説明

孔版印刷システム

【課題】メイキャップ機能を、マルチカラー印刷、バリアブル印刷に利用できる孔版印刷システムを提供する。
【解決手段】コマンドシートに特定のエリアを指定し、光学的に読取った画像データからデータを抽出し、指定されたエリア内に記載された文字をテキストデータ化し、解析し、解析されたコマンドシートデータに従い、画像形成時に当該機能や処理を実行可能に準備立て、製版・印刷させた場合の予測表示などを行い、解析されたコマンドシートデータに従い、各々のマーカ指定エリアに各々に特化された機能や処理を割付け、操作者の同意がなされた時、画像形成を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、孔版ユニットと、インクジェットユニットとを有する孔版印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式やインクジェット方式の複写機(PPC:Plain Paper Copier)や複合機能プリンタ(MFP:Multi Function Product)と異なり、版を使う孔版印刷装置において、一度の製版及び印刷でバリアブル印刷やマルチカラー印刷を行うことは、原理的に不可能であるため、一般に単色孔版印刷装置の連結(あるいはマルチドラム型の孔版印刷装置)やインクジェット方式など異種作像エンジンとのハイブリッド型孔版印刷装置等が考えられてきた。
【0003】
この印刷装置は、熱可塑性フィルムからなり潜像が形成されたマスタを、インキが充填された印刷ドラムに装填し、印刷ドラムを回転させ、給紙された用紙と圧接させることにより、用紙に可視画像を形成する孔版ユニットと、ライン状に配置された複数のノズルから、インクを吐出することにより、用紙に可視画像を形成するインクジェットユニットと、を有するハイブリッド型の装置である(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0004】
特許文献1記載の発明は、赤の印刷ドラムが装着された孔版印刷装置と黒の印刷ドラムが装着された孔版印刷装置DDとを連結し、コマンドシートによって特定エリアを指定し、エリア内を赤、エリア外を黒で製版・印刷する構成を有している。
【0005】
特許文献2記載の発明は、通常の孔版印刷装置の下流にインクジェットユニットを設け、封書の表書き印刷における宛名部分のようなバリアブル画像エリアは、インクジェットユニットによる印刷を行い、差出人部分のような共通画像エリア(固定画像エリア)は、孔版印刷によって印刷を行う、という構成を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、同時に画像形成可能なマルチカラー印刷の指定は、エリア内とエリア外の2色に限定される。仮に、連結される孔版印刷装置の数を2台から3台に増やしたとしても、3台目(3色目)の画像形成に関する指定方法が存在しないため、予め別途製版された画像を追加印刷していくようなスタンプ印刷程度しかできない。
もし、3色以上のマルチカラー印刷を行うのであれば、一度2色分の製版・印刷を行った後、印刷済み用紙を再び給紙台にセットし、さらに異なる色合いの印刷ドラムと入れ替えた後、製版・印刷を行って、重ね刷りをするという、いわゆるバッチ印刷処理を繰り返さなければならない。そして何よりこのような構造・方法では、バリアブル印刷に対応することができない。
【0007】
また、特許文献2記載の技術では、ハイブリッド型孔版印刷装置の特徴を生かし、封書の表書きに代表されるようなバリアブル印刷が可能であるものの、バリアブル画像エリアや共通画像エリアの指定やそれらに関わる印刷データとの関連づけについては、エリアに関して自動的に割り当てたり、PC(Personal Computer)から送られたりする等の旨の記述、印刷データに関しては、PCから随時送られたり、孔版印刷装置内の可変データ記録メモリのものを使うなどの旨の記述しかなされておらず、具体的な仕組みや内容が明らかになっていない。そして何より、インクジェットユニットを内蔵したハイブリッド型であるにもかかわらず、その最たる特徴であるマルチカラー印刷についてなんら言及されていない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、メイキャップ機能を、マルチカラー印刷、バリアブル印刷に利用できる孔版印刷システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、熱可塑性フィルムからなり潜像が形成されたマスタを、インキが充填された印刷ドラムに装填し、前記印刷ドラムを回転させ、給紙された用紙と圧接させることにより、前記用紙に可視画像を形成する孔版ユニットと、ライン状に配置された複数のノズルから、インクを吐出することにより、前記用紙に可視画像を形成するインクジェットユニットと、を有するハイブリッド型の孔版印刷装置において、コマンドシートに、孔版印刷装置が認識可能なマーカにより特定のエリアを指定するエリア指定手段と、前記コマンドシートを光学的に読取るコマンドシート読取り手段と、前記コマンドシート読取り手段により読取った画像データからデータを抽出し、指定されたエリア内に文字が記述されている場合、当該記載された文字をテキストデータ化し、当該記述された文字の意味を解析する、コマンドシートデータ解析手段と、解析されたコマンドシートデータに従い、画像形成時に当該機能や処理を実行可能に準備立てる個別機能処理割付け手段と、前記コマンドシートを利用して製版・印刷させた場合の結果の予測表示などを行う画像表示手段と、解析されたコマンドシートデータに従い、個別機能処理割付け手段によって、各々のマーカ指定エリアに各々に特化された機能や処理を割付け、画像形成時に当該機能や処理を実現可能に準備立て、さらに画像表示手段によって、コマンドシートを利用したマーカ指定エリア毎の機能や処理を施して製版・印刷した場合の結果の予測表示をさせ、操作者の同意がなされた時、当該ハイブリッド孔版印刷装置によって画像形成を行うように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記コマンドシートを利用したマーカ指定エリア毎の機能や処理の可否、当該機能や処理を行うために必要な各種情報の指定を行う機能処理指定手段を有することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記制御手段は、製版・印刷を行う原稿を読込むに先立ち、マーカにより原稿上の特定エリアに対応したエリアが書込み指定されたコマンドシートを、コマンドシート読取り手段により読込み、読取った画像データから、コマンドシートデータ解析手段により、前記指定されたエリアの位置、サイズ、マーカ色のデータを抽出し、また、前記指定されたエリア内に文字が記載されている場合、当該記載された文字をテキストデータ化し、当該記載された文字の意味を解析することを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1から3の何れか一項記載の発明において、前記個別機能処理割付け手段により割付けられる機能や処理は、メイキャップ処理、バリアブル印刷処理、マルチカラー印刷処理、の少なくとも一つが含まれることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1から4の何れか一項記載の発明において、マーカ指定エリア内に、当該指定エリアに関する機能処理を指定する文字が記述されていない場合、当該指定エリアに対して、当該孔版印刷システムを構成するユニットの種類から規定される、デフォルトの機能処理割付けが行われることを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1から4の何れか一項記載の発明において、マーカ指定エリアに割付けられた機能処理が、マルチカラー印刷の場合であって、当該指定エリア内にカラー属性を指定するための文字が記述されている場合、当該指定エリアを指定するために当該文字指定による色合いで、原稿の対応指定エリアの描画要素が形成されることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項1から6の何れか一項の発明において、マーカ指定エリアに割付けられた機能処理が、バリアブル印刷の場合であって、当該バリアブル印刷用データが、電子ファイルの形態で提供され、かつ、当該電子ファイル名もしくはその識別IDが、当該指定エリア内で文字記述指定されることを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の発明において、前記バリアブル印刷に供されるバリアブル印刷用データは、携帯型外部記憶装置と当該孔版印刷システム内部の記憶装置との間で転送及び保存が可能であることを特徴とする。
