説明

太陽電池モジュールの製造方法、太陽電池モジュール及びタブ線の接続方法

【課題】タブ線との間で充分な接続信頼性を確保し、出力を維持する。
【解決手段】一面に表面電極として線状電極12が複数並設され、他面に裏面電極が設けられた太陽電池セル2を複数配設し、接着剤17を介してタブ線3を、一の太陽電池セル2の複数の表面電極12上に交叉させて配設するとともに、一の太陽電池セル2と隣接する他の太陽電池セル2の裏面電極上に配設し、緩衝材31を介してタブ線3の上から熱加圧することにより、接着剤17を硬化させるとともに、タブ線3を表面電極12に押圧し長手方向に亘って波形に変形させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の太陽電池セルの接続用電極がタブ線によって互いに電気的に接続され
てなる太陽電池モジュール、太陽電池モジュール及びタブ線の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、太陽電池は、複数の太陽電池セルを直列に接続することで100W以上の出力
を実現する太陽電池モジュールとして使用される。
【0003】
結晶シリコン系太陽電池モジュールは、複数の隣接する太陽電池セルが、インターコネクタとしてはんだコートされたリボン状の銅箔等の導電材からなるタブ線によって接続されている。タブ線は、その一端側が一の太陽電池セルの表面電極にはんだ接続され、その他端側が隣接する他の太陽電池セルの裏面電極にはんだ接続されることにより、各太陽電池セルを直列に接続する(特許文献1参照)。
【0004】
しかし、はんだ付けでは、約260℃と高温による接続処理が行われるため、太陽電池セルの反りが懸念される。また、はんだ付けでは、フラックスを用いため、フラックスの残渣により、太陽電池セルの封止樹脂の剥がれや接着性の悪化も懸念される。
【0005】
そこで、従来、太陽電池セルの表面電極及び裏面電極とタブ線との接続に、比較的低い温度での熱圧着処理による接続が可能な導電性接着フィルムが使用されている(特許文献2)。このような導電性接着フィルムとしては、平均粒径が数μmオーダーの球状または鱗片状の導電性粒子を熱硬化型バインダー樹脂組成物に分散してフィルム化したものが使用されている。
【0006】
導電性接着フィルムは、表面電極及び裏面電極とタブ線との間に介在された後、タブ線の上から熱加圧されることにより、バインダー樹脂が流動性を示して電極、タブ線間より流出されるとともに、導電性粒子が電極とタブ線間に挟持されて両者の導通を図り、この状態でバインダー樹脂が熱硬化する。これにより、タブ線によって複数の太陽電池セルが導通接続されたストリングスが形成される。
【0007】
導電性接着フィルムを用いてタブ線と表面電極及び裏面電極とが接続された複数の太陽電池セルは、ガラス、透光性プラスチックなどの透光性を有する表面保護材と、PET(Poly Ethylene Terephthalate)等のフィルムからなる背面保護材との間に、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)等の透光性を有する封止材により封止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−356349号公報
【特許文献2】特開2008−135654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、太陽電池モジュールの出力を上げるためには、タブ線による抵抗値をさげる必要があり、そのためタブ線の断面積を大きくする必要がある。しかし、タブ線の断面積を大きくするとタブ線自体の剛性が高くなる。また、銅箔などからなるタブ線とシリコンセルからなる太陽電池セルやAgペースト等からなる表面電極とは、銅箔の線膨張係数がシリコンセルの線膨張係数より大きく、太陽電池セルを加熱すると銅箔がより延伸される。このため、熱膨張に伴うタブ線と太陽電池セル表面や、当該表面に形成された電極との接続点に生じる内部応力によって、タブ線の間の接続信頼性が低下することが懸念される。特に、太陽電池セル2の端部においては、タブ線との応力歪みが累積し、セルの割れや反りの危険が高く、またこれによる出力の低下が懸念される。
【0010】
また、結晶シリコン系太陽電池セルでは、原料となるシリコンを安価かつ大量に調達することが課題となっており、近年では、多結晶シリコンインゴットによりシリコンウェハを極薄(例えば200μm〜150μm)で切り出し、量産に使用され始めている。このような薄型の太陽電池セルにおいては、応力歪による割れや反りが一段と生じやすくなることから、タブ線の接続信頼性の低下、及びこれによる出力の低下を防止する対策が望まれる。
【0011】
