれの太陽光パネルP11〜Pjmの個数に比例した電力を発電する。また、各太陽光パネル群G1〜Gjは、それぞれの太陽光パネルP11〜Pjmの個数が全て異なるように構成されている。従って、各太陽光パネル群G1〜Gjが発電する電力は全て異なる。
【0022】
また、全ての太陽光パネル群G1〜Gjは並列に接続にされているため、各太陽光パネル群G1〜Gjから出力される電圧Vbは全て同じである。従って、全ての太陽光パネル群G1〜Gjに均一に太陽光が照射されている場合、各太陽光パネル群G1〜Gjから出力される電流量I1,I2,…,Ijは全て異なる。蓄電器1には、各太陽光パネル群G1〜Gjから出力される電流I1〜Ijの総和の電流Ibが流入する。
【0023】
ここで、太陽光パネルP11〜Pjmが異常になる最も多い例は、断線である。
【0024】
各太陽光パネル群G1〜Gjにおいて、太陽光パネルP11〜Pjmは直列に接続されている。従って、各太陽光パネル群G1〜Gjにおいて、構成されている太陽光パネルP11〜Pjmのうち1つでも断線すれば、その太陽光パネルP11〜Pjmを含む太陽光パネル群G1〜Gjの出力電流I1〜Ijはゼロになる。異常のある太陽光パネル群G1〜Gjの出力電流I1〜Ijがゼロになると、蓄電器1に流入する電流Ibは、その分の電流分だけが減少する。
【0025】
全ての太陽光パネル群G1〜Gjが正常の場合、次式が成り立つ。ここで、I1〜Ijは、それぞれ太陽光パネル群G1〜Gjが正常の場合に出力される電流を表している。
【0026】
Vb=(I1+I2+…+Ij)×Rb
また、各太陽光パネル群G1〜Gjが異常になった場合は、次式が成り立つ。
【0027】
第1群の太陽光パネル群G1が異常の場合:Vb=(I2+…+Ij)×Rb
第2群の太陽光パネル群G2が異常の場合:Vb=(I1+I3+…+Ij)×Rb
第j群の太陽光パネル群Gjが異常の場合:Vb=(I1+…+I(j−1))×Rb
このように、各太陽光パネル群G1〜Gjが異常になった場合の電圧計11により計測される電圧Vbは全て異なる。蓄電器1には、太陽光パネル群G1〜Gjが正常の場合及び各太陽光パネル群G1〜Gjのそれぞれが異常の場合に推定されるそれぞれの電圧Vbが予め記憶されている。蓄電器1は、正常又は異常などのそれぞれの場合において推定される電圧Vbに基づいて、異常のある太陽光パネル群G1〜Gjを検出する。
【0028】
例えば、電圧計11により計測された電圧Vbが所定電圧以上であれば、蓄電器1は、異常の太陽光パネル群G1〜Gjは無いと判断する。ここで、所定の電圧とは、太陽光パネル群G1〜Gjが正常の場合に蓄電器1に印加されることが推定される最小の電圧値である。
【0029】
電圧計11により計測された電圧Vbが正常であることを示す所定の電圧に満たない場合、蓄電器1は、次のように、異常のある太陽光パネル群P11〜Pjmを特定する。
【0030】
電圧計11により計測された電圧Vbが、ある太陽光パネル群が異常の場合に推定される電圧を中心とする所定の電圧範囲内にあれば、蓄電器1は、その太陽光パネル群が異常のある太陽光パネル群であると判断する。
【0031】
本実施形態によれば、多数の太陽光パネルP11〜Pjmを備えた太陽光発電装置10において、各太陽光パネル群G1〜Gjに均一の太陽光が照射している時の出力電流I1〜Ijが全て異なるように構成することで、異常のある太陽光パネル群を検出することができる。これにより、異常のある太陽光パネルP11〜Pjmを特定するための作業を軽減することができる。
【0032】
また、太陽光パネルP11〜Pjmのそれぞれに異常を検出するための機器等を設ける必要がないため、太陽光発電装置10の導入コストを低減することができる。
【0033】
さらに、異常のある太陽光パネル群G1〜Gjを蓄電器1が設置されている建屋9で特定することができる。このように、異常のある太陽光パネル群G1〜Gjを遠隔から特定することで、異常のある太陽光パネルP11〜Pjmの修理などの作業をし易くすることができる。
