説明

安全スイッチ

【課題】 ロック状態にある安全スイッチのロック機構が駆動カムをロックできない異常が発生したときには、アクチュエータのスイッチ本体への進入を確実に防止することが可能な安全スイッチを提供する。
【解決手段】 駆動カム15の回転がロックされている状態で強引にアクチュエータ3を引抜くことによって、ロック体802dが破壊されて、駆動カム15が回転可能な状態となった場合には、移動体802jの先端802j2が係止部15dに係止して駆動カム15の回転を阻止する。したがって、ロック体802dが破損してしまい、駆動カム15を正常にロックできない異常が発生したときに、アクチュエータ3を操作部5へ進入させようとしたとしても、アクチュエータ3のスイッチ本体1への進入を確実に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば産業機械等の防護扉周縁の壁面に取り付けられ、防護扉が開かれたときには、産業機械等への電源供給を停止する安全スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業機械の防護扉などには、作業者が機械に巻き込まれて負傷するといったトラブルの発生を防止することを目的として、防護扉が完全に閉まっていないときには、機械を駆動させないようにする安全スイッチが配設されている。このような安全スイッチの一例として、例えば、特許文献1に記載の安全スイッチのように、操作キーが安全スイッチ内に挿入された後、該操作キーを安全スイッチ内で機械的にロックすることにより、操作キーの引抜を防止するロック機構を備えているものがある。
【0003】
このロック機能を備える安全スイッチは、ロボット等の産業機械に電気的に接続されるもので、スイッチ本体(キースイッチ)とアクチュエータ(キー)とにより構成されており、スイッチ本体は防護扉周縁の壁面に固着され、またアクチュエータは防護扉に固着される。そのときのアクチュエータの固着位置はスイッチ本体のキー挿入口に対向し、かつ、防護扉を閉鎖した状態のときにスイッチ本体の左上部のヘッドケース内に進入可能なように設定されている。
【0004】
そして、アクチュエータの進入により、スイッチ本体のヘッドケースの下方に位置する開閉器が閉に切り換わり、産業機械へ電源が供給されて機械が駆動可能な状態となる。一方、防護扉の開放によりアクチュエータが後退してヘッドケースから抜け出ると、内蔵の開閉器が開に切り換わり、機械への電源供給が遮断される。
【0005】
ところで、ヘッドケースには、アクチュエータの進入・後退に伴いアクチュエータと係合して回転されるカム体(駆動カム)と、カム体の下方に配置されて、該カム体の回転に応じてそのカム外形(カム曲線部)に沿って上下動する従動体が配設されている。そして、ヘッドケースの下方のスイッチ本体内部には、従動体に連動して上下動する作動体および操作体と、この操作体に連動して開閉する開閉器が配設されている。また、操作体付近に設けられたバネによって、従動体、作動体および操作体は上方へ付勢されており、従動体がカム体のカム外形を摺接し、カム体の回転に伴って従動体、作動体および操作体が一体的に上下動し、この上下動に連動して各開閉器の開閉状態が切り換わる。
【0006】
また、この安全スイッチには、左右に移動するロック部材(ロック体)、L字状のロックレバー、プランジャを有するロック機構が設けられている。ロックレバーは中央部が回転自在に軸支され、ロックレバーの左端はロック部材の右端部に、右端はプランジャの下端側にそれぞれ回転自在に連結されており、プランジャの移動がロックレバーの回転を経てロック部材に伝達される。また、ロック部材はバネによって左方へ付勢されている。そのため、カム体の時計方向への回転に伴って従動体がカム体の外形の径大部から径小部へと摺接し、バネの付勢により操作体が上方に移動するとともに、ロック部材が左方へ移動する。その結果、ロック部材が操作体の下方に入り込み、操作体の下方への移動がロック部材によって阻止されるため、従動体によりカム体が係止されることになり、これによってカム体が回転が阻止されたロック状態に保持され、アクチュエータの引抜きが阻止される。
【0007】
また、ロック機構のプランジャを駆動するための電磁ソレノイドが、スイッチ本体内の右上部に配設されており、該電磁ソレノイドが外部からの制御によって通電および通電遮断されることにより、プランジャがそれぞれ上動および下動する。そして、カム体のロック状態では、電磁ソレノイドは通電遮断の状態にあり、この状態から電磁ソレノイドが通電されると、その電磁的吸引力によってプランジャが上動し、プランジャの上動によってロックレバーが反時計方向に回転し、これによりロック部材が右方へ移動して操作体の下動が可能となり、カム体が反時計方向に回転可能な状態となる。その結果、カム体がロックされた状態から開放されてアンロック状態となり、アクチュエータの引抜きが可能となる。
【0008】
【特許文献1】特開平9−245584号公報([0035]〜[0044],図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記した従来の安全スイッチの場合、駆動カム(カム体)がロック状態であって、引抜きが阻止されているアクチュエータが、電磁ソレノイドの通電によって正常にロック解除されないまま、ロック体(ロック部材)の破壊強度を越える引抜き方向への力がアクチュエータに強制的に加えられると、次のような問題が生じるおそれがある。すなわち、強引にアクチュエータを後退させて引抜こうとした場合、アクチュエータが係合している駆動カムを回転させようとする力となる。ところが、電磁ソレノイドに通電されていないため、ロック機構はロックの状態のままであり、操作体はロック体に係止したままである。そのため、アクチュエータを引抜く力が大きいと、ロック体の破壊強度を越えてロック体が破壊され、駆動カムは回転可能な状態となり、アクチュエータが引抜かれるのに伴い、回転することとなる。その結果、駆動カムは正常な状態であるため、操作体は下動して、スイッチ本体の開閉器は開に切り換わる。
【0010】
また、ロック状態にあるロック機構が駆動カムをロックできない異常が発生しているのにも関わらず、アクチュエータの再進入に伴ってスイッチ本体の開閉器が正常に動作してしまうため、産業機械へ電源が供給されてしまう。このように、アクチュエータの進入・後退に伴い、スイッチ本体の開閉器が正常に動作してしまうため、ユーザーがロック機構の異常に気付かずに安全スイッチを使用し続けてしまい、危険な状態となることがあった。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ロック状態にある安全スイッチのロック機構が駆動カムをロックできない異常が発生したときには、アクチュエータのスイッチ本体への進入を確実に防止することが可能な安全スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するため、本発明にかかる安全スイッチは、スイッチ本体の操作部に進入・後退自在にアクチェータが設けられ、前記アクチュエータの進入・後退に応じて、スイッチ部に設けられた操作ロッドが往復移動することにより開閉器が開閉して前記アクチュエータの進入・後退を検出する安全スイッチにおいて、前記操作部に回転自在に設けられた駆動カムと、前記スイッチ本体のロック機構部に設けられ前記駆動カムの回転をロックするロック機構と、前記アクチュエータの前記操作部への進入を防止する進入防止手段とを備え、前記駆動カムは、その外周面に係合部、カム曲線部およびロック部がそれぞれ形成され、前記アクチュエータの押込みに伴い、前記アクチュエータの一部が前記係合部に係合し、該係合状態のままで前記アクチュエータが前記操作部に進入するに連れて一方向に回転され、前記アクチュエータの引抜きに伴い、前記アクチュエータが前記操作部から後退するに連れて、前記アクチュエータの一部が前記係合部との係合状態から脱するまで他方向に回転され、この駆動カムの両方向への回転により、前記操作ロッドが前記カム曲線部を摺接することによって往復移動し、前記ロック機構は、ロック位置とアンロック位置との間を前記駆動カムの回転軸に対してほぼ直交方向に移動自在に設けられ、前記アクチュエータが進入状態にあるときに前記ロック位置への移動により前記ロック部に係合して前記駆動カムの回転をロックし、前記アンロック位置への移動により前記ロック部への係合が解除されるロック体と、前記ロック体を移動させる駆動部とを有し、前記進入防止手段は、ロック状態にある前記ロック機構が前記駆動カムをロックできない異常が発生したときに、前記駆動カムの回転を阻止して前記アクチュエータの進入を防止することを特徴としている(請求項1)。
【0013】
このように構成された発明では、アクチュエータがスイッチ本体の操作部に押込まれるのに伴い、該アクチュエータの一部が係合部と係合し、該係合状態のままでアクチュエータが操作部に進入するに連れて駆動カムが一方向に回転される。この駆動カムの回転に伴い、操作ロッドがカム曲線部を摺接することによって移動し、該操作ロッドの移動に伴って、開閉器が開閉する。そして、アクチュエータが進入状態にあるときにロック機構の駆動部がロック体をロック位置まで移動させることによって、該ロック体と駆動カムのロック部とが係合して、駆動カムの回転がロックされる。その結果、該駆動カムと係合しているアクチュエータの後退が阻止され、該アクチュエータを操作部から引抜くことが不可能となる。
【0014】
このように、駆動カムの回転がロックされている状態で強引にアクチュエータを後退させて操作部から引抜こうとした場合、アクチュエータの一部が駆動カムの係合部に係合しているため、駆動カムに強制的な回転力が加わる。ところが、駆動カムのロック部にはロック体が係合したままであるため、アクチュエータを引抜く力が大きい場合、ロック部またはロック体の少なくとも一方が破壊されることがある。その結果、ロック機構はロック状態にあるにも関わらず駆動カムをロックできず、駆動カムは回転可能な状態となり、アクチュエータの引抜きに伴い、アクチュエータが操作部から後退するに連れて、アクチュエータの一部が係合部との係合状態から脱するまで他方向に回転される。このとき、ロック状態にあるロック機構が駆動カムをロックできない異常が発生しているため、進入防止手段が駆動カムの回転を阻止する。
【0015】
