説明

太陽電池モジュール、太陽電池モジュールの製造方法、導電性接着剤

【課題】バインダの性能に拘わらず、導電性粒子とタブ線及び電極との離間を防止する。
【解決手段】複数の太陽電池セル2と、太陽電池セル2の表面及び隣接する太陽電池セル2の裏面にそれぞれ形成された電極11,13上に導電性粒子を含有する熱硬化性の導電性接着剤17を介して接着され、複数の太陽電池セル2同士を接続するタブ線3とを備え、導電性接着剤17にはハンダ粒子23が含有され、ハンダ粒子23は、少なくとも内層24及び外層25からなる多層構造であり、内層24を構成するハンダの融点が、外層25を構成するハンダの融点よりも高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タブ線によって複数の太陽電池セルが接続された太陽電池モジュールに関し、特に導電性粒子を含有する導電性接着剤を介して太陽電池セルの電極とタブ線とを接続する太陽電池モジュール、太陽電池モジュールの製造方法及び導電性接着剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば結晶シリコン系太陽電池モジュールでは、複数の隣接する太陽電池セルが、インターコネクタとなるタブ線により接続されている。タブ線は、その一端側を一の太陽電池セルの表面電極に接続され、他端側を隣接する太陽電池セルの裏面電極に接続することにより、各太陽電池セルを直列に接続する。このとき、タブ線は、一端側の一面側が一の太陽電池セルの表面電極に接着され、他端側の他面側が隣接する太陽電池セルの裏面電極に接着されている。
【0003】
具体的に、太陽電池セルは、銀ペーストをスクリーン印刷すること等により、受光面にバスバー電極が形成され、裏面接続部にAg電極が形成されている。なお、太陽電池セル裏面の接続部以外の領域はAl電極やAg電極が形成されている。
【0004】
また、タブ線は、リボン状銅箔の両面にハンダコート層が設けられること等により形成される。具体的に、タブ線は、厚さ0.05〜0.2mm程度に圧延した銅箔をスリットし、あるいは銅ワイヤーを平板状に圧延するなどして得た幅1〜3mmの平角銅線に、ハンダメッキやディップハンダ付け等を施すことにより形成される。
【0005】
太陽電池セルとタブ線との接続は、タブ線を太陽電池セルの各電極上に配置し、加熱ボンダーによって熱加圧することにより、タブ線表面に形成したハンダを溶融、冷却することにより行う(特許文献1)。
【0006】
しかし、半田付けでは約260℃と高温による接続処理が行われるため、太陽電池セルの反りや割れ、タブ線と表面電極及び裏面電極との接続部に生じる内部応力等により、太陽電池セルの表面電極及び裏面電極とタブ線との間の接続信頼性が低下することが懸念される。
【0007】
そこで、従来、太陽電池セルの表面電極及び裏面電極とタブ線との接続に、比較的低い温度での熱圧着処理による接続が可能な導電性接着フィルムが使用されている(特許文献2)。このような導電性接着フィルムとしては、平均粒径が数μmオーダーの球状または鱗片状の導電性粒子を熱硬化型バインダー樹脂組成物に分散してフィルム化したものが使用されている。導電性粒子は、例えば、ニッケル、金、銀、銅などの金属粒子や、樹脂粒子をコア材とし最外層に金めっきなどを施したものが一般に用いられている。
【0008】
図8に示すように、導電性接着フィルム50は、表面電極及び裏面電極とタブ線51との間に介在された後、タブ線51の上から加熱ボンダーによって熱加圧される。これにより、図9に示すように、導電性接着フィルム50は、バインダー樹脂が流動性を示して電極、タブ線51間より流出されるとともに、導電性粒子54が電極53とタブ線51間に挟持されてこの間の導通を図り、この状態でバインダー樹脂が熱硬化する。このように、タブ線51によって複数の太陽電池セル52が直列接続されたストリングスが形成される。
【0009】
導電性接着フィルム50を用いてタブ線51と表面電極及び裏面電極とが接続された複数の太陽電池セル52は、ガラス、透光性プラスチックなどの透光性を有する表面保護材と、PET(Poly Ethylene Terephthalate)等のフィルムからなる背面保護材との間に、エチレンビニルアセテート樹脂(EVA)等の透光性を有する封止材により封止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−356349号公報
【特許文献2】特開2008−135654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この種の太陽電池モジュールでは、導電性粒子54がタブ線51及び太陽電池セルの表裏面の各電極53に接触することにより導通を図るものであるため、導電性接着フィルム50のバインダー樹脂の性能によって電気的な接続信頼性が左右される。
【0012】
すなわち、太陽電池モジュールは、実使用に供されると、高温多湿の環境に長期に亘って繰り返し曝されるおそれがあり、これにより、導電性接着フィルム50のバインダー樹脂が劣化、変質し、導電性粒子54とタブ線51及び電極53との接触が維持されず、発電効率が低下するおそれがある。