【0034】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電装置10Aの構成を示す構成図である。
【0035】
太陽光発電装置10Aは、図1に示す第1の実施形態に係る太陽光発電装置10において、蓄電器1を蓄電器1Aに代え、蓄電器1Aと各太陽光パネル群G1〜Gjとをそれぞれ測温ケーブルLg1,Lg2,…,Lgjで接続したものである。その他は、第1の実施形態に係る太陽光発電装置10と同様である。
【0036】
測温ケーブルLg1,Lg2,…,Lgjは、集電ケーブルL1P,L1Nの熱起電力係数と異なる熱起電力係数の材質で出来ている。
【0037】
図4は、本実施形態に係る蓄電器1Aの構成を示す構成図である。
【0038】
蓄電器1Aは、図2に示す第1の実施形態に係る蓄電器1において、異常診断回路12を異常診断回路12Aに代え、基準温度記憶部13と、太陽光パネル群G1〜Gjと同数の第1群から第j群までのj個の温度検出部141,142,…,14jとを追加した構成である。その他は、第1の実施形態に係る蓄電器1と同様である。
【0039】
各群の温度検出部141〜14jには、正極の集電ケーブルL1P(又は、負極の集電ケーブルL1N)及び対応する群の測温ケーブルLg1〜Lgjが接続されている。温度検出部141〜14jは、集電ケーブルL1P及び測温ケーブルLg1〜Lgjにより、建屋9内と太陽光パネル群G1〜Gjのそれぞれの代表箇所の温度差T1,T2,…,Tjを検出する。温度検出部141〜14jは、検出した温度差T1〜Tjを異常診断回路12Aに送信する。
【0040】
ここで、各群の温度検出部141〜14jによる温度差T1〜Tjの検出方法について説明する。
【0041】
測温ケーブルLg1〜Lgjと集電ケーブルL1Pは、材質の熱起電力係数が異なる。また、測温ケーブルLg1〜Lgj及び集電ケーブルL1Pの一端は、各太陽光パネル群G1〜Gjの設置されている屋外にある。もう一端は、蓄電器1Aが設置されている建屋9内にある。従って、各太陽光パネル群G1〜Gjの代表箇所と屋内との温度差に応じて、測温ケーブルLg1〜Lgjと集電ケーブルL1Pとの間に起電圧が発生する。即ち、測温ケーブルLg1〜Lgjと集電ケーブルL1Pは、熱電対になっている。各群の温度検出部141〜14jは、この起電圧を測定することで、各太陽光パネル群G1〜Gjの代表箇所と屋内との温度差T1〜Tjをそれぞれ測定することができる。
【0042】
各太陽光パネル群G1〜Gjの設置箇所と屋内とのそれぞれの温度差T1〜Tjは、各太陽光パネル群G1〜Gjに照射されている太陽光の照度に比例する。ここで、屋内の温度は、太陽光が全く照射されていない状態の温度と推定している。従って、これらの温度差T1〜Tjを把握することで、各太陽光パネル群G1〜Gjの発電電力を推測することができる。
【0043】
次に、第1群温度検出部141による温度差T1の演算方法について説明する。なお、他の群の温度検出部142〜14jも、同様に、温度差T2〜Tjを演算するものとする。
【0044】
集電ケーブルL1Pの熱起電力係数を「C」、第1群の測温ケーブルLg1の熱起電力係数を「K」、屋内の温度を「T」、第1群の太陽光パネル群G1の温度を「T1a」とすると、次式が成り立つ。
【0045】
集電ケーブルL1Pの熱起電力=C×(T−T1a)
測温ケーブルLg1の熱起電力=K×(T−T1a)
上記の2式により、蓄電器1Aで集電ケーブルL1Pと測温ケーブルLg1間の電位E1は以下の式で示される。
【0046】
E1=C×(T−T1a)−K×(T−T1a)
=T1×(C−K)
T1=E1/(C−K)
このようにして、第1群温度検出部141は、屋内と第1群の太陽光パネル群G1の温度との温度差T1を演算する。
【0047】
基準温度記憶部13には、太陽光パネル群G1〜Gjの異常を検出する場合の基準となる基準温度Trが予め記憶されている。例えば、基準温度は、太陽光パネル群G1〜Gjに太陽光が通常に照射されている場合の屋内と各太陽光パネル群G1〜Gjとの温度差である。基準温度記憶部13は、記憶している基準温度Trを異常診断回路12Aに送信する。
