説明

媒体を供給すべき粉砕カップ用の回転ブッシングを持つ実験室用粉砕機

中心軸線の周りに回転運動を行う少なくとも1つの粉砕カップを有する実験室用粉砕機であって、粉砕カップが、液状又はガス状媒体を導く導管に接続されているものにおいて、導管が、静止部分(15)及び粉砕カップ(11)の運動に連結される可動部分(16)を持つ回転ブッシング(14)を経て導かれ、静止部分(15)が固定導管用の少なくとも1つの接続部(118a,118b)を持ち、可動部分(16)が粉砕カップ(11)に至る導管用の少なくとも1つの接続部(117a,117b)を持っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中心軸線の周りに回転運動を行う少なくとも1つの粉砕カップを有する実験室用粉砕機であって、粉砕カップが、液状又はガス状媒体を導く導管に接続されているものに関する。
【背景技術】
【0002】
このような実験室用粉砕機又は1:1の変速比を持つ遊星粉砕機の形で公知である。脆い材料がこのような実験室用粉砕機では特に効率的に粉砕されることがわかっている限り、液体窒素による付加的な脆化が行われる。このため液体窒素を動く粉砕カップへ連続的に導入し、粉砕カップから導出せねばならない。これに関し粉砕カップへの液状又はガス状媒体例えば液体窒素の供給を適当に設けられる可撓ホースにより行うことが公知である。この場合ホースが粉砕カップ取付け具に直接取付けられ、それから粉砕カップ取付け具と挿入される粉砕カップとの流体技術的接続が行われる。しかし実際に使用する場合これらの接続ホースは、粉砕カップの運動による交番荷重の大きい振幅のため、僅かな寿命しか持っていない。従って特に液体窒素を使用する場合、接続ホースの故障の際人間が危険にさらされるのを防止するため、付加的な安全対策が必要である。
【0003】
窒素を使用するほかに、粉砕過程における機械的エネルギの別な使用は、化学反応を開始するため一層大きいエネルギの短時間の局部的な発生を利用する。現れる反応に応じて、場合によっては粉砕カップを冷却するか又は加熱せねばならない。このことも、反応空間を温度調節するため媒体の連続供給を必要とする。
【0004】
別の使用の場合、粉砕物の粉砕の際、更に分析の対象となるガスが発生する。従ってこれらのガスを粉砕カップから導出し、取出される体積を適当なガス導入により補償せねばならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したすべての使用に特有な問題は、動く粉砕カップへ液状又はガス状媒体を導くことであり、従って本発明の基礎になっている課題は、最初にあげた種類の特徴を持つ実験室用粉砕機において、液状又はガス状媒体を通すために必要な導管の一層確実な接続が保証されるようにすることである。
【課第を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決策は、本発明の有利な構成及び展開を含めて、特許請求の範囲から明らかになる。
【0007】
本発明は、その基本思想において、導管が、静止部分及び粉砕カップの運動に連結される可動部分を持つ回転ブッシングを経て導かれ、静止部分が固定導管用の少なくとも1つの接続部を持ち、可動部分が粉砕カップに至る導管用の少なくとも1つの接続部を持っているようにする。
【0008】
本発明に伴う利点は、粉砕カップと媒体用の導入導管及び導出導管との接続が十分剛性の導管システムを介して行われることである。なぜならば、可動粉砕カップと定置の供給システム又は除去システムとの間の相対運動は、中間に接続される回転ブッシングの静止部分に対して可動な可動部分を介して相殺されるからである。それぞれの運動は、回転ブッシング内においてできるだけ小さい半径に減少されるので、回転ブッシングの静止部分と可動部分とのこのように最小にされる相対速度及び相対運動のため、回転ブッシングの静止部分及び可動部分にあって互いに一直線をなす穴部分の間で作用する接触密封片を使用することができる。
【0009】
本発明の実施例によれば、各粉砕カップに、媒体の導入及び導出用の2つの導管が接続され、これらの導管が回転ブッシングを経て導かれ、回転ブッシングの静止部分及び可動部分に、それぞれ2つの外部接続部及び内部接続部が形成されている。
【0010】
本発明の実施例によれば、回転ブッシングの静止部分及び可動部分に、回転ブッシングを通って媒体を導く穴が形成され、静止部分及び可動部分にある穴が、互いに一直線をなして可動部分の運動軸線に延びるそれぞれ1つの部分を持っている。
