説明

孔内装置牽引ロープ誘導据置台

【課題】試錐孔に円筒形状の試錐孔ケーシングを設置する方法が提案され、このような試錐孔ケーシングを牽引誘導据置台に連携して土壌内部の状態をより容易に観察および測定するための技術が求められている実情にある。
【解決手段】本発明は、その端部に各種原位置物性の測定、孔内を観察するための測定器具であるゾンデが設置され、巻き上げ機に巻き取られた牽引ロープをケーシングが設置された試錐孔の上端に引き入れたり引き出したりするための牽引ロープ誘導据置台であって、前記牽引ロープが設置されるための一対のローラと、前記一対のローラを固定させるための固定片がその両端部にそれぞれ備えられる移動部材とを含む牽引ロープ誘導本体;および前記試錐孔ケーシングに設置される前記移動部材の下部に設置される固定部材と、前記固定部材の下部に備えられる締結部材とを含む据置本体;を含んで構成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牽引ロープ誘導据置台に関し、より詳しくは、地下構造、地質状態、または土壌状態などを探査、観察、および調査するための測定器具であるゾンデ(Sonde)が連結された牽引ロープを、試錐孔(Borehole)のような孔を介して地下に引き入れたり引出したりするための孔内装置牽引ロープ誘導据置台に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、地下構造、地質状態、または土壌状態など地層内部の様々な情報を得るためには、地下内部にゾンデのような測定器具を引き入れたり引き出したりして、それぞれの深度で探査または測定作業を行う。このとき、前記測定器具は牽引ロープに連結し、この牽引ロープは、巻き上げ装置(winch)および牽引ロープ誘導据置台によって前記測定器具を試錐孔内部に引き入れたり引き出したりするようになる。
【0003】
このように、牽引ロープ誘導据置台を介して試錐孔内に様々な調査用測定器具または実験用装置などを挿入させることができるため、地殻内部の構造や状況を調査することができるだけでなく、その他にも発電所のダム工事や建物の基礎調査などの用途としても用いられる。
【0004】
上述したような牽引ロープ誘導据置台は、図1に示すようにバー形状で形成され、その一側端部が相互交差するように設置される各支持部材101a、101b、101cと、前記各支持部材101a、101b、101cの交差部位に設置されて巻き上げ機(Winch:図示せず)に巻き取られる牽引ロープ105が位置するローラ103とを含んで構成される。
【0005】
このような牽引ロープ誘導据置台100は、観察および調査のための土壌に試錐装置などを介して試錐孔(図示せず)を形成し、前記試錐孔(図示せず)に近接する一側に複数の支持部材101a、101b、101cを相互交差するように設置した後、前記各支持部材の交差部位にローラ103を設置した後、前記ローラ103に牽引ロープ105を位置させることによって設置が完了する。
【0006】
このとき、前記ローラ103に位置する牽引ロープ105の端部、すなわち前記試錐孔(図示せず)に投入される牽引ロープ105の端部には、ゾンデ(Sonde)109などの測定器具が設置される。
【0007】
このように設置が完了した牽引ロープ誘導据置台100を介して、地上に位置する作業者または観察者が巻き上げ機(図示せず)を介して牽引ロープ105の端部に備えられるゾンデ109を試錐孔(図示せず)の内部に引き入れて、土壌内部の状態を観察および測定する。
【0008】
しかしながら、上述したような牽引ロープ誘導据置台は、作業者または観察者が試錐孔の一側地上に支持部材を交差および重なるように設置した後にローラを設置することによって、ローラの固定および支持が困難なだけでなく、土壌の高低が異なって地表の屈曲が大きい場合、支持部材の安定的な設置が困難であるという問題点があった。
【0009】
これにより、地上に設置された支持部材の損傷によるローラの離脱と牽引ロープの離脱、および牽引ロープの端部に設置されるゾンデの破損など、牽引ロープ誘導据置台を介して土壌内部を観察および測定するための本然の目的を達成することは困難であるという問題点があった。
【0010】
一方、牽引ロープに設置されたゾンデを介して土壌の内部を観察および測定するために試錐装置などで形成する試錐孔は、土砂の崩れまたはその他の状況によって塞がる場合が生じる。
【0011】
上述したような問題点を解決するために、試錐孔に円筒形状の試錐孔ケーシングを設置する方法が提案され、このような試錐孔ケーシングを牽引誘導据置台に連携して土壌内部の状態をより容易に観察および測定するための技術が求められている実情にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−111227