【0017】
請求項9記載の発明は、請求項7または8記載の発明において、マーカ指定エリアに割付けられた機能処理が、バリアブル印刷の場合であって、当該バリアブル印刷に関わる指定が、当該孔版印刷システムのタッチパネルで指定される場合と、指定エリア内で文字記述指定される場合、前記指定エリア内で文字記述指定される場合を優先することを特徴とする。
【0018】
請求項10記載の発明は、請求項1から4の何れか一項記載の発明において、マーカ指定エリアに割付けられた機能処理が、バリアブル印刷の場合であって、当該バリアブル印刷用データが、当該指定エリア内で直接記述指定されることを特徴とする。
【0019】
請求項11記載の発明は、請求項1から4の何れか一項記載の発明において、マーカ指定エリアに割付けられた機能処理が、バリアブル印刷の場合であって、当該バリアブル印刷用データが序列を表すデータであって、かつ、その記述指定が当該指定エリア内で直接記述指定される場合、その記述指定において、初期値/ステップ値/終値のうち少なくとも1つ含むことを特徴とする。
【0020】
請求項12記載の発明は、請求項1から11の何れか一項記載の発明において、前記コマンドシート上に、マーカ指定エリアが複数存在し、かつ、当該マーカ指定エリアが重複部分を形成している場合、当該マーカ指定エリアの重複部分については、各々のマーカ指定エリアに割付けられた機能処理を重畳的に施すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、メイキャップ機能を、マルチカラー印刷、バリアブル印刷に利用できる孔版印刷システムの提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る孔版印刷システムのブロック図の一例である。
【図2】(a)は、本発明に係る孔版印刷システムを構成する孔版印刷装置の一例を示す概念図であり、(b)は、(a)に示した孔版印刷装置の操作部の拡大図である。
【図3】図2に示した孔版印刷装置100に用いられる制御部20のブロック図の一例である。
【図4】実施の形態1に係る孔版印刷装置の動作時にタッチパネルに表示されるメニュー画面の一例を示す図である。
【図5】実施の形態1に係る孔版印刷装置の動作時にタッチパネルに表示されるメニュー画面の他の一例を示す図である。
【図6】実施の形態1に係る孔版印刷装置の動作時にタッチパネルに表示されるメニュー画面の他の一例を示す図である。
【図7】実施の形態1に係る孔版印刷装置の動作時にタッチパネルに表示されるメニュー画面の他の一例を示す図である。
【図8】(a)〜(c)は、実施の形態1に係る、原稿、コマンドシート、最終印刷物の一例である。
【図9】実施の形態1に係る孔版印刷システムの動作を説明するための処理の流れ図の一例である。
【図10】実施の形態1に係る孔版印刷装置の動作時にタッチパネルに表示されるメニュー画面の一例を示す図である。
【図11】実施の形態2に係る孔版印刷装置の動作時にタッチパネルに表示されるメニュー画面の一例を示す図である。
【図12】(a)〜(c)は、実施の形態2に係る、原稿、コマンドシート、最終印刷物の一例である。
【図13】、孔版印刷装置の外装と一体化して設けられた電子ペーパーへの最終印刷物の画像イメージを表示させた一例を示す図である。
【図14】実施の形態3に係る孔版印刷装置の動作時にタッチパネルに表示されるメニュー画面の一例を示す図である。
【図15】バリアブル印刷用データの内容の一例を示す図である。
【図16】(a)〜(c)は、実施の形態3に係る、原稿、コマンドシート、最終印刷物の一例である。
【図17】実施の形態4に係る孔版印刷装置の動作時にタッチパネルに表示されるメニュー画面の一例を示す図である。
【図18】実施の形態4に係る、コマンドシートの一例である。
【図19】実施の形態4に係る孔版印刷システムの動作を説明するための処理の流れ図の一例である。
【図20】実施の形態5に係る孔版印刷装置の動作時にタッチパネルに表示されるメニュー画面の一例を示す図である。
【図21】実施の形態5に係るコマンドシートの一例である。
【図22】(a)〜(d)は、実施の形態6に係る、原稿、コマンドシート、最終印刷物の一例である。
【図23】(a)〜(c)は、実施の形態7に係る孔版印刷装置の動作時にタッチパネルに表示されるメニュー画面の一例を示す図である。
【図24】(a)〜(c)は、実施の形態7に係る、原稿、コマンドシート、最終印刷物の一例である。
【図25】(a)〜(d)は、実施の形態8に係る、原稿、コマンドシート、最終印刷物、スクラッチの一例である。
【図26】実施の形態8に係る孔版印刷装置の動作時に孔版印刷装置に外装された電子ペーパーに表示される最終印刷物表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る孔版印刷システムの実施形態について図面を用いて順に説明する。
各実施形態において、実施の形態1と同一の機能を有する構成要素には、実施の形態1と同一の符号を付し、実施の形態2以降での重複説明は極力省略する。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る孔版印刷システムのブロック図の一例である。
図1に示す孔版印刷システム1は、エリア指定手段2と、孔版印刷装置100とを有する。
エリア指定手段2は、エリア指定シートと呼ばれる毎葉紙等のシート状媒体に、孔版印刷装置100が認識可能なマーカにより、少なくとも1個の囲み線や対角線等を書込むことにより、特定のエリア(領域)を指定する手段である。
【0025】
孔版印刷装置100は、孔版方式画像形成ユニットと、インクジェット方式画像形成ユニットと、から構成される、いわゆるハイブリッド型の孔版印刷装置である。
【0026】
孔版方式画像形成ユニットは、熱可塑性フィルム(例えば、ポリイミドフィルム)からなるマスタに熱穿孔プロセスを用いて潜像を形成し、潜像が形成されたマスタを、インキが充填された印刷ドラムに装填し、マスタが装填された印刷ドラムを回転させ、給紙された用紙と圧接させることにより、用紙に可視画像を形成するユニットである。
インクジェット方式画像形成ユニットは、ライン状に配置された複数の微細なノズルから、液状インクもしくはゲル状インクを吐出することにより、給紙された用紙に可視画像を形成するユニットである。
【0027】
この孔版印刷装置100は、コマンドシート読取り手段3と、タッチパネル115と、画像表示手段7と、制御手段8とを有する。
制御手段8は、個別機能割り付け手段5と、コマンドシートデータ解析手段4とを有する。タッチパネル115は、機能処理指定手段6を有する。
【0028】
コマンド読取り手段3は、コマンドシート15を光学的に走査して読取る手段である。
画像表示手段7は、コマンドシートを利用したマーカ指定エリア毎の機能や処理を施して画像形成させた場合の結果の予測表示などを行う手段である。
タッチパネル115は、コマンドシートを利用したマーカ指定エリア毎の機能や処理を行うか否かの判断、当該機能や処理を行うために必要なパラメータやデータなどの各種情報の指定、または、マーカもしくはエリア内に記述された文字と当該機能や処理との関連づけ、などの指定を行うための装置である。
【0029】
コマンドシートデータ解析手段4は、コマンドシート読取り手段3により読取った画像データから、指定されたエリアの位置、サイズ、マーカ色のデータを抽出し、指定されたエリア内に命令、識別コード又は指定項目等を意図した文字が記述されている場合、記載された文字をOCR(Optical Character Reader)などによってテキストデータ化し、記述された文字の意味を解析する手段である。
【0030】
個別機能処理割付け手段5は、コマンドシートデータ解析手段4により解析されたコマンドシートデータに従い、各々のマーカ指定エリア毎に各々に特化された機能や処理を割付け、画像形成時に当該機能や処理を実行可能に準備立てる手段である。
制御手段8は、製版・印刷を行う原稿を読込むに先立ち、マーカにより原稿上の特定エリアに対応したエリアが書込み指定されたコマンドシートを、コマンドシート読取り手段により読込み、読取った画像データから、コマンドシートデータ解析手段により、前記指定されたエリアの位置、サイズ、マーカ色のデータを抽出する手段である。
