説明

宅内光ファイバ配線工法および配線装置

【課題】室内の美観を損ねることがなく、配線の周囲に塵埃が溜まりにくい宅内光ファイバ配線工法および配線装置を提供する。
【解決手段】床面2と壁面3とがなす部屋の隅部4に沿って、光ファイバ心線5を送り込むと共に、光ファイバ心線5の周囲を覆うように透明または半透明の樹脂6を送り込んで部屋の隅部4を樹脂6で充填し、樹脂6を固化させることにより、光ファイバ心線5を部屋の隅部4に沿って固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ通信加入者宅における宅内光ファイバ配線工法および配線装置に係り、特に、室内の美観を保ち、かつ清掃を容易とすることが可能な宅内光ファイバ配線工法および配線装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバ通信加入者宅で宅内光ファイバ配線を行う際には、電柱から配線された光ドロップケーブル(黒色)や、成端箱から配線された光インドアケーブル(白色)に、現地付け型のコネクタを接続し、そのコネクタを、室内に設置された光終端装置(Optical Network Unit;以下、ONUという)に接続する工法が一般にとられていた。
【0003】
また、光コンセントを壁面に設置して、光コンセントとONUとを室内配線用光ケーブル(室内配線コード)で配線する工法もとられている。
【0004】
また、室内に光ケーブルを配線する場合、室内歩行時に光ケーブルが足に引っ掛かって転倒したり、これにより光ケーブルが断線してしまうことも懸念されるため、この対策として、従来、モールによって配線した光ケーブルを保護する工法が一般にとられている。
【0005】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、特許文献1〜3がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−48516号公報
【特許文献2】特開2006−53196号公報
【特許文献3】特開2009−128494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、光ドロップケーブルや光インドアケーブルなどの光ケーブルを直接ONUに接続する工法では、ONUに接続される光ケーブルの外観が黒ないし白色であるため、室内に配線したときに光ケーブルが目立ってしまい、室内の美観を損ねてしまうという問題があった。
【0008】
また、光コンセントとONUとを室内配線用光ケーブルで配線する工法では、室内配線用光ケーブルが側圧に強い充分な厚みを持つため、太くて目立つ。そのため、室内に配線したときに室内配線用光ケーブルが目立ってしまい、室内の美観を損ねてしまうという問題があった。
【0009】
さらに、モールによって光ケーブルを保護する工法では、モールが光ケーブルより断面積が大きいため、モール自身が目立ってしまい、室内の美観を損ねてしまうという問題がある。また、モールは一般的に着色された樹脂であるため、壁面や床面と色違いとなって美観を損ねるおそれもある。
【0010】
さらにまた、従来の宅内光ファイバ配線工法では、光ケーブルを壁面に沿わせて配線した場合、光ケーブルと壁面との間に塵埃が溜まりやすく、室内清掃が容易でなくなるという問題がある。
【0011】
特許文献1では、易剥離性の剥離紙(離型紙)つきの光ケーブル(光ファイバセンサ)を用い、離型紙を剥がして接合面を露出させつつ、構造物に沿ってローラで接合面を圧着しながら接着することで、光ケーブルを構造物に沿って配線する工法が提案されている。しかし、この工法では、光ケーブルが捻回した場合に、接合面での接着に支障が出ると共に、配線作業中に、剥がした剥離紙と光ケーブルが絡まってしまい、処理が容易でないという問題がある。
【0012】
特許文献2では、搬送装置にて光ファイバを基板上に送り出すと共に、送り出した光ファイバに基板の手前で接着剤を塗布し、基板と光ファイバを接着させ固定する方法が提案されている。しかし、この方法は、基板上に光ファイバを配線する方法であり、当然ながら室内の美観を意識したものではなく、さらには、接着点をプロッタで移動する方法であるため、宅内光ファイバ配線工法に適用するには難がある。
【0013】
特許文献3では、複数の光ファイバ心線と抗張力体とを一列に並べて配置し、粘着材付きの保護シートと、粘着材付きの剥離紙とでサンドイッチ状に挟んでなる光ケーブル(光ファイバコード)が提案されている。しかし、この光ケーブルは、上述の特許文献1と同様に、配線作業中に、剥がした剥離紙と光ケーブルが絡まってしまう可能性があり、さらには、抗張力体や保護シートが壁面や床面と色違いとなって、室内の美観を損ねるおそれがある。
