媒体搬送装置および画像形成装置
【課題】 記録媒体を搬送するための電力を低減させつつ、媒体に形成された画像の乱れが抑えられた媒体搬送装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】 表面に画像が形成されたシート状の記録媒体を挟むことで搬送する第1の搬送回転部材対と、記録媒体が接触して摺れ動くことによって記録媒体を曲がった経路に沿って第1の搬送回転部材対まで案内する、画像が形成されている面を、経路の内側を向けて案内される、経路の内側および外側の双方に配備された案内部材と、記録媒体を挟むことで搬送して上記経路へと送り込む、記録媒体が第1の搬送回転部材対に達した後、この記録媒体が第2の搬送回転部材から離れる前に回転の駆動が終わる第2の搬送回転部材対と、経路の内側に、案内部材と並んで配備された、周面に記録媒体が接触することで回転する回転体とを備えた。
【解決手段】 表面に画像が形成されたシート状の記録媒体を挟むことで搬送する第1の搬送回転部材対と、記録媒体が接触して摺れ動くことによって記録媒体を曲がった経路に沿って第1の搬送回転部材対まで案内する、画像が形成されている面を、経路の内側を向けて案内される、経路の内側および外側の双方に配備された案内部材と、記録媒体を挟むことで搬送して上記経路へと送り込む、記録媒体が第1の搬送回転部材対に達した後、この記録媒体が第2の搬送回転部材から離れる前に回転の駆動が終わる第2の搬送回転部材対と、経路の内側に、案内部材と並んで配備された、周面に記録媒体が接触することで回転する回転体とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の記録媒体に画像を形成する画像形成装置として、用紙を挟んで搬送するロールの対を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−86480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、記録媒体を搬送するための電力を低減させつつ、媒体に形成された画像の乱れが抑えられた媒体搬送装置および画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る媒体搬送装置は、
周面同士が接触した状態で各々が回転する回転部材の対であって、表面に画像が形成されたシート状の記録媒体を挟むことで搬送する第1の搬送回転部材対と、
記録媒体が接触して摺れ動くことによってこの記録媒体を曲がった経路に沿って上記第1の搬送回転部材対まで案内する、この記録媒体は両面のうち画像が形成されている面をこの経路の内側を向けて案内される、この経路の内側と外側との双方に配備された案内部材と、
周面同士が接触した状態で各々が回転する回転部材からなる第2の搬送回転部材対であって、上記記録媒体を挟むことで搬送して上記経路へと送り込む、この記録媒体が上記第1の搬送回転部材対に達した後、この記録媒体がこの第2の搬送回転部材から離れる前に回転の駆動が終わる第2の搬送回転部材対と、
上記経路の内側に、上記案内部材と並んで配備された、周面に上記記録媒体が接触することで回転する回転体とを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る媒体搬送装置は、坪量が106g/m2以上の記録媒体が上記案内部材のうち上記経路の内側に配備された内側案内部材と接触するのを妨げる程度で、かつ、坪量が81g/m2以下の記録媒体がこの内側案内部材と接触する程度に、上記回転体が、この内側案内部材よりもこの経路の外側寄りに突出したものであることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る媒体搬送装置は、上記第1の搬送回転部材対を成す回転部材が互いに接触してこの記録媒体を挟み付ける挟み付け領域の、この記録媒体を搬送する搬送方向における上流側の端と下流側の端とを結ぶ第1直線と、上記第2の搬送回転部材対を成す回転部材が互いに接触してこの記録媒体を挟み付ける挟み付け領域の、この記録媒体を搬送する搬送方向における上流側の端と下流側の端とを結ぶ第2直線と、この第1直線、この第2直線、および上記回転体の周面、に接する円上のこの第1直線およびこの第2直線を結ぶ円弧とからなる曲線を避けた位置に設けられたものであることを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る媒体搬送装置は、上記回転体と並んで上記経路の内側に配備された案内部材が、上記第1の搬送回転部材対を成す回転部材が互いに接触してこの記録媒体を挟み付ける挟み付け領域の、この記録媒体を搬送する搬送方向における上流側の端と下流側の端とを結ぶ第1直線と、上記第1の搬送回転部材対を成す回転部材が互いに接触してこの記録媒体を挟み付ける挟み付け領域の、この記録媒体を搬送する搬送方向における上流側の端と下流側の端とを結ぶ第2直線と、この第1直線、この第2直線、および上記回転体の周面に接する円上のこの第1直線およびこの第2直線とを結ぶ円弧とからなる曲線よりも内側に配備された案内部材であって、かつ、この第1の搬送回転部材対のうち上記経路の内側寄りに配備された第1回転部材の周面とこの回転体の周面との双方に接した第3直線およびこの第2の搬送回転部材対のうち上記経路の内側寄りに配備された第2回転部材の周面とこの回転体の周面との双方に接した第4直線の少なくとも一方よりもこの経路の外側寄りに配備されたものであることを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る画像形成装置は、
シート状の記録媒体の表面に画像を形成する画像形成部と、
周面同士が接触した状態で各々が回転する回転部材の対であって、上記画像形成部によって画像が形成された記録媒体を挟むことで搬送する第1の搬送回転部材対と、
記録媒体が接触して摺れ動くことによってこの記録媒体を曲がった経路に沿って上記第1の搬送回転部材対まで案内する、この記録媒体は両面のうち画像が形成されている面をこの経路の内側を向けて案内される、この経路の内側と外側との双方に配備された案内部材と、
周面同士が接触した状態で各々が回転する回転部材からなる第2の搬送回転部材対であって、上記記録媒体を挟むことで搬送して上記経路へと送り込む、この記録媒体が上記第1の搬送回転部材対に達した後、この記録媒体がこの第2の搬送回転部材から離れる前に回転の駆動が終わる第2の搬送回転部材対と、
上記経路の内側に、上記案内部材と並んで配備された、周面に上記記録媒体が接触することで回転する回転体とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る媒体搬送装置は、記録媒体を搬送するための電力を低減させつつ、記録媒体に形成された画像の乱れを抑えることができる。
【0011】
請求項2に係る媒体搬送装置は、記録媒体の案内を安定させつつ、記録媒体の摺れによる画像の乱れを抑えることができる。
【0012】
請求項3および請求項4に係る媒体搬送装置も、記録媒体の案内を安定させつつ、記録媒体の摺れによる画像の乱れを抑えることができる。
【0013】
請求項5に係る画像形成装置は、記録媒体を搬送するための電力を低減させつつ、記録媒体に形成された画像の乱れを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態である複写機を示す概略断面図である。
【図2】図1に示す用紙搬送部のうち、表裏反転経路の部分を拡大して示した構成図である。
【図3】図2に示す表裏反転経路のうちの湾曲経路を拡大して示す構成図である。
【図4】図3に示す湾曲経路周辺に配置された部材を示す斜視図である。
【図5】図3に示す湾曲経路周辺の部材の位置関係を説明する図である。
【図6】図3に示す湾曲経路を厚紙が搬送される様子を説明する第1の図である。
【図7】図3に示す湾曲経路を厚紙が搬送される様子を説明する第2の図である。
【図8】図3に示す湾曲経路を厚紙が搬送される様子を説明する第3の図である。
【図9】図3に示す湾曲経路を厚紙が搬送される様子を説明する第4の図である。
【図10】回転体を有しない比較例の湾曲経路を厚紙が搬送される様子を説明する図である。
【図11】図3に示す湾曲経路を薄紙が搬送される様子を説明する第1の図である。
【図12】図3に示す湾曲経路を薄紙が搬送される様子を説明する第2の図である。
【図13】図3に示す湾曲経路を薄紙が搬送される様子を説明する第3の図である。
【図14】図3に示す湾曲経路を薄紙が搬送される様子を説明する第4の図である。
【図15】図3に示す湾曲経路を薄紙が搬送される様子を説明する第5の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態である複写機を示す概略断面図である。
【0017】
図1に示す複写機1は、原稿から画像を読み取る画像読取部10と、用紙に画像を形成する画像形成部20と、用紙を搬送する用紙搬送部30と複写機1の各部を制御する制御部40とを備えている。また、複写機1には、用紙を収容する用紙収容部50A,50B,50C、および、画像の形成に用いる6色のトナーを収容するトナー収容器60A,60B,60C,60D,60E,60Fも備えられている。用紙搬送部30は、用紙収容部50A,50B,50Cから用紙を取り出し、画像形成部20を経由する搬送経路R1を搬送する。画像読取部10は原稿から画像を読み取って画像データを生成する。画像形成部20は、画像読取部10によって生成された画像データに基づいて、用紙搬送部30によって搬送されてきた用紙に画像を形成する。
