女性用水着の胸部パッド、及びこれを用いた女性用水着
【課題】水と接触した後でも軽く、しかもバスト矯正や形状保持の機能も維持可能な女性用水着の胸部パッドを提案する。
【解決手段】女性用水着の胸部に装着される胸部パッド１ａは、弾力性及び柔軟性を備えた発泡性素材で形成され、胸部の形に対応した椀形状に成形されているパッド基材２と、前記パッド基材２の外側全体を覆うように設けられる防水性シート材３ａ，３ｂと、前記防水性シート材の外側全体を更に覆うように設けられる布材４ａ、４ｂと、を有して構成されている。
【解決手段】女性用水着の胸部に装着される胸部パッド１ａは、弾力性及び柔軟性を備えた発泡性素材で形成され、胸部の形に対応した椀形状に成形されているパッド基材２と、前記パッド基材２の外側全体を覆うように設けられる防水性シート材３ａ，３ｂと、前記防水性シート材の外側全体を更に覆うように設けられる布材４ａ、４ｂと、を有して構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、胸部（バスト）形状を整えるため、女性用水着の胸部に装着される胸部パッドに関する。より詳細には、本発明は水泳や海水浴で水から出たときに、女性が不快に感じる胸の部分に残る水気（水分）に対処する新規な構成を備えた胸部パッドに関する。
【背景技術】
【０００２】
女性用水着の胸部には、バスト位置を安定化するため或いはバスト形状を美しく見せるためなどの目的で、一般に胸部パッドが装着されている。そして、このような胸部パッドは、一般的な衣類に用いる胸部パッドの場合と同様に、ポリウレタンフォーム（発泡ポリウレタン）などを用いたものなどが採用されている。ポリウレタンフォームなどのスポンジ状素材（発泡性素材）は、軽量で適度な弾力性があって更に柔軟性や通気性にも富むので、胸部パッド用の基材（パッド基材）として広く利用されていた。
【０００３】
ところが、ポリウレタンフォーム等の発泡性素材は吸水性も大きい。そのため女性用水着の胸部パッドとして使用すると、水と接触したときに吸水して重量が急激に増加する。すなわち、ポリウレタンフォーム等の発泡性素材は乾燥している状態ではバスト矯正やバスト形状保持機能が発揮されるものの、一度、水に濡れてしまうと吸水して重くなり、これに伴って上記したバスト矯正の機能も低下する。プールや海で泳いだ後、水から出るときに、このような状態となる。すなわち、吸水した水着の胸部パッドが重くなってフィット感が減少し、しかも水がしたたり落ちるので、女性は不快と感じることになっていた。
【０００４】
そこで、従来にあっても、女性用水着に用いる胸部パッドについては種々の提案がされている。例えば特許文献１に記載の胸部パッド（ブレスト用パッド）は、水透過性シート状基材でできている袋体と、この袋体内に保持された吸水性樹脂を主成分とする吸水性材料を用いて形成してある。この胸部パッドは、吸水する前に装着することから装着性に優れ、また装着後に水を吸水させることからフィット性にも優れているとされている。そして、この胸部パッドはプールから出た後の水切れ性が良好であり、適度な重量感があり、外見上違和感がなくデザイン性にも優れる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００７−１６３５９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、特許文献１で提案する胸部パッドは、上記のように吸水性樹脂を主体として形成されるので水を十分に保持した状態では相当な重量となる。そして、吸水性樹脂は単なる繊維や通気性のあるポリウレタンフォーム等よりも保水性が高いので、その状態が維持される。よって、吸水したパッドの荷重が、水着を装着している女性への負担となる可能性がある。具体的には、水泳や海水浴で水から出たときに、女性が胸部パッドの重量を負担に感じることになる。
また、使用後に水着を干したときにも吸水した水が乾燥し難くいという不都合が予想される。その一方で、長期間の保管した場合には、吸水性樹脂から水が完全に蒸発するので、全体が収縮して外形が変形（型崩れ）するなどの懸念もある。
【０００７】
よって、本発明の目的は、上記で指摘した従来の課題を解決し、水と接触した後でも内部が吸水せずに常に軽く、しかもバスト矯正や形状保持の機能も維持される女性用水着の胸部パッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記の目的は本発明の女性水着用の胸部パッドによって達成され、この女性水着用の胸部パッドは、女性用水着の胸部に装着されるものであって、
弾力性及び柔軟性を備えた発泡性素材で形成され、胸部の形に対応した椀形状に成形されているパッド基材と、
前記パッド基材の外側全体を覆うように設けられる防水性シート材と、
を有している、ことを特徴とする（請求項１）。
【０００９】
そして、前記防水性シート材は、前記パッド基材の表面側および裏面側のそれぞれに配置された、第１、第２の防水性シート材とであり、
表側に配置された前記第１の防水性シート材の周縁部と裏側に配置された前記第２の防水性シート材の周縁部とが、一体的に圧着固定された圧着固定部を含んでいる構造とするのが好ましい（請求項２）。
【００１０】
また、上記の目的は本発明の女性水着用の胸部パッドによっても達成され、この女性水着用の胸部パッドは、女性用水着の胸部に装着されるものであって、
弾力性及び柔軟性を備えた発泡性素材で形成され、胸部の形に対応した椀形状に成形されているパッド基材と、
前記パッド基材の外側全体を覆うように設けられる防水性シート材と、
前記防水性シート材の外側全体を更に覆うように設けられる布材と、
を有していることを特徴とする（請求項３）。
【００１１】
