説明

孔版印刷装置

【課題】コストアップすることなくかつ印刷時間を増加させることなく仕分けを行うことが可能な孔版印刷装置を提供する。
【解決手段】その長さ方向に第1製版画像22と第2製版画像23とが2面並んだマスタを版胴9上に巻装し、給紙タイミングを変更して用紙Pを版胴9に押圧することにより用紙Pに第1製版画像22または第2製版画像23の何れか一方の画像を印刷することが可能であって、第1製版画像22と第2製版画像23との何れか一方に印刷用画像を他方に仕分け用画像をそれぞれ形成し、用紙Pに対して通常の印刷時には印刷用画像を、設定された仕分け時には仕分け用画像をそれぞれ印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、孔版印刷装置に関し、詳しくは印刷物の仕分けを行う仕分け技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、簡便な印刷方法としてデジタル式感熱孔版印刷が知られている。これは、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタに微細な発熱素子を複数有するサーマルヘッドを接触させ、この発熱素子に対しパルス的に通電を行いながらマスタをプラテンローラ等の搬送手段で搬送することにより、マスタの熱可塑性樹脂フィルムに画像情報に基づいた穿孔画像を熱溶融穿孔製版した後、この穿孔製版されたマスタを多孔性円筒状の版胴に巻装させ、プレスローラ等の押圧手段によって用紙を版胴外周面に押圧させることで版胴内周面に供給されたインキを版胴開孔部及びマスタ穿孔部から滲出させ、このインキを用紙に転移させることにより用紙上に印刷画像を得るものである。
【0003】
上述した孔版印刷を行う孔版印刷装置では、版胴外周面上に巻装されたマスタに穿孔された製版画像を介して版胴内部からインキを滲出させて用紙に転移させ、この印刷済みの用紙を排紙トレイに連続的に排出しているが、通常の孔版印刷装置では排紙トレイは1つのみ設けられているため、例えば総印刷枚数で500枚の印刷を行いこれを100枚ずつに仕分ける場合には、作業者が印刷された用紙を手作業で数える必要があり作業効率が著しく悪い。
【0004】
そこで、排紙トレイの用紙積載部分に退避可能に設けられ、排紙トレイ上に積載された用紙に接触してこれをずらすアームを設け、設定枚数毎にこのアームを揺動させて用紙をずらして仕分けを行う技術が例えば「特許文献1」に開示されている。また、排紙トレイの上面に臨み積載された用紙を搬送する無端ベルトを設け、この無端ベルトを設定枚数毎に走行させることにより積載されている用紙をずらして仕分けを行う技術が例えば「特許文献2」に開示されている。
【0005】
【特許文献1】特許第3894386号公報
【特許文献2】特開2005−132516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した各技術では、排紙トレイに別ユニットを設ける必要があり、コストアップしてしまうという問題点がある。また、印刷動作を中断して別ユニットを駆動させる必要があるため、印刷時間が増加してしまうという問題点もある。本発明は上述した問題点を解決し、コストアップすることなくかつ印刷時間を増加させることなく仕分けを行うことが可能な孔版印刷装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、その長さ方向に第1製版画像と第2製版画像とが2面並んだマスタを版胴上に巻装し、給紙タイミングを変更して用紙を前記版胴に押圧することにより用紙に第1製版画像または第2製版画像の何れか一方の画像を印刷することが可能な孔版印刷装置であって、第1製版画像と第2製版画像との何れか一方に印刷用画像を他方に仕分け用画像をそれぞれ形成し、用紙に対して通常の印刷時には前記印刷用画像を、設定された仕分け時には前記仕分け用画像をそれぞれ印刷することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、さらに前記仕分け用画像として製版がなされていない無製版画像を用い、仕分け時には前記無製版画像に用紙を押圧して白紙を排出することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、版胴及び前記版胴に対して接離自在に設けられたプレスローラを有する印刷部と、用紙を前記印刷部に向けて給送する給紙部と、前記印刷部において印刷がなされた用紙を排出する排紙部と、前記印刷部においてその表面に印刷がなされた用紙を一時的に貯容した後に前記印刷部に向けて表裏反転して再給紙する再給紙手段と、前記印刷部を通過した用紙を前記再給紙手段または前記排紙部の何れかに案内する切替部材とを有し、その長さ方向に第1製版画像と第2製版画像とが2面並んだマスタを前記版胴上に巻装し、片面印刷時には前記給紙部より給送された用紙を前記プレスローラによって前記版胴に押圧することにより用紙に第1製版画像または第2製版画像の何れか一方の画像を印刷するか、または前記再給紙手段より反転給送された用紙を前記プレスローラによって前記版胴に押圧することにより用紙に第1製版画像または第2製版画像の何れか他方を印刷し、両面印刷時には前記給紙部より1枚目の用紙を前記印刷部に給送してその表面に第1製版画像または第2製版画像の何れか一方を印刷し、印刷された1枚目の用紙を前記切替部材により前記再給紙手段に案内した後、前記給紙部より2枚目の用紙を前記印刷部に給送してその表面に第1製版画像または第2製版画像の何れか一方を印刷すると共に前記再給紙手段により1枚目の用紙を前記印刷部に再給紙してその裏面に第1製版画像または第2製版画像の何れか他方を印刷し、前記切替部材により1枚目の用紙を前記排紙部に2枚目の用紙を前記再