【0031】
また、制御手段8は、指定されたエリア内に文字が記載されている場合、当該記載された文字をOCRなどによってテキストデータ化し、当該記載された文字の意味を解析し、解析されたコマンドシートデータに従い、個別機能処理割付け手段によって、各々のマーカ指定エリアに各々に特化された機能や処理を割付け、画像形成時に当該機能や処理を実現可能に準備立てる。
さらに、制御手段8は、画像表示手段によって、コマンドシートを利用したマーカ指定エリア毎の機能や処理を施して製版・印刷した場合の結果の予測表示をさせ、操作者の同意がなされた時、当該ハイブリッド孔版印刷装置によって画像形成を行うように制御する手段である。
【0032】
図2(a)、(b)を参照して、孔版印刷システム1を構成する孔版印刷装置100の基本構成について説明する。
図2(a)は、本発明に係る孔版印刷システムを構成する孔版印刷装置の一例を示す概念図であり、図2(b)は、図2(a)に示した孔版印刷装置の操作部の拡大図である。
【0033】
孔版印刷装置100は、装置本体の内部に、マスタ107が外周面に巻着される印刷ドラム101と、印圧手段となるプレスローラ102と、製版装置となるプロッタ103と、排版手段104とを備えている。
【0034】
孔版印刷装置100の本体の右側に配置された給紙手段105から給紙される記録紙106をプレスローラ102で印刷ドラム101に押し当てることにより、巻着されたマスタ107の画像を記録紙106に転写する。孔版印刷装置100は、片面印刷の場合、画像転写された記録紙106を搬送手段108で装置本体の左側に配置された排紙手段109へと搬送し、両面印刷の場合、片面の印刷が終了した記録紙を、切替え部材121により再給紙手段122に導き、再び給紙させることにより裏面に印刷を行う周知の構成を有する。
【0035】
さらに、当該孔版方式による画像形成経路中(用紙搬送経路中)には、インクジェットユニット150が配置されている。
装置本体の上部には、画像読取手段となる(カラー)スキャナ110が配置されていて、原稿画像を読取り、製版に用いる画像データを取得している。
装置本体の上部正面には、孔版印刷装置100の操作部となる操作パネル111が配設されている。操作パネル111には、印刷や製版の切替えキー113、スタートキー114、表示部となる115、初期設定/プリンタ設定キー116、印刷位置調整キー117、プリントスピード設定キー118などが配備されている。
【0036】
表示部115は、LCDのタッチパネルで構成されており、その画面には、各種案内情報や各種操作画面が適宜表示され、操作画面が、ユーザあるいは装置操作者によって操作されると、各画面に表示されたスイッチに対応した内容が制御手段20や孔版印刷装置100に設定される。
【0037】
装置本体内には、孔版印刷装置100の各部を制御する制御部20が配設されている。
図3は、図2に示した孔版印刷装置100に用いられる制御部20のブロック図の一例である。
制御部20は、図3に示すように、実装基板となるACU200(Application Control Unit)と、ECU300(Engine Control Unit)の二つに分かれている。
【0038】
ACU200は、ASIC220(Application Specific lntegrated Circuit)を有し、ASIC220に操作パネル用インターフェース205、インターフェース(SD I/F 206、USB I/F 209)、インターフェース208、ネットワークインターフェースカード(NIC)202通信インターフェース(NIC I/F 212、無線LAN I/F 214)、I/Oインターフェース221、FAXインターフェース222、ECUインターフェース215、中央演算回路となるCPU216、記憶手段となるRAM217及びROM218が接続されている。
【0039】
操作パネル用インターフェース205には孔版印刷装置の操作パネル(タッチパネル)111が接続されている。インターフェース(SD I/F 206、USB I/F 209)には、携帯型大容量記憶メディアであるSDメモリーカード201やUSBメモリ203などが接続されている。インターフェース208には、大容量記憶装置となるハードディスクドライブ(以下「HDD」と称す)207が接続されている。ネットワークインターフェースカード(NIC)202は、パーソナルコンピュータなどの情報端末に対し、LAN(Local Area Network)やインターネットなどのネットワークを介してアクセスするためのインターフェースである。
【0040】
通信インターフェース(NIC I/F 212、無線LAN I/F 214)は、無線LANカードを接続するためのインターフェースである。I/Oインターフェース221は、無給電画像表示装置である電子ペーパー400を接続するためのインターフェースである。FAXインターフェース222は、FAXモジュールを接続するためのインターフェースである。ECUインターフェース215にはECU300側が接続される。
【0041】
ACU200は、孔版印刷装置の製版/蓄積の制御等を行い、スキャナあるいはネットワーク経由で転送されてくる文書を蓄積文書としてHDDに蓄積したり、スキャナあるいはHDDに蓄積された蓄積文書あるいはネットワーク経由で転送された文書データから、最終的に製版データを作成したのち、ECU300に転送したりする働きを受け持ち、本発明の機能は主にこのACU200に属する。
【0042】
ECU300は、中央演算回路となるCPU321、記憶手段となるRAM322とROM323、ACU200が有するECUインターフェース215と接続されるACUインターフェース324、スキャナ110が接続されるスキャナインターフェース326、画像の像域分離や各種画像補正を行うIPP(Image Pre−Processor)325、プロッタ103が接続されるプロッタインターフェース328、インクジェットユニット150が接続されるインクジェットインターフェース151がそれぞれASIC329に接続されている。
【0043】
ECU300は、ACU200により作成された製版データをもとに、プロッタ103により、周知の孔版原紙となるマスタの感熱孔版フィルム119に、熱的プロセスによって穿孔を行うことにより、製版済みのマスタを作成する。この製版済みのマスタ107を印刷ドラム101となる版胴の外周面に巻装し、印刷ドラム101の内部に設置されたインキパック120からインキを供給しながら印刷ドラム101を回転させ、それに呼応させるように記録紙(印刷用紙)106を給紙することにより、印刷成果物(印刷物)を得る、という一連のデジタル式の孔版印刷装置の製版から印刷に至る動作全般を制御するとともに、ACU200により作成された画像データを、インクジェットモジュールに送り込み、孔版方式による画像形成と呼応させながら、インクジェット方式による画像形成をなすように制御するものである。
【0044】
尚、当該ハイブリッド孔版印刷装置を構成するインクジェットユニットは、主走査方向長の画像形成を1つのインクジェットヘッドで実行することができ、ヘッドが固定されたいわゆるフルライン型ヘッドであっても、インクジェットヘッド長が主走査方向長よりも短く、当該ヘッドを主走査方向に走査することにより、主走査方向長の画像形成を行ういわゆるシャトル型ヘッドであってもよい。
【0045】
また、本体となる孔版印刷装置としては、片面印刷装置や両面印刷装置の何れであってもよいが、本実施形態では、両面印刷装置としている。但し、本実施形態で説明するコマンドシートによる機能処理を割付ける実施形態は、基本的な動きを重点的に説明するため、片面読取り、片面印刷をベースとしたものに限定している。
【0046】
まず、孔版印刷装置本体のタッチパネルにおいて、図4〜図7に示されるような原稿編集動作に関する各種設定が予めなされているものとする。
図4は、実施の形態1に係る孔版印刷装置の動作時にタッチパネルに表示されるメニュー画面の一例を示す図である。
図5は、実施の形態1に係る孔版印刷装置の動作時にタッチパネルに表示されるメニュー画面の他の一例を示す図である。
図6は、実施の形態1に係る孔版印刷装置の動作時にタッチパネルに表示されるメニュー画面の他の一例を示す図である。
図7は、実施の形態1に係る孔版印刷装置の動作時にタッチパネルに表示されるメニュー画面の他の一例を示す図である。
【0047】
