好酸球のサイトカイン阻害
好酸球の機能および動員を変化させるための組成物および方法。好酸球に対して阻害活性を有するアレルゲン誘発性のケモカインであるインターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)および/または10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)を、薬学的に許容される用量および製剤で投与する。この組成物は、好酸球増加が発生する疾患の予防および治療のために使用し、例えば、アレルギー患者および喘息患者に投与することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好酸球の機能および分布を化学誘引物質誘導性に変化させる組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国政府は、本発明において支払い済みのライセンスを有し、National Institutes of Healthによって授与された助成金番号RO1 AI42242-04XXおよびAI45898の条件によって規定されるように、限定された状況において特許所有者に合理的な条件で他者に認可するよう要求する権利を有する。
【0003】
本出願は、現在係属中であり、本明細書でその全体が参考により明白に援用される、米国仮特許出願第60/438412号(2003年1月7日出願)に対する優先権を主張する。
【0004】
好酸球は、末梢血中に通常総白血球の約1%〜3%の濃度で出現する、顆粒球性白血球(leukocyte)(白血球(white blood cell))すなわち顆粒球の1つのタイプである。組織中でのそれらの存在は、通常、胃腸粘膜に主に限定されている。種々の疾患状態において、好酸球は、末梢血および/または組織において増大し、この状態は、好酸球増加と称され、Rothenberg、Eosinophilia、N.Engl.J.Med.338、1592-1600(1998)によって記載されている。
【0005】
末梢血および組織における好酸球蓄積は、いくつかの疾患の顕著な特徴である。これらの疾患には、アレルギー性障害(例えば、アレルギー性鼻炎、喘息および湿疹);寄生虫感染;特定の型の悪性腫瘍;慢性炎症障害(例えば、炎症性腸疾患);ならびに特定の症候群(例えば、好酸球性胃腸炎、好酸球性大腸炎、好酸球性蜂巣炎、好酸球性食道炎、好酸球性筋膜炎);ならびに全身性疾患(例えば、チャーグ-ストラウス症候群、好酸球性肺炎および特発性好酸球増多症候群)が含まれる。組織における好酸球蓄積は、強力な炎症促進作用または組織再構成を引き起こし得る。
【0006】
多数のメディエータが好酸球化学誘引物質として同定されている。これらのメディエータには、脂質メディエータ(血小板活性化因子(PAF)、ロイコトリエン)および最近ではケモカイン(例えば、ケモカインのエオタキシンサブファミリー)のような多様な分子が含まれる。ケモカインは、組織細胞および白血球によって産生される小さい分泌タンパク質であり、恒常状態および炎症状態の間の白血球のホーミングを調節する。2つの主なサブファミリー(CXCケモカインおよびCCケモカイン)は、最初の2つのシステインの配列によって区別され、この2つのシステインは、1つのアミノ酸によって分離されている(CXC)かまたは隣接している(CC)。
【特許文献1】米国仮特許出願第60/438412号
【非特許文献1】Rothenberg、Eosinophilia、N.Engl.J.Med.338、1592-1600(1998)
【非特許文献2】Loetscherら、J.Biol.Chem.276:2986(2001)
【非特許文献3】Rankinら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93:7821(1996)
【非特許文献4】Mishraら、J.Clin.Invest.107:83(2001)
【非特許文献5】Rothenbergら、Molec.Med.2:334(1996)
【非特許文献6】Matthewsら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.95:6273(1998)
【非特許文献7】Zimmermannら、J.Immunol.164:1055(2000)
【非特許文献8】Zimmermannら、J.Biol.Chem.274:12611(1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
好酸球は通常、循環する細胞または組織に留まる細胞の小さい割合のみを占め、特定の疾患状態下で好酸球数が顕著かつ選択的に増大するという知見は、これらの白血球の選択的な生成および蓄積を調節する分子機構の存在を示す。したがって、好酸球機能を調節するための組成物が、広範な種々の好酸球媒介性状態に関して所望される。例えば、小児喘息は、その発症率が上昇しつつある好酸球媒介性状態であり、現在、小児病院の入院の原因となる主要な診断である。好酸球機能を変化させることによる喘息の緩和は、他の好酸球媒介性状態の範囲と共に、有益である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、好酸球機能を阻害する方法に関する。好酸球機能阻害活性を有する単離サイトカインを含む医薬組成物を、好酸球機能を阻害するために、薬学的に有効な量で患者に投与する。この組成物は、受容体発現、受容体内在化、シグナル伝達、遊走、脱感作、脱顆粒および/またはメディエータ放出を阻害し得る。このサイトカインは、インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)および/または10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)であってよい。
【0009】
本発明の別の実施形態は、例えば、気道、肺、気管、気管支肺胞洗浄液または血液において、アレルゲン誘発性好酸球増加を緩和させる方法である。好酸球増加はまた、アレルギーに罹患した身体部分(例えば、眼、皮膚および腸)において緩和することができる。
【0010】
本発明の別の実施形態は、化学誘引物質に対する好酸球応答を阻害するのに充分な量で、好酸球阻害性サイトカインを含む医薬組成物を投与するステップによる処置方法である。このサイトカインは、約10μg/kg〜約10mg/kgの用量で投与されるMIGおよび/またはIP-10であってよく、この化学誘引物質は、エオタキシン-1、エオタキシン-2もしくはエオタキシン-3、MCP-2、MCP-3、MCP-4もしくはMCP-5、RANTESおよび/またはMIP-1aであってよい。この用量は、例えば、静脈内または経口的に、全身投与することができる。
【0011】
本発明の別の実施形態は、アレルゲンに曝露される可能性が高い患者か、アレルゲンに曝露される患者か、またはアレルゲンに曝露された患者の気道において炎症を緩和する量で単離好酸球阻害性サイトカインを含む医薬組成物を投与する緩和方法である。この患者は、鼻炎、喘息および/または湿疹の症状を示し得る。
【0012】
本発明の別の実施形態は、肺好酸球動員を阻害する量で、医薬組成物中のMIGおよび/またはIP-10を投与することによる、肺好酸球動員を阻害する方法である。この組成物が投与される患者は、喘息および/またはアレルギーの患者であってよい。
【0013】
本発明の別の実施形態は、肺の炎症性細胞を負に制御し得る少なくとも1種のサイトカインを含む医薬組成物を投与することによる、アレルギー患者のための処置方法である。
【0014】
本発明の別の実施形態は、好酸球増加を有する個体のための処置方法である。MIGおよび/またはIP-10のいずれかが、好酸球移動、組織動員、受容体結合、シグナル伝達、脱顆粒および/またはメディエータ放出を変化させるために、約10mg/kgまでの用量で投与される。
【0015】
本発明の別の実施形態は、患者において喘息を緩和するための方法である。MIGは医薬組成物中で投与され、それによってこの患者におけるインターロイキン(IL)-13関連の喘息応答を阻害する。
【0016】
本発明の別の実施形態は、薬学的に許容される製剤中に、アレルゲンの存在下で好酸球活性を変化させるのに充分な量のMIGおよび/またはIP-10を含む医薬組成物である。この量は、約10μg/kgから約10mg/kgの範囲の用量が投与することができるような量である。
【0017】
本発明の別の実施形態は、好酸球誘導性刺激に応答する少なくとも1つの好酸球機能を阻害するサイトカインを含む医薬組成物である。このサイトカインは、MIGおよび/またはIP-10であってよい。この刺激は、アレルゲン、アレルギー反応、感染ならびに/またはケモカイン(例えば、エオタキシン、IL-13および/もしくは血小板活性化因子)であってよい。あるいは、この刺激は特発性であってよい。
【0018】
本発明の別の実施形態は、薬学的に許容される製剤中に、アレルゲンの存在下で好酸球活性を阻害するのに充分な量で、単離されたTh1関連ケモカインを含む医薬組成物である。
【0019】
本発明の別の実施形態は、薬学的に許容される製剤中に、好酸球機能を阻害するのに充分な用量で、組換えMIGサイトカインおよび/または組換えIP-10サイトカインを含む医薬組成物である。
【0020】
これらおよび他の利点は、以下の図面および詳細な説明を考慮して明らかである。
【0021】
本出願は、カラーで製作された少なくとも1枚の図面を含んでいる。カラーの図面の受理を要求する米国特許施行規則1.84の下での請願を、本明細書と同日に別個に出願する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
好酸球機能を特異的に変化させるケモカインおよびそれらの薬学的使用のための方法が開示される。これらには、インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)および10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)が含まれる。好酸球関連疾患のための治療および作用機構におけるそれらの役割もまた開示される。当業者に理解されるように、用語サイトカインは、ケモカインを包含するように本明細書中で使用される。
【0023】
ケモカインは、Gタンパク質に共役した7回膜貫通ドメイン受容体(これはまた、CXCケモカインおよびCCケモカインに対して、それぞれCXCR6およびCCRと称される2つの主要なサブファミリーを形成する)を介してシグナルを誘導する。好酸球に対する選択的活性を有するCCケモカインであるエオタキシン(CCL11;現在エオタキシン-1と称される)は、好酸球のベースラインホーミングを調節することにおいて支配的な役割を有し、アレルゲン誘発性の炎症応答の間の好酸球組織動員を調節することにおいて寄与する役割を有する。好酸球選択的化学誘引物質活性を有するCCケモカインをコードし、エオタキシン-2(ヒトおよびマウスにおいて)およびエオタキシン-3(ヒトのみにおいて)と称される、さらなるケモカインがゲノム中で同定されている。
【0024】
エオタキシン-1、エオタキシン-2およびエオタキシン-3の特異的活性は、好酸球上でのエオタキシン受容体CCR3の選択的発現によって媒介される。CCR3は無差別な受容体である。CCR3は、マクロファージ化学誘引物質タンパク質(MCP)-2、MCP-3およびMCP-4、RANTES(活性化の際に調節され、正常T細胞で発現および分泌される(regulated upon activation normal T-cell expressed and secreted))ならびにHCC-2(MIP-5、ロイコタクチン(leukotactin))を含む複数のリガンドと相互作用するが、この受容体を介して排他的にシグナル伝達するリガンドは、エオタキシン-1、エオタキシン-2およびエオタキシン-3のみであり、このことは、これらのエオタキシンの細胞選択性を説明する。CCR3リガンドは一般に、より強力な好酸球化学誘引物質であるので、CCR3は、優勢な好酸球ケモカイン受容体として機能するようである。さらに、CCR3に特異的な阻害的モノクローナル抗体は、RANTES(好酸球中でCCR1またはCCR3を介してシグナル伝達し得るケモカイン)の活性を遮断する。アレルギー応答に関与する他の細胞(Th2細胞、好塩基球、肥満細胞およびおそらくは呼吸上皮細胞)もまたCCR3を発現するが、これらの細胞上でのCCR3発現の有意性は、好酸球と比べるとあまり明らかに実証されてはいない。
【0025】
好酸球関連アレルギー性気道炎症の誘導の間に、白血球の組織動員は、ケモカインの協調された誘導によって組織化される。好酸球に焦点を当てると、好酸球の誘導においてTh2サイトカインがケモカインを活性化することを意味するパラダイムが出現した。例えば、IL-4およびIL-13は、エオタキシンおよびMCPのin vitroの強力なインデューサーである。Th2サイトカインが過剰発現されるかまたは肺に投与される場合、エオタキシンの顕著な誘導ならびに強力な好酸球肺動員が存在する。
【0026】
対照的に、Th1サイトカイン(例えばインターフェロン-γ(IFN-γ))は、異なるセットのケモカイン(例えば、IP-10またはCXCL10と命名された10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質;MIGまたはCXCL9と命名されたインターフェロンによって誘導されるモノカイン;およびI-TACまたはCXCL11と命名されたINF誘導性T細胞α化学誘引物質)を誘導する。これらのケモカインは、(優先的にTh1表現型の)活性化T細胞上、NK細胞上、ならびに循環するCD4 T細胞およびCD8 T細胞の有意な画分上で発現される受容体であるCXCR3を介して選択的にシグナル伝達する点で独自である。この二分法は、ヒトCXCR3リガンドがヒトCCR3アンタゴニスト(これは、in vitroでCCR3+細胞上のCCR3リガンドの作用を阻害する)であることを示す最近の刊行物(Loetscherら、J.Biol.Chem.276:2986(2001))を考慮するとなおさらに複雑であってよい。
【0027】
Clara細胞10プロモーターの調節下でマウスIL-4を過剰発現するマウス(Jeffrey Whitsett博士の厚意による贈与)を使用して、MIGの誘導を試験した(Rankinら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93:7821(1996))。全てのマウスを、特定の病原体を含まない条件下で、制度上のガイドラインに従って維持した。IL-5トランスジェニックマウスを血液および脾臓の好酸球の供給源として使用した。
【0028】
喘息を、オボアルブミン(OVA)誘発喘息モデルおよびAspergillus fumigatus喘息モデルの両方を使用して、マウスにおいて実験的に誘発した。これらのモデルは、本明細書中でその全体が参考により明白に援用される、Mishraら、J.Clin.Invest.107:83(2001)中に記載されている。簡潔に述べると、OVA誘発喘息について、マウスに、OVAおよび水酸化アルミニウム(ミョウバン)(1mg)アジュバントの両方を0日目および14日目に腹腔内(i.p.)注射し、その後24日目に鼻腔内OVAまたは生理的食塩水のチャレンジを行った。Aspergillus誘発喘息については、3週間にわたりマウスにAspergillus fumigatusを反復鼻腔内投与した。
【0029】
好酸球増加を、本明細書中でその全体が参考により明白に援用される、Rothenbergら、Molec.Med.2:334(1996)中に記載される手順を使用して、エオタキシン-2またはIL-13のいずれかの投与により誘導した。3μgの組換えエオタキシン-2(Peprotech、Rocky Hill NJの厚意による贈与)、または4μgおよび10μgのIL-13を、気管内送達によりマウスの肺に直接投与した。簡潔に述べると、マウスをケタミン(5mg/100μl)で麻酔し、次いで直立させ、その後20μlの組換えエオタキシン-2、IL-13または生理的食塩水(対照)をピペット(Pipetman(登録商標)、Gilson、Middleton WI)を用いて気管中に送達した。
【0030】
MIG送達のために、200μl(1μg)の組換えケモカイン(Peprotech)を、外側尾部静脈中に注射し、その30分後に、エオタキシン-2の気管内投与もしくは鼻腔内投与および/またはOVAの鼻腔内チャレンジ投与を行った。
【0031】
OVA感作マウスにおけるMIG中和を、500μl(500μg)の抗マウスMIG(Joshua M. Farberの厚意による贈与)の腹腔内注射で誘導し、その24時間後にOVAまたは生理的食塩水の単回チャレンジを行った。対照群に、同位体が一致する対照抗体を注射した。
【0032】
アレルゲンでチャレンジしたマウス由来の気管支肺胞洗浄液(BALF)および/または肺組織を、チャレンジの18時間後に採収した。マウスを、CO2吸入によって安楽死させ、正中線頚部切開し、気管にカニューレを挿管した。肺を、1%の胎仔ウシ血清(FCS)および0.5mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含むリン酸緩衝化生理的食塩水(PBS)1.0mlで2回洗浄した。回収したBALFを遠心分離(4℃で400×gで5分間)し、1%のFCSおよび0.5mMのEDTAを含むPBS 200μl中に再懸濁した。総細胞数を血算盤で計数した。サイトスピン調製物をGiemsa-Diff-Quick(Dade Diagnostics of P.R.,Inc.、Aguada PR)で染色し、異なる細胞計数を決定した。肺由来のリボ核酸(RNA)を、製造業者の指示に従ってTrizol試薬を使用して抽出した。Trizol精製後に、RNAをフェノール-クロロホルム抽出およびエタノール沈殿で再精製した。
【0033】
マイクロアレイハイブリダイゼーションを、Children's Hospital Medical Center (Cincinnati OH)においてAffymetrix Gene Chip Core施設によって実施した。簡潔に述べると、RNAの品質を、Agilentバイオアナライザ(Agilent Technologies、Palo Alto CA)を使用して最初に評価した。1.3と2との間の28S/18S比を有するmRNAのみを次いで使用した。RNAを、cDNA合成のためのSuperscript選択(Invitrogen、Carlsbad CA)を用いてcDNAに転換し、次いでEnzo High Yield RNA Transcript標識キット(Enzo Diagnostics、Farmingdale NY)を用いてビオチン化cRNAに転換した。マウスU74Av2 GeneChip(Affymetrix、Santa Clara CA)へのハイブリダイゼーションの後、これらのチップを自動的に洗浄し、流体工学システムを使用してストレプトアビジン-フィコエリスリンで染色した。これらのチップを、Hewlett Packard GeneArray Scannerを用いてスキャンした。この分析を、チップ1つ当たり1匹のマウスを用いて実施した(各アレルゲンチャレンジ条件についてn=3および各生理的食塩水チャレンジ条件についてn=2)。
【0034】
遺伝子転写物のレベルを、Microarray Analysis Suite Version 4ソフトウェア(Affymetrix)中のアルゴリズムを使用して、データ画像ファイルから決定した。チップからチップへのレベルを、グローバルスケーリング(global scaling)によって比較した。こうして、各チップを、任意の値(1500)に対して正規化した。各遺伝子は、16個〜20個のプローブ対のプローブセットによって、典型的に示される。各プローブ対は、完全マッチのオリゴヌクレオチドおよび特定の位置に1塩基のミスマッチを含むミスマッチオリゴヌクレオチドからなる。遺伝子発現の2つの測定(絶対的コールおよび平均差異)を使用した。絶対的コールは、プローブセットへのRNAのハイブリダイゼーションに基づいて、存在、境界的または非存在のコールが各遺伝子に割り当てられる、定性的な測定である。平均差異は、全てのプローブ対のミスマッチと完全マッチとの間の差異をとり、全プローブセットにわたってこれらの差異を平均することによって計算される、遺伝子発現のレベルの定量的測定である。生理的食塩水で処置したマウスとOVAで処置したマウスとの間の差異もまた、GeneSpringソフトウェア(Silicon Genetics、Redwood City CA)を使用して決定した。各アレルゲンチャレンジの時点についてのデータを、生理的食塩水で処置したマウスの平均に対して正規化した。遺伝子表を、p<0.05および2倍より大きい変化を有する結果を用いて生成した。
【0035】
