説明

太陽電池モジュールおよびその製造方法

【課題】所望の出力電圧を小面積で実現可能であり簡便な方法で製造可能な太陽電池モジュールを得ること。
【解決手段】互いに逆導電型の半導体からなる導電層(p型非晶質シリコン層3、n型非晶質シリコン層7)がn型単結晶シリコン基板1(基板1)の両面に形成され、導電層上にそれぞれ電極層(上面側透明電極層4、上面側細線集電極5、下面側透明電極層8、下面側細線集電極9)が形成された太陽電池モジュールであって、基板1の厚み方向に貫通して並列する複数の接続溝11および接続溝11に沿って延在して基板1の両面側の電極層からそれぞれ基板1に達する複数の分離溝(導電性層分離溝13、導電性層分離溝14)によって複数の太陽電池セル10に分離され、隣接する太陽電池セル10のうち一方の太陽電池セル10の一面側の導電層と他方の太陽電池セル10の他面側の導電層とが接続溝11を介して電気的に直列接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
結晶系半導体基板を用いた一般的な太陽電池セルの1枚当たりの出力電圧は普通600〜700mVと小さい。このため、例えば特許文献1に示されるように、太陽電池を家屋やビル等の電源として用いる場合には、通常は複数の太陽電池セルを電気的に直列接続して、出力電圧を数十Vにまで高めた太陽電池モジュールを構成して使用するのが一般的である。
【0003】
また、例えば特許文献2では、隣接する個別半導体基板を備える太陽電池セルを、平面状に配置して直列に電気接続した太陽電池が提案されている。この太陽電池において、隣接する個別半導体基板は、隣接する側面において、基板の延在方向に積層された絶縁接着層/導電材料層/絶縁接着層よりなる連結層にて連結される。個別半導体基板は、光起電力機能を備えると共に、個別半導体基板の表面、裏面上に電極を有し、個別半導体基板の表面の電極と、隣接する個別半導体基板の裏面の電極とを、個別半導体基板間の連結層における導電材料層を介して電気接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−278904号公報
【特許文献2】特開2002−299667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されるような従来の太陽電池モジュールにおいては、パワーコンディショナで規格化された入力電圧に対応した十分な出力電圧を得るために、多数の太陽電池セルを配置して太陽電池モジュールを構成する必要がある。このような一般的な太陽電池モジュールでは、隣接する太陽電池セル同士が互いに間隙をもって配置され、互いの表面電極と裏面電極とがストリップ状の導電線(導電部材)、いわゆるタブ線により接続される。このため、太陽電池モジュールにおいては太陽電池セル自体の面積の他に太陽電池セル同士間の間隙分の面積が必要となり、太陽電池モジュールの1枚あたりのサイズが大きくなる、という問題があった。
【0006】
また、特許文献2に示される太陽電池は、複数の連結半導体基板が集積化されて構成されている。しかし、連結半導体基板を加工するためには、柱体の半導体材料から切り出した複数のブロック体を接着剤等により連結した後にスライスするという特殊な製造工程が必要であり、工程が複雑になる、という問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、所望の出力電圧を小面積で実現可能であり簡便な方法で製造可能な太陽電池モジュールおよびその製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる太陽電池モジュールは、互いに逆導電型の半導体からなる導電層が結晶系半導体基板の両面に形成され、前記導電層上にそれぞれ電極層が形成された太陽電池モジュールであって、前記結晶系半導体基板の厚み方向に貫通して並列する複数の接続溝、および前記接続溝に沿って延在して前記結晶系半導体基板の両面側の前記電極層からそれぞれ前記結晶系半導体基板に達する複数の分離溝によって複数の太陽電池セルに分離され、隣接する前記太陽電池セルのうち一方の太陽電池セルの一面側の前記導電層と他方の太陽電池セルの他面側の前記導電層とが前記接続溝を介して電気的に直列接続されていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所望の出力電圧を小面積で実現可能な太陽電池モジュールを簡便な方法で得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1−1】図1−1は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの概略構成を示す平面図である。
【図1−2】図1−2は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの概略構成を示す図であり、図1−1中の線分A−Aにおける断面図である。
【図2−1】図2−1は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す要部断面図である。
【図2−2】図2−2は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す要部断面図である。
【図2−3】図2−3は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す上面図である。
【図2−4】図2−4は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す要部断面図である。
【図2−5】図2−5は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す要部断面図である。
【図2−6】図2−6は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す要部断面図である。
【図2−7】図2−7は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す上面図である。
【図2−8】図2−8は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す上面図である。
【図2−9】図2−9は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す要部断面図である。
【図2−10】図2−10は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す上面図である。
【図3−1】図3−1は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池モジュールの概略構成を示す平面図である。
【図3−2】図3−2は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池モジュールの概略構成を示す図であり、図3−1中の線分B−Bにおける断面図である。
【図4−1】図4−1は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す要部断面図である。
【図4−2】図4−2は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す要部断面図である。
【図4−3】図4−3は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す上面図である。
【図4−4】図4−4は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す要部断面図である。
【図4−5】図4−5は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す要部断面図である。
【図4−6】図4−6は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す要部断面図である。
【図4−7】図4−7は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す上面図である。
【図4−8】図4−8は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す上面図である。
【図4−9】図4−9は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す要部断面図である。
【図4−10】図4−10は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明にかかる太陽電池モジュールおよびその製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。すなわち、各層を理解しやすくするために、実際の膜厚に沿った比率では記載せずに、薄膜層部分等を拡大して表示している。また、平面図であっても、図面を見易くするためにハッチングを付す場合がある。
【0012】
実施の形態1.