より詳しく説明すると、例として、図4に示すようなメインメニューから、「編集」項目を選択することにより、図5に示される各種編集機能を設定するためサブメニューが表示される。
【0048】
ここにおいて、「メイキャップ」の仮想ボタンを選択すると、図6に示されるサブメニューが「マルチカラー」の仮想ボタンを選択すると、図7に示されるサブメニューが、さらに表示される。
【0049】
本実施形態では、メイキャップ機能においては、「エリア指定方法」として“囲み線”を使用し、マーカには“モノクロマーカ”を使用し、マーカで指定されたエリアに対応する原稿部分に対して、“中抜き”処理を実施させることを設定している。
【0050】
また、マルチカラー処理においては、「エリア指定方法」として“囲み線”を使用し、マーカには“モノクロマーカ”を使用し、マーカで指定されたエリアに対応する原稿部分に対して、エリア内に記述されたコマンドで指定された色合いで、カラー化処理を実施させることを設定している。尚、他のカラー化の指定方法として、当該孔版印刷システムの図示しないタッチパネルから、色合いデータを入力する“直接指定”もあるが、本実施形態の主たる要件ではないので、説明を省略する。
【0051】
また、これらの図において、「マーカ指定方法」−“カラーマーカ”あるいは「カラー指定」−“マーカ色”の仮想ボタンがグレーアウト(図では破線で囲まれている)しているのは、当該孔版印刷システムに搭載されているスキャナの種類に依っているためである。
【0052】
これは、近年、オフィスや事業所などに設置される、複写機(PPC)、複合機能プリンタ(MFP)は、カラー化が著しく、新規購入はもとより、モノクロPPCあるいはモノクロMFPから、カラーPPCあるいはカラーMFPへ、と急速に買い換えが進んでおり、この買い換えより、PPCやMFPに搭載されているスキャナも、カラースキャナ搭載が当然のようになり、それに伴い、従来高価であったカラースキャナ自体の相対的なコストも年々低下しつつある。
【0053】
一方、孔版印刷装置においては、基本的な作像工程はモノクロ製版・印刷を基本としているため、スキャナも長らくモノクロスキャナが使われていた。
しかしながら、前述のようなオフィス環境の変化やこれにともなうモノクロスキャナの製造打ち切りや製造機種・製造規模の縮小などにより、孔版印刷装置用のモノクロスキャナの入手や安定確保が、年々難しくなりつつある。
【0054】
この対応策として、基本的に作像エンジンはモノクロをベースとしているにもかかわらず、スキャナはカラースキャナ搭載という、アンバランスな構成・仕様の孔版印刷装置が製造されており、せっかくカラースキャナを搭載しているにもかかわらず、実際の動作(原稿読取り)はモノクロモードでしか使用せず、専らモノクロスキャナの代用という使い方しかしない製品もある。
【0055】
本実施の形態では、そのような経緯を持つ孔版印刷システムを使用しているため、また、本実施形態の孔版印刷システムに搭載されているスキャナがモノクロスキャナのため、前述のようなメニュー表示をするようになっている。
【0056】
以上のような設定がなされた孔版印刷システムの制御について、図8の説明図や、図9の流れ図を参照して説明する。
図8(a)〜(c)は、実施の形態1に係る、原稿、コマンドシート、最終印刷物の一例である。図9は、実施の形態1に係る孔版印刷システムの動作を説明するための処理の流れ図の一例である。
操作者によって、当該孔版印刷システムの原稿台もしは自動原稿送り装置(Auto Document Feeder:ADF)に、コマンドシートと原稿がセットされた後(図11(a)、(b))、製版スタートキーが押下されると(ST1)、まずコマンドシートが読取られる(ST2)。これにより、制御部は、マーカ指定エリアの位置やエリアサイズのデータを抽出するとともに、さらに、当該指定エリア内に命令、識別コード又は指定項目等を意図した文字が記述されている場合、当該記載された文字をOCRなどによってテキストデータ化し、当該記述された文字の意味を解析し、マーカエリア情報を抽出する(ST3)。そして、各指定エリアのマーカエリア情報の抽出が完了すると、制御部は、マーカ指定エリア毎に、機能や処理の割付けを行っていく(ST4)。
【0057】
より詳しくは、図8(b)には、3つのマーカ指定エリアが指定されたコマンドシートが示されているが、各々の指定エリアに記述されている文字は異なっている。何も記載されていない指定エリアは、本実施形態では、デフォルトでメイキャップ処理が指定されたものと見なしており、これは明示的に“M”という文字が記載されている指定エリアと実質同じである。よって、この2つの指定エリアに対応する原稿部分には、ともに図6で指定されたメイキャップ処理が施されることになる(ST5,ST6)。
但し、図6で指定されたメイキャップ処理は、デフォルトで行うメイキャップ処理であり、マーカ指定エリア毎に異なるメイキャップ処理を行いたい場合、例えば、“M:エリア内:全面パターン”などと個別に指定していけばよい。
【0058】
一方、マーカ指定エリア内に“C:red”の文字記述がなされているものは、当該指定エリアには、カラー化処理(マルチカラー処理)がなされ、当該指定エリアに対応する原稿部分には、図7で指定されたカラー化処理が施されることになる。そして、その色合いはred(赤)に変換される(ST7、ST8)。
但し、“red”と指定された色合いは、予め孔版印刷システムで規定されている色合いのデータである。
【0059】
しかしながら、もし操作者が、予め孔版印刷システムで規定された色合いが気に入らない場合、色合いを調整することも可能である。即ち、タッチパネル上に、指定色名とその印刷色の設定データを表示できるので、そこで操作者の意に沿ったカラー化指定ができる(図10)。
図10は、実施の形態1に係る孔版印刷装置の動作時にタッチパネルに表示されるメニュー画面の一例を示す図である。
【0060】
また、別の調整手段として、コマンド指定エリア内に文字記述指定して、例えば、“C:red:cyan:0:yellow:240:magenta:252”のようにも指定できる。“C:red”だけの文字記述指定では、デフォルトの色あいでしか印刷されないが、このように色合いのデータまで指定した場合、図7の「カラー指定」で“コマンド(優先)”になっているので、当該マーカ指定エリアの描画要素は、上記で指定された色合いデータに従った色で画像形成される。これにより、マーカ指定エリア毎にユーザがカスタマイズできるマルチカラー印刷成果物を生成することができる。
【0061】
尚、マーカ指定エリアに記述される文字による指定形式は、メイキャップの場合“M”、マルチカラーの場合、“C”としており、さらに、属性やパラメータの指定をコロンで挟んで指定しているが、このような指定形式に限定されるものではない。
同様に、文字記述で指定される語句についても、例えば、本実施例では、色合い指定(指定色名)で“red”としているが、“赤”、“あか”、“レッド”あるいは“紅”、“ルージュ”、“明るい赤”などであっても構わず、どのような命名・認識のさせ方をするかは設計事項(設計の裁量に任せられるべきこと)であり、本実施形態に限定されるものではない。
【0062】
また、マーカエリア情報の抽出時にエラーが生じた場合、その旨の警告を本体タッチパネルなどに表示して動作を中断したり終了したりするが、本実施形態においては、このようなエラー処理に関わる部分は省略している。
以降の説明についても、各種処理を行った時に発生する種々のエラーに対処する処理は必要であるものの、本発明の主たる要件をなすものではないので、流れ図には記載しておらず、説明も省略している。
【0063】
これらのカラー化処理が終了すると、制御部は、孔版印刷装置備え付けの電子ペーパーに、最終印刷物の画像イメージを表示させ(ST11)、操作者に確認をとる(ST12)。
操作者の確認が終了すると、制御部は、マスタ製版を行い(ST14)、引き続き、印刷による画像形成を行う(ST15)。尚、ここで画像形成されるものは、マルチカラー部分やバリアブル印刷部分を除く固定部分とメイキャップ指定を受けた部分である。
【0064】
一方、マルチカラー部分の画像データは、インクジェットユニットに送られ、ここにおいて画像形成がなされる(ST16)。
【0065】
以上のような工程を経て生成された最終印刷物の例を、図8(c)に示す。
尚、本実施形態では、メイキャップ部分(中抜き指定部分)を孔版方式による画像形成、マルチカラー部分をインクジェット方式による画像形成、に割り振っているが、さらに拡張して、メイキャップ部分であっても、写真指定部分はインクジェット方式による画像形成に割り振るような制御としても構わない。
