説明

妨害排除能力試験装置

【課題】 イミュニティ試験を行う試験装置において、供試機器の合否判定だけでなく、妨害波に対する耐性を評価し得る試験結果が得られるようにする。
【解決手段】 ホーンアンテナ10から供試機器4に試験用電波を照射して、供試機器4の妨害波に対する耐性を試験する際、測定装置30は、ホーンアンテナ10から放射させる試験用電波の周波数及び偏波面の角度を、予め設定された試験条件に従い変化させ、更に、各試験条件下で、送信信号の信号レベルを変化させることにより、供試機器4が正常動作から異常動作(又はその逆)へと変化する境界点を検知し、その境界点での電界強度を算出する。また、測定装置30は、試験結果となる各試験条件下での電界強度を、増幅器20の出力レベルから算出するが、その換算データは、試験前に、供試機器4の設置場所に設置した電界強度測定器8を利用して、自動生成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、妨害波による電子機器の耐性を測定する妨害排除能力試験を行うのに用いられる妨害排除能力試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子機器の電磁環境適合性(EMC:Electro Magnetic Compatibility)を評価するEMC試験の一つとして、妨害波による電子機器の耐性を測定する妨害排除能力試験(所謂イミュニティ試験)が知られている。
【0003】
このイミュニティ試験は、試験対象となる電子機器(以下、供試機器ともいう)に妨害波を照射した際に、供試機器が正常に動作するか否かを判定するための試験であり、試験の際に供試機器に照射する妨害波の周波数や強度は、国際電気標準会議(IEC)等の国際規格若しくは各種団体の規格で規定されている。
【0004】
このため、こうしたイミュニティ試験を行うための装置(妨害排除能力試験装置)は、通常、所望の指向特性が得られるホーンアンテナと、そのホーンアンテナに送信信号を入力して妨害波としての試験用電波を放射させる発振器とを備え、試験前には、この発振器からホーンアンテナに入力される送信信号の信号レベルを増幅器や減衰器等を介して調整することにより、供試機器に対して特定強度(例えば、600V/m)の試験用電波を照射できるように校正される(例えば、特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開2003−121485号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、こうした従来の妨害排除能力試験装置では、供試機器が所定のイミュニティ試験に合格しているか否かを判定することはできるもののの、供試機器が妨害波に対してどの程度の耐性を有するのか、といった評価を行うことはできず、こうした評価のためには、作業員自らが、供試機器の動作状態を確認しつつ、ホーンアンテナへの送信信号の入力レベルを手動で切り換え、供試機器に異常が生じたときにホーンアンテナから供試機器に照射されている試験用電波の電界強度を測定する必要があった。
【0006】
従って、従来、供試機器の妨害波に対する耐性を評価するには手間と時間がかかり、例えば、妨害波に対して充分な耐性を有する電子機器を提供するには、設計時間が増加し、これに伴い機器のコストアップを招く、という問題があった。
【0007】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、妨害波に対する電子機器の耐性を測定するための妨害排除能力試験装置において、電子機器が妨害波に対してどの程度の耐性を有するのかを評価し得る試験結果が得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、試験対象物である電子機器に試験用電波を照射することにより、該電子機器の妨害排除能力を測定するための妨害排除能力試験装置であって、
前記電子機器に向けて前記試験用電波を放射するためのアンテナと、
該アンテナから前記試験用電波を放射させるための送信信号を発生する信号発生手段と、
該信号発生手段から前記アンテナに入力される送信信号の信号レベルを調整するためのレベル調整手段と、
前記電子機器の動作を監視しつつ、前記レベル調整手段を介して前記アンテナに入力される送信信号の信号レベルを変化させることで、前記電子機器が前記試験用電波によって正常動作から異常動作又は異常動作から正常動作に変化する境界点での前記送信信号の信号レベルを検出する境界点検出手段と、
該境界点検出手段にて検出された前記境界点での前記送信信号の信号レベルに基づき、予め設定された換算データを用いて、前記境界点で前記電子機器に照射された試験用電波の電界強度を演算し、該演算結果を、前記送信信号の周波数を含む試験条件と共に記憶手段に格納する試験結果格納手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の妨害排除能力試験装置において、前記信号発生手段を、前記送信信号の発生周波数を外部から設定可能に構成し、更に、前記信号発生手段が発生する送信信号の周波数を、試験条件として予め登録された複数の周波数の一つに設定すると共に、該試験条件下で前記境界点検出手段及び前記試験結果格納手段による一連の試験動作が完了すると、前記信号発生手段が発生する送信信号の周波数を前記複数の周波数の他の一つに変更することで、前記一連の試験動作を前記試験条件として設定された全ての周波数に対して実行させる第1の試験条件変更手段、を設けたことを特徴とする。
【0010】
