説明

契約管理装置

【課題】 契約後に異動があるような場合でも、給付金や保険金の受取人を特定することができる契約管理装置を得ることを目的とする。
【解決手段】 給付金又は保険金の支払が可能であるか否かを判定するとともに、保険の契約情報と受取人に関する連絡情報を参照して、給付金又は保険金の受取人を特定する保険特定部14を設け、保険特定部14が支払可能な保険であると判定すれば、給付金又は保険金の支払が可能である旨を保険会社端末4aに通知するとともに、給付金又は保険金の受取人を保険会社端末4aに通知する一方、保険特定部14が支払不可能な保険であると判定すれば、給付金又は保険金の支払が不可能である旨を保険会社端末4aに通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、保険業務の効率化を図る契約管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の契約管理装置は、保険金の支払を求める請求データを受けると、その請求データに含まれている保険金の請求の原因となる損害に関する損害データと、基準データベースに格納されている基準データとを比較して適正度合を求め、その適正度合に基づいて保険金の支払の可否を判断するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−30441号公報(段落番号[0007]から[0013]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の契約管理装置は以上のように構成されているので、保険金の支払の可否を判断することができる。しかし、保険金の支払が可能である場合、保険金の受取人については保険会社の担当者等が特定しなければならず、受取人に関して契約後に異動があるような場合には、受取人の特定に多くの時間を要するなどの課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、契約後に異動があるような場合でも、給付金や保険金の受取人を特定することができる契約管理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る契約管理装置は、契約情報取得手段により取得された契約情報と受取人に関する連絡情報を参照して、給付金又は保険金の受取人を特定する受取人特定手段を設け、可否判定手段が支払可能な保険であると判定すれば、給付金又は保険金の支払が可能である旨を通知するとともに、その受取人特定手段により特定された受取人を通知し、その可否判定手段が支払不可能な保険であると判定、あるいは、契約情報取得手段により一致する個人情報が検索されなければ、給付金又は保険金の支払が不可能である旨を通知するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、契約情報取得手段により取得された契約情報と受取人に関する連絡情報を参照して、給付金又は保険金の受取人を特定する受取人特定手段を設け、可否判定手段が支払可能な保険であると判定すれば、給付金又は保険金の支払が可能である旨を通知するとともに、その受取人特定手段により特定された受取人を通知し、その可否判定手段が支払不可能な保険であると判定、あるいは、契約情報取得手段により一致する個人情報が検索されなければ、給付金又は保険金の支払が不可能である旨を通知するように構成したので、給付金や保険金の支払が可能な保険であるか否かや、給付金又は保険金の受取人を保険会社の担当者等に通知することができるようになり、その結果、保険業務の効率化を図ることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による契約管理装置が適用する保険業務管理システムを示すシステム構成図であり、図において、顧客1は保険加入希望者又は保険加入者であり、顧客1が保険の加入を希望する場合や、給付金又は保険金を請求する場合には、保険の申込書や請求書を保険会社4の代理店2、保険会社4の課支社3又は入力センタ5に提出する。課支社3にはイメージスキャナを搭載しているパソコンなどの課支社端末3aが設置されており、課支社端末3aは例えば顧客1から保険の申込書が郵送されて来ると、イメージスキャナを用いて申込書の記載事項を読み取り、広域ネットワーク9(例えば、インターネット、公衆電話回線網)を介して、その記載事項を表すイメージデータを入力センタ装置5aに送信する。
保険会社4にはパソコンなどの保険会社端末4aが設置されており、保険会社端末4aは例えば契約管理装置6から送信された給付金又は保険金の支払額の内訳を示す支払明細データを受信すると、その支払明細データを顧客1である保険加入者に発送するなどの処理を実施する。
【0009】
入力センタ5にはイメージスキャナを搭載しているパソコンなどの入力センタ装置5aが設置されており、入力センタ装置5aは例えば顧客1から保険の申込書が郵送されて来ると、イメージスキャナを用いて申込書の記載事項を読み取って、申込書の記載事項をチェックし、また、課支社端末3aから申込書の記載事項を表すイメージデータが送信されると、その申込書の記載事項をチェックし、申込書の記載事項に不備がなければ、申込書の記載事項を契約管理装置6に送信する。なお、入力センタ装置5aは給付金又は保険金の請求書を受け付けたときも、請求書の記載事項をチェックし、請求書の記載事項に不備がなければ、請求書の記載事項を契約管理装置6に送信する。
【0010】
契約管理装置6は入力センタ装置5aから申込書の記載事項を受信すると、申込書の記載事項をデータベース7に登録し、入力センタ装置5aから請求書の記載事項を受信すると、その記載事項を解析して給付金又は保険金の請求事由を判別し、その請求事由を参照して、既契約済みの保険の中から給付金又は保険金の支払対象となる保険を特定するとともに、その支払対象となる保険の契約内容と上記請求事由を照合して、給付金又は保険金の支払額を査定する。
出力センタ8は契約管理装置6から送信されたプリントデータにしたがって顧客1に対する案内物を印刷するパソコンなどの出力センタ装置8aが設置されており、顧客1に対する案内物を発送するなどの処理を実施する。
【0011】
図2はこの発明の実施の形態1による契約管理装置を示す構成図であり、図において、データ受信部11は通信機を搭載しており、広域ネットワーク9やLAN9bを介して、入力センタ装置5aから送信された申込書又は請求書の記載事項などを受信する。
データ登録部12はデータ受信部11が申込書の記載事項(例えば、顧客1の個人情報(例えば、氏名、住所、生年月日)、保険種別、特約事項など)を受信すると、申込書の記載事項をデータベース7に登録する。また、データ登録部12はデータ受信部11が保険会社端末4aから契約内容(例えば、保険開始日時、特記事項、給付金又は保険金の支払条件など)を示す契約情報を受信すると、その契約情報をデータベース7に登録する。なお、データ登録部12は情報登録手段を構成している。