【0066】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。なお、上記実施の形態と同一または同様の部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既に説明した構成上及び機能上の説明は省略して、要部のみ説明する(以下の他の実施の形態においても同様である)。
【0067】
本実施の形態に係る孔版印刷システムは、基本的に実施の形態1で示したものと同様であるが、読取りスキャナが、モノクロスキャナではなく、カラースキャナである点が異なる。
これにより、コマンドシートにおいて、カラーマーカによる指定が可能となり、また、原稿がカラー原稿であった場合、当該原稿色をそのまま反映することもできるようになる。
本実施形態では、マルチカラー印刷の設定において、図11に示すように、「マーカ指定方法」を“カラーマーカ”としている。
図11は、実施の形態2に係る孔版印刷装置の動作時にタッチパネルに表示されるメニュー画面の一例を示す図である。
【0068】
このような設定のもと、図12(a)に示される原稿と、図12(b)に示されるコマンドシートを当該孔版印刷システムに適用すると、図12(c)の最終印刷物が得られる。
図12(a)〜(c)は、実施の形態2に係る、原稿、コマンドシート、最終印刷物の一例である。
【0069】
尚、コマンドシートの3番目のマーカ指定エリアでは、黒マーカを用いているが、当該指定エリアにおいて、青のカラー化処理を行う旨の記述がなされているので、図11の設定より、この記述の方が優先されるため、当該指定エリアに対応する原稿部分は、青色で置き換えられる。
このような仕組みにしているのは、操作者(ユーザ)が、意図する色合いのマーカを常に用意できるとは限らないためである。
【0070】
単純に考えれば、カラースキャナを搭載し、カラーの画像形成が行えるインクジェット方式の作像エンジンを持っているため、孔版方式の作像エンジンは不要と思われがちである。
しかしながら、両者の作像速度は1桁、場合によっては2桁ほども違い、ほとんどの場合、前者が律速となるため、生産性の観点から、インクジェットユニットは、マルチカラーといってもスポットカラー程度の利用にとどめている。
【0071】
また、図13は、孔版印刷装置の外装と一体化して設けられた電子ペーパーへの最終印刷物の画像イメージを表示させた一例を示す図である。
このように事前確認をとるのは、実際に印刷用紙に試し刷り(製版・印刷)をして、最終印刷物を確認すると、実際の印刷物を得るまでに手間がかかるのみならず、孔版原紙すなわちマスタの単価が高いので、確認のためのコストが嵩んでしまうためである。
メイキャップ処理やカラー化の結果が意にそぐわず、やり直しや再修正などの手戻りが発生し、これらの作業が繰り返される場合はなおさらである。
尚、本実施形態の孔版印刷システムに搭載されているスキャナは、片面読込みタイプのADFであるが、一度に両面読込みが可能なタイプ、いわゆる両面ADFを搭載した場合、一方の面は原稿として、他方の面はコマンドシートとして、対で読込むようなことも可能である。
【0072】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3を説明する。
本実施の形態は、前述の孔版印刷システムにおいて、バリアブル印刷を行わせる例である。
バリアブル印刷を行わせるためには、印刷ごとに異なる作像(画像)データをどこからどのように持ってくるかの指定と、持ってきたデータをどこに、どのように作像するかの指定が必要となる。
本実施の形態では、このような動作を行わせるために、当該孔版印刷システムのタッチパネルから、図14に示されるような設定を行うことによって実現している。
図14は、実施の形態3に係る孔版印刷装置の動作時にタッチパネルに表示されるメニュー画面の一例を示す図である。
即ち、本実施形態では、バリアブル印刷用データは、当該孔版印刷システムに搭載されている磁気ディスク装置(HDD)に格納されている電子ファイル、もしくは当該孔版印刷システムのスロットに挿入・装着されたUSBメモリあるいはSDカードのような携帯型外部記憶装置に格納された電子ファイルを読み出しており、具体的には“顧客名簿.xml”というXML形式で記述された電子ファイルを使用している。
図15は、バリアブル印刷用データの内容の一例を示す図である。
【0073】
また、このようにして持ってきたバリアブル印刷用データを、どのように作像(表現)するかについては、図14の「フォント」項目、「スタイル」項目、「サイズ」項目、「他指定」項目によって実現している。本実施形態では、各々、“明朝”、“標準”、“24ポイント”の文字として作像される。
【0074】
尚、「スタイル」項目は、“太字”、“斜字”などの指定を、「他指定」項目は、“横書き(デフォルト)”、“縦書き”などのその他の指定を行えるようになっている。
さらに、バリアブルデータの作像位置については、当該指定エリアに、センタリング(デフォルト)されて配置される。
図16(b)に、本実施形態のコマンドシート例を示すが、当該指定エリアがバリアブル印刷を行うものであることの指定は、当該指定エリア内に“V”の文字記述を行うことによって区別される。
【0075】
図16(a)〜(c)は、実施の形態3に係る、原稿、コマンドシート、最終印刷物の一例である。
以上のような設定と準備とがなされた後、図16(a)に示す原稿と、図16(b)に示すコマンドシートを読み込ませると、固定部分の印刷は、孔版印刷装置によって、バリアブル印刷部分は、インクジェットユニットによって行われ、図16(c)に示される最終印刷物が生成される。
【0076】
尚、本実施の形態においては、コマンドシートによる機能処理の指定がバリアブル印刷のみになっているが、メイキャップ機能やマルチカラー処理との併用も当然可能である。
【0077】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4を説明する。
本実施の形態に係る孔版印刷システムは、基本的に既出の実施の形態3で示したものと同様であるが、図17に示すタッチパネル上のメニューにおいて、「バリアブルデータ」項目で“ファイル指定”は選択されているものの、具体的なファイル名は指定されていないところが異なる。
図17は、実施の形態4に係る孔版印刷装置の動作時にタッチパネルに表示されるメニュー画面の一例を示す図である。
【0078】
一方、図18に示すコマンドシートには、マーカ指定エリア内に“file:顧客名簿.xml”として、文字による記述指定がなされている。このような指定がなされると、制御部は、図19の流れ図に従い、バリアブル印刷に関わる設定値をセットする。
図18は、実施の形態4に係る、コマンドシートの一例である。図19は、実施の形態4に係る孔版印刷システムの動作を説明するための処理の流れ図の一例である。
【0079】
詳しくは、本実施形態では、マーカ指定エリアの文字記述による電子ファイルの指定があるので(ST1)、制御部は、当該孔版印刷システムのHDDもしくは当該孔版印刷システムのスロットに挿入・装着されている携帯型外部記憶装置から、指定された電子ファイルを検索する(ST2)。
ここで、該当する電ファイルがなければ、タッチパネルなどに警告を表示し、処理を停止するが(ST3)、存在すれば、当該電子ファイルを対象ファイルとしてセットし(ST4)、バリアブルデータを読み込む(ST5)。
これにより、最終印刷物は実施形態3で示したものと同様のものが生成されることになる。
尚、同図の流れ図からわかるように、タッチパネル上での指定と、マーカ指定エリア内の文字記述による指定がなされていた場合、後者の指定が優先されることになる。逆に言えば、前者の指定をデフォルトとすることができる。
【0080】
また、本実施形態では、「バリアブルデータ」について記しているが、「フォント」、「スタイル」、「サイズ」などの属性指定についても同様の考え方が適用される。このような仕組みは、マーカ指定エリア毎に、バリアブルデータを変えられるだけでなく、特に属性指定は、マーカ指定エリア毎に指定することにより、各エリア毎に異なった表現が可能となるので、最終成果物をバリエーションに富んだものにすることができる。
【0081】
