孔版印刷装置
【課題】天地移動機構あるいは左右移動機構を備えた孔版印刷装置が長期間放置された後であっても最初から良好な印刷物を得ることが可能な孔版印刷装置を提供する。
【解決手段】周面に開孔部を有する版胴7と、版胴7の内周面にインキを供給するインキローラ10と、前記開孔部を介してインキローラ10の周面と接離自在に設けられ版胴7の外周面に用紙を押圧する押圧手段16と、前記開孔部を版胴7の軸方向に移動させる左右移動機構28とを備えた孔版印刷装置において、前記開孔部を基準位置より前記軸方向に移動させ、前記外周面に無製版マスタを巻装して押圧手段16を無通紙状態で前記外周面に接触させて版胴7を回転させる空転モードを有する。
【解決手段】周面に開孔部を有する版胴7と、版胴7の内周面にインキを供給するインキローラ10と、前記開孔部を介してインキローラ10の周面と接離自在に設けられ版胴7の外周面に用紙を押圧する押圧手段16と、前記開孔部を版胴7の軸方向に移動させる左右移動機構28とを備えた孔版印刷装置において、前記開孔部を基準位置より前記軸方向に移動させ、前記外周面に無製版マスタを巻装して押圧手段16を無通紙状態で前記外周面に接触させて版胴7を回転させる空転モードを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天地移動機構あるいは左右移動機構を備えた孔版印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、簡便な印刷方法としてデジタル式感熱孔版印刷が知られている。これは、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタに微細な発熱素子を複数有するサーマルヘッドを接触させ、この発熱素子に対しパルス的に通電を行いながらマスタをプラテンローラ等の搬送手段で搬送することにより、マスタの熱可塑性樹脂フィルムに画像情報に基づいた穿孔画像を熱溶融穿孔製版した後、この穿孔製版されたマスタを多孔性円筒状の版胴に巻装させ、プレスローラ等の押圧手段によって用紙を版胴外周面に押圧させることで版胴内周面に供給されたインキを版胴開孔部及びマスタ穿孔部から滲出させ、このインキを用紙に転移させることにより用紙上に印刷画像を得るものである。
【0003】
上述した孔版印刷を行う孔版印刷装置において、印刷装置が長期間放置されると版胴開孔部に付着したインキが変性し、次の印刷を行う際には良好な画像を得るまでに複数枚の印刷不良用紙を排出しなければならず、コスト面及び作業効率面からも悪影響を及ぼしてしまうという問題点があった。そこで、孔版印刷装置が長期間放置された後に新たな製版印刷動作が行われても1枚目から良好な印刷物を得る技術が例えば「特許文献1」に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−268390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在の孔版印刷装置において、印刷画像を用紙の所望の位置に得るため、用紙に対して印刷画像を用紙搬送方向に調整する天地移動機構及び/または用紙搬送方向と直交する方向に調整する左右移動機構を備えたものが知られている。上述した天地移動機構あるいは左右移動機構を備えた孔版印刷装置において、通常の印刷では使用しない天地移動あるいは左右移動の調整代にあたる版胴内周面には、装置が長期間使用されない場合に「特許文献1」に開示された技術を用いても変性したインキが残存しているため、印刷当初において印刷不良が発生してしまうという問題点がある。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決し、天地移動機構あるいは左右移動機構を備えた孔版印刷装置が長期間放置された後であっても最初から良好な印刷物を得ることが可能な孔版印刷装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、周面に開孔部を有する版胴と、前記版胴の内周面にインキを供給するインキローラと、前記開孔部を介して前記インキローラの周面と接離自在に設けられ前記版胴の外周面に用紙を押圧する押圧手段と、前記開孔部を前記版胴の軸方向に移動させる左右移動機構とを備えた孔版印刷装置において、前記開孔部を基準位置より前記軸方向に移動させ、前記外周面に無製版マスタを巻装して前記押圧手段を無通紙状態で前記外周面に接触させて前記版胴を回転させる空転モードを有することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、周面に開孔部を有する版胴と、前記版胴の内周面にインキを供給するインキローラと、前記開孔部を介して前記インキローラの周面と接離自在に設けられ前記版胴の外周面に用紙を押圧する押圧手段と、前記開孔部を前記版胴の軸方向に移動させる左右移動機構とを備えた孔版印刷装置において、前記開孔部を基準位置より前記軸方向に移動させ、前記外周面に製版マスタを巻装して前記押圧手段を通紙状態で前記外周面に接触させて前記版胴を回転させる空転モードを有することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、周面に開孔部を有する版胴と、前記版胴の内周面にインキを供給するインキローラと、前記内周面及び前記インキローラの周面に接触するインキ補充ローラと、前記開孔部を前記版胴の軸方向に移動させる左右移動機構とを備えた孔版印刷装置において、前記開孔部を基準位置より前記軸方向に移動させ、前記インキ補充ローラを前記内周面及び前記インキローラの周面に接触させて無通紙状態で前記版胴を回転させる空転モードを有することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、版胴と、外周面に用紙を保持し該用紙を前記版胴に圧接する圧胴と、前記版胴と前記圧胴との接触位置を前記版胴の回転方向に移動させる天地移動機構とを備えた孔版印刷装置において、前記接触位置を基準位置より前記回転方向に移動させ、前記外周面に無製版マスタを巻装して前記圧胴を無通紙状態で前記版胴に接触させて前記版胴を回転させる空転モードを有することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、版胴と、外周面に用紙を保持し該用紙を前記版胴に圧接する圧胴と、前記版胴と前記圧胴との接触位置を前記版胴の回転方向に移動させる天地移動機構とを備えた孔版印刷装置において、前記接触位置を基準位置より前記回転方向に移動させ、前記外周面に製版マスタを巻装して前記圧胴を通紙状態で前記版胴に接触させて前記版胴を回転させる空転モードを有することを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに装置の放置時間が所定時間を超えた場合に前記空転モードを実行することを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、求項1ないし5の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに装置の放置時間が第1の所定時間を超えた場合に不要な表示等を消灯する省電力モードに移行し、装置の放置時間が第1の所定時間よりも短い第2の所定時間を超えた場合に前記空転モードを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、インキローラの両端部外側に残存して変性したインキが全て用紙に転写されるので、新たに印刷を行う場合には残存して変性したインキが存在しない状態で印刷を行うことができ、最初の1枚目から良好な印刷画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の第1ないし第3の実施形態に適用可能な孔版印刷装置を示している。図1において、熱可塑性樹脂フィルム面を有するマスタ1をロール状に巻成したマスタロール1aは、その芯部1bを図示しないマスタ保持手段によって回転自在に支持されている。マスタロール1aの左方には図示しない製版部側板に回転自在に支持されたプラテンローラ2と多数の発熱素子を有するサーマルヘッド3とが配設されており、プラテンローラ2は図示しないステッピングモータによって回転駆動され、サーマルヘッド3は図示しない付勢手段によってプラテンローラ2に押圧されている。マスタ1はプラテンローラ2が図1において反時計回り方向に回転することによりマスタロール1aより繰り出される。
【0016】
プラテンローラ2のマスタ搬送方向下流側には、マスタ搬送ローラ対4、マスタ切断手段5、マスタガイド板6がこの順に配設されている。マスタ搬送ローラ対4は駆動ローラ及びこれに圧接された従動ローラによって構成されており、図示しない駆動手段によって駆動ローラが回転することによりマスタ1を挟持して搬送する。マスタ搬送ローラ対4によるマスタ搬送速度はプラテンローラ2によるマスタ搬送速度よりも若干速く設定されており、両者間においてマスタ1には所定の張力が付与される。マスタ切断手段5は上刃及び下刃を有しており、両者間の上下動あるいは回転移動によってマスタ1を切断する周知の構成である。マスタ1を後述する版胴7に向けて案内するマスタガイド板6は図示しない製版部側板に固定されている。これらプラテンローラ2、サーマルヘッド3、マスタ搬送ローラ対4、マスタ切断手段5、マスタガイド板6によって製版部が構成されている。
【0017】
製版部の右下方には、開孔部を有する多孔性支持板7a(図2参照)及びその外周を複数層にわたって覆う樹脂あるいは金属網体のメッシュスクリーンを有する版胴7が配設されている。版胴7は、装置本体の図示しない側板に固設されたインキ供給パイプを兼ねる支軸8に回転自在に支持された一対のフランジ24,25(図2参照)に多孔性支持板7aを固着されて構成されており、図示しない版胴駆動手段によって回転駆動される。版胴7の内部には支軸8に固設されたインキローラ側板19が設けられており、このインキローラ側板19には軸部10aを回転自在に支持されたインキローラ10が配設されている。インキローラ10は、図示しない版胴駆動手段からの駆動力をギヤやベルト等の図示しない駆動伝達手段によって伝達されることにより版胴7と同期して同方向に回転する。インキローラ10の近傍には、その周面をインキローラ10の周面に近接させた状態で回転自在なドクターローラ11が配設されている。図示しないインキ供給装置によりインキパック等より吸引されたインキは、支軸8の供給孔よりインキローラ10とドクターローラ11との近接部に供給されてインキ溜まり12を形成し、インキ溜まり12のインキは混練されつつインキローラ10の周面に供給される。