そこで、本発明は、タブ線との間で充分な接続信頼性を確保し、出力を維持することが可能な太陽電池モジュール、このような太陽電池モジュールの製造方法、及びタブ線の接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法は、一面に表面電極として線状電極が複数並設され、他面に裏面電極が設けられた太陽電池セルを複数配設し、接着剤を介してタブ線を、一の上記太陽電池セルの上記複数の表面電極上に交叉させて配設するとともに、上記一の太陽電池セルと隣接する他の太陽電池セルの上記裏面電極上に配設し、緩衝材を介して上記タブ線の上から熱加圧することにより、上記接着剤を硬化させるとともに上記タブ線と上記線状電極とを接続させ、上記タブ線を上記表面電極に押圧し長手方向に亘って波形に変形させるものである。
【0013】
また、本発明に係る太陽電池モジュールは、一面に表面電極として線状電極が複数並設され、他面に裏面電極が設けられた複数の太陽電池セルと、接着剤層を介して、一の上記太陽電池セルの上記複数の表面電極上に交叉して配設されるとともに、上記一の太陽電池セルと隣接する他の太陽電池セルの上記裏面電極上に配設され、上記一の太陽電池セルと上記他の太陽電池セルとを接続するタブ線とを備え、上記タブ線は、上記表面電極が並設された上記一面の高低差に応じて、長手方向に亘って波形に形成されているものである。
【0014】
また、本発明に係るタブ線の接続方法は、一面に表面電極として線状電極が複数並設され、他面に裏面電極が設けられた太陽電池セルを複数配設し、接着剤を介してタブ線を、一の上記太陽電池セルの上記複数の表面電極上に交叉させて配設するとともに、上記一の太陽電池セルと隣接する他の太陽電池セルの上記裏面電極上に配設し、緩衝材を介して上記タブ線の上から熱加圧することにより、上記接着剤を硬化させるとともに上記タブ線と上記線状電極とを接続させ、上記タブ線を上記表面電極に押圧し長手方向に亘って波形に変形させるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、タブ線を接着剤を介してセル表面に複数並設されている線状電極と交叉するように配設し、緩衝材を介してタブ線の上から熱加圧することにより、接着剤を硬化させるとともに、タブ線を線状電極に押圧し長手方向に亘って波形に変形させる。これにより、太陽電池モジュールが高温環境に曝された場合にも、従来、平行方向に向かっていたタブ線の線膨張による応力を垂直成分にも逃がすことができ、太陽電池セルとの接続部に生じていた応力を低減し、接続信頼性を向上させる。したがって、本発明によれば、タブ線の熱膨張による伸びを吸収し、接続信頼性の向上させることにより、太陽電池モジュールの初期の出力を高い割合で維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】太陽電池モジュールを示す分解斜視図である。
【図2】太陽電池セルのストリングを示す断面図である。
【図3】太陽電池セルの裏面電極及び接続部を示す平面図である。
【図4】太陽電池セルにタブ線を接続する工程を示す側面図である。
【図5】導電性接着フィルムを示す断面図である。
【図6】リール状に巻回された導電性接着フィルムを示す図である。
【図7】タブ線の接続工程を示す断面図である。
【図8】補助電極が設けられた太陽電池セルを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明が適用された太陽電池モジュールの製造方法、太陽電池モジュール及びタブ線の接続方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0018】
[太陽電池モジュール]
本発明が適用された太陽電池モジュール1は、図1〜図3に示すように、複数の太陽電池セル2がインターコネクタとなるタブ線3によって直列に接続されたストリングス4を有し、このストリングス4を複数配列したマトリクス5を備える。そして、太陽電池モジュール1は、このマトリクス5が封止材のシート6で挟まれ、受光面側に設けられた表面カバー7及び裏面側に設けられたバックシート8とともに一括してラミネートされ、最後に、周囲にアルミニウムなどの金属フレーム9が取り付けられることにより形成される。
【0019】
封止材としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)等の透光性封止材が用いられる。また、表面カバー7としては、例えば、ガラスや透光性プラスチック等の透光性の材料が用いられる。また、バックシート8としては、ガラスや、アルミニウム箔を樹脂フィルムで挟持した積層体等が用いられる。
【0020】
太陽電池モジュールの各太陽電池セル2は、光電変換素子10を有する。以下では、光電変換素子10として、単結晶シリコン型光電変換素子や多結晶シリコン型光電変換素子を用いる結晶シリコン系太陽電池を例に説明する。
【0021】
また、光電変換素子10は、受光面側に内部で発生した電気を集電する線状のフィンガー電極12が複数並設されている。フィンガー電極12は、太陽電池セル2の受光面となる表面に、例えばAgペーストがスクリーン印刷等により塗布された後、焼成されることにより形成される。また、フィンガー電極12は、受光面の全面に亘って、例えば約50〜200μm程度の幅を有するラインが、所定間隔、例えば2mmおきに、ほぼ平行に複数形成されている。
【0022】
この太陽電池セル2は、タブ線3が重畳されるバスバー電極が設けられていない、いわゆるバスバーレス構造である。そして、太陽電池セル2は、後述するタブ線3が導電性接着フィルム17を介して直接フィンガー電極12と接続される。
【0023】
また、光電変換素子10は、受光面と反対の裏面側に、アルミニウムや銀からなる裏面電極13が設けられている。裏面電極13は、図2及び図3に示すように、例えばアルミニウムや銀からなる電極が、スクリーン印刷やスパッタ等により太陽電池セル2の裏面に形成される。裏面電極13は、後述する導電性接着フィルム17を介してタブ線3が接続されるタブ線接続部14を有する。
【0024】
そして、太陽電池セル2は、タブ線3によって、表面に形成されたフィンガー電極12と、隣接する太陽電池セル2の裏面電極13とが電気的に接続され、これにより直列に接続されたストリングス4を構成する。タブ線3とフィンガー電極12及び裏面電極13とは、後述する導電性接着フィルム17によって接続される。
【0025】
[タブ線]
タブ線3は、図2に示すように、隣接する太陽電池セル2X、2Y、2Zの各間を電気的に接続する長尺状の導電性基材である。タブ線3は、例えば厚さ50〜300μmに圧延された銅箔やアルミ箔をスリットし、あるいは銅やアルミなどの細い金属ワイヤーを平板状に圧延することにより、導電性接着フィルム17とほぼ同じ幅の1〜3mm幅の平角の銅線を得る。そして、タブ線3は、この平角銅線に、必要に応じて金メッキ、銀メッキ、スズメッキ、ハンダメッキ等を施すことにより形成される。
【0026】
タブ線3は、一面3aを太陽電池セル2のバスバー電極11が設けられた表面への接続面とされ、他面3bを太陽電池セル2の裏面電極13が設けられた裏面への接続面とされている。また、タブ線3は、長手方向の一端側を太陽電池セル2の表面に接続される表面接続部3cとされ、長手方向の他端側を太陽電池セル2の裏面に接続される裏面接続部3dとされている。
【0027】
これにより、タブ線3は、隣接する太陽電池セル2X、2Y、2Zの各間を電気的に接続するインターコネクタとなる。また、タブ線3は、表面接続部3cが太陽電池セル2の受光面に形成された複数のフィンガー電極12と交叉するように配設されることにより、各フィンガー電極12の電力を集電する集電電極を兼用する。
【0028】
タブ線3は、図4(A)(B)に示すように、太陽電池セル2の受光面及び裏面に配設された後、押圧面30aに緩衝材31が設けられた加熱押圧ヘッド30によって熱加圧されることにより、導電性接着フィルム17を介してフィンガー電極12及び裏面電極13と接続される。
【0029】
このとき、タブ線3は、図2及び図4に示すように、フィンガー電極12と交叉することにより、フィンガー電極12と太陽電池セル2の受光面との高低差、すなわちフィンガー電極12の高さT、及び緩衝材31の厚さTに応じて、長手方向に亘って波形に形成される。すなわち、タブ線3は、太陽電池セル2の受光面の面内に延在するとともに、フィンガー電極12によって太陽電池セル2の受光面の上側へ隆起され、これにより長手方向に亘って波形に形成されている。したがって、タブ線3は、後述する導電性接着フィルム17を熱硬化する際に、加熱押圧ヘッド30によって熱加圧されるときや、太陽電池モジュール1の実使用時において高温環境と低温環境とに繰り返し曝されたときにも、線膨張による応力を太陽電池セル2の面内方向と平行な成分のみならず垂直方向の成分として逃がすことができる。なお、タブ線3の波の数は、フィンガー電極12の数に応じて形成される。
【0030】
太陽電池モジュール1は、タブ線3を長手方向に亘って波形に形成することにより、線膨張によるタブ線3の伸びを吸収し、太陽電池セル2とタブ線3との線膨張係数の差に基づく内部応力を低減する。すなわち、太陽電池モジュール1は、従来、太陽電池セル2の面内方向と平行な方向にのみ向かっていたタブ線3の線膨張による応力を、垂直成分として逃がすことでセル全体、特にセル端部に掛かる応力を低減し、セルの割れや反りを防止し、タブ線3との接続信頼性を向上させることができる。これにより、太陽電池モジュール1は、初期の出力を高い割合で維持することができる。
【0031】
[導電性接着フィルム]
次いで、タブ線3を太陽電池セル2の表面及び裏面に接続する接着剤となる導電性接着フィルム17について説明する。導電性接着フィルム17は、図5及び図6に示すように、少なくともエポキシ樹脂と、硬化剤とを有する熱硬化性のバインダー樹脂層22に導電性粒子23が高密度に充填されたものである。
【0032】
導電性接着フィルム17に用いられる導電性粒子23としては、特に制限されず、例えば、ニッケル、金、銀、銅などの金属粒子、樹脂粒子に金めっきなどを施したもの、樹脂粒子に金めっきを施した粒子の最外層に絶縁被覆を施したものなどを挙げることができる。なお、導電性粒子23の平均粒子径は1〜50μmの範囲で使用が可能であり、10〜30μmの範囲を好ましく使用することができる。また、導電性粒子23の形状は、球状、あるいは扁平状が好ましい。
【0033】
導電性接着フィルム17の熱硬化性のバインダー樹脂層22の組成は、少なくともエポキシ樹脂と、硬化剤とを含有し、好ましくは、さらに膜形成樹脂と、シランカップリング剤とを含有する。
【0034】
エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、市販のエポキシ樹脂が全て使用可能である。このようなエポキシ樹脂としては、具体的には、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂などを用いることができる。これらは単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、アクリル樹脂など他の有機樹脂と適宜組み合わせて使用してもよい。
【0035】
硬化剤は、潜在性を有していてもよい。潜在性硬化剤は、通常では反応せず、何かしらのトリガーにより活性化し、反応を開始する。トリガーには、熱、光、加圧などがあり、用途により選択して用いることができる。なかでも、本願では、加熱硬化型の潜在性硬化剤が好適に用いられ、タブ線3を介して加熱押圧ヘッド30に加熱押圧されることにより本硬化される。
【0036】
膜形成樹脂は、平均分子量が10000以上の高分子量樹脂に相当し、フィルム形成性の観点から、10000〜80000程度の平均分子量であることが好ましい。膜形成樹脂としては、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂等の種々の樹脂を使用することができ、その中でも膜形成状態、接続信頼性等の観点からフェノキシ樹脂が好適に用いられる。
【0037】
シランカップリング剤としては、エポキシ系、アミノ系、メルカプト・スルフィド系、ウレイド系などを用いることができる。これらの中でも、本実施の形態では、エポキシ系シランカップリング剤が好ましく用いられる。これにより、有機材料と無機材料の界面における接着性を向上させることができる。
【0038】
また、その他の添加組成物として、無機フィラーを含有することが好ましい。無機フィラーを含有することにより、圧着時における樹脂層の流動性を調整し、粒子捕捉率を向上させることができる。無機フィラーとしては、シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等を用いることができ、無機フィラーの種類は特に限定されるものではない。
【0039】
図6は、導電性接着フィルム17の製品形態の一例を模式的に示す図である。この導電性接着フィルム17は、剥離基材24上にバインダー樹脂層22が積層され、テープ状に成型されている。このテープ状の導電性接着フィルムは、リール25に剥離基材24が外周側となるように巻回積層される。剥離基材24としては、特に制限はなく、PET(Poly Ethylene Terephthalate)、OPP(Oriented Polypropylene)、PMP(Poly-4-methlpentene−1)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)などを用いることができる。また、導電性接着フィルム17は、バインダー樹脂層22上に透明なカバーフィルムを有する構成としてもよい。
【0040】
このとき、バインダー樹脂層22上に貼付されるカバーフィルムとして上述したタブ線3を用いてもよい。導電性接着フィルム17は、バインダー樹脂層22がタブ線3の太陽電池セル2の表面への接着面となる一面3aあるいは太陽電池セル2の裏面への接着面となる他面3bに積層される。このように、予めタブ線3と導電性接着フィルム17とを積層一体化させておくことにより、実使用時においては、剥離基材24を剥離し、導電性接着フィルム17のバインダー樹脂層22をフィンガー電極12や裏面電極13のタブ線接続部14上に貼着することによりタブ線3と各電極12,13との接続が図られる。
【0041】
上記では、フィルム形状を有する導電性接着フィルムについて説明したが、ペースト状であっても問題は無い。導電性接着ペーストを用いる場合にも、この導電性接着ペーストを複数のフィンガー電極12を交叉するように塗布し、またタブ線接続部14上に塗布した後にタブ線3を重畳させる他、予め太陽電池セル2への接着面となるタブ線3の一面3aや他面3bにこの導電性接着ペーストを塗布しておくことにより、導電性接着ペーストを介してタブ線3を太陽電池セル2の各電極12,13上に貼着してもよい。
【0042】
また、本発明は、導電性粒子23を含有しないバインダー樹脂層22のみからなる絶縁性接着フィルムや、絶縁性接着ペーストを用いていてもよい。この場合、タブ線3とフィンガー電極12とは直接接触することにより導通が図られる。さらに、本発明は、導電性接着フィルム17と絶縁性接着フィルムとを積層させた積層フィルムを用いてもよい。本願では、これら導電性粒子を含有するフィルム状の導電性接着フィルム17、ペースト状の導電性接着ペースト、絶縁性接着フィルム、ペースト状の絶縁性接着ペースト、あるいはこれらの積層体を「接着剤」と定義する。
【0043】
なお、導電性接着フィルム17は、リール形状に限らず、太陽電池セル2の表面の複数のフィンガー電極12への貼着領域の形状や、裏面電極13のタブ線接続部14の形状に応じた短冊形状であってもよい。
【0044】
図6に示すように導電性接着フィルム17が巻き取られたリール製品として提供される場合、導電性接着フィルム17の粘度を10〜10000kPa・sの範囲とすることにより、導電性接着フィルム17の変形を防止し、所定の寸法を維持することができる。また、導電性接着フィルム17が短冊形状で2枚以上積層された場合も同様に、変形を防止し、所定の寸法を維持することができる。
【0045】
[製造工程]
上述した導電性接着フィルム17は、導電性粒子23と、エポキシ樹脂と、硬化剤と、膜形成樹脂と、シランカップリング剤とを溶剤に溶解させる。溶剤としては、トルエン、酢酸エチルなど、又はこれらの混合溶剤を用いることができる。溶解させて得られた樹脂生成用溶液を剥離シート上に塗布し、溶剤を揮発させることにより、導電性接着フィルム17を得る。
【0046】
表面電極用2本及び裏面電極用2本を所定の長さにカットされた導電性接着フィルム17は、太陽電池セル2の表裏面の所定位置に仮貼りされる。このとき、導電性接着フィルム17は、太陽電池セル2の表面に形成されている各フィンガー電極12と交叉するように載置され、また裏面のタブ線接続部14上に載置され、図4(A)に示す仮貼りヘッド33によって流動性を生じさせるが本硬化を生じさせない程度の温度(例えば70℃)及び圧力(例えば0.5MPa)で所定時間(例えば0.5秒)熱加圧される。
【0047】
次いで、同様に所定の長さにカットされたタブ線3が導電性接着フィルム17上に重畳配置される。このとき、タブ線3は、一面3aの表面接続部3cが導電性接着フィルム17を介して複数のフィンガー電極12と交叉するように配置され、他面3bの裏面接続部3dが裏面電極13のタブ線接続部14上に配置される。次いで、タブ線3は、加熱押圧ヘッド30によって導電性接着フィルム17のバインダー樹脂が熱硬化する所定の温度(例えば180℃程度)及び所定の圧力(例えば2MPa程度)で所定時間(例えば15秒程度)熱加圧される。これにより、導電性接着フィルム17を介して、タブ線3とフィンガー電極12、裏面電極13とが電気的及び機械的に接続される。
【0048】
このように、太陽電池セル2は、一枚ずつ加熱押圧ヘッド30の直下に搬送され、順次、タブ線3がフィンガー電極12及び裏面電極13に接着されると共に、タブ線3を介して隣接する太陽電池セル2と直列又は並列に接続され、ストリングス4、マトリクス5を構成していく。
【0049】
その後、ストリングス4あるいはマトリクス5は、EVA等の透光性の封止材のシート6が表裏両面に積層され、表面カバー7及びバックシート8とともに、減圧ラミネータによってラミネートされる。このときも、導電性接着フィルム17は、所定の温度(例えば160℃)で所定時間(例えば20分程度)加熱される。最後に、周囲にアルミニウムなどの金属フレーム9が取り付けられることにより太陽電池モジュール1が形成される。
【0050】
[緩衝材]
ここで、タブ線3を熱加圧する加熱押圧ヘッド30は、図7に示すように、タブ線3を押圧する押圧面30aに緩衝材31が設けられている。緩衝材31は、タブ線3の上から熱加圧することにより、複数のフィンガー電極12上に交叉するように配置されたタブ線3をフィンガー電極12に押圧し、その長手方向に亘って波形に変形させるものである。
【0051】
緩衝材31は、例えばシリコーン樹脂によって、タブ線3を長手方向に亘って押圧可能な略矩形板状に形成されている。また、緩衝材31は、厚さTがフィンガー電極12の高さTよりも厚く形成されている。これにより、緩衝材31は、タブ線3をフィンガー電極12に押し付けると、フィンガー電極12の高さTに応じて変形するため、図7に示すように、タブ線3をフィンガー電極12に押し付けてその高さ方向に亘って屈曲させ、長手方向に亘って所定の高低差Dを備える波形に変形させることができる。
【0052】
タブ線3は、図2、図7に示すように、波形形状における最高点と最低点との間の距離である高低差Dが5μm以上となることが好ましく、5〜45μmの範囲を更に好ましく使用することができる。タブ線3は、波形形状の高低差Dが5μm以上となることにより、導電性接着フィルム17を熱硬化する際に、加熱押圧ヘッド30によって熱加圧されるときやラミネート圧着されるとき、あるいは加熱後に冷え固まった際、太陽電池モジュール1の実使用時において高温環境と低温環境とに繰り返し曝されたときに、線膨張による応力を太陽電池セル2の面内方向と平行な成分のみならず垂直な成分として確実に逃がすことができる。
【0053】
タブ線3の高低差Dは、フィンガー電極12の高さTと緩衝材31の厚さTによって決まり、タブ線3の高低差Dを5μm以上とするには、(フィンガー電極12の高さ)/(緩衝材31の厚さ)≦0.3を満たすことが好ましい。
【0054】
また、フィンガー電極12は、高さTを20〜50μmに形成することが好ましい。フィンガー電極12は、Agペースト等の導電性ペーストを塗布、焼成することにより形成するため、安定的に形成するためには、高さTに自ずと限界が有るためである。また、緩衝材31は、厚さTを100〜600μmで形成することが好ましい。緩衝材31を厚くし過ぎると熱伝導性が悪くなり、タブ線3を接続するための熱加圧条件下において加熱押圧ヘッド30による熱を導電性接着フィルム17に伝えるのに長時間要することになってしまうためである。
【0055】
したがって、フィンガー電極12の高さTを20〜50μmとし、緩衝材31の厚さTを100〜600μmとし、かつ、これにより(フィンガー電極12の高さ)/(緩衝材31の厚さ)≦0.3を満たすことが好ましい。
【0056】
なお、上記では、相隣接する2つの太陽電池セルの表面及び裏面間に亘ってタブ線3を引き回すことにより導通接続を図る太陽電池モジュールについて説明したが、本発明は、相隣接する2つの太陽電池セルの受光面と反対側の裏面間に亘ってタブ線3を接続する、いわゆるバックコンタクトタイプの太陽電池モジュールに適用することもできる。
【0057】
また、本発明に係る太陽電池モジュール1は、タブ線3をフィンガー電極12に押し付けることにより所定の高低差を有する波形形状に形成するものであり、タブ線3はバスバー電極を介さずに直接フィンガー電極12と接続するものであるが、本発明は、図8に示すように、タブ線3が接続される領域以外に、複数のフィンガー電極12同士を電気的に接続する補助電極35を形成してもよい。補助電極35は、複数のフィンガー電極12と交叉するように形成されることにより、フィンガー電極12を相互に導通させるものであり、例えばAgペーストをスクリーン印刷した後に焼成されることにより、フィンガー電極12と同時に形成される。また、補助電極35は、太陽電池セル2の表面に形成された一部又は全部のフィンガー電極12と交叉するように形成される。
【実施例1】
【0058】
次いで、本発明の実施例について、緩衝材を使用せずにタブ線を接続した場合や、緩衝材の厚さを変えた場合と比較して説明する。この実施例及び比較例では、いずれも、シリコン結晶型の光電変換素子からなる太陽電池セルを用い、導電性接着フィルムを介して太陽電池セルに接続されるタブ線として、厚さ150μmの銅箔の片面に厚さ5μmでメッキコーティングした1.5mm幅のタブ線を用いた。また、導電性接着フィルムとして、SP100シリーズ(ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社製)を用いた。そして、導電性接着フィルムを介してタブ線を太陽電池セルの電極上に配置し、加熱押圧ヘッドによってタブ線上から熱加熱することにより、タブ線を太陽電池セルの表面及び裏面の各電極に導通接続した。接続条件は、180℃、15秒、2MPaである。
【0059】
実施例1では、太陽電池セルの表面に線状のフィンガー電極が複数並設され、バスバー電極が形成されていないいわゆるバスバーレスタイプのセルを用いた。また、加熱押圧ヘッドの押圧面にはシリコーンラバーからなる緩衝材(ゴム硬度70°)を設けた。
【0060】
また、実施例1では、フィンガー電極の高さを30μmとし、緩衝材の厚さを100μmとして、(フィンガー電極の高さ)/(緩衝材の厚さ)が、0.3となる。かかる緩衝材を介して熱加圧されたタブ線には、長手方向に亘って高低差5.7μmの波形形状が形成された。
【0061】
実施例2では、フィンガー電極の高さを30μmとし、緩衝材の厚さを200μmとして、(フィンガー電極の高さ)/(緩衝材の厚さ)が0.15となる以外は、実施例1と同様の構成とした。かかる緩衝材を介して熱加圧されたタブ線には、長手方向に亘って高低差20.1μmの波形形状が形成された。
【0062】
実施例3では、フィンガー電極の高さを30μmとし、緩衝材の厚さを400μmとして、(フィンガー電極の高さ)/(緩衝材の厚さ)が0.08となる以外は、実施例1と同様の構成とした。かかる緩衝材を介して熱加圧されたタブ線には、長手方向に亘って高低差25.5μmの波形形状が形成された。
【0063】
実施例4では、フィンガー電極の高さを30μmとし、緩衝材の厚さを600μmとして、(フィンガー電極の高さ)/(緩衝材の厚さ)が0.05となる以外は、実施例1と同様の構成とした。かかる緩衝材を介して熱加圧されたタブ線には、長手方向に亘って高低差26.1μmの波形形状が形成された。
【0064】
実施例5では、フィンガー電極の高さは20μmとし、緩衝材の厚さは200μmとして、(フィンガー電極の高さ)/(緩衝材の厚さ)が0.1となる以外は、実施例1と同様の構成とした。かかる緩衝材を介して熱加圧されたタブ線には、長手方向に亘って高低差18.2μmの波形形状が形成された。
【0065】
実施例6では、フィンガー電極の高さは50μmとし、緩衝材の厚さは200μmとして、(フィンガー電極の高さ)/(緩衝材の厚さ)が0.25となる以外は、実施例1と同様の構成とした。かかる緩衝材を介して熱加圧されたタブ線には、長手方向に亘って高低差40.1μmの波形形状が形成された。
【0066】
比較例1では、実施例1と同じバスバーレスタイプのセルを用いて、緩衝材を使用せずにタブ線を接続した。比較例1におけるフィンガー電極の高さは30μmとした。比較例1において、緩衝材を介在せずに熱加圧されたタブ線には、波形形状が形成されなかった。
【0067】