さらに、本実施形態では、バリアブルデータである“顧客名簿.xml”には、タグ名<name>に顧客名しか収録されていないが、名前だけでなく、例えば、タグ名<postcode>に郵便番号、タグ名<address>に住所などが、ひとまとまりの顧客情報としてあった場合も対応可能である。この場合、マーカ指定エリアに、例えば、“V:file:顧客名簿.xml:tag:name”などと記述指定することにより、本実施形態と同様の結果を得ることができる。
【0082】
また、これをさらに拡張して、複数のバリアブル印刷領域、例えば、郵便番号欄、住所欄、宛先欄に、各々、“V:file:顧客名簿.xml:tag:postcode”、“V:file:顧客名簿.xml:tag:address”、“V:file:顧客名簿.xml:tag:name”を割付けることにより、バリアブルテータ間の連携をとることができる。これは、封書やハガキの宛名書きなど、各バリアブルデータがバラバラになったり、順序関係がずれたりしては困るような事例に最適である。
【0083】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5を説明する。
本実施の形態に係る孔版印刷システムは、基本的に既出の実施の形態3で示したものと同じであるが、図20に示すタッチパネル上のメニューにおいて、「バリアブルデータ」項目で"直接記述指定"が選択されているところが異なる。
図20は、実施の形態5に係る孔版印刷装置の動作時にタッチパネルに表示されるメニュー画面の一例を示す図である。
【0084】
図21は、実施の形態5に係るコマンドシートの一例である。
図21に示すコマンドシートには、マーカ指定エリア内に“direct:HC IIIX”が文字記述指定されており、コマンドシート内でバリアブルデータをダイレクトに記述指定し、そのバリアブルデータは、IDが“HC IIIX”で指示されるマーカ指定エリア(同図B)に記載されていることを示している。
【0085】
これにより、最終印刷物は実施の形態3で示したものと同じものが生成されることになる。
このような方法は、バリアブルデータ数が少なく、電子ファイルをわざわざ作るまでもない場合や、バリアブルデータが一過性のもので、データの再利用がほとんど期待できないような場合に、簡易的にバリアブル印刷を行うことができる。
【0086】
尚、本実施の形態では、最終生成物において、バリアブルデータが生成される場所は、図21のAの領域であり、同図Bの領域は、単なるデータ記述領域と見なされ、対応する原稿部分の加工には、なんの影響も与えない。
【0087】
本実施の形態を利用し、例えば、機能処理の文字記述指定に、“T”なる識別IDを導入し、当該指定エリアに、この文字が記述されていた場合、その指定エリアはコメント領域を示すものとすれば、当該指定エリアに、当該コマンドシートがどのような原稿を対象に、どのような機能処理をなすものであるかの説明やコメントを記述しておくことができる。これにより、よく再利用されるフォーマット原稿による印刷などにおいて、操作者(ユーザ)にとって利用しやすいものとなる。
【0088】
このようにバリアブル印刷領域と実際のバリアブルデータを記述する領域とを分けているのは、レイアウト上および記述上の自由度を確保するためである。即ち、本実施形態において、バリアブル印刷処理を“V:data:柴田太郎:data:中名生花子:data:神明堂次郎:...”というように一つのマーカ指定エリアにまとめて記述することもできる。
【0089】
しかしながら、そのような方法は、
(バリアブルデータの記述に使える領域)=(バリアブル印刷領域)
に限られるため、実際には数えるくらいのバリアブル印刷しか行えないため、逆にそのようなデータ数であれば、プリンタやMFPなどで逐一原稿を修正しながらプリント出力した方が、結果として早いといえる。
【0090】
(実施の形態6)
次に、実施の形態6を説明する。
図22(a)〜(d)は、実施の形態6に係る、原稿、コマンドシート、最終印刷物の一例である。
本実施の形態に係る孔版印刷システムは、基本的に既出の実施の形態3で示したものと同じであり、バリアブル印刷に関する設定は、図14に示したものと同様である。
また、本実施の形態において使用する原稿を図22(a)に示し、コマンドシートを同図(b)に示す。
文字記述指定で“V”と記述されたマーカ指定エリアには、前述の実施の形態と同様、顧客名が入る。
一方、マーカ指定エリア内に文字記述指定で“V:indext:001:”と記述されているエリアは、初期値が“001”で増分が“1”の等差級数の数値が入ることを示している。これにより、最終印刷物は、同図(c)、(d)で示したものとなる。
【0091】
尚、このような複数のマーカ指定エリアに、バリアブル印刷を行わせるような振る舞いが可能なのは、マルチカラー処理と同様の考え方で、当該孔版印刷システムのLCD画面から指定する設定は、文字記述指定で“V”というように、その他のパラメータを何も指定しない場合のデフォルト動作を指定するものであり、本実施の形態のように、文字記述指定に規則的に増加する数値を生成するようなパラメータ指定がなされている場合、当該文字記述指定を優先するように制御しているためである。
【0092】
このような方法は、数列を収めた電子ファイルを作成し、当該電子ファイルを使用するよう文字記述指定することによっても可能であるが、わざわざこのような電子ファイル作るよりも簡易に指定でき、結果として簡易に、かつ、効率的にバリアブル印刷を行うことができる。
【0093】
尚、本実施の形態では、数列を例として挙げているが、アルファベット順や五十音(いろは)順に容易に拡張できる。
【0094】
(実施の形態7)
次に、実施の形態7を説明する。
図23(a)〜(c)は、実施の形態7に係る孔版印刷装置の動作時にタッチパネルに表示されるメニュー画面の一例を示す図である。
本実施の形態に係る孔版印刷システムは、基本的に前述した実施の形態と同様である。また、各機能処理設定に関しては、図23に、タッチパネルにおける設定表示の一例を示す。ここにおいて、メイキャップ機能に関しては、同図(a)に示すように、エリア外消去を指定し、カラー化処理(マルチカラー)に関しては、同図(b)に示すように、カラーマーカにより指定し、バリアブル印刷処理に関しては、同図(c)に示すように、直接記述指定を指定している。
【0095】
図24(a)〜(d)は、実施の形態7に係る、原稿、コマンドシート、最終印刷物の一例である。
本実施の形態では、説明のため、回覧用の新聞のスクラップを作る場合を想定しており、図24(a)に本実施の形態で使用する原稿の一例を、同図(b)にコマンドシート例を示す。スクラップを作るためには、まずメイキャップ機能のエリア外消去を使い、スクラップ対象記事のみ抽出・印刷するのが基本的な手順である。
【0096】
しかしながら、単にスクラップを作るだけでなく、特定の部分(本実施の形態では記事タイトル部分)を着色して読者の注意を惹くようにし、さらに、部数番号を付与して印刷・仕分け作業や回覧作業を管理しやすくするものとする。この時、前者の部分には、着色したい部分に赤(red)マーカでエリアを指定してカラー化(マルチカラー)処理を施し、後者の部分には、バリアブル印刷処理の文字記述指定により作成部数情報を形成させるようにすることで実現できる。
このような方法を用いた最終印刷物を同図(c)、(d)に示す。
【0097】
(実施の形態8)
次に、実施の形態8を説明する。
本実施の形態に係る孔版印刷システムも、基本的に前述した実施の形態で示したものと同様であるが、インクジェットユニットの配置は、印刷ドラムの上流ではなく、下流に配置されたハイブリッド型孔版印刷システムとする。
【0098】
上述したマルチカラーに関する実施の形態では、単にマーカ指定エリアで、赤(red)や青(blue)と指定された領域を、単にインクジェットユニットで赤色や青色で画像形成させただけであったが、インクあるいはインキ自体を特殊な用途向けに調合されたもの、例えば、熱履歴特性を持ち、熱を加えたりあるいは摩擦(スクラッチ)による熱を利用したりすることによって、色材の色が消失するような特徴を示すものをカートリッジまたはインキパックに装填して、本発明に係る孔版印刷システムの機能処理と併用することにより、より付加価値をもった印刷成果物を生成することができる。
【0099】
図25(a)〜(d)は、実施の形態8に係る、原稿、コマンドシート、最終印刷物、スクラッチの一例である。
本実施の形態では、インクジェットユニットのシアンカートリッジに、前述した特性をもつインクを装填し、幼稚園や保育園などで使用される教材への応用の例を示す。まず、図25(a)に、本実施の形態で使用する原稿例を、同図(b)に、コマンドシート例を示す。
