説明

妊娠中毒症の検知方法及び検知キット

【課題】妊娠中毒症やその重症度等を鋭敏かつ正確に検知できる方法及びキットを提供すること。
【解決手段】検体中の「血清由来ヒアルロナン結合性タンパク質とヒアルロン酸との複合体」及び/又はビクニンを測定し、その測定結果と妊娠中毒症とを関連づけるステップを少なくとも含む、妊娠中毒症の検知方法。次の構成成分(A)及び(B)を少なくとも含むことを特徴とする、妊娠中毒症の検知キット;(A)ヒアルロン酸結合性タンパク質、(B)抗インター−α−トリプシンインヒビター抗体。次の構成成分(A)及び(B)を少なくとも含むことを特徴とする、妊娠中毒症の検知キット;(A)ビクニン、(B)抗ビクニン抗体。検体中の「血清由来ヒアルロナン結合性タンパク質とヒアルロン酸との複合体」又はビクニンの量が多ければ、妊娠中毒症である又は妊娠中毒症である可能性が高いと関連づけることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、妊娠中毒症の新規な検知方法及び検知キットに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願書類中で使用する略号は以下の通りである。
BSA:ウシ血清アルブミン(bovine serum albumin)
HA:ヒアルロン酸(hyaluronic acid;hyaluronan)
HABP:ヒアルロン酸結合性タンパク質(hyaluronan binding protein)
HRP:ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase)
ITI:インター−α−トリプシンインヒビター(inter-alpha-trypsin inhibitor)
PBS:リン酸緩衝生理食塩液(phosphate buffered saline)
PBS−T:0.1%のTween 20を含有するPBS
ROC曲線:受診者動作特性曲線(receiver operating characteristic curve)
SHAP:血清由来ヒアルロナン結合性タンパク質(serum-derived hyaluronan associated protein)
SHAP−HA複合体:SHAPとHAとの複合体
TMB:3,3',5,5'-テトラメチルベンチジン(3,3',5,5'-tetramethylbenzidine)
UTI:ビクニン(bikunin)
妊娠中毒症は、妊娠に高血圧、蛋白尿、浮腫の一つ又は二つ以上の症状がみられ、かつこれらの症状が単なる妊娠偶発合併症によるものでないもので、妊娠20週以降に発症し分娩後12週までに正常に復するものをいう。妊娠中毒症は、子宮内胎児発育遅延を合併したりすることがあるため、早期にこれを検知し、食事療法や薬物療法を施す必要がある。また妊娠においては母子ともに安全であることが強く求められるため、妊娠中毒症と診断された場合には、その妊娠中毒症が軽症か重症かなどの適切な評価が重要になる。
【0003】
以下、本発明に最も近いと考えられる先行技術について説明する。
【0004】
非特許文献1には、子癇前症(preeclampsia)を伴う妊婦において、血清中のHA濃度が上昇することが記載されている。
【0005】
しかし、SHAP−HA複合体やUTIを測定することによって、妊娠中毒症の有無やその重症度を検知すること等については記載も示唆もない。
【0006】
特許文献1には、検体中のSHAP−HA結合体を、抗ITI抗体と反応させて抗ITI抗体−(SHAP−HA結合体)の複合体を形成させ、この複合体を測定することを特徴とする検体中のSHAP−HA結合体の測定方法やこれに供するキットが記載されている。また同文献には、検体中のSHAP−HA結合体を測定し、それによって関節炎や肝疾患を診断することが記載されている。
【0007】
しかし、SHAP−HA複合体やUTIを測定することによって、妊娠中毒症の有無やその重症度を検知すること等については記載も示唆もない。
【0008】
【非特許文献1】オスメルス、R.G.W.(Osmers, R.G.W.)ら,1998年,アメリカン ジャーナル オブ オブステトリクス アンド ガイネコロジー(American Journal of Obstetrics and Gynecology),第178巻,第2号,p.341−345
【特許文献1】特開平10−82784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、妊娠中毒症を鋭敏かつ正確に検知できる方法及びキットを提供することを課題とする。さらに本発明は、妊娠中毒症の重症度を鋭敏かつ正確に検知できる方法及びキットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、検体中のSHAP−HA複合体や、UTIを測定することによって、妊娠中毒症を鋭敏かつ正確に検知できることを見出し、本発明を完成するに至った。さらに、検体中のSHAP−HA複合体を測定することによって、妊娠中毒症の重症度を鋭敏かつ正確に検知できることも見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、検体中のSHAP−HA複合体及び/又はUTIを測定し、その測定結果と妊娠中毒症とを関連づけるステップを少なくとも含む、妊娠中毒症の検知方法(以下、「本発明方法」という。)を提供する。