比較例2では、フィンガー電極の高さを30μmとし、緩衝材の厚さを10μmとして、(フィンガー電極の高さ)/(緩衝材の厚さ)が3となる以外は、実施例1と同様の構成とした。かかる緩衝材を介して熱加圧されたタブ線には、長手方向に亘って高低差2.2μmの波形形状が形成された。
【0068】
比較例3では、フィンガー電極の高さを30μmとし、緩衝材の厚さを50μmとして、(フィンガー電極の高さ)/(緩衝材の厚さ)が0.6となる以外は、実施例1と同様の構成とした。かかる緩衝材を介して熱加圧されたタブ線には、長手方向に亘って高低差3.2μmの波形形状が形成された。
【0069】
比較例4では、太陽電池セルの表面に線状のフィンガー電極を複数並設するとともに、複数のフィンガー電極と交叉することにより各フィンガー電極の電力を集電するバスバー電極を形成し、バスバー電極上にタブ線を接続した。また、加熱押圧ヘッドの押圧面にはシリコーンラバーからなる緩衝材を設けた。
【0070】
比較例4では、フィンガー電極の高さを30μmとし、緩衝材の厚さを400μmとして、(フィンガー電極の高さ)/(緩衝材の厚さ)が0.08である。かかる緩衝材を介して熱加圧されたタブ線には、波形形状が形成されなかった。
【0071】
各実施例及び比較例にかかる太陽電池セルは、タブ線を接続した後、触針式表面粗度計(商品名SE―3H:小阪研究所株式会社製)を用いて、タブ線の上側からスキャンすることにより、波形形状の高低差を測定した。また、各実施例及び比較例にかかる太陽電池セルは、タブ線を接続した後、セルの表裏面にEVAのシートが積層され、受光面側に設けられたカバーガラス及び裏面側に設けられたバックシートとともに、ラミネーターによってラミネートすることによりモジュール化した。
【0072】
次いで、各実施例及び比較例に係る太陽電池モジュールについて出力測定を、太陽電池モジュールの製造初期及び温度サイクルテスト後(−40℃:30分⇔100℃:30分、600サイクル)において行い、出力維持率(温度サイクルテスト後の最大出力/モジュール形成直後の最大出力)を算出した。各光電変換効率の測定は、ソーラーシミュレーター(日清紡メカトロニクス 社製、PVS1116i)を用いて、照度1000W/m、温度25℃、スペクトルAM1.5Gの条件にて行った。
【0073】
測定の結果、出力維持率が97%以上を○、95%以上97%未満を△、95%未満を×として評価した。測定結果を表1に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
表1に示すように、実施例1〜6によれば、タブ線の高さよりも厚い緩衝材を介してタブ線を熱加圧することにより、タブ線の波形形状の高低差を5μm以上に形成している。これにより、実施例1〜6によれば、加熱押圧ヘッドによって熱加圧されるときや、温度サイクル試験後においても、タブ線の線膨張による応力を太陽電池セルの面内方向と平行な成分のみならず垂直な成分として逃がすことができる。したがって、実施例1〜6によれば、タブ線とフィンガー電極12との接続信頼性が向上され、太陽電池モジュールの製造直後の初期の出力に対する出力維持率が97%以上と高いものとなった。
【0076】
実施例1〜6を比較すると、タブ線の波形形状の高低差が大きくなるほど、太陽電池モジュールの温度サイクル試験後における出力維持率が高くなる傾向を有することが分かる。本実施例では、波形形状の高低差が最大約40μmのタブ線を形成することで、98%の出力維持率を奏することが確認された。また、フィンガー電極の高さは20〜50μmで形成することができ、なかでも高さ30μmで形成することがより好ましいことがわかる。緩衝材の厚さは100〜600μmのものを用いることができ、なかでも厚さ200〜400μmのものであれば、タブ線に所定の波形形状の高低差を形成すると共に加熱押圧ヘッドの熱を短時間で伝達するうえで好ましいことが分かる。
【0077】
一方、比較例1では、緩衝材を使用せずに加熱押圧ヘッドによって直接タブ線を熱加圧しているため、タブ線に波形形状を形成することができなかった。したがって、比較例1では、タブ線の熱膨張に伴う応力は平行成分のみとなり、太陽電池セル表面や当該表面に形成されたフィンガー電極に対する応力が過大となってしまう。このため、太陽電池モジュールの製造直後の初期の出力に対する出力維持率が95%未満となった。
【0078】
また、比較例2では、緩衝材の厚さがフィンガー電極の高さよりも薄いため、緩衝材がフィンガー電極の高さに応じて変形しきれず、タブ線の波形形状の高低差が2.2μmと、5μmに満たなかった。このため、比較例2では、加熱押圧ヘッドによって熱加圧されるときや、温度サイクル試験後において、タブ線の線膨張による応力を垂直な成分として充分に逃がすことができず、太陽電池セル表面やフィンガー電極に対する応力が大きくなった。このため、太陽電池モジュールの製造直後の初期の出力に対する出力維持率が95%程度に落ちた。
【0079】