【0018】
版胴7の内部であってインキローラ10の近傍の位置にはインキ補充ローラ20が配設されている。インキ補充ローラ20はブラケット21に回転自在に支持されており、ブラケット21は変位モータ9に設けられたウォーム23に接続された変位部22を有している。上記構成より、変位モータ9の回転によってインキ補充ローラ20は、図1に示すように版胴7の内周面及びインキローラ10の周面よりそれぞれ離間した離間位置と、版胴7の内周面及びインキローラ10の周面にそれぞれ当接する当接位置とを選択的に占める。
【0019】
版胴7の外周面上には、版胴7の1つの母線に沿った平面状のステージ13が磁性体によって構成されている。ステージ13上にはこれと平行に設けられた支軸によって回動自在に支持されたクランパ14が配設されている。クランパ14にはステージ13に対して磁着可能なマグネットが設けられており、クランパ14は図示しない開閉装置によって版胴7が所定位置を占めた際に開閉される。
【0020】
版胴7の右下方には給紙部が配設されている。給紙部は、用紙15を積載する図示しない給紙トレイ、図示しない給紙トレイ上から用紙15を1枚ずつ分離給送する給紙ローラ17、給紙ローラ17によって分離給送された用紙15を所定のタイミングで版胴7に向けて給送するレジストローラ対18等を有する周知の構成である。
【0021】
版胴7の下方には、給紙部より給送された用紙15を版胴7の外周面に押圧させて用紙に印刷画像を転写させる押圧手段としてのプレスローラ16が配設されている。プレスローラ16は図示しないアーム部材に回転自在に支持されており、図示しない揺動手段によって図示しないアーム部材が揺動されることにより版胴7の外周面に対して接離自在に構成されている。版胴7の左上方には、版胴7の外周面上から使用済みのマスタを剥離して廃棄する周知の排版手段29が配設されている。
【0022】
図2に示すように、版胴7の内部には左右移動機構28が配設されている。左右移動機構28は、移動ラック26、移動モータ27等を有している。多孔性支持板7aを支持する各フランジ24,25は、支軸8に回転自在に支持されると共に軸方向にも移動自在に支持されており、一方のフランジ24が軸方向に移動すると多孔性支持板7aを介して他方のフランジ25も移動するように構成されている。フランジ24の版胴内部側にはフランジ状の突起部が形成されており、この突起部は支軸8に固定された図示しない側板に軸方向に移動自在に支持された移動ラック26と係合している。移動ラック26は移動モータ27の出力軸に取り付けられたウォームとウォームホイルを介して接続されており、移動モータ28の回転に伴い移動ラック26が図2の左右方向である軸方向に移動し、これにより各フランジ24及びこれらに支持された多孔性支持板7aが軸方向に移動する。
【0023】
上述した孔版印刷装置の動作を以下に説明する。図示しない画像読取部に原稿がセットされた後に図示しないスタートキーが押下されると、版胴7が回転しつつ使用済みのマスタが排版手段29によって版胴7の外周面上より剥離される。版胴7はクランパ14がほぼ真上に位置する給版位置まで回転して停止し、図示しない開閉装置によりクランパ14が開放されて孔版印刷装置は給版待機状態となる。
【0024】
その後、読み取られた原稿画像情報に基づいてサーマルヘッド3の発熱素子に通電がなされ、プラテンローラ3とマスタ搬送ローラ対4とによってマスタロール1aからマスタ1が送られることにより、マスタ1の熱可塑性樹脂フィルム面に製版画像が形成される。製版画像を形成されたマスタ1はマスタガイド板6によって案内され、ステージ13とクランパ14の間に送り込まれる。プラテンローラ2を駆動する図示しないステッピングモータのステップ数より、マスタ1の先端が所定位置まで搬送されたと判断されると、図示しない開閉装置が作動してクランパ14が閉じられ、版胴7の外周面上にマスタ1の先端が保持される。
【0025】
その後、版胴7が図1においてマスタ1の搬送速度とほぼ同じ速度で反時計回り方向に回転を開始し、製版されたマスタ1の版胴7への巻装が行われる。プラテンローラ2を駆動する図示しないステッピングモータのステップ数より、1版分の製版が完了したと判断されるとマスタ切断手段5が作動し、マスタ1が切断されると共にプラテンローラ2とマスタ搬送ローラ対4の作動が停止される。切断されたマスタ1は版胴7の回転によって製版部より引き出され、版胴7へのマスタ1の巻装動作が完了する。
【0026】
巻装動作が完了すると、給紙ローラ17が回転して給紙部より用紙15が1枚分離給送される。分離給送された用紙15はレジストローラ対18でタイミングを取られた後、版胴7とプレスローラ16との間に向けて給送される。給送された用紙15は、図示しない揺動手段の作動によってプレスローラ16が版胴7の外周面に圧接することにより版胴7の外周面上に巻装されたマスタ1に押圧され、この押圧によりインキローラ10によって供給されたインキが版胴7の内周面から開孔部、メッシュスクリーン、マスタ1の穿孔部を介して用紙15に転写されて印刷が行われる。印刷画像が転写された用紙15は、図示しない排紙部に送られて図示しない排紙トレイ上に排出積載される。この印刷動作に先立ち、オペレータによって図示しない操作パネル上において用紙に印刷される印刷画像位置を版胴軸方向である左右方向に移動させる設定がなされると、左右移動機構28が作動して多孔性支持板7aが左右方向に設定量だけ移動され、用紙15に印刷される画像位置が左右方向に変更される。
【0027】
上述の孔版印刷装置において、左右移動機構28が使用されない状態で長時間印刷動作が行われると、図3に示すようにインキローラ10の両端部外側にインキ30が残存した状態となる。この状態から左右移動機構28を作動させて印刷位置の変更を行った後に印刷動作を行うと、残存して変性したインキがインキローラ10によって版胴内周面に供給され、良好な印刷画像を得るまでに複数枚の印刷不良用紙を排出しなくてはならないという問題点が生じる。
【0028】
そこで本発明の第1の実施形態では、製版済みのマスタ1を版胴7に巻装し、用紙15を版胴7とプレスローラ16との間に通紙した状態で版胴7を回転させつつプレスローラ16を版胴7に圧接させる空転モードを備えている。この空転モードは、孔版印刷装置が備えている図示しないタイマによって前回印刷からの経過時間が予め設定されている所定時間を超えた際に自動的に実行される。以下、この空転モード時の動作について説明する。
【0029】
孔版印刷装置の図示しないメイン電源がオンされると、図示しないタイマが前回印刷からの経過時間を算出し、この経過時間が所定時間を超えていると空転モードが実行される。空転モードでは、メイン電源投入後に排版手段29が作動して版胴7の外周面上より使用済みのマスタが剥離される。その後、製版部が作動して版胴7にマスタ1が巻装されるが、このときマスタ1には予め設定されている製版画像が形成される。巻装動作完了後、左右移動機構28が作動して版胴7が左右何れか一方の限界位置まで移動された後、版胴7が回転を開始する。そして、給紙部より用紙15が1枚給送された状態でプレスローラ16が版胴7の周面に圧接される。この圧接により、図4に示すようにインキローラ10の一方の端部外側に残存したインキ30がプレスローラ16によって押圧されることで版胴7の内周面から用紙15に転写される。版胴7は予め定められた所定回数だけ回転し、この回転中にプレスローラ16による用紙15を介した版胴7の押圧が行われる。
【0030】
版胴7が所定回数回転してインキローラ10の一方の端部外側に残存したインキ30が全て版胴7の内周面を介して用紙15に転写されると、版胴7の回転が停止する。その後、左右移動機構28が再び作動し、版胴7が左右何れか他方の限界位置まで移動された後、上述と同様に給紙部より用紙15が1枚給送された状態でプレスローラ16が版胴7の周面に圧接される。この圧接により、図5に示すようにインキローラ10の他方の端部外側に残存したインキ30がプレスローラ16によって押圧されることで版胴7の内周面を介して用紙15に転写される。版胴7は予め定められた所定回数だけ回転し、この回転中にプレスローラ16による用紙15を介した版胴7の押圧が行われる。
【0031】
版胴7が所定回数回転してインキローラ10の両端部外側に残存したインキ30が全て版胴7の内周面を介して用紙15に転写されると、版胴7の回転が停止した後に左右移動機構28が作動して版胴7が初期位置に復帰する。この一連の動作によりインキローラ10の両端部外側に残存して変性したインキ30は全て用紙15に転写され、孔版印刷装置は待機状態となる。この後、新たな原稿が図示しない画像読取部にセットされた後に図示しないスタートキーが押下されると、版胴7の外周面に巻装されている空転モード用のマスタ1が剥離されて原稿画像に応じた製版画像が形成されたマスタ1が版胴7に巻装されて印刷が行われる。
【0032】
上述の構成によれば、インキローラ10の両端部外側に残存して変性したインキ30が全て用紙15に転写されるので、新たに印刷を行う場合には残存して変性したインキ30が存在しない状態で印刷を行うことができ、最初の1枚目から良好な印刷画像を得ることができる。
【0033】
次に本発明の第2の実施形態を説明する。この第2の実施形態では、無製版状態のマスタ1を版胴7に巻装し、用紙15を版胴7とプレスローラ16との間に通紙しない状態で版胴7を回転させつつプレスローラ16を版胴7に圧接させる空転モードを備えている。以下、この空転モード時の動作について説明する。
【0034】
孔版印刷装置の図示しないメイン電源がオンされると、図示しないタイマが前回印刷からの経過時間を算出し、この経過時間が所定時間を超えていると空転モードが実行される。空転モードでは、メイン電源投入後に排版手段29が作動して版胴7の外周面上より使用済みのマスタが剥離される。その後、製版部が作動して版胴7にマスタ1が巻装されるが、このときサーマルヘッド3の各発熱素子には通電が行われずマスタ1として無製版のものが巻装される。巻装動作完了後、左右移動機構28が作動して版胴7が左右何れか一方の限界位置まで移動された後、版胴7が回転を開始する。そして、給紙部より用紙15の通紙が行われない状態でプレスローラ16が版胴7の周面に圧接される。この圧接により、図4に示すようにインキローラ10の一方の端部外側に残存したインキ30がプレスローラ16によって押圧されることで版胴7の内周面に供給される。版胴7は予め定められた所定回数だけ回転し、この回転中にプレスローラ16による版胴7の押圧が行われる。
【0035】