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記のような問題点を解決するために案出されたものであって、試錐孔(Borehole)の試錐孔ケーシングに加圧部材で設置が容易であり、設置後に牽引ロープ誘導本体の距離調節が可能であり、牽引ロープに備えられるゾンデ(Sonde)のような測定装置を試錐孔の中心部に位置させることができ、これによって土壌内部の状態を観察および測定することが容易な孔内装置牽引ロープ誘導据置台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記した目的を達成するために、本発明は、その端部に土壌内部の状態を観察および測定するためのゾンデのような測定装置が設置され、巻き上げ機に巻き取られる牽引ロープを試錐孔ケーシングが設置される試錐孔に引き入れたり引き出したりするための牽引ロープ誘導据置台であって、
前記牽引ロープが設置されるための一対のローラと、前記一対のローラを固定させるための固定片がその両端部にそれぞれ備えられる移動部材とを含む牽引ロープ誘導本体;および
前記試錐孔ケーシングに設置され、前記移動部材の下部に設置される固定部材と、前記固定部材の下部に備えられる締結部材とを含む据置本体;
を含んで構成されることを特徴とする。
【0015】
ここにおいて、前記移動部材の一側面にスロット形状で形成される、少なくとも1つ以上の距離調節孔が貫通形成される。
このとき、前記固定部材は、前記移動部材の各距離調節孔に固定ボルトと固定ナットでそれぞれ連結および固定される。
【0016】
一方、前記固定ボルトと固定ナットの締結設定および解除により、前記据置本体を中心として牽引ロープ誘導本体が前/後進移動可能に形成される。
ここにおいて、前記締結部材は、回転によって前/後進移動する加圧部材と、前記加圧部材の前進時にその端部が接触する締結板を含んで構成される。
さらに、前記牽引ロープ誘導本体の各固定片の長さが可変可能に形成される。
【発明の効果】
【0017】
以上で説明したように、上記のような構成を有する本発明は、試錐孔(Borehole)の試錐孔ケーシングに加圧部材を介した据置本体の設置が容易であり、牽引ロープが設置される牽引ロープ誘導本体が据置本体を中心として前/後進移動して距離の調節が可能になることにより、試錐孔の大きさに関係なく牽引ロープに備えられるゾンデ(Sonde)のような測定装置を試錐孔の中心部に位置させることが容易であり、これによって地下内部の状況を観察および測定することが容易なだけでなく、設置および除去が簡単かつ容易であるなどの効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一般的な牽引ロープ誘導据置台が設置された様子を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明に係る孔内装置牽引ロープ誘導据置台を概略的に示す正面斜視図である。
【図3】本発明に係る孔内装置牽引ロープ誘導据置台を概略的に示す背面斜視図である。
【図4】本発明に係る孔内装置牽引ロープ誘導据置台を概略的に示す側面図である。
【図5】本発明に係る孔内装置牽引ロープ誘導据置台の位置調整を概略的に示す斜視図である。
【図6】本発明に係る孔内装置牽引ロープ誘導据置台が設置された様子を概略的に示す斜視図である。
【図7】本発明に係る孔内装置牽引ロープ誘導据置台の他の実施形態を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施のための具体的な内容である実施形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。また、本実施形態は、本発明の権利範囲を限定するものではなく単に一例として提示されたものであり、その技術的要旨を逸脱しない範囲内で多様な変更が可能である。
【0020】
図2は、本発明に係る孔内装置牽引ロープ誘導据置台を概略的に示す正面斜視図であり、図3は、本発明に係る孔内装置牽引ロープ誘導据置台を概略的に示す背面斜視図であり、図4は、本発明に係る孔内装置牽引ロープ誘導据置台を概略的に示す側面図であり、図5は、本発明に係る孔内装置牽引ロープ誘導据置台の位置調整を概略的に示す斜視図であり、図6は、本発明に係る孔内装置牽引ロープ誘導据置台が設置された様子を概略的に示す斜視図である。
【0021】
図に示すように、本発明に係る孔内装置牽引ロープ誘導据置台1は、牽引ロープ誘導本体10と、据置本体30とを含んで構成される。
【0022】