肺組織サンプルを、リン酸緩衝液(pH7.4)中の4%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィン中に包埋し、5μmの切片に切断し、陽電荷スライドに固定した。粘液産生の分析のために、組織を製造業者の推奨に従ってPeriodic Acid Schiff(Poly Scientific R & D Corp.)で染色した。具体的には、1.0×1.0cmの格子接眼レンズを使用して、粘液を産生している上皮細胞の割合を定量した。500の線形グラデーション(6.25mmの上皮を示す)をランダムに計数し、これらの結果を粘液産生細胞:総肺上皮細胞の比率として表示した。組織における好酸球染色のために、マウス主要塩基性タンパク質に対する抗血清(抗MBP)を、本明細書でその全体が参考により明白に援用される、Matthewsら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.95:6273(1998)中に記載されるように適用した。簡潔に述べると、内因性ペルオキシダーゼを、メタノール中0.3%の過酸化水素でクエンチし、その後通常のヤギ血清を用いて非特異的タンパク質をブロッキングした。次いで、これらの切片をウサギ抗マウスMBP抗体(1:2500、J.Lee、Mayo Clinic、Scottsdale AZの厚意による贈与)と共に4℃で一晩インキュベートし、その後ビオチン化ヤギ抗ウサギIgG二次抗体(1:200希釈)およびアビジン-ペルオキシダーゼ複合体(Vector Laboratories)と共に各々30分間インキュベートした。これらのスライドを、ニッケルジアミノベンジジン-塩化コバルト溶液でさらに処理して黒色沈殿物を形成し、ヌクレアファストレッドで対比染色した。免疫反応性細胞を、Mishraら、J.Clin.Invest.107:83(2001)中に記載されるように、形態分析(Metamorph Imaging System、Universal Imaging Corporation、West Chester PA)によって定量した。これらの肺切片をマウスの各セットにおいて同じ位置からとり、マウス1匹当たり少なくとも4個〜5個のランダムな切片を分析した。デジタル画像キャプチャを使用して、中間のサイズの細気管支または血管に関連する組織面積を、総組織面積に対する総MBP+細胞単位として定量した。計算した好酸球レベルを、細胞/mm2として表示した。
【0036】
走化性応答を、本明細書でその全体が参考により明白に援用される、Zimmermannら、J.Immunol.164:1055(2000)中に以前に記載されているように、呼吸上皮細胞を介した遊走によって決定した。簡潔に述べると、A549細胞(American Type Tissue Culture Collection、Rockville MD)を、10%のFCS、ペニシリンおよびストレプトマイシンを補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco BRL)中で、組織培養フラスコ中で単層として増殖させた。細胞単層をトリプシン処理し、遠心分離し、Transwell組織培養プレート(Corning Costar Corp.、Cambridge MA)中で透過性フィルタ(3μmの孔を有するポリカーボネートフィルタ)上で培養する前に新たな培地中に再懸濁した。100μlの体積中の細胞(1.5×105)を、2日間フィルタの上部表面上でコンフルエンスまで増殖させ、10ng/mlのTNFαで18時間処理した。ハンクス緩衝化塩溶液(HBSS)および0.5%のウシ血清アルブミン(BSA、低内毒素、Sigma)中の白血球(1.5×106)を上部チャンバ中に入れ、ケモカイン(HBSSおよび0.5%のBSA中)を下部チャンバ中に入れた。好酸球を、IL-5トランスジェニックマウス由来の脾細胞を使用して得た。遊走を1.5時間進行させた。下部チャンバ中の細胞を血算盤で計数し、細胞遠心分離し、Giemsa-Diff-quick(Dade Diagnostics of P.R.,Inc.、Aguada PR)で染色し、差示的白血球分析を顕微鏡で決定した。
【0037】
フローサイトメトリー分析のために、脾細胞(5×105)をFACS緩衝液(PBS中2%のBSA、0.1%のアジ化ナトリウム)で洗浄し、以下のうち1つと共に4℃で20分間インキュベートした:150ng(1.5μg/ml)のフィコエリスリンコンジュゲート化抗マウスCCR-3抗体(R & D Systems、Minneapolis MN)、300ng(3μg/ml)の抗マウスCXCR3(Merck Research Laboratoriesの厚意による贈与)、1μg(10μg/ml)のFITCコンジュゲート化抗マウスCD4(BD Biosciences Pharmingen、San Diego CA)または同位体が一致した対照IgG。FACS緩衝液中での2回の洗浄後、CXCR3について染色された細胞を、0.3μgのFITCコンジュゲート化同位体特異的二次抗体(Pharmingen)と共に暗中で4℃で20分間インキュベートした。2回の洗浄後、標識された細胞をFACScanフローサイトメータ(Becton Dickinson)でのフローサイトメトリーに供し、CELLQuestソフトウェア(Becton Dickinson)を使用して分析した。表面CCR3の内在化を、本明細書でその全体が参考により明白に援用される、Zimmermannら、J.Biol.Chem.274:12611(1999)中に記載されるようにアッセイした。簡潔に述べると、細胞を、0ng/mlもしくは100ng/mlのマウスエオタキシン-2、または1ng/ml〜1000ng/mlのマウスMIGのいずれかと共に、4℃または37℃のいずれかで15分間インキュベートした。ケモカイン曝露の後、細胞を氷上に即座に配置し、少なくとも2倍体積の冷FACS緩衝液で洗浄した。
【0038】
MIG結合について、細胞(5×105)を、100nM〜1000nMのマウスMIGと共に4℃で15分間インキュベートした。ケモカイン曝露の後、細胞を洗浄し、2%のパラホルムアルデヒドで固定し、洗浄し、次いで500ng(5μg/ml)の抗マウスMIG(R & D Systems)と共に4℃で15分間インキュベートした。細胞を、フィコエリスリンコンジュゲート化二次抗体で染色した。エオタキシン結合について、細胞(1×106)を、0μM〜10μMのMIGまたはエオタキシン-2に4℃で5分間曝露し、その後20nMのビオチン化エオタキシン(Sigma)またはJE(R & D Systems)と共にインキュベートした。ケモカイン結合を、FITCコンジュゲート化アビジン(R & D Systems)を用いて検出した。
【0039】
好酸球を、製造業者の指示に従ってDynabeads Mouse pan B(B220)およびpan T(Thy 1.2)を使用してT細胞およびB細胞を枯渇させた後に、シグナル伝達研究のためにIL-5トランスジェニックマウス由来の脾細胞から精製した。精製した(85%)好酸球(1×106)を、RPMI Medium 1640(Invitrogen Corporation、Carlsbad CA)中で37℃で15分間インキュベートし、その後、10nMのエオタキシン-2および/または50nM〜500nMのMIGを用いて37℃で2分間または10分間刺激した。反応を、2mMのオルトバナジン酸ナトリウム(Sigma)を含む冷PBSで停止させた。細胞を、25μlの溶解緩衝液(5mMのEDTA、50mMのNaCl、50mMのNaF、10mMのTris-HCl(pH7.6)、1%のTriton-X、0.1%のBSA)中で溶解させた。同量のサンプル緩衝液を各溶解物に添加し、その後5分間煮沸した。サンプルを、NuPAGE 4%〜12%のBis-Tris SDSゲル(Invitrogen)上で分離した。これらのタンパク質を、ニトロセルロースメンブレン(Invitrogen)上にエレクトロブロッティングによって移した。これらのブロットを、ホスホ-p44/42 Map Kinaseに特異的な抗体(Cell Signaling Technologies、Beverly MA)(1:1000)を用いてプローブした。メンブレンを、ストリッピング緩衝液(100mMの2-メルカプトエタノール、2%のSDS、62.5mMのTris-HCl(pH6.7))中での50℃で30分間のインキュベーションによってストリッピングし、次いでp44/42に対する抗体(Cell Signaling Technologies)(1:1000)を用いて再プローブした。メンブレンを抗ウサギIgG HRP(Cell Signaling Technologies)(1:1500)と共にインキュベートした後に、ECLシステム(Amersham Pharmacia Biotech、Piscataway NJ)を使用してタンパク質を可視化した。
【0040】
データは、注記した以外は平均±標準偏差として示した。異なるセットのマウスを比較する統計的有意性は、スチューデントt検定によって決定した。
【0041】
実験的喘息におけるCXCR3リガンドの同定
喘息の充分確立されたモデルにおいて示差的に発現される遺伝子を同定した。喘息を誘発するために、マウスを、ミョウバンアジュバントの存在下で、14日間隔で2回アレルゲンOVAで腹腔内で感作した。引き続き、複製マウスを、3日間隔で2回、鼻腔内OVAまたは対照生理的食塩水でチャレンジした。各アレルゲンチャレンジの3時間後および/または18時間後、肺RNAを、市販の特徴付けられたマウス遺伝子の最も大きいコレクションである、12,423個の遺伝子エレメントを示すオリゴヌクレオチドプローブを含むAffymetrixチップU74Av2を利用するマイクロアレイ分析に供した。
【0042】
生理的食塩水チャレンジしたマウスに対してアレルゲンチャレンジしたマウスを比較すると種々の時点で、これらの遺伝子の2%〜6%において2倍より大きい変化を示した(データ示さず)。これらのアレルゲン誘発性遺伝子のうち、ケモカインをコードする遺伝子が大きいサブセットを示した。例えば、このマイクロアレイチップは、29個のケモカイン遺伝子を示すオリゴヌクレオチドを含んでいた。これらのうち10個は、生理的食塩水チャレンジした対照マウスと比較して、アレルゲン誘発性であった。誘導されたケモカイン遺伝子のいくつかは、アレルギー性肺応答と以前には関連付けられていなかった。例えば、IFN-γ誘導性ケモカインであるMIGおよびIP-10の強力な誘導が存在した。
【0043】
図1は、オボアルブミン(OVA)またはAspergillus fumigatusにより誘導された喘息モデルにおけるMIG mRNAおよびIP-10 mRNAの発現を示す。1Aは、生理的食塩水(対照)チャレンジしたマウスおよびOVAチャレンジしたマウスのハイブリダイゼーションシグナルについての平均差異(平均およびこの平均の標準誤差)を示す。1Bは、1回のチャレンジの3時間後(3H)および18時間後(18H)、ならびに2回のチャレンジの18時間後(2C)のIP-10についての結果を示す。1Cは、生理的食塩水チャレンジしたマウスおよびOVAチャレンジしたマウスにおけるMIG mRNAおよびIP-10 mRNAの発現を示す。図1Dは、生理的食塩水チャレンジまたはAspergillusチャレンジの後のMIG mRNAおよびIP-10 mRNAの発現を示す。図1Eは、生理的食塩水チャレンジまたはAspergillusチャレンジの後の、野生型マウスおよびSTAT-6欠損マウスにおけるMIG mRNAの発現を示す。18S RNAの位置が示される。このRNAゲルは、エチジウムブロマイドで染色した。各レーンは、単一のマウス由来のRNAを示す。
【0044】
MIG mRNAは、生理的食塩水対照と比較して、第一のアレルゲンチャレンジの18時間後に10倍より大きく増大し(図1A、18H)、第二のアレルゲンチャレンジの後に10倍よりかなり大きく増大した(図1A、2C)。IP-10 mRNAは、生理的食塩水対照と比較して、第一のアレルゲンチャレンジの18時間後に10倍より大きく増大し(図1B、18H)、第二のアレルゲンチャレンジの後に10倍より大きく増大した(図1B、2C)。
【0045】
このマイクロアレイデータが遺伝子誘導を反映していることを確認するために、ノザンブロット分析を実施した。図1C中に示されるように、MIG mRNAおよびIP-10 mRNAは、アレルゲンチャレンジの後に強力に誘導性であった。MIG mRNAについてのバンドは、第一のチャレンジの18時間後に出現し、第二のチャレンジの後にはより強烈であった。IP-10 mRNAについてのバンドは、第一のチャレンジの3時間後、ならびに第一のチャレンジおよび第二のチャレンジの18時間後に出現した。したがって、このノザンブロット分析は、マイクロアレイデータを立証した。
【0046】
MIGおよびIP-10の誘導が、実験的喘息のOVA誘発モデルに限定されるか否かを決定するために、実験的喘息を、鼻腔内反復投与の抗原Aspergillus fumigatusによってナイーブマウスにおいて誘導した。Aspergillus fumigatusの9回の鼻腔内投与の最後の投与の18時間後、肺RNAをノザンブロット分析に供し、MIGまたはIP-10についてプローブした。これらの結果を図1D中に示す。
【0047】
鼻腔内生理的食塩水の9回の投与でチャレンジしたマウスと比較して、Aspergillus fumigatusでチャレンジしたマウスは、MIGおよびIP-10の顕著な発現を有した。したがって、アレルゲンチャレンジによるMIGおよびIP-10の誘導は、使用した抗原に特異的なものではなかった。
【0048】
MIG発現の調節
MIG発現の誘導に対する、喘息の肺において過剰発現されることが公知のサイトカイン(例えば、IL-4およびIL-13)の作用を決定した。具体的には、IL-4を過剰発現するトランスジェニックマウスにおけるMIG発現を決定した。IL-4の過剰発現は、MIG発現を誘導しなかった(データ示さず)。鼻腔内経路を介して肺にIL-13が投与されたマウスにおけるMIG発現もまた決定した。IL-13投与は、MIG発現を誘導しなかった(データ示さず)。対照的に、同じ条件下で、IL-4およびIL-13は、エオタキシン-1およびエオタキシン-2の発現を誘導した。
【0049】
IL-4およびIL-13は、転写因子STAT-6に通常依存する受容体後事象を含む共通の受容体シグナル伝達経路を共有する。したがって、MIG誘導に対するタンパク質STAT-6の効果を、STAT-6野生型マウスおよびSTAT-6遺伝子欠失マウスの両方において実験的喘息を誘導することによって決定した。これらの結果を図1E中に示す。STAT-6野生型マウスと比較して、アレルゲン誘発性のMIGは、STAT-6ノックアウトマウスにおいて増強された。これらの結果は、完全にSTAT-6に依存したエオタキシン-1およびエオタキシン-2の誘導と対照的であった(データ示さず)。
【0050】
図1Fは、アレルゲンチャレンジした肺におけるMIG mRNA発現を示す。OVAチャレンジした肺において、MIG RNAの血管周囲および気管支周囲での優勢な発現が存在した。これは、MIG mRNAの明視野(図1F(a))および暗視野(図1F(b))のインサイチュハイブリダイゼーションによって見られた(10×の倍率)。図1F(c)および1F(d)はそれぞれ、明視野および暗視野のインサイチュハイブリダイゼーションにおける、OVAチャレンジした肺由来の肺リンパ節におけるMIGの発現を示す(40×の倍率)。
【0051】
マウスMIGはin vitroで好酸球の阻害剤である
ヒト好酸球は、MIG受容体であるCXCR3を発現することが報告されている。MIGのアレルゲン誘発性の発現が、肺への好酸球の動員を少なくとも一部担い得るか否かを決定するために、マウス好酸球がCXCR3を発現するか否かを最初に決定した。それらの表面上にCXCR3を欠くマウス好酸球が、MIGに対して移動できないことを示す結果が図2中に示される。図2Aは、CXCR3を発現するIL-5トランスジェニックマウス由来のリンパ球を示す。好酸球は、それらの表面上に検出可能なCXCR3を有さない。塗り潰したヒストグラムは同位体が一致した対照であり、実線はCCR3、CXCR3またはCD4である。図2Bは、示されるようなMIGの容量に応答した脾臓由来の好酸球の遊走の代表的な結果(n=3)を示す。細胞(1.5×106)を、MIGおよびエオタキシン-2に応答して遊走させた。細胞を、1.5時間後に下部チャンバにおいて計数した。データは、呼吸上皮細胞の層を通って移動した好酸球の平均および標準偏差を示す。
【0052】
図2A中のヒストグラムは、好酸球およびリンパ球からのフローサイトメトリーデータを示す。CD4+リンパ球は、細胞表面上にCXCR3受容体を発現した。対照的に、特徴的な光散乱およびエオタキシン受容体CCR3の発現によって同定される好酸球は、MIG受容体CXCR3の検出可能な発現を有さなかった。好酸球におけるCCR3の強い発現とは対照的に、一定範囲の抗体用量(0.5μg/ml〜30μg/ml)を使用した、好酸球上のCXCR3についての染色(n=3の実験)は再現性がなかった。対照として、CXCR3を、CD4+ T細胞において同定した。
【0053】
次に、MIGがin vitroで好酸球の移動を誘導し得るか否かを決定した。図2Bは、肺好酸球についての代表的な遊走アッセイを示す。CXCR3発現の非存在と一致して、マウス好酸球は、一定範囲の用量のMIG(1pg/ml〜10,000pg/ml)に供された場合、遊走によって応答しなかった。ポジティブ対照として、好酸球は、1000pg/mlのエオタキシン-2に強力に応答した。これらのデータは、MIGがマウス好酸球に対する刺激ケモカインではなかったことを示唆する。
【0054】
しかしMIGは、in vitroでのCCR3リガンド誘導性の好酸球の化学誘引に対する機能的阻害剤であった。好酸球をMIGで予め処理し、強力なCCR3リガンドであるエオタキシン-2へのそれらの引き続く走化性応答を評価した。これらの結果を図3中に示す。
【0055】
図3は、エオタキシン-2に応答した好酸球遊走についてのデータを示す。MIGは、in vitroでエオタキシン-2に対する好酸球移動を阻害した。細胞を、緩衝液、MIGまたはエオタキシン-2での予処理の後に遊走させた。データ(平均および標準偏差)は、1ng/mlのエオタキシン-2に対して移動した好酸球の代表的な実験からのものである(n=3)。
【0056】
MIGによる好酸球の予処理は、エオタキシン-2に応答する好酸球遊走を阻害した。この効果は用量依存的な様式で見られ、1pg/ml〜10,000pg/ml(0.8pM〜820pM)の間で活性の阻害が注目された;1pg/mlのMIGでp=0.03、100pg/mlのMIGでp=0.01、および10,000pg/mlのMIGでp=0.008。ポジティブ対照として、1ng/ml(0.1nM)の用量のエオタキシン-2での好酸球の予処理もまた、好酸球の遊走を阻害した。陰性対照として、10ng/ml(0.7nM)の用量のMCP-1(JE、CCL2)での好酸球の予処理は、好酸球の遊走を阻害しなかった(データ示さず)。生存力色素(トリパンブルー)の排除およびIL-5がMIGの存在下でさえ好酸球の生存を促進する能力によって決定されるように、MIGは好酸球にとって毒性ではなかった(データ示さず)。
【0057】
CCR3内在化に対するMIGの効果
CCR3リガンドは、アゴニストとの受容体の嵌合の後に受容体の内在化を誘導する。MIG誘導性のCCR3内在化は、エオタキシンによって誘導される好酸球の遊走を阻害するMIGの能力を説明し得る。
【0058】
図4は、ケモカイン誘導性の好酸球の肺への動員の、用量依存的なMIG阻害を示す。図4Aは、エオタキシン-2に対して気道中に移動した好酸球の平均および標準偏差を示す。IL-5トランスジェニックマウスを、生理的食塩水または1μgのMIGで静脈内処置し、その30分後に3μgのエオタキシン-2または生理的食塩水で気管内チャレンジした。データは、各群において2匹〜6匹のマウスを用いた3つの独立した実験を示す。図4Bは、エオタキシン-2でのチャレンジの前に、示された用量の生理的食塩水またはMIGで処置したマウスを示す。データ(平均および標準偏差)は、1回の実験当たり各群中4匹のマウスを用いた、代表的な実験(n=2)からの気道好酸球を示す。
【0059】
図6B中に示されるように、1ng/ml、100ng/mlまたは1000ng/ml(82pM〜82nM)の用量のMIGでの好酸球の予処理は、CCR3のレベルに有意には影響を与えなかった。対照として、100ng/ml(9.7nM)のエオタキシン-2での好酸球の予処理は、CCR3発現の顕著な内在化を誘導した。エオタキシン-2の効果は、4℃でのプレインキュベーションを実施した場合には見られず、このことにより、このアッセイがエピトープ遮断ではなく受容体内在化を検出していることが確認された。
【0060】
MIGは、エオタキシンおよびIL-13によって誘導される肺への好酸球の動員を阻害する
MIGがin vivoで好酸球阻害剤として作用する効果を決定した。エオタキシン-2またはIL-13のいずれかによって誘導される肺への好酸球動員をMIGが阻害する能力を評価した。エオタキシン-2を気管内に投与する30分前に静脈内投与された1μgのMIGによるマウスの予めの処置は、肺への好酸球輸送において90%より高い阻害を生じた(図4A)。MIGは、0.1μgのMIG〜1.0μgのMIGとの間で用量依存的な阻害を実証した(図4B)。
【0061】
IL-5トランスジェニックマウスに気管内投与されたエオタキシン-2は、肺への顕著な好酸球動員を誘導した。例えば、図4Aを参照して、エオタキシン-2処置の3時間後のBALF中の好酸球レベルは、1.9±2.3×103(n=2のマウス)から7.2±5.4×105(n=6のマウス)まで上昇した。しかし、気管内エオタキシン-2投与の30分前のMIG(1μg)でのマウスの静脈内注射は、生理的食塩水の静脈内注射と比較して、好酸球の動員を低下させた(p<0.02)。
【0062】
鼻腔内エオタキシン-2投与の30分前のMIGの静脈内投与は、用量依存的な様式で肺への好酸球動員を阻害した。図4Bを参照して、IL-5トランスジェニックマウスへの100ngの用量のMIGの静脈内投与は、BALF中への好酸球の動員を21%低下させた。500ngの用量のMIGの静脈内投与は、BALF中への好酸球の動員を51%低下させた(p=0.02)。1000ngの用量のMIGの静脈内投与は、BALF中への好酸球の動員を88%低下させた(p=0.01)。MIGが阻害活性を特異的に担ったことを確認するために、マウスを異なるケモカインであるマウスMCP-1(JEとしても公知)(1μg)で処置し、その後エオタキシン-2の鼻腔内投与を行った。このケモカインJEは、肺におけるエオタキシン誘導性の好酸球動員に対して影響を有さなかった(データ示さず)。比較のために、マウスに、エオタキシン-2の鼻腔内投与の前に1μgのエオタキシン-1を静脈内投与し、応答した好酸球の肺への移動を決定した。図4C中に示されるように、MIGおよびエオタキシン-1は、匹敵する阻害活性を有した。データは、1回の実験当たり各群中4匹のマウスを用いた代表的な実験(n=2)における肺または気道の好酸球の平均±標準偏差を示す(*p≦0.04)。
【0063】
肺組織中の好酸球レベルを、組織学的試験および抗MBP染色によって評価した。好酸球移動は、エオタキシン-2鼻腔内送達の前の静脈内MIG処置後に阻害された。これらの結果は図4D中に示され、好酸球を、エオタキシン-2の鼻腔内投与の前の生理的食塩水またはMIGの静脈内処置後に、肺において抗MBP免疫組織化学によって検出した。エオタキシン-2の投与前に鼻腔内投与されたMIG(1μg)は、好酸球動員を有意に阻害しなかった(データ示さず)。したがって、MIG活性は、局所的投与ではなく全身投与に依存するようであった。BALFまたは肺組織のいずれかへの好酸球動員に対するMIGの阻害効果とは対照的に、血液中の好酸球レベルは、いずれの用量が投与されてもMIGによって影響されなかった。
【0064】
MIGがin vivoで好酸球ケモカイン応答を阻害する能力は、エオタキシン-2に限定されなかった。MIGはまた、エオタキシン-1の効果も阻害した。1μgのMIGでの予めの処置は、2.6±0.42×106細胞から4.0±1.6×105細胞まで、エオタキシン-1誘導性のBALF好酸球増加を低下させた(n=3のマウス/群)。MIGはまた、エオタキシン誘導性の好酸球の血液への動員を阻害した。1μgのエオタキシン-1の静脈内投与の後に、エオタキシン-1は、循環好酸球レベルの迅速な増大を誘導した。これらの結果を図4E中に示す。1μgのMIGをエオタキシン-1と組み合わせて投与した場合、エオタキシン誘導性の好酸球動員は有意に低下した(*p<0.0001)(各群12匹のマウスで3回の実験)。
【0065】
MIGは、IL-13誘導性の肺への顆粒球輸送をin vivoで阻害した。IL-13で処置したマウスを、第二の用量のIL-13の30分前に、生理的食塩水またはMIGで静脈内処置した。これらの結果を図8中に示す。データは、処置後のBALF中の好酸球および好中球の平均および標準偏差を示し、代表的な実験(n=2)を示す。
【0066】
ナイーブなBalb/cマウスに気管内投与したIL-13もまた、肺への好酸球の顕著な動員を誘導した。IL-13を4μgの用量で投与した。2日後、これらのマウスに、MIG(1μg)の静脈内注射を投与し、その後第二の用量のIL-13(10μg)を再度気管内投与した。3日後、BALFの細胞計数を調べた。
【0067】
図8を参照して、MIGで予め処置した、IL-13投与した(MIG IV/IL-13 IT)マウス由来のBALFは、生理的食塩水で予め処置した(対照、Sal IV/IL-13 IT)マウス(17.8±5.0×103(n=4のマウス))と比較して、好酸球を低下させた(4.2±2.7×103(n=4のマウス))(p=0.003)。MIGでの処置の後にIL-13で処置したマウス由来のBALFもまた、生理的食塩水で予め処置した(対照、Sal IV/IL-13 IT)マウス(13.2±3.6×104(n=4のマウス))と比較して、好中球を低下させた(5.1±3.7×104(n=4のマウス))(p=0.02)。これらのデータは、静脈内MIGが多様な刺激に応答した肺への好酸球動員を阻害したことを示す。肺における好中球レベルもまたMIGによって阻害されたという知見は、肺への白血球の輸送、より具体的には顆粒球の輸送を遮断するその一般化された能力を示唆する。IL-13は、喘息の病因における中心的かつ決定的なサイトカインであるとみなされているので、MIGがIL-13の作用を遮断する能力は、治療的見地から有益である。
【0068】
MIGは、肺へのOVA誘導性の好酸球動員を阻害する
MIGの薬理学的投与がOVA誘導性実験的喘息モデルにおいて肺への好酸球動員をダウンレギュレートするか否かを決定するために、OVAで感作したマウスを、鼻腔内OVAまたは生理的食塩水での1回のチャレンジに供した。アレルゲンチャレンジの30分前に静脈内投与したMIGが肺への白血球動員を阻害する能力を決定した。図5は、MIGがアレルゲン誘発性の肺への好酸球動員を阻害し、in vivoで好酸球阻害剤として機能したことを示す。図5Aは、1回の実験当たり各群中4匹の、鼻腔内OVAチャレンジの30分前に静脈内の生理的食塩水またはMIG(1μg)で処置したOVAチャレンジマウスを用いた代表的な実験(n=2)を示す。図5Bは、MIG中和が、アレルゲン誘発性の肺への好酸球動員を増大させたことを示す。OVAチャレンジマウスを、500μgの抗MIG抗体または同位体が一致した対照抗体(Ctl-Ab)の腹腔内注射で処置した。これらの結果は、1回の実験当たり各群中2匹〜4匹のマウスを用いた代表的な実験(n=2)からのものである。図5Aおよび5Bからのデータは、気道好酸球の平均および標準偏差を示す。
【0069】
OVAチャレンジした対照マウス(生理的食塩水注射)は、BALF中の増大した総白血球計数を実証した。BALF中の好酸球は、9.1±4.0×102(IV 生理的食塩水、IN 生理的食塩水)から1.7±0.4×104(IV 生理的食塩水、IN OVA)まで増大した(p=0.08)。BALF中の総白血球は、5.3±0.7×104(n=3)から10.2±2.1×104(n=4)まで増大した。BALF中の増大した好中球は、8.1±4.4×103から4.7±1.4×104まで増大した(p=0.005)。
【0070】
OVAでのチャレンジの30分前にMIGを投与したマウスは、BALF中の好酸球を低下させた。OVAチャレンジの前に生理的食塩水を受けるマウス(IV 生理的食塩水、IN OVA)と比較して、OVAチャレンジの前にMIGを受けるマウス(IV MIG、IN OVA)は、BALF中の好酸球における70%の低下(p=0.0009)を実証した。この低下は好酸球に特異的であった。OVAチャレンジの前にMIGを受けるマウスは、BALFの好中球またはリンパ球のいずれにおいても低下を有さなかった(データ示さず)。この低下は、MIGにも特異的であった。OVAチャレンジの前にサイトカインJE(1μg)を受けるマウスは、OVAチャレンジの前に生理的食塩水を受けるマウスと比較して、変化を示さなかった(データ示さず)。
【0071】
薬学的に投与されたMIGと対照的に、内因的に発現されたMIGが好酸球移動をin vivoで阻害する能力を評価した。低下したMIGを有するかまたはMIGを有さないOVAチャレンジマウスは、BALF中への増大した好酸球動員を実証することが予測された。OVAで感作したマウスに、OVAでの1回の鼻腔内チャレンジの24時間前に抗マウスMIG(500μg)を投与した。次いで、BALF中への好酸球動員を評価した。これらの結果を図5B中に示す。
【0072】
OVAチャレンジしたIgG対照処置マウスは、気道への好酸球動員を増大させた。対照マウスにおけるBALF中の好酸球は5.0±4.5×102(IP 生理的食塩水、IN 生理的食塩水)であったが、対照抗体を受けるマウス(IP CTL-Ab、IN OVA)におけるBALF中の好酸球は、1.2±0.2×104であった。抗MIG抗体でのマウスの処置は、同位体対照処置したマウスの2倍よりも多く、BALF中の好酸球を増加させた。OVAチャレンジ後に、同位体対照処置したマウスにおけるBALF中の好酸球は1.2±0.2×104であったが、抗MIG処置したマウスにおけるBALF中の好酸球は3.3±0.4×104であった。
【0073】
マウス好酸球に対するMIGの直接的結合
好酸球に対するMIGの効果の性質を、MIGがin vitroで好酸球に結合するか否かを評価することによって決定した。好酸球調製物を、IL-5トランスジェニックマウスの脾臓から調製した。これらのマウスは、脾臓中に非常に多数の好酸球を有し、マウス好酸球の簡便な供給源として働く。脾細胞を、4つの用量(100nM〜1μM)のうち1つの用量のMIGに曝露した。脾細胞好酸球に対するMIGの結合を、抗MIG抗血清を使用するフローサイトメトリーによって評価した。図6A中に示されるように、MIGは好酸球の表面に結合し、エオタキシン-2シグナル伝達を弱めた。MIGは、IL-5トランスジェニックマウス由来のマウス好酸球の表面に、用量依存的な様式で結合した。比較して、塗り潰したヒストグラムは、ケモカインが存在しない場合に結合がないことを示す。図6Bは、MIGがCCR3内在化を誘導しなかったことを示す。緩衝液(実線)、エオタキシン-2(点線)またはMIG(破線)とのインキュベーション後の好酸球上の表面CCR3の分析。塗り潰したヒストグラムは、同位体が一致した対照からの結果を示す。図6Cは、増強されたエオタキシン-2が、MIGでの予処理の後に好酸球においてp44/42(Erk1およびErk2)のリン酸化を誘導したことを示す。細胞を、緩衝液、MIGおよび/またはエオタキシン-2と共に、示された時間および用量でインキュベートした。p44/42のリン酸化をウエスタンブロット分析によって決定した。これらの結果は、代表的実験(n=2)からのものである。
【0074】
MIGの増大した用量は、MIGまたは別のサイトカインに曝露されていない好酸球と比較して、好酸球の表面へのMIGの結合を増大させた。500nMおよび1μMのMIGへの好酸球の曝露は、MIG結合における用量依存的な増大を示した。陰性対照として、好酸球をサイトカインJE(マウス好酸球によって通常は発現されないCCR2のリガンド)に曝露させた。好酸球に対するMIGの結合は、マウス好酸球の表面上のCXCR3の検出可能な発現の非存在下でさえ、好酸球に対するJEの結合よりも大きかった(データ示さず)。
【0075】
CCR3が好酸球におけるMIG受容体であるか否かを決定するために、MIGが好酸球へのビオチン化エオタキシン-1の結合について競合する能力を決定した。未標識のエオタキシン-1またはエオタキシン-2は、好酸球へのビオチン化エオタキシン-1の結合について競合し得たが、10μmまでの用量の未標識のMIGは、結合するCCR3リガンドを阻害しなかった(データ示さず)。CCR3とのMIGの相互作用は、CCR3の内在化と共に好酸球へのMIGの結合の低下を生じるはずなので、MIG結合の効果を、顕著なCCR3内在化を促進する条件下でエオタキシン-2で予め処理した好酸球を用いて決定した。これらの条件下で、MIG結合は阻害されなかった(データ示さず)。したがって、Loetscherら(J.Biol.Chem.276:2986(2001))によって示された提案とは対照的に、MIGが好酸球応答を阻害する能力は、CCR3の競合的拮抗に単純に関連するわけではなかった。
【0076】
ケモカインによる受容体の活性化は、細胞内シグナル伝達および複数のリン酸化事象のカスケードを引き起こす。マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼは、ヒト好酸球をCCR3リガンドへ曝露させた後に、リン酸化および活性化される。したがって、CCR3リガンド誘導性のシグナル伝達に対するMIGの影響を決定した。具体的には、2つのMAPキナーゼ(Erk1をリン酸化するp44 MAPキナーゼおよびErk2をリン酸化するp42 MAPキナーゼ)のリン酸化活性を、MIGでの予処理の存在下および非存在下でエオタキシン-2に曝露された好酸球においてアッセイした。これらの結果を、図6C中でウエスタンブロットとして示す。
【0077】
対照好酸球(MIGでの予処理なしにエオタキシン-2に曝露させた)において、p44およびp42の両方によるリン酸化は、エオタキシン-2曝露の2分後に最大であり、次いで10分後にダウンレギュレートされた。P44またはp42のいずれによるリン酸化も、任意のMIG用量(50nM〜100nM)のMIG曝露のみ(エオタキシン-2なし)では検出されなかった。図6Cは、50nMのMIGでの予処理の効果を示す。MIGで予め処理し、次いでエオタキシン-2に曝露させた好酸球は、上記のエオタキシン-2へ曝露された好酸球と比較して、増大したErk1およびErk2のリン酸化を実証した。
【0078】
MIGは、好酸球における機能的応答を阻害する
好酸球をMIGで予め処理し、次いでエオタキシン-1(10nM)で処理した。好酸球のエオタキシン活性化は、ニトロブルーテトラゾリウムポジティブ(NBT+)細胞を増大させ、これは、スーパーオキシドアニオンおよび関連の反応性酸素種を示す。図6D中に示されるように、MIG(100nM)での予処理は、エオタキシン誘導性のNBT+好酸球を94%阻害した。結果はポジティブ細胞の割合を示し、エラーバーは平均±標準偏差を示す(n=3)。
【0079】
MIGは、多様な化学誘引物質への好酸球の応答を阻害する
CCR3欠損マウスがOVAでの感作およびチャレンジの後に、BALFの好酸球増加において約50%の低下を示したという最近の知見を考慮すると、肺におけるアレルゲン誘発性好酸球増加に対するMIGの阻害は驚くべきことであった。したがって、好酸球においてCCR3媒介性の経路を阻害することに加えて、MIGはまた、さらなる経路を介してシグナル伝達する化学誘引物質を阻害し得る。IL-13は複数の好酸球化学誘引物質を誘導するので、これは、MIGがIL-13誘導性の好酸球の肺動員もまた遮断したという結果と一致した。
【0080】
MIGが非CCR3リガンドに対する好酸球の走化性を変更する能力を評価した。好酸球を、100ng/mlまたは10000ng/mlのいずれかの用量のMIGで予め処理した。血小板活性化因子(PAF)(1μm)に対する引き続く走化性応答を評価した。図7は、MIGがPAFに対する好酸球の移動をin vivoで阻害したことを示す。細胞を、緩衝液またはMIGでの予処理の後に、PAFに対して遊走させた。データ(平均および標準偏差)は、代表的な実験(n=2)からのものであり、1μmのPAFに対して移動した好酸球を示す。
【0081】
図7中に示されるように、MIGでの予処理は、PAFに応答した好酸球移動を阻害した(p=0.007)。したがって、MIG誘導性の阻害は、CCR-3リガンドに限定されるものではなく、多様な化学誘引物質に対する好酸球の応答を変更した。これらのデータは、MIGが好酸球の機能的非感受性を誘導したことを示した。特定の理論に束縛されないが、このような非感受性は、異種受容体脱感作に起因し得る。
【0082】
この組成物は、哺乳動物(例えばヒト)に、予防的にまたは特定の状態もしくは疾患に応じて投与することができる。例えば、この組成物は、喘息症状および/またはアレルギー症状を有する患者に投与することができる。この組成物は、吸入、エアロゾル、滴剤などによって非全身的に投与されてもよく、経腸経路または非経口経路(静脈内注射、皮下注射、筋内注射、腹腔内注射、固体形態または液体形態(錠剤(咀嚼、溶解性など)、カプセル(硬質ゲルまたは軟質ゲル)、丸薬、シロップ、エリキシル剤、エマルジョン、懸濁物など)での経口投与を含むがこれらに限定されない)によって全身的に投与してもよい。当業者に公知のように、この組成物は、賦形剤(薬学的に許容される緩衝液、乳化剤、界面活性剤、電解質(例えば、塩化ナトリウム)が含まれるがこれらに限定されない)を含むことができ;経腸製剤は、揺変剤、香味剤および官能品質を増強するための他の成分を含むことができる。
【0083】
この組成物中で哺乳動物に投与されるMIGの用量は、約10μg/kg〜約10mg/kgの間の範囲内である。哺乳動物に投与されるIP-10の用量は、約10μg/kg〜約10mg/kgの間の範囲内である。一実施形態において、約30μg/kgの用量のMIGまたはIP-10を投与する。投薬は、投与経路に依存し得る。例として、静脈内投与は、連続的または非連続的であってよく;注射は簡便な間隔(例えば、毎日、毎週、毎月など)で投与され得;経腸製剤は、1日1回、1日2回などで投与することができる。投与のための指示は、規定された投薬スケジュールまたは「必要に応じた」基礎に従い得る。
【0084】
本発明の他のバリエーションまたは実施形態もまた、以下の図面および上記の記載から当業者に明らかである。例えば、MIGおよび/またはIP-10と類似の機能的活性を示す、MIGおよび/またはIP-10に対する相同性を有す線状ペプチド(MIGおよび/またはIP-10のアナログ)もまた投与することができる。したがって、上記の実施形態は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1A】サイトカインであるインターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)および10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)のアレルゲン誘導を実証する図である。図1Aは、対照肺およびオボアルブミンアレルゲンでチャレンジした肺からの、実験的喘息を有するマウスにおけるインターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)(図1A)の誘導を示すマイクロアレイハイブリダイゼーション分析由来のグラフである。
【図1B】図1Bは、対照肺およびオボアルブミンアレルゲンでチャレンジした肺からの、実験的喘息を有するマウスにおけるIP-10(図1B)の誘導を示すマイクロアレイハイブリダイゼーション分析由来のグラフである。
【図1C】図1Cは、対照肺およびアレルゲン曝露後の種々の時点でのチャレンジした肺由来の肺リボ核酸(RNA)のノザンブロットである。
【図1D】図1Dは、対照肺およびアレルゲンとしてAspergillusでチャレンジした肺由来の肺RNAのノザンブロットである。
【図1E】図1Eは、野生型マウスおよびノックアウトマウスにおけるAspergillusチャレンジ後の、MIG誘導に対する転写因子STAT-6の効果を示すノザンブロットである。
【図1F】図1F(A〜D)は、インサイチュハイブリダイズによる、オボアルブミンチャレンジした肺におけるMIG mRNAの発現パターンを示す。
【図2】受容体発現データの比較を示す図である。図2(A〜D)は、フローサイトメトリー分析からのデータを示す。図2Eは、in vitroでの好酸球移動に対するMIGの効果を示す代表的な走化性アッセイである。
【図3】in vitroでのエオタキシン-2に対する好酸球走化性応答に対するMIGでの予処理の阻害効果を示す図である。
【図4A】in vivoでの肺への好酸球の移動に対するMIGでの予処理の効果を示す図である。図4Aは、エオタキシン-2に対する好酸球応答に対するMIGでの予処理の効果を示す。
【図4B】図4Bは、MIGの漸増用量の効果を示す。
【図4C】図4Cは、エオタキシン-2に対する好酸球応答に対するエオタキシン-1での予処理の効果を示す。
【図4D】図4D(1〜2)は、抗MBP免疫組織化学によって検出された好酸球を有する肺組織を示す。
【図4E】図4Eは、エオタキシン誘導性の血液への好酸球の移動に対するMIGの効果を示す。
【図5】オボアルブミン誘導性の実験的喘息における、肺への好酸球動員に対するMIGの効果を示す図である。図5Aは、アレルゲンオボアルブミンに応答した好酸球動員に対するMIGでの予処理の効果を示す。図5Bは、対照抗体および抗MIG抗体を使用して、オボアルブミンチャレンジの前にMIGを中和することの効果を示す。