また次に、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の妨害排除能力試験装置において、
前記アンテナから放射される試験用電波の偏波面の角度を、少なくとも水平から垂直の間で変化させる偏波面調整手段と、
該偏波面調整手段を介して前記アンテナが放射する試験用電波の偏波面を、試験条件として予め登録された複数の偏波角度の一つに設定すると共に、該試験条件下で前記境界点検出手段及び前記試験結果格納手段による一連の試験動作が完了すると、前記アンテナが放射する試験用電波の偏波面を前記複数の偏波角度の他の一つに変更することで、前記一連の試験動作を前記試験条件として設定された全ての偏波角度に対して実行させる第2の試験条件変更手段と、
を設けたことを特徴とする。
【0011】
一方、請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の妨害排除能力試験装置において、前記試験結果格納手段により前記記憶手段に格納された試験結果を表示する表示手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れかに記載の妨害排除能力試験装置において、前記試験条件を外部から登録するための試験条件入力手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
また次に、請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れかに記載の妨害排除能力試験装置において、
前記電子機器の妨害排除能力を測定する前に、前記試験結果格納手段が試験用電波の電界強度を演算するのに用いる換算データを生成するための手段として、
妨害排除能力の測定時に測定対象となる電子機器が設置される設置場所に配置され、前記アンテナから放射された試験用電波の電界強度を測定する電界強度測定手段と、
前記レベル調整手段を介して前記アンテナに入力される送信信号の信号レベルを変化させつつ、前記電界強度測定手段を介して得られる試験用電波の電界強度を読み込むことで、前記アンテナに入力される信号レベルと前記電子機器の設置場所での試験用電波の電界強度との対応関係を表すデータを生成し、該データを前記換算データとして設定する換算データ生成手段と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の妨害排除能力試験装置においては、境界点検出手段が、電子機器の動作を監視しつつ、レベル調整手段を介してアンテナに入力される送信信号の信号レベルを変化させることで、電子機器が試験用電波によって正常動作から異常動作又は異常動作から正常動作に変化する境界点での送信信号の信号レベルを検出し、試験結果格納手段が、その境界点検出手段にて検出された境界点での送信信号の信号レベルに基づき、換算データを用いて、電子機器の正常動作と異常動作との境界点での試験用電波の電界強度を演算し、その演算結果を、送信信号の周波数を含む試験条件と共に記憶手段に格納する。
【0015】
従って、この請求項1に記載の妨害排除能力試験装置によれば、試験結果として、アンテナから放射された試験用電波の影響を受けて電子機器が異常動作し始めるときの試験用電波の電界強度が、記憶手段に自動で記憶されることになり、例えば、使用者は、アンテナから放射させる試験用電波(換言すれば信号発生手段からレベル調整手段を介してアンテナに入力される送信信号)の周波数等、各種試験条件を変化させつつ、境界点検出手段及び試験結果格納手段による一連の試験動作を実行させ、その後、記憶手段に記憶された各試験条件での試験結果を読み取るようにすれば、各試験条件で試験用電波を放射した際の電子機器の耐性を評価することができるようになる。
【0016】
よって、本発明の妨害排除能力試験装置を用いれば、試験対象となる電子機器の妨害波に対する耐性を短時間で極めて容易に評価することができるようになり、妨害波に対して充分な耐性を有する電子機器を設計する際の設計時間を短縮して、その電子機器のコストを低減することが可能となる。
【0017】
次に、請求項2に記載の妨害排除能力試験装置においては、第1の試験条件変更手段が、信号発生手段が発生する送信信号の周波数を、試験条件として予め登録された複数の周波数の内の一つに順次切り換えつつ、境界点検出手段及び試験結果格納手段による一連の試験動作を順次実行させる。
【0018】
このため、この請求項2に記載の妨害排除能力試験装置によれば、電子機器が異常動作し始めるときの試験用電波の電界強度を、試験用電波の周波数を変更しつつ、各周波数毎に自動で測定することが可能となり、各周波数毎の電子機器の耐性をより短時間で評価することができるようになる。
【0019】
また次に、請求項3に記載の妨害排除能力試験装置においては、第2の試験条件変更手段が、偏波面調整手段を介して、アンテナが放射する試験用電波の偏波面を、試験条件として予め登録された複数の偏波角度の一つに順次切り換えつつ、境界点検出手段及び試験結果格納手段による一連の試験動作を順次実行させる。
【0020】
このため、この請求項3に記載の妨害排除能力試験装置によれば、電子機器が異常動作し始めるときの試験用電波の電界強度を、試験用電波の偏波面の角度を順次変更しつつ、偏波面毎に自動で測定することが可能となり、各偏波角度毎に電子機器の耐性を評価する際の時間を短縮することができるようになる。
【0021】