版胴7が所定回数回転してインキローラ10の一方の端部外側に残存したインキ30が全て版胴7の内周面に供給されると、版胴7の回転が停止する。その後、左右移動機構28が再び作動し、版胴7が左右何れか他方の限界位置まで移動された後、上述と同様に給紙部より用紙15の通紙が行われない状態でプレスローラ16が版胴7の周面に圧接される。この圧接により、図5に示すようにインキローラ10の他方の端部外側に残存したインキ30がプレスローラ16によって押圧されることで版胴7の内周面に供給される。版胴7は予め定められた所定回数だけ回転し、この回転中にプレスローラ16による版胴7の押圧が行われる。
【0036】
版胴7が所定回数回転してインキローラ10の両端部外側に残存したインキ30が全て版胴7の内周面に供給されると、版胴7の回転が停止した後に左右移動機構28が作動して版胴7が初期位置に復帰する。この一連の動作によりインキローラ10の両端部外側に残存して変性したインキ30は全て無製版状態のマスタ1に供給され、孔版印刷装置は待機状態となる。この後、新たな原稿が図示しない画像読取部にセットされた後に図示しないスタートキーが押下されると、版胴7の外周面に巻装されている残存したインキ30を含んだ無製版のマスタ1が剥離されて原稿画像に応じた製版画像が形成されたマスタ1が版胴7に巻装されて印刷が行われる。
【0037】
上述の構成によれば、用紙15を使用することなく第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができるので、第1の実施形態の作用効果に加えて用紙15にかかるコストを低減することができる。上述した第1及び第2の実施形態では、孔版印刷装置としてインキ補充ローラ20及びこれを移動させる部材を有する構成のものを示したが、これらを有していない孔版印刷装置を用いてもよい。
【0038】
次に本発明の第3の実施形態を説明する。この第3の実施形態では、前版の使用済みマスタを版胴7に巻装した状態で、インキ補充ローラ20を当接位置に位置させた状態で版胴7を回転させる空転モードを備えている。以下、この空転モード時の動作について説明する。
【0039】
孔版印刷装置の図示しないメイン電源がオンされると、図示しないタイマが前回印刷からの経過時間を算出し、この経過時間が所定時間を超えていると空転モードが実行される。空転モードでは、左右移動機構28が作動して版胴7が左右何れか一方の限界位置まで移動された後、変位モータ9が作動してインキ補充ローラ20が当接位置を占めた後に版胴7が回転を開始する。この回転により、図6に示すようにインキローラ10の一方の端部外側に残存したインキ30がインキ補充ローラ20によって押圧されることで版胴7の内周面に供給される。版胴7は予め定められた所定回数だけ回転する。
【0040】
版胴7が所定回数回転してインキローラ10の一方の端部外側に残存したインキ30が全て版胴7の内周面に供給されると、版胴7の回転が停止する。その後、
インキ補充ローラ20が離間位置に移動された後に左右移動機構28が再び作動し、版胴7が左右何れか他方の限界位置まで移動された後、インキ補充ローラ20が再び当接位置を占めた状態で上述と同様に版胴7の回転が行われる。この回転により、図7に示すようにインキローラ10の他方の端部外側に残存したインキ30がインキ補充ローラ20によって押圧されることで版胴7の内周面に供給される。版胴7は予め定められた所定回数だけ回転する。
【0041】
版胴7が所定回数回転してインキローラ10の両端部外側に残存したインキ30が全て版胴7の内周面に供給されると、インキ補充ローラ20が離間位置を占めた後に版胴7の回転が停止し、左右移動機構28が作動して版胴7が初期位置に復帰する。この一連の動作によりインキローラ10の両端部外側に残存して変性したインキ30は全て使用済みのマスタに供給され、孔版印刷装置は待機状態となる。この後、新たな原稿が図示しない画像読取部にセットされた後に図示しないスタートキーが押下されると、版胴7の外周面に巻装されている残存したインキ30を含んだ使用済みのマスタが剥離されて原稿画像に応じた製版画像が形成されたマスタ1が版胴7に巻装されて印刷が行われる。
【0042】
上述の構成によれば、用紙15及びマスタ1を使用することなく第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができるので、第1の実施形態の作用効果に加えて用紙15及びマスタ1にかかるコストを低減することができる。
【0043】
図8は、本発明の第4及び第5の実施形態に適用可能な孔版印刷装置を示している。この孔版印刷装置は、図1に示した孔版印刷装置と比較すると、プレスローラ16に代えて圧胴31を用いる点、左右移動機構28に代えて天地移動機構32を有する点においてのみ相違しており、他の構成は同一である。
【0044】
版胴7の下方には、版胴7とほぼ同径であり天地移動機構32を介して図示しない版胴駆動手段からの回転駆動力を伝達されることにより版胴7と同期して回転駆動される圧胴31が配設されている。圧胴31は外周面に切欠部を有しており、この切欠部には用紙15をその外周面上に保持するためのくわえ爪33が開閉自在に設けられている。圧胴31は図示しない揺動手段によって揺動され、切欠部を除く外周面が版胴7の外周面に対して接離自在に構成されている。天地移動機構32は、特開平9−104158号公報に開示された天地移動手段39,45と同様の周知の構成であり、版胴7と圧胴31との双方の周面の位相を相対的に移動させる。
【0045】
上述した孔版印刷装置の動作を以下に説明する。図示しない画像読取部に原稿がセットされた後に図示しないスタートキーが押下されると、排版手段29による排版動作が行われた後に版胴7が給版位置まで回転して停止し、図示しない開閉装置によりクランパ14が開放されて孔版印刷装置は給版待機状態となる。
【0046】
その後、製版部において製版動作が行われ、製版画像を形成されたマスタ1は版胴7の外周面上にその先端を保持される。その後、版胴7が図8においてマスタ1の搬送速度とほぼ同じ速度で反時計回り方向に回転を開始し、製版されたマスタ1の版胴7への巻装が行われる。そして、1版分の製版が完了したと判断されるとマスタ切断手段5が作動し、マスタ1が切断されると共にプラテンローラ2とマスタ搬送ローラ対4の作動が停止される。切断されたマスタ1は版胴7の回転によって製版部より引き出され、版胴7へのマスタ1の巻装動作が完了する。
【0047】
巻装動作が完了すると、給紙ローラ17が回転して用紙15が1枚引き出され、引き出された用紙Pはその先端をレジストローラ対18に挟持された状態で一時停止される。給紙部の作動と共に版胴7が図8において反時計回り方向に低速で回転駆動され、版胴7に巻装されたマスタ1の版胴回転方向における画像領域先端部が圧胴31との接触部に到達する直前の所定のタイミングでレジストローラ対18が回転駆動される。レジストローラ対18の回転により給送された用紙15はくわえ爪33によって圧胴31の外周面上に保持され、圧胴31の回転により版胴7との接触部に向けて給送される。そして図示しない揺動手段の作動により圧胴31がその周面を版胴7の外周面に圧接させ、給送された用紙15が版胴7上のマスタ1に圧接される。この押圧によりインキローラ10によって供給されたインキが版胴7の内周面から開孔部、メッシュスクリーン、マスタ1の穿孔部を介して用紙15に転写されて印刷が行われる。印刷画像が転写された用紙15は、くわえ爪33が開放された後に図示しない排紙部に送られて図示しない排紙トレイ上に排出積載される。この印刷動作に先立ち、オペレータによって図示しない操作パネル上において用紙に印刷される印刷画像位置を版胴回転方向である天地方向に移動させる設定がなされると、天地移動機構32が作動して版胴7の周面と圧胴31の周面とが相対的に天地方向に設定量だけ移動され、用紙15に印刷される画像位置が天地方向に変更される。
【0048】
上述の孔版印刷装置において、天地移動機構32が使用されない状態で長時間印刷動作が行われると、図9に示すように版胴7の内周面の圧胴31による基準の圧接開始点(基準開始点)よりも版胴回転方向上流側及び圧胴31による基準の圧接解除点(基準解除点)よりも版胴回転方向下流側にインキ30が残存した状態となる。この状態から天地移動機構32を作動させて印刷位置の変更を行った後に印刷動作を行うと、残存して変性したインキがインキローラ10によって版胴内周面に供給され、良好な印刷画像を得るまでに複数枚の印刷不良用紙を排出しなくてはならないという問題点が生じる。
【0049】
そこで本発明の第4の実施形態では、製版済みのマスタ1を版胴7に巻装し、用紙15を圧胴31の周面に保持させた状態で版胴7を回転させつつ圧胴31を版胴7に圧接させる空転モードを備えている。この空転モードは、孔版印刷装置が備えている図示しないタイマによって前回印刷からの経過時間が予め設定されている所定時間を超えた際に自動的に実行される。以下、この空転モード時の動作について説明する。
【0050】
孔版印刷装置の図示しないメイン電源がオンされると、図示しないタイマが前回印刷からの経過時間を算出し、この経過時間が所定時間を超えていると空転モードが実行される。空転モードでは、メイン電源投入後に排版手段29が作動して版胴7の外周面上より使用済みのマスタが剥離される。その後、製版部が作動して版胴7にマスタ1が巻装されるが、このときマスタ1には予め設定されている製版画像が形成される。巻装動作完了後、天地移動機構32が作動して版胴7が天地何れか一方の限界位置まで移動された後、版胴7及び圧胴31が回転を開始する。そして、用紙15を保持した状態で圧胴31が版胴7の周面に圧接される。この圧接により、図10に示すように基準開始点よりも版胴回転方向上流側または基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存したインキ30の何れか一方が圧胴31によって押圧されることで版胴7の内周面から用紙15に転写される。版胴7は予め定められた所定回数だけ回転し、この回転中に圧胴31による用紙15を介した版胴7の押圧が行われる。
【0051】
版胴7が所定回数回転して基準開始点よりも版胴回転方向上流側または基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存したインキ30の何れか一方が全て版胴7の内周面を介して用紙15に転写されると、版胴7の回転が停止する。その後、天地移動機構32が再び作動し、版胴7が天地何れか他方の限界位置まで移動された後、上述と同様に用紙15を保持した状態で圧胴31が版胴7の周面に圧接される。この圧接により、図11に示すように基準開始点よりも版胴回転方向上流側または基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存したインキ30の何れか他方が圧胴31によって押圧されることで版胴7の内周面を介して用紙15に転写される。版胴7は予め定められた所定回数だけ回転し、この回転中に圧胴31による用紙15を介した版胴7の押圧が行われる。