【0013】
そこで、本願は、バインダー樹脂の性能にかかわらず、高温多湿の環境に曝された場合でも、導電性粒子とタブ線及び電極との接触部位の離間を防止でき、発電効率を維持することができる太陽電池モジュール、太陽電池モジュールの製造方法、及び導電性接着剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するために、本発明に係る太陽電池モジュールは、複数の太陽電池セルと、上記太陽電池セルの表面及び隣接する太陽電池セルの裏面にそれぞれ形成された電極上に導電性粒子を含有する熱硬化性の導電性接着剤を介して接着され、複数の上記太陽電池セル同士を接続するタブ線とを備え、上記導電性接着剤にはハンダ粒子が含有され、上記ハンダ粒子は、少なくとも内層及び外層からなる多層構造であり、上記内層を構成するハンダの融点が、上記外層を構成するハンダの融点よりも高いものである。
【0015】
また、本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法は、太陽電池セルの表面電極に導電性粒子を含有する熱硬化性の導電性接着剤を介してタブ線の一端側を配置し、上記太陽電池セルと隣接する太陽電池セルの裏面電極に導電性粒子を含有する熱硬化性の導電性接着剤を介して上記タブ線の他端側を配置する工程と、上記タブ線を上記表面電極及び上記裏面電極へ熱加圧し、上記導電性接着剤によって上記タブ線を上記表面電極及び上記裏面電極へ接着する工程とを有し、上記導電性接着剤にはハンダ粒子が含有され、上記ハンダ粒子は、少なくとも内層及び外層からなる多層構造であり、上記内層を構成するハンダの融点が、上記外層を構成するハンダの融点よりも高いものである。
【0016】
また、本発明に係る導電性接着剤は、太陽電池セルに形成された電極と、複数の上記太陽電池セル同士を接続するタブ線との間に介在され、熱加圧されることにより上記電極と上記タブ線とを接着させる導電性接着剤において、熱硬化性のバインダー樹脂と、上記バインダー樹脂中に含有されたハンダ粒子とを備え、上記ハンダ粒子は、少なくとも内層及び外層からなる多層構造であり、上記内層を構成するハンダの融点が、上記外層を構成するハンダの融点よりも高いものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ハンダ粒子は、少なくとも内層及び外層からなる多層構造であり、内層を構成するハンダの融点が外層を構成するハンダの融点よりも高い。かかるハンダ粒子を含有する導電性接着剤を用いることにより、外層がタブ線や太陽電池セルの電極と金属結合するとともに硬い内層がタブ線と電極に挟持される。したがって、導電性接着剤のバインダー樹脂が劣化した場合にもハンダ粒子とタブ線及び電極との電気的な接続を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】太陽電池モジュールを示す分解斜視図である。
【図2】太陽電池セルのストリングスを示す断面図である。
【図3】太陽電池セルの裏面電極及び接続部を示す平面図である。
【図4】導電性接着フィルムを示す断面図である。
【図5】ハンダ粒子を介して接続されたタブ線及び電極を示す断面図である。
【図6】リール状に巻回された導電性接着フィルムを示す図である。
【図7】実施例を説明するための図である。
【図8】従来の太陽電池モジュールを示す斜視図である。
【図9】導電性粒子を介してタブ線と電極とが接続されている状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明が適用された太陽電池モジュール、太陽電池モジュールの製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。
【0020】
[太陽電池モジュール]
本発明が適用された太陽電池モジュール1は、図1〜図3に示すように、複数の太陽電池セル2がインターコネクタとなるタブ線3によって直列に接続されたストリングス4を有し、このストリングス4を複数配列したマトリクス5を備える。そして、太陽電池モジュール1は、このマトリクス5が封止接着剤のシート6で挟まれ、受光面側に設けられた表面カバー7及び裏面側に設けられたバックシート8とともに一括してラミネートされ、最後に、周囲にアルミニウムなどの金属フレーム9が取り付けられることにより形成される。
【0021】
封止接着剤としては、例えばエチレンビニルアセテート樹脂(EVA)等の透光性封止材が用いられる。また、表面カバー7としては、例えば、ガラスや透光性プラスチック等の透光性の材料が用いられる。また、バックシート8としては、ガラスや、アルミニウム箔を樹脂フィルムで挟持した積層体等が用いられる。
【0022】
