説明

学習用具

【課題】紙面を汚すことなく暗記学習をする際に特定部分を一時的に隠蔽することができる一方、暗記学習のための別途の文具を要さない学習用具を提供する。
【解決手段】本発明の学習用具は、複数枚のノート紙を一辺側の綴じ代で綴じており、各ノート紙の紙面上に記載された特定部分を隠蔽することができる。また、本学習用具は、前記特定部分の色と略同色透明であり、前記綴じ代と異なる一辺側の綴じ代で綴じられた可撓性を有するチェックシートを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙面に記載した色付きの文字、記号等を隠蔽することにより、隠蔽した文字等の効率的な暗記や記憶度合いの診断が可能な学習用具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、暗記する学習において、その学習能率を増進させるためにノートブックや教科書等の記載のうち暗記を所望する部分を一時的に隠蔽して効率的に暗記したり、自らの記憶度合いを測ったりする勉強方法が存在する。
【0003】
この勉強方法を支援するための学習用具として、例えば特許文献1(特公昭57−37871号公報)や特許文献2(特開平9−179483号公報)では、教科書等で記載文字全体にマーキング(着色)した暗記部分を学習する際に、そのマーキングの色と補色対になる色の透明のチェックシートを紙面に被せることで、暗転したマーキングの色を記載文字の地色に混同させて一時的に隠蔽する学習用具が示されている。
【0004】
しかしながら、上記従来の学習用具では暗記を所望する記載部分全体を予めマーキングする必要があり、またチェックシートとの補色対をなす濃い色でマーキングせざるを得ないという問題がある。
【0005】
さらに、上記学習用具の場合、学習時にノートブックや教科書等とは別にマーキング用のペンやチェックシートが必要となるため持ち運びや管理が煩雑なものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭57−37871号公報
【特許文献2】特開平9−179483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の問題に鑑みて創作されたものであり、紙面を汚すことなく暗記学習をする際に特定部分を一時的に隠蔽することができる一方、暗記学習のために別途の文具を要さない学習用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の学習用具では、複数枚のノート紙を一辺側の綴じ代で綴じており、各ノート紙の紙面上に記載された特定部分を隠蔽することができる学習用具であって、前記特定部分の色と略同色透明であり、前記綴じ代と異なる一辺側の綴じ代で綴じられた可撓性を有するチェックシートを備えている。好ましくは、ノート紙の紙面上に記載された特定部分は明度の高い赤色、ピンク色、ないしはオレンジ色であり、チェックシートは赤色透明である。
【0009】
また、本学習用具の前記ノート紙は該ノート紙より下側に長い台紙にとともに、上側一辺に設けられた綴じ代で綴じられており、前記チェックシートは前記台紙とともに、該台紙の下側一辺に設けられた綴じ代で綴じられても良い。
【0010】
さらに、本学習用具の前記ノート紙と台紙との綴じ方、前記チェックシートと台紙との綴じ方は、ともにリング綴じであることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
従来は、暗記したい文字や文章等の色と補色関係にある色のチェックシートを被せることで上記特定部分を暗転させて隠蔽する方法を採用していたので、暗記したい文字や文章等の部分の全体を覆うようにマーカーで着色する必要があった。これに対し、本発明の学習用具では、ノート紙に記載した暗記したい文字や文章等の特定部分と略同色の透明フィルムを被せることで上記特定部分を隠蔽することができる。
【0012】
即ち、本発明の学習用具では同色のチェックシートで隠蔽するため、あえて着色しなくとも記載した文字等の色のまま隠蔽することができる。したがって、暗記したい重要な文字や文章等を色付きで記載するということ以外は通常と同様のノート作成方法を実行し、暗記学習時にはチェックシートを被せるだけで足りる。
【0013】
また、従来は、チェックシートとノートが別体であったため、チェックシートが散逸するおそれがあった。これに対し、本発明の学習用具では、チェックシートとノートとが一体になっているため、チェックシートが離散することはない。