【0018】
画像形成部20は、表面に静電潜像やトナー像が形成される、図の矢印A方向に回転する感光体ドラム21と、感光体ドラム21を帯電させる帯電器22と、画像データが入力されてその画像データに基づいて変調された露光光を感光体ドラム21上に照射して静電潜像を形成する露光部23と、静電潜像にトナーを付与してトナー像を形成する現像ユニット24と、感光体ドラム21に接触するとともに図の矢印B方向に循環移動する中間転写ベルト25と、感光体ドラム21上に形成されたトナー像を中間転写ベルト25に1次転写する1次転写ロール26と、1次転写後の感光体ドラム21上をクリーニングする感光体クリーナ27と、中間転写ベルト25上に1次転写されたトナー像を、用紙収容部50A,50B,50Cから、用紙搬送部30から用紙搬送部30によって搬送されてくる用紙に2次転写する2次転写器28と、用紙に転写されたトナー像を加熱および加圧することにより用紙上に定着させる定着器29とが備えられている。また、複写機1には、トナー像が定着した用紙の反りを矯正する反り矯正装置70、および、トナー像が定着し反りが矯正された用紙が積まれる積載トレイ80も備えられている。
【0019】
現像ユニット24には、CMYK4色に2色の特色を加えた6色それぞれに対応した6台の現像器24A,24B,24C,24D,24E,24Fが組み込まれており、各現像器24A〜24Fには、各色のトナーとキャリアからなる2成分現像剤が収容されている。現像ユニット24が60度ずつ順次に回転することによってCMYKおよび特色それぞれのトナーによる現像が行われ、各色のトナー像が形成される。その各色のトナー像は、1次転写ロール26によって中間転写ベルト25に転写される際に互いに重ね合わされてフルカラーのトナー像が形成され、そのフルカラーのトナー像が2次転写器28によって用紙に転写される。6台の現像器24A〜24Fには、トナー収容器60A〜60Fから各色のトナーが供給される。
【0020】
用紙搬送部30は、用紙を搬送経路R1および表裏反転経路R2に沿って搬送する。用紙搬送部30は、用紙収容器50A,50B,50Cから用紙を取り出す取出ロール31A,31B,31Cと、用紙を捌く捌きロール32A,32B,32Cと、用紙を搬送する第1搬送ロール33A,33B,33C,33D,33E,33Fおよび第2搬送ロール34A,34Bと、二次転写器28がトナー像を転写するタイミングに合わせて二次転写器28に用紙を送り込むレジストレーションロール35と、用紙を吸着させながら二次転写器28から定着器29まで搬送するベルト搬送器36と、用紙を複写機1の外に排出する排出ロール37A,37Bと、用紙の搬送の向きを切り換えて搬送する切換搬送ロール38と、用紙を両面印刷のため表裏反転経路R2に沿って搬送する両面搬送ロール39A,39B,39C,39D,39E,39Fとを備えている。
【0021】
ここで、捌きロール32A〜32C、第1搬送ロール33A〜33F、第2搬送ロール34A,34B、排出ロール37A,37B、切換搬送ロール38、および、両面搬送ロール39A〜39Fのそれぞれは、周面同士が接触した状態で各々が回転する回転部材の対であるが、特に説明しない限り、回転部材の対を単にロールと称する。回転部材の対は、用紙を周面間に挟むことでこの用紙を搬送する。
【0022】
用紙収容器50A〜50Cに収容された用紙は、取出ロール31A〜31Cによって取り出され、捌きロール32A〜32Cによって捌かれ、第1搬送ロール33A〜33Fおよび第2搬送ロール34A,34Bによって、搬送経路R1を図の矢印C方向に搬送される。この後、用紙は、レジストレーションロール35によって二次転写器28に送り込まれ、トナー像が転写される。この用紙は、ベルト搬送器36によって定着器29に搬送され、トナーが用紙上に定着される。この後、用紙は、反り矯正装置70によって反りが矯正され、排出ロール37A,37Bによって排出され、積載トレイ80に積載される。
【0023】
複写機1で両面印刷が実行される場合、用紙搬送部30は、搬送経路R1から分岐して搬送経路R1に戻る表裏反転経路R2に沿って用紙を搬送し、表裏反転経路R2の途中で用紙の進行を折返しさせることによって表裏面を反転させる。より詳細には、反り矯正装置70を経由した用紙は、切換搬送ロール38によって搬送される途中で、切換搬送ロール38の搬送方向切換わりによって逆向きに搬送され、続いて、両面搬送ロール39A〜39Fにより、表裏反転経路R2に沿って図の矢印D方向に搬送される。表裏反転経路R2を搬送された用紙は、搬送経路R1に戻り、第2搬送ロール34A,34B、レジストレーションロール35を再び経て、二次転写器28で裏面すなわちトナー像が未転写の面にトナー像が転写される。
【0024】
制御部40は、画像読取部10、画像形成部20、および用紙搬送部30に備えられた各部の動作を制御する。制御部40は、例えば、用紙搬送部30の各ロールを駆動するモータを制御する。制御部は、複写機1全体で消費される消費電力を低減するとともに、複写機1全体に割り当てられた定格消費電力を効率よく配分するため、複写機1の各所に配置された図示しないセンサの検知結果や、時間測定の結果に応じて、各部の駆動状態を切り換える。より具体的には、複写機1全体としては、用紙に画像を形成している最中であっても、画像形成に寄与している部分を駆動し、画像形成に寄与していない部分の駆動を停止する。例えば、搬送経路R1および表裏反転経路R2に配置された、用紙搬送部30の各ロールについて、用紙の搬送を完了したロールは駆動を停止する。これによって、駆動を停止したロールの消費電力分だけ、複写機1の消費電力が低減される。
【0025】
図2は、図1に示す用紙搬送部のうち、表裏反転経路の部分を拡大して示した構成図である。
【0026】
図2には、表裏反転経路R2に配置された両面搬送ロール39A〜39F、および搬送経路R1に配置された第2搬送ロール34Aが示されている。両面搬送ロール39A〜39Fのそれぞれは、上述したように回転部材の対である。両面搬送ロール39A〜39Fのそれぞれの対の一方の回転部材は、ベルト391を介してモータ392によって駆動され、他方の回転部材が従動回転する。6つの両面搬送ロール39A〜39Fは、1つのモータ392によって駆動され、連動する。第2搬送ロール34Aも回転部材の対であり、一方の回転部材はモータ341によって駆動され、他方の回転部材が従動回転する。
【0027】
表裏反転経路R2および搬送経路R1には案内部材300が設けられている。案内部材300は、搬送される用紙の表裏面の双方に配備されており、表裏反転経路R2および搬送経路R1に沿って延びている。逆に言えば、表裏反転経路R2および搬送経路R1は案内部材300によって画定されている。
【0028】
表裏反転経路R2は、両面搬送ロール39A〜39Fが配置された区間は略水平に略直線状に延びているが、6つの両面搬送ロール39A〜39Fのうち、用紙が搬送される搬送方向最下流の両面搬送ロール39Fより下流では、用紙収容部50A〜50C(図1参照)から上方に向かって延びる搬送経路R1に合流するため、曲がっている。より詳細には、表裏反転経路R2は、最下流の両面搬送ロール39Fと第2搬送ロール34Aの間で曲がっている。表裏反転経路R2は、両面搬送ロール39Fと第2搬送ロール34Aの間全体で略90°に曲がっている。案内部材300は、表裏反転経路R2のうちこの曲った部分R2aの両側に配備され、表裏反転経路の曲がった部分R2aに沿って用紙を第2搬送ロール34Aまで案内する。以降、表裏反転経路R2のうち曲がった部分R2aを湾曲経路R2aと称する。湾曲経路R2aの内側には、案内部材300と並んで、円柱状の回転体311が配備されている。
【0029】
経路の内側とは、経路に対し、第1の搬送回転部材対の回転部材同士が接触する領域と、第2の搬送回転部材の回転部材同士が接触する領域とを結ぶ直線がある側を意味し、経路の外側は、内側の反対側を意味する。
【0030】
図3は、図2に示す表裏反転経路のうちの湾曲経路を拡大して示す構成図である。また、図4は、図3に示す湾曲経路周辺に配置された部材を示す斜視図である。
【0031】
ここで、図3および図4を参照して、湾曲経路R2a周辺の部材についてより詳細に説明する。
【0032】
第2搬送ロール34Aは、円柱状の回転部材343,344の対である。回転部材343,344は、用紙を挟み付ける挟み付け領域N1で互いに押し当てられて変形し互いに面接触している。回転部材343,344は図3の矢印E方向に回転し、両面印刷時には、画像が形成された用紙を挟むことで搬送する。両面搬送ロール39Fは、円柱状の回転部材393,394の対である。回転部材393,394は、用紙を挟み付ける挟み付け領域N2で互いに押し当てられて変形し互いに面接触している。回転部材393,394は図3の矢印F方向に回転し、両面印刷時には、画像が形成された用紙を、接触した周面間に挟むことで用紙を搬送して、湾曲経路R2aへと送り込む。
【0033】
案内部材300は、表裏反転経路R2のうちの、図3に示す湾曲経路R2aに沿って配備されている。より詳細には、湾曲経路R2aの内側には、折り曲げられた板からなる3つの案内部材301,302,303が配置されており、反対側の外側にも、3つの案内部材304,305,306が配置されている。ここで、湾曲経路R2aの内側とは、湾曲経路R2aに対し、2つの挟み付け領域N1,N2を結ぶ直線P0がある側を意味する。なお、図4には、外側の3つの案内部材304,305,306のうち、中間に配置された案内部材305が除去された状態が示されている。