給紙手段にそれぞれ案内する孔版印刷装置であって、片面印刷時には第1製版画像と第2製版画像との何れか一方に印刷用画像を他方に仕分け用画像をそれぞれ形成し、用紙に対して通常の印刷時には前記印刷用画像を、設定された仕分け時には前記仕分け用画像をそれぞれ印刷することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の孔版印刷装置において、さらに前記仕分け用画像として製版がなされていない無製版画像を用い、仕分け時には前記無製版画像に用紙を押圧して白紙を排出することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項3記載の孔版印刷装置において、さらに前記印刷用画像と前記仕分け用画像とが同じ画像であることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項3ないし5の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに両面印刷時には第1製版画像と第2製版画像との双方に印刷用画像をそれぞれ形成し、通常の印刷時には前記給紙部より1枚目の用紙を前記印刷部に給送してその表面に第1製版画像または第2製版画像の何れか一方を印刷し、印刷された1枚目の用紙を前記切替部材により前記再給紙手段に案内した後、前記給紙部より2枚目の用紙を前記印刷部に給送してその表面に第1製版画像または第2製版画像の何れか一方を印刷すると共に前記再給紙手段により1枚目の用紙を前記印刷部に再給紙してその裏面に第1製版画像または第2製版画像の何れか他方を印刷し、前記切替部材により1枚目の用紙を前記排紙部に2枚目の用紙を前記再給紙手段にそれぞれ案内し、設定された仕分け時には前記給紙部より1枚目の用紙を前記印刷部に給送してその表面に第1製版画像または第2製版画像の何れか他方を印刷し、印刷された1枚目の用紙を前記切替部材により前記再給紙手段に案内した後、前記給紙部より2枚目の用紙を前記印刷部に給送してその表面に第1製版画像または第2製版画像の何れか他方を印刷すると共に前記再給紙手段により1枚目の用紙を前記印刷部に再給紙してその裏面に第1製版画像または第2製版画像の何れか一方を印刷し、前記切替部材により1枚目の用紙を前記排紙部に2枚目の用紙を前記再給紙手段にそれぞれ案内することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、印刷動作を中断させることなく設定された枚数の印刷済み用紙間に1枚の仕分け用紙を挟み込むことができるので、コストアップすることなくかつ印刷時間を増加させることなく仕分けを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態を採用した孔版印刷装置を示している。同図において孔版印刷装置1は、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、画像読取部6、排紙部7等を有している。
装置本体8のほぼ中央部に配設された印刷部2は、版胴9とプレスローラ10とを有している。多数の開孔が形成された開孔部及び非開孔部を有する多孔性支持板を外周面に有する版胴9は、図示しない版胴駆動モータによって設定された印刷速度に応じた回転周速度で回転駆動される。多孔性支持板の開孔部上には樹脂あるいは金属の網体からなるメッシュスクリーンが複数層巻装されており、多孔性支持板の非開孔部上にはマスタの先端を挟持するクランパ11が開閉可能に設けられている。版胴9の内部には、版胴9の内周面にインキを供給する、インキローラ12及びドクターローラ13等を有する周知のインキ供給手段14が配設されている。本実施形態において、版胴9はその周長がA3サイズの用紙に対する印刷が可能である長さに設定されている。
【0015】
版胴9の下方には、一対のアーム部材15にその支軸両端を回転自在に支持されたプレスローラ10が配設されている。プレスローラ10は、各アーム部材15が図示しない揺動手段によって揺動されることにより、その外周面を版胴9の外周面に対して接離自在に構成されている。
【0016】
印刷部2の右上方には製版部3が配設されている。製版部3は、マスタ16に穿孔製版を行うサーマルヘッド17及びステッピングモータ29によって回転駆動されるプラテンローラ18、マスタ16を所定の長さに切断するマスタ切断手段19、マスタ16を印刷部2に向けて搬送するマスタ搬送ローラ対20,21等を有している。製版部3で製版された製版済みマスタは版胴9に向けて送られた後、版胴9の外周面上に巻装される。
【0017】
本実施形態における製版部3は、通常の印刷時においては図2に示すように最大A3サイズの用紙に対する印刷が可能な製版画像44を形成する他、図3に示すようにマスタ16の長さ方向に第1製版画像22と第2製版画像23とを2面並べて製版することが可能に構成されている。以下、製版画像44のみを有するマスタを製版マスタ、第1製版画像22と第2製版画像23とを有するマスタを分割製版マスタと呼ぶ。
【0018】
製版部3の下方には給紙部4が配設されている。給紙部4は、その上面に用紙Pを積載して上下動される給紙トレイ24、給紙ローラ25、分離ローラ対26、レジストローラ対27等を有している。給紙ローラ25及び分離ローラ対26は単一の給紙モータ28によって互いに同期して回転駆動される。給紙部4から印刷部2への用紙Pの給紙タイミングはレジストローラ対27の作動タイミングを変更することにより変更可能であり、版胴9の周面に上述した分割製版マスタが巻装された際には、給紙部4から印刷部2への用紙Pの給送タイミングは、第1製版画像22に対応するタイミングまたは第2製版画像23に対応するタイミングの何れかに選択的に切り換えられる。
【0019】
