説明

安全脚絆

【課題】足首や膝を保護できる安全脚絆を提供する。
【解決手段】向こう脛に宛てがって臑31に巻き付ける脚絆本体11に、臑31の延在方向に延びる複数のステンレス板111を並べて内蔵した安全脚絆1において、巻付方向に延びる脚絆本体11の下縁に切欠112を形成し、アラミド繊維を織成した足首保護カバー12を前記切欠112から突出させ、アラミド繊維を織成した膝保護カバー13を、巻付方向に延びる脚絆本体11の上縁から上方に突出させ、膝31に巻き付けた状態を保持する締付紐135を前記膝保護カバー13に設けた安全脚絆1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、森林における伐採作業に用いられるチェーンソーや草刈作業に用いられる草刈機による切創事故を防止する安全脚絆に関する。
【背景技術】
【0002】
森林における伐採作業に用いられるチェーンソーや草刈作業に用いられる草刈機は、動力により刃が高速に回転しており、万一身体に接触すると、当然大怪我を招く。しかし、森林における伐採作業や草刈作業は、滑りやすい傾斜面や凸凹面での作業となるため、作業者自身が不用意にチェーンソーや草刈機の刃を身体に向けてしまい、自ら身体を傷つける切創事故が後を絶たない。こうした切創事故は、森林における伐採作業や草刈作業だけに見られるものではなく、例えば平地における草刈作業でも起こっている。
【0003】
切創事故は、下向きの姿勢のまま作業者に向けてチェーンソーや草刈機を反転させて生ずる場合が多いことから、専ら作業者の脚、特に臑を傷つける態様となる。これに対し、ズボン等の裾の広がりを抑え、前記ズボンだけでは不十分な裾の保護を図るために用いられてきた脚絆(ゲートル)に、チェーンソーや草刈機の刃に対抗する(衝突する刃を退けたり、仮に切断されても勢いを殺す)部材を装着又は内蔵する安全脚絆(例えば特許文献1〜特許文献4)を作業者の臑に装着することが提案されてきた。
【0004】
特許文献1は、袋状に形成された脚絆本体内部に2枚以上の金属板が並列に内蔵された安全脚絆を開示している(特許文献1・[請求項1])。特許文献1が開示する安全脚絆は、剛性部材である金属板がチェーンソーや草刈機の刃に対抗する。脚絆本体内部に内装される金属板は、脛部に沿うように、横断面において湾曲形成されている(特許文献1・[請求項2])。また、前記金属板は、ヒンジを介して左右方向に屈曲可能に連結されている(特許文献1・[請求項3])。更に、前記金属板は、全周縁を弾性材料により被覆されている(特許文献1・[請求項4])。
【0005】
特許文献2は、相対的に長い上縁と短い下縁とを有する扇形状保護帯の縦側縁の一方に複数段の爪を、対向する側縁の他方に複数列の掛紐を設け、両者の間(中間部)に補強板(例えばブリキ板、特許文献2・第4頁上から2行)を装着し、左右相互を接合分離自在とする固定手段を前記扇形状保護帯の上縁近傍裏面に配した安全脚絆(すね当て)を開示している(特許文献2・請求項1)。特許文献2が開示する安全脚絆は、剛性部材である補強板がチェーンソーや草刈機の刃に対抗する。具体的な固定手段は、ファスナー(特許文献2・請求項2)や紐(特許文献2・請求項3)を開示している。
【0006】
特許文献3は、多数の鎖を縫い込んだ脚絆本体の脚前面側、脚内面側及び脚外面側それぞれに鋼線の差込部を設け、前記脚外面側に設けた差込部に差し込んだ鋼線に、脚絆本体の側部端縁に取り付けた複数個のフックを掛止する安全脚絆(切創、打撲防止用脚絆)を開示している(特許文献3・実用新案登録請求の範囲)。特許文献3が開示する安全脚絆は、脚外面側に設けた差込部に差し込んだ鋼線がチェーンソーや草刈機の刃に対抗する。
【0007】