【0052】
版胴7が所定回数回転して基準開始点よりも版胴回転方向上流側及び基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存したインキ30が全て版胴7の内周面を介して用紙15に転写されると、版胴7の回転が停止した後に天地移動機構32が作動して版胴7が初期位置に復帰する。この一連の動作により基準開始点よりも版胴回転方向上流側及び基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存して変性したインキ30は全て用紙15に転写され、孔版印刷装置は待機状態となる。この後、新たな原稿が図示しない画像読取部にセットされた後に図示しないスタートキーが押下されると、版胴7の外周面に巻装されている空転モード用のマスタ1が剥離されて原稿画像に応じた製版画像が形成されたマスタ1が版胴7に巻装されて印刷が行われる。
【0053】
上述の構成によれば、基準開始点よりも版胴回転方向上流側及び基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存して変性したインキ30が全て用紙15に転写されるので、新たに印刷を行う場合には残存して変性したインキ30が存在しない状態で印刷を行うことができ、最初の1枚目から良好な印刷画像を得ることができる。
【0054】
次に本発明の第5の実施形態を説明する。この第5の実施形態では、無製版状態のマスタ1を版胴7に巻装し、用紙15を圧胴31の周面に保持させない状態で版胴7を回転させつつ圧胴31を版胴7に圧接させる空転モードを備えている。以下、この空転モード時の動作について説明する。
【0055】
孔版印刷装置の図示しないメイン電源がオンされると、図示しないタイマが前回印刷からの経過時間を算出し、この経過時間が所定時間を超えていると空転モードが実行される。空転モードでは、メイン電源投入後に排版手段29が作動して版胴7の外周面上より使用済みのマスタが剥離される。その後、製版部が作動して版胴7にマスタ1が巻装されるが、このときサーマルヘッド3の各発熱素子には通電が行われずマスタ1として無製版のものが形成される。巻装動作完了後、天地移動機構32が作動して版胴7が天地何れか一方の限界位置まで移動された後、版胴7及び圧胴31が回転を開始する。そして、用紙15を保持しない状態で圧胴31が版胴7の周面に圧接される。この圧接により、基準開始点よりも版胴回転方向上流側または基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存したインキ30の何れか一方が圧胴31によって押圧されることで版胴7の内周面に供給される。版胴7は予め定められた所定回数だけ回転し、この回転中に圧胴31による版胴7の押圧が行われる。
【0056】
版胴7が所定回数回転して基準開始点よりも版胴回転方向上流側または基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存したインキ30の何れか一方が全て版胴7の内周面に供給されると、版胴7の回転が停止する。その後、天地移動機構32が再び作動し、版胴7が天地何れか他方の限界位置まで移動された後、上述と同様に用紙15を保持しない状態で圧胴31が版胴7の周面に圧接される。この圧接により、基準開始点よりも版胴回転方向上流側または基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存したインキ30の何れか他方が圧胴31によって押圧されることで版胴7の内周面に供給される。版胴7は予め定められた所定回数だけ回転し、この回転中に圧胴31による版胴7の押圧が行われる。
【0057】
版胴7が所定回数回転して基準開始点よりも版胴回転方向上流側及び基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存したインキ30が全て版胴7の内周面に供給されると、版胴7の回転が停止した後に天地移動機構32が作動して版胴7が初期位置に復帰する。この一連の動作により基準開始点よりも版胴回転方向上流側及び基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存して変性したインキ30は全て無製版状態のマスタ1に供給され、孔版印刷装置は待機状態となる。この後、新たな原稿が図示しない画像読取部にセットされた後に図示しないスタートキーが押下されると、版胴7の外周面に巻装されている残存したインキ30を含んだ無製版のマスタ1が剥離されて原稿画像に応じた製版画像が形成されたマスタ1が版胴7に巻装されて印刷が行われる。
【0058】
上述の構成によれば、用紙15を使用することなく第4の実施形態と同様の作用効果を得ることができるので、第1の実施形態の作用効果に加えて用紙15にかかるコストを低減することができる。上述した第4及び第5の実施形態では、孔版印刷装置としてインキ補充ローラ20及びこれを移動させる部材を有する構成のものを示したが、これらを有していない孔版印刷装置を用いてもよい。
【0059】
上述した第1ないし第5の実施形態では、それぞれ空転モードを有し孔版印刷装置が備えている図示しないタイマによって前回印刷からの経過時間が予め設定されている所定時間を超えた際に自動的にこの空転モードを実行する構成としたが、装置が所定時間作動されない際に消費電力を抑えるべく不要な表示等を消灯する省電力モードを備えた孔版印刷装置に本発明を適用し、タイマの計時がこの省電力モードが機能する前記所定時間よりも短い所定時間を超えた際に空転モードを実行する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1ないし第3の実施形態を適用可能な孔版印刷装置の要部概略正面図である。
【図2】本発明の第1ないし第3の実施形態に用いられる左右移動機構を説明する概略図である。
【図3】左右移動機構を有する従来の孔版印刷装置における問題点を説明するための概略図である。
【図4】本発明の第1及び第2の実施形態における空転モードの動作を説明する概略図である。
【図5】本発明の第1及び第2の実施形態における空転モードの動作を説明する概略図である。
【図6】本発明の第3の実施形態における空転モードの動作を説明する概略図である。
【図7】本発明の第3の実施形態における空転モードの動作を説明する概略図である。
【図8】本発明の第4及び第5の実施形態を適用可能な孔版印刷装置の要部概略正面図である。
【図9】天地移動機構を有する従来の孔版印刷装置における問題点を説明するための概略図である。
【図10】本発明の第4及び第5の実施形態における空転モードの動作を説明する概略図である。
【図11】本発明の第4及び第5の実施形態における空転モードの動作を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0061】
7 版胴
10 インキローラ
15 用紙
16 押圧手段(プレスローラ)
20 インキ補充ローラ
28 左右移動機構
31 圧胴
32 天地移動機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、天地移動機構あるいは左右移動機構を備えた孔版印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、簡便な印刷方法としてデジタル式感熱孔版印刷が知られている。これは、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタに微細な発熱素子を複数有するサーマルヘッドを接触させ、この発熱素子に対しパルス的に通電を行いながらマスタをプラテンローラ等の搬送手段で搬送することにより、マスタの熱可塑性樹脂フィルムに画像情報に基づいた穿孔画像を熱溶融穿孔製版した後、この穿孔製版されたマスタを多孔性円筒状の版胴に巻装させ、プレスローラ等の押圧手段によって用紙を版胴外周面に押圧させることで版胴内周面に供給されたインキを版胴開孔部及びマスタ穿孔部から滲出させ、このインキを用紙に転移させることにより用紙上に印刷画像を得るものである。
【0003】
上述した孔版印刷を行う孔版印刷装置において、印刷装置が長期間放置されると版胴開孔部に付着したインキが変性し、次の印刷を行う際には良好な画像を得るまでに複数枚の印刷不良用紙を排出しなければならず、コスト面及び作業効率面からも悪影響を及ぼしてしまうという問題点があった。そこで、孔版印刷装置が長期間放置された後に新たな製版印刷動作が行われても1枚目から良好な印刷物を得る技術が例えば「特許文献1」に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−268390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在の孔版印刷装置において、印刷画像を用紙の所望の位置に得るため、用紙に対して印刷画像を用紙搬送方向に調整する天地移動機構及び/または用紙搬送方向と直交する方向に調整する左右移動機構を備えたものが知られている。上述した天地移動機構あるいは左右移動機構を備えた孔版印刷装置において、通常の印刷では使用しない天地移動あるいは左右移動の調整代にあたる版胴内周面には、装置が長期間使用されない場合に「特許文献1」に開示された技術を用いても変性したインキが残存しているため、印刷当初において印刷不良が発生してしまうという問題点がある。