印刷部2の左上方には排版部5が配設されている。排版部5は、使用済みのマスタを外周面上より剥離して搬送する上排版部材30及び下排版部材31、使用済みのマスタを収容し装置本体8に対して着脱自在な排版ボックス32、排版ボックス32内に使用済みのマスタを押し込む圧縮板33等を有する周知の構成である。
【0020】
装置本体8の上部には画像読取部6が配設されている。画像読取部6は、印刷すべき原稿を載置するコンタクトガラス34、原稿画像を走査して読み取る走査ユニット35、走査された画像を集束する結像レンズ36、集束後の画像を認識する画像センサ37、画像センサより出力された画像をA/D変換する図示しないA/D変換器、複数枚の原稿を連続的に処理するADFユニット38等を有する周知の構成である。
【0021】
印刷部2の左下方には排紙部7が配設されている。排紙部7は、剥離爪39、排紙搬送手段40、排紙トレイ41等を有している。剥離爪39は装置本体8に揺動自在に取り付けられており、図示しない爪揺動手段の作動によりその先端部が版胴9の外周面に近接する位置と離間する位置とを選択的に占める。剥離爪39の下方に配設された排紙搬送手段40は、駆動ローラ、従動ローラ、無端ベルト、吸引ファン等を有している。排紙トレイ41は、その上面に1対のサイドフェンス42と1つのエンドフェンス43とを有している。
【0022】
上述の孔版印刷装置1において、製版部3で図2に示す製版マスタが作成され、これが版胴9の周面に巻装された後に図示しない印刷スタートキーが押下されると、版胴9が図1において時計回り方向に回転すると共に給紙モータ28が作動して給紙トレイ24上より用紙Pが1枚給送される。給送された用紙Pはレジストローラ対27で一時停止された後、版胴9上に巻装された製版マスタの製版画像44の先端部と対応するタイミングでレジストローラ対27が回転駆動することにより版胴9とプレスローラ10との間に向けて給送される。給送された用紙Pはプレスローラ10によって版胴9の周面に押圧されて製版画像44に対応した印刷画像を形成された後、剥離爪39の先端によって版胴9の周面より剥離されて排紙搬送手段40へと落下し、排紙搬送手段40によって吸引搬送されて排紙トレイ41上に排出される。そして設定された印刷枚数が消化されると孔版印刷装置1の動作が停止する。
【0023】
また、製版部3で図3に示す分割製版マスタが作成されこれが版胴9の周面に巻装された後、印刷すべき画像が指定(第1製版画像22または第2製版画像23)された後に図示しない印刷スタートキーが押下されると、版胴9が図1において時計回り方向に回転すると共に給紙モータ28が作動して給紙トレイ24上より用紙Pが1枚給送される。給送された用紙Pはレジストローラ対27で一時停止された後、版胴9上に巻装された分割製版マスタの指定された製版画像の先端部と対応するタイミングでレジストローラ対27が回転駆動することにより版胴9とプレスローラ10との間に向けて給送される。給送された用紙Pはプレスローラ10によって版胴9の周面に押圧されて指定された製版画像に対応した印刷画像を形成された後、剥離爪39の先端によって版胴9の周面より剥離されて排紙搬送手段40へと落下し、排紙搬送手段40によって吸引搬送されて排紙トレイ41上に排出される。そして設定された印刷枚数が消化されると孔版印刷装置1の動作が停止する。
【0024】
上述の印刷後、印刷すべき画像の指定が変更された後に再び図示しない印刷スタートキーが押下されると、レジストローラ対27による用紙Pの給送タイミングが変更された後に上述と同様に指定された製版画像に対して給紙部4より用紙Pが給送されて印刷が行われる。
【0025】
本実施形態で示す孔版印刷装置1では、上述した通常の印刷動作の他に仕分けを行う仕分けモードを備えている。以下、この仕分けモード時における孔版印刷装置1の動作を説明する。仕分けモード時の印刷では製版部3において分割製版マスタを製版し、第1製版画像22と第2製版画像23との何れか一方に印刷画像を他方に仕分け用画像をそれぞれ形成する。仕分けモードの印刷に先立ち、オペレータは第1製版画像22及び第2製版画像23のどちらに印刷画像を形成するかを指定すると共に、総印刷枚数並びに仕分け枚数を設定する。本実施形態では、第1製版画像22に印刷画像を第2製版画像23に仕分け用画像をそれぞれ形成し、総印刷枚数300枚で100枚ごとに仕分けを行う設定とする。
【0026】
設定後に図示しない印刷スタートキーが押下されると、版胴9が図1において時計回り方向に回転すると共に給紙モータ28が作動して給紙トレイ24上より用紙Pが1枚給送される。給送された用紙Pはレジストローラ対27で一時停止された後、版胴9上に巻装された分割製版マスタの第1製版画像22の先端部と対応するタイミングでレジストローラ対27が回転駆動することにより版胴9とプレスローラ10との間に向けて給送される。給送された用紙Pはプレスローラ10によって版胴9の周面に押圧されて第1製版画像22に対応した印刷画像を形成された後、剥離爪39の先端によって版胴9の周面より剥離されて排紙搬送手段40へと落下し、排紙搬送手段40によって吸引搬送されて排紙トレイ41上に排出される。そして100枚の印刷が完了すると孔版印刷装置1の動作が一時停止する。
【0027】
一時停止後、版胴9が図1において時計回り方向に回転すると共に給紙モータ28が作動して給紙トレイ24上より用紙Pが1枚給送される。給送された用紙Pはレジストローラ対27で一時停止された後、版胴9上に巻装された分割製版マスタの第2製版画像23の先端部と対応するタイミングでレジストローラ対27が回転駆動することにより版胴9とプレスローラ10との間に向けて給送される。給送された用紙Pはプレスローラ10によって版胴9の周面に押圧されて第2製版画像23に対応した印刷画像を形成された後、排紙トレイ41上に排出される。そして1枚の仕分け印刷が完了すると孔版印刷装置1の動作が一時停止する。この仕分け印刷は、設定された総印刷枚数には含まれない。