【0014】
更に、このような本発明の学習用具によれば、前述のように暗記したい部分を着色するためのペンは不要であり、またチェックシートもノート紙とに一体になっているため文具点数を大幅に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る学習用具の全体概略図である。
【図2】図1に示す学習用具の左側面図である。
【図3】図1の学習用具の紙面全体をチェックシートで覆った状態を示す図である。
【図4】図3の学習用具のチェックシートを下方にずらした状態を示す図である。
【図5】図1、図3及び図4の状態の学習用具全体を表裏ひっくり返した状態を示す図である。
【図6】図1、図3、図4及び図5の学習用具のチェックシートを紙面に挟み込んで「しおり」とした状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、本発明の一実施形態に係る学習用具について、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合がある。また、各図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、表された各構成要素の寸法やそれらの比は実際のものとは異なる場合もある。
【0017】
本発明の学習用具10の全体概略図を示す図1及び図1の全体外略図の左側面図である図2からわかるように、学習用具10は、複数枚のノート紙12と台紙14とチェックシート16とで構成されている。ノート紙12は一般的な学習ノートと同様に裏表に手書き用の紙を数十枚〜多数枚綴じて構成している。
【0018】
ノート紙12の紙面には、所望行数に相当する数の横書き罫線と、横書き罫線を2つに分割する縦書き罫線と、が印刷されている。また、ノート紙12は、上側一辺に位置する綴じ代17において台紙15と表紙14との間でリング綴じされている。
【0019】
台紙15は、PP紙等の比較的硬い紙質で構成している。また台紙15はノート紙12と比べて、横方向には略同一幅であるが、縦方向には所定長さだけ長くなる(図2における長さL参照)。また表紙14もPP紙等の比較的硬い紙質で構成しており、表紙14はノート紙12と横方向も縦方向も略同一幅・長さである。
【0020】
また、台紙15には、その下側一辺に位置する綴じ代19においてチェックシート16がリング綴じされている。このチェックシート16は、可撓性を有する透明フィルムで構成している(色については後述する。)。
【0021】
また、チェックシート16は、台紙15に対しては横方向も縦方向も略同一幅・長さであるが、ノート紙12や表紙14に対しては横方向に略同一幅、縦方向に所定長さだけ長くなる(上述する図2の長さL参照)。
【0022】
図1では、表紙14とチェックシート16とが開いた状態が示されており、ここでは英単語学習に使用した場合のイメージの一例を示している。ノート紙12の紙面左には黒色文字CBが記載されており、紙面右側には赤色文字CRが記載されている。
【0023】
紙面左側の黒色文字CBは通常の学習者がノートに鉛筆やボールペンで記載するイメージであり、チェックシート16と同系色以外であればよく、黒色以外でも差し支えない。ここでは暗記したい英単語例として「Core Competence」と「bench mark」とが示されている。
【0024】
また、紙面右側の赤色文字CBは通常の学習者がノートに赤鉛筆や赤ボールペンで記載するイメージであり、ここでは上述する紙面左側の英単語「Core Competence」、「bench mark」の意味の例として、それぞれ「自社の得意な競争分野・・・(中略)・・・経営方法」、「1.測量における・・・(中略)・・・改善する方法」との赤色記載が示されている。
【0025】
チェックシート16は、紙面に色付きで記載した色と略同色透明であり、ここでは赤色透明フィルムを示している。上述のように紙面右側は赤色で記載しているがこれはチェックシート16の色に合わせたものである。
【0026】
次にこの本学習用具10を使った実際の暗記学習方法について説明する。図3では図1の状態から表紙14をめくって台紙15の裏面に回し、チェックシート16をノート紙12の紙面上に被せた状態を示している。上述のようにチェックシート16は、ノート紙12よりも大きく台紙15と略同じ大きさであるためノート紙12の紙面全体を覆うことができる。
【0027】