また、こうした試験用電波の偏波面に対するイミュニティ試験は、従来、水平偏波と垂直偏波との2種類の電波を用いて行うのが一般的であり、その偏波面の変更は、アンテナを手動で回転させることによって行っていたが、本発明によれば、アンテナから放射される試験用電波の偏波面の角度を自動調整するための偏波面調整手段が設けられ、しかも、この偏波面調整手段は、試験用電波の偏波面を、少なくとも水平から垂直の間で変化させることができることから、試験条件を適宜設定することにより、試験用電波の偏波角度を水平・垂直以外の任意の角度に設定して、電子機器の妨害波に対する耐性を評価することができるようになり、その評価範囲を広げることもできる。
【0022】
一方、請求項4に記載の妨害排除能力試験装置によれば、試験結果格納手段により記憶手段に格納された試験結果を表示手段に表示させることができる。このため、使用者は、表示手段に表示された画像を見ながら電子機器の妨害波に対する耐性を評価することができるようになり、試験装置の使い勝手を向上することができる。
【0023】
また、請求項5に記載の妨害排除能力試験装置によれば、アンテナから放射させる試験用電波の周波数や偏波角度、といった各種試験条件を試験条件入力手段を介して登録することができる。このため、使用者は、任意の試験条件下で、電子機器の妨害波に対する耐性を評価することができるようになり、当該装置の用途を拡大することができる。
【0024】
また次に、請求項6に記載の妨害排除能力試験装置には、電子機器の妨害排除能力を測定する前に換算データを生成するための手段として、電界強度測定手段と、換算データ生成手段とが備えられ、換算データ生成手段が、レベル調整手段を介してアンテナに入力される送信信号の信号レベルを変化させつつ、電界強度測定手段を介して得られる試験用電波の電界強度を読み込むことで、アンテナに入力される信号レベルと電子機器の設置場所での試験用電波の電界強度との対応関係を表すデータを生成し、このデータを換算データとして設定する。
【0025】
このため、請求項6に記載の妨害排除能力試験装置によれば、電子機器を設置してその妨害排除能力を試験する前に、実際の試験条件下で、アンテナへの送信信号の信号レベルから電子機器に実際に照射されている試験用電波の電界強度を演算するのに使用される換算データを設定することが可能となり、試験結果格納手段による電界強度の演算精度(延いては、当該装置による試験精度)を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用された妨害排除能力試験装置全体の構成を表す構成図である。
図1に示すように、本実施形態の妨害排除能力試験装置は、載置台6に載置された供試機器4に対して妨害波となる試験用電波を照射することで、供試機器4の妨害波に対する耐性を測定するイミュニティ試験を行うためのものであり、試験用電波を放射するためのホーンアンテナ10と、このホーンアンテナ10から放射された試験用電波を効率よく供試機器4に導くための導波管12とを備える。
【0027】
このホーンアンテナ10と導波管12とは、供試機器4の載置台6と共に電波暗室2内に設置されており、ホーンアンテナ10は、その開口面が載置台6上の供試機器4に向くよう支柱14に固定され、導波管12は、支持台16を介してホーンアンテナ10と供試機器4との間に配置されている。
【0028】
また、ホーンアンテナ10には、ホーンアンテナ10から試験用電波を放射させるための送信信号を増幅し、ホーンアンテナ10に入力する増幅器20や、ホーンアンテナ10から放射される試験用電波の偏波面を水平から垂直へと連続的に角度調整するためのモータ18が一体的に設けられている。
【0029】
つまり、図2に示すように、本実施形態のホーンアンテナ10は、円錐若しくは角錐のホーン41と、このホーン41の後端側に延設された導波管42と、この導波管42の後端に回転軸43を介して導波管42の中心軸回りに回転可能に固定され、試験用電波を出射するためのプローブP1と、このプローブP1に送信信号を給電するための同軸導波管変換器44と、から構成されており、導波管42の外壁には、金属筐体に収納された増幅器20が固定されている。
【0030】
また、プローブP1は、導波管42の中心軸に沿って矩形波状に曲折されており、このプローブP1を回転軸43を介して導波管42の中心軸周りに回転させることにより、ホーンアンテナ10から放射される試験用電波の偏波角度を調整できるようにされている。また、同軸導波管変換器44は、増幅器20の出力端子から出力された送信信号を受けてプローブP1に給電するためのプローブP0と、このプローブP0からプローブP1への給電経路を形成してこれら各部を結合させる導波管45とから構成されている。そして、この導波管45には、プローブP1の後端を支持した回転軸43が後方に向けて貫通されており、その導波管45の後方には、この回転軸43に連結されてこれを回転させるモータ18が組み付けられている。
【0031】
また、このモータ18は、所望の回転角度で停止させることができるように、ステップモータ若しくはサーボモータにて構成されており、モータ18の出力軸(延いては回転軸43)には、回転角度検出用のスリットを設けた回転板46が固定され、更に、その回転板46の周囲には、そのスリットを検出してモータ18の回転角度(延いてはホーンアンテナ10から放射される試験用電波の偏波角度)を表す回転角度信号を発生する回転センサ47が配置されている。
【0032】
一方、電波暗室2の外には、モータ18を駆動して試験用電波の偏波角度を調整するためのモータ駆動装置22、ホーンアンテナ10から試験用電波を放射させるための送信信号を発生する信号発生装置24、イミュニティ試験の際に送信信号をパルス幅変調するためのパルス信号を発生するパルス発生器26、及び、これら各部を制御してホーンアンテナ10から予め規定された試験条件に対応した試験用電波を送信させる測定装置30が設けられている。