特許文献4は、脚絆本体(ゲートル体)の向こう脛に当る部分に左右一対の突縁を形成し、前記突縁間に脛当保護片を嵌め込む安全脚絆(防災ゲートル)を開示している。脛当保護片は、ファイバー等の硬質物を挟む外面が硬質弾性体、内面が独立気泡性ゴム等の柔軟弾性体で、臑に倣った形状にしている(特許文献4・実用新案登録請求の範囲)。特許文献4が開示する安全脚絆は、剛性部材である脛当保護片(ファイバー等の硬質物と硬質弾性体とが剛性を有する)がチェーンソーや草刈機の刃に対抗する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004-162200号公報
【特許文献2】実開平01-110219号公報
【特許文献3】実開昭59-061220号公報
【特許文献4】実公昭39-004433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の金属板、特許文献2の補強板(ブリキ板)及び特許文献4の脛当保護片は、いずれも剛性部材で折れ曲がらない。臑は、折れ曲がらないので、例えば特許文献1の金属板が曲がらなくても問題がないからである。特許文献3の鋼線は、太さの記述が見当たらないが、チェーンソーや草刈機の刃に対抗する剛性部材であることから、折れ曲がりにくい太さを有し、特許文献1の金属板等と同様の剛性部材と考えて差し支えない。このため、特許文献1の金属板、特許文献2の補強板(ブリキ板)、特許文献3の鋼線及び特許文献4の脛当保護片は、長くても、折れ曲がる足首から膝までの間にしか設けられていない。
【0010】
既述したように、切創事故は、下向きの姿勢のまま作業者に向けてチェーンソーや草刈機を反転させて生ずる場合が多い。この場合、チェーンソーや草刈機は、作業者の制御から逸脱しているため、刃が臑だけに当たると限らず、足、足首又は膝に当たる可能性も否定できない。足は、足指や足甲を保護する安全靴を履くことでチェーンソーや草刈機の刃に対抗できる。そして、臑は、特許文献1ほかが開示する安全脚絆でチェーンソーや草刈機の刃に対抗できる。しかし、足首及び膝が安全靴や安全脚絆からも外れ、十分に保護できていなかった。
【0011】
従来の安全脚絆は、足首の折れ曲がりを阻害したり、折れ曲がった膝から突出して危険であるため、剛性部材である特許文献1の金属板等を足首や膝まで延長することが考えられない。また、例えば特許文献1の金属板を横方向に向けて縦方向に並べれば、少なくとも足首にまで金属板を並べた安全脚絆が構成できるが、チェーンソーや草刈機の刃は水平を向いていることから、前記刃の侵入しやすい横方向の隙間を形成する構造は好ましくない。このように、従来の安全脚絆は、未だ足首や膝の保護が不十分であった。そこで、足首や膝を保護できる安全脚絆を開発するため、検討した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記検討の結果開発したものが、向こう脛(臑の正面側部分)に宛てがって臑に巻き付ける脚絆本体に、臑(脚のうち、膝から踝までの部分)の延在方向に延びる剛性部材を装着又は内蔵した安全脚絆において、巻付方向に延びる脚絆本体の下縁に切欠を形成し、アラミド繊維を織成又は編成した足首保護カバーを前記切欠から突出させたことを特徴とする安全脚絆である。剛性部材は、1枚の金属板でもよいが、複数の金属板又は金属条を、臑の延在直交方向に並べて脚絆本体に装着又は内蔵する方が好ましい。
【0013】
切欠は、足首の自由度を阻害しない形状であればよく、上向きに凸な円弧又は三角形を例示できる。足首保護カバーは、脚絆本体の下縁に形成した切欠から脚絆本体の面直交方向かつ下方に向けて、円錐台側面状に突出させるとよい。足首保護カバーを切欠から「円錐台側面状に突出させる」とは、足首保護カバーが円錐台側面に含まれる3次元形状又は前記円錐台側面に倣った3次元形状で、切欠から突出していることを意味する。また、足首保護カバーは、平坦な布材を基本とするが、立体縫製された布材でもよい。
【0014】