【0034】
湾曲経路R2aの内側には、内側の3つの案内部材301,302,303と並んで回転体311が配備されている。回転体311は、軸受部材312に回転自在に支持されている。軸受部材312は、内側の3つの案内部材301,302,303のうち中間に配置された案内部材302にねじで固定されている。軸受部材312の湾曲経路R2a側の面は、3つの案内部材301,302,303とともに案内部材としての役割を有している。
【0035】
両面搬送ロール39Fが用紙を搬送して湾曲経路R2aへと送り込むと、送り込まれた用紙は、内側の3つの案内部材301,302,303および軸受部材312と、外側の3つの案内部材304,305,306の間に形成された湾曲経路R2aを、案内部材301〜306および軸受部材312に接触して摺れ動きながら、第2搬送ロール34Aすなわち回転部材343,344の対まで案内される。このとき、用紙は、すでに画像が形成されている面を、曲がった湾曲経路R2aの内側に向けている。第2搬送ロール34Aに達した用紙は、回転部材343,344の周面に挟まれてさらに搬送される。
【0036】
ここで、図3および図4に示す、用紙を搬送する部分が、本発明の媒体搬送装置の一実施形態に相当する。また、第2搬送ロール34Aが本発明にいう第1の搬送回転部材対の一例に相当し、両面搬送ロール39Fが本発明にいう第2の搬送回転部材対の一例に相当する。また、用紙が本発明にいう記録媒体の一例に相当する。
【0037】
両面搬送ロール39Fおよび第2搬送ロール34Aの回転は、制御部40によって制御されているが、本実施形態の複写機1では、複写機1全体の消費電力を抑えるとともに、消費電力が定格値を超えないよう、用紙への画像形成に必要な部分に電力を集中する制御が行われている。より詳細には、用紙が搬送される方向における湾曲経路R2aの上流に配置された両面搬送ロール39Fは、節電のため、搬送中の用紙の前端が第2搬送ロール34Aに達した後、この用紙の後端が両面搬送ロール39Fから離れる前にモータ392(図2参照)による回転の駆動が停止する。すなわち、上流に配置された両面搬送ロール39Fは、用紙を挟んだ状態であっても駆動が止まり、その後、用紙は、下流の第2搬送ロール34Aに引っ張られるように搬送される。
【0038】
両面搬送ロール39Fは、空転を可能とする一方向クラッチを内蔵しており、回転の駆動が停止した後も、第2搬送ロール34Aに搬送される用紙によって、図3の矢印F方向に回転し続ける。しかし、用紙は、今度は両面搬送ロール39Fの抵抗を受けながら第2搬送ロール34Aによって引っ張られるように湾曲経路R2aを移動することとなる。このとき、用紙は、内側に強く押し付けられることとなる。用紙の画像が形成された面が、湾曲経路R2aの内側の3つの案内部材301,302,303および軸受部材312に強く押し当たるようにして動こうとすると、用紙の画像が形成された面が擦れ、画像が削れて画像の乱れの原因となる。
【0039】
特に、厚紙は、薄紙に比べて強いコシ(弾性)を有しているため、搬送する回転部材343,344に挟まれた部分が略鉛直方向に延びた状態で、搬送される方向の上流側が案内部材301〜306のいずれかの部分に当たって曲げられる場合に、案内部材301〜306の形状に沿った形状とはならず、外側に突っ張るように搬送される。このため、用紙の一部分が内側の3つの案内部材301,302,303の一部に集中して押し当たる。この一方で、薄紙は、コシが弱いため、外側に突っ張ることができず、内側の案内部材301〜306に沿って搬送されるため、接触面積が厚紙の場合と比較して広く、接触している部位にかかる力が分散されるため、画像に傷がつきにくい。コシの弱い薄紙については、案内部材301,302,303に接触することで、用紙の搬送性能が得られる。
【0040】
湾曲経路R2aの内側には、案内部材301,302,303と並んで回転体311が配備されており、回転体311は、用紙が接触することで回転する。このため厚紙であっても、用紙の摺れによる画像の乱れが回避される。
【0041】
より詳細には、回転体311は、内側の案内部材301,302,303よりも湾曲経路R2aの外側寄りに突出して配備されている。ここで、用紙は、一般に、坪量が52〜81g/m2,82〜105g/m2,106〜163g/m2で、薄紙,普通紙,厚紙にそれぞれ分類される。回転体311の位置は、坪量が106g/m2以上の用紙が内側の案内部材301,302,303に接触するのを妨げる程度であって、かつ、坪量が81g/m2以下の用紙が内側の案内部材301,302,303に接触する程度に湾曲経路R2aの外側寄りに突出した位置に設定されている。坪量が82〜105g/m2の用紙については、案内部材301,302,303に接触してもよく、また接触しなくてもよい。したがって、回転体311の位置は、坪量が82〜105g/m2の用紙については、坪量以外の環境条件によって、案内部材301,302,303に接触したり、あるいは接触しなかったりする程度の位置でよい。
【0042】
ここで、回転体311と案内部材301,302,303,304,305,306の位置関係について詳細に説明する。
【0043】
図3に示す円P1は、回転体311に外接する円である。また、直線P2は、両面搬送ロール39Fの回転部材393,394における挟み付け領域N2の用紙の搬送方向上流側の端N2aと下流側の端N2bとを結ぶ直線であり、直線P3は、第2搬送ロール34Aの回転部材343,344における挟み付け領域N1の用紙搬送方向上流側の端N2aと下流側の端N2bとを結ぶ直線である。円P1は、直線P2および直線P3に接している。湾曲経路R2aにおける案内部材301,302,303,304,305,306は、円P1上の第1直線P2および第2直線P3を結ぶ弧と、第1直線P2と、第2直線P3とからなる曲線を避けた位置に配置されている。
【0044】
ここで、回転体311と案内部材301,302,303の位置関係についてさらに詳細に説明する。
【0045】
図5は、図3に示す湾曲経路周辺の部材の位置関係を説明する図である。図5には、図3に示す部材のうち、湾曲経路R2aの内側の案内部材301,302,303と、回転体311と軸受部材312と第2搬送ロール34Aの回転部材343,344と、両面搬送ロール39Fの回転部材393,394が示されている。また、内側の案内部材301,302,303については、実際に用紙を案内する湾曲経路R2aに面した部分のみが示されている。また、図5には、図3と同様に、円P1、第1直線P2、および第2直線P3が示されている。また、図5には、第2搬送ロール34Aの回転部材343,344のうち湾曲経路R2aの内側寄りに配備された回転部材344の周面と回転体311の周面との双方に接した第3直線P4と、両面搬送ロール39Fの回転部材393,394のうち湾曲経路R2aの内側寄りに配備された回転部材394と回転体311の周面との双方に接した第4直線P5とが示されている。
【0046】
本実施形態において、内側の案内部材301,302,303のうち、実際に用紙を案内する湾曲経路R2aに面した部分は、円P1および第1直線P2よりも内側に配備されており、かつ、第3直線P4および第4直線P5の一方よりも、一点鎖線R2aで示す湾曲経路の中心寄りに配備されている。
【0047】
続いて、図5に示す配置の部材により形成された湾曲経路を用紙が搬送される様子を説明する。
【0048】
図6、図7、図8、および図9は、図3に示す湾曲経路を厚紙が搬送される様子を説明する図である。図6〜図9は、図3に示す湾曲経路を、坪量が106g/m2の厚紙である用紙Sが通過する様子が時間順に示されている。
【0049】
まず、図6に示すように、画像形成部20(図1参照)で画像が形成された用紙Sは、両面搬送ロール39Fの回転部材393,394に搬送され、外側の案内部材304と内側の案内部材301に案内されて曲がった状態で進む。このとき用紙Sは、画像が形成された面が内側の案内部材301に摺れて動く。しかし、このとき用紙Sは、回転部材393,394のみに搬送された状態であるため、張力等は生じていない。したがって、用紙Sが案内部材301に押し当たる力は、曲げられることによって生じる弾性力のみであり、用紙Sの摺れは、画像が乱れは生じない程度である。
【0050】
次に、図7に示すように、用紙Sがさらに搬送されると、用紙Sは、外側の案内部材304より下流の案内部材305に案内されながら進む。
【0051】
次に、図8に示すように、用紙Sがさらに搬送されると、用紙Sは、回転体311にも接するようになる。回転体311は、用紙Sから駆動力を得て回転を開始する。
【0052】
次に、図9に示すように、用紙Sがさらに搬送されると、用紙Sは、第2搬送ロール34Aに達する。第2搬送ロール34Aの回転部材343,344に挟まれて搬送される。用紙Sが、第2搬送ロール34Aに駆動されると、両面搬送ロール39Fの回転部材393,394は、用紙Sを挟んだ状態で、モータ392(図2参照)による回転の駆動が停止される。回転部材393,394は一方向クラッチを備えており、第2搬送ロール34Aの回転部材343,344に搬送されている用紙Sから力を得て回転を続ける。このとき、用紙Sには、両面搬送ロール39Fの負荷による張力が生じる。用紙Sは、張力の分だけ強く内側に寄ろうとする。
