説明

太陽電池機能を付加した防音パネル

【課題】太陽電池機能を付加した付加価値の高い防音パネルを提供することを目的とする。
【解決手段】建築物の全体を覆い、広い面積が外部に露出している防音パネルのパネル本体部(10)に、ベースパネル(20)、太陽電池シート(30)およびカバーパネル(40)の順で重ねて配置し、防音以外にも太陽光発電機能も備えている。したがって、このような防音パネル(1)に太陽電池シート(30)を付加することで、太陽光の受光面積の確保が容易となり、効率よく発電を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池機能を付加した防音パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の建設現場などにおいて建設中の建物を囲い、建物の建設工事の際に発生する騒音が周囲に広がることを防止する連結式の防音パネルがある(例えば特許文献1参照)。この防音パネルは、建物の周りに設置される仮設足場に取り付けられ、建物の周囲を多数枚の防音パネルを連結することによって囲んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−129654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の防音パネルは建物全体を覆う構成であるため、多数の防音パネルが外部に露出している。このように、外部に多数露出する防音パネルに対し、防音機能以外の他の機能を付加して、防音パネルの付加価値を上げたいという要望がある。
【0005】
そこで本発明は、太陽電池機能を付加した付加価値の高い防音パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため本発明は、防音性を有するパネル本体部と、パネル本体部に重ねて配置された太陽電池シートとを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、防音パネルは、太陽電池機能を備えているため、防音以外にも太陽光によって発電を行うことができる。防音パネルは建物全体を覆うものであるため、広い面積が外部に露出している。したがって、このような防音パネルに太陽電池機能を付加することで、太陽光の受光面積の確保が容易となり、効率よく発電を行うことができる。このように、付加価値の高い防音パネルを得ることができる。
【0008】
太陽電池シートは、パネル本体部の一部を覆い、パネル本体部は、透過性を有することが好ましい。これによれば、パネル本体部における太陽電池シートによって覆われている部分も光が透過するため、例えば、防音パネルによって囲まれた建設現場、建設中の建物内部に太陽光を導くことができる。
【0009】
防音パネルは、強度を高めるために凹凸状に形成されているため、パネル本体部と太陽電池シートとの間に挟み込まれた平板状のベースパネルを備える。これによれば、凹凸状のパネル本体部に太陽電池シートを直接取り付けることができない場合であっても、ベースパネルによって太陽電池シートの取り付け面を平坦にでき、パネル本体部への太陽電池シートの取り付けが容易となる。
【0010】
パネル部は、長方形の板状に形成され、当該長方形の長手方向に延びる凹部および凸部を備えている。また、防音パネルは、パネル本体部における略長方形の短手側の縁部に取り付けられるフレームをさらに備えることが好ましい。これによれば、長手方向に延びる凹部および凸部の少なくとも一方によって、パネル本体部の長手方向の曲がりを防止することができる。また、パネル本体部における長方形の短手側の縁部にフレームを取り付けることで、パネル本体部の長方形の短手方向の曲がりを防止することができる。即ち、長手方向に延びる凹部および凸部の少なくとも一方と、フレームとによって、パネル本体部の曲がりが確実に防止され、強度の高い防音パネルを得ることができる。
【0011】
さらに、太陽電池シートの外面を覆うと共に、透過性を有する平板状のカバーパネルを備えることが好ましい。これによれば、カバーパネルによって太陽電池シートが覆われるため、太陽電池シートの損傷が防止され、耐久性の高い防音パネルを得ることができる。
【0012】
また、太陽電池シートは、可撓可能なシート状を成していることが好ましい。これによれば、太陽電池シートが可撓可能であるため、防音パネルに若干の撓みが生じた場合であっても太陽電池シートの破損が防止され、防音パネルの耐久性を向上させることができる。また、可撓可能なシート状の太陽電池シートを用いることで、防音パネルの製造時における太陽電池シートの取り扱いが容易となり、防音パネルの製造性を向上させることができる。そして何よりも従来のソーラーシステムを組み込むものに比して、約5分の一の重量であり、防音パネル単体の重量を増加させずに済むので高所に取り付ける防音パネルとして非常に有利である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、付加価値の高い防音パネルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る防音パネルの分解斜視図である。