そして、前記防水性シート材および前記布材は、前記パッド基材の表面側および裏面側のそれぞれに配置された、第１、第２の防水性シート材と第１、第２の布材とであり、表側に配置された前記第１の布材の周縁部と裏側に配置された前記第２の布材の周縁部とが、前記第１、第２の防水性シート材を間に介在させて一体的に圧着固定された圧着固定部を含んでいる構造とするのが好ましい（請求項４）。
【００１２】
また前記防水性シート材は、気体の透過は許容するが、液体は透過させない気体透過性の防水材料を用いるのが好ましく（請求項５）、前記防水性シート材は、ポリテトラフルオロエチレンとすることができる（請求項６）。
【００１３】
また、前記パッド基材の発泡性素材はポリウレタンフォーム又は発泡ポリエチレンであり、前記布材はポリエステルとすることができる（請求項７）。
そして上記に記載の女性用水着の胸部パッドを備えた女性用水着であれば（請求項８）、使用者が水からでるときに胸部パッドが吸水しないので重くなるなどの不愉快がなく、常に軽くバスト矯正の機能を果たすので、使い心地の良いものとなる。
【発明の効果】
【００１４】
本発明による女性水着用の胸部パッドでも、パッド基材は従来の胸部パッドと同様に発泡性素材が採用されているが、その外側全体は防水性シート材で覆われているので、胸部パッドの外側が水に接触したときでも内部のパッド基材までは進入しない。よって、パッド基材が水を吸収して重量が増加し、水が滴り落ちるというような問題を生じず、常に軽く、バスト矯正や形状保持の機能も維持されるので、使い心地がよい胸部パッドとして提供できる。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】本発明に係る一実施形態の女性用水着の胸部パッドについて示した正面図である。
【図２】片側のパッドを後方から見た斜視図である。
【図３】胸部パッドを製造するに好適な工程を模式的に示した図である。
【図４】水着用のブラジャーに胸部パッドを適用した場合について示している図である。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
以下、図面を参照して本発明に係る一実施形態の女性用水着の胸部パッドについて説明する。
図１は胸部パッド１（１ａ、１ｂ）を示した正面図である。また図２は片側のパッド１ａを後方から見た斜視図である。図１で示すように、本発明の胸部パッド１も従来の一般的な胸部パッドと同様に左右１ａ、１ｂで一対となり、女性用水着の胸部に装着されて使用されるものである。
なお、女性用水着へ装着（セット）する形態については特に限定は無く、水着の胸部側に設けた収納部に胸部パッド１ａ、１ｂを収納してもよいし、水着の胸部側の布地に直接、縫い付けるようにしてもよい。また、水着の胸部側と胸部パッド１ａ、１ｂ側とを接続する接続治具（フックなど）を設けて水着に対して、胸部パッド１ａ、１ｂを着脱自在にしてもよい。
【００１７】
胸部パット１ａ、１ｂは、女性のバストの形に対応して大略の形状が、いわゆるお椀状に形成されている。胸部パット１ａ、１ｂは、弾力性及び柔軟性を備えた軽量の発泡性素材で形成され、胸部の形に対応した椀形状に成形されているパッド基材２、このパッド基材２の外側全体を覆うように（パッド基材２の全体を包み込むように）設けられる防水性シート材３、そして、この防水性シート材３の外側全体を更に覆うように設けられる布材４を含んで構成されている。
【００１８】
図２は片側のパッド１ａをやや後方から示した斜視図であり、円ＣＲ内に、その断面での組織構成が確認できるように拡大して示してある。この円ＣＲ内で示すように、この胸部パッド１（１ａ）は、従来の胸部パッドと同様に中央に位置するパッド基材２の表裏面に布材４ａ、４ｂが配置してある。しかし、これらの表裏両面それぞれの間に、防水性シート材３ａ、３ｂを介在させた新規な積層構造を成している。
この胸部パッド１（１ａ）はパッド基材２の周囲全体を防水性シート材で覆うことにより、胸部パッド１が水に接触しても、内部のパッド基材２側には水分（プールの水や海水）を進入させない構造を実現している。以下で、より具体的に説明する。
【００１９】
胸部の形に対応した椀形状されるパッド基材２は、従来において広く採用されていた、軽量で適度な弾力性があって更に柔軟性や通気性にも富むポリウレタンフォームなどの発泡性素材から形成してある。なお、発泡性素材としては他に、例えば発泡ポリエチレンを同様に採用することができる。
そして、表面に配置する布材４（４ａ、４ｂ）も、従来の胸部パッドと同様の材料で形成してよく特段の限定はない。例えば、胸部パッド１を水着の内側に露出させた状態で配置した場合の風合いや肌触りなどを考慮して決定するのが好ましい。更には、後述するように表側に配置した布材（第１の布材）４ａの周縁部と裏側に配置された布材（第２の布材）４ｂの周縁部とを、防水性シート材３を介して圧着固定する構造なども考慮して、布材４を決定するのが好ましい。前記布材４としては、例えばポリエステルとするのが好ましい。
【００２０】
そして、この胸部パッド１では、前述した防水性シート材３（３ａ、３ｂ）を採用している点が特徴的な構成である。防水性シート材３としては公的な防水性能の評価基準であるＪＩＳ Ｌ １０９２によって規定されている繊維製品の防水性試験方法に基づいて、厚み２−４０μｍで、抗水圧（耐水圧）１０００ｍｍＨ２Ｏ以上、透湿性７０００ｇ／ｍ２・２４ｈｒｓ以上の性能のシート材とするのが好ましい。
そして、このように液体（水や海水）は透過させないが、気体（空気、水蒸気など）は透過させるという機能性素材、すなわち気体透過性を備えた防水性材料（透湿防水性の材料）を用いるのが望ましい。このような気体透過性を備えた防水性材料であれば、内部のパッド基材２と外界との気体の移動が許容される。すなわち、完全密閉した空間内にパッド基材２を収納した場合には、パッド基材２の形状変化は困難となるが、防水性シート材３が上記のように気体透過性も備えているとパッド基材２の周囲の気体（通常は、空気）が外界の気体と移動可能であるので容積変化可能である。これにより、水着が使用されたときに、胸部パッド１が使用者のバスト形状に応じて形状を変える構成として機能することになる。すなわち、パッド基材２を変形させるような外力が作用し、これが継続しているような状態（より具体的には、使用者のバストが胸部パッドを押している加圧状態）のとき、防水性シート材に気体透過性があれば内部の気体を外へ徐々に押し出されて、パッド基材２がバストに応じた形状に徐々に変形できる。このように、本発明に係る胸部パッド１は、パッド基材２内への水の進入を防止して軽量であるというだけでなく、胸部パッドが果たすべき基本的な機能、すなわち、バスト矯正や形状保持の機能も維持される。
なお、上記のような気体透過性も備えている防水性シート材として、例えばポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ：Polytetra Fliuoroethylene）などのフッ素樹脂を採用することができる。ＰＴＦＥは、乳白色ロウ状の樹脂で、薄いシート状に成形されたときに屈曲性に富んで、ゴム材と金属材との中間的物性を示すことなどが知られている。なお、このようなＰＴＦＥは、例えばデュポン（ＤＵＰＯＮＴ）社からが商品名テフロン（登録商標）などとして提供されている。
【００２１】
先に指摘したように、従来において広く使用されていたウレタンフォームなどの発泡性素材は吸水性があるので、水と接触すると水を吸収して重量が増加して、胸部パッドとしてのバスト矯正等の機能が損なわれることがあった。
これに対して、本発明の胸部パッド１は、防水性シート材３が発泡性素材から成るパッド基材２の外側全体を覆って包み込んでいる形態であるから、原則とパッド基材２が水と接触しないので、水を吸収することがない。そして、胸部パッド１はバスト矯正の機能も発揮できる。
【００２２】
再度、図２を参照して説明する。パッド基材２の両面には、防水性シート材３ａ，３ｂを介して布材４ａ，４ｂが貼着されている。このようにパッド基材２表面に、布材４ａ，４ｂを設けておくと、ブラジャー側に設けた収納部に胸部パット１を収めたときに、一定の滑りを発生させて内部での位置が偏ることを抑制できる。また、表面全体を覆うように布材４ａ、４ｂを備えることで装着する水着の胸部（ブラジャー側の布地など）への縫製が容易となる。さらに、パッド基材２上の防水性シート材３ａ、３ｂが布材４ａ、４ｂにより全体的に被覆され、保護された形態となるので、洗濯したときなどに防水性シート材３ａ、３ｂの損傷を予防することもできる。
【００２３】
図３は、上記胸部パッド１を製造するに好適な工程を模式的に示した図である。なお、図３は胸部パッド用の原材料として、ウレタンフォーム素材１２、防水性シート材１３ａ、１３ｂ、そして布材１４ａ、１４ｂとしている。
素材メーカから購入した板状のウレタンフォーム素材（基材となる前の素材）１２の表裏面に防水性シート材１３ａ（第１の防水性シート材）、１３ｂ（第２の防水性シート材）を配置し、更にその外側それぞれに布材１４ａ（第１の布材）、１４ｂ（第２の布材）を配置した積層体１０を準備する。この積層体１０を、胸部パッドの形状に加工してある上下に分割されている金型２１、２２を加熱しながら接近させて加圧する。
そして、例示では、表側の第１の布材１３ａの周縁部と裏側の第２の布材１３ｂの周縁部とを押圧する部分の金型２２側に突起部２２ａが設けてある。これにより、この突起部２２ａで押圧する部分１５ｂに他の部分より強い圧力を作用させて、防水性シート材１３ａ、１３ｂを間に介在させて圧着固定することができる。
【００２４】
そして、所定時間保持して金型２１、２２を離すと、図３で仮想の２点鎖線で示すようにウレタンフォーム素材１２の厚みが適度に圧縮されて胸形状のお椀型となり、その表裏面には防水性シート材１３ａ、１３ｂを間に介在させ表裏面に布材１４ａ、１４ｂが貼着されている胸部パッド１に相当する部分を中央に配し、その周辺に不要な耳部１５ａが付随している半製品１５が得られる。この後、所定位置で裁断して不要な耳部１５ａを金型２２の突起部２２ａで圧着固定された部分（圧着固定部）１５ｂで切断して、不要部を除去すれば上記で図示した製品の胸部パッド１を得ることができる。なお、製造に使用する設備は、従来のものを流用できるので設備についてコスト上昇を伴うことなく、本発明の胸部パッド１を製造することができる。
【００２５】
このように製造される胸部パッド１は、表側に配置された第１の布材４ａの周縁部と裏側に配置された第２の布材４ｂの周縁部とが、第１、第２の防水性シート材３ａ、３ｂを間に介在させ一体的に圧着固定された圧着固定部１５ｂとなっている。この圧着固定部１５ｂの固定状態は、例えば第１、第２の布材４ａ，４ｂ間で樹脂製の防水性シート材３ａ、３ｂは所定温度以上まで加熱されることで熔融し、更に加圧されるので布材４ａ，４ｂ間で接着剤のように機能している。そして、この圧着固定部１５ｂが胸部パッド１の環状の周縁部に連続して存在している形態となっている。よって、防水性シート材３の内側に形成される空間（すなわち、パッド基材の存在する空間）を防水空間とすることができる。ところで、前述したように防水性シート材３として、気体透過性の防水材料を用いることが好ましく、この場合には外気が内部のパッド基材２と接触することになる。よって、外気が一定の水分（湿気）を含んだ蒸気などであれば、パッド基材２もある程度水分を含む場合がある。しかし、防水性シート材３は液体（水、海水）を透過させないので、従来の胸部パッドの場合のように多量の水を吸水して重量が増すという状態にはならない。
そして、上記のように周縁部に形成される圧着固定部１５ｂは、所定以上の弾性力や剛性を備えている構造体となるので、胸部パッド１の形状を保持するフレーム（支持枠体）としても機能するのでバスト矯正や形状保持の機能の向上にも寄与する。
【００２６】
なお、図で説明した製造工程は単なる一例である。先に説明したように本発明に係る胸部パッド１は、防水性シート材３がパッド基材２の表面全体を覆うようにされ、更にその防水性シート材３の外側全体を更に覆うように設けられる布材４が配置されている基本構造が実現されていれば、その製造方法は特に限定する必要はない。
例えば、第１の工程でパッド基材の表面全体を防水性シート材３で覆った中間製品を製造し、次の第２の工程で前記中間製品の外側を更に布材を覆って最終製品を製造するというステップを経て、本発明の胸部パッドを製造するにようにしてもよい。
【００２７】
また、前述した実施例は、より好適な形態例として防水性シート材３の外側を更に布材４で覆った胸部パッドについて説明した。しかし、布材４を省略して、パッド基材２の表面全体を防水性シート材３で覆っただけの形態の胸部パッドとしてもよい。
このような胸部パッドでも、前述したと同様の防水性を備えて軽く、そしてバスト矯正を発揮することができる。特に、防水性シート材３として前述したＰＴＦＥを採用した場合、フッ素樹脂は適度な剛性や機械的強度も備えるので、その表面を布材などで覆わず露出させた状態でも、通常の水着使用には十分に耐えられる。
【００２８】
また、製造工程も前述したものと同様でよく、単に布材４を省略して製造をすればよい。すなわち、素材メーカから購入した板状のウレタンフォーム素材（基材となる前の素材）１２の表裏面に防水性シート材１３ａ（第１の防水性シート材）、１３ｂ（第２の防水性シート材）を配置した積層体１０を準備して、製造できる。
ここで、製造される胸部パッド１は、表側に配置された第１の防水性シート材３ａの周縁部と裏側に配置された第２の防水性シート材３ｂの周縁部とが一体的に圧着固定された圧着固定部となる。この圧着固定部も、胸部パッドの環状の周縁部に連続して存在している形態となっている。よって、防水性シート材３の内側に形成される空間（すなわち、パッド基材の存在する空間）を防水空間とすることができ、先に説明した胸部パッドと同様の効果を得ることができる。
【００２９】
以上で説明した、本発明の胸部パッドはパッド基材の外側を防水性シート材で覆っているので、外側が水に触れても、パッド基材は水と接触しないので吸水して重量が増加する事態にならない。よって、本願発明による胸部パッドは、常に軽く水から上がったときにパッドから水がしたたり落ちるような不快を感じることがない。更にバスト矯正などの機能も維持される。
【００３０】
図４は、水着用のブラジャーＢＲに前述した胸部パッド１（１ａ、１ｂ）を適用した場合について示している。このブラジャーＢＲは泳いだ後に水から出るときになどにおいて、パッド基材部分が吸水しないので軽く、一定の形状に維持される。よって、装着している女性への負担が軽く、バスト矯正機能も安定して発揮されるのでバストを美しく見せることができる。
なお、図４をいわゆるセパレート型である女性用水着のブラジャーＢＲに胸部パッドを適用する例であるが、一体型のいわゆるワンピースタイプの女性用水着の胸部にも本発明の胸部パッドを適用できることは言うまでもない。
【００３１】
以上本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【００３２】
１（１ａ、１ｂ） 胸部パッド
２ パッド基材
３（３ａ、３ｂ） 防水性シート材
４（４ａ、４ｂ） 布材
１０ 積層体
１５ 半製品
１５ｂ 圧着固定部
２１、２２ 金型
ＢＲ 女性用水着のブラジャー
【技術分野】
【０００１】
本発明は、胸部（バスト）形状を整えるため、女性用水着の胸部に装着される胸部パッドに関する。より詳細には、本発明は水泳や海水浴で水から出たときに、女性が不快に感じる胸の部分に残る水気（水分）に対処する新規な構成を備えた胸部パッドに関する。
【背景技術】
【０００２】
女性用水着の胸部には、バスト位置を安定化するため或いはバスト形状を美しく見せるためなどの目的で、一般に胸部パッドが装着されている。そして、このような胸部パッドは、一般的な衣類に用いる胸部パッドの場合と同様に、ポリウレタンフォーム（発泡ポリウレタン）などを用いたものなどが採用されている。ポリウレタンフォームなどのスポンジ状素材（発泡性素材）は、軽量で適度な弾力性があって更に柔軟性や通気性にも富むので、胸部パッド用の基材（パッド基材）として広く利用されていた。
【０００３】
ところが、ポリウレタンフォーム等の発泡性素材は吸水性も大きい。そのため女性用水着の胸部パッドとして使用すると、水と接触したときに吸水して重量が急激に増加する。すなわち、ポリウレタンフォーム等の発泡性素材は乾燥している状態ではバスト矯正やバスト形状保持機能が発揮されるものの、一度、水に濡れてしまうと吸水して重くなり、これに伴って上記したバスト矯正の機能も低下する。プールや海で泳いだ後、水から出るときに、このような状態となる。すなわち、吸水した水着の胸部パッドが重くなってフィット感が減少し、しかも水がしたたり落ちるので、女性は不快と感じることになっていた。
【０００４】
そこで、従来にあっても、女性用水着に用いる胸部パッドについては種々の提案がされている。例えば特許文献１に記載の胸部パッド（ブレスト用パッド）は、水透過性シート状基材でできている袋体と、この袋体内に保持された吸水性樹脂を主成分とする吸水性材料を用いて形成してある。この胸部パッドは、吸水する前に装着することから装着性に優れ、また装着後に水を吸水させることからフィット性にも優れているとされている。そして、この胸部パッドはプールから出た後の水切れ性が良好であり、適度な重量感があり、外見上違和感がなくデザイン性にも優れる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００７−１６３５９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、特許文献１で提案する胸部パッドは、上記のように吸水性樹脂を主体として形成されるので水を十分に保持した状態では相当な重量となる。そして、吸水性樹脂は単なる繊維や通気性のあるポリウレタンフォーム等よりも保水性が高いので、その状態が維持される。よって、吸水したパッドの荷重が、水着を装着している女性への負担となる可能性がある。具体的には、水泳や海水浴で水から出たときに、女性が胸部パッドの重量を負担に感じることになる。
また、使用後に水着を干したときにも吸水した水が乾燥し難くいという不都合が予想される。その一方で、長期間の保管した場合には、吸水性樹脂から水が完全に蒸発するので、全体が収縮して外形が変形（型崩れ）するなどの懸念もある。
【０００７】
よって、本発明の目的は、上記で指摘した従来の課題を解決し、水と接触した後でも内部が吸水せずに常に軽く、しかもバスト矯正や形状保持の機能も維持される女性用水着の胸部パッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記の目的は本発明の女性水着用の胸部パッドによって達成され、この女性水着用の胸部パッドは、女性用水着の胸部に装着されるものであって、
弾力性及び柔軟性を備えた発泡性素材で形成され、胸部の形に対応した椀形状に成形されているパッド基材と、
前記パッド基材の外側全体を覆うように設けられる防水性シート材と、
を有している、ことを特徴とする（請求項１）。
【０００９】
そして、前記防水性シート材は、前記パッド基材の表面側および裏面側のそれぞれに配置された、第１、第２の防水性シート材とであり、
表側に配置された前記第１の防水性シート材の周縁部と裏側に配置された前記第２の防水性シート材の周縁部とが、一体的に圧着固定された圧着固定部を含んでいる構造とするのが好ましい（請求項２）。
【００１０】
また、上記の目的は本発明の女性水着用の胸部パッドによっても達成され、この女性水着用の胸部パッドは、女性用水着の胸部に装着されるものであって、
弾力性及び柔軟性を備えた発泡性素材で形成され、胸部の形に対応した椀形状に成形されているパッド基材と、
前記パッド基材の外側全体を覆うように設けられる防水性シート材と、
前記防水性シート材の外側全体を更に覆うように設けられる布材と、
を有していることを特徴とする（請求項３）。
【００１１】
そして、前記防水性シート材および前記布材は、前記パッド基材の表面側および裏面側のそれぞれに配置された、第１、第２の防水性シート材と第１、第２の布材とであり、表側に配置された前記第１の布材の周縁部と裏側に配置された前記第２の布材の周縁部とが、前記第１、第２の防水性シート材を間に介在させて一体的に圧着固定された圧着固定部を含んでいる構造とするのが好ましい（請求項４）。
【００１２】
また前記防水性シート材は、気体の透過は許容するが、液体は透過させない気体透過性の防水材料を用いるのが好ましく（請求項５）、前記防水性シート材は、ポリテトラフルオロエチレンとすることができる（請求項６）。
【００１３】
また、前記パッド基材の発泡性素材はポリウレタンフォーム又は発泡ポリエチレンであり、前記布材はポリエステルとすることができる（請求項７）。
そして上記に記載の女性用水着の胸部パッドを備えた女性用水着であれば（請求項８）、使用者が水からでるときに胸部パッドが吸水しないので重くなるなどの不愉快がなく、常に軽くバスト矯正の機能を果たすので、使い心地の良いものとなる。
【発明の効果】
【００１４】
本発明による女性水着用の胸部パッドでも、パッド基材は従来の胸部パッドと同様に発泡性素材が採用されているが、その外側全体は防水性シート材で覆われているので、胸部パッドの外側が水に接触したときでも内部のパッド基材までは進入しない。よって、パッド基材が水を吸収して重量が増加し、水が滴り落ちるというような問題を生じず、常に軽く、バスト矯正や形状保持の機能も維持されるので、使い心地がよい胸部パッドとして提供できる。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】本発明に係る一実施形態の女性用水着の胸部パッドについて示した正面図である。
【図２】片側のパッドを後方から見た斜視図である。
【図３】胸部パッドを製造するに好適な工程を模式的に示した図である。
【図４】水着用のブラジャーに胸部パッドを適用した場合について示している図である。
【発明を実施するための形態】
【００１６】
以下、図面を参照して本発明に係る一実施形態の女性用水着の胸部パッドについて説明する。
図１は胸部パッド１（１ａ、１ｂ）を示した正面図である。また図２は片側のパッド１ａを後方から見た斜視図である。図１で示すように、本発明の胸部パッド１も従来の一般的な胸部パッドと同様に左右１ａ、１ｂで一対となり、女性用水着の胸部に装着されて使用されるものである。
なお、女性用水着へ装着（セット）する形態については特に限定は無く、水着の胸部側に設けた収納部に胸部パッド１ａ、１ｂを収納してもよいし、水着の胸部側の布地に直接、縫い付けるようにしてもよい。また、水着の胸部側と胸部パッド１ａ、１ｂ側とを接続する接続治具（フックなど）を設けて水着に対して、胸部パッド１ａ、１ｂを着脱自在にしてもよい。
【００１７】
胸部パット１ａ、１ｂは、女性のバストの形に対応して大略の形状が、いわゆるお椀状に形成されている。胸部パット１ａ、１ｂは、弾力性及び柔軟性を備えた軽量の発泡性素材で形成され、胸部の形に対応した椀形状に成形されているパッド基材２、このパッド基材２の外側全体を覆うように（パッド基材２の全体を包み込むように）設けられる防水性シート材３、そして、この防水性シート材３の外側全体を更に覆うように設けられる布材４を含んで構成されている。
【００１８】