【0053】
しかし、厚紙である用紙Sは、後述する薄紙に比べて用紙自身の弾性(コシ)が強いため、第2搬送ロール34Aの回転部材343,344の周面に挟まれた部分から撓むように曲がり、内側の案内部材301,302,303に押し当たらず、回転体311に押し当たる。より詳細に説明すると、用紙Sは、第2搬送ロール34Aの回転部材343,344の周面に挟まれており、挟まれた部分が、この周面に接する略鉛直方向に延びた姿勢、すなわち回転部材343,344の中心を通る線と略垂直な姿勢ととなり、そこから両面搬送ロール39Fに向かって撓んだ形状となっている。このため、用紙Sは、図5を参照して説明した位置に配置された内側の案内部材301,302,303に沿った形状とはならず、案内部材301,302,303からは離れて、回転体311に押し当たる。
【0054】
図9に示す状態で、用紙Sは、上述した張力の分だけ強く回転体311に押し当たるが、回転体311は、用紙Sが接触することで回転するため、摺れによる用紙Sの画像の乱れが回避される。
【0055】
ここで、回転体を有しない比較例について説明する。
【0056】
図10は、回転体を有しない比較例の湾曲経路を厚紙が搬送される様子を説明する図である。図10に示す用紙の搬送位置は図9と同じである。また、図10に示す構成は回転体311を備えていない点が、図9に示す本実施形態の構成と異なり、他の点は図9に示す構成と同じである。
【0057】
図10に示す比較例では、用紙Sが、第2搬送ロールの回転部材343’,344’の周面に挟まれて搬送された状態で、両面搬送ロールの回転部材393’,394’の回転駆動が停止すると、張力が生じた用紙Sは撓んだ形状となり、用紙Sの一部分が内側の案内部材301’に集中して押し当たる。このため、用紙が案内部材301’に摺れがより強くなり、画像の乱れの原因となる。
【0058】
これに対し、本実施形態の構成では、図9に示すように、摺れによる厚紙である用紙Sの画像の乱れが回避される。
【0059】
続いて、薄紙の場合について説明する。
【0060】
図11、図12、図13、図14、および図15は、図3に示す湾曲経路を薄紙が搬送される様子を説明する図である。図11〜図15には、坪量が81g/m2以下の薄紙である用紙Sが通過する様子が時間順に示されている。
【0061】
薄紙についての図11から図14までに示す状態は、厚紙についての図6〜図9に示す状態とほぼ同じである。薄紙である用紙Sは、厚紙に比べて用紙自身の弾性(コシ)が弱いため、両面搬送ロール39Fによって押し出されるように搬送されるときに、外側の案内部材304,305,306に当たった用紙Sの先端が、経路内で折れ曲がって紙詰まりを起こしやすい。しかし、本実施形態における内側の案内部材301,302,303は、図5に示した第3直線P4および第4直線P5の一方よりも経路の中心寄りに配備されている。内側の案内部材301,302,303は、外側の案内部材304,305,306に対し、用紙の先端を、経路内で折り曲げずに安定して搬送させる程度に近接している。
【0062】
図15には、薄紙である用紙Sが第2搬送ロール34Aの回転部材343,344に挟まれて搬送されている状態が示されている。
【0063】
図15に示すように用紙Sが、第2搬送ロール34Aに駆動されると、両面搬送ロール39Fの回転部材393,394は、用紙Sを挟んだ状態で、モータ392(図2参照)による回転の駆動が停止される。このとき、用紙Sには、両面搬送ロール39Fの負荷による張力が生じる。用紙Sは、張力の分だけ強く内側に寄ろうとする。
【0064】
しかし、薄紙である用紙Sは、厚紙に比べて用紙自身の弾性(コシ)が弱いため、内側の案内部材301,302,303に沿った形状に曲がり、回転体311および内側の案内部材301,302,303の全体に押し当たる。このため、薄紙である用紙Sについては、一部分への押し当たりが回避され、押し当たる力が分散される。したがって、摺れによる用紙Sの画像の乱れが回避される。
【0065】
なお、上述した実施形態では、媒体搬送装置の例として、表裏反転経路R2に設けられたものを説明したが、本発明にいう媒体搬送装置はこれに限られず、例えば、ステープラや折り曲げといった、画像形成処理の後処理中の搬送経路に用いられたものであってもよい。
【0066】
また、上述した実施形態では、画像形成装置の例としてカラー複写機を示したが、本発明にいう画像形成装置はこれに限られず、例えば、モノクロ複写機やプリンタ、ファクシミリであってもよい。
【0067】
また、上述した実施形態では、記録媒体の例として、紙製の用紙について説明したが、本発明にいう記録媒体はこれに限られず、例えば、樹脂製のシートであってもよい。
【0068】
また、上述した実施形態では、本発明にいう画像形成部の例として、静電潜像をトナーで現像する電子写真方式による構造を示したが、本発明にいう画像形成部はこれに限られず、例えばインクジェット方式であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 複写機
20 画像形成部
30 用紙搬送部
34A,34B 搬送ロール
39A,39B,39C,39D,39E,39F 両面搬送ロール
301,302,303 内側の案内部材
304,305,306 外側の案内部材
311 回転体
343,344 回転部材
393,394 回転部材
P1 円
P2 第1直線
P3 第2直線
P4 第3直線
P5 第4直線
R2a 湾曲経路
S 用紙
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の記録媒体に画像を形成する画像形成装置として、用紙を挟んで搬送するロールの対を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−86480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、記録媒体を搬送するための電力を低減させつつ、媒体に形成された画像の乱れが抑えられた媒体搬送装置および画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る媒体搬送装置は、
周面同士が接触した状態で各々が回転する回転部材の対であって、表面に画像が形成されたシート状の記録媒体を挟むことで搬送する第1の搬送回転部材対と、
記録媒体が接触して摺れ動くことによってこの記録媒体を曲がった経路に沿って上記第1の搬送回転部材対まで案内する、この記録媒体は両面のうち画像が形成されている面をこの経路の内側を向けて案内される、この経路の内側と外側との双方に配備された案内部材と、
周面同士が接触した状態で各々が回転する回転部材からなる第2の搬送回転部材対であって、上記記録媒体を挟むことで搬送して上記経路へと送り込む、この記録媒体が上記第1の搬送回転部材対に達した後、この記録媒体がこの第2の搬送回転部材から離れる前に回転の駆動が終わる第2の搬送回転部材対と、
上記経路の内側に、上記案内部材と並んで配備された、周面に上記記録媒体が接触することで回転する回転体とを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る媒体搬送装置は、坪量が106g/m2以上の記録媒体が上記案内部材のうち上記経路の内側に配備された内側案内部材と接触するのを妨げる程度で、かつ、坪量が81g/m2以下の記録媒体がこの内側案内部材と接触する程度に、上記回転体が、この内側案内部材よりもこの経路の外側寄りに突出したものであることを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る媒体搬送装置は、上記第1の搬送回転部材対を成す回転部材が互いに接触してこの記録媒体を挟み付ける挟み付け領域の、この記録媒体を搬送する搬送方向における上流側の端と下流側の端とを結ぶ第1直線と、上記第2の搬送回転部材対を成す回転部材が互いに接触してこの記録媒体を挟み付ける挟み付け領域の、この記録媒体を搬送する搬送方向における上流側の端と下流側の端とを結ぶ第2直線と、この第1直線、この第2直線、および上記回転体の周面、に接する円上のこの第1直線およびこの第2直線を結ぶ円弧とからなる曲線を避けた位置に設けられたものであることを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る媒体搬送装置は、上記回転体と並んで上記経路の内側に配備された案内部材が、上記第1の搬送回転部材対を成す回転部材が互いに接触してこの記録媒体を挟み付ける挟み付け領域の、この記録媒体を搬送する搬送方向における上流側の端と下流側の端とを結ぶ第1直線と、上記第1の搬送回転部材対を成す回転部材が互いに接触してこの記録媒体を挟み付ける挟み付け領域の、この記録媒体を搬送する搬送方向における上流側の端と下流側の端とを結ぶ第2直線と、この第1直線、この第2直線、および上記回転体の周面に接する円上のこの第1直線およびこの第2直線とを結ぶ円弧とからなる曲線よりも内側に配備された案内部材であって、かつ、この第1の搬送回転部材対のうち上記経路の内側寄りに配備された第1回転部材の周面とこの回転体の周面との双方に接した第3直線およびこの第2の搬送回転部材対のうち上記経路の内側寄りに配備された第2回転部材の周面とこの回転体の周面との双方に接した第4直線の少なくとも一方よりもこの経路の外側寄りに配備されたものであることを特徴とする。