太陽電池モジュールの各太陽電池セル2は、光電変換素子10を有する。光電変換素子10は、単結晶型シリコン光電変換素子、多結晶型光電変換素子を用いる結晶シリコン系太陽電池や、アモルファスシリコンからなる薄膜シリコン系太陽電池、アモルファスシリコンからなるセルと微結晶シリコンやアモルファスシリコンゲルマニウムからなるセルとを積層させた多接合型の薄膜シリコン系太陽電池、いわゆる化合物薄膜系太陽電池、有機系、量子ドット型など、各種光電変換素子10を用いることができる。
【0023】
また、光電変換素子10は、受光面側に内部で発生した電気を集電するフィンガー電極12とフィンガー電極12の電気を集電するバスバー電極11とが設けられている。バスバー電極11及びフィンガー電極12は、太陽電池セル2の受光面となる表面に、例えばAgペーストがスクリーン印刷等により塗布された後、焼成されることにより形成される。また、フィンガー電極12は、受光面の全面に亘って、例えば約50〜200μm程度の幅を有するラインが、所定間隔、例えば2mmおきに、ほぼ平行に複数形成されている。バスバー電極11は、フィンガー電極12と略直交するように形成され、また、太陽電池セル2の面積に応じて複数形成されている。
【0024】
また、光電変換素子10は、受光面と反対の裏面側に、アルミニウムや銀からなる裏面電極13が設けられている。裏面電極13は、図2及び図3に示すように、例えばアルミニウムや銀からなる電極が、スクリーン印刷やスパッタ等により太陽電池セル2の裏面に形成される。裏面電極13は、後述する導電性接着フィルム17を介してタブ線3が接続されるタブ線接続部14を有する。
【0025】
そして、太陽電池セル2は、タブ線3によって、表面に形成された各バスバー電極11と、隣接する太陽電池セル2の裏面電極13とが電気的に接続され、これにより直列に接続されたストリングス4を構成する。タブ線3とバスバー電極11及び裏面電極13とは、後述する導電性接着フィルム17によって接続される。
【0026】
[タブ線]
タブ線3は、図2に示すように、隣接する太陽電池セル2X、2Y、2Zの各間を電気的に接続する長尺状の導電性基材である。タブ線3は、例えば厚さ50〜300μmに圧延された銅箔やアルミ箔をスリットし、あるいは銅やアルミなどの細い金属ワイヤーを平板状に圧延することにより、導電性接着フィルム17とほぼ同じ幅の1〜3mm幅の平角の銅線を得る。そして、タブ線3は、この平角銅線に、金メッキ、銀メッキ、スズメッキ、ハンダメッキ等を施すことにより形成される。
【0027】
[導電性接着フィルム]
本発明が適用された導電性接着フィルム17は、図4に示すように、バインダー樹脂22に導電性粒子が高密度に含有された熱硬化性のバインダー樹脂層である。導電性粒子には、以下に詳述するハンダ粒子23が含有されている。また、導電性接着フィルム17は、押し込み性の観点から、バインダー樹脂22の最低溶融粘度が、100〜100000Pa・sであることが好ましい。導電性接着フィルム17は、最低溶融粘度が低すぎると低圧着から本硬化の過程で樹脂が流動してしまい接続不良やセル受光面へのはみ出しが生じやすく、受光率低下の原因ともなる。また、最低溶融粘度が高すぎてもフィルム貼着時に不良を発生しやすく、接続信頼性に悪影響が出る場合もある。なお、最低溶融粘度については、サンプルを所定量回転式粘度計に装填し、所定の昇温速度で上昇させながら測定することができる。
【0028】
[ハンダ粒子]
本発明に係るハンダ粒子23は、互いに融点の異なるハンダが多層化されている。ハンダ粒子23は、例えば図5に示すように、コアとなる内層24と、内層24の周囲に設けられた外層25との2層からなる。
【0029】
図5に示すハンダ粒子23の内層24は、タブ線3と電極11,13とに挟持されることによりタブ線3と電極11,13との導通を図るものである。また、図5に示すハンダ粒子23の外層25は、タブ線3と電極11,13と金属結合することにより、タブ線3と電極11,13との電気的な接続信頼性を確保するものである。
【0030】
ハンダ粒子23は、内層24を構成するハンダの融点が、外層25を構成するハンダの融点よりも高い。したがって、ハンダ粒子23は、タブ線3が導電性接着フィルム17を介して電極11,13上に熱加圧されることにより、外層25がタブ線3と電極11,13に金属結合し、内層24がタブ線3と電極11,13とに挟持されてこの間の導通を図る。
【0031】
すなわち、太陽電池モジュール1は、外層25がタブ線3と電極11,13とに金属結合するとともに硬い内層24がタブ線3と電極11,13に挟持されることにより導通を図るものであり、ハンダ粒子23が単にタブ線3と電極11,13とに接触することにより導通を図るものではない。このようなハンダ粒子23を含有する導電性接着フィルム17を用いることにより、導電性接着フィルム17のバインダー樹脂22が劣化した場合にもハンダ粒子23とタブ線3及び電極11,13との電気的な接続を維持することができる。
【0032】
なお、ハンダ粒子23は、タブ線3及び電極11,13と金属結合する外層25と、タブ線3及び電極11,13に挟持される内層24とを備えるものであれば2層構造に限らず、3層以上に多層化したものであってもよい。ハンダ粒子23は、3層以上に形成した場合も、最外層にタブ線3や電極11,13と金属結合する外層25が設けられ、その内側にタブ線3及び電極11,13に挟持される内層24が設けられる。
