説明

媒体搬送装置及び自動取引装置

【課題】搬送ベルトと媒体との間の摩擦力により媒体の搬送力を高めることが可能な媒体搬送装置を提供するする。
【解決手段】媒体搬送装置30は、複数のローラに巻き掛けられ、媒体を搬送する搬送ベルト31と、搬送ベルト31に対向するように配置され、搬送ベルト31との間で媒体BLを把持しながら媒体BLを案内する搬送ガイド33とを具備する。搬送ベルト31は、外周面から外側に向けて突出した複数の突起部31aを有し、搬送ガイド33は、搬送ベルト31側に向けて突出した複数のガイドリブ33aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置及び自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、現金自動預払機(ATM:Automated Teller Machine)が、銀行等の金融機関だけでなくコンビニエンスストア等の小売店、公共施設に幅広く設置されている。現金自動預払機は、顧客自身の操作によって自動取引が可能な装置の一例である。自動取引装置では、入金取引や出金取引だけでなく現金を介さない取引も可能である。
【0003】
自動取引装置には、紙幣、チケット、証書等の媒体の収納や排出を行うために媒体を搬送する媒体搬送装置が設けられている。例えば、特許文献1には、複数のローラに巻き掛けられた搬送ベルトと、搬送ベルトの外周側に配置された搬送ガイドとの間に媒体を挟み、搬送ベルトを回すことによって媒体を搬送する媒体搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−134530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の媒体搬送装置では、搬送ベルトと媒体との接触面積が小さい。このため、搬送ベルトと媒体との間の摩擦力が小さく、媒体の搬送状態によって搬送ガイドと媒体との間の摩擦力が大きくなった場合には媒体の搬送力が低下し、媒体のスキューや搬送ジャムが発生する原因となり得る。
【0006】
上記課題を解決するために、搬送ベルトを増やし、搬送ベルトと媒体との間の摩擦力を大きくすることも考えられる。しかし、搬送ベルトを増やすと媒体搬送装置自体の構成が複雑になり、かつ装置が大型化する。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、搬送ベルトと媒体との間の摩擦力により媒体の搬送力を高めることが可能な、新規かつ改良された媒体搬送装置及び自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、複数のローラに巻き掛けられ、媒体を搬送する搬送ベルトと、前記搬送ベルトに対向するように配置され、前記搬送ベルトとの間で媒体を把持しながら媒体を案内する搬送ガイドと、を備え、前記搬送ベルトは、外周面から外側に向けて突出した複数の突起部を有し、前記搬送ガイドは、前記搬送ベルト側に向けて突出した複数のガイドリブを有することを特徴とする、媒体搬送装置が提供される。
【0009】
前記複数の突起部の先端は、平坦であってもよい。
【0010】
前記複数の突起部の先端の搬送方向に垂直な断面は、四角形又は台形であってもよい。
【0011】
前記複数のガイドリブの先端は、丸く形成されてもよい。
【0012】
前記複数の突起部と前記複数のガイドリブとは、搬送方向に連続して設けられてもよい。
【0013】
前記複数のガイドリブは、搬送方向に連続して設けられ、前記複数の突起部は、搬送方向に断続的に設けられてもよい。
【0014】
前記複数の突起部の先端は、搬送方向に設けられた溝により分割されてもよい。
【0015】
前記複数の突起部と前記複数のガイドリブとは、交互に突出するように配置されてもよい。
【0016】
前記複数の突起部と前記複数のガイドリブとの先端部は、オーバラップするように隙間を有した状態で噛み合っていてもよい。
【0017】
前記搬送ベルトは、前記搬送ガイドより摩擦係数が高い材質から形成されてもよい。
【0018】
前記搬送ベルトは、前記搬送ガイドより伸縮性の高い材質から形成されてもよい。
【0019】