【0014】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、室内の美観を損ねることがなく、配線の周囲に塵埃が溜まりにくい宅内光ファイバ配線工法および配線装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、床面と壁面とがなす部屋の隅部に沿って、光ファイバ心線を送り込むと共に、該光ファイバ心線の周囲を覆うように透明または半透明の樹脂を送り込んで前記部屋の隅部を前記樹脂で充填し、前記樹脂を固化させることにより、前記光ファイバ心線を前記部屋の隅部に沿って固定する宅内光ファイバ配線工法である。
【0016】
前記樹脂は、前記部屋の隅部に、凹状のメニスカスを形成するように充填されてもよい。
【0017】
前記部屋の隅部に充填される前記樹脂の幅を一定とすべく、前記樹脂を供給する樹脂用ノズルの移動速度を計測し、計測した移動速度に応じた流量もしくは流速で前記樹脂を供給するようにしてもよい。
【0018】
前記部屋の隅部に充填される前記樹脂の幅を一定とすべく、前記樹脂を供給する樹脂用ノズルを一定速度で移動させ、一定の流量もしくは流速で前記樹脂を供給するようにしてもよい。
【0019】
前記光ファイバ心線を、透明あるいは半透明のチューブで覆い、当該チューブで覆った前記光ファイバ心線を覆うように、前記樹脂を充填するようにしてもよい。
【0020】
前記樹脂を供給する樹脂用ノズルの後方に、前記樹脂用ノズルと共に移動するように樹脂硬化促進機構を設け、前記樹脂用ノズルを移動させながら前記樹脂を前記部屋の隅部に充填すると同時に、前記樹脂硬化促進機構で前記部屋の隅部に充填された前記樹脂の硬化を促進させるようにしてもよい。
【0021】
2つの前記壁面が所定の角度で交わる角部に、前記光ファイバ心線を許容曲げ半径以上の曲げ半径で曲がるようにガイドするガイド面を有する角部用保護部材を設け、該角部用保護部材のガイド面に沿って前記光ファイバ心線を送り込むようにしてもよい。
【0022】
前記樹脂にガラスファイバフィラーを混合した混合樹脂を用い、該混合樹脂で前記部屋の隅部を充填するようにしてもよい。
【0023】
また、本発明は、床面と壁面とがなす部屋の隅部に沿って、光ファイバ心線を送り込むと共に、該光ファイバ心線の周囲を覆うように前記床面と前記壁面と同色に調色を施した不透明な樹脂を送り込んで前記部屋の隅部を前記樹脂で充填し、前記樹脂を固化させることにより、前記光ファイバ心線を前記部屋の隅部に沿って固定する宅内光ファイバ配線工法である。
【0024】
さらに、本発明は、床面と壁面とがなす部屋の隅部に沿って、光ファイバ心線を送り込むための光ファイバ用ノズルと、該光ファイバ用ノズルから送り込まれた前記光ファイバ心線の周囲を覆うように透明または半透明の樹脂を送り込んで前記部屋の隅部を前記樹脂で充填するための樹脂用ノズルと、前記部屋の隅部に対する前記両ノズルの位置関係を一定に保ちつつ、前記両ノズルを前記部屋の隅部に沿って移動させる移動機構と、を備えたこと宅内光ファイバ配線装置である。
【0025】
前記移動機構は、前記両ノズルを固定する本体フレームに回転自在に設けられると共に、前記本体フレームの下方に突出して設けられ、当該突出部を前記床面に当接させて、前記床面と前記本体フレームとの距離を一定に保つ第1のタイヤと、前記本体フレームに回転自在に設けられると共に、前記本体フレームの側方に突出して設けられ、当該突出部を前記壁面に当接させて、前記壁面と前記本体フレームとの距離を一定に保つ第2のタイヤと、前記本体フレームに設けられ、前記両タイヤを支点とした前記本体フレームの揺動を抑制すべく、前記床面と前記壁面の両方に当接する揺動抑制部材と、を有してもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、室内の美観を損ねることがなく、配線の周囲に塵埃が溜まりにくい宅内光ファイバ配線工法および配線装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態に係る宅内光ファイバ配線装置の進行方向前方から見た斜視図である。
【図2】図1の宅内光ファイバ配線装置の進行方向前方から見た正面図である。
【図3】図1の宅内光ファイバ配線装置の進行方向後方から見た斜視図である。
【図4】図1の宅内光ファイバ配線装置の壁面側から透視した斜視図である。
【図5】本発明で用いる光ファイバ心線の横断面図である。
【図6】本発明において、和室に光ファイバ心線を配線したときの部屋の隅部の断面図である。
【図7】本発明において、部屋の角部における配線処理を説明する図であり、(a)は入隅、(b)は出隅の配線処理を説明する図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る宅内光ファイバ配線装置の進行方向後方から見た斜視図である。
【図9】図8の宅内光ファイバ配線装置の進行方向前方から見た斜視図である。
【図10】(a)は、本発明において、洋室に光ケーブルを配線したときの部屋の隅部の断面図であり、(b)は光ケーブルの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0029】
なお、本明細書では、「室内の美観」という語句を使用しているが、美観は主観的な概念であるため、本明細書では、
(1)配線が目立たない位置になされていること
(2)背景色に対して目立たないこと
の2つの条件を満足する場合に、室内の美観が良好である(室内の美観を損なわない)とする。例えば、配線が部屋床面を横断しているような場合は、(1)の条件を満たさず、床面の色と異なる色の部材(例えばモールなど)を使用する場合は、(2)の条件を満たさないこととなり、両者とも室内の美観が良好でないといえる。
【0030】
まず、本実施の形態に係る宅内光ファイバ配線工法に用いる宅内光ファイバ配線装置について説明する。
【0031】
図1は、本実施の形態に係る宅内光ファイバ配線装置の進行方向前方から見た斜視図であり、図2は、進行方向前方から見た正面図、図3は、進行方向後方から見た斜視図、図4は、壁面側から透視した斜視図である。
【0032】
図1〜4に示すように、宅内光ファイバ配線装置1は、床面2と壁面3とがなす部屋の隅部4に沿って、光ファイバ心線5を送り込むと共に、光ファイバ心線5の周囲を覆うように透明または半透明の樹脂(接着剤)6を送り込んで部屋の隅部4を樹脂6で充填し、樹脂6を固化させることにより、光ファイバ心線5を部屋の隅部4に沿って固定するものである。
【0033】
より具体的には、宅内光ファイバ配線装置1は、光ファイバ心線5を送り込むための光ファイバ用ノズル7と、樹脂6を送り込むための樹脂用ノズル8と、部屋の隅部4に対する両ノズル7,8の位置関係を一定に保ちつつ、両ノズル7,8を部屋の隅部4に沿って移動させる移動機構9と、を備えている。
【0034】
光ファイバ用ノズル7は、中空円筒状の部材からなり、その先端部が板状の本体フレーム10の表面に固定される。本体フレーム10は、床面2に対して45度程度傾斜して配置されており、本体フレーム10に固定される光ファイバ用ノズル7も、床面2に対して45度程度傾斜している。光ファイバ用ノズル7には、光ファイバ心線5を供給する光ファイバ供給部17が接続される。
【0035】
光ファイバ供給部17は、例えば、光ファイバ心線5を巻回したボビン(図示せず)と、ボビンからの光ファイバ心線5を光ファイバ用ノズル7に導く光ファイバ供給パイプ17aとからなり、図1における破線矢印Aの方向に光ファイバ心線5を供給するようにされる。
【0036】
なお、光ファイバ供給部17は、光ファイバ用ノズル7から引き出される引出し量に応じて光ファイバ心線5を供給できるものであれば、どのような構成であってもよく、例えば、ボビンから光ファイバ心線5を自動的に送出する送出機構を備えてもよい。ただし、本実施の形態では、光ファイバ心線5の周囲に樹脂6を充填するため、樹脂6の粘度と、固化した樹脂6により固定された光ファイバ心線5によって、光ファイバ心線5が自然と送り出されることになるため、送出機構は必須ではない。
【0037】
樹脂用ノズル8は、中空円筒状の部材からなり、その先端部が本体フレーム10の表面に固定される。樹脂用ノズル8は、光ファイバ用ノズル7の後方(進行方向後方、図1では左奥側)の本体フレーム10に、光ファイバ用ノズル7と平行に設けられる。樹脂用ノズル8には、樹脂6を供給する樹脂供給部18が接続される。
【0038】
樹脂供給部18は、樹脂6を貯留する樹脂タンク(図示せず)と、樹脂タンクからの樹脂6を樹脂用ノズル8に導く樹脂供給パイプ18aとを有し、図1における破線矢印Bの方向に樹脂6を供給するようにされる。
【0039】
また、樹脂供給部18は、部屋の隅部4に充填される樹脂6の幅(樹脂塗布幅)を一定とするように、樹脂6の流量もしくは流速を制御する樹脂供給量調整部(図示せず)を有している。
【0040】
本実施の形態では、樹脂供給量調整部を、樹脂用ノズル8の移動速度を計測し、計測した移動速度に応じた流量または流速で樹脂6を供給するように構成した。具体的には、樹脂供給量調整部は、樹脂用ノズル8の移動速度を計測する速度計測器と、樹脂供給パイプ18aに設けられた電磁弁と、速度計測器で計測した樹脂用ノズル8の移動速度に応じて電磁弁の開度を調整して、樹脂用ノズル8に供給する樹脂6の流量あるいは流速を調整する制御部とを有する。制御部は、例えば、樹脂用ノズル8の移動速度と樹脂6の流量の関係を一定に保つ比例制御を行い、樹脂塗布幅を一定に保つ。
【0041】
なお、樹脂供給量調整部では、樹脂供給パイプ18aに樹脂6の流量を計測する流量計を設けて、この流量計の計測値を基に、制御部にて電磁弁の開度をフィードバック制御するようにしてもよいし、部屋の隅部4に充填した樹脂6の幅を検出するセンサを設けて、そのセンサの計測値を基に、制御部にて電磁弁の開度をフィードバック制御するようにしてもよい。
【0042】
樹脂用ノズル8の後方には、樹脂用ノズル8と共に移動するように樹脂硬化促進機構19が設けられる。樹脂用ノズル8の後方(進行方向後方、図1では左奥側)の本体フレーム10には、樹脂硬化促進機構19の樹脂硬化促進用ノズル19aが、樹脂用ノズル8と平行に設けられる。樹脂硬化促進機構19は、部屋の隅部4に充填された樹脂6の硬化を促進するためのものであり、樹脂6の硬化メカニズムに応じた機構が用いられる。樹脂6の硬化メカニズムと、これに対応した樹脂硬化促進機構19の具体例については後述する。
【0043】
移動機構9は、本体フレーム10に回転自在に設けられる第1のタイヤ11、第2のタイヤ12の2つのタイヤ11,12と、これら2つのタイヤ11,12を支点とした本体フレーム10の揺動を抑制する揺動抑制部材としての直角部材13とからなる。
【0044】
第1のタイヤ11は、本体フレーム10の裏面から下方に突出する突起部14の先端部に、回転自在に固定される。第1のタイヤ11は、その一部が本体フレーム10の下方に突出するようにされており、その突出部を床面2に当接させることで、床面2と本体フレーム10との距離を一定に保つようにしている。
【0045】
第2のタイヤ12は、本体フレーム10の表面から側方(図3では左奥側)に突出する突起部15の先端部に、回転自在に固定される。第2のタイヤ12は、その一部が本体フレーム10の側方に突出するようにされており、その突出部を壁面3に当接させることで、壁面3と本体フレーム10との距離を一定に保つようにしている。
【0046】
直角部材13は、略直方体状に形成され、本体フレーム10の進行方向前方(図1では右手前側)の端部に一体に形成される。直角部材13は、その下面が床面2に当接し、その一の側面(図1では右奥側の側面)が壁面3に当接するようにされ、これにより、両タイヤ11,12を支点とした本体フレーム10の揺動を抑制するようにされている。
【0047】
部屋の隅部4と光ファイバ用ノズル7の先端との距離は、移動機構9により保持されることになるが、部屋の隅部4と光ファイバ用ノズル7の先端との距離は、配線時に光ファイバ用ノズル7から光ファイバ心線5を送り出した際に、部屋の隅部4に当たって進行方向後方に曲げられた光ファイバ心線5の曲げ半径が、光ファイバ心線5の許容曲げ半径以上の曲げ半径となるようにすればよい。
【0048】
また、本体フレーム10には、配線作業者が宅内光ファイバ配線装置1を移動させる際に用いる棒状のハンドル16が設けられる。なお、図3,4では、図の簡略化のため、ハンドル16を省略している。ハンドル16には、樹脂6の供給を開始/停止するための電源スイッチ(樹脂供給部18、樹脂硬化促進機構19への電力の供給をON/OFFするスイッチ;図示せず)が設けられる。
【0049】
本実施の形態に係る宅内光ファイバ配線装置1に用いる光ファイバ心線5は、図5に示すように、コアとコアの外周に形成されたクラッドとからなる光ファイバ裸線(光ファイバガラス)51と、光ファイバ裸線51の周囲を覆うコーティング被覆(光ファイバ被覆)52とからなる。光ファイバ心線5としては、そのコーティング被覆52が着色されておらず略透明であるものを用いるとよい。光ファイバ裸線51は石英ガラスからなり透明であるから、光ファイバ心線5は略透明である。
【0050】
本実施の形態に係る宅内光ファイバ配線装置1に用いる樹脂6としては、例えば、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シアノアクリレート樹脂、ホットメルト、熱可塑性樹脂などからなる透明あるいは半透明な速乾性樹脂を用いるとよい。これらの樹脂の硬化メカニズムと、硬化メカニズムに応じた硬化促進手段を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
表1に示すように、樹脂6として光硬化性樹脂を用いる場合、樹脂6に光を照射すれば樹脂6の硬化が促進される。よって、樹脂硬化促進機構19としては、光照射部を備えて、光照射部で照射した光を樹脂硬化促進用ノズル19aに導くように構成すればよい。この場合、樹脂硬化促進用ノズル19aはライトガイドとして用いられることになる。
【0053】
また、樹脂6として、熱によって重合が促進される熱硬化性樹脂やエポキシ樹脂、あるいは、溶剤が揮発することにより硬化するシリコーン樹脂を用いた場合、樹脂6に熱を加えれば樹脂6の硬化が促進される。よって、樹脂硬化促進機構19としては、加熱ヒータまたは加熱ドライヤなどの加熱手段を備えて、加熱手段からの熱風を樹脂硬化促進用ノズル19aに導くように構成すればよい。
【0054】
さらに、樹脂6として、水分により重合が促進されるシアノアクリレート樹脂を用いた場合、樹脂硬化促進機構19としては、加湿器を備えて、加湿器からの湿風(加湿空気)を樹脂硬化促進用ノズル19aに導くように構成すればよい。
【0055】
さらにまた、樹脂6として、冷却により硬化するホットメルトや熱可塑性樹脂を用いる場合、樹脂硬化促進機構19としては、ファンなどから冷風を樹脂硬化促進用ノズル19aに導くように構成すればよい。
【0056】
このように、樹脂6の硬化メカニズムに応じた樹脂硬化促進機構19を設けることにより、樹脂用ノズル8を移動させながら樹脂6を部屋の隅部4に充填する際に、これと同時に、樹脂硬化促進機構19で部屋の隅部4に充填された樹脂6の硬化を促進させることが可能になる。なお、樹脂硬化促進機構19や樹脂供給部18(樹脂供給量調整部)には、電源コードを介して外部から電源を供給するようにしてもよいし、バッテリを搭載し、そのバッテリから電源を供給するようにしてもよい。
【0057】
また、樹脂6としては、充填時に床面2あるいは壁面3となす接触角が45度以内(0度より大きく45度以下)となる特性を有するもの、すなわち、部屋の隅部4に充填したときに、凹状のメニスカス(負のメニスカス)を形成するものを用いる。換言すれば、樹脂6としては、部屋の隅部4に充填したときに、床面2や壁面3の表面との相互作用により、充填した樹脂6の液面が凹状の屈曲面となる特性を有するものを用いる。
【0058】
次に、本実施の形態に係る宅内光ファイバ配線工法について説明する。
【0059】
まず、配線作業者は、宅内光ファイバ配線装置1を部屋の隅部4にセットする。具体的には、第1のタイヤ11を床面2に当接させると共に、第2のタイヤ12を壁面3に当接させ、かつ、直角部材13を床面2と壁面3の両者に当接させる。
【0060】
宅内光ファイバ配線装置1をセットした後、配線作業者は、ハンドル16に設けられた電源スイッチをオンにし、ハンドル16を持って宅内光ファイバ配線装置1を部屋の隅部4に沿って移動させる。
【0061】
すると、光ファイバ用ノズル7から部屋の隅部4に押し付けるように光ファイバ心線5が順次送り込まれ、光ファイバ心線5が部屋の隅部4に配置される。
【0062】
また、これと同時に、光ファイバ用ノズル7の後方の樹脂用ノズル8から樹脂6が順次送り込まれ、樹脂6が光ファイバ心線5の周囲を覆うように部屋の隅部4に充填される。このとき、樹脂6は、樹脂供給部18の樹脂供給量調整部により、充填後の樹脂6の幅が一定となるように、その流量あるいは流速が調整される。
【0063】
さらに、樹脂用ノズル8の後方の樹脂硬化促進機構19(樹脂硬化促進用ノズル19a)では、樹脂6の硬化が促進される。
【0064】
本実施の形態に係る宅内光ファイバ配線工法により光ファイバ心線5の配線を行った後の部屋の隅部4の断面図を図6に示す。
【0065】
図6では、一例として、本発明の宅内光ファイバ配線工法を和室に適用した場合を示している。この和室では、畳61と壁62の下部が接する部分には、畳寄せ63が設けられており、壁62の壁下地64の下部には、胴縁65が設けられ、胴縁65の上側の壁下地64の表面には、壁紙(もしくは壁板)66が設けられている。図6のような和室に本発明の宅内光ファイバ配線工法を適用する場合、畳寄せ63の表面が床面2に、胴縁65の表面が壁面3に相当することとなり、これら畳寄せ63と胴縁65とがなす部屋の隅部4に光ファイバ心線5が配線されることになる。
【0066】
図6に示すように、部屋の隅部4には、光ファイバ心線5を覆うように樹脂6が充填される。樹脂6は、凹状のメニスカスを形成し、畳寄せ63の表面及び胴縁65の表面となす接触角は45度以内となる。充填した樹脂6が固化されると、光ファイバ心線5が部屋の隅部4に沿って固定される。
【0067】
ここで、部屋の角部における配線処理について説明する。なお、部屋の角部とは、部屋の隅部4のうち、2つの壁面3が所定の角度で交わる部分のことをいう。つまり、部屋の角部とは、床面2と2つの壁面3とが交わる部分のことである。壁面3が交わる部分が外側(室外側)に凸である部屋の角部を入隅、壁面3が交わる部分が内側(室内側)に凸である部屋の角部を出隅という。
【0068】
図7(a)に示すように、入隅71には、光ファイバ心線5を許容曲げ半径以上の曲げ半径で曲がるようにガイドするガイド面73を有する第1の角部用保護部材72が設けられる。第1の角部用保護部材72のガイド面73は、所定の曲率半径(光ファイバ心線5の許容曲げ半径以上の曲率半径)で形成された凹状の曲面からなり、第1の角部用保護部材72を入隅71に配置した際に、ガイド面73と壁面3とがなめらかに連続した面を構成するようにされる。なお、ガイド面73は、宅内光ファイバ配線装置1が入隅71を通過する際に、直角部材13と第2のタイヤ12をガイドする面となる。
【0069】
入隅71に第1の角部用保護部材72を設けることにより、宅内光ファイバ配線装置1は、その直角部材13と第2のタイヤ12とがガイド面73でガイドされて、入隅71をスムーズに通過する。このとき、第1の角部用保護部材72のガイド面73と床面2とがなす隅部に沿って光ファイバ心線5が送り込まれ、光ファイバ心線5を覆うように、ガイド面73と床面2との間に樹脂6が充填されることになる。
【0070】
図7(b)に示すように、出隅75には、光ファイバ心線5を許容曲げ半径以上の曲げ半径で曲がるようにガイドするガイド面77を有する第2の角部用保護部材76が設けられる。第2の角部用保護部材76のガイド面77は、室内側に突出した出隅75を覆うように所定の曲率半径(光ファイバ心線5の許容曲げ半径以上の曲率半径)で形成された凸状の第1曲面77aと、第1曲面77aの両端部にて第1曲面77aと壁面3とをなめらかに接続する凹状の第2曲面77bとが連続して構成される。
【0071】
出隅75に第2の角部用保護部材76を設けることにより、第1の角部用保護部材72の場合と同様に、宅内光ファイバ配線装置1は、その直角部材13と第2のタイヤ12がガイド面77上をガイドされて、スムーズに出隅75を通過する。このとき、第2の角部用保護部材76のガイド面77と床面2とがなす隅部に沿って光ファイバ心線5が送り込まれ、光ファイバ心線5を覆うように、ガイド面77と床面2との間に樹脂6が充填されることになる。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態に係る宅内光ファイバ配線工法では、部屋の隅部4に沿って光ファイバ心線5を送り込むと共に、光ファイバ心線5の周囲を覆うように透明または半透明の樹脂6を送り込んで部屋の隅部4を樹脂6で充填し、樹脂6を固化させることにより、光ファイバ心線5を部屋の隅部4に沿って固定するようにしている。
【0073】
本実施の形態では、光ファイバ心線5を部屋の隅部4に沿って固定するので、配線が目立たない位置になされる。
【0074】
また、光ファイバ心線5は略透明であり、また、樹脂6も透明または半透明であるから、配線部分全体が略透明となり、配線部分を背景色に対して目立たないようにすること、すなわち外観上視認しにくくすることができる。
【0075】
つまり、本実施の形態に係る宅内光ファイバ配線工法では、光ファイバ心線5の光ファイバ裸線51とコーティング被覆52が略透明であることを積極的に利用し、この光ファイバ心線5を透明ないし半透明の樹脂6で覆って、部屋の隅部4に固定することで、配線部分の外観を略透明として視認性を低下させ、配線を目立たなくしている。これにより、上述の(1),(2)の条件を共に満たすことが可能となり、部屋内の配線(ONUに至る配線)、あるいは部屋間の配線経路にて、室内の美観を損なうことなく配線を行うことが可能となる。
【0076】
なお、高気密、高断熱住宅では、壁と床の間の気密を保持するために、壁と床の間の隙間を塞ぐように樹脂を塗布する場合があるが、本発明においても、結果的に壁と床の間の隙間が塞がれることになるので、同様の効果が期待出来る。
【0077】
また、本実施の形態では、樹脂6を凹状のメニスカスを形成するように充填するため、配線前に略直角をなしていた部屋の隅部4を丸めるようなかたちで樹脂6が充填されることになり、その結果、配線前よりも部屋の隅部4に塵埃が溜まりにくくなり、光ファイバ心線5の周囲に塵埃が溜まりにくくなる。さらには、掃除機で部屋の隅部4の塵埃を容易に吸引できるようになることから、清掃を容易とし、利用者の利便性を向上できる。さらにまた、樹脂6を凹状のメニスカスに形成することにより、清掃を行う際に掃除機等で損傷を受けにくくなり、清掃等による光ファイバ心線5の損傷も抑制できる。
【0078】
ところで、上述の(1),(2)の条件を満たした場合でも、例えば、光ファイバ心線5の周囲に充填される樹脂6の幅が一定でない場合などは、配線部分の外観が悪くなり、室内の美観を損ねるおそれがある。そこで、本実施の形態では、樹脂6を供給する樹脂用ノズル8の移動速度を計測し、計測した移動速度に応じた流量もしくは流速で樹脂6を供給するようにすることで、部屋の隅部4に充填される樹脂6の幅を一定としている。これにより、室内の美観をより良好にすることができる。
【0079】
さらに、本実施の形態では、樹脂用ノズル8の後方に樹脂硬化促進機構19を設け、樹脂用ノズル8を移動させて部屋の隅部4に樹脂6を充填すると同時に、樹脂硬化促進機構19で部屋の隅部4に充填された樹脂6の硬化を促進させるようにしている。これにより、樹脂6を短時間で硬化させて、施工時間を短縮することが可能となる。特に、床面2に対して壁面3が垂直である場合には、樹脂6が垂れてしまわないうちに樹脂6を硬化できるため、樹脂6を凹状のメニスカスに維持する観点からも非常に有効である。
【0080】
さらにまた、本実施の形態では、部屋の角部(入隅71、出隅75)に角部用保護部材72,76を設け、光ファイバ心線5を許容曲げ半径以上の曲げ半径で曲がるようにガイドしているため、光ファイバ心線5が角部で折れるなどして破損することがなくなる。また、角部用保護部材72,76を設けることで、宅内光ファイバ配線装置1が部屋の角部(入隅71、出隅75)を通過する際に、宅内光ファイバ配線装置1を移動させ易くなり、配線作業がし易くなる。
【0081】
次に、本発明の他の実施の形態を説明する。
【0082】
図8,9に示す宅内光ファイバ配線装置81は、図1〜4で説明した宅内光ファイバ配線装置1におけるノズル7,8を、共通の樹脂付光ファイバ用ノズル82とし、樹脂付光ファイバ用ノズル82から、予め樹脂6を塗布した光ファイバ心線5を部屋の隅部4に送り出すようにしたものである。
【0083】
樹脂付光ファイバ用ノズル82には、樹脂付光ファイバ供給パイプ83が接続され、樹脂付光ファイバ供給パイプ83には、図示していないが、樹脂6を満たしたダイスが設けられており、光ファイバ心線5をダイスに通すことにより、光ファイバ心線5の周囲に予め樹脂6を塗布するようにされている。なお、図8,9では、図の簡略化のため、ハンドル16を省略している。
【0084】
宅内光ファイバ配線装置81によれば、光ファイバ心線5の周囲に樹脂6をまんべんなく塗布することが可能となり、また、ノズル数を少なくして装置をより簡便にすることが可能となる。
【0085】
なお、宅内光ファイバ配線装置81では、光ファイバ心線5を送り出す際に、これに伴って樹脂6も必ず送り出されることになり、光ファイバ心線5のみを送り出すことができない。よって、配線中に融着接続やメカニカルスプライス接続を入れる必要がある場合などは、樹脂6の供給を停止でき、樹脂6を除去する手間を要さない図1〜4の宅内光ファイバ配線装置1を用いることが望ましい。
【0086】
上記実施の形態では、樹脂用ノズル8の移動速度を計測し、計測した移動速度に応じた流量もしくは流速で樹脂6を供給するようにすることで、部屋の隅部4に充填される樹脂6の幅を一定としたが、これに限らず、移動機構9のタイヤ11,12を一定速度(一定回転数)で回転させることで、ノズル7,8を一定速度で移動させ、樹脂6を一定の流量もしくは流速で部屋の隅部4に送り込むことで、部屋の隅部4に充填される樹脂6の幅を一定に保つようにしてもよい。この場合、タイヤ11,12を定速回転して宅内光ファイバ配線装置1を自走させることになるので、ハンドル16に走行開始/停止のスイッチを設けることが望ましい。
【0087】
また、上記実施の形態では、光ファイバ心線5を部屋の隅部4に配線する場合を説明したが、図10(a),(b)に示すように、光ファイバ心線5を透明あるいは半透明のチューブ(ルースチューブ)102で覆って、所謂ルースチューブ構造の光ケーブル101を形成し、この光ケーブル101を覆うように、部屋の隅部4に樹脂6を充填するようにしてもよい。なお、図10(a)では、洋室に光ケーブル101を配線した場合を示しているが、洋室では、フローリング103の表面が床面2に相当することとなり、フローリング103と胴縁65とがなす部屋の隅部4に光ファイバ心線5が配線されることになる。
【0088】
光ファイバ心線5をチューブ102で覆ったルースチューブ構造の光ケーブル101を形成することで、樹脂6の吸湿や熱による膨張、収縮などの外力が、チューブ102で吸収されて光ファイバ心線5(光ファイバ裸線51)に伝わりにくくなり、信頼性を向上させることが可能となる。ただし、光ファイバ心線5をチューブ102で覆う場合、全体の外形が太くなり曲げにくくなるので、チューブ102の厚さは、樹脂6の膨張、収縮を吸収でき、かつ、配線に影響を及ぼさない程度の小さい曲げ半径が確保できるように、適宜な厚さに調整する必要がある。
【0089】
さらに、樹脂6の膨張、収縮を抑制するために、樹脂6にガラスファイバフィラーを混合した混合樹脂を用い、混合樹脂で部屋の隅部4を充填するようにしてもよい。これにより、樹脂6の膨張、収縮を抑えて、光ファイバ心線5へ作用する外力を低減し、信頼性を向上させることが可能となる。
【0090】
また、上記実施の形態では、タイヤ11,12と直角部材13とで、部屋の隅部4に対する両ノズル7,8の位置関係を維持するようにしたが、直角部材13に替えて、床面2及び壁面3に対して45度傾けたタイヤを設けても、同様の効果を得ることが可能である。
【0091】
さらに、上記実施の形態では、透明または半透明の樹脂6を用いる場合を説明したが、背景に合わせて調色した樹脂(つまり、床面2と壁面3と同色に調色を施した不透明な樹脂)を使用しても、同様の効果が得られる。
【0092】
このように、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 宅内光ファイバ配線装置
2 床面
3 壁面
4 部屋の隅部
5 光ファイバ心線
6 樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面と壁面とがなす部屋の隅部に沿って、光ファイバ心線を送り込むと共に、該光ファイバ心線の周囲を覆うように透明または半透明の樹脂を送り込んで前記部屋の隅部を前記樹脂で充填し、前記樹脂を固化させることにより、前記光ファイバ心線を前記部屋の隅部に沿って固定することを特徴とする宅内光ファイバ配線工法。
【請求項2】
前記樹脂は、前記部屋の隅部に、凹状のメニスカスを形成するように充填される請求項1記載の宅内光ファイバ配線工法。
【請求項3】
前記部屋の隅部に充填される前記樹脂の幅を一定とすべく、前記樹脂を供給する樹脂用ノズルの移動速度を計測し、計測した移動速度に応じた流量もしくは流速で前記樹脂を供給するようにした請求項1または2記載の宅内光ファイバ配線工法。
【請求項4】
前記部屋の隅部に充填される前記樹脂の幅を一定とすべく、前記樹脂を供給する樹脂用ノズルを一定速度で移動させ、一定の流量もしくは流速で前記樹脂を供給するようにした請求項1または2記載の宅内光ファイバ配線工法。
【請求項5】
前記光ファイバ心線を、透明あるいは半透明のチューブで覆い、当該チューブで覆った前記光ファイバ心線を覆うように、前記樹脂を充填するようにした請求項1〜4いずれかに記載の宅内光ファイバ配線工法。
【請求項6】
前記樹脂を供給する樹脂用ノズルの後方に、前記樹脂用ノズルと共に移動するように樹脂硬化促進機構を設け、
前記樹脂用ノズルを移動させながら前記樹脂を前記部屋の隅部に充填すると同時に、前記樹脂硬化促進機構で前記部屋の隅部に充填された前記樹脂の硬化を促進させるようにした請求項1〜5いずれかに記載の宅内光ファイバ配線工法。
【請求項7】
2つの前記壁面が所定の角度で交わる角部に、前記光ファイバ心線を許容曲げ半径以上の曲げ半径で曲がるようにガイドするガイド面を有する角部用保護部材を設け、
該角部用保護部材のガイド面に沿って前記光ファイバ心線を送り込むようにした請求項1〜6いずれかに記載の宅内光ファイバ配線工法。
【請求項8】
前記樹脂にガラスファイバフィラーを混合した混合樹脂を用い、該混合樹脂で前記部屋の隅部を充填するようにした請求項1〜7いずれかに記載の宅内光ファイバ配線工法。
【請求項9】
床面と壁面とがなす部屋の隅部に沿って、光ファイバ心線を送り込むと共に、該光ファイバ心線の周囲を覆うように前記床面と前記壁面と同色に調色を施した不透明な樹脂を送り込んで前記部屋の隅部を前記樹脂で充填し、前記樹脂を固化させることにより、前記光ファイバ心線を前記部屋の隅部に沿って固定することを特徴とする宅内光ファイバ配線工法。
【請求項10】
床面と壁面とがなす部屋の隅部に沿って、光ファイバ心線を送り込むための光ファイバ用ノズルと、該光ファイバ用ノズルから送り込まれた前記光ファイバ心線の周囲を覆うように透明または半透明の樹脂を送り込んで前記部屋の隅部を前記樹脂で充填するための樹脂用ノズルと、前記部屋の隅部に対する前記両ノズルの位置関係を一定に保ちつつ、前記両ノズルを前記部屋の隅部に沿って移動させる移動機構と、を備えたことを特徴とする宅内光ファイバ配線装置。
【請求項11】
前記移動機構は、
前記両ノズルを固定する本体フレームに回転自在に設けられると共に、前記本体フレームの下方に突出して設けられ、当該突出部を前記床面に当接させて、前記床面と前記本体フレームとの距離を一定に保つ第1のタイヤと、
前記本体フレームに回転自在に設けられると共に、前記本体フレームの側方に突出して設けられ、当該突出部を前記壁面に当接させて、前記壁面と前記本体フレームとの距離を一定に保つ第2のタイヤと、
前記本体フレームに設けられ、前記両タイヤを支点とした前記本体フレームの揺動を抑制すべく、前記床面と前記壁面の両方に当接する揺動抑制部材と、を有する請求項10記載の宅内光ファイバ配線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−164482(P2011−164482A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29300(P2010−29300)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】