【0048】
異常診断回路12Aには、電圧計11により計測された電圧Vb、基準温度記憶部13に記憶されている基準温度Tr、及び各群の温度検出部141〜14jにより検出された各群の温度差T1〜Tjが入力される。異常診断回路12Aは、計測された電圧Vb、基準温度Tr及び各群の温度差T1〜Tjに基づいて、異常のある太陽光パネル群G1〜Gjを検出する。
【0049】
全ての群の温度差T1〜Tjが基準温度Trの許容範囲内にある場合、異常診断回路12Aは、第1の実施形態と同様に、異常のある太陽光パネル群G1〜Gjを検出する。
【0050】
各群の温度差T1〜Tjが全て基準温度Trの範囲内にある場合とは、異常のある太陽光パネル群G1〜Gjを検出するために想定している各太陽光パネル群G1〜Gjの発電電力の許容範囲内に、各群の温度差T1〜Tjにより推定される各太陽光パネル群G1〜Gjの発電電力がある場合である。
【0051】
次に、少なくとも1つの群の温度差T1〜Tjが基準温度Trの許容範囲内にない場合について説明する。
【0052】
異常診断回路12Aは、許容範囲内にない群の温度差T1〜Tjに基づいて、対応する太陽光パネル群G1〜Gjの推定している出力電流I1〜Ijを補正する。異常診断回路12Aは、全ての許容範囲内にない群の温度差T1〜Tjによる補正後に、推定される太陽光パネル群G1〜Gjの出力電流I1〜Ijの総和を演算する。
【0053】
異常診断回路12Aは、補正後の推定される太陽光パネル群G1〜Gjの出力電流I1〜Ij及びその総和に基づいて、太陽光パネル群G1〜Gjが正常の場合及び各太陽光パネル群G1〜Gjのそれぞれが異常の場合に推定されるそれぞれの電圧Vbを演算する。
【0054】
異常診断回路12Aは、それぞれの場合に推定される電圧Vbに基づいて、第1の実施形態と同様に、異常のある太陽光パネル群G1〜Gjを検出する。
【0055】
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
【0056】
太陽光発電装置10Aは、屋内と各太陽光パネル群G1〜Gjとの温度差T1〜Tjを測定することで、各太陽光パネル群G1〜Gjに照射される太陽光の照度を推定し、各太陽光パネル群G1〜Gjの発電電力及び出力電流I1〜Ijを推定することができる。従って、太陽光発電装置10Aは、各太陽光パネル群G1〜Gjに照射される太陽光の照度の変化に対応して、異常のある太陽光パネル群G1〜Gjを検出することができる。これにより、太陽光発電装置10Aは、異常を検出する精度を向上させることができる。
【0057】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態に係る太陽光発電装置10Bの構成を示す構成図である。
【0058】
太陽光発電装置10Bは、図1に示す第1の実施形態に係る太陽光発電装置10において、異常信号発生器2を加え、太陽光パネル群G1〜Gjにそれぞれ異常表示器LD1,LD2,…,LDjを加えたものである。その他は、第1の実施形態に係る太陽光発電装置10と同様である。
【0059】
異常信号発生器2は、建屋9内に設置されている。異常信号発生器2は、異常信号SNを受信するように蓄電器1と配線で接続されている。異常信号発生器2は、集電ケーブルL1P,L1Nに、異常表示信号出力線L2P,L2Nで接続されている。異常信号発生器2は、蓄電器1から異常信号SNを受信すると、異常信号SNが示す異常のある太陽光パネル群G1〜Gjに設けられた異常表示器LD1〜LDjを点灯させるための周波数の交流電圧を出力する。異常信号発生器2から出力された異常表示器LD1〜LDjを点灯させるための交流電圧は、異常表示信号出力線L2P,L2Nを介して、集電ケーブルL1P,L1Nに印加される。
【0060】