前記搬送ベルトと媒体との接触箇所が、前記搬送ガイドと媒体との接触箇所より多くなるように前記突起部の数及び前記ガイドリブの数が設定されてもよい。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、上記媒体搬送装置が内蔵され、前記媒体搬送装置を用いて媒体を搬送する自動取引装置が提供される。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、搬送ベルトと媒体との間の摩擦力により媒体の搬送力を高めることが可能な媒体搬送装置及び自動取引装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係る媒体搬送装置を含んだ自動取引装置を示す概略構成図である。
【図2】第1実施形態に係る媒体搬送装置を示した図である。
【図3】第1実施形態に係る媒体搬送装置による媒体の搬送を説明するための図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る媒体搬送装置を示した図である。
【図5】変形例に係る媒体搬送装置の断面図である。
【図6】比較例に係る媒体搬送装置を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
<はじめに>
本発明の各実施形態に係る媒体搬送装置について説明する前に、比較例として、図6に示した媒体搬送装置についてその構成及び動作を簡単に説明する。図6の下図は、比較例に係る媒体搬送装置99の側面図であり、図6の上図は、媒体搬送装置99の搬送方向に垂直な方向に搬送路を切断した3−3断面図である。
【0025】
媒体搬送装置99は、搬送ベルト91、左右の搬送ローラ92及び搬送ガイド93を有している。搬送ベルト91は、2つの搬送ローラ92に巻き掛けられた無端状のベルトである。搬送ローラ92が回転すると、その回転により搬送ベルト91が搬送方向に動く。搬送ガイド93は、接地面に配置され、図6の上図に示すように、搬送ベルト91の外側で突出した2つの凸部93aを有している。2つの凸部93aは、搬送方向に連続して突出している。
【0026】
かかる構成によれば、搬送ベルト91と媒体BLとの接触部分は、搬送ベルト91の2箇所のエッジ部Edだけである。このため、搬送ベルト91と媒体BLとの間の摩擦力は小さい。よって、媒体BLの搬送状態によって媒体BLと搬送ガイド93との間の摩擦力が大きくなった場合には、搬送ベルト91と媒体BLとの間の摩擦力との相対関係から、媒体BLの搬送力が低下し、媒体のスキューや搬送ジャムが発生する原因となり得る。
【0027】
そこで、以下では、搬送ベルトと媒体との間の摩擦力を強め、媒体の搬送力を高めることが可能な、本発明の第1実施形態に係る媒体搬送装置及びその媒体搬送装置を内蔵した自動取引装置について説明する。
【0028】
<1.第1実施形態>
[自動取引装置]
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る媒体搬送装置を内蔵した自動取引装置について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る媒体搬送装置を含んだ自動取引装置の概略構成図である。自動取引装置10は、顧客自身の操作によって自動取引が可能な装置であり、金融機関の店舗、コンビニエンスストア等の小売店、公共施設等に設置される。自動取引装置10は、入金取引や出金取引だけでなく現金を介さない取引も処理し得る。自動取引装置10の一例としては、現金自動預払機(ATM:Automated Teller Machine)が挙げられる。
【0029】
自動取引装置10は、紙幣投入部12、繰出部14、鑑別部16、一時保管部18、返却集積部20、排出口22、全種別紙幣収納部24、及び媒体搬送装置30を有する。紙幣投入部12は、媒体としての紙幣を投入するため、また、出金取引において一括して紙幣を出金するための紙幣入出金口を備える。紙幣投入部12は、紙幣を所定枚数まで束にして投入することができる。繰出部14は、その紙幣入出金口に投入された紙幣を1枚ずつに分けて繰り出す。
【0030】
媒体搬送装置30は、自動取引装置10に内蔵され、媒体としての紙幣を搬送する。媒体搬送装置30は、自動取引装置10の搬送路を形成し、紙幣投入部12から投入され、繰出部14によって繰り出された紙幣を各部へ搬送し、所定位置に収納する。なお、搬送路の途中には、図示しない複数のブレードが配され、そのブレードを動かして搬送方向の切替えが行われる。
【0031】