【0012】
請求事由特定部13はデータ受信部11が保険会社端末4aから送信された顧客1の個人情報と請求事由を示す情報を受信すると、顧客1の個人情報を保険特定部14に出力するとともに、その請求事由の具体的な内容であるイベントを特定する。このイベントには、例えば、診断イベント、入院イベント、通院イベント、治療イベント、死亡イベント、介護イベント、障害イベント、在宅緩和ケアイベント、高度先進医療イベントなどがある。なお、請求事由特定部13は請求事由特定手段を構成している。
【0013】
保険特定部14はデータベース7に登録されている個人情報の中から、請求事由特定部13から出力された個人情報と一致する個人情報を検索して、被保険者が加入している保険の契約情報を取得する。また、保険特定部14はその契約情報と請求事由特定部13により特定されたイベントを照合して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定する。また、保険特定部14は被保険者が加入している保険の契約情報と受取人に関する連絡情報を参照して、給付金又は保険金の受取人を特定する。さらに、保険特定部14は請求事由特定部13により特定されたイベントから給付金又は保険金の請求に必要な書類を特定する。
なお、保険特定部14は契約情報取得手段、可否判定手段、受取人特定手段及び書類特定手段を構成している。
支払額決定部15は保険特定部14により給付金又は保険金の支払が可能な保険であると判定された場合、その保険の契約内容と請求事由特定部13により特定されたイベントを照合して、給付金又は保険金の支払額を査定する。
【0014】
データ送信部16は通信機を搭載しており、保険特定部14が支払可能な保険であると判定すれば、給付金又は保険金の支払が可能である旨を保険会社端末4aに通知するとともに、給付金又は保険金の受取人や請求に必要な書類を保険会社端末4aに通知する一方、保険特定部14が支払不可能な保険であると判定、あるいは、保険特定部14が一致する個人情報を検索できなければ、給付金又は保険金の支払が不可能である旨を保険会社端末4aに通知する。また、データ送信部16は支払額決定部15により査定された給付金又は保険金の支払額の内訳を示す支払明細データなどを保険会社端末4aに送信する。なお、データ送信部16は通知手段を構成している。
【0015】
なお、契約管理装置6の構成部(データ受信部11、データ登録部12、請求事由特定部13、保険特定部14、支払額決定部15、データ送信部16)は、例えば、専用のIC集積回路を用いて構成してもよいが、図3に示すように、少なくとも、CPU21とネットワークインタフェース22とデータベースインタフェース23とメモリ24とを備えたコンピュータを用いて構成するとともに、各構成部の処理内容が記述されたプログラムをメモリ24に格納し、CPU21がメモリ24に格納されているプログラムを実行するようにしてもよい。
図4及び図5はこの発明の実施の形態1による保険業務管理システムの処理内容を示す処理シーケンス図である。
【0016】
次に動作について説明する。
最初に、顧客1が保険の加入を希望する場合の処理内容について説明する。
顧客1は、保険の加入を希望する場合、保険の申込書に必要な事項を記入し、その申込書を代理店2、課支社3又は入力センタ5の何れかに郵送する(ステップST1,ST2,ST3)。
例えば、顧客1が申込書を代理店2に郵送すると、代理店2が顧客1の氏名や加入希望保険などを台帳に記載するなどの事務手続きを実施してから、その申込書を入力センタ5に郵送する(ステップST11,ST12)。
【0017】
また、顧客1が申込書を課支社3に郵送した場合には、課支社3の担当者が課支社端末3aのイメージスキャナを用いて申込書の記載事項を読み取り、その記載事項を表すイメージデータを広域ネットワーク9を介して入力センタ装置5aに送信する(ステップST21,ST22)。
なお、申込書の原本は、課支社3の担当者が入力センタ5に郵送する(ステップST23)。
【0018】
入力センタ5の担当者は、顧客1又は代理店2から保険の申込書が郵送されて来ると、入力センタ装置5aのイメージスキャナを用いて申込書の記載事項を読み取り、申込書の記載事項をチェックする。課支社3の課支社端末3aからイメージデータが送信されて来た場合には、そのイメージデータに基づいて申込書の記載事項をチェックする。
具体的には、申込書全体のイメージデータを申込書の記入欄毎に分割し、各記入欄のイメージデータをOCR処理によってテキストデータに変換する。そして、各記入欄のテキストデータを解析して、必要な記載事項が記載されているか否かを判断する。例えば、加入者の年齢の欄に数字以外の文字(例えば、英字)が記入されていたり、未記入であったりするような場合には、記載事項が不備であると判断する。あるいは、告知の欄において、既往症が有にチェックが入っているとき、具体的な病名が記入されていないような場合には、記載事項が不備であると判断する。
【0019】
入力センタ装置5aは、申込書の記載事項に不備がなければ、申込書の記載事項(例えば、テキストデータ)を契約管理装置6に送信し(ステップST31)、申込書の原本を然る場所に保管する(ステップST32)。
なお、入力センタ5の担当者は、入力センタ装置5aが申込書の記載事項に不備を見つけると、その申込書の原本を顧客1に返送して、その申込書の記載事項の訂正をお願いする。
【0020】
契約管理装置6のデータ受信部11は、入力センタ装置5aが申込書の記載事項を送信すると、申込書の記載事項を受信してデータ登録部12に出力する。
契約管理装置6のデータ登録部12は、データ受信部11から申込書の記載事項を受けると、申込書の記載事項をデータベース7に登録する。
これにより、データベース7には申込書の記載事項として、顧客1の個人情報(例えば、氏名、住所、生年月日)や、保険種別、特約事項などの情報が登録される。
【0021】
なお、保険会社4の担当者は、契約管理装置6のデータベース7に申込書の記載事項が登録されると(例えば、契約管理装置6から申込書の記載事項を登録した旨のメールを受信したとき)、保険会社端末4aを使用して申込書の記載事項を読み込み、その記載事項や告知書などに基づいて保険加入審査を行う。保険会社4の担当者は保険の加入を許可する場合、保険会社端末4aを使用して、契約内容(例えば、証券番号、保険開始日時、特記事項など)を示す契約情報を契約管理装置6に送信する。
契約管理装置6のデータ登録部12は、データ受信部11が保険会社端末4aから契約情報を受信すると、その契約情報をデータベース7に登録する。
【0022】
保険加入時の処理は以上の通りであり、保険加入時の処理ではないが、出力センタ8の担当者は、顧客1に新商品の案内や契約済みの保険の契約更新を案内するような場合には、出力センタ装置8aを使用してプリントデータの送信を契約管理装置6に要求し(ステップST41)、契約管理装置6からプリントデータを受信する(ステップST42)。