図1−1は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの概略構成を示す平面図である。図1−2は、本発明の実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの概略構成を示す図であり、図1−1中の線分A−Aにおける断面図である。
【0013】
実施の形態1にかかる太陽電池モジュールは、1枚の結晶系半導体基板であるn型単結晶シリコン基板1に複数の短冊状(矩形形状)の太陽電池セル10が形成され、隣接する太陽電池セル10同士が電気的に直列接続されて集積化されている。n型単結晶シリコン基板1の面方向において、各太陽電池セル10の大きさは均一とされており、各太陽電池セル10の面積は均等とされている。太陽電池セル10は、光電変換部20と、光電変換部20の一面側(上面側)に形成された上面側透明電極層4と、上面側透明電極層4上に形成された上面側細線集電極5と、光電変換部20の他面側(下面側)に形成された下面側透明電極層8と、下面側透明電極層8上に形成された下面側細線集電極9とを有する。上面側細線集電極5は、光電変換部20で生成された光生成キャリアを、上面側透明電極層4を介して収集する。下面側細線集電極9は、光電変換部20で生成された光生成キャリアを、下面側透明電極層8を介して収集する。
【0014】
隣接する太陽電池セル10間には、上面側から下面側に、すなわち上面側透明電極層4から下面側透明電極層8まで貫通する接続溝11が等間隔で形成され、この接続溝11により各太陽電池セル10が分割されている。また、接続溝11内には導電材料として銀(Ag)を含む電極材料が充填されることにより、隣接する太陽電池セル10のうちの一方の太陽電池セル10の上面側細線集電極5と他方の太陽電池セル10の下面側細線集電極9とを電気的に接続するセル接続部12が形成されている。すなわち、隣接する太陽電池セル10同士は、一方の太陽電池セル10の上面側細線集電極5と他方の太陽電池セル10の下面側細線集電極9とが、このセル接続部12により接続溝11を介して接続されることにより、電気的に直列接続されている。セル接続部12の幅は、例えば50μm〜500μm程度とすることができる。
【0015】
また、太陽電池モジュールの一面側(上面側)には、上面側細線集電極5または上面側透明電極層4の表面からn型単結晶シリコン基板1の内部まで達して太陽電池モジュールの上面側における導電性を有する層を太陽電池セル10毎に電気的に分離する導電性層分離溝13が接続溝11の延在方向に沿って形成されている。太陽電池モジュールの他面側(下面側)には、下面側細線集電極9または下面側透明電極層8の表面からn型単結晶シリコン基板1の内部まで達して太陽電池モジュールの下面側における導電性を有する層を太陽電池セル10毎に電気的に分離する導電性層分離溝14が接続溝11の延在方向に沿って形成されている。
【0016】
光電変換部20は、光の入射によって、光生成キャリアを発生する。光生成キャリアとは、光の入射によって光電変換部20内で生成される電子と正孔とをいう。光電変換部20は、板状の結晶系半導体基板を用いて構成される。典型的な結晶系半導体基板は、例えば単結晶シリコン基板である。本実施の形態にかかる光電変換部20は、結晶系半導体基板として例えば約200μmの厚みを有するn型単結晶シリコン基板1を用いて構成されている。n型単結晶シリコン基板1の表面には、図示しない数μmから数十μmの高さを有する光閉じ込めを目的としたピラミッド状の凹凸構造が形成されている。
【0017】
光電変換部20では、結晶系半導体基板の両面に互いに逆の導電型(p型とn型)の半導体からなる導電層が形成されて、生成した電子と正孔とが各導電層に集められる。導電層は不純物を結晶系半導体基板に熱拡散で形成することや、結晶系半導体基板上に各導電型の不純物をドーピングした薄膜半導体層を成膜技術で形成することにより形成できる。
【0018】
本実施の形態にかかる光電変換部20では、n型単結晶シリコン基板1の一面(上面)上に真性のi型非晶質シリコン層2が形成されている。そして、i型非晶質シリコン層2上には、p型の半導体からなる導電層として薄膜からなるp型非晶質シリコン層3が形成されている。また、光電変換部20において、n型単結晶シリコン基板1の他面(下面)上に、真性のi型非晶質シリコン層6が形成されている。そして、i型非晶質シリコン層6上には、n型の半導体からなる導電層として薄膜からなるn型非晶質シリコン層7が形成されている。このn型非晶質シリコン層7を形成することにより、キャリアの再結合による損失を小さくした、いわゆるBSF(Back Surface Field)構造が形成されている。