鑑別部16は、紙幣投入部12から媒体搬送装置30によって搬送された紙幣の真偽、正損、金種等を鑑別する。一時保管部18は、鑑別部6で鑑別された紙幣を一時的に保管する。返却集積部20は、鑑別部16によって金種不明や偽券等のリジェクト紙幣と鑑別された紙幣を集積する。また、返却集積部20は集積した紙幣を返却するための排出口22を有している。全種別紙幣収納部24は、複数のカセットを有し、それぞれのカセットに予め定められた金種の紙幣を収納する。
【0032】
[媒体搬送装置の構成]
次に、図2を参照して、第1実施形態に係る媒体搬送装置30の構成について説明する。図2の下図は、第1実施形態に係る媒体搬送装置30の搬送方向に対する側面図であり、図2の上図は、媒体搬送装置30の搬送方向に垂直な方向に搬送路を切断した1−1断面図である。
【0033】
媒体搬送装置30は、搬送ベルト31、搬送ローラとしての駆動プーリ32a及び従動プーリ32b及び搬送ガイド33を有している。搬送ベルト31は、無端状のベルトであり、駆動プーリ32a及び従動プーリ32bに巻き掛けられている。駆動プーリ32aは、モータMに接続され、モータMの駆動により回転し、搬送ベルト31を動作させる。従動プーリ32bは、搬送ベルト31が動作することにより回転する。
【0034】
搬送ガイド33は、図2の上図にも示すように、搬送ベルト31の外周に対向するように配置されている。図3に示すように、媒体搬送装置30は、搬送ベルト31と搬送ガイド33との間に媒体BLを把持しながら、媒体BLを搬送方向へと案内する。
【0035】
搬送ベルト31は、搬送ベルト31の外周面から外側に向けて複数の凸状の突起部31aを有する。媒体搬送装置30の接地部分では、図2の1−1断面図に示すように、搬送ベルト31の複数の突起部31aは、搬送ガイド33側に向けて突出する。各突起部31aの搬送方向に垂直な断面(図2の1−1断面)は、台形である。ただし、突起部31aの搬送方向に垂直な断面の形状は、台形に限定されず、例えば四角形であってもよい。突起部31aの先端は平坦であり、1つの突起部31aに2つのエッジ部2dがある。各突起部31aは、搬送方向に連続している。つまり、搬送ベルト31は、周方向に2つの突起部31aが突起した形状となっている。
【0036】
搬送ガイド33も同様に、搬送ベルト31に対向する向きに突出した複数のガイドリブ33aを有する。各ガイドリブ33aの搬送方向に垂直な断面(図2の1−1断面)の先端は丸く形成されていて、エッジ部を有しない。各ガイドリブ33aは、搬送方向に連続している。つまり、搬送ガイド33は、周方向に3つのガイドリブ33aが突起した形状となっている。
【0037】
かかる構成によれば、搬送ベルト31の突起部31aの先端は平坦でエッジ部を有するため、丸みがあってエッジ部を有さないガイドリブ33aよりも摩擦力が強まる。具体的には、一突起につき2箇所で媒体BLと接触するため、搬送ベルト31に設けられた2つの突起部31aにより接触箇所は4箇所となる。一方、ガイドリブ33aの先端近傍は丸形であるため、一突起につき1箇所で媒体BLと接触するため、ガイドリブ33aに設けられた3つのガイドリブ33aにより接触箇所は3箇所となる。これにより、本実施形態に係る搬送ベルト31及び搬送ガイド33の突起数及び突起の形状によれば、突起部31aの接触箇所は、ガイドリブ33aの接触箇所を上回ることになる。このように、搬送ベルト31と媒体BLとの接触箇所が、搬送ガイド33と媒体BLとの接触箇所より多くなるように突起部31aの数及びガイドリブ33aの数が設定されることが好ましい。
【0038】
また、搬送ベルト31は、搬送ガイド33より摩擦係数が高い材質から形成されている。例えば、搬送ベルト31は、可撓性を有するゴム等の摩擦係数が高い材料で形成されることが好ましく、搬送ガイド33は、プラスチック等の摩擦係数が低い材料で形成されることが好ましい。また、搬送ベルト31は、搬送ガイド33より伸縮性の高い材質から形成されることが好ましい。
【0039】
更に、複数の突起部31aと複数のガイドリブ33aとは、交互に突出するように配置される。また、複数の突起部31aと複数のガイドリブ33aのそれぞれの先端部は、各突起の高さ方向にオーバラップし、媒体BLを把持するための隙間を有した状態で噛み合っている。これによれば、搬送ベルト31の進行方向に対して、常時、隙間ができる構成であるため、搬送ベルト31と搬送ガイド33で噛み合いのタイミングをとる必要がなく、搬送制御を簡素化できる。
【0040】