出力センタ装置8aは、契約管理装置6から送信されたプリントデータにしたがって顧客1に対する案内物を印刷する(ステップST43)。
出力センタ8の担当者は、顧客1に対する案内物を封緘して発送する(ステップST44)。
【0023】
次に、既に保険に加入している顧客1が給付金又は保険金を請求する場合の処理内容について説明する。
顧客1は、給付金又は保険金を請求する場合、給付金又は保険金の請求事由を代理店2に通知する(ステップST61)。
代理店2は、顧客1から給付金又は保険金の請求を受けると(ステップST71)、顧客1の氏名などの個人情報と、給付金又は保険金の請求事由を保険会社4に通知する(ステップST72)。
保険会社4の担当者は、代理店2から顧客1の個人情報と請求事由の通知を受けると(ステップST81)、保険会社端末4aを使用して、顧客1の個人情報と請求事由を示す情報を契約管理装置6に送信して、顧客1に給付金又は保険金を支払うことが可能な保険が契約されているか否かを問い合わせる(ステップST82)。以下、この問い合わせのことを“発送可否判定要求”という。
【0024】
契約管理装置6のデータ受信部11は、保険会社端末4aから発送可否判定要求を受け、保険会社端末4aから顧客1の個人情報と請求事由を示す情報を受信すると、顧客1の個人情報と請求事由を示す情報を請求事由特定部13に出力する。
契約管理装置6の請求事由特定部13は、データ受信部11から顧客1の個人情報と請求事由を示す情報を受けると、顧客1の個人情報を保険特定部14に出力する。
また、請求事由特定部13は、その請求事由を示す情報から請求事由の具体的な内容(イベント)を特定する。このイベントには、例えば、診断イベント、入院イベント、通院イベント、治療イベント、死亡イベント、介護イベント、障害イベント、在宅緩和ケアイベント、高度先進医療イベントなどがある。
【0025】
契約管理装置6の保険特定部14は、データベース7に登録されている個人情報の中から、請求事由特定部13から出力された個人情報と一致する個人情報を検索する。
保険特定部14は、請求事由特定部13から出力された個人情報と一致する個人情報が存在する場合、データベース7からその個人情報に対応する保険の契約情報を取得する。
保険特定部14は、データベース7から保険の契約情報を取得すると、その契約情報と請求事由特定部13により特定されたイベントを照合して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定する。
【0026】
また、保険特定部14は、被保険者が加入している保険の契約情報と受取人に関する連絡情報(例えば、顧客1から事前に通知された情報)を参照して、給付金又は保険金の受取人を特定する。
通常は、保険の契約情報から受取人を特定するが、例えば、契約情報から特定した受取人が既に死亡している旨を示す連絡情報がデータベース7に登録されている場合、給付金又は保険金の受取人を、約款又は法律(例えば、商法、民法)に基づく正当受取人に変更する。例えば、給付金又は保険金の請求事由が発生した後に、当該受取人が死亡している場合には、その給付金等は当該受取人の相続財産であるので、給付金又は保険金の受取人を、「当該受取人の法定相続人」または「遺言により当該受取人の相続財産を取得した者」に変更する。また、給付金又は保険金の請求事由が発生する前に当該受取人が死亡している場合には、「当該受取人の死亡時の相続人(法定相続人のうち、死亡している者があるときは、その者については、その順次の法定相続人)で、請求事由が発生した時に生存している者」に変更する。
なお、契約情報から特定した受取人が未成年者である場合、受取人自体は変更しないが、その未成年者の親権者、あるいは、その親権者の同意を得ている未成年者を、給付金又は保険金の請求が可能な請求人として認定する。
【0027】
さらに、保険特定部14は、給付金又は保険金の支払が可能な保険であると判定する場合、請求事由特定部13により特定されたイベントに応じて給付金又は保険金の請求に必要な書類を特定する。
例えば、治療イベントであれば医師の診断書、死亡イベントであれば死亡届など、イベント毎に必要な書類がデータベース7に格納されているので、請求事由特定部13により特定されたイベントをキーにして、給付金又は保険金の請求に必要な書類を特定する。
なお、保険特定部14における各種の判定処理の詳細は実施の形態2に記述している。
【0028】
契約管理装置6のデータ送信部16は、保険特定部14が支払可能な保険であると判定すれば、給付金又は保険金の支払が可能である旨を示す査定を実施し(ステップST91)、その査定結果を保険会社端末4aに通知する(ステップST92)。また、保険特定部14により特定された受取人(給付金又は保険金の請求が可能な請求人を含む)や必要な書類を保険会社端末4aに通知する。
一方、保険特定部14により支払不可能な保険であると判定された場合、あるいは、保険特定部14により一致する個人情報が検索されない場合、給付金又は保険金の支払が不可能である旨を示す査定を実施し(ステップST91)、その査定結果を保険会社端末4aに通知する(ステップST92)。
【0029】
保険会社端末4aは、契約管理装置6から給付金又は保険金の支払が可能である旨を示す査定の通知を受けると、給付金又は保険金の請求書を作成し(ステップST83)、保険会社4の担当者が当該請求書を顧客1に発送する(ステップST84)。なお、契約管理装置6から通知された必要な書類については、例えば、その請求書とは別個のメモ等に記述して顧客1に発送する。
保険会社端末4aは、契約管理装置6から給付金又は保険金の支払が不可能である旨を示す査定の通知を受けると、給付金又は保険金を支払うことができない旨を示す書面を作成し、保険会社4の担当者が当該書面を顧客1に発送する。
【0030】
顧客1は、保険会社4から給付金又は保険金の請求書が送られて来ると、その請求書に必要事項(例えば、給付金の請求事由(例えば、ガンの手術を伴う入院))を記載し(ステップST62)、その請求書と必要書類(例えば、医師の診断書)を入力センタ5に郵送する(ステップST63)。
入力センタ5の担当者は、顧客1から請求書と必要書類が郵送されて来ると、入力センタ装置5aのイメージスキャナを用いて請求書の記載事項を読み取り(あるいは、担当者が請求書の記載事項をキー入力)、入力センタ装置5aが請求書の記載事項をチェックする(ステップST101)。
【0031】
具体的には、請求書全体のイメージデータを請求書の記入欄毎に分割し、各記入欄のイメージデータをOCR処理によってテキストデータに変換する。そして、各記入欄のテキストデータを解析して、必要な記載事項が記載されているか否かを判断する。例えば、受取人の欄が未記入であるような場合には、記載事項が不備であると判断する。