【0033】
測定装置30は、キーボードやマウス等からなり使用者が手動操作するための操作部30a、CRT又はLCD等からなり試験結果等の情報を表示するための表示部30b、ハードディスク等からなり試験結果等の情報を記憶するための記憶部30c、等を備えたコンピュータシステム(例えばパーソナルコンピュータ)にて構成されている。
【0034】
そして、測定装置30は、イミュニティ試験の際には、従来のように単にホーンアンテナ10から試験用電波を放射させるのではなく、載置台6に載置された供試機器4の動作状態を供試機器4から出力される状態監視用の信号(状態監視信号)に基づき監視しつつ、ホーンアンテナ10から放射させる試験用電波の特性(出力レベル、周波数、偏波角度等)を所定の試験条件に対応して変化させることにより、各試験条件下での供試機器4の耐性を測定し、その測定結果を記憶部30cに格納すると共に表示部30bに表示する。
【0035】
なお、状態監視信号は供試機器4の動作状態を表す信号であれば何でもよく、例えば、供試機器4がマイクロコンピュータを内蔵した電子機器であれば、そのマイクロコンピュータから定期的に出力されるウォッチドッグ信号を状態監視信号として利用すればよく、供試機器4がオーディオ機器であれば、そのオーディオ機器を動作させた際に出力される音声信号を状態監視信号として利用すればよい。
【0036】
そして、本実施形態では、この状態監視信号が、電波暗室2から測定装置30までの伝送経路上でノイズの影響を受けて劣化するのを防止するため、状態監視信号を光信号に変換して伝送するようにされている。つまり、本実施形態では、電波暗室2内に状態監視信号を光信号に変換する電気−光変換器(E/O変換器)32を設けると共に、測定装置30側に光−電気変換器(O/E変換器)36を設け、これらを光ファイバ34にて接続することで、供試機器4から出力された状態監視信号を光信号に変換して測定装置30まで伝送するようにされている。
【0037】
また、増幅器20は、信号発生装置24から出力された送信信号を増幅して、ホーンアンテナ10(詳しくは図2に示すプローブP0)に入力するためのものであるが、図3に示すように、この増幅器20には、送信信号を増幅するための増幅回路51に加えて、この増幅回路51にて増幅された送信信号及びホーンアンテナ10側から当該増幅器20に入力される受信信号の一部をそれぞれ取り出すための方向性結合器52が設けられている。
【0038】
そして、この方向性結合器52にて抽出された送信信号及び受信信号は、それぞれ、検波器53,55で検波されて、各信号の信号レベルを表すレベル検出信号に変換される。また、この変換されたレベル検出信号(送信レベル検出信号及び受信レベル検出信号)は、一定ゲインの増幅回路54、56にて増幅された後、測定装置30まで伝送される。
【0039】
そして、測定装置30は、増幅回路54から伝送されてくる送信レベル検出信号をA/D変換して取り込むことで、ホーンアンテナ10に出力する送信信号の信号レベルを検知し、その検知した信号レベルに基づき信号発生装置24を制御することにより、ホーンアンテナ10に出力する送信信号の信号レベル(延いては供試機器4に照射する試験用電波の電界強度)を制御する。
【0040】
また、測定装置30は、増幅回路56から伝送されてくる受信レベル検出信号をA/D変換して取り込むことで、ホーンアンテナ10が放射した試験用電波が供試機器4等に当たって反射してきた反射波の信号レベルを検知し、その信号レベルが予め設定された上限レベルよりも高い場合に、増幅器20の増幅動作(延いてはホーンアンテナ10からの試験用電波の送信)を停止(又は抑制)させて、増幅器20を反射波から保護する。
【0041】
なお、測定装置30には、モータ18に内蔵された回転センサ47からの回転角度信号も入力され、測定装置30は、この回転角度信号に基づき、ホーンアンテナ10から放射される試験用電波の偏波面の傾き(偏波角度)を検知し、イミュニティ試験の実行時には、その偏波角度が試験条件に対応した角度となるように、モータ駆動装置22を介してモータ18の回転角度を制御する。
【0042】
また次に、信号発生装置24には、制御電圧により発振周波数を制御可能な電圧制御型の可変発振回路(VCO)61と、水晶等を利用して一定周波数の基準信号を発生する基準発振器63と、VCO61から出力される高周波信号の一部を方向性結合器62を介して取り込み、外部から入力される周波数制御信号に従って、この高周波信号と基準発振器63が発生した基準信号とを分周又は逓倍して位相比較することにより、VCO61の発振周波数を制御するPLL回路64と、VCO61から出力される高周波信号を周波数逓倍して送信信号を生成する逓倍器65と、この逓倍器65にて生成された送信信号を増幅して増幅器20へ出力する増幅回路66とから構成されている。
【0043】
そして、この信号発生装置24内のPLL回路64には、測定装置30から周波数制御信号が入力され、測定装置30は、イミュニティ試験の実行時に、この周波数制御信号を変化させることで、VCO61から出力される高周波信号の周波数(延いては、信号発生装置24から増幅器20に出力される送信信号の周波数)を変更し、その変更した周波数毎に供試機器4の耐性を測定する。
【0044】
また、信号発生装置24内の増幅回路66には、増幅回路66の利得を調整することにより増幅回路66からの送信信号の出力レベルを調整するための自動レベル調整回路(ALC回路)が設けられており、測定装置30は、イミュニティ試験の実行時に、このALC回路68にレベル制御信号を出力することで、信号発生装置24から増幅器20を介してホーンアンテナ10に出力される送信信号の信号レベル(延いては、ホーンアンテナ10から供試機器4に向けて放射される試験用電波の送信レベル)を制御する。