図6に示した比較例では、搬送ベルト91と媒体BLとの接触部分は、搬送ベルト91の2箇所のエッジ部Edだけである。このため、搬送ベルト91と媒体BLとの間の摩擦力が小さい。よって、媒体BLとガイドリブ93aとの間の摩擦力が大きくなった場合には、媒体BLの搬送力が低下してしまい、媒体BLのスキューや搬送ジャムの原因になる。
【0041】
これに対して、本実施形態に係る搬送ベルト31によれば、図3に示したように、媒体BLは各突起部31aの先端及び両エッジ部Edと接触するため、搬送ベルト31と媒体BLとの間に大きな摩擦力が発生する。
【0042】
また、比較例では、搬送ベルト91及び搬送ガイド93に把持されている媒体BLのうち、搬送ベルト91及び搬送ガイド93からはみ出している部分が、搬送中にバタつき、搬送ガイド93と接触するため、把持されている部分以外に媒体BLと搬送ガイド93が接触する部分が多くなり、搬送負荷が増加し、媒体搬送能力の低下を招く要因の1つとなっていた。しかし、本実施形態では、搬送ベルト31側の複数の突起部31aと搬送ガイド33側の複数のガイドリブ33aとにより、媒体BLをしっかりと把持するため、媒体BLが搬送中にバタつきにくい。これにより、搬送ガイド33と媒体BLとの間の摩擦力は低くなる。以上から、本実施形態に係る媒体搬送装置30によれば、突起部31a及びガイドリブ33aの形状、材質、配置、相互の位置関係から、媒体の搬送能力を高めることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、搬送ベルト31の突起部31aが2箇所、搬送ベルト31の搬送方向に突起し、搬送ガイド33のガイドリブ33aが3箇所、搬送ガイド33の搬送方向に突起している。しかし、突起部31a及びガイドリブ33aの個数はこれに限らず、搬送する媒体BLのコシや厚み、必要な搬送力に応じて増やすことができる。例えば、突起部31aを3箇所、ガイドリブ33aを2箇所突起させるようにしてもよい。この場合には、搬送ベルト91と媒体BLとの接触は6箇所、媒体BLと搬送ガイド93との接触は2箇所となり、媒体BLのフィード力が増加する。
【0044】
また、搬送する媒体の大きさや必要な搬送力に応じて、搬送ベルト31、駆動プーリ32a及び従動プーリ32bの構成を複数箇所配置することもできる。
【0045】
[媒体搬送装置の動作]
次に、図3を参照して、本実施形態に係る媒体搬送装置30の動作について説明する。図3は、第1実施形態に係る媒体搬送装置30を用いた媒体BLの搬送を説明するための図である。図3の中央図及び下図は、本実施形態に係る媒体搬送装置30の搬送方向に対する側面図及び斜視図である。図3の上図は、媒体搬送装置30の搬送方向に垂直な方向に搬送路を切断した図(中央図の2−2断面図)である。特に、図3の2−2断面図では、図2の1−1断面図で示した媒体BLを搬送していない状態と比べて、媒体BLの搬送中の状態を簡潔に示している。
【0046】
媒体BLが、従動プーリ32b側から入って駆動プーリ32a側から出るように搬送される場合、まず、モータMによる駆動プーリ32aの回転により搬送ベルト31が回転する。これにより、図3で示すように、搬送ベルト31の突起部31aと搬送ガイド33のガイドリブ33aとの間で媒体BLを把持し、媒体BLの上面に接触している搬送ベルト31との摩擦力によって媒体BLを搬送方向に搬送していく。
【0047】
媒体搬送時、媒体BLは、交互に配置された突起部31aとガイドリブ33aとの間で把持され、2−2断面で示したように、波状に変形する。このとき、搬送ベルト31は、媒体BLを把持していないときの位置Psから把持したあとの位置Puまで上方に移動する。搬送ベルト31は、前述したとおりゴム製の伸縮可能な素材で形成されているため、媒体BLが把持されると反力によってこのように上方に移動する。これにより、搬送ベルト31は、媒体BLを把持する力を増加させることができる。また、前述の通り、媒体BLは、搬送ベルト31の突起部31aの両エッジ部Edと接触するため、搬送ベルト31と媒体BLとの接触箇所が、搬送ガイド33と媒体BLとの接触箇所より多くなる。このため、搬送ガイド33と媒体BLとの間の摩擦力より、搬送ベルト31と媒体BLとの間の摩擦力が高まり、安定した搬送が可能となる。
【0048】