特に、コマンドシートにおいては、シアン(cyan)のカラーマーカで、マルチカラー処理を指定しているが、さらに“fill”属性が指定されており、これにより当該カラーマーカで指定されたエリアは、指定された色合い(本実施の形態ではシアン)、で塗りつぶされることになる。
【0100】
前述の実施の形態で説明したように、原稿に対し、コマンドシートによる指定を行う際、最終印刷物をイメージしにくい場合があるので、図26に示すように、孔版印刷装置の外装と一体化して設けられた電子ペーパーへ表示させた最終印刷物の画像イメージによって、意図した結果になるかの出来上がり具合を確認することができる。
図26は、実施の形態8に係る孔版印刷装置の動作時に孔版印刷装置に外装された電子ペーパーに表示される最終印刷物表示画面の一例を示す図である。
【0101】
図25(c)に最終印刷物の一例を示すが、当該最終印刷物のシアン色でマスクされた部分をスクラッチすることにより、同図(d)に例示されるように、摩擦熱によってインクの化学的な状態が変化し、その結果、シアンの色合いが消失し、それまでマスクされていた領域が見えるようになる。
【0102】
このような印刷物は、従来であれば、印刷を生業とする専門業者でなければ作ることが難しかったが、本発明による孔版印刷システムによれば、そのような特性をもつインクカートリッジまたはインキパックの提供を受けるだけで可能となる。
【0103】
尚、本実施の形態で例示した特殊用途インキの他に、例えば、フィトンチッド(森の香り)やフローラル(花の香り)など香り成分あるいは消臭成分を、同様に直接調合・混入したり、もしくは、当該成分をマイクロカプセルなどで封入し、当該マイクロカプセルを撹拌・混入させたりすることによって生成されたインクをもって、マーカ指定エリアに画像形成あるいは「ベタ塗り」などをすることにより、芳香効果あるいは消臭効果などの付加価値をもった印刷成果物を生成することもできる。
【0104】
さらに、チラシ・ポスターなどの広告印刷などにおいて、広告主あるいは広告の品にマッチしたフレーバー(例えば、ラーメンの風味やカレーの風味あるいは新製品の香水など)の成分を調合、あるいは封入したマイクロカプセルを使うことにより、販促効果や購買効果の期待できる印刷成果物を生成することができる。
【0105】
<作用効果>
本実施の形態によれば、熱可塑性フィルムからなるマスタに熱穿孔プロセスを用いて潜像を形成し、潜像が形成されたマスタを、インキが充填された印刷ドラムに装填し、マスタが装填された印刷ドラムを回転させ、給紙された用紙と圧接させることにより、用紙に可視画像を形成する孔版方式画像形成ユニットと、ライン状に配置された複数の微細なノズルから、液状インクもしくはゲル状インクを吐出することにより、給紙された用紙に可視画像を可能にするインクジェット方式画像形成ユニットと、から構成されるいわゆるハイブリッド型孔版印刷装置において、エリア指定シートと呼ばれる毎葉紙等のシート状媒体に、孔版印刷装置が認識可能なマーカにより、少なくとも1個の囲み線や対角線等を書込むことにより、特定のエリア(領域)を指定するエリア指定手段と、コマンドシートを光学的に走査し読取るコマンドシート読取り手段と、コマンドシート読取り手段により読取った画像データから、指定されたエリアの位置、サイズ、マーカ色のデータを抽出し、また、指定されたエリア内に命令、識別コード又は指定項目等を意図した文字が記述されている場合、当該記載された文字をOCRなどによってテキストデータ化し、当該記述された文字の意味を解析する、コマンドシートデータ解析手段と、コマンドシートデータ解析手段により解析されたコマンドシートデータに従い、各々のマーカ指定エリア毎に各々に特化された機能や処理を割付け、画像形成時に当該機能や処理を実行可能に準備立てる個別機能処理割付け手段と、コマンドシートを利用したマーカ指定エリア毎の機能や処理を施して製版・印刷させた場合の結果の予測表示などを行う画像表示手段と、コマンドシートを利用したマーカ指定エリア毎の機能や処理を行うか否か、当該機能や処理を行うために必要なパラメータやデータなどの各種情報の指定、または、マーカもしくはエリア内に記述された文字と当該機能や処理との関連づけ、などの指定を行う機能処理指定手段と、製版・印刷を行う原稿を読込むに先立ち、マーカにより原稿上の特定エリアに対応したエリアが書込み指定されたコマンドシートを、コマンドシート読取り手段により読込み、読取った画像データから、コマンドシートデータ解析手段により、指定されたエリアの位置、サイズ、マーカ色のデータを抽出し、また、指定されたエリア内に文字が記載されている場合、当該記載された文字をOCRなどによってテキストデータ化し、当該記載された文字の意味を解析し、解析されたコマンドシートデータに従い、個別機能処理割付け手段によって、各々のマーカ指定エリアに各々に特化された機能や処理を割付け、画像形成時に当該機能や処理を実現可能に準備立て、さらに画像表示手段によって、コマンドシートを利用したマーカ指定エリア毎の機能や処理を施して製版・印刷した場合の結果の予測表示をさせ、操作者の同意がなされた時、当該ハイブリッド孔版印刷装置によって画像形成を行うように制御する制御手段と、を有しているので、これまで専ら原稿の加工に用いられてきたメイキャップ機能を、マルチカラー印刷、バリアブル印刷に利用できる。
【0106】
本実施の形態によれば、個別機能処理割付け手段により割付けられる機能や処理には、簡易原稿編集(メイキャップ)処理、バリアブル印刷処理、多色(マルチカラー)印刷処理、の少なくとも一つが含まれるので、それらの複数の機能/処理を同時に利用することが可能である。
【0107】
本実施の形態によれば、マーカ指定エリア内に、当該指定エリアに関する機能処理を指定する文字が記述されていない場合、当該指定エリアに対して、当該孔版印刷システムを構成するユニットの種類(モノクロ/カラースキャナ等)から規定される、デフォルトの機能処理割付けが行われることを特徴としているので、個別機能処理の利用において、簡便で使い勝手のよい使い方ができる。
【0108】
本実施の形態によれば、マーカ指定エリアに割付けられた機能処理が、マルチカラー印刷の場合であって、当該指定エリア内にカラー属性を指定するための文字が記述されている場合、当該指定エリアを指定するために使用されているマーカの色合いにかかわらず、当該文字指定による色合いで、原稿の対応指定エリアの文字や線画などの描画要素を形成されることを特徴としているので、当該指定エリアのカラー化を個別に、かつ、柔軟に行うことができる。
【0109】
本実施の形態によれば、マーカ指定エリアに割付けられた機能処理が、バリアブル印刷の場合であって、当該バリアブル印刷用データが、CSVファイルやXMLファイルなどの電子ファイルの形態で提供され、かつ、当該電子ファイル名もしくはその識別IDが、当該指定エリア内で文字記述指定されるので、バリアブル印刷用データは、テキストエディタなどで、簡単に閲覧できる可読性を持ち、さらに当該データの作成/修正/追加/削除が容易であるため、メンテナンス性に優れている。
【0110】
本実施の形態によれば、当該電子ファイルの指定が容易であり、また、当該電子ファイルが、当該孔版印刷システム内部のHDDに蓄積文書としてあるのか、携帯型外部記憶装置の収められているのか、などのロケーションを意識する必要がない。
【0111】
本実施の形態によれば、バリアブル印刷に供されるバリアブル印刷用データが、携帯型外部記憶装置(USBメモリやSDカードなど)から当該孔版印刷システム内部の記憶装置(Flash ROMやHDDなど)に転送・保存でき、またその逆も可能であるので、バリアブル印刷用データが頻繁に再利用されるような場合、当該データを格納した媒体が、USBメモリやSDカードなどの携帯型外部記憶装置の場合、当該孔版印刷システム内部の記憶装置(Flash ROMやHDDなど)に転送・保存することにより、バリアブル印刷のたびごとに、携帯型外部記憶装置を着脱する手間や煩雑さがなくなる。
【0112】
本実施の形態によれば、当該データを携帯型外部記憶装置に転送・保存することにより、他の孔版印刷システムにおけるバリアブル印刷にも利用できるなど運用性にも優れ、特定の印刷システムへの依存をなくすことができる。
【0113】
本実施の形態によれば、マーカ指定エリアに割付けられた機能処理が、バリアブル印刷の場合であって、当該バリアブル印刷に関わる指定が、当該孔版印刷システムのタッチパネルで指定される場合と、指定エリア内で文字記述指定される場合、後者を優先することを特徴としているので、当該指定エリアのバリアブル印刷を個別に、かつ、柔軟に行うことができる。