入力センタ装置5aは、請求書の記載事項に不備がなければ、請求書の記載事項(例えば、テキストデータ)を契約管理装置6に送信する(ステップST102)。
なお、入力センタ5の担当者は、入力センタ装置5aが請求書の記載事項に不備を見つけると、保険会社4に通知して、その請求書の記載事項の訂正をお願いする。
【0032】
保険会社4の担当者は、入力センタ装置5aが請求書の記載事項を契約管理装置6に送信すると(例えば、入力センタ装置5aから請求書の記載事項を契約管理装置6に送信した旨のメールを受信したとき)、保険会社端末4aを使用して顧客1の個人情報を契約管理装置6に送信し、顧客1対する給付金又は保険金の支払額の査定を契約管理装置6に要求する(ステップST85)。
契約管理装置6のデータ受信部11は、入力センタ装置5aから請求書の記載事項を受信するとともに、保険会社端末4aから支払額の査定要求を受信すると(ステップST111)、請求書の記載事項を請求事由特定部13に出力する。
【0033】
契約管理装置6の請求事由特定部13は、データ受信部11から請求書の記載事項を受けると、請求書の記載事項を解析して給付金又は保険金の請求事由であるイベントを判別する。例えば、請求書の請求事由の欄に記載されている内容を解析することにより、今回どのような理由で、給付金又は保険金を請求しているのかを医的に判別する。医的なイベントには、例えば、診断イベント、入院イベント、通院イベント、治療イベント、死亡イベント、介護イベント、障害イベント、在宅緩和ケアイベント、高度先進医療イベントなどがある。
ただし、請求事由特定部13は、給付金又は保険金の請求事由が予め想定しているイベント以外のイベントに該当する場合、その請求事由の正当性が認められないと判断して、給付金又は保険金の請求を却下する査定を行う。例えば、給付金又は保険金の請求事由が“火災による家財焼失”のような場合には、一般的に生命保険が保証するものではないため、請求事由の正当性が認められない。
また、保険に加入後、契約で定められている期間が経過する前に、“ガン診断”が為されたような場合にも、請求事由の正当性が認められない。
また、請求書に記載されている受取人が、発送可否の判定時に保険特定部14により特定された受取人と異なる場合も、請求事由の正当性が認められない。
また、給付金又は保険金を請求している顧客1が、発送可否の判定時に保険特定部14により認定された請求人と異なる場合も、請求事由の正当性が認められない。
【0034】
契約管理装置6の保険特定部14は、顧客1の個人情報をキーにして、データベース7から顧客1が既に契約している全ての保険を検索し、請求事由特定部13により判別された請求事由を参照して、少なくとも1以上の保険の中から、給付金又は保険金の支払対象となる保険を特定する。
例えば、顧客1がガン以外の病気の補償特約が付いていないガン保険Aと、入院給付金付きの医療終身保険Bと、入院給付金が付いていない養老保険Cとに加入しているとき、例えば、給付金の請求事由が“脳卒中による入院”である場合、給付金の支払対象となる保険として、医療終身保険Bを特定する。
【0035】
契約管理装置6の支払額決定部15は、保険特定部14が給付金又は保険金の支払対象となる保険を特定すると、データベース7から当該保険の契約内容を読み込み、当該保険の契約内容と請求事由特定部13により判別された請求事由を照合して、給付金又は保険金の支払額を査定する。
例えば、請求事由が“入院”であるとき、入院1日当り、1万円を支払う保険の契約内容になっていれば、顧客1の入院日数×1万円を支払額として査定する。
ただし、保険の契約内容において、例えば、「同一の病気を理由とする入院日数が100日を越えるときは、100日分を限度とする」のような内容が含まれている場合、既に顧客1が100日分の入院給付金を過去に請求している支払履歴がデータベース7に登録されていれば、今回の支払額は0円として査定する。
なお、支払額を査定する計算式は、一般的に、保険の種別毎に定められているので、支払額決定部15が支払額を査定する際に、例えばデータベース7から計算式を取得する。
【0036】
契約管理装置6のデータ送信部16は、契約管理装置6による最終的な査定(支払額決定部15による支払額を示す査定、または、請求事由特定部13による請求を却下する査定)を保険会社端末4aに送信する。
保険会社4の担当者は、保険会社端末4aが契約管理装置6から支払額を示す査定(支払額が1円以上の査定)を受信すると、その査定の正当性を自ら判断し、正当性を認める場合には、保険会社端末4aを使用して、給付金又は保険金の支払を行う旨を契約管理装置6に通知する(ステップST86,ST87)。
一方、保険会社4の担当者は、保険会社端末4aが契約管理装置6から支払を拒否する査定、または、請求を却下する査定、または、支払額が0円である査定を受信すると、その旨を顧客1に通知して、給付金又は保険金の支払を行わない。
【0037】
契約管理装置6のデータ送信部16は、データ受信部11が保険会社端末4aから給付金又は保険金の支払を行う旨の通知を受信すると、支払額決定部15により査定された給付金又は保険金の支払額の内訳を示す支払明細データを保険会社端末4aに送信する(ステップST95)。
保険会社4の担当者は、保険会社端末4aが契約管理装置6から支払明細データを受信すると、その支払明細データに基づいて給付金又は保険金を顧客1に支払うとともに(ステップST88)、その支払明細書を顧客1に発送する(ステップST89)。
【0038】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、保険の契約情報と受取人に関する連絡情報を参照して給付金又は保険金の受取人を特定し、その受取人を保険会社端末4aに通知するように構成したので、契約後に異動があるような場合でも、給付金や保険金の受取人を特定して通知することができる効果を奏する。
また、この実施の形態1によれば、給付金又は保険金の支払が可能であるか否かを判定する保険特定部14を設け、保険特定部14が支払可能な保険であると判定すれば、給付金又は保険金の支払が可能である旨を保険会社端末4aに通知する一方、保険特定部14が支払不可能な保険であると判定すれば、給付金又は保険金の支払が不可能である旨を保険会社端末4aに通知するように構成したので、給付金や保険金の支払が可能な保険であるか否かを保険会社の担当者等に通知することができるようになり、その結果、保険業務の効率化を図ることができる効果を奏する。
【0039】
また、この実施の形態1によれば、請求事由特定部13により特定された請求事由から給付金又は保険金の請求に必要な書類を特定し、その必要な書類を保険会社端末4aに通知するように構成したので、保険会社4の担当者等による書類の特定処理が不要になり、保険業務の効率化を図ることができる効果を奏する。
【0040】
実施の形態2.
図6はこの発明の実施の形態2による契約管理装置の保険特定部を示す構成図であり、図において、個人情報検索部31はデータベース7に登録されている個人情報の中から、請求事由特定部13から出力された個人情報と一致する個人情報を検索する。
注意情報チェック部32は請求事由特定部13から出力された個人情報をキーにして、被保険者の保険金注意情報が登録されているか否かをチェックする。
商品データ取得部33は請求事由特定部13により特定されたイベントを給付対象にしている商品(保険)を検索し、その商品(保険)の商品データを取得する。
契約情報取得部34はデータベース7から顧客1の個人情報に対応する保険の契約情報を取得する。
【0041】
判定用データ作成部35は契約情報取得部34により取得された保険の契約情報と商品データ取得部33により取得された商品(保険)の商品データとをつき合せて、給付金又は保険金の支払が可能であるか否かを判定する際に使用する判定用データを作成する。
受取人確認部36は顧客1が加入している保険の契約情報と受取人に関する連絡情報を参照して、給付金又は保険金の受取人を確認する。
支払判定部37は判定用データ作成部35により作成された判定用データなどに基づいて、給付金又は保険金の支払が可能であるか否かを判定する。
書類特定部38は支払判定部37が支払可能な保険であると判定すれば、請求事由特定部13により特定されたイベントから給付金又は保険金の請求に必要な書類を特定する。
【0042】
図7はこの発明の実施の形態2による契約管理装置における発送可否判定の処理内容を示す説明図である。
上記実施の形態1では、被保険者が加入している保険の契約情報を取得し、保険特定部14がその契約情報と請求事由特定部13により判別されたイベントを照合して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定するものについて示したが、以下、図7を参照して、発送可否判定を詳細に説明する。
【0043】
まず、保険会社4の担当者は、上述したように、代理店2から顧客1の個人情報と請求事由の通知を受けると、保険会社端末4aを使用して、発送可否判定要求画面を表示し、その画面上で顧客1の個人情報と請求事由を入力する(ステップST111)。
図8は発送可否判定要求画面の一例であり、図8の例では、顧客1の個人情報として、被保険者の氏名、生年月日、住所などを入力するようにしている。
また、請求事由として、病名、入院の有無、入院期間、通院日数などを入力するようにしている。
保険会社4の担当者は、顧客1の個人情報と請求事由を入力したのち、例えば、保険会社端末4aのマウスなどを操作して、画面右下の“OK”ボタンをクリックすると(ステップST112)、保険会社端末4aがLAN9bを介して、発送可否判定要求を契約管理装置6に送信するとともに、その入力した顧客1の個人情報と請求事由を示す情報を契約管理装置6に送信する。
【0044】
これにより、契約管理装置6のデータ受信部11は、保険会社端末4aから発送可否判定要求と、顧客1の個人情報及び請求事由を示す情報を受信する。
契約管理装置6の請求事由特定部13は、データ受信部11が発送可否判定要求を受信すると、データ受信部11により受信された顧客1の個人情報を保険特定部14に出力する。
保険特定部14の個人情報検索部31は、請求事由特定部13から顧客1の個人情報を受けると、データベース7に登録されている個人情報の中から、請求事由特定部13から出力された個人情報と一致する個人情報を検索する(ステップST113)。
例えば、データ受信部11により受信された顧客1の個人情報が、被保険者の氏名と生年月日である場合、データベース7に登録されている個人情報の中から、氏名と生年月日の両方が合致する個人情報を検索する。
【0045】
契約管理装置6の請求事由特定部13は、上記のようにして、顧客1の個人情報を保険特定部14に出力したのち、データ受信部11により受信された請求事由を示す情報から請求事由の具体的な内容(イベント)を特定し、1以上のイベント間の相関をチェックする(ステップST114)。
例えば、請求事由であるイベントが入院イベントと、在宅緩和ケアイベントである場合、入院と在宅緩和ケアは相反する関係にあるので、請求事由に矛盾があると判断する。
請求事由特定部13は、請求事由に矛盾があると判断する場合、データ送信部16を介して、その旨を保険会社端末4aに送信する。
これにより、保険会社端末4aが請求事由の修正データを送信し、データ受信部11が修正データを受信すると、請求事由特定部13がその修正データにしたがって請求事由を修正して矛盾を解消する(ステップST115)。例えば、入院イベント又は在宅緩和ケアイベントの一方を削除する。
請求事由特定部13は、相関チェック後の請求事由であるイベントを保険特定部14に出力する。
【0046】
保険特定部14の注意情報チェック部32は、個人情報検索部31がデータベース7に登録されている個人情報の中から、請求事由特定部13から出力された個人情報と一致する個人情報を検索すると、その個人情報をキーにして、被保険者の保険金注意情報が登録されているか否かをチェックする(ステップST116)。
例えば、多額の保険金がかけられているような場合には、その被保険者が加入している保険の支払いは注意を要するので、被保険者の保険金注意情報としてデータベース7に登録される。
【0047】
保険特定部14の商品データ取得部33は、請求事由特定部13から請求事由であるイベントを受けると、販売している商品(保険)の中から、そのイベントを給付対象にしている商品(保険)を検索し、その商品(保険)の商品データ(給付金又は保険金の支払条件などを含むデータ)を取得する(ステップST117)。
保険特定部14の契約情報取得部34は、図9に示すように、データベース7には顧客1の個人情報と保険の契約情報が対にして登録されているので、顧客1の個人情報に対応する保険の契約情報を取得する。
即ち、顧客1の個人情報をキーにして、顧客1が加入している全ての保険を検索し、全ての保険の契約情報を取得する。
【0048】
保険特定部14の判定用データ作成部35は、顧客1が加入している保険の契約情報と、請求事由であるイベントを給付対象にしている商品(保険)の商品データとをつき合せて、給付金又は保険金の支払が可能であるか否かを判定する際に使用する判定用データを作成する(ステップST118)。