【0045】
次に、図5は、イミュニティ試験の際に測定装置30にて実行される制御処理(イミュニティ試験実行処理)を表すフローチャートである。
なお、この処理は、使用者が操作部30aを操作することにより、イミュニティ試験の開始指令を入力した際に、測定装置30において実行される処理であるが、以下の説明では、その開始指令入力前には、使用者が、載置台6上に供試機器4を載置して、その供試機器4にE/O変換器32を接続する、といった手順で、所望の供試機器4に対するイミュニティ試験の準備を行っているものとする。
【0046】
図5に示す如く、このイミュニティ試験実行処理が開始されると、測定装置30は、まずS100にて、表示部30bに試験条件の設定画面を表示し、使用者がその設定画面に従って試験条件を入力してくるのを受け付ける、試験条件受付処理を実行する。
【0047】
具体的には、本実施形態では、試験条件として、イミュニティ試験で用いる試験用電波の周波数、試験用電波の偏波面の角度(偏波角度)、イミュニティ試験に対する供試機器4の合格・不合格を判定するための電界強度を表す判定強度、送信信号をパルス幅変調する際のパルス信号の発生周期やデューティ比、等を設定でき、しかも、試験用電波の周波数及び偏波角度については、試験範囲やその範囲内での1回の変更量等を設定できるようにされており、S100では、これら各パラメータの現在の設定値を含む試験条件設定画面を表示して、その試験条件を変更するか否か、変更するのであれば変更後の数値、を順に受け付けることにより、以降のイミュニティ試験を実行する上で必要な試験条件を確定する。
【0048】
次に、S100での試験条件の受け付け処理が終了すると、S110に移行し、周波数制御信号を信号発生装置24に出力することにより、信号発生装置24にて生成される送信信号(延いては、ホーンアンテナ10から放射させる試験用電波)の周波数(送信周波数)を、S110で受け付けた試験条件に対応した周波数に設定する。
【0049】
なお、試験条件として、周波数範囲と周波数の変更量が設定されている場合、S110では、当該イミュニティ試験実行処理が起動された直後の最初の処理では、その周波数範囲内で最も低い(また最も高い)周波数を設定し、その後、S110の処理が実行される度に、前回設定した周波数を試験条件として設定されている変更量だけ増加(又は低下)させた周波数を設定する。
【0050】
また次に、続くS120では、モータ駆動装置22に偏波制御信号を出力することにより、モータ18を回転させて、ホーンアンテナ10から放射させる試験用電波の偏波面を、S110で受け付けた試験条件に対応した偏波角度に設定する。
【0051】
なお、試験条件として、試験用電波の偏波面の角度範囲とその変更量が設定されている場合、S120では、当該イミュニティ試験実行処理が起動された直後の最初の処理では、その偏波角度範囲内で最も水平(又は垂直)に近い偏波角度を設定し、その後、S120の処理が実行される度に、前回設定した偏波角度を試験条件として設定されている変更量だけ垂直(又は水平)側に変化させる、といった手順で試験用電波の偏波角度を設定する。
【0052】
このようにS110、S120にて、試験用電波の周波数及び偏波角度が設定されると、今度は、S130に移行して、信号発生装置24を起動し、信号発生装置24のALC回路68にレベル制御信号を出力することで、信号発生装置24から送信信号を出力させると共に、その信号出力レベルを漸増(徐々に増加)させ、続くS140にて、O/E変換器36を介して入力される状態監視信号に基づき、供試機器4が正常動作から異常動作に変化したか否かを判断し、供試機器4が異常動作に変化していなければ、再度S130に移行することにより、供試機器4が異常動作を開始するまで、信号発生装置24からの送信信号の出力レベルを増加させる。
【0053】
なお、S130にて信号発生装置を起動して、ホーンアンテナ10から試験用電波を放射させる際には、測定装置30は、試験条件に応じてパルス発生器26が発生するパルス信号の発生周期やデューティ比等を制御することにより、送信信号(延いては試験用電波)を試験条件に応じてパルス幅変調させる。また、上述したように、測定装置30は、ホーンアンテナ10から試験用電波を放射させているときには、増幅器20から出力される受信レベル検出信号をモニタしており、ホーンアンテナ10から増幅器20に入力される受信信号の信号レベルが上限レベルを越えると、増幅器20の増幅動作を停止(又は抑制)して、増幅器20を反射波から保護する。
【0054】
次に、S140にて、供試機器4が正常動作から異常動作に変化したと判断されると、S150に移行して、増幅器20から送信レベル検出信号を読み込むことで、供試機器4が正常動作から異常動作に変化する境界点での送信信号の信号レベルを検出し、更に、続くS160にて、その読み込んだ送信レベル検出信号から、そのとき供試機器4に照射されている試験用電波の電界強度を、図6に示す如く、各周波数f1,f2,…fn毎に予め設定されている換算データを用いて演算し、その演算した電界強度を、現在の試験条件と共に記憶部30cに格納する。
【0055】
こうして、試験用電波の周波数及び偏波角度を固定した一試験条件下で、S130〜S160による一連の試験動作が完了すると、今度は、S170に移行して、試験用電波の周波数を現在の試験条件に固定した状態で、偏波角度をS100で受け付けた全ての偏波角度に変化させたときの、各試験条件下での試験動作が終了したか否かを判断する。