本発明の安全脚絆は、脚絆本体に並べて装着又は内蔵した剛性部材をチェーンソーや草刈機の刃に対抗させて向こう脛を保護すると共に、巻付方向に延びる脚絆本体の下縁に形成した切欠から突出する足首保護カバーをチェーンソーや草刈機の刃に対抗させて足首を保護する。切欠は、脚絆本体の下縁を踝まで下げて剛性部材をより低いところまで延ばして前記剛性部材による臑の保護範囲を大きくしながら、足首の自由度を確保するため、脚絆本体の干渉部分をなくす役割を有する。
【0015】
足首保護カバーは、切欠から突出させて、切欠がなければ干渉する位置にある足首を覆う。このとき、足首保護カバーが切欠から脚絆本体の面直交方向かつ下方、すなわち前方斜め下に向けて突出する円錐台側面状であると、足首保護カバーは足首に倣って覆うことができる。こうした足首保護カバーは、アラミド繊維を織成又は編成した強化布であるので、可撓性を有し、足首の自由度を阻害しない。そして、アラミド繊維を織成又は編成した足首保護カバーは、チェーンソーや草刈機の刃を退けたり、仮に切断されても勢いを殺す、すなわちチェーンソーや草刈機の刃に対抗し、足首を保護する。
【0016】
剛性部材は、特許文献1〜特許文献2に見られる金属板や鋼線、そのほか剛性の高い素材を適宜使用しうる。足首保護カバーは、アラミド繊維を織成又は編成した強化布をそのまま外部に露出させると経年劣化がひどくなるので、例えばナイロン繊維を含んで織成又は編成された防水布を外面に、アラミド繊維を織成又は編成した強化布を内面に積層して構成するとよい。ナイロン繊維を含んで織成又は編成された防水布は、裏面に糊引きすることでほつれが防止され、また防水性能を向上させることができる。
【0017】
また、向こう脛に宛てがって臑に巻き付ける脚絆本体に、臑の延在方向に延びる剛性部材を装着又は内蔵した安全脚絆において、アラミド繊維を織成又は編成した膝保護カバーを、巻付方向に延びる脚絆本体の上縁から上方に突出させ、膝に巻き付けた状態を保持する締付手段を前記膝保護カバーに設けたことを特徴とする安全脚絆により、膝保護カバーをチェーンソーや草刈機の刃に対抗させて、膝を保護できる。締付手段は、従来公知の各種手段が利用でき、例えば膝保護カバーの左右両端に設けた一対の面ファスナーや、前記左右両端から突出させた一対の紐を例示できる。
【0018】
膝保護カバーは、脚絆本体の上縁から突出させ、膝を包み込むように巻き付けて、膝を覆うことができる。これから、膝保護カバーは、脚絆本体の上縁全体にわたる幅を有する方が、膝を包みやすい。膝保護カバーが膝を包み込んだ状態は、締付手段により保持される。こうした膝保護カバーは、アラミド繊維を織成又は編成した強化布であるので、可撓性を有し、膝の自由度を阻害せずに全体を変形させて膝を包みやすい。そして、アラミド繊維を織成又は編成した膝保護カバーは、チェーンソーや草刈機の刃を退けたり、仮に切断されても勢いを殺す、すなわちチェーンソーや草刈機の刃に対抗し、膝を保護する。
【0019】
膝保護カバーも、上述した足首保護カバー同様、アラミド繊維を織成又は編成した強化布をそのまま外部に露出させると経年劣化がひどくなるので、例えばナイロン繊維を含んで織成又は編成された防水布を外面に、アラミド繊維を織成又は編成した強化布を内面に積層して構成するとよい。ナイロン繊維を含んで織成又は編成された防水布は、裏面に糊引きすることでほつれが防止され、また防水性能を向上させることができる。
【0020】
足首保護カバーや膝保護カバーは、個別に利用しうるが、両者を併用すると足首から膝まで保護できる。具体的には、向こう脛に宛てがって臑に巻き付ける脚絆本体に、臑の延在方向に延びる剛性部材を装着又は内蔵した安全脚絆において、巻付方向に延びる脚絆本体の下縁に切欠を形成し、アラミド繊維を織成又は編成した足首保護カバーを前記切欠から突出させ、アラミド繊維を織成又は編成した膝保護カバーを、巻付方向に延びる脚絆本体の上縁から上方に突出させ、膝に巻き付けた状態を保持する締付手段を前記膝保護カバーに設けた安全脚絆であれば、足首から膝まで保護できる。