例えば、契約情報に含まれている証券番号をキーにして、請求事由であるイベントを給付対象にしている商品(保険)の中から、顧客1が加入している保険を絞り込み、その保険の商品データを取得する。そして、商品データに含まれている給付金又は保険金の支払条件、契約情報に含まれている保険開始日時や特記事項などからなる判定用データを作成する。
【0049】
保険特定部14の受取人確認部36は、顧客1が加入している保険の契約情報と受取人に関する連絡情報を参照して、給付金又は保険金の受取人を確認する(ステップST119)。
受取人確認部36は、通常は、保険の契約情報から受取人を特定するが、例えば、契約情報から特定した受取人が既に死亡している旨を示す連絡情報がデータベース7に登録されている場合、給付金又は保険金の受取人を、約款又は法律(例えば、商法、民法)に基づく正当受取人に変更する。例えば、給付金又は保険金の請求事由が発生した後に、当該受取人が死亡している場合には、その給付金等は当該受取人の相続財産であるので、給付金又は保険金の受取人を、「当該受取人の法定相続人」または「遺言により当該受取人の相続財産を取得した者」に変更する。また、給付金又は保険金の請求事由が発生する前に当該受取人が死亡している場合には、「当該受取人の死亡時の相続人(法定相続人のうち、死亡している者があるときは、その者については、その順次の法定相続人)で、請求事由が発生した時に生存している者」に変更する。
なお、契約情報から特定した受取人が未成年者である場合、受取人自体は変更しないが、その未成年者の親権者、あるいは、その親権者の同意を得ている未成年者を、給付金又は保険金の請求が可能な請求人として認定する。
【0050】
以下、保険特定部14の支払判定部37は、上記の判定用データなどに基づいて、給付金又は保険金の支払が可能であるか否かを判定する。
まず、保険特定部14の支払判定部37は、請求事由であるイベントが契約を満足しているか否かを判定する(ステップST120)。
例えば、イベントがガン診断に伴う治療イベントである場合には、上記の判定用データ内の保険開始日時等を参照して、保険加入日から契約で定められている日数が経過したのちのガン診断であるか否かを判定し、保険加入日から契約で定められている日数が経過したのちのガン診断でない場合には、給付金又は保険金の支払が不可能であると認定する。
【0051】
保険特定部14の支払判定部37は、請求事由であるイベントが契約を満足している場合、給付金又は保険金の請求履歴と支払履歴を考慮して、給付金又は保険金の支払が可能であるか否かを判定する(ステップST121)。
即ち、保険特定部14の支払判定部37は、顧客1の個人情報をキーにして、データベース7から給付金又は保険金の請求履歴や支払履歴を取得する。
具体的には、顧客1から過去に給付金又は保険金の請求がなされた履歴がある場合、その請求によって過去に給付金又は保険金が支払われているか否かを判定する。給付金又は保険金の支払が謝絶されている場合、その謝絶理由が今回の請求にも当てはまれば、給付金又は保険金の支払が不可能であると認定する。例えば、入院給付金が付いている保険に加入していないにも拘わらず、イベントが入院イベントである場合には、給付金又は保険金の支払が謝絶されるが、今回のイベントも入院イベントであれば、給付金又は保険金の支払が不可能であると認定する。
【0052】
また、過去に給付金又は保険金が支払われた履歴がある場合、そのときの請求事由と今回の請求事由とを比較する。そして、それらの請求事由が一致するときは、判定用データ内の支払条件等を参照して、給付金又は保険金の支払が可能であるか否かを判定する。例えば、イベントが手術イベントであり、支払条件として手術回数の制限が設けられているような場合において、手術回数が設定されている回数を超えていれば、給付金又は保険金の支払が不可能であると認定する。
また、イベントが入院イベントであり、支払条件として入院日数の制限が設けられているような場合において、過去に最大入院日数分の給付金又は保険金が支払われていれば、給付金又は保険金の支払が不可能であると認定する。
ここでは、謝絶判定や重複判定を実施するものについて示したが、これらは一例に過ぎず、他の判定を実施してもよいことは言うまでもない。
【0053】
次に、保険特定部14の支払判定部37は、給付金又は保険金の請求期間が適正であるか否かを判定する(ステップST122)。
即ち、判定用データ内の支払条件等を参照して、請求事由の時効を判定し、時効成立後の請求であれば(例えば、請求事由が発生した日から契約で定められた期間を経過していれば、請求事由の時効が成立していると認定)、給付金又は保険金の支払が不可能であると認定する。
【0054】
次に、保険特定部14の支払判定部37は、給付金又は保険金の請求者である顧客1が正当者であるか否かを考慮して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定する(ステップST123)。
即ち、保険特定部14の支払判定部37は、給付金又は保険金の請求者が、受取人確認部36により確認された受取人と一致すれば、その請求者は正当者であると判断するが、その請求者が受取人確認部36により確認された受取人と一致しない場合、その受取人との関係を考慮して正当者であるか否かを判断し、正当者ではないと判断するときは、給付金又は保険金の支払が不可能であると認定する。
例えば、保険の受取人が被保険者であり、被保険者がガンなど、告知が困難な病気を患っているため、その親族から請求があったような場合には、その請求者は正当者であると判断する。
これに対して、請求者と受取人の関係が、予め定められている契約の範囲外であるような場合には、その請求者は正当者ではない判断する。
また、保険特定部14の支払判定部37は、上述したように、データベース7に被保険者の保険金注意情報が登録されているような場合も、給付金又は保険金の支払が不可能であると認定する。
【0055】
保険特定部14の書類特定部38は、支払判定部37により給付金又は保険金の支払が可能な保険であると判定された場合、請求事由特定部13により特定されたイベントに応じて給付金又は保険金の請求に必要な書類を特定する(ステップST124)。
例えば、治療イベントであれば医師の診断書、死亡イベントであれば死亡届など、イベント毎に必要な書類がデータベース7に格納されているので、請求事由特定部13により特定されたイベントをキーにして、給付金又は保険金の請求に必要な書類を特定する。
【0056】
契約管理装置6のデータ送信部16は、保険特定部14が給付金又は保険金の支払が可能な保険であると判定すれば、図10に示すように、給付金又は保険金の支払が可能である旨を示すメッセージと、給付金又は保険金の請求書の作成を指示するメッセージと、書類特定部38により特定された請求に必要な書類を示すメッセージと、給付金又は保険金の受取人を示すメッセージとが表示される判定結果照会画面を作成し(ステップST125)、LAN9bを介して、その判定結果照会画面を保険会社端末4aに送信する(ステップST126)。
【0057】
一方、データ送信部16は、保険特定部14が給付金又は保険金の支払が不可能な保険であると判定、あるいは、一致する個人情報が検索されない場合、図11に示すように、給付金又は保険金の支払が不可能である旨を示すメッセージを作成し(ステップST125)、LAN9bを介して、その判定結果照会画面を保険会社端末4aに送信する(ステップST126)。
これにより、保険会社端末4aのディスプレイには判定結果照会画面が表示され、保険会社の担当者は、給付金又は保険金の支払が可能であるか否かを確認することができる。
【0058】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、給付金又は保険金の請求履歴と支払履歴を考慮して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定するように構成したので、給付金又は保険金の重複払いなど、不要な支払を防止することができる効果を奏する。
また、この実施の形態2によれば、給付金又は保険金の請求者が正当者であるか否かを考慮して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定するように構成したので、正当に給付金又は保険金を受け取ることができない者への支払を防止することができる効果を奏する。
【0059】
この実施の形態2によれば、保険の契約情報から特定した受取人が既に死亡している場合、給付金又は保険金の受取人を、その受取人の法定相続人や相続財産を取得した者等に変更するように構成したので、給付金又は保険金の正当な受取人を特定することができる効果を奏する。
また、この実施の形態2によれば、保険の契約情報から特定した受取人が未成年者である場合、その未成年者の親権者、あるいは、その親権者の同意を得ている未成年者を、給付金又は保険金の請求が可能な請求人として認定するように構成したので、特定した受取人が未成年者である場合でも、給付金又は保険金を請求することができる効果を奏する。
さらに、被保険者が給付金又は保険金の請求事由を知らない場合、被保険者の親族による給付金又は保険金の請求を許可するように構成したので、例えば、被保険者がガンなど、告知が困難な病気を患っている場合でも、被保険者に病気を告知することなく、給付金又は保険金を請求することができる効果を奏する。
【0060】
実施の形態3.
上記実施の形態1,2では、保険特定部14がデータベース7に登録されている個人情報の中から、請求事由特定部13から出力された個人情報と一致する個人情報を検索して、被保険者が加入している保険の契約情報を取得するものについて示したが、複数の保険の契約情報が取得された場合、各保険毎に給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定するようにしてもよい。
これにより、複数の保険に加入している場合には、各保険毎に、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを確認することができる効果を奏する。
【0061】
実施の形態4.
上記実施の形態1〜3では、保険特定部14が給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定するものについて示したが、保険特定部14が保険加入時の告知義務違反を調査し、告知義務違反を犯している場合には給付金又は保険金の支払が不可能な保険であると判定するようにしてもよい。
例えば、保険加入時の告知書に、過去1年以内の手術の事実を記述していないとき、医療施設から過去1年以内の手術が行われた医療情報が得られたような場合には、保険加入時の告知義務違反があるものと認定する。
これにより、給付金又は保険金の不正な支払を防止することができる効果を奏する。
【0062】
実施の形態5.
上記実施の形態1〜3では、保険特定部14が給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定するものについて示したが、保険特定部14が保険加入時から現時点に至る顧客1からのコンタクト履歴を考慮して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0063】
具体的には、例えば、保険会社4の顧客対応のオペレータなどが、顧客1から電話やメールなどで種々の質問等を受けたとき、オペレータなどが保険会社端末4aを操作して、その質問等の内容をデータベース7に登録する。
この際、その質問等の内容が、例えば、“保険金の受取人である法定相続人の所在が不明なので、代わりに保険金を自分の口座に振り込みできるか?”を聞くなど、質問が不自然な内容である場合には、この顧客1が要注意者であることを示すフラグにチェックを入れるようにする。
契約管理装置6の保険特定部14は、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定する際、要注意者であることを示すフラグにチェックが入っているときは、データ送信部16を介して、そのチェックが入っている旨と、データベース7に登録されている質問等の内容を保険会社端末4aに送信する。
これにより、保険会社4の担当者が質問等の内容を参照して、その良否を判定し、保険会社端末4aを操作して、その判定結果を契約管理装置6に送信する。
【0064】
契約管理装置6の保険特定部14は、データ受信部11が保険会社端末4aから判定結果を受信し、その判定結果が“良”であれば、他の要件を満足することを条件(上記実施の形態1〜4を参照)に給付金又は保険金の支払が可能な保険であると判定する。
一方、その判定結果が“否”である場合には、他の要件を満足していても、給付金又は保険金の支払が不可能な保険であると判定する。
【0065】
以上で明らかなように、この実施の形態5によれば、保険加入時から現時点に至る顧客1からのコンタクト履歴を考慮して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定するように構成したので、給付金又は保険金の不正な支払を防止することができる効果を奏する。
【0066】
実施の形態6.
上記実施の形態1〜3では、保険特定部14が給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定するものについて示したが、保険特定部14が医療施設に関する情報を考慮して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0067】
具体的には、契約管理装置6の保険特定部14は、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定する際、給付金又は保険金の請求事由が例えば被保険者の入院イベントであるとき、被保険者の入院先である医療施設に関する情報(例えば、当該医療施設が過去に保険金の不正請求に加担したことがあることを示す情報)がデータベース7に登録されている場合、その医療施設に関する情報を保険会社端末4aに送信する。
これにより、保険会社4の担当者が医療施設に関する情報を参照して、その良否を判定し、保険会社端末4aを操作して、その判定結果を契約管理装置6に送信する。
【0068】
契約管理装置6の保険特定部14は、データ受信部11が保険会社端末4aから判定結果を受信し、その判定結果が“良”であれば、他の要件を満足することを条件(上記実施の形態1〜4を参照)に給付金又は保険金の支払が可能な保険であると判定する。
一方、その判定結果が“否”である場合には、他の要件を満足していても、給付金又は保険金の支払が不可能な保険であると判定する。
【0069】
以上で明らかなように、この実施の形態6によれば、医療施設に関する情報を考慮して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定するように構成したので、給付金又は保険金の不正な支払を防止することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】この発明の実施の形態1による保険業務管理システムを示すシステム構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による契約管理装置を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1による契約管理装置のハードウエアを示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態1による保険業務管理システムの処理内容を示す処理シーケンス図である。
【図5】この発明の実施の形態1による保険業務管理システムの処理内容を示す処理シーケンス図である。
【図6】この発明の実施の形態2による契約管理装置の保険特定部を示す構成図である。
【図7】この発明の実施の形態2による契約管理装置における発送可否判定の処理内容を示す説明図である。
【図8】発送可否判定要求画面を示す説明図である。
【図9】データベースに登録されている個人情報と契約情報を示す説明図である。
【図10】判定結果照会画面を示す説明図である。
【図11】判定結果照会画面を示す説明図である。
【符号の説明】
【0071】
1 顧客
2 代理店
3 課支社
3a 課支社端末
4 保険会社
4a 保険会社端末
5 入力センタ
5a 入力センタ装置
6 契約管理装置
7 データベース
8 出力センタ
8a 出力センタ装置
9 広域ネットワーク
9a インターネット
9b LAN
11 データ受信部
12 データ登録部(情報登録手段)
13 請求事由特定部(請求事由特定手段)
14 保険特定部(契約情報取得手段、可否判定手段、受取人特定手段、書類特定手段)
15 支払額決定部
16 データ送信部(通知手段)
21 CPU
22 ネットワークインタフェース
23 データベースインタフェース
24 メモリ
31 個人情報検索部
32 注意情報チェック部
33 商品データ取得部
34 契約情報取得部
35 判定用データ作成部
36 受取人確認部
37 支払判定部
38 書類特定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被保険者の個人情報と給付金又は保険金の請求事由を特定する請求事由特定手段と、予め登録されている個人情報の中から、上記請求事由特定手段により特定された個人情報と一致する個人情報を検索して、その個人情報に合致する被保険者が加入している保険の契約情報を取得する契約情報取得手段と、上記契約情報取得手段により取得された契約情報と上記請求事由特定手段により特定された請求事由を照合して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定する可否判定手段と、上記契約情報取得手段により取得された契約情報と受取人に関する連絡情報を参照して、給付金又は保険金の受取人を特定する受取人特定手段と、上記可否判定手段が支払可能な保険であると判定すれば、給付金又は保険金の支払が可能である旨を通知するとともに、上記受取人特定手段により特定された受取人を通知し、その可否判定手段が支払不可能な保険であると判定、あるいは、上記契約情報取得手段により一致する個人情報が検索されなければ、給付金又は保険金の支払が不可能である旨を通知する通知手段とを備えた契約管理装置。
【請求項2】
予め被保険者の個人情報と保険の契約情報を登録する情報登録手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の契約管理装置。
【請求項3】
受取人特定手段は、契約情報から特定した受取人が既に死亡している旨を示す連絡情報が存在する場合、その連絡情報を考慮して給付金又は保険金の受取人を変更することを特徴とする請求項1記載の契約管理装置。
【請求項4】
受取人特定手段は、契約情報から特定した受取人が未成年者である場合、その未成年者の親権者、あるいは、その親権者の同意を得ている未成年者を、給付金又は保険金の請求が可能な請求人として認定することを特徴とする請求項1記載の契約管理装置。
【請求項5】
受取人特定手段は、被保険者が給付金又は保険金の請求事由を知らない場合、被保険者の親族による給付金又は保険金の請求を許可することを特徴とする請求項1記載の契約管理装置。
【請求項6】
可否判定手段は、給付金又は保険金の請求履歴と支払履歴を考慮して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の契約管理装置。
【請求項7】
可否判定手段は、給付金又は保険金の請求者が正当者であるか否かを考慮して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の契約管理装置。
【請求項8】
可否判定手段は、受取人特定手段により特定された受取人を考慮して、給付金又は保険金の請求者が正当者であるか否かを判定することを特徴とする請求項7記載の契約管理装置。
【請求項9】
可否判定手段が支払可能な保険であると判定すれば、請求事由特定手段により特定された請求事由から給付金又は保険金の請求に必要な書類を特定する書類特定手段を設け、通知手段が上記書類特定手段により特定された請求に必要な書類を通知することを特徴とする請求項1記載の契約管理装置。
【請求項10】
可否判定手段は、契約情報取得手段により複数の保険の契約情報が取得された場合、各保険毎に給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の契約管理装置。
【請求項11】
可否判定手段は、保険加入時の告知義務違反を調査し、告知義務違反を犯している場合には給付金又は保険金の支払が不可能な保険であると判定することを特徴とする請求項1記載の契約管理装置。
【請求項12】
可否判定手段は、保険加入時から現時点に至る顧客からのコンタクト履歴を考慮して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の契約管理装置。
【請求項13】
可否判定手段は、医療施設に関する情報を考慮して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の契約管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−221448(P2006−221448A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−34649(P2005−34649)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(593110591)アメリカン ファミリー ライフ アシュアランス カンパニー オブ コロンバス (5)
【氏名又は名称原語表記】American Family Life Assurance Company of Columbus