【0056】
そして、これら各試験条件下での試験動作が終了していなければ、S120に移行して、試験用電波の偏波角度を次の試験条件に対応した偏波角度に更新した後、再度S130〜S160による一連の試験動作を実行させることにより、各偏波角度毎に、S130〜S160による試験動作を実行させる。
【0057】
また次に、S170にて、試験用電波の周波数を固定した条件下で、偏波角度を変化させたときの試験動作が全て完了したと判断されると、今度は、S180に移行して、上記S120〜S170による一連の試験動作が、試験用電波の周波数をS100で受け付けた全ての周波数に変化させたときの各試験条件下で完了したか否かを判断する。
【0058】
そして、これら各試験条件下での試験動作が終了していなければ、S110に移行して、試験用電波の周波数を次の試験条件に対応した周波数に更新した後、再度S120〜S170による一連の試験動作を実行させることにより、各周波数毎に、S120〜S170による試験動作を実行させる。
【0059】
また、逆に、S180にて、全ての試験条件下での試験動作が完了したと判断すると、S190に移行して、記憶部30cから、各周波数、偏波角度毎に記憶されている電界強度(詳しくは供試機器4が正常動作から異常動作に変化する境界点での電界強度)を試験結果として読み込み、この試験結果を、図7に例示するように、供試機器4の合格・不合格判定用の判定強度と一緒に、表示部30bの表示画面に表示し、当該イミュニティ試験実行処理を終了する。
【0060】
なお、図7に示す試験結果の表示画面は、縦軸を電界強度、横軸を試験用電波の偏波角度として、試験用電波の各周波数f1,f2,…fn毎に、供試機器4が異常動作を開始する境界点での電界強度と偏波角度との関係を折れ線グラフで表示したものであるが、この試験結果の表示画面は、図7に示す表示形式に限るものではなく、単なる一覧表であっても、或いは、他のグラフ表示であってもよい。
【0061】
以上説明したように、本実施形態の妨害排除能力試験装置においては、イミュニティ試験を実行するのに用いる試験条件として、試験用電波の周波数やその偏波角度を複数設定すれば、その設定された複数の試験条件に応じて、ホーンアンテナ10から供試機器4に向けて放射される試験用電波の周波数及び偏波角度が順次切り換えられて、イミュニティ試験が自動で実行される。
【0062】
また、本実施形態のイミュニティ試験は、従来のように、合格・不合格判定用の電界強度(判定強度)の試験用電波を供試機器4に照射して、供試機器が正常動作しているか異常動作しているかを判定するのではなく、供試機器4に照射する試験用電波の電界強度を変化させて、供試機器4が正常動作から異常動作に変化する境界点での電界強度を測定することにより行われ、しかも、その測定結果は、表示部30bの表示画面上に判定強度と共に一覧表示される。
【0063】
従って、本実施形態の妨害排除能力試験装置によれば、使用者は、表示部30bに表示された試験結果に基づき、指定した各種試験条件下で試験用電波を放射した際の電子機器の耐性を評価することができる。また、イミュニティ試験は、各試験条件毎に自動で実行されることから、使用者は、簡単にしかも短時間で電子機器の耐性を評価することができる。よって、本実施形態の試験装置を用いれば、妨害波に対して充分な耐性を有する電子機器を設計する際の設計時間を短縮して、その電子機器のコストを低減することができるようになる。
【0064】
なお、本実施形態においては、測定装置30に設けられた操作部30aが本発明の試験条件入力手段に相当し、同じく表示部30bが本発明の表示手段に相当し、同じく記憶部30cが、本発明の記憶手段に相当する。また信号発生装置24が本発明の信号発生手段に相当し、この信号発生装置24内のALC回路68が本発明のレベル調整手段に相当し、モータ18及びモータ駆動装置22が本発明の偏波面調整手段に相当する。
【0065】
また、測定装置30にて実行されるイミュニティ試験実行処理(図5)の内、S110及びS180の処理は本発明の第1の試験条件変更手段に相当し、S120及びS170の処理は本発明の第2の試験条件変更手段に相当し、S130〜S150の処理は本発明の境界点検出手段に相当し、S160の処理は試験結果格納手段に相当する。
【0066】
ところで、本実施形態の妨害排除能力試験装置において、イミュニティ試験の際に供試機器4が正常状態から異常状態に変化した境界点で供試機器4に照射されている試験用電波の電界強度は、そのとき、増幅器20からホーンアンテナ10に出力されている送信信号の信号レベルと、試験用電波の各周波数f1,f2,…fn毎に予め設定されている換算データ(図6参照)とを用いて演算するものとして説明したが、この換算データは、ホーンアンテナ10、導波管12、載置台6の配置が変更された場合には勿論のこと、当該試験装置の構成部品を接続するケーブル等が変更されても、適正値から外れることが考えられるので、載置台6に供試機器4を載置して実際にイミュニティ試験を開始する前に、そのときの試験条件に合わせて設定しておくことが望ましい。
【0067】
そして、このためには、図1に点線で示すように、載置台6の供試機器4の設置場所に電界強度測定器8を設置し、この電界強度測定器8にて測定された電界強度を、電界強度検出信号として、E/O変換器32、光ファイバ34及びO/E変換器36を介して、測定装置30に入力するようにし、測定装置30側では、図8に示す校正処理を実行することで、その後のイミュニティ試験で使用する換算データを生成するようにすればよい。