【0009】
請求項5に係る画像形成装置は、
シート状の記録媒体の表面に画像を形成する画像形成部と、
周面同士が接触した状態で各々が回転する回転部材の対であって、上記画像形成部によって画像が形成された記録媒体を挟むことで搬送する第1の搬送回転部材対と、
記録媒体が接触して摺れ動くことによってこの記録媒体を曲がった経路に沿って上記第1の搬送回転部材対まで案内する、この記録媒体は両面のうち画像が形成されている面をこの経路の内側を向けて案内される、この経路の内側と外側との双方に配備された案内部材と、
周面同士が接触した状態で各々が回転する回転部材からなる第2の搬送回転部材対であって、上記記録媒体を挟むことで搬送して上記経路へと送り込む、この記録媒体が上記第1の搬送回転部材対に達した後、この記録媒体がこの第2の搬送回転部材から離れる前に回転の駆動が終わる第2の搬送回転部材対と、
上記経路の内側に、上記案内部材と並んで配備された、周面に上記記録媒体が接触することで回転する回転体とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る媒体搬送装置は、記録媒体を搬送するための電力を低減させつつ、記録媒体に形成された画像の乱れを抑えることができる。
【0011】
請求項2に係る媒体搬送装置は、記録媒体の案内を安定させつつ、記録媒体の摺れによる画像の乱れを抑えることができる。
【0012】
請求項3および請求項4に係る媒体搬送装置も、記録媒体の案内を安定させつつ、記録媒体の摺れによる画像の乱れを抑えることができる。
【0013】
請求項5に係る画像形成装置は、記録媒体を搬送するための電力を低減させつつ、記録媒体に形成された画像の乱れを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態である複写機を示す概略断面図である。
【図2】図1に示す用紙搬送部のうち、表裏反転経路の部分を拡大して示した構成図である。
【図3】図2に示す表裏反転経路のうちの湾曲経路を拡大して示す構成図である。
【図4】図3に示す湾曲経路周辺に配置された部材を示す斜視図である。
【図5】図3に示す湾曲経路周辺の部材の位置関係を説明する図である。
【図6】図3に示す湾曲経路を厚紙が搬送される様子を説明する第1の図である。
【図7】図3に示す湾曲経路を厚紙が搬送される様子を説明する第2の図である。
【図8】図3に示す湾曲経路を厚紙が搬送される様子を説明する第3の図である。
【図9】図3に示す湾曲経路を厚紙が搬送される様子を説明する第4の図である。
【図10】回転体を有しない比較例の湾曲経路を厚紙が搬送される様子を説明する図である。
【図11】図3に示す湾曲経路を薄紙が搬送される様子を説明する第1の図である。
【図12】図3に示す湾曲経路を薄紙が搬送される様子を説明する第2の図である。
【図13】図3に示す湾曲経路を薄紙が搬送される様子を説明する第3の図である。
【図14】図3に示す湾曲経路を薄紙が搬送される様子を説明する第4の図である。
【図15】図3に示す湾曲経路を薄紙が搬送される様子を説明する第5の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態である複写機を示す概略断面図である。
【0017】
図1に示す複写機1は、原稿から画像を読み取る画像読取部10と、用紙に画像を形成する画像形成部20と、用紙を搬送する用紙搬送部30と複写機1の各部を制御する制御部40とを備えている。また、複写機1には、用紙を収容する用紙収容部50A,50B,50C、および、画像の形成に用いる6色のトナーを収容するトナー収容器60A,60B,60C,60D,60E,60Fも備えられている。用紙搬送部30は、用紙収容部50A,50B,50Cから用紙を取り出し、画像形成部20を経由する搬送経路R1を搬送する。画像読取部10は原稿から画像を読み取って画像データを生成する。画像形成部20は、画像読取部10によって生成された画像データに基づいて、用紙搬送部30によって搬送されてきた用紙に画像を形成する。
【0018】
画像形成部20は、表面に静電潜像やトナー像が形成される、図の矢印A方向に回転する感光体ドラム21と、感光体ドラム21を帯電させる帯電器22と、画像データが入力されてその画像データに基づいて変調された露光光を感光体ドラム21上に照射して静電潜像を形成する露光部23と、静電潜像にトナーを付与してトナー像を形成する現像ユニット24と、感光体ドラム21に接触するとともに図の矢印B方向に循環移動する中間転写ベルト25と、感光体ドラム21上に形成されたトナー像を中間転写ベルト25に1次転写する1次転写ロール26と、1次転写後の感光体ドラム21上をクリーニングする感光体クリーナ27と、中間転写ベルト25上に1次転写されたトナー像を、用紙収容部50A,50B,50Cから、用紙搬送部30から用紙搬送部30によって搬送されてくる用紙に2次転写する2次転写器28と、用紙に転写されたトナー像を加熱および加圧することにより用紙上に定着させる定着器29とが備えられている。また、複写機1には、トナー像が定着した用紙の反りを矯正する反り矯正装置70、および、トナー像が定着し反りが矯正された用紙が積まれる積載トレイ80も備えられている。
【0019】
現像ユニット24には、CMYK4色に2色の特色を加えた6色それぞれに対応した6台の現像器24A,24B,24C,24D,24E,24Fが組み込まれており、各現像器24A〜24Fには、各色のトナーとキャリアからなる2成分現像剤が収容されている。現像ユニット24が60度ずつ順次に回転することによってCMYKおよび特色それぞれのトナーによる現像が行われ、各色のトナー像が形成される。その各色のトナー像は、1次転写ロール26によって中間転写ベルト25に転写される際に互いに重ね合わされてフルカラーのトナー像が形成され、そのフルカラーのトナー像が2次転写器28によって用紙に転写される。6台の現像器24A〜24Fには、トナー収容器60A〜60Fから各色のトナーが供給される。
【0020】
用紙搬送部30は、用紙を搬送経路R1および表裏反転経路R2に沿って搬送する。用紙搬送部30は、用紙収容器50A,50B,50Cから用紙を取り出す取出ロール31A,31B,31Cと、用紙を捌く捌きロール32A,32B,32Cと、用紙を搬送する第1搬送ロール33A,33B,33C,33D,33E,33Fおよび第2搬送ロール34A,34Bと、二次転写器28がトナー像を転写するタイミングに合わせて二次転写器28に用紙を送り込むレジストレーションロール35と、用紙を吸着させながら二次転写器28から定着器29まで搬送するベルト搬送器36と、用紙を複写機1の外に排出する排出ロール37A,37Bと、用紙の搬送の向きを切り換えて搬送する切換搬送ロール38と、用紙を両面印刷のため表裏反転経路R2に沿って搬送する両面搬送ロール39A,39B,39C,39D,39E,39Fとを備えている。
【0021】
ここで、捌きロール32A〜32C、第1搬送ロール33A〜33F、第2搬送ロール34A,34B、排出ロール37A,37B、切換搬送ロール38、および、両面搬送ロール39A〜39Fのそれぞれは、周面同士が接触した状態で各々が回転する回転部材の対であるが、特に説明しない限り、回転部材の対を単にロールと称する。回転部材の対は、用紙を周面間に挟むことでこの用紙を搬送する。
【0022】
用紙収容器50A〜50Cに収容された用紙は、取出ロール31A〜31Cによって取り出され、捌きロール32A〜32Cによって捌かれ、第1搬送ロール33A〜33Fおよび第2搬送ロール34A,34Bによって、搬送経路R1を図の矢印C方向に搬送される。この後、用紙は、レジストレーションロール35によって二次転写器28に送り込まれ、トナー像が転写される。この用紙は、ベルト搬送器36によって定着器29に搬送され、トナーが用紙上に定着される。この後、用紙は、反り矯正装置70によって反りが矯正され、排出ロール37A,37Bによって排出され、積載トレイ80に積載される。
【0023】
複写機1で両面印刷が実行される場合、用紙搬送部30は、搬送経路R1から分岐して搬送経路R1に戻る表裏反転経路R2に沿って用紙を搬送し、表裏反転経路R2の途中で用紙の進行を折返しさせることによって表裏面を反転させる。より詳細には、反り矯正装置70を経由した用紙は、切換搬送ロール38によって搬送される途中で、切換搬送ロール38の搬送方向切換わりによって逆向きに搬送され、続いて、両面搬送ロール39A〜39Fにより、表裏反転経路R2に沿って図の矢印D方向に搬送される。表裏反転経路R2を搬送された用紙は、搬送経路R1に戻り、第2搬送ロール34A,34B、レジストレーションロール35を再び経て、二次転写器28で裏面すなわちトナー像が未転写の面にトナー像が転写される。
【0024】
制御部40は、画像読取部10、画像形成部20、および用紙搬送部30に備えられた各部の動作を制御する。制御部40は、例えば、用紙搬送部30の各ロールを駆動するモータを制御する。制御部は、複写機1全体で消費される消費電力を低減するとともに、複写機1全体に割り当てられた定格消費電力を効率よく配分するため、複写機1の各所に配置された図示しないセンサの検知結果や、時間測定の結果に応じて、各部の駆動状態を切り換える。より具体的には、複写機1全体としては、用紙に画像を形成している最中であっても、画像形成に寄与している部分を駆動し、画像形成に寄与していない部分の駆動を停止する。例えば、搬送経路R1および表裏反転経路R2に配置された、用紙搬送部30の各ロールについて、用紙の搬送を完了したロールは駆動を停止する。これによって、駆動を停止したロールの消費電力分だけ、複写機1の消費電力が低減される。
【0025】
図2は、図1に示す用紙搬送部のうち、表裏反転経路の部分を拡大して示した構成図である。
【0026】
図2には、表裏反転経路R2に配置された両面搬送ロール39A〜39F、および搬送経路R1に配置された第2搬送ロール34Aが示されている。両面搬送ロール39A〜39Fのそれぞれは、上述したように回転部材の対である。両面搬送ロール39A〜39Fのそれぞれの対の一方の回転部材は、ベルト391を介してモータ392によって駆動され、他方の回転部材が従動回転する。6つの両面搬送ロール39A〜39Fは、1つのモータ392によって駆動され、連動する。第2搬送ロール34Aも回転部材の対であり、一方の回転部材はモータ341によって駆動され、他方の回転部材が従動回転する。
【0027】
表裏反転経路R2および搬送経路R1には案内部材300が設けられている。案内部材300は、搬送される用紙の表裏面の双方に配備されており、表裏反転経路R2および搬送経路R1に沿って延びている。逆に言えば、表裏反転経路R2および搬送経路R1は案内部材300によって画定されている。
【0028】
表裏反転経路R2は、両面搬送ロール39A〜39Fが配置された区間は略水平に略直線状に延びているが、6つの両面搬送ロール39A〜39Fのうち、用紙が搬送される搬送方向最下流の両面搬送ロール39Fより下流では、用紙収容部50A〜50C(図1参照)から上方に向かって延びる搬送経路R1に合流するため、曲がっている。より詳細には、表裏反転経路R2は、最下流の両面搬送ロール39Fと第2搬送ロール34Aの間で曲がっている。表裏反転経路R2は、両面搬送ロール39Fと第2搬送ロール34Aの間全体で略90°に曲がっている。案内部材300は、表裏反転経路R2のうちこの曲った部分R2aの両側に配備され、表裏反転経路の曲がった部分R2aに沿って用紙を第2搬送ロール34Aまで案内する。以降、表裏反転経路R2のうち曲がった部分R2aを湾曲経路R2aと称する。湾曲経路R2aの内側には、案内部材300と並んで、円柱状の回転体311が配備されている。
【0029】
経路の内側とは、経路に対し、第1の搬送回転部材対の回転部材同士が接触する領域と、第2の搬送回転部材の回転部材同士が接触する領域とを結ぶ直線がある側を意味し、経路の外側は、内側の反対側を意味する。
【0030】
図3は、図2に示す表裏反転経路のうちの湾曲経路を拡大して示す構成図である。また、図4は、図3に示す湾曲経路周辺に配置された部材を示す斜視図である。
【0031】
ここで、図3および図4を参照して、湾曲経路R2a周辺の部材についてより詳細に説明する。
【0032】
第2搬送ロール34Aは、円柱状の回転部材343,344の対である。回転部材343,344は、用紙を挟み付ける挟み付け領域N1で互いに押し当てられて変形し互いに面接触している。回転部材343,344は図3の矢印E方向に回転し、両面印刷時には、画像が形成された用紙を挟むことで搬送する。両面搬送ロール39Fは、円柱状の回転部材393,394の対である。回転部材393,394は、用紙を挟み付ける挟み付け領域N2で互いに押し当てられて変形し互いに面接触している。回転部材393,394は図3の矢印F方向に回転し、両面印刷時には、画像が形成された用紙を、接触した周面間に挟むことで用紙を搬送して、湾曲経路R2aへと送り込む。
【0033】
案内部材300は、表裏反転経路R2のうちの、図3に示す湾曲経路R2aに沿って配備されている。より詳細には、湾曲経路R2aの内側には、折り曲げられた板からなる3つの案内部材301,302,303が配置されており、反対側の外側にも、3つの案内部材304,305,306が配置されている。ここで、湾曲経路R2aの内側とは、湾曲経路R2aに対し、2つの挟み付け領域N1,N2を結ぶ直線P0がある側を意味する。なお、図4には、外側の3つの案内部材304,305,306のうち、中間に配置された案内部材305が除去された状態が示されている。
【0034】
湾曲経路R2aの内側には、内側の3つの案内部材301,302,303と並んで回転体311が配備されている。回転体311は、軸受部材312に回転自在に支持されている。軸受部材312は、内側の3つの案内部材301,302,303のうち中間に配置された案内部材302にねじで固定されている。軸受部材312の湾曲経路R2a側の面は、3つの案内部材301,302,303とともに案内部材としての役割を有している。
【0035】
両面搬送ロール39Fが用紙を搬送して湾曲経路R2aへと送り込むと、送り込まれた用紙は、内側の3つの案内部材301,302,303および軸受部材312と、外側の3つの案内部材304,305,306の間に形成された湾曲経路R2aを、案内部材301〜306および軸受部材312に接触して摺れ動きながら、第2搬送ロール34Aすなわち回転部材343,344の対まで案内される。このとき、用紙は、すでに画像が形成されている面を、曲がった湾曲経路R2aの内側に向けている。第2搬送ロール34Aに達した用紙は、回転部材343,344の周面に挟まれてさらに搬送される。
【0036】
ここで、図3および図4に示す、用紙を搬送する部分が、本発明の媒体搬送装置の一実施形態に相当する。また、第2搬送ロール34Aが本発明にいう第1の搬送回転部材対の一例に相当し、両面搬送ロール39Fが本発明にいう第2の搬送回転部材対の一例に相当する。また、用紙が本発明にいう記録媒体の一例に相当する。
【0037】
両面搬送ロール39Fおよび第2搬送ロール34Aの回転は、制御部40によって制御されているが、本実施形態の複写機1では、複写機1全体の消費電力を抑えるとともに、消費電力が定格値を超えないよう、用紙への画像形成に必要な部分に電力を集中する制御が行われている。より詳細には、用紙が搬送される方向における湾曲経路R2aの上流に配置された両面搬送ロール39Fは、節電のため、搬送中の用紙の前端が第2搬送ロール34Aに達した後、この用紙の後端が両面搬送ロール39Fから離れる前にモータ392(図2参照)による回転の駆動が停止する。すなわち、上流に配置された両面搬送ロール39Fは、用紙を挟んだ状態であっても駆動が止まり、その後、用紙は、下流の第2搬送ロール34Aに引っ張られるように搬送される。
【0038】
両面搬送ロール39Fは、空転を可能とする一方向クラッチを内蔵しており、回転の駆動が停止した後も、第2搬送ロール34Aに搬送される用紙によって、図3の矢印F方向に回転し続ける。しかし、用紙は、今度は両面搬送ロール39Fの抵抗を受けながら第2搬送ロール34Aによって引っ張られるように湾曲経路R2aを移動することとなる。このとき、用紙は、内側に強く押し付けられることとなる。用紙の画像が形成された面が、湾曲経路R2aの内側の3つの案内部材301,302,303および軸受部材312に強く押し当たるようにして動こうとすると、用紙の画像が形成された面が擦れ、画像が削れて画像の乱れの原因となる。
【0039】
特に、厚紙は、薄紙に比べて強いコシ(弾性)を有しているため、搬送する回転部材343,344に挟まれた部分が略鉛直方向に延びた状態で、搬送される方向の上流側が案内部材301〜306のいずれかの部分に当たって曲げられる場合に、案内部材301〜306の形状に沿った形状とはならず、外側に突っ張るように搬送される。このため、用紙の一部分が内側の3つの案内部材301,302,303の一部に集中して押し当たる。この一方で、薄紙は、コシが弱いため、外側に突っ張ることができず、内側の案内部材301〜306に沿って搬送されるため、接触面積が厚紙の場合と比較して広く、接触している部位にかかる力が分散されるため、画像に傷がつきにくい。コシの弱い薄紙については、案内部材301,302,303に接触することで、用紙の搬送性能が得られる。
【0040】
湾曲経路R2aの内側には、案内部材301,302,303と並んで回転体311が配備されており、回転体311は、用紙が接触することで回転する。このため厚紙であっても、用紙の摺れによる画像の乱れが回避される。
【0041】
より詳細には、回転体311は、内側の案内部材301,302,303よりも湾曲経路R2aの外側寄りに突出して配備されている。ここで、用紙は、一般に、坪量が52〜81g/m2,82〜105g/m2,106〜163g/m2で、薄紙,普通紙,厚紙にそれぞれ分類される。回転体311の位置は、坪量が106g/m2以上の用紙が内側の案内部材301,302,303に接触するのを妨げる程度であって、かつ、坪量が81g/m2以下の用紙が内側の案内部材301,302,303に接触する程度に湾曲経路R2aの外側寄りに突出した位置に設定されている。坪量が82〜105g/m2の用紙については、案内部材301,302,303に接触してもよく、また接触しなくてもよい。したがって、回転体311の位置は、坪量が82〜105g/m2の用紙については、坪量以外の環境条件によって、案内部材301,302,303に接触したり、あるいは接触しなかったりする程度の位置でよい。
【0042】
ここで、回転体311と案内部材301,302,303,304,305,306の位置関係について詳細に説明する。
【0043】
図3に示す円P1は、回転体311に外接する円である。また、直線P2は、両面搬送ロール39Fの回転部材393,394における挟み付け領域N2の用紙の搬送方向上流側の端N2aと下流側の端N2bとを結ぶ直線であり、直線P3は、第2搬送ロール34Aの回転部材343,344における挟み付け領域N1の用紙搬送方向上流側の端N2aと下流側の端N2bとを結ぶ直線である。円P1は、直線P2および直線P3に接している。湾曲経路R2aにおける案内部材301,302,303,304,305,306は、円P1上の第1直線P2および第2直線P3を結ぶ弧と、第1直線P2と、第2直線P3とからなる曲線を避けた位置に配置されている。
【0044】
ここで、回転体311と案内部材301,302,303の位置関係についてさらに詳細に説明する。
【0045】
図5は、図3に示す湾曲経路周辺の部材の位置関係を説明する図である。図5には、図3に示す部材のうち、湾曲経路R2aの内側の案内部材301,302,303と、回転体311と軸受部材312と第2搬送ロール34Aの回転部材343,344と、両面搬送ロール39Fの回転部材393,394が示されている。また、内側の案内部材301,302,303については、実際に用紙を案内する湾曲経路R2aに面した部分のみが示されている。また、図5には、図3と同様に、円P1、第1直線P2、および第2直線P3が示されている。また、図5には、第2搬送ロール34Aの回転部材343,344のうち湾曲経路R2aの内側寄りに配備された回転部材344の周面と回転体311の周面との双方に接した第3直線P4と、両面搬送ロール39Fの回転部材393,394のうち湾曲経路R2aの内側寄りに配備された回転部材394と回転体311の周面との双方に接した第4直線P5とが示されている。
【0046】
本実施形態において、内側の案内部材301,302,303のうち、実際に用紙を案内する湾曲経路R2aに面した部分は、円P1および第1直線P2よりも内側に配備されており、かつ、第3直線P4および第4直線P5の一方よりも、一点鎖線R2aで示す湾曲経路の中心寄りに配備されている。
【0047】
続いて、図5に示す配置の部材により形成された湾曲経路を用紙が搬送される様子を説明する。
【0048】
図6、図7、図8、および図9は、図3に示す湾曲経路を厚紙が搬送される様子を説明する図である。図6〜図9は、図3に示す湾曲経路を、坪量が106g/m2の厚紙である用紙Sが通過する様子が時間順に示されている。
【0049】
まず、図6に示すように、画像形成部20(図1参照)で画像が形成された用紙Sは、両面搬送ロール39Fの回転部材393,394に搬送され、外側の案内部材304と内側の案内部材301に案内されて曲がった状態で進む。このとき用紙Sは、画像が形成された面が内側の案内部材301に摺れて動く。しかし、このとき用紙Sは、回転部材393,394のみに搬送された状態であるため、張力等は生じていない。したがって、用紙Sが案内部材301に押し当たる力は、曲げられることによって生じる弾性力のみであり、用紙Sの摺れは、画像が乱れは生じない程度である。
【0050】
次に、図7に示すように、用紙Sがさらに搬送されると、用紙Sは、外側の案内部材304より下流の案内部材305に案内されながら進む。
【0051】
次に、図8に示すように、用紙Sがさらに搬送されると、用紙Sは、回転体311にも接するようになる。回転体311は、用紙Sから駆動力を得て回転を開始する。
【0052】
次に、図9に示すように、用紙Sがさらに搬送されると、用紙Sは、第2搬送ロール34Aに達する。第2搬送ロール34Aの回転部材343,344に挟まれて搬送される。用紙Sが、第2搬送ロール34Aに駆動されると、両面搬送ロール39Fの回転部材393,394は、用紙Sを挟んだ状態で、モータ392(図2参照)による回転の駆動が停止される。回転部材393,394は一方向クラッチを備えており、第2搬送ロール34Aの回転部材343,344に搬送されている用紙Sから力を得て回転を続ける。このとき、用紙Sには、両面搬送ロール39Fの負荷による張力が生じる。用紙Sは、張力の分だけ強く内側に寄ろうとする。
【0053】
しかし、厚紙である用紙Sは、後述する薄紙に比べて用紙自身の弾性(コシ)が強いため、第2搬送ロール34Aの回転部材343,344の周面に挟まれた部分から撓むように曲がり、内側の案内部材301,302,303に押し当たらず、回転体311に押し当たる。より詳細に説明すると、用紙Sは、第2搬送ロール34Aの回転部材343,344の周面に挟まれており、挟まれた部分が、この周面に接する略鉛直方向に延びた姿勢、すなわち回転部材343,344の中心を通る線と略垂直な姿勢ととなり、そこから両面搬送ロール39Fに向かって撓んだ形状となっている。このため、用紙Sは、図5を参照して説明した位置に配置された内側の案内部材301,302,303に沿った形状とはならず、案内部材301,302,303からは離れて、回転体311に押し当たる。
【0054】
図9に示す状態で、用紙Sは、上述した張力の分だけ強く回転体311に押し当たるが、回転体311は、用紙Sが接触することで回転するため、摺れによる用紙Sの画像の乱れが回避される。
【0055】
ここで、回転体を有しない比較例について説明する。
【0056】
図10は、回転体を有しない比較例の湾曲経路を厚紙が搬送される様子を説明する図である。図10に示す用紙の搬送位置は図9と同じである。また、図10に示す構成は回転体311を備えていない点が、図9に示す本実施形態の構成と異なり、他の点は図9に示す構成と同じである。
【0057】
図10に示す比較例では、用紙Sが、第2搬送ロールの回転部材343’,344’の周面に挟まれて搬送された状態で、両面搬送ロールの回転部材393’,394’の回転駆動が停止すると、張力が生じた用紙Sは撓んだ形状となり、用紙Sの一部分が内側の案内部材301’に集中して押し当たる。このため、用紙が案内部材301’に摺れがより強くなり、画像の乱れの原因となる。
【0058】
これに対し、本実施形態の構成では、図9に示すように、摺れによる厚紙である用紙Sの画像の乱れが回避される。
【0059】
続いて、薄紙の場合について説明する。
【0060】
図11、図12、図13、図14、および図15は、図3に示す湾曲経路を薄紙が搬送される様子を説明する図である。図11〜図15には、坪量が81g/m2以下の薄紙である用紙Sが通過する様子が時間順に示されている。
【0061】
薄紙についての図11から図14までに示す状態は、厚紙についての図6〜図9に示す状態とほぼ同じである。薄紙である用紙Sは、厚紙に比べて用紙自身の弾性(コシ)が弱いため、両面搬送ロール39Fによって押し出されるように搬送されるときに、外側の案内部材304,305,306に当たった用紙Sの先端が、経路内で折れ曲がって紙詰まりを起こしやすい。しかし、本実施形態における内側の案内部材301,302,303は、図5に示した第3直線P4および第4直線P5の一方よりも経路の中心寄りに配備されている。内側の案内部材301,302,303は、外側の案内部材304,305,306に対し、用紙の先端を、経路内で折り曲げずに安定して搬送させる程度に近接している。
【0062】
図15には、薄紙である用紙Sが第2搬送ロール34Aの回転部材343,344に挟まれて搬送されている状態が示されている。
【0063】
図15に示すように用紙Sが、第2搬送ロール34Aに駆動されると、両面搬送ロール39Fの回転部材393,394は、用紙Sを挟んだ状態で、モータ392(図2参照)による回転の駆動が停止される。このとき、用紙Sには、両面搬送ロール39Fの負荷による張力が生じる。用紙Sは、張力の分だけ強く内側に寄ろうとする。
【0064】
しかし、薄紙である用紙Sは、厚紙に比べて用紙自身の弾性(コシ)が弱いため、内側の案内部材301,302,303に沿った形状に曲がり、回転体311および内側の案内部材301,302,303の全体に押し当たる。このため、薄紙である用紙Sについては、一部分への押し当たりが回避され、押し当たる力が分散される。したがって、摺れによる用紙Sの画像の乱れが回避される。
【0065】
なお、上述した実施形態では、媒体搬送装置の例として、表裏反転経路R2に設けられたものを説明したが、本発明にいう媒体搬送装置はこれに限られず、例えば、ステープラや折り曲げといった、画像形成処理の後処理中の搬送経路に用いられたものであってもよい。
【0066】
また、上述した実施形態では、画像形成装置の例としてカラー複写機を示したが、本発明にいう画像形成装置はこれに限られず、例えば、モノクロ複写機やプリンタ、ファクシミリであってもよい。
【0067】
また、上述した実施形態では、記録媒体の例として、紙製の用紙について説明したが、本発明にいう記録媒体はこれに限られず、例えば、樹脂製のシートであってもよい。
【0068】
また、上述した実施形態では、本発明にいう画像形成部の例として、静電潜像をトナーで現像する電子写真方式による構造を示したが、本発明にいう画像形成部はこれに限られず、例えばインクジェット方式であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 複写機
20 画像形成部
30 用紙搬送部
34A,34B 搬送ロール
39A,39B,39C,39D,39E,39F 両面搬送ロール
301,302,303 内側の案内部材
304,305,306 外側の案内部材
311 回転体
343,344 回転部材
393,394 回転部材
P1 円
P2 第1直線
P3 第2直線
P4 第3直線
P5 第4直線
R2a 湾曲経路
S 用紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面同士が接触した状態で各々が回転する回転部材の対であって、表面に画像が形成されたシート状の記録媒体を挟むことで搬送する第1の搬送回転部材対と、
記録媒体が接触して摺れ動くことによって該記録媒体を曲がった経路に沿って前記第1の搬送回転部材対まで案内する、該記録媒体は両面のうち画像が形成されている面を該経路の内側を向けて案内される、該経路の内側と外側との双方に配備された案内部材と、
周面同士が接触した状態で各々が回転する回転部材からなる第2の搬送回転部材対であって、前記記録媒体を挟むことで搬送して前記経路へと送り込む、該記録媒体が前記第1の搬送回転部材対に達した後、該記録媒体がこの第2の搬送回転部材から離れる前に回転の駆動が終わる第2の搬送回転部材対と、
前記経路の内側に、前記案内部材と並んで配備された、周面に前記記録媒体が接触することで回転する回転体とを備えたことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記回転体は、坪量が106g/m2以上の記録媒体が前記案内部材のうち前記経路の内側に配備された内側案内部材と接触するのを妨げる程度で、かつ、坪量が81g/m2以下の記録媒体が該内側案内部材と接触する程度に、前記回転体が、該内側案内部材よりも該経路の外側寄りに突出したものであることを特徴とする請求項1記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記案内部材は、前記第1の搬送回転部材対を成す回転部材が互いに接触して該記録媒体を挟み付ける挟み付け領域の、該記録媒体を搬送する搬送方向における上流側の端と下流側の端とを結ぶ第1直線と、前記第2の搬送回転部材対を成す回転部材が互いに接触して該記録媒体を挟み付ける挟み付け領域の、該記録媒体を搬送する搬送方向における上流側の端と下流側の端とを結ぶ第2直線と、該第1直線、該第2直線、および前記回転体の周面、に接する円上の該第1直線および該第2直線を結ぶ円弧とからなる曲線を避けた位置に設けられたものであることを特徴とする請求項1または2記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記回転体と並んで前記経路の内側に配備された案内部材は、前記第1の搬送回転部材対を成す回転部材が互いに接触して該記録媒体を挟み付ける挟み付け領域の、該記録媒体を搬送する搬送方向における上流側の端と下流側の端とを結ぶ第1直線と、前記第1の搬送回転部材対を成す回転部材が互いに接触して該記録媒体を挟み付ける挟み付け領域の、該記録媒体を搬送する搬送方向における上流側の端と下流側の端とを結ぶ第2直線と、該第1直線、該第2直線、および前記回転体の周面に接する円上の該第1直線および該第2直線とを結ぶ円弧とからなる曲線よりも内側に配備された案内部材であって、かつ、該第1の搬送回転部材対のうち前記経路の内側寄りに配備された第1回転部材の周面と該回転体の周面との双方に接した第3直線および該第2の搬送回転部材対のうち前記経路の内側寄りに配備された第2回転部材の周面と該回転体の周面との双方に接した第4直線の少なくとも一方よりも該経路の外側寄りに配備されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
シート状の記録媒体の表面に画像を形成する画像形成部と、
周面同士が接触した状態で各々が回転する回転部材の対であって、前記画像形成部によって画像が形成された記録媒体を挟むことで搬送する第1の搬送回転部材対と、
記録媒体が接触して摺れ動くことによって該記録媒体を曲がった経路に沿って前記第1の搬送回転部材対まで案内する、該記録媒体は両面のうち画像が形成されている面を該経路の内側を向けて案内される、該経路の内側と外側との双方に配備された案内部材と、
周面同士が接触した状態で各々が回転する回転部材からなる第2の搬送回転部材対であって、前記記録媒体を挟むことで搬送して前記経路へと送り込む、該記録媒体が前記第1の搬送回転部材対に達した後、該記録媒体がこの第2の搬送回転部材から離れる前に回転の駆動が終わる第2の搬送回転部材対と、
前記経路の内側に、前記案内部材と並んで配備された、周面に前記記録媒体が接触することで回転する回転体とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
周面同士が接触した状態で各々が回転する回転部材の対であって、表面に画像が形成されたシート状の記録媒体を挟むことで搬送する第1の搬送回転部材対と、
記録媒体が接触して摺れ動くことによって該記録媒体を曲がった経路に沿って前記第1の搬送回転部材対まで案内する、該記録媒体は両面のうち画像が形成されている面を該経路の内側を向けて案内される、該経路の内側と外側との双方に配備された案内部材と、
周面同士が接触した状態で各々が回転する回転部材からなる第2の搬送回転部材対であって、前記記録媒体を挟むことで搬送して前記経路へと送り込む、該記録媒体が前記第1の搬送回転部材対に達した後、該記録媒体がこの第2の搬送回転部材から離れる前に回転の駆動が終わる第2の搬送回転部材対と、
前記経路の内側に、前記案内部材と並んで配備された、周面に前記記録媒体が接触することで回転する回転体とを備えたことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記回転体は、坪量が106g/m2以上の記録媒体が前記案内部材のうち前記経路の内側に配備された内側案内部材と接触するのを妨げる程度で、かつ、坪量が81g/m2以下の記録媒体が該内側案内部材と接触する程度に、前記回転体が、該内側案内部材よりも該経路の外側寄りに突出したものであることを特徴とする請求項1記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記案内部材は、前記第1の搬送回転部材対を成す回転部材が互いに接触して該記録媒体を挟み付ける挟み付け領域の、該記録媒体を搬送する搬送方向における上流側の端と下流側の端とを結ぶ第1直線と、前記第2の搬送回転部材対を成す回転部材が互いに接触して該記録媒体を挟み付ける挟み付け領域の、該記録媒体を搬送する搬送方向における上流側の端と下流側の端とを結ぶ第2直線と、該第1直線、該第2直線、および前記回転体の周面、に接する円上の該第1直線および該第2直線を結ぶ円弧とからなる曲線を避けた位置に設けられたものであることを特徴とする請求項1または2記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記回転体と並んで前記経路の内側に配備された案内部材は、前記第1の搬送回転部材対を成す回転部材が互いに接触して該記録媒体を挟み付ける挟み付け領域の、該記録媒体を搬送する搬送方向における上流側の端と下流側の端とを結ぶ第1直線と、前記第1の搬送回転部材対を成す回転部材が互いに接触して該記録媒体を挟み付ける挟み付け領域の、該記録媒体を搬送する搬送方向における上流側の端と下流側の端とを結ぶ第2直線と、該第1直線、該第2直線、および前記回転体の周面に接する円上の該第1直線および該第2直線とを結ぶ円弧とからなる曲線よりも内側に配備された案内部材であって、かつ、該第1の搬送回転部材対のうち前記経路の内側寄りに配備された第1回転部材の周面と該回転体の周面との双方に接した第3直線および該第2の搬送回転部材対のうち前記経路の内側寄りに配備された第2回転部材の周面と該回転体の周面との双方に接した第4直線の少なくとも一方よりも該経路の外側寄りに配備されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
シート状の記録媒体の表面に画像を形成する画像形成部と、
周面同士が接触した状態で各々が回転する回転部材の対であって、前記画像形成部によって画像が形成された記録媒体を挟むことで搬送する第1の搬送回転部材対と、
記録媒体が接触して摺れ動くことによって該記録媒体を曲がった経路に沿って前記第1の搬送回転部材対まで案内する、該記録媒体は両面のうち画像が形成されている面を該経路の内側を向けて案内される、該経路の内側と外側との双方に配備された案内部材と、
周面同士が接触した状態で各々が回転する回転部材からなる第2の搬送回転部材対であって、前記記録媒体を挟むことで搬送して前記経路へと送り込む、該記録媒体が前記第1の搬送回転部材対に達した後、該記録媒体がこの第2の搬送回転部材から離れる前に回転の駆動が終わる第2の搬送回転部材対と、
前記経路の内側に、前記案内部材と並んで配備された、周面に前記記録媒体が接触することで回転する回転体とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−184191(P2011−184191A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54734(P2010−54734)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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