【0019】
不純物ドープシリコン層であるp型非晶質シリコン層3およびn型非晶質シリコン層7を薄膜で形成することにより、不純物ドープシリコン層の不純物濃度分布を自由に設定でき、また、不純物ドープシリコン層が薄いため膜中でのキャリアの再結合や光吸収を抑制することができ、大きい短絡電流密度が得られる。
【0020】
また、n型単結晶シリコン基板1と不純物ドープシリコン層(p型非晶質シリコン層3およびn型非晶質シリコン層7)との間に挿入した真性半導体層(i型非晶質シリコン層2およびi型非晶質シリコン層6)はヘテロ接合間の不純物拡散を抑制し、急峻な不純物プロファイルをもつ接合を形成することができるため、良好な接合界面形成により高い開放電圧を得ることができる。
【0021】
さらに、真性半導体薄膜(i型非晶質シリコン層2およびi型非晶質シリコン層6)および薄膜不純物ドープシリコン層(p型非晶質シリコン層3およびn型非晶質シリコン層7)は200℃程度の低温で形成できるため、結晶シリコン基板の厚みが薄い場合においても、熱により結晶シリコン基板に生じるストレスや、結晶シリコン基板の反りを低減することができる。また、熱により劣化しやすい結晶シリコン基板に対しても基板品質の低下を抑制できることが期待できる。
【0022】
また、n型単結晶シリコン基板1の表裏面のほぼ全ての領域が真性半導体層(i型非晶質シリコン層2およびi型非晶質シリコン層6)および不純物ドープシリコン層(p型非晶質シリコン層3およびn型非晶質シリコン層7)によりパッシベーションされ、開放電圧や短絡電流密度などの太陽電池特性を向上させることができる。
【0023】
つぎに、以上のように構成された実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの製造方法について図2−1〜図2−10を用いて説明する。図2−1〜図2−10は、実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す図である。なお、図2−1、図2−2、図2−4〜図2−6、図2−9は要部断面図、図2−3、図2−7、図2−8、図2−10は上面図である。
【0024】
まず、実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの製造に用いる太陽電池基板を形成する。すなわち、略正方形状のn型単結晶シリコン基板1の一面(上面)上に真性のi型非晶質シリコン層2を形成し、n型単結晶シリコン基板1の他面(下面)上に真性のi型非晶質シリコン層6を形成する。i型非晶質シリコン層2およびi型非晶質シリコン層6は、例えばCVD法等の公知の方法により形成される。
【0025】
つぎに、i型非晶質シリコン層2上にp型非晶質シリコン層3を形成し、i型非晶質シリコン層6上にn型非晶質シリコン層7を形成する。p型非晶質シリコン層3およびn型非晶質シリコン層7は、例えばCVD法等の公知の方法により形成される。
【0026】
つぎに、p型非晶質シリコン層3上に、上面側透明電極層4として例えば透明導電膜である酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)薄膜を形成する。上面側透明電極層4に用いる材料はITOに限らず、例えば酸化インジウム(In)、またはアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等をドーピングした酸化亜鉛(ZnO)や、その他の透明電極材料を用いることができる。また、その形成方法には例えばスパッタリング法を用いることができるが、これに限らず、CVD法などの蒸着法、イオンプレーティング法などを用いることも可能である。
【0027】
つぎに、n型非晶質シリコン層7上に、下面側透明電極層8として例えば透明導電膜であるITO薄膜を形成する。下面側透明電極層8に用いる材料はITOに限らず、例えば、アルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等をドーピングした酸化亜鉛(ZnO)や、その他の透明電極材料を用いることができる。また、その形成方法には例えばスパッタリング法を用いることができるが、これに限らず、CVD法などの蒸着法、イオンプレーティング法などを用いることも可能である。
【0028】
以上の工程を実施することにより、実施の形態1にかかる太陽電池モジュールの製造に用いられる、光電変換部20、上面側透明電極層4および下面側透明電極層8が形成された略正方形状の太陽電池基板が得られる(図2−1)。なお、このような構成を有する太陽電池基板は、市販のものを用いることが可能である。
【0029】
つぎに、このような太陽電池基板に対してレーザー照射を行い、例えば太陽電池基板の四辺のうちの対向する一対の辺の方向に沿って延在するとともに太陽電池基板の上面から下面に貫通する複数の接続溝11を形成する(図2−2、図2−3)。このとき、接続溝11はその延在方向における太陽電池基板の端部までは加工しない。すなわち、接続溝11は、太陽電池基板の面内における内部のみに形成される。したがって、太陽電池基板は、接続溝11の形成により分離することは無く、つぎに続く工程における搬送時の基板の取り回しによる基板破損の可能性を低減でき、製造工程における歩留まりを損なわない。ここでは、例えば図2−3におけるX方向に沿って延在する接続溝11を形成する。
【0030】
つぎに、上面側透明電極層4上の所定の領域に上面側細線集電極5を形成する(図2−4)。上面側細線集電極5は、例えば、幅約100μm、ピッチ約2mm、厚み60μmとして、50本程度を太陽電池基板の面内において接続溝11と直行する方向に形成する。このような上面側細線集電極5は、例えば銀ペーストをスクリーン印刷し、百数十度程度の温度で焼成することで形成される。
【0031】
また、上面側細線集電極5の形成時に、接続溝11にも同時に銀ペーストをスクリーン印刷、または、別途にディスペンサ等によって塗布し、上面側細線集電極5と同時に百数十度の温度で焼成する。これにより、接続溝11内にセル接続部12が形成される(図2−4)。
【0032】
つぎに、下面側透明電極層8上の所定の領域に下面側細線集電極9を形成する(図2−5)。下面側細線集電極9は、例えば、幅約100μm、ピッチ約2mm、厚み60μmとして、50本程度を太陽電池基板の面内において接続溝11と直行する方向に形成する。このような下面側細線集電極9は、例えば銀ペーストをスクリーン印刷し、百数十度程度の温度で焼成することで形成される。ここで、接続溝11内のセル接続部12と接続するように下面側細線集電極9を形成することで、下面側細線集電極9をセル接続部12と機械的および電気的に接続する。
【0033】
ここでは、上面側細線集電極5の形成時に、接続溝11内にセル接続部12の全体を形成する場合について説明したが、セル接続部12は、上面側細線集電極5の形成時および下面側細線集電極9の形成時に分割して形成してもよい。この場合は、上面側細線集電極5の形成時に接続溝11内の所定の深さまでのセル接続部12を形成する。そして、下面側細線集電極9の形成時に接続溝11にも同時に銀ペーストをスクリーン印刷、または、別途にディスペンサ等によって塗布し、上記と同じく百数十度の温度で焼成する。銀ペーストは、既に接続溝11内に形成されたセル接続部12に接続するように塗布する。これにより、接続溝11内の全体にセル接続部12が形成される。
【0034】
なお、上面側細線集電極5と下面側細線集電極9との電気的な接続の点では、上述したように上面側細線集電極5の形成工程においてセル接続部12を形成してもよく、また分割して形成してもよい。ただし、太陽電池セルの上下両面において構造を同じくすることで、n型単結晶シリコン基板1に作用する、膜形成や電極形成時に伴う応力によるストレスを緩和する効果がある。このため、上面側細線集電極5と下面側細線集電極9との形成時に分割して略半分ずつ形成することが好ましい。また、セル接続部12の形成には、電極材料である銀ペーストの代わりに透明導電性材料を用いてもよい。また、セル接続部12の製造工程を、上面側細線集電極5および下面側細線集電極9の製造工程と分けることも可能である。
【0035】
つぎに、上面側細線集電極5または上面側透明電極層4の表面からn型単結晶シリコン基板1の内部まで達して太陽電池モジュールの上面側における導電性を有する層(上面側細線集電極5、上面側透明電極層4、p型非晶質シリコン層3、i型非晶質シリコン層2)を太陽電池セル10毎に電気的に分離する複数の導電性層分離溝13を形成する(図2−6、図2−7)。導電性層分離溝13は、n型単結晶シリコン基板1の面方向において、各接続溝11に対して所定の一方向に位置するように、接続溝11の延在方向に沿って各接続溝11に近接して形成される。また、導電性層分離溝13は、接続溝11の延在方向における両端部の位置が少なくとも接続溝11の両端部と同じまたはそれよりもn型単結晶シリコン基板1の端部側とされる。このような導電性層分離溝13は、接続溝11に沿って例えばレーザスクライブ法や機械加工などにより形成できる。
【0036】
また、下面側細線集電極9または下面側透明電極層8の表面からn型単結晶シリコン基板1の内部まで達して太陽電池モジュールの下面側における導電性を有する層(下面側細線集電極9、下面側透明電極層8、n型非晶質シリコン層7、i型非晶質シリコン層6)を太陽電池セル10毎に電気的に分離する導電性層分離溝14を形成する(図2−6)。導電性層分離溝14は、n型単結晶シリコン基板1の面方向において、各接続溝11に対して導電性層分離溝13と反対側に位置するように、接続溝11の延在方向に沿って接続溝11に近接して形成される。また、導電性層分離溝14は、接続溝11の延在方向における両端部の位置が少なくとも接続溝11の両端部と同じまたはそれよりもn型単結晶シリコン基板1の端部側とされる。このような導電性層分離溝14は、接続溝11に沿って例えばレーザスクライブ法や機械加工などにより形成できる。
【0037】
つぎに、上記のように形成された基板の端部の不要部を切り離す。すなわち、各太陽電池セル10を均一な大きさの短冊状(矩形形状)に分割する仮想線15(図2−8)の位置で、例えばレーザー加工、または機械加工による処理を施して基板の端部を切断する。これにより、各太陽電池セル10における外部に露出した端面部分での不要なpn接合が分離される(図2−9、図2−10)。これにより、太陽電池セル10の端面部分でのpn接合に起因したリークパスの発生を抑制することができる。
【0038】
以上の工程を実施することにより、1枚のn型単結晶シリコン基板1より、複数の太陽電池セル10が電気的に直列接続されて集積された実施の形態1にかかる太陽電池モジュールが得られる。
【0039】
上述したように、実施の形態1によれば、接続溝11、導電性層分離溝13および導電性層分離溝14により太陽電池セル10同士を分離するため、太陽電池セル10同士がセル接続部12の幅のみ間隙をおいて配置される。このため、実施の形態1にかかる太陽電池モジュールは、隣接する太陽電池セル同士がストリップ状の導電線(タブ線)により接続される場合のように隣接する太陽電池セル10同士の間隔が広くなることがなく、太陽電池モジュールは集積効率に優れる。隣接する太陽電池セル10同士の間隔は、タブ線により接続する場合には例えば2mm〜4mm程度の間隔が必要であるが、実施の形態1にかかる太陽電池モジュールでは例えば50μm〜500μm程度である。
【0040】
すなわち、実施の形態1にかかる太陽電池モジュールは、隣接する太陽電池セル10間領域に起因したモジュール面積の増大が防止されるため、太陽電池モジュールの単位面積当たりで従来よりも高い出力電圧を得ることが可能となり、所望の出力電圧を従来よりも少ない面積で実現可能である。これにより、所望の出力電圧は損なわずにモジュールの小面積化が可能である。したがって、実施の形態1にかかる太陽電池モジュールにおいては、単位基板(単位半導体ウェハ)当たりの出力電圧が高い太陽電池モジュールが得られる。
【0041】
また、太陽電池セルを直列接続した太陽電池モジュールの場合には、太陽電池モジュール全体で発生する電流は、各太陽電池セルで発生する電流のうち最も低い電流に律速される。しかしながら、実施の形態1にかかる太陽電池モジュールにおいては、太陽電池セル10のサイズを規格化して均一にし、各太陽電池セル10で発生する電流の大きさを精度良く均一化することができる。したがって、実施の形態1にかかる太陽電池モジュールにおいては、太陽電池セル10における発電ロスの発生を防止することができる。
【0042】
また、実施の形態1にかかる太陽電池モジュールにおいては、太陽電池セル10のサイズを小さく規格化し、各太陽電池セル10で発生する電流の大きさを任意の大きさに小さく設定可能である。これにより、小電流および高出力電圧を有する太陽電池モジュールを構成することができ、各太陽電池セル10で発生する電流によるジュール損失が低減された光電変換効率の高い太陽電池モジュールを実現できる。
【0043】
また、実施の形態1にかかる太陽電池モジュールは、製造方法の点では、市販の一般的な太陽電池基板(ウェハ)から製造できるため専用に太陽電池基板の製造工程を必要とせず、従来製造ラインを活用しやすいなど、製造の面で有利である。また、隣接する太陽電池セル10のうち一方の上面側細線集電極5と他方の太陽電池セル10の下面側細線集電極9とが、接続溝11を介して電気的に接続されるため、製造工程が簡便である。
【0044】
したがって、実施の形態1によれば、集積効率に優れ所望の出力電圧を小面積で実現可能な太陽電池モジュールが簡便な方法で得られる。
【0045】
実施の形態2.
