説明

宇宙機器固定分離装置

【課題】加熱を必要とせず、所望のタイミングで宇宙機器を分離する。
【解決手段】人工衛星固定分離装置Aは、人工衛星Stが載置される載置台1と、人工衛星Stに係合することにより当該人工衛星Stを載置台に締結する複数の締結具2と、複数の締結具2各々に設けられ、載置台1に締結具2を回動自在に支持すると共に、締結具2に人工衛星Stとの係合を解除する方向の付勢力を付与する複数の締結具支持具3と、締結具2に連結されるロッド4aを有し、作動ガスが充填されるとロッド4aが移動して締結具2を人工衛星Stに係合させる複数のガスシリンダ4と、一端がガスシリンダ4に接続されると共に他端が開放され、作動ガスが通過するガス配管6と、該ガス配管6に設けられる遮断弁7と、人工衛星Stが載置台1から離間する方向に付勢力を付与する分離用スプリング5とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宇宙機器固定分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、人工衛星や探査機などの宇宙機器は、ロケットの先端部に固定され、ロケット打ち上げ時の過酷な環境から保護するために、ペイロードフェアリングと呼ばれる先端が円錐形状のカバー部品により覆われている。そして、宇宙機器は、打ち上げ後、所定のタイミングでロケットのペイロードフェアリングが分離開頭すると共に、固定具である爆発ボルトなどの火工品が爆発すると、ロケットから分離される。しかしながら、固定具に火工品を用いた場合には、爆発による衝撃が発生するので、当該衝撃に対する耐性が宇宙機器及びロケットに要求され、その要求を満足するために、宇宙機器及びロケットの部品点数増や重量増が引き起こされる。そのため、火工品を用いずに分離を実現する発明として、下記特許文献1には、パラフィンアクチュエータを用いた固定分離具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−193200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記パラフィンアクチュエータでは、パラフィンを加熱する必要があるので、加熱に必要となる燃料や電力をロケットに余分に搭載しなければならず、また宇宙機器に熱による悪影響が生じる可能性がある。また、上記パラフィンアクチュエータでは、パラフィンの熱膨張が利用されているが、パラフィンが所定の体積に膨張するまでに要する時間は加熱状況によってばらつくので、所望のタイミングで宇宙機器を分離することが難しい。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、加熱を必要とせず、所望のタイミングで宇宙機器を分離することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、宇宙機器固定分離装置に係る第1の解決手段として、宇宙機器が載置される載置台と、前記宇宙機器に係合することにより当該宇宙機器を前記載置台に締結する複数の締結具と、前記複数の締結具各々に設けられ、前記載置台に前記締結具を回動自在に支持すると共に、前記締結具に前記宇宙機器との係合を解除する方向の付勢力を付与する複数の締結具支持具と、前記締結具に連結されるロッドを有し、作動ガスが充填されると前記ロッドが移動して前記締結具を前記宇宙機器に係合させる複数のガスシリンダと、一端が前記ガスシリンダに接続されると共に他端が開放され、前記作動ガスが通過するガス配管と、該ガス配管に設けられる遮断弁と、前記宇宙機器が前記載置台から離間する方向に付勢力を付与する付勢手段とを具備するという手段を採用する。
【0007】
本発明では、宇宙機器固定分離装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、複数の前記ガスシリンダと前記ガス配管の他端との距離は等距離であるという手段を採用する。
【0008】
本発明では、宇宙機器固定分離装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記作動ガスは、窒素あるいはヘリウムであるという手段を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、パラフィンアクチュエータではなく、ガスシリンダを用いて宇宙機器を固定するので、宇宙機器の分離時に加熱を必要としない。また、ガスシリンダのガスの放出時間は環境にあまり左右されないため、遮断弁が開放されてから宇宙機器が分離されるまでに要する時間は安定している。そのため、本発明は、所望のタイミングで宇宙機器を分離しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係る人工衛星固定分離装置Aを備えたロケットRの概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る人工衛星固定分離装置Aの構成を模式的に示す上面図(a)及び正面図(b)である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る人工衛星固定分離装置Aの動作を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る人工衛星固定分離装置Bの構成を模式的に示す上面図(a)及び正面図(b)である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る人工衛星固定分離装置Bの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
最初に第1実施形態について説明する。
第1実施形態に係る人工衛星固定分離装置Aは、ロケットRの先端に収容され、人工衛星(宇宙機器)StをロケットRに固定すると共に、人工衛星StをロケットRから分離するものである。
上記人工衛星Stは、図1及び図2に示すように、円筒形の下部にフランジSt1が形成された形状をしており、打ち上げられたロケットRから宇宙空間に放出された後には、地球の軌道上を周回しながら軍事や通信などの各分野に利用される。
【0012】
また、上記ロケットRは、図1に示すように、ロケット機体Rb、ペイロードフェアリングPf及び支持構造Spを備えている。なお、図1において、符号Xは、ロケットRの機軸を示している。
ロケット機体Rbは、例えば、多段ロケット機体であり、機体同士を分離する分離機構や、液体燃料及び酸化剤を収容するタンクや、ロケットエンジンなどを備え、ロケットエンジンにおいて液体燃料と酸化剤とを化合させることによりロケットRの推力を発生させる。また、ロケット機体Rbには、図1に示すように、その先端部に人工衛星Stが搭載されている。
【0013】
ペイロードフェアリングPfは、図1に示すように、人工衛星Stを覆うようにロケット機体Rbの先端部に装着された人工衛星保護用のカバー部品であり、中空の円筒形状部Pf1及び円錐形状部Pf2から構成されている。このペイロードフェアリングPfは、ロケット機体Rbの機軸Xを中心に分離開頭可能な構造であり、分離開頭後、ロケット機体Rbから切り離されて宇宙空間に自動的に投棄される。
支持構造Spは、ロケット機体Rbの先端部に設置され、複数の棒部材が用いられて立体的に組み立てられたものであり、人工衛星固定分離装置A全体を下方からロケット機体Rbに支持するものである。
【0014】
人工衛星固定分離装置Aは、図2に示すように、載置台1、締結具2、締結具支持具3、ガスシリンダ4、分離用スプリング5、ガス配管6及び遮断弁7から構成されている。
載置台1は、人工衛星Stが載置される円板状の台であり、支持構造Spによってロケット機体Rbに固定され、外周に沿って締結具2が取り付けられている。
【0015】
締結具2は、人工衛星StのフランジSt1に係合する先端部2aと、ガスシリンダ4に対して回転自在に連結される下端部2bとが設けられ、載置台1の外周に締結具支持具3により回動自在に支持され、等間隔に16個配置されている。締結具2は、下端部2bがガスシリンダ4に押圧されることにより先端部2aが人工衛星Stに接近する方向に回動し、フランジSt1に係合する。
【0016】
締結具支持具3は、16個の締結具2各々に設けられ、載置台1に締結具2を回動自在に支持する。締結具支持具3には、ねじりバネが取り付けられており、このねじりバネにより締結具2に人工衛星Stとの係合を解除する方向の付勢力を付与する。すなわち、締結具2は、ガスシリンダ4により下端部2bが押圧されてない場合には、締結具支持具3の付勢力により先端部2aが人工衛星Stから離間する方向に回動し、人工衛星Stとの係合を解除する。
【0017】
ガスシリンダ4は、支持構造Spの内部に固定されており、16個の締結具2各々に設けられている。ガスシリンダ4は、作動ガスが充填された場合に載置台1に平行かつ外周方向に突出するとともに作動ガスが放出されたされた場合に後退するロッド4aを備える。各ガスシリンダ4では、ロッド4aが締結具2各々の下端部2bに回動自在になるように連結されている。このガスシリンダ4は、作動ガス充填時には、ロッド4aが最も突出した状態になることにより締結具2の下端部2bを押圧し、この押圧により締結具2を人工衛星Stに係合させる。また、ガスシリンダ4は、ガス放出時には、ロッド4aが最も後退する、つまり最も収納された状態になることにより締結具2の下端部2bを載置台1の中心方向に引っ張り、これにより締結具2に人工衛星Stとの係合を解除させる。なお、ガスシリンダ4に使用される作動ガスは、燃えにくくかつガスシリンダ4及び後述のガス配管6が酸化されにくい不活性ガスが望ましく、例えばヘリウムガスや窒素ガスなどである。
【0018】
分離用スプリング5は、図2に示すように、載置台1に4個埋め込まれ、人工衛星Stの下方から人工衛星Stが載置台1から離間する方向に付勢力を付与するものである。人工衛星Stは、締結具2による固定が解除されると、分離用スプリング5の付勢力によりロケットRから宇宙空間に放出される。
【0019】
ガス配管6は、図2に示すように、支持構造Spの内部に固定されており、一端がガスシリンダ4各々に接続されると共に他端が開放されることで作動ガスの放出口6aが設けられ、各ガスシリンダ4と放出口6aとの距離が等距離になっている。つまり、ガス配管6は、ガスシリンダ4各々から等距離で1本の配管に集約され、集約された配管に放出口6aが設けられている。これにより、ガスシリンダ4各々の作動ガスが均等な速度で放出される。なお、以下では、ガス配管6が1本に集約された位置を、集約位置6bと称する。
遮断弁7は、電磁石の磁力を用いてプランジャを動かすことで弁を開閉する電磁弁であり、ガス配管6の集約位置6bと放出口6aとの間に設けられ、ガスシリンダ4の作動ガスの放出と放出の遮断とを開閉動作により制御する。
【0020】
次に、上記構成の人工衛星固定分離装置Aの動作について説明する。
人工衛星固定分離装置Aでは、人工衛星Stの分離タイミングになるまで、締結具2が人工衛星StのフランジSt1に係合することで人工衛星Stを載置台1に締結する。人工衛星固定分離装置Aでは、分離タイミングになると、遮断弁7が開放され、全てのガスシリンダ4の作動ガスがガス配管6を通過し、放出口6aから放出される。これによって、各ガスシリンダ4のロッド4aが後退するので、各締結具2は、図3(a)に示すように、締結具支持具3に設けられたねじりバネの付勢力により人工衛星Stとの係合を解除する方向に回動する。これにより、人工衛星Stは、締結具2による固定が解除される。そして、人工衛星Stは、締結具2による固定が解除されると、図3(b)に示すように、分離用スプリング5の付勢力によりロケットRから宇宙空間に放出される。
【0021】
このような本人工衛星固定分離装置Aによれば、パラフィンアクチュエータではなく、ガスシリンダ4を用いて人工衛星Stを固定するので、人工衛星Stの分離時に加熱を必要としない。また、人工衛星固定分離装置Aにおいて、ガスシリンダ4の作動ガスの放出時間は環境にあまり左右されないため、遮断弁7が開放されてから人工衛星Stが分離されるまでに要する時間は安定している。そのため、人工衛星固定分離装置Aは、所望のタイミングで人工衛星Stを分離しやすい。さらに、人工衛星固定分離装置Aでは、各ガスシリンダ4から放出口6aまでの距離が等距離であることにより各ガスシリンダ4から作動ガスが均等な速度で放出されるので、各締結具2の解除タイミングが一致する。これにより、人工衛星固定分離装置Aは、人工衛星Stの姿勢を傾けることなく、所望の方向に放出することができる。
【0022】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について説明する。
第2実施形態に係る人工衛星固定分離装置Bは、第1実施形態に係る人工衛星固定分離装置Bと同様に、ロケットRの先端に収容され、人工衛星StをロケットRに固定すると共に、人工衛星StをロケットRから分離する。なお、人工衛星St及びロケットRについては、上述したものと同様であるので詳細な説明を省略する。
【0023】
人工衛星固定分離装置Bは、締結具2の形状及びガスシリンダ4の使われ方が上記第1実施形態の人工衛星固定分離装置Aと相違する。したがって、人工衛星固定分離装置Bにおいて第1実施形態の人工衛星固定分離装置Aと同一の機能構成要素には同一符号を付す。
人工衛星固定分離装置Bは、図4に示すように、載置台1、締結具2、締結具支持具3、ガスシリンダ4、分離用スプリング5、ガス配管6及び遮断弁7から構成されている。
【0024】
載置台1は、人工衛星Stが載置される円板状の台であり、支持構造Spによってロケット機体Rbに固定され、外周に沿って締結具2が取り付けられている。
締結具2は、第1実施形態とは異なり、コの字形状をしており、人工衛星StのフランジSt1に係合する先端部2aと、ガスシリンダ4に対して回転自在に連結される末端部2cとが設けられ、下側の角が締結具支持具3によって載置台1の外周に回動自在に支持され、等間隔に16個配置されている。締結具2は、末端部2cがガスシリンダ4に引っ張られることにより先端部2aが人工衛星Stに接近する方向に回動し、フランジSt1に係合する。
【0025】
締結具支持具3は、16個の締結具2各々に設けられ、コの字形状である締結具2の下側の角が回転支点になるように載置台1に締結具2を回動自在に支持する。締結具支持具3には、ねじりバネが取り付けられており、このねじりバネにより締結具2に人工衛星Stとの係合を解除する方向の付勢力を付与する。すなわち、締結具2は、ガスシリンダ4により末端部2cが引っ張られてない場合には、締結具支持具3の付勢力により先端部2aが人工衛星Stから離間する方向に回動し、人工衛星Stとの係合を解除する。
【0026】
ガスシリンダ4は、支持構造Spの内部に固定されており、16個の締結具2各々に設けられている。ガスシリンダ4は、作動ガスが充填された場合に載置台1の垂直方向に後退すると共に作動ガスが放出されたされた場合に突出するロッド4aを備える。各ガスシリンダ4では、ロッド4aが締結具2各々の末端部2cに回動自在になるように連結されている。このガスシリンダ4は、作動ガス充填時には、ロッド4aが最も後退する、つまり最も収納された状態になることにより締結具2の末端部2cを引っ張り、これにより締結具2を人工衛星Stに係合させる。また、ガスシリンダ4は、作動ガス放出時には、ロッド4aが最も突出した状態になることにより締結具2の末端部2cを押圧し、この押圧により締結具2に人工衛星Stとの係合を解除させる。なお、ガスシリンダ4に使用される作動ガスは、燃えにくくかつガスシリンダ4及び後述のガス配管6が酸化されにくい不活性ガスが望ましく、例えばヘリウムガスや窒素ガスなどである。
【0027】
分離用スプリング5、図2に示すように、載置台1に4個埋め込まれ、人工衛星Stの下方から人工衛星Stが載置台1から離間する方向に付勢力を付与するものである。人工衛星Stは、締結具2による固定が解除されると、分離用スプリング5の付勢力によりロケットRから宇宙空間に放出される。
【0028】
ガス配管6は、図2に示すように、支持構造Spの内部に固定されており、一端がガスシリンダ4各々に接続されると共に他端が開放されることで作動ガスの放出口6aが設けられ、各ガスシリンダ4と放出口6aとの距離が等距離になっている。つまり、ガス配管6は、ガスシリンダ4各々から等距離で1本の配管に集約され、集約された配管に放出口6aが設けられている。これにより、ガスシリンダ4各々の作動ガスが均等な速度で放出される。なお、以下では、ガス配管6が1本に集約された位置を、集約位置6bと称する。
遮断弁7は、電磁石の磁力を用いてプランジャを動かすことで弁を開閉する電磁弁であり、ガス配管6の集約位置6bと放出口6aとの間に設けられ、ガスシリンダ4の作動ガスの放出と放出の遮断とを開閉動作により制御する。
【0029】
次に、上記構成の人工衛星固定分離装置Bの動作について説明する。
人工衛星固定分離装置Bでは、人工衛星Stの分離タイミングになるまで、締結具2が人工衛星StのフランジSt1に係合することで人工衛星Stを載置台1に締結する。人工衛星固定分離装置Bでは、分離タイミングになると、遮断弁7が開放され、全てのガスシリンダ4の作動ガスがガス配管6を通過し、放出口6aから放出される。これによって、各ガスシリンダ4のロッド4aが突出するので、各締結具2は、図5(a)に示すように、締結具支持具3に設けられたねじりバネの付勢力により人工衛星Stとの係合を解除する方向に回動する。これにより、人工衛星Stは、締結具2による固定が解除される。そして、人工衛星Stは、締結具2による固定が解除されると、図5(b)に示すように、分離用スプリング5の付勢力によりロケットRから宇宙空間に放出される。
【0030】
このような本人工衛星固定分離装置Bによれば、パラフィンアクチュエータではなく、ガスシリンダ4を用いて人工衛星Stを固定するので、人工衛星Stの分離時に加熱を必要としない。また、人工衛星固定分離装置Bにおいて、ガスシリンダ4の作動ガスの放出時間は環境にあまり左右されないため、遮断弁7が開放されてから人工衛星Stが分離されるまでに要する時間は安定している。そのため、人工衛星固定分離装置Bは、所望のタイミングで人工衛星Stを分離しやすい。さらに、人工衛星固定分離装置Bでは、各ガスシリンダ4から放出口6aまでの距離が等距離であることにより各ガスシリンダ4から作動ガスが均等な速度で放出されるので、各締結具2の解除タイミングが一致する。これにより、人工衛星固定分離装置Bは、人工衛星Stの姿勢を傾けることなく、所望の方向に放出することができる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態には、円筒形の下部にフランジSt1が形成された人工衛星Stが搭載されているが、当該形状以外の人工衛星Stが搭載されていてもよい。また、上記実施形態は、人工衛星Stが搭載される固定分離装置に本発明を適用したものであるが、人工衛星St以外の探査機などの宇宙機器が搭載される固定分離装置に本発明を適用するようにしてもよい。
【0032】
(2)上記実施形態には、16個の締結具2が取り付けられているが、最低でも2個、人工衛星Stの固定状態が安定するように望ましくは3個以上取り付けられていればよい。
(3)上記実施形態には、4個の分離用スプリング5が取り付けられているが、本発明はこれに限定されない。分離用スプリング5は、1個以上であればよく、人工衛星Stの下部全体に対して均等に付勢力を付与するようになっていればよい。
【0033】
(4)上記実施形態には、各締結具2にガスシリンダ4が1つづつ取り付けられているが、本発明はこれに限定されない。例えば、ガスシリンダ4のロッド4aの先端を複数に分岐させ、それぞれを各締結具2に連結させ、1つのガスシリンダ4で複数の締結具2を制御するようにしてもよい。また、ガス配管6が放出口6aの代わりに作動ガスの充填装置を備えてもよい。この場合は、締結具支持具3により各締結具2に宇宙機器Stと係合する方向の付勢力を付与しておき、作動ガスをガスシリンダ4に充填することによって前記締結具2に連結されたロッド4aを移動させ、各締結具2による宇宙機器Stの固定を解除すればよい。
【符号の説明】
【0034】
R…ロケット、A,B…人工衛星固定分離装置、St…人工衛星(宇宙機器)、St1…フランジ、Rb…ロケット機体、Pf…ペイロードフェアリング、Pf1…円筒形状部、Pf2…円錐形状部、Sp…支持構造、1…載置台、2…締結具、2a…先端部、2b…下端部、2c…末端部、3…締結具支持具、4…ガスシリンダ、4a…ロッド、5…分離用スプリング、6…ガス配管、6a…放出口、6b…集約位置、7…遮断弁、






【特許請求の範囲】
【請求項1】
宇宙機器が載置される載置台と、
前記宇宙機器に係合することにより当該宇宙機器を前記載置台に締結する複数の締結具と、
前記複数の締結具各々に設けられ、前記載置台に前記締結具を回動自在に支持すると共に、前記締結具に前記宇宙機器との係合を解除する方向の付勢力を付与する複数の締結具支持具と、
前記締結具に連結されるロッドを有し、作動ガスが充填されると前記ロッドが移動して前記締結具を前記宇宙機器に係合させる複数のガスシリンダと、
一端が前記ガスシリンダに接続されると共に他端が開放され、前記作動ガスが通過するガス配管と、
該ガス配管に設けられる遮断弁と、
前記宇宙機器が前記載置台から離間する方向に付勢力を付与する付勢手段と
を具備することを特徴とする宇宙機器固定分離装置。
【請求項2】
複数の前記ガスシリンダと前記ガス配管の他端との距離は等距離であることを特徴とする請求項1に記載の宇宙機器固定分離装置。
【請求項3】
前記作動ガスは、窒素あるいはヘリウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の宇宙機器固定分離装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−144206(P2012−144206A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5719(P2011−5719)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)