【0033】
また、ハンダ粒子23は、内層24を構成するハンダの融点が、導電性接着フィルム17のバインダー樹脂22の硬化温度よりも高いことが好ましい。これにより、ハンダ粒子23は、タブ線3が導電性接着フィルム17を介して電極11,13上に熱加圧される際にバインダー樹脂22の硬化温度に熱せられても、内層24が溶融することなく、硬さが維持され確実にタブ線3及び電極11,13の間に挟持されることができる。また、内層24が硬いことから外層25やタブ線3及び電極11,13に加熱ボンダーによる圧力がかかり、金属結合を促進させる。
【0034】
また、ハンダ粒子23は、外層25を構成するハンダの融点が、導電性接着フィルム17のバインダー樹脂22の硬化温度以下であることが好ましい。これにより、ハンダ粒子23は、タブ線3が導電性接着フィルム17を介して電極11,13上に熱加圧される際にバインダー樹脂22の硬化温度に熱せられることにより、外層25が溶融し、確実にタブ線3及び電極11,13と金属結合させることができる。
【0035】
ハンダ粒子23は、粒子の核となる内層24を作り、この内層24の周囲にコーティング層となる外層25を形成することによって製造することができる。内層24の作製は、通常のはんだ粉末の製造に用いられる場合と同様の方法である、アトマイズ法などを使用することができる。内層24の周囲をコーティングする外層25の形成には、蒸着法、スパッタリング法、無電解めっき法、あるいはゾルゲル法などを利用することができる。外層25は、内層24の全体を覆うように形成するため、例えば蒸着法やスパッタリング法を用いるような場合には、内層24を揺動させることなどを併せて行うのが好ましい。
【0036】
このようなハンダ粒子23は、例えば、内層を構成するハンダとして、Sn−Ag−Cu系ハンダ(融点:220℃)又はSn−Pb系ハンダ(融点:184℃)を用い、外層を構成するハンダとしてSn−Bi系ハンダ(融点:141℃)を用いることができる。
これにより、タブ線3がバスバー電極11や裏面電極13へ180℃で熱加圧されることにより、外層25が溶融してタブ線3や電極11,13と金属結合するとともに、内層24がタブ線3及び電極11,13に挟持される。
【0037】
また、ハンダ粒子23は、内層を構成するハンダの融点が、タブ線3の熱加圧温度よりも高いことが好ましく、外層を構成するハンダの融点が、タブ線3の熱加圧温度以下であることが好ましい。
【0038】
また、ハンダ粒子23の粒子径としては、1〜100μmの範囲で使用することができ、20〜50μmの範囲を好適に使用することができる。
【0039】
したがって、太陽電池モジュール1は、各太陽電池セル2におけるタブ線3の電極11,13への接続強度及び電気的な接続信頼性を向上することができ、かつ実使用下における高温多湿の環境下に繰り返し曝された場合にも、ハンダ粒子23を介したタブ線3及び電極11,13の接続信頼性を維持することができる。
【0040】
[バインダー樹脂]
導電性接着フィルム17のバインダー樹脂22の組成は、上述のような特徴を害さない限り、特に制限されないが、より好ましくは、膜形成樹脂と、液状エポキシ樹脂と、潜在性硬化剤と、シランカップリング剤とを含有する。
【0041】
膜形成樹脂は、平均分子量が10000以上の高分子量樹脂に相当し、フィルム形成性の観点から、10000〜80000程度の平均分子量であることが好ましい。膜形成樹脂としては、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂等の種々の樹脂を使用することができ、その中でも膜形成状態、接続信頼性等の観点からフェノキシ樹脂が好適に用いられる。
【0042】
液状エポキシ樹脂としては、常温で流動性を有していれば、特に制限はなく、市販のエポキシ樹脂が全て使用可能である。このようなエポキシ樹脂としては、具体的には、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂などを用いることができる。これらは単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、アクリル樹脂など他の有機樹脂と適宜組み合わせて使用してもよい。
【0043】
潜在性硬化剤としては、加熱硬化型、UV硬化型などの各種硬化剤が使用できる。潜在性硬化剤は、通常では反応せず、何かしらのトリガーにより活性化し、反応を開始する。トリガーには、熱、光、加圧などがあり、用途により選択して用いることができる。なかでも、本願では、加熱硬化型の潜在性硬化剤が好適に用いられ、バスバー電極11や裏面電極13に加熱押圧されることにより本硬化される。液状エポキシ樹脂を使用する場合は、イミダゾール類、アミン類、スルホニウム塩、オニウム塩などからなる潜在性硬化剤を使用することができる。
【0044】