【0028】
その後、上述した100枚の画像印刷と1枚の仕分け印刷とが交互に繰り返され、画像印刷の総数が300枚となると孔版印刷装置1の動作が停止される。この一連の動作により、排紙トレイ41上には100枚の画像印刷済み用紙、1枚の仕分け印刷済み用紙、100枚の画像印刷済み用紙、1枚の仕分け印刷済み用紙、100枚の画像印刷済み用紙が下から順に積載されることとなり、オペレータはこの302枚の用紙束を排紙トレイ41上より取り出し、目視によって印刷済み用紙間に挟まった仕分け印刷済み用紙を確認する。この構成により、印刷動作を中断させることなく設定された枚数の印刷済み用紙間に1枚の仕分け用紙を挟み込むことができるので、コストアップすることなくかつ印刷時間を増加させることなく仕分けを行うことができる。
【0029】
上述した第1の実施形態では、仕分け用紙として第2製版画像23に対応した印刷画像が形成された用紙を用いる構成としたが、第2製版画像23として製版画像を形成せずに無製版状態とし、この無製版画像に仕分け用紙を押圧して仕分け用紙として白紙を排出する構成を採用しても良い。この構成によれば、白紙として排出した仕分け用紙を印刷用紙として再利用することができ、コストダウンを図ることができる。
【0030】
図4は、本発明の第2の実施形態に用いられる孔版印刷装置を示している。この孔版印刷装置は、特開2003−200645号に開示された両面印刷装置と関連した構成を有しているので、各部位の説明をできるだけ省略する。
図4において孔版印刷装置51は、印刷部52、製版部53、給紙部54、排版部55、排紙部56、画像読取部57、補助トレイ58を有する再給紙手段59、切替部材60等を有している。
【0031】
装置本体61のほぼ中央に配置された印刷部52は、版胴62とプレスローラ63とを有している。版胴62は装置本体61に回転自在に支持されており、図示しない版胴駆動手段によって回転駆動される。版胴62はその外周面に開閉自在なクランパ64を有しており、片面印刷時には版胴62の外周面に図2に示す製版マスタが、両面印刷時には図5に示す分割製版マスタ65がそれぞれ巻装される。分割製版マスタ65には表面画像に応じた第1製版画像66と裏面画像に応じた第2製版画像67とが形成されており、各製版画像66,67間には未製版部分68が形成されている。分割製版マスタ65は、版胴62上において、第1製版画像66が図1に示す表面領域に、第2製版画像67が同裏面領域に、未製版部分68が同中間領域にそれぞれ対応するように巻装される。版胴62の外周面近傍には、版胴62の位置を検知するロータリエンコーダ69が設けられている。
【0032】
版胴11の下方にはプレスローラ63が配設されている。フッ素樹脂等の撥水性を有する弾性体からなるプレスローラ63は図示しないアーム部材にその両端を回転自在に支持されており、図示しないアーム部材は図示しない揺動手段によって揺動自在に支持されている。プレスローラ63はその周面が版胴62より離間する図4に示す離間位置と、その周面が版胴62上の分割製版マスタ65に圧接する圧接位置とを選択的に占める。プレスローラ63の周面近傍には、プレスローラ63の周面に接触してクリーニングを行うクリーニングローラ70が配設されている。クリーニングローラ70は、図示しない駆動手段によって回転駆動される。
【0033】
プレスローラ63の右方近傍には再給紙手段59から送られた表面印刷済みの用紙Pをプレスローラ63の周面に沿わせて搬送するための再給紙案内部材71が配設されており、プレスローラ63の下方には補助トレイ58上に貯留された用紙Pをプレスローラ63の周面に接触させて送り出す再給紙レジストローラ72が配設されている。プレスローラ63の左下方には上面に補助トレイ58を有する再給紙搬送ユニット73が配設されており、これには再給紙位置決め部材74が一体的に設けられている。再給紙搬送ユニット73の上方には、補助トレイ58の上面に沿って移動自在な用紙受け板75が配設されている。これら補助トレイ58、再給紙案内部材71、再給紙レジストローラ72、再給紙位置決め部材74、再給紙搬送ユニット73及び用紙受け板75によって再給紙手段59が構成されている。
【0034】
版胴62とプレスローラ63との接触位置の左方であって、用紙Pの搬送経路上には切替部材60が配設されている。切替部材60はその用紙搬送方向下流側端部を装置本体61に回動自在に支持されており、図示しない移動手段によって移動され、図1に実線で示す第1の位置と二点鎖線で示す第2の位置とを選択的に占める。版胴62とプレスローラ63との間を通過した用紙Pは、切替部材60が第1の位置を占めているときに排紙部56へと案内され、切替部材60が第2の位置を占めているときに補助トレイ58へと案内される。
【0035】
印刷部52の右上方には製版部53が配設されている。製版部53は、マスタ76をロール状に巻成したマスタロールを保持するマスタ保持部材77、プラテンローラ78、サーマルヘッド79、マスタ切断手段80、マスタストック部81、テンションローラ対82、反転ローラ対83等を有する周知の構成であり、製版部53では分割製版マスタ65が作成される。
【0036】
製版部53の下方には給紙部54が配設されている。給紙部54は、給紙トレイ、給紙ローラ、分離ローラ、分離パッド、レジストローラ対等を有する周知の構成である。
【0037】
印刷部2の左上方に配設された排版部55も、上排版部材、下排版部材、排版ボックス、圧縮板等を有する周知の構成であり、使用済みの分割製版マスタ65を版胴62の外周面より剥離して排版ボックスの内部に廃棄する。
【0038】
排版部55の下方には排紙部56が配設されている。排紙部56は、剥離爪84、排紙搬送ユニット85、排紙トレイ86、剥離ファン87等を有している。剥離爪84は図示しない揺動手段によってその先端部が版胴62の外周面に対して近接・離間自在に設けられており、近接位置を占めた際に版胴62の外周面上より用紙Pを剥離する。排紙搬送ユニット85は、駆動ローラ、従動ローラ、無端ベルト、吸引ファン等を有しており、無端ベルトの上面に印刷済みの用紙Pを吸引しつつ図1の矢印方向に搬送する。排紙トレイ86は1個のエンドフェンスと一対のサイドフェンスとを有しており、その上面に印刷済みの用紙Pを積載する。剥離ファン87は剥離爪84の上方に配設されており、版胴62の外周面に向けて送風を行うことにより表面印刷工程を終えて切替部材60によって版胴62の外周面上から剥離される用紙P、及び裏面印刷工程を終えて剥離爪84によって版胴62の外周面上から剥離される用紙Pの先端をそれぞれ送風によって浮き上がらせる。
【0039】
装置本体61の上部には画像読取部57が配設されている。画像読取部57は、図示しないコンタクトガラス、コンタクトガラスに対して接離自在に設けられた図示しない圧板、原稿画像を走査して読み取るそれぞれ図示しない反射ミラー及び蛍光灯、走査された画像を集束する図示しないレンズ、集束された画像を処理する図示しない画像センサ等を有している。
【0040】
上述した孔版印刷装置51では、画像読取部57に原稿がセットされ図示しない製版スタートキーが押下されることにより、排版部55が作動して排版動作が行われた後に製版部53が作動して製版動作が行われ、版胴62に製版マスタが巻装されて片面印刷状態となる。その後、印刷枚数が置数された後に図示しない印刷スタートキーが押下されることにより、給紙部54より用紙Pが連続的に給送されて片面印刷が行われる。そして、置数された印刷枚数に達すると片面印刷動作が完了し、孔版印刷装置51は再び片面印刷待機状態となる。
【0041】
この孔版印刷装置51においても、製版部53で分割製版マスタ65が作成されこれが版胴62の周面に巻装された後、印刷すべき画像が指定(第1製版画像66または第2製版画像67)された後に図示しない印刷スタートキーが押下されると、版胴62が図1において時計回り方向に回転すると共に給紙部54より用紙Pが1枚給送される。給送された用紙Pはレジストローラ対で一時停止された後、版胴62上に巻装された分割製版マスタ65の指定された製版画像の先端部と対応するタイミングでレジストローラ対が回転駆動することにより版胴62とプレスローラ63との間に向けて給送される。給送された用紙Pはプレスローラ63によって版胴62の周面に押圧されて指定された製版画像に対応した印刷画像を形成された後、第1の位置を占めた切替部材10によって排紙部56へと案内され、排紙搬送ユニット85によって吸引搬送されて排紙トレイ86上に排出される。そして設定された印刷枚数が消化されると孔版印刷装置1の動作が停止する。
【0042】
上述の印刷後、印刷すべき画像の指定が変更された後に再び図示しない印刷スタートキーが押下されると、レジストローラ対による用紙Pの給送タイミングが変更された後に上述と同様に指定された製版画像に対して給紙部54より用紙Pが給送されて印刷が行われる。
【0043】
また、画像読取部57に原稿がセットされ図示しない両面印刷キーが押下された後に図示しない製版スタートキーが押下されることにより、排版部55が作動して排版動作が行われた後に製版部53が作動して製版動作が行われ、版胴62に分割製版マスタ65が巻装されて両面印刷待機状態となる。その後、印刷枚数が置数された後に図示しない印刷スタートキーが押下されることにより、給紙部4より用紙Pが連続的に給送されて両面印刷が行われる。以下に両面印刷動作を説明する。
【0044】
版胴62が所定の角度まで回転してその表面領域がプレスローラ63と対応する所定位置を占めると、プレスローラ63が圧接位置を占めることにより給紙部4より所定のタイミングで給送された用紙Pが版胴62上の分割製版マスタ65の第1製版画像66に圧接され、その一方の面に表面画像を転写される。表面印刷済み用紙となった用紙Pは、第2の位置を占めている切替部材60の先端によって版胴62の外周面より剥離され、再給紙搬送ユニット73へと送られる。このとき用紙Pはその先端を用紙受け板75によって受け止められ、後端側から補助トレイ58上に載置される。補助トレイ58上の用紙Pは再給紙搬送ユニット73によって図4の矢印方向に搬送され、その先端を再給紙位置決め部材74に当接させた状態で一時停止される。
【0045】
1枚目の用紙Pが補助トレイ58上に案内されている間も版胴62は回転を継続しており、給紙部4からは1枚目の用紙Pと同じタイミングで2枚目の用紙Pが給送される。給送された2枚目の用紙Pは1枚目の用紙Pと同様にプレスローラ63によってその一方の面に表面画像を転写された後、第2の位置を占めている切替部材60によって再給紙搬送ユニット73へと送られる。給紙部4から2枚目の用紙Pが給送された後、版胴62の裏面領域がプレスローラ63と対応する位置に到達するよりもやや早いタイミングで再給紙レジストローラ72が作動し、補助トレイ58上に貯留されている1枚目の用紙Pがプレスローラ63の周面に圧接される。プレスローラ63の周面に圧接された1枚目の用紙Pは、版胴62に圧接して従動回転しているプレスローラ63の回転力によって版胴62との当接部に向けて搬送され、分割製版マスタ65の第2製版画像67に圧接されることによりその他方の面に裏面画像を転写される。
【0046】