また、比較例3では、フィンガー電極の高さよりも厚い緩衝材を用いたものの、(フィンガー電極12の高さ)/(緩衝材31の厚さ)≦0.3を満たさず、タブ線の波形形状の高低差が3.2μmと、5μmに満たなかった。このため、比較例3においても加熱押圧ヘッドによって熱加圧されるときや、温度サイクル試験後において、タブ線の線膨張による応力を垂直な成分として充分に逃がすことができず、太陽電池セル表面やフィンガー電極に対する応力が大きくなった。このため、太陽電池モジュールの製造直後の初期の出力に対する出力維持率が97%未満であった。
【0080】
さらに、比較例4では、フィンガー電極及びバスバー電極を形成し、タブ線3をバスバー電極上に接続したため、加熱押圧ヘッドの押圧面に緩衝材を介在させたものの、タブ線に波形形状を形成することができなかった。したがって、比較例4では、タブ線の熱膨張に伴う応力は平行成分のみとなり、太陽電池セル表面や当該表面に形成されたフィンガー電極に対する応力が過大となってしまう。このため、太陽電池モジュールの製造直後の初期の出力に対する出力維持率が95%程度となった。
【符号の説明】
【0081】
1 太陽電池モジュール、2 太陽電池セル、3 タブ線、4 ストリングス、5 マトリクス、6 シート、7 表面カバー、8 バックシート、9 金属フレーム、10 光電変換素子、12 フィンガー電極、13 裏面電極、14 タブ線接続部、17 導電性接着フィルム、22 バインダー樹脂層、23 導電性粒子、24 剥離基材、25 リール、30 加熱押圧ヘッド、31 緩衝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に表面電極として線状電極が複数並設され、他面に裏面電極が設けられた太陽電池セルを複数配設し、
接着剤を介してタブ線を、一の上記太陽電池セルの上記複数の表面電極上に交叉させて配設するとともに、上記一の太陽電池セルと隣接する他の太陽電池セルの上記裏面電極上に配設し、
緩衝材を介して上記タブ線の上から熱加圧することにより、上記接着剤を硬化させるとともに上記タブ線と上記線状電極とを接続させ、上記タブ線を上記表面電極に押圧し長手方向に亘って波形に変形させる太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項2】
上記緩衝材の厚さは、上記表面電極の高さよりも厚い請求項1記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項3】
上記表面電極の高さは、20〜50μmである請求項2記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項4】
上記緩衝材の厚さは、100〜600μmである請求項3記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項5】
上記表面電極の高さと、上記緩衝材の厚さとは、下記式を満たす請求項2〜4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
(表面電極の高さ)/(緩衝材の厚さ)≦0.3
【請求項6】
上記タブ線は、波形形状の高低差を5μm以上とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項7】
上記接着剤は、予め上記タブ線の表面に積層されている請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項8】
一面に表面電極として線状電極が複数並設され、他面に裏面電極が設けられた複数の太陽電池セルと、
接着剤層を介して、一の上記太陽電池セルの上記複数の表面電極上に交叉して配設されるとともに、上記一の太陽電池セルと隣接する他の太陽電池セルの上記裏面電極上に配設され、上記一の太陽電池セルと上記他の太陽電池セルとを接続するタブ線とを備え、
上記タブ線は、上記表面電極が並設された上記一面の高低差に応じて、長手方向に亘って波形に形成されている太陽電池モジュール。
【請求項9】
上記表面電極の高さは、20〜50μmである請求項8記載の太陽電池モジュール。
【請求項10】
上記タブ線は、波形形状の高低差が5μm以上である請求項8又は請求項9に記載の太陽電池モジュール。
【請求項11】
一面に表面電極として線状電極が複数並設され、他面に裏面電極が設けられた太陽電池セルを複数配設し、
接着剤を介してタブ線を、一の上記太陽電池セルの上記複数の表面電極上に交叉させて配設するとともに、上記一の太陽電池セルと隣接する他の太陽電池セルの上記裏面電極上に配設し、
緩衝材を介して上記タブ線の上から熱加圧することにより、上記接着剤を硬化させるとともに上記タブ線と上記線状電極とを接続させ、上記タブ線を上記表面電極に押圧し長手方向に亘って波形に変形させるタブ線の接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−55262(P2013−55262A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193340(P2011−193340)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000108410)デクセリアルズ株式会社 (595)
【Fターム(参考)】