シランカップリング剤としては、エポキシ系、アミノ系、メルカプト・スルフィド系、ウレイド系などを用いることができる。これらの中でも、本実施の形態では、エポキシ系シランカップリング剤が好ましく用いられる。これにより、有機材料と無機材料の界面における接着性を向上させることができる。
【0045】
また、その他の添加組成物として、無機フィラーを含有することが好ましい。無機フィラーを含有することにより、圧着時における樹脂層の流動性を調整し、粒子捕捉率を向上させることができる。無機フィラーとしては、シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等を用いることができ、無機フィラーの種類は特に限定されるものではない。
【0046】
図6は、導電性接着フィルム17の製品形態の一例を模式的に示す図である。この導電性接着フィルム17は、剥離基材27上にバインダー樹脂22が積層され、テープ状に成型されている。このテープ状の導電性接着フィルムは、リール26に剥離基材27が外周側となるように巻回積層される。剥離基材27としては、特に制限はなく、PET(Poly Ethylene Terephthalate)、OPP(Oriented Polypropylene)、PMP(Poly-4-methlpentene−1)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)などを用いることができる。
【0047】
また、導電性接着フィルム17は、バインダー樹脂22上に透明なカバーフィルムを有する構成としてもよい。このとき、バインダー樹脂22上に貼付されるカバーフィルムとして上述したタブ線3を用いてもよい。導電性接着フィルム17は、バインダー樹脂22がタブ線3の一主面に積層される。このように、予めタブ線3と導電性接着フィルム17とを積層一体化させておくことにより、実使用時においては、剥離基材27を剥離し、導電性接着フィルム17のバインダー樹脂22をバスバー電極11や裏面電極13のタブ線接続部14上に貼着することによりタブ線3と各電極11,13との接続が図られる。
【0048】
上記では、フィルム形状を有する導電性接着フィルムについて説明したが、ペースト状であっても問題は無い。本願では、ハンダ粒子23を含有するフィルム状の導電性接着フィルム17やハンダ粒子23を含有するペースト状の導電性接着ペーストを「導電性接着剤」と定義する。
【0049】
なお、導電性接着フィルム17は、リール形状に限らず、バスバー電極11や裏面電極13のタブ線接続部14の形状に応じた短冊形状であってもよい。
【0050】
導電性接着フィルム17は、図6に示すように巻き取られたリール製品として提供される場合、導電性接着フィルム17の粘度が10〜10000kPa・sであることが好ましく、さらに10〜5000kPa・sの範囲とすることが好ましい。これにより、導電性接着フィルム17は、リール状に巻装した場合において、いわゆるはみ出しによるブロッキングを防止することができ、また、所定のタック力を維持することができる。また、導電性接着フィルム17は、変形が防止され、所定の寸法を維持することができる。さらに、導電性接着フィルム17は、短冊形状で2枚以上積層された場合も同様に、変形を防止し、所定の寸法を維持することができる。
【0051】
[製造方法]
上述した導電性接着フィルム17は、ハンダ粒子23と、膜形成樹脂と、液状エポキシ樹脂と、潜在性硬化剤と、シランカップリング剤とを溶剤に溶解させる。溶剤としては、トルエン、酢酸エチルなど、又はこれらの混合溶剤を用いることができる。溶解させて得られた樹脂生成用溶液を剥離シート上に塗布し、溶剤を揮発させることにより、導電性接着フィルム17を得る。
【0052】
そして、導電性接着フィルム17は、表面電極用2本及び裏面電極用2本を所定の長さにカットされ、太陽電池セル2の表裏面の所定位置に仮貼りされる。このとき、導電性接着フィルム17は、太陽電池セル2の表面にほぼ平行に複数形成されている各バスバー電極11及び裏面電極13のタブ線接続部14上に仮貼りされる。なお、導電性接着剤として導電性接着ペーストを用いる場合は、バスバー電極11及び裏面電極13のタブ線接続部14上に導電性接着ペーストが塗布される。
【0053】
次いで、同様に所定の長さにカットされたタブ線3が導電性接着フィルム17上に重畳配置される。その後、導電性接着フィルム17は、タブ線3の上から加熱ボンダーによって所定の温度、圧力で熱加圧されることにより、余剰のバインダー樹脂22が各電極11,13とタブ線3との間より流出されるとともにハンダ粒子23がタブ線3と各電極11,13との間で挟持され、この状態でバインダー樹脂22が硬化する。
【0054】
ここで、加熱ボンダーによるタブ線3の熱加圧条件は、導電性接着フィルム17のバインダー樹脂22が熱硬化するとともに、外層25がタブ線3及び電極11,13と金属結合し、かつ内層24が溶融しないための条件であり、バインダー樹脂22やハンダ粒子23の組成等に応じて適宜設定される。例えば、加熱ボンダーによるタブ線3の熱加圧条件は、内層24の融点より低く、外層25の融点以上の温度に設定される。これにより、導電性接着フィルム17は、バインダー樹脂22によってタブ線3を各電極11,13上に接着させると共に、ハンダ粒子23の外層25がバスバー電極11や裏面電極13に金属結合し、硬い内層24によって両者を導通接続させることができる。