なお、操作ロッドは破損することなく正常な状態であり、駆動カムの他方向への回転に伴って操作ロッドがカム曲線部を摺接することによって移動して開閉器が正常に開閉するので、例えば、この開閉器の開閉に基づいてアクチュエータの引抜き(後退)を検出することができる。そして、アクチュエータが引抜かれた後、アクチュエータを操作部へ進入させようとしても、進入防止手段が駆動カムの回転をロックした状態であるため、アクチュエータのスイッチ本体への進入は防止される。したがって、安全スイッチのロック機構に駆動カムを正常にロックできない異常が発生しても、アクチュエータのスイッチ本体への進入を確実に防止することができる。
【0016】
また、カムは、その外周面に係止部がさらに形成され、前記進入防止手段は、前記係止部に係脱自在に設けられ、ロック状態にある前記ロック機構が前記駆動カムをロックできない異常が発生したときに、前記係止部に係止して前記駆動カムの回転を阻止して前記アクチュエータの進入を防止する移動体を有する構成でもよい(請求項2)。このような構成とすれば、駆動カムの回転がロックされている状態で、強引にアクチュエータが操作部から引抜かれることによって、例えば、ロック体が破損し、アクチュエータの一部が係合部との係合状態から脱するまで他方向に駆動カムが回転された場合、ロック状態にあるロック機構が駆動カムをロックできない異常が発生し、進入防止手段の移動体が係止部に係止して駆動カムの回転を阻止する。したがって、アクチュエータが引抜かれた後、アクチュエータを操作部へ進入させようとしても、移動体が係止部に係止して駆動カムの回転がロックされた状態であるため、アクチュエータのスイッチ本体への進入は防止される。そのため、安全スイッチのロック機構に駆動カムを正常にロックできない異常が発生しても、アクチュエータのスイッチ本体への進入を確実に防止することができる。
【0017】
また、前記ロック機構の少なくとも前記ロック体および前記進入防止手段は、同一のロックユニットケースに収容されてユニット化され前記駆動部に対して組み込み・取り外し自在に配設されており、前記ロックユニットケースから前記ロック体の先端部が外部に導出され、前記移動体はその先端が前記ロックユニットケースから出没自在に該ロックユニットケース内に配設されている構成でもよい(請求項3)。このような構成とすれば、ロック体および進入防止手段を同一のロックユニットケースに収容し、ユニット化して駆動部に対して組み込み・取り外し自在に配設しているため、例えば、ロック体に異常が発生した場合には、このユニットを交換すればよく、短時間で作業効率よく安全スイッチを復元することができる。
【0018】
前記進入防止手段は、前記移動体を前記係止部に向う方向に付勢して移動させる付勢部と、前記ロック機構が前記駆動カムをロックしているときには前記付勢部の付勢による前記移動体の移動を阻止し、前記ロック機構が前記駆動カムをロックできない異常が発生したときには、前記付勢部の付勢による前記移動体の移動を許容する許容部とを備えている構成でもよい(請求項4)。このような構成とすれば、ロック機構が駆動カムをロックできない異常が発生したときに、許容部は付勢部が移動体を係止部に向う方向に付勢して移動させるのを許容する。その結果、移動体は駆動カムの係止部に係止して、駆動カムの回転を阻止してアクチュエータの進入を防止することができる。したがって、ロック機構が駆動カムをロックできない異常が発生したときに、確実に駆動カムの回転をロックしてアクチュエータの進入を防止することができる。
【0019】
前記ロック体の先端部が前記ロック部に係合し、当該先端部の破壊強度が、前記駆動カムの前記ロック部の破壊強度よりも低く設定され、前記許容部は、前記ロック体の先端部に形成され前記移動体が接離自在に当接し、前記ロック体の先端部と一緒に破損する突部を備えている構成でもよい(請求項5)。このような構成とすれば、ロック機構(ロック体)が駆動カムをロックできない異常が発生したときに、移動体の移動を許容する許容部を容易に実現することができる。そして、ロック体の先端部の破壊強度は、駆動カムのロック部の破壊強度より低く設定されているため、ロック体の先端部が破損したときには、該先端部に形成されている突部が一緒に破損して、駆動カムの係止部へ向う付勢部の付勢力による移動体の移動が許容され、該移動体は付勢部に付勢されて駆動カムの係止部に向って移動し、係止部に係止して駆動カムの回転を阻止することができる。
【0020】
また、前記駆動カムは、その外周面に係止部がさらに形成され、前記進入防止手段は、前記駆動カムの周面の一部をなす被結合体と、前記被結合体を前記駆動カムに一体的に結合して前記係止部を被覆するとともに前記被結合体の一部により前記ロック部を形成させる結合部材とを有し、前記結合部材が破損してロック状態にある前記ロック機構が前記駆動カムをロックできない異常が発生したときに、前記被結合体が前記駆動カムの周面から脱離して前記係止部が前記駆動カム外に露呈し、前記ロック体が露呈した前記係止部と係合して、前記駆動カムの回転を阻止して前記アクチュエータの進入を防止する構成でもよい(請求項6)。このような構成とすれば、駆動カムの回転がロックされている状態で、強引にアクチュエータが操作部から引抜かれることによって結合部材が破損し、ロック状態にあるロック機構が駆動カムをロックできない異常が発生したときに被結合体が駆動カムの周面から脱離して係止部が駆動カム外に露呈する。そして、アクチュエータの一部が係合部との係合状態から脱するまで他方向に駆動カムが回転された場合、ロック状態にあるロック機構のロック体が駆動カムの外周面に形成されている係止部に係止して駆動カムの回転を阻止する。したがって、アクチュエータが引抜かれた後、アクチュエータを操作部へ再度進入させようとしても、ロック体が係止部に係止して駆動カムの回転がロックされた状態であるため、アクチュエータのスイッチ本体への進入は防止される。そのため、安全スイッチのロック機構に駆動カムを正常にロックできない異常が発生しても、アクチュエータのスイッチ本体への進入を確実に防止することができる。なお、結合部材の破壊強度をロック体の破壊強度よりも低く設定するのが望ましい。
【0021】
また、前記進入防止手段は、一部に係止部が形成され、前記駆動カムに回転自在に装着されて前記駆動カムの周面の一部をなす回転体と、前記係止部が前記駆動カム外に露呈しないように前記回転体を回転不能に固定して、前記回転体の他の一部により前記ロック部を形成させる固定部材と、前記固定部材の破損時に、前記アクチュエータの後退に伴う前記駆動カムの回転方向と反対の一方向にのみ前記回転体の回転を許容し他方向への回転を規制する回転規制手段とを有し、前記固定部材が破損して、ロック状態にある前記ロック機構が前記駆動カムをロックできない異常が発生したときに、前記回転体の前記一方向への回転によって前記係止部が露呈し、前記ロック体が露呈した前記係止部と係合して、前記駆動カムの回転を阻止して前記アクチュエータの進入を防止する構成でもよい(請求項7)。このような構成とすれば、駆動カムの回転がロックされている状態で、強引にアクチュエータが操作部から引抜かれることによって固定部材が破損し、ロック状態にあるロック機構が駆動カムをロックできない異常が発生したときに、回転体が駆動カムに対して一方向に回転して該回転体の一部に形成された係止部が駆動カム外に露呈する。そして、アクチュエータの一部が係合部との係合状態から脱するまで他方向に駆動カムが回転された場合、ロック状態にあるロック機構のロック体が係止部に係止する。このとき、回転体は回転規制手段によって駆動カムに対して他方向への回転が防止されているため、駆動カムの回転が阻止される。したがって、アクチュエータが引抜かれた後、アクチュエータを操作部へ再進入させようとしても、ロック体が係止部に係止して駆動カムの回転がロックされた状態であるため、アクチュエータのスイッチ本体への進入は防止される。そのため、ロック状態にある安全スイッチのロック機構が駆動カムを正常にロックできない異常が発生したときには、アクチュエータのスイッチ本体への進入を確実に防止することができる。なお、固定部材の破壊強度をロック体の破壊強度よりも低く設定するのが望ましい。
【0022】
また、少なくとも、前記駆動カムおよび前記進入防止手段は、同一のカムユニットケースに収容されてユニット化され前記スイッチ本体に対して組み込み・取り外し自在に配設されている構成でもよい(請求項8)。このような構成とすれば、駆動カムおよび進入防止手段を同一のカムユニットケースに収容し、ユニット化してスイッチ本体に対して組み込み・取り外し自在に配設しているため、例えば、駆動カムのロック部に異常が発生した場合には、このユニットを交換すればよく、短時間で作業効率よく安全スイッチを復元することができる。
【0023】
また、前記駆動部は、前記ロック機構部に配設され、通電により発生した電磁的吸引力によって作動体が変位するヒンジ型電磁石と、前記作動体の変位を前記ロック体に伝達して前記ロック体を移動させる伝達部とを備える構成でもよい(請求項9)。このような構成とすれば、駆動部は、ヒンジ型電磁石への通電により発生した電磁的吸引力よる作動体の変位を、伝達部によってロック体に伝達して該ロック体を移動させている。このように、ヒンジ型電磁石への通電による電磁的吸引力による作動体の変位を、伝達部によってロック体に伝達してロック体を移動させているため、プランジャ型電磁石のように該電磁的吸引力を直線的に利用するのに比べ、薄型かつ小型の安全スイッチを提供することができる。
【0024】
また、前記スイッチ本体は直方体状を有し、前記スイッチ本体の対向する一組の隅部の一方にアクチュエータ進入口が、他方にケーブル引き出し口がそれぞれ形成されており、前記ケーブル引き出し口からケーブルが、ほぼ前記対向する一組の隅部を結ぶ方向へ引き出されている構成でもよい(請求項10)。このような構成とすれば、アクチュエータ進入口と、ケーブル引き出し口との関係から、ケーブルの引き出し方向の自由度が高く、安全スイッチを壁面または防護扉へ配設可能であり、また、アクチュエータ進入口が水平/垂直向きのどちらにでも配設可能となる。また、安全スイッチを裏表、どちらの面でも配設場所へ密着させることができる。したがって、安全スイッチの取り付けの自由度が増し、安全スイッチ取り付けの選択範囲を広げることができる。
【0025】
また、前記開閉器が、前記スイッチ本体内において外部接続用ケーブルの端部に電気的に接続され、前記開閉器の開閉による電気信号によって前記アクチュエータの進入・後退の状態を検出するものである構成でもよい。このような構成とすれば、開閉器の開閉による電気信号により、外部からアクチュエータの進入・後退を検出することができる。
【0026】
