説明

太陽電池用裏面保護シートとそれを備えた太陽電池モジュール

【課題】太陽電池素子を封止するために用いられる充填材としてのEVA樹脂との密着性を高めることができ、長期間にわたって耐候性を維持することが可能な太陽電池用裏面保護シートとそれを備えた太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】太陽電池モジュールの裏面側に配置される太陽電池用裏面保護シート10は、順に積層された第1の樹脂層11、第2の樹脂層12、および、第3の樹脂層13を備え、第2の樹脂層12が無延伸ポリプロピレンを含む。太陽電池モジュールは、太陽電池素子を封止するために配置された充填材と、太陽電池モジュールの裏面側の充電材の外表面の上に第1の樹脂層11が配置されるように固着された、上述の特徴を有する太陽電池用裏面保護シート10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールの裏面側に配置される太陽電池用裏面保護シートとそれを備えた太陽電池モジュールに関し、特定的には、長期耐候性を有する太陽電池用裏面保護シートとそれを備えた太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールは、屋外に配置されるので、太陽電池素子、電極、および配線等を保護する目的で、表面側には透明ガラス板が配置され、裏面側には太陽電池用裏面保護シートとして樹脂フィルムの積層シートが配置される。太陽電池素子は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂等の充填材により封止され、上記の表面側の透明ガラス板と裏面側の積層シートとによって挟み込まれるように配置される。太陽電池用裏面保護シートは、EVA樹脂の外表面に加熱プレスによって接着される。
【0003】
一般に、太陽電池用裏面保護シートは、EVAと接着される側の面に接着性の樹脂フィルム(接着性層)を備え、外気に露出する側の面に耐候性フィルム(耐候性層)を備えている。さらに、外気からの蒸気、水分等が太陽電池素子に到達することを防ぐために、接着性層と耐候性層との間には、耐透湿性フィルム(耐透湿性層)が配置されている。たとえば、特開2006-179557号公報(以下、特許文献1という)には、耐透湿性層としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを備える太陽電池用裏面保護シートが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-179557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の太陽電池用裏面保護シートは、耐透湿性層としてのPETが外気での使用中に紫外線、大気中の水分によって加水分解を起こし、長期間の使用において接着性層、耐候性層との接着性が低下する問題があった。
【0006】
本発明の目的は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、太陽電池用裏面保護シートを構成する層間の長期的な接着性を向上させることが可能な太陽電池用裏面保護シートとそれを備えた太陽電池モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従った太陽電池用裏面保護シートは、太陽電池モジュールの裏面側に配置される太陽電池用裏面保護シートであって、順に積層された第1の樹脂層、第2の樹脂層、および、第3の樹脂層を備え、第2の樹脂層が無延伸ポリプロピレンを含む。
【0008】
本発明の太陽電池用裏面保護シートにおいては、加水分解を生じない無延伸ポリプロピレンを第2の樹脂層に用いることによって、第1の樹脂層と第2の樹脂層との間、および、第2の樹脂層と第3の樹脂層との間で、高い接着性を長期的に維持することができる。
【0009】
本発明の太陽電池用裏面保護シートにおいて、第2の樹脂層が、白色を呈する無延伸ポリプロピレンフィルム、または、無色透明を呈する無延伸ポリプロピレンフィルムからなる第1のフィルムと、第1のフィルムの両面に積層された、無色透明を呈する無延伸ポリプロピレンフィルムからなる第2のフィルムとを含むことが好ましい。
【0010】
このように第2の樹脂層を構成することにより、無延伸ポリプロピレンフィルムの製造時に生じる表面の荒れ等が目立たないように、第2の樹脂層を第1の樹脂層と第3の樹脂層の間に介在させて積層することができる。
【0011】
また、本発明の太陽電池用裏面保護シートにおいて、第2の樹脂層が酸化チタンを含有することが好ましい。