【0055】
このとき、ハンダ粒子23は、タブ線3及び電極11,13に接する外層25が溶融することによりフラックス機能を奏することから、酸化した表面を除去し、内層24とタブ線3及び電極11,13との接続信頼性を向上させることができる。
【0056】
このようにして、太陽電池セル2を順次タブ線3によって接続し、ストリングス4、マトリクス5を形成していく。次いで、マトリクス5を構成する複数の太陽電池セル2は、ガラス、透光性プラスチックなどの透光性を有する表面カバー7と、ガラスやPET(Poly Ethylene Terephthalate)フィルム等からなるバックシート8との間に、エチレンビニルアセテート樹脂(EVA)等の透光性を有する封止材のシート6により封止される。最後に、周囲にアルミニウムなどの金属フレーム9が取り付けられることにより太陽電池モジュール1が形成される。
【0057】
[バスバーレス]
なお、太陽電池モジュール1は、上述したように、太陽電池セル2の受光面側にフィンガー電極12と略直交するバスバー電極11を設け、当該バスバー電極11上に導電性接着剤及びタブ線3を積層させる構成の他、バスバー電極11を設けることなく、フィンガー電極12と直交するように導電性接着剤及びタブ線3を積層させるいわゆるバスバーレス構造としてもよい。この場合、導電性接着フィルム17は、ハンダ粒子23の外層25がフィンガー電極12との間で金属結合するとともに、内層24がタブ線3とフィンガー電極12との間に挟持される。
【0058】
[一括ラミネート]
また、太陽電池モジュール1は、上述したように太陽電池セル2の各電極11,13上に導電性接着剤及びタブ線3を配置した後、加熱ボンダーによってタブ線3上を熱加圧させる工法の他、太陽電池セル2の表面及び裏面に導電性接着剤、タブ線3及び太陽電池セル2を封止するEVA等の透光性封止材シートを順次積層させ、減圧ラミネータを用いてこれをガラスやPETフィルムで一括してラミネート処理を行うことにより、タブ線3を各電極11,13上に熱加圧してもよい。
【0059】
[太陽電池モジュールの効果]
このような太陽電池モジュール1は、導電性接着フィルム17のハンダ粒子23の外層25がタブ線3及び太陽電池セル2の電極11、13と金属結合するとともに硬い内層24がタブ線3及び電極11,13に挟持されている。したがって、タブ線3の接続強度を向上させることができ、また、高温多湿の使用環境下に繰り返し曝された場合にも、ハンダ粒子23とタブ線3及び電極11,13との電気的な接続信頼性を維持し、発電効率の低下を防止することができる。
【0060】
なお、太陽電池モジュール1は、タブ線3を、平角銅線や銅箔にハンダ粒子23の外層25と同種のハンダにてコーティングを施して形成してもよい。これにより、太陽電池モジュール1は、ハンダ粒子23の外層25とタブ線3との金属結合をより確実に形成し、タブ線3の電極11,13への接着力や導通信頼性をさらに向上させることができる。
【実施例1】
【0061】
次いで、本発明の実施例について説明する。図7に示すように、本実施例は、バインダー樹脂に含有するハンダ粒子の層構成(1層又は2層)及び内層組成及び外層組成が異なる複数種類の導電性接着フィルムのサンプル40を用意した。そして、これら導電性接着フィルムの各サンプル40を用いて、タブ線41を表面電極31及び裏面電極32が形成された光電変換素子30の各表面電極31及び裏面電極32に2本ずつ熱加圧して接着した。熱加圧条件は、いずれも180℃、10sec、2MPaとした。
【0062】
導電性接着フィルムのサンプル40は、
フェノキシ樹脂(YP−50:新日鐵化学株式会社製);20質量部
液状エポキシ樹脂(EP828:三菱化学株式会社製);50質量部
ハンダ粒子;10質量部
イミダゾール系潜在性硬化剤(HX3941HP:旭化成株式会社製);20質量部
トルエン;100質量部
を混合し樹脂組成物を調整した。
【0063】
その後、この樹脂組成物を、50μm厚の剥離処理ポリエチレンテレフタレートフィルムに、25μm厚となるように塗布し、80℃のオーブン中で5分間加熱乾燥処理して成膜することにより導電性接着フィルムのサンプル40を作成した。タブ線41は、一般的に用いられるタブ線であり、長尺状の銅箔にハンダメッキを施した2mm幅、35μm厚のものである。
【0064】
そして、以下の実施例及び比較例に係る各太陽電池セルについて、初期の導通抵抗(mΩ)、高温高湿試験(85℃85%RH×3000hr)後の導通抵抗(mΩ)、初期接着力(N/2mm)を測定した。
【0065】
導通抵抗は、2本のタブ線(Cu箔、2mm幅、35μm厚)の先端2mmの部分をAg電極(ベタ電極)が形成されたガラス基板上に導電性接着フィルムを用いて熱圧着し(180℃、2Mpa、10秒)、2本のタブ線間の抵抗をデジタルマルチメータを用いて測定した。