【0021】
足首保護カバーと膝保護カバーとを併用した安全脚絆においても、足首保護カバーは、脚絆本体の下縁に形成した切欠から脚絆本体の面直交方向かつ下方に向けて、円錐台側面状に突出させるとよい。また、足首保護カバーは、例えばナイロン繊維を含んで織成又は編成された防水布を外面に、アラミド繊維を織成又は編成した強化布を内面に積層して構成するとよい。ナイロン繊維を含んで織成又は編成された防水布は、裏面に糊引きすることでほつれが防止され、また防水性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、足首から膝に至る範囲を保護する安全脚絆が提供できるようになる。足首は、脚絆本体の下縁に形成した切欠から突出する足首保護カバーに保護されるが、切欠の存在と足首保護カバーの可撓性により自由度が阻害されない。そして、アラミド繊維を織成又は編成した強化布からなる足首保護カバーは、チェーンソーや草刈機の刃に対抗し、足首を保護する。膝は、脚絆本体の上縁から突出する膝保護カバーに保護されるが、可撓性のある膝保護カバーに包まれるだけなので、自由度が阻害されない。そして、アラミド繊維を織成又は編成した強化布からなる膝保護カバーは、チェーンソーや草刈機の刃に対抗し、膝を保護する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に基づく安全脚絆の一例を表す正面図である。
【図2】本例の安全脚絆の背面図である。
【図3】本例の安全脚絆を装着した状態を表す斜視図である。
【図4】本発明に基づく安全脚絆の別例を表す正面図である。
【図5】別例の安全脚絆の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本発明の安全脚絆1(本例及び後掲別例は、いずれも右脚用である)は、例えば図1及び図2に見られるように、上縁が長く、下縁が短い正面視台形の脚絆本体11と、前記脚絆本体11の上縁から延長した外観の膝保護カバー13と、前記脚絆本体11の下縁中央に形成した切欠112から突出させた足首保護カバー12とから構成される。外観上、従等同種の安全脚絆と類似するが、脚絆本体11の上縁から突出させた膝保護カバー13と、脚絆本体11の下縁中央に形成した切欠112から突出させた足首保護カバー12とが相違する。
【0025】
脚絆本体11は、防水性を有するナイロン布からなる表布と、綿布からなる裏布とを縫合して構成され、向こう脛に当たる正面中央から一定の範囲を、縦方向に複数条縫着して10列の袋部を形成し、各袋部に剛性部材であるステンレス板111を内蔵している。本例の脚絆本体11は、正面から見て、正面側右縁部に4段の本体オス面113(図1参照)を、背面側右縁部に同じく4段の本体メス面114(図2参照)を設けており、臑に巻き付けた後、前記本体オス面113及び本体メス面114を係合して巻き付けた状態を保持する。
【0026】
また、本例の脚絆本体11は、正面から見て、左縁から4段の締付フラップ115を突出させ、各締付フラップ115の正面側根元部にフラップオス面116を、同じく正面側先端部にフラップメス面117を設け、本体オス面113の左端にフラップ通し環118を設けている。締付フラップ115は、上記本体オス面113及び本体メス面114を係合させた後、対応するフラップ通し環118に掛け回して、フラップオス面116及びフラップメス面117を係合させる。これにより、本体オス面113及び本体メス面114の係合状態が、フラップ通し環118に掛け回してフラップオス面116及びフラップメス面117を係合させた締付フラップ115により保護され、容易に解除されないようにできる。
【0027】