図3−1は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池モジュールの概略構成を示す平面図である。図3−2は、本発明の実施の形態2にかかる太陽電池モジュールの概略構成を示す図であり、図3−1中の線分B−Bにおける断面図である。なお、実施の形態1かかる太陽電池モジュールにおける部材と同じ部材には同じ符号を付すことで詳細な説明は省略する。
【0046】
実施の形態2にかかる太陽電池モジュールは、1枚の結晶系半導体基板であるn型単結晶シリコン基板1に複数の短冊状(矩形形状)の太陽電池セル30が形成され、これらが電気的に直列接続されて集積化されている。太陽電池セル30は、光電変換部20と、光電変換部20の一面側(上面側)に形成された上面側透明電極層4と、光電変換部20の他面側(下面側)に形成された下面側透明電極層8とを有する。この太陽電池セル30は、実施の形態1かかる太陽電池セル10において上面側細線集電極5および下面側細線集電極9を備えないこと以外は、基本的に太陽電池セル10と同じ構成を有する。
【0047】
光電変換部20は、板状の結晶系半導体基板を用いて構成される。典型的な結晶系半導体基板は、例えば単結晶シリコン基板である。本実施の形態にかかる光電変換部20は、結晶系半導体基板として例えば約200μmの厚みを有するn型単結晶シリコン基板1を用いて構成されている。n型単結晶シリコン基板1の一面(上面)上には真性のi型非晶質シリコン層2が形成されている。そして、i型非晶質シリコン層2上には、p型の半導体からなる導電層として薄膜からなるp型非晶質シリコン層3が形成されている。また、光電変換部20において、n型単結晶シリコン基板1の他面(下面)上には、真性のi型非晶質シリコン層6が形成されている。そして、i型非晶質シリコン層6上には、n型の半導体からなる導電層として薄膜からなるn型非晶質シリコン層7が形成されている。
【0048】
隣接する太陽電池セル30間には、上面側から下面側に、すなわちp型非晶質シリコン層3からn型非晶質シリコン層7まで貫通する接続溝11が等間隔で形成され、この接続溝11により各太陽電池セル30が分割されている。また、接続溝11内には導電材料として銀(Ag)を含む電極材料が充填されることにより、隣接する太陽電池セル30のうちの一方の太陽電池セル30の上面側透明電極層4と他方の太陽電池セル10の下面側透明電極層8とを電気的に接続するセル接続部12が形成されている。すなわち、隣接する太陽電池セル10同士は、一方の太陽電池セル30の上面側透明電極層4と他方の太陽電池セル30の下面側透明電極層8とが、このセル接続部12により接続溝11を介して接続されることにより、電気的に直列接続されている。セル接続部12の幅は、例えば50μm〜500μm程度とすることができる。
【0049】
また、太陽電池モジュールの一面側(上面側)には、上面側透明電極層4の表面からn型単結晶シリコン基板1の内部まで達して太陽電池モジュールの上面側における導電性を有する層を太陽電池セル30毎に電気的に分離する導電性層分離溝13が接続溝11の延在方向に沿って形成されている。太陽電池モジュールの他面側(下面側)には、下面側透明電極層8の表面からn型単結晶シリコン基板1の内部まで達して太陽電池モジュールの下面側における導電性を有する層を太陽電池セル30毎に電気的に分離する導電性層分離溝14が接続溝11の延在方向に沿って形成されている。
【0050】
つぎに、以上のように構成された実施の形態2にかかる太陽電池モジュールの製造方法について図4−1〜図4−10を用いて説明する。図4−1〜図4−10は、実施の形態2にかかる太陽電池モジュールの製造方法を示す図である。なお、図4−1、図4−2、図4−4〜図4−6、図4−9は要部断面図、図4−3、図4−7、図4−8、図4−10は上面図である。
【0051】
まず、実施の形態2にかかる太陽電池モジュールの製造に用いる太陽電池基板を形成する。すなわち、略長方形状のn型単結晶シリコン基板1の一面(上面)上に真性のi型非晶質シリコン層2を形成し、n型単結晶シリコン基板1の他面(下面)上に真性のi型非晶質シリコン層6を形成する。i型非晶質シリコン層2およびi型非晶質シリコン層6は、例えばCVD法等の公知の方法により形成される。
【0052】
つぎに、i型非晶質シリコン層2上にp型非晶質シリコン層3を形成し、i型非晶質シリコン層6上にn型非晶質シリコン層7を形成する。p型非晶質シリコン層3およびn型非晶質シリコン層7は、例えばCVD法等の公知の方法により形成される。
【0053】
以上の工程を実施することにより、実施の形態2にかかる太陽電池モジュールの製造に用いられる、光電変換部20が形成された略正方形状の太陽電池基板が得られる(図4−1)。なお、このような構成を有する太陽電池基板は、市販のものを用いることが可能である。
【0054】
つぎに、このような太陽電池基板に対してレーザー照射を行い、太陽電池基板の四辺のうちの対向する一対の辺の方向に沿って延在するとともに太陽電池基板の上面から下面に貫通する複数の接続溝11を形成する(図4−2、図4−3)。このとき、接続溝11はその延在方向における太陽電池基板の端部までは加工しない。すなわち、接続溝11は、太陽電池基板の面内における内部のみに形成される。したがって、太陽電池基板は、接続溝11の形成により分離することは無く、つぎに続く工程における搬送時の基板の取り回しによる基板破損の可能性を低減でき、製造工程における歩留まりを損なわない。ここでは、図4−3におけるX方向に沿って延在する接続溝11を形成する。
【0055】
つぎに、接続溝11が形成された太陽電池基板のp型非晶質シリコン層3上に、上面側透明電極層4として例えば透明導電膜であるITO薄膜を形成する(図4−4)。上面側透明電極層4に用いる材料はITOに限らず、例えば酸化インジウム(In)、またはアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)等をドーピングした酸化亜鉛(ZnO)や、その他の透明電極材料を用いることができる。また、その形成方法には例えばスパッタリング法を用いることができるが、これに限らず、CVD法などの蒸着法、イオンプレーティング法などを用いることも可能である。また、上面側透明電極層4の形成時に、接続溝11にもITOを充填する。これにより、接続溝11内に透明導電膜であるITOからなるセル接続部12を形成する(図4−4)。
