説明

孔版印刷装置

【課題】両面印刷時における再給紙レジスト性能を向上することが可能な孔版印刷装置を提供する。
【解決手段】版胴11及びプレスローラ12を有する印刷部2と、排紙部6と、用紙Pを一時的に貯容した後にプレスローラ12の周面に沿う態様で印刷部2に向けて再給紙する再給紙手段9と、印刷部2を通過した用紙Pを排紙部6または再給紙手段9に案内する切替部材10とを有し、表面印刷工程を行った後に用紙Pを再給紙手段9に送り、用紙Pを再給紙手段9から印刷部2に再給紙して裏面印刷工程を行う1工程両面印刷が可能であり、再給紙手段9は、用紙Pを一時的に貯容する補助トレイ8と、補助トレイ8上に貯容された用紙Pを印刷部2に向けて搬送する再給紙搬送部材19とを有する孔版印刷装置1において、再給紙搬送部材19は用紙Pを搬送する搬送ベルト24と搬送ベルト24を走行駆動する駆動モータ30とを有し、搬送ベルト24による用紙Pの搬送前に駆動モータ30を予備回転させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再給紙手段を有し1工程両面印刷を行うことが可能な孔版印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、簡便な印刷方法としてデジタル式感熱孔版印刷が知られている。これは、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタに微細な発熱素子を複数有するサーマルヘッドを接触させ、この発熱素子に対しパルス的に通電を行いながらマスタをプラテンローラ等の搬送手段で搬送することにより、マスタの熱可塑性樹脂フィルムに画像情報に基づいた穿孔画像を熱溶融穿孔製版した後、この穿孔製版されたマスタを多孔性円筒状の版胴に巻装させ、プレスローラ等の押圧手段によって用紙を版胴外周面に押圧させることで版胴内周面に供給されたインキを版胴開孔部及びマスタ穿孔部から滲出させ、このインキを用紙に転移させることにより用紙上に印刷画像を得るものである。
【0003】
上述した孔版印刷において、最近では用紙の消費量及び書類の保管スペースを低減させるため等の目的から用紙の両面に印刷を行う両面印刷が頻繁に行われるようになってきている。この一例として、版胴の回転方向に第1製版画像と第2製版画像とが2面並んだ分割製版済みマスタを用い、給紙部より給紙された1枚目の用紙の表面に一方の製版画像を印刷した後にこの用紙を補助トレイに案内し、給紙部より給送された2枚目の用紙の表面に一方の製版画像を印刷した後にこの用紙を補助トレイに案内すると共に、補助トレイより1枚目の用紙を再給紙してこの裏面に他方の製版画像を印刷してこの用紙を排紙トレイに排出し、この動作を連続して行うことにより1工程で両面印刷物を得る孔版印刷装置が、例えば「特許文献1」に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特許第4037277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の孔版印刷装置では、一方の面に印刷が終了した用紙を再給紙手段に送り、再給紙手段から印刷部に向けて反転した状態で再給紙することにより他方の面に印刷を行っているが、その際に再給紙手段で用紙を一時停止させてレジスト合わせ及びスキューの矯正を行った後に印刷部に向けて再給紙している。再給紙手段は、用紙を搬送する手段としてコンベヤ状の再給紙搬送部材を有している。
【0006】
上述の再給紙搬送部材は、駆動ローラ及び従動ローラ及びこれらに掛け渡された無端ベルト及び無端ベルト上に用紙を吸引する吸引ファン等を有しているが、駆動ローラにはギヤ等の駆動力伝達手段を介してモータ等の駆動力発生手段からの駆動力が伝達されているため、ギヤ間におけるバックラッシュやギヤと軸とを固定するD型止め輪におけるガタ等の発生が避けられず、これにより駆動力発生手段が作動開始してから無端ベルトが移動開始するまでには僅かのタイムラグが生じている。印刷動作中においてガタが大きくなる方向と小さくなる方向との双方が生じた場合には上述したタイムラグが変化することとなり、これによって再給紙搬送タイミングや搬送量にばらつきが生じて用紙のレジスト合わせ位置がばらつき、再給紙レジスト性能が悪化してしまうという問題点がある。
【0007】