【0011】
密封される導管路の製造に関して本発明の実施例によれば、回転ブッシングに形成される穴の互いに一直線に並ぶ部分が、静止部分と可動部分との間で、それぞれ互いに密封されている。
【0012】
そのために、回転ブッシングの可動部分に、穴の一直線をなす部分に続いてノズルが形成されて、静止部分に形成される受入れ部へはまり、ノズルと受入れ部との間に密封片が設けられているようにすることができる。
【0013】
本発明の別の実施例では、ブッシングの部分の相互配置に関して、回転ブッシングの静止部分が、可動部分に対して半径方向に又は端面でも密封されている。
【0014】
実験室用粉砕機が複数の粉砕カップを含んでいることが公知である限り、本発明の実施例によれば、複数の粉砕カップも設けられ、各粉砕カップに回転ブッシングが付属している。
【0015】
従来技術において、実験室用粉砕機に設けられる粉砕カップ取付け具に粉砕カップを固定することが公知である限り、本発明の実施例によれば、少なくとも1つの導管が粉砕カップ取付け具に接続され、粉砕カップ取付け具が粉砕カップに流体技術的に接続されている。それに応じて、回転ブッシングが粉砕カップ取付け具に付属している。
【0016】
実験室用粉砕機の異なる構造において、粉砕カップが異なる運動も行うことができる限り、本発明の実施例によれば、粉砕カップが円弧運動を行う。このような実施形態では、回転ブッシングの静止部分に対する可動部分の相対運動も限定されているので、実験室用粉砕機のこのような実施形態では、静止部分に形成される接続部が、可動部分に形成される接続部に、可撓導管部分を介して接続されているようにすることができる。
【0017】
その代わりに、粉砕カップが付属する取付け具において回転運動を行うようにすることができ、その際回転ブッシングの可動部分に対して回転運動を与えねばならない。
【0018】
本発明の実施例によれば、粉砕カップの中心軸線が、この中心軸線から離れた装置軸線の周りに回転し、各回転軸線にそれぞれ1つの回転ブッシングが付属している。この特徴を例えば遊星ミルが持ち、その粉砕カップが遊星円板の中心軸線の周りに同心的に回転し、同時にこの遊星円板が太陽歯車の中心点の周りに回転する。このように互いに重なる円運動では、回転中心毎に少なくとも1つの回転ブッシングを使用せねばならない。
【0019】
最後に実験室用粉砕機の使用に関して、媒体が液体窒素であるか、又は使用される液状又はガス状媒体が温度調節されて、例えば粉砕カップのために加熱作用又は冷却作用を生じるか、又は媒体が特別な分析ガスである。
【0020】
図面には本発明の実施例が示されており、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】 液体窒素による作動のために設けられて付属する供給装置及び除去装置とその間に接続される回転ブッシングを持つ実験室用粉砕機を概略図で示す。
【図2】 振動ミルとして構成されて粉砕カップ及び付属する回転ブッシングを持つ実験室用粉砕機の構造を斜視全体図で示す。
【図3】 図2による回転ブッシングの構成を拡大図で示す。
【図4】 図3による回転ブッシングの別の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1からわかるように、概略的のみ示す実験室用粉砕機10は粉砕カップ11を持ち、この粉砕カップ11に液体窒素を供給するための供給導管12及び戻り導管13が接続されている。導管12及び13は、粉砕カップ11の運動を考慮して、静止部分15及び可動部分16を持つ回転ブッシング14を経て導かれている。静止部分15は、可動部分16をその間に包囲する2つの部分15a,15bから成り、これらの部分は、ここには示してないが実験室用粉砕機10のハウジングに結合される取付け具を介して互いに固定されている。可動部分16には2つの穴17a,17bが形成され、穴17aは供給導管12に接続され、穴17bは戻り導管13に接続されている。回転ブッシング14の可動部分16において穴17a,17bがそれぞれ90°外方へ屈曲し、ここで静止部分15a,15bに適当に形成される穴18a及び18bに接続され、穴17a及び18a又は穴17b及び18bの互いに一直線をなす導管部分が、静止部分15に対する可動部分16の運動軸線に設けられている。
【0023】