足首保護カバー12は、脚絆本体11の下縁中央に形成した上向きに凸な正面視三角形の切欠112から、脚絆本体11の面直交方向(図1中紙面直交方向)かつ下方(図1中下方向)に向けて突出させた円錐台側面状で、正面視逆さホームベース形状(図1参照)である。本例の足首保護カバー12は、ナイロン繊維と綿とを混合して織成された防水布121を外面に、アラミド繊維を織成した強化布122を内面に積層して構成される。防水布121は、裏面(強化布122に接面する内側の面)に糊引きすることでほつれが防止され、また防水性能を向上させている。
【0028】
膝保護カバー13は、脚絆本体11の上縁から前記脚絆本体11の幅でそのまま延長した外観の正面視扇状で、ナイロン繊維と綿とを混合して織成された防水布131を外面に、アラミド繊維を織成した強化布132を内面に積層して構成される。本例の膝保護カバー13は、脚絆本体11の上縁全長にわたって延びているから、膝を包んだ際に膝窟まで覆うことができる(後掲図3参照)。防水布131が、裏面(強化布132に接面する内側の面)に糊引きし、ほつれ防止や防水性能を向上させている点は、上記足首保護カバー12と同様である。
【0029】
本例の膝保護カバー13は、正面から見て、正面側右縁部にカバーオス面134(図1参照)を、左縁部(背面から見て右縁部、図2参照)にカバーメス面133を設けて、脚絆本体11を臑に巻き付けた際、同様に膝に巻き付け、前記カバーオス面134及びカバーメス面133を係合して巻き付けた状態を保持する。また、本例の膝保護カバー13は、防水布131の上縁部左右を開口し、縫着により前記開口を結ぶ空間である紐通し袋部136を形成し、締付手段である締付紐135を前記紐通し袋部136両端から突出するように挿通している。これにより、膝に膝保護カバー13を巻き付けた状態が、締付紐134を膝上にあたる大腿部で締め付けて、保持される(後掲図3参照)。
【0030】
本例の安全脚絆1は、図3に見られるように、作業者の脚3のうち、脚絆本体11が臑32に巻き付けるように装着すると、足首保護カバー12が足首33を覆い、また膝保護カバー13が膝31を包み込む格好となる。足首保護カバー12は、安全靴(図示略)の甲皮に及び、前記安全靴が足指及び足甲を保護できる構成であれば、足指から足首33、そして向こう脛までが、安全靴と本発明の安全脚絆1とにより保護され、チェーンソーや草刈機の刃(図示略)に対抗できる。また、膝保護カバー13が膝31を包み込むことにより、膝31及び膝窟が保護され、チェーンソーや草刈機の刃に対抗できる。
【0031】
本発明は、図4及び図5に見られるように、小鉤213及び掛糸214の係合により臑に巻き付けた状態を保持する安全脚絆2にも適用できる。別例の安全脚絆2は、上述した例示と外観は類似しており、上縁が長く、下縁が短い正面視台形の脚絆本体21と、前記脚絆本体21の上縁から延長した外観の膝保護カバー23と、前記脚絆本体21の下縁中央に形成した切欠212から突出させた足首保護カバー22とから構成される。上述した例示との相違点は、面ファスナーに代えて小鉤213及び掛糸214を用いている点と、脚絆本体21に巻付方向に伸び縮みする伸縮ベルト215を介在させている点とにある。
【0032】
脚絆本体21は、防水性を有するナイロン布からなる表布と、綿布からなる裏布とを縫合して構成され、向こう脛に当たる正面中央から一定の範囲を、縦方向に複数条縫着して10列の袋部を形成し、各袋部に剛性部材であるステンレス板211を内蔵している。本例の脚絆本体21は、正面から見て、正面側右縁部に5列の掛糸214(図4参照)を、背面側右縁部に複数段の小鉤213(図5参照)を設けており、臑に巻き付けた後、前記小鉤213及び掛糸214を係合して巻き付けた状態を保持する。別例の脚絆本体21は、表布及び裏布を巻付方向に分断して伸縮ベルト215を介在させ、伸ばした前記伸縮ベルト215の収縮力により、脚絆本体21を臑に密着させている。伸縮ベルト215は、上述の例示にも利用できる。
【0033】