本発明は上述した問題点を解決し、両面印刷時における再給紙レジスト性能を向上することが可能な孔版印刷装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、版胴及び前記版胴に用紙を押圧するプレスローラを有する印刷部と、前記印刷部において印刷がなされた用紙を排出する排紙部と、前記印刷部においてその一方の面に印刷画像を形成された用紙を一時的に貯容した後に前記プレスローラの周面に沿う態様で前記印刷部に向けて再給紙する再給紙手段と、前記印刷部を通過した用紙を前記排紙部に案内する第1の態位または前記再給紙手段に案内する第2の態位を選択的に占める変位可能な切替部材とを有し、用紙の一方の面に表面画像を印刷する表面印刷工程を行った後に該用紙を前記再給紙手段に送り、前記用紙を前記再給紙手段から前記印刷部に再給紙して前記用紙の他方の面に裏面画像を印刷する裏面印刷工程を行う1工程両面印刷が可能であり、前記再給紙手段は、一方の面に印刷画像が形成された用紙を一時的に貯容する補助トレイと、前記補助トレイ上に貯容された用紙を前記印刷部に向けて搬送する再給紙搬送部材とを有する孔版印刷装置において、前記再給紙搬送部材は用紙を搬送する搬送ベルトと前記搬送ベルトを走行駆動する駆動モータとを有し、前記搬送ベルトによる用紙の搬送前に前記駆動モータを予備回転させることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、さらに前記駆動モータの予備回転は用紙が前記搬送ベルトに載置される前に行われることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の孔版印刷装置において、さらに第2の態位を占めた前記切替部材により前記再給紙手段へと送られる用紙の先端を挟持してガイドする用紙クランパを有し、前記駆動モータの予備回転は前記用紙クランパによって挟持された用紙が開放される前に行われることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、さらに予備回転による前記駆動モータの回転速度は用紙搬送時よりも低速であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、駆動モータが回転を開始するタイミングと搬送ベルトが走行を開始するタイミングとの間にタイムラグが発生せず、駆動モータが回転を開始すると同時に搬送ベルトが走行を開始するので、再給紙搬送タイミング及び用紙搬送量にばらつきが生じないため再給紙レジスト性能の悪化を防止して良好な再給紙を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態を採用した孔版印刷装置を示している。この孔版印刷装置は、特許第4037277号に開示された印刷装置と関連した構成を有しているので、各部位の説明をできるだけ省略する。
【0014】
図1において孔版印刷装置1は、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7、補助トレイ8を有する再給紙手段9、切替部材10等を有している。
【0015】
装置本体42のほぼ中央に配置された印刷部2は、版胴11とプレスローラ12とを有している。版胴11は装置本体42に回転自在に支持されており、図示しない版胴駆動手段によって回転駆動される。版胴11はその外周面に開閉自在なクランパ13を有しており、両面印刷時において版胴11の外周面には製版部3で製版された分割マスタ14が巻装される。分割マスタ14には表面画像に応じた第1製版画像と裏面画像に応じた第2製版画像とが形成されており、各製版画像間には未製版部分が形成されている。分割マスタ14は、版胴11上において、第1製版画像が図1に示す表面領域に、第2製版画像が同裏面領域に、未製版部分が同中間領域にそれぞれ対応するように巻装される。
【0016】
版胴11の下方にはプレスローラ12が配設されている。フッ素樹脂等の撥水性を有する弾性体からなるプレスローラ12は図示しないアーム部材にその両端を回転自在に支持されており、図示しないアーム部材は図示しない揺動手段によって揺動自在に支持されている。プレスローラ12はその周面が版胴11より離間する図1に示す離間位置と、その周面が版胴11上の分割マスタ14に圧接する圧接位置とを選択的に占める。プレスローラ12の周面近傍には、図示しない駆動手段によって回転駆動されプレスローラ12の周面に接触してクリーニングを行うクリーニングローラ16が配設されている。
【0017】