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決し、天地移動機構あるいは左右移動機構を備えた孔版印刷装置が長期間放置された後であっても最初から良好な印刷物を得ることが可能な孔版印刷装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、周面に開孔部を有する版胴と、前記版胴の内周面にインキを供給するインキローラと、前記開孔部を介して前記インキローラの周面と接離自在に設けられ前記版胴の外周面に用紙を押圧する押圧手段と、前記開孔部を前記版胴の軸方向に移動させる左右移動機構とを備えた孔版印刷装置において、前記開孔部を基準位置より前記軸方向に移動させ、前記外周面に無製版マスタを巻装して前記押圧手段を無通紙状態で前記外周面に接触させて前記版胴を回転させる空転モードを有することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、周面に開孔部を有する版胴と、前記版胴の内周面にインキを供給するインキローラと、前記開孔部を介して前記インキローラの周面と接離自在に設けられ前記版胴の外周面に用紙を押圧する押圧手段と、前記開孔部を前記版胴の軸方向に移動させる左右移動機構とを備えた孔版印刷装置において、前記開孔部を基準位置より前記軸方向に移動させ、前記外周面に製版マスタを巻装して前記押圧手段を通紙状態で前記外周面に接触させて前記版胴を回転させる空転モードを有することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、周面に開孔部を有する版胴と、前記版胴の内周面にインキを供給するインキローラと、前記内周面及び前記インキローラの周面に接触するインキ補充ローラと、前記開孔部を前記版胴の軸方向に移動させる左右移動機構とを備えた孔版印刷装置において、前記開孔部を基準位置より前記軸方向に移動させ、前記インキ補充ローラを前記内周面及び前記インキローラの周面に接触させて無通紙状態で前記版胴を回転させる空転モードを有することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、版胴と、外周面に用紙を保持し該用紙を前記版胴に圧接する圧胴と、前記版胴と前記圧胴との接触位置を前記版胴の回転方向に移動させる天地移動機構とを備えた孔版印刷装置において、前記接触位置を基準位置より前記回転方向に移動させ、前記外周面に無製版マスタを巻装して前記圧胴を無通紙状態で前記版胴に接触させて前記版胴を回転させる空転モードを有することを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、版胴と、外周面に用紙を保持し該用紙を前記版胴に圧接する圧胴と、前記版胴と前記圧胴との接触位置を前記版胴の回転方向に移動させる天地移動機構とを備えた孔版印刷装置において、前記接触位置を基準位置より前記回転方向に移動させ、前記外周面に製版マスタを巻装して前記圧胴を通紙状態で前記版胴に接触させて前記版胴を回転させる空転モードを有することを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに装置の放置時間が所定時間を超えた場合に前記空転モードを実行することを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、求項1ないし5の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに装置の放置時間が第1の所定時間を超えた場合に不要な表示等を消灯する省電力モードに移行し、装置の放置時間が第1の所定時間よりも短い第2の所定時間を超えた場合に前記空転モードを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、インキローラの両端部外側に残存して変性したインキが全て用紙に転写されるので、新たに印刷を行う場合には残存して変性したインキが存在しない状態で印刷を行うことができ、最初の1枚目から良好な印刷画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の第1ないし第3の実施形態に適用可能な孔版印刷装置を示している。図1において、熱可塑性樹脂フィルム面を有するマスタ1をロール状に巻成したマスタロール1aは、その芯部1bを図示しないマスタ保持手段によって回転自在に支持されている。マスタロール1aの左方には図示しない製版部側板に回転自在に支持されたプラテンローラ2と多数の発熱素子を有するサーマルヘッド3とが配設されており、プラテンローラ2は図示しないステッピングモータによって回転駆動され、サーマルヘッド3は図示しない付勢手段によってプラテンローラ2に押圧されている。マスタ1はプラテンローラ2が図1において反時計回り方向に回転することによりマスタロール1aより繰り出される。
【0016】
プラテンローラ2のマスタ搬送方向下流側には、マスタ搬送ローラ対4、マスタ切断手段5、マスタガイド板6がこの順に配設されている。マスタ搬送ローラ対4は駆動ローラ及びこれに圧接された従動ローラによって構成されており、図示しない駆動手段によって駆動ローラが回転することによりマスタ1を挟持して搬送する。マスタ搬送ローラ対4によるマスタ搬送速度はプラテンローラ2によるマスタ搬送速度よりも若干速く設定されており、両者間においてマスタ1には所定の張力が付与される。マスタ切断手段5は上刃及び下刃を有しており、両者間の上下動あるいは回転移動によってマスタ1を切断する周知の構成である。マスタ1を後述する版胴7に向けて案内するマスタガイド板6は図示しない製版部側板に固定されている。これらプラテンローラ2、サーマルヘッド3、マスタ搬送ローラ対4、マスタ切断手段5、マスタガイド板6によって製版部が構成されている。
【0017】
製版部の右下方には、開孔部を有する多孔性支持板7a(図2参照)及びその外周を複数層にわたって覆う樹脂あるいは金属網体のメッシュスクリーンを有する版胴7が配設されている。版胴7は、装置本体の図示しない側板に固設されたインキ供給パイプを兼ねる支軸8に回転自在に支持された一対のフランジ24,25(図2参照)に多孔性支持板7aを固着されて構成されており、図示しない版胴駆動手段によって回転駆動される。版胴7の内部には支軸8に固設されたインキローラ側板19が設けられており、このインキローラ側板19には軸部10aを回転自在に支持されたインキローラ10が配設されている。インキローラ10は、図示しない版胴駆動手段からの駆動力をギヤやベルト等の図示しない駆動伝達手段によって伝達されることにより版胴7と同期して同方向に回転する。インキローラ10の近傍には、その周面をインキローラ10の周面に近接させた状態で回転自在なドクターローラ11が配設されている。図示しないインキ供給装置によりインキパック等より吸引されたインキは、支軸8の供給孔よりインキローラ10とドクターローラ11との近接部に供給されてインキ溜まり12を形成し、インキ溜まり12のインキは混練されつつインキローラ10の周面に供給される。
【0018】
版胴7の内部であってインキローラ10の近傍の位置にはインキ補充ローラ20が配設されている。インキ補充ローラ20はブラケット21に回転自在に支持されており、ブラケット21は変位モータ9に設けられたウォーム23に接続された変位部22を有している。上記構成より、変位モータ9の回転によってインキ補充ローラ20は、図1に示すように版胴7の内周面及びインキローラ10の周面よりそれぞれ離間した離間位置と、版胴7の内周面及びインキローラ10の周面にそれぞれ当接する当接位置とを選択的に占める。
【0019】
版胴7の外周面上には、版胴7の1つの母線に沿った平面状のステージ13が磁性体によって構成されている。ステージ13上にはこれと平行に設けられた支軸によって回動自在に支持されたクランパ14が配設されている。クランパ14にはステージ13に対して磁着可能なマグネットが設けられており、クランパ14は図示しない開閉装置によって版胴7が所定位置を占めた際に開閉される。
【0020】
版胴7の右下方には給紙部が配設されている。給紙部は、用紙15を積載する図示しない給紙トレイ、図示しない給紙トレイ上から用紙15を1枚ずつ分離給送する給紙ローラ17、給紙ローラ17によって分離給送された用紙15を所定のタイミングで版胴7に向けて給送するレジストローラ対18等を有する周知の構成である。
【0021】
版胴7の下方には、給紙部より給送された用紙15を版胴7の外周面に押圧させて用紙に印刷画像を転写させる押圧手段としてのプレスローラ16が配設されている。プレスローラ16は図示しないアーム部材に回転自在に支持されており、図示しない揺動手段によって図示しないアーム部材が揺動されることにより版胴7の外周面に対して接離自在に構成されている。版胴7の左上方には、版胴7の外周面上から使用済みのマスタを剥離して廃棄する周知の排版手段29が配設されている。
【0022】
図2に示すように、版胴7の内部には左右移動機構28が配設されている。左右移動機構28は、移動ラック26、移動モータ27等を有している。多孔性支持板7aを支持する各フランジ24,25は、支軸8に回転自在に支持されると共に軸方向にも移動自在に支持されており、一方のフランジ24が軸方向に移動すると多孔性支持板7aを介して他方のフランジ25も移動するように構成されている。フランジ24の版胴内部側にはフランジ状の突起部が形成されており、この突起部は支軸8に固定された図示しない側板に軸方向に移動自在に支持された移動ラック26と係合している。移動ラック26は移動モータ27の出力軸に取り付けられたウォームとウォームホイルを介して接続されており、移動モータ28の回転に伴い移動ラック26が図2の左右方向である軸方向に移動し、これにより各フランジ24及びこれらに支持された多孔性支持板7aが軸方向に移動する。
【0023】
上述した孔版印刷装置の動作を以下に説明する。図示しない画像読取部に原稿がセットされた後に図示しないスタートキーが押下されると、版胴7が回転しつつ使用済みのマスタが排版手段29によって版胴7の外周面上より剥離される。版胴7はクランパ14がほぼ真上に位置する給版位置まで回転して停止し、図示しない開閉装置によりクランパ14が開放されて孔版印刷装置は給版待機状態となる。
【0024】
その後、読み取られた原稿画像情報に基づいてサーマルヘッド3の発熱素子に通電がなされ、プラテンローラ3とマスタ搬送ローラ対4とによってマスタロール1aからマスタ1が送られることにより、マスタ1の熱可塑性樹脂フィルム面に製版画像が形成される。製版画像を形成されたマスタ1はマスタガイド板6によって案内され、ステージ13とクランパ14の間に送り込まれる。プラテンローラ2を駆動する図示しないステッピングモータのステップ数より、マスタ1の先端が所定位置まで搬送されたと判断されると、図示しない開閉装置が作動してクランパ14が閉じられ、版胴7の外周面上にマスタ1の先端が保持される。
【0025】
その後、版胴7が図1においてマスタ1の搬送速度とほぼ同じ速度で反時計回り方向に回転を開始し、製版されたマスタ1の版胴7への巻装が行われる。プラテンローラ2を駆動する図示しないステッピングモータのステップ数より、1版分の製版が完了したと判断されるとマスタ切断手段5が作動し、マスタ1が切断されると共にプラテンローラ2とマスタ搬送ローラ対4の作動が停止される。切断されたマスタ1は版胴7の回転によって製版部より引き出され、版胴7へのマスタ1の巻装動作が完了する。
