説明

安全キャップを有する容器

【課題】キャップの緩みを比較的単純な構成で実現でき、かつキャップの着脱操作を従来の容器と同様に行うことのできる、キャップの緩み防止機構を有する容器を提案する。
【解決手段】本発明に係る容器は、キャップの緩み防止機構として、キャップに設けたロック部材と、容器本体のネック部に設けた係止部分とを具え、前記ロック部材は、前記係止部分との係合状態で容器本体に対するキャップの回転を阻止し、かつ、その係合状態から前記ネック部の軸線方向に離脱変位させたときに容器本体に対するキャップの回転を許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の液体、粉体等を収納し、キャップを本体にねじ止めすることにより内部を密閉する容器に関するものであり、特に、本容器は、キャップの不用意な緩みを防止するための緩み防止機構を有するものである。
【背景技術】
【0002】
かかる緩み防止機構を有する容器として、例えば図3に示す市販の洗口液の容器がある。ここで、図3(a)は容器本体のネック部を側面から見たもの、図3(b)は同ネック部を上から見たものをそれぞれ示し、また図3(c)はキャップを側面から見たもの、図3(d)はキャップを下から見たものをそれぞれ示す。この容器20は、図3(a),(b)に示すように、容器ネック部21の付け根近傍に、容器口の中心に対して対称に設けた一対のラチェット22,23を、また図3(c),(d)に示すようにキャップ24下端には、キャップ24の中心に対して対称に設けた一対の突片25,26をそれぞれ具える。
【0003】
キャップ24で容器20を閉じる際に、これを所定の方向に回転させると、ラチェット22,23および突片25,26が互いに係合し、その後キャップ24を、閉じる際とは逆方向に回転させても、突片25,26がのラチェット22,23に当たってキャップ24の回転が妨げられる。これによってキャップ24の緩みを防いでいる。また、キャップ24を外す際には、キャップ24側面の、突片25,26に対して90°離れた箇所に設けた押さえ部27,28を指で加圧してキャップ24を変形させ、それによって前記ラチェット22,23と突片25,26との係合を解除した後、キャップ24を、閉じた際とは逆方向に回転させる。
【0004】
しかし、この容器においては、前述したようにキャップ24を外す際には、ある程度の力で押さえ部27,28を指で加圧してキャップ24を変形させたまま回転させなければならないため、キャップの緩み防止機構を有していない従来の容器と比較して労力を要し、その操作も煩わしい。またこのときにキャップ24に無理な力を加えると破損してしまうおそれもある。同様に、容器を閉じる際にもラチェット22,23と突片25,26を係合させるために、ある程度の力が必要となる。さらに、キャップ24を、これを外す時に容易に変形できるように、比較的柔らかく、かつ弾性を有する材料で製造しなければならず、そのため使用できる材料も限定されてしまう。
【0005】
この他、緩み防止機構を有する容器の例として、特許文献1に記載されているものがある。この容器は、キャップの内側に、容器ネックに設けたねじ山と係合するねじ山を設けると共に、キャップおよび容器ネック双方に互いに係合するラチェット歯を設け、それによって容器を閉めた状態を機械的に保持するものである。しかしながら、この容器もまた、キャップの緩みを効果的に防止できるものの、前述した容器20と同様、開閉操作にはある程度の力が必要であるという問題点を有している。
【特許文献1】特許第3122369号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記の問題点を解決し、比較的簡単な構成、および簡単な操作でキャップの緩みを防止することができ、かつ、開閉時の操作が、キャップの緩みを防止するための手段を有していない通常の容器とほぼ同様に行うことのできる、キャップの緩み防止機構を有する容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、略円筒状に突出したネック部を有する容器本体と、前記ネック部を閉鎖するキャップとを具え、前記ネック部外側面に設けたねじ山と、前記キャップ内側面に設けたねじ山とを係合させて前記本体内部を密閉する容器において、キャップの緩み防止機構として、キャップに設けたロック部材と、容器本体のネック部に設けた係止部分とを具え、前記ロック部材は、前記係止部分との係合状態で容器本体に対するキャップの回転を阻止し、かつ、その係合状態から前記ネック部の軸線方向に離脱変位させたときに容器本体に対するキャップの回転を許容することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明による容器においては、キャップの緩みを防止するために当該キャップに設けたロック部材を、容器ネック部の軸線方向に移動させて容器ネック部に設けた係止部分との係合またはその解除をすることとしている。そのため、キャップの緩みが防止できるといえども、キャップの着脱が、通常の、キャップの緩み防止機構を有しない容器と同様の操作で行うことが可能である。
【0009】
本発明による容器の好適な実施形態においては、ロック部材を前記キャップの外周面に沿って前記ネック部の軸線方向に移動可能な円筒状のスライダとしても良い。このような構成とすることにより、キャップの緩みを防止するための操作が容易に行うことができる。
【0010】
また、本発明による容器の好適な実施形態においては、係止部分を容器ネック部外周に設けた外周歯とし、前記スライダ内面に前記外周歯と噛み合う内周歯を設けたものとしても良い。それによって、キャップの緩み防止機構を簡単な構成で実現でき、かつキャップの開閉操作そのものは通常の容器と同様に行うことが可能となる。
【0011】