【0114】
本実施の形態によれば、マーカ指定エリアに割付けられた機能処理が、バリアブル印刷の場合であって、当該バリアブル印刷用データが、当該指定エリア内で直接記述指定されるので、最もシンプルなバリアブル印刷用データの生成方法を提供でき、このような方法は、バリアブル印刷用データを収めた電子ファイルを作成するまでもないような場合、あるいは、再利用される可能性の少ない一過性のバリアブル印刷の場合に効果的である。
【0115】
本実施の形態によれば、マーカ指定エリアに割付けられた機能処理が、バリアブル印刷の場合であって、当該バリアブル印刷用データが、ページ番号のような序列を表すデータであって、かつ、その記述指定が当該指定エリア内で直接記述指定される場合、その記述指定において、初期値/ステップ値/終値のうち少なくとも1つ以上含むので、バリアブル印刷用データが規則正しい数列もしくは文字列であった場合、わざわざ当該データを収めた電子ファイルを用意したり、コマンドシート上にデータ列を列記したりする必要がなく、その指定を簡便に行うことができる。
【0116】
本実施の形態によれば、コマンドシート上に、マーカ指定エリアが複数存在し、かつ、当該マーカ指定エリアが入れ子状態などの重複部分を形成している場合、当該マーカ指定エリアの重複部分については、各々のマーカ指定エリアに割付けられた機能処理を重畳的に施すので、特定の原稿領域に対し、複数の機能処理を組み合わせて施すことができるので、より複雑で豊かな印刷表現やより機能的な印刷を実現することができる。
【0117】
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0118】
1 孔版印刷システム
2 エリア指定手段
3 コマンドシート読取り手段
4 コマンドシートデータ解析手段
5 個別機能割付け手段
6 機能処理指定手段
7 画像表示手段
8 制御手段
15 コマンドシート
20 制御部
100 孔版印刷装置
101 印刷ドラム
103 製版部(プロッタ)
110 画像読取り部(スキャナ)
111 操作部(操作パネル)
115 タッチパネル
119 マスタロール
120 インキパック
150 インクジェットユニット
200 ACU
300 ECU
400 電子ペーパー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0119】
【特許文献1】特開平05−254237号公報
【特許文献2】特開2005−231143号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性フィルムからなり潜像が形成されたマスタを、インキが充填された印刷ドラムに装填し、前記印刷ドラムを回転させ、給紙された用紙と圧接させることにより、前記用紙に可視画像を形成する孔版ユニットと、ライン状に配置された複数のノズルから、インクを吐出することにより、前記用紙に可視画像を形成するインクジェットユニットと、を有するハイブリッド型の孔版印刷システムにおいて、
コマンドシートに、孔版印刷装置が認識可能なマーカにより特定のエリアを指定するエリア指定手段と、
前記コマンドシートを光学的に読取るコマンドシート読取り手段と、
前記コマンドシート読取り手段により読取った画像データからデータを抽出し、指定されたエリア内にテキストデータ化し、当該記述された文字の意味を解析する、コマンドシートデータ解析手段と、
解析されたコマンドシートデータに従い、画像形成時に当該機能や処理を実行可能に準備立てる個別機能処理割付け手段と、
前記コマンドシートを利用して製版・印刷させた場合の結果の予測表示などを行う画像表示手段と、
解析されたコマンドシートデータに従い、個別機能処理割付け手段によって、各々のマーカ指定エリアに各々に特化された機能や処理を割付け、画像形成時に当該機能や処理を実現可能に準備立て、さらに画像表示手段によって、コマンドシートを利用したマーカ指定エリア毎の機能や処理を施して製版・印刷した場合の結果の予測表示をさせ、操作者の同意がなされた時、当該ハイブリッド孔版印刷装置によって画像形成を行うように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする孔版印刷システム。
【請求項2】
前記コマンドシートを利用したマーカ指定エリア毎の機能や処理の可否、当該機能や処理を行うために必要な各種情報の指定を行う機能処理指定手段を有することを特徴とする請求項1記載の孔版印刷システム。
【請求項3】
前記制御手段は、製版・印刷を行う原稿を読込むに先立ち、マーカにより原稿上の特定エリアに対応したエリアが書込み指定されたコマンドシートを、コマンドシート読取り手段により読込み、読取った画像データから、コマンドシートデータ解析手段により、前記指定されたエリアの位置、サイズ、マーカ色のデータを抽出し、また、前記指定されたエリア内に文字が記載されている場合、当該記載された文字をテキストデータ化し、当該記載された文字の意味を解析することを特徴とする請求項1または2記載の孔版印刷システム。
【請求項4】
前記個別機能処理割付け手段により割付けられる機能や処理は、簡易原稿編集処理、バリアブル印刷処理、多色印刷処理、の少なくとも一つが含まれることを特徴とする請求項1から3の何れか一項記載の孔版印刷システム。
【請求項5】
マーカ指定エリア内に、当該指定エリアに関する機能処理を指定する文字が記述されていない場合、当該指定エリアに対して、当該孔版印刷システムを構成するユニットの種類から規定される、デフォルトの機能処理割付けが行われることを特徴とする請求項1から4の何れか一項記載の孔版印刷システム。
【請求項6】
マーカ指定エリアに割付けられた機能処理が、マルチカラー印刷の場合であって、当該指定エリア内にカラー属性を指定するための文字が記述されている場合、当該指定エリアを指定するために当該文字指定による色合いで、原稿の対応指定エリアの描画要素が形成されることを特徴とする請求項1から4の何れか一項記載の孔版印刷システム。
【請求項7】
マーカ指定エリアに割付けられた機能処理が、バリアブル印刷の場合であって、当該バリアブル印刷用データが、電子ファイルの形態で提供され、かつ、当該電子ファイル名もしくはその識別IDが、当該指定エリア内で文字記述指定されることを特徴とする請求項1から6の何れか一項記載の孔版印刷システム。
【請求項8】
前記バリアブル印刷に供されるバリアブル印刷用データは、携帯型外部記憶装置と当該孔版印刷システム内部の記憶装置との間で転送及び保存が可能であることを特徴とする請求項7記載の孔版印刷システム。
【請求項9】
マーカ指定エリアに割付けられた機能処理が、バリアブル印刷の場合であって、当該バリアブル印刷に関わる指定が、当該孔版印刷システムのタッチパネルで指定される場合と、指定エリア内で文字記述指定される場合、前記指定エリア内で文字記述指定される場合を優先することを特徴とする請求項7または8記載の孔版印刷システム。
【請求項10】
マーカ指定エリアに割付けられた機能処理が、バリアブル印刷の場合であって、当該バリアブル印刷用データが、当該指定エリア内で直接記述指定されることを特徴とする請求項1から4の何れか一項記載の孔版印刷システム。
【請求項11】
マーカ指定エリアに割付けられた機能処理が、バリアブル印刷の場合であって、当該バリアブル印刷用データが序列を表すデータであって、かつ、その記述指定が当該指定エリア内で直接記述指定される場合、その記述指定において、初期値/ステップ値/終値のうち少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項1から4の何れか一項記載の孔版印刷システム。
【請求項12】
前記コマンドシート上に、マーカ指定エリアが複数存在し、かつ、当該マーカ指定エリアが重複部分を形成している場合、当該マーカ指定エリアの重複部分については、各々のマーカ指定エリアに割付けられた機能処理を重畳的に施すことを特徴とする請求項1から11の何れか一項記載の孔版印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−152943(P2012−152943A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12016(P2011−12016)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】