このときチェックシート16を透して見えるノート紙12の紙面は、図3に示すように黒色文字CBのみで赤色文字CRは隠蔽されていることがわかる。これにより学習者は、黒色文字CBの英単語の位置を自己回答し、暗記しているか否かを診断することができる。
【0028】
図3の状態で、例えば黒色文字CBの英単語「Core Competence」の意味を自己回答した場合、その正否を検証する方法が図4に示されている。自己回答を検証するには、ノート紙12の紙面全体を覆っているチェックシート16を下方にずらし、紙面右側の赤色文字CRを視認可能にすることで可能となる。
【0029】
なお、チェックシート16は片手指先程度で容易にずらすことができる程度の可撓性を有することが好ましい。英単語「Core Competence」の暗記度合い検証した後は、順次、チェックシート16をずらしていき英単語「bench mark」の意味の自己回答をしていくこととなる。
【0030】
図4のノート紙12の紙面の学習が終わると、通常の上下見開きノートのようにノート紙12を一枚分めくることとなるが、ノート紙12はその裏面も記載可能な紙面であるため、一枚分めくった後には学習用具10全体を表裏ひっくり返して使用することができる。このように学習用具10全体を表裏ひっくり返した状態が図5に示されており、ひっくり返す方向を矢印Aでイメージしている。
【0031】
図5では、図4の状態から学習用具10をひっくり返した場合にその紙面(図4の紙面の裏面)の左側に黒色文字CBの英単語「Company」、紙面右側に赤色文字CRの意味「1.交際・・・(中略)・・・商会」が記載されている様子を示している。このときチェックシート16は下側からめくることで紙面12を覆うことができる(矢印B参照)。そして、紙面12を覆ったチェックシート16を順次下方にずらしていくことで図2〜図3と同様に暗記学習を行うことができる。
【0032】
なお、チェックシート16が暗記学習時だけではなく、前回の暗記学習終了頁を記憶しておく「しおり」としての機能も兼ね備えている。図6では表に現れている紙面12の次頁にチェックシート16を「しおり」として挟み込んでいる状態を示している。
【0033】
以上、本発明の学習用具についての実施形態およびその概念について説明してきたが本発明はこれに限定されるものではなく特許請求の範囲および明細書等に記載の精神や教示を逸脱しない範囲で他の変形例、改良例が得られることを当業者は理解できるであろう。
【0034】
例えば、上記実施形態では、チェックシート16を赤色透明で説明してきたが、隠蔽対象となる文字等の色の指定をしていればチェックシート16の色も指定色と同色透明のもの差し支えない。
【0035】
また、上記実施形態では、ノート紙12と台紙15とチェックシート16とをリング綴じて綴じる場合を示したが綴じ方は一般的な他の製本用の綴じ方でも良い。
【0036】
さらに、上記実施形態では、台紙15に対してノート紙12を上側一片で綴じチェックシート16を下側一片で綴じているが、ノート紙12とチェックシート16を台紙15の異なる一片で綴じれば良く、例えばノート紙12を通常の学習ノートのように左右見開きに綴じ、チェックシート16を左側一片で綴じることも考えられる。
【符号の説明】
【0037】
10 学習用具
12 ノート紙(紙面)
14 表紙
15 台紙
16 チェックシート
17 綴じ代
19 綴じ代
CB 黒色文字
CR 赤色文字


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のノート紙を一辺側の綴じ代で綴じており、各ノート紙の紙面上に記載された特定部分を隠蔽することができる学習用具であって、
前記特定部分の色と略同色透明であり、前記綴じ代と異なる一辺側の綴じ代で綴じられた可撓性を有するチェックシートを備えること、
を特徴とする学習用具。
【請求項2】
前記ノート紙は該ノート紙より下側に長い台紙にとともに、上側一辺に設けられた綴じ代で綴じられており、
前記チェックシートは前記台紙とともに、該台紙の下側一辺に設けられた綴じ代で綴じられること、
を特徴とする請求項1に記載の学習用具。
【請求項3】
前記特定部分は赤色であり、前記チェックシートは赤色透明であること、
を特徴とする請求項1または2に記載の学習用具。
【請求項4】
前記ノート紙と前記台紙との綴じ方、前記チェックシートと前記台紙との綴じ方は、ともにリング綴じであること、
を特徴とする請求項2または3に記載の学習用具。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate