説明

女性用被服

【課題】腕を上げ下げした場合や、左右に開くような動作を行った場合でも、ブラジャーのカップ部がバスト部の動きに追従できるようにする。
【解決手段】左右のカップ部1,2と、これらカップ部1,2を体に密着して保持するためのホルダー部3と、ホルダー部3のそれぞれの先端部に取り付けられた互いに掛止する止め金具4a及びフックアイ4bとからなるブラジャーにおいて、ホルダー部3は、カップ部1,2を保持するカップフレーム部31と、脇から背中部分にかけて体に巻き付けるように装着する左右のパネル部32,33とからなり、これらカップフレーム部31及び左右のパネル部32,33の下縁部が伸縮性のあるテープ部材5,6,7で形成され、カップフレーム部31の上縁部は非伸縮性のテープ部材8で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右のカップ部と、これらカップ部を体に密着して保持するためのホルダー部と、前記ホルダー部のそれぞれの先端部に取り付けられた互いに掛止する掛止片とからなる女性用被服に係り、より詳細には、両腕を上下させた場合でも体(胴体)にフィットしてずれることのない女性用被服、特にブラジャーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、体へのフィット感を向上させたブラジャーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このブラジャーは、図5に示すように、フロントホックタイプであって、左右のカップ部101,102と、脇から背中部分にかけて巻き付けるように装着するパネル部103とからなる。この左右のカップ部101,102とパネル部103とは、それぞれ脇腹部分101a、102aで縫着されている。また、パネル部103の上縁部および下縁部には、伸縮性のあるテープ部材105,106がそれぞれ取り付けられるとともに、このテープ部材105,106が背中の中央部において交叉するように設けられている。
【0004】
このような構造のブラジャーによれば、パネル部を構成する上下の両テープ部材を、背中の中央部でたすき状に交叉するように構成したので、腕を上げ下げ等しても、カップ部やパネル部、特にパネル部が脇腹の筋肉の上下動によって上下にずれるといったことがなく、脇腹の所定位置に安定的にフィットさせることができる。
【特許文献1】特開2001−115305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1のブラジャーでは、左右のカップ部101,102がフロントホックで繋がれているため、カップ部101,102間は全く伸縮しない構造となっている。
【0006】
一般に、腕を上げ下げした場合や、左右に開くような動作を行った場合には、バスト部分もこれに伴って動くことになるが、上記特許文献1のブラジャーでは、このようなバスト部分の動きにカップ部が追従できず、体へのフィット感はあるものの、カップ部についてはバスト部へのフィット感はいまひとつ物足りないものであった。
【0007】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、その目的は、腕を上げ下げした場合や、左右に開くような動作を行った場合でも、カップ部がバスト部の動きに追従できるようにした女性用被服を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の女性用被服は、左右のカップ部と、これらカップ部を体に密着して保持するためのホルダー部と、前記ホルダー部のそれぞれの先端部に取り付けられた互いに掛止する掛止片とからなる女性用被服において、前記ホルダー部は、前記カップ部を保持するカップフレーム部と、脇から背中部分にかけて体に巻き付けるように装着する左右のパネル部とからなり、これらカップフレーム部及び左右のパネル部の下縁部が伸縮性のあるテープ部材で形成されていることを特徴とする。
【0009】
すなわち、本発明の女性用被服によれば、左右のパネル部の下縁部のみならず、カップ部を受けているカップフレーム部の下縁部も伸縮性を有するので、腕を上げ下げした場合や、左右に開くような動作を行った場合でも、カップフレーム部がこの動きに追従して伸縮することから、カップ部もバスト部の動きに追従し、良好なフィット感を得ることができる。この場合、前記左右のパネル部の上縁部も伸縮性のあるテープ部材で形成しておけば、体へのフィット感がさらに増すことになる。
【0010】
また、前記カップフレーム部の上縁部は非伸縮性のテープ部材で形成する。これにより、左右のカップ部は、このカップフレーム部の上縁部を起点として、アンダーバスト側が開くように回動することになる。腕を上げる動作では、筋肉の動きにより、バストの上側より下側(アンダーバスト部分)がより脇側に引き上げられるため、カップフレーム部の上縁部を非伸縮性、下縁部を伸縮性とすることで、このようなバストの動きに追従して、カップ部も動くことになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の女性用被服によれば、カップ部を受けているカップフレーム部の下縁部も伸縮性を有するので、腕を上げ下げした場合や、左右に開くような動作を行った場合でも、カップフレーム部の下縁部がこの動きに追従して伸縮することから、カップ部もバスト部の動きに追従し、良好なフィット感を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の女性用被服であるブラジャーの構造を示す正面図、図2は、同背面図、図3は体に装着して腕を上げた状態を示す斜視図である。
【0014】
本実施の形態のブラジャーは、左右のカップ部1,2と、これらカップ部1,2を体に密着して保持するためのホルダー部3と、ホルダー部3のそれぞれの先端部に取り付けられた互いに掛止する止め金具4a及びフックアイ4bとからなる。
【0015】
また、ホルダー部3は、カップ部1,2を保持するカップフレーム部31と、脇から背中部分にかけて体に巻き付けるように装着する左右のパネル部32,33とからなる。左カップ部1と左パネル部32、及び右カップ部2と右パネル部33とは、それぞれ脇腹部分1a,2aで縫着されている。
【0016】
左パネル部32は、その上縁部及び下縁部にそれぞれ伸縮性のあるテープ部材5,6が取り付けられており、これらテープ部材5,6の一端部が左カップ部1の脇腹部分1aに取り付けられ、他端部が止め金具4aに取り付けられている。また、右パネル部33は、その上縁部及び下縁部にそれぞれ伸縮性のあるテープ部材5,6が取り付けられており、これらテープ部材5,6の一端部が右カップ部2の脇腹部分2aに取り付けられ、他端部がフックアイ4bに取り付けられている。
【0017】
さらに、カップフレーム部31は、その下縁部に伸縮性のあるテープ部材7が取り付けられており、上縁部に非伸縮性のテープ部材8が取り付けられている。左右のカップ部1,2は、この非伸縮性テープ部材8によって上部が連結されており、伸縮性テープ部材7によって下部が連結された構造となっている。
【0018】
なお、左右のパネル部32,33の各テープ部材5,6の間は開放状態でもよいが、本実施形態では、この間に伸縮性を有するレース部材10が、テープ部材5,6を被覆する化粧パネルとして取り付けられている。同様に、カップフレーム部31の上下のテープ部材7,8の間も開放状態でもよいが、本実施形態では、この間に伸縮性を有するレース部材10が、テープ部材7,8を被覆する化粧パネルとして取り付けられている。ただし、これらレース部材10は、各テープ部材5,6,7の伸縮性に影響を与えない程度の伸縮性が必要である。
【0019】
本実施形態のブラジャーによれば、左右のパネル部32,33の下縁部及びカップフレーム部31の下縁部の全体が、長手方向に沿って伸縮可能に設けられている。特に、カップフレーム部31の下縁部の全体が長手方向に沿って伸縮可能設けられていることで、カップ部2,3自体も、カップフレーム部31の上縁部の非伸縮性テープ8の部分を起点として、アンダーバスト側が開くように回動可能となっている。腕を上げる等の動作では、筋肉の動きにより、バストの上側より下側(アンダーバスト部分)がより脇側に引き上げられるため、カップフレーム部31の上縁部を非伸縮性、下縁部を伸縮性とすることで、このようなバストの動きに追従して、カップ部1,2も動くことになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の女性用被服であるブラジャーの構造を示す正面図である。
【図2】本発明の女性用被服であるブラジャーを体に装着した状態を示す背面図である。
【図3】本発明の女性用被服であるブラジャーを体に装着して腕を上げた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1 左カップ部
2 右カップ部
1a,2a 脇腹部分
3 ホルダー部
4a 止め金具(掛止片)
4b フックアイ(掛止片)
5,6,7,8 テープ部材
10 レース部材
31 カップフレーム部
32 左パネル部
33 右パネル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のカップ部と、これらカップ部を体に密着して保持するためのホルダー部と、前記ホルダー部のそれぞれの先端部に取り付けられた互いに掛止する掛止片とからなる女性用被服において、
前記ホルダー部は、前記カップ部を保持するカップフレーム部と、脇から背中部分にかけて体に巻き付けるように装着する左右のパネル部とからなり、これらカップフレーム部及び左右のパネル部の下縁部が伸縮性のあるテープ部材で形成されていることを特徴とする女性用被服。
【請求項2】
前記左右のパネル部の上縁部が伸縮性のあるテープ部材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の女性用被服。
【請求項3】
前記カップフレーム部の上縁部は非伸縮性のテープ部材で形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の女性用被服。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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