【図6A】in vitroの好酸球における、好酸球に対するMIGの効果を示す図である。図6A(1〜2)は、好酸球に対するMIGの特異的結合を示す。
【図6B】図6B(1〜2)は、MIGによるCCR3の内在化の欠如を示す。
【図6C】図6C(1〜2)は、MIGでの予処理の存在下および非存在下でエオタキシン-2に曝露された好酸球のウエスタンブロットを示し、リン酸化Erk1およびリン酸化Erk2ならびに総Erk1および総Erk2のレベルが示される。
【図6D】図6Dは、スーパーオキシド産生に対するMIGの効果を示す。
【図7】非CCR3リガンドに対する好酸球の走化性に対するMIGの効果を示す図である。
【図8】サイトカインIL-13によって誘導される、肺への白血球動員に対するMIGの効果を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、好酸球の機能および分布を化学誘引物質誘導性に変化させる組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国政府は、本発明において支払い済みのライセンスを有し、National Institutes of Healthによって授与された助成金番号RO1 AI42242-04XXおよびAI45898の条件によって規定されるように、限定された状況において特許所有者に合理的な条件で他者に認可するよう要求する権利を有する。
【0003】
本出願は、現在係属中であり、本明細書でその全体が参考により明白に援用される、米国仮特許出願第60/438412号(2003年1月7日出願)に対する優先権を主張する。
【0004】
好酸球は、末梢血中に通常総白血球の約1%〜3%の濃度で出現する、顆粒球性白血球(leukocyte)(白血球(white blood cell))すなわち顆粒球の1つのタイプである。組織中でのそれらの存在は、通常、胃腸粘膜に主に限定されている。種々の疾患状態において、好酸球は、末梢血および/または組織において増大し、この状態は、好酸球増加と称され、Rothenberg、Eosinophilia、N.Engl.J.Med.338、1592-1600(1998)によって記載されている。
【0005】
末梢血および組織における好酸球蓄積は、いくつかの疾患の顕著な特徴である。これらの疾患には、アレルギー性障害(例えば、アレルギー性鼻炎、喘息および湿疹);寄生虫感染;特定の型の悪性腫瘍;慢性炎症障害(例えば、炎症性腸疾患);ならびに特定の症候群(例えば、好酸球性胃腸炎、好酸球性大腸炎、好酸球性蜂巣炎、好酸球性食道炎、好酸球性筋膜炎);ならびに全身性疾患(例えば、チャーグ-ストラウス症候群、好酸球性肺炎および特発性好酸球増多症候群)が含まれる。組織における好酸球蓄積は、強力な炎症促進作用または組織再構成を引き起こし得る。
【0006】
多数のメディエータが好酸球化学誘引物質として同定されている。これらのメディエータには、脂質メディエータ(血小板活性化因子(PAF)、ロイコトリエン)および最近ではケモカイン(例えば、ケモカインのエオタキシンサブファミリー)のような多様な分子が含まれる。ケモカインは、組織細胞および白血球によって産生される小さい分泌タンパク質であり、恒常状態および炎症状態の間の白血球のホーミングを調節する。2つの主なサブファミリー(CXCケモカインおよびCCケモカイン)は、最初の2つのシステインの配列によって区別され、この2つのシステインは、1つのアミノ酸によって分離されている(CXC)かまたは隣接している(CC)。
【特許文献1】米国仮特許出願第60/438412号
【非特許文献1】Rothenberg、Eosinophilia、N.Engl.J.Med.338、1592-1600(1998)
【非特許文献2】Loetscherら、J.Biol.Chem.276:2986(2001)
【非特許文献3】Rankinら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93:7821(1996)
【非特許文献4】Mishraら、J.Clin.Invest.107:83(2001)
【非特許文献5】Rothenbergら、Molec.Med.2:334(1996)
【非特許文献6】Matthewsら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.95:6273(1998)
【非特許文献7】Zimmermannら、J.Immunol.164:1055(2000)
【非特許文献8】Zimmermannら、J.Biol.Chem.274:12611(1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
好酸球は通常、循環する細胞または組織に留まる細胞の小さい割合のみを占め、特定の疾患状態下で好酸球数が顕著かつ選択的に増大するという知見は、これらの白血球の選択的な生成および蓄積を調節する分子機構の存在を示す。したがって、好酸球機能を調節するための組成物が、広範な種々の好酸球媒介性状態に関して所望される。例えば、小児喘息は、その発症率が上昇しつつある好酸球媒介性状態であり、現在、小児病院の入院の原因となる主要な診断である。好酸球機能を変化させることによる喘息の緩和は、他の好酸球媒介性状態の範囲と共に、有益である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、好酸球機能を阻害する方法に関する。好酸球機能阻害活性を有する単離サイトカインを含む医薬組成物を、好酸球機能を阻害するために、薬学的に有効な量で患者に投与する。この組成物は、受容体発現、受容体内在化、シグナル伝達、遊走、脱感作、脱顆粒および/またはメディエータ放出を阻害し得る。このサイトカインは、インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)および/または10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)であってよい。
【0009】
本発明の別の実施形態は、例えば、気道、肺、気管、気管支肺胞洗浄液または血液において、アレルゲン誘発性好酸球増加を緩和させる方法である。好酸球増加はまた、アレルギーに罹患した身体部分(例えば、眼、皮膚および腸)において緩和することができる。
【0010】
本発明の別の実施形態は、化学誘引物質に対する好酸球応答を阻害するのに充分な量で、好酸球阻害性サイトカインを含む医薬組成物を投与するステップによる処置方法である。このサイトカインは、約10μg/kg〜約10mg/kgの用量で投与されるMIGおよび/またはIP-10であってよく、この化学誘引物質は、エオタキシン-1、エオタキシン-2もしくはエオタキシン-3、MCP-2、MCP-3、MCP-4もしくはMCP-5、RANTESおよび/またはMIP-1aであってよい。この用量は、例えば、静脈内または経口的に、全身投与することができる。
【0011】
本発明の別の実施形態は、アレルゲンに曝露される可能性が高い患者か、アレルゲンに曝露される患者か、またはアレルゲンに曝露された患者の気道において炎症を緩和する量で単離好酸球阻害性サイトカインを含む医薬組成物を投与する緩和方法である。この患者は、鼻炎、喘息および/または湿疹の症状を示し得る。
【0012】
本発明の別の実施形態は、肺好酸球動員を阻害する量で、医薬組成物中のMIGおよび/またはIP-10を投与することによる、肺好酸球動員を阻害する方法である。この組成物が投与される患者は、喘息および/またはアレルギーの患者であってよい。
【0013】
本発明の別の実施形態は、肺の炎症性細胞を負に制御し得る少なくとも1種のサイトカインを含む医薬組成物を投与することによる、アレルギー患者のための処置方法である。
【0014】
本発明の別の実施形態は、好酸球増加を有する個体のための処置方法である。MIGおよび/またはIP-10のいずれかが、好酸球移動、組織動員、受容体結合、シグナル伝達、脱顆粒および/またはメディエータ放出を変化させるために、約10mg/kgまでの用量で投与される。
【0015】
本発明の別の実施形態は、患者において喘息を緩和するための方法である。MIGは医薬組成物中で投与され、それによってこの患者におけるインターロイキン(IL)-13関連の喘息応答を阻害する。
【0016】
本発明の別の実施形態は、薬学的に許容される製剤中に、アレルゲンの存在下で好酸球活性を変化させるのに充分な量のMIGおよび/またはIP-10を含む医薬組成物である。この量は、約10μg/kgから約10mg/kgの範囲の用量が投与することができるような量である。
【0017】
本発明の別の実施形態は、好酸球誘導性刺激に応答する少なくとも1つの好酸球機能を阻害するサイトカインを含む医薬組成物である。このサイトカインは、MIGおよび/またはIP-10であってよい。この刺激は、アレルゲン、アレルギー反応、感染ならびに/またはケモカイン(例えば、エオタキシン、IL-13および/もしくは血小板活性化因子)であってよい。あるいは、この刺激は特発性であってよい。
【0018】
本発明の別の実施形態は、薬学的に許容される製剤中に、アレルゲンの存在下で好酸球活性を阻害するのに充分な量で、単離されたTh1関連ケモカインを含む医薬組成物である。
【0019】
本発明の別の実施形態は、薬学的に許容される製剤中に、好酸球機能を阻害するのに充分な用量で、組換えMIGサイトカインおよび/または組換えIP-10サイトカインを含む医薬組成物である。
【0020】
これらおよび他の利点は、以下の図面および詳細な説明を考慮して明らかである。
【0021】
本出願は、カラーで製作された少なくとも1枚の図面を含んでいる。カラーの図面の受理を要求する米国特許施行規則1.84の下での請願を、本明細書と同日に別個に出願する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
好酸球機能を特異的に変化させるケモカインおよびそれらの薬学的使用のための方法が開示される。これらには、インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)および10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)が含まれる。好酸球関連疾患のための治療および作用機構におけるそれらの役割もまた開示される。当業者に理解されるように、用語サイトカインは、ケモカインを包含するように本明細書中で使用される。
【0023】
ケモカインは、Gタンパク質に共役した7回膜貫通ドメイン受容体(これはまた、CXCケモカインおよびCCケモカインに対して、それぞれCXCR6およびCCRと称される2つの主要なサブファミリーを形成する)を介してシグナルを誘導する。好酸球に対する選択的活性を有するCCケモカインであるエオタキシン(CCL11;現在エオタキシン-1と称される)は、好酸球のベースラインホーミングを調節することにおいて支配的な役割を有し、アレルゲン誘発性の炎症応答の間の好酸球組織動員を調節することにおいて寄与する役割を有する。好酸球選択的化学誘引物質活性を有するCCケモカインをコードし、エオタキシン-2(ヒトおよびマウスにおいて)およびエオタキシン-3(ヒトのみにおいて)と称される、さらなるケモカインがゲノム中で同定されている。
【0024】
エオタキシン-1、エオタキシン-2およびエオタキシン-3の特異的活性は、好酸球上でのエオタキシン受容体CCR3の選択的発現によって媒介される。CCR3は無差別な受容体である。CCR3は、マクロファージ化学誘引物質タンパク質(MCP)-2、MCP-3およびMCP-4、RANTES(活性化の際に調節され、正常T細胞で発現および分泌される(regulated upon activation normal T-cell expressed and secreted))ならびにHCC-2(MIP-5、ロイコタクチン(leukotactin))を含む複数のリガンドと相互作用するが、この受容体を介して排他的にシグナル伝達するリガンドは、エオタキシン-1、エオタキシン-2およびエオタキシン-3のみであり、このことは、これらのエオタキシンの細胞選択性を説明する。CCR3リガンドは一般に、より強力な好酸球化学誘引物質であるので、CCR3は、優勢な好酸球ケモカイン受容体として機能するようである。さらに、CCR3に特異的な阻害的モノクローナル抗体は、RANTES(好酸球中でCCR1またはCCR3を介してシグナル伝達し得るケモカイン)の活性を遮断する。アレルギー応答に関与する他の細胞(Th2細胞、好塩基球、肥満細胞およびおそらくは呼吸上皮細胞)もまたCCR3を発現するが、これらの細胞上でのCCR3発現の有意性は、好酸球と比べるとあまり明らかに実証されてはいない。
【0025】
好酸球関連アレルギー性気道炎症の誘導の間に、白血球の組織動員は、ケモカインの協調された誘導によって組織化される。好酸球に焦点を当てると、好酸球の誘導においてTh2サイトカインがケモカインを活性化することを意味するパラダイムが出現した。例えば、IL-4およびIL-13は、エオタキシンおよびMCPのin vitroの強力なインデューサーである。Th2サイトカインが過剰発現されるかまたは肺に投与される場合、エオタキシンの顕著な誘導ならびに強力な好酸球肺動員が存在する。
【0026】
対照的に、Th1サイトカイン(例えばインターフェロン-γ(IFN-γ))は、異なるセットのケモカイン(例えば、IP-10またはCXCL10と命名された10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質;MIGまたはCXCL9と命名されたインターフェロンによって誘導されるモノカイン;およびI-TACまたはCXCL11と命名されたINF誘導性T細胞α化学誘引物質)を誘導する。これらのケモカインは、(優先的にTh1表現型の)活性化T細胞上、NK細胞上、ならびに循環するCD4 T細胞およびCD8 T細胞の有意な画分上で発現される受容体であるCXCR3を介して選択的にシグナル伝達する点で独自である。この二分法は、ヒトCXCR3リガンドがヒトCCR3アンタゴニスト(これは、in vitroでCCR3+細胞上のCCR3リガンドの作用を阻害する)であることを示す最近の刊行物(Loetscherら、J.Biol.Chem.276:2986(2001))を考慮するとなおさらに複雑であってよい。
【0027】
Clara細胞10プロモーターの調節下でマウスIL-4を過剰発現するマウス(Jeffrey Whitsett博士の厚意による贈与)を使用して、MIGの誘導を試験した(Rankinら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93:7821(1996))。全てのマウスを、特定の病原体を含まない条件下で、制度上のガイドラインに従って維持した。IL-5トランスジェニックマウスを血液および脾臓の好酸球の供給源として使用した。
【0028】
喘息を、オボアルブミン(OVA)誘発喘息モデルおよびAspergillus fumigatus喘息モデルの両方を使用して、マウスにおいて実験的に誘発した。これらのモデルは、本明細書中でその全体が参考により明白に援用される、Mishraら、J.Clin.Invest.107:83(2001)中に記載されている。簡潔に述べると、OVA誘発喘息について、マウスに、OVAおよび水酸化アルミニウム(ミョウバン)(1mg)アジュバントの両方を0日目および14日目に腹腔内(i.p.)注射し、その後24日目に鼻腔内OVAまたは生理的食塩水のチャレンジを行った。Aspergillus誘発喘息については、3週間にわたりマウスにAspergillus fumigatusを反復鼻腔内投与した。
【0029】
好酸球増加を、本明細書中でその全体が参考により明白に援用される、Rothenbergら、Molec.Med.2:334(1996)中に記載される手順を使用して、エオタキシン-2またはIL-13のいずれかの投与により誘導した。3μgの組換えエオタキシン-2(Peprotech、Rocky Hill NJの厚意による贈与)、または4μgおよび10μgのIL-13を、気管内送達によりマウスの肺に直接投与した。簡潔に述べると、マウスをケタミン(5mg/100μl)で麻酔し、次いで直立させ、その後20μlの組換えエオタキシン-2、IL-13または生理的食塩水(対照)をピペット(Pipetman(登録商標)、Gilson、Middleton WI)を用いて気管中に送達した。
【0030】
MIG送達のために、200μl(1μg)の組換えケモカイン(Peprotech)を、外側尾部静脈中に注射し、その30分後に、エオタキシン-2の気管内投与もしくは鼻腔内投与および/またはOVAの鼻腔内チャレンジ投与を行った。
【0031】
OVA感作マウスにおけるMIG中和を、500μl(500μg)の抗マウスMIG(Joshua M. Farberの厚意による贈与)の腹腔内注射で誘導し、その24時間後にOVAまたは生理的食塩水の単回チャレンジを行った。対照群に、同位体が一致する対照抗体を注射した。
【0032】
アレルゲンでチャレンジしたマウス由来の気管支肺胞洗浄液(BALF)および/または肺組織を、チャレンジの18時間後に採収した。マウスを、CO2吸入によって安楽死させ、正中線頚部切開し、気管にカニューレを挿管した。肺を、1%の胎仔ウシ血清(FCS)および0.5mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含むリン酸緩衝化生理的食塩水(PBS)1.0mlで2回洗浄した。回収したBALFを遠心分離(4℃で400×gで5分間)し、1%のFCSおよび0.5mMのEDTAを含むPBS 200μl中に再懸濁した。総細胞数を血算盤で計数した。サイトスピン調製物をGiemsa-Diff-Quick(Dade Diagnostics of P.R.,Inc.、Aguada PR)で染色し、異なる細胞計数を決定した。肺由来のリボ核酸(RNA)を、製造業者の指示に従ってTrizol試薬を使用して抽出した。Trizol精製後に、RNAをフェノール-クロロホルム抽出およびエタノール沈殿で再精製した。
【0033】
マイクロアレイハイブリダイゼーションを、Children's Hospital Medical Center (Cincinnati OH)においてAffymetrix Gene Chip Core施設によって実施した。簡潔に述べると、RNAの品質を、Agilentバイオアナライザ(Agilent Technologies、Palo Alto CA)を使用して最初に評価した。1.3と2との間の28S/18S比を有するmRNAのみを次いで使用した。RNAを、cDNA合成のためのSuperscript選択(Invitrogen、Carlsbad CA)を用いてcDNAに転換し、次いでEnzo High Yield RNA Transcript標識キット(Enzo Diagnostics、Farmingdale NY)を用いてビオチン化cRNAに転換した。マウスU74Av2 GeneChip(Affymetrix、Santa Clara CA)へのハイブリダイゼーションの後、これらのチップを自動的に洗浄し、流体工学システムを使用してストレプトアビジン-フィコエリスリンで染色した。これらのチップを、Hewlett Packard GeneArray Scannerを用いてスキャンした。この分析を、チップ1つ当たり1匹のマウスを用いて実施した(各アレルゲンチャレンジ条件についてn=3および各生理的食塩水チャレンジ条件についてn=2)。
【0034】
遺伝子転写物のレベルを、Microarray Analysis Suite Version 4ソフトウェア(Affymetrix)中のアルゴリズムを使用して、データ画像ファイルから決定した。チップからチップへのレベルを、グローバルスケーリング(global scaling)によって比較した。こうして、各チップを、任意の値(1500)に対して正規化した。各遺伝子は、16個〜20個のプローブ対のプローブセットによって、典型的に示される。各プローブ対は、完全マッチのオリゴヌクレオチドおよび特定の位置に1塩基のミスマッチを含むミスマッチオリゴヌクレオチドからなる。遺伝子発現の2つの測定(絶対的コールおよび平均差異)を使用した。絶対的コールは、プローブセットへのRNAのハイブリダイゼーションに基づいて、存在、境界的または非存在のコールが各遺伝子に割り当てられる、定性的な測定である。平均差異は、全てのプローブ対のミスマッチと完全マッチとの間の差異をとり、全プローブセットにわたってこれらの差異を平均することによって計算される、遺伝子発現のレベルの定量的測定である。生理的食塩水で処置したマウスとOVAで処置したマウスとの間の差異もまた、GeneSpringソフトウェア(Silicon Genetics、Redwood City CA)を使用して決定した。各アレルゲンチャレンジの時点についてのデータを、生理的食塩水で処置したマウスの平均に対して正規化した。遺伝子表を、p<0.05および2倍より大きい変化を有する結果を用いて生成した。
【0035】
肺組織サンプルを、リン酸緩衝液(pH7.4)中の4%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィン中に包埋し、5μmの切片に切断し、陽電荷スライドに固定した。粘液産生の分析のために、組織を製造業者の推奨に従ってPeriodic Acid Schiff(Poly Scientific R & D Corp.)で染色した。具体的には、1.0×1.0cmの格子接眼レンズを使用して、粘液を産生している上皮細胞の割合を定量した。500の線形グラデーション(6.25mmの上皮を示す)をランダムに計数し、これらの結果を粘液産生細胞:総肺上皮細胞の比率として表示した。組織における好酸球染色のために、マウス主要塩基性タンパク質に対する抗血清(抗MBP)を、本明細書でその全体が参考により明白に援用される、Matthewsら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.95:6273(1998)中に記載されるように適用した。簡潔に述べると、内因性ペルオキシダーゼを、メタノール中0.3%の過酸化水素でクエンチし、その後通常のヤギ血清を用いて非特異的タンパク質をブロッキングした。次いで、これらの切片をウサギ抗マウスMBP抗体(1:2500、J.Lee、Mayo Clinic、Scottsdale AZの厚意による贈与)と共に4℃で一晩インキュベートし、その後ビオチン化ヤギ抗ウサギIgG二次抗体(1:200希釈)およびアビジン-ペルオキシダーゼ複合体(Vector Laboratories)と共に各々30分間インキュベートした。これらのスライドを、ニッケルジアミノベンジジン-塩化コバルト溶液でさらに処理して黒色沈殿物を形成し、ヌクレアファストレッドで対比染色した。免疫反応性細胞を、Mishraら、J.Clin.Invest.107:83(2001)中に記載されるように、形態分析(Metamorph Imaging System、Universal Imaging Corporation、West Chester PA)によって定量した。これらの肺切片をマウスの各セットにおいて同じ位置からとり、マウス1匹当たり少なくとも4個〜5個のランダムな切片を分析した。デジタル画像キャプチャを使用して、中間のサイズの細気管支または血管に関連する組織面積を、総組織面積に対する総MBP+細胞単位として定量した。計算した好酸球レベルを、細胞/mm2として表示した。
【0036】
走化性応答を、本明細書でその全体が参考により明白に援用される、Zimmermannら、J.Immunol.164:1055(2000)中に以前に記載されているように、呼吸上皮細胞を介した遊走によって決定した。簡潔に述べると、A549細胞(American Type Tissue Culture Collection、Rockville MD)を、10%のFCS、ペニシリンおよびストレプトマイシンを補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco BRL)中で、組織培養フラスコ中で単層として増殖させた。細胞単層をトリプシン処理し、遠心分離し、Transwell組織培養プレート(Corning Costar Corp.、Cambridge MA)中で透過性フィルタ(3μmの孔を有するポリカーボネートフィルタ)上で培養する前に新たな培地中に再懸濁した。100μlの体積中の細胞(1.5×105)を、2日間フィルタの上部表面上でコンフルエンスまで増殖させ、10ng/mlのTNFαで18時間処理した。ハンクス緩衝化塩溶液(HBSS)および0.5%のウシ血清アルブミン(BSA、低内毒素、Sigma)中の白血球(1.5×106)を上部チャンバ中に入れ、ケモカイン(HBSSおよび0.5%のBSA中)を下部チャンバ中に入れた。好酸球を、IL-5トランスジェニックマウス由来の脾細胞を使用して得た。遊走を1.5時間進行させた。下部チャンバ中の細胞を血算盤で計数し、細胞遠心分離し、Giemsa-Diff-quick(Dade Diagnostics of P.R.,Inc.、Aguada PR)で染色し、差示的白血球分析を顕微鏡で決定した。
【0037】
フローサイトメトリー分析のために、脾細胞(5×105)をFACS緩衝液(PBS中2%のBSA、0.1%のアジ化ナトリウム)で洗浄し、以下のうち1つと共に4℃で20分間インキュベートした:150ng(1.5μg/ml)のフィコエリスリンコンジュゲート化抗マウスCCR-3抗体(R & D Systems、Minneapolis MN)、300ng(3μg/ml)の抗マウスCXCR3(Merck Research Laboratoriesの厚意による贈与)、1μg(10μg/ml)のFITCコンジュゲート化抗マウスCD4(BD Biosciences Pharmingen、San Diego CA)または同位体が一致した対照IgG。FACS緩衝液中での2回の洗浄後、CXCR3について染色された細胞を、0.3μgのFITCコンジュゲート化同位体特異的二次抗体(Pharmingen)と共に暗中で4℃で20分間インキュベートした。2回の洗浄後、標識された細胞をFACScanフローサイトメータ(Becton Dickinson)でのフローサイトメトリーに供し、CELLQuestソフトウェア(Becton Dickinson)を使用して分析した。表面CCR3の内在化を、本明細書でその全体が参考により明白に援用される、Zimmermannら、J.Biol.Chem.274:12611(1999)中に記載されるようにアッセイした。簡潔に述べると、細胞を、0ng/mlもしくは100ng/mlのマウスエオタキシン-2、または1ng/ml〜1000ng/mlのマウスMIGのいずれかと共に、4℃または37℃のいずれかで15分間インキュベートした。ケモカイン曝露の後、細胞を氷上に即座に配置し、少なくとも2倍体積の冷FACS緩衝液で洗浄した。
【0038】
MIG結合について、細胞(5×105)を、100nM〜1000nMのマウスMIGと共に4℃で15分間インキュベートした。ケモカイン曝露の後、細胞を洗浄し、2%のパラホルムアルデヒドで固定し、洗浄し、次いで500ng(5μg/ml)の抗マウスMIG(R & D Systems)と共に4℃で15分間インキュベートした。細胞を、フィコエリスリンコンジュゲート化二次抗体で染色した。エオタキシン結合について、細胞(1×106)を、0μM〜10μMのMIGまたはエオタキシン-2に4℃で5分間曝露し、その後20nMのビオチン化エオタキシン(Sigma)またはJE(R & D Systems)と共にインキュベートした。ケモカイン結合を、FITCコンジュゲート化アビジン(R & D Systems)を用いて検出した。
【0039】
好酸球を、製造業者の指示に従ってDynabeads Mouse pan B(B220)およびpan T(Thy 1.2)を使用してT細胞およびB細胞を枯渇させた後に、シグナル伝達研究のためにIL-5トランスジェニックマウス由来の脾細胞から精製した。精製した(85%)好酸球(1×106)を、RPMI Medium 1640(Invitrogen Corporation、Carlsbad CA)中で37℃で15分間インキュベートし、その後、10nMのエオタキシン-2および/または50nM〜500nMのMIGを用いて37℃で2分間または10分間刺激した。反応を、2mMのオルトバナジン酸ナトリウム(Sigma)を含む冷PBSで停止させた。細胞を、25μlの溶解緩衝液(5mMのEDTA、50mMのNaCl、50mMのNaF、10mMのTris-HCl(pH7.6)、1%のTriton-X、0.1%のBSA)中で溶解させた。同量のサンプル緩衝液を各溶解物に添加し、その後5分間煮沸した。サンプルを、NuPAGE 4%〜12%のBis-Tris SDSゲル(Invitrogen)上で分離した。これらのタンパク質を、ニトロセルロースメンブレン(Invitrogen)上にエレクトロブロッティングによって移した。これらのブロットを、ホスホ-p44/42 Map Kinaseに特異的な抗体(Cell Signaling Technologies、Beverly MA)(1:1000)を用いてプローブした。メンブレンを、ストリッピング緩衝液(100mMの2-メルカプトエタノール、2%のSDS、62.5mMのTris-HCl(pH6.7))中での50℃で30分間のインキュベーションによってストリッピングし、次いでp44/42に対する抗体(Cell Signaling Technologies)(1:1000)を用いて再プローブした。メンブレンを抗ウサギIgG HRP(Cell Signaling Technologies)(1:1500)と共にインキュベートした後に、ECLシステム(Amersham Pharmacia Biotech、Piscataway NJ)を使用してタンパク質を可視化した。
【0040】
データは、注記した以外は平均±標準偏差として示した。異なるセットのマウスを比較する統計的有意性は、スチューデントt検定によって決定した。
【0041】
実験的喘息におけるCXCR3リガンドの同定
喘息の充分確立されたモデルにおいて示差的に発現される遺伝子を同定した。喘息を誘発するために、マウスを、ミョウバンアジュバントの存在下で、14日間隔で2回アレルゲンOVAで腹腔内で感作した。引き続き、複製マウスを、3日間隔で2回、鼻腔内OVAまたは対照生理的食塩水でチャレンジした。各アレルゲンチャレンジの3時間後および/または18時間後、肺RNAを、市販の特徴付けられたマウス遺伝子の最も大きいコレクションである、12,423個の遺伝子エレメントを示すオリゴヌクレオチドプローブを含むAffymetrixチップU74Av2を利用するマイクロアレイ分析に供した。
【0042】
生理的食塩水チャレンジしたマウスに対してアレルゲンチャレンジしたマウスを比較すると種々の時点で、これらの遺伝子の2%〜6%において2倍より大きい変化を示した(データ示さず)。これらのアレルゲン誘発性遺伝子のうち、ケモカインをコードする遺伝子が大きいサブセットを示した。例えば、このマイクロアレイチップは、29個のケモカイン遺伝子を示すオリゴヌクレオチドを含んでいた。これらのうち10個は、生理的食塩水チャレンジした対照マウスと比較して、アレルゲン誘発性であった。誘導されたケモカイン遺伝子のいくつかは、アレルギー性肺応答と以前には関連付けられていなかった。例えば、IFN-γ誘導性ケモカインであるMIGおよびIP-10の強力な誘導が存在した。
【0043】
図1は、オボアルブミン(OVA)またはAspergillus fumigatusにより誘導された喘息モデルにおけるMIG mRNAおよびIP-10 mRNAの発現を示す。1Aは、生理的食塩水(対照)チャレンジしたマウスおよびOVAチャレンジしたマウスのハイブリダイゼーションシグナルについての平均差異(平均およびこの平均の標準誤差)を示す。1Bは、1回のチャレンジの3時間後(3H)および18時間後(18H)、ならびに2回のチャレンジの18時間後(2C)のIP-10についての結果を示す。1Cは、生理的食塩水チャレンジしたマウスおよびOVAチャレンジしたマウスにおけるMIG mRNAおよびIP-10 mRNAの発現を示す。図1Dは、生理的食塩水チャレンジまたはAspergillusチャレンジの後のMIG mRNAおよびIP-10 mRNAの発現を示す。図1Eは、生理的食塩水チャレンジまたはAspergillusチャレンジの後の、野生型マウスおよびSTAT-6欠損マウスにおけるMIG mRNAの発現を示す。18S RNAの位置が示される。このRNAゲルは、エチジウムブロマイドで染色した。各レーンは、単一のマウス由来のRNAを示す。
【0044】
MIG mRNAは、生理的食塩水対照と比較して、第一のアレルゲンチャレンジの18時間後に10倍より大きく増大し(図1A、18H)、第二のアレルゲンチャレンジの後に10倍よりかなり大きく増大した(図1A、2C)。IP-10 mRNAは、生理的食塩水対照と比較して、第一のアレルゲンチャレンジの18時間後に10倍より大きく増大し(図1B、18H)、第二のアレルゲンチャレンジの後に10倍より大きく増大した(図1B、2C)。
【0045】
このマイクロアレイデータが遺伝子誘導を反映していることを確認するために、ノザンブロット分析を実施した。図1C中に示されるように、MIG mRNAおよびIP-10 mRNAは、アレルゲンチャレンジの後に強力に誘導性であった。MIG mRNAについてのバンドは、第一のチャレンジの18時間後に出現し、第二のチャレンジの後にはより強烈であった。IP-10 mRNAについてのバンドは、第一のチャレンジの3時間後、ならびに第一のチャレンジおよび第二のチャレンジの18時間後に出現した。したがって、このノザンブロット分析は、マイクロアレイデータを立証した。
【0046】
MIGおよびIP-10の誘導が、実験的喘息のOVA誘発モデルに限定されるか否かを決定するために、実験的喘息を、鼻腔内反復投与の抗原Aspergillus fumigatusによってナイーブマウスにおいて誘導した。Aspergillus fumigatusの9回の鼻腔内投与の最後の投与の18時間後、肺RNAをノザンブロット分析に供し、MIGまたはIP-10についてプローブした。これらの結果を図1D中に示す。
【0047】
鼻腔内生理的食塩水の9回の投与でチャレンジしたマウスと比較して、Aspergillus fumigatusでチャレンジしたマウスは、MIGおよびIP-10の顕著な発現を有した。したがって、アレルゲンチャレンジによるMIGおよびIP-10の誘導は、使用した抗原に特異的なものではなかった。
【0048】
MIG発現の調節
MIG発現の誘導に対する、喘息の肺において過剰発現されることが公知のサイトカイン(例えば、IL-4およびIL-13)の作用を決定した。具体的には、IL-4を過剰発現するトランスジェニックマウスにおけるMIG発現を決定した。IL-4の過剰発現は、MIG発現を誘導しなかった(データ示さず)。鼻腔内経路を介して肺にIL-13が投与されたマウスにおけるMIG発現もまた決定した。IL-13投与は、MIG発現を誘導しなかった(データ示さず)。対照的に、同じ条件下で、IL-4およびIL-13は、エオタキシン-1およびエオタキシン-2の発現を誘導した。
【0049】
IL-4およびIL-13は、転写因子STAT-6に通常依存する受容体後事象を含む共通の受容体シグナル伝達経路を共有する。したがって、MIG誘導に対するタンパク質STAT-6の効果を、STAT-6野生型マウスおよびSTAT-6遺伝子欠失マウスの両方において実験的喘息を誘導することによって決定した。これらの結果を図1E中に示す。STAT-6野生型マウスと比較して、アレルゲン誘発性のMIGは、STAT-6ノックアウトマウスにおいて増強された。これらの結果は、完全にSTAT-6に依存したエオタキシン-1およびエオタキシン-2の誘導と対照的であった(データ示さず)。
【0050】
図1Fは、アレルゲンチャレンジした肺におけるMIG mRNA発現を示す。OVAチャレンジした肺において、MIG RNAの血管周囲および気管支周囲での優勢な発現が存在した。これは、MIG mRNAの明視野(図1F(a))および暗視野(図1F(b))のインサイチュハイブリダイゼーションによって見られた(10×の倍率)。図1F(c)および1F(d)はそれぞれ、明視野および暗視野のインサイチュハイブリダイゼーションにおける、OVAチャレンジした肺由来の肺リンパ節におけるMIGの発現を示す(40×の倍率)。
【0051】
マウスMIGはin vitroで好酸球の阻害剤である
ヒト好酸球は、MIG受容体であるCXCR3を発現することが報告されている。MIGのアレルゲン誘発性の発現が、肺への好酸球の動員を少なくとも一部担い得るか否かを決定するために、マウス好酸球がCXCR3を発現するか否かを最初に決定した。それらの表面上にCXCR3を欠くマウス好酸球が、MIGに対して移動できないことを示す結果が図2中に示される。図2Aは、CXCR3を発現するIL-5トランスジェニックマウス由来のリンパ球を示す。好酸球は、それらの表面上に検出可能なCXCR3を有さない。塗り潰したヒストグラムは同位体が一致した対照であり、実線はCCR3、CXCR3またはCD4である。図2Bは、示されるようなMIGの容量に応答した脾臓由来の好酸球の遊走の代表的な結果(n=3)を示す。細胞(1.5×106)を、MIGおよびエオタキシン-2に応答して遊走させた。細胞を、1.5時間後に下部チャンバにおいて計数した。データは、呼吸上皮細胞の層を通って移動した好酸球の平均および標準偏差を示す。
【0052】
図2A中のヒストグラムは、好酸球およびリンパ球からのフローサイトメトリーデータを示す。CD4+リンパ球は、細胞表面上にCXCR3受容体を発現した。対照的に、特徴的な光散乱およびエオタキシン受容体CCR3の発現によって同定される好酸球は、MIG受容体CXCR3の検出可能な発現を有さなかった。好酸球におけるCCR3の強い発現とは対照的に、一定範囲の抗体用量(0.5μg/ml〜30μg/ml)を使用した、好酸球上のCXCR3についての染色(n=3の実験)は再現性がなかった。対照として、CXCR3を、CD4+ T細胞において同定した。
【0053】
次に、MIGがin vitroで好酸球の移動を誘導し得るか否かを決定した。図2Bは、肺好酸球についての代表的な遊走アッセイを示す。CXCR3発現の非存在と一致して、マウス好酸球は、一定範囲の用量のMIG(1pg/ml〜10,000pg/ml)に供された場合、遊走によって応答しなかった。ポジティブ対照として、好酸球は、1000pg/mlのエオタキシン-2に強力に応答した。これらのデータは、MIGがマウス好酸球に対する刺激ケモカインではなかったことを示唆する。
【0054】
しかしMIGは、in vitroでのCCR3リガンド誘導性の好酸球の化学誘引に対する機能的阻害剤であった。好酸球をMIGで予め処理し、強力なCCR3リガンドであるエオタキシン-2へのそれらの引き続く走化性応答を評価した。これらの結果を図3中に示す。
【0055】
図3は、エオタキシン-2に応答した好酸球遊走についてのデータを示す。MIGは、in vitroでエオタキシン-2に対する好酸球移動を阻害した。細胞を、緩衝液、MIGまたはエオタキシン-2での予処理の後に遊走させた。データ(平均および標準偏差)は、1ng/mlのエオタキシン-2に対して移動した好酸球の代表的な実験からのものである(n=3)。
【0056】
MIGによる好酸球の予処理は、エオタキシン-2に応答する好酸球遊走を阻害した。この効果は用量依存的な様式で見られ、1pg/ml〜10,000pg/ml(0.8pM〜820pM)の間で活性の阻害が注目された;1pg/mlのMIGでp=0.03、100pg/mlのMIGでp=0.01、および10,000pg/mlのMIGでp=0.008。ポジティブ対照として、1ng/ml(0.1nM)の用量のエオタキシン-2での好酸球の予処理もまた、好酸球の遊走を阻害した。陰性対照として、10ng/ml(0.7nM)の用量のMCP-1(JE、CCL2)での好酸球の予処理は、好酸球の遊走を阻害しなかった(データ示さず)。生存力色素(トリパンブルー)の排除およびIL-5がMIGの存在下でさえ好酸球の生存を促進する能力によって決定されるように、MIGは好酸球にとって毒性ではなかった(データ示さず)。
【0057】
CCR3内在化に対するMIGの効果
CCR3リガンドは、アゴニストとの受容体の嵌合の後に受容体の内在化を誘導する。MIG誘導性のCCR3内在化は、エオタキシンによって誘導される好酸球の遊走を阻害するMIGの能力を説明し得る。
【0058】
図4は、ケモカイン誘導性の好酸球の肺への動員の、用量依存的なMIG阻害を示す。図4Aは、エオタキシン-2に対して気道中に移動した好酸球の平均および標準偏差を示す。IL-5トランスジェニックマウスを、生理的食塩水または1μgのMIGで静脈内処置し、その30分後に3μgのエオタキシン-2または生理的食塩水で気管内チャレンジした。データは、各群において2匹〜6匹のマウスを用いた3つの独立した実験を示す。図4Bは、エオタキシン-2でのチャレンジの前に、示された用量の生理的食塩水またはMIGで処置したマウスを示す。データ(平均および標準偏差)は、1回の実験当たり各群中4匹のマウスを用いた、代表的な実験(n=2)からの気道好酸球を示す。
【0059】
図6B中に示されるように、1ng/ml、100ng/mlまたは1000ng/ml(82pM〜82nM)の用量のMIGでの好酸球の予処理は、CCR3のレベルに有意には影響を与えなかった。対照として、100ng/ml(9.7nM)のエオタキシン-2での好酸球の予処理は、CCR3発現の顕著な内在化を誘導した。エオタキシン-2の効果は、4℃でのプレインキュベーションを実施した場合には見られず、このことにより、このアッセイがエピトープ遮断ではなく受容体内在化を検出していることが確認された。
【0060】
MIGは、エオタキシンおよびIL-13によって誘導される肺への好酸球の動員を阻害する
MIGがin vivoで好酸球阻害剤として作用する効果を決定した。エオタキシン-2またはIL-13のいずれかによって誘導される肺への好酸球動員をMIGが阻害する能力を評価した。エオタキシン-2を気管内に投与する30分前に静脈内投与された1μgのMIGによるマウスの予めの処置は、肺への好酸球輸送において90%より高い阻害を生じた(図4A)。MIGは、0.1μgのMIG〜1.0μgのMIGとの間で用量依存的な阻害を実証した(図4B)。
【0061】
IL-5トランスジェニックマウスに気管内投与されたエオタキシン-2は、肺への顕著な好酸球動員を誘導した。例えば、図4Aを参照して、エオタキシン-2処置の3時間後のBALF中の好酸球レベルは、1.9±2.3×103(n=2のマウス)から7.2±5.4×105(n=6のマウス)まで上昇した。しかし、気管内エオタキシン-2投与の30分前のMIG(1μg)でのマウスの静脈内注射は、生理的食塩水の静脈内注射と比較して、好酸球の動員を低下させた(p<0.02)。
【0062】
鼻腔内エオタキシン-2投与の30分前のMIGの静脈内投与は、用量依存的な様式で肺への好酸球動員を阻害した。図4Bを参照して、IL-5トランスジェニックマウスへの100ngの用量のMIGの静脈内投与は、BALF中への好酸球の動員を21%低下させた。500ngの用量のMIGの静脈内投与は、BALF中への好酸球の動員を51%低下させた(p=0.02)。1000ngの用量のMIGの静脈内投与は、BALF中への好酸球の動員を88%低下させた(p=0.01)。MIGが阻害活性を特異的に担ったことを確認するために、マウスを異なるケモカインであるマウスMCP-1(JEとしても公知)(1μg)で処置し、その後エオタキシン-2の鼻腔内投与を行った。このケモカインJEは、肺におけるエオタキシン誘導性の好酸球動員に対して影響を有さなかった(データ示さず)。比較のために、マウスに、エオタキシン-2の鼻腔内投与の前に1μgのエオタキシン-1を静脈内投与し、応答した好酸球の肺への移動を決定した。図4C中に示されるように、MIGおよびエオタキシン-1は、匹敵する阻害活性を有した。データは、1回の実験当たり各群中4匹のマウスを用いた代表的な実験(n=2)における肺または気道の好酸球の平均±標準偏差を示す(*p≦0.04)。
【0063】
肺組織中の好酸球レベルを、組織学的試験および抗MBP染色によって評価した。好酸球移動は、エオタキシン-2鼻腔内送達の前の静脈内MIG処置後に阻害された。これらの結果は図4D中に示され、好酸球を、エオタキシン-2の鼻腔内投与の前の生理的食塩水またはMIGの静脈内処置後に、肺において抗MBP免疫組織化学によって検出した。エオタキシン-2の投与前に鼻腔内投与されたMIG(1μg)は、好酸球動員を有意に阻害しなかった(データ示さず)。したがって、MIG活性は、局所的投与ではなく全身投与に依存するようであった。BALFまたは肺組織のいずれかへの好酸球動員に対するMIGの阻害効果とは対照的に、血液中の好酸球レベルは、いずれの用量が投与されてもMIGによって影響されなかった。
【0064】
MIGがin vivoで好酸球ケモカイン応答を阻害する能力は、エオタキシン-2に限定されなかった。MIGはまた、エオタキシン-1の効果も阻害した。1μgのMIGでの予めの処置は、2.6±0.42×106細胞から4.0±1.6×105細胞まで、エオタキシン-1誘導性のBALF好酸球増加を低下させた(n=3のマウス/群)。MIGはまた、エオタキシン誘導性の好酸球の血液への動員を阻害した。1μgのエオタキシン-1の静脈内投与の後に、エオタキシン-1は、循環好酸球レベルの迅速な増大を誘導した。これらの結果を図4E中に示す。1μgのMIGをエオタキシン-1と組み合わせて投与した場合、エオタキシン誘導性の好酸球動員は有意に低下した(*p<0.0001)(各群12匹のマウスで3回の実験)。
【0065】
MIGは、IL-13誘導性の肺への顆粒球輸送をin vivoで阻害した。IL-13で処置したマウスを、第二の用量のIL-13の30分前に、生理的食塩水またはMIGで静脈内処置した。これらの結果を図8中に示す。データは、処置後のBALF中の好酸球および好中球の平均および標準偏差を示し、代表的な実験(n=2)を示す。
【0066】
ナイーブなBalb/cマウスに気管内投与したIL-13もまた、肺への好酸球の顕著な動員を誘導した。IL-13を4μgの用量で投与した。2日後、これらのマウスに、MIG(1μg)の静脈内注射を投与し、その後第二の用量のIL-13(10μg)を再度気管内投与した。3日後、BALFの細胞計数を調べた。
【0067】
図8を参照して、MIGで予め処置した、IL-13投与した(MIG IV/IL-13 IT)マウス由来のBALFは、生理的食塩水で予め処置した(対照、Sal IV/IL-13 IT)マウス(17.8±5.0×103(n=4のマウス))と比較して、好酸球を低下させた(4.2±2.7×103(n=4のマウス))(p=0.003)。MIGでの処置の後にIL-13で処置したマウス由来のBALFもまた、生理的食塩水で予め処置した(対照、Sal IV/IL-13 IT)マウス(13.2±3.6×104(n=4のマウス))と比較して、好中球を低下させた(5.1±3.7×104(n=4のマウス))(p=0.02)。これらのデータは、静脈内MIGが多様な刺激に応答した肺への好酸球動員を阻害したことを示す。肺における好中球レベルもまたMIGによって阻害されたという知見は、肺への白血球の輸送、より具体的には顆粒球の輸送を遮断するその一般化された能力を示唆する。IL-13は、喘息の病因における中心的かつ決定的なサイトカインであるとみなされているので、MIGがIL-13の作用を遮断する能力は、治療的見地から有益である。
【0068】
MIGは、肺へのOVA誘導性の好酸球動員を阻害する
MIGの薬理学的投与がOVA誘導性実験的喘息モデルにおいて肺への好酸球動員をダウンレギュレートするか否かを決定するために、OVAで感作したマウスを、鼻腔内OVAまたは生理的食塩水での1回のチャレンジに供した。アレルゲンチャレンジの30分前に静脈内投与したMIGが肺への白血球動員を阻害する能力を決定した。図5は、MIGがアレルゲン誘発性の肺への好酸球動員を阻害し、in vivoで好酸球阻害剤として機能したことを示す。図5Aは、1回の実験当たり各群中4匹の、鼻腔内OVAチャレンジの30分前に静脈内の生理的食塩水またはMIG(1μg)で処置したOVAチャレンジマウスを用いた代表的な実験(n=2)を示す。図5Bは、MIG中和が、アレルゲン誘発性の肺への好酸球動員を増大させたことを示す。OVAチャレンジマウスを、500μgの抗MIG抗体または同位体が一致した対照抗体(Ctl-Ab)の腹腔内注射で処置した。これらの結果は、1回の実験当たり各群中2匹〜4匹のマウスを用いた代表的な実験(n=2)からのものである。図5Aおよび5Bからのデータは、気道好酸球の平均および標準偏差を示す。
【0069】
OVAチャレンジした対照マウス(生理的食塩水注射)は、BALF中の増大した総白血球計数を実証した。BALF中の好酸球は、9.1±4.0×102(IV 生理的食塩水、IN 生理的食塩水)から1.7±0.4×104(IV 生理的食塩水、IN OVA)まで増大した(p=0.08)。BALF中の総白血球は、5.3±0.7×104(n=3)から10.2±2.1×104(n=4)まで増大した。BALF中の増大した好中球は、8.1±4.4×103から4.7±1.4×104まで増大した(p=0.005)。
【0070】
OVAでのチャレンジの30分前にMIGを投与したマウスは、BALF中の好酸球を低下させた。OVAチャレンジの前に生理的食塩水を受けるマウス(IV 生理的食塩水、IN OVA)と比較して、OVAチャレンジの前にMIGを受けるマウス(IV MIG、IN OVA)は、BALF中の好酸球における70%の低下(p=0.0009)を実証した。この低下は好酸球に特異的であった。OVAチャレンジの前にMIGを受けるマウスは、BALFの好中球またはリンパ球のいずれにおいても低下を有さなかった(データ示さず)。この低下は、MIGにも特異的であった。OVAチャレンジの前にサイトカインJE(1μg)を受けるマウスは、OVAチャレンジの前に生理的食塩水を受けるマウスと比較して、変化を示さなかった(データ示さず)。
【0071】
薬学的に投与されたMIGと対照的に、内因的に発現されたMIGが好酸球移動をin vivoで阻害する能力を評価した。低下したMIGを有するかまたはMIGを有さないOVAチャレンジマウスは、BALF中への増大した好酸球動員を実証することが予測された。OVAで感作したマウスに、OVAでの1回の鼻腔内チャレンジの24時間前に抗マウスMIG(500μg)を投与した。次いで、BALF中への好酸球動員を評価した。これらの結果を図5B中に示す。
【0072】
OVAチャレンジしたIgG対照処置マウスは、気道への好酸球動員を増大させた。対照マウスにおけるBALF中の好酸球は5.0±4.5×102(IP 生理的食塩水、IN 生理的食塩水)であったが、対照抗体を受けるマウス(IP CTL-Ab、IN OVA)におけるBALF中の好酸球は、1.2±0.2×104であった。抗MIG抗体でのマウスの処置は、同位体対照処置したマウスの2倍よりも多く、BALF中の好酸球を増加させた。OVAチャレンジ後に、同位体対照処置したマウスにおけるBALF中の好酸球は1.2±0.2×104であったが、抗MIG処置したマウスにおけるBALF中の好酸球は3.3±0.4×104であった。
【0073】
マウス好酸球に対するMIGの直接的結合
好酸球に対するMIGの効果の性質を、MIGがin vitroで好酸球に結合するか否かを評価することによって決定した。好酸球調製物を、IL-5トランスジェニックマウスの脾臓から調製した。これらのマウスは、脾臓中に非常に多数の好酸球を有し、マウス好酸球の簡便な供給源として働く。脾細胞を、4つの用量(100nM〜1μM)のうち1つの用量のMIGに曝露した。脾細胞好酸球に対するMIGの結合を、抗MIG抗血清を使用するフローサイトメトリーによって評価した。図6A中に示されるように、MIGは好酸球の表面に結合し、エオタキシン-2シグナル伝達を弱めた。MIGは、IL-5トランスジェニックマウス由来のマウス好酸球の表面に、用量依存的な様式で結合した。比較して、塗り潰したヒストグラムは、ケモカインが存在しない場合に結合がないことを示す。図6Bは、MIGがCCR3内在化を誘導しなかったことを示す。緩衝液(実線)、エオタキシン-2(点線)またはMIG(破線)とのインキュベーション後の好酸球上の表面CCR3の分析。塗り潰したヒストグラムは、同位体が一致した対照からの結果を示す。図6Cは、増強されたエオタキシン-2が、MIGでの予処理の後に好酸球においてp44/42(Erk1およびErk2)のリン酸化を誘導したことを示す。細胞を、緩衝液、MIGおよび/またはエオタキシン-2と共に、示された時間および用量でインキュベートした。p44/42のリン酸化をウエスタンブロット分析によって決定した。これらの結果は、代表的実験(n=2)からのものである。
【0074】
MIGの増大した用量は、MIGまたは別のサイトカインに曝露されていない好酸球と比較して、好酸球の表面へのMIGの結合を増大させた。500nMおよび1μMのMIGへの好酸球の曝露は、MIG結合における用量依存的な増大を示した。陰性対照として、好酸球をサイトカインJE(マウス好酸球によって通常は発現されないCCR2のリガンド)に曝露させた。好酸球に対するMIGの結合は、マウス好酸球の表面上のCXCR3の検出可能な発現の非存在下でさえ、好酸球に対するJEの結合よりも大きかった(データ示さず)。
【0075】
CCR3が好酸球におけるMIG受容体であるか否かを決定するために、MIGが好酸球へのビオチン化エオタキシン-1の結合について競合する能力を決定した。未標識のエオタキシン-1またはエオタキシン-2は、好酸球へのビオチン化エオタキシン-1の結合について競合し得たが、10μmまでの用量の未標識のMIGは、結合するCCR3リガンドを阻害しなかった(データ示さず)。CCR3とのMIGの相互作用は、CCR3の内在化と共に好酸球へのMIGの結合の低下を生じるはずなので、MIG結合の効果を、顕著なCCR3内在化を促進する条件下でエオタキシン-2で予め処理した好酸球を用いて決定した。これらの条件下で、MIG結合は阻害されなかった(データ示さず)。したがって、Loetscherら(J.Biol.Chem.276:2986(2001))によって示された提案とは対照的に、MIGが好酸球応答を阻害する能力は、CCR3の競合的拮抗に単純に関連するわけではなかった。
【0076】
ケモカインによる受容体の活性化は、細胞内シグナル伝達および複数のリン酸化事象のカスケードを引き起こす。マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼは、ヒト好酸球をCCR3リガンドへ曝露させた後に、リン酸化および活性化される。したがって、CCR3リガンド誘導性のシグナル伝達に対するMIGの影響を決定した。具体的には、2つのMAPキナーゼ(Erk1をリン酸化するp44 MAPキナーゼおよびErk2をリン酸化するp42 MAPキナーゼ)のリン酸化活性を、MIGでの予処理の存在下および非存在下でエオタキシン-2に曝露された好酸球においてアッセイした。これらの結果を、図6C中でウエスタンブロットとして示す。
【0077】
対照好酸球(MIGでの予処理なしにエオタキシン-2に曝露させた)において、p44およびp42の両方によるリン酸化は、エオタキシン-2曝露の2分後に最大であり、次いで10分後にダウンレギュレートされた。P44またはp42のいずれによるリン酸化も、任意のMIG用量(50nM〜100nM)のMIG曝露のみ(エオタキシン-2なし)では検出されなかった。図6Cは、50nMのMIGでの予処理の効果を示す。MIGで予め処理し、次いでエオタキシン-2に曝露させた好酸球は、上記のエオタキシン-2へ曝露された好酸球と比較して、増大したErk1およびErk2のリン酸化を実証した。
【0078】
MIGは、好酸球における機能的応答を阻害する
好酸球をMIGで予め処理し、次いでエオタキシン-1(10nM)で処理した。好酸球のエオタキシン活性化は、ニトロブルーテトラゾリウムポジティブ(NBT+)細胞を増大させ、これは、スーパーオキシドアニオンおよび関連の反応性酸素種を示す。図6D中に示されるように、MIG(100nM)での予処理は、エオタキシン誘導性のNBT+好酸球を94%阻害した。結果はポジティブ細胞の割合を示し、エラーバーは平均±標準偏差を示す(n=3)。
【0079】
MIGは、多様な化学誘引物質への好酸球の応答を阻害する
CCR3欠損マウスがOVAでの感作およびチャレンジの後に、BALFの好酸球増加において約50%の低下を示したという最近の知見を考慮すると、肺におけるアレルゲン誘発性好酸球増加に対するMIGの阻害は驚くべきことであった。したがって、好酸球においてCCR3媒介性の経路を阻害することに加えて、MIGはまた、さらなる経路を介してシグナル伝達する化学誘引物質を阻害し得る。IL-13は複数の好酸球化学誘引物質を誘導するので、これは、MIGがIL-13誘導性の好酸球の肺動員もまた遮断したという結果と一致した。
【0080】
MIGが非CCR3リガンドに対する好酸球の走化性を変更する能力を評価した。好酸球を、100ng/mlまたは10000ng/mlのいずれかの用量のMIGで予め処理した。血小板活性化因子(PAF)(1μm)に対する引き続く走化性応答を評価した。図7は、MIGがPAFに対する好酸球の移動をin vivoで阻害したことを示す。細胞を、緩衝液またはMIGでの予処理の後に、PAFに対して遊走させた。データ(平均および標準偏差)は、代表的な実験(n=2)からのものであり、1μmのPAFに対して移動した好酸球を示す。
【0081】
図7中に示されるように、MIGでの予処理は、PAFに応答した好酸球移動を阻害した(p=0.007)。したがって、MIG誘導性の阻害は、CCR-3リガンドに限定されるものではなく、多様な化学誘引物質に対する好酸球の応答を変更した。これらのデータは、MIGが好酸球の機能的非感受性を誘導したことを示した。特定の理論に束縛されないが、このような非感受性は、異種受容体脱感作に起因し得る。
【0082】
この組成物は、哺乳動物(例えばヒト)に、予防的にまたは特定の状態もしくは疾患に応じて投与することができる。例えば、この組成物は、喘息症状および/またはアレルギー症状を有する患者に投与することができる。この組成物は、吸入、エアロゾル、滴剤などによって非全身的に投与されてもよく、経腸経路または非経口経路(静脈内注射、皮下注射、筋内注射、腹腔内注射、固体形態または液体形態(錠剤(咀嚼、溶解性など)、カプセル(硬質ゲルまたは軟質ゲル)、丸薬、シロップ、エリキシル剤、エマルジョン、懸濁物など)での経口投与を含むがこれらに限定されない)によって全身的に投与してもよい。当業者に公知のように、この組成物は、賦形剤(薬学的に許容される緩衝液、乳化剤、界面活性剤、電解質(例えば、塩化ナトリウム)が含まれるがこれらに限定されない)を含むことができ;経腸製剤は、揺変剤、香味剤および官能品質を増強するための他の成分を含むことができる。
【0083】
この組成物中で哺乳動物に投与されるMIGの用量は、約10μg/kg〜約10mg/kgの間の範囲内である。哺乳動物に投与されるIP-10の用量は、約10μg/kg〜約10mg/kgの間の範囲内である。一実施形態において、約30μg/kgの用量のMIGまたはIP-10を投与する。投薬は、投与経路に依存し得る。例として、静脈内投与は、連続的または非連続的であってよく;注射は簡便な間隔(例えば、毎日、毎週、毎月など)で投与され得;経腸製剤は、1日1回、1日2回などで投与することができる。投与のための指示は、規定された投薬スケジュールまたは「必要に応じた」基礎に従い得る。
【0084】
本発明の他のバリエーションまたは実施形態もまた、以下の図面および上記の記載から当業者に明らかである。例えば、MIGおよび/またはIP-10と類似の機能的活性を示す、MIGおよび/またはIP-10に対する相同性を有す線状ペプチド(MIGおよび/またはIP-10のアナログ)もまた投与することができる。したがって、上記の実施形態は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1A】サイトカインであるインターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)および10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)のアレルゲン誘導を実証する図である。図1Aは、対照肺およびオボアルブミンアレルゲンでチャレンジした肺からの、実験的喘息を有するマウスにおけるインターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)(図1A)の誘導を示すマイクロアレイハイブリダイゼーション分析由来のグラフである。
【図1B】図1Bは、対照肺およびオボアルブミンアレルゲンでチャレンジした肺からの、実験的喘息を有するマウスにおけるIP-10(図1B)の誘導を示すマイクロアレイハイブリダイゼーション分析由来のグラフである。
【図1C】図1Cは、対照肺およびアレルゲン曝露後の種々の時点でのチャレンジした肺由来の肺リボ核酸(RNA)のノザンブロットである。
【図1D】図1Dは、対照肺およびアレルゲンとしてAspergillusでチャレンジした肺由来の肺RNAのノザンブロットである。
【図1E】図1Eは、野生型マウスおよびノックアウトマウスにおけるAspergillusチャレンジ後の、MIG誘導に対する転写因子STAT-6の効果を示すノザンブロットである。
【図1F】図1F(A〜D)は、インサイチュハイブリダイズによる、オボアルブミンチャレンジした肺におけるMIG mRNAの発現パターンを示す。
【図2】受容体発現データの比較を示す図である。図2(A〜D)は、フローサイトメトリー分析からのデータを示す。図2Eは、in vitroでの好酸球移動に対するMIGの効果を示す代表的な走化性アッセイである。
【図3】in vitroでのエオタキシン-2に対する好酸球走化性応答に対するMIGでの予処理の阻害効果を示す図である。
【図4A】in vivoでの肺への好酸球の移動に対するMIGでの予処理の効果を示す図である。図4Aは、エオタキシン-2に対する好酸球応答に対するMIGでの予処理の効果を示す。
【図4B】図4Bは、MIGの漸増用量の効果を示す。
【図4C】図4Cは、エオタキシン-2に対する好酸球応答に対するエオタキシン-1での予処理の効果を示す。
【図4D】図4D(1〜2)は、抗MBP免疫組織化学によって検出された好酸球を有する肺組織を示す。
【図4E】図4Eは、エオタキシン誘導性の血液への好酸球の移動に対するMIGの効果を示す。
【図5】オボアルブミン誘導性の実験的喘息における、肺への好酸球動員に対するMIGの効果を示す図である。図5Aは、アレルゲンオボアルブミンに応答した好酸球動員に対するMIGでの予処理の効果を示す。図5Bは、対照抗体および抗MIG抗体を使用して、オボアルブミンチャレンジの前にMIGを中和することの効果を示す。
【図6A】in vitroの好酸球における、好酸球に対するMIGの効果を示す図である。図6A(1〜2)は、好酸球に対するMIGの特異的結合を示す。
【図6B】図6B(1〜2)は、MIGによるCCR3の内在化の欠如を示す。
【図6C】図6C(1〜2)は、MIGでの予処理の存在下および非存在下でエオタキシン-2に曝露された好酸球のウエスタンブロットを示し、リン酸化Erk1およびリン酸化Erk2ならびに総Erk1および総Erk2のレベルが示される。
【図6D】図6Dは、スーパーオキシド産生に対するMIGの効果を示す。
【図7】非CCR3リガンドに対する好酸球の走化性に対するMIGの効果を示す図である。
【図8】サイトカインIL-13によって誘導される、肺への白血球動員に対するMIGの効果を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好酸球動員または好酸球機能の少なくとも1つを阻害する方法であって、好酸球動員阻害活性または好酸球機能阻害活性を有する単離サイトカインを含む医薬組成物を薬学的に有効な量投与して、受容体発現、受容体内在化、シグナル伝達、遊走、脱感作、脱顆粒、メディエータ放出、オキシダーゼ活性およびこれらの組み合わせからなる群から選択される好酸球動員または好酸球機能を阻害するステップを含む方法。
【請求項2】
前記単離サイトカインが、インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)、10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記単離サイトカインが、MIGまたはIP-10に由来するペプチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記単離サイトカインが、MIGまたはIP-10に相同なタンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物を好酸球増加を有する個体に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
シグナル伝達キナーゼ機能が乱される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
Erk1またはErk2が乱される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
遊走を、肺、気管、気道、気管支肺胞洗浄液、心臓または皮膚の少なくとも1つにおいて変化させる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
哺乳動物においてアレルゲン誘発性好酸球増加を緩和する方法であって、単離インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)および/または10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)を含む医薬組成物を薬学的に有効な量、アレルゲンに曝露された哺乳動物に投与して、アレルゲン誘発性好酸球増加を緩和するステップを含む方法。
【請求項10】
好酸球増加を、気道、肺、気管、気管支肺胞洗浄液または血液において緩和する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
好酸球増加を、アレルギーに罹患している身体部分において緩和する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記身体部分が、皮膚、眼、鼻、腸およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記哺乳動物がヒトである、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
化学誘引物質に対する好酸球応答を阻害するのに充分な量で単離好酸球阻害性サイトカインを含む医薬組成物を個体に投与するステップを含む処置方法。
【請求項15】
前記サイトカインが、インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)、10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)またはこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記化学誘引物質が、エオタキシン-1、エオタキシン-2、エオタキシン-3、MCP-2、MCP-3、MCP-4、MCP-5、RANTES、MIP-1aおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記サイトカインを、約10μg/kgから約10mg/kgの範囲の用量で投与する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記サイトカインを約30μg/kgの用量で投与する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記サイトカインを全身投与する、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記サイトカインを、静脈内、鼻腔内、気管内、皮下、筋内、経口、腹腔内およびこれらの組み合わせからなる群から選択される経路によって投与する、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
アレルゲンに曝露された患者または好酸球性症候群を有する患者の気道または組織の少なくとも1つにおける炎症を緩和する量で単離好酸球阻害性サイトカインを含む医薬組成物を投与するステップを含む緩和方法。
【請求項22】
前記好酸球阻害性サイトカインが、インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)および/または10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記アレルゲンが、アレルギー性鼻炎、喘息、湿疹およびこれらの組み合わせからなる群から選択される状態を生じる、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
肺の好酸球動員を阻害する方法であって、単離インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)および/または10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)を含む医薬組成物を薬学的に有効な量哺乳動物に投与して、肺好酸球動員を阻害するステップを含む方法。
【請求項25】
喘息の個体に予防的に投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
喘息の個体に治療的に投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
患者の肺内の炎症性細胞を負に制御し得る少なくとも1種のサイトカインを含む医薬組成物の量および製剤を前記患者に提供するステップを含む処置方法。
【請求項28】
前記患者が、喘息患者であるか、アレルギー患者であるか、または好酸球増多疾患を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
約10mg/kgまでのサイトカイン用量で、薬学的に許容される製剤中のインターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)、10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)またはこれらの組み合わせからなる群から選択されるサイトカインを、好酸球増加を有する個体に投与するステップを含む処置方法。
【請求項30】
前記サイトカインが、移動、組織動員、受容体結合、シグナル伝達、脱顆粒、メディエータ放出およびこれらの組み合わせからなる群から選択される好酸球機能を変化させる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
動員がアレルゲンおよび/またはケモカインに応答する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
MIGまたはIP-10を喘息患者に投与する、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
MIGまたはIP-10をアレルギー患者に投与する、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
患者において喘息を緩和するための方法であって、医薬組成物中のインターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)を喘息患者に投与し、それによって前記患者におけるIL-13関連の喘息応答を阻害するステップを含む方法。
【請求項35】
薬学的に許容される製剤中に、アレルゲンの存在下で好酸球活性を変化させるのに充分な量で、単離インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)および/または10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)を含む医薬組成物。
【請求項36】
前記量が、約10μg/kgから約10mg/kgの範囲の用量である、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
好酸球誘導性刺激に応答する少なくとも1つの好酸球機能を阻害するサイトカインを含む医薬組成物。
【請求項38】
前記サイトカインが、インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)、10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)またはこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記刺激が、アレルゲン、ケモカイン、サイトカインおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項37に記載の組成物。
【請求項40】
前記刺激が、エオタキシン-1、エオタキシン-2、エオタキシン-3、IL-13、血小板活性化因子およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項37に記載の組成物。
【請求項41】
前記刺激が、アレルギー反応、感染、特発性好酸球増加およびこれらの組み合わせである、請求項37に記載の組成物。
【請求項42】
薬学的に許容される製剤中に、アレルゲンの存在下で好酸球活性を阻害するのに充分な量で、単離されたTh1関連ケモカインを含む医薬組成物。
【請求項43】
薬学的に許容される製剤中に、好酸球機能を阻害するのに充分な用量で、組換えインターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)、組換えの10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるサイトカインを含む医薬組成物。
【請求項44】
in vivoで好酸球化学誘引を低下させる方法であって、好酸球化学誘引活性を実質的に欠き、好酸球化学誘引または好酸球活性化活性の少なくとも一方に負に影響を与えるサイトカインの薬学的に許容される製剤を患者に投与するステップを含む方法。
【請求項45】
前記好酸球化学誘引を実質的に欠くサイトカインが、Th1サイトカインである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記好酸球化学誘引を実質的に欠くサイトカインが、MIGまたはIP-10の少なくとも1種である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
Th2サイトカインが負に影響される、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
エオタキシン-1、エオタキシン-2、エオタキシン-3、MCP-1、MCP-2、IL-4、IL-13および血小板活性化因子(PAF)の少なくとも1種が負に影響される、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
患者において好酸球関連疾患を選択的に処置する方法であって、Th1関連ケモカインを患者に投与し、それによって好酸球動員または好酸球機能を阻害するステップを含む方法。
【請求項50】
前記Th1関連ケモカインがMIGまたはIP-10である、請求項49に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受容体発現、受容体内在化、シグナル伝達、遊走、脱感作、脱顆粒、メディエータ放出、オキシダーゼ活性およびこれらの組み合わせからなる群から選択される好酸球動員または好酸球機能の少なくとも1つを阻害するための医薬の製造のための、好酸球動員阻害活性または好酸球機能阻害活性を有する単離サイトカインの使用であって、前記サイトカインは、インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG);10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10);これらの組み合わせ;MIGまたはIP-10由来のペプチドおよびMIGまたはIP-10に相同なタンパク質からなる群から選択される使用。
【請求項2】
前記医薬が、好酸球増加を有する個体に投与するためのものである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
シグナル伝達キナーゼ機能が乱される、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
Erk1またはErk2が乱される、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
遊走を、肺、気管、気道、気管支肺胞洗浄液、心臓または皮膚の少なくとも1つにおいて変化させる、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
哺乳動物においてアレルゲン誘発性好酸球増加を緩和するための医薬の製造のための、単離インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)および/または10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)を含む医薬組成物の使用。
【請求項7】
好酸球増加を、気道、肺、気管、気管支肺胞洗浄液または血液において緩和する、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
好酸球増加を、アレルギーに罹患している身体部分において緩和する、請求項6に記載の使用。
【請求項9】
前記身体部分が、皮膚、眼、鼻、腸およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記哺乳動物がヒトである、請求項6に記載の使用。
【請求項11】
化学誘引物質に対する好酸球応答を阻害するための全身投与することができる医薬の製造のための、インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)、10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)またはこれらの組み合わせからなる群から選択される単離好酸球阻害性サイトカインの使用。
【請求項12】
前記化学誘引物質が、エオタキシン-1、エオタキシン-2、エオタキシン-3、MCP-2、MCP-3、MCP-4、MCP-5、RANTES、MIP-1aおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記サイトカインを、約10μg/kgから約10mg/kgの範囲の用量で投与する、請求項11に記載の使用。
【請求項14】
前記サイトカインを約30μg/kgの用量で投与する、請求項11に記載の使用。
【請求項15】
前記医薬を、静脈内、皮下、筋内、経口、腹腔内およびこれらの組み合わせからなる群から選択される経路によって投与する、請求項11に記載の使用。
【請求項16】
アレルゲンに曝露された患者または好酸球性症候群を有する患者の気道または組織の少なくとも1つにおける炎症を緩和する緩和方法のための医薬の製造のための、MIG、IP-10またはこれらの組み合わせからなる群から選択される単離好酸球阻害性サイトカインの使用。
【請求項17】
前記アレルゲンが、アレルギー性鼻炎、喘息、湿疹およびこれらの組み合わせからなる群から選択される状態を生じる、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
肺好酸球動員を阻害するための全身投与することができる医薬の製造のための、単離インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)および/または10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)を含む医薬組成物の使用。
【請求項19】
医薬を喘息の個体に予防的に投与する、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
医薬を喘息の個体に治療的に投与する、請求項18に記載の使用。
【請求項21】
患者の肺内の炎症性細胞を負に制御するための全身投与することができる医薬の製造のための、少なくとも1種のMIGサイトカインおよび/またはIP-10サイトカインを含む医薬組成物の使用。
【請求項22】
前記患者が、喘息患者であるか、アレルギー患者であるか、または好酸球増多疾患を有する、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
好酸球増加を処置するための全身投与することができる医薬の製造のための、インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)、10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)またはこれらの組み合わせからなる群から選択されるサイトカインの使用であって、前記サイトカインが約10mg/kgまでの用量である使用。
【請求項24】
前記サイトカインが、移動、組織動員、受容体結合、シグナル伝達、脱顆粒、メディエータ放出およびこれらの組み合わせからなる群から選択される好酸球機能を変化させる、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
動員がアレルゲンおよび/またはケモカインに応答する、請求項23に記載の使用。
【請求項26】
医薬を喘息患者に投与する、請求項23に記載の使用。
【請求項27】
医薬をアレルギー患者に投与する、請求項23に記載の使用。
【請求項28】
患者においてIL-13関連の喘息応答を阻害することによって前記患者において喘息を緩和するための全身投与することができる医薬の製造のための、インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)の使用。
【請求項29】
in vivoで好酸球化学誘引を低下させるための全身投与することができる医薬の製造のための、好酸球化学誘引活性を実質的に欠き、好酸球化学誘引または好酸球活性化活性の少なくとも1つに負に影響を与える、MIGおよびIP-10の少なくとも1種から選択されるサイトカインの使用。
【請求項30】
エオタキシン-1、エオタキシン-2、エオタキシン-3、MCP-1、MCP-2、IL-4、IL-13、MIGまたはIP-10および血小板活性化因子(PAF)の少なくとも1種が負に影響される、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
好酸球動員または好酸球機能を阻害することによる、好酸球関連疾患を選択的に処置するための全身投与することができる医薬の製造のための、Th1関連のMIGケモカインまたはIP-10ケモカインの使用。
【請求項1】
好酸球動員または好酸球機能の少なくとも1つを阻害する方法であって、好酸球動員阻害活性または好酸球機能阻害活性を有する単離サイトカインを含む医薬組成物を薬学的に有効な量投与して、受容体発現、受容体内在化、シグナル伝達、遊走、脱感作、脱顆粒、メディエータ放出、オキシダーゼ活性およびこれらの組み合わせからなる群から選択される好酸球動員または好酸球機能を阻害するステップを含む方法。
【請求項2】
前記単離サイトカインが、インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)、10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記単離サイトカインが、MIGまたはIP-10に由来するペプチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記単離サイトカインが、MIGまたはIP-10に相同なタンパク質である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物を好酸球増加を有する個体に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
シグナル伝達キナーゼ機能が乱される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
Erk1またはErk2が乱される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
遊走を、肺、気管、気道、気管支肺胞洗浄液、心臓または皮膚の少なくとも1つにおいて変化させる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
哺乳動物においてアレルゲン誘発性好酸球増加を緩和する方法であって、単離インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)および/または10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)を含む医薬組成物を薬学的に有効な量、アレルゲンに曝露された哺乳動物に投与して、アレルゲン誘発性好酸球増加を緩和するステップを含む方法。
【請求項10】
好酸球増加を、気道、肺、気管、気管支肺胞洗浄液または血液において緩和する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
好酸球増加を、アレルギーに罹患している身体部分において緩和する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記身体部分が、皮膚、眼、鼻、腸およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記哺乳動物がヒトである、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
化学誘引物質に対する好酸球応答を阻害するのに充分な量で単離好酸球阻害性サイトカインを含む医薬組成物を個体に投与するステップを含む処置方法。
【請求項15】
前記サイトカインが、インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)、10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)またはこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記化学誘引物質が、エオタキシン-1、エオタキシン-2、エオタキシン-3、MCP-2、MCP-3、MCP-4、MCP-5、RANTES、MIP-1aおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記サイトカインを、約10μg/kgから約10mg/kgの範囲の用量で投与する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記サイトカインを約30μg/kgの用量で投与する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記サイトカインを全身投与する、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記サイトカインを、静脈内、鼻腔内、気管内、皮下、筋内、経口、腹腔内およびこれらの組み合わせからなる群から選択される経路によって投与する、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
アレルゲンに曝露された患者または好酸球性症候群を有する患者の気道または組織の少なくとも1つにおける炎症を緩和する量で単離好酸球阻害性サイトカインを含む医薬組成物を投与するステップを含む緩和方法。
【請求項22】
前記好酸球阻害性サイトカインが、インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)および/または10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記アレルゲンが、アレルギー性鼻炎、喘息、湿疹およびこれらの組み合わせからなる群から選択される状態を生じる、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
肺の好酸球動員を阻害する方法であって、単離インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)および/または10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)を含む医薬組成物を薬学的に有効な量哺乳動物に投与して、肺好酸球動員を阻害するステップを含む方法。
【請求項25】
喘息の個体に予防的に投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
喘息の個体に治療的に投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
患者の肺内の炎症性細胞を負に制御し得る少なくとも1種のサイトカインを含む医薬組成物の量および製剤を前記患者に提供するステップを含む処置方法。
【請求項28】
前記患者が、喘息患者であるか、アレルギー患者であるか、または好酸球増多疾患を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
約10mg/kgまでのサイトカイン用量で、薬学的に許容される製剤中のインターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)、10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)またはこれらの組み合わせからなる群から選択されるサイトカインを、好酸球増加を有する個体に投与するステップを含む処置方法。
【請求項30】
前記サイトカインが、移動、組織動員、受容体結合、シグナル伝達、脱顆粒、メディエータ放出およびこれらの組み合わせからなる群から選択される好酸球機能を変化させる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
動員がアレルゲンおよび/またはケモカインに応答する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
MIGまたはIP-10を喘息患者に投与する、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
MIGまたはIP-10をアレルギー患者に投与する、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
患者において喘息を緩和するための方法であって、医薬組成物中のインターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)を喘息患者に投与し、それによって前記患者におけるIL-13関連の喘息応答を阻害するステップを含む方法。
【請求項35】
薬学的に許容される製剤中に、アレルゲンの存在下で好酸球活性を変化させるのに充分な量で、単離インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)および/または10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)を含む医薬組成物。
【請求項36】
前記量が、約10μg/kgから約10mg/kgの範囲の用量である、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
好酸球誘導性刺激に応答する少なくとも1つの好酸球機能を阻害するサイトカインを含む医薬組成物。
【請求項38】
前記サイトカインが、インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)、10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)またはこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記刺激が、アレルゲン、ケモカイン、サイトカインおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項37に記載の組成物。
【請求項40】
前記刺激が、エオタキシン-1、エオタキシン-2、エオタキシン-3、IL-13、血小板活性化因子およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項37に記載の組成物。
【請求項41】
前記刺激が、アレルギー反応、感染、特発性好酸球増加およびこれらの組み合わせである、請求項37に記載の組成物。
【請求項42】
薬学的に許容される製剤中に、アレルゲンの存在下で好酸球活性を阻害するのに充分な量で、単離されたTh1関連ケモカインを含む医薬組成物。
【請求項43】
薬学的に許容される製剤中に、好酸球機能を阻害するのに充分な用量で、組換えインターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)、組換えの10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるサイトカインを含む医薬組成物。
【請求項44】
in vivoで好酸球化学誘引を低下させる方法であって、好酸球化学誘引活性を実質的に欠き、好酸球化学誘引または好酸球活性化活性の少なくとも一方に負に影響を与えるサイトカインの薬学的に許容される製剤を患者に投与するステップを含む方法。
【請求項45】
前記好酸球化学誘引を実質的に欠くサイトカインが、Th1サイトカインである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記好酸球化学誘引を実質的に欠くサイトカインが、MIGまたはIP-10の少なくとも1種である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
Th2サイトカインが負に影響される、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
エオタキシン-1、エオタキシン-2、エオタキシン-3、MCP-1、MCP-2、IL-4、IL-13および血小板活性化因子(PAF)の少なくとも1種が負に影響される、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
患者において好酸球関連疾患を選択的に処置する方法であって、Th1関連ケモカインを患者に投与し、それによって好酸球動員または好酸球機能を阻害するステップを含む方法。
【請求項50】
前記Th1関連ケモカインがMIGまたはIP-10である、請求項49に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受容体発現、受容体内在化、シグナル伝達、遊走、脱感作、脱顆粒、メディエータ放出、オキシダーゼ活性およびこれらの組み合わせからなる群から選択される好酸球動員または好酸球機能の少なくとも1つを阻害するための医薬の製造のための、好酸球動員阻害活性または好酸球機能阻害活性を有する単離サイトカインの使用であって、前記サイトカインは、インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG);10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10);これらの組み合わせ;MIGまたはIP-10由来のペプチドおよびMIGまたはIP-10に相同なタンパク質からなる群から選択される使用。
【請求項2】
前記医薬が、好酸球増加を有する個体に投与するためのものである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
シグナル伝達キナーゼ機能が乱される、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
Erk1またはErk2が乱される、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
遊走を、肺、気管、気道、気管支肺胞洗浄液、心臓または皮膚の少なくとも1つにおいて変化させる、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
哺乳動物においてアレルゲン誘発性好酸球増加を緩和するための医薬の製造のための、単離インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)および/または10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)を含む医薬組成物の使用。
【請求項7】
好酸球増加を、気道、肺、気管、気管支肺胞洗浄液または血液において緩和する、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
好酸球増加を、アレルギーに罹患している身体部分において緩和する、請求項6に記載の使用。
【請求項9】
前記身体部分が、皮膚、眼、鼻、腸およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記哺乳動物がヒトである、請求項6に記載の使用。
【請求項11】
化学誘引物質に対する好酸球応答を阻害するための全身投与することができる医薬の製造のための、インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)、10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)またはこれらの組み合わせからなる群から選択される単離好酸球阻害性サイトカインの使用。
【請求項12】
前記化学誘引物質が、エオタキシン-1、エオタキシン-2、エオタキシン-3、MCP-2、MCP-3、MCP-4、MCP-5、RANTES、MIP-1aおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記サイトカインを、約10μg/kgから約10mg/kgの範囲の用量で投与する、請求項11に記載の使用。
【請求項14】
前記サイトカインを約30μg/kgの用量で投与する、請求項11に記載の使用。
【請求項15】
前記医薬を、静脈内、皮下、筋内、経口、腹腔内およびこれらの組み合わせからなる群から選択される経路によって投与する、請求項11に記載の使用。
【請求項16】
アレルゲンに曝露された患者または好酸球性症候群を有する患者の気道または組織の少なくとも1つにおける炎症を緩和する緩和方法のための医薬の製造のための、MIG、IP-10またはこれらの組み合わせからなる群から選択される単離好酸球阻害性サイトカインの使用。
【請求項17】
前記アレルゲンが、アレルギー性鼻炎、喘息、湿疹およびこれらの組み合わせからなる群から選択される状態を生じる、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
肺好酸球動員を阻害するための全身投与することができる医薬の製造のための、単離インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)および/または10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)を含む医薬組成物の使用。
【請求項19】
医薬を喘息の個体に予防的に投与する、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
医薬を喘息の個体に治療的に投与する、請求項18に記載の使用。
【請求項21】
患者の肺内の炎症性細胞を負に制御するための全身投与することができる医薬の製造のための、少なくとも1種のMIGサイトカインおよび/またはIP-10サイトカインを含む医薬組成物の使用。
【請求項22】
前記患者が、喘息患者であるか、アレルギー患者であるか、または好酸球増多疾患を有する、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
好酸球増加を処置するための全身投与することができる医薬の製造のための、インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)、10kDaのIFN-γ誘導性タンパク質(IP-10)またはこれらの組み合わせからなる群から選択されるサイトカインの使用であって、前記サイトカインが約10mg/kgまでの用量である使用。
【請求項24】
前記サイトカインが、移動、組織動員、受容体結合、シグナル伝達、脱顆粒、メディエータ放出およびこれらの組み合わせからなる群から選択される好酸球機能を変化させる、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
動員がアレルゲンおよび/またはケモカインに応答する、請求項23に記載の使用。
【請求項26】
医薬を喘息患者に投与する、請求項23に記載の使用。
【請求項27】
医薬をアレルギー患者に投与する、請求項23に記載の使用。
【請求項28】
患者においてIL-13関連の喘息応答を阻害することによって前記患者において喘息を緩和するための全身投与することができる医薬の製造のための、インターフェロンγ誘導モノカイン(MIG)の使用。
【請求項29】
in vivoで好酸球化学誘引を低下させるための全身投与することができる医薬の製造のための、好酸球化学誘引活性を実質的に欠き、好酸球化学誘引または好酸球活性化活性の少なくとも1つに負に影響を与える、MIGおよびIP-10の少なくとも1種から選択されるサイトカインの使用。
【請求項30】
エオタキシン-1、エオタキシン-2、エオタキシン-3、MCP-1、MCP-2、IL-4、IL-13、MIGまたはIP-10および血小板活性化因子(PAF)の少なくとも1種が負に影響される、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
好酸球動員または好酸球機能を阻害することによる、好酸球関連疾患を選択的に処置するための全身投与することができる医薬の製造のための、Th1関連のMIGケモカインまたはIP-10ケモカインの使用。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2006−515619(P2006−515619A)
【公表日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500801(P2006−500801)
【出願日】平成16年1月7日(2004.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/000199
【国際公開番号】WO2004/062585
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(500469235)チルドレンズ ホスピタル メディカル センター (40)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年1月7日(2004.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/000199
【国際公開番号】WO2004/062585
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(500469235)チルドレンズ ホスピタル メディカル センター (40)
【Fターム(参考)】
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