また本発明は、検体中のSHAP−HA複合体を測定し、その測定結果と妊娠中毒症とを関連づけるステップを少なくとも含む、妊娠中毒症の検知方法(以下、「本発明方法1」という。)を提供する。この検体は、血液由来の検体であることが好ましい。
またこのSHAP−HA複合体の測定は、免疫測定法によって行われることが好ましい。この免疫測定法は、以下のステップ(1)及び(2)を少なくとも含む方法で行われることが好ましい。
(1)HABPが固着された固相に、検体を接触させるステップ。
(2)固相に結合した検体中のSHAP−HA複合体を検出するステップ。
【0012】
また本発明は、下記の構成成分(A)及び(B)を少なくとも含むことを特徴とする、妊娠中毒症の検知キット(以下、「本発明キット1」という。)を提供する。
(A)HABP
(B)抗ITI抗体
また本発明は、検体中のUTIを測定し、その測定結果と妊娠中毒症とを関連づけるステップを少なくとも含む、妊娠中毒症の検知方法(以下、「本発明方法2」という。)を提供する。この検体は、尿であることが好ましい。
【0013】
またこのUTIの測定は、免疫測定法によって行われることが好ましい。この免疫測定法は、以下のステップ(1)及び(2)を少なくとも含む方法で行われることが好ましい。
(1)UTIが固着された固相に、検体と「UTIに結合するポリペプチド」とを接触さ
せるステップ。
(2)固相に結合した「UTIに結合するポリペプチド」を検出するステップ。
また本発明は、下記の構成成分(A)及び(B)を少なくとも含むことを特徴とする、妊娠中毒症の検知キット(以下、「本発明キット2」という。)を提供する。
(A)UTI
(B)抗UTI抗体
【発明の効果】
【0014】
本発明方法は、妊娠中毒症を簡便、迅速、鋭敏かつ正確に検知し判別することができることから極めて有用である。なかでも本発明方法1は、妊娠中毒症の有無のみならず、妊娠中毒症の重症度をも簡便、迅速、鋭敏かつ正確に検知し判別することができることから極めて有用である。また本発明キット1及び2は、このような妊娠中毒症の検知や判別をさらに簡便かつ迅速に実施することができることから極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、発明を実施するための最良の形態により本発明を詳説する。
<1>本発明方法
本発明方法は、検体中のSHAP−HA複合体及び/又はUTIを測定し、その測定結果と妊娠中毒症とを関連づけるステップを少なくとも含む、妊娠中毒症の検知方法である。本発明方法においては、検体中のSHAP−HA複合体とUTIの両方を測定してもよく、いずれか一方のみを測定してもよい。以下、本発明方法1と2とに分けて説明する。
<1>−1 本発明方法1
本発明方法1は、検体中のSHAP−HA複合体を測定し、その測定結果と妊娠中毒症とを関連づけるステップを少なくとも含む、妊娠中毒症の検知方法である。
本発明方法1は、妊娠中毒症の動物の検体中ではSHAP−HA複合体が有意に増加することが本発明により明かとなったことから、これを妊娠中毒症の検知方法として応用したものである。
ここにいう「検体」は、妊娠中毒症によって当該検体に含まれるSHAP−HA複合体の量が変動するものである限りにおいて特に限定されない。このような検体としては、妊娠中毒症によってSHAP−HA複合体の量が変動する生体組織に由来するものや、体液に由来するもの等が例示される。
体液に由来するものとしては、例えば血液由来の検体を例示することができる。ここにいう「血液由来の検体」の用語には、血液そのものや、血液に何らかの処理を施して得られる検体等が包含される。「血液に何らかの処理を施して得られる検体」としては、例えば、血液の血球成分から分離することにより得られるもの(例えば血清や血漿等)や、血液から精製されたSHAP−HA複合体画分等が例示される。なかでも血清又は血漿であることが好ましく、血清であることが特に好ましい。
また、検体が由来する動物は、妊娠中毒症を引き起こす可能性がある哺乳動物である限りにおいて特に限定されないが、ヒトであることが好ましい。
検体中のSHAP−HA複合体の測定の方法は、検体中に存在するSHAP−HA複合体を検出し測定しうる方法である限りにおいて特に限定されない。なお、本発明における「測定」の用語は、ある物質を定量的に測定することのみならず、定性的に測定すること(ある物質の存否を検出すること)をも含む概念である。
このような検体中のSHAP−HA複合体の測定は、例えば物理化学的方法(例えばクロマトグラフィー法など)や、生物学的方法(例えば免疫測定法など)によって行うことができる。なかでも、簡便性や迅速性等の観点から、免疫測定法によって行うことが好ましい。免疫測定法としては、エンザイムイムノアッセイ(ELISA)や、ラジオイムノアッセイ(RIA)等が例示されるが、いずれの方法も採用することができる。
【0016】
なお、本出願書類における「免疫測定法」の用語には、抗原抗体反応を利用した測定法のみならず、生体分子同士の親和性(例えば、HABPとHAとの親和性等)を利用した測定法も包含される。
検体中のSHAP−HA複合体を免疫測定法によって測定する場合には、以下のステップ(1)及び(2)を少なくとも含む方法で行われることが好ましい。
(1)HABPが固着された固相に、検体を接触させるステップ。
(2)固相に結合した検体中のSHAP−HA複合体を検出するステップ。
以下、これらのステップごとに説明する。
ステップ(1):
ステップ(1)は、HABPが固着された固相に、検体を接触させるステップである。
【0017】
HABPが固着される固相は、HABPを固着させることができ、かつ、水、検体や反応液に不溶性である限りにおいて特に限定されない。固相の形状としては、プレート(例えばマイクロプレートのウエル等)、チューブ、ビーズ、メンブレン、ゲル、微粒子状固相担体(ゼラチン粒子、カオリン粒子、ラテックス等の合成ポリマー粒子等)等を例示することができる。なかでも、正確な定量性と使用上の簡便性の点から、マイクロプレートが望ましい。
【0018】
固相の材質としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ニトロセルロース、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリアロマー、ポリエチレン、ガラス、アガロース等が例示される。これらの中でも、ポリスチレンを材質としたプレートが好ましい。
【0019】
このような固相の表面にHABPを固着させる方法としては、物理的吸着法、共有結合法、包括法などの一般的な方法(例えば、固定化酵素、1975年、講談社発行、第9〜75頁参照)を応用することができる。
【0020】
これらの中でも、物理的吸着法が、操作が簡便かつ頻用されていることから好ましい。
【0021】
HABPの物理的吸着の具体的方法の一例として、例えば、HABPの緩衝液溶液を固相に接触させ、0℃〜10℃程度、好ましくは0℃〜5℃程度で、6時間〜24時間程度、好ましくは10時間〜20時間程度静置する方法が例示される。
【0022】
また、HABPを固着させた固相の表面には、HABPが固着していない表面部分が残存している場合があり、そこに検体中に存在するSHAP−HA複合体が非特異的に固着すると正確な測定結果が得られなくなるおそれがある。よって、検体を固相に接触させる前に固相にブロッキング物質を接触させ、HABPが固着していない部分を被覆しておくことが好ましい。このようなブロッキング物質としては、血清アルブミン(例えばBSA等)、カゼイン、スキムミルク、ゼラチン、プルロニック等が挙げられる。また、ブロッキング物質として市販されているものを使用することもできる。
【0023】
ブロッキングの具体的方法の一例として、例えば、BSAの緩衝液溶液を固相に接触させ、0℃〜37℃程度、好ましくは10℃〜30℃程度で、15分間〜2時間程度、好ましくは30分間〜2時間程度静置する方法が例示される。
【0024】
固相と検体との接触方法は、当該固相に固着されたHABP分子と、検体中に存在するSHAP−HA複合体分子とが接触する限りにおいて特に限定されない。例えば、固相に検体を添加して接触させても良く、また検体に固相を添加して接触させても良く、別体の容器に両者を同時に添加しても良い。接触の方法はこれらに限定されるものではなく、固相の形状や材質等に応じて当業者が適宜決定することができる。
【0025】
これら両者を接触させた後、固相に固着されたHABPと検体中のSHAP−HA複合体とを十分に結合させるために、例えば0℃〜37℃程度で、30分間〜2時間程度インキュベートすることが好ましい。
【0026】
この反応後に固相と液相を分離する。必要に応じて固相の表面を洗浄液で洗浄し、非特異的吸着物や反応しなかった検体中の成分を除去することが好ましい。
【0027】
洗浄液としては、例えば、トゥイーン(Tween)系界面活性剤等の非イオン性界面活性剤を添加した緩衝液(例えばPBS、リン酸緩衝液、トリス塩酸緩衝液等)等を用いることができる。
HABPが固着された固相に検体を接触させることにより、検体中に存在するSHAP
−HA複合体におけるHA部分が固相に固着されたHABPに結合し、SHAP−HA複合体がHABPを介して固相に結合する。そして、検体中に存在するSHAP−HA複合体の量が多ければ、これに対応して、HABPを介して固相に多くのSHAP−HA複合体が結合することになる。
ステップ(2):
ステップ(2)は、固相に結合した検体中のSHAP−HA複合体を検出するステップである。この固相に結合したSHAP−HA複合体の検出方法も特に限定されず、固相に結合したSHAP−HA複合体を物理化学的に直接検出してもよく、SHAP−HA複合体に結合するポリペプチド等を使って検出してもよい。このポリペプチドは、SHAP−HA複合体に特異的に結合するものであることが好ましい。
【0028】
「SHAP−HA複合体に結合するポリペプチド」の一例として、例えば抗ITI抗体が例示される。抗ITI抗体は、SHAP−HA複合体のSHAP部分に結合する。
ここにいう「ポリペプチド」は、このような抗体自体はもちろん、その抗原結合部位(
Fab)を保持するポリペプチド等も包含される。「抗体のFabを保持するポリペプチド」としては、例えば、抗体のFabを含むフラグメント等が例示される。
【0029】
またここにいう「抗体」は、ポリクローナル、モノクローナルのいずれであってもよいが、特異性、均質性、再現性、大量かつ永続的な生産性等の観点からすると、モノクローナル抗体であることが好ましい。
【0030】
例えば抗ITI抗体の製造は、ITIやSHAP−HA複合体等を抗原として抗体の一般的な製造手法によって行うこともでき、また市販のものを利用することもできる。
【0031】
抗ITI抗体に代表される「SHAP−HA複合体に結合するポリペプチド」は、検出を容易とするために標識物質で標識されているか又は標識されるものであってもよい。標識に用いることができる標識物質は、通常のタンパク質の標識に使用可能なものであれば特に限定されないが、例えば酵素(ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、グルコースオキシダーゼなど)、放射性同位元素(125I、131I、3Hなど)、蛍光色素(フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸(AMCA)、ジクロロトリアジニルアミノフルオレセイン(DTAF)、テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、リスアミンローダミンB(Lissamine Rhodamine B)、テキサスレッド(Texas Red)、フィコエリスリン(Phycoerythrin;PE)、ウンベリフェロン、ユーロピウム、フィコシアニン、トリカラー、シアニンなど)、化学発光物質(ルミノールなど)、ハプテン(ジニトロフルオロベンゼン、アデノシン一リン酸(AMP)、2,4−ジニトロアニリンなど)、特異的結合対(ビオチンとアビジン類(ストレプトアビジンなど)、レクチンと糖鎖、アゴニストとアゴニストの受容体、ヘパリンとアンチトロンビンIII(ATIII)のいずれか一方の物質等が例示される。
【0032】
また、抗ITI抗体に代表される「SHAP−HA複合体に結合するポリペプチド」を、固相に結合したSHAP−HA複合体に結合させた後、さらに当該ポリペプチドに結合する第2のポリペプチド(例えば二次抗体等)を用いて検出してもよい。この第2のポリペプチドは、前記のような標識物質で予め標識されていることが好ましい。
このような「SHAP−HA複合体に結合するポリペプチド」や、これに結合する第2のポリペプチドに結合している標識物質を検出することによって、固相に結合した検体中のSHAP−HA複合体を検出することができる。
【0033】
標識物質を検出する方法は、標識物質の種類に応じた公知の検出手段を適宜選択することができる。例えば、標識物質として特異的結合対の一方の物質(例えばビオチン)を使用した場合には、これに特異的に結合する他方の物質(例えばストレプトアビジン)を結合させた酵素(例えばペルオキシダーゼ等)を添加して、特異的結合対を形成せしめる。次いで、これに該酵素の基質(例えば過酸化水素(酵素がペルオキシダーゼの場合))及び発色物質(例えばTMBや、ジアミノベンチジン等)を添加して、酵素反応による生成物の発色の度合いを吸光度で測定することによって、標識物質を検出することができる。
【0034】
また、例えば標識物質として放射性同位元素、蛍光色素又は化学発光物質を使用した場合には、放射能のカウント、蛍光強度、蛍光偏光、発光強度等を測定する方法などが例示される。
【0035】
このような標識物質の検出を介して、固相に結合した検体中のSHAP−HA複合体を検出することができ、これによって検体中のSHAP−HA複合体を測定することができる。この方法はいわゆるサンドイッチ法であることから、標識物質が多く検出されたとすれば、それだけサンドイッチ状複合体の量が多いこと、すなわち検体中のSHAP−HA複合体が多いこと意味することになる。
【0036】
SHAP−HA複合体の定性的な測定(SHAP−HA複合体の存否の検出)を望む場合には、標識物質の検出の有無をそのまま測定結果とすることができる。また、SHAP−HA複合体の定量的な測定(SHAP−HA複合体の濃度の測定など)を望む場合には、吸光度、放射能のカウント、蛍光強度、発光強度などをそのままSHAP−HA複合体の量の指標とすることができる。また、既知濃度のSHAP−HA複合体の標準溶液を用いて予め検量線又は関係式を作成しておき、これを用いて検体中のSHAP−HA複合体濃度を求めることもできる。
検体中のSHAP−HA複合体の測定結果と妊娠中毒症との関連づけは、以下の通り行うことができる。
【0037】
本発明により、妊娠中毒症の動物の検体中ではSHAP−HA複合体が有意に増加することが明かとなった。したがって、検体中のSHAP−HA複合体の測定結果(検体中のSHAP−HA複合体量)が、健常動物(妊娠中毒症でない動物)における測定結果に比して高い場合には、「妊娠中毒症である」又は「妊娠中毒症である可能性が高い」と関連づけることができる。また、この測定結果が、健常動物における測定結果と同等もしくはそれよりも低ければ、「妊娠中毒症ではない」又は「妊娠中毒症である可能性は低い」と関連づけることができる。
【0038】
また、検体中のSHAP−HA複合体の測定結果と妊娠中毒症とを関連づけは、「妊娠中毒症の可能性の有無」のみでなく、妊娠中毒症の重症度や、病態の進行の程度の検知も含まれる。本発明により、重症の妊娠中毒症において検体中のSHAP−HA複合体が有意に増加することが明かとなったことから、例えばある個体の検体中のSHAP−HA複合体量を測定し、これがある一定のレベルよりも高い時には「重症の妊娠中毒症である」又は「重症の妊娠中毒症である可能性が高い」と関連づけることができ、逆に検体中のSHAP−HA複合体量がある一定レベルよりも低いときには、「軽症の妊娠中毒症である」又は「軽症の妊娠中毒症である可能性が高い」と関連づけることができる。ここにいう「一定レベル」は、後述の実施例に示した「表2」の結果その他に基づいて、当業者が適宜決定することができる。
また、検体中のSHAP−HA複合体を定期的に測定し、その量が増加傾向にある場合には「妊娠中毒症が進行している」又は「妊娠中毒症が進行している可能性が高い」と関連づけることができる。逆に減少傾向にある場合には「妊娠中毒症が改善方向にある」又は「妊娠中毒症が改善方向にある可能性が高い」と関連づけることができる。また量的に変化がない場合には「妊娠中毒症の進行(改善)に変化がない」又は「妊娠中毒症の進行(改善)に変化がない可能性が高い」と関連づけることができる。これにより、妊娠中毒症のモニタリング等に応用することもできる。
【0039】
なお、妊娠中毒症との関連づけの基準となる測定結果(検体中のSHAP−HA複合体の量)は、前記の検量線又は関係式を用いて求めた濃度であっても良く、健常動物の検体中における量に対する比であっても良い。
【0040】
なお本発明は妊娠中毒症の「検知方法」であるが、「スクリーニング方法」や「診断方法」としての思想も包含することはいうまでもない。
<1>−2 本発明方法2
本発明方法2は、検体中のUTIを測定し、その測定結果と妊娠中毒症とを関連づけるステップを少なくとも含む、妊娠中毒症の検知方法である。
本発明方法2は、妊娠中毒症の動物の検体中ではSHAP−HA複合体のみならず、UTIも有意に増加することが本発明により明かとなったことから、これを妊娠中毒症の検知方法として応用したものである。
本発明方法2における「検体」は、本発明方法1で説明したものと同様のものを用いることができるが、特に尿であることが好ましい。その他の説明は、前記の本発明方法1におけるSHAP−HA複合体を「UTI」と、ITIを「UTI」とそれぞれ読み替えたものと同じである。
【0041】
ただし、本発明方法2におけるUTIの測定を免疫測定法によって行う場合には、以下のステップ(1)及び(2)を少なくとも含む方法で行われることが好ましい。
(1)UTIが固着された固相に、検体と「UTIに結合するポリペプチド」とを接触させるステップ。
(2)固相に結合した「UTIに結合するポリペプチド」を検出するステップ。
以下、これらのステップごとに説明する。
ステップ(1):
ステップ(1)は、UTIが固着された固相に、検体と「UTIに結合するポリペプチド」とを接触させるステップである。
【0042】
ここにいう「UTIが固着された固相」、「UTIに結合するポリペプチド」等の説明については、前記の通り本発明方法1におけるSHAP−HA複合体を「UTI」と、ITIを「UTI」を読み替えたものと同じである。
なお、ステップ(1)における接触は、三者同時であってもよく、UTIが固着された固相と検体とを接触させた後これに「UTIに結合するポリペプチド」を接触させてもよく、検体と「UTIに結合するポリペプチド」とを接触させた後これを「UTIが固着された固相」に接触させてもよい。接触させた後の処理についても、本発明方法1と同様である。
これら三者を接触させることにより、「検体中に存在するUTI」と「固相に固着されたUTI」とが「UTIに結合するポリペプチド」を奪い合うことになる。その結果、検体に存在するUTIの量が多ければ、固相に結合する「UTIに結合するポリペプチド」は減少する。逆に検体に存在するUTIの量が少なければ、固相に結合する「UTIに結合するポリペプチド」は増加することになる。
【0043】
ステップ(2):
(2)固相に結合した「UTIに結合するポリペプチド」を検出するステップ。
固相に結合した「UTIに結合するポリペプチド」の検出も、前記の本発明方法1における「固相に結合した検体中のSHAP−HA複合体の検出」と同様に行うことができる。したがって、このポリペプチドの検出方法も特に限定されず、物理化学的に直接検出してもよく、この「UTIに結合するポリペプチド」に結合する第2のポリペプチド等(例えば二次抗体等)を使って検出してもよい。「UTIに結合するポリペプチド」としては抗UTI抗体が例示される(前記の通り、本発明方法1における抗ITI抗体を、抗UTI抗体と読み替えれば良い)。
固相に結合した「UTIに結合するポリペプチド」や、これに結合する第2のポリペプチドに結合している標識物質を検出することによって、検体中のUTIを測定することができる。前記の記載から理解されるように、この方法はいわゆる阻害法であることから、固相から標識物質が多く検出されたとすれば、それだけ検体中のUTIが少ないこと意味することになる。
【0044】
なお、本発明方法1と、本発明方法2を併せて実施することにより、妊娠中毒症の検知の精度をより高めることもできる。
<2>本発明キット1
本発明キット1は、下記の構成成分(A)及び(B)を少なくとも含むことを特徴とする、妊娠中毒症の検知キットである。
(A)HABP
(B)抗ITI抗体
本発明キット1は、前記の本発明方法1に従って妊娠中毒症の有無の検知や、重症度の検知等に用いることができる。
本発明キット1の構成成分であるHABPは、前記の通り固相に結合させるために用い
られる。このHABPは、予め固相に固着した状態で本発明キット1の構成成分としてもよい。
【0045】
また、本発明キット1の構成成分である抗ITI抗体は、前記の通り、固相に結合した検体中のSHAP−HA複合体を検出するために用いられる。
【0046】
本発明キット1に関するその他の説明は、前記の本発明方法1と同様である。なお、本発明キット1は、前記の構成成分を少なくとも含む限りにおいて特に限定されず、さらに検量線や関係式作成の標準となる既知濃度のSHAP−HA複合体の標準品や、標識物質の検出試薬等を構成として加えることができる。また、これらの構成の他に、前記ブロッキング物質、前記洗浄液、検体希釈液、酵素反応停止液等が含まれていてもよい。さらに本発明キットには、測定バッチ同士の実施レベルを一定水準に保つための陽性コントロール(QCコントロール)を含有させることもできる。
【0047】
これらの構成成分は、それぞれ別体の容器に収容しておき、使用時に本発明方法1に従って使えるキットとして保存しておくことができる。
【0048】
なお本発明キットは、妊娠中毒症の「検知キット」であるが、「スクリーニングキット」や「診断キット」としての思想も包含することはいうまでもない。
<3>本発明キット2
本発明キット2は、下記の構成成分(A)及び(B)を少なくとも含むことを特徴とする、妊娠中毒症の検知キットである。
(A)UTI
(B)抗UTI抗体
本発明キット2は、前記の本発明方法2に従って妊娠中毒症の検知に用いることができる。本発明キット2の構成成分であるUTIは、前記の通り固相に結合させるために用いられる。このUTIは、予め固相に固着した状態で本発明キット2の構成成分としてもよい。
【0049】
また、本発明キット2の構成成分である抗UTI抗体は、本発明方法2における「UTIに結合するポリペプチド」に相当するものである。その他の説明は、本発明キット1と同様である。
【0050】
なお、本発明キット1と、本発明キット2を併せて1つのキットにしてもよい。このキットを用いることにより、妊娠中毒症の検知の精度をより高めることもできる。
【実施例】
【0051】
以下、本発明を実施例により具体的に詳説する。
<1>材料
以下に、本実施例で用いた材料を説明する。
1.検体
検体(血清及び尿)は、単胎妊娠で正常な妊婦60名、及び、妊娠中毒症の妊婦20名(そのうち重症の妊娠中毒症7名、軽症の妊娠中毒症13名)の母体から採取した。採取は、いずれも書面によるインフォームドコンセントを取得した上で行った。
【0052】
妊娠20週目以降に高血圧(収縮期血圧が140mmHg以上又は拡張期血圧が90mmHg以上であること)及びタンパク尿(300mg/日)が生じている場合を「妊娠中毒症」であると判定した。そのなかで、収縮期血圧が140mmHg以上かつ160mmHg未満又は拡張期血圧が90mmHg以上かつ110mmHg未満であって、さらにタンパク尿(300mg/日以上かつ2g/日未満)が生じている場合を「軽症の妊娠中毒症」と判定した。また、収縮期血圧が160mmHg以上又は拡張期血圧が110mmHg以上であって、さらにタンパク尿(2g/日以上)が生じている場合を「重症の妊娠中毒症」と判定した。
2.その他の試薬
その他の試薬は、以下のものを用いた。
・HA測定キット(Hyaluronan Assay Kit)(生化学工業株式会社)
・TMB溶液(TMB microwell peroxidase substrate;KPL社)
・HABP(生化学工業株式会社)
・ウサギ抗ヒトITI抗体(DAKO社)
・HRP標識ヤギ抗ウサギ免疫グロブリン抗体(Jackson社)
・ヒトUTI(持田製薬株式会社)
・ウサギ抗ヒトUTI抗体(愛知医科大学分子医科学研究所より分与)
<2>方法
1.HAの測定
検体中のHA濃度は、HA測定キットを用いて測定した。まず当該キットに含まれているHABP固相化マイクロプレートをPBS−Tで3回洗浄し、検体希釈液(1% BSA/PBS−Tで5倍〜10倍に希釈した血清)50μl、および前記キットに含まれているビオチン標識HABP溶液50μlをそれぞれのウエルに添加して、37℃で1時間インキュベートした。その後ウエルをPBS−Tで洗浄した後、前記キットに含まれているHRP標識ストレプトアビジン溶液をそれぞれのウエルに100μl添加して、さらに37℃で1時間インキュベートした。
【0053】
ウエルをPBS−Tで洗浄した後、TMB溶液をそれぞれのウエルに100μl添加して、37℃で30分間インキュベートすることにより発色させた。発色反応は、1MのHClをそれぞれのウエルに100μl添加することによって停止させた。その後、各ウエルについて450/630nmにおける吸光度(450nmにおける吸光度−630nmにおける吸光度)を測定した。この測定は、それぞれの検体について3回行った。
2.SHAP−HA複合体の測定
検体中のSHAP−HA複合体の濃度は、J. Biol. Chem., 278, p32710-32718 (2003)に記載の方法に従って測定した。HABP(0.1M 炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.5)で4μg/mlに調製したもの)をマイクロタイタープレートのウエルに添加して、4℃で15時間静置することにより、HABPをウエルの表面にコートした。その後、ウエルを200μlのPBSで2回洗浄し、次いでウエルに3%BSA(PBS−Tで溶解したもの)を200μl添加して室温で1時間静置することによってブロッキングした。その後、200μlのPBS−Tで3回洗浄した後、検体希釈液(1% BSA/PBS−Tで5倍〜10倍に希釈した血清)をそれぞれのウエルに50μl添加して、37℃で1時間インキュベートした。
その後ウエルを洗浄し、ウサギ抗ヒトITI抗体(1%BSA/PBS−Tで3000倍に希釈したもの)及びHRP標識ヤギ抗ウサギ免疫グロブリン抗体(1%BSA/PBS−Tで3000倍に希釈したもの)を、いずれも、それぞれのウエルに25μl添加して、37℃で1時間インキュベートした。
その後ウエルを3回洗浄した後、TMB溶液をそれぞれのウエルに50μl添加して、37℃で10分間インキュベートすることにより発色させた。発色反応は、1MのHClをそれぞれのウエルに50μl添加することによって停止させた。その後、各ウエルについて450/650nmにおける吸光度(450nmにおける吸光度−650nmにおける吸光度)を測定した。この測定は、それぞれの検体について3回行った。
3.UTIの測定
検体中のUTIの濃度は、以下の通り測定した。
ヒトUTI(0.1M 炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.5)で2μg/mlに調製したもの)をマイクロタイタープレートのウエルに添加して、4℃で一晩静置することにより、UTIをウエルの表面にコートした。次いでウエルに2%BSAを添加して4℃で静置することによってブロッキングした。その後PBS−Tで3回洗浄した後、検体(PBSで5倍〜10倍に希釈した尿)及びウサギ抗ヒトUTI抗体を、いずれも、それぞれのウエルに50μl添加して、37℃で1時間インキュベートした。
その後ウエルを洗浄し、HRP標識ヤギ抗ウサギ免疫グロブリン抗体(1%BSA/PBS−Tで3000倍に希釈したもの)を、それぞれのウエルに100μl添加して、37℃で1時間インキュベートした。
その後ウエルをPBS−Tで3回洗浄した後、TMB溶液をそれぞれのウエルに50μl添加して、37℃で10分間インキュベートすることにより発色させた。発色反応は、1MのHClをそれぞれのウエルに50μl添加することによって停止させた。その後、各ウエルについて450/650nmにおける吸光度(450nmにおける吸光度−650nmにおける吸光度)を測定した。この測定は、それぞれの検体について3回行った。
4.統計解析
有意差の解析は、対応のないt検定(unpaired t-test)、χ検定、及び二元配置分散分析(two-way analysis of variance;ANOVA)によって行った。P<0.05の場合、統計学的に有意であると考えられる。血清中のHA、血清中のSHAP−HA複合体及び尿中のUTIの測定による妊娠中毒症検知の正確性は、ROC曲線によって解析した。
<3>結果
正常妊婦及び妊娠中毒症の妊婦における、血清中のHA、血清中のSHAP−HA複合
体及び尿中のUTI濃度を測定した結果を、表1に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
表1より、妊娠中毒症の妊婦の血清中のHA濃度、血清中のSHAP−HA複合体濃度及び尿中のUTI濃度は、いずれも正常の妊婦より有意に高いことが示された。妊娠中毒症によって血清中の濃度が上昇する知見は、非特許文献1における知見と一致するものである。なお、血清中のSHAP−HA複合体及び尿中のUTIの測定結果は、血清中のHAの測定結果に比してP値が低かった。したがって、血中のSHAP−HA複合体や尿中のUTIは、血中のHAに比して、より妊娠中毒症であることを反映しやすい優れたパラメータとなることが示された。
また、重症及び軽症の妊娠中毒症の妊婦における、血清中のHA、血清中のSHAP−HA複合体及び尿中のUTI濃度を測定した結果を、表2に示す。
【0056】
【表2】

【0057】
表2より、重症の妊娠中毒症の妊婦の血清中のSHAP−HA複合体濃度は、軽症の妊婦より有意に高いことが示された。これに対し、血清中のHA及び尿中のUTIの濃度は、重症と軽症との間で有意差がみられなかった。したがって、血中のSHAP−HA複合体は、妊娠中毒症の重症と軽症とを判別することができ、重症度や病態進行等を反映する優れたパラメータであることが示された。
【0058】
さらに重症及び軽症の妊娠中毒症の妊婦における、血清中のHA、血清中のSHAP−HA複合体及び尿中のUTIの測定による妊娠中毒症検知の正確性を、ROC曲線で解析した。結果を図1に示す。なお図1中の横軸は特異性を、縦軸は感度を示す。
【0059】
図1からも、血清中のSHAP−HA複合体は、妊娠中毒症の重症度を特に正確に検知することができるパラメータであることが示された。
【0060】
以上の結果から、検体中のSHAP−HA複合体やUTIを測定することによって、HAを測定した場合に比して妊娠中毒症であるか否かをより鋭敏に検知できることが示された。さらにSHAP−HA複合体を測定することによって、妊娠中毒症の重症度も鋭敏かつ正確に検知できることが示された。
<4>本発明キット1の作製
以下の構成からなる本発明キット1を作製した。このキットは、サンドイッチ法によるSHAP−HA複合体の測定を通じて、妊娠中毒症の有無の検知や重症度等の検知等に用いることができる。
1.HABPが固着された96ウェルのイムノプレート 1枚
2.ウサギ抗ヒトITI抗体
3.HRP標識ヤギ抗ウサギ免疫グロブリン抗体
4.TMB溶液 1本
5.反応停止液(1M HCl) 1本
6.洗浄液(PBS−T)
7.SHAP−HA複合体標準溶液 1セット
<5>本発明キット2の作製
以下の構成からなる本発明キット2を作製した。このキットは、阻害法によるUTIの測定を通じて、妊娠中毒症の検知等に用いることができる。
1.ヒトUTIが固着された96ウェルのイムノプレート 1枚
2.ウサギ抗ヒトUTI抗体
3.HRP標識ヤギ抗ウサギ免疫グロブリン抗体
4.TMB溶液 1本
5.反応停止液(1M HCl) 1本
6.洗浄液(PBS−T)
7.UTI複合体標準溶液 1セット
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明方法や本発明のキットは、妊娠中毒症の有無の検知や重症度の検知等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】重症及び軽症の妊娠中毒症妊婦の血清中のHA、血清中のSHAP−HA複合体及び尿中のUTI測定に関するROC曲線を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体中の「血清由来ヒアルロナン結合性タンパク質とヒアルロン酸との複合体」及び/又はビクニンを測定し、その測定結果と妊娠中毒症とを関連づけるステップを少なくとも含む、妊娠中毒症の検知方法。
【請求項2】
検体中の「血清由来ヒアルロナン結合性タンパク質とヒアルロン酸との複合体」を測定し、その測定結果と妊娠中毒症とを関連づけるステップを少なくとも含む、妊娠中毒症の検知方法。
【請求項3】
検体が、血液由来の検体であることを特徴とする、請求項2に記載の検知方法。
【請求項4】
「血清由来ヒアルロナン結合性タンパク質とヒアルロン酸との複合体」の測定が、免疫測定法によって行われることを特徴とする、請求項2又は3に記載の検知方法。
【請求項5】
免疫測定法が、以下のステップ(1)及び(2)を少なくとも含む方法で行われることを特徴とする、請求項4に記載の検知方法。
(1)ヒアルロン酸結合性タンパク質が固着された固相に、検体を接触させるステップ。
(2)固相に結合した検体中の「血清由来ヒアルロナン結合性タンパク質とヒアルロン酸
との複合体」を検出するステップ。
【請求項6】
下記の構成成分(A)及び(B)を少なくとも含むことを特徴とする、妊娠中毒症の検知キット。
(A)ヒアルロン酸結合性タンパク質
(B)抗インター−α−トリプシンインヒビター抗体
【請求項7】
検体中のビクニンを測定し、その測定結果と妊娠中毒症とを関連づけるステップを少なくとも含む、妊娠中毒症の検知方法。
【請求項8】
検体が、尿であることを特徴とする、請求項7に記載の検知方法。
【請求項9】
ビクニンの測定が、免疫測定法によって行われることを特徴とする、請求項7又は8に記載の検知方法。
【請求項10】
免疫測定法が、以下のステップ(1)及び(2)を少なくとも含む方法で行われることを特徴とする、請求項9に記載の検知方法。
(1)ビクニンが固着された固相に、検体と「ビクニンに結合するポリペプチド」とを接
触させるステップ。
(2)固相に結合した「ビクニンに結合するポリペプチド」を検出するステップ。
【請求項11】
下記の構成成分(A)及び(B)を少なくとも含むことを特徴とする、妊娠中毒症の検知キット。
(A)ビクニン
(B)抗ビクニン抗体



【図1】
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【公開番号】特開2006−250862(P2006−250862A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70896(P2005−70896)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000195524)生化学工業株式会社 (143)