【0012】
このように第2の樹脂層を構成することにより、第2の樹脂層に紫外線を吸収または反射する機能を持たせることができる。
【0013】
さらに、本発明の太陽電池用裏面保護シートにおいて、第1の樹脂層が線状低密度ポリエチレンを含み、第3の樹脂層がポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、および、エチレンテトラフルオロエチレンからなる群より選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0014】
このように第1の樹脂層と第3の樹脂層を構成することにより、第1の樹脂層と第2の樹脂層との間、および、第2の樹脂層と第3の樹脂層との間で、高い接着性を長期的に維持することができる。
【0015】
なお、本発明の太陽電池用裏面保護シートにおいて、第1の樹脂層と第2の樹脂層、および/または、第2の樹脂層と第3の樹脂層が、ウレタン系接着剤層を介在して固着されていることが好ましい。
【0016】
本発明に従った太陽電池モジュールは、太陽電池素子を封止するために配置された充填材と、当該太陽電池モジュールの裏面側の充電材の外表面の上に第1の樹脂層が配置されるように固着された、上述の特徴を有する太陽電池用裏面保護シートとを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、加水分解を生じない無延伸ポリプロピレンを第2の樹脂層に用いることによって、第1の樹脂層と第2の樹脂層との間、および、第2の樹脂層と第3の樹脂層との間で、高い接着性を長期的に維持することができるので、太陽電池用裏面保護シートとそれを備えた太陽電池モジュールの長期的な耐候性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に従った一つの実施の形態としての太陽電池用裏面保護シートが適用される太陽電池モジュールの概略的な断面構造を示す図である。
【図2】本発明の太陽電池用裏面保護シートの一つの実施の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示すように、太陽電池モジュール100には、多数個の太陽電池素子1が配列されている。これらの太陽電池素子1は電極2を介して相互に接続配線3によって電気的に接続され、太陽電池モジュール100全体としてはリード線4によって裏面側に端子5が取り出され、端子5は端子箱6に収納されている。エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂等からなる充填材7が多数個の太陽電池素子1を封止するために配置されている。太陽電池モジュール100の受光面側に位置する充填材7の外表面には、透明ガラス層8が固着されている。太陽電池モジュールの設置面側に位置する充填材7の外表面には、本発明の太陽電池用裏面保護シート10が固着されている。なお、太陽電池モジュール100の側面にはアルミニウム製枠部材9がシール材を介して取り付けられている。
【0020】
図2に示すように、太陽電池用裏面保護シート10は、太陽電池モジュール100(図1)から相対的に近い側(内側)に配置される外層から、第1の樹脂層11、第2の樹脂層12、第3の樹脂層13の順に積層された積層体から構成される。第1の樹脂層11と第2の樹脂層12との間、第2の樹脂層12と第3の樹脂層13との間には、接着剤層14が配置されている。言い換えれば、図2に示すように、この発明の一つの実施の形態である太陽電池モジュール用裏面保護シート10においては、第2の樹脂層12の両面にそれぞれ、第1の樹脂層11と第3の樹脂層13が積層される。
【0021】
第2の樹脂層12の材料には、無延伸ポリプロピレンを用いる。無延伸ポリプロピレンは、紫外線、空気中の水分等によって加水分解を起こさないため、第1の樹脂層11と長期的に高い接着性を有することができる。また、第2の樹脂層12には、無色透明を呈する無延伸ポリプロピレンフィルム、または、白色を呈する無延伸ポリプロピレンフィルムを用いることができる。第2の樹脂層12は、白色を呈する無延伸ポリプロピレンフィルム、または、無色透明を呈する無延伸ポリプロピレンフィルムの両面に、無色透明を呈する無延伸ポリプロピレンフィルムが積層されることによって、構成されることが好ましい。この場合、無延伸ポリプロピレンフィルムの製造時に生じる表面の荒れ等が目立たないように、第2の樹脂層12を第1の樹脂層11と第3の樹脂層13の間に介在させて積層することができる。
【0022】