プレスローラ12の右方近傍には再給紙手段9から送られた表面印刷済みの用紙Pをプレスローラ12の周面に沿わせて搬送するための再給紙案内部材17が配設されており、プレスローラ12の下方には補助トレイ8上に貯留された用紙Pをプレスローラ12の周面に接触させて送り出す再給紙レジストローラ18が配設されている。プレスローラ12の左下方には上面に補助トレイ8を有する再給紙搬送部材としての再給紙搬送ユニット19が配設されており、これには再給紙位置決め部材20が一体的に設けられている。再給紙搬送ユニット19の上方には、補助トレイ8の上面に沿って移動自在な用紙受け板21が配設されている。これら補助トレイ8、再給紙案内部材17、再給紙レジストローラ18、再給紙位置決め部材20、再給紙搬送ユニット19及び用紙受け板21によって再給紙手段9が構成されている。
【0018】
再給紙搬送ユニット19は、図2にも示すように駆動ローラ22、従動ローラ23、無端ベルトである搬送ベルト24、吸引ファン25等を有している。各ローラ22,23間に掛け渡された搬送ベルト24は、駆動ローラ22の支軸22aに取り付けられたギヤ26及びアイドルギヤ27及びピニオンギヤ28及びタイミングベルト29を介して駆動ローラ22が駆動モータ30からの駆動力によって回転駆動されることにより、図1に矢印で示す方向に走行駆動される。
【0019】
版胴11とプレスローラ12との接触位置の左方であって、用紙Pの搬送経路上には切替部材10が配設されている。切替部材10はその用紙搬送方向下流側端部を装置本体42に回動自在に支持されており、図示しない移動手段によって移動され、図1に実線で示す第1の位置と二点鎖線で示す第2の位置とを選択的に占める。版胴11とプレスローラ12との間を通過した用紙Pは、切替部材10が第1の位置を占めているときに排紙部6へと案内され、切替部材10が第2の位置を占めているときに補助トレイ8へと案内される。
【0020】
印刷部2の右上方には製版部3が配設されている。製版部3は、マスタ31をロール状に巻成したマスタロールを保持するマスタ保持部材32、プラテンローラ33、サーマルヘッド34、マスタ切断手段35、マスタストック部36、テンションローラ対37、反転ローラ対38等を有する周知の構成であり、両面印刷時において製版部3では分割マスタ14が作成される。
【0021】
製版部3の下方には給紙部4が配設されている。給紙部4は、給紙トレイ39、給紙ローラ40、分離ローラ41、分離パッド43、レジストローラ対15等を有している。上面に多数の用紙Pを積載可能な給紙トレイ39は装置本体42に上下動自在に支持されており、図示しない昇降手段によって上下動される。給紙トレイ39の上面には、用紙Pの幅方向における揃えを行う一対のサイドフェンス45が配設されている。
【0022】
印刷部2の左上方に配設された排版部5は、上排版部材46、下排版部材47、排版ボックス48、圧縮板49等を有する周知の構成であり、使用済みの分割マスタ14を版胴11の外周面より剥離して排版ボックス48の内部に廃棄する。
【0023】
排版部5の下方には排紙部6が配設されている。排紙部6は、剥離爪50、排紙搬送ユニット51、排紙トレイ52等を有している。剥離爪50は図示しない揺動手段によってその先端部が版胴11の外周面に対して近接・離間自在に設けられており、近接位置を占めた際に版胴11の外周面上より用紙Pを剥離する。排紙搬送ユニット51は、駆動ローラ、従動ローラ、無端ベルト、吸引ファン等を有しており、無端ベルトの上面に印刷済みの用紙Pを吸引しつつ図1の矢印方向に搬送する。排紙トレイ52は1個のエンドフェンスと一対のサイドフェンスとを有しており、その上面に印刷済みの用紙Pを積載する。
【0024】
装置本体の上部には画像読取部7が配設されている。画像読取部7は、コンタクトガラス53、コンタクトガラス53に対して接離自在に設けられた圧板54、原稿画像を走査して読み取る反射ミラー55,56,57,58及び蛍光灯59、走査された画像を集束するレンズ60、集束された画像を処理する画像センサ61等を有している。
【0025】
上述した孔版印刷装置1では、画像読取部7に原稿がセットされ図示しない製版スタートキーが押下されることにより、排版部5が作動して排版動作が行われた後に製版部3が作動して製版動作が行われ、版胴11に製版済みマスタが巻装されて片面印刷待機状態となる。その後、印刷枚数が置数された後に図示しない印刷スタートキーが押下されることにより、給紙部4より用紙Pが連続的に給送されて片面印刷動作が行われる。置数された印刷枚数に達すると片面印刷動作が完了して孔版印刷装置1は再び片面印刷待機状態となる。
【0026】
また、画像読取部7に原稿がセットされ両面印刷モードが設定された後に図示しない製版スタートキーが押下されることにより、排版部5が作動して排版動作が行われた後に製版部3が作動して製版動作が行われ、版胴11に分割マスタ14が巻装されて両面印刷待機状態となる。その後、印刷枚数が置数された後に図示しない印刷スタートキーが押下されることにより、給紙部4より用紙Pが連続的に給送されて両面印刷が行われる。以下に、両面印刷動作を説明する。