【0056】
つぎに、接続溝11が形成された太陽電池基板のn型非晶質シリコン層7上に、下面側透明電極層8として、上面側と同様に例えば透明導電膜であるITO薄膜を形成する(図4−5)。ここで、接続溝11内のセル接続部12と接続するように下面側透明電極層8を形成することで、下面側透明電極層8をセル接続部12と機械的および電気的に接続する。
【0057】
ここでは、上面側透明電極層4の形成時に、接続溝11内にセル接続部12の全体を形成する場合について説明したが、セル接続部12は、上面側透明電極層4の形成時および下面側透明電極層8の形成時に分割して形成してもよい。この場合は、上面側透明電極層4の形成時に接続溝11内の所定の深さまでのセル接続部12を形成する。そして、下面側透明電極層8の形成時に、既に接続溝11内に形成されたセル接続部12に下面側透明電極層8が接続するように接続溝11内にもITO材料を充填する。これにより、接続溝11内の全体にセル接続部12が形成される。
【0058】
なお、上面側透明電極層4と下面側透明電極層8との電気的な接続の点では、上述したように上面側透明電極層4の形成工程においてセル接続部12を形成してもよく、また分割して形成してもよい。ただし、太陽電池セルの上下両面において構造を同じくすることで、n型単結晶シリコン基板1に作用する、膜形成や電極形成時に伴う応力によるストレスを緩和する効果がある。このため、上面側透明電極層4と下面側透明電極層8との形成時に分割して半分ずつ形成することが好ましい。また、セル接続部12の製造工程を、上面側透明電極層4および下面側透明電極層8の製造工程と分けることも可能である。
【0059】
つぎに、上面側透明電極層4の表面からn型単結晶シリコン基板1の内部まで達して太陽電池モジュールの上面側における導電性を有する層(上面側透明電極層4、p型非晶質シリコン層3、i型非晶質シリコン層2)を太陽電池セル30毎に電気的に分離する複数の導電性層分離溝13を形成する(図4−6、図4−7)。導電性層分離溝13は、n型単結晶シリコン基板1の面方向において、各接続溝11に対して所定の片側に位置するように、接続溝11の延在方向に沿って各接続溝11に近接して形成される。また、導電性層分離溝13は、接続溝11の延在方向における両端部の位置が少なくとも接続溝11の両端部と同じまたはそれよりもn型単結晶シリコン基板1の端部側とされる。このような導電性層分離溝13は、接続溝11に沿って例えばレーザスクライブ法や機械加工などにより形成できる。
【0060】
また、下面側透明電極層8の表面からn型単結晶シリコン基板1の内部まで達して太陽電池モジュールの下面側における導電性を有する層(下面側透明電極層8、n型非晶質シリコン層7、i型非晶質シリコン層6)を太陽電池セル30毎に電気的に分離する導電性層分離溝14を形成する(図4−6)。導電性層分離溝14は、n型単結晶シリコン基板1の面方向において、各接続溝11に対して導電性層分離溝13と反対側に位置するように、接続溝11の延在方向に沿って接続溝11に近接して形成される。また、導電性層分離溝14は、接続溝11の延在方向における両端部の位置が少なくとも接続溝11の両端部と同じまたはそれよりもn型単結晶シリコン基板1の端部側とされる。このような導電性層分離溝14は、接続溝11に沿って例えばレーザスクライブ法や機械加工などにより形成できる。
【0061】
つぎに、上記のように形成された基板の端部の不要部を切り離す。すなわち、各太陽電池セルを均一な大きさの短冊状(矩形形状)に分割する仮想線15(図4−8)の位置で、例えばレーザー加工、または機械加工による処理を施して基板の端部を切断する。これにより、各太陽電池セル30における外部に露出した端面部分での不要なpn接合が分離される(図4−9、図4−10)。以上の工程を実施することにより、1枚のn型単結晶シリコン基板1より、複数の太陽電池セル30が電気的に直列接続されて集積された実施の形態2にかかる太陽電池モジュールが得られる。
【0062】
上述したように、実施の形態2によれば、実施の形態1の場合と同様に単位基板(単位半導体ウェハ)当たりの出力電圧が高い太陽電池モジュールが得られる。
【0063】
また、実施の形態2によれば、実施の形態1の場合と同様に太陽電池セル30のサイズを規格化して均一にし、各太陽電池セル30で発生する電流の大きさを精度良く均一化することができる。したがって、実施の形態2にかかる太陽電池モジュールにおいては、実施の形態1の場合と同様に太陽電池セル30における発電ロスの発生を防止することができる。
【0064】
また、実施の形態2によれば、実施の形態1の場合と同様に太陽電池セル30のサイズを小さく規格化し、各太陽電池セル30で発生する電流の大きさを任意の大きさに小さく設定可能である。これにより、小電流および高出力電圧を有する太陽電池モジュールを構成することができ、各太陽電池セル30で発生する電流によるジュール損失が低減された光電変換効率の高い太陽電池モジュールを実現できる。
【0065】
また、実施の形態2によれば、実施の形態1の場合と同様に市販の一般的な太陽電池基板(ウェハ)から製造できるため専用に太陽電池基板の製造工程を必要とせず、従来製造ラインを活用しやすいなど、製造の面で有利である。
【0066】
さらに、実施の形態2によれば、太陽電池セル30において実施の形態1にかかる太陽電池セル10における上面側細線集電極5および下面側細線集電極9に相当する表面電極が設けられていない。このため、これらの表面電極に起因したシャドウロスの発生が無く、より高光電変換効率を有する太陽電池モジュールが得られる。
【0067】
したがって、実施の形態2によれば、集積効率に優れ所望の出力電圧を小面積で実現可能な太陽電池モジュールが簡便な方法で得られる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明にかかる太陽電池モジュールは、所望の出力電圧を小面積で実現可能な太陽電池モジュールの製造に有用である。
【符号の説明】
【0069】
1 n型単結晶シリコン基板
2 i型非晶質シリコン層
3 p型非晶質シリコン層
4 上面側透明電極層
5 上面側細線集電極
6 i型非晶質シリコン層
7 n型非晶質シリコン層
8 下面側透明電極層
9 下面側細線集電極
10 太陽電池セル
11 接続溝
12 セル接続部
13 導電性層分離溝
14 導電性層分離溝