【0066】
初期接着力は、タブ線を表面電極31、裏面電極32のそれぞれに接着された導電性接着フィルムから90°方向で剥離する90°剥離試験(JIS K6854−1)を行い、ピール強度(N/2mm)を測定した。
【0067】
実施例1は、内層をSn−Ag−Cu系ハンダ(融点:220℃)で構成し、外層をSn−Bi系ハンダ(融点:141℃)で構成したハンダ粒子を用いた。ハンダ粒子の平均粒子径は30μmである。
【0068】
実施例2は、内層をSn−Pb系ハンダ(融点:184℃)で構成し、外層をSn−Bi系ハンダ(融点:141℃)で構成したハンダ粒子を用いた。ハンダ粒子の平均粒子径は30μmである。
【0069】
実施例3は、ハンダ粒子の平均粒子径を20μmとした以外は、実施例2と同じハンダ粒子を用いた。
【0070】
実施例4は、ハンダ粒子の平均粒子径を50μmとした以外は、実施例2と同じハンダ粒子を用いた。
【0071】
比較例1は、Sn−Pb系ハンダ(融点:184℃)の1層のみで構成されたハンダ粒子を用いた。ハンダ粒子の平均粒子径は30μmである。
【0072】
比較例2は、Sn−Ag−Cu系ハンダ(融点:220℃)の1層のみで構成されたハンダ粒子を用いた。ハンダ粒子の平均粒子径は30μmである。
【0073】
比較例3は、Sn−Bi系ハンダ(融点:141℃)の1層のみで構成されたハンダ粒子を用いた。ハンダ粒子の平均粒子径は30μmである。
【0074】
比較例4は、内層をSn−Pb系ハンダ(融点:184℃)で構成し、外層をSn−Ag−Cu系ハンダ(融点:220℃)で構成したハンダ粒子を用いた。ハンダ粒子の平均粒子径は30μmである。
【0075】
比較例5は、ハンダ粒子に代えて、内層を樹脂で構成し、外層をNi−Auメッキでコーティングしたメッキ付き樹脂を用いた。
【0076】
実施例1〜4、比較例1〜5に係る各太陽電池セルについて、初期の導通抵抗(mΩ)及び高温高湿試験(85℃85%RH×3000hr)後の導通抵抗(mΩ)を測定した。さらに、タブ線3と電極31,32との初期接着力(N/2mm)を測定した。初期接着力は、90°引き剥がしのピール強度を、引っ張り速度30mm/minの条件にて測定した。
【0077】
結果を表1に示す。評価の指標として、初期の導通抵抗(mΩ)及び高温高湿試験(85℃85%RH×3000hr)後の導通抵抗(mΩ)、初期接着力(N/2mm)を総合して考慮し、実用に耐えられるものを○、導通抵抗又は接着力のいずれかが実用に耐えられないものを△、導通抵抗及び接着力のいずれも実用に耐えられないものを×とした。
【0078】
【表1】

【0079】
表1に示すように、実施例1〜4では、いずれも初期の導通抵抗が10mΩ以下であり導通性に問題はなく、高温高湿試験(85℃85%RH×3000hr)後の導通抵抗も25mΩ以下と、導通信頼性が高く維持されている。一方、比較例1〜4では、初期の導通抵抗が15mΩ以下ではあるが、高温高湿試験(85℃85%RH×3000hr)後の導通抵抗が測定することができず導通不良となり(オープン)、導通信頼性が悪かった。
【0080】
また、実施例1〜4では、いずれも初期の接着力が5N/2mm以上と高い接着力を有する。一方、比較例1〜4では、初期の接着力が5N/2mm以下と接着力が低かった。
【0081】
これは、実施例1〜4では、内層及び外層からなる多層構造であり、内層を構成するハンダの融点が、外層を構成するハンダの融点よりも高く構成されているため、熱加圧工程において、ハンダ粒子の外層がタブ線及び電極31、32と金属結合するとともに硬い内層がタブ線及び電極31,32に挟持されるためである。以上より、実施例1〜4によれば、導通抵抗及び接着力いずれの面でも実用に耐えられるものであることが分かる。
【0082】
一方、多層構造を有さない比較例1、比較例2では、ハンダ粒子とタブ線及び電極31,32との間に金属結合を形成せず、また比較例3ではハンダ粒子が溶融しタブ線と電極31,32との間で挟持されなくなったため、高温高湿試験において接続不良が見られた。また、多層構造を有する比較例4では、外層が内層よりも高融点ハンダで構成されているため、外層とタブ線及び電極31,32とが金属結合を形成せず、高温高湿試験において接続不良が見られた。ハンダ粒子に代えてメッキ付き樹脂を用いた比較例5では、接着力が弱く、また、高温高湿試験において、導通抵抗の上昇が見られた。
【符号の説明】
【0083】
1 太陽電池モジュール、2 太陽電池セル、3 タブ線、4 ストリングス、5 マトリクス、6 シート、7 表面カバー、8 バックシート、9 金属フレーム、10 光電変換素子、11 バスバー電極、12 フィンガー電極、13 裏面電極、14 タブ線接続部、17 導電性接着フィルム、22 バインダー樹脂、23 ハンダ粒子、24 内層、25 外層、26リール、27 剥離基材、30 光電変換素子、31 表面電極、32 裏面電極、40 サンプル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽電池セルと、上記太陽電池セルの表面及び隣接する太陽電池セルの裏面にそれぞれ形成された電極上に導電性粒子を含有する熱硬化性の導電性接着剤を介して接着され、複数の上記太陽電池セル同士を接続するタブ線とを備え、