別例の足首保護カバー22は、脚絆本体21の下縁中央に形成した上向きに凸な正面視三角形の切欠212から、脚絆本体21の面直交方向(図4中紙面直交方向)かつ下方(図4中下方向)に向けて突出させた円錐台側面状で、正面視逆さホームベース形状(図4参照)であり、ナイロン繊維と綿とを混合して織成された防水布221を外面に、アラミド繊維を織成した強化布222を内面に積層している。別例の膝保護カバー23は、脚絆本体21の上縁から前記脚絆本体21の幅でそのまま延長した外観の正面視扇状で、ナイロン繊維と綿とを混合して織成された防水布231を外面に、アラミド繊維を織成した強化布232を内面に積層し、膝を包んだ際に膝窟まで覆う(図3参照)。防水布221及び防水布231は、裏面に糊引きしてほつれを防止し、防水性能を向上させている。
【0034】
別例の膝保護カバー23は、正面から見て、正面側右縁部にカバーオス面234(図4参照)を、左縁部(背面から見て右縁部、図5参照)にカバーメス面233を設けて、脚絆本体21を臑に巻き付けた際、同様に膝に巻き付け、前記カバーオス面234及びカバーメス面233を係合して巻き付けた状態を保持する。また、別例の膝保護カバー23は、防水布231の上縁部左右を開口し、縫着により前記開口を結ぶ空間である紐通し袋部236を形成し、締付手段である締付紐235を前記紐通し袋部136両端から突出するように挿通して、膝に膝保護カバー13を巻き付けた状態を、締付紐134を膝上にあたる大腿部で締め付けて、保持する(図3参照)。
【符号の説明】
【0035】
1 安全脚絆
11 脚絆本体
111 ステンレス板
112 切欠
12 足首保護カバー
13 膝保護カバー
135 締付紐
2 安全脚絆
21 脚絆本体
211 ステンレス板
212 切欠
22 足首保護カバー
23 膝保護カバー
235 締付紐
3 脚
31 膝
32 臑
33 足首

【特許請求の範囲】
【請求項1】
向こう脛に宛てがって臑に巻き付ける脚絆本体に、臑の延在方向に延びる剛性部材を装着又は内蔵した安全脚絆において、
巻付方向に延びる脚絆本体の下縁に切欠を形成し、アラミド繊維を織成又は編成した足首保護カバーを前記切欠から突出させたことを特徴とする安全脚絆。
【請求項2】
足首保護カバーは、脚絆本体の下縁に形成した切欠から脚絆本体の面直交方向かつ下方に向けて、円錐台側面状に突出させた請求項1記載の安全脚絆。
【請求項3】
向こう脛に宛てがって臑に巻き付ける脚絆本体に、臑の延在方向に延びる剛性部材を装着又は内蔵した安全脚絆において、
アラミド繊維を織成又は編成した膝保護カバーを、巻付方向に延びる脚絆本体の上縁から上方に突出させ、膝に巻き付けた状態を保持する締付手段を前記膝保護カバーに設けたことを特徴とする安全脚絆。
【請求項4】
向こう脛に宛てがって臑に巻き付ける脚絆本体に、臑の延在方向に延びる剛性部材を装着又は内蔵した安全脚絆において、
巻付方向に延びる脚絆本体の下縁に切欠を形成し、アラミド繊維を織成又は編成した足首保護カバーを前記切欠から突出させ、
アラミド繊維を織成又は編成した膝保護カバーを、巻付方向に延びる脚絆本体の上縁から上方に突出させ、膝に巻き付けた状態を保持する締付手段を前記膝保護カバーに設けたことを特徴とする安全脚絆。
【請求項5】
足首保護カバーは、脚絆本体の下縁に形成した切欠から脚絆本体の面直交方向かつ下方に向けて、円錐台側面状に突出させた請求項4記載の安全脚絆。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−97388(P2012−97388A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248565(P2010−248565)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(504037922)株式会社荘快堂 (5)
【Fターム(参考)】