【0027】
版胴11が所定の角度まで回転してその表面領域がプレスローラ12と対応する所定位置を占めると、プレスローラ12が圧接位置を占めることにより用紙Pが版胴11上の分割マスタ14の第1製版画像に圧接され、その一方の面に表面画像を転写される。表面印刷済み用紙となった用紙Pは、第2の位置を占めている切替部材10の先端によって版胴11の外周面より剥離され、再給紙搬送ユニット19へと送られる。このとき、用紙Pはその先端を用紙受け板21によって受け止められ、後端側から補助トレイ8上に載置される。補助トレイ8上の用紙Pは再給紙搬送ユニット19によって図1の矢印方向に搬送され、その先端を再給紙位置決め部材20に当接させた状態で一時停止される。
【0028】
1枚目の用紙Pが補助トレイ8上に案内されている間も版胴11は回転を継続しており、給紙部4からは1枚目の用紙Pと同じタイミングで2枚目の用紙Pが給送される。給送された2枚目の用紙Pは1枚目の用紙Pと同様にプレスローラ12によってその一方の面に表面画像を転写された後、第2の位置を占めている切替部材10によって再給紙搬送ユニット19へと送られる。給紙部4から2枚目の用紙Pが給送された後、版胴11の裏面領域がプレスローラ12と対応する位置に到達するよりもやや早いタイミングで、再給紙レジストローラ18が作動して補助トレイ8上に貯留されている1枚目の用紙Pがプレスローラ12の周面に圧接される。プレスローラ12の周面に圧接された1枚目の用紙Pは、版胴11に圧接して従動回転しているプレスローラ12の回転力によって版胴11との当接部に向けて搬送され、分割マスタ14の第2製版画像に圧接されることによりその他方の面に裏面画像を転写される。
【0029】
裏面画像を転写されて両面印刷済み用紙となった1枚目の用紙Pは第1の位置を占めた切替部材10によって排紙部6へと案内され、剥離爪50の先端によって版胴11の外周面より剥離される。剥離された印刷済みの用紙Pは排紙搬送ユニット51へと送られた後、搬送されて排紙トレイ52上に排出積載される。以下、上述の動作が設定された印刷枚数を消化するまで繰り返され、設定された枚数の両面印刷動作が完了すると各部位の作動が停止して孔版印刷装置1は再び両面印刷待機状態となる。
【0030】
上述した両面印刷動作時において、一方の面に表面画像を転写された用紙Pは切替部材10によって再給紙搬送ユニット19へと送られ、図1の矢印方向に搬送されてその先端を再給紙位置決め部材20に当接させた状態で一時停止されるが、「発明が解決しようとする課題」の欄でも述べたように、再給紙搬送ユニット19を構成するギヤ間におけるバックラッシュやギヤと軸とを固定するD型止め輪におけるガタの影響により、駆動モータ30が作動開始してから搬送ベルト24が移動開始するまでにタイムラグが生じ、このタイムラグの変化によって再給紙レジスト性能能が悪化してしまうという問題点がある。
【0031】
本発明は上述の問題点を解決すべく、駆動モータ30を、本来の回転開始のタイミングよりも前のタイミングで用紙搬送方向と同じ方向に僅かに回転させる(これを予備回転という)ことにより上述したガタを予めなくしておくという構成を採用している。この構成により、駆動モータ30が回転を開始するタイミングと搬送ベルト24が走行を開始するタイミングとの間にタイムラグが発生せず、駆動モータ30が回転を開始すると同時に搬送ベルト24が走行を開始するので、再給紙位置決め部材20までの再給紙搬送タイミング及び用紙搬送量にばらつきが生じないため、再給紙レジスト性能の悪化を防止して良好な再給紙を行うことができる。この予備回転動作は、補助トレイ8上の用紙Pが再給紙レジストローラ18によって印刷部2へと再給紙されて駆動モータ30の作動が停止してから次に駆動モータ30が作動するまでの間、すなわち次の用紙Pが搬送ベルト24上に載置される前に完了すればよい。この予備回転動作のタイミングチャートを図4に示す。
【0032】
上述の予備回転による駆動モータ30の回転速度は、用紙搬送時におけるそれよりも低速(ステッピングモータであれば自起動領域内等)となるように設定されている。この予備回転時における回転速度と通常の印刷時における回転速度との比較を図5に示す。これは、高速で回転させるとその後の印刷動作における時間的制約等によって急停止せざるを得ず、再びガタが発生してしまうためである。この構成により、ガタの再発を防止でき良好な再給紙レジスト性能を継続させることができる。
【0033】