また、前記スイッチ本体内に設けられた常開開閉器および外部装置の動作制御に使用される常閉開閉器を備え、前記アクチュエータの進入に伴う前記操作ロッドの移動により、前記常開開閉器および常閉開閉器がそれぞれ開状態および閉状態となり、前記常開開閉器の開状態により、前記アクチュエータの進入を検出するための電気信号が得られ、前記常閉開閉器の閉状態により前記外部装置を操作不能状態から操作可能状態にする構成でもよい。このような構成とすれば、アクチュエータの進入に伴い常閉開閉器が閉状態となって、外部装置が操作不能状態から操作可能状態となる一方、常開開閉器はアクチュエータの進入に伴って開状態となる。このように、常閉開閉器とは逆の開閉動作を行う常開開閉器の開閉状態をモニタすることにより、アクチュエータの進入・後退に加えて、外部装置の状態を外部から確認することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、このように、駆動カムの回転がロックされている状態で強引にアクチュエータを後退させて操作部から引抜くことによってロック部またはロック体の少なくとも一方が破損し、ロック機構がロック状態にあるにも関わらず駆動カムをロックできず、駆動カムが回転可能な状態となった場合には、進入防止手段が駆動カムの回転を阻止する。そして、アクチュエータが引抜かれた後、アクチュエータが操作部へ再進入しようとしても、進入防止手段により駆動カムの回転をロックしているため、アクチュエータのスイッチ本体への進入を防止することができる。したがって、安全スイッチのロック機構に駆動カムを正常にロックできない異常が発生しても、アクチュエータのスイッチ本体への進入を確実に防止することができる。
【0028】
また、請求項2に記載の発明によれば、駆動カムの回転がロックされている状態で、強引にアクチュエータが操作部から引抜かれることによって、例えば、ロック体が破損し、アクチュエータの一部が係合部との係合状態から脱するまで他方向に駆動カムが回転された場合、ロック状態にあるロック機構が駆動カムをロックできない異常が発生し、進入防止手段の移動体が係止部に係止して駆動カムの回転を阻止するため、アクチュエータが引抜かれた後、アクチュエータを操作部へ進入させようとしても、移動体の係止部との係止により駆動カムの回転がロックされており、アクチュエータのスイッチ本体への進入を防止することができる。そのため、安全スイッチのロック機構に駆動カムを正常にロックできない異常が発生しても、アクチュエータのスイッチ本体への進入を確実に防止することができる。
【0029】
また、請求項3に記載の発明によれば、ロック体および進入防止手段を同一のロックユニットケースに収容し、ユニット化して駆動部に対して組み込み・取り外し自在に配設しているため、例えば、ロック体に異常が発生した場合には、このユニットを交換すればよく、短時間で作業効率よく安全スイッチを復元することができる。
【0030】
また、請求項4に記載の発明によれば、ロック機構が駆動カムをロックできない異常が発生したときに、許容部は付勢部が移動体を係止部に向う方向に付勢して移動させるのを許容するので、移動体は駆動カムの係止部に係止して駆動カムの回転を阻止してアクチュエータの侵入を防止することができる。したがって、ロック機構が駆動カムをロックできない異常が発生したときに、確実に駆動カムの回転を阻止してアクチュエータの進入を防止することができる。
【0031】
また、請求項5に記載の発明によれば、ロック機構(ロック体)が駆動カムをロックできない異常が発生したときに移動体の移動を許容する許容部を、突部によって容易に実現することができる。そして、ロック体の先端部の破壊強度は、駆動カムのロック部の破壊強度より低く設定されているため、ロック体の先端部が破損したときには、該先端部に形成されている突部が一緒に破損して、駆動カムの係止部へ向う付勢部の付勢力による移動体の移動が許容され、該移動体は付勢部に付勢されて駆動カムの係止部に向って移動し、係止部に係止して駆動カムの回転を阻止することができる。
【0032】
また、請求項6に記載の発明によれば、駆動カムの回転がロックされている状態で、強引にアクチュエータが操作部から引抜かれることによって結合部材が破損し、ロック状態にあるロック機構が駆動カムをロックできない異常が発生したときに被結合体が駆動カムの周面から脱離して係止部が駆動カム外に露呈して、ロック体が駆動カムの外周面に形成されている係止部に係止して駆動カムの回転を阻止する。そのため、アクチュエータを操作部へ再度進入させようとしても、ロック体の係止部との係止により駆動カムの回転がロックされており、アクチュエータのスイッチ本体への進入を確実に防止することができる。
【0033】
また、請求項7に記載の発明によれば、駆動カムの回転がロックされている状態で、強引にアクチュエータが操作部から引抜かれることによって固定部材が破損し、ロック状態にあるロック機構が駆動カムをロックできない異常が発生したときに、回転体が駆動カムに対して一方向に回転し回転体の係止部が駆動カム外に露呈して、ロック体が係止部に係止する。このとき、回転体は回転規制手段によって駆動カムに対して他方向への回転が防止されるため、駆動カムの回転が阻止される。したがって、アクチュエータを操作部へ再度進入させようとしても、ロック体の係止部との係止により駆動カムの回転をロックすることができ、アクチュエータのスイッチ本体への進入を確実に防止することができる。
【0034】
また、請求項8に記載の発明によれば、駆動カムおよび進入防止手段を同一のカムユニットケースに収容し、ユニット化してスイッチ本体に対して組み込み・取り外し自在に配設しているため、例えば、駆動カムのロック部に異常が発生した場合には、このユニットを交換すればよく、短時間で作業効率よく安全スイッチを復元することができる。
【0035】
また、請求項9に記載の発明によれば、駆動部は、ヒンジ型電磁石への通電により発生した電磁的吸引力よる作動体の変位を、伝達部によってロック体に伝達してロック体を移動させているため、プランジャ型電磁石のように該電磁的吸引力を直線的に利用するのに比べ、薄型かつ小型の安全スイッチを提供することができる。
【0036】
請求項10に記載の発明によれば、アクチュエータ進入口と、ケーブル引き出し口との関係から、安全スイッチを壁面または防護扉へ配設可能であり、また、アクチュエータ進入口を水平/垂直向きのどちらにでも、また、安全スイッチを配設場所に裏表、どちらの面でも密着して配設することもできる。したがって、安全スイッチの取り付けの自由度が増し、安全スイッチ取り付けの選択範囲を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
<第1実施形態>
この発明の第1実施形態について図1ないし図7を参照して説明する。図1ないし図4はスイッチ本体の断面図、図5はロック体ユニットを示す図、図6はスイッチ本体の一部拡大図、図7は安全スイッチの外観図を示す。
【0038】
本発明における安全スイッチは、上記した従来のものと同様に、外部装置であるロボット等の産業機械等にケーブルを介して電気的に接続されるスイッチであり、図1に示すように、スイッチ本体1と、アクチュエータ3とにより構成される。
【0039】
このとき、スイッチ本体1は、操作部5とスイッチ部7とロック機構部8とからなり、図示を省略する産業機械の防護扉周縁の壁面に固着される。また、アクチュエータ3は防護扉に固着され、その位置は操作部5の側面に形成されたアクチュエータ進入口9aに対向する位置であり、防護扉を閉鎖した状態のときに操作部5のアクチュエータ進入口9a内に進入する。なお、アクチュエータ3は、図1に示すように、基部3aと、この基部3aから突出する一対の押圧片3bと、これら両押圧片3bを互いに連結する連結片3cとから構成されている。このとき、幅が大きく厚みの薄い平板状のアクチュエータの押圧片と比べ、両押圧片3bは幅が小さく厚みのある形状を有し、連結片3cを通る断面がコ字状を成している。
【0040】
スイッチ本体1の左上部に配設された操作部5は、図1ないし図4に示すように、ケース部材11と、回転軸13がこのケース部材11の内面に枢支されて回転自在に支持された駆動カム15を備えている。この駆動カム15の上部外周面には、アクチュエータ3の連結片3cが嵌挿する係合部15aが、上記したアクチュエータ進入口9aから覗く位置に形成されている。さらに、駆動カム15の上部外周面で係合部15aの右寄りには後述するロック機構部8のロック体802dが係合するロック部15bが形成されている。また、駆動カム15の下部外周面にはカム曲線部15cが形成されており、操作部5の下方に位置するスイッチ部7から先端部分が出退自在に操作部5内に突出する操作ロッド21の半球状の先端が駆動カム15のカム曲線部15cを摺接する。そして、駆動カム15の回転に伴って操作ロッド21が進入・後退して往復移動すると、スイッチ部7に内蔵されている開閉器部70の開閉器の開閉状態が切り換えられる。また、駆動カム15の右部外周面には、後述する移動体802jの先端802j2(本発明の「進入防止手段」に相当)が係止する係止部15dが形成されている。
【0041】
次に、スイッチ部7について説明する。このスイッチ部7は、図1に示すように、ケース部材11と一体となって直方体状のスイッチ本体1を形成するケース部材33の内部であって操作部5の下方に配設され、開閉器が内蔵された開閉器部70と、上記した操作ロッド21とから構成されている。また、このケース部材33に、操作部5側のケース部材11が着脱自在に取り付けられるように構成されている。そして、アクチュエータ進入口9aが形成されたケース部材11側の隅部に対向するケース部材33側の隅部には、外部接続用ケーブルのケーブル引き出し口33aが形成されている。また、図1に示すように、ケース部材33の外面には、スイッチ本体1を産業機械の防護扉周縁の壁面に取り付けるためのボルトが挿入される一対の取付孔33bが形成されている。
【0042】
ところで、開閉器部70には、操作ロッド21の他端部に接し操作ロッド21と一体となって移動する可動部材37と、この可動部材37に連動して開閉する第1および第2常閉開閉器39,40とを備えている。各常閉開閉器39,40は、それぞれ可動接点39a,40aと固定接点39b,40bとからなり、各可動接点39a,40aは可動部材37に固定され、各固定接点39b,40bは開閉器部70に配設された枠部材43に固定されている。ここで、各常閉開閉器39,40のうち、例えば、常閉開閉器39は産業機械への電源供給及び遮断用であり、後述するロック機構部8に配設された常閉開閉器と直列に接続されている。また、常閉開閉器40はこれら電源供給及び遮断用の開閉器の開閉状態のモニタ用である。
【0043】
そして、可動部材37は、板状の基板部45と、この基板部45の一方面(図1の表面側)の両端に立設される第1取付部53および第2取付部54とから構成されており、その一端側が操作ロッド21の他端と当接するとともに、その他端側にコイルバネ(図示省略)が取り付けられ、コイルバネによって可動部材37が操作部5の方向、すなわち上方に付勢されている。また、各取付部53,54には、一対の突起53a,53b,54a,54bがそれぞれ可動部材37の長手方向に互いに対向して設けられている。
【0044】
そして、第1,2常閉開閉器39,40の可動接点39a,40aが、一方の突起53a,54aの根元部それぞれに着脱自在に取り付けられるとともに、各対の突起53a,53b,54a,54bにぞれぞれ外嵌されたバネ(図示省略)によって、各可動接点39a,40aが各取付部53,54に押し付けられて固定されており、これらのバネにより、特に図2に示されるように、各可動接点39a,40aそれぞれと各固定接点39b,40bそれぞれとの間の接触力が発生されている。
【0045】
ここで、ケース部材33には、産業機械と電気的に接続されるケーブル(図示省略)が装着されており、開閉器部70の内部においてケーブルと各常閉開閉器39,40とが電気的に接続され、各常閉開閉器39,40が開閉することによる電気信号によって、アクチュエータ3の操作部5への進入・後退の検出および産業機械への電源供給及び電源供給の遮断が行われるようになっている。
【0046】
ところで、第2常閉開閉器40の固定接点40bは、図1に示すように、開閉器部70の枠部材43に形成された常閉開閉器用取付部43aに着脱自在に取り付けられ、可動接点40aとともにその取り付け位置および取り付け状態を変更可能に取り付けられており、第2常閉開閉器40を常開開閉器に切り換えることができるようになっている。
【0047】
すなわち、枠部材43には、上記した常閉開閉器用取付部43aに加え、固定接点40bが着脱自在に取り付けられる常開開閉器用取付部43bが形成されており、第2常閉開閉器40の可動接点40aを一方の突起54aから取り外して他方の突起54b側に取り付けるとともに、固定接点40bを常閉開閉器用取付部43aから取り外して常開開閉器用取付部43bに取り付けることにより、第2常閉開閉器40を常開開閉器に切り換えることができる。こうすることで、この常開開閉器は、第1常閉開閉器39と逆の開閉動作を行うため、第2常閉開閉器40の場合とは異なる動作のモニタ用開閉器として用いることができ、用途に応じて常閉と常開の選択を行うことができる。
【0048】
なお、アクチュエータ3が進入していない図1の状態では、操作ロッド21はコイルバネに抗して駆動カム15のカム曲線部15cにより押圧されてほとんどの部分がスイッチ部7側に没した状態にあり、操作ロッド21により可動部材37が押し込まれている。これによって、各常閉開閉器39,40の可動接点39a,40aおよび固定接点39b,40bが離間し、各常閉開閉器39,40が開状態となり、産業機械への電源供給が遮断されて産業機械が操作不能な状態となっている。
【0049】
次に、ロック機構部8について説明する。このロック機構部8は、図1に示すように、ケース部材33の内部であって操作部5の右方に配設され、上記したロック体802dとロック体802dを移動させる駆動部81とを有するロック機構8aと、常開および常閉開閉器が内蔵されたロック開閉器部8bと、手動ロック解除機構8cとから構成されている。また、図5に示すように、ロック体802dと移動体802jは同一のロックユニットケース(ロック体支持部802c)に収容されてロック体ユニット802としてユニット化されており、駆動部81に対して組み込み、取り外し自在に配設されている。
【0050】
続いて、図5を参照しつつ、ロック機構8aを構成するロック体ユニット802(ロック体802d)について詳述する。図5(a)に示すように、ロック体ユニット802は、ロック体支持部802cおよびシール部材802a,802bでロック体802dを支持することによって構成されている。そして、このロック体ユニット802が駆動部を構成するヒンジ型電磁石81aの上方に組み込み・取り外し自在に配設されている。なお、ロック体802dの先端部802fはロック体ユニット802の外部に導出されており、ロック体ユニット802が駆動部81に組み込まれた状態で、ロック体802dは図1に示すアンロック位置と、図2に示すロック位置との間を、駆動カム15の回転軸13に対してほぼ直交方向に移動自在にロック体支持部802cに支持されている。そして、ロック体802dがロック位置に移動した際、先端部802fが駆動カム15のロック部15bと係合することによって、駆動カム15の回転をロックする。一方、ロック体802dがアンロック位置に移動した際、先端部802fとロック部15bとの係合が解除され、駆動カム15が回転可能な状態となる。
【0051】
また、ロック体802dは基部802eと、基部802eに連続した先端部802fとで構成されており、基部802eと先端部802fとの境界には、破壊強度を下げるための孔802gが穿設されている。また、ロック体802dの先端部802fの外径は基部802eの外径よりも大きく構成されており、上記した移動体802jの先端802j2が接離自在に当接する段差部802h(本発明の「許容部」、「突部」に相当)が形成されている。また、ロック体802dの基部802eにはフランジ部802kが形成されており、このフランジ部802kと段差部802hとの間に、その先端802j2がロック体ユニット802から出没自在に移動体802jが配設されている。移動体802jとフランジ部802kとの間にはバネ802i(本発明の「付勢部」に相当)が介装されており、移動体802jをロック体802dの先端部802fの方向へ移動させる向きに付勢している。すなわち、ロック体ユニット802が駆動部81に組み込まれた状態において、バネ802iは移動体802jを駆動カム15の係止部15dに向う方向に付勢している。なお、後述するような、ロック体802dの先端部802fが破損して駆動カム15をロックできない異常が発生する前は、移動体802jの先端802j2が段差部802hに当接しており、移動体802jはロック体802dの段差部802hとフランジ部802kとの間に係止されている。そのため、ロック体802dがロック位置とアンロック位置との間で移動するときには、移動体802jはロック体802dと一体的に移動する。
【0052】
また、図5(b)に示すように、段差部802hはロック体802dの先端部802fと一緒に破損するように構成されている。このように、先端部802fが破損した場合、移動体802jが当接している段差部802hも一緒に破損するため、移動体802jはバネ802iの付勢力によってロック体802dの先端方向へ移動する。そして、後述するように、移動体802jの先端802j2が駆動カム15の係止部15dに係止して駆動カム15の回転を阻止する(図6(b)参照)。
【0053】
また、駆動部81は、コアにコイルが巻回されてなり、通電により発生した電磁的吸引力によって略L字形の鉄等の磁性材料からなる作動体81bが変位するヒンジ型電磁石81aと、作動体81bを左方に付勢する板バネからなる復帰バネ81cと、作動体81bの変位をロック体802dへ伝達するリンク体81dとで構成されている。ヒンジ型電磁石81aは、その中心軸方向がロック体802dの移動方向に対してほぼ直交して配設されており、ロック開閉器部8bのケース82に支持されている。また、図1に示すように、ヒンジ型電磁石81aとケース82との間には隙間83が生じるように、ヒンジ型電磁石81aはケース82に支持されており、隙間83に作動体81bと復帰バネ81cとが配設されている。
【0054】
作動体81bは、その屈曲部81b1が鈍角となるように構成された略L字形の部材であって、屈曲部81b1部分を揺動の中心軸として揺動自在に隙間83内に配設されている。また、復帰バネ81cは、隙間83内であって、作動体81bの右方に、その付勢力が左方を向くように配設されている。また、作動体81bの上端部81b2にはリンク体81dが連結されており、リンク体81dにロック体802dが軸支されている。
【0055】
したがって、図2に示すように、ヒンジ型電磁石81aが通電遮断されていれば、作動体81bは復帰バネ81cによって左方に付勢され、上端部81b2は屈曲部81b1部分を揺動の中心軸として左方に移動する。そして、上端部81b2が左方に移動するのに伴い、上端部81b2に連結されているリンク体81dが左方に移動して、リンク体81dに軸支されているロック体802dが図2中の矢印方向、すなわちロック位置へと移動する。一方、ヒンジ型電磁石81aが通電されていれば、作動体81bの下左端部81b3がヒンジ型電磁石81aの電磁的吸引力によってヒンジ型電磁石81aへ吸引される。その結果、作動体81bの上端部81b2は復帰バネ81cの付勢力に抗しつつ、屈曲部81b1を揺動の中心軸として右方に移動する。そして、上端部81b2が右方に移動するのに伴い、上端部81b2に連結されているリンク体81dが右方に移動して、リンク体81dに軸支されているロック体802dが図3中の矢印方向、すなわちアンロック位置へと移動する。このように、この実施形態では、リンク体81dが、本発明の「伝達部」として機能している。
【0056】
また、ロック開閉器部8bのケース82内には常開および常閉開閉器が配設されている(図示省略)。これら、常開および常閉開閉器のうちの可動開閉器はそれぞれ、上記したリンク体81dに支持されている。したがって、これらの可動開閉器はリンク体81dの動きに連動して、それぞれ同じ方向に移動することとなる。この実施形態では、リンク体81dが左方に移動した場合、すなわち、ロック体802dがロック位置へ移動した場合、常開および常閉開閉器は、それぞれ開および閉状態となり、リンク体81dが右方へ移動した場合、すなわち、ロック体802dがアンロック位置へ移動した場合、常開および常閉開閉器は、それぞれが閉および開状態となるように構成されている。また、上記したように、例えば、ケース82内の常閉開閉器と、開閉器部70に配設された開閉器のうち、産業機械と接続されている常閉開閉器39とが直列に接続されている。また、これらの常開開閉器の電気信号をモニタすることによって、ロック体802dの動作を検出することができる。
【0057】
また、手動ロック解除機構8cは凸部84aを有する解除カム84を備えている。図2に示すように、ロック体802dがロック位置へ移動して、ロック体802dとロック部15bとが係合状態にある場合に、スイッチ本体1の外部から、解除キー等によって解除カム84を時計回りに回転させることによって、ロック状態を解除することができる。すなわち、解除カム84を時計方向に回転させることによって、凸部84aがリンク体81dと摺接しつつ、リンク体81dを右方へ移動させることができる。その結果、リンク体81dが右方へ移動するのに伴い、リンク体81dに軸支されているロック体802dも連動して右方へ移動し、ロック体802dとロック部15bとの係合状態が解除され、駆動カム15を回転可能な状態とすることができる。
【0058】
続いて動作について説明する。図1に示すように、アクチュエータ3がスイッチ本体1の操作部5に進入していない場合、操作ロッド21はコイルバネに抗して駆動カム15のカム曲線部15cの径大部分により押圧されてほとんどの部分がスイッチ部7側に没した状態にあり、操作ロッド21により可動部材37が押し込まれている。これによって、各常閉開閉器39,40の可動接点39a,40aおよび固定接点39b,40bが離間し、各常閉開閉器39,40が開状態となり、産業機械への電源供給が遮断されて産業機械が操作不能な状態となっている。また、ロック体802dは復帰バネ81cに抗して駆動カム15の外周部により押圧されてアンロック位置へと移動しており、ロック開閉器部8bの常開および常閉開閉器は、それぞれ閉および開状態となっている。
【0059】
次に、防護扉等を閉じることによって、アクチュエータ3が操作部5に進入すると、図2に示すようにアクチュエータ3の連結片3cが駆動カム15の係合部15aと係合して、アクチュエータ3の進入するに連れて駆動カム15が時計方向(一方向)に回転される。駆動カム15が回転するのに伴い、操作ロッド21の先端がカム曲線部15cの径大部分から径小部分へと摺接しつつ、操作ロッド21がコイルバネの付勢力によって上方に移動する。操作ロッド21が上方に移動するのに伴って、常閉開閉器39,40が開状態から閉状態となる。また、駆動カム15の回転に伴い、ロック部15bがロック体802dと対向する位置に移動することによって、復帰バネ81cの付勢力によってロック体802dが左方に移動して、ロック部15bとロック体802dの先端部802fとが係合状態となり、駆動カム15の回転がロック、アクチュエータ3の引抜が阻止された状態となる(図6(a)参照)。また、ロック体802dがロック位置へ移動することによって、ロック開閉器部8bの常開および常閉開閉器は、それぞれ開および閉状態へと切り換わる。したがって、ロック開閉器部8bの常閉開閉器および第1常閉開閉器39が同時に閉状態となるため、これらの常閉開閉器に直列に接続されているロボット等の産業機械に電源が供給され、産業機械が操作可能な状態となる。
【0060】
続いて、ヒンジ型電磁石81aが外部からの制御によって通電された場合、図3に示すように、作動体81bの下左端部81b3がヒンジ型電磁石81aの電磁的吸引力によってヒンジ型電磁石81aに向って吸引される。そのため、作動体81bの上端部81b2は復帰バネ81cの付勢力に抗しつつ屈曲部81b1を揺動の中心軸として右方に移動するため、ロック体802dが右方のアンロック位置へと移動する。したがって、ロック体802dとロック部15bとの係合状態が解除されるため、駆動カム15の回転のロック状態が解除され、アクチュエータ3が後退可能になり、防護扉等を開放する事が可能な状態となる。また、ロック体802dがアンロック位置へと移動するのに伴い、ロック開閉器部8bの常閉開閉器および常開開閉器が、それぞれ開および閉状態に切り換わり、その結果、ロック開閉器部8bの常閉開閉器および第1常開開閉器39と直列に接続されている産業機械の電源が遮断され、産業機械は動作不可能な状態となるともに、ロック開閉器部8bの常開開閉器を流れる電気信号によってアンロック状態であることが検出される。
【0061】
ところで、図2および図6(a)に示すように駆動カム15の回転がロックされている状態で強引にアクチュエータ3を後退させて操作部5から引抜こうとした場合について、図2、図4および図6(b)を参照しつつ詳述する。アクチュエータ3を強引に後退させた場合、アクチュエータ3の連結片3cが駆動カム15の係合部15aに係合しているため、駆動カム15に強制的な回転力が加わる。このとき、駆動カム15のロック部15bにはロック体802dの先端部802fが係合したままであるため、アクチュエータ3を引抜く力は、駆動カム15を係止している先端部802fとロック部15bとの係合部分に集中する。そして、アクチュエータ3をスイッチ本体1から強引に引抜けば、孔802gを設けて先端部802fの破壊強度をロック部15bの破壊強度よりも低く設定しているため、破壊強度の低いロック体802dの先端部802fが駆動カム15のロック部15bよりも先に破損し、駆動カム15が回転可能な状態となる。
【0062】
そして、アクチュエータ3の引抜きに伴い、アクチュエータ3が操作部5から後退するに連れて、アクチュエータ3の連結片3cが係合部15aとの係合状態から脱するまで駆動カム15は反時計方向(他方向)へ回転される。このとき、図4に示すように、駆動カム15のカム曲線部15cおよび操作ロッド21は破損することなく正常な状態であるため、駆動カム15の反時計方向への回転に伴って、操作ロッド21がカム曲線部15cの径小部分から径大部分へと摺接しつつ操作ロッド21がコイルバネの付勢力に抗しつつ下方に移動する。そして、操作ロッド21の下方への移動に伴って、開閉器部70の常閉開閉器39,40が正常に開の状態となる。すなわち、開閉器部70が有する常閉開閉器39,40が正常に動作しているため、これらの常閉開閉器39,40の状態に基づいてアクチュエータ3の引抜き(後退)を検出して、産業機械への電源が確実に遮断される。
【0063】
また、図4および図6(b)に示すように、ロック体802dの先端部802fと一緒に段差部802hが破損するため、本発明の進入防止手段としての移動体802jがバネ802iの付勢力によって左方に移動して、移動体802jの先端802j2が係止部15dに係止して駆動カム15の回転を阻止する。そして、防護扉等を開放することによってアクチュエータ3が引抜かれた後、再び、防護扉等を閉じるときには、移動体802jの先端802j2が係止部15dに係止して駆動カム15の回転がロックされた状態であるため、アクチュエータ3がスイッチ本体1(操作部5)へ進入することが確実に防止される。
【0064】
以上のように、この実施形態では、駆動カム15の回転がロックされている状態で強引にアクチュエータ3を後退させて操作部5から引抜くことによって、破壊強度の低いロック体802dが破損して、駆動カム15が回転可能な状態となった場合でも、駆動カム15のカム曲線部15cおよび操作ロッド21は破損することなく正常な状態である。そのため、アクチュエータ3が操作部5から後退するに連れて駆動カム15が反時計方向へ回転されてアクチュエータ3の連結片3cが係合部15aとの係合状態から脱するときに、操作ロッド21がカム曲線部15cの径小部分から径大部分へと摺接しつつ操作ロッド21は下方へ移動する。そして、この操作ロッド21の下方への移動に伴って、開閉器部70の常閉開閉器39,40は正常に開の状態へ切り換わるため、この常閉開閉器の状態に基づいてアクチュエータ3の引抜き(後退)を検出することができる。
【0065】
また、ロック体802dが破損してしまい、ロック体802d(ロック機構8a)がロック状態にあるにも関わらず、駆動カム15の回転をロックできない異常が発生している場合には、移動体802jが係止部15dに係止して駆動カム15の回転を阻止して、アクチュエータ3の操作部5への進入を防止することができる。したがって、ロック体802dが破損してしまい、ロック機構8aがロック状態にあるにも関わらず駆動カム15を正常にロックできない異常が発生したときに、アクチュエータの3の引抜き後、再びアクチュエータ3を操作部5へ進入させようとしたとしても、アクチュエータ3のスイッチ本体1への進入を確実に防止することができる。
【0066】
また、この実施形態では、ロック体802dおよび移動体802jをロック体ユニット802としてユニット化されて駆動部に対して組み込み・取り外し自在に配設されているため、ロック体802dが破損した場合であっても、このロック体ユニット802を交換すればよく、短時間で作業効率よく安全スイッチを復元する事ができる。また、ロック体802dの先端部802fの破壊強度を下げるための孔802gが設けられているため、アクチュエータが安全スイッチ本体から強引に引抜かれたときには、ロック体802dの先端部802fを、確実に先に破損させて、駆動カム15のロック部15bを正常な状態に維持する事が出来る。したがって、アクチュエータ3が安全スイッチ本体1から強引に引抜かれることによって、安全スイッチが故障したときには、ロック体ユニット802を交換するだけで安全スイッチを正常な状態に復元する事ができる。
【0067】
また、この実施形態では、ロック体802dは段差部802hと先端部802fとを一緒に破損するように一体的に構成しているため、ロック機構8a(ロック体802d)が破損して駆動カム15の回転をロックできない異常が発生したときに、移動体802jの係止部15dへ向う移動を許容する許容部としての段差部802hを容易に実現することができる。そして、ロック体802dの先端部802fの破壊強度は、駆動カム15のロック部15bの破壊強度より低く設定されているため、ロック体802dの先端部802fが破損したときには、先端部802fに形成されている段差部802h(突部、許容部)が一緒に破損して、駆動カム15の係止部15dへ向うバネ802iの付勢力による移動体802jの移動が許容され、移動体802jの先端802j2はバネ802iに付勢されて駆動カム15の係止部15dに向って移動し、係止部15dに係止して駆動カム15の回転を阻止することができる。なお、この実施形態では、許容部としてロック体802dの先端部802fの外周全体にわたる段差部802hを形成しているが、この段差部802hは必ずしも全周にわたる必要はなく、少なくとも移動体802jの先端802j2当接可能な位置に形成された突部または突起であればよい。
【0068】
また、この実施形態では、ヒンジ型電磁石81aをそのコア(中心軸)の方向がロック体802dのロック位置とアンロック位置との間の移動方向にほぼ直交するように配設し、ヒンジ型電磁石81aへの通電により発生した電磁的吸引力が働く方向を、作動体81bおよびリンク体81dを介して偏向してロック体802dに伝達することによって、ロック体802dを移動させているため、例えば、プランジャ型電磁石のように該電磁的吸引力を直線的に利用するのに比べ、安全スイッチ全体の薄型化、小型化を図ることができる。
【0069】
また、この実施形態では、スイッチ本体1は直方体状を有し、スイッチ本体1の対向する一組の隅部の一方にアクチュエータ進入口9aが、他方にケーブル引き出し口33aがそれぞれ形成されている。このため、図7に示すように、アクチュエータ進入口9aと、ケーブル引き出し口33aとの関係から、ケーブルの引き出し方向の自由度が高く、安全スイッチを壁面または防護扉へ、アクチュエータ進入口9aが水平/垂直向きのどちらにでも配設可能となる。また、安全スイッチを裏表、どちらの面でも配設場所へ密着させることができる。したがって、安全スイッチの取り付けの自由度が増し、安全スイッチ取り付けの選択範囲を広げることができる。また、このような構成とすれば、安全スイッチの取り付けの自由度が増すことによって、従来のようにアクチュエータ進入口を2つ設けなくてもよいため、未使用の側のアクチュエータ進入口からゴミ等が進入することによって安全スイッチが故障するのを防止することができ、安全スイッチの耐久性の向上も図ることができる。なお、図7(a)は安全スイッチの表面を上側にした図、図7(b)は安全スイッチの裏面を上側にした図である。
【0070】
また、この実施形態では、開閉器部70に配設された常閉開閉器39,40の開閉による電気信号によってアクチュエータ3の操作部5内への進入・後退の状態を検出しているため、常閉開閉器39,40の開閉による電気信号により、外部からアクチュエータ3の進入・後退を検出することができる。
【0071】
また、上記した実施形態では、2個の常閉開閉器39,40を用い、その開閉動作により産業機械への電源供給及び供給遮断を行っているため、例えば、常閉開閉器39,40が閉状態となって、産業機械への電源供給が行われている際に、常閉開閉器39,40の可動接点39a,40aと固定接点39b,40bとが溶着した場合であっても、アクチュエータ3が後退し、操作ロッド21によって可動部材37が押し込まれることにより、溶着した可動接点39a,40bと固定接点39b,40bとを強制的に開離することができ、安全スイッチの信頼性を向上することができる。
【0072】
<第2実施形態>
つぎに本発明にかかる安全スイッチの第2実施形態について図8,9を参照して説明する。この第2実施形態が、上記第1実施形態と相違する点は、進入防止手段が駆動カムと一体化されている点であり、その他の構成および動作は上記第1実施形態と同様であるため、以下では、図1ないし図4も参照しつつ主として第1実施形態との相違点について詳細に述べる。なお、第1実施形態と同一な構成および動作については、同一符号を引用してその構成および動作の説明を省略する。
【0073】
図8は正常な状態の状態の駆動カムを示す図であり、図8(a)は駆動カムの斜視図、図8(b1),(c1)は図2に示すロック状態を示す図、図8(b2),(c2)は図1に示すアンロック状態を示す図である。また、図8(b1),(b2)は駆動カムの図8(a)中のA−A断面図であってそれぞれ異なる状態を示し、図8(c1),(c2)は図8(a)を紙面に向かって左方向から見た駆動カムの平面図であってそれぞれ異なる状態を示す。また、図9は異常発生状態の駆動カムを示す図であり、結合ピン150fが破損してカムブロック150eが駆動カム150の周面から脱離して係止部150dが駆動カム150外に露呈した状態を示しており、図9(a)は駆動カムの斜視図、図9(b),(c)は図4と同様にロック機構がロック状態にあるときに強引にアクチュエータを引抜いた状態を示す図である。また、図9(b)は駆動カムの図9(a)中のB−B断面図であり、図9(c)は図9(a)を紙面に向かって左方向から見た駆動カムの平面図である。
【0074】
図8,9に示すように、この駆動カム150には、周面に係止部150dが形成されている。駆動カム150の周面の係止部150d付近には図9(a)に示すように凹溝部150d1が形成されており、後述するカムブロック150eの一部に凸状に形成された嵌合部150e1が凹溝部150d1に嵌って摺動するようになっている。そして、係止部150dに形成された透孔150d2およびカムブロック150eに形成された透孔150e2に結合ピン150fが挿通することよって、カムブロック150eが駆動カム150に一体的に結合され係止部150dを被覆した状態で駆動カム150の周面の一部を構成しており、こうして駆動カム150の周面にロック部150bが形成されている。このように、カムブロック150eが本発明の「被結合体」として、結合ピン150fが本発明の「結合部材」としてそれぞれ機能している。
【0075】
この実施形態では、図2に示す状態と同様に、アクチュエータ3が操作部5内に進入した状態では、図8(b1),(c1)に示すようにロック体80がロック部150bに係合して、駆動カム150の回転がロックされ、アクチュエータ3の引抜きが防止されるとともに、操作ロッド21がカム曲線部150cを径大部から径小部へと摺接しつつ上動し、開閉器部70の開閉器の開閉状態が切り換わる。また、ヒンジ型電磁石81aへの通電によってロック体80をアンロック位置へ移動させた後、アクチュエータ3の引抜きに伴い、図1に示す状態と同様に、駆動カム150が反時計方向に回転して操作ロッド21が駆動カム150のカム曲線部150cの径小部から径大部へと摺接する。その結果、操作ロッド21が下動して開閉器部70の開閉器の開閉状態が切り換わる(図8(b2),(c2)参照)。
【0076】
続いて、図8(b1),(c1)に示すように駆動カム150の回転がロックされている状態で強引にアクチュエータ3を後退させて操作部5から引抜こうとした場合について説明する。駆動カム150の回転がロック体80によりロックされた状態でアクチュエータ3を強引に後退させると、アクチュエータ3の連結片3cが駆動カム150の係合部150aに係合しているため、駆動カム150に強制的な回転力が加わる。このとき、駆動カム150のロック部150bにはロック体80が係合したままであるため、アクチュエータ3を引抜く力は、駆動カム15を係止しているロック体80とロック部150bとの係合部分に集中する。そして、アクチュエータ3をスイッチ本体1から強引に引抜けば、この実施形態では、結合ピン150fの破壊強度を、ロック体80の破壊強度よりも低くなるように構成しているため、図9(a)に示すように、破壊強度の低い結合ピン150fがロック体80よりも先に破損し、カムブロック150eが駆動カム150から脱離してロック体80の先端が係合すべきロック部150bがなくなり、駆動カム150が回転可能な状態となる。
【0077】
そして、アクチュエータ3の引抜きに伴い、アクチュエータ3が操作部5から後退するに連れて、アクチュエータ3の連結片3cが係合部150aとの係合状態から脱するまで駆動カム150は反時計方向(他方向)へ回転される。このとき、図9(b),(c)に示すように、駆動カム150のカム曲線部150cおよび操作ロッド21は破損することなく正常な状態であるため、駆動カム150の反時計方向への回転に伴って、操作ロッド21がカム曲線部150cの径小部分から径大部分へと摺接しつつ操作ロッド21がコイルバネの付勢力に抗しつつ下方に移動する。そして、操作ロッド21の下方への移動に伴って、開閉器部70の開閉器の開閉状態が正常に切り換わる。すなわち、開閉器部70が有する常閉開閉器39,40が正常に動作しているため、これらの常閉開閉器39,40の状態に基づいてアクチュエータ3の引抜き(後退)を検出して、産業機械への電源が確実に遮断される。
【0078】
一方、図9(b),(c)に示すように、結合ピン150fが破損してカムブロック150eが駆動カム150の周面から脱離すると、係止部150dが駆動カム150外に露呈して、駆動カム150の回転に伴いロック体80が露呈した係止部150dに係止して駆動カム150の回転を阻止する。その結果、防護扉等を開放することによってアクチュエータ3が強引に引抜かれた後、再び、防護扉等を閉じようとしても、ロック体80の係止部150dとの係止により駆動カム150の回転がロックされた状態であるため、アクチュエータ3のスイッチ本体1(操作部5)へ進入が防止される。
【0079】
以上のように、この実施形態では、駆動カム150の回転がロックされている状態で、強引にアクチュエータ3が操作部5から引抜かれることによって結合ピン150fが破損し、ロック状態にあるロック機構8aが駆動カム150をロックできない異常が発生しても、カムブロック150eが駆動カム150の周面から脱離して係止部150dが駆動カム150外に露呈して、ロック体80が駆動カム150の外周面に形成されている係止部150dに係止して駆動カム150の回転を阻止する。そして、アクチュエータ3を操作部5へ再度進入させようとしても、ロック体80が係止部150dに係止して駆動カム150の回転がロックされた状態であるため、アクチュエータ3のスイッチ本体1への進入は防止される。したがって、アクチュエータ3のスイッチ本体1への進入を確実に防止することができる。
【0080】
なお、ケース部材11をカムユニットケースとして、カムブロック150eが一体的に結合された駆動カム150をカムユニットケースに収容し、ユニット化してスイッチ本体1に対して組み込み・取り外し自在に配設する構成としてもよい。このような構成とすれば、例えば、駆動カム150のロック部150bに異常が発生した場合には、このユニットを交換すればよく、短時間で作業効率よく安全スイッチ1を復元することができる。
【0081】
<第3実施形態>
続いて、本発明にかかる本発明にかかる安全スイッチの第3実施形態について図10,11を参照して説明する。この第3実施形態が、上記第2実施形態と相違する点は、進入防止手段としての回転体に係止部が設けられている点であり、その他の構成および動作は上記第1および第2実施形態と同様であるため。以下では図1ないし図4も参照しつつ主として第1および第2実施形態との相違点について詳細に述べる。なお、第1および第2実施形態と同一な構成および動作については、同一符号を引用してその構成および動作の説明を省略する。
【0082】
