説明

契約管理装置

【課題】 給付金や保険金の請求に際して、複数の請求事由が含まれている場合でも、不要な給付金や保険金の重複支払を防止することができる契約管理装置を得ることを目的とする。
【解決手段】 請求事由特定部13により特定されたイベントが複数存在する場合、複数のイベント間の相関をチェックして、給付金又は保険金の請求が不可能なイベントを削除する相関判定部14を設け、その相関判定部14により削除されずに残されたイベントを参照して、既契約済みの保険の中から給付金又は保険金の支払対象となる保険を特定し、その保険の契約内容と上記イベントを照合して、給付金又は保険金の支払額を査定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、保険業務の効率化を図る契約管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の契約管理装置は、保険金算出部が、病院側端末から送信された診断記録と、契約情報記憶部に記憶されている契約情報とに基づいて保険金を算出する。
例えば、顧客が入院した場合、入院日数一日当り5000円を支払う契約がなされており、かつ、入院期間が10日間であれば、保険金として50,000円を算出する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−297911号公報(段落番号[0048]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の契約管理装置は以上のように構成されているので、顧客から保険金の請求があれば、保険金の支払額を算出することができる。しかし、保険金の請求に際して、複数の請求事由が含まれている場合でも、複数の請求事由間の相関を判定する機能などを備えていない。そのため、各請求事由毎に保険金の支払額が算出され、不要な保険金の重複支払が発生することがあるなどの課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、給付金や保険金の請求に際して、複数の請求事由が含まれている場合でも、不要な給付金や保険金の重複支払を防止することができる契約管理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る契約管理装置は、請求事由判別手段により判別された請求事由が複数存在する場合、複数の請求事由間の相関を判定して、給付金又は保険金の請求が不可能な請求事由を削除する相関判定手段を設け、その相関判定手段により削除されずに残された請求事由を参照して、既契約済みの保険の中から給付金又は保険金の支払対象となる保険を特定し、その保険の契約内容と上記請求事由を照合して、給付金又は保険金の支払額を査定するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、請求事由判別手段により判別された請求事由が複数存在する場合、複数の請求事由間の相関を判定して、給付金又は保険金の請求が不可能な請求事由を削除する相関判定手段を設け、その相関判定手段により削除されずに残された請求事由を参照して、既契約済みの保険の中から給付金又は保険金の支払対象となる保険を特定し、その保険の契約内容と上記請求事由を照合して、給付金又は保険金の支払額を査定するように構成したので、給付金や保険金の請求に際して、複数の請求事由が含まれている場合でも、不要な給付金や保険金の重複支払を防止することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による契約管理装置が適用する保険業務管理システムを示すシステム構成図であり、図において、顧客1は保険加入希望者又は保険加入者であり、顧客1が保険の加入を希望する場合や、給付金又は保険金を請求する場合には、保険の申込書や請求書を保険会社4の代理店2、保険会社4の課支社3又は入力センタ5に提出する。課支社3にはイメージスキャナを搭載しているパソコンなどの課支社端末3aが設置されており、課支社端末3aは例えば顧客1から保険の申込書が郵送されて来ると、イメージスキャナを用いて申込書の記載事項を読み取り、広域ネットワーク9(例えば、インターネット、公衆電話回線網)を介して、その記載事項を表すイメージデータを入力センタ装置5aに送信する。
保険会社4にはパソコンなどの保険会社端末4aが設置されており、保険会社端末4aは例えば契約管理装置6から送信された給付金又は保険金の支払額の内訳を示す支払明細データを受信すると、その支払明細データを顧客1である保険加入者に発送するなどの処理を実施する。
【0009】
入力センタ5にはイメージスキャナを搭載しているパソコンなどの入力センタ装置5aが設置されており、入力センタ装置5aは例えば顧客1から保険の申込書が郵送されて来ると、イメージスキャナを用いて申込書の記載事項を読み取って、申込書の記載事項をチェックし、また、課支社端末3aから申込書の記載事項を表すイメージデータが送信されると、その申込書の記載事項をチェックし、申込書の記載事項に不備がなければ、申込書の記載事項を契約管理装置6に送信する。なお、入力センタ装置5aは給付金又は保険金の請求書を受け付けたときも、請求書の記載事項をチェックし、請求書の記載事項に不備がなければ、請求書の記載事項を契約管理装置6に送信する。
【0010】
契約管理装置6は入力センタ装置5aから申込書の記載事項を受信すると、申込書の記載事項をデータベース7に登録し、入力センタ装置5aから請求書の記載事項を受信すると、その記載事項を解析して給付金又は保険金の請求事由を判別し、その請求事由を参照して、既契約済みの保険の中から給付金又は保険金の支払対象となる保険を特定するとともに、その支払対象となる保険の契約内容と上記請求事由を照合して、給付金又は保険金の支払額を査定する。
出力センタ8は契約管理装置6から送信されたプリントデータにしたがって顧客1に対する案内物を印刷するパソコンなどの出力センタ装置8aが設置されており、顧客1に対する案内物を発送するなどの処理を実施する。
【0011】
図2はこの発明の実施の形態1による契約管理装置を示す構成図であり、図において、
データ受信部11は通信機を搭載しており、広域ネットワーク9やLAN9bを介して、入力センタ装置5aから送信された申込書又は請求書の記載事項などを受信する。
データ登録部12はデータ受信部11が申込書の記載事項(例えば、顧客1の個人情報(例えば、氏名、住所、生年月日)、保険種別、特約事項など)を受信すると、申込書の記載事項をデータベース7に登録する。また、データ登録部12はデータ受信部11が保険会社端末4aから契約内容(例えば、保険開始日時、特記事項、給付金又は保険金の支払条件など)を示す契約情報を受信すると、その契約情報をデータベース7に登録する。なお、データ登録部12は情報登録手段を構成している。
【0012】
請求事由特定部13はデータ受信部11が保険会社端末4aから送信された顧客1の個人情報と請求事由を示す情報を受信すると、顧客1の個人情報を保険特定部15に出力するとともに、その請求事由の具体的な内容であるイベントを特定する。
このイベントには、例えば、診断イベント、入院イベント、通院イベント、治療イベント、死亡イベント、介護イベント、障害イベント、在宅緩和ケアイベント、高度先進医療イベントなどがある。なお、請求事由特定部13は請求事由判別手段を構成している。
【0013】
相関判定部14は請求事由特定部13により特定されたイベントが複数存在する場合、複数のイベント間の相関を判定して、給付金又は保険金の請求が不可能なイベントを削除する。なお、相関判定部14は相関判定手段を構成している。
保険特定部15は相関判定部14により削除されずに残された請求事由を参照して、既契約済みの保険の中から給付金又は保険金の支払対象となる保険を特定する。なお、保険特定部15は保険特定手段を構成している。
【0014】
支払額決定部16は保険特定部15により特定された保険の契約内容と請求事由特定部13により特定されたイベントを照合して、給付金又は保険金の支払額を査定する。時効判定部17は請求事由特定部13により特定されたイベントの時効を判定し、既に時効が成立している場合、給付金又は保険金の支払を拒否する査定を行う。なお、支払額決定部16及び時効判定部17は査定手段を構成している。
データ送信部18は通信機を搭載しており、支払額決定部16により査定された給付金又は保険金の支払額の内訳を示す支払明細データなどを保険会社端末4aに送信する。なお、データ送信部18は支払明細送信手段を構成している。
【0015】
なお、契約管理装置6の構成部(データ受信部11、データ登録部12、請求事由特定部13、相関判定部14、保険特定部15、支払額決定部16、時効判定部17、データ送信部18)は、例えば、専用のIC集積回路を用いて構成してもよいが、図3に示すように、少なくとも、CPU21とネットワークインタフェース22とデータベースインタフェース23とメモリ24とを備えたコンピュータを用いて構成するとともに、各構成部の処理内容が記述されたプログラムをメモリ24に格納し、CPU21がメモリ24に格納されているプログラムを実行するようにしてもよい。
図4及び図5はこの発明の実施の形態1による保険業務管理システムの処理内容を示す処理シーケンス図であり、図6はこの発明の実施の形態1による契約管理装置の処理内容を示すフローチャートである。
【0016】
次に動作について説明する。
最初に、顧客1が保険の加入を希望する場合の処理内容について説明する。
顧客1は、保険の加入を希望する場合、保険の申込書に必要な事項を記入し、その申込書を代理店2、課支社3又は入力センタ5の何れかに郵送する(ステップST1,ST2,ST3)。
例えば、顧客1が申込書を代理店2に郵送すると、代理店2が顧客1の氏名や加入希望保険などを台帳に記載するなどの事務手続きを実施してから、その申込書を入力センタ5に郵送する(ステップST11,ST12)。
【0017】
また、顧客1が申込書を課支社3に郵送した場合には、課支社3の担当者が課支社端末3aのイメージスキャナを用いて申込書の記載事項を読み取り、その記載事項を表すイメージデータを広域ネットワーク9を介して入力センタ装置5aに送信する(ステップST21,ST22)。
なお、申込書の原本は、課支社3の担当者が入力センタ5に郵送する(ステップST23)。
【0018】
入力センタ5の担当者は、顧客1又は代理店2から保険の申込書が郵送されて来ると、入力センタ装置5aのイメージスキャナを用いて申込書の記載事項を読み取り、申込書の記載事項をチェックする。課支社3の課支社端末3aからイメージデータが送信されて来た場合には、そのイメージデータに基づいて申込書の記載事項をチェックする。
具体的には、申込書全体のイメージデータを申込書の記入欄毎に分割し、各記入欄のイメージデータをOCR処理によってテキストデータに変換する。そして、各記入欄のテキストデータを解析して、必要な記載事項が記載されているか否かを判断する。例えば、加入者の年齢の欄に数字以外の文字(例えば、英字)が記入されていたり、未記入であったりするような場合には、記載事項が不備であると判断する。あるいは、告知の欄において、既往症が有にチェックが入っているとき、具体的な病名が記入されていないような場合には、記載事項が不備であると判断する。
【0019】
入力センタ装置5aは、申込書の記載事項に不備がなければ、申込書の記載事項(例えば、テキストデータ)を契約管理装置6に送信し(ステップST31)、申込書の原本を然る場所に保管する(ステップST32)。
なお、入力センタ5の担当者は、入力センタ装置5aが申込書の記載事項に不備を見つけると、その申込書の原本を顧客1に返送して、その申込書の記載事項の訂正をお願いする。
【0020】
契約管理装置6のデータ受信部11は、入力センタ装置5aが申込書の記載事項を送信すると、申込書の記載事項を受信してデータ登録部12に出力する。
契約管理装置6のデータ登録部12は、データ受信部11から申込書の記載事項を受けると、申込書の記載事項をデータベース7に登録する。
これにより、データベース7には申込書の記載事項として、顧客1の個人情報(例えば、氏名、住所、生年月日)や、保険種別、特約事項などの情報が登録される。
【0021】
なお、保険会社4の担当者は、契約管理装置6のデータベース7に申込書の記載事項が登録されると(例えば、契約管理装置6から申込書の記載事項を登録した旨のメールを受信したとき)、保険会社端末4aを使用して申込書の記載事項を読み込み、その記載事項や告知書などに基づいて保険加入審査を行う。保険会社4の担当者は保険の加入を許可する場合、保険会社端末4aを使用して、契約内容(例えば、証券番号、保険開始日時、特記事項、支払条件など)を示す契約情報を契約管理装置6に送信する。
契約管理装置6のデータ登録部12は、データ受信部11が保険会社端末4aから契約情報を受信すると、その契約情報をデータベース7に登録する。
【0022】
保険加入時の処理は以上の通りであり、保険加入時の処理ではないが、出力センタ8の担当者は、顧客1に新商品の案内や契約済みの保険の契約更新を案内するような場合には、出力センタ装置8aを使用してプリントデータの送信を契約管理装置6に要求し(ステップST41)、契約管理装置6からプリントデータを受信する(ステップST42)。
出力センタ装置8aは、契約管理装置6から送信されたプリントデータにしたがって顧客1に対する案内物を印刷する(ステップST43)。
出力センタ8の担当者は、顧客1に対する案内物を封緘して発送する(ステップST44)。
【0023】
次に、既に保険に加入している顧客1が給付金又は保険金を請求する場合の処理内容について説明する。
顧客1は、給付金又は保険金を請求する場合、給付金又は保険金を請求する旨を代理店2に通知する(ステップST61)。
代理店2は、顧客1から給付金又は保険金の請求を受けると(ステップST71)、給付金又は保険金の請求を受け付けた旨を保険会社4に通知する(ステップST72)。この際、顧客1の氏名などの個人情報を保険会社4に通知する。
保険会社4の担当者は、代理店2から給付金又は保険金の請求を受け付けた旨の通知を受けると(ステップST81)、保険会社端末4aを使用して顧客1の個人情報を契約管理装置6に送信し、顧客1が契約している保険の有無を契約管理装置6に問い合わせる(ステップST82)。
【0024】
契約管理装置6のデータ受信部11は、保険会社端末4aから上記のような問い合わせを受けると、保険会社端末4aから送信された顧客1の個人情報を受信してデータ登録部12に出力する。
契約管理装置6のデータ登録部12は、データ受信部11から顧客1の個人情報を受けると、その個人情報をキーにして、データベース7から顧客1が契約している保険を検索する。
データ登録部12は、顧客1が契約している保険が存在する場合には、給付金又は保険金の請求が可能である旨を示す査定を実施する一方、顧客1が契約している保険が存在しない場合には、給付金又は保険金の請求が不可能である旨を示す査定を実施する(ステップST91)。
また、データ登録部12は、顧客1が契約している保険が存在する場合には、その保険の契約情報を参照して、給付金又は保険金の受取人を特定する。ただし、受取人に関する連絡情報(例えば、顧客1から事前に通知された情報)がデータベース7に登録されている場合、その連絡情報を考慮して受取人を特定する。
例えば、受取人が既に死亡していることを示す連絡情報が登録されていれば、給付金又は保険金の受取人を変更する。具体的には、例えば、給付金又は保険金の請求事由が発生した後に、当該受取人が死亡している場合には、その給付金等は当該受取人の相続財産であるので、給付金又は保険金の受取人を、「当該受取人の法定相続人」または「遺言により当該受取人の相続財産を取得した者」に変更する。また、給付金又は保険金の請求事由が発生する前に当該受取人が死亡している場合には、「当該受取人の死亡時の相続人(法定相続人のうち、死亡している者があるときは、その者については、その順次の法定相続人)で、請求事由が発生した時に生存している者」に変更する。
データ送信部18は、データ登録部12の査定結果を保険会社端末4aに送信する(ステップST92)。また、顧客1が契約している保険が存在する場合には、給付金又は保険金の受取人を保険会社端末4aに送信する。
【0025】
保険会社端末4aは、契約管理装置6から給付金又は保険金の請求が可能である旨を示す査定の通知を受けると、給付金又は保険金の請求書を作成し(ステップST83)、保険会社4の担当者が当該請求書を顧客1に発送する(ステップST84)。
保険会社端末4aは、契約管理装置6から給付金又は保険金の請求が不可能である旨を示す査定の通知を受けると、給付金又は保険金を請求することができない旨を示す書面を作成し、保険会社4の担当者が当該書面を顧客1に発送する。
【0026】
顧客1は、保険会社4から給付金又は保険金の請求書が送られて来ると、その請求書に必要事項(例えば、給付金の請求事由(例えば、ガンの手術を伴う入院))を記載し(ステップST62)、その請求書と必要書類(例えば、医師の診断書)を入力センタ5に郵送する(ステップST63)。
入力センタ5の担当者は、顧客1から請求書と必要書類が郵送されて来ると、入力センタ装置5aのイメージスキャナを用いて請求書の記載事項を読み取り(あるいは、担当者が請求書の記載事項をキー入力)、入力センタ装置5aが請求書の記載事項をチェックする(ステップST101)。
【0027】
具体的には、請求書全体のイメージデータを請求書の記入欄毎に分割し、各記入欄のイメージデータをOCR処理によってテキストデータに変換する。そして、各記入欄のテキストデータを解析して、必要な記載事項が記載されているか否かを判断する。例えば、受取人の欄が未記入であるような場合には、記載事項が不備であると判断する。
入力センタ装置5aは、請求書の記載事項に不備がなければ、請求書の記載事項(例えば、テキストデータ)を契約管理装置6に送信する(ステップST102)。
なお、入力センタ5の担当者は、入力センタ装置5aが請求書の記載事項に不備を見つけると、保険会社4に通知して、その請求書の記載事項の訂正をお願いする。
【0028】
保険会社4の担当者は、入力センタ装置5aが請求書の記載事項を契約管理装置6に送信すると(例えば、入力センタ装置5aから請求書の記載事項を契約管理装置6に送信した旨のメールを受信したとき)、保険会社端末4aを使用して顧客1の個人情報を契約管理装置6に送信し、顧客1対する給付金又は保険金の支払額の査定を契約管理装置6に要求する(ステップST85)。
契約管理装置6のデータ受信部11は、入力センタ装置5aから請求書の記載事項を受信するとともに、保険会社端末4aから支払額の査定要求を受信すると(ステップST111)、請求書の記載事項を請求事由特定部13に出力する。
【0029】
契約管理装置6の請求事由特定部13は、データ受信部11から請求書の記載事項を受けると、請求書の記載事項を解析して給付金又は保険金の請求事由であるイベントを判別する(ステップST112)。例えば、請求書の請求事由の欄に記載されている内容を解析することにより、今回どのような理由で、給付金又は保険金を請求しているのかを医的に判別する。医的なイベントには、例えば、診断イベント、入院イベント、通院イベント、治療イベント、死亡イベント、介護イベント、障害イベント、在宅緩和ケアイベント、高度先進医療イベントなどがある。
ただし、請求事由特定部13は、給付金又は保険金の請求事由が予め想定しているイベント以外のイベントに該当する場合、その請求事由の正当性が認められないと判断して(ステップST113)、給付金又は保険金の請求を却下する査定を行う(ステップST114)。例えば、給付金又は保険金の請求事由が“火災による家財焼失”のような場合には、一般的に生命保険が保証するものではないため、請求事由の正当性が認められない。
また、保険に加入後、契約で定められている期間が経過する前に、“ガン診断”がなされたような場合にも、請求事由の正当性が認められない。
また、請求書に記載されている受取人が、保険の有無の問い合わせ時にデータ登録部12により特定された受取人と異なる場合も、請求事由の正当性が認められない。
【0030】
契約管理装置6の相関判定部14は、請求事由特定部13により特定されたイベントが複数存在する場合、複数のイベント間の相関を判定して、給付金又は保険金の請求が不可能なイベントを削除する(ステップST115)。
例えば、“○○ガンの手術”と“△△ガンの手術”が同日に行われた場合、どちらか一方の手術のみを給付対象とする契約がなされている場合において、“○○ガンの手術”の治療イベントと、“△△ガンの手術”の治療イベントが同日付で存在するときは、例えば、給付金が高い方の手術に対する治療イベントを残して、給付金が安い方の手術に対する治療イベントを削除するようにする。
【0031】
また、入院イベントと在宅緩和ケアイベントなど、通常同時には起こりえないイベントが存在する場合には、入院期間や在宅緩和ケアの実施期間などを示す情報を参照して、いずれのイベントが実際に発生したイベントであるかを判断し、実際に発生していない方のイベントを削除する。例えば、請求書の請求事由の欄に入院期間が記述されているが、在宅緩和ケアの実施期間が記述されていない場合、入院イベントを残して、在宅緩和ケアイベントを削除する。
なお、相関判定部14は、同時には起こりえないイベントが予めテーブル化されていれば、そのテーブルを参照することにより、同時には起こりえないイベントを確認することができる。
【0032】
契約管理装置6の保険特定部15は、顧客1の個人情報をキーにして、データベース7から顧客1が既に契約している全ての保険を検索し(ステップST116)、相関判定部14により削除されずに残されたイベントを参照して、少なくとも1以上の保険の中から、給付金又は保険金の支払対象となる保険を特定する(ステップST117)。
例えば、顧客1がガン以外の病気の補償特約が付いていないガン保険Aと、入院給付金付きの医療終身保険Bと、入院給付金が付いていない養老保険Cとに加入しているとき、例えば、給付金の請求事由であるイベントが“脳卒中による入院”である場合、給付金の支払対象となる保険として、医療終身保険Bを特定する。