上記実施形態では、再給紙手段9として用紙受け板21が用紙Pの先端を挟持する用紙クランパを有していない構成としたが、用紙受け板21に代えて図3に示す用紙クランパ63を有する用紙受け板62を本発明に適用してもよい。用紙クランパ63は切替部材10によって案内された片面印刷済みの用紙Pの先端を挟持する部材であり、その動作は特許第4037277号公報に開示された用紙クランパ168eと同様である。この構成において、用紙クランパ63が片面印刷済みの用紙Pの先端を挟持した後、用紙受け板62が用紙Pの挟持位置から開放位置に至るまでの間、すなわち用紙クランパ63によって挟持された用紙Pが開放される前に上述の予備回転を行う。この予備回転動作のタイミングチャートを図6に示す。これにより駆動モータ30が回転を開始するタイミングと搬送ベルト24が走行を開始するタイミングとの間にタイムラグが発生せず、駆動モータ30が回転を開始すると同時に搬送ベルト24が走行を開始するので、再給紙レジスト性能の悪化を防止して良好な再給紙を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態を採用した両面印刷が可能な孔版印刷装置の概略正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に用いられる搬送ベルト及び駆動モータの概略図である。
【図3】本発明の他の実施形態に用いられる用紙受け板及び用紙クランパの概略図である。
【図4】本発明の一実施形態における予備回転動作を説明するタイミングチャートである。
【図5】本発明の一実施形態における予備回転動作の速度を説明するタイミングチャートである。
【図6】本発明の他の実施形態における予備回転動作を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0035】
1 孔版印刷装置
2 印刷部
6 排紙部
8 補助トレイ
9 再給紙手段
10 切替部材
11 版胴
12 プレスローラ
19 再給紙搬送部材(再給紙搬送ユニット)
24 搬送ベルト
30 駆動モータ
63 用紙クランパ
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
版胴及び前記版胴に用紙を押圧するプレスローラを有する印刷部と、前記印刷部において印刷がなされた用紙を排出する排紙部と、前記印刷部においてその一方の面に印刷画像を形成された用紙を一時的に貯容した後に前記プレスローラの周面に沿う態様で前記印刷部に向けて再給紙する再給紙手段と、前記印刷部を通過した用紙を前記排紙部に案内する第1の態位または前記再給紙手段に案内する第2の態位を選択的に占める変位可能な切替部材とを有し、用紙の一方の面に表面画像を印刷する表面印刷工程を行った後に該用紙を前記再給紙手段に送り、前記用紙を前記再給紙手段から前記印刷部に再給紙して前記用紙の他方の面に裏面画像を印刷する裏面印刷工程を行う1工程両面印刷が可能であり、前記再給紙手段は、一方の面に印刷画像が形成された用紙を一時的に貯容する補助トレイと、前記補助トレイ上に貯容された用紙を前記印刷部に向けて搬送する再給紙搬送部材とを有する孔版印刷装置において、
前記再給紙搬送部材は用紙を搬送する搬送ベルトと前記搬送ベルトを走行駆動する駆動モータとを有し、前記搬送ベルトによる用紙の搬送前に前記駆動モータを予備回転させることを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の孔版印刷装置において、
前記駆動モータの予備回転は用紙が前記搬送ベルトに載置される前に行われることを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項3】
請求項1記載の孔版印刷装置において、
第2の態位を占めた前記切替部材により前記再給紙手段へと送られる用紙の先端を挟持してガイドする用紙クランパを有し、前記駆動モータの予備回転は前記用紙クランパによって挟持された用紙が開放される前に行われることを特徴とする孔版印刷装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか1つに記載の孔版印刷装置において、
予備回転による前記駆動モータの回転速度は用紙搬送時よりも低速であることを特徴とする孔版印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−149409(P2010−149409A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330780(P2008−330780)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)