図10は正常な状態の駆動カムを示す図であり、図10(a1),(b1)は図2に示すロック状態を示す図、図10(a2),(b2)は図1に示すアンロック状態を示す図である。また、図10(a1),(a2)は駆動カム151の回転軸13にほぼ直交する平面での駆動カム151の断面図であってそれぞれ異なる状態を示し、図10(b1),(b2)は駆動カム151の平面図であってそれぞれ異なる状態を示す。また、図11は異常発生状態の駆動カムを示す図であり、固定ピン151fが破損して回転体151eが駆動カム151に対して回転して係止部151dが露呈した状態を示しており、図11(a),(b)は図4と同様にロック機構がロック状態にあるときに強引にアクチュエータ3を引抜いた状態を示す図である。また、図11(a)駆動カム151の回転軸13にほぼ直交する平面での駆動カム151の断面図であり、図11(b)は駆動カムの平面図である。
【0083】
図10,11に示すように、この駆動カム151には、周面に回転体151eが回転軸130を回転の中心軸として回転自在に配設可能に深い溝状の切込151hが形成されており、この切込151hに、一部に係止部151dが形成された回転体151eが回転自在に駆動カム151の周面の一部をなすように装着されている。そして、係止部151dが駆動カム151外に露呈しないように、回転体151eに形成された透孔151e1および駆動カム151に形成された透孔151e2に固定ピン151fが挿通されることで、回転体151eは駆動カム151に対して回転不能に固定されている。その結果、この回転不能に固定された状態で、回転体151の係止部151dが形成されていない他の一部により、駆動カム151の周面にロック部151bが形成されている。このように、固定ピン151fが本発明の「固定部材」として機能している。
【0084】
また、回転体151eには、後述するように回転体151eを回転不能に固定している固定ピン151fが破損したときに、アクチュエータ3の後退に伴う駆動カム151の回転方向(反時計方向)と反対の一方向(時計方向)にのみ回転体151eの回転を許容し、他方向への回転体151eの回転を規制する係合爪151gが設けられている。また、駆動カム151には係合爪151gが係合自在な係合孔151g1が形成されており、この係合孔151g1に係合爪151gが係合することによって、回転体151eの他方向への回転が規制される。このように、係合爪151gおよび係合孔151g1が本発明の「回転規制手段」として機能している。なお、本実施形態では、駆動カム151に切込151hを形成して、この切込151hに回転体151eを配設しているが、同形の駆動カム2枚によって回転体151eを挟持する構成としてもよいことは言うまでもない。
【0085】
この実施形態では、上記第2実施形態と同様に、アクチュエータ3が操作部5内に進入した状態では、図10(a1),(b1)に示すようにロック体80がロック部151bに係合して、駆動カム151の回転がロックされ、アクチュエータ3の引抜きが防止されるとともに、操作ロッド21がカム曲線部151cを径大部から径小部へと摺接しつつ上動し、開閉器部70の開閉器の開閉状態が切り換わる。また、ヒンジ型電磁石81aへの通電によってロック体80をアンロック位置へ移動させた後、アクチュエータ3の引抜きに伴い、駆動カム151が反時計方向に回転して操作ロッド21が駆動カム151のカム曲線部151cの径小部から径大部へと摺接する。その結果、操作ロッド21が下動して開閉器部70の開閉器の開閉状態が切り換わる(図10(a2),(b2)参照)。
【0086】
続いて、図10(a1),(b1)に示すように駆動カム151の回転がロックされている状態で強引にアクチュエータ3を後退させて操作部5から引抜こうとした場合について説明する。駆動カム151の回転がロック体80によりロックされた状態でアクチュエータ3を強引に後退させると、アクチュエータ3の連結片3cが駆動カム151の係合部151aに係合しているため、駆動カム151に強制的な回転力が加わる。このとき、駆動カム151のロック部151bにはロック体80が係合したままであるため、アクチュエータ3を引抜く力は、駆動カム151を係止しているロック体80とロック部151bとの係合部分に集中する。そして、アクチュエータ3をスイッチ本体1から強引に引抜くと、この実施形態では、固定ピン151fの破壊強度をロック体80の破壊強度よりも低くなるように構成しているため、図11(a)に示すように、破壊強度の低い固定ピン151fがロック体80よりも先に破損し、回転体151eが駆動カム151に対して時計回りに回転してロック体80の先端が係合すべきロック部151bがなくなり、駆動カムが回転可能な状態となる。
【0087】
そして、アクチュエータ3の引抜きに伴い、上記第2実施形態と同様に、駆動カム151は反時計方向(他方向)へ回転して操作ロッド21が下動し、開閉器部70の開閉器の開閉状態が正常に切り換わって産業機械への電源が確実に遮断される。
【0088】
一方、図11(a),(b)に示すように、結合ピン151fが破損してロック状態にあるロック体80が駆動カム151の回転をロックできない異常が発生したときに、回転体151eはアクチュエータ3の引抜きに伴う駆動カム151の反時計方向への回転と反対の一方向へ係止部151dが露呈するまで回転する。そして、係合爪151gが係合孔151g1に係合することによって、回転体151eの駆動カム151に対する回転が規制される。その結果、ロック体80が露呈した係止部151dに係止して駆動カム151の回転を阻止する。したがって、防護扉等を開放することによってアクチュエータ3が強引に引抜かれた後、再び、防護扉等を閉じようとしても、ロック体80の係止部151dとの係止により駆動カム151の回転がロックされた状態であるため、アクチュエータ3のスイッチ本体1(操作部5)へ進入が防止される。
【0089】
以上のように、この実施形態では、駆動カム151の回転がロックされている状態で、強引にアクチュエータ3が操作部5から引抜かれることによって固定ピン151fが破損し、ロック状態にあるロック機構8aが駆動カム151をロックできない異常が発生しても、回転体151eが駆動カム151に対して一方向に回転して、回転体151eの一部に形成された係止部151dが駆動カム151外に露呈して、ロック体80が係止部151dに係止する。このとき、回転体151eは係合爪151g、係合孔151g1によって駆動カム151に対して他方向への回転が防止されているため、駆動カム151の回転が阻止される。そして、アクチュエータ3を操作部5へ再度進入させようとしても、ロック体80が係止部151dに係止して駆動カム151の回転がロックされた状態であるため、アクチュエータ3のスイッチ本体1への進入は防止される。したがって、アクチュエータ3のスイッチ本体1への進入を確実に防止することができる。
【0090】
なお、上記第2実施形態におけるカムユニットケースを本実施形態で採用してもよいことは言うまでもない。
【0091】
<その他>
なお、ロック体は上記した構成に限定されず、例えば図12に示すように種々の変更を加えることが可能である。なお、図12はロック体を示す図である。図12(a)に示すロック体804は、基部804bと基部804bに連続する先端部804aとからなり、先端部804aと基部804bとの境界部分には破壊強度を下げるための、例えば溝状の欠損部804cが形成されている。また、図12(b)に示すロック体803は、基部803bと基部803bに連続する先端部803aとからなり、先端部803aは基部803bに接着されて形成されている。このとき、基部803bと先端部803aは同一部材、異種部材のいずれでもよい。このような構成とすれば、アクチュエータが安全スイッチ本体から強引に引抜かれたとき、駆動カムのロック部ではなく、ロック体の先端部を確実に破損させることができる。さらに、上記欠損部を設けた状態で、基部と先端部とを接着する構成でももちろんよい。なお、先端部803a,804aに移動体802jが当接する突部が形成されているのは言うまでもない。
【0092】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、移動体を鉄等の磁性材料で構成し、付勢部を電磁石等で構成して、許容部は歪ゲージ等のセンサでロック体の破損を検出して、該検出信号に基づいて付勢部を駆動して移動体が係止部に向う方向に移動するのを許容するように構成してもよい。このような構成とすれば、ロック機構が駆動カムをロックできない異常が発生したときに、許容部は付勢部が移動体を係止部に向う方向に付勢して移動させるのを許容する。その結果、移動体は駆動カムの係止部に係止して、駆動カムの回転を阻止してアクチュエータの進入を防止することができる。したがって、ロック機構が駆動カムをロックできない異常が発生したときに、確実に駆動カムの回転を阻止してアクチュエータの進入を防止する事ができる。
【0093】
また、上記した実施形態では、開閉器部に常閉開閉器のみを配設しているが、開閉器部に配設された常閉開閉器のうちの一方を常開開閉器としてもよい。この場合、常閉開閉器を外部装置の動作制御に使用して、常開開閉器をアクチュエータの進入を検出するための電気信号を得るための開閉器とすればよい。このような構成とすれば、アクチュエータの進入に伴い常閉開閉器が閉状態となって、外部装置が操作不能状態から操作可能状態となる一方、常開開閉器はアクチュエータの進入に伴って開状態となる。このように、常閉開閉器とは逆の開閉動作を行う常開開閉器の開閉状態をモニタすることにより、アクチュエータの進入・後退に加えて、外部装置の状態を外部から確認することができる。
【0094】
また、上記した実施形態では、常閉開閉器を2個設けているが、これに限定されるものではなく、1個または3個或いは、4個以上設けてもよい。なお、安全スイッチとしての信頼性を高めるためには、常閉開閉器を少なくとも2個設けることが望ましい。さらに、第2常閉開閉器40は、可動接点40aと固定接点40bの位置を変更することにより、常開開閉器に切り換えることができるよう構成されているため、スイッチ部7の開閉器構成を用途に応じて簡単に変更することができる。
【0095】
このとき、第2常閉開閉器40を常開開閉器に切り換える場合には、可動接点40aと固定接点40bの位置を変更するだけよく、各開閉器構造に専用の部品を必要としないため、コストの低減を図ることができ、しかも部品が増加することによる部品の組間違え等も未然に防ぐことができる。なお、上記した実施形態では、第2常閉開閉器40のみを開閉器構造が切り換え可能な開閉器として構成しているが、これに限定されるものではなく、開閉器構造が切り換え可能な開閉器の数は任意である。