裏面画像を転写されて両面印刷済み用紙となった1枚目の用紙Pは第1の位置を占めた切替部材60によって排紙部56へと案内され、剥離ファン87からの送風によってその先端部を浮き上げられた後、剥離爪84の先端によって版胴62の外周面より剥離される。剥離された印刷済みの用紙Pは排紙搬送ユニット85へと送られた後、搬送されて排紙トレイ86上に排出積載される。以下、上述の動作が設定された印刷枚数を消化するまで繰り返され、設定された枚数の両面印刷が完了すると各部位の作動が停止して孔版印刷装置51は再び両面印刷待機状態となる。
【0047】
本実施形態で示す孔版印刷装置51では、上述した通常の印刷動作の他に仕分けを行う仕分けモードを備えている。仕分けモードは片面印刷及び両面印刷において行うことができる。以下、片面印刷時での仕分けモード(以下、片面仕分けモードという)時における孔版印刷装置51の動作を説明する。片面仕分けモード時の印刷では製版部53において分割製版マスタ65を製版し、第1製版画像66と第2製版画像67との何れか一方に印刷画像を他方に仕分け用画像をそれぞれ形成する。片面仕分けモードの印刷に先立ち、オペレータは第1製版画像66及び第2製版画像67のどちらに印刷画像を形成するかを指定すると共に、総印刷枚数並びに仕分け枚数を設定する。本実施形態では、第1製版画像66に印刷画像を第2製版画像67に仕分け用画像をそれぞれ形成し、総印刷枚数300枚で100枚ごとに仕分けを行う設定とする。
【0048】
設定後に図示しない印刷スタートキーが押下されると、版胴62が図4において時計回り方向に回転すると共に給紙部4から用紙Pが1枚給送される。給送された用紙Pはレジストローラ対で一時停止された後、版胴62上に巻装された分割製版マスタ65の第1製版画像66の先端部と対応するタイミングで版胴62とプレスローラ63との間に向けて給送される。給送された用紙Pはプレスローラ63によって版胴62の周面に押圧されて第1製版画像66に対応した印刷画像を形成された後、第1の位置を占めた切替部材60によって排紙部56へと案内され、排紙搬送ユニット85によって排紙トレイ86上に排出積載される。そして100枚の印刷が完了すると孔版印刷装置51の動作が一時停止する。
【0049】
一時停止後、版胴62が図4において時計回り方向に回転すると共に給紙部54より仕分け用の用紙Pが1枚給送される。給送された用紙Pはレジストローラ対で一時停止された後に版胴62とプレスローラ63との間に向けて給送されるが、このときプレスローラ63は版胴62に対して圧接せず、給送された用紙Pは版胴62の周面に接することなく第2の位置を占めている切替部材60によって再給紙手段59に案内される。そして、版胴62の裏面領域がプレスローラ63と対応する位置に到達するよりもやや早いタイミングで再給紙レジストローラ72が作動し、補助トレイ58上に貯留されている用紙Pがプレスローラ63の周面に圧接される。プレスローラ63の周面に圧接された用紙Pは、版胴62に圧接して従動回転しているプレスローラ63の回転力によって版胴62との当接部に向けて搬送され、分割製版マスタ65の第2製版画像67に圧接されることによりその他方の面に裏面画像を転写される。
【0050】
裏面画像を転写された仕分け用の用紙Pは第1の位置を占めた切替部材60によって排紙部56へと案内され、排紙搬送ユニット85を介して排紙トレイ86上に排出積載される。そして1枚の仕分け印刷が完了すると孔版印刷装置51の動作が一時停止する。この仕分け印刷は、設定された印刷枚数には含まれない。
【0051】
その後、上述した100枚の画像印刷と1枚の仕分け印刷とが交互に繰り返され、印刷画像の総数が300枚となると孔版印刷装置51の動作が停止される。この一連の動作により、排紙トレイ86上には100枚の片面画像印刷済み用紙、1枚の仕分け用紙、100枚の片面画像印刷済み用紙、1枚の仕分け用紙、100枚の片面画像印刷済み用紙、1枚の仕分け用紙、100枚の片面画像印刷済み用紙が下から順に積載されることとなり、オペレータはこの302枚の用紙束を排紙トレイ86上より取り出し、目視によって印刷済み用紙間に挟まった仕分け印刷済み用紙を確認する。このとき、仕分け印刷済み用紙は裏面側に印刷画像が形成されており表面側は白紙状態であるので、仕分け用紙を簡単に見分けることができる。この構成により、印刷動作を中断させることなく設定された枚数の印刷済み用紙間に1枚の仕分け用紙を挟み込むことができるので、コストアップすることなくかつ印刷時間を増加させることなく仕分けを簡単に行うことができる。
【0052】
この第2の実施形態においても、第2製版画像67として製版画像を形成せずに無製版状態のものを用い仕分け用紙として白紙を排出する構成とすることにより、仕分け用紙を再利用することができコストダウンを図ることができる。また、第2製版画像67として第1製版画像66と同じ画像を形成する構成としてもよい。この場合でも仕分け用紙は反転されて白紙面を上に排出されるので仕分けを簡単に行うことができ、さらに仕分け用紙を印刷済み用紙として用いることができ、コストダウンを図ることができる。
【0053】
次に、両面印刷時での仕分けモード(以下、両面仕分けモードという)時における孔版印刷装置51の動作を説明する。両面仕分けモード時の印刷では製版部53において分割製版マスタ65を製版し、第1製版画像66と第2製版画像67との双方に印刷画像を形成する。両面仕分けモードの印刷に先立ち、オペレータは総印刷枚数並びに仕分け枚数を設定する。本実施形態では、総印刷枚数300枚で100枚ごとに仕分けを行う設定とする。
【0054】
版胴62が所定の角度まで回転してその表面領域がプレスローラ63と対応する所定位置を占めると、プレスローラ63が圧接位置を占めることにより給紙部4より所定のタイミングで給送された用紙Pが版胴62上の分割製版マスタ65の第1製版画像66に圧接され、その一方の面に表面画像を転写される。表面印刷済み用紙となった用紙Pは、第2の位置を占めている切替部材60の先端によって版胴62の外周面より剥離され、再給紙搬送ユニット73へと送られる。補助トレイ58上の用紙Pは再給紙搬送ユニット73によって図4の矢印方向に搬送され、その先端を再給紙位置決め部材74に当接させた状態で一時停止される。
【0055】
給紙部4からは1枚目の用紙Pと同じタイミングで2枚目の用紙Pが給送される。給送された2枚目の用紙Pは1枚目の用紙Pと同様にプレスローラ63によってその一方の面に表面画像を転写された後、第2の位置を占めている切替部材60によって再給紙搬送ユニット73へと送られる。給紙部4から2枚目の用紙Pが給送された後、版胴62の裏面領域がプレスローラ63と対応する位置に到達するよりもやや早いタイミングで再給紙レジストローラ72が作動し、補助トレイ58上に貯留されている1枚目の用紙Pがプレスローラ63の周面に圧接される。プレスローラ63の周面に圧接された1枚目の用紙Pは、版胴62に圧接して従動回転しているプレスローラ63の回転力によって版胴62との当接部に向けて搬送され、分割製版マスタ65の第2製版画像67に圧接されることによりその他方の面に裏面画像を転写される。
【0056】
裏面画像を転写されて両面印刷済み用紙となった1枚目の用紙Pは第1の位置を占めた切替部材60によって排紙部56へと案内され、排紙搬送ユニット85を介して排紙トレイ86上に排出積載される。以下、上述の動作が印刷枚数99枚まで繰り返され、100枚目の用紙Pが給紙部4より給送されてプレスローラ63が圧接位置を占めることにより用紙Pの一方の面に表面画像が転写された後、表面印刷済み用紙となった用紙Pが第2の位置を占めている切替部材60によって再給紙搬送ユニット73へと送られると、給紙部4からの用紙Pの給送が一時停止される。補助トレイ58上の用紙Pは再給紙搬送ユニット73によって図4の矢印方向に搬送され、その先端を再給紙位置決め部材74に当接させた状態で一時停止される。
【0057】
そして、版胴62の裏面領域がプレスローラ63と対応する位置に到達するよりもやや早いタイミングで再給紙レジストローラ72が作動し、補助トレイ58上に貯留されている100枚目の用紙Pがプレスローラ63の周面に圧接される。プレスローラ63の周面に圧接された100枚目の用紙Pは、分割製版マスタ65の第2製版画像67に圧接されることによりその他方の面に裏面画像を転写される。裏面画像を転写されて両面印刷済み用紙となった100枚目の用紙Pは第1の位置を占めた切替部材60によって排紙部56へと案内され、排紙搬送ユニット85を介して排紙トレイ86上に排出積載される。
【0058】
100枚目の用紙Pが排紙トレイ86上に排出された後に給紙部4より1枚の仕分け用の用紙Pが給送され、版胴62が所定の角度まで回転してその裏面領域がプレスローラ63と対応する所定位置を占めると、プレスローラ63が圧接位置を占めることにより給紙部4より所定のタイミングで給送された仕分け用の用紙Pが版胴62上の分割製版マスタ65の第2製版画像67に圧接され、その一方の面に裏面画像を転写される。表面印刷済み用紙となった用紙Pは、第2の位置を占めている切替部材60の先端によって版胴62の外周面より剥離され、再給紙搬送ユニット73へと送られる。補助トレイ58上の用紙Pは再給紙搬送ユニット73によって図4の矢印方向に搬送され、その先端を再給紙位置決め部材74に当接させた状態で一時停止される。
【0059】
そして、版胴62の表面領域がプレスローラ63と対応する位置に到達するよりもやや早いタイミングで再給紙レジストローラ72が作動し、補助トレイ58上に貯留されている仕分け用の用紙Pがプレスローラ63の周面に圧接される。プレスローラ63の周面に圧接された仕分け用の用紙Pは、分割製版マスタ65の第1製版画像66に圧接されることによりその他方の面に表面画像を転写される。表面画像を転写されて両面印刷済み用紙となった仕分け用の用紙Pは第1の位置を占めた切替部材60によって排紙部56へと案内され、排紙搬送ユニット85を介して排紙トレイ86上に排出積載された後、孔版印刷装置51の動作が一時停止する。この仕分け印刷は設定された総印刷枚数には含まれない。
【0060】
排紙トレイ上に仕分け用の用紙Pが排出された後、上述と同様に100枚の両面画像印刷と1枚の仕分け印刷とが交互に繰り返され、画像印刷の総数が300枚となると孔版印刷装置51の動作が停止される。この一連の動作により、排紙トレイ86上には100枚の両面画像印刷済み用紙、1枚の仕分け印刷済み用紙、100枚の両面画像印刷済み用紙、1枚の仕分け印刷済み用紙、100枚の両面画像印刷済み用紙が下から順に積載されることとなり、オペレータはこの302枚の用紙束を排紙トレイ86上より取り出し、目視によって印刷済み用紙間に挟まった仕分け印刷済み用紙を確認する。このとき、仕分け印刷済み用紙は両面画像印刷済み用紙とはその表裏が逆であるので、仕分け用紙を簡単に見分けることができる。この構成により、印刷動作を中断させることなく設定された枚数の印刷済み用紙間に1枚の仕分け用紙を挟み込むことができるので、コストアップすることなくかつ印刷時間を増加させることなく仕分けを簡単に行うことができる。また、仕分け用紙として出力した用紙を両面画像印刷済み用紙として流用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施形態を採用した孔版印刷装置の概略正面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に用いられる製版マスタを説明する概略図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に用いられる分割製版マスタを説明する概略図である。
【図4】本発明の第2の実施形態を採用した孔版印刷装置の概略正面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に用いられる分割製版マスタを説明する概略図である。
【符号の説明】
【0062】
1,51 孔版印刷装置
9,62 製版部
16 マスタ
22,66 第1製版画像
23,67 第2製版画像
52 印刷部
54 給紙部
56 排紙部
59 再給紙手段
60 切替部材
63 プレスローラ
65 分割製版マスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その長さ方向に第1製版画像と第2製版画像とが2面並んだマスタを版胴上に巻装し、給紙タイミングを変更して用紙を前記版胴に押圧することにより用紙に第1製版画像または第2製版画像の何れか一方の画像を印刷することが可能な孔版印刷装置であって、
第1製版画像と第2製版画像との何れか一方に印刷用画像を他方に仕分け用画像をそれぞれ形成し、用紙に対して通常の印刷時には前記印刷用画像を、設定された仕分け時には前記仕分け用画像をそれぞれ印刷することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の孔版印刷装置において、
前記仕分け用画像として製版がなされていない無製版画像を用い、仕分け時には前記無製版画像に用紙を押圧して白紙を排出することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項3】
版胴及び前記版胴に対して接離自在に設けられたプレスローラを有する印刷部と、用紙を前記印刷部に向けて給送する給紙部と、前記印刷部において印刷がなされた用紙を排出する排紙部と、前記印刷部においてその表面に印刷がなされた用紙を一時的に貯容した後に前記印刷部に向けて表裏反転して再給紙する再給紙手段と、前記印刷部を通過した用紙を前記再給紙手段または前記排紙部の何れかに案内する切替部材とを有し、
その長さ方向に第1製版画像と第2製版画像とが2面並んだマスタを前記版胴上に巻装し、片面印刷時には前記給紙部より給送された用紙を前記プレスローラによって前記版胴に押圧することにより用紙に第1製版画像または第2製版画像の何れか一方の画像を印刷するか、または前記再給紙手段より反転給送された用紙を前記プレスローラによって前記版胴に押圧することにより用紙に第1製版画像または第2製版画像の何れか他方を印刷し、両面印刷時には前記給紙部より1枚目の用紙を前記印刷部に給送してその表面に第1製版画像または第2製版画像の何れか一方を印刷し、印刷された1枚目の用紙を前記切替部材により前記再給紙手段に案内した後、前記給紙部より2枚目の用紙を前記印刷部に給送してその表面に第1製版画像または第2製版画像の何れか一方を印刷すると共に前記再給紙手段により1枚目の用紙を前記印刷部に再給紙してその裏面に第1製版画像または第2製版画像の何れか他方を印刷し、前記切替部材により1枚目の用紙を前記排紙部に2枚目の用紙を前記再給紙手段にそれぞれ案内する孔版印刷装置であって、
片面印刷時には第1製版画像と第2製版画像との何れか一方に印刷用画像を他方に仕分け用画像をそれぞれ形成し、用紙に対して通常の印刷時には前記印刷用画像を、設定された仕分け時には前記仕分け用画像をそれぞれ印刷することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項4】
請求項3記載の孔版印刷装置において、
前記仕分け用画像として製版がなされていない無製版画像を用い、仕分け時には前記無製版画像に用紙を押圧して白紙を排出することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項5】
請求項3記載の孔版印刷装置において、
前記印刷用画像と前記仕分け用画像とが同じ画像であることを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項6】
請求項3ないし5の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
両面印刷時には第1製版画像と第2製版画像との双方に印刷用画像をそれぞれ形成し、通常の印刷時には前記給紙部より1枚目の用紙を前記印刷部に給送してその表面に第1製版画像または第2製版画像の何れか一方を印刷し、印刷された1枚目の用紙を前記切替部材により前記再給紙手段に案内した後、前記給紙部より2枚目の用紙を前記印刷部に給送してその表面に第1製版画像または第2製版画像の何れか一方を印刷すると共に前記再給紙手段により1枚目の用紙を前記印刷部に再給紙してその裏面に第1製版画像または第2製版画像の何れか他方を印刷し、前記切替部材により1枚目の用紙を前記排紙部に2枚目の用紙を前記再給紙手段にそれぞれ案内し、設定された仕分け時には前記給紙部より1枚目の用紙を前記印刷部に給送してその表面に第1製版画像または第2製版画像の何れか他方を印刷し、印刷された1枚目の用紙を前記切替部材により前記再給紙手段に案内した後、前記給紙部より2枚目の用紙を前記印刷部に給送してその表面に第1製版画像または第2製版画像の何れか他方を印刷すると共に前記再給紙手段により1枚目の用紙を前記印刷部に再給紙してその裏面に第1製版画像または第2製版画像の何れか一方を印刷し、前記切替部材により1枚目の用紙を前記排紙部に2枚目の用紙を前記再給紙手段にそれぞれ案内することを特徴とする孔版印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−291956(P2009−291956A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144846(P2008−144846)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)