以上に説明したように、第1実施形態に係る媒体搬送装置30によれば、搬送ベルト31に設けられた突起部31aにより搬送ベルト31と媒体BLとの接触部分を増やすことができ、搬送ベルト31と媒体BLとの間の摩擦力を強めることができる。このため、媒体BLの状態によって搬送ガイド33と媒体BLとの間の摩擦力が大きくなった場合であっても、搬送中のスキューや搬送ジャムの発生を防止することができる。また、搬送ベルト31を増やす必要がないため、媒体搬送装置30の構成を簡素化でき、媒体搬送装置30の大型化を回避し、製造コストを下げることができる。
【0049】
<2.第2実施形態>
[媒体搬送装置の構成]
次に、図4を参照して、第2実施形態に係る媒体搬送装置30の構成について説明する。図4の上図は、第2実施形態に係る媒体搬送装置30の搬送方向に対する側面図であり、図4の下図は、第2実施形態に係る媒体搬送装置30の斜視図である。
【0050】
第2実施形態に係る媒体搬送装置30では、複数のガイドリブ33aが搬送方向に連続して設けられている点は第1実施形態と同様である。しかし、搬送ベルト31の複数の突起部31bが搬送方向に断続的に配置されている点で第1実施形態と相違する。
【0051】
具体的には、搬送ベルト31の2つの突起部31bは、搬送方向に所定のピッチで断続的に設けられている。所定のピッチは均等であることが好ましい。
【0052】
[媒体搬送装置の動作]
次に、図4を参照して、本実施形態に係る媒体搬送装置30の動作について説明する。媒体BLが、従動プーリ32b側から入って駆動プーリ32a側から出るように搬送される場合、まず、モータMによる駆動プーリ32aの回転により搬送ベルト31が回転する。これにより、搬送ベルト31の突起部31bと搬送ガイド33のガイドリブ33aとの間で媒体BLを把持し、媒体BLの上面に接触している搬送ベルト31との摩擦力によって媒体BLを搬送方向に搬送していく。
【0053】
媒体搬送時、媒体BLは、交互に配置された突起部31bとガイドリブ33aとの間で把持され、波状に変形する。このとき、媒体BLは、搬送ベルト31の突起部31bの両エッジ部と接触し、搬送ベルト31と媒体BLとの接触箇所が、搬送ガイド33と媒体BLとの接触箇所より多くなる。このため、搬送ガイド33と媒体BLとの間の摩擦力に対して、搬送ベルト31と媒体BLとの間に高い摩擦力が発生し、これにより、安定した搬送が可能となる。
【0054】
また、媒体搬送時、突起部31bと媒体BLとの間に紙粉等の異物が入った場合には、突起部31bと媒体BLとの摩擦係数の差により、異物は突起部31bより移動し、次の突起部31bとの隙間に入る。隙間に入った異物は、重力や遠心力によりガイドリブ33a間等に落ちるようになっている。
【0055】
以上に説明したように、第2実施形態に係る媒体搬送装置30によれば、搬送ベルト31に設けられた突起部31bにより搬送ベルト31と媒体BLとの接触部分を増やすことができる。このため、搬送ベルト31と媒体BLとの間の摩擦力が大きくなり、媒体BLの状態によって搬送ガイド33と媒体BLとの間の摩擦力が大きくなった場合でも、搬送中のスキューや搬送ジャムの発生を防止することができる。また、搬送ベルト31を増やす必要がないため、媒体搬送装置30の構成を簡素化し、媒体搬送装置30を大型化を回避し、製造コストを下げることができる。更に、異物を搬送ベルト31の突起部31b間の隙間に移動させることにより、突起部31bと媒体BLとを確実に接触させることができる。これにより、さらに確実に、搬送中のスキューや搬送ジャムの発生を防止することができる。
【0056】
<3.変形例>
最後に、変形例に係る媒体搬送装置30について、図5を参照しながら簡単に説明する。変形例では、図5に示したように、突起部31aの先端が、搬送方向に設けられた溝31cにより分割された形状である。ここでは、2つの突起部31aの先端の中央にて周方向に溝31cが設けられている。
【0057】
変形例に係る媒体搬送装置30によっても、搬送ベルト31に設けられた突起部31aにより搬送ベルト31と媒体BLとの接触部分を増やすことができる。このため、搬送ベルト31と媒体BLとの間の摩擦力が大きくなり、媒体BLの状態によって搬送ガイド33と媒体BLとの間の摩擦力が大きくなった場合でも、搬送中のスキューや搬送ジャムの発生を防止することができる。なお、第2実施形態に係る搬送ベルト31の突起部31b(図4参照)も同様に、その先端が搬送方向に設けられた溝31cにより分割した形状であってもよい。
【0058】
以上、各実施形態及びその変形例に係る媒体搬送装置30によれば、搬送ベルト31と媒体BLとの間の摩擦力を強めて、媒体BLの搬送力を高めることが可能な媒体搬送装置30及び媒体搬送装置30を内蔵した自動取引装置10を提供することができる。