15 仮想線
20 光電変換部
30 太陽電池セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに逆導電型の半導体からなる導電層が結晶系半導体基板の両面に形成され、前記導電層上にそれぞれ電極層が形成された太陽電池モジュールであって、
前記結晶系半導体基板の厚み方向に貫通して並列する複数の接続溝、および前記接続溝に沿って延在して前記結晶系半導体基板の両面側の前記電極層からそれぞれ前記結晶系半導体基板に達する複数の分離溝によって複数の太陽電池セルに分離され、
隣接する前記太陽電池セルのうち一方の太陽電池セルの一面側の前記導電層と他方の太陽電池セルの他面側の前記導電層とが前記接続溝を介して電気的に直列接続されていること、
を特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記複数の太陽電池セルの大きさが均等であること、
を特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記接続溝に前記電極層の材料が充填されることにより、前記結晶系半導体基板の両面側の前記電極層に電気的に接続する接続部が構成されていること、
を特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記接続溝に透明導電性材料が充填されることにより、前記結晶系半導体基板の両面側の前記電極層に電気的に接続する接続部が構成されていること、
を特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記分離溝は、それぞれの前記太陽電池セルの一面側と他面側とにそれぞれ1つずつ設けられ、前記太陽電池セルの配列方向において一面側と他面側とに交互に、前記接続溝に近接して形成されること、
を特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記電極層として、透明電極層と前記透明電極層上に形成された複数の細線状の電極層とを前記導電層上に有すること、
を特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記電極層として、透明電極層のみを前記導電層上に有すること、
を特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の太陽電池モジュール。
【請求項8】
結晶系半導体基板の両面に互いに逆導電型の半導体からなる導電層を形成する導電層形成工程と、
前記結晶系半導体基板の端部領域を残してその間の領域に前記結晶系半導体基板と前記導電層とを厚み方向に貫通して並列する複数の接続溝を形成する接続溝形成工程と、
前記導電層上に電極層を形成する電極層形成工程と、
前記結晶系半導体基板の両面に形成された前記導電層を、前記複数の接続溝を介して電気的に接続する接続工程と、
前記結晶系半導体基板の両面に形成された前記導電層と前記電極層とに、前記結晶系半導体基板に達するとともに前記接続溝に沿って延びる分離溝を形成して前記結晶系半導体基板の両面の導電層を太陽電池セル毎に電気的に分離する分離溝形成工程と、
前記接続溝の延在方向において前記接続溝と前記分離溝との両端が露出するように前記導電層および前記電極層が形成された前記結晶系半導体基板の端部を切り離して複数の太陽電池セルを分離する切断工程と、
を含むことを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記複数の太陽電池セルの面積を均一にすること、
を特徴とする請求項8に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項10】
前記接続溝形成工程では、複数の接続溝を等間隔で形成し、
前記切断工程では、前記結晶系半導体基板の面方向において前記接続溝と直交する方向における前記複数の太陽電池セルの長さを等しくするとともに前記複数の太陽電池セルの形状が略矩形形状となるように前記結晶系半導体基板の端部を切り離すこと、
を特徴とする請求項9に記載の太陽電池モジュールの製造方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図2−5】
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【図2−6】
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【図2−7】
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【図2−8】
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【図2−9】
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【図2−10】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図4−4】
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【図4−5】
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【図4−6】
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【図4−7】
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【図4−8】
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【図4−9】
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【図4−10】
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【公開番号】特開2013−55294(P2013−55294A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193989(P2011−193989)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】