異常表示器LD1〜LDjは、それぞれ特定の周波数の交流電圧で点灯する。異常表示器LD1〜LDjは、それぞれ全て異なる周波数の交流電圧で点灯するように設定されている。異常表示器LD1〜LDjは、集電ケーブルL1P,L1Nに重畳されている異常信号発生器2から出力された交流電圧を受信する。異常表示器LD1〜LDjは、周波数測定回路により受信した交流電圧の周波数を測定する。異常表示器LD1〜LDjは、測定した周波数が自己の周波数である場合に点灯する。
【0061】
本実施形態によれば、第1の実施形態による作用効果に加え、以下の作用効果を得ることができる。
【0062】
太陽光発電装置10Bは、異常信号発生器2を設けることで、蓄電器1により特定された異常のある太陽光パネル群G1〜Gjを、太陽光パネル群G1〜Gjが設置されている場所に設けられた異常表示器LD1〜LDjに表示することができる。これにより、太陽光パネルP11〜Pjmを修理する作業員等は、異常のある太陽光パネル群G1〜Gjを現場で確認することができる。これにより、作業員等は、太陽光パネルP11〜Pjmの修理などを効率良く行うことができる。
【0063】
なお、各実施形態では、全ての太陽光パネル群G1〜Gjの出力電流I1〜Ij(又は出力電力)が異なるように構成したが、少なくとも2つの太陽光パネル群の出力電流が異なるように構成されていれば、同じ出力電流の太陽光パネル群があってもよい。少なくとも2つの太陽光パネル群の出力電流が異なれば、異常のある太陽光パネル群の出力電流と異なる出力電流の太陽光パネル群は、異常でないと判断することができる。
【0064】
また、各実施形態では、全ての太陽光パネルP11〜Pjmを同一性能として説明したが、異なる性能の太陽光パネルP11〜Pjmが混ざっていてもよい。少なくとも2つの太陽光パネル群G1〜Gjの出力電流が異なるように構成されていれば、各太陽光パネル群G1〜Gjにおける太陽光パネルP11〜Pjmの性能はどのように構成されていてもよい。例えば、各太陽光パネル群G1〜Gjは、それぞれ出力電流の異なる1つの太陽光パネルで構成されていてもよい。
【0065】
さらに、各実施形態において、各太陽光パネル群G1〜Gjの出力電流I1〜Ijは、どのように異なるように構成されていてもよい。例えば、各太陽光パネル群G1〜Gjの出力電流I1〜Ijは、異常を検出する分解能を考慮して決定してもよい。
【0066】
また、各実施形態において、電圧計11により計測された電圧Vbに基づいて、異常のある太陽光パネル群G1〜Gjを検出したが、蓄電器1に流れる電流Ibに基づいて、異常のある太陽光パネル群G1〜Gjを検出してもよい。この場合、太陽光パネル群G1〜Gjが正常の場合及び各太陽光パネル群G1〜Gjのそれぞれが異常の場合に推定されるそれぞれの電流Ibを蓄電器1に予め記憶させることで、電圧Vbと同様に、異常のある太陽光パネル群G1〜Gjを検出することができる。
【0067】
さらに、第2の実施形態において、各群の温度差T1〜Tjを、推測される各太陽光パネル群G1〜Gjの出力電流I1〜Ijを補正するために用いたが、これに限らない。
【0068】
例えば、許容範囲内にない群の温度差T1〜Tjがある場合、その群の太陽光パネル群を異常の検出対象から外し、その他の太陽光パネル群から異常のある太陽光パネル群を検出するようにしてもよい。また、許容範囲内にない群の温度差T1〜Tjが1つでもあれば、異常診断回路12Aによる異常のある太陽光パネル群の検出を行わず、全ての温度差T1〜Tjが許容範囲内にある場合に、異常のある太陽光パネル群の検出を行うこととしてもよい。これにより、太陽光パネル群G1〜Gjの一部に太陽光が照射していない場合や夜間のように太陽光パネル群G1〜Gjの全部に太陽光が照射していない場合などに、太陽光パネル群G1〜Gjの異常を誤検出することを防止することができる。
【0069】
また、第2の実施形態と第3の実施形態を別々に説明したが、これらを組み合わせた構成としてもよい。このような実施形態によれば、第2の実施形態及び第3の実施形態のそれぞれの作用効果を得ることができる。