【0096】
また、上記した実施形態では、復帰バネ81cのバネ荷重(付勢力)によってロック体802dをロック位置へ移動させて、ヒンジ型電磁石81aが通電状態となったときの電磁的吸引力によってロック体802dをアンロック位置へ移動させているが、この電磁的吸引力によってロック体802dをロック位置へ移動させてロック機構8aをロック状態としてもよい。この場合、例えば、ロック体802dをアンロック位置へ移動させる向きに付勢力が働くような復帰バネを配設するのが望ましい。
【0097】
また、ヒンジ型電磁石は、その中心軸方向がロック体の移動方向にほぼ平行に配設され、作動体は、通電状態の電磁石に吸着されて該吸着方向と同じ方向に変位し、伝達部は、作動体を、作動体の吸着方向と反対方向に付勢する付勢体(コイルバネ等)をさらに有し、作動体は、付勢体の付勢に抗して電磁石に吸着される構成でもよい。このように構成すると、電磁石への通電による電磁的吸引力によって付勢体の付勢力に抗しながら移動する作動体の変位を、伝達部を介してロック体に伝達してロック体を移動させることができる。また、電磁石が通電遮断されて電磁的吸引力が消滅した時には、付勢体が作動体を付勢することで作動体の変位を復元させることができ、ロック体を電磁石への通電時とは反対の方向へ移動させることができる。したがって、プランジャ型電磁石よりも小型のヒンジ型電磁石によって、ロック体を移動させて駆動カムの外周面に形成された切欠部に係脱させることができるため、安全スイッチの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の断面図である。
【図2】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の断面図である。
【図3】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の断面図である。
【図4】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の断面図である。
【図5】この発明の第1実施形態におけるロック体ユニットを示す図である。
【図6】この発明の第1実施形態におけるスイッチ本体の一部拡大図である。
【図7】この発明の第1実施形態における安全スイッチの外観図である。
【図8】この発明の第2実施形態における駆動カムの拡大図である。
【図9】この発明の第2実施形態における駆動カムの拡大図である。
【図10】この発明の第3実施形態における駆動カムの拡大図である。
【図11】この発明の第3実施形態における駆動カムの拡大図である。
【図12】この発明の他の実施形態におけるロック体を示す図である。
【符号の説明】
【0099】
1…スイッチ本体
3…アクチュエータ
33a…ケーブル引き出し口
5…操作部
15,150,151…駆動カム
15a,150a,151a…係合部
15b,150b,151b…ロック部
15c,150c,151c…カム曲線部
15d,150d,151d…係止部
150e…カムブロック(被結合体)
150f…結合ピン(結合部材)
151e…回転体
151f…固定ピン(固定部材)
151g…係合爪(回転規制手段)
151g1…係合孔(回転規制手段)
21…操作ロッド
39,40…常閉開閉器(開閉器)
7…スイッチ部
70…開閉器部
8…ロック機構部
8a…ロック機構
80,802d,803,804…ロック体
802…ロック体ユニット
802f,803a,804a…先端部
802e,803b,804b…基部
802h…段差部(突部、許容部)
802i…バネ(付勢部)
802j…移動体
81…駆動部
81a…ヒンジ型電磁石(駆動部)
81b…作動体(駆動部、伝達部)
81d…リンク体(駆動部、伝達部)
9a…アクチュエータ進入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ本体の操作部に進入・後退自在にアクチェータが設けられ、前記アクチュエータの進入・後退に応じて、スイッチ部に設けられた操作ロッドが往復移動することにより開閉器が開閉して前記アクチュエータの進入・後退を検出する安全スイッチにおいて、
前記操作部に回転自在に設けられた駆動カムと、
前記スイッチ本体のロック機構部に設けられ前記駆動カムの回転をロックするロック機構と、
前記アクチュエータの前記操作部への進入を防止する進入防止手段とを備え、
前記駆動カムは、その外周面に係合部、カム曲線部およびロック部がそれぞれ形成され、前記アクチュエータの押込みに伴い、前記アクチュエータの一部が前記係合部に係合し、該係合状態のままで前記アクチュエータが前記操作部に進入するに連れて一方向に回転され、前記アクチュエータの引抜きに伴い、前記アクチュエータが前記操作部から後退するに連れて、前記アクチュエータの一部が前記係合部との係合状態から脱するまで他方向に回転され、この駆動カムの両方向への回転により、前記操作ロッドが前記カム曲線部を摺接することによって往復移動し、
前記ロック機構は、ロック位置とアンロック位置との間を前記駆動カムの回転軸に対してほぼ直交方向に移動自在に設けられ、前記アクチュエータが進入状態にあるときに前記ロック位置への移動により前記ロック部に係合して前記駆動カムの回転をロックし、前記アンロック位置への移動により前記ロック部への係合が解除されるロック体と、前記ロック体を移動させる駆動部とを有し、
前記進入防止手段は、ロック状態にある前記ロック機構が前記駆動カムをロックできない異常が発生したときに、前記駆動カムの回転を阻止して前記アクチュエータの進入を防止することを特徴とする安全スイッチ。
【請求項2】
前記駆動カムは、その外周面に係止部がさらに形成され、
前記進入防止手段は、前記係止部に係脱自在に設けられ、ロック状態にある前記ロック機構が前記駆動カムをロックできない異常が発生したときに、前記係止部に係止して前記駆動カムの回転を阻止して前記アクチュエータの進入を防止する移動体を有する
ことを特徴とする請求項1記載の安全スイッチ。
【請求項3】
前記ロック機構の少なくとも前記ロック体および前記進入防止手段は、同一のロックユニットケースに収容されてユニット化され前記駆動部に対して組み込み・取り外し自在に配設されており、
前記ロックユニットケースから前記ロック体の先端部が外部に導出され、前記移動体はその先端が前記ロックユニットケースから出没自在に該ロックユニットケース内に配設されていることを特徴とする請求項2記載の安全スイッチ。
【請求項4】
前記進入防止手段は、前記移動体を前記係止部に向う方向に付勢して移動させる付勢部と、
前記ロック機構が前記駆動カムをロックしているときには前記付勢部の付勢による前記移動体の移動を阻止し、前記ロック機構が前記駆動カムをロックできない異常が発生したときには、前記付勢部の付勢による前記移動体の移動を許容する許容部と
を備えていることを特徴とする請求項2または3記載の安全スイッチ。
【請求項5】
前記ロック体の先端部が前記ロック部に係合し、当該先端部の破壊強度が、前記駆動カムの前記ロック部の破壊強度よりも低く設定され、前記許容部は、前記ロック体の先端部に形成され前記移動体が接離自在に当接し、前記ロック体の先端部と一緒に破損する突部を備えていることを特徴とする請求項4記載の安全スイッチ。
【請求項6】
前記駆動カムは、その外周面に係止部がさらに形成され、
前記進入防止手段は、前記駆動カムの周面の一部をなす被結合体と、前記被結合体を前記駆動カムに一体的に結合して前記係止部を被覆するとともに前記被結合体の一部により前記ロック部を形成させる結合部材とを有し、
前記結合部材が破損してロック状態にある前記ロック機構が前記駆動カムをロックできない異常が発生したときに、前記被結合体が前記駆動カムの周面から脱離して前記係止部が前記駆動カム外に露呈し、前記ロック体が露呈した前記係止部と係合して、前記駆動カムの回転を阻止して前記アクチュエータの進入を防止することを特徴とする請求項1記載の安全スイッチ。
【請求項7】
前記進入防止手段は、
一部に係止部が形成され、前記駆動カムに回転自在に装着されて前記駆動カムの周面の一部をなす回転体と、
前記係止部が前記駆動カム外に露呈しないように前記回転体を回転不能に固定して、前記回転体の他の一部により前記ロック部を形成させる固定部材と、
前記固定部材の破損時に、前記アクチュエータの後退に伴う前記駆動カムの回転方向と反対の一方向にのみ前記回転体の回転を許容し他方向への回転を規制する回転規制手段とを有し、
前記固定部材が破損して、ロック状態にある前記ロック機構が前記駆動カムをロックできない異常が発生したときに、前記回転体の前記一方向への回転によって前記係止部が露呈し、前記ロック体が露呈した前記係止部と係合して、前記駆動カムの回転を阻止して前記アクチュエータの進入を防止することを特徴とする請求項1記載の安全スイッチ。
【請求項8】
少なくとも、前記駆動カムおよび前記進入防止手段は、同一のカムユニットケースに収容されてユニット化され前記スイッチ本体に対して組み込み・取り外し自在に配設されていることを特徴とする請求項6または7記載の安全スイッチ。
【請求項9】
前記駆動部は、
前記ロック機構部に配設され、通電により発生した電磁的吸引力によって作動体が変位するヒンジ型電磁石と、
前記作動体の変位を前記ロック体に伝達して前記ロック体を移動させる伝達部と
を備えることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の安全スイッチ。
【請求項10】
前記スイッチ本体は直方体状を有し、前記スイッチ本体の対向する一組の隅部の一方にアクチュエータ進入口が、他方にケーブル引き出し口がそれぞれ形成されており、
前記ケーブル引き出し口からケーブルが、ほぼ前記対向する一組の隅部を結ぶ方向へ引き出されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の安全スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−324087(P2006−324087A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−145165(P2005−145165)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)