【0068】
以下、この校正処理について説明する。
図8に示す如く、この校正処理では、まず、S200にて、モータ駆動装置22、信号発生装置24、パルス発生器26に動作チェック用の制御信号を出力して、その動作を確認することにより、当該試験装置全体のシステム動作チェックを行い、S210にて、その動作チェックの結果、当該システムは正常動作しているか否かを判定し、正常動作していなければ、使用者に配線等を確認させるためのエラーメッセージを表示部30bに表示し、当該校正処理を一旦終了する。
【0069】
一方、S210にて、当該システムは正常動作していると判断されると、S230に移行して、周波数制御信号により信号発生装置24に生成させる送信信号の周波数として、当該装置において試験条件として設定可能な複数の周波数の一つを設定する。なお、S230は、この処理が実行される度に、送信信号の周波数を、試験条件として設定可能な複数の周波数の中から、当該校正処理が起動されてからまだ設定していない周波数に更新するようにされている。
【0070】
そして、続くS240では、信号発生装置24に周波数制御信号及びレベル制御信号を出力することで、信号発生装置24を起動して信号発生装置24から送信信号を出力させ、更に、レベル制御信号を変化させることにより、信号発生装置24からの信号出力レベルを予め設定された範囲内にて漸増(徐々に増加)させる。
【0071】
また次に、S250では、S240の処理によってホーンアンテナ10から送信される試験用電波の信号レベルが変化している間、O/E変換器36を介して入力される電界強度検出信号と、増幅器20からの送信レベル検出信号とを、繰り返しサンプリングする。
【0072】
そして、S250による電界強度検出信号と送信レベル検出信号とのサンプリングが終了すると、S260に移行して、そのサンプリング結果から、図6に示した換算データを生成して、記憶部30cに記憶する。
【0073】
また、このように、当該装置において試験条件として設定可能な一つの周波数に対する換算データが生成されると、S270に移行して、当該装置において試験条件として設定可能な全ての周波数に対する換算データを生成できたか否かを判断する。
【0074】
そして、全ての周波数に対する換算データの生成が完了していなければ、S230に移行して、信号発生装置24が生成する送信信号の周波数を変更させた後、再度S240〜S260の処理を実行させることにより、変更後の周波数での換算データを生成させ、逆に、全ての周波数に対する換算データの生成が完了していれば、当該校正処理を終了する。
【0075】
このように、測定装置30にて、実際にイミュニティ試験を行う前に校正処理を実行して、換算データを生成するようにすれば、イミュニティ試験の際に、その換算データを用いて、供試機器4が正常動作から異常動作に変化する境界点での妨害波の電界強度を精度よく測定することができるようになり、その測定精度を向上することができる。
【0076】
なお、図8に示した校正処理において、S230〜S250の処理は、電界強度測定手段に相当し、S260の処理は、本発明の換算データ生成手段に相当する。
一方、上記実施形態では、ホーンアンテナ10から供試機器4に向けて放射する試験用電波を垂直偏波から水平偏波、或いはその逆方向へと連続的に変化させるために、ホーンアンテナ10に設けられた試験用電波出射用のプローブP1を、モータ18を用いて回転させるものとして説明したが、例えば、図9に示すように、ホーンアンテナ10の開口端と導波管12のホーンアンテナ10側開口端とに円盤状の鍔部10a、12aを形成し、これら各鍔部10a、12aをボルト等で互いに連結することで、ホーンアンテナ10と導波管12とを一体化し、これを、その中心軸周りに回転させるようにしても試験用電波の偏波角度を変化させることができる。
【0077】
つまり、図9(a)は、ホーンアンテナ10と導波管12とを一体化したものを横方向から見た正面図であり、図9(b)はその一体化したものを導波管12の開口端側から見た側面図であるが、この図9に示すように、ホーンアンテナ10の鍔部10aと導波管12の鍔部12bとの連結部周囲を、複数のローラ72を備えた第1支持部74にて、ホーンアンテナ10の中心軸周りに回動可能に支持し、更に、ホーンアンテナ10の後端側に突起を設けて、この突起をボールベアリング等の軸支部材76を備えた第2支持部78を介して、ホーンアンテナ10の中心軸周りに回動可能に支持することで、ホーンアンテナ10と導波管12とをその中心軸周りに回転可能に支持するようにしても、ホーンアンテナ10から供試機器4に向けて放射させる試験用電波の偏波角度を変化させることができる。
【0078】
そして、この場合、上記実施形態と同様に、この偏波角度を自動制御できるようにするには、図9に示すように、例えば、ホーンアンテナ10の後端にプーリ80を設け、このプーリ80と、各支持部74,78が組み付けられたテーブル82に固定したモータ84の回転軸とをベルト86で連結するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】実施形態の妨害排除能力試験装置全体の構成を表す構成図である。
【図2】ホーンアンテナの内部構造を表す断面図である。
【図3】増幅器の構成を表す説明図である。
【図4】信号発生装置の構成を表す説明図である。
【図5】イミュニティ試験実行処理を表すフローチャートである。
【図6】送信レベル検出信号から供試機器に照射される試験用電波の電界強度を求めるのに使用される換算データを表す説明図である。
【図7】表示部に表示される試験結果の一例を表す説明図である。
【図8】換算データを生成するための校正処理を表すフローチャートである。
【図9】試験用電波の偏波角度を制御するための機構の他の構成例を表す説明図である。
【符号の説明】
【0080】
2…電波暗室、4…供試機器、6…載置台、8…電界強度測定器、10…ホーンアンテナ、10a…鍔部、12…導波管、12b…鍔部、14…支柱、16…支持台、18…モータ、20…増幅器、22…モータ駆動装置、24…信号発生装置、26…パルス発生器、30…測定装置、30a…操作部、30b…表示部、30c…記憶部、32…E/O変換器、34…光ファイバ、36…O/E変換器、41…ホーン、42…導波管、P0,P1…プローブ、43…回転軸、44…同軸導波管変換器、45…導波管、46…回転板、47…回転センサ、51…増幅回路、52…方向性結合器、53…検波器、54,56…増幅回路、61…VCO、62…方向性結合器、63…基準発振器、64…PLL回路、65…逓倍器、66…増幅回路、68…ALC回路、72…ローラ、74…第1支持部、76…軸支部材、78…第2支持部、80…プーリ、82…テーブル、84…モータ、86…ベルト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象物である電子機器に試験用電波を照射することにより、該電子機器の妨害排除能力を測定するための妨害排除能力試験装置であって、
前記電子機器に向けて前記試験用電波を放射するためのアンテナと、
該アンテナから前記試験用電波を放射させるための送信信号を発生する信号発生手段と、
該信号発生手段から前記アンテナに入力される送信信号の信号レベルを調整するためのレベル調整手段と、
前記電子機器の動作を監視しつつ、前記レベル調整手段を介して前記アンテナに入力される送信信号の信号レベルを変化させることで、前記電子機器が前記試験用電波によって正常動作から異常動作又は異常動作から正常動作に変化する境界点での前記送信信号の信号レベルを検出する境界点検出手段と、
該境界点検出手段にて検出された前記境界点での前記送信信号の信号レベルに基づき、予め設定された換算データを用いて、前記境界点で前記電子機器に照射された試験用電波の電界強度を演算し、該演算結果を、前記送信信号の周波数を含む試験条件と共に記憶手段に格納する試験結果格納手段と、
を備えたことを特徴とする妨害排除能力試験装置。
【請求項2】
前記信号発生手段を、前記送信信号の発生周波数を外部から設定可能に構成し、更に、
前記信号発生手段が発生する送信信号の周波数を、試験条件として予め登録された複数の周波数の一つに設定すると共に、該試験条件下で前記境界点検出手段及び前記試験結果格納手段による一連の試験動作が完了すると、前記信号発生手段が発生する送信信号の周波数を前記複数の周波数の他の一つに変更することで、前記一連の試験動作を前記試験条件として設定された全ての周波数に対して実行させる第1の試験条件変更手段、
を設けたことを特徴とする請求項1に記載の妨害排除能力試験装置。
【請求項3】
前記アンテナから放射される試験用電波の偏波面の角度を、少なくとも水平から垂直の間で変化させる偏波面調整手段と、
該偏波面調整手段を介して前記アンテナが放射する試験用電波の偏波面を、試験条件として予め登録された複数の偏波角度の一つに設定すると共に、該試験条件下で前記境界点検出手段及び前記試験結果格納手段による一連の試験動作が完了すると、前記アンテナが放射する試験用電波の偏波面を前記複数の偏波角度の他の一つに変更することで、前記一連の試験動作を前記試験条件として設定された全ての偏波角度に対して実行させる第2の試験条件変更手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の妨害排除能力試験装置。
【請求項4】
前記試験結果格納手段により前記記憶手段に格納された試験結果を表示する表示手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の妨害排除能力試験装置。
【請求項5】
前記試験条件を外部から登録するための試験条件入力手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載の妨害排除能力試験装置。
【請求項6】
前記電子機器の妨害排除能力を測定する前に、前記試験結果格納手段が試験用電波の電界強度を演算するのに用いる換算データを生成するための手段として、
妨害排除能力の測定時に測定対象となる電子機器が設置される設置場所に配置され、前記アンテナから放射された試験用電波の電界強度を測定する電界強度測定手段と、
前記レベル調整手段を介して前記アンテナに入力される送信信号の信号レベルを変化させつつ、前記電界強度測定手段を介して得られる試験用電波の電界強度を読み込むことで、前記アンテナに入力される信号レベルと前記電子機器の設置場所での試験用電波の電界強度との対応関係を表すデータを生成し、該データを前記換算データとして設定する換算データ生成手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の妨害排除能力試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−329877(P2006−329877A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−156078(P2005−156078)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【出願人】(000113665)マスプロ電工株式会社 (395)
【Fターム(参考)】