図２は片側のパッド１ａをやや後方から示した斜視図であり、円ＣＲ内に、その断面での組織構成が確認できるように拡大して示してある。この円ＣＲ内で示すように、この胸部パッド１（１ａ）は、従来の胸部パッドと同様に中央に位置するパッド基材２の表裏面に布材４ａ、４ｂが配置してある。しかし、これらの表裏両面それぞれの間に、防水性シート材３ａ、３ｂを介在させた新規な積層構造を成している。
この胸部パッド１（１ａ）はパッド基材２の周囲全体を防水性シート材で覆うことにより、胸部パッド１が水に接触しても、内部のパッド基材２側には水分（プールの水や海水）を進入させない構造を実現している。以下で、より具体的に説明する。
【００１９】
胸部の形に対応した椀形状されるパッド基材２は、従来において広く採用されていた、軽量で適度な弾力性があって更に柔軟性や通気性にも富むポリウレタンフォームなどの発泡性素材から形成してある。なお、発泡性素材としては他に、例えば発泡ポリエチレンを同様に採用することができる。
そして、表面に配置する布材４（４ａ、４ｂ）も、従来の胸部パッドと同様の材料で形成してよく特段の限定はない。例えば、胸部パッド１を水着の内側に露出させた状態で配置した場合の風合いや肌触りなどを考慮して決定するのが好ましい。更には、後述するように表側に配置した布材（第１の布材）４ａの周縁部と裏側に配置された布材（第２の布材）４ｂの周縁部とを、防水性シート材３を介して圧着固定する構造なども考慮して、布材４を決定するのが好ましい。前記布材４としては、例えばポリエステルとするのが好ましい。
【００２０】
そして、この胸部パッド１では、前述した防水性シート材３（３ａ、３ｂ）を採用している点が特徴的な構成である。防水性シート材３としては公的な防水性能の評価基準であるＪＩＳ Ｌ １０９２によって規定されている繊維製品の防水性試験方法に基づいて、厚み２−４０μｍで、抗水圧（耐水圧）１０００ｍｍＨ２Ｏ以上、透湿性７０００ｇ／ｍ２・２４ｈｒｓ以上の性能のシート材とするのが好ましい。
そして、このように液体（水や海水）は透過させないが、気体（空気、水蒸気など）は透過させるという機能性素材、すなわち気体透過性を備えた防水性材料（透湿防水性の材料）を用いるのが望ましい。このような気体透過性を備えた防水性材料であれば、内部のパッド基材２と外界との気体の移動が許容される。すなわち、完全密閉した空間内にパッド基材２を収納した場合には、パッド基材２の形状変化は困難となるが、防水性シート材３が上記のように気体透過性も備えているとパッド基材２の周囲の気体（通常は、空気）が外界の気体と移動可能であるので容積変化可能である。これにより、水着が使用されたときに、胸部パッド１が使用者のバスト形状に応じて形状を変える構成として機能することになる。すなわち、パッド基材２を変形させるような外力が作用し、これが継続しているような状態（より具体的には、使用者のバストが胸部パッドを押している加圧状態）のとき、防水性シート材に気体透過性があれば内部の気体を外へ徐々に押し出されて、パッド基材２がバストに応じた形状に徐々に変形できる。このように、本発明に係る胸部パッド１は、パッド基材２内への水の進入を防止して軽量であるというだけでなく、胸部パッドが果たすべき基本的な機能、すなわち、バスト矯正や形状保持の機能も維持される。
なお、上記のような気体透過性も備えている防水性シート材として、例えばポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ：Polytetra Fliuoroethylene）などのフッ素樹脂を採用することができる。ＰＴＦＥは、乳白色ロウ状の樹脂で、薄いシート状に成形されたときに屈曲性に富んで、ゴム材と金属材との中間的物性を示すことなどが知られている。なお、このようなＰＴＦＥは、例えばデュポン（ＤＵＰＯＮＴ）社からが商品名テフロン（登録商標）などとして提供されている。
【００２１】
先に指摘したように、従来において広く使用されていたウレタンフォームなどの発泡性素材は吸水性があるので、水と接触すると水を吸収して重量が増加して、胸部パッドとしてのバスト矯正等の機能が損なわれることがあった。
これに対して、本発明の胸部パッド１は、防水性シート材３が発泡性素材から成るパッド基材２の外側全体を覆って包み込んでいる形態であるから、原則とパッド基材２が水と接触しないので、水を吸収することがない。そして、胸部パッド１はバスト矯正の機能も発揮できる。
【００２２】
再度、図２を参照して説明する。パッド基材２の両面には、防水性シート材３ａ，３ｂを介して布材４ａ，４ｂが貼着されている。このようにパッド基材２表面に、布材４ａ，４ｂを設けておくと、ブラジャー側に設けた収納部に胸部パット１を収めたときに、一定の滑りを発生させて内部での位置が偏ることを抑制できる。また、表面全体を覆うように布材４ａ、４ｂを備えることで装着する水着の胸部（ブラジャー側の布地など）への縫製が容易となる。さらに、パッド基材２上の防水性シート材３ａ、３ｂが布材４ａ、４ｂにより全体的に被覆され、保護された形態となるので、洗濯したときなどに防水性シート材３ａ、３ｂの損傷を予防することもできる。
【００２３】
図３は、上記胸部パッド１を製造するに好適な工程を模式的に示した図である。なお、図３は胸部パッド用の原材料として、ウレタンフォーム素材１２、防水性シート材１３ａ、１３ｂ、そして布材１４ａ、１４ｂとしている。
素材メーカから購入した板状のウレタンフォーム素材（基材となる前の素材）１２の表裏面に防水性シート材１３ａ（第１の防水性シート材）、１３ｂ（第２の防水性シート材）を配置し、更にその外側それぞれに布材１４ａ（第１の布材）、１４ｂ（第２の布材）を配置した積層体１０を準備する。この積層体１０を、胸部パッドの形状に加工してある上下に分割されている金型２１、２２を加熱しながら接近させて加圧する。