【0059】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0060】
例えば、第1及び第2実施形態では、搬送ベルト31の突起部31a、31bとガイドリブ33aとを交互に配置したが、本発明にかかる媒体搬送装置は、これに限らず、突起部31a、31bとガイドリブ33aとは、必ずしも交互に配置されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 自動取引装置
12 紙幣投入部
14 繰出部
16 鑑別部
18 一時保管部
20 返却集積部
22 排出口
24 全種別紙幣収納部
30 媒体搬送装置
31 搬送ベルト
31a 突起部
31b 突起部
32a 駆動プーリ
32b 従動プーリ
33 搬送ガイド
33a ガイドリブ
BL 媒体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラに巻き掛けられ、媒体を搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトに対向するように配置され、前記搬送ベルトとの間で媒体を把持しながら媒体を案内する搬送ガイドと、を備え、
前記搬送ベルトは、外周面から外側に向けて突出した複数の突起部を有し、
前記搬送ガイドは、前記搬送ベルト側に向けて突出した複数のガイドリブを有することを特徴とする、媒体搬送装置。
【請求項2】
前記複数の突起部の先端は、平坦であることを特徴とする、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記複数の突起部の先端の搬送方向に垂直な断面は、四角形又は台形であることを特徴とする、請求項2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記複数のガイドリブの先端は、丸く形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記複数の突起部と前記複数のガイドリブとは、搬送方向に連続して設けられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記複数のガイドリブは、搬送方向に連続して設けられ、
前記複数の突起部は、搬送方向に断続的に設けられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
前記複数の突起部の先端は、搬送方向に設けられた溝により分割されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
前記複数の突起部と前記複数のガイドリブとは、交互に突出するように配置されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項9】
前記複数の突起部と前記複数のガイドリブとの先端部は、オーバラップするように隙間を有した状態で噛み合っていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項10】
前記搬送ベルトは、前記搬送ガイドより摩擦係数が高い材質から形成されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項11】
前記搬送ベルトは、前記搬送ガイドより伸縮性の高い材質から形成されることを特徴とする、請求項10に記載の媒体搬送装置。
【請求項12】
前記搬送ベルトと媒体との接触箇所が、前記搬送ガイドと媒体との接触箇所より多くなるように前記突起部の数及び前記ガイドリブの数が設定されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の媒体搬送装置。
【請求項13】
請求項1〜12に記載の媒体搬送装置が内蔵され、前記媒体搬送装置を用いて媒体を搬送する自動取引装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−229082(P2012−229082A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97828(P2011−97828)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】