説明

太陽電池モジュール製造用ダイヤフラムおよびその評価方法ならびに太陽電池モジュールの製造方法

【課題】容易に破損しない耐久性に優れた変性シリコーンゴム製ダイヤフラムおよびその評価方法ならびにそのダイヤフラムを用いた太陽電池モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】太陽電池セル5をEVAシート7によりラミネートして太陽電池モジュールを製造する際に、真空プレス装置1を用いた熱プレスでEVAシートを架橋させるプレス条件に使用される変性シリコーンゴム製ダイヤフラム2は、EVAシートを入れた円筒状容器の開放端面上に載せて該開放端面の全面を覆って200℃×48時間の条件で加熱した後の円筒状容器内面側のゴム硬度が加熱前の変性シリコーンゴム硬度の値を100として118以下であり、同200℃×48時間の条件で加熱した後のシート全体の伸びが加熱前の伸びの値を100として34以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽電池モジュールを製造する際に使用される真空プレス装置用のダイヤフラムおよびその評価方法ならびに太陽電池モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュール製造用ダイヤフラムとしては、ハロゲン化ブチルゴムを使用する例(特許文献1)、補強繊維を埋入させたシリコーンゴムを使用する例(特許文献2)等が知られている。
太陽電池モジュールは、太陽電池セルを耐熱ガラス板、エチレンビニルアセテート樹脂(以下、EVAという)などの接着樹脂シート、アルミ箔などの防湿シート等のラミネート材によりパッケージングして製造される。製造方法の一例として、耐熱ガラス板の上に、EVAシート、太陽電池セル、EVAシート、防湿シートの順に重ね、真空下で加熱しながらEVAシートを架橋させて接着貼り合わせる方法がある。この貼り合わせを行なう方法として、真空プレス方式があり、これは貼り合わせ部材を下方のヒータ盤と上方のダイヤフラムとの間で挟圧してラミネートする方法である。
【0003】
上記EVAを用いた太陽電池パネルの貼合せ工程においては、EVA、太陽電池セルを含む積層体をEVAが架橋する温度に設定されたヒータ盤の上にセットした後、上部よりダイヤフラムにて加圧し、積層体を圧着する。この際にEVAが架橋する温度および時間領域に保持しなければならない。この架橋条件として、例えば、従来135〜155℃、5分程度で一次架橋を施し、150〜160℃、15〜20分程度で二次架橋を行なっていた。一次架橋は熱プレス方式でなされており、プレス機に付属しているダイヤフラムのゴムシートの耐久性は、この一次架橋の条件に大きく影響される。二次架橋はEVAシートの完全架橋を目的にオーブン方式でなされる場合が多い。
しかしながら、近年145℃を超える温度でEVAシートの架橋を一次架橋のみで行ない二次架橋を省略することで、架橋時間を短縮する製造方法が採用されるようになっている。
【0004】
貼合せ工程における従来のダイヤフラムは、一次架橋工程を一回のプレス回数として、5000回以上のプレス回数に耐えるシリコーンゴム製ダイヤフラムが使用されている。このシリコーンゴム製ダイヤフラムに使用されているシリコーンゴムはミラブル型シリコーンゴムが使用されている。
しかし、上記架橋時間を短縮する製造方法に従来のシリコーンゴム製ダイヤフラムを使用すると、約1000回程度のプレス回数でシリコーンゴム製ダイヤフラムが破損する問題が生じた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4308769号
【特許文献2】特開2004−281834号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題に対処するためになされたもので、比較的高温短時間でEVAシートを一回の熱プレスで架橋させることで架橋時間を短縮する製造方法において、容易に破損しない耐久性に優れた変性シリコーンゴム製ダイヤフラムおよびその評価方法ならびにそのダイヤフラムを用いた太陽電池モジュールの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の変性シリコーンゴム製ダイヤフラムは、太陽電池セルをEVAシートによりラミネートして太陽電池モジュールを製造する際に、真空プレス装置を用いた熱プレスで上記EVAシートを架橋させるプレス条件にて使用される。また、この変性シリコーンゴム製ダイヤフラムは、直径5cm、高さ7cmの内容積を有する一方が開放されている円筒状容器内に上記EVAシート4gを入れ、該円筒状容器の開放端面上に厚さ3mmの供し試料を載せて、該開放端面の全面を覆い、この円筒状容器および供し試料を200℃×48時間の条件で加熱した後の円筒状容器内面側のゴム硬度が加熱前の変性シリコーンゴム硬度の値を100として118以下であり、同200℃×48時間の条件で加熱した後の上記シート全体の伸びが加熱前の伸びの値を100として34以上であることを特徴とする。
ここで熱プレスとは、ダイヤフラム式の真空プレス装置において、下面の熱盤より加熱されながら、上面よりダイヤフラムにて圧着することをいう。
【0008】
本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、太陽電池セルをEVAによりラミネートする太陽電池モジュールの製造方法であって、
上記太陽電池セルは、上記EVAシートを変性シリコーンゴム製ダイヤフラムを用いた真空プレス装置により熱プレスで架橋させてラミネートする工程を有し、
上記変性シリコーンゴム製ダイヤフラムが上記本発明の太陽電池モジュール製造用ダイヤフラムであることを特徴とする。
【0009】
本発明の変性シリコーンゴム製ダイヤフラムの評価方法は、太陽電池セルをEVAによりラミネートして太陽電池モジュールを製造する際に使用される真空プレス装置に用いられ、該真空プレス装置での熱プレスで上記EVAを架橋させるプレス条件で使用される変性シリコーンゴム製ダイヤフラムの評価方法であって、
一方が開放されている円筒状容器内に所定量のエチレンビニルアセテート樹脂シートを入れ、上記円筒状容器の開放端面上に供し試料を載せて、該開放端面の全面を覆い、円筒状容器および供し試料を所定の条件で加熱した後のゴム特性を測定することを特徴とする。
特に、上記円筒状容器が直径5cm、高さ7cmの内容積を有し、この容器内に収容されるEVAシートが4gのシートであり、供し試料の厚さが3mmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の変性シリコーンゴム製ダイヤフラムは、EVAシートの架橋が熱プレスによる一次架橋のみでなされるので、太陽電池モジュールの生産性が向上する。また、変性シリコーンゴム製ダイヤフラムの耐久性などのゴム特性を所定の評価方法で評価できることで、安定して太陽電池モジュールを生産できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】変性シリコーンゴム製ダイヤフラムの使用状態を示す図である。
【図2】使用不可能になったダイヤフラムの平面図である。
【図3】太陽電池モジュールの断面構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面を参照して、本発明の変性シリコーンゴム製ダイヤフラムを説明する。太陽電池モジュール等を製造する際に使用される真空プレス装置の断面図を図1に示す。図1(a)は真空プレス開始前の状態を示す図であり、図1(b)は真空プレス時の状態を示す図である。
真空プレス装置1は、第1の室3と第2の室4とがダイヤフラム2により分離されている二重真空方式の装置である。
太陽電池セル5は、全体の構造的支持体6の片面に、EVAシート7bを介して載置され、その表面にEVAシート7aを被せて真空プレス装置1内に配置される(図1(a))。
プレス工程として、例えば、第1の室3と第2の室4とをそれぞれ0.002Pa程度の真空度にして、EVAシート7で囲まれた太陽電池セル5を加熱する。加熱が所定の温度に達したら第1の室3を大気圧に戻す(図1(b))。第1の室3を大気圧に戻すことで、ダイヤフラム2とともに、EVAシート7が太陽電池セル5に真空圧着される。
この状態を所定時間維持することで、EVAシート7の架橋反応が進むとともに太陽電池セル5をEVAシート7にて封止する。
真空プレス装置1を冷却後、第2の室4を大気圧に戻すことでプレス工程が終了する。プレス工程において、ダイヤフラム2は、真空圧着および加熱により機械的および熱的応力を印加されながら使用され、複数回のプレス工程後毎に交換される。このため、ダイヤフラム2の耐久性は直接太陽電池モジュール等の生産性に影響を与える。
【0013】
一般に、EVAが溶融する温度は約85℃であり、架橋反応が開始する温度は約130℃と言われている。このため、従来は、135〜155℃、5分程度で熱プレスを用いて一次架橋を施し、その後、150〜160℃、15〜20分程度で二次架橋をオーブン等を用いて行なっていた。一次架橋を5分程度とするのは、EVAの発泡や黄変を抑えるためであり、二次架橋を150〜160℃、15〜20分程度にするのは、屋外での温度変化に対しEVAが軟化現象等を起こすことがないように、EVAの架橋反応を十分にするためである。
【0014】
一方、太陽電池モジュール等の生産性の向上を図るため、本発明においては、EVAの架橋条件として真空プレス装置1を用いた熱プレス単独でEVAシートを架橋させる製造方法を採用する。すなわち、従来の一次架橋のみでEVAを架橋する。そのため、プレス温度135℃〜180℃、プレス時間10〜15分の条件が熱プレスの条件として採用される。従来のシリコーンゴム製ダイヤフラム2は、プレス温度が155℃を超えると極めて短時間に使用不可能になった。具体的には取り替えないで使用できる回数が約1/5程度まで低下した。
図2は、プレス温度135℃〜180℃、プレス時間10〜15分の条件下において、約1000回のプレス回数で使用不可能になったダイヤフラム2の平面図である。図2に示すように、太陽電池セル5の貼り合わせ工程において、ダイヤフラム2は、その機械的応力が繰り返し印加される箇所において、応力印加方向、すなわち伸び縮みが発生する方向にクラック8やクラックに至らない微小なクレージング9などが入りやすくなり、破壊しやすくなることが判明した。
【0015】
破壊が生じた従来のシリコーンゴム製ダイヤフラムの劣化が生じていない部分(クラックが全く見られない未劣化部分で図中A部分)、クラックに至らない微小なクレージング9などの僅かな劣化が生じている劣化が少ない部分(図中B部分)、大きなクラックが生じている劣化が大きい部分(図中C部分)に関し、未使用の従来シリコーンゴム製ダイヤフラムと比較して調査した。調査項目は、密度(g/cm3)、硬さ(IRHD)、アセトン抽出量(質量%)、IR分光分析、ラマン分光分析である。
なお、硬さ(IRHD)は、国際ゴム硬さを表し、ヤング率ゼロの材料の硬さを「0」、ヤング率無限大の材料の硬さを「100」とした硬さスケールで、劣化が生じているゴム試料表面を球面で垂直に一定の力で押込んだときの押込み深さで示される値である。また、表1中、硬さの値における( )内は未使用品との比である。
調査の結果、IR分光分析およびラマン分光分析においてはシリコーン成分以外の吸収は見られなかった。その他の調査結果について、表1に示す。
【0016】
【表1】

【0017】
表1に示すように、密度は、劣化が進むにつれて僅かに大きくなり、アセトン抽出量は劣化が大きい部分が少なくなる傾向を示した。
顕著な変化を示したのは、ゴムの硬さであり、劣化が進むにつれて硬くなり、最も劣化が進んだ部分(図2中C部分)では、未使用品の1.60倍まで硬度が増加した。僅かに劣化が進んだ部分(図2中B部分)においても、ゴム硬度は未使用品の1.28倍の硬度を示した。
使用後であってもダイヤフラムの劣化が見られない部分(図2中A部分)でのゴム硬度は未使用品の1.17倍であった。このため、シリコーンゴム製ダイヤフラムであってもゴム硬度が未使用ダイヤフラムの約1.2倍以下であれば、EVAの架橋条件がプレス温度135℃〜180℃、プレス時間10〜15分の一次架橋のみの条件下においても耐久性に優れたシリコーンゴム製ダイヤフラムが得られることが判明した。
【0018】
上記真空プレス装置1を用いて製造される太陽電池モジュールを図3に示す。図3は太陽電池モジュール10のプレス前の断面構造を示す図である。
太陽電池モジュール10は、下側に配置された透明なカバーガラス11と、上側に配置された例えばポリエチレン樹脂などの透明な裏面材12との間に、EVAシート7a、7bを介して太陽電池セル5をサンドイッチした構成を有する。太陽電池セル5は、電極13、14の間に太陽電池セル5を複数個配置しリード線15で接続した構成である。
太陽電池モジュール10は真空プレス装置1を用いて、上記構成部材を重ね合わせて真空状態で加熱しながら、ラミネートする。その結果、一次架橋のみの条件下において、EVAシート7a、7bが架橋されて各構成部材が重ね合わされた状態で接着されることで、太陽電池モジュールが製造される。
【0019】
本発明に使用できる変性シリコーンゴムは、ポリアルキルアルケニルシロキサン、ポリアルキルアルコキシシロキサン、またはフロロシリコーン等で変性されたポリオルガノシロキサンである。この変性シリコーンゴムにシリカ粉末が配合された変性シリコーンゴム組成物であることが好ましい。変性シリコーンゴムとしては、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社品番XE20−853U、信越化学工業株式会社の品番X−30−4276−Uがある。
【0020】
上記本発明に使用できる変性シリコーンゴムの耐熱特性を以下の方法で評価した。
供し試料は、従来のシリコーンゴム製ダイヤフラムに使用されているシリコーンゴム、および、上記ポリアルキルアルケニルシロキサン、ポリアルキルアルコキシシロキサン、またはフロロシリコーン等で変性されたシリコーンゴムにシリカ粉末が配合された変性シリコーンゴムであり、変性シリコーンゴム1(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社品番XE20−853U)および変性シリコーンゴム2(信越化学工業株式会社の品番X−30−4276−U)を準備した。従来品を含めて、供し試料は合計3種類である。
供し試料を厚さ3mmのシート状とする。一方、直径5cm、高さ7cmの内容積を有する一方が開放されている円筒状容器内に上記EVAシート4gを収納する。シートの厚みは0.1mm〜1.0mmである。EVAシートが収納された円筒状容器の開放端面上に上記供し試料を載せて、該開放端面の全面を覆う。開放端面の全面を厚さ3mmの供しシートで覆った状態で、恒温槽中に入れ、200℃×48時間の条件で加熱する。なお、円筒状容器の開放端面を覆う供しシートは該開放端面を密閉することなく、開放端面上に載せておく状態である。
加熱条件は、200℃×48時間の条件を維持できれば、200℃×24時間加熱した後、一端冷却して再度200℃×24時間加熱してもよい。また、一端冷却して再加熱時にEVAシートを新規EVAシートに交換してもよい。
最も好ましい加熱条件は、200℃×24時間加熱した後、一旦冷却して新規EVAシート4gに交換して、再度200℃×24時間加熱する条件である。
加熱後、室温に戻し、室温でJISK6250に準じて劣化面でのゴム硬度(デュロメータ硬さ、表中HAで表す)、JISK6250に準じるダンベル形状に打ち抜いた試料を用いて、JISK6250に準じて抗張力(単位:MPa、表中TSで表す)、100%モジュラス(単位:MPa、表中M100で表す)、伸び(単位:%、表中Ebで表す)を測定した。結果を表2に示す。
【0021】
【表2】

【0022】
表2に示すように、変性シリコーンゴム1および2は、従来のシリコーンゴムに比較して、ゴム硬度が高温度の熱劣化試験後においても硬くならず、伸びの低下が少なかった。
従来のシリコーンゴム製ダイヤフラムは、ゴム硬度が未使用品の約1.2倍を超えると、ゴムの劣化がみられたことを考慮すると、上記評価方法において、ゴム硬度が未使用品の約1.2倍となる条件は200℃×48時間の条件である。なお、加熱条件を225℃×48時間の条件で従来品を試験した場合、ゴム硬度が未使用品の1.3倍を超えた。
すなわち、上記評価条件で、200℃×48時間後のゴム硬度が加熱前のゴム硬度の値を100として118以下、好ましくは95〜118の変性シリコーンゴム製ダイヤフラムは、プレス温度135〜180℃、プレス時間10〜15分の条件で二次架橋なしの真空プレス装置用ダイヤフラムとして使用できる。
【0023】
表2において、従来のシリコーンゴム製ダイヤフラムは、200℃×48時間後の伸びが初期値の33.3%と大きく低下した。一方変性シリコーンゴム1および2の伸びは、それぞれ63.9%、84.1%であった。これらの値と、200℃×48時間後の従来品の伸びを基準にすると、上記評価条件で、200℃×48時間後の伸びが初期値の少なくとも34%以上、好ましくは40〜100%、より好ましくは60〜100%の変性シリコーンゴム製ダイヤフラムは、プレス温度135〜180℃、プレス時間10〜15分の条件で二次架橋なしの真空プレス装置用ダイヤフラムとして使用できる。
【実施例】
【0024】
実施例1
従来例のシリコーンゴム、変性シリコーンゴム1、および変性シリコーンゴム2を用いて、製品サイズとして厚さ3mm、縦2.7m、横3.9mの変性シリコーンゴム製ダイヤフラム2を製造した。
このダイヤフラム2を図1に示すプレス装置1に取り付けて、図3に示す太陽電池モジュール10を製造した。太陽電池モジュール10は150℃×15分の熱プレスによる一次架橋のみでEVAシート7を架橋させた。
その結果、従来例のシリコーンゴム製ダイヤフラムは、2回の実験で、プレス回数800回、1100回でそれぞれダイヤフラムにクラックが入り破損したため使用不能となった。
変性シリコーンゴム1製ダイヤフラムおよび変性シリコーンゴム2製ダイヤフラムは、プレス回数2120回経過後もクレージング等の劣化を全く生じなく使用でき、ダイヤフラムを交換することがないので、太陽電池モジュールの生産性が向上した。
また、この変性シリコーンゴム製ダイヤフラムを用いて製造した太陽電池モジュールは、太陽電池モジュールとしての性能が製造初期品とプレス回数2120回経過後の製品とで有意差が認められなかった。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本願発明の変性シリコーンゴム製ダイヤフラムを使用することで、太陽電池モジュールの生産性が向上し、かつ安定して太陽電池モジュールを生産できるので、今後の太陽電池モジュールの量産化に利用できる。
【符号の説明】
【0026】
1 真空プレス装置
2 ダイヤフラム
3 第1の室
4 第2の室
5 太陽電池セル
6 構造的支持体
7 EVAシート
8 クラック
9 クレージング
10 太陽電池モジュール
11 カバーガラス
12 裏面材
13 電極
14 電極
15 リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池セルをエチレンビニルアセテート樹脂シートによりラミネートして太陽電池モジュールを製造する際に使用される真空プレス装置用の変性シリコーンゴム製ダイヤフラムであって、
該変性シリコーンゴム製ダイヤフラムは、前記真空プレス装置を用いた熱プレスで前記エチレンビニルアセテート樹脂シートを架橋させるプレス条件に使用されるダイヤフラムであり、
前記変性シリコーンゴム製ダイヤフラムは、直径5cm、高さ7cmの内容積を有する一方が開放されている円筒状容器内にエチレンビニルアセテート樹脂シート4gを入れ、前記円筒状容器の開放端面上に厚さ3mmの供し試料を載せて、該開放端面の全面を覆い、前記円筒状容器および供し試料を200℃×48時間の条件で加熱した後の前記円筒状容器内面側のゴム硬度が加熱前の変性シリコーンゴム硬度の値を100として118以下であり、同200℃×48時間の条件で加熱した後の前記シート全体の伸びが加熱前の伸びの値を100として34以上であることを特徴とする太陽電池モジュール製造用ダイヤフラム。
【請求項2】
太陽電池セルをエチレンビニルアセテート樹脂によりラミネートする太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記太陽電池セルは、前記エチレンビニルアセテート樹脂シートを変性シリコーンゴム製ダイヤフラムを用いた真空プレス装置により熱プレスで架橋させてラミネートする工程を有し、
前記変性シリコーンゴム製ダイヤフラムが請求項1記載の太陽電池モジュール製造用ダイヤフラムであることを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項3】
太陽電池セルをエチレンビニルアセテート樹脂によりラミネートして太陽電池モジュールを製造する際に使用される真空プレス装置に用いられ、該真空プレス装置での熱プレスで前記エチレンビニルアセテート樹脂を架橋させるプレス条件で使用される変性シリコーンゴム製ダイヤフラムの評価方法であって、
一方が開放されている円筒状容器内に所定量の前記エチレンビニルアセテート樹脂シートを入れ、前記円筒状容器の開放端面上に供し試料を載せて、該開放端面の全面を覆い、前記円筒状容器および供し試料を所定の条件で加熱した後のゴム特性を測定することを特徴とする変性シリコーンゴム製ダイヤフラムの評価方法。
【請求項4】
前記円筒状容器が直径5cm、高さ7cmの内容積を有し、この容器内に収容される前記エチレンビニルアセテート樹脂シートが4gのシートであり、前記供し試料の厚さが3mmであることを特徴とする変性シリコーンゴム製ダイヤフラムの評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−60081(P2012−60081A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204759(P2010−204759)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(591005006)クレハエラストマー株式会社 (37)
【Fターム(参考)】