【図2】図1の防音パネルの正面図である。
【図3】図1の防音パネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る防音パネルの一実施形態について図1〜図3を用いて説明する。
【0016】
図1〜図3に示す防音パネル1は、建設中の建物の周りに設置される仮設足場に取り付けられ、建物の周囲を多数枚の防音パネル1を縦横に連結することによって囲んでいる。防音パネル1は、図1において縦方向に凹部および凸部を形成されたパネル本体部10と、平板のベースパネル20と、太陽電池シート30と、カバーパネル40と、サイドフレーム(フレーム)50とを有している。
【0017】
パネル本体部10は、長方形の板状に形成されている。パネル本体部10は、太陽電池シート30が配置される側の面から見て、かつパネル本体部10における長手側の一方の縁部から他方の縁部に向かって(図1において上から下方向に)長手方向に延びる凹部10a,10b,10cを有している。パネル本体部10における長方形の長手側の縁部は、断面矩形状に折り返されている。パネル本体部10は、遮音性および透過性を有するポリカーボネートによって形成されている。
【0018】
ベースパネル20は、長方形の平板状に形成され、パネル本体部10に重ねて配置される。ベースパネル20における長方形の長手方向の長さは、パネル本体部10における長方形の長手方向の長さと略等しく、ベースパネル20における短手方向の長さは、パネル本体部10における凹部10aおよび凹部10c間の長さと略等しい。即ち、ベースパネル20は、パネル本体部10の凹部10aと凹部10cとの間において凹部10bを覆っている。ベースパネル20も、ポリカーボネートによって形成される。
【0019】
太陽電池シート30は、長方形状に形成され、ベースパネル20上に重ねて配置される。太陽電池シート30における長方形の長手方向の長さは、パネル本体部10における長方形の長手方向の長さと略等しく、太陽電池シート30における短手方向の長さは、ベースパネル20における短手方向の長さよりも少し短い。太陽電池シート30は、可撓性のシート状である。このような太陽電池シート30として、例えば、プラスチックフィルム上に太陽電池セルを形成したものを用いることができる(一例として、富士電機株式会社製 FWAVEなどが挙げられる。)。
【0020】
カバーパネル40は、長方形の平板状に形成され、太陽電池シート30に重ねて配置される。カバーパネル40における長方形の長手方向の長さは、パネル本体部10における長方形の長手方向の長さと略等しい。カバーパネル40における長方形の長手側の縁部は、パネル本体部10の凹部10a、10cにそれぞれ落とし込まれている(図3参照)。即ち、カバーパネル40は、断面コの字状を成し、コの字形状内側に太陽電池シート30およびベースパネル20を収容してパネル本体部10に重ねられる。カバーパネル40は、透過性を有するポリカーボネートによって形成されている。
【0021】
パネル本体部10、ベースパネル20、太陽電池シート30およびカバーパネル40の順で重なり、カバーパネル40側からパネル本体部10に向けて差し込まれたネジ41によって互いに密着した状態で固定される。なお、ネジ41は、太陽電池シート30の太陽電池セルの部分を貫通することがない位置に差し込まれる。
【0022】
このように、パネル本体部10、ベースパネル20、太陽電池シート30およびカバーパネル40が、ネジ41で固定されていることで、カバーパネル等が破損したり、カバーパネルに汚れや傷が生じたりした場合に、ネジを外すだけで、当該部材の交換が容易であり、また、使い回しされる防音パネルにあっては、1つの建設現場での使用が終わり、次の建設現場で使用される前に、清掃が行われるが、この清掃の際、カバーパネルが破損したり、キズや汚れが生じたりした場合にも、当該部品のみを交換すればよいので経済的なものとなる。
【0023】
サイドフレーム50は、パネル本体部10の短手側の縁部にリベット止め等によって取り付けられる。サイドフレーム50は、アルミやスチール、あるいはこれらの合金などによって形成される。
【0024】
防音パネル1は、長方形の長手側を水平方向に向けた状態で使用されるものであり、仮設足場に設けられたフックに引っ掛けて設置される。このため、防音パネル1には、適宜の位置に、仮設足場に設けられたフックに係合させるための係合孔が設けられている。
【0025】
防音パネル1には、太陽電池シート30で発電された電気を取り出すための配線が設けられている。この配線は、隣接する防音パネル1の太陽電池シート30から延びる配線と連結可能とされていてもよい。また、防音パネル1の縁部に、当該防音パネル1を複数枚設置したときにパネル間にできる隙間を埋めるためスポンジを取り付けるとよい。
【0026】
本実施形態は以上のように構成され、防音パネル1は、建物などの全体を覆うものであるため、広い面積が外部に露出しており、太陽光の受光面積の確保が容易となり、防音パネル1に太陽電池シート30を付加することで、防音以外にも太陽光によって効率よく発電を行うことができる。このように、防音以外にも発電を行うことができる付加価値の高い防音パネル1を得ることができる。
【0027】
太陽電池シート30は、パネル本体部10の一部、即ち、凹部10a〜10cの間を覆う。また、パネル本体部10、太陽電池シート30およびカバーパネル40をすべて光り透過性のポリカーボネートとしてあるので、防音パネル1を光が透過するため、防音パネル1に囲まれた建築現場、建築物内部に太陽光を導くことができる。
【0028】
平板状のベースパネル20が、パネル本体部10の凹部10bを覆っていて、太陽電池シート30の取り付け面を平坦面とするので、凹凸状のパネル本体部10に太陽電池シート30を直接取り付けることができる。したがって、パネル本体部10への太陽電池シート30の取り付けが容易となる。
【0029】
パネル本体部10にサイドフレーム50を取り付けることで、パネル本体部10の長方形の短手方向の歪みを防止することができる。また、パネル本体部10に設けられた凹部10a〜10cによって、パネル本体部の長手方向の曲がりを防止することができる。即ち、長方形の長手方向に延びる凹部10a〜10cと、サイドフレーム50とによって、パネル本体部10の曲がりが確実に防止され、強度の高い防音パネル1を得ることができる。
【0030】
太陽電池シート30をカバーパネル40によって覆うことで、太陽電池シート30の損傷が防止され、耐久性の高い防音パネル1を得ることができる。
【0031】
太陽電池シート30を、可撓性のシートとすることで、防音パネル1に若干の撓みが生じた場合であっても太陽電池モシート30の破損が防止され、防音パネル1の耐久性を向上させることができる。また、可撓性シートの太陽電池シート30を用いることで、防音パネル1の製造時における太陽電池シート30の取り扱いが容易となり、防音パネル1の製造性を向上させることができる。
【0032】
なお上記実施形態において、パネル本体部10は、太陽電池シート30が配置される側の面から見たときに、長方形の長手方向に延びる凹部10a,10b,10cを有しているものとしたが、長方形の長手方向に延びる凸部を設けてもよい。また、凹部10a〜10cと凸部とを組み合わせて設けてもよい。これらの場合であっても、パネル本体部10の凹凸部分にベースパネル20を被せることで、太陽電池シート30の設置面を平坦面とすることができ、太陽電池シート30の設置が容易となる。
【符号の説明】
【0033】
1 防音パネル
10 パネル本体部
20 ベースパネル
30 太陽電池シート
40 カバーパネル
50 サイドフレーム(フレーム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防音性を有するパネル本体部と、
前記パネル本体部に重ねて配置された太陽電池シートと、
を備えることを特徴とする防音パネル。
【請求項2】
前記太陽電池シートは、前記パネル本体部の一部を覆い、
前記パネル本体部は、透過性を有することを特徴とする請求項1に記載の防音パネル。
【請求項3】
前記パネル本体部と前記太陽電池シートとの間に平板状のベースパネルを備え、
前記パネル本体部は、前記ベースパネルに当接する側の面が凹凸状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の防音パネル。
【請求項4】
前記パネル本体部は、長方形の板状に形成され、当該長方形の長手方向に延びる凹部および凸部の少なくとも一方を備え、
前記パネル本体部における前記略長方形の短手側の縁部に取り付けられるフレームを備える、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防音パネル。
【請求項5】
前記太陽電池シートの外面を覆うと共に、透過性を有する平板状のカバーパネルを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の防音パネル。
【請求項6】
前記太陽電池シートは、可撓性のシートであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の防音パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−91994(P2013−91994A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235264(P2011−235264)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000213851)朝日機材株式会社 (1)
【出願人】(000101662)アルインコ株式会社 (218)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)