さらに、本発明による容器の好適な実施形態においては、係止部分を容器ネック部外周に設けた、少なくとも一つの切り欠き部を有する環状の突条とし、前記スライダ内面に前記突条の切り欠き部と嵌合する少なくとも一つの突起を設けたものとしても良い。このようにすることによっても、キャップの緩み防止機構を簡単な構成で実現でき、またキャップの開閉操作そのものは通常の容器と同様に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明による容器を示す断面図である。本容器1は、容器本体2およびキャップ3とを具え、キャップ3を回転させることにより、容器本体2のネック部4外周面に設けたねじ山5と、キャップ3内周面に設けたねじ山6とを係合させ、あるいは係合を解除してキャップの着脱を行う。
【0014】
キャップ3外周には、略円筒形状のスライダ7を設ける。このスライダ7は、内面に歯8を有し、この歯8とキャップ3外周面に設けた歯9とが噛み合っている。それによってスライダ7は、キャップ3外周面上を、容器1の中心軸線X-Xに沿って上下にスライド可能となっている。また、スライダ7の内側下部に設けた環状の突条10が、キャップ3内面下端に設けた突条11と係合することにより、スライダ7がキャップ3から外れてしまうのを防いでいる。
【0015】
また、スライダ7には、その内周下端に内周歯12を、一方容器ネック部4の付け根近傍には外周歯13を、それぞれ設けている。これら歯12,13が噛み合うことにより、容器の緩みを防ぐことができる。
【0016】
次に、図2を参照して、本容器1における、キャップ3の緩み防止のための操作について説明する。まず、図2(a)に示す状態において、容器1はキャップ3によって閉じられている。ここで、スライダ7は下方に下りた状態にあり、内周歯12が容器1のネック部4に設けた外周歯13と噛み合っており、それによってキャップ3が回転できず、キャップ3の緩みを防いでいる。
【0017】
キャップ3を外すためには、図2(b)に示すように、まずスライダ7を上方へずらし、内周歯12と外周歯13との噛み合いを解除する。それによってキャップ3は回転可能となる。その後、キャップ3を通常の容器のキャップと同様に回転させてねじ山5と6の係合を解除すれば良い(図2(c)参照)。なお、容器を閉じる場合には、上記と逆の操作を行えば良い。
【産業上の利用可能性】
【0018】
以上説明したように、本発明による容器においては、比較的単純な構成で、確実にキャップの緩みを防止することのできる緩み防止機構を実現でき、またキャップの着脱操作そのものは、従来の緩み防止機構を有しない容器と同様に行うことができる。
【0019】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、キャップの緩み防止機構として、例えば、キャップの緩み防止のためのスライダの内周歯および容器本体ネック部の外周歯の組み合わせの代わりに、ネック部外周に少なくとも一カ所の切り欠き部を有する環状の突条を、この切り欠き部と嵌合する突起をスライダ内面にそれぞれ設けることとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による容器を示す断面図である。
【図2】本発明による容器における、キャップの取り外し手順を示す図である。
【図3】従来の、キャップの緩み防止機構を有する容器の一部を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
1,20 容器
2 容器本体
3,24 キャップ
4,21 容器本体のネック部
5 ネック部のねじ山
6 キャップのねじ山
7 スライダ
8 スライダの歯
9 キャップの歯
10 スライダの環状の突条
11 キャップの突条
12 キャップの内周歯
13 ネック部の外周歯
22,23 ラチェット
25,26 突片
27,28 押さえ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒状に突出したネック部を有する容器本体と、
前記ネック部を閉鎖するキャップとを具え、
前記ネック部外側面に設けたねじ山と、前記キャップ内側面に設けたねじ山とを係合させて前記本体内部を密閉する容器において、
前記キャップの緩み防止機構として、キャップに設けたロック部材と、容器本体のネック部に設けた係止部分とを具え、
前記ロック部材は、前記係止部分との係合状態で容器本体に対するキャップの回転を阻止し、かつ、その係合状態から前記ネック部の軸線方向に離脱変位させたときに容器本体に対するキャップの回転を許容することを特徴とする容器。
【請求項2】
請求項1記載の容器において、
前記ロック部材が、前記キャップの外周面に沿って前記ネック部の軸線方向に移動可能な円筒状のスライダであることを特徴とする容器。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記係止部分が、前記ネック部外周に設けた外周歯であり、
前記スライダ内面に前記外周歯と噛み合う内周歯を設けたことを特徴とする容器。
【請求項4】
請求項2記載の容器において、
前記係止部分が、前記ネック部外周に設けた、少なくとも一つの切り欠き部を有する環状の突条であり、
前記スライダ内面に、前記突条の切り欠き部と嵌合する少なくとも一つの突起を設けたことを特徴とする容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−44663(P2006−44663A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223928(P2004−223928)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】