【0026】
巻装動作が完了すると、給紙ローラ17が回転して給紙部より用紙15が1枚分離給送される。分離給送された用紙15はレジストローラ対18でタイミングを取られた後、版胴7とプレスローラ16との間に向けて給送される。給送された用紙15は、図示しない揺動手段の作動によってプレスローラ16が版胴7の外周面に圧接することにより版胴7の外周面上に巻装されたマスタ1に押圧され、この押圧によりインキローラ10によって供給されたインキが版胴7の内周面から開孔部、メッシュスクリーン、マスタ1の穿孔部を介して用紙15に転写されて印刷が行われる。印刷画像が転写された用紙15は、図示しない排紙部に送られて図示しない排紙トレイ上に排出積載される。この印刷動作に先立ち、オペレータによって図示しない操作パネル上において用紙に印刷される印刷画像位置を版胴軸方向である左右方向に移動させる設定がなされると、左右移動機構28が作動して多孔性支持板7aが左右方向に設定量だけ移動され、用紙15に印刷される画像位置が左右方向に変更される。
【0027】
上述の孔版印刷装置において、左右移動機構28が使用されない状態で長時間印刷動作が行われると、図3に示すようにインキローラ10の両端部外側にインキ30が残存した状態となる。この状態から左右移動機構28を作動させて印刷位置の変更を行った後に印刷動作を行うと、残存して変性したインキがインキローラ10によって版胴内周面に供給され、良好な印刷画像を得るまでに複数枚の印刷不良用紙を排出しなくてはならないという問題点が生じる。
【0028】
そこで本発明の第1の実施形態では、製版済みのマスタ1を版胴7に巻装し、用紙15を版胴7とプレスローラ16との間に通紙した状態で版胴7を回転させつつプレスローラ16を版胴7に圧接させる空転モードを備えている。この空転モードは、孔版印刷装置が備えている図示しないタイマによって前回印刷からの経過時間が予め設定されている所定時間を超えた際に自動的に実行される。以下、この空転モード時の動作について説明する。
【0029】
孔版印刷装置の図示しないメイン電源がオンされると、図示しないタイマが前回印刷からの経過時間を算出し、この経過時間が所定時間を超えていると空転モードが実行される。空転モードでは、メイン電源投入後に排版手段29が作動して版胴7の外周面上より使用済みのマスタが剥離される。その後、製版部が作動して版胴7にマスタ1が巻装されるが、このときマスタ1には予め設定されている製版画像が形成される。巻装動作完了後、左右移動機構28が作動して版胴7が左右何れか一方の限界位置まで移動された後、版胴7が回転を開始する。そして、給紙部より用紙15が1枚給送された状態でプレスローラ16が版胴7の周面に圧接される。この圧接により、図4に示すようにインキローラ10の一方の端部外側に残存したインキ30がプレスローラ16によって押圧されることで版胴7の内周面から用紙15に転写される。版胴7は予め定められた所定回数だけ回転し、この回転中にプレスローラ16による用紙15を介した版胴7の押圧が行われる。
【0030】
版胴7が所定回数回転してインキローラ10の一方の端部外側に残存したインキ30が全て版胴7の内周面を介して用紙15に転写されると、版胴7の回転が停止する。その後、左右移動機構28が再び作動し、版胴7が左右何れか他方の限界位置まで移動された後、上述と同様に給紙部より用紙15が1枚給送された状態でプレスローラ16が版胴7の周面に圧接される。この圧接により、図5に示すようにインキローラ10の他方の端部外側に残存したインキ30がプレスローラ16によって押圧されることで版胴7の内周面を介して用紙15に転写される。版胴7は予め定められた所定回数だけ回転し、この回転中にプレスローラ16による用紙15を介した版胴7の押圧が行われる。
【0031】
版胴7が所定回数回転してインキローラ10の両端部外側に残存したインキ30が全て版胴7の内周面を介して用紙15に転写されると、版胴7の回転が停止した後に左右移動機構28が作動して版胴7が初期位置に復帰する。この一連の動作によりインキローラ10の両端部外側に残存して変性したインキ30は全て用紙15に転写され、孔版印刷装置は待機状態となる。この後、新たな原稿が図示しない画像読取部にセットされた後に図示しないスタートキーが押下されると、版胴7の外周面に巻装されている空転モード用のマスタ1が剥離されて原稿画像に応じた製版画像が形成されたマスタ1が版胴7に巻装されて印刷が行われる。
【0032】
上述の構成によれば、インキローラ10の両端部外側に残存して変性したインキ30が全て用紙15に転写されるので、新たに印刷を行う場合には残存して変性したインキ30が存在しない状態で印刷を行うことができ、最初の1枚目から良好な印刷画像を得ることができる。
【0033】
次に本発明の第2の実施形態を説明する。この第2の実施形態では、無製版状態のマスタ1を版胴7に巻装し、用紙15を版胴7とプレスローラ16との間に通紙しない状態で版胴7を回転させつつプレスローラ16を版胴7に圧接させる空転モードを備えている。以下、この空転モード時の動作について説明する。
【0034】
孔版印刷装置の図示しないメイン電源がオンされると、図示しないタイマが前回印刷からの経過時間を算出し、この経過時間が所定時間を超えていると空転モードが実行される。空転モードでは、メイン電源投入後に排版手段29が作動して版胴7の外周面上より使用済みのマスタが剥離される。その後、製版部が作動して版胴7にマスタ1が巻装されるが、このときサーマルヘッド3の各発熱素子には通電が行われずマスタ1として無製版のものが巻装される。巻装動作完了後、左右移動機構28が作動して版胴7が左右何れか一方の限界位置まで移動された後、版胴7が回転を開始する。そして、給紙部より用紙15の通紙が行われない状態でプレスローラ16が版胴7の周面に圧接される。この圧接により、図4に示すようにインキローラ10の一方の端部外側に残存したインキ30がプレスローラ16によって押圧されることで版胴7の内周面に供給される。版胴7は予め定められた所定回数だけ回転し、この回転中にプレスローラ16による版胴7の押圧が行われる。
【0035】
版胴7が所定回数回転してインキローラ10の一方の端部外側に残存したインキ30が全て版胴7の内周面に供給されると、版胴7の回転が停止する。その後、左右移動機構28が再び作動し、版胴7が左右何れか他方の限界位置まで移動された後、上述と同様に給紙部より用紙15の通紙が行われない状態でプレスローラ16が版胴7の周面に圧接される。この圧接により、図5に示すようにインキローラ10の他方の端部外側に残存したインキ30がプレスローラ16によって押圧されることで版胴7の内周面に供給される。版胴7は予め定められた所定回数だけ回転し、この回転中にプレスローラ16による版胴7の押圧が行われる。
【0036】
版胴7が所定回数回転してインキローラ10の両端部外側に残存したインキ30が全て版胴7の内周面に供給されると、版胴7の回転が停止した後に左右移動機構28が作動して版胴7が初期位置に復帰する。この一連の動作によりインキローラ10の両端部外側に残存して変性したインキ30は全て無製版状態のマスタ1に供給され、孔版印刷装置は待機状態となる。この後、新たな原稿が図示しない画像読取部にセットされた後に図示しないスタートキーが押下されると、版胴7の外周面に巻装されている残存したインキ30を含んだ無製版のマスタ1が剥離されて原稿画像に応じた製版画像が形成されたマスタ1が版胴7に巻装されて印刷が行われる。
【0037】
上述の構成によれば、用紙15を使用することなく第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができるので、第1の実施形態の作用効果に加えて用紙15にかかるコストを低減することができる。上述した第1及び第2の実施形態では、孔版印刷装置としてインキ補充ローラ20及びこれを移動させる部材を有する構成のものを示したが、これらを有していない孔版印刷装置を用いてもよい。
【0038】
次に本発明の第3の実施形態を説明する。この第3の実施形態では、前版の使用済みマスタを版胴7に巻装した状態で、インキ補充ローラ20を当接位置に位置させた状態で版胴7を回転させる空転モードを備えている。以下、この空転モード時の動作について説明する。
【0039】
孔版印刷装置の図示しないメイン電源がオンされると、図示しないタイマが前回印刷からの経過時間を算出し、この経過時間が所定時間を超えていると空転モードが実行される。空転モードでは、左右移動機構28が作動して版胴7が左右何れか一方の限界位置まで移動された後、変位モータ9が作動してインキ補充ローラ20が当接位置を占めた後に版胴7が回転を開始する。この回転により、図6に示すようにインキローラ10の一方の端部外側に残存したインキ30がインキ補充ローラ20によって押圧されることで版胴7の内周面に供給される。版胴7は予め定められた所定回数だけ回転する。
【0040】
版胴7が所定回数回転してインキローラ10の一方の端部外側に残存したインキ30が全て版胴7の内周面に供給されると、版胴7の回転が停止する。その後、
インキ補充ローラ20が離間位置に移動された後に左右移動機構28が再び作動し、版胴7が左右何れか他方の限界位置まで移動された後、インキ補充ローラ20が再び当接位置を占めた状態で上述と同様に版胴7の回転が行われる。この回転により、図7に示すようにインキローラ10の他方の端部外側に残存したインキ30がインキ補充ローラ20によって押圧されることで版胴7の内周面に供給される。版胴7は予め定められた所定回数だけ回転する。
【0041】
版胴7が所定回数回転してインキローラ10の両端部外側に残存したインキ30が全て版胴7の内周面に供給されると、インキ補充ローラ20が離間位置を占めた後に版胴7の回転が停止し、左右移動機構28が作動して版胴7が初期位置に復帰する。この一連の動作によりインキローラ10の両端部外側に残存して変性したインキ30は全て使用済みのマスタに供給され、孔版印刷装置は待機状態となる。この後、新たな原稿が図示しない画像読取部にセットされた後に図示しないスタートキーが押下されると、版胴7の外周面に巻装されている残存したインキ30を含んだ使用済みのマスタが剥離されて原稿画像に応じた製版画像が形成されたマスタ1が版胴7に巻装されて印刷が行われる。
【0042】
上述の構成によれば、用紙15及びマスタ1を使用することなく第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができるので、第1の実施形態の作用効果に加えて用紙15及びマスタ1にかかるコストを低減することができる。
【0043】
図8は、本発明の第4及び第5の実施形態に適用可能な孔版印刷装置を示している。この孔版印刷装置は、図1に示した孔版印刷装置と比較すると、プレスローラ16に代えて圧胴31を用いる点、左右移動機構28に代えて天地移動機構32を有する点においてのみ相違しており、他の構成は同一である。
【0044】
版胴7の下方には、版胴7とほぼ同径であり天地移動機構32を介して図示しない版胴駆動手段からの回転駆動力を伝達されることにより版胴7と同期して回転駆動される圧胴31が配設されている。圧胴31は外周面に切欠部を有しており、この切欠部には用紙15をその外周面上に保持するためのくわえ爪33が開閉自在に設けられている。圧胴31は図示しない揺動手段によって揺動され、切欠部を除く外周面が版胴7の外周面に対して接離自在に構成されている。天地移動機構32は、特開平9−104158号公報に開示された天地移動手段39,45と同様の周知の構成であり、版胴7と圧胴31との双方の周面の位相を相対的に移動させる。
【0045】
上述した孔版印刷装置の動作を以下に説明する。図示しない画像読取部に原稿がセットされた後に図示しないスタートキーが押下されると、排版手段29による排版動作が行われた後に版胴7が給版位置まで回転して停止し、図示しない開閉装置によりクランパ14が開放されて孔版印刷装置は給版待機状態となる。
【0046】
その後、製版部において製版動作が行われ、製版画像を形成されたマスタ1は版胴7の外周面上にその先端を保持される。その後、版胴7が図8においてマスタ1の搬送速度とほぼ同じ速度で反時計回り方向に回転を開始し、製版されたマスタ1の版胴7への巻装が行われる。そして、1版分の製版が完了したと判断されるとマスタ切断手段5が作動し、マスタ1が切断されると共にプラテンローラ2とマスタ搬送ローラ対4の作動が停止される。切断されたマスタ1は版胴7の回転によって製版部より引き出され、版胴7へのマスタ1の巻装動作が完了する。
【0047】
巻装動作が完了すると、給紙ローラ17が回転して用紙15が1枚引き出され、引き出された用紙Pはその先端をレジストローラ対18に挟持された状態で一時停止される。給紙部の作動と共に版胴7が図8において反時計回り方向に低速で回転駆動され、版胴7に巻装されたマスタ1の版胴回転方向における画像領域先端部が圧胴31との接触部に到達する直前の所定のタイミングでレジストローラ対18が回転駆動される。レジストローラ対18の回転により給送された用紙15はくわえ爪33によって圧胴31の外周面上に保持され、圧胴31の回転により版胴7との接触部に向けて給送される。そして図示しない揺動手段の作動により圧胴31がその周面を版胴7の外周面に圧接させ、給送された用紙15が版胴7上のマスタ1に圧接される。この押圧によりインキローラ10によって供給されたインキが版胴7の内周面から開孔部、メッシュスクリーン、マスタ1の穿孔部を介して用紙15に転写されて印刷が行われる。印刷画像が転写された用紙15は、くわえ爪33が開放された後に図示しない排紙部に送られて図示しない排紙トレイ上に排出積載される。この印刷動作に先立ち、オペレータによって図示しない操作パネル上において用紙に印刷される印刷画像位置を版胴回転方向である天地方向に移動させる設定がなされると、天地移動機構32が作動して版胴7の周面と圧胴31の周面とが相対的に天地方向に設定量だけ移動され、用紙15に印刷される画像位置が天地方向に変更される。
【0048】
上述の孔版印刷装置において、天地移動機構32が使用されない状態で長時間印刷動作が行われると、図9に示すように版胴7の内周面の圧胴31による基準の圧接開始点(基準開始点)よりも版胴回転方向上流側及び圧胴31による基準の圧接解除点(基準解除点)よりも版胴回転方向下流側にインキ30が残存した状態となる。この状態から天地移動機構32を作動させて印刷位置の変更を行った後に印刷動作を行うと、残存して変性したインキがインキローラ10によって版胴内周面に供給され、良好な印刷画像を得るまでに複数枚の印刷不良用紙を排出しなくてはならないという問題点が生じる。
【0049】
そこで本発明の第4の実施形態では、製版済みのマスタ1を版胴7に巻装し、用紙15を圧胴31の周面に保持させた状態で版胴7を回転させつつ圧胴31を版胴7に圧接させる空転モードを備えている。この空転モードは、孔版印刷装置が備えている図示しないタイマによって前回印刷からの経過時間が予め設定されている所定時間を超えた際に自動的に実行される。以下、この空転モード時の動作について説明する。
【0050】
孔版印刷装置の図示しないメイン電源がオンされると、図示しないタイマが前回印刷からの経過時間を算出し、この経過時間が所定時間を超えていると空転モードが実行される。空転モードでは、メイン電源投入後に排版手段29が作動して版胴7の外周面上より使用済みのマスタが剥離される。その後、製版部が作動して版胴7にマスタ1が巻装されるが、このときマスタ1には予め設定されている製版画像が形成される。巻装動作完了後、天地移動機構32が作動して版胴7が天地何れか一方の限界位置まで移動された後、版胴7及び圧胴31が回転を開始する。そして、用紙15を保持した状態で圧胴31が版胴7の周面に圧接される。この圧接により、図10に示すように基準開始点よりも版胴回転方向上流側または基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存したインキ30の何れか一方が圧胴31によって押圧されることで版胴7の内周面から用紙15に転写される。版胴7は予め定められた所定回数だけ回転し、この回転中に圧胴31による用紙15を介した版胴7の押圧が行われる。
【0051】
版胴7が所定回数回転して基準開始点よりも版胴回転方向上流側または基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存したインキ30の何れか一方が全て版胴7の内周面を介して用紙15に転写されると、版胴7の回転が停止する。その後、天地移動機構32が再び作動し、版胴7が天地何れか他方の限界位置まで移動された後、上述と同様に用紙15を保持した状態で圧胴31が版胴7の周面に圧接される。この圧接により、図11に示すように基準開始点よりも版胴回転方向上流側または基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存したインキ30の何れか他方が圧胴31によって押圧されることで版胴7の内周面を介して用紙15に転写される。版胴7は予め定められた所定回数だけ回転し、この回転中に圧胴31による用紙15を介した版胴7の押圧が行われる。
【0052】
版胴7が所定回数回転して基準開始点よりも版胴回転方向上流側及び基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存したインキ30が全て版胴7の内周面を介して用紙15に転写されると、版胴7の回転が停止した後に天地移動機構32が作動して版胴7が初期位置に復帰する。この一連の動作により基準開始点よりも版胴回転方向上流側及び基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存して変性したインキ30は全て用紙15に転写され、孔版印刷装置は待機状態となる。この後、新たな原稿が図示しない画像読取部にセットされた後に図示しないスタートキーが押下されると、版胴7の外周面に巻装されている空転モード用のマスタ1が剥離されて原稿画像に応じた製版画像が形成されたマスタ1が版胴7に巻装されて印刷が行われる。
【0053】
上述の構成によれば、基準開始点よりも版胴回転方向上流側及び基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存して変性したインキ30が全て用紙15に転写されるので、新たに印刷を行う場合には残存して変性したインキ30が存在しない状態で印刷を行うことができ、最初の1枚目から良好な印刷画像を得ることができる。
【0054】
次に本発明の第5の実施形態を説明する。この第5の実施形態では、無製版状態のマスタ1を版胴7に巻装し、用紙15を圧胴31の周面に保持させない状態で版胴7を回転させつつ圧胴31を版胴7に圧接させる空転モードを備えている。以下、この空転モード時の動作について説明する。
【0055】
孔版印刷装置の図示しないメイン電源がオンされると、図示しないタイマが前回印刷からの経過時間を算出し、この経過時間が所定時間を超えていると空転モードが実行される。空転モードでは、メイン電源投入後に排版手段29が作動して版胴7の外周面上より使用済みのマスタが剥離される。その後、製版部が作動して版胴7にマスタ1が巻装されるが、このときサーマルヘッド3の各発熱素子には通電が行われずマスタ1として無製版のものが形成される。巻装動作完了後、天地移動機構32が作動して版胴7が天地何れか一方の限界位置まで移動された後、版胴7及び圧胴31が回転を開始する。そして、用紙15を保持しない状態で圧胴31が版胴7の周面に圧接される。この圧接により、基準開始点よりも版胴回転方向上流側または基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存したインキ30の何れか一方が圧胴31によって押圧されることで版胴7の内周面に供給される。版胴7は予め定められた所定回数だけ回転し、この回転中に圧胴31による版胴7の押圧が行われる。
【0056】
版胴7が所定回数回転して基準開始点よりも版胴回転方向上流側または基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存したインキ30の何れか一方が全て版胴7の内周面に供給されると、版胴7の回転が停止する。その後、天地移動機構32が再び作動し、版胴7が天地何れか他方の限界位置まで移動された後、上述と同様に用紙15を保持しない状態で圧胴31が版胴7の周面に圧接される。この圧接により、基準開始点よりも版胴回転方向上流側または基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存したインキ30の何れか他方が圧胴31によって押圧されることで版胴7の内周面に供給される。版胴7は予め定められた所定回数だけ回転し、この回転中に圧胴31による版胴7の押圧が行われる。
【0057】
版胴7が所定回数回転して基準開始点よりも版胴回転方向上流側及び基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存したインキ30が全て版胴7の内周面に供給されると、版胴7の回転が停止した後に天地移動機構32が作動して版胴7が初期位置に復帰する。この一連の動作により基準開始点よりも版胴回転方向上流側及び基準解除点よりも版胴回転方向下流側に残存して変性したインキ30は全て無製版状態のマスタ1に供給され、孔版印刷装置は待機状態となる。この後、新たな原稿が図示しない画像読取部にセットされた後に図示しないスタートキーが押下されると、版胴7の外周面に巻装されている残存したインキ30を含んだ無製版のマスタ1が剥離されて原稿画像に応じた製版画像が形成されたマスタ1が版胴7に巻装されて印刷が行われる。
【0058】
上述の構成によれば、用紙15を使用することなく第4の実施形態と同様の作用効果を得ることができるので、第1の実施形態の作用効果に加えて用紙15にかかるコストを低減することができる。上述した第4及び第5の実施形態では、孔版印刷装置としてインキ補充ローラ20及びこれを移動させる部材を有する構成のものを示したが、これらを有していない孔版印刷装置を用いてもよい。
【0059】
上述した第1ないし第5の実施形態では、それぞれ空転モードを有し孔版印刷装置が備えている図示しないタイマによって前回印刷からの経過時間が予め設定されている所定時間を超えた際に自動的にこの空転モードを実行する構成としたが、装置が所定時間作動されない際に消費電力を抑えるべく不要な表示等を消灯する省電力モードを備えた孔版印刷装置に本発明を適用し、タイマの計時がこの省電力モードが機能する前記所定時間よりも短い所定時間を超えた際に空転モードを実行する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1ないし第3の実施形態を適用可能な孔版印刷装置の要部概略正面図である。
【図2】本発明の第1ないし第3の実施形態に用いられる左右移動機構を説明する概略図である。
【図3】左右移動機構を有する従来の孔版印刷装置における問題点を説明するための概略図である。
【図4】本発明の第1及び第2の実施形態における空転モードの動作を説明する概略図である。
【図5】本発明の第1及び第2の実施形態における空転モードの動作を説明する概略図である。
【図6】本発明の第3の実施形態における空転モードの動作を説明する概略図である。
【図7】本発明の第3の実施形態における空転モードの動作を説明する概略図である。
【図8】本発明の第4及び第5の実施形態を適用可能な孔版印刷装置の要部概略正面図である。
【図9】天地移動機構を有する従来の孔版印刷装置における問題点を説明するための概略図である。
【図10】本発明の第4及び第5の実施形態における空転モードの動作を説明する概略図である。
【図11】本発明の第4及び第5の実施形態における空転モードの動作を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0061】
7 版胴
10 インキローラ
15 用紙
16 押圧手段(プレスローラ)
20 インキ補充ローラ
28 左右移動機構
31 圧胴
32 天地移動機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面に開孔部を有する版胴と、前記版胴の内周面にインキを供給するインキローラと、前記開孔部を介して前記インキローラの周面と接離自在に設けられ前記版胴の外周面に用紙を押圧する押圧手段と、前記開孔部を前記版胴の軸方向に移動させる左右移動機構とを備えた孔版印刷装置において、
前記開孔部を基準位置より前記軸方向に移動させ、前記外周面に無製版マスタを巻装して前記押圧手段を無通紙状態で前記外周面に接触させて前記版胴を回転させる空転モードを有することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項2】
周面に開孔部を有する版胴と、前記版胴の内周面にインキを供給するインキローラと、前記開孔部を介して前記インキローラの周面と接離自在に設けられ前記版胴の外周面に用紙を押圧する押圧手段と、前記開孔部を前記版胴の軸方向に移動させる左右移動機構とを備えた孔版印刷装置において、
前記開孔部を基準位置より前記軸方向に移動させ、前記外周面に製版マスタを巻装して前記押圧手段を通紙状態で前記外周面に接触させて前記版胴を回転させる空転モードを有することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項3】
周面に開孔部を有する版胴と、前記版胴の内周面にインキを供給するインキローラと、前記内周面及び前記インキローラの周面に接触するインキ補充ローラと、前記開孔部を前記版胴の軸方向に移動させる左右移動機構とを備えた孔版印刷装置において、
前記開孔部を基準位置より前記軸方向に移動させ、前記インキ補充ローラを前記内周面及び前記インキローラの周面に接触させて無通紙状態で前記版胴を回転させる空転モードを有することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項4】
版胴と、外周面に用紙を保持し該用紙を前記版胴に圧接する圧胴と、前記版胴と前記圧胴との接触位置を前記版胴の回転方向に移動させる天地移動機構とを備えた孔版印刷装置において、
前記接触位置を基準位置より前記回転方向に移動させ、前記外周面に無製版マスタを巻装して前記圧胴を無通紙状態で前記版胴に接触させて前記版胴を回転させる空転モードを有することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項5】
版胴と、外周面に用紙を保持し該用紙を前記版胴に圧接する圧胴と、前記版胴と前記圧胴との接触位置を前記版胴の回転方向に移動させる天地移動機構とを備えた孔版印刷装置において、
前記接触位置を基準位置より前記回転方向に移動させ、前記外周面に製版マスタを巻装して前記圧胴を通紙状態で前記版胴に接触させて前記版胴を回転させる空転モードを有することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
装置の放置時間が所定時間を超えた場合に前記空転モードを実行することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項7】
請求項1ないし5の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
装置の放置時間が第1の所定時間を超えた場合に不要な表示等を消灯する省電力モードに移行し、装置の放置時間が第1の所定時間よりも短い第2の所定時間を超えた場合に前記空転モードを実行することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項1】
周面に開孔部を有する版胴と、前記版胴の内周面にインキを供給するインキローラと、前記開孔部を介して前記インキローラの周面と接離自在に設けられ前記版胴の外周面に用紙を押圧する押圧手段と、前記開孔部を前記版胴の軸方向に移動させる左右移動機構とを備えた孔版印刷装置において、
前記開孔部を基準位置より前記軸方向に移動させ、前記外周面に無製版マスタを巻装して前記押圧手段を無通紙状態で前記外周面に接触させて前記版胴を回転させる空転モードを有することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項2】
周面に開孔部を有する版胴と、前記版胴の内周面にインキを供給するインキローラと、前記開孔部を介して前記インキローラの周面と接離自在に設けられ前記版胴の外周面に用紙を押圧する押圧手段と、前記開孔部を前記版胴の軸方向に移動させる左右移動機構とを備えた孔版印刷装置において、
前記開孔部を基準位置より前記軸方向に移動させ、前記外周面に製版マスタを巻装して前記押圧手段を通紙状態で前記外周面に接触させて前記版胴を回転させる空転モードを有することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項3】
周面に開孔部を有する版胴と、前記版胴の内周面にインキを供給するインキローラと、前記内周面及び前記インキローラの周面に接触するインキ補充ローラと、前記開孔部を前記版胴の軸方向に移動させる左右移動機構とを備えた孔版印刷装置において、
前記開孔部を基準位置より前記軸方向に移動させ、前記インキ補充ローラを前記内周面及び前記インキローラの周面に接触させて無通紙状態で前記版胴を回転させる空転モードを有することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項4】
版胴と、外周面に用紙を保持し該用紙を前記版胴に圧接する圧胴と、前記版胴と前記圧胴との接触位置を前記版胴の回転方向に移動させる天地移動機構とを備えた孔版印刷装置において、
前記接触位置を基準位置より前記回転方向に移動させ、前記外周面に無製版マスタを巻装して前記圧胴を無通紙状態で前記版胴に接触させて前記版胴を回転させる空転モードを有することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項5】
版胴と、外周面に用紙を保持し該用紙を前記版胴に圧接する圧胴と、前記版胴と前記圧胴との接触位置を前記版胴の回転方向に移動させる天地移動機構とを備えた孔版印刷装置において、
前記接触位置を基準位置より前記回転方向に移動させ、前記外周面に製版マスタを巻装して前記圧胴を通紙状態で前記版胴に接触させて前記版胴を回転させる空転モードを有することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
装置の放置時間が所定時間を超えた場合に前記空転モードを実行することを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項7】
請求項1ないし5の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
装置の放置時間が第1の所定時間を超えた場合に不要な表示等を消灯する省電力モードに移行し、装置の放置時間が第1の所定時間よりも短い第2の所定時間を超えた場合に前記空転モードを実行することを特徴とする孔版印刷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−292024(P2009−292024A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147356(P2008−147356)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
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