静止部分15aの穴18aに、液体窒素用貯蔵容器21から来る供給導管19が接続され、供給導管19には、制御機能及び安全機能を持つ適当な弁20が挿入されている。貯蔵容器21には、液体レベル22を持つ液体窒素が存在する。
【0024】
静止部分15bの穴18bには、同様に液体レベル2とぉ持つ液体窒素が存在する戻り導管23が接続されている。
【0025】
この配置からわかるように、回転ブッシング14の可動部分16及び静止部分15に設けられる穴17aと18a又は17bと18bとの間の導管移行をやめることなく、可動部分16が静止部分15に対して動くことができる。
【0026】
実験室用粉砕機10と関連する回転ブッシング14の構成が図2からわかる。ここに示される液体窒素用供給導管19は、適当に設けられる弁20を介して回転ブッシング14の静止部分15の接続部118aに接続されている。図示した実施例からわかるように、静止部分15の両方の部分15a及び15bは、実験室用粉砕機10のハウジングに結合される保持体30に固定されている。静止部分15b又はその接続部118bから戻り導管23が捕集容器24へ出ている。
【0027】
図2から、接続される導管用の接続部117a及び117bを持つ可動部分16、即ち粉砕カップ取付け具26へ導かれてそれに接続されている供給導管12及び戻り導管13がわかる。粉砕カップ取付け具26は回転可能に支持される振動クランク27に取付けられ、運動軸線28の周りに振動運動を行う。これにより粉砕カップ取付け具26へ挿入されかつ流体技術的に粉砕カップ取付け具26に接続されている図示しない粉砕カップの内部に、粉砕体運動が発生される。回転ブッシング14は、その中心又は互いに一直線をなす穴部分17a,18a又は17b,18bが延長された運動軸線28と一直線をなすように設けられている。
【0028】
液体窒素は、供給導管19及び弁20接続部118aを経て回転ブッシング14へ導入され、可動部分16の接続部117aに接続される供給導管12を経て回転ブッシング14から出る。窒素流は粉砕カップ取付け具26へ導かれ、そこから再び回転ブッシング14の可動部分へ戻され、最終的に回転ブッシング14の静止部分15及びそれに接続される戻り導管23を経て捕集容器24へ達する。捕集容器24に設けられるセンサ31が液体窒素に接触すると、弁20が閉じられる。センサがもはや一緒にぬらされないほど多くの窒素が気化されていると、弁20が再び開かれる。
【0029】
図3から更にわかるように、半径方向に突出するそれぞれ1つのノズル32を持つ可動部分16が、両方の静止部分15a及び15bにそれぞれ形成される受入れ部33へはまり、受入れ部33に半径方向密封片34が設けられて、可動部分16のノズル32を包囲し、その密封リップにより静止部分15a又は15bを可動部分16に対して密封する。図示した実施例においてこの密封が半径方向配置で行われている限り、密封は端面でも行うことができる。
【0030】
図4に示す本発明の実施例では、静止部分15及び可動部分16の内部に穴が形成されておらず、静止部分15a,15bにある供給導管19及び戻り導管23用の接続部118a,118bと、可動部分16にある供給導管12及び戻り導管13用の接続部117a,117bが、可撓導管部分35例えば接続ホースにより接続されている。しかしこのような実施形態は、粉砕カップ11が円弧運動を行う実験室用粉砕機においてのみ意味がある
【0031】
前述の説明、特許請求の範囲、要約及び図面に開示されているこの書類の対象の特徴は、個々にも任意の組合わせでも、本発明を種々の実施形態で実現するために重要である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線の周りに回転運動を行う少なくとも1つの粉砕カップを有する実験室用粉砕機であって、粉砕カップが、液状又はガス状媒体を導く導管に接続されているものにおいて、導管が、静止部分(15)及び粉砕カップ(11)の運動に連結される可動部分(16)を持つ回転ブッシング(14)を経て導かれ、静止部分(15)が固定導管用の少なくとも1つの接続部(118a,118b)を持ち、可動部分(16)が粉砕カップ(11)に至る導管用の少なくとも1つの接続部(117a,117b)を持っていることを特徴とする、実験室用粉砕機。
【請求項2】