前記牽引ロープ誘導本体10は、地上に設置される巻き上げ機(Winch:図示せず)に巻き取られる牽引ロープ3を地下内部に引き入れたり引き出したりするための一対のローラ11、11'と、前記一対のローラ11、11'を固定させるための固定片14、14'がその両端部にそれぞれ備えられる「L」字形状の移動部材13と、前記移動部材13の一側面にスロット形状で貫通形成され、少なくとも1つ以上で備えられる距離調節孔16、16'とを含んで構成される。
ここにおいて、前記各ローラ11、11'と各距離調節孔16、16'は、前記移動部材13の長手方向にそれぞれ備えられる。
【0023】
上述したような構造および形態により、前記牽引ロープ誘導本体10は、巻き上げ機に巻き取される牽引ロープ3を地下内部に引き入れたり引き出したりすることを容易に実行し、前記牽引ロープ3の端部に設置される測定器であるゾンデ(Sonde)7を介して作業者または観察者が地下内部の状態をモニタリングする。
【0024】
このとき、前記ゾンデ7を介して作業者または観察者が地下内部の状態をモニタリングするために、前記牽引ロープ3は、電気および信号送受信ケーブル(図示せず)を含んで構成されることが好ましい。
【0025】
前記据置本体30は、試錐装置(図示せず)によって試錐された試錐孔(Borehole:図示せず)の入口側に設置される円筒形状の試錐孔ケーシング5に設置されるためのものである。
【0026】
このために、前記据置本体30は、牽引ロープ誘導本体10の移動部材13の下部に設置されるために「ト」字形状で形成される固定部材31と、前記固定部材31の下部に備えられる締結部材35とを含んで構成される。
【0027】
ここにおいて、前記固定部材31は、前記牽引ロープ誘導本体10の移動部材13に固定ボルト33、33'で連結および固定され、前記固定ボルト33、33'は、移動部材13に長手方向にそれぞれ貫通形成される距離調節孔16、16'に固定ナット32、32'でそれぞれ結合される。
【0028】
このとき、前記固定ボルト33、33'の締結設定および締結解除により、前記固定部材31で移動部材13を前/後進移動させたり、前/後進移動した移動部材13を固定させることができる。
【0029】
すなわち、前記各距離調節孔16、16'に結合された各固定ボルト33、33'を固定ナット32、32'でその締結を一部解除した後、前記固定部材31上で移動部材13を前/後進移動させ、前記移動部材13を前/後進して一定の位置に位置させた後、前記各距離調節孔16、16'に結合された各固定ボルト33、33'の締結を設定し、前記固定部材31を中心として移動部材13の位置を移動および固定させることによって、据置本体30を中心として牽引ロープ誘導本体10を前/後進移動させることができる。
【0030】
このとき、前記締結部材35は、前記固定部材31の下部に備えられるものの、回転によって前/後進移動する加圧部材36と、前記加圧部材36の前進時にその端部に接触する締結板37とを含んで構成される。
【0031】
以下、本発明に係る孔内装置牽引ロープ誘導据置台1の設置過程および動作過程について、図6を参照しながら説明する。
まず、地下内部の状態を観察および調査するための特定場所の地上において、試錐装置を介して試錐孔(Borehole:図示せず)のような孔を形成する。
【0032】
このように地下の状態を観察および調査するために土壌に試錐孔を形成した後、前記試錐孔の入口側に土砂の崩れまたは崩壊によって塞がることを防ぐための円筒形状の試錐孔ケーシング5を設置する。
【0033】
上述したように、前記試錐孔の入口側に試錐孔ケーシング5を設置した後、前記試錐孔ケーシング5の周縁部に本発明に係る孔内装置牽引ロープ誘導据置台1を設置する。
【0034】
すなわち、前記孔内装置牽引ロープ誘導据置台1の締結部材35の加圧部材36と締結板37を一定の間隔で形成した後、前記締結部材35を試錐孔ケーシング5の周縁部に位置させた後、前記締結部材35の加圧部材36を回転させて前記締結板37側に向かって前進させ、前記孔内装置牽引ロープ誘導据置台1を試錐孔ケーシング5に設置する。
【0035】
その次、地上の巻き上げ機(Winch:図示せず)に巻き取られる牽引ロープ3を、前記孔内装置牽引ロープ誘導据置台1に長手方向にそれぞれ備えられる一対のローラ11、11'に設置する。
【0036】
このとき、前記巻き上げ機に巻き取られ、試錐孔ケーシング5を介して土壌の内部に引き入れられる牽引ロープ3の端部には、地下の状態を観察および調査するための測定器具であるゾンデ(Sonde)7が設置される。
【0037】
一方、前記孔内装置牽引ロープ誘導据置台1を試錐孔ケーシング5に設置するとき、前記孔内装置牽引ロープ誘導据置台1に設置される牽引ロープ3の端部のゾンデ7の位置を試錐孔ケーシング5の中心部に位置させる場合、前記牽引ロープ誘導本体10と据置本体30を連結および固定させ、前記牽引ロープ誘導本体10の移動部材13の各距離調節孔16、16'に結合された各固定ボルト33、33'と固定ナット32、32'との結合を解除した後、牽引ロープ誘導本体10の位置を据置本体30の長手方向に前進または後進させ、前記一対のローラ11、11'を介して土壌内部に引き入れられる牽引ロープ3のゾンデ7の位置を試錐孔ケーシング5の中心に位置させる。