【0033】
契約管理装置6の支払額決定部16は、保険特定部15が給付金又は保険金の支払対象となる保険を特定すると、データベース7から当該保険の契約内容を読み込み、当該保険の契約内容と請求事由特定部13により特定されたイベントを照合して、給付金又は保険金の支払額を査定する(ステップST93,ST118)。
例えば、請求事由が“入院”であるとき、入院1日当り、1万円を支払う保険の契約内容になっていれば、顧客1の入院日数×1万円を支払額として査定する。
ただし、保険の契約内容において、例えば、「同一の病気を理由とする入院日数が100日を越えるときは、100日分を限度とする」のような内容が含まれている場合、既に顧客1が100日分の入院給付金を過去に請求している支払履歴がデータベース7に登録されていれば、今回の支払額は0円として査定する。
なお、支払額を査定する計算式は、一般的に、保険の種別毎に定められているので、支払額決定部16が支払額を査定する際に、例えばデータベース7から計算式を取得する。
【0034】
契約管理装置6の時効判定部17は、上記のようにして支払額決定部16が給付金又は保険金の支払額を査定しても、保険の契約内容を参照して、請求事由特定部13により判別された請求事由の時効を判定し、既に時効が成立していれば(例えば、請求事由が発生した日から3年を経過していれば、請求事由の時効が成立していると認定)、給付金又は保険金の支払を拒否する査定を行う(ステップST119,ST120)。
契約管理装置6のデータ送信部18は、契約管理装置6による最終的な査定(支払額決定部16による支払額を示す査定、時効判定部17による支払を拒否する査定、または、請求事由特定部13による請求を却下する査定)を保険会社端末4aに送信する(ステップST94,ST121)。
【0035】
保険会社4の担当者は、保険会社端末4aが契約管理装置6から支払額を示す査定(支払額が1円以上の査定)を受信すると、その査定の正当性を自ら判断し、正当性を認める場合には、保険会社端末4aを使用して、給付金又は保険金の支払を行う旨を契約管理装置6に通知する(ステップST86,ST87)。
一方、保険会社4の担当者は、保険会社端末4aが契約管理装置6から支払を拒否する査定、または、請求を却下する査定、または、支払額が0円である査定を受信すると、その旨を顧客1に通知して、給付金又は保険金の支払を行わない。
【0036】
契約管理装置6のデータ送信部18は、データ受信部11が保険会社端末4aから給付金又は保険金の支払を行う旨の通知を受信すると(ステップST122)、支払額決定部16により査定された給付金又は保険金の支払額の内訳を示す支払明細データを保険会社端末4aに送信する(ステップST95,ST123)。
保険会社4の担当者は、保険会社端末4aが契約管理装置6から支払明細データを受信すると、その支払明細データに基づいて給付金又は保険金を顧客1に支払うとともに(ステップST88)、その支払明細書を顧客1に発送する(ステップST89)。
【0037】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、請求事由特定部13により特定されたイベントを参照して、既契約済みの保険の中から給付金又は保険金の支払対象となる保険を特定し、その保険の契約内容と上記イベントを照合して、給付金又は保険金の支払額を査定するように構成したので、給付金や保険金の支払額を査定して、保険会社の担当者等に通知することができるようになり、その結果、保険業務の効率化を図ることができる効果を奏する。
また、請求事由特定部13により特定されたイベントが複数存在する場合、複数のイベント間の相関を判定して、給付金又は保険金の請求が不可能なイベントを削除するように構成したので、給付金又は保険金を重複して支払うなどの不具合の発生を防止することができる効果を奏する。
【0038】
この実施の形態1によれば、請求事由の正当性を判定し、その請求事由の正当性が認められない場合、給付金又は保険金の請求を却下するように構成したので、請求事由の正当性が認められない請求書が送られてきても、不必要な給付金や保険金の支払を防止することができる効果を奏する。
この実施の形態1によれば、給付金又は保険金の支払履歴を参照して、支払額を査定するように構成したので、過去に給付金又は保険金が支払われている保険も含めることができる効果を奏する。
【0039】
この実施の形態1によれば、請求事由特定部13により特定されたイベントの時効を判定し、既に時効が成立している場合、給付金又は保険金の支払を拒否する査定を行うように構成したので、時効成立後に請求された給付金や保険金の支払を防止することができる効果を奏する。
この実施の形態1によれば、支払額決定部16により査定された給付金又は保険金の支払額の内訳を示す支払明細データを送信するように構成したので、迅速かつ正確に給付金や保険金の支払を行うことができる効果を奏する。
【0040】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、契約管理装置6の請求事由特定部13が請求書の記載事項を解析して給付金又は保険金の請求事由であるイベントを判別するものについて示したが、これに限るものではなく、請求書に添付される診断書などの必要書類の記載事項を解析して給付金又は保険金の請求事由であるイベントを判別するようにしてもよい。
【0041】
実施の形態3.
図7はこの発明の実施の形態3による契約管理装置の請求事由特定部を示す構成図であり、図において、個人情報特定部31はデータ受信部11から出力された請求書の記載事項を解析して、顧客1(被保険者)の個人情報を特定する。
注意情報チェック部32は顧客1の個人情報をキーにして、被保険者の注意情報がデータベース7に登録されているか否かをチェックする。
イベント判別部33はデータ受信部11から出力された請求書の記載事項を解析して、給付金又は保険金の請求事由であるイベントを判別する。
【0042】
図8及び図9はこの発明の実施の形態3による契約管理装置における機械査定の処理内容を示す説明図である。
上記実施の形態1では、請求事由特定部13により特定されたイベントを参照して、既契約済みの保険の中から給付金又は保険金の支払対象となる保険を特定し、その保険の契約内容と上記イベントを照合して、給付金又は保険金の支払額を査定するものについて示したが、以下、図8及び図9を参照して、機械査定(支払額の査定)を詳細に説明する。
【0043】
契約管理装置6は、データ受信部11が入力センタ装置5aから請求書の記載事項を受信するとともに、保険会社端末4aから支払額の査定要求を受信すると、機械査定(支払額の査定)を開始する(ステップST201)。
まず、請求事由特定部13の個人情報特定部31は、データ受信部11から請求書の記載事項を受けると、請求書の記載事項を解析して、顧客1(被保険者)の個人情報を特定する(ステップST202)。
また、請求事由特定部13の注意情報チェック部32は、顧客1の個人情報をキーにして、被保険者の注意情報が登録されているか否かをチェックし、その注意情報が登録されていれば、その旨を支払額決定部16に出力する。
例えば、多額の保険金がかけられているような場合には、その被保険者が加入している保険の支払いは注意を要するので、被保険者の注意情報としてデータベース7に登録される。
【0044】
請求事由特定部13のイベント判別部33は、請求書の記載事項を解析して、給付金又は保険金の請求事由であるイベントを判別する(ステップST203)。
例えば、請求書の請求事由の欄に記載されている内容を解析することにより、今回どのような理由で、給付金又は保険金を請求しているのかを医的に判別する。医的なイベントには、例えば、診断イベント、入院イベント、通院イベント、治療イベント、死亡イベント、介護イベント、障害イベント、在宅緩和ケアイベント、高度先進医療イベントなどがある。
【0045】
ただし、請求事由特定部13のイベント判別部33は、給付金又は保険金の請求事由が予め想定しているイベント以外のイベントに該当する場合、その請求事由の正当性が認められないと判断して、給付金又は保険金の請求を却下する査定を行う。例えば、給付金又は保険金の請求事由が“火災による家財焼失”のような場合には、一般的に生命保険が保証するものではないため、請求事由の正当性が認められない。
また、保険に加入後、契約で定められている期間が経過する前に、“ガン診断”が為されたような場合にも、請求事由の正当性が認められない。
さらに、入院イベントや通院イベントや在宅緩和ケアイベントなど、治療に所定の期間を要するイベントであれば、図10に示すように、例えば、病名と適正な治療期間の関係が記録されているテーブルを参照して、適正な治療期間を把握する(例えば、病名が○○ガンならば、適正な治療期間は△△〜△△日と判断する)。
そして、請求書に記載されている期間が、上記の治療期間を逸脱しているような場合には、請求事由の正当性がないものと判断する。
【0046】
契約管理装置6の保険特定部15は、顧客1の個人情報をキーにして、データベース7から顧客1が既に契約している全ての保険を検索し、請求事由特定部13により特定されたイベントを参照して、少なくとも1以上の保険の中から、給付金又は保険金の支払対象となる保険を特定する。
例えば、顧客1がガン以外の病気の補償特約が付いていないガン保険Aと、入院給付金付きの医療終身保険Bと、入院給付金が付いていない養老保険Cとに加入しているとき、例えば、給付金の請求事由が“脳卒中による入院”である場合、給付金の支払対象となる保険として、医療終身保険Bを特定する。
また、保険特定部15は、データベース7から顧客1が加入している保険の契約情報を読み出し、その契約情報に含まれている支払条件(例えば、支払額の計算式などを含む)や、イベントの具体的内容(例えば、治療イベントであれば、手術日、病名、医療施設などの情報)からなる給付情報を作成する。
【0047】
請求事由特定部13により複数のイベントが特定されている場合、支払額決定部16が保険特定部15から出力された給付情報に基づいて給付金又は保険金の支払額を査定すると、不要な重複支払を伴う支払額を計算することがあるので、支払額決定部16が給付金又は保険金の支払額を査定する前に、複数のイベント間の相関をチェックする。
即ち、契約管理装置6の相関判定部14は、請求事由特定部13により複数のイベントが特定されている場合、複数のイベント間の相関をチェックして、給付金又は保険金の請求が不可能なイベントを削除する。
【0048】
例えば、“○○ガンの手術”と“△△ガンの手術”が同日に行われた場合、どちらか一方の手術のみを給付対象とする契約がなされている場合において、“○○ガンの手術”の治療イベントと、“△△ガンの手術”の治療イベントが同日付で存在するときは、例えば、給付金が高い方の手術に対する治療イベントを残して、給付金が安い方の手術に対する治療イベントを削除するようにする。
また、入院イベントと在宅緩和ケアイベントなど、通常同時には起こりえないイベントが存在する場合には、入院期間や在宅緩和ケアの実施期間などを示す情報を参照して、いずれのイベントが実際に発生したイベントであるかを判断し、実際に発生していない方のイベントを削除する。例えば、請求書の請求事由の欄に入院期間が記述されているが、在宅緩和ケアの実施期間が記述されていない場合、入院イベントを残して、在宅緩和ケアイベントを削除する。
【0049】
さらに、ガン保険の主契約の他に、医療特約を付加しているような場合において、例えば、請求事由特定部13によりガン治療に伴う“入院イベント”が特定されたときは、通常、ガン保険の主契約で入院給付金を支払い、医療特約では入院給付金を支払わないので、主契約に係る“入院イベント”を残して、医療特約に係る“入院イベント”を削除するようにする。これは、医療特約の約款において、主契約で入院給付金が支払われるときは、医療特約で入院給付金が支払わいと定義されているような場合に適用する。
また、ガン治療を目的にして入院しているときに、病院内で転倒して骨折し、骨折に対する入院治療がさらに継続するような場合、ガン治療を実施している期間中は、ガン保険の主契約で入院給付金を支払い、医療特約では入院給付金を支払わないので、主契約に係る“入院イベント”を残して、医療特約に係る“入院イベント”を削除する。
ガン治療を終了して、骨折治療を実施している期間中は、医療特約で入院給付金を支払い、ガン保険の主契約では入院給付金を支払わないので、医療契約に係る“入院イベント”を残して、主特約に係る“入院イベント”を削除する。
【0050】
相関判定部14は、給付金又は保険金の請求が不可能なイベントを削除すると、その旨を保険特定部15に通知する。
保険特定部15は、先に作成した給付情報から、相関判定部14により削除されたイベントに対応する保険に係る給付情報を削除し、残りの給付情報を支払額決定部16に出力する(ステップST204)。
【0051】
契約管理装置6の支払額決定部16は、保険特定部15から給付情報を受けると、その給付情報に基づいて給付金又は保険金の支払額を査定する(ステップST205)。
例えば、給付情報にイベントの具体的に内容として、入院期間などを含む入院イベントが記述され、給付情報に以下の支払額の計算式が含まれている場合、その入院期間を以下の計算式に代入して、給付金又は保険金の支払額を計算する。
支払額=入院期間×入院1日当りの支払額
ただし、保険の契約内容において、例えば、「同一の病気を理由とする入院日数が100日を越えるときは、100日分を限度とする」のような内容が含まれている場合、既に顧客1が100日分の入院給付金を過去に請求している支払履歴がデータベース7に登録されていれば、今回の支払額は0円として査定する。
【0052】
支払額決定部16は、上記のようにして、給付金又は保険金の支払額を計算しても、請求事由特定部13から被保険者の注意情報が登録されている旨の通知を受けている場合、その被保険者が加入している保険の支払いは注意を要するので、この時点では支払額を0円として査定する。
また、支払額決定部16は、給付金又は保険金の請求者である顧客1が保険の受取人であれば、計算した支払額をデータ送信部18に出力するが、その請求者が保険の受取人でない場合、その受取人との関係を考慮して正当者であるか否かを判断し、正当者ではないと判断するときは、給付金又は保険金の支払額を0円として査定する。
例えば、保険の受取人が未成年者であり、請求者が受取人の親である場合などは、その請求者は正当者であると判断する。また、保険の受取人が被保険者であり、被保険者がガンなど、告知が困難な病気を患っているため、その家族から請求があったような場合には、その請求者は正当者であると判断する。
これに対して、請求者と受取人の関係が、予め定められている契約の範囲外であるような場合には、その請求者は正当者ではない判断する。
【0053】
さらに、支払額決定部16は、顧客1の個人情報をキーにして、給付金又は保険金の請求が過去に謝絶された履歴があるか否かを確認し、例えば、そのときの請求事由と今回の請求事由が同じであれば、今回の支払額を0円として査定する。
また、支払額決定部16は、顧客1の個人情報をキーにして、保険料の納付状況や告知情報を確認し、予め設定された期間以上、保険料が納付されていない場合や、告知違反がある場合、今回の支払額を0円として査定する。
【0054】
契約管理装置6の時効判定部17は、上記のようにして支払額決定部16が給付金又は保険金の支払額を査定しても、保険の契約内容を参照して、請求事由特定部13により判別された請求事由の時効を判定し、既に時効が成立していれば(例えば、請求事由が発生した日から3年を経過していれば、請求事由の時効が成立していると認定)、給付金又は保険金の支払を拒否する査定を行う。
契約管理装置6のデータ送信部18は、契約管理装置6による最終的な査定(支払額決定部16による支払額を示す査定、時効判定部17による支払を拒否する査定、または、請求事由特定部13による請求を却下する査定)を保険会社端末4aに送信する。
【0055】
実施の形態4.
上記実施の形態1〜3では、保険特定部15が給付金又は保険金の支払対象となる保険を特定するものについて示したが、保険特定部15が保険加入時の告知義務違反を調査し、告知義務違反を犯している場合には給付金又は保険金の支払が不可能な保険であると判定するようにしてもよい。
例えば、保険加入時の告知書に、過去1年以内の手術の事実を記述していないとき、医療施設から過去1年以内の手術が行われた医療情報が得られたような場合には、保険加入時の告知義務違反があるものと認定する。
これにより、給付金又は保険金の不正な支払を防止することができる効果を奏する。
【0056】
実施の形態5.
上記実施の形態1〜3では、保険特定部15が給付金又は保険金の支払対象となる保険を特定するものについて示したが、保険特定部15が保険加入時から現時点に至る顧客1からのコンタクト履歴を考慮して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0057】
具体的には、例えば、保険会社4の顧客対応のオペレータなどが、顧客1から電話やメールなどで種々の質問等を受けたとき、オペレータなどが保険会社端末4aを操作して、その質問等の内容をデータベース7に登録する。
この際、その質問等の内容が、例えば、“保険金の受取人である法定相続人の所在が不明なので、代わりに保険金を自分の口座に振り込みできるか?”を聞くなど、質問が不自然な内容である場合には、この顧客1が要注意者であることを示すフラグにチェックを入れるようにする。
契約管理装置6の保険特定部15は、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定する際、要注意者であることを示すフラグにチェックが入っているときは、データ送信部18を介して、そのチェックが入っている旨と、データベース7に登録されている質問等の内容を保険会社端末4aに送信する。
これにより、保険会社4の担当者が質問等の内容を参照して、その良否を判定し、保険会社端末4aを操作して、その判定結果を契約管理装置6に送信する。
【0058】
契約管理装置6の保険特定部15は、データ受信部11が保険会社端末4aから判定結果を受信し、その判定結果が“良”であれば、他の要件を満足することを条件(上記実施の形態1〜3を参照)に給付金又は保険金の支払が可能な保険であると判定する。
一方、その判定結果が“否”である場合には、他の要件を満足していても、給付金又は保険金の支払が不可能な保険であると判定する。
【0059】
以上で明らかなように、この実施の形態5によれば、保険加入時から現時点に至る顧客1からのコンタクト履歴を考慮して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定するように構成したので、給付金又は保険金の不正な支払を防止することができる効果を奏する。
【0060】
実施の形態6.
上記実施の形態1〜3では、保険特定部15が給付金又は保険金の支払対象となる保険を特定するものについて示したが、保険特定部14が医療施設に関する情報を考慮して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0061】
具体的には、契約管理装置6の保険特定部15は、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定する際、給付金又は保険金の請求事由が例えば被保険者の入院イベントであるとき、被保険者の入院先である医療施設に関する情報(例えば、当該医療施設が過去に保険金の不正請求に加担したことがあることを示す情報)がデータベース7に登録されている場合、その医療施設に関する情報を保険会社端末4aに送信する。
これにより、保険会社4の担当者が医療施設に関する情報を参照して、その良否を判定し、保険会社端末4aを操作して、その判定結果を契約管理装置6に送信する。
【0062】
契約管理装置6の保険特定部15は、データ受信部11が保険会社端末4aから判定結果を受信し、その判定結果が“良”であれば、他の要件を満足することを条件(上記実施の形態1〜4を参照)に給付金又は保険金の支払が可能な保険であると判定する。
一方、その判定結果が“否”である場合には、他の要件を満足していても、給付金又は保険金の支払が不可能な保険であると判定する。
【0063】
以上で明らかなように、この実施の形態6によれば、医療施設に関する情報を考慮して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定するように構成したので、給付金又は保険金の不正な支払を防止することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】この発明の実施の形態1による保険業務管理システムを示すシステム構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による契約管理装置を示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1による契約管理装置のハードウエアを示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態1による保険業務管理システムの処理内容を示す処理シーケンス図である。
【図5】この発明の実施の形態1による保険業務管理システムの処理内容を示す処理シーケンス図である。
【図6】この発明の実施の形態1による契約管理装置の処理内容を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態3による契約管理装置の請求事由特定部を示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態3による契約管理装置における機械査定の処理内容を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態3による契約管理装置における機械査定の処理内容を示す説明図である。
【図10】病名と適正な治療期間の関係が記録されているテーブルを示す説明図である。
【符号の説明】
【0065】
1 顧客
2 代理店
3 課支社
3a 課支社端末
4 保険会社
4a 保険会社端末
5 入力センタ
5a 入力センタ装置
6 契約管理装置
7 データベース
8 出力センタ
8a 出力センタ装置
9 広域ネットワーク
9a インターネット
9b LAN
11 データ受信部
12 データ登録部
13 請求事由特定部(請求事由判別手段)
14 相関判定部(相関判定手段)
15 保険特定部(保険特定手段)
16 支払額決定部(査定手段)
17 時効判定部(査定手段)
18 データ送信部(支払明細送信手段)
21 CPU
22 ネットワークインタフェース
23 データベースインタフェース
24 メモリ
31 個人情報特定部
32 注意情報チェック部
33 イベント判別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給付金又は保険金の請求事由を判別する請求事由判別手段と、上記請求事由判別手段により判別された請求事由が複数存在する場合、複数の請求事由間の相関を判定して、給付金又は保険金の請求が不可能な請求事由を削除する相関判定手段と、上記相関判定手段により削除されずに残された請求事由を参照して、既契約済みの保険の中から給付金又は保険金の支払対象となる保険を特定する保険特定手段と、上記保険特定手段により特定された保険の契約内容と上記請求事由判別手段により判別された請求事由を照合して、給付金又は保険金の支払額を査定する査定手段とを備えた契約管理装置。
【請求項2】
請求事由判別手段は、請求事由の正当性を判定し、その請求事由の正当性が認められない場合、給付金又は保険金の請求を却下することを特徴とする請求項1記載の契約管理装置。
【請求項3】
査定手段は、給付金又は保険金の支払履歴を参照して、支払額を査定することを特徴とする請求項1記載の契約管理装置。
【請求項4】
査定手段は、請求事由判別手段により判別された請求事由の時効を判定し、既に時効が成立している場合、給付金又は保険金の支払を拒否する査定を行うことを特徴とする請求項1記載の契約管理装置。
【請求項5】
査定手段により査定された給付金又は保険金の支払額の内訳を示す支払明細データを送信する支払明細送信手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の契約管理装置。
【請求項6】
保険特定手段は、保険加入時の告知義務違反を調査し、告知義務違反を犯している場合には給付金又は保険金の支払が不可能な保険であると判定することを特徴とする請求項1記載の契約管理装置。
【請求項7】
保険特定手段は、保険加入時から現時点に至る顧客からのコンタクト履歴を考慮して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の契約管理装置。
【請求項8】
保険特定手段は、医療施設に関する情報を考慮して、給付金又は保険金の支払が可能な保険であるか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の契約管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−221449(P2006−221449A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−34656(P2005−34656)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(593110591)アメリカン ファミリー ライフ アシュアランス カンパニー オブ コロンバス (5)
【氏名又は名称原語表記】American Family Life Assurance Company of Columbus