【0070】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…蓄電器、9…建屋、10…太陽光発電装置、G1〜Gj…太陽光パネル群、L1P,L1N…集電ケーブル、P11〜Pjm…太陽光パネル、TR1〜TRj…端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に接続され、同一の照度に対する出力電流が異なる複数の太陽光発電手段と、
前記複数の太陽光発電手段により発電された電気を蓄える蓄電手段と、
前記複数の太陽光発電手段から前記蓄電手段に出力される電気量を計測する電気量計測手段と、
前記電気量計測手段により計測された電気量と予め決められた電気量との差に基づいて、前記複数の太陽光発電手段のうち異常のある前記太陽光発電手段を検出する異常検出手段と
を備えたことを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項2】
前記太陽光発電手段は、直列に接続された複数の太陽電池であること
を特徴とする請求項1に記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
前記複数の太陽光発電手段が設置されている場所の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段を備え、
前記異常検出手段は、前記複数の温度検出手段により検出された温度に基づいて、前記予め決められた電気量を補正すること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の太陽光発電装置。
【請求項4】
前記複数の太陽光発電手段が設置されている場所の温度をそれぞれ検出する複数の温度検出手段を備え、
前記異常検出手段は、前記複数の温度検出手段により検出された温度の少なくとも1つの温度が予め決められた許容範囲に無い場合、異常のある前記太陽光発電手段の検出を行わないこと
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の太陽光発電装置。
【請求項5】
前記複数の温度検出手段は、
前記複数の太陽光発電手段の設置場所から屋内にそれぞれ延びる複数の温度検出用線を備え、
前記複数の太陽光発電手段と前記蓄電手段とを接続する配線及び前記複数の温度検出用線を熱電対として使用して温度を検出すること
を特徴とする請求項3又は請求項4に記載の太陽光発電装置。
【請求項6】
前記複数の太陽光発電手段にそれぞれ設けられた異常を示す表示をする複数の異常表示手段と、
前記異常検出手段により検出された異常のある前記太陽光発電手段に設けられた前記異常表示手段に、異常を示す表示をさせる異常表示指令手段と
を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の太陽光発電装置。
【請求項7】
前記異常表示指令手段は、前記複数の太陽光発電手段と前記蓄電手段とを接続する配線に、異常のある前記太陽光発電手段を示す周波数の交流電圧を印加して、異常のある前記異常表示手段に異常を示す表示をさせること
を特徴とする請求項7に記載の太陽光発電装置。
【請求項8】
並列に接続された複数の太陽電池から発電された電気を蓄える蓄電器を備えた太陽光発電装置の前記太陽電池の異常を検出する異常検出方法であって、
前記複数の太陽電池を同一の照度に対する出力電流が異なるように構成し、
前記複数の太陽電池から前記蓄電器に出力される電気量を計測し、
計測した電気量と予め決められた電気量との差に基づいて、前記複数の太陽電池のうち異常のある前記太陽電池を検出すること
を含むことを特徴とする太陽光発電装置の異常検出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−65715(P2013−65715A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203744(P2011−203744)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】