上記導電性接着剤にはハンダ粒子が含有され、
上記ハンダ粒子は、少なくとも内層及び外層からなる多層構造であり、上記内層を構成するハンダの融点が、上記外層を構成するハンダの融点よりも高い太陽電池モジュール。
【請求項2】
上記ハンダ粒子は、内層を構成するハンダの融点が、上記導電性接着剤のバインダー樹脂の硬化温度よりも高い請求項1記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
上記ハンダ粒子は、外層を構成するハンダの融点が、上記導電性接着剤のバインダー樹脂の硬化温度以下である請求項1又は請求項2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
上記ハンダ粒子は、内層及び外層からなる2層構造である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
上記ハンダ粒子の粒子径が20〜50μmである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
上記内層を構成するハンダはSn−Ag−Cu系ハンダ、又はSn−Pb系ハンダであり、
上記外層を構成するハンダはSn−Bi系ハンダである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
太陽電池セルの表面電極に導電性粒子を含有する熱硬化性の導電性接着剤を介してタブ線の一端側を配置し、上記太陽電池セルと隣接する太陽電池セルの裏面電極に導電性粒子を含有する熱硬化性の導電性接着剤を介して上記タブ線の他端側を配置する工程と、
上記タブ線を上記表面電極及び上記裏面電極へ熱加圧し、上記導電性接着剤によって上記タブ線を上記表面電極及び上記裏面電極へ接着する工程とを有し、
上記導電性接着剤にはハンダ粒子が含有され、
上記ハンダ粒子は、少なくとも内層及び外層からなる多層構造であり、上記内層を構成するハンダの融点が、上記外層を構成するハンダの融点よりも高い太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項8】
上記ハンダ粒子は、内層を構成するハンダの融点が、上記熱加圧温度よりも高い請求項7記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項9】
上記ハンダ粒子は、外層を構成するハンダの融点が、上記熱加圧温度以下である請求項7又は請求項8に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項10】
上記ハンダ粒子は、内層及び外層からなる2層構造である請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項11】
上記ハンダ粒子の粒子径が20〜50μmである請求項7〜請求項10のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項12】
上記内層を構成するハンダはSn−Ag−Cu系ハンダ、又はSn−Pb系ハンダであり、
上記外層を構成するハンダはSn−Bi系ハンダである請求項7〜請求項11のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項13】
上記タブ線の接着工程は、上記導電性接着剤を介して上記タブ線が上記表面電極及び上記裏面電極上に配置された上記太陽電池セルの両面を透明封止樹脂及び保護材で挟持した後、真空ラミネート及び加熱することにより、上記タブ線を上記表面電極及び上記裏面電極へ接着する請求項7〜請求項12のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項14】
太陽電池セルに形成された電極と、複数の上記太陽電池セル同士を接続するタブ線との間に介在され、熱加圧されることにより上記電極と上記タブ線とを接着させる導電性接着剤において、
熱硬化性のバインダー樹脂と、上記バインダー樹脂中に含有されたハンダ粒子とを備え、
上記ハンダ粒子は、少なくとも内層及び外層からなる多層構造であり、上記内層を構成するハンダの融点が、上記外層を構成するハンダの融点よりも高い導電性接着剤。
【請求項15】
フィルム形状である請求項14記載の導電性接着剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−204528(P2012−204528A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66543(P2011−66543)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】