【0038】
上述したように、前記据置本体30を中心として牽引ロープ誘導本体10の位置を調整することができるため、牽引ロープ3の端部に設置されたゾンデ7の位置を試錐孔ケーシング5上で多様に変更することができる。
【0039】
このように、前記孔内装置牽引ロープ誘導据置台1を試錐孔ケーシング5に設置すると同時に、前記孔内装置牽引ロープ誘導据置台1にゾンデ7が設置された牽引ロープ3を設置した後、地上に位置する作業者または観察者が巻き上げ機を作動させて牽引ロープ3の端部に設置されたゾンデ7を土壌内部に引き入れ、地下内部を探査して地下の状態を観察および調査する。
【0040】
このとき、前記ゾンデ7を介して観察および調査された地下内部の状態を、牽引ロープ3に内蔵または別途で設置されるケーブルを介して地上でモニタリングする。
【0041】
一方、図7に示すように、前記孔内装置牽引ロープ誘導据置台1の牽引ロープ誘導本体10の両端部にそれぞれ備えられる固定片14、14'のうちのいずれか1つの固定片14'の長さを異にすると同時に、各ローラ11、11'の位置を異にして巻き上げ機(Winch)に巻き取られる牽引ロープ3を傾くように位置させることにより、試錐孔内部にゾンデ7を引き入れたり引き出したりすることが容易なように形成することも好ましい。
【0042】
本発明は、特定の実施形態に関して図示および説明したが、添付の特許請求の範囲によって示された発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で多様な改造および変更が可能であることを、当業界において通常の知識を有する者であれば誰でも容易に理解することができるであろう。
【符号の説明】
【0043】
1:孔内装置牽引ロープ誘導据置台
3:牽引ロープ
5:試錐孔ケーシング
7:ゾンデ
10:牽引ロープ誘導本体
11、11':ローラ
13:移動部材
14、14':固定片
16、16':距離調節孔
30:据置本体
31:固定部材
32、32':固定ナット
33、33':固定ボルト
35:締結部材
36:加圧部材
37:締結板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に地下内部の状態を観察および測定するためのゾンデが設置され、巻き上げ機に巻き取られる牽引ロープを試錐孔ケーシングが設置される試錐孔に引き入れたり引き出したりするための牽引ロープ誘導据置台であって、
前記牽引ロープが設置されるための一対のローラと、前記一対のローラを固定させるための固定片がその両端部にそれぞれ備えられる移動部材とを含む牽引ロープ誘導本体;および
前記試錐孔ケーシングに設置され、前記移動部材の下部に設置される固定部材と、前記固定部材の下部に備えられる締結部材とを含む据置本体;
を含んで構成されることを特徴とする孔内装置牽引ロープ誘導据置台。
【請求項2】
前記移動部材の一側面にスロット形状で形成される、少なくとも1つ以上の距離調節孔が貫通形成されることを特徴とする、請求項1に記載の孔内装置牽引ロープ誘導据置台。
【請求項3】
前記固定部材は、前記移動部材の各距離調節孔に固定ボルトと固定ナットでそれぞれ連結および固定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の孔内装置牽引ロープ誘導据置台。
【請求項4】
前記固定ボルトと固定ナットの締結設定および解除により、前記据置本体を中心として牽引ロープ誘導本体が前/後進移動可能に形成されることを特徴とする、請求項3に記載の孔内装置牽引ロープ誘導据置台。
【請求項5】
前記締結部材は、回転によって前/後進移動する加圧部材と、前記加圧部材の前進時にその端部が接触する締結板とを含んで構成されることを特徴とする、請求項2に記載の孔内装置牽引ロープ誘導据置台。
【請求項6】
前記牽引ロープ誘導本体の各固定片の長さが可変可能に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の孔内装置牽引ロープ誘導据置台。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−144508(P2010−144508A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286802(P2009−286802)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(506390177)韓国地質資源研究院 (2)