そして、例示では、表側の第１の布材１３ａの周縁部と裏側の第２の布材１３ｂの周縁部とを押圧する部分の金型２２側に突起部２２ａが設けてある。これにより、この突起部２２ａで押圧する部分１５ｂに他の部分より強い圧力を作用させて、防水性シート材１３ａ、１３ｂを間に介在させて圧着固定することができる。
【００２４】
そして、所定時間保持して金型２１、２２を離すと、図３で仮想の２点鎖線で示すようにウレタンフォーム素材１２の厚みが適度に圧縮されて胸形状のお椀型となり、その表裏面には防水性シート材１３ａ、１３ｂを間に介在させ表裏面に布材１４ａ、１４ｂが貼着されている胸部パッド１に相当する部分を中央に配し、その周辺に不要な耳部１５ａが付随している半製品１５が得られる。この後、所定位置で裁断して不要な耳部１５ａを金型２２の突起部２２ａで圧着固定された部分（圧着固定部）１５ｂで切断して、不要部を除去すれば上記で図示した製品の胸部パッド１を得ることができる。なお、製造に使用する設備は、従来のものを流用できるので設備についてコスト上昇を伴うことなく、本発明の胸部パッド１を製造することができる。
【００２５】
このように製造される胸部パッド１は、表側に配置された第１の布材４ａの周縁部と裏側に配置された第２の布材４ｂの周縁部とが、第１、第２の防水性シート材３ａ、３ｂを間に介在させ一体的に圧着固定された圧着固定部１５ｂとなっている。この圧着固定部１５ｂの固定状態は、例えば第１、第２の布材４ａ，４ｂ間で樹脂製の防水性シート材３ａ、３ｂは所定温度以上まで加熱されることで熔融し、更に加圧されるので布材４ａ，４ｂ間で接着剤のように機能している。そして、この圧着固定部１５ｂが胸部パッド１の環状の周縁部に連続して存在している形態となっている。よって、防水性シート材３の内側に形成される空間（すなわち、パッド基材の存在する空間）を防水空間とすることができる。ところで、前述したように防水性シート材３として、気体透過性の防水材料を用いることが好ましく、この場合には外気が内部のパッド基材２と接触することになる。よって、外気が一定の水分（湿気）を含んだ蒸気などであれば、パッド基材２もある程度水分を含む場合がある。しかし、防水性シート材３は液体（水、海水）を透過させないので、従来の胸部パッドの場合のように多量の水を吸水して重量が増すという状態にはならない。
そして、上記のように周縁部に形成される圧着固定部１５ｂは、所定以上の弾性力や剛性を備えている構造体となるので、胸部パッド１の形状を保持するフレーム（支持枠体）としても機能するのでバスト矯正や形状保持の機能の向上にも寄与する。
【００２６】
なお、図で説明した製造工程は単なる一例である。先に説明したように本発明に係る胸部パッド１は、防水性シート材３がパッド基材２の表面全体を覆うようにされ、更にその防水性シート材３の外側全体を更に覆うように設けられる布材４が配置されている基本構造が実現されていれば、その製造方法は特に限定する必要はない。
例えば、第１の工程でパッド基材の表面全体を防水性シート材３で覆った中間製品を製造し、次の第２の工程で前記中間製品の外側を更に布材を覆って最終製品を製造するというステップを経て、本発明の胸部パッドを製造するにようにしてもよい。
【００２７】
また、前述した実施例は、より好適な形態例として防水性シート材３の外側を更に布材４で覆った胸部パッドについて説明した。しかし、布材４を省略して、パッド基材２の表面全体を防水性シート材３で覆っただけの形態の胸部パッドとしてもよい。
このような胸部パッドでも、前述したと同様の防水性を備えて軽く、そしてバスト矯正を発揮することができる。特に、防水性シート材３として前述したＰＴＦＥを採用した場合、フッ素樹脂は適度な剛性や機械的強度も備えるので、その表面を布材などで覆わず露出させた状態でも、通常の水着使用には十分に耐えられる。
【００２８】
また、製造工程も前述したものと同様でよく、単に布材４を省略して製造をすればよい。すなわち、素材メーカから購入した板状のウレタンフォーム素材（基材となる前の素材）１２の表裏面に防水性シート材１３ａ（第１の防水性シート材）、１３ｂ（第２の防水性シート材）を配置した積層体１０を準備して、製造できる。
ここで、製造される胸部パッド１は、表側に配置された第１の防水性シート材３ａの周縁部と裏側に配置された第２の防水性シート材３ｂの周縁部とが一体的に圧着固定された圧着固定部となる。この圧着固定部も、胸部パッドの環状の周縁部に連続して存在している形態となっている。よって、防水性シート材３の内側に形成される空間（すなわち、パッド基材の存在する空間）を防水空間とすることができ、先に説明した胸部パッドと同様の効果を得ることができる。
【００２９】
以上で説明した、本発明の胸部パッドはパッド基材の外側を防水性シート材で覆っているので、外側が水に触れても、パッド基材は水と接触しないので吸水して重量が増加する事態にならない。よって、本願発明による胸部パッドは、常に軽く水から上がったときにパッドから水がしたたり落ちるような不快を感じることがない。更にバスト矯正などの機能も維持される。
【００３０】
図４は、水着用のブラジャーＢＲに前述した胸部パッド１（１ａ、１ｂ）を適用した場合について示している。このブラジャーＢＲは泳いだ後に水から出るときになどにおいて、パッド基材部分が吸水しないので軽く、一定の形状に維持される。よって、装着している女性への負担が軽く、バスト矯正機能も安定して発揮されるのでバストを美しく見せることができる。
なお、図４をいわゆるセパレート型である女性用水着のブラジャーＢＲに胸部パッドを適用する例であるが、一体型のいわゆるワンピースタイプの女性用水着の胸部にも本発明の胸部パッドを適用できることは言うまでもない。
【００３１】
以上本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【００３２】
１（１ａ、１ｂ） 胸部パッド
２ パッド基材
３（３ａ、３ｂ） 防水性シート材
４（４ａ、４ｂ） 布材
１０ 積層体
１５ 半製品
１５ｂ 圧着固定部
２１、２２ 金型
ＢＲ 女性用水着のブラジャー
【特許請求の範囲】
【請求項１】
女性用水着の胸部に装着される胸部パッドであって、
弾力性及び柔軟性を備えた発泡性素材で形成され、胸部の形に対応した椀形状に成形されているパッド基材と、
前記パッド基材の外側全体を覆うように設けられる防水性シート材と、
を有している、ことを特徴とする女性用水着の胸部パッド。
【請求項２】
前記防水性シート材は、前記パッド基材の表面側および裏面側のそれぞれに配置された、第１、第２の防水性シート材とであり、
表側に配置された前記第１の防水性シート材の周縁部と裏側に配置された前記第２の防水性シート材の周縁部とが、一体的に圧着固定された圧着固定部を含んでいる、ことを特徴とする請求項１に記載の女性用水着の胸部パッド。
【請求項３】
女性用水着の胸部に装着される胸部パッドであって、
弾力性及び柔軟性を備えた発泡性素材で形成され、胸部の形に対応した椀形状に成形されているパッド基材と、
前記パッド基材の外側全体を覆うように設けられる防水性シート材と、
前記防水性シート材の外側全体を更に覆うように設けられる布材と、
を有している、ことを特徴とする女性用水着の胸部パッド。
【請求項４】
前記防水性シート材および前記布材は、前記パッド基材の表面側および裏面側のそれぞれに配置された、第１、第２の防水性シート材と第１、第２の布材とであり、
表側に配置された前記第１の布材の周縁部と裏側に配置された前記第２の布材の周縁部とが、前記第１、第２の防水性シート材を間に介在させて一体的に圧着固定された圧着固定部を含んでいる、ことを特徴とする請求項３に記載の女性用水着の胸部パッド。
【請求項５】
前記防水性シート材は、気体の透過は許容するが、液体は透過させない気体透過性の防水材料である、ことを特徴とする請求項１から４のいずれに記載の女性用水着の胸部パッド。
【請求項６】
前記防水性シート材はポリテトラフルオロエチレンである、ことを特徴とする請求項３に記載の女性用水着の胸部パッド。
【請求項７】
前記パッド基材の発泡性素材はポリウレタンフォーム又は発泡ポリエチレンであり、前記布材はポリエステルである、ことを特徴とする請求項１から６のいずれかに記載の女性用水着の胸部パッド。
【請求項８】
請求項１から７のいずれかに記載の女性用水着の胸部パッドを備えた、ことを特徴とする女性用水着。
【請求項１】
女性用水着の胸部に装着される胸部パッドであって、
弾力性及び柔軟性を備えた発泡性素材で形成され、胸部の形に対応した椀形状に成形されているパッド基材と、
前記パッド基材の外側全体を覆うように設けられる防水性シート材と、
を有している、ことを特徴とする女性用水着の胸部パッド。
【請求項２】
前記防水性シート材は、前記パッド基材の表面側および裏面側のそれぞれに配置された、第１、第２の防水性シート材とであり、
表側に配置された前記第１の防水性シート材の周縁部と裏側に配置された前記第２の防水性シート材の周縁部とが、一体的に圧着固定された圧着固定部を含んでいる、ことを特徴とする請求項１に記載の女性用水着の胸部パッド。
【請求項３】
女性用水着の胸部に装着される胸部パッドであって、
弾力性及び柔軟性を備えた発泡性素材で形成され、胸部の形に対応した椀形状に成形されているパッド基材と、
前記パッド基材の外側全体を覆うように設けられる防水性シート材と、
前記防水性シート材の外側全体を更に覆うように設けられる布材と、
を有している、ことを特徴とする女性用水着の胸部パッド。
【請求項４】
前記防水性シート材および前記布材は、前記パッド基材の表面側および裏面側のそれぞれに配置された、第１、第２の防水性シート材と第１、第２の布材とであり、
表側に配置された前記第１の布材の周縁部と裏側に配置された前記第２の布材の周縁部とが、前記第１、第２の防水性シート材を間に介在させて一体的に圧着固定された圧着固定部を含んでいる、ことを特徴とする請求項３に記載の女性用水着の胸部パッド。
【請求項５】
前記防水性シート材は、気体の透過は許容するが、液体は透過させない気体透過性の防水材料である、ことを特徴とする請求項１から４のいずれに記載の女性用水着の胸部パッド。
【請求項６】
前記防水性シート材はポリテトラフルオロエチレンである、ことを特徴とする請求項３に記載の女性用水着の胸部パッド。
【請求項７】
前記パッド基材の発泡性素材はポリウレタンフォーム又は発泡ポリエチレンであり、前記布材はポリエステルである、ことを特徴とする請求項１から６のいずれかに記載の女性用水着の胸部パッド。
【請求項８】
請求項１から７のいずれかに記載の女性用水着の胸部パッドを備えた、ことを特徴とする女性用水着。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２０１３−１４８６６（Ｐ２０１３−１４８６６Ａ）
【公開日】平成２５年１月２４日（２０１３．１．２４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−１４９９６３（Ｐ２０１１−１４９９６３）
【出願日】平成２３年７月６日（２０１１．７．６）
【出願人】（５９４１９４７７８）株式会社ミノウラ (12)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２５年１月２４日（２０１３．１．２４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年７月６日（２０１１．７．６）
【出願人】（５９４１９４７７８）株式会社ミノウラ (12)
【Ｆターム（参考）】
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