各粉砕カップ(11)に、媒体の導入及び導出用の2つの導管(12,13)が接続され、これらの導管(12,13)が回転ブッシング(14)を経て導かれ、回転ブッシング(14)の静止部分(15)及び可動部分(16)に、それぞれ2つの外部接続部(118a,118b)及び内部接続部(117a,117b)が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の実験室用粉砕機。
【請求項3】
回転ブッシング(14)の静止部分(15)及び可動部分(16)に、回転ブッシング(14)を通って媒体を導く穴(17,18)が形成され、静止部分(15)及び可動部分(16)にある穴(18)が、互いに一直線をなして可動部分(16)の運動軸線に延びるそれぞれ1つの部分を持っていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の実験室用粉砕機。
【請求項4】
回転ブッシング(14)に形成される穴(17,18)の互いに一直線をなす部分が、静止部分(15)と可動部分(16)との間で、それぞれ互いに密封されていることを特徴とする、請求項3に記載の実験室用粉砕機。
【請求項5】
回転ブッシング(14)の可動部分(16)に、穴(17,18)の一直線をなす部分に続いてノズル(32)が形成されて、静止部分(15)に形成される受入れ部(33)へはまり、ノズル(32)と受入れ部(33)との間に密封片(34)が設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の実験室用粉砕機。
【請求項6】
回転ブッシング(14)の静止部分(15)が、可動部分(16)に対して半径方向に密封されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の実験室用粉砕機。
【請求項7】
回転ブッシング(14)の静止部分(15)が、可動部分(16)に対して端面で密封されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載の実験室用粉砕機。
【請求項8】
複数の粉砕カップ(11)が設けられ、各粉砕カップ(11)に回転ブッシング(14)が付属していることを特徴とする、請求項1〜7の1つに記載の実験室用粉砕機。
【請求項9】
実験室用粉砕機(10)に設けられて回転運動を行う粉砕カップ取付け具(26)に粉砕カップ(11)が固定され、少なくとも1つの導管が粉砕カップ取付け具(26)に接続され、粉砕カップ取付け具(26)が粉砕カップ(11)に流体技術的に接続されていることを特徴とする、請求項1〜8の1つに記載の実験室用粉砕機。
【請求項10】
粉砕カップ(11)が円弧運動を行うことを特徴とする、請求項1〜9の1つに記載の実験室用粉砕機。
【請求項11】
静止部分(15)に形成される接続部(118a,118b)が、可動部分(16)に形成される接続部(117a,117b)に、可撓導管部分(35)を介して接続されていることを特徴とする、請求項10に記載の実験室用粉砕機。
【請求項12】
粉砕カップ(11)が回転運動を行うことを特徴とする、請求項1〜9の1つに記載の実験室用粉砕機。
【請求項13】
粉砕カップ(11)の中心軸線が、この中心軸線から離れた装置軸線の周りに回転し、各回転軸線にそれぞれ1つの回転ブッシング(14)が付属していることを特徴とする、請求項1〜9の1つに記載の実験室用粉砕機。
【請求項14】
媒体が液体窒素であることを特徴とする、請求項1〜13の1つに記載の実験室用粉砕機。
【請求項15】
液状又はガス状媒体が温度調節されていることを特徴とする、請求項1〜13の1つに記載の実験室用粉砕機。
【請求項16】
媒体が分析ガスであることを特徴とする、請求項1〜13の1つに記載の実験室用粉砕機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−516236(P2012−516236A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548571(P2011−548571)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/000427
【国際公開番号】WO2010/086132
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(504299885)レツチユ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (2)
【氏名又は名称原語表記】Retsch GmbH & Co. KG
【Fターム(参考)】