第1の樹脂層11および第3の樹脂層13の材料は、特に限定されないが、たとえば、ポリエチレン(PE)(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE))、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂(ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、エチレンテトラフルオロエチレン)、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アセタール系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリアミド系樹脂、その他の各種の樹脂のフィルムまたはシートを使用することができる。これらの樹脂のフィルムまたはシートは、一軸または二軸方向に延伸されているものでもよい。第1の樹脂層11が線状低密度ポリエチレンを含み、第3の樹脂層13がポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレンテトラフルオロエチレンから選択される1種または2種を含むことが好ましい。この場合、第1の樹脂層11と第2の樹脂層12との間、および、第2の樹脂層12と第3の樹脂層13との間で、高い接着性を長期的に維持することができる。
【0023】
第1の樹脂層11と第2の樹脂層12、および、第2の樹脂層12と第3の樹脂層13の各々における積層方法は、公知の方法を用いればよく、たとえば、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリエステルポリオール系接着剤、ポリエステルポリウレタンポリオール系接着剤等を用いたドライラミネート法、共押出し法、押出しコート法、アンカーコート剤を用いた熱ラミネート法等による方法を採用できる。特に芳香族イソシアネートまたは脂肪族イソシアネートの少なくとも1種を含むウレタン系接着剤を用いたドライラミネート法を好適に採用することができる。
【0024】
なお、紫外線を吸収または反射する目的で、第2の樹脂層12に、酸化チタン、硫酸バリウム等の白色顔料、または、カーボン等の黒色顔料を混入してもよい。また、着色顔料以外の公知の紫外線吸収剤、水分吸収剤(乾燥剤)、酸素吸収剤、酸化防止剤等、公知の添加剤を第1の樹脂層11または第3の樹脂層13の少なくともいずれかに混入することもできる。
【0025】
第1の樹脂層11は、太陽電池モジュール100(発電セル)側の表面の上に積層される。第1の樹脂層11の厚みは、50μm以上300μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは125μm以上250μm以下である。第1の樹脂層11の厚みが50μm未満であると、太陽電池モジュール100(発電セル)と第2の樹脂層12との絶縁が十分でない。また、第1の樹脂層11の厚みが300μmを超えると、絶縁性が飽和し、太陽電池モジュール用裏面保護シート10の重量が過重になったり、柔軟性が損なわれたりする。第1の樹脂層11を構成する樹脂としては、線状低密度ポリエチレンフィルムが好適に使用される。
【0026】
また、第1の樹脂層11の太陽電池モジュール100(発電セル)側の表面には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂等からなる充填材7(図1)との密着性を改善するために、プライマー層を形成してもよい。プライマー剤としてはアクリル系プライマー、ポリエステル系プライマー等を使用することが好ましい。プライマー剤の塗布量は2〜15g/m2程度とすればよい。
【0027】
第2の樹脂層12は、第1の樹脂層11の太陽電池モジュール100(発電セル)側と反対側の表面の上に積層される。第2の樹脂層12の厚みは、20μm以上200μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは20μm以上50μm以下である。また、第2の樹脂層12が無色透明または白色の無延伸ポリプロピレンを少なくとも一層含むと、強度、耐熱性、耐久性等の点でより好ましい。第2の樹脂層12の厚みが20μm未満であると、耐候性が十分でない。また、第2の樹脂層12の厚みが200μmを超えると、耐候性が飽和し、太陽電池モジュール用裏面保護シート10の重量が過重になったり、柔軟性が損なわれたりする。白色を呈する無延伸ポリプロピレンとしては、酸化チタン顔料または硫酸バリウム顔料で着色された白色フィルムが好適に使用される。
【実施例】
【0028】
太陽電池モジュール用裏面保護シート10の実施例と比較例の試料を次のようにして作製した。
【0029】
(実施例1)
密度が0.91g/cm3のポリエチレン樹脂(タマポリ株式会社製)100kgに、平均粒子径が0.3μmの酸化チタン粒子25kgを添加し、十分に混練して線状低密度ポリエチレン樹脂組成物を調製した。この線状低密度ポリエチレン樹脂組成物を押出機で押出しすることにより、第1の樹脂層11を構成するフィルムとして、厚みが50μmの第1のフィルムを作製した。次に、無色透明、白色、および、無色透明を呈する無延伸ポリプロピレン(三菱樹脂株式会社製)を順に重ね合わせて、厚み比率が1:8:1になるようにTダイ押出機で共押出しすることにより、第2の樹脂層12を構成するフィルムとして、厚みが200μmの第2のフィルムを作製した。白色を呈する無延伸ポリプロピレンは、無色透明の無延伸ポリプロピレン100kgに平均粒子径が0.3μmの酸化チタン粒子25kgを混合することによって得た。第3の樹脂層13を構成する第3のフィルムとして、厚みが38μmのポリフッ化ビニルフィルム(デュポン社製)を準備した。これらのフィルムを、第2のフィルムの一方の面の上に第1のフィルム、もう一方の面の上に第3のフィルムを配置して、それぞれのフィルムの間にドライラミネート用接着剤を介在させて、ドライラミネート法で接着することにより、太陽電池用裏面保護シート10を作製した。なお、ドライラミネート用接着剤としては、三井化学株式会社製の製品名タケラックA315(100重量部)と製品名タケネートA50(10重量部)を混合したポリウレタン系接着剤を、固形分の塗布量が5g/m2となるように調製して用いた。
【0030】
(実施例2)
無色透明、無色透明、および、無色透明を呈する無延伸ポリプロピレン(三菱樹脂株式会社製)を順に重ね合わせて、厚み比率が1:8:1になるようにTダイ押出機で共押出しすることにより、第2の樹脂層12を構成するフィルムとして、厚みが200μmの第2のフィルムを作製したこと以外は、実施例1と同様にして太陽電池用裏面保護シート10を作製した。
【0031】
(比較例1)
第2のフィルムとして厚みが250μmのポリエステルフィルム(東洋紡株式会社製)、第1および第3のフィルムとして厚みが38μmのポリフッ化ビニルフィルム(デュポン社製)を準備した。実施例1と同様にして、それぞれのフィルムの間にドライラミネート用接着剤を介在させて、ドライラミネート法で接着することにより、太陽電池用裏面保護シート10を作製した。
【0032】
(比較例2)
第1のフィルムとして、実施例1の第1のフィルムを用いたこと以外は、比較例1と同様にして太陽電池用裏面保護シート10を作製した。
【0033】
(比較例3)
第3のフィルムとして、厚みが12μmのシリカ蒸着ポリエステルフィルム(三菱樹脂株式会社製)と厚みが38μmのポリフッ化ビニルフィルム(デュポン社製)との間にドライラミネート用接着剤を介在させて、ドライラミネート法で接着することにより作製し、第2のフィルムと第3のフィルムのシリカ蒸着ポリエステルフィルム側とを接着したこと以外は、比較例2と同様にして太陽電池用裏面保護シート10を作製した。
【0034】
(測定方法)
実施例1〜2と比較例1〜3で作製した太陽電池用裏面保護シート10について、以下の方法に従って、総厚み、引張強度保持率、引張伸度保持率、透湿度の変化、部分放電電圧、反射率を測定した。
【0035】
(総厚み)
作製した太陽電池用裏面保護シート10の実厚み[μm]をマイクロゲージで測定した。
【0036】
(引張強度保持率・引張伸度保持率)
作製した太陽電池用裏面保護シート10から、10mm幅の試料を切り出し、オートグラフまたはこれに準ずる試験機を用いて、引張速度200mm/minで引張強度と引張伸度を測定した。
【0037】
試料作製直後(初期)に測定した引張強度と引張伸度の値と、プレッシャクッカー試験(試験条件:温度120℃、相対湿度100%RH、2気圧)の条件下で200時間保持した後に測定した引張強度と引張伸度の値とから、初期の値を100%として引張強度保持率[%]と引張伸度保持率[%]を算出した。
【0038】
なお、本来は、上記の引張強度保持率と引張伸度保持率は、太陽電池用裏面保護シート10を屋外に実際に暴露させた状態で10年間以上経過させて評価することが望ましい。しかし、このような長い時間をかけて屋外実暴露試験を行うことは困難である。そこで、この評価の代替として、上記の引張強度保持率と引張伸度保持率は、温度120℃、相対湿度100%RH、2気圧の雰囲気下における環境促進試験としてのプレッシャクッカー試験を行って評価したものである。
【0039】
(透湿度の変化)
作製した太陽電池用裏面保護シート10について、JIS K 7129A(透湿度試験法−Lyssy゜法)に準じて、透湿度[g/m2・day]を測定した。
【0040】
試料作製直後(初期)と、プレッシャクッカー試験(PCT)(試験条件:温度120℃、相対湿度100%RH、2気圧)の条件下で100時間保持した後とに透湿度を測定した。
【0041】
(部分放電電圧)
規格IEC60664−1に準拠して、太陽電池用裏面保護シート10の部分放電電圧を測定した。
【0042】
(反射率)
日本分光株式会社製のマルチパーパス分光光度計を用いて、波長域200〜2000nmにおける透過率を測定し、550nmにおける反射率[%]を光線反射率として評価した。
【0043】
以上の測定結果を表1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
表1から、比較例1〜3では、PCT後に、引張強度も引張伸度もPCT前(初期)(100%)に対して0%と大きく低下したが、実施例1、2ではいずれも、引張強度も引張伸度もPCT前(初期)(100%)に対して86%以上を保持していたことがわかる。すなわち、第2の樹脂層12に無延伸ポリエチレンを用いることによって、第1の樹脂層11と第2の樹脂層12との間、第2の樹脂層12と第3の樹脂層13との間の接着強度が保持された。また、PCT後の透湿度は、比較例1〜3ではPCT前よりも0.3[g/m2・day]以上増加し、高くなったが、実施例1、2ではPCT前より0.1[g/m2・day]程度減少し、低くなり、低い値に抑えられたことがわかる。
【0046】
今回開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものであることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の太陽電池用裏面保護シートは、太陽電池モジュールの裏面側に配置されて用いられ、長期間にわたって耐候性を維持することが可能になる。
【符号の説明】
【0048】
10:太陽電池用裏面保護シート、11:第1の樹脂層、12:第2の樹脂層、13:第3の樹脂層、100:太陽電池モジュール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールの裏面側に配置される太陽電池用裏面保護シートであって、
順に積層された第1の樹脂層、第2の樹脂層、および、第3の樹脂層を備え、
前記第2の樹脂層が無延伸ポリプロピレンを含む、太陽電池用裏面保護シート。
【請求項2】
前記第2の樹脂層が、白色を呈する無延伸ポリプロピレンフィルム、または、無色透明を呈する無延伸ポリプロピレンフィルムからなる第1のフィルムと、前記第1のフィルムの両面に積層された、無色透明を呈する無延伸ポリプロピレンフィルムからなる第2のフィルムとを含む、請求項1に記載の太陽電池用裏面保護シート。
【請求項3】
前記第2の樹脂層が、酸化チタンを含有する、請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シート。
【請求項4】
前記第1の樹脂層が線状低密度ポリエチレンを含み、前記第3の樹脂層がポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、および、エチレンテトラフルオロエチレンからなる群より選択された少なくとも1種を含む、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シート。
【請求項5】
前記第1の樹脂層と前記第2の樹脂層、および/または、前記第2の樹脂層と前記第3の樹脂層が、ウレタン系接着剤層を介在して固着されている、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シート。
【請求項6】
太陽電池素子を封止するために配置された充填材と、
当該太陽電池モジュールの裏面側の前記充電材の外表面の上に前記第1の樹脂層が配置されるように固着された、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の太陽電池用裏面保護シートとを備えた、太陽電池モジュール。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−253164(P2012−253164A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123882(P2011−123882)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(399054321)東